ICタグおよびインレット
【課題】1枚のカードに周波数帯域の異なる2つのアンテナと2つのICチップを配置しても相互に周波数干渉を起こしにくいICカードを提供する。
【解決手段】第1のICチップ11aを搭載した第1のアンテナ11がICカード13の外周付近にループ状にパターニングされて第1のインレットが形成され、その第1のインレットの両面がPETなどの外装材料によってラミネートされてカードが構成されている。そして、ループ状の第1のアンテナ11の一部に対して直交するように、第2のアンテナ12と第2のICチップ12aと整合回路12bからなる小型インレット14がカードの表面または裏面に貼付された構成となっている。このようなアンテナの配置によって第2のアンテナ12は第1のアンテナ11を補助アンテナとして0.2λ長以下に小型化することができると共に、第1のアンテナ11と第2のアンテナ12が干渉することなく動作する。
【解決手段】第1のICチップ11aを搭載した第1のアンテナ11がICカード13の外周付近にループ状にパターニングされて第1のインレットが形成され、その第1のインレットの両面がPETなどの外装材料によってラミネートされてカードが構成されている。そして、ループ状の第1のアンテナ11の一部に対して直交するように、第2のアンテナ12と第2のICチップ12aと整合回路12bからなる小型インレット14がカードの表面または裏面に貼付された構成となっている。このようなアンテナの配置によって第2のアンテナ12は第1のアンテナ11を補助アンテナとして0.2λ長以下に小型化することができると共に、第1のアンテナ11と第2のアンテナ12が干渉することなく動作する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が記録されたIC(Integrated Circuit)チップと小型アンテナとを搭載したICタグ(以下、代表して「ICカード」ともいう。)に関し、特に、異なる周波数帯域で動作する2つのICチップとデュアルバンドで動作する2つのアンテナとを搭載したICタグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップと小型アンテナとを搭載したカードサイズのICタグ、すなわちICカードが、例えば、Suica(登録商標)やEdy(登録商標)などという商品名で普及し始めている。このようなICカードでは、例えば、使用周波数が2.45GHzの場合、長さが52mm程度の細長い送信アンテナの中央部付近に幅0.4mm×奥行き0.4mm×高さ0.1mm程度の小さなICチップが搭載されている。したがって、このICカードをリーダライタ(読取端末)にかざせば、ICチップに記録されている情報を非接触で読み取ることができる。このとき、ICカードの通信距離はできるだけ長いことが望ましいので、ICカードに搭載されるアンテナは、電波強度と指向性が良好となるように、様々な形状のループアンテナやダイポールアンテナにするなどの工夫がなされている。
【0003】
ところで、ICカードの流通事情により、ユーザは、例えば、Suica(登録商標)とEdy(登録商標)を使い分けるというように、2枚またはそれ以上の枚数のICカードを所持しなければならないことがある。そこで、このような不便さを解消するために、2枚のICカードの機能を1枚のICカードにまとめたハイブリッド型非接触ICカードに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、異なる周波数帯域で動作する2つのアンテナと2つのICチップを1枚のICカードに搭載することにより、2枚のICカードの機能を1枚のICカードで実現させることができる。
【特許文献1】特開2004−240899号公報(段落番号0012〜0021および図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1枚のICカードの同一平面上に2つのアンテナを配置する場合、異なる周波数帯域のアンテナを任意に配置すると相互に周波数干渉を起こしてアンテナ性能が低下してしまい、ICカードの情報を読み取ることができなくなってしまう場合がある。このことは、実際に異なる周波数帯域で動作する2枚のICカードを重ねてリーダライタにかざした場合、相互に干渉を起こして、少なくともいずれかのICカードも通信特性が低下して読み取り不良が発生することからも容易に理解できる。
【0005】
つまり、1枚のICカードに搭載された2つのICチップを異なる周波数帯域で動作させる場合、各々の周波数帯域で動作する2つのアンテナを装着する必要があるが、異なる周波数帯域で動作する2つのアンテナ相互の配置パターンは限定される。しかし、どのような配置パターンにすれば2つのアンテナは相互干渉を起こさないかについては、これまで解明されていなかった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、1枚のカードに周波数帯域の異なる2つのアンテナと2つのICチップを配置しても相互に周波数干渉を起こしにくいICタグを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の目的を達成するために創案されたものであり、異なる周波数帯域で動作する少なくとも2個のICチップを搭載したICタグであって、相対的に動作波長が長い第1のアンテナ、および該第1のアンテナに搭載された第1のICチップからなる第1のインレットと、第1のアンテナより動作波長が短く、該第1のアンテナのラインに対して自己の両端が乗らないように所定の角度をもって交差して配置された第2のアンテナ、および、該第2のアンテナに搭載された第2のICチップからなる第2のインレットとを備えている。その他の手段については後記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1枚のカードに周波数帯域の異なる2つのアンテナと2つのICチップを配置しても相互に周波数干渉を起こしにくいICタグを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
《発明の概要》
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という。)に係るICカード(ICタグの代表例)について好適な例をあげて説明する。本実施形態に係るICカードは、相対的に動作波長の長いループ状の第1のアンテナ上に、相対的に動作波長の短い第2のアンテナを短縮して交差させるように配置したアンテナ構成となっている。
【0010】
例えば、第1のアンテナである13.56MHzのループアンテナ上に、第2のアンテナである2.45GHzのアンテナを交差させて配置する。すなわち、第1のアンテナのラインに対して第2のアンテナの両端が乗らないように交差させて配置する。なお、最適な配置方法は、第1のアンテナに対して第2のアンテナを直角に交差(以下、直交という。)して配置することである。
【0011】
また、第2のアンテナがダイポールアンテナである場合、その動作波長をλとしたときは通常では第2のアンテナはλ/2の長さが必要であるが、本実施形態では第2のアンテナの長さは0.2λ以下とする。つまり、第1のアンテナが第2のアンテナに対して補助アンテナの役目を果たすので、第2のアンテナを0.2λ以下にまで短縮化することができる。さらに、第2のアンテナ上には、自己に搭載されたICチップとの間でインピーダンスマッチングを行うためにスリットを形成する。そして、第1のアンテナおよび第2のアンテナの各々に個別のlCチップを搭載して、各アンテナと各ICチップとを接続している。
【0012】
ここで、図12を参照しながら、前記した第2のアンテナについて説明する。図12(a)は、第2のアンテナと第2のICチップの分解図である。
図12(a)に示すように、第2のアンテナ61の中央部における給電部分には、第2のICチップ62と第2のアンテナ61との間でインピーダンス整合を行うためのかぎ状のスリット61a、スタブ61bが形成されている。
【0013】
また、図12(b)に示すように、第2のICチップ62の信号入出力電極62aおよび62bが、スリット61aをまたいで第2のアンテナ61に接続されるので、スリット2aの幅はICチップ3の端子(電極)間隔よりも狭くなっている。第2のアンテナ61と第2のICチップ62は、スリット61aの形成によりできるスタブ部分61bをアンテナ61とICチップ62の間に直列に接続することで、スタブ部分61bが、直列に接続したインダクタ成分として働く。このインダクタ成分により、第2のICチップ62内のキャパシティブ成分を相殺し、第2のアンテナ61と第2のICチップ62のインピーダンス整合をとることができる。
【0014】
図12(c)は、図12(b)において、第2のアンテナと第2のICチップを矢印Aの方向から見た場合の断面図である。第2のICチップ62の信号入出力電極62a,62bは金バンプで、第2のICチップ62は、第2のアンテナ61と超音波接合、または、金属共晶結合などにより結合する。
また、図12(d)に示すように、アンテナを形成するスリットをT字型に形成し、スタブ部分61d,61eを第2のICチップ62に直列に接続することにより、同様の効果を得るようにしてもよい。
【0015】
つまり、本実施形態で用いる第2のICチップ62は、パッシブ型の無線ICチップである。第2のアンテナ61は、図示しない無線ICチップ読取装置から電波を受け、その長手方向に生じる電位差を給電部分経由で第2のICチップ62に供給し、この電位差により第2のICチップ62が動作する。
【0016】
なお、波長の長い13.56MH帯域の第1のアンテナと、波長の短い2.45GHzの第2のアンテナは絶縁体を介して交差させる。このときの絶縁体の材料は樹脂、樹脂の発泡体、紙などとする。あるいは、絶縁体は、第1のアンテナおよび第1のICチップを構成する第1のインレットと、第2のアンテナおよび第2のICチップを構成する第2のインレットとを接着する粘着材又は接着剤であってもよいし、上記絶縁体の各材料と粘着材または接着剤との積層構造であってもよい。
【0017】
または、カードを形成する外装材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性共重合PET樹脂(PET−G)、塩化ビニル(PVC)などによって第1のインレットをラミネートして収納し、その外装材料の表面または裏面に第2のインレットを貼付してもよい。つまり、絶縁体にはカードを形成する外装材料を利用してもよい。なお、いずれの場合においても絶縁体の厚さは0.01mm以上とする。
【0018】
《第1実施形態》
以下、図面を参照しながら、第1実施形態におけるICカードについて詳細に説明するが、まず、理解を容易にするために動作周波数の異なる2枚のICカードを重ね合わせたときの通信特性について説明する。
【0019】
図13は、動作周波数の異なる2枚のICカード(RF(Radio Frequency)ICカード)を重ね合わせたときの概略図である。図13(a)に示すように、動作周波数が13.56MHzの第1のICカード1の内部には、動作波長の長いループアンテナ1aとこのループアンテナ1aに接続された第1のICチップ1bが実装されている。このループアンテナ1aは第1のICカード1の外周付近にループ状に配置されている。
【0020】
なお、第1のICカードの大きさは、幅が54mmで、長さが84mm程度である。また、動作周波数が2.45GHzの第2のICカード2の内部には、動作波長の短いダイポールアンテナ2aとこのダイポールアンテナ2aの中央部分に搭載された第2のICチップ2bが実装されている。ダイポールアンテナ2aは、その動作波長をλとしたとき、λ/2の長さである。例えば、動作周波数が2.45GHzのときのダイポールアンテナ2aの長さは約52mmである。なお、第2のICカードの大きさも、幅が54mmで、長さが84mm程度である。
【0021】
次に、図13(b)に示すように、動作周波数の異なる2枚のICカード、つまり、動作周波数が13.56MHzの第1のICカード1と、動作周波数が2.45GHzの第2のICカード2を重ねると、第1のICカード1のループアンテナ1aと第2のICカード2のダイポールアンテナ2aが平行するラインにおいて電波が相互に干渉し、いずれのICカードも通信性能が低下してしまう。
【0022】
このことから、図13(c)に示すように、1枚のICカード3に動作周波数の異なる2つのRFICタグのインレット(つまり、ループアンテナ1aと第1のICチップ1bからなる第1のインレットと、ダイポールアンテナ2aと第2のICチップ2bからなる第2のインレット)を実装すると、通信性能が低下して通信できない場合が生じる。このように通信性能が劣化する原因は、ループアンテナ1aの長手方向のラインに発生する電波の波長とダイポールアンテナ2aの長手方向のラインに発生する電波の波長とが相互干渉を起こして電波を弱めるためである。
なお、本明細書中で「平行」という場合は、「角度が数度ずれた略平行」も含むものとする。
【0023】
そこで、第1実施形態では、本発明に適用される最良のICカードの形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るICカードの平面構成図である。
図1に示すように、PET、PET−G、またはPVCを外装材料としたICカード13は、13.56MHzの周波数帯域のループアンテナを第1のアンテナ11として、この第1のアンテナ11の一部(以下、単に「第1のアンテナ11」という。)に直角に交差(直交)するように2.45GHzの周波数帯域の第2のアンテナ12(図12の第2のアンテナ61に対応)を配置した構成となっている。つまり、波長の長い第1のアンテナ11に対して波長の短い第2のアンテナ12が直交するように配置されている。
【0024】
さらに詳しくは、前記したように、第1のアンテナ11のラインに対して、第2のアンテナ12の両端が乗らないように交差させて配置すればよいが、最適な配置方法は、図1に示すように、ループ状の第1のアンテナ11に対して第2のアンテナ12を直交させて配置することである。
【0025】
また、第1のアンテナ11には第1のICチップ11aが搭載され、第2のアンテナ12には第2のICチップ12a(図12の第2のICチップ62に対応)が搭載されている。なお、動作周波数が2.45GHzの第2のアンテナ12は、一般的にはλ/2の長さが必要であるので52mm程度の長さとなるが、本実施形態のような配置の場合は、第1のアンテナ11が補助アンテナとなって第2のアンテナ12の実効アンテナ長が延びるので、第2のアンテナ12は0.2λ、つまり20mm程度の長さの微小アンテナでよい。なお、第2のアンテナ長は、インピーダンスマッチング回路であるスリット形成部とICチップを実装できる最小限の大きさまで小型化が可能である。具体的には、第2のアンテナ長は4mm、つまり、約0.03λが可能である。
【0026】
また、第2のアンテナ12における第2のICチップ12aが搭載された部分には、第2のアンテナ12と第2のICチップ12aとのインピーダンスマッチングを行うためのスリットが、整合回路12bとして形成されている。以下、第1のアンテナ11と第1のICチップ11aとの構成を第1のインレットといい、第2のアンテナ12と第2のICチップ12aと整合回路12bと含めた構成を小型インレット(第2のインレット)14という。
【0027】
図1に示す第1実施形態のICカード13を製造工程の面から説明すると、第1のICチップ11aを搭載した第1のアンテナ11がICカード13の外周付近にループ状にパターニングされて第1のインレットが形成され、その第1のインレットの両面がPET、PET−G、PVCなどの外装材料によってラミネートされてカードが構成されている。そして、ループ状の第1のアンテナ11に対して直交するように、第2のアンテナ12と第2のICチップ12aと整合回路12bからなる小型インレット(第2のインレット)14がカードの表面または裏面に貼付された構成となっている。
【0028】
つまり、動作周波数が2.45GHzであって本来はλ/2の長さが必要なダイポールアンテナを0.2λ以下に短縮した第2のアンテナ12と、この第2のアンテナ12に形成された整合回路12bにまたぐように搭載された第2のICチップ12aとからなる小型インレット(第2のインレット)14が、ICカード13にあらかじめループ状にパターニングされた動作周波数が13・56MHzの第1のアンテナ11に対して直交するように配置されている。また、第2のアンテナ12には、自己と第2のICチップ12aとのインピーダンスマッチングを行うための整合回路12bが形成されている。この整合回路12bは、第2のアンテナ12のアンテナエレメントの中央部付近にL字型またはT字型のスリットを形成し、このスリットをまたいで第2のICチップを実装することによって実現することができる。
【0029】
また、小型インレット14とループ状の第1のアンテナ11は絶縁体を介して直交するように固定されている。このときの絶縁体は、小型インレット14と第1のアンテナ11を構成する第1のインレット(つまり、ICカード13の外装)とを接着するためのアクリル系の粘着材または接着剤や、樹脂製の基材に粘着材を貼付したり接着剤を塗布したりしたものなどを使用して実現することができる。
【0030】
なお、樹脂製の基材としては、カードの外装材料となるPET、ポリプロピレン(PP)、PVC、紙などを用いることができる。あるいは、ICカード13を構成するプラスチックカードを絶縁体として用いることもできる。この場合は、ICカード13を構成するプラスチックカードの表面または裏面において、ループ状の第1のアンテナ11に直交するように小型インレット14を配置し、粘着材、接着材、またはシールなどによって小型インレット14を接着して固定する。
【0031】
このようにして第1のアンテナ11と第2のアンテナ12を直交させることにより、第1のアンテナ11の電波と第2のアンテナ12の電波は相互干渉を起こすことがなくなるので、第1のアンテナ11および第2のアンテナ12はそれぞれの動作周波数において、効率よく電波を放射することができる。さらに、第1のアンテナ11と第2のアンテナ12は静電結合により接続されるため、短縮された第2のアンテナ12の実効アンテナ長が長くなるため、より効率的に動作することができる。
【0032】
次に、動作波長の長いループ状の第1のアンテナ11に対して動作波長の短い第2のアンテナ12(つまり、小型インレット14)を直交して配置する場合、第2のアンテナ12(小型インレット14)をいずれの位置に配置するのが最適であるかについて説明する。図2は、ICカードにおける第1のアンテナ11に対する第2のアンテナの配置位置を示す概略図である。また、図3は、図2に示すICカードにおける第2のアンテナの配置位置と第1のアンテナの通信距離の関係を示す特性図であり、横軸は第2のアンテナの配置位置(No.)を示し、縦軸は第1のアンテナの通信距離を示している。さらに、図4は、図2に示すICカードにおける第2のアンテナの配置位置と第2のアンテナの通信距離の関係を示す特性図であり、横軸は第2のアンテナの配置位置(No.)を示し、縦軸は第2のアンテナの通信距離を示している。
【0033】
すなわち、第2のアンテナ12の配置位置と通信距離の関係を調べるために、図2に示すように、ループ状の第1のアンテナ11に対して、第2のアンテナ12を図の数字で示すそれぞれの位置に直交して配置する。言い換えれば、図2は、13.56MHzの動作波長のループ状の第1のアンテナ11上において、図の左下の隅の位置から反時計回りに順に2.45MHzの第2のアンテナ12を直交して配置させる位置を示している。したがって、図中の数字1〜16は第2のアンテナ12を第1のアンテナ11上に順に配置したときの位置を示している。
【0034】
図3に示す第2のアンテナ12の配置位置と第1のアンテナ11の通信距離との特性から分かるように、第1のアンテナ11における数字1〜16のいずれの位置に第2のアンテナ12を配置しても、第1のアンテナ11に実装されたICチップの通信距離は約180mmと安定している。したがって、波長の短い第2のアンテナ12を任意の位置に配置しても、波長の長い第1のアンテナ11に実装されたICチップは安定的に通信距離を維持できることが分かる。つまり、動作周波数が13.56MHzである波長の長い第1のアンテナ11の通信距離は、動作周波数が2.45MHzである波長の短い第2のアンテナ12の配置位置に依存されることなく安定した通信距離を維持している。言い換えれば、第2のアンテナ12を如何なる位置に配置しても、第1のアンテナ11の通信特性に影響を与えることはない。
【0035】
しかし、図4に示す第2のアンテナ12の配置位置と第2のアンテナ12の通信距離との特性から分かるように、第2のアンテナ12を配置した各測定点における第2のアンテナ12に実装されたICチップの通信距離は5〜65mmの範囲で大きくばらついている。すなわち、第2のアンテナ12の配置位置がNo.2,No.3およびNo.10,No.11における第2のアンテナ12の通信距離は55〜65mmと良好であるが、第2のアンテナ12がそれ以外の位置に配置されているときは第2のアンテナ12の通信距離は短い。すなわち、動作周波数が2.45MHzである波長の短い第2のアンテナ12の通信距離は、動作周波数が13.56MHzである波長の長い第1のアンテナ11への配置位置によって大きく変化する。
【0036】
これらのことから、第2のアンテナ12は、ループ状の第1のアンテナ11の長辺(つまり、図の上下の横方向の辺)の中央部付近において良好な通信特性を示している。言い換えると、第2のアンテナ12は、第1のアンテナ11のラインと平行になる位置から遠いところにおいて第1のアンテナ11と直交させれば良好な通信特性が得られることが分かる。その理由は、第1のアンテナ11のラインと第2のアンテナ12の長手方向のラインとが平行する間隔を離すことにより、第1のアンテナ11のラインに発生する電波の波長と第2のアンテナ12の長手方向のラインに発生する電波の波長との相互干渉が弱まることにより容易に理解できる。
【0037】
このようなアンテナの配置関係について図1を用いて説明すると、小型インレット14は、図1に示すように第1のアンテナ11の上辺の中央部付近に配置するか、特に図示しないが、第1のアンテナ11の下辺の中央部付近に配置することが望ましい。なお、電波特性は若干低下するが、小型インレット14を第1のアンテナ11の左辺または右辺の中央部付近に配置することもできる。
【0038】
《第2実施形態》
第2実施形態では、波長の長い第1のアンテナ11に対して波長の短い第2のアンテナ12(つまり、小型インレット14)を直交させて配置する幾つかのバリエーションについて説明する。図5は、第2実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナと小型インレットが直交するように配置された幾つかのバリエーションを示す図である。つまり、図5は、図1に示すようなICカード13において第1のアンテナ11と小型インレット14の配置部分を拡大して示した部分拡大図である。
【0039】
図5(a)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の短辺である左辺側の複数のラインに対して、小型インレット14を直交させて配置する。この場合、小型インレット14の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、小型インレット14の半分程度の長さを第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の右辺側の複数のラインに対して小型インレット14を直交させて配置してもよい。図5(a)のような配置の場合、小型インレット14の配置位置がループの角に近いと、小型インレット14と第1のアンテナ11の上辺の内側ラインとの平行間隔が狭くなるので、相互干渉によって小型インレット14内の第2のアンテナの電波が弱くなる。したがって、小型インレット14の配置位置をループの角からできるだけ離した方がよい。
【0040】
また、図5(b)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の長辺である上辺側の複数のラインに対して、小型インレット14を直交させて配置する。この場合、小型インレット14の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、小型インレット14の半分程度の長さを第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の下辺側の複数のラインに対して小型インレット14を直交させて配置してもよい。図5(b)のような配置の場合、小型インレット14の配置位置がループの角に近いと、小型インレット14と第1のアンテナ11の左辺の内側ラインとの平行間隔が狭くなるので、相互干渉によって小型インレット14内の第2のアンテナの電波が弱くなる。したがって、小型インレット14の配置位置をループの角からできるだけ離した方がよい。
【0041】
さらに、図5(c)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の上辺(長辺)の中央部付近の複数のラインに対して、小型インレット14を直交させて配置する。この場合、小型インレット14の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、小型インレット14の半分程度の長さを第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の下辺の中央部付近の複数のラインに対して小型インレット14を直交させて配置してもよい。このようにして、第1のアンテナ11の上辺または下辺の中央部付近で小型インレット14を直交して配置すれば、小型インレット14内の第2のアンテナは第1のアンテナ11のいずれのラインとも平行する間隔が広くなるので、相互干渉によって小型インレット14内の第2のアンテナの電波が弱くなるおそれはない。
【0042】
また、図5(d)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11aのコーナが直角でない場合においても、第1のアンテナ11aの複数のラインに対して小型インレット14を直交させて配置する。この場合も小型インレット14の両端が第1のアンテナ11aのラインに乗らないように、小型インレット14の半分程度の長さを第1のアンテナ11aの複数のラインに乗せるようにする。
【0043】
《第3実施形態》
第3実施形態では、波長の長い第1のアンテナ11に対して波長の短い第2のアンテナ12を半分だけ平行させて配置する幾つかのバリエーションについて説明する。図6は、第3実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナに対して小型インレットが半分平行して配置された幾つかのバリエーションを示す図である。つまり、図6は、図1に示すようなICカードにおいて第1のアンテナと小型インレット14の配置部分を拡大して示した部分拡大図である。
【0044】
図6(a)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の短辺である左辺側の複数のラインのうちの1本のラインに対して小型インレット14を半分だけ平行させ、小型インレット14のあとの半分は、第1のアンテナ11の長辺である上辺側の複数のラインのうちの少なくとも1本のラインに対して直交するように配置する。このようなアンテナ配置によっても、小型インレット14内の第2のアンテナは相互干渉を起こすことなく有効に電波を放射させることができる。
【0045】
また、図6(b)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11aのコーナが直角でない場合においても、第1のアンテナ11aの複数のラインのうちの1本のラインに対して小型インレット14を半分だけ平行させ、小型インレット14のあとの半分は、第1のアンテナ11aの複数のラインのうちの少なくとも1本のラインに対して所定の角度を設けて配置する。このようなアンテナ配置によっても、小型インレット14内の第2のアンテナは相互干渉を起こすことなく有効に電波を放射させることができる。図6(a)、(b)のように配置することにより小型インレット14の取り付けの自由度を広げることができる。
【0046】
《第4実施形態》
第4実施形態では、波長の長い第1のアンテナ11に対して波長の短い第2のアンテナ12を所定の傾斜角度で配置する形態について説明する。図7は、第4実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナに対して小型インレットが所定の傾斜角度で配置された状態を示す図である。つまり、図7は、図1に示すようなICカードにおいて第1のアンテナと小型インレットの配置部分を拡大して示した部分拡大図である。
【0047】
図7に示すように、第4実施形態の場合は、小型インレット14の両端がループ状に形成されたアンテナ11の同じラインに乗らなければ、小型インレット14内の第2のアンテナは、第1のアンテナ11に対して相互干渉を受けることなく有効に電波を放射することができることを示している。つまり、ループ状に形成された第1のアンテナ11に対して、小型インレット14が非平行に(つまり、所定の角度をもって)配置されていれば、小型インレット14の両端は第1のアンテナ11の同じラインに乗ることがないので、小型インレット14内の第2のアンテナは第1のアンテナ11に対して相互干渉を受けることがない。
【0048】
《第5実施形態》
第5実施形態では、第2のアンテナを構成する小型インレットとして、L字型に形成されたL字型インレットを用いた場合について説明する。図8は、第5実施形態のICカードにおいて、L字型インレットを用いた場合のアンテナ配置の幾つかのバリエーションを示す図である。
【0049】
図8(a)に示すように、L字型インレット24は、L字型の第2のアンテナ22と第2のICチップ22aと整合回路を実現するスリット22bとによって構成されている。
【0050】
図8(b)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の長辺である上辺側の複数のラインに対して、L字型インレット24の片方の辺(以下、単に「L字型インレット24」という。)を直交させて配置する。この場合、L字型インレット24の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、L字型インレット24の半分を第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の下辺側の複数のラインに対してL字型インレット24の半分を直交させて配置してもよい。図8(b)のような配置の場合、L字型インレット24の配置位置がループの角に近いと、L字型インレット24と第1のアンテナ11の左辺の内側ラインとの平行間隔が狭くなるので、相互干渉によってL字型インレット24内の第2のアンテナの電波が弱くなる。したがって、L字型インレット24の配置位置をループの角からできるだけ離した方がよい。
【0051】
図8(c)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の短辺である左辺側の複数のラインに対して、L字型インレット24を直交させて配置する。この場合、L字型インレット24の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、L字型インレット24の半分を第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の右辺側の複数のラインに対してL字型インレット24の半分を直交させて配置してもよい。図8(c)のような配置の場合、L字型インレット24の配置位置がループの角に近いと、L字型インレット24と第1のアンテナ11の上辺の内側ラインとの平行間隔が狭くなるので、相互干渉によってL字型インレット24内の第2のアンテナの電波が弱くなる。したがって、L字型インレット24の配置位置をループの角からできるだけ離した方がよい。
【0052】
図8(d)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の上辺(長辺)の中央部付近の複数のラインに対して、L字型インレット24を直交させて配置する。この場合、L字型インレット24の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、L字型インレット24の半分を第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の下辺の中央部付近の複数のラインに対してL字型インレット24を直交させて配置してもよい。このようにして、第1のアンテナ11の上辺または下辺の中央部付近でL字型インレット24を直交に配置すれば、L字型インレット24内の第2のアンテナは第1のアンテナ11のいずれのラインとも平行間隔が広くなるので、相互干渉によってL字型インレット24内の第2のアンテナの電波が弱くなるおそれはない。
【0053】
図8(e)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11aのコーナが直角でない場合においても、第1のアンテナ11aの複数のラインに対してL字型インレット24を直交させて配置する。この場合もL字型インレット24の両端が第1のアンテナ11aのラインに乗らないように、L字型インレット24の半分を第1のアンテナ11aの複数のラインに乗せるようにする。
【0054】
すなわち、小型インレットをL字型インレット24にすることにより、第2のアンテナをよりコンパクトに配置することができる。そのため、第1のアンテナ11aに対するL字型インレット24の配置の自由度が大きくなるので、結果的に、ICカードをさらに小型化することが可能となる。
【0055】
《第6実施形態》
第6実施形態では、1枚のICカードに同一周波数で動作するICチップを複数個配置する場合のアンテナの配置方法について説明する。図9は、第6実施形態のICカードにおいて、同一周波数で動作するICチップを2個配置する場合のアンテナの配置を示す図である。なお、この図では、2個のアンテナの配置関係のみが描かれていてICカードは省略されている。
【0056】
図9(a)は第1のアンテナに対して直線型の小型インレットを配置した例を示している。すなわち、図9(a)に示すように、2.45MHzの周波数帯で動作する第1のアンテナ31が長さ52mmのダイポールアンテナとして配置されている。なお、第1のアンテナ31には第1のICチップ31aが搭載されている。また、第1のアンテナ31に対して、第2のICチップ32aを搭載した第2のアンテナ32の一部が直交するように配置されている。第2のアンテナ32は第1のアンテナ31を補助アンテナとしているので、第2のアンテナ32は20mm以下の直線型の微小アンテナである。2つのアンテナをこのように配置することにより、第1のアンテナ31に搭載された第1のICチップ31aと第2のアンテナ32に搭載された第2のICチップ32aは同じ周波数で動作することができる。
【0057】
図9(b)は第1のアンテナに対してL字型インレットを配置した例を示している。すなわち、図9(b)に示すように、2.45MHzの周波数帯で動作する第1のアンテナ31が、長さ52mmのダイポールアンテナとして配置されている。なお、第1のアンテナ31には第1のICチップ31aが搭載されている。また、第1のアンテナ31に対して、第2のICチップ33aを搭載したL字型の第2のアンテナ33の一部が直交するように配置されている。L字型第2のアンテナ33は第1のアンテナ31を補助アンテナとしているので、L字型の第2のアンテナ32は全体の長さが20mm以下の微小アンテナである。2つのアンテナをこのように配置することにより、第1のアンテナ31に搭載された第1のICチップ31aとL字型の第2のアンテナ33に搭載された第2のICチップ33aは同じ周波数で動作することができる。
【0058】
《第7実施形態》
第7実施形態では、900MHzと2.45GHzの2つの周波数帯で動作するICカードのアンテナ配置について説明する。図10は、900MHzと2.45GHzの2つの周波数帯で動作するRFIDタグのアンテナ配置を示す図であり、(a)は900MHzのアンテナ長を蛇行配置して短縮した場合、(b)は900MHzのアンテナをダイポールにした場合のアンテナ配置を示している。なお、900MHzのRFIDタグは工場における資材の物流管理などにおいて使用され、2.45GHzのRFIDタグは入場券などに使用される。
【0059】
図10(a)に示すように、900MHzの第1のアンテナ41は、インレットの長さを短くするためにアンテナラインが蛇行した配置となっている。そして、第1のアンテナ41に対して直交するように第2のアンテナ42が配置されている。なお、第2のアンテナ42の長さは20mm以下である。
【0060】
図10(b)に示すように、900MHzの第1のアンテナ51は、ダイポールアンテナによって構成されているためにλ/2が15cmであり、やや長いインレットになっている。そして、第1のアンテナ51に対して直交するように第2のアンテナ52が配置されている。なお、第2のアンテナ52の長さは20mm以下である。
【0061】
《第8実施形態》
第8実施形態では、第1のアンテナが設けられた携帯電話に小型インレットを搭載する場合について説明する。図11は、第1のアンテナと小型インレットを搭載した携帯電話の概略を示した斜視図である。
【0062】
図11に示すように、携帯電話Pの一面に第1のアンテナ11が設けられており、その第1のアンテナ11のラインに対して自己の両端が乗らないように小型インレット14が配置されている。なお、この第1のアンテナ11と小型インレット14が搭載された面を覆うカバーなどは、図示を省略している。
このようにすれば、周波数帯域の異なる2つのアンテナと2つのICチップを配置しても相互に周波数干渉を起こしにくい携帯電話を実現することができる。
【0063】
《まとめ》
以上説明したように、通常は、1枚のICカードに異なる周波数帯域のアンテナを有するインレット(詳しくはRFIDインレット)を実装すると電波が相互に干渉していずれかあるいは両方のインレットの通信特性が劣化するが、第1実施形態のように、2つの周波数帯域のインレットを直交させるようにして配置すれば、いずれのインレットも通信特性があまり劣化しない。これによって、例えば、13.56MHzで使用するICカードに対して2.45GHzで動作するインレットを貼付すれば、容易に、2つの周波数帯域で動作するICカードに変更して使用することができる。したがって、2枚のICカードを用いることなく、1枚のICカードによって2周波数帯域化を実現することができるため、ICカードの付加価値を高めることができると共に、ICカードの更なる低価格化を実現することが可能となる。
【0064】
また、本発明を応用すれば、携帯電話などの小型モバイル機器に対して複数の周波数帯域のRFIDタグを容易に実装することができるので、複数の周波数帯域で動作する小型モバイル機器を容易に実現することができる。さらには、国内と外国で使用される周波数帯域が異なっていても、国内で使用しているICカードに対して外国の周波数帯域で動作するインレットを貼付すれば、そのICカードを国内でも外国でも使用することができる。つまり、プロトコル等の詳細が不明なRFICタグであっても、適用できる周波数帯域のアンテナを備えたインレットを付加すれば容易に再利用することができる。
【0065】
さらに、既存のICカードに対して新たに他の周波数帯域のインレットを装着することにより、既存のデータシステムを変更することなく新規のデータシステムを構築することができる。例えば、A鉄道会社の13.56MHzで動作するSuica(登録商標)を使用しているとき、そのカードに対して2.45GHzで動作する小型インレット(RFIDタグ)を貼付することにより、1枚のカードでSuica(登録商標)と小型インレットに対応した社員証の2通りの利用を行うことが容易に可能となる。
【0066】
つまり、本実施形態のICカードでは、1枚のICカードに複数のICチップと複数のアンテナを実装している。このとき、RF(Radio Frequency:無線周波数)で動作するICカードとして比較的普及している13.56MHzのアンテナで1つのICチップを動作させると共に、13.56MHzのアンテナを補助アンテナとして2.45GHzのアンテナでもう一つのICチップを動作させている。このようにして1枚のICカードで2つの周波数帯域のアンテナを配置することができるので、2枚のカードを所有することなく2種類のICチップを使用すること可能となる。つまり、波長の長い第1のアンテナ上に波長の短い第2のアンテナを交差して配置することにより、相互のアンテナの干渉を低減させることができるので、1枚のICカードに周波数帯域の異なる2つのアンテナと2つのICチップを配置しても、周波数干渉を起こしにくいICカードを実現することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態では、第1のアンテナが四角形の形状を構成するものとしたが、四角形以外に、三角形、五角形以上の多角形、円形など、別の形状を構成するものとしてもよい。
また、ICタグは、ICカードや携帯電話などに限定されず、荷札、商品の包装フィルムなど、無線作動のICを搭載するものであって、第1のアンテナを補助アンテナとして利用できるものであれば、他のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1実施形態に係るICカードの平面構成図である。
【図2】ICカードにおける第1のアンテナに対する第2のアンテナの配置位置を示す概略図である。
【図3】図2に示すICカードにおける第2のアンテナの配置位置と第1のアンテナの通信距離の関係を示す特性図である。
【図4】図2に示すICカードにおける第2のアンテナの配置位置と第2のアンテナの通信距離の関係を示す特性図である。
【図5】第2実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナと小型インレットが直交するように配置された幾つかのバリエーションを示す図である。
【図6】第3実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナに対して小型インレットが半分平行して配置された幾つかのバリエーションを示す図である。
【図7】第4実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナに対して小型インレットが所定の傾斜角度で配置された状態を示す図である。
【図8】第5実施形態のICカードにおいて、L字型インレットを用いた場合のアンテナ配置の幾つかのバリエーションを示す図である。
【図9】第6実施形態のICカードにおいて、同一周波数で動作するICチップを2個配置する場合のアンテナの配置を示す図である。
【図10】900MHzと2.45GHzの2つの周波数帯で動作するRFIDタグのアンテナ配置を示す図であり、(a)は900MHzのアンテナ長を短縮した場合、(b)は900MHzのアンテナをダイポールにした場合のアンテナ配置を示す。
【図11】第1のアンテナと小型インレットを搭載した携帯電話の概略を示した斜視図である。
【図12】(a)は、第2のアンテナと第2のICチップの分解図、(b)は、第2のアンテナに第2のICチップを搭載した図、(c)は、第2のアンテナと第2のICチップの接合部分の断面図、(d)は、給電部分付近をT字型のスリットで形成した第2のアンテナの変形例を示す図である。
【図13】動作周波数の異なる2枚のICカードを重ね合わせたときの概略図である。
【符号の説明】
【0069】
11、31、41、51 第1のアンテナ
11a、31a 第1のICチップ
12、32、42、52、61 第2のアンテナ
12a、22a、32a、33a、62 第2のICチップ
12b 整合回路
13 ICカード
14 小型インレット
22、33 L字型の第2のアンテナ
22b スリット
24 L字型インレット
61a、61c スリット
61b、61d、61e スタブ
62a、62b 信号入出力電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が記録されたIC(Integrated Circuit)チップと小型アンテナとを搭載したICタグ(以下、代表して「ICカード」ともいう。)に関し、特に、異なる周波数帯域で動作する2つのICチップとデュアルバンドで動作する2つのアンテナとを搭載したICタグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップと小型アンテナとを搭載したカードサイズのICタグ、すなわちICカードが、例えば、Suica(登録商標)やEdy(登録商標)などという商品名で普及し始めている。このようなICカードでは、例えば、使用周波数が2.45GHzの場合、長さが52mm程度の細長い送信アンテナの中央部付近に幅0.4mm×奥行き0.4mm×高さ0.1mm程度の小さなICチップが搭載されている。したがって、このICカードをリーダライタ(読取端末)にかざせば、ICチップに記録されている情報を非接触で読み取ることができる。このとき、ICカードの通信距離はできるだけ長いことが望ましいので、ICカードに搭載されるアンテナは、電波強度と指向性が良好となるように、様々な形状のループアンテナやダイポールアンテナにするなどの工夫がなされている。
【0003】
ところで、ICカードの流通事情により、ユーザは、例えば、Suica(登録商標)とEdy(登録商標)を使い分けるというように、2枚またはそれ以上の枚数のICカードを所持しなければならないことがある。そこで、このような不便さを解消するために、2枚のICカードの機能を1枚のICカードにまとめたハイブリッド型非接触ICカードに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、異なる周波数帯域で動作する2つのアンテナと2つのICチップを1枚のICカードに搭載することにより、2枚のICカードの機能を1枚のICカードで実現させることができる。
【特許文献1】特開2004−240899号公報(段落番号0012〜0021および図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1枚のICカードの同一平面上に2つのアンテナを配置する場合、異なる周波数帯域のアンテナを任意に配置すると相互に周波数干渉を起こしてアンテナ性能が低下してしまい、ICカードの情報を読み取ることができなくなってしまう場合がある。このことは、実際に異なる周波数帯域で動作する2枚のICカードを重ねてリーダライタにかざした場合、相互に干渉を起こして、少なくともいずれかのICカードも通信特性が低下して読み取り不良が発生することからも容易に理解できる。
【0005】
つまり、1枚のICカードに搭載された2つのICチップを異なる周波数帯域で動作させる場合、各々の周波数帯域で動作する2つのアンテナを装着する必要があるが、異なる周波数帯域で動作する2つのアンテナ相互の配置パターンは限定される。しかし、どのような配置パターンにすれば2つのアンテナは相互干渉を起こさないかについては、これまで解明されていなかった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、1枚のカードに周波数帯域の異なる2つのアンテナと2つのICチップを配置しても相互に周波数干渉を起こしにくいICタグを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の目的を達成するために創案されたものであり、異なる周波数帯域で動作する少なくとも2個のICチップを搭載したICタグであって、相対的に動作波長が長い第1のアンテナ、および該第1のアンテナに搭載された第1のICチップからなる第1のインレットと、第1のアンテナより動作波長が短く、該第1のアンテナのラインに対して自己の両端が乗らないように所定の角度をもって交差して配置された第2のアンテナ、および、該第2のアンテナに搭載された第2のICチップからなる第2のインレットとを備えている。その他の手段については後記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1枚のカードに周波数帯域の異なる2つのアンテナと2つのICチップを配置しても相互に周波数干渉を起こしにくいICタグを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
《発明の概要》
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という。)に係るICカード(ICタグの代表例)について好適な例をあげて説明する。本実施形態に係るICカードは、相対的に動作波長の長いループ状の第1のアンテナ上に、相対的に動作波長の短い第2のアンテナを短縮して交差させるように配置したアンテナ構成となっている。
【0010】
例えば、第1のアンテナである13.56MHzのループアンテナ上に、第2のアンテナである2.45GHzのアンテナを交差させて配置する。すなわち、第1のアンテナのラインに対して第2のアンテナの両端が乗らないように交差させて配置する。なお、最適な配置方法は、第1のアンテナに対して第2のアンテナを直角に交差(以下、直交という。)して配置することである。
【0011】
また、第2のアンテナがダイポールアンテナである場合、その動作波長をλとしたときは通常では第2のアンテナはλ/2の長さが必要であるが、本実施形態では第2のアンテナの長さは0.2λ以下とする。つまり、第1のアンテナが第2のアンテナに対して補助アンテナの役目を果たすので、第2のアンテナを0.2λ以下にまで短縮化することができる。さらに、第2のアンテナ上には、自己に搭載されたICチップとの間でインピーダンスマッチングを行うためにスリットを形成する。そして、第1のアンテナおよび第2のアンテナの各々に個別のlCチップを搭載して、各アンテナと各ICチップとを接続している。
【0012】
ここで、図12を参照しながら、前記した第2のアンテナについて説明する。図12(a)は、第2のアンテナと第2のICチップの分解図である。
図12(a)に示すように、第2のアンテナ61の中央部における給電部分には、第2のICチップ62と第2のアンテナ61との間でインピーダンス整合を行うためのかぎ状のスリット61a、スタブ61bが形成されている。
【0013】
また、図12(b)に示すように、第2のICチップ62の信号入出力電極62aおよび62bが、スリット61aをまたいで第2のアンテナ61に接続されるので、スリット2aの幅はICチップ3の端子(電極)間隔よりも狭くなっている。第2のアンテナ61と第2のICチップ62は、スリット61aの形成によりできるスタブ部分61bをアンテナ61とICチップ62の間に直列に接続することで、スタブ部分61bが、直列に接続したインダクタ成分として働く。このインダクタ成分により、第2のICチップ62内のキャパシティブ成分を相殺し、第2のアンテナ61と第2のICチップ62のインピーダンス整合をとることができる。
【0014】
図12(c)は、図12(b)において、第2のアンテナと第2のICチップを矢印Aの方向から見た場合の断面図である。第2のICチップ62の信号入出力電極62a,62bは金バンプで、第2のICチップ62は、第2のアンテナ61と超音波接合、または、金属共晶結合などにより結合する。
また、図12(d)に示すように、アンテナを形成するスリットをT字型に形成し、スタブ部分61d,61eを第2のICチップ62に直列に接続することにより、同様の効果を得るようにしてもよい。
【0015】
つまり、本実施形態で用いる第2のICチップ62は、パッシブ型の無線ICチップである。第2のアンテナ61は、図示しない無線ICチップ読取装置から電波を受け、その長手方向に生じる電位差を給電部分経由で第2のICチップ62に供給し、この電位差により第2のICチップ62が動作する。
【0016】
なお、波長の長い13.56MH帯域の第1のアンテナと、波長の短い2.45GHzの第2のアンテナは絶縁体を介して交差させる。このときの絶縁体の材料は樹脂、樹脂の発泡体、紙などとする。あるいは、絶縁体は、第1のアンテナおよび第1のICチップを構成する第1のインレットと、第2のアンテナおよび第2のICチップを構成する第2のインレットとを接着する粘着材又は接着剤であってもよいし、上記絶縁体の各材料と粘着材または接着剤との積層構造であってもよい。
【0017】
または、カードを形成する外装材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性共重合PET樹脂(PET−G)、塩化ビニル(PVC)などによって第1のインレットをラミネートして収納し、その外装材料の表面または裏面に第2のインレットを貼付してもよい。つまり、絶縁体にはカードを形成する外装材料を利用してもよい。なお、いずれの場合においても絶縁体の厚さは0.01mm以上とする。
【0018】
《第1実施形態》
以下、図面を参照しながら、第1実施形態におけるICカードについて詳細に説明するが、まず、理解を容易にするために動作周波数の異なる2枚のICカードを重ね合わせたときの通信特性について説明する。
【0019】
図13は、動作周波数の異なる2枚のICカード(RF(Radio Frequency)ICカード)を重ね合わせたときの概略図である。図13(a)に示すように、動作周波数が13.56MHzの第1のICカード1の内部には、動作波長の長いループアンテナ1aとこのループアンテナ1aに接続された第1のICチップ1bが実装されている。このループアンテナ1aは第1のICカード1の外周付近にループ状に配置されている。
【0020】
なお、第1のICカードの大きさは、幅が54mmで、長さが84mm程度である。また、動作周波数が2.45GHzの第2のICカード2の内部には、動作波長の短いダイポールアンテナ2aとこのダイポールアンテナ2aの中央部分に搭載された第2のICチップ2bが実装されている。ダイポールアンテナ2aは、その動作波長をλとしたとき、λ/2の長さである。例えば、動作周波数が2.45GHzのときのダイポールアンテナ2aの長さは約52mmである。なお、第2のICカードの大きさも、幅が54mmで、長さが84mm程度である。
【0021】
次に、図13(b)に示すように、動作周波数の異なる2枚のICカード、つまり、動作周波数が13.56MHzの第1のICカード1と、動作周波数が2.45GHzの第2のICカード2を重ねると、第1のICカード1のループアンテナ1aと第2のICカード2のダイポールアンテナ2aが平行するラインにおいて電波が相互に干渉し、いずれのICカードも通信性能が低下してしまう。
【0022】
このことから、図13(c)に示すように、1枚のICカード3に動作周波数の異なる2つのRFICタグのインレット(つまり、ループアンテナ1aと第1のICチップ1bからなる第1のインレットと、ダイポールアンテナ2aと第2のICチップ2bからなる第2のインレット)を実装すると、通信性能が低下して通信できない場合が生じる。このように通信性能が劣化する原因は、ループアンテナ1aの長手方向のラインに発生する電波の波長とダイポールアンテナ2aの長手方向のラインに発生する電波の波長とが相互干渉を起こして電波を弱めるためである。
なお、本明細書中で「平行」という場合は、「角度が数度ずれた略平行」も含むものとする。
【0023】
そこで、第1実施形態では、本発明に適用される最良のICカードの形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るICカードの平面構成図である。
図1に示すように、PET、PET−G、またはPVCを外装材料としたICカード13は、13.56MHzの周波数帯域のループアンテナを第1のアンテナ11として、この第1のアンテナ11の一部(以下、単に「第1のアンテナ11」という。)に直角に交差(直交)するように2.45GHzの周波数帯域の第2のアンテナ12(図12の第2のアンテナ61に対応)を配置した構成となっている。つまり、波長の長い第1のアンテナ11に対して波長の短い第2のアンテナ12が直交するように配置されている。
【0024】
さらに詳しくは、前記したように、第1のアンテナ11のラインに対して、第2のアンテナ12の両端が乗らないように交差させて配置すればよいが、最適な配置方法は、図1に示すように、ループ状の第1のアンテナ11に対して第2のアンテナ12を直交させて配置することである。
【0025】
また、第1のアンテナ11には第1のICチップ11aが搭載され、第2のアンテナ12には第2のICチップ12a(図12の第2のICチップ62に対応)が搭載されている。なお、動作周波数が2.45GHzの第2のアンテナ12は、一般的にはλ/2の長さが必要であるので52mm程度の長さとなるが、本実施形態のような配置の場合は、第1のアンテナ11が補助アンテナとなって第2のアンテナ12の実効アンテナ長が延びるので、第2のアンテナ12は0.2λ、つまり20mm程度の長さの微小アンテナでよい。なお、第2のアンテナ長は、インピーダンスマッチング回路であるスリット形成部とICチップを実装できる最小限の大きさまで小型化が可能である。具体的には、第2のアンテナ長は4mm、つまり、約0.03λが可能である。
【0026】
また、第2のアンテナ12における第2のICチップ12aが搭載された部分には、第2のアンテナ12と第2のICチップ12aとのインピーダンスマッチングを行うためのスリットが、整合回路12bとして形成されている。以下、第1のアンテナ11と第1のICチップ11aとの構成を第1のインレットといい、第2のアンテナ12と第2のICチップ12aと整合回路12bと含めた構成を小型インレット(第2のインレット)14という。
【0027】
図1に示す第1実施形態のICカード13を製造工程の面から説明すると、第1のICチップ11aを搭載した第1のアンテナ11がICカード13の外周付近にループ状にパターニングされて第1のインレットが形成され、その第1のインレットの両面がPET、PET−G、PVCなどの外装材料によってラミネートされてカードが構成されている。そして、ループ状の第1のアンテナ11に対して直交するように、第2のアンテナ12と第2のICチップ12aと整合回路12bからなる小型インレット(第2のインレット)14がカードの表面または裏面に貼付された構成となっている。
【0028】
つまり、動作周波数が2.45GHzであって本来はλ/2の長さが必要なダイポールアンテナを0.2λ以下に短縮した第2のアンテナ12と、この第2のアンテナ12に形成された整合回路12bにまたぐように搭載された第2のICチップ12aとからなる小型インレット(第2のインレット)14が、ICカード13にあらかじめループ状にパターニングされた動作周波数が13・56MHzの第1のアンテナ11に対して直交するように配置されている。また、第2のアンテナ12には、自己と第2のICチップ12aとのインピーダンスマッチングを行うための整合回路12bが形成されている。この整合回路12bは、第2のアンテナ12のアンテナエレメントの中央部付近にL字型またはT字型のスリットを形成し、このスリットをまたいで第2のICチップを実装することによって実現することができる。
【0029】
また、小型インレット14とループ状の第1のアンテナ11は絶縁体を介して直交するように固定されている。このときの絶縁体は、小型インレット14と第1のアンテナ11を構成する第1のインレット(つまり、ICカード13の外装)とを接着するためのアクリル系の粘着材または接着剤や、樹脂製の基材に粘着材を貼付したり接着剤を塗布したりしたものなどを使用して実現することができる。
【0030】
なお、樹脂製の基材としては、カードの外装材料となるPET、ポリプロピレン(PP)、PVC、紙などを用いることができる。あるいは、ICカード13を構成するプラスチックカードを絶縁体として用いることもできる。この場合は、ICカード13を構成するプラスチックカードの表面または裏面において、ループ状の第1のアンテナ11に直交するように小型インレット14を配置し、粘着材、接着材、またはシールなどによって小型インレット14を接着して固定する。
【0031】
このようにして第1のアンテナ11と第2のアンテナ12を直交させることにより、第1のアンテナ11の電波と第2のアンテナ12の電波は相互干渉を起こすことがなくなるので、第1のアンテナ11および第2のアンテナ12はそれぞれの動作周波数において、効率よく電波を放射することができる。さらに、第1のアンテナ11と第2のアンテナ12は静電結合により接続されるため、短縮された第2のアンテナ12の実効アンテナ長が長くなるため、より効率的に動作することができる。
【0032】
次に、動作波長の長いループ状の第1のアンテナ11に対して動作波長の短い第2のアンテナ12(つまり、小型インレット14)を直交して配置する場合、第2のアンテナ12(小型インレット14)をいずれの位置に配置するのが最適であるかについて説明する。図2は、ICカードにおける第1のアンテナ11に対する第2のアンテナの配置位置を示す概略図である。また、図3は、図2に示すICカードにおける第2のアンテナの配置位置と第1のアンテナの通信距離の関係を示す特性図であり、横軸は第2のアンテナの配置位置(No.)を示し、縦軸は第1のアンテナの通信距離を示している。さらに、図4は、図2に示すICカードにおける第2のアンテナの配置位置と第2のアンテナの通信距離の関係を示す特性図であり、横軸は第2のアンテナの配置位置(No.)を示し、縦軸は第2のアンテナの通信距離を示している。
【0033】
すなわち、第2のアンテナ12の配置位置と通信距離の関係を調べるために、図2に示すように、ループ状の第1のアンテナ11に対して、第2のアンテナ12を図の数字で示すそれぞれの位置に直交して配置する。言い換えれば、図2は、13.56MHzの動作波長のループ状の第1のアンテナ11上において、図の左下の隅の位置から反時計回りに順に2.45MHzの第2のアンテナ12を直交して配置させる位置を示している。したがって、図中の数字1〜16は第2のアンテナ12を第1のアンテナ11上に順に配置したときの位置を示している。
【0034】
図3に示す第2のアンテナ12の配置位置と第1のアンテナ11の通信距離との特性から分かるように、第1のアンテナ11における数字1〜16のいずれの位置に第2のアンテナ12を配置しても、第1のアンテナ11に実装されたICチップの通信距離は約180mmと安定している。したがって、波長の短い第2のアンテナ12を任意の位置に配置しても、波長の長い第1のアンテナ11に実装されたICチップは安定的に通信距離を維持できることが分かる。つまり、動作周波数が13.56MHzである波長の長い第1のアンテナ11の通信距離は、動作周波数が2.45MHzである波長の短い第2のアンテナ12の配置位置に依存されることなく安定した通信距離を維持している。言い換えれば、第2のアンテナ12を如何なる位置に配置しても、第1のアンテナ11の通信特性に影響を与えることはない。
【0035】
しかし、図4に示す第2のアンテナ12の配置位置と第2のアンテナ12の通信距離との特性から分かるように、第2のアンテナ12を配置した各測定点における第2のアンテナ12に実装されたICチップの通信距離は5〜65mmの範囲で大きくばらついている。すなわち、第2のアンテナ12の配置位置がNo.2,No.3およびNo.10,No.11における第2のアンテナ12の通信距離は55〜65mmと良好であるが、第2のアンテナ12がそれ以外の位置に配置されているときは第2のアンテナ12の通信距離は短い。すなわち、動作周波数が2.45MHzである波長の短い第2のアンテナ12の通信距離は、動作周波数が13.56MHzである波長の長い第1のアンテナ11への配置位置によって大きく変化する。
【0036】
これらのことから、第2のアンテナ12は、ループ状の第1のアンテナ11の長辺(つまり、図の上下の横方向の辺)の中央部付近において良好な通信特性を示している。言い換えると、第2のアンテナ12は、第1のアンテナ11のラインと平行になる位置から遠いところにおいて第1のアンテナ11と直交させれば良好な通信特性が得られることが分かる。その理由は、第1のアンテナ11のラインと第2のアンテナ12の長手方向のラインとが平行する間隔を離すことにより、第1のアンテナ11のラインに発生する電波の波長と第2のアンテナ12の長手方向のラインに発生する電波の波長との相互干渉が弱まることにより容易に理解できる。
【0037】
このようなアンテナの配置関係について図1を用いて説明すると、小型インレット14は、図1に示すように第1のアンテナ11の上辺の中央部付近に配置するか、特に図示しないが、第1のアンテナ11の下辺の中央部付近に配置することが望ましい。なお、電波特性は若干低下するが、小型インレット14を第1のアンテナ11の左辺または右辺の中央部付近に配置することもできる。
【0038】
《第2実施形態》
第2実施形態では、波長の長い第1のアンテナ11に対して波長の短い第2のアンテナ12(つまり、小型インレット14)を直交させて配置する幾つかのバリエーションについて説明する。図5は、第2実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナと小型インレットが直交するように配置された幾つかのバリエーションを示す図である。つまり、図5は、図1に示すようなICカード13において第1のアンテナ11と小型インレット14の配置部分を拡大して示した部分拡大図である。
【0039】
図5(a)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の短辺である左辺側の複数のラインに対して、小型インレット14を直交させて配置する。この場合、小型インレット14の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、小型インレット14の半分程度の長さを第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の右辺側の複数のラインに対して小型インレット14を直交させて配置してもよい。図5(a)のような配置の場合、小型インレット14の配置位置がループの角に近いと、小型インレット14と第1のアンテナ11の上辺の内側ラインとの平行間隔が狭くなるので、相互干渉によって小型インレット14内の第2のアンテナの電波が弱くなる。したがって、小型インレット14の配置位置をループの角からできるだけ離した方がよい。
【0040】
また、図5(b)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の長辺である上辺側の複数のラインに対して、小型インレット14を直交させて配置する。この場合、小型インレット14の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、小型インレット14の半分程度の長さを第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の下辺側の複数のラインに対して小型インレット14を直交させて配置してもよい。図5(b)のような配置の場合、小型インレット14の配置位置がループの角に近いと、小型インレット14と第1のアンテナ11の左辺の内側ラインとの平行間隔が狭くなるので、相互干渉によって小型インレット14内の第2のアンテナの電波が弱くなる。したがって、小型インレット14の配置位置をループの角からできるだけ離した方がよい。
【0041】
さらに、図5(c)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の上辺(長辺)の中央部付近の複数のラインに対して、小型インレット14を直交させて配置する。この場合、小型インレット14の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、小型インレット14の半分程度の長さを第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の下辺の中央部付近の複数のラインに対して小型インレット14を直交させて配置してもよい。このようにして、第1のアンテナ11の上辺または下辺の中央部付近で小型インレット14を直交して配置すれば、小型インレット14内の第2のアンテナは第1のアンテナ11のいずれのラインとも平行する間隔が広くなるので、相互干渉によって小型インレット14内の第2のアンテナの電波が弱くなるおそれはない。
【0042】
また、図5(d)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11aのコーナが直角でない場合においても、第1のアンテナ11aの複数のラインに対して小型インレット14を直交させて配置する。この場合も小型インレット14の両端が第1のアンテナ11aのラインに乗らないように、小型インレット14の半分程度の長さを第1のアンテナ11aの複数のラインに乗せるようにする。
【0043】
《第3実施形態》
第3実施形態では、波長の長い第1のアンテナ11に対して波長の短い第2のアンテナ12を半分だけ平行させて配置する幾つかのバリエーションについて説明する。図6は、第3実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナに対して小型インレットが半分平行して配置された幾つかのバリエーションを示す図である。つまり、図6は、図1に示すようなICカードにおいて第1のアンテナと小型インレット14の配置部分を拡大して示した部分拡大図である。
【0044】
図6(a)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の短辺である左辺側の複数のラインのうちの1本のラインに対して小型インレット14を半分だけ平行させ、小型インレット14のあとの半分は、第1のアンテナ11の長辺である上辺側の複数のラインのうちの少なくとも1本のラインに対して直交するように配置する。このようなアンテナ配置によっても、小型インレット14内の第2のアンテナは相互干渉を起こすことなく有効に電波を放射させることができる。
【0045】
また、図6(b)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11aのコーナが直角でない場合においても、第1のアンテナ11aの複数のラインのうちの1本のラインに対して小型インレット14を半分だけ平行させ、小型インレット14のあとの半分は、第1のアンテナ11aの複数のラインのうちの少なくとも1本のラインに対して所定の角度を設けて配置する。このようなアンテナ配置によっても、小型インレット14内の第2のアンテナは相互干渉を起こすことなく有効に電波を放射させることができる。図6(a)、(b)のように配置することにより小型インレット14の取り付けの自由度を広げることができる。
【0046】
《第4実施形態》
第4実施形態では、波長の長い第1のアンテナ11に対して波長の短い第2のアンテナ12を所定の傾斜角度で配置する形態について説明する。図7は、第4実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナに対して小型インレットが所定の傾斜角度で配置された状態を示す図である。つまり、図7は、図1に示すようなICカードにおいて第1のアンテナと小型インレットの配置部分を拡大して示した部分拡大図である。
【0047】
図7に示すように、第4実施形態の場合は、小型インレット14の両端がループ状に形成されたアンテナ11の同じラインに乗らなければ、小型インレット14内の第2のアンテナは、第1のアンテナ11に対して相互干渉を受けることなく有効に電波を放射することができることを示している。つまり、ループ状に形成された第1のアンテナ11に対して、小型インレット14が非平行に(つまり、所定の角度をもって)配置されていれば、小型インレット14の両端は第1のアンテナ11の同じラインに乗ることがないので、小型インレット14内の第2のアンテナは第1のアンテナ11に対して相互干渉を受けることがない。
【0048】
《第5実施形態》
第5実施形態では、第2のアンテナを構成する小型インレットとして、L字型に形成されたL字型インレットを用いた場合について説明する。図8は、第5実施形態のICカードにおいて、L字型インレットを用いた場合のアンテナ配置の幾つかのバリエーションを示す図である。
【0049】
図8(a)に示すように、L字型インレット24は、L字型の第2のアンテナ22と第2のICチップ22aと整合回路を実現するスリット22bとによって構成されている。
【0050】
図8(b)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の長辺である上辺側の複数のラインに対して、L字型インレット24の片方の辺(以下、単に「L字型インレット24」という。)を直交させて配置する。この場合、L字型インレット24の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、L字型インレット24の半分を第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の下辺側の複数のラインに対してL字型インレット24の半分を直交させて配置してもよい。図8(b)のような配置の場合、L字型インレット24の配置位置がループの角に近いと、L字型インレット24と第1のアンテナ11の左辺の内側ラインとの平行間隔が狭くなるので、相互干渉によってL字型インレット24内の第2のアンテナの電波が弱くなる。したがって、L字型インレット24の配置位置をループの角からできるだけ離した方がよい。
【0051】
図8(c)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の短辺である左辺側の複数のラインに対して、L字型インレット24を直交させて配置する。この場合、L字型インレット24の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、L字型インレット24の半分を第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の右辺側の複数のラインに対してL字型インレット24の半分を直交させて配置してもよい。図8(c)のような配置の場合、L字型インレット24の配置位置がループの角に近いと、L字型インレット24と第1のアンテナ11の上辺の内側ラインとの平行間隔が狭くなるので、相互干渉によってL字型インレット24内の第2のアンテナの電波が弱くなる。したがって、L字型インレット24の配置位置をループの角からできるだけ離した方がよい。
【0052】
図8(d)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11の上辺(長辺)の中央部付近の複数のラインに対して、L字型インレット24を直交させて配置する。この場合、L字型インレット24の両端が第1のアンテナ11のラインに乗らないように、L字型インレット24の半分を第1のアンテナ11の複数のラインに乗せるようにする。もちろん、ループ状の第1のアンテナ11の下辺の中央部付近の複数のラインに対してL字型インレット24を直交させて配置してもよい。このようにして、第1のアンテナ11の上辺または下辺の中央部付近でL字型インレット24を直交に配置すれば、L字型インレット24内の第2のアンテナは第1のアンテナ11のいずれのラインとも平行間隔が広くなるので、相互干渉によってL字型インレット24内の第2のアンテナの電波が弱くなるおそれはない。
【0053】
図8(e)に示すように、ループ状に形成された第1のアンテナ11aのコーナが直角でない場合においても、第1のアンテナ11aの複数のラインに対してL字型インレット24を直交させて配置する。この場合もL字型インレット24の両端が第1のアンテナ11aのラインに乗らないように、L字型インレット24の半分を第1のアンテナ11aの複数のラインに乗せるようにする。
【0054】
すなわち、小型インレットをL字型インレット24にすることにより、第2のアンテナをよりコンパクトに配置することができる。そのため、第1のアンテナ11aに対するL字型インレット24の配置の自由度が大きくなるので、結果的に、ICカードをさらに小型化することが可能となる。
【0055】
《第6実施形態》
第6実施形態では、1枚のICカードに同一周波数で動作するICチップを複数個配置する場合のアンテナの配置方法について説明する。図9は、第6実施形態のICカードにおいて、同一周波数で動作するICチップを2個配置する場合のアンテナの配置を示す図である。なお、この図では、2個のアンテナの配置関係のみが描かれていてICカードは省略されている。
【0056】
図9(a)は第1のアンテナに対して直線型の小型インレットを配置した例を示している。すなわち、図9(a)に示すように、2.45MHzの周波数帯で動作する第1のアンテナ31が長さ52mmのダイポールアンテナとして配置されている。なお、第1のアンテナ31には第1のICチップ31aが搭載されている。また、第1のアンテナ31に対して、第2のICチップ32aを搭載した第2のアンテナ32の一部が直交するように配置されている。第2のアンテナ32は第1のアンテナ31を補助アンテナとしているので、第2のアンテナ32は20mm以下の直線型の微小アンテナである。2つのアンテナをこのように配置することにより、第1のアンテナ31に搭載された第1のICチップ31aと第2のアンテナ32に搭載された第2のICチップ32aは同じ周波数で動作することができる。
【0057】
図9(b)は第1のアンテナに対してL字型インレットを配置した例を示している。すなわち、図9(b)に示すように、2.45MHzの周波数帯で動作する第1のアンテナ31が、長さ52mmのダイポールアンテナとして配置されている。なお、第1のアンテナ31には第1のICチップ31aが搭載されている。また、第1のアンテナ31に対して、第2のICチップ33aを搭載したL字型の第2のアンテナ33の一部が直交するように配置されている。L字型第2のアンテナ33は第1のアンテナ31を補助アンテナとしているので、L字型の第2のアンテナ32は全体の長さが20mm以下の微小アンテナである。2つのアンテナをこのように配置することにより、第1のアンテナ31に搭載された第1のICチップ31aとL字型の第2のアンテナ33に搭載された第2のICチップ33aは同じ周波数で動作することができる。
【0058】
《第7実施形態》
第7実施形態では、900MHzと2.45GHzの2つの周波数帯で動作するICカードのアンテナ配置について説明する。図10は、900MHzと2.45GHzの2つの周波数帯で動作するRFIDタグのアンテナ配置を示す図であり、(a)は900MHzのアンテナ長を蛇行配置して短縮した場合、(b)は900MHzのアンテナをダイポールにした場合のアンテナ配置を示している。なお、900MHzのRFIDタグは工場における資材の物流管理などにおいて使用され、2.45GHzのRFIDタグは入場券などに使用される。
【0059】
図10(a)に示すように、900MHzの第1のアンテナ41は、インレットの長さを短くするためにアンテナラインが蛇行した配置となっている。そして、第1のアンテナ41に対して直交するように第2のアンテナ42が配置されている。なお、第2のアンテナ42の長さは20mm以下である。
【0060】
図10(b)に示すように、900MHzの第1のアンテナ51は、ダイポールアンテナによって構成されているためにλ/2が15cmであり、やや長いインレットになっている。そして、第1のアンテナ51に対して直交するように第2のアンテナ52が配置されている。なお、第2のアンテナ52の長さは20mm以下である。
【0061】
《第8実施形態》
第8実施形態では、第1のアンテナが設けられた携帯電話に小型インレットを搭載する場合について説明する。図11は、第1のアンテナと小型インレットを搭載した携帯電話の概略を示した斜視図である。
【0062】
図11に示すように、携帯電話Pの一面に第1のアンテナ11が設けられており、その第1のアンテナ11のラインに対して自己の両端が乗らないように小型インレット14が配置されている。なお、この第1のアンテナ11と小型インレット14が搭載された面を覆うカバーなどは、図示を省略している。
このようにすれば、周波数帯域の異なる2つのアンテナと2つのICチップを配置しても相互に周波数干渉を起こしにくい携帯電話を実現することができる。
【0063】
《まとめ》
以上説明したように、通常は、1枚のICカードに異なる周波数帯域のアンテナを有するインレット(詳しくはRFIDインレット)を実装すると電波が相互に干渉していずれかあるいは両方のインレットの通信特性が劣化するが、第1実施形態のように、2つの周波数帯域のインレットを直交させるようにして配置すれば、いずれのインレットも通信特性があまり劣化しない。これによって、例えば、13.56MHzで使用するICカードに対して2.45GHzで動作するインレットを貼付すれば、容易に、2つの周波数帯域で動作するICカードに変更して使用することができる。したがって、2枚のICカードを用いることなく、1枚のICカードによって2周波数帯域化を実現することができるため、ICカードの付加価値を高めることができると共に、ICカードの更なる低価格化を実現することが可能となる。
【0064】
また、本発明を応用すれば、携帯電話などの小型モバイル機器に対して複数の周波数帯域のRFIDタグを容易に実装することができるので、複数の周波数帯域で動作する小型モバイル機器を容易に実現することができる。さらには、国内と外国で使用される周波数帯域が異なっていても、国内で使用しているICカードに対して外国の周波数帯域で動作するインレットを貼付すれば、そのICカードを国内でも外国でも使用することができる。つまり、プロトコル等の詳細が不明なRFICタグであっても、適用できる周波数帯域のアンテナを備えたインレットを付加すれば容易に再利用することができる。
【0065】
さらに、既存のICカードに対して新たに他の周波数帯域のインレットを装着することにより、既存のデータシステムを変更することなく新規のデータシステムを構築することができる。例えば、A鉄道会社の13.56MHzで動作するSuica(登録商標)を使用しているとき、そのカードに対して2.45GHzで動作する小型インレット(RFIDタグ)を貼付することにより、1枚のカードでSuica(登録商標)と小型インレットに対応した社員証の2通りの利用を行うことが容易に可能となる。
【0066】
つまり、本実施形態のICカードでは、1枚のICカードに複数のICチップと複数のアンテナを実装している。このとき、RF(Radio Frequency:無線周波数)で動作するICカードとして比較的普及している13.56MHzのアンテナで1つのICチップを動作させると共に、13.56MHzのアンテナを補助アンテナとして2.45GHzのアンテナでもう一つのICチップを動作させている。このようにして1枚のICカードで2つの周波数帯域のアンテナを配置することができるので、2枚のカードを所有することなく2種類のICチップを使用すること可能となる。つまり、波長の長い第1のアンテナ上に波長の短い第2のアンテナを交差して配置することにより、相互のアンテナの干渉を低減させることができるので、1枚のICカードに周波数帯域の異なる2つのアンテナと2つのICチップを配置しても、周波数干渉を起こしにくいICカードを実現することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態では、第1のアンテナが四角形の形状を構成するものとしたが、四角形以外に、三角形、五角形以上の多角形、円形など、別の形状を構成するものとしてもよい。
また、ICタグは、ICカードや携帯電話などに限定されず、荷札、商品の包装フィルムなど、無線作動のICを搭載するものであって、第1のアンテナを補助アンテナとして利用できるものであれば、他のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1実施形態に係るICカードの平面構成図である。
【図2】ICカードにおける第1のアンテナに対する第2のアンテナの配置位置を示す概略図である。
【図3】図2に示すICカードにおける第2のアンテナの配置位置と第1のアンテナの通信距離の関係を示す特性図である。
【図4】図2に示すICカードにおける第2のアンテナの配置位置と第2のアンテナの通信距離の関係を示す特性図である。
【図5】第2実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナと小型インレットが直交するように配置された幾つかのバリエーションを示す図である。
【図6】第3実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナに対して小型インレットが半分平行して配置された幾つかのバリエーションを示す図である。
【図7】第4実施形態のICカードにおいて、第1のアンテナに対して小型インレットが所定の傾斜角度で配置された状態を示す図である。
【図8】第5実施形態のICカードにおいて、L字型インレットを用いた場合のアンテナ配置の幾つかのバリエーションを示す図である。
【図9】第6実施形態のICカードにおいて、同一周波数で動作するICチップを2個配置する場合のアンテナの配置を示す図である。
【図10】900MHzと2.45GHzの2つの周波数帯で動作するRFIDタグのアンテナ配置を示す図であり、(a)は900MHzのアンテナ長を短縮した場合、(b)は900MHzのアンテナをダイポールにした場合のアンテナ配置を示す。
【図11】第1のアンテナと小型インレットを搭載した携帯電話の概略を示した斜視図である。
【図12】(a)は、第2のアンテナと第2のICチップの分解図、(b)は、第2のアンテナに第2のICチップを搭載した図、(c)は、第2のアンテナと第2のICチップの接合部分の断面図、(d)は、給電部分付近をT字型のスリットで形成した第2のアンテナの変形例を示す図である。
【図13】動作周波数の異なる2枚のICカードを重ね合わせたときの概略図である。
【符号の説明】
【0069】
11、31、41、51 第1のアンテナ
11a、31a 第1のICチップ
12、32、42、52、61 第2のアンテナ
12a、22a、32a、33a、62 第2のICチップ
12b 整合回路
13 ICカード
14 小型インレット
22、33 L字型の第2のアンテナ
22b スリット
24 L字型インレット
61a、61c スリット
61b、61d、61e スタブ
62a、62b 信号入出力電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる周波数帯域で動作する少なくとも2個のICチップを搭載したICタグであって、
相対的に動作波長が長い第1のアンテナ、および、該第1のアンテナに搭載された第1のICチップからなる第1のインレットと、
前記第1のアンテナより動作波長が短く、該第1のアンテナのラインに対して自己の両端が乗らないように所定の角度をもって交差して配置された第2のアンテナ、および、該第2のアンテナに搭載された第2のICチップからなる第2のインレットと、
を備えることを特徴とするICタグ。
【請求項2】
前記所定の角度は直角であることを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
前記第2のアンテナは、自己と前記第2のICチップとの間のインピーダンスマッチングを行うための整合回路を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグ。
【請求項4】
前記整合回路は、前記第2のアンテナ上において、前記第2のICチップの端子間をまたぐように形成されたスリットであることを特徴とする請求項3に記載のICタグ。
【請求項5】
前記第2のアンテナの動作波長をλとしたとき、該第2のアンテナの長さは0.2λ以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグ。
【請求項6】
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、絶縁体を介して静電容量結合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグ。
【請求項7】
前記絶縁体は、樹脂、該樹脂の発泡体、または紙のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載のICタグ。
【請求項8】
前記絶縁体は、前記第1のインレットと前記第2のインレットとを接着する粘着材または接着材であることを特徴とする請求項6に記載のICタグ。
【請求項9】
前記絶縁体は、樹脂、樹脂の発泡体、または紙のいずれかと粘着材または接着材との積層構造となっていることを特徴とする請求項6に記載のICタグ。
【請求項10】
前記絶縁体の厚さは0.01mm以上であることを特徴とする請求項6に記載のICタグ。
【請求項11】
前記第1のインレットはICタグを構成する樹脂性の外装材料に収納され、前記第2のインレットは前記外装材料の表面または裏面に貼付されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグ。
【請求項12】
前記外装材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性共重合PET樹脂(PET−G)、または、塩化ビニル(PVC)のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載のICタグ。
【請求項13】
前記第1のアンテナの動作周波数は13.56MHzであり、前記第2のアンテナの動作周波数は2.45GHzであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグ。
【請求項14】
相対的に動作波長が長い第1のアンテナ、および、該第1のアンテナに搭載された第1のICチップからなる第1のインレットを搭載したICタグにおける、前記第1のインレットとは別のインレットであって、
前記第1のアンテナより動作波長が短く、該第1のアンテナのラインに対して自己の両端が乗らないように所定の角度をもって交差して配置された第2のアンテナと、
前記第1のICチップとは異なる周波数帯域で動作し、前記第2のアンテナに搭載された第2のICチップと、
を備えることを特徴とするインレット。
【請求項1】
異なる周波数帯域で動作する少なくとも2個のICチップを搭載したICタグであって、
相対的に動作波長が長い第1のアンテナ、および、該第1のアンテナに搭載された第1のICチップからなる第1のインレットと、
前記第1のアンテナより動作波長が短く、該第1のアンテナのラインに対して自己の両端が乗らないように所定の角度をもって交差して配置された第2のアンテナ、および、該第2のアンテナに搭載された第2のICチップからなる第2のインレットと、
を備えることを特徴とするICタグ。
【請求項2】
前記所定の角度は直角であることを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
前記第2のアンテナは、自己と前記第2のICチップとの間のインピーダンスマッチングを行うための整合回路を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグ。
【請求項4】
前記整合回路は、前記第2のアンテナ上において、前記第2のICチップの端子間をまたぐように形成されたスリットであることを特徴とする請求項3に記載のICタグ。
【請求項5】
前記第2のアンテナの動作波長をλとしたとき、該第2のアンテナの長さは0.2λ以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグ。
【請求項6】
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、絶縁体を介して静電容量結合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグ。
【請求項7】
前記絶縁体は、樹脂、該樹脂の発泡体、または紙のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載のICタグ。
【請求項8】
前記絶縁体は、前記第1のインレットと前記第2のインレットとを接着する粘着材または接着材であることを特徴とする請求項6に記載のICタグ。
【請求項9】
前記絶縁体は、樹脂、樹脂の発泡体、または紙のいずれかと粘着材または接着材との積層構造となっていることを特徴とする請求項6に記載のICタグ。
【請求項10】
前記絶縁体の厚さは0.01mm以上であることを特徴とする請求項6に記載のICタグ。
【請求項11】
前記第1のインレットはICタグを構成する樹脂性の外装材料に収納され、前記第2のインレットは前記外装材料の表面または裏面に貼付されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグ。
【請求項12】
前記外装材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性共重合PET樹脂(PET−G)、または、塩化ビニル(PVC)のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載のICタグ。
【請求項13】
前記第1のアンテナの動作周波数は13.56MHzであり、前記第2のアンテナの動作周波数は2.45GHzであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグ。
【請求項14】
相対的に動作波長が長い第1のアンテナ、および、該第1のアンテナに搭載された第1のICチップからなる第1のインレットを搭載したICタグにおける、前記第1のインレットとは別のインレットであって、
前記第1のアンテナより動作波長が短く、該第1のアンテナのラインに対して自己の両端が乗らないように所定の角度をもって交差して配置された第2のアンテナと、
前記第1のICチップとは異なる周波数帯域で動作し、前記第2のアンテナに搭載された第2のICチップと、
を備えることを特徴とするインレット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−324638(P2007−324638A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149118(P2006−149118)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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