説明

2つの部分からなるミッドソールアセンブリを有する履物製品

アッパーと該アッパーに固定されたソールアセンブリとを含む履物製品を提供する。ソールアセンブリは、第1の硬度と凹部とを有するシェルを有する。凹部の外側部は第1の深さを有し、凹部の内側部は、第1の深さとは異なる第2の深さを有する。第1の開口部はシェルの前足部分を貫通し、ここで、第1の開口部は、その内側部に固定された第1の舌状部を画成し、第1の舌状部の残りの部分はシェルに対して自由に曲がることができる。インサートは第2の硬度を有し、前記凹部内に据えられる。インサートの外側部は第1の高さを有し、インサートの内側部は、第1の高さとは異なる第2の高さを有し、第2の硬度は第1の硬度とは異なる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明の局面は、概して、2つの部分からなるミッドソールを有する履物製品に関し、特に、シェルとシェルの凹部に収まるインサートとを有するミッドソールを有する履物製品に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
従来の運動靴製品は、アッパーおよびソール構造の2つの主要要素を含む。アッパーは、足を快適に収容し、かつソール構造に対して足をしっかりと位置づけるための足の覆いを提供する。さらに、アッパーは足を保護しかつ通気を提供する構造を有してもよく、それにより足を冷まし汗を除去してもよい。ソール構造はアッパーの下部に固定され、一般に足と地面との間に配置される。地面反力を減衰することに加え、ソール構造は例えば、静止摩擦を提供すること、(例えば、過剰回内に抵抗することにより)足の動きを制御すること、および安定性を付与することもできる。したがって、アッパーとソール構造とは協同的に機能して、ウォーキングおよびランニングなどの多様な運動に適合する快適な構造を提供する。
【0003】
ソール構造は一般に、通常インソール、ミッドソール、およびアウトソールと呼ばれる複数の層を組み込んでいる。インソールは、履物の快適性を向上させるために、アッパー内に足底表面(すなわち、下面)に接して配置される薄い圧縮性の部材である。ミッドソールは、通常、アッパーの長さに沿ってアッパーに固定され、ソール構造の中間層を形成し、主に地面反力の減衰に関与する。アウトソールは、履物の地面に接触する要素を形成し、通常は、静止摩擦を向上させるための模様(texturing)を含む、耐久性で耐摩耗性の材料から作られる。
【0004】
従来のミッドソールは、主に、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート(EVA)などの弾性のあるポリマー発泡体材料から形成され、これは往々にして射出成形法により履物の全長にわたって延在する。ミッドソールのポリマー発泡体材料の性質は、主に、ミッドソールの寸法構成およびポリマー発泡体に選ばれた材料の具体的特徴(ポリマー発泡体材料の密度を含む)を含む因子に依存する。ミッドソール全体におけるこれらの因子を変化させることで、相対的な硬さおよび地面反力の減衰の程度を、その履物が使われることが意図される運動における具体的な要求を満たすように改変することができる。ポリマー発泡体材料に加えて、従来のミッドソールは例えば、1つまたは複数の、流体を充填した袋および緩衝材(moderator)を含みうる。
【0005】
先行技術におけるデバイスに内在する問題の一部または全部を軽減または克服する、インサートを有するミッドソールを提供することが求められている。当業者、すなわち、この技術分野の知識または経験を有する人には、以下の本発明の開示および特定の態様の詳細な説明に鑑みて、特定の目的および利点が明らかになると思われる。
【発明の概要】
【0006】
概要
本発明の原理を用いて、インサートを有するミッドソールを有利に提供することができる。第1の局面によると、履物製品はアッパーと該アッパーに固定されたソールアセンブリとを含む。ソールアセンブリは、第1の硬度と凹部とを有するシェルを有する。凹部の外側部は第1の深さを有し、凹部の内側部は、第1の深さとは異なる第2の深さを有する。第1の開口部はシェルの前足部分を貫通し、ここで、第1の開口部は、その内側部に固定された第1の舌状部を画成し、第1の舌状部の残りの部分はシェルに対して自由に曲がることができる。インサートは第2の硬度を有し、前記凹部内に据えられる。インサートの外側部は第1の高さを有し、インサートの内側部は、第1の高さとは異なる第2の高さを有する。インサートの第2の硬度はシェルの第1の硬度とは異なる。
【0007】
別の局面によると、履物製品はアッパーと該アッパーに固定されたソールアセンブリとを含む。ソールアセンブリは、第1の硬度と内部に形成された凹部とを有するシェルを含む。凹部の外側部は第1の深さを有し、凹部の内側部は第1の深さとは異なる第2の深さを有する。第1の開口部はシェルの前足部分を貫通する。第1の開口部は、その内側部に固定された第1の舌状部を画成し、第1の舌状部の残りの部分はシェルに対して自由に曲がることができる。第1の舌状部は、ユーザーの足の第1中足骨頭の真下にくるよう位置づけられる。第2の開口部は、シェルの中足部分を貫通する。第2の開口部は、その外側部に固定された第2の舌状部を画成し、第2の舌状部の残りの部分はシェルに対して自由に曲がることができる。第2の舌状部は、ユーザーの足の立方骨の真下にくるよう位置づけられる。インサートは第2の硬度を有し、前記凹部内に据えられる。インサートの外側部は第1の高さを有し、インサートの内側部は、第1の高さとは異なる第2の高さを有する。インサートの第2の硬度はシェルの第1の硬度とは異なる。
【0008】
さらなる局面によると、履物製品はアッパーと該アッパーに固定されたソールアセンブリとを含む。ソールアセンブリは、EVAで形成されたシェルを含み、第1の硬度と内部に形成された凹部とを有する。凹部の外側部は第1の深さを有し、凹部の内側部は、第1の深さとは異なる第2の深さを有する。第1の開口部はシェルの前足部分を貫通し、かつ、第1の開口部は、その内側部に固定された第1の舌状部を画成し、第1の舌状部の残りの部分はシェルに対して自由に曲がることができる。第2の開口部はシェルの中足部分を貫通し、かつその外側部に固定された第2の舌状部を画成し、第2の舌状部の残りの部分はシェルに対して自由に曲がることができる。インサートはEVAで形成され、かつ第2の硬度を有し、接着剤により前記凹部内に固定される。インサートの外側部は第1の高さを有し、インサートの内側部は、第1の高さとは異なる第2の高さを有する。インサートの第2の硬度はシェルの第1の硬度とは異なる。
【0009】
2つの部分からなるミッドソールを有する履物製品を提供することにより、大きな利益が達成される。具体的には、特定の態様において、足が回内運動しやすいユーザーにおいて、ミッドソールの内側部の支持を増加させ、ミッドソールの外側部の圧縮を増加させることにより、ユーザーの足が回内運動する傾向を低減するのを助ける。足が回内運動する傾向にないユーザーにおいては、履物の改良された構造は効力を生じない。他の態様において、ユーザーの足の第1中足骨頭と立方骨に対する支持を維持しながら、履物製品の前足部分および中足部分における柔軟性の向上が提供される。
【0010】
本明細書で開示されるこれらのおよびさらなる特徴および利点は、特定の態様についての以下の詳細な開示からさらに理解されると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】2つの部分からなるミッドソールを有する履物製品の立面図である。
【図2】図1の履物製品の2つの部分からなるミッドソールの斜視図である。
【図3】図2の2つの部分からなるミッドソールの、シェルの斜視図である。
【図4】図2の2つの部分からなるミッドソールの、インサートの斜視図である。
【図5】図2の2つの部分からなるミッドソールの、図2の線5-5に沿った断面図である。
【図6】図2の2つの部分からなるミッドソールの代替的態様の断面図である。
【図7】2つの部分からなるミッドソールの別の代替的態様の斜視図である。
【0012】
上記で言及した図は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはおらず、本発明の具体的態様の代表例を提供するものであり、本質的に、関連する原理の概念および例示に過ぎないと理解すべきである。図中の、2つの部分からなるミッドソールを有する履物製品のいくつかの特徴は、説明および理解を容易にするべく他に対して拡大されているか、または変形されている。種々の代替的態様に示されている類似のまたは同一の構成要素および特徴については、複数の図面で同じ参照番号を使用している。本願に開示される2つの部分からなるミッドソールを有する履物製品は、意図された用途およびそれが使用される環境により部分的には決定される構成および構成要素を有しうる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の好ましい態様の詳細な説明
以下の考察および付随する図面は、履物製品のソール構造の種々の態様を開示する。本ソール構造は、例えば、テニスシューズ、フットボールシューズ、クロストレーニング用シューズ、ウォーキングシューズ、サッカーシューズ、およびハイキングブーツを含む、広範な運動用履物の種類に適用できる。本ソール構造は、ドレスシューズ、ローファー、サンダル、およびワークブーツを含む、一般に運動用とは見なされない履物の種類にも適用できる。したがって当業者は、本明細書に開示されている概念が、以下の資料において考察され、付随する図面において示される特定の種類に加えて、広範な履物の種類に適用されることを理解するであろう。
【0014】
アッパー12とソールアセンブリ14とを含む履物製品10が、図1に示されている。参照の目的で、履物10は、図1に示されるように、前足部分16と、中足部分18と、ヒール部分20の大きく3つの部分に分けることができる。履物10はまた、外側部22と内側部24とを含む。前足部分16は概して、つま先および中足骨と指骨とをつなぐ関節に対応する履物10の部分を含む。中足部分18は概して、足のアーチ領域に対応する履物10の部分を含み、ヒール部分20は、踵骨を含む足の後部部分に対応する履物10の部分を含む。外側部22および内側部24は、部分16〜20の各々に延在し、履物10の両側に対応する。
【0015】
部分16〜20および側部22〜24は、履物10の厳密な領域を画定することを意図するものではない。むしろ、部分16〜20および側部22〜24は、以下の考察を助けるために、履物10の一般的な領域を表すことを意図するものである。部分16〜20および側部22〜24は、履物10に加えて、アッパー12、ソールアセンブリ14、およびそれらの個々の要素にも適用されうる。
【0016】
図面は、着用者の左足に用いることが意図される履物製品のみを示している。当業者は、左足用のものの鏡像である着用者の右足用の履物製品が本発明の範囲内に含まれることが意図されることを認識する。
【0017】
他に明示されない限り、または以下の文脈から明らかでない限り、後方に、前方に、内向きに、下方に、上方になど、本明細書において用いられる、方向を示す用語は、履物10自体に対する方向を意味する。履物10は、着用者により着用された際、水平面上に位置づけられるため、実質的に水平に配置されるように図1に示されている。しかしながら、履物10は必ずしもそのような方向に限定されるものではないと理解すべきである。したがって、図1に示された態様において、後方にとは、ヒール部分20の方向へ向かう、すなわち、図1では右側へ向かう。必然的に、前方にとは、前足部分16の方向へ向かう、すなわち、図1では左側へ向かう。下方にとは、図1のページの下の方向へ向かう。内向きにとは、履物10の中心へ向かい、外向きにとは、履物10の外周端の方向へ向かう。
【0018】
アッパー12は、足を快適に収容し、ソールアセンブリ14に対して足の位置を固定する内部空間を形成する。図示されたようなアッパー12の構成は、ランニングを含む運動活動の際の使用に適している。したがって、アッパー12は、接着剤で結合されるか縫い合わされた皮、布、ポリマー、および発泡要素の多層を含む、軽量で通気性のある構成を有することができる。例えば、アッパー12は、それぞれ摩耗に耐え、通気性を提供するために、皮要素および布要素を含む外装を有してもよい。アッパー12の内部は、履物10の快適性を向上させるための発泡体要素を有してもよく、内部表面は、足を直接取り囲む領域から過度の湿気を除去するための湿気を吸収する布地(moisture-wicking textile)を含んでもよい。
【0019】
ソールアセンブリ14は、接着剤または他の任意の適切な留め手段によりアッパー12に固定されてもよい。一般的に着用者の足と地面との間に配置されるソールアセンブリ14は、地面反力の減衰を提供し(すなわち、緩衝作用を与え)、摩擦力を提供し、かつ回内運動などの足の動きを制御しうる。従来の履物製品と同様に、ソールアセンブリ14は、アッパー12内に配置されたインソール(図示せず)と、ミッドソール26と、アウトソール28とを含む。アウトソール28は、連続的な単一の部品であってもよく、またはミッドソール26に固定された複数の独立した部品から形成されてもよい。
【0020】
ミッドソール26はアッパー12に接着されており、履物10の主要な衝撃減衰およびエネルギー吸収構成要素として機能する。アウトソール28は、接着剤または他の適切な手段によりミッドソール26の下部に接着されている。アウトソール28に適した材料には、従来のゴム素材が含まれる。アウトソール28に適した他の材料は、本開示の利点を鑑みて、当業者には容易に明らかであろう。特定の態様において、ソールアセンブリ14が、ミッドソール26と別個にアウトソール層を含まず、アウトソールが、ソールアセンブリ14の外部摩擦表面を提供するミッドソール26の底部表面を構成してもよい。
【0021】
図2〜4においてより明確に示されるように、ミッドソール26の特定の態様は、第1の部分、すなわち、中央凹部32がその中に形成されたシェル30を含む。例示的態様において、凹部32は、ミッドソール26を横切って内側部22の近位点から外側部24の近位点へ横方向に延在し、かつミッドソール26に沿ってミッドソール26のヒール部分20の後方縁の近位点からミッドソール26の前足部分16の中央点へ縦方向に延在する。第2の部分、すなわちミッドソール26のインサート34は、凹部32に収容される。
【0022】
凹部32の深さは、外側部24と内側部22とで異なる。図5に示される態様に見られるように、凹部32は、外側部24において深さAを有し、内側部22において、深さAより浅い深さBを有する。対応して、インサート34は、外側部24において高さCを有し、内側部22において高さDを有し、これらは互いに異なり、図5に示される態様においては高さDは高さCより低い。ここに示されるように、凹部32の下面36およびインサート34の下面38は、シェル30の下面40に対して角度αで延在する。
【0023】
インサート34は、図5に示されるように、接着剤31により凹部32内でシェル30に固定されてもよい。特定の態様において、接着剤31はシェル30の側壁35およびインサート34の外縁37に沿ってのみ塗布され、インサート34の下面38は凹部32の下面36に対して自由に動くことができる。別の態様において、接着剤31はインサート34および凹部32の外部全体または大半に沿って塗布されてもよい。適切な接着剤には、当該技術分野において公知の通常の接着剤のうちの任意のものが含まれ、適切な接着剤は、本開示の利点を鑑みて、当業者には容易に明らかであろう。
【0024】
シェル30は第1の硬度を有し、インサート34は、第1の硬度とは異なる第2の硬度を有する。図5に示す態様において、第2の硬度は第1の硬度より低い。よって、インサート34はシェル30と比べてより柔らかく、より圧縮される。インサート34は外側部24においてより厚く、かつシェル30はインサート34の外側部24の下においてより薄く、そして、インサート34は内側部22においてより薄く、かつシェル30はインサート34の内側部22の下においてより厚いため、ユーザーの足がミッドソール26を圧縮すると、ミッドソール26の外側部24はその内側部22よりも圧縮される。したがって、ミッドソール26が圧縮されると、ユーザーの足はミッドソール26の外側部24に押し付けられる。よって、インサート34の厚さの違いおよび凹部32の高さの違いが協同することでミッドソール26がウェッジとしてはたらき、内側部22により多くの支持が提供され、それにより回内運動が低減される。
【0025】
特定の態様において、シェル30は、およそ50〜70アスカーCの硬度を有し、より好ましくは、およそ56〜58アスカーCの硬度を有する。インサート34は、およそ30アスカーC〜60アスカーCの硬度を有し、より好ましくは、およそ50アスカーCの硬度を有する。
【0026】
シェル30の硬度とインサート34の硬度の差を変更することで、ミッドソール26の外側部24が内側部22よりも容易に圧縮される程度を調節または調整することができる。同様に、角度αを変更することで、ミッドソール26の外側部24が内側部22よりも容易に圧縮される程度を調節または調整することができる。
【0027】
特定の態様において、シェル30およびインサート34は同じ種類の材料で作られるが異なる硬度を有する。別の態様では、シェル30およびインサート34は異なる材料で作られる。
【0028】
特定の態様において、シェル30およびインサート34はエチレンビニルアセテート(「EVA」または「phylon」)発泡体で作られる。シェル30が射出EVAで形成され、かつインサート34が圧縮成形EVAで形成されてもよい。別の態様において、シェル30が圧縮成形EVAで形成され、かつインサート34が射出EVAで形成されてもよい。別の特定の態様において、シェル30およびインサート34はいずれも射出EVAで形成され、同じ金型中に形成されることができる。
【0029】
別の態様において、シェル30および/またはインサート34はポリウレタン;または水素化または非水素化アクリロニトリルブタジエン共重合体、変性水素化アクリロニトリルブタジエン共重合体、およびαオレフィン共重合体の混合物で形成されてもよい。シェル30およびインサート34の作製に用いられる他の例示的材料は、2007年5月23日に出願された「Article of Footwear with Lightweight Sole Assembly」と題する米国特許出願第11,752,348号に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0030】
シェル30およびインサート34に適した他の材料は、本開示の利点を鑑みて、当業者には容易に明らかであろう。
【0031】
特定の態様において、第1の開口部44は、ミッドソール26のシェル30の前足部分16の中足骨領域内に形成され、それを貫通する。第1の開口部44は、シェル30に対してその内側部22に固定された第1の前足フラップすなわち舌状部46を画成し、前足舌状部46の残りの部分はシェル30に対して自由に動くかまたは曲がることができる。開口部44および前足舌状部46は、前足舌状部46がユーザーの足の第1中足骨頭の真下に位置づけられるようにシェル30に位置づけられる。第1の開口部44は、ミッドソール26のシェル30の、前足部分16における柔軟性を増加させ、一方、前足舌状部46はユーザーの足の第1中足骨頭に対する支持を提供する。
【0032】
特定の態様において、第1の開口部44は、ミッドソール26の長軸Lに対し実質的に平行に延在するベース部分48を有する。第1のアーム50は、ベース部分46の第1の前方端52からミッドソール26の内側部22へ向かって外向きに延在する。第2のアーム54は、ベース部分48の第2の後方端56からミッドソール26の内側部22へ向かって外向きに延在する。特定の態様において、第1のアーム50と第2のアーム54は、ベース部分48から外向きに互いに別々の角度に向けられている。
【0033】
特定の態様において、第2の開口部58は、ミッドソール26の中足部分18内に形成され、それを貫通する。第2の開口部58は、シェル30に対してその外側部24に固定された第2の中足フラップすなわち舌状部60を画成し、中足舌状部60の残りの部分はシェル30に対して自由に動くかまたは曲がることができる。第2の開口部58および中足舌状部60は、中足舌状部60がユーザーの足の立方骨の真下に位置づけられるようにシェル30に位置づけられる。第2の開口部58は、ミッドソール26のシェル30の、中足部分18における柔軟性を増加させ、一方、中足舌状部60はユーザーの足の立方骨に対する支持を提供する。
【0034】
特定の態様において、第2の開口部58は、ミッドソール26の長軸Lに対し実質的に平行に延在するベース部分62を有する。第1のアーム64は、ベース部分62の第1の前方端66からミッドソール26のシェル30の外側部24へ向かって外向きに延在する。第2のアーム68は、ベース部分62の第2の後方端70からミッドソール26のシェル30の外側部24へ向かって外向きに延在する。特定の態様において、第1のアーム64と第2のアーム68は、ベース部分62から外向きに互いに別々の角度に向けられている。
【0035】
別の態様が図6に示される。この態様において、凹部32は外側部24において深さA'を有し、内側部22において、深さA'より深い深さB'を有する。対応して、インサート34は、外側部24において高さC'を有し、内側部において、高さC'より高い高さD'を有する。
【0036】
図5に示す態様に関連して上述したように、シェル30は第1の硬度を有し、インサート34は、第1の硬度とは異なる第2の硬度を有する。図6に示す態様において、第2の硬度は第1の硬度より高い。よって、シェル30はインサート34と比べてより柔らかく、より圧縮される。シェル30は外側部24においてより厚く、かつインサート34はシェル30の外側部24の上においてより薄く、そして、シェル30は内側部22においてより薄く、かつインサート34はシェル30の内側部22の上においてより厚いため、ユーザーの足がミッドソール26を圧縮すると、ミッドソール26の外側部24はその内側部22よりも圧縮される。したがって、ミッドソール26が圧縮されると、ユーザーの足はミッドソール26の外側部24に押し付けられる。よって、インサート34の厚さの違いおよび凹部32の高さの違いが協同することでミッドソール26がウェッジとしてはたらき、内側部22により多くの支持が提供され、それにより回内運動が低減される。
【0037】
特定の態様において、凹部32とインサート34は、ソールアセンブリ14のシェル30内の一部分のみに沿って延在する。そのような態様におけるソールアセンブリ14の残りの部分は、従来のミッドソールを含む。例えば、図7に示されるように、凹部32とインサート34はソールアセンブリ14のヒール部分20のみに沿って延在し、ソールアセンブリの残りの部分は従来の一体化構造のミッドソール26を含む。凹部32とインサート34は、ソールアセンブリ14の他の部分、例えば前足部分16のみに沿って延在することができることが理解される。別の態様において、対応するインサート34を伴う複数の凹部32が、例えば、前足部分16およびヒール部分20など、履物10に沿って位置づけられ、中足部分18が従来の構造であることができる。他の適切なバリエーションは、本開示の利点を鑑みて、当業者には容易に明らかであろう。
【0038】
このように、種々の態様の基本的な新規特徴を示し、説明し、指摘してきたが、発明の精神および範囲から逸脱することなく、例示されたデバイスの形状および細部、ならびにその動作における種々の省略、置換、および変更が当業者により行われうることが理解される。例えば、同じ結果を達成するために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を果たすそれらの要素および/または工程のあらゆる組み合わせが本発明の範囲内であることが、明示的に意図される。記載された一態様から別のものへの要素の置換もまた、十分に意図され、かつ企図される。したがって、本明細書に添付される特許請求の範囲に示されるものによってのみ限定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパーと、
前記アッパーに固定されたソールアセンブリであって、
第1の硬度を有し、かつ凹部が中に形成されたシェルであって、該凹部の外側部が第1の深さを有し、該凹部の内側部が、第1の深さとは異なる第2の深さを有する、シェル、
前記シェルの前足部分を貫通する第1の開口部であって、第1の開口部が、その内側部に固定された第1の舌状部を画成し、第1の舌状部の残りの部分がシェルに対し自由に曲がることができる、第1の開口部、および
第2の硬度を有し、かつ前記凹部内に据えられたインサートであって、インサートの外側部が第1の高さを有し、インサートの内側部が、第1の高さとは異なる第2の高さを有し、第2の硬度が第1の硬度とは異なる、インサート
を備えるソールアセンブリと
を備える、履物製品。
【請求項2】
第2の深さが第1の深さより浅い、請求項1記載の履物製品。
【請求項3】
第2の高さが第1の高さより低い、請求項1記載の履物製品。
【請求項4】
第2の硬度が第1の硬度より低い、請求項1記載の履物製品。
【請求項5】
第1の舌状部が、ユーザーの足の中足骨頭の真下にくるよう位置づけられている、請求項1記載の履物製品。
【請求項6】
第1の開口部が、
第1末端および第2末端を有するベース部分と、
ベース部分の第1末端から延在する第1のアーム、およびベース部分の第2末端から延在する第2のアームと
を備える、請求項5記載の履物製品。
【請求項7】
第1および第2のアームが互いに別々の角度に向けられている、請求項6記載の履物製品。
【請求項8】
第1の硬度がおよそ50からおよそ70アスカーCである、請求項1記載の履物製品。
【請求項9】
第1の硬度がおよそ56からおよそ58アスカーCである、請求項1記載の履物製品。
【請求項10】
第2の硬度がおよそ30からおよそ60アスカーCである、請求項1記載の履物製品。
【請求項11】
第1の硬度がおよそ50アスカーCである、請求項1記載の履物製品。
【請求項12】
インサートが接着剤により凹部内に固定されている、請求項1記載の履物製品。
【請求項13】
接着剤が、凹部の側壁とインサートの外縁との間のみに位置づけられており、インサートの下面が凹部の下面に対して自由に動くことができる、請求項12記載の履物製品。
【請求項14】
シェルの中足部分を貫通する第2の開口部をさらに備える履物製品であって、第2の開口部が、その外側部に固定された第2の舌状部を画成し、第2の舌状部の残りの部分がシェルに対して自由に曲がることができる、請求項1記載の履物製品。
【請求項15】
第2の舌状部が、ユーザーの足の立方骨の真下にくるよう位置づけられている、請求項14記載の履物製品。
【請求項16】
第2の開口部が、
第1末端および第2末端を有するベース部分と、
ベース部分の第1末端から延在する第1のアーム、およびベース部分の第2末端から延在する第2のアームと
を備える、請求項15記載の履物製品。
【請求項17】
第1および第2のアームが互いに別々の角度に向けられている、請求項14記載の履物製品。
【請求項18】
シェルがEVAで形成されている、請求項1記載の履物製品。
【請求項19】
インサートがEVAで形成されている、請求項1記載の履物製品。
【請求項20】
シェルおよび凹部が、ソールアセンブリの長さの一部分のみに沿って延在する、請求項1記載の履物製品。
【請求項21】
アッパーと、
前記アッパーに固定されたソールアセンブリであって、
第1の硬度を有し、かつ凹部が中に形成されたシェルであって、該凹部の外側部が第1の深さを有し、該凹部の内側部が、第1の深さとは異なる第2の深さを有する、シェル、
前記シェルの前足部分を貫通する第1の開口部であって、第1の開口部が、その内側部に固定された第1の舌状部を画成し、第1の舌状部の残りの部分がシェルに対し自由に曲がることができ、第1の舌状部がユーザーの足の第1中足骨頭の真下にくるよう位置づけられている、第1の開口部、
前記シェルの中足部分を貫通する第2の開口部であって、第2の開口部が、その外側部に固定された第2の舌状部を画成し、第2の舌状部の残りの部分がシェルに対し自由に曲がることができ、第2の舌状部がユーザーの足の立方骨の真下にくるよう位置づけられている、第2の開口部、および
第2の硬度を有し、かつ前記凹部内に据えられたインサートであって、インサートの外側部が第1の高さを有し、インサートの内側部が、第1の高さとは異なる第2の高さを有し、第2の硬度が第1の硬度とは異なる、インサート
を備えるソールアセンブリと
を備える、履物製品。
【請求項22】
アッパーと、
前記アッパーに固定されたソールアセンブリであって、
EVAで形成され、第1の硬度を有し、かつ凹部が中に形成されたシェルであって、該凹部の外側部が第1の深さを有し、該凹部の内側部が、第1の深さとは異なる第2の深さを有する、シェル、
前記シェルの前足部分を貫通する第1の開口部であって、第1の開口部が、その内側部に固定された第1の舌状部を画成し、第1の舌状部の残りの部分がシェルに対し自由に曲がることができる、第1の開口部、
前記シェルの中足部分を貫通する第2の開口部であって、第2の開口部が、その外側部に固定された第2の舌状部を画成し、第2の舌状部の残りの部分がシェルに対し自由に曲がることができる、第2の開口部、および
EVAで形成され、第2の硬度を有し、かつ前記凹部内に接着剤で固定されたインサートであって、インサートの外側部が第1の高さを有し、インサートの内側部が、第1の高さとは異なる第2の高さを有し、第2の硬度が第1の硬度とは異なる、インサート
を備えるソールアセンブリと
を備える、履物製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−515621(P2012−515621A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548068(P2011−548068)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/021497
【国際公開番号】WO2010/085485
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】