説明

LED封止剤

【課題】低透湿性と耐熱、耐光性を有し、さらに高い接着性と冷熱衝撃性を兼ね備えたポリシロキサン組成物を含有するLED封止剤。
【解決手段】硬化後の透湿度が40g/m2/24h以下であり、下記(A)〜(D)からなるオルガノポリシロキサン組成物を含有するLED封止剤。(A)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン、(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)(C−1)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと(C−2)アルケニル基を少なくとも1個有する有機化合物とを、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物、(D)ヒドロシリル化触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低透湿性と耐熱、耐光性を有し、さらに高い接着性と冷熱衝撃性を兼ね備えたLED封止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)等に用いられる封止剤は、LED封止剤として発光素子を大気中の水分やゴミから保護することを目的に用いられている。このLED封止剤には、従来からシリコーンゴムやエポキシ樹脂が用いられているが、いずれも課題を抱えていた。シリコーンゴム(例えば特許文献1)は、耐熱・耐光性が良いものの、低硬度でかつ透湿度が高く、長期間の使用により発光素子の発光特性が低下するという課題があった。これに対し、シリコーンゴムに比べ透湿度の低いシリコーンレジン(例えば特許文献2)は、硬度は高いものの脆く、また発光素子に対する接着性が劣るという課題があった。
一方、エポキシ樹脂は、シリコーンレジンに比べ低い透湿度を有しているが、一般にシリコーンに比べ耐熱、耐光性が悪いといった課題がある。この耐熱、耐光性の課題は、近年の高輝度化LEDの点灯時での発熱量増大に伴い、ますます顕著なものとなっている。こうした中で、低い透湿度と耐熱、耐光性を有し、さらに高い接着性と冷熱衝撃性を兼ね備えたLED封止剤が強く求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−19205号公報
【特許文献2】特開2007−63538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記現状に鑑みなされたもので、低透湿性と耐熱、耐光性を有し、さらに高い接着性と冷熱衝撃性を兼ね備えたLED(発光ダイオード)封止剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のオルガノポリシロキサンを含有する組成物から、低透湿性で、なおかつ耐熱、耐光性を有し、さらに高い接着性と冷熱衝撃性を兼ね備えたLED封止剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本願発明は以下の構成を有するものである。
【0006】
[1] 硬化後の透湿度が40g/m2/24h以下であり、下記(A)〜(D)からなるオルガノポリシロキサン組成物を含有するLED封止剤。
(A)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン、
(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)(C−1)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(C−2)アルケニル基を少なくとも1個有する有機化合物とを、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物、
(D)ヒドロシリル化触媒。
【0007】
[2] 前記(C)成分が、前記(C−1)成分と前記(C−2)成分と(C−3)1分子中にアルケニル基を1個含有する化合物とを、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物であることを特徴とする[1]に記載のLED封止剤。
【0008】
[3] (C−1)成分が下記一般式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
(式中R1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表されるヒドロシリル基を有する環状オルガノポリシロキサン化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載のLED封止剤。
【0011】
[4] (C−2)成分が複素環骨格を有する有機化合物であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のLED封止剤。
【0012】
[5] (C−2)成分が1分子中にアルケニル基を2又は3個含有し、重量平均分子量が900未満であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のLED封止剤。
【0013】
[6] (C−2)成分がトリアリルイソシアヌレートであることを特徴とする[5]に記載のLED封止剤。
【0014】
[7] (C−3)成分の重量平均分子量が500未満であることを特徴とする[2]〜[6]のいずれかに記載のLED封止剤。
【0015】
[8] (C−3)成分がアリルグリシジルエーテルであることを特徴とする[7]に記載のLED封止剤。
【0016】
[9] (A)成分が以下の構造式で表されることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載のLED封止剤。
一般式(2)
SiO4/2(2)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(3)、(4)
a1a22SiO1/2(3)
a23SiO1/2(4)
(式中、Ra1はアルケニル基、Ra2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(3)で少なくとも2つ封鎖された構造を有する一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン。
【0017】
[10] (B)成分が以下の構造式で表されることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載のLED封止剤。
一般式(2)
SiO4/2(2)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(5)、(6)
b1b22SiO1/2(5)
b23SiO1/2(6)
(式中、Rb1は水素原子、Rb2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(5)で少なくとも2つ封鎖された構造を有する一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン。
【0018】
[11] さらに(E)シリコーン系粒子を含有することを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のLED封止剤。
【0019】
[12] (E)成分が、シリコーン粒子(E−1)に、アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第1シェル成分(E−2)、さらにその後アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第2シェル成分(E−3)からなる、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子であることを特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載のLED封止剤。
【0020】
[13] (E−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が、下記(a)成分を必須成分とし、さらに(b)成分、(c)成分および(d)成分から選ばれる少なくとも1種を縮合させて得られることを特徴とする、[12]に記載のLED封止剤。
(a)成分:一般式(7)
【0021】
【化2】

【0022】
(式中、R12はアルキル基を示し、R13、R14およびR15は、同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される1官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(b)成分:一般式(8)
【0023】
【化3】

【0024】
(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(9)
【0025】
【化4】

【0026】
(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(10)
【0027】
【化5】

【0028】
(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【0029】
[14] (E−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が、下記(b)成分、(c)成分および(d)成分から選ばれる少なくとも1種を縮合させて得られることを特徴とする、[12]または[13]に記載のLED封止剤。
(b)成分:一般式(8)
【0030】
【化6】

【0031】
(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(9)
【0032】
【化7】

【0033】
(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(10)
【0034】
【化8】

【0035】
(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【0036】
[15] (E−1)成分であるシリコーン粒子40〜98重量%に対して、(E−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が1〜40重量%、(E−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が1〜30重量%被覆した重合体(ただし、(E−1)成分と(E−2)成分と(E−3)成分を合わせて100重量%)であることを特徴とする、[12]〜[14]のいずれかに記載のLED封止剤。
【0037】
[16] [1]〜[15]のいずれかにに記載のLED封止剤を使用したLED。
【発明の効果】
【0038】
本発明のオルガノポリシロキサンを含有する組成物からは、低透湿性と耐熱、耐光性を有し、さらに高い接着性と冷熱衝撃性を兼ね備えたLED封止剤が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物を用いたLED封止剤の透湿度は40g/m2/24h以下であり、35g/m2/24h以下であることが好ましく、30g/m2/24h以下であることがより好ましい。
なお、本発明における透湿度とは以下の方法に従って算出されるものである。
【0040】
5±0.1cm角の板ガラス(0.5mm厚)の上部に5±0.1cm角のポリイソブチレンゴムシート(3mm厚、ロの字型になるように内部を3.0cm×1.5cmに切り取ったもの)を固定した治具を作製し、和光純薬工業製塩化カルシウム(水分測定用)1±0.1gをロの字型内に充填しこれを試験体とする。さらに上部に5±0.1cm角の評価用硬化物(2mm厚)を固定し、恒温恒湿機(エスペック製 PR‐2KP)内で温度40℃、湿度、90%RHで24時間養生する。
式(11)に従い、透湿度を算出する。
【0041】
透湿度(g/m2/24h)=[(透湿性試験後の試験体総重量(g))−(透湿性試験前の試験体総重量(g))]/10000/4.5cm2 (11)
【0042】
本発明における透湿度は、例えば、LEDにおける銀リードフレーム等の腐食性抑制の目安となる値である。封止剤の透湿度が高い場合、具体的には40g/m2/24hより高い場合においては、水蒸気、更には、酸素等のガスも透過しやすく、LEDの銀リードフレームが腐食され、LEDの発光特性の低下を招く恐れがある。
【0043】
また本発明における硬化物の硬度は、ショアD硬度で20以上であることが好ましく、ショアD硬度で25以上がさらに好ましい。ショアD硬度で20未満では、LED封止剤として使用した場合に、半導体素子と電極をつないでいるボンディングワイヤーが外力によって断線することがある。
【0044】
<オルガノポリシロキサン>
本発明における特定のオルガノポリシロキサンを含有する組成物から、低透湿性で、なおかつ耐熱、耐光性を有し、さらに高い接着性と冷熱衝撃性を兼ね備えたLED封止剤が得られる。
【0045】
本発明におけるオルガノポリシロキサン組成物の構造は特に限定はしないが、シロキサン結合を有し、ケイ素原子に有機基あるいは水素原子が結合したものであれば良く、例えば以下の(A)、(B)、(C)および(D)成分からなるオルガノポリシロキサン組成物が挙げられる。
【0046】
(A)、(B)および(C)成分の合計を100重量部とした場合、(A)成分が98.99〜1重量部、(B)成分が98.99〜1重量部、および(C)成分が50〜0.01重量部であることが好ましい。さらに、(A)成分が96.9〜3重量部、(B)成分が96.9〜3重量部、および(C)成分が30〜0.1重量部であることがより好ましい。
(A)成分が多いと、十分な硬度の硬化物が得られなかったり、硬化物が着色したりする場合がある。また(A)成分が少ないと、十分な硬度の硬化物が得られない場合がある。
【0047】
(B)成分が多いと、十分な硬度の硬化物が得られなかったり、硬化の際に発泡し気泡が硬化物中に残留したりする場合がある。また(B)成分が少ないと、十分な硬度の硬化物が得られない場合がある。(C)成分の使用量が少ないとオルガノポリシロキサン組成物の透湿度が高くなり、また接着信頼性が不十分である場合がある。(C)成分の使用量が多いと組成物の耐熱、耐光性が低下する場合がある。
【0048】
(D)成分の配合量については、(A)成分のアルケニル基1モルに対し、(D)成分の金属原子換算当り、10-1〜10-10モルの範囲で用いるのが好ましく、10-4〜10-8モルの範囲で用いるのがより好ましい。(D)成分が多すぎると短波長の光を吸収するため、得られた硬化物の耐光性が低下するおそれがあり、また(D)成分が少なすぎるとマトリクスが硬化しない場合がある。
【0049】
また、上記オルガノポリシロキサン組成物は、(E)成分を含有してもよい。(E)成分の配合量については、(A)および(B)、(C)成分の合計を100重量部とした場合、(E)成分が50〜1重量部であることが好ましく、45〜3重量部であることがより好ましい。(E)成分が多いと、配合時に増粘したり、硬化物の透明性が低下したりする場合がある。また(E)成分が少ないと、耐冷熱衝撃性が不十分になる場合がある。
オルガノポリシロキサン組成物の粘度は、配合直後の粘度から次第に増加する場合があるが、この増加幅は、取り扱いのしやすさや品質安定の観点から、小さい方が好ましい。この粘度の増加幅の範囲は、25℃で24時間放置後の値が配合直後の値と比較して、20%以内が好ましく、10%以内がより好ましい。
【0050】
<(A)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン>
本発明における(A)成分は、後述の(B)成分である一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、ヒドロシリル化反応により硬化し、シリコーン系マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
【0051】
直鎖状の(A)成分の例としては、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが例示されうる。
【0052】
また環状の(A)成分の例としては、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されうる。
【0053】
また三次元架橋構造を有する(A)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(2)
SiO4/2(2)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(3)、(4)
a1a22SiO1/2(3)
a23SiO1/2(4)
(式中、Ra1はアルケニル基、Ra2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(3)で少なくとも2つ封鎖された重合体が好ましいものとして例示される。
【0054】
主構造に一般式(2)で表される4官能性の構造単位を用いると、高い架橋密度の主骨格が得られるため、硬化物の強度および硬度を高くすることができるため好ましい。その主構造の末端を、一般式(3)、(4)で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端を一般式(3)で少なくとも2つ封鎖された重合体が、ヒドロシリル化反応による組成物の架橋点となるアルケニル基を簡便な方法で導入する事ができて有利であり、またRa1のアルケニル基と、Ra2のアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基の比率を調節することで、(A)成分中のアルケニル基の量を調節する事ができるため、任意の架橋密度が簡便な方法で得られるので好ましい。
【0055】
また、後述の(B)成分の主構造が4官能性の構造単位であり、その主構造の末端を1官能性の構造単位で封鎖した重合体である場合、(A)成分と(B)成分との相溶性が良好で、透明性が高く、また硬度が高い硬化物が得られることから好ましい。
【0056】
前記アルケニル基は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基が好ましく、入手性、また、耐熱性・耐光性の観点からビニル基がさらに好ましい。
【0057】
またアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等、などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。中でも、耐熱性や耐光性の観点からメチル基がさらに好ましい。
【0058】
この(A)成分は、一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有していれば良いが、(A)成分中のアルケニル基の含有量は0.1〜10モル/kg、特に0.5〜9モル/kgであることが好ましい。0.1モル/kg以下では硬化物が十分な硬度が得られない場合があり、10モル/kg以上では架橋密度が高すぎて耐冷熱衝撃(耐クラック)性が低下する傾向がある。
【0059】
更に上記(A)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。
【0060】
<(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン>
本発明における(B)成分は、(A)成分とヒドロシリル化反応により硬化し、シリコーン系マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
【0061】
直鎖状の(B)成分の例としては、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが例示されうる。
【0062】
また環状の(B)成分の例としては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されうる。
【0063】
また三次元架橋構造を有する(B)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(2)
SiO4/2(2)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(5)、(6)
b1b22SiO1/2(5)
b23SiO1/2(6)
(式中、Rb1は水素原子、Rb2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(5)で少なくとも2つ封鎖された構造を有するものが好ましいものとして例示される。
【0064】
主構造に一般式(2)で表される4官能性の構造単位を用いると、高い架橋密度の主骨格が得られるため、硬化物の強度および硬度を高くすることができるため好ましい。その主構造の末端を、一般式(5)、(6)で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(5)で少なくとも2つ封鎖された重合体が、ヒドロシリル化反応による組成物の架橋点となる水素原子基を簡便な方法で導入する事ができる点で有利である。またRb1の水素原子基と、Rb2のアリール基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基の比率を調節することで、(B)成分中のヒドロシリル基の量を調節する事ができるため、任意の架橋密度が簡便な方法で得られるので好ましい。
【0065】
また、先述の(A)成分の主構造が4官能性の構造単位であり、その主構造の末端を1官能性の構造単位で封鎖した重合体である場合、(A)成分と(B)成分との相溶性が良好で、透明性が高く、また硬度が高い硬化物が得られる点で好ましい。
【0066】
またアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等、などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。中でも、耐熱性や耐光性の観点からはメチル基がさらに好ましい。
【0067】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、前述の(A)成分のアルケニル基1モルに対して(B)成分のヒドロシリル基が0.3〜5モル、好ましくは0.4〜2モルとなる割合であることが望ましい。(B)成分のヒドロシリル基の量が少ないと、硬化物の耐熱性が低下する場合があり、(B)成分のヒドロシリル基の量が多いと、硬化収縮が大きくなる可能性がある。
【0068】
更に上記(B)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。
【0069】
<(C)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物>
本発明における(C)成分を添加することで、オルガノポリシロキサン組成物を含有するLED封止剤の透湿度を低下することができ、また、接着性を向上することができる。
(C)成分は、(C−1)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(C−2)アルケニル基を少なくとも1つ有する有機化合物、及び/又は(C−3)1分子中にアルケニル基を1個含有する化合物を、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物である。
【0070】
(C−1)成分は、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物である。
【0071】
(C−1)成分については1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
具体的には、
【0072】
【化9】

【0073】
(式中、R1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも3個有する環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンなどが挙げられる。
また、例えば
【0074】
【化10】

【0075】
【化11】

【0076】
が挙げられる。
これらのうち、(A)成分及び/又は(E)成分のアルケニル基とのヒドロシリル化反応性が良く、しかも反応生成物の貯蔵安定性が良いという観点から、上記一般式(1)で表わされる化合物が好ましい。
【0077】
一般式(1)で表される化合物中の置換基R1は、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。それぞれの置換基R1は異なっていても良く、同一であっても良い。入手容易性の観点からは、(C−1)成分は1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0078】
(C−1)成分は単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
本発明の(C−2)成分は、1分子中にアルケニル基を少なくとも1個有する有機化合物であれば特に限定されないが、他成分と反応させて得られる(C)成分の極性を高くすることで、本発明の効果をより高めるという点においては、(C−2)成分としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
【0079】
(C−2)成分としては、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系、直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系、複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0080】
(C−2)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、モノアリルシアヌレート、ジアリルシアヌレート、トリアリルシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、また、従来公知のエポキシ樹脂のグルシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
【0081】
また、(C−2)成分としては、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
ヒドロシリル基と反応性を有する(C−2)成分のアルケニル基の数は、平均して1分子当たり少なくとも1個あればよいが、配合後の組成物を硬化して得られる硬化物の力学強度をより向上したい場合には2個を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。
【0082】
(C−2)成分としては、(C−1)成分、及び/又は(C−3)成分と反応させて得られる(C)成分の貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にアルケニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にアルケニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
【0083】
本発明の効果を高める目的では、(C−2)成分としては複素環骨格を有する有機化合物であることが好ましい。複素環骨格を有する有機化合物とは、環状骨格中にヘテロ元素を有する化合物であれば特に限定されない。ただし、環を形成する原子にSiが含まれるものは除かれる。また、環を形成する原子数は特に限定はなく、3以上であればよい。入手性からは10以下であることが好ましい。複素環の具体的な例としては、エポキシ系、オキセタン系、フラン系、チオフェン系、ピラロール系、オキサゾール系、フラザン系、トリアゾール系、テトラゾール系、ピラン系、チイン系、ピリジン系、オキサジン系、チアジン系、ピリダジン系、ピリミジン系、ピラジン系、ピペラジン系がある。中でも、本発明の効果を高めることから、複素環としてはイソシアヌレートが好ましく、(C−2)成分の具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートが好ましい例として挙げられる。
【0084】
(C−2)成分としては、(C)成分を製造する際に、取扱い性が良い粘度であるという点からは、重量平均分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。なお、重量平均分子量の測定は、例えば、市販の標準ポリスチレンを分子量標準サンプルとして、Shodex K805L(300×8mm、2本連結)(昭和電工社製)を装着した島津製作所製GPEシステムを用いて行うことが出来る。
【0085】
(C−2)成分としては、(C)成分を製造する際に、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において100Pa・s未満のものが好ましく、30Pa・s未満のものがより好ましく、3Pa・s未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
(C−2)成分は単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
本発明の(C−3)成分は、1分子中にアルケニル基を1個有する化合物であれば特に限定されない。
【0086】
(C−3)成分の具体的な例としては、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、アリルシクロへキシル、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、アリルアニソール、o−アリルフェノール、等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコーン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
【0087】
(C−3)成分はアルケニル基以外の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、ビニロキシル基、酸無水物基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には、得られる硬化物の各種基材に対する接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましく、(C−3)成分としてはアリルグリシジルエーテルが好ましい例として挙げられる。
【0088】
(C−3)成分としては、(C)成分を製造する際に、取扱い性が良い粘度であるという点からは、(C−3)成分の重量平均分子量は500以下が好ましく、300以下が更により好ましい。
【0089】
(C−3)成分としては、(C)成分を製造する際に、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において100Pa・s未満のものが好ましく、30Pa・s未満のものがより好ましく、3Pa・s未満のものがさらに好ましい。
【0090】
(C−3)成分は単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(C−1)成分、(C−2)成分、(C−3)成分のヒドロシリル化反応に関して説明する。
【0091】
(C−1)成分、及び(C−2)成分をヒドロシリル化反応させる場合の各成分の割合は特に限定されないが、(C−1)成分と(C−2)成分の混合比率は、得られる(C)成分の粘度が低く、取扱い性が良いという点からは、(C−1)成分中のヒドロシリル基が多い方が好ましいため、反応に使用する(C−2)成分中のアルケニル基の総数(X)と、混合する(C−1)成分中のヒドロシリル基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧4であることがより好ましい。また、(C−3)成分を用いる場合は、得られる(C)成分の粘度が低く、取扱い性が良いという点からは、(C−3)成分中のヒドロシリル基と反応性を有するアルケニル基の総数(X')が、Y/(X+X’)≧1.5であることが好ましく、Y/(X+X’)≧3であることがより好ましい。
【0092】
反応させる場合の(C−1)成分、(C−2)成分、(C−3)成分の混合方法としては、各種方法をとることができるが、(C−2)成分及び/又は(C−3)成分に触媒を混合したものを、(C−1)成分に混合する方法が好ましい。前記方法は、(C−1)成分に触媒を混合する方法に対して、反応速度の制御がし易い点で好ましく、また、触媒による、(C−1)成分と混入している水分との反応による変質を抑制し易いので好ましい。(C−1)成分と(C−2)成分を先に反応させた後に(C−3)成分を反応させてもよく、(C−1)成分と(C−3)成分を反応させた後に(C−2)成分を反応させてもよく、(C−1)成分に(C−2)成分と(C−3)成分を同時に反応させてもよい。
【0093】
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなる傾向があり、反応温度が高いと経済性が低下する。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
【0094】
反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
【0095】
(C−1)成分に(C−2)成分、及び/又は(C−3)成分をヒドロシリル化反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の(C−1)成分等の揮発成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(C)成分が揮発分を有さないため、これを本発明の硬化性組成物として使用する場合に、揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。増粘等の変質を防ぐ点から、減圧脱揮の場合は、100℃以下の温度で処理することが好ましく、80℃以下で処理することがより好ましい。
【0096】
(C)成分の製造においては、目的によって種々の添加剤を使用できる。
(C)成分の使用量は、前記(A)成分と前記(B)成分と(C)成分の合計100重量部に対し、50〜0.01重量部であることが好ましく、さらには30〜0.1重量部であることが好ましい。(C)成分の使用量が少ないとオルガノポリシロキサン組成物の透湿度が高くなり、また接着信頼性が不十分である場合があり、(C)成分の使用量が多いと硬化物の耐熱、耐光性が悪くなる場合がある。
【0097】
<(D)ヒドロシリル化触媒>
本発明における(D)成分であるヒドロシリル化触媒としては、例えば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒を添加することができる。前記白金系触媒としては公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類やビニルシロキサンとのコンプレックスなどが例示される。白金系触媒の添加量は、(A)成分のアルケニル基1モルに対し、白金原子として10-1〜10-10モルの範囲で用いるのが好ましく、10-4〜10-8モルの範囲で用いるのがより好ましい。白金触媒が多すぎると短波長の光を吸収するため、得られた硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また少なすぎるとマトリクスが十分に硬化しない場合がある。
【0098】
<(E)シリコーン系重合体粒子>
本発明における(A)、(B)、(C)および(D)成分からなるオルガノポリシロキサン組成物に、さらに(E)成分を添加してもよい。(E)成分の配合量については、(A)、(B)および(C)成分の合計を100重量部とした場合、(E)成分が50〜1重量部であることが好ましく、45〜3重量部であることがより好ましい。(E)成分が多いと、配合時に増粘したり、硬化物の透明性が低下したりする場合がある。また(E)成分が少ないと、耐冷熱衝撃性が不十分になる場合がある。
【0099】
本発明における(E)成分は、マトリクス樹脂が持つ特徴である高い硬度や透明性を維持したまま、シリコーン系硬化物の耐冷熱衝撃(耐クラック)性や機械的応力緩和能を向上することができる。
【0100】
本発明における(E)成分は、シリコーン系重合体粒子であれば特に制限はないが、特に、前記(E)成分がシリコーン粒子をコアとし、アルコキシシラン縮合物を縮合させて得られるシェルからなるシリコーン系重合体粒子を好適なものとして例示することができる。
【0101】
本発明におけるコアシェル構造とは、例えばコアとなる粒子の存在下、コアを形成するモノマー成分とは異なる組成や成分からなるモノマー成分を反応させることで得ることができる。シェル成分をコア粒子に吸収させながらコアシェル構造を形成したり、コア部からシェル部への傾斜構造等を形成したりすることも可能であるが、コア粒子との反応性を有するシェル成分を用い、コア粒子の外側にシェル部を形成したような構造を有する粒子が好ましい構造として例示される。
【0102】
(E−1)シリコーン粒子と、(E−2)第1シェル成分と、(E−3)第2シェル成分のコアシェル構造を有することにより、(E)成分の表面のシラノール基を減少させることができる。これにより、例えばマトリクスとの親和性や相溶性を向上させることができ、さらにマトリクスに配合した際の配合物の粘度が高くなりすぎたりすることを防ぐことができる。さらにこの配合物の経時変化、特に粘度上昇を防ぐことも可能である。
【0103】
また(E)成分を配合したLED封止剤の硬化物は、例えば吸湿性が低く、耐冷熱衝撃性を向上させることも可能である。
【0104】
(E−1)成分であるシリコーン粒子40〜98重量%に対して、(E−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が1〜40重量%、(E−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が1〜30重量%被覆した重合体(ただし、(E−1)成分と(E−2)成分と(E−3)成分を合わせて100重量%)であることが好ましい。
【0105】
さらには(E−1)成分であるシリコーン粒子35〜96重量%に対して、(E−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が2〜37重量%、(E−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が2〜28重量%被覆した重合体であることがより好ましい。
【0106】
(E−1)成分が少ない場合、粒子の柔軟性が十分ではなく、(E)成分を配合したLED封止剤の硬化物の耐冷熱衝撃性が低下する場合がある。
また(E−2)成分が少ない場合、(E)成分が本来の粒子の形状を維持できずにマトリクス中に(E)成分が流出し、オルガノポリシロキサン組成物から得られる硬化物の強度を低下させるなど物性の低下を招くことがある。
【0107】
また(E−3)成分が少ない場合、(E)成分表面のシラノール基が十分に減少させることができず、例えばマトリクスとの相溶性が不十分になったり、配合組成物の粘度が高くなったり、経時的に増粘したり、(E)成分を配合したLED封止剤の吸湿性が増加して耐冷熱衝撃性が低下したりすることもある。
【0108】
(E−1)成分は、シリコーン粒子であれば良いが、一般式(12)
amSiO(4-m)/2(12)
(式中、Raは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位を有するオルガノシロキサンから成ることが好ましい。
【0109】
また(E−1)成分は、上記一般式(12)でm=2の構造単位が、(E−1)成分の70モル%以上を占めていることが好ましく、さらに好ましくは80モル%以上を占めていることが好ましい。この成分が少ないと(E−1)成分の柔軟性が十分ではなく、(E)成分をマトリクスに配合して得られるオルガノポリシロキサン組成物の、硬化後の耐冷熱衝撃性が低下したりする場合がある。
【0110】
(E−1)成分はオルガノシロキサンの重合により得ることができるが、そのオルガノシロキサンは、直鎖状、分岐状および環状構造のいずれであってもよいが、入手の容易さやコストの観点から、環状構造を有するオルガノシロキサンを用いるのが好ましい。
【0111】
オルガノシロキサンの具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(C3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(C4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(C5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(C6)、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。これらオルガノシロキサンは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0112】
このオルガノシロキサンが有する置換または非置換の一価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、およびそれらをシアノ基などで置換した置換炭化水素基などをあげることができる。
【0113】
また(E−1)成分の分子の末端がシラノール基であることが好ましい。分子の末端にシラノール基を有していることで、後述の(E−2)成分との間で縮合反応により結合を形成するため、安定的なコア−シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子を得ることができる。
【0114】
(E−1)成分の製造方法には、特に限定はないが、通常の乳化重合、分散重合、溶液重合などでも得ることが可能であり、粒径の制御が可能で分布ある点や、操作の簡便性等の点を考慮すると、乳化重合で得ることが好ましい。
【0115】
(E−1)成分は、より粒子径の小さい粒子を得ることができ、さらにラテックス状態での粒子径分布が狭くできる利点などからもシード重合を利用することが好ましい。シード重合に用いるシードポリマーは特に限定は無いが、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレンやブタジエン−アクリロニトリルゴム等のゴム成分、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体やスチレン−アクリロニトリル共重合体等の重合体を用いることができる。
【0116】
(E−1)成分は、例えば、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、塩基性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応が速く進行するため有利である。たとえば上記のオルガノシロキサンを含んだ各種原料を、乳化剤および水とともにホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザーなどを用いてエマルジョンとし、ついで、系のpHを酸成分で5以下、好ましくは4以下に調整し、加熱して重合させる。この際に用いる酸成分としては、安定して乳化重合を進行させることができ、またそれ自身も乳化能を併せ持つものが好ましく、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルスルホコハク酸などが例示されうる。
【0117】
なお、原料の全部を一括添加したのち、一定時間撹拌してからpHを任意の値に調整してもよく、また原料の一部を仕込んでpHを任意の値に調整したエマルジョンに残りの原料を逐次追加してもよい。逐次追加する場合、そのままの状態、または水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで添加してもよいが、重合速度を速くすることができるので、乳化状態で追加する方法を用いることが好ましい。反応温度、時間は、反応制御の容易さから反応温度は0〜100℃が好ましく、50〜95℃がさらに好ましい。反応時間は、好ましくは1〜100時間であり、さらに好ましくは3〜50時間である。
【0118】
酸性条件下で重合を行う場合、通常、(E−1)成分の骨格を形成しているSi−O−Si結合は、切断と結合生成の平衡状態にある。この平衡は温度によって変化し、低温になるほど高分子量の(E−1)成分が生成しやすくなる。したがって、高分子量の(E−1)成分を得るためには、加熱により重合した後、重合温度以下に冷却して熟成を行うことが好ましい。
【0119】
具体的には、50℃以上で重合を行い重合転化率が75〜90%、さらに好ましくは82〜89%に達した時点で加熱を止め、重合温度より低い温度例えば、10〜50℃、好ましくは20〜45℃に冷却して5〜100時間程度熟成を行うことができる。なお、ここで言う重合転化率は原料中の低揮発分のオルガノシロキサンの(E−1)成分への転化率を意味する。
【0120】
乳化重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、各種原料を乳化分散させるために必要な量であれば良く、あえて例示するなら通常原料の合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。
【0121】
乳化重合に用いる乳化剤は、反応を行うpH領域において乳化能を失わないものであれば特に限定なく公知のものを使用することができる。かかる乳化剤の例としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、該乳化剤の使用量にはとくに限定がなく、目的とする(E−1)成分の粒子径などに応じて適宜調整すればよい。
【0122】
充分な乳化能が得られ、かつ得られる(E−1)成分と、それから得られる、前記(E)成分であるシリコーン系重合体粒子の物性に悪影響を与えないという点から、あえて例示するならエマルジョン中に0.005〜20重量%用いるのが好ましく、特には0.05〜15重量%用いるのが好ましい。
【0123】
(E−1)成分のラテックス状態のシリコーン粒子の体積平均粒径は、0.005μm〜3.0μmが好ましく、0.01μm〜2.0μmがより好ましく、0.05μm〜0.5μmが特に好ましい。体積平均粒径が小さいものは安定的に得ることは難しく、大きいと硬化物の透明性が悪くなる場合がある。なお、体積平均粒径の測定は、例えば、ナノトラック粒度分析計UPA150(日機装株式会社製)を用いて行うことができる。
【0124】
本発明に用いる(E−1)成分の合成の際に、必要によっては架橋剤、グラフト交叉剤と言われるものを添加することもできる。
【0125】
本発明の(E−1)成分の合成に用いることができる架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの縮合反応に関与できる官能基を3個含むいわゆる3官能性架橋剤、テトラエトキシシラン、1,3ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−3−〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−4−〔2−ジメトキシメチルシリル〕エチル〕ベンゼンなどの縮合反応に関与できる官能基を4個含むいわゆる4官能性架橋剤、さらにはこれら架橋剤のアルコキシ基を縮合させた部分縮合物を挙げることができる。
【0126】
これら架橋剤は、必要に応じ、1種若しくは2種以上組み合わせて用いることができる。この架橋剤の添加量は、(E−1)成分であるオルガノシロキサン100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。架橋剤の添加量が多いと、(E−1)成分の柔軟性が損なわれるため、(E)成分をマトリクスに配合した際に、オルガノポリシロキサン組成物の低温での耐冷熱衝撃性が低下する場合がある。また架橋剤の添加量を調節することで、架橋度を変化させることにより(E−1)成分の弾性を任意に調節することができる。
【0127】
本発明に用いることができるグラフト交叉剤は、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルエチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニルテトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等があげられる。
【0128】
本発明に第1シェル成分(E−2)用いることにより、(E)成分の粒子としてのモルフォロジーを保持することが可能である。例えばオルガノポリシロキサン組成物から得られる硬化物の耐冷熱衝撃性向上に寄与することができる。
【0129】
本発明の(E−2)成分に用いるアルコキシシランは、以下の一般式(8)で表される(b)成分である2官能性アルコキシシラン化合物、一般式(9)で表される(c)成分である3官能性アルコキシシラン化合物、一般式(10)で表される4官能性アルコキシシラン化合物、およびそれらの部分縮合物(アルコキシ基を縮合させた部分縮合物)等を用いることが可能であり、これらを加水分解・縮合させることで(E−2)成分が得られる。これらアルコキシシランは1種類でも2種類以上でも用いることができる。
(b)成分:一般式(8)
【0130】
【化12】

【0131】
(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(9)
【0132】
【化13】

【0133】
(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(10)
【0134】
【化14】

【0135】
(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【0136】
上記一般式(8)〜(10)において挙げられるアルコキシ基としては、たとえばメトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ、イソプロポキシ、ノルマルブトキシ、イソブトキシ、第2級ブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の、炭素数1〜6のアルコキシ基である。またアルコキシ基以外の一価の有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アリル基、アラルキル基等があげられる。
【0137】
アルコキシシラン化合物を用いて(E−2)成分を得る重合方法は、乳化重合を用いることができる。乳化重合の条件は一般的な条件が適用できるが、特に重合温度に注意を払うことが好ましい。重合の際の温度は、20〜85℃を適用することが好ましい。また、重合時間は1〜50時間が適用できる。
【0138】
また(E―2)成分は、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、塩基性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応の際にゲル化を抑制しやすい等の理由により有利である。
【0139】
本発明に用いるアルコキシシラン縮合物(E−3)により、(E−1)成分と(E−2)成分の表面に多数存在するシラノール基を減らすことができる。これにより、粒子表面のシラノール基に由来する様々な問題、例えば(E)成分とマトリクスとの相溶性や親和性の低下する問題や、シリコーンゴムやシリコーン樹脂に配合した際に配合物の粘度が高くなりすぎてしまう問題や、配合物が経時変化して粘度が次第に上昇する問題を解決することができる。
【0140】
またこのようなシラノール基が多数含まれる粒子を配合した際に、例えば硬化物の吸湿の原因となり、冷熱試験の際にクラックが生じたりすることもあったが、このような問題も解決できる。
【0141】
本発明の(E−3)成分はアルコキシシランの縮合物を用いるが、アルコキシシランとしては、以下の一般式(7)で表される(a)成分である1官能性アルコキシシラン化合物およびそれらの部分縮合物(アルコキシ基を縮合させた部分縮合物)を必須成分とすることが好ましい。これらは1種類でも2種類以上でも用いることができる。
(a)成分:一般式(7)
【0142】
【化15】

【0143】
(式中、R12はアルキル基を示し、R13、R14、R15は同一または異なる一価の有機基を示す。)
さらに(E−3)成分は、前記(b)成分、前記(c)成分および前記(d)成分から選ばれる少なくとも1種類を含むことが好ましい。(a)成分に対して、(b)成分、(c)成分および(d)成分から選ばれる少なくとも1種類の成分を組み合わせることで、(a)成分が(E)成分中に効率よく取り込むことが可能となる。
【0144】
またここで(a)〜(d)のうちいずれかでアルケニル基を含む成分を用いれば、(E)成分にアルケニル基を導入でき、ヒドロシリル化反応により硬化する他の樹脂成分(マトリクス成分)に配合すれば、(E)成分とマトリクス成分との間で結合を形成するため、本願発明のオルガノポリシロキサン組成物から得られる硬化物の強度を向上させることができるので好ましい。この場合、マトリクス成分が、ヒドロシリル化反応により硬化する成分を有するものであれば特に好ましい。
【0145】
アルコキシシラン化合物を用いて(E−3)成分を得る重合方法は、乳化重合を用いることができる。乳化重合の条件は一般的な条件が適用できるが、特に重合温度に注意を払うことが好ましい。重合の際の温度は、20〜85℃を適用することが好ましい。また、重合時間は1〜50時間が適用できる。
【0146】
また(E―3)成分は、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、塩基性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応の際にゲル化を抑制しやすい等の理由により有利である。
【0147】
乳化重合によって得られた(E)成分であるシリコーン系重合体粒子のラテックスから粒子を分離する方法としては、特に限定は無いが、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩を添加することによりラテックスを凝固、分離、水洗、脱水し、乾燥する方法などがあげられる。また、スプレー乾燥法も使用できる。
【0148】
本発明において得られる(E)成分はマトリクス樹脂中に均一に分散させることが可能であり、さらに透明な硬化物を得ることができる点から、マスターバッチ法を用いるのが好ましい。
【0149】
マスターバッチは、水系ラテックス溶液に水に可溶あるいは部分可溶な有機溶剤、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール等)やケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、酢酸エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル)等などを加えることで、粒子どうしを緩凝集させた後、遠心沈降や濾過などの方法で緩凝集体を回収し、この緩凝集体が分散可能な溶剤に再分散させてからマトリクス樹脂と混合し、溶媒を留去させる方法により得ることが出来る。
【0150】
本発明の特徴を妨げない範囲で、得られた(E)成分を表面処理することができる。(E)成分の表面処理は、上記緩凝集体とした(E)成分を分散可能な溶媒に再分散させた後に行うことができる。また、表面処理は(E)成分をマトリクス樹脂と混合する前に行うことが、マトリクス樹脂の骨格を破壊することなく、(E)成分のみ表面処理を行うことができる点で好ましい。表面処理を行うことにより、(E)成分とマトリクス成分との親和性を向上させることができる。
【0151】
この際に用いる表面処理剤としては、例えば、シリル化剤を用いることができる。ここで用いるシリル化剤としては、一般的にアルキルシラン、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチル(ジ)シラザンが挙げられる。これらシリル化剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0152】
また表面処理の際に、マトリクス成分と結合能を有する官能基、例えばアルケニル基、アルキニル基等を(E)成分の表面に導入することで、(E)成分とマトリクス成分との間に結合が形成されてオルガノポリシロキサン組成物全体の強度を向上させることができる。
【0153】
このマトリクス成分との結合能を有する官能基を重合体表面に導入する際のシリル化剤としては、一般的にアルケニルシラン、例えばクロロジメチルビニルシラン、ジクロロメチルビニルシラン、ジクロロジビニルシラン、トリクロロビニルシランが挙げられる。これらシリル化剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0154】
<組成物およびLED封止剤>
本発明の特定のオルガノシロキサンを含む組成物から得られるLED封止剤は、基材との接着性を確保するために、接着付与剤を添加することができる。
本発明における接着性付与剤としては、シランカップリング剤、ほう素系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を好適に使用することが可能である。
【0155】
前記、シランカップリング剤の例としては、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基と、ケイ素原子結合アルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。前記官能基については、中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。
【0156】
具体的に例示すると、エポキシ官能基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。
【0157】
また、メタクリル基あるいはアクリル基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0158】
前記、ほう素系カップリング剤の例としては、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sDE−ブチル、ほう酸トリ−tDrt−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0159】
前記、チタン系カップリング剤の例としては、テトラ(n−ブトキシ)チタン,テトラ(i−プロポキシ)チタン,テトラ(ステアロキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ−ビス(アセチルアセトネート)チタン,i−プロポキシ(2−エチルヘキサンジオラート)チタン,ジ−i−プロポキシ−ジエチルアセトアセテートチタン,ヒドロキシ−ビス(ラクテト)チタン、i−プロピルトリイソステアロイルチタネート,i−プロピル−トリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート,テトラ−i−プロピル)−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート,テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート,i−プロピルトリオクタノイルチタネート,i−プロピルジメタクリル−i−ステアロイルチタネートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
【0160】
また、アルミニウム系カップリング剤としては、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
【0161】
本発明における接着性付与剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加量は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計重量の0.05〜30重量%であることが好ましい。また、接着性付与剤の種類あるいは添加量によっては、マトリクス樹脂のヒドロシリル化反応を阻害するものがあるため、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。
【0162】
本発明の特定のオルガノシロキサンを含む組成物から得られるLED封止剤は、保存安定性を改良する目的、あるいは硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用することができる。
【0163】
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ヘキシン−3−オール、3−エチル−1−ペンチン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示されうる。
【0164】
有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示されうる。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示されうる。
【0165】
窒素含有化合物としては、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が挙げられる。
【0166】
スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示されうる。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。
【0167】
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10-1〜104モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜103モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いるLED封止剤には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ増量剤として粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンなどの充填剤を添加してもよい。
【0168】
また、本発明のLED封止剤には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。
【0169】
この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。
【0170】
また、本発明のオルガノポリシロキサン組成物を難燃性、耐火性にするためには二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe23、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどの公知の添加剤を添加してもよい。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
【0171】
本発明に用いるLED封止剤は、上記した成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりすることにより得ることができる。
【0172】
本発明のLED封止剤は、成形体として使用することができる。成形としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、注型成形などの任意の成形加工法を例示することができる。
本発明の特定のオルガノシロキサンを含む組成物から得られるLED封止剤を硬化させる方法としては、特に限定されないが、各成分を単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られ易いという観点から、加熱して反応させる方法が好ましい。
【0173】
反応温度としては種々設定できるが、25℃〜30℃の温度範囲が好ましく、30℃〜280℃がより好ましく、35℃〜260℃がさらに好ましい。反応温度が25℃より低いと十分に反応させるための反応時間が長くなる傾向があり、反応温度が300℃より高いと製品の熱劣化が生じ易くなる傾向がある。
【0174】
反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより、多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、歪のない均一な硬化物が得られ易いという点で好ましい。
反応時の圧力も必要に応じて種々設定でき、常圧、高圧又は減圧状態で反応させることもできる。
【0175】
本発明により得られるLED封止剤は、低透湿度と耐熱、耐光性に優れ、さらに高い接着性と冷熱衝撃性を兼ね備えていることから、本発明のLED封止剤を用いて得られるLEDの劣化を抑制することが可能で有り、長寿命化を達成することが可能である。
【実施例】
【0176】
以下の実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0177】
(硬化物作成)
封止剤を型に充填し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて、厚さ2mmの試料を作成した。
【0178】
(耐熱、耐光性試験)
耐熱試験として、得られた2mm厚の硬化物をさらに空気中160℃、24時間でアニールし、硬化物の性状を目視した。硬化物の性状に変化がない場合は○とし、変色した場合を×とした。
また、耐光試験後として、得られた2mm厚の硬化物をさらにUV照射(メタリングウエザーメーター、50MJ/m2、120℃)を行い、硬化物の性状に変化がない場合は○とし、変色した場合を×とした。
【0179】
(透湿性評価試験用硬化物作成)
封止剤を型に充填し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて厚さ2mmの試料を作成した。この硬化物を室温25℃、湿度55%RHの状態で24時間養生した。
【0180】
(透湿性試験)
本発明における透湿度とは以下の方法に従って算出したものである。
【0181】
5±0.1cm角の板ガラス(0.5mm厚)の上部に5±0.1cm角のポリイソブチレンゴムシート(3mm厚、ロの字型になるように内部を3.0cm×1.5cmに切り取ったもの)を固定した治具を作製し、和光純薬工業製塩化カルシウム(水分測定用)1±0.1gをロの字型内に充填しこれを試験体とする。さらに上部に5±0.1cm角の評価用硬化物(2mm厚)を固定し、恒温恒湿機(エスペック製 PR‐2KP)内で温度40℃、湿度、90%RHで24時間養生する。
式(11)に従い、透湿度を算出した。
【0182】
透湿度(g/m2/24h)=[(透湿性試験後の試験体総重量(g))−(透湿性試験前の試験体総重量(g))]/10000/4.5cm2 (11)
【0183】
(冷熱衝撃試験)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)に、0.4mm×0.4mm×0.2mmの単結晶シリコンチップ1個を、株式会社ヘンケルジャパン製エポキシ系接着剤(品名:LOCTITE348)で貼り付け、150℃で30分オーブンに入れた。このLEDパッケージに組成物を注入し、所定時間熱硬化させて試料を作成した。試料を熱衝撃試験機(エスペック製 TSA−71H−W)によって、高温保持100℃、5分間、低温保持−40℃、5分間のサイクルを50サイクル行った後、試料を観察した。n=5で試験を行い、試験後、剥離やクラックが生じていない場合を○、剥離やクラックが1〜2箇所生じた場合を△、剥離やクラックが3〜5箇所生じた場合を×とした。
【0184】
(接着強度評価)
封止剤を、厚さ50μmのアプリケーターで膜状に伸ばし、ここに2mm角のガラス製ダイを接触させ、ダイの片面に該液状組成物を付着させた後、ガラスエポキシ製およびポリフタルアミド製平板それぞれにのせて、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間の条件で段階的に熱硬化(接着)させた試験片を作成した。この試験片を用いて、デイジ社製万能ボンドテスター2400により接着強度を測定した。10kgfのロードセルを用い、試験スピードは83μm/secで実施した。測定はn=5で行い、最大値と最小値を除いた3つの平均値を採用した。
【0185】
(ショアD硬度)
JIS K6253に記載の方法に準じて、(株)高分子計器製タイプD硬度計を用いて測定した。測定5回の測定値の平均値を採用した。試験片は原則として、試験前に温度23±2℃、相対湿度50±5%で24時間以上、状態調節したものを用いた。
【0186】
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに純水400重量部および10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液12重量部(固形分)を混合したのち窒素雰囲気下で50℃に昇温した。その後アクリル酸ブチル(BA)10重量部、t−ドデシルメルカプタン3重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01重量部(固形分)を加えた。
【0187】
30分後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.18重量部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(DCTA)0.019重量部、硫酸第一鉄0.019重量部を添加し、1時間攪拌した。BA90重量部、t−ドデシルメルカプタン27重量部、および、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.18重量部(固形分)の混合液を3時間かけて連続追加した。さらに1時間の後重合を行い、シードポリマー(体積平均粒径0.020μm)を含むラテックスを得た。
【0188】
次に、撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシードポリマーを2.0重量部(固形分)、10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸1.5重量部(固形分)および純水300重量部(シードポリマーを含むラテックスからの持ち込み分を含む)を仕込んだ後、10分間攪拌してから、窒素雰囲気下で系を80℃に昇温させた。これとは別に純水150重量部、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5重量部(固形分)、オクタメチルシクロテトラシロキサン97重量部、トリメトキシメチルシラン3重量部からなる混合物をホモミキサーにて、8000rpmで5分間強制乳化した後に、この混合液を3.5時間かけて連続追加した。さらに2.5時間の後重合を行い、25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、(E−1)成分であるシリコーン粒子(体積平均粒径0.110μm)を含むラテックスを得た。
【0189】
(合成例2)
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、合成例1で得られた(E−1)成分であるシリコーン粒子90重量部(固形分)、およびドデシルベンゼンスルホン酸を10重量%水溶液で0.45重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。
【0190】
これとは別に、純水40重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.1重量部(固形分)、ジメトキシジメチルシラン7.30重量部((CH32SiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して4.5重量部に相当)、エチルシリケート縮合物(多摩化学工業社製、商品名エチルシリケート40、SiO2含有量:39.0〜42.0重量%)11.16重量部(SiO2で表される構造単位の完全縮合物に換算して4.5重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて5000rpmで5分間強制乳化した後に、20分間かけて滴下して加えた。この溶液を40℃に保ったまま5時間攪拌することで(E−2)成分を形成した。
【0191】
次にこの溶液に、純水27重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.03重量部(固形分)、メトキシトリメチルシラン6.42重量部((CH33SiO1/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)、エトキシジメチルビニルシラン1.40重量部(Vi(CH32SiO1/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して1.0重量部に相当(Viはビニル基))、ジメトキシジメチルシラン0.81重量部((CH32SiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して0.5重量部に相当)、エチルシリケート縮合物(多摩化学工業社製、商品名エチルシリケート40、SiO2含有量:39.0〜42.0重量%)1.24重量部(SiO2で表される構造単位の完全縮合物に換算して0.5重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて5000rpmで5分間強制乳化した後に、10分間かけて滴下して加えた。
【0192】
この溶液を40℃に保ったまま4.5時間攪拌することで(E−3)成分を形成した。この系を25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、(E)成分であるシリコーン系重合体粒子(体積平均粒径0.112μm)を含むラテックスを得た。
【0193】
(合成例3)
合成例2で得られた(E)成分を含むラテックス(樹脂固形分濃度16重量%)の樹脂固形分35重量部に対して酢酸エチル/メタノール=6/4 (vol/vol)から成る混合溶媒200重量部を加えて粒子を凝集させた後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させた。得られた沈殿を酢酸エチル/メタノール=3/7 (vol/vol)の混合溶媒200重量部に分散させて洗浄した後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させた。得られた沈殿をさらに酢酸エチル/メタノール=4/6 (vol/vol)の混合溶媒200重量部に分散させて洗浄した後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させた。洗浄後、得られた沈殿35重量部に酢酸エチル350重量部を加えて、(E)成分の酢酸エチル溶液を得た。
【0194】
(合成例4)(C)成分の合成
2Lオートクレーブにトルエン720g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン240gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温度50℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル171g、トルエン171g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.049gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温度を60℃に上げて40分反応後、1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認した。さらに、トリアリルイソシアヌレート17g、トルエン17gの混合液を滴下した後、ジャケット温度を105℃に上げて、トリアリルイソシアヌレート66g、トルエン66g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.033gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から4時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの未反応率は0.8%だった。上記反応混合物から未反応成分の減圧留去を行い、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトルエンとアリルグリシジルエーテルの副生物(アリルグリシジルエーテルのビニル基の内転移物(シス体およびトランス体))の合計が、5,000ppm以下である無色透明の液体を得た。
【0195】
本生成物は1H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基の一部がアリルグリシジルエーテル及びトリアリルイソシアヌレートのアルケニル基と反応したものであり、3.8mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。本生成物をGPCで測定すると多峰性のクロマトグラムが得られ、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとアリルグリシジルエーテルのみの反応物群と、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとアリルグリシジルエーテルとトリアリルイソシアヌレートが反応した化合物群の混合物であることが示唆された。
【0196】
(実施例1)
(A)成分である三次元構造を有するビニル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQV−7、ビニル基含有量3.5モル/kg)を37.0重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−5、ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を52.8重量部と、同じく(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.5モル/kg)を5.1重量部、さらに(C)成分である合成例4で得られた組成物5.1重量部配合した。
【0197】
その後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部、ほう酸トリメチル1.0重量部、1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)を0.0062重量部加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。
【0198】
(実施例2)
(A)成分である三次元構造を有するビニル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQV−7、ビニル基含有量3.5モル/kg)を37.7重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−5、ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を47.2重量部と、同じく(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.5モル/kg)を4.7重量部、さらに(C)成分である合成例4で得られた組成物10.4重量部配合した。
【0199】
その後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部、ほう酸トリメチル1.0重量部、1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)を0.0062重量部加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。
【0200】
(実施例3)
(A)成分である三次元構造を有するビニル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQV−7、ビニル基含有量3.5モル/kg)を39.4重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−5、ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を36.9重量部と、同じく(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.5モル/kg)を3.0 重量部、さらに(C)成分である合成例4で得られた組成物20.7重量部配合した。
【0201】
その後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部、ほう酸トリメチル1.0重量部、1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)を0.0062重量部加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。
【0202】
(実施例4)
合成例3で得られた(E)成分であるシリコーン系重合体粒子の樹脂固形分30重量部に対して、(A)成分である三次元構造を有するビニル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQV−7、ビニル基含有量3.5モル/kg)を39.4重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−5、ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を36.9重量部と、同じく(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.5モル/kg)を3.0重量部、さらに(C)成分である合成例4で得られた組成物20.7重量部配合し、この混合物をロータリーエバポレーターで濃縮して酢酸エチルを留去した。
【0203】
その後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部、ほう酸トリメチル1.0重量部、1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)を0.0062重量部加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。
【0204】
(比較例1)
(A)成分である三次元構造を有するビニル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQV−7、ビニル基含有量3.5モル/kg)を36.2重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−5、ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を57.9重量部と、同じく(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.5モル/kg)を5.9重量部配合した。
【0205】
その後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部、ほう酸トリメチル1.0重量部、1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)を0.0062重量部加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。
【0206】
(比較例2)
(A)成分である三次元構造を有するビニル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQV−7、ビニル基含有量3.5モル/kg)を39.4重量部、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−5、ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を36.9重量部と、同じく(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.5モル/kg)を3.7重量部、さらにアリルグリシジルエーテルを20.7重量部配合した。
【0207】
その後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部、ほう酸トリメチル1.0重量部、1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)を0.0062重量部加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。
各種試験結果を表1に示す
【0208】
【表1】

【0209】
表1に示されるように、実施例1〜3は、耐熱試験、耐光試験後の硬化物に目立った変化がなく、また、低透湿性であり、かつ高い接着強度があった。さらに実施例4では、高い冷熱衝撃性を持っていた。一方、比較例1は、実施例1〜4と同様に耐熱試験、耐光試験後の硬化物に目立った変化がなかったものの、実施例1〜4に比べ透湿性が高く、接着試験でも低い値となった。さらに冷熱衝撃性が低い。また、比較例2に関しては、透湿性で低い値を示し、接着試験では高い値を示したものの、耐熱試験、耐光試験後の硬化物は黄色に変化し、さらに冷熱衝撃性も低いことが分かり、光学素子の光学特性の低下に繋がる恐れがあることが示唆された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化後の透湿度が40g/m2/24h以下であり、下記(A)〜(D)からなるオルガノポリシロキサン組成物を含有するLED封止剤。
(A)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン、
(B)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)(C−1)1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(C−2)アルケニル基を少なくとも1個有する有機化合物とを、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物、
(D)ヒドロシリル化触媒。
【請求項2】
前記(C)成分が、前記(C−1)成分と前記(C−2)成分と(C−3)1分子中にアルケニル基を1個含有する化合物とを、ヒドロシリル化反応させることにより得られる、1分子中にヒドロシリル基を少なくとも2個有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のLED封止剤。
【請求項3】
(C−1)成分が下記一般式(1)
【化1】

(式中R1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表されるヒドロシリル基を有する環状オルガノポリシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のLED封止剤。
【請求項4】
(C−2)成分が複素環骨格を有する有機化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のLED封止剤。
【請求項5】
(C−2)成分が1分子中にアルケニル基を2又は3個含有し、重量平均分子量が900未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のLED封止剤。
【請求項6】
(C−2)成分がトリアリルイソシアヌレートであることを特徴とする請求項5に記載のLED封止剤。
【請求項7】
(C−3)成分の重量平均分子量が500未満であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のLED封止剤。
【請求項8】
(C−3)成分がアリルグリシジルエーテルであることを特徴とする請求項7に記載のLED封止剤。
【請求項9】
(A)成分が以下の構造式で表されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のLED封止剤。
一般式(2)
SiO4/2(2)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(3)、(4)
a1a22SiO1/2(3)
a23SiO1/2(4)
(式中、Ra1はアルケニル基、Ra2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(3)で少なくとも2つ封鎖された構造を有する一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン。
【請求項10】
(B)成分が以下の構造式で表されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のLED封止剤。
一般式(2)
SiO4/2(2)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(5)、(6)
b1b22SiO1/2(5)
b23SiO1/2(6)
(式中、Rb1は水素原子、Rb2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(5)で少なくとも2つ封鎖された構造を有する一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン。
【請求項11】
さらに(E)シリコーン系粒子を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のLED封止剤。
【請求項12】
(E)成分が、シリコーン粒子(E−1)に、アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第1シェル成分(E−2)、さらにその後アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第2シェル成分(E−3)からなる、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のLED封止剤。
【請求項13】
(E−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が、下記(a)成分を必須成分とし、さらに(b)成分、(c)成分および(d)成分から選ばれる少なくとも1種を縮合させて得られることを特徴とする、請求項12に記載のLED封止剤。
(a)成分:一般式(7)
【化2】

(式中、R12はアルキル基を示し、R13、R14およびR15は、同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される1官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(b)成分:一般式(8)
【化3】

(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(9)
【化4】

(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(10)
【化5】

(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【請求項14】
(E−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が、下記(b)成分、(c)成分および(d)成分から選ばれる少なくとも1種を縮合させて得られることを特徴とする、請求項12または13に記載のLED封止剤。
(b)成分:一般式(8)
【化6】

(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(9)
【化7】

(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(10)
【化8】

(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【請求項15】
(E−1)成分であるシリコーン粒子40〜98重量%に対して、(E−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が1〜40重量%、(E−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が1〜30重量%被覆した重合体(ただし、(E−1)成分と(E−2)成分と(E−3)成分を合わせて100重量%)であることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載のLED封止剤。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに一項に記載のLED封止剤を使用したLED。

【公開番号】特開2011−42732(P2011−42732A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191293(P2009−191293)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】