説明

N−(ヘテロ)アリールアゾール類の製造方法

【課題】本発明は、医農薬、有機光導電体材料及び有機電界発光素子材料などとして有用な、N−(ヘテロ)アリールアゾール類の効率的かつ高収率な製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、パラジウム化合物と配位性化合物から構成される触媒及びマグネシウム塩基の存在下、(擬)ハロゲン化(ヘテロ)アリールとNH−アゾール類を反応させることを特徴とする、N−(ヘテロ)アリールアゾール類の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医農薬、有機光導電体材料及び有機電界発光素子材料などとして有用な化合物である、N−(ヘテロ)アリールアゾール類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
N−(ヘテロ)アリールアゾール類は、医農薬、有機光導電体材料及び有機電界発光素子材料などとして有用な化合物である。これらの化合物は従来、N−(ヘテロ)アリールアミン類の合成法として知られる、銅化合物を触媒として用いたUllmann反応によって製造されてきた。本来のUllmann反応は、多大な触媒量、厳しい反応条件、基質の制限及び煩雑な後処理といった欠点があり、長らく有用性には乏しい反応とされてきたが、近年の研究開発の進展に伴って大幅に改善が進みつつある。しかしながら本反応には、臭化(ヘテロ)アリール、ヨウ化(ヘテロ)アリール及び(ヘテロ)アリールホウ酸といった、反応性に富む一方で高価な基質が必要とされる欠点が今なお残されている。
【0003】
このような背景から1990年代に、パラジウム化合物を触媒として用いたアリールアミノ化反応(Buchwald−Hartwigアミノ化反応)が開発された。この反応はUllmann反応に比較して触媒量が少なく、条件が緩やかで基質一般性が高い上に、実験操作も比較的容易である。しかも、安価で入手容易であるが反応性に乏しいため使用困難とされてきた塩化(ヘテロ)アリールまでもが、適切な(すなわち電子豊富で嵩高い)配位性化合物を併用することで使用可能となることから、N−(ヘテロ)アリールアミン類の新たな合成法として瞬く間に注目を集めた。現在でも盛んに基礎研究が行われているだけでなく、本反応は化成品の工業的製造においても広く用いられるようになっている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
しかしながら、Buchwald−Hartwigアミノ反応をN−(ヘテロ)アリールアゾール類の合成に応用した報告例は数少ない(例えば、非特許文献2〜7)。なお、本反応には塩基の使用が必須とされるが、これらの報告例では共通してアルカリ金属化合物が塩基として用いられている。これらの反応は比較的穏和な条件で進行し、塩化(ヘテロ)アリールを使用出来る場合もあるが(非特許文献3、4、5及び7)、わずかな触媒量で進行するN−(ヘテロ)アリールアミン類の合成反応とは異なり、いずれの場合も0.01当量(1.0モル%)以上と大量の触媒を必要とする点が問題となっていた。なお、Buchwald−Hartwigアミノ化反応において、塩基としてアルカリ金属化合物ではなく、マグネシウム化合物を用いる概念自体は古くより提唱されているが(特許文献1)、NH−アゾール類の反応に関しては、その概念及び具体例共に一切記載されていない。
【0005】
一方、酢酸パラジウム(II)とトリフェニルホスフィンから構成されるパラジウム触媒存在下、種々のマグネシウム化合物を塩基として用いる、NH−アゾール類の一種であるインドールとハロゲン化アリールとの結合反応が近年報告された(非特許文献8)。しかしながら、この反応ではインドールの窒素原子に隣接する炭素原子が反応してC−アリールインドール類が生成する一方で、目的とするN−アリールインドール類は得られない(下記反応式1)。従って、アルカリ金属化合物ではなくマグネシウム化合物を塩基として用いた場合には、位置選択性良くN−(ヘテロ)アリールアゾール類を合成することは困難であろうと考えられてきた。
【0006】
【化1】

【0007】
ところでごく最近、NH−アゾール類の一種であるカルバゾールを基質とした場合に限り、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)及びトリフェニルホスフィンから構成されるニッケル触媒の存在下であれば、マグネシウム化合物を塩基として用いても、目的とするN−アリールカルバゾールが得られるといった報告が為された(非特許文献9)。しかしながらこの反応では基質として安価な塩化アリールが使用出来ず、必要とされる触媒量も0.05当量(5.0モル%)と極めて多い点が課題として残されている。すなわち、従来のBuchwald−Hartwigアミノ化反応を用いた、N−(ヘテロ)アリールアゾール類の合成における各種の問題点は、この報告によっても未だ解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5576460号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】David S. Surryら著、アンゲバンテ ケミー インターナショナル エディション、第47巻、2008年、6338−6361頁(David S. Surry et al., Angewandte Chemie International Edition, 2008, 47, 6338-6361.)。
【非特許文献2】Grace Mannら著、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ、第120巻、1998年、827−828頁(Grace Mann et al.,Journal of American Chemical Society, 1998, 120, 827-828.)。
【非特許文献3】John F. Hartwigら著、ザ ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー、第64巻、1999年、5575−5580頁(John F. Hartwig et al., The Journal of Organic Chemistry, 1999, 64, 5575-5580.)。
【非特許文献4】David W. Oldら著、オーガニック レターズ、第2巻、2000年、1403−1406頁(David W. Old et al., Organic Letters, 2000, 2, 1403-1406.)。
【非特許文献5】Makoto Watanabeら著、テトラヘドロン レターズ、第41巻、2000年、481−483頁(Makoto Watanabe et al., Tetrahedron Letters, 2000, 41, 481-483.)。
【非特許文献6】Gabriela A. Grasaら著、ザ ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー、第66巻、2001年、7729−7737頁(Gabriela A. Grasa et al., The Journal of Organic Chemistry, 2001, 66, 7729-7737.)。
【非特許文献7】Ken Suzukiら著、アドバンスト シンセシス アンド キャタリシス、第350巻、2008年、652−656頁(Ken Suzukiet al., Advanced Synthesis and Catalysis, 2008, 350, 652-656.)。
【非特許文献8】Benjamin S. Laneら著、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ、第127巻、2005年、8050−8057頁(Benjamin S. Lane et al., Journal of American Chemical Society, 2005, 127, 8050-8057.)。
【非特許文献9】Benjamin Souharceら著、マクロモレキュラー ラピッド コミニュケーションズ、第30巻、2009年、1258−1262頁(Benjamin Souharce et al., Macromolecular Rapid Communications, 2009, 30, 1258-1262.)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の課題に鑑み為されたものであり、例えば医農薬、有機光導電体材料及び有機電界発光素子材料などとして有用な、N−(ヘテロ)アリールアゾール類の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、パラジウム触媒存在下でハロゲン化(ヘテロ)アリールとNH−アゾール類を反応させる際に、マグネシウム化合物を塩基として用いたところ、臭化(ヘテロ)アリールはもちろんのこと、安価で入手容易な塩化(ヘテロ)アリールが使用可能な上、穏和な条件で短時間に反応が完結するといった従来法(非特許文献3、4、5及び7)の利点はそのままに、アルカリ金属塩基を用いる場合と比べて大幅に触媒量を削減出来ることを見出した。また、適切なハロゲン化(ヘテロ)アリールが入手困難な場合には、対応するフェノール誘導体から合成される擬ハロゲン化(ヘテロ)アリールを使用可能であることも明らかとなった。なお、本反応でマグネシウム塩基を用いた場合、目的とするN−(ヘテロ)アリールアゾール類が得られないという致命的な問題点があったが(非特許文献8)、適切な(すなわち電子豊富で嵩高い)配位性化合物を共存させることで、マグネシウム塩基を用いてもN−(ヘテロ)アリールアゾール類が位置選択的に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]の内容を含むものである。
[1]パラジウム化合物と配位性化合物とから構成される触媒及びマグネシウム塩基の存在下、(擬)ハロゲン化(ヘテロ)アリールとNH−アゾール類を反応させることを特徴とする、N−(ヘテロ)アリールアゾール類の製造方法。
[2]配位性化合物が、下記一般式(1)
【0013】
【化2】

【0014】
(Pはリン原子を示し、R及びRは各々独立してアルキル基を示し、Rは置換基を有してもよい、炭化水素基、ヘテロアリール基又はフェロセニル基を示す。)
で表されるモノホスフィン類、下記一般式(2)
【0015】
【化3】

【0016】
(Pはリン原子を示し、R〜Rは各々独立してアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、Qは置換基を有してもよい二価基を示す。)
で表されるジホスフィン類、下記一般式(3−1)又は(3−2)
【0017】
【化4】

【0018】
(Nは窒素原子を示し、R及びRは各々独立してアルキル基を示す。)
で表される(ベンゾ)イミダゾールイリデン類及び下記一般式(4)
【0019】
【化5】

【0020】
(Nは窒素原子を示し、R10及びR11は各々独立してアルキル基又はアリール基を示す。)
で表されるイミダゾリジンイリデン類からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、前記[1]に記載の製造方法。
[3](擬)ハロゲン化(ヘテロ)アリールが、下記一般式(5)
【0021】
【化6】

【0022】
((Het)Arは置換基を有してもよい、芳香環基又は芳香族複素環基を示し、Xは(擬)ハロゲノ基を示し、nは(Het)Arに対するXの同時置換数を示し、1〜7の整数値を示す。)で表される化合物であることを特徴とする、前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]一般式(5)で表される化合物におけるXがクロロ基、ブロモ基、(ハロゲン化)アルカンスルホニルオキシ基又はアレーンスルホニルオキシ基であり、nが1〜3の整数値であることを特徴とする、前記[3]に記載の製造方法。
[5]NH−アゾール類が、置換基を有してもよい、1H−ピロール、インドール、カルバゾール、ベンゾカルバゾール類、ジベンゾカルバゾール類、インドロカルバゾール類、ビインドール類及びビカルバゾール類からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]マグネシウム塩基が、無機マグネシウム塩基及び下記一般式(6)
【0023】
【化7】

【0024】
(Mgはマグネシウム原子を示し、R12及びR13は各々独立して炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基又はハロゲノ基を示す。但し、R12及びR13のいずれもがハロゲノ基になることはない。)
で表される有機マグネシウム塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]マグネシウム塩基が、Grignard試薬であることを特徴とする、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明の製造方法により、医農薬、有機光導電体材料及び有機電界発光素子材料などとして有用なN−(ヘテロ)アリールアゾール類を経済的及び効率的に製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
【0027】
本発明の製造方法に使用されるパラジウム化合物は特に限定されるものではないが、好ましい例としてはビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加体、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、アリルパラジウム(II)クロライドダイマー、メタリルパラジウム(II)クロライドダイマー、クロチルパラジウム(II)クロライドダイマー及びシンナミルパラジウム(II)クロライドダイマー等が挙げられる。
【0028】
本発明の製造方法におけるパラジウム化合物は、夫々単独で用いても二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。パラジウム化合物の使用量は特に限定されるものではないが、NH−アゾール類1モルに対し、パラジウム金属換算で通常0.00001〜0.1当量(0.001〜10.0モル%)であり、経済性及び反応再現性の観点から、好ましくは0.0001〜0.05当量(0.01〜5.0モル%)の範囲から適宜選択される。
【0029】
本発明の製造方法に使用される配位性化合物は、触媒活性及び反応の位置選択性の観点から、下記一般式(1)で表されるモノホスフィン類、
【0030】
【化8】

【0031】
(Pはリン原子を示し、R及びRは各々独立してアルキル基を示し、Rは置換基を有してもよい炭化水素基、ヘテロアリール基又はフェロセニル基を示す)
下記一般式(2)で表されるジホスフィン類、
【0032】
【化9】

【0033】
(Pはリン原子を示し、R〜Rは各々独立してアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、Qは置換基を有してもよい二価基を示す)
下記一般式(3−1)又は(3−2)で表される(ベンゾ)イミダゾールイリデン類、
【0034】
【化10】

【0035】
(Nは窒素原子を示し、R及びRは各々独立してアルキル基を示す)
及び下記一般式(4)で表されるイミダゾリジンイリデン類が好ましい。
【0036】
【化11】

【0037】
(Nは窒素原子を示し、R10及びR11は各々独立してアルキル基又はアリール基を示す)
【0038】
一般式(1)で表されるモノホスフィン類において、R及びRは各々独立してアルキル基を示す。アルキル基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよく、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜15、さらに好ましくは炭素数3〜10のアルキル基が挙げられ、その中でも2級アルキル基、3級アルキル基又はシクロアルキル基が特に好ましく、具体的にはイソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基及び1−アダマンチル基等が挙げられる。なお、RとRは互いに結合してリン原子を含む環を形成してもよい。Rは置換基を有してもよい炭化水素基、ヘテロアリール基又はフェロセニル基を示す。なお、RはR又はRと互いに結合してリン原子を含む環を形成してもよい。
特に好ましい、一般式(1)で表されるモノホスフィン類の具体例としては、以下に構造式で示されるトリ−tert−ブチルホスフィン(BuP)、ジ−tert−ブチルメチルホスフィン(BuPMe)、ジ−tert−ブチルネオペンチルホスフィン(DTBNpP)、トリイソプロピルホスフィン(PrP)、トリシクロヘキシルホスフィン(CyP)、ジシクロヘキシル(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン(CyPMes)、1−[2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェニル]−3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール(TrippyPhos)、5−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1’,3’,5’−トリフェニル−1’H−[1,4’]ビピラゾール(BippyPhos)、[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]ジ−tert−ブチルホスフィン(A−taphos)、[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]ジシクロヘキシルホスフィン(A−caphos)、(2−ビフェニル)ジ−tert−ブチルホスフィン(JohnPhos)、(2−ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン(CyJohnPhos)、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(tBuXPhos)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシビフェニル(RuPhos)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(SPhos)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(DavePhos)、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(tBuDavePhos)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(XPhos)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−3,6−ジメトキシ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル(BrettPhos)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−3,6−ジメトキシ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル(tBuBrettPhos)、2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)アセトフェノン エチレン ケタール(Symphos)、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1’−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(Q−Phos)、ジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン(cataCXium A)、ジ(1−アダマンチル)ベンジルホスフィン(cataCXium ABn)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロール(cataCXium PCy)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−フェニルインドール(cataCXium PInCy)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニルインドール(cataCXium PIntB)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロール(cataCXium PtB)、N−メチル−2−(2−ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)インドール(CM−Phos)、N−[2−ジ(1−アダマンチル)ホスフィノフェニル]モルホリン(Mor−DarPhos)、3−tert−ブチル−4−(2,6−ジメトキシフェニル)−2,3−ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサホスホール(BI−DIME)、ジ−tert−ブチル(2,2−ジフェニル−1−メチルビニル)ホスフィン(vBRIDP)、ジシクロヘキシル(2,2−ジフェニル−1−メチルビニル)ホスフィン(Cy−vBRIDP)、ジ−tert−ブチル(2,2−ジフェニル−1−メチル−1−シクロプロピル)ホスフィン(cBRIDP)及びジシクロヘキシル(2,2−ジフェニル−1−メチル−1−シクロプロピル)ホスフィン(Cy−cBRIDP)等が挙げられる。
【0039】
【化12】

【0040】
一般式(2)で表されるジホスフィン類において、R〜Rは各々独立してアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示す。アルキル基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよく、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜15、さらに好ましくは炭素数3〜10のアルキル基が挙げられ、その中でも2級アルキル基、3級アルキル基又はシクロアルキル基が特に好ましく、具体的にはイソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基及び1−アダマンチル基等が挙げられる。アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ナフチル基及びビフェニル基等が挙げられる。なお、RとR、及びRとRは互いに結合してリン原子を含む環を形成してもよい。Qは置換基を有してもよい二価基を示す。二価基としては、触媒活性及び反応の位置選択性の観点から、下記一般式(7)で表される遷移金属ジホスフィン錯体において、リン原子−遷移金属原子−リン原子の為す角(∠PMP)、即ちジホスフィン類の配位挟角(Bite Angle)を75〜140度、好ましくは80〜130度、より好ましくは85〜120度の範囲で与える二価基が挙げられる。
【0041】
【化13】

【0042】
(Pはリン原子を示し、R〜Rは各々独立してアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、Qは置換基を有してもよい二価基を示し、Mは遷移金属原子を示す)
特に好ましい、一般式(2)で表されるジホスフィン類の具体例としては、以下に構造式で示される1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン(DiPPF)、1,1’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン(DCyPF)、1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−tert−ブチルホスフィン(CyPF−tBu)、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(DtBPF)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)キサンテン(tBuXantphos)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(Xantphos)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(DPEPhos)及び2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)等が挙げられる。
【0043】
【化14】

【0044】
一般式(3−1)又は(3−2)で表される(ベンゾ)イミダゾールイリデン類において、R及びRは各々独立してアルキル基を示す。アルキル基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよく、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜15、さらに好ましくは炭素数3〜10のアルキル基が挙げられ、その中でも2級アルキル基、3級アルキル基又はシクロアルキル基が特に好ましく、具体的にはイソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基及び1−アダマンチル基等が挙げられる。特に好ましい、一般式(3−1)又は(3−2)で表される(ベンゾ)イミダゾールイリデン類の具体例としては、以下に構造式で示される1,3−ジイソプロピルイミダゾール−2−イリデン(IiPr)、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ItBu)、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾール−2−イリデン(ICy)、1,3−ジ−(1−アダマンチル)イミダゾール−2−イリデン(IAd)、1,3−ジ−tert−ブチルベンゾイミダゾール−2−イリデン(BItBu)、1,3−ジシクロヘキシルベンゾイミダゾール−2−イリデン(BICy)及び1,3−ジ−(1−アダマンチル)イミダゾール−2−イリデン(BIAd)等が挙げられる。
【0045】
【化15】

【0046】
一般式(4)で表されるイミダゾリジンイリデン類において、R10及びR11は各々独立してアルキル基又はアリール基を示す。アルキル基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよい、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜15、さらに好ましくは炭素数3〜10のアルキル基が挙げられ、その中でも2級アルキル基、3級アルキル基又はシクロアルキル基が特に好ましく、具体的にはイソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基及び1−アダマンチル基等が挙げられる。アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基及び2,6−ジイソプロピルフェニル基等が挙げられる。
特に好ましい、一般式(4)で表されるイミダゾリジンイリデン類の具体例としては、以下に構造式で示される1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン(SIiPr)、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン(SICy)、1,3−ジ−(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン(SIAd)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン(SIPr)及び1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン(SIMes)等が挙げられる。
【0047】
【化16】

【0048】
本発明の製造方法に使用される配位性化合物が空気中で不安定な場合、ブレンステッド酸と反応させることで得られる配位性化合物塩を代用することも好ましい。好ましいブレンステッド酸の具体例としては、例えば塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、テトラフルオロホウ酸及びテトラフェニルホウ酸等が挙げられる。配位性化合物塩の具体例としては、例えばトリ−tert−ブチルホスホニウム テトラフルオロボレート(BuPHBF)、トリ−tert−ブチルホスホニウム テトラフェニルボレート(BuPHBPh)、ジ−tert−ブチルメチルホスホニウム テトラフルオロボレート(BuPMeHBF)、ジ−tert−ブチルネオペンチルホスホニウム テトラフルオロボレート(DTBNpPHBF)、トリシクロヘキシルホスホニウム テトラフルオロボレート(CyPHBF)、ジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスホニウム アイオダイド(cataCXium AHI)、(9−ブチル−9−フルオレニル)ジシクロヘキシルホスホニウム テトラフルオロボレート(cataCXium FBu)、ジシクロヘキシル[9−(3−フェニルプロピル)−9−フルオレニル]ホスホニウム テトラフルオロボレート(cataCXium FPrPh)、1,3−ジイソプロピルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(IiPrHBF)、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(ItBuHBF)、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウム クロライド(ICyHCl)、1,3−ジ−(1−アダマンチル)イミダゾリウム テトラフルオロボレート(IAdHBF)、1,3−ジイソプロピルイミダゾリニウム テトラフルオロボレート(SIiPrHBF)、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリニウム クロライド(SICyHCl)、1,3−ジ−(1−アダマンチル)イミダゾリニウム テトラフルオロボレート(SIAdHBF)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウム クロライド(SIPrHCl)及び1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリニウム クロライド(SIMesHCl)等が挙げられる。
【0049】
本発明の製造方法における配位性化合物は、夫々単独で用いても二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。配位性化合物の使用量は特に限定されるものではないが、パラジウム化合物のパラジウム含量1モルに対して通常0.5〜10.0当量であり、好ましくは0.8〜5.0当量の範囲から適宜選択される。
【0050】
なお、本発明の製造方法において、パラジウム化合物と配位性化合物から構成される触媒の添加方法は特に限定されるものではないが、パラジウム化合物と配位性化合物をそれぞれ単独に反応系に添加してもよく、反応系外でパラジウム化合物と配位性化合物を溶媒中で反応させて調製した触媒溶液を添加してもよく、パラジウム化合物と配位性化合物との反応によって合成されるパラジウム錯体として添加してもよい。
このようなパラジウム錯体の具体例としては、以下に構造式で示されるアセタト(2’−ジ−tert−ブチルホスフィノ−1,1’−ビフェニル−2−イル)パラジウム(II)(Pd(OAc)(johnphos))、アリルクロロ[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン]パラジウム(II)(PdCl(π−allyl)(SIPr))、アリルクロロ(ジ−tert−ブチルネオペンチルホスフィン)パラジウム(II)(PdCl(π−allyl)(DTBNpP))、ビス(ジ−tert−ブチルネオペンチルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(DTBNpP))、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(BuP))、クロロ(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’、4’、6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル)[2−(2−アミノエチル)フェニル]パラジウム(II)(PdCl(bpa)(xphos))、クロロ[(1,2,3−η)−3−フェニル−2−プロペニル][1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン]パラジウム(II)(PdCl(π−cinnamyl)(SIPr))、ジ−μ−ブロモビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)ジパラジウム(I)([PdBr(BuP)])、ビス[ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II)(PdCl(a−taphos))、ビス[ジシクロヘキシル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II)(PdCl(a−caphos))、[1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(PdCl(DtBPF))、ビス[ジシクロヘキシル(2,2−ジフェニル−1−メチルビニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II)(PdCl(cy−vbridp))、[ジ−tert−ブチル(2,2−ジフェニル−1−メチル−1−シクロプロピル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II)(PdCl(cbridp))及びアリルクロロ[ジ−tert−ブチル(2,2−ジフェニル−1−メチル−1−シクロプロピル)ホスフィン]パラジウム(II)(PdCl(π−allyl)(cbridp))等が挙げられる。
【0051】
【化17】

【0052】
本発明の製造方法におけるパラジウム錯体は、夫々単独で用いても二種以上適宜組み合わせて用いてもよく、更に本発明の製造方法における配位性化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0053】
本発明の製造方法に使用される(擬)ハロゲン化(ヘテロ)アリールは、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【0054】
【化18】

【0055】
((Het)Arは置換基を有してもよい芳香環基又は芳香族複素環基を示し、Xは(擬)ハロゲノ基を示し、Xの添え字nは(Het)Arに対するXの同時置換数を示し、1〜7の整数値を示す)
【0056】
一般式(5)で表される化合物において、(Het)Arは置換基を有してもよい芳香環基又は芳香族複素環基を示す。芳香環基は特に限定されるものではないが、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜25、さらに好ましくは炭素数6〜20の芳香環由来の基が挙げられ、特に好ましい芳香環の具体例としては、以下に構造式で示されるベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン及びフルオレン等が挙げられる。これらの芳香環は二量体を形成してもよく、具体例としては例えばビフェニル、1,1’−ビナフチル、9,9’−ビアントリル及び9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]等が挙げられる。更に、これらの芳香環はオキソ基によって置換されていてもよく、具体例としては例えばアントラキノン及びフルオレノンが挙げられる。
【0057】
【化19】

【0058】
芳香族複素環基もまた特に限定されるものではないが、好ましくは炭素数1〜25、より好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜15の芳香族複素環由来の基が挙げられ、特に好ましい芳香族複素環の具体例としては、以下に構造式で示されるフラン、チオフェン、1H−ピロール、ピリジン、1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、インドール、カルバゾール、キノリン、アクリジン、フェナンスリジン、ベンゾ[f]キノリン、ベンゾ[g]キノリン、ベンゾ[h]キノリン、イソキノリン、ベンゾ[f]イソキノリン、ベンゾ[g]イソキノリン及びベンゾ[h]イソキノリン等が挙げられる。
【0059】
【化20】

【0060】
一般式(5)で表される化合物において、Xは(擬)ハロゲノ基、すなわちハロゲノ基又は擬ハロゲノ基を示し、好ましくはクロロ基、ブロモ基、(ハロゲン化)アルカンスルホニルオキシ基及びアレーンスルホニルオキシ基が挙げられる。(ハロゲン化)アルカンスルホニルオキシ基の具体例としては、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基及びノナフルオロブタンスルホニルオキシ基等が挙げられ、アレーンスルホニルオキシ基としては、ベンゼンスルホニルオキシ基及びp−トルエンスルホニルオキシ基等が挙げられ、反応性の観点からはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基、経済性の観点からはp−トルエンスルホニルオキシ基が好ましい。Xの添え字nは(Het)Arに対するXの同時置換数を示し、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3の整数値を示す。nが2以上の場合、すなわち(Het)Arが複数のXによって置換されていた場合、これら複数のXは全て同種でもよく、各々独立して異種でもよい。
【0061】
本発明の製造方法に使用されるNH−アゾール類とは、窒素原子上に水素原子を有する含窒素複素五員環化合物であり、具体的には以下に構造式で示される1H−ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール及びテトラゾール等が挙げられる。これらのNH−アゾール類はそれ自身や芳香環と縮合環を為していてもよく、具体例としては例えばインドール、イソインドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、7H−ベンゾ[c]カルバゾール、7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール、インドロ[2,3−a]カルバゾール及びインドロ[3,2−b]カルバゾール等が挙げられる。更にこれらの化合物は二量体を為していてもよく、具体例としては例えば3,3’−ビ[1H−インドール]、5,5’−ビ[1H−インドール]、3,3’−ビ[9H−カルバゾール]、1,9’−ビ[9H−カルバゾール]及び3,9’−ビ[9H−カルバゾール]等が挙げられる。
【0062】
【化21】

【0063】
特に好ましいNH−アゾール類としては、例えば1H−ピロール、インドール、カルバゾール、ベンゾカルバゾール類、ジベンゾカルバゾール類、インドロカルバゾール類、ビインドール類及びビカルバゾール類等が挙げられる。
【0064】
本発明の製造方法に使用される(擬)ハロゲン化(ヘテロ)アリール及びNH−アゾール類は置換基を有していてもよい。置換基は、本発明の製造方法における反応に関与しない限り特に限定されるものではないが、例えば炭化水素基、脂肪族複素環基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アシルオキシ基、カルボナート基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキサム酸基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ヘテロアリールチオ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニルチオ基、スルフィニル基、スルフィノ基、スルフェナモイル基、スルホニル基、スルホ基、スルファモイル基、アミノ基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ニトロ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニコ基、ホスフォノ基、シリル基、ボリル基、シアノ基及びフルオロ基等が挙げられ、好ましくは炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シリル基、シアノ基及びフルオロ基等が挙げられる。
【0065】
好ましい置換基について更に詳細に説明する。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びアラルキル基等が挙げられる。この内、アルキル基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよく、好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−メチルペンタン−3−イル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基及びn−オクチル基等が挙げられる。アルケニル基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよく、好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基及びオクテニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基が挙げられ、具体的にはエチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基及びオクチニル基等が挙げられる。
【0066】
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜25、さらに好ましくは炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナンスレニル基、ピレニル基及びペリレニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、上記アルキル基の少なくとも1個の水素原子が上記アリール基で置換された基が挙げられ、具体的にはベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニル−2−プロピル基、ジフェニルメチル基、1,1−ジフェニルエチル基及びトリフェニルメチル基等が挙げられる。アルコキシ基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよい、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、5−メチルペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基及びn−オクチルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜25、さらに好ましくは炭素数6〜20のアリールオキシ基が挙げられ、具体的にはフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基及びアントリルオキシ基等が挙げられる。
アシル基としては、α位に水素原子を持たない脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸等由来の炭素数1〜14のアシル基が挙げられ、具体的にはトリフルオロアセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基及びアントリルカルボニル基等が挙げられる。
【0067】
アルキルチオ基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよく、好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基が挙げられ、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基及びn−オクチルチオ基等が挙げられる。アリールチオ基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜25、さらに好ましくは炭素数6〜20のアリールチオ基が挙げられ、具体的にはフェニルチオ基、ナフチルチオ基及びアントリルチオ基等が挙げられる。
【0068】
アミノ基としては、窒素原子上の二つの水素原子が上記の好ましい置換基として例示した炭化水素基によって置換されたアミノ基が挙げられ、具体的にはN,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、N−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−ベンジル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。また、アミノ基窒素原子上の二つの炭化水素基は互いに結合して環を形成してもよく、具体的にはピロリジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、1H−ピロール−1−イル基、1H−インドール−1−イル基及び9H−カルバゾール−9−イル基等が挙げられる。シリル基としては、ケイ素原子上の三つの水素原子が上記の好ましい置換基として例示した炭化水素基によって置換されたシリル基が挙げられ、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基及びトリフェニルシリル基等が挙げられる。
【0069】
この中でも、芳香環を部分構造に有する置換基は、その芳香環が(擬)ハロゲノ基、好ましくはクロロ基、ブロモ基、(ハロゲン化)アルカンスルホニルオキシ基又はアレーンスルホニル基によって更に置換され、本発明の製造方法における条件下でNH−アゾール類と反応しうる、即ち活性置換基となってもよい。このような活性置換基の具体例としては、例えばクロロフェニル基、ブロモフェニル基、p−トルエンスルホニルオキシフェニル基、(クロロフェニル)メチル基、(ブロモフェニル)メチル基、2−(クロロフェニル)−2−プロピル基、2−(ブロモフェニル)−2−プロピル基、(クロロフェニル)ジフェニルメチル基、(ブロモフェニル)ジフェニルメチル基、トリス(クロロフェニル)メチル基、トリス(ブロモフェニル)メチル基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、クロロフェニルチオ基、ブロモフェニルチオ基、N−(クロロフェニル)−N−メチルアミノ基、N−(ブロモフェニル)−N−メチルアミノ基、5−クロロ−1H−インドール−1−イル基、5−ブロモ−1H−インドール−1−イル基、N−(クロロフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(ブロモフェニル)−N−フェニルアミノ基、N,N−ビス(クロロフェニル)アミノ基、N,N−ビス(ブロモフェニル)アミノ基、3,6−ジクロロ−9H−カルバゾール−9−イル基、3,6−ジブロモ−9H−カルバゾール−9−イル基、(クロロフェニル)ジメチルシリル基、(ブロモフェニル)ジメチルシリル基、(クロロフェニル)ジフェニルシリル基、(ブロモフェニル)ジフェニルシリル基、トリス(クロロフェニル)シリル基及びトリス(ブロモフェニル)シリル基等が挙げられる。
【0070】
これらの置換基は、先述した置換基の群から選ばれる適当な基によって更に置換されていてもよい。また、(擬)ハロゲン化(ヘテロ)アリールが複数の置換基によって置換されていた場合、それらの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。更に、NH−アゾール類が複数の置換基によって置換されていた場合も、それらの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0071】
本発明の製造方法におけるマグネシウム塩基は、無機マグネシウム塩基及び下記一般式(6)で表される有機マグネシウム塩基が好ましい。
【0072】
【化22】

【0073】
(Mgはマグネシウム原子を示し、R12及びR13は各々独立して炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基又はハロゲノ基を示す。但し、R12及びR13のいずれもがハロゲノ基である場合を除く)
【0074】
無機マグネシウム塩基の具体例としては、例えば酢酸マグネシウム4水和物、4炭酸マグネシウム水酸化マグネシウム5水和物、水素化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム水和物及びリン酸水素マグネシウム3水和物等が挙げられ、反応性の観点より酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムが好ましい。
【0075】
一般式(6)で表される有機マグネシウム塩基において、R12及びR13は各々独立して炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基又はハロゲノ基を示す。但し、R12及びR13のいずれもがハロゲノ基を示すことはない。炭化水素基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基等が挙げられる。この内、アルキル基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよく、好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基及びn−オクチル基等が挙げられる。アルケニル基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよく、好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基及びアリル基等が挙げられる。アリール基としては好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数6〜8のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基及びジメチルフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としては好ましくは炭素数7〜19、より好ましくは炭素数7〜8のアラルキル基が挙げられ、具体的にはベンジル基及びメチルベンジル基等が挙げられる。アルコキシ基としては直鎖状でも、分岐状でも又は環状でもよく、例えば好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基及びtert−ブトキシ基等が挙げられる。アミノ基としては、窒素原子上の二つの水素原子が上記アルキル基又はシリル基によって置換されたアミノ基が挙げられ、具体的にはジイソプロピルアミノ基、ジシクロヘキシル基及びビス(トリメチルシリル)アミノ基等が挙げられる。また、アミノ基窒素原子上の二つのアルキル基は互いに結合して環を形成してもよく、具体的には2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル基等が挙げられる。ハロゲノ基としては、具体的にはクロロ基、ブロモ基及びヨード基等が挙げられる。
【0076】
入手容易性、反応性及び経済性の観点より、特に好ましい有機マグネシウム塩基としては、R12が炭化水素基かつR13がハロゲノ基である有機マグネシウム塩基、すなわちGrignard試薬が挙げられる。本発明の製造方法に用いられるGrignard試薬としては、好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のGrignard試薬が挙げられ、具体的には塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、ヨウ化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化n−プロピルマグネシウム、塩化イソプロピルマグネシウム、臭化イソプロピルマグネシウム、臭化シクロプロピルマグネシウム、塩化n−ブチルマグネシウム、臭化イソブチルマグネシウム、臭化sec−ブチルマグネシウム、塩化tert−ブチルマグネシウム、臭化n−ペンチルマグネシウム、臭化シクロペンチルマグネシウム、臭化n−ヘキシルマグネシウム、臭化シクロヘキシルマグネシウム、臭化n−ヘプチルマグネシウム、臭化n−オクチルマグネシウム、臭化ビニルマグネシウム、塩化アリルマグネシウム、臭化アリルマグネシウム、塩化フェニルマグネシウム、臭化フェニルマグネシウム、ヨウ化フェニルマグネシウム、臭化o−トリルマグネシウム、臭化m−トリルマグネシウム、臭化p−トリルマグネシウム、臭化(2,5−ジメチルフェニル)マグネシウム、塩化ベンジルマグネシウム及び臭化ベンジルマグネシウム等が挙げられる。
【0077】
本発明の製造方法におけるマグネシウム塩基は、夫々単独で用いても二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。マグネシウム塩基の使用量は特に限定されるものではないが、NH−アゾール類窒素原子上の水素原子1モルに対して、通常0.3〜10当量、好ましくは0.5〜5当量、より好ましくは0.8〜3当量の範囲から適宜選択される。
【0078】
なお、本発明の製造方法において、マグネシウム塩基の添加方法は特に限定されるものではないが、マグネシウム塩基とNH−アゾール類をそれぞれ単独に反応系に添加してもよく、反応系外でマグネシウム塩基とNH−アゾール類を溶媒中で混合した後に添加してもよく、マグネシウム塩基とNH−アゾール類との反応によって合成されるマグネシウムアミド類として添加してもよい。このようなマグネシウムアミド類の具体例としては例えば、塩化(1H−ピロール−1−イル)マグネシウム、メチル(1H−ピロール−1−イル)マグネシウム、ビス(1H−ピロール−1−イル)マグネシウム、塩化(インドール−1−イル)マグネシウム、塩化(インドール−1−イル)マグネシウム・N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン錯体、水酸化(インドール−1−イル)マグネシウム、(インドール−1−イル)マグネシウムヘキサメチルジシラジド、臭化(9H−カルバゾール−9−イル)マグネシウム、(9H−カルバゾール−9−イル)エチルマグネシウム、ビス(9H−カルバゾール−9−イル)マグネシウム・テトラヒドロフラン錯体及び(9H−カルバゾール−9−イル)(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)マグネシウム等が挙げられる。
【0079】
本発明の製造方法は溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒は、本発明の製造方法における反応に関与しない限り特に限定されるものではないが、好ましい溶媒の具体例としては例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ウンデカン、シクロヘキサン及びデカリン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、p−シメン及びジイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素類、tert−ブタノール及び2−メチル−2−ブタノール等の3級アルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)及び1,4−ジオキサン等のエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類及び水等が挙げられる。マグネシウム塩基として、有機マグネシウム塩基を用いる場合に特に好ましい溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ウンデカン、シクロヘキサン及びデカリン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、p−シメン及びジイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、THF及び1,4−ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は、夫々単独で用いても二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。溶媒の使用量は、本発明の製造方法における反応が十分に進行する限り特に限定されるものではないが、NH−アゾール類の重量に対して通常0.5〜200倍容量、好ましくは1〜100倍容量、より好ましくは2〜50倍容量の範囲から適宜選択される。
【0080】
本発明の製造方法において、反応温度は特に限定されるものではないが、5〜300℃、好ましくは10〜200℃、より好ましくは25〜150℃の範囲から適宜選択される。反応時間は、(擬)ハロゲン化(ヘテロ)アリールやNH−アゾール類の種類及び反応条件の違いにより自ずから異なるが、5分〜72時間の範囲から適宜選択される。また、本発明の製造方法は不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。不活性ガスとしては、具体的には窒素及びアルゴン等が挙げられる。
【0081】
本発明の製造方法によって得られたN−(ヘテロ)アリールアゾール類は、必要に応じて後処理、精製及び単離を行うことができる。後処理の方法としては例えば、反応液の洗浄、生成物の抽出、沈殿物の濾過、溶媒の留去及び溶媒の添加による晶析等が挙げられ、これらの後処理を単独で或いは併用して行ってもよい。精製及び単離の方法としては、例えば、活性炭及びシリカゲル等の吸着剤による脱色、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶及び昇華等が挙げられ、これらを単独で又は併用して行ってもよい。
【実施例】
【0082】
以下、本発明の製造方法について実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例において物性の測定に用いた装置及び条件は以下の通りである。
ガスクロマトグラフィー(GC):GC−2010Plus型装置(島津製作所製)
なお、GC分析における測定条件は以下の通りである。
カラム:InertCap 1(ジーエルサイエンス社製)、初期温度:100℃、昇温速度:10℃/分、最終温度:250℃、測定時間:30分間。
核磁気共鳴分光法(NMR):GEMINI2000型装置(バリアン社製)
なお、NMR分析における重溶媒としては重クロロホルム(CDCl)を使用し、H NMRの内部標準物質としてはテトラメチルシラン(0ppm)、13C NMRの内部標準物質としてはCDCl自身(77ppm)、19F NMRの外部標準物質としてはα,α,α−トリフルオロ−p−キシレン(−64ppm)を用いた。
【0083】
(実施例1)N−(4−メチルフェニル)カルバゾール(構造式(8))の製造(反応式2)
【0084】
【化23】

【0085】
50mL二つ口反応フラスコに、アリルパラジウム(II)クロライドダイマー([PdCl(π−allyl)])(5.8mg、0.025モル%)及びジ−tert−ブチル(2,2−ジフェニル−1−メチル−1−シクロプロピル)ホスフィン(cBRIDP)(22.2mg、0.1モル%)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで脱水THF(8.2mL、101.0mmol、1.6当量)を加え、室温で1分間攪拌することで、PdCl(π−allyl)(cbridp)及びcBRIDP等量混合物のTHF溶液(触媒溶液)を薄黄色の液体として調製した。その一方で、200mL四つ口反応フラスコにスターラーバー、冷却管、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにカルバゾール(10.9g、65.0mmol、1.03当量)及び脱水キシレン(66mL)を加え、氷水浴を用いて5℃に冷却した。次いで滴下漏斗を用いて塩化メチルマグネシウム(MeMgCl)のTHF溶液(3.22mol/L、20.0mL、64.4mmol、1.02当量){THFを17.3mL(15.4g、213.6mmol、3.4当量)相当含有}を、反応液の温度が20℃以下となるような速度で10分かけて滴下した後、滴下漏斗を脱水キシレン(11mL)にて共洗した。次いで、4−クロロトルエン(7.5mL、63.1mmol、1.0当量)及び触媒溶液(8.2mL)を順次加えた後、還流条件にて1時間攪拌した。この時点でGC分析を行って反応の進行を確認したところ、4−クロロトルエン(GC保持時間:2.8分)は完全に消費されていた。反応液を室温にまで冷却した後に、水(25mL)及び塩化アンモニウム(1.7g、31.8mmol、0.5当量)を加え、水層を分液した後に減圧下にて溶媒を留去した。得られたオイル状残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/トルエン=2/1)にて精製することで、目的とするN−(4−メチルフェニル)カルバゾールを白色粉末として16.0g得た。
単離収率:98.5%。
H NMR(300MHz,CDCl):2.48(s,3H),7.23−7.30(m,2H),7.35−7.45(m,8H),8.14(dt,J=7.5,0.9Hz,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl):21.2,109.8,119.7,120.2,123.2,125.8,127.0,130.4,135.0,137.3,141.1.
【0086】
(実施例2)配位性化合物としてジ−tert−ブチル(2,2−ジフェニル−1−メチルビニル)ホスフィン(vBRIDP)を用いた、N−(4−メチルフェニル)カルバゾール(構造式(8))の製造
配位性化合物としてvBRIDP(21.4mg、0.1モル%)を用い、その他は実施例1と同様の実験操作にて3時間反応を行ったところ、目的とするN−(4−メチルフェニル)カルバゾールが白色粉末として15.9g得られた。
単離収率:98.0%。
【0087】
(実施例3)配位性化合物として2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(tBuXPhos)を用いた、N−(4−メチルフェニル)カルバゾール(構造式(8))の製造
配位性化合物としてtBuXPhos(26.8mg、0.1モル%)を用い、その他は実施例1と同様の実験操作にて3時間反応を行ったところ、目的とするN−(4−メチルフェニル)カルバゾールが白色粉末として14.3g得られた。
単離収率:88.1%。
【0088】
実施例1〜3の結果をまとめて表1として示す。
【0089】
【表1】

【0090】
これらの結果から、本発明の製造方法では種々の電子豊富で嵩高い配位性化合物を好適に使用出来ることが明らかとなった。
【0091】
(実施例4)N−(4−メトキシフェニル)カルバゾール(構造式(9))の製造
【0092】
【化24】

【0093】
50mL二つ口反応フラスコに、[PdCl(π−allyl)](23.1mg、0.1モル%)及びcBRIDP(89.0mg、0.4モル%)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで脱水THF(8.2mL、101.0mmol、1.6当量)を加えて触媒溶液を調製した。200mL四つ口反応フラスコにスターラーバー、冷却管、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにカルバゾール(10.9g、65.0mmol、1.03当量)及び脱水キシレン(66mL)を加え、氷水浴を用いて5℃に冷却した。次いでMeMgClのTHF溶液(3.22mol/L、20.0mL、64.4mmol、1.02当量)を、反応液の温度が20℃以下となるような速度で滴下した後、滴下漏斗を脱水キシレン(11mL)にて共洗した。次いで、4−クロロアニソール(7.7mL、63.1mmol、1.0当量)及び触媒溶液(8.2mL)を順次加えた後、還流条件にて1時間攪拌した。反応液を室温にまで冷却した後に、水(25mL)及び塩化アンモニウム(1.7g)を加え、水層を分液した後に減圧下にて溶媒を留去した。得られた固体状残渣をトルエンに溶解させ、シリカゲル(1g)を加えて脱色した後に、セライト濾過を行った。濾液を濃縮後、残渣をトルエン/メタノールから再結晶することで、目的とするN−(4−メトキシフェニル)カルバゾールを白色粉末として16.1g得た。
単離収率:93.3%。
H NMR(300MHz,CDCl):3.91(s,3H),7.08−7.14(m,2H),7.27(ddd,J=1.2,6.9,7.8Hz,2H),7.32(d,J=8.1Hz,2H),7.40(ddd,J=1.2,6.9,8.1Hz,2H),7.42−7.48(m,2H),8.14(d,J=7.5Hz,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl):55.6,109.7,115.1,119.6,120.2,123.1,125.8,128.6,130.3,141.4,158.9.
【0094】
(実施例5)N−(3−メチルフェニル)カルバゾール(構造式(10))の製造
【0095】
【化25】

【0096】
ハロゲン化アリールとして3−クロロトルエン(7.4mL、63.1mmol、1.0当量)を用い、その他は実施例1と同様の実験操作にて1時間反応を行ったところ、目的とするN−(3−メチルフェニル)カルバゾールが無色非晶質として16.1g得られた。単離収率:99.1%。H NMR(300MHz,CDCl):2.46(s,3H),7.24−7.31(m,9H),7.48(dt,J=0.9,7.5Hz,1H),8.14(dt,J=7.8,0.9Hz,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl):21.4,109.8,119.8,120.2,123.3,124.1,125.8,127.7,128.2,129.6,137.6,139.9,140.9.
【0097】
(実施例6)N−フェニルカルバゾール(構造式(11))の製造
【0098】
【化26】

【0099】
ハロゲン化アリールとしてクロロベンゼン(6.4mL、63.1mmol、1.0当量)を用い、その他は実施例1と同様の実験操作にて30分反応を行ったところ、目的とするN−フェニルカルバゾールが白色粉末として15.2g得られた。
単離収率:99.0%。
H NMR(300MHz、CDCl):7.25−7.33(m,2H),7.38−7.50(m,5H),7.53−7.64(m,4H),8.16(dt,J=7.8,0.9Hz,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl):109.7,119.9,120.3,123.3,125.9,127.1,127.4,129.8,137.7,140.9.
【0100】
(実施例7)ハロゲン化アリールとしてブロモベンゼンを用いた、N−フェニルカルバゾール(構造式(11))の製造
ハロゲン化アリールとしてブロモベンゼン(6.6mL,63.1mmol、1.0当量)を用い、その他は実施例1と同様の実験操作にて1時間反応を行ったところ、目的とするN−フェニルカルバゾールが白色粉末として15.0g得られた。
単離収率:97.7%。
【0101】
(実施例8)N−(4−クロロフェニル)カルバゾール(構造式(12))の製造
【0102】
【化27】

【0103】
ハロゲン化アリールとして4−ブロモクロロベンゼン(12.1g、63.1mmol、1.0当量)を用い、その他は実施例1と同様の実験操作にて2時間反応を行ったところ、目的とするN−(4−クロロフェニル)カルバゾールが白色粉末として17.5g得られた。純度96.8重量%(副生成物として、1.4−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼンが2.0モル%混入した為)。
単離収率96.7%。
H NMR(300MHz、CDCl):7.29(ddd,J=1.5,6.6,8.1Hz,2H),7.36(d,J=7.8Hz,2H),7.41(ddd,J=1.2,6.6,8.1Hz,2H),7.50(dt,J=8.7,2.4Hz,2H),7.57(dt,J=9.0,2.4Hz,2H),8.14(dt,J=7.8,0.9Hz,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl):109.8,120.4,120.6,123.7,126.3,128.7,130.4,133.3,136.5,140.9.
【0104】
(実施例9)N−(4−トリフルオロメチルフェニル)カルバゾール(構造式(13))の製造
【0105】
【化28】

【0106】
ハロゲン化アリールとして4−クロロベンゾトリフルオリド(8.4mL、63.1mmol、1.0当量)を用い、その他は実施例1と同様の実験操作にて15分反応を行った。反応液を室温にまで冷却した後に、水(25mL)及び塩化アンモニウム(1.7g)を加え、水層を分液した後に減圧下にて溶媒を留去した。得られた固体状残渣をトルエンに溶解させ、シリカゲル(1g)を加えて脱色した後に、セライト濾過を行った。濾液を濃縮後、残渣をトルエン/メタノールから再結晶することで、目的とするN−(4−トリフルオロメチルフェニル)カルバゾールを白色粉末として18.4g得た。
単離収率:93.7%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.28−7.35(m,2H),7.38−7.46(m,4H),7.72(d,J=8.7Hz,2H),7.88(d,J=8.4Hz,2H),8.15(dd,J=1.2,7.8Hz,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl):109.6,120.5,120.6,123.7,126.2,127.05,127.12,140.3,141.1.
19F NMR(282MHz,CDCl):−63.9.
【0107】
(実施例10)N−(4−ベンゾイルフェニル)カルバゾール(構造式(14))の製造
【0108】
【化29】

【0109】
ハロゲン化アリールとして4−クロロベンゾフェノン(14.1g、63.1mmol、1.0当量)を用い、その他は実施例1と同様の実験操作にて15分反応を行ったところ、目的とするN−(4−ベンゾイルフェニル)カルバゾールが薄黄色固体として22.2g得られた。
単離収率:99.2%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.32(ddd,J=0.9,7.2,8.1Hz,2H),7.44(ddd,J=1.2,7.2,8.1Hz,2H)7.49−7.59(m,4H),7.60−7.68(m,1H),7.70−7.76(m,2H),7.87−7.94(m,2H),8.04−8.11(m,2H),8.15(d,J=7.8Hz,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl):109.8,120.4,120.6,123.8,126.2,126.3,128.4,130.0,131.9,132.6,136.0,137.5,140.3,141.7,195.6.
【0110】
(実施例11)N−(4−シアノフェニル)カルバゾール(構造式(15))の製造
【0111】
【化30】

【0112】
ハロゲン化アリールとして4−クロロベンゾニトリル(8.7g、63.1mmol、1.0当量)を用い、その他は実施例9と同様の実験操作にて30分反応を行ったところ、目的とするN−(4−シアノフェニル)カルバゾールが白色粉末として16.0g得られた。
単離収率:92.6%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.33(ddd,J=2.7,5.7,8.1Hz,2H),7.40−7.48(m,4H),7.74(dt,J=8.7,2.1Hz,2H),7.87−7.94(m,2H),8.14(d,J=7.8Hz,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl):109.5,110.5,118.3,120.6,121.0,124.0,126.4,127.1,133.9,139.9,142.1.
【0113】
(実施例12)2−(N−カルバゾリル)チオフェン(構造式(16))の製造
【0114】
【化31】

【0115】
50mL二つ口反応フラスコに、[PdCl(π−allyl)](23.1mg、0.1モル%)及びcBRIDP(89.0mg、0.4モル%)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで脱水THF(8.2mL、101.0mmol、1.6当量)を加えて触媒溶液を調製した。200mL四つ口反応フラスコにスターラーバー、冷却管、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにカルバゾール(10.9g、65.0mmol、1.03当量)及び脱水キシレン(66mL)を加え、氷水浴を用いて5℃に冷却した。次いでMeMgClのTHF溶液(3.22mol/L、20.0mL、64.4mmol、1.02当量)を、反応液の温度が20℃以下となるような速度で滴下した後、滴下漏斗を脱水キシレン(11mL)にて共洗した。次いで、2−クロロチオフェン(5.8mL、63.1mmol、1.0当量)及び触媒溶液(8.2mL)を順次加えた後、還流条件にて2時間攪拌した。反応液を室温にまで冷却した後に、水(25mL)及び塩化アンモニウム(1.7g)を加え、水層を分液した後に減圧下にて溶媒を留去した。得られたオイル状残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/トルエン=2/1)にて精製することで、目的とする2−(N−カルバゾリル)チオフェンを薄黄色固体として15.4g得た。
単離収率:97.9%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.15−7.23(m,2H),7.30(ddd,J=2.4,6.0,8.1Hz,2H),7.38(dd,J=1.8,5.4Hz,1H,7.39−7.48(m,4H),8.10(d,J=7.5Hz,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl):110.2,120.2,120.5,123.5,124.2,124.8,126.19,126.22,142.0.
【0116】
(実施例13)2−(N−カルバゾリル)ピリジン(構造式(17))の製造
【0117】
【化32】

【0118】
ハロゲン化ヘテロアリールとして2−クロロピリジン(6.0mL、63.1mmol、1.0当量)、その他は実施例12と同様の実験操作にて1時間反応を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶離液としてトルエン/トリエチルアミン=100/1を用いて精製したところ、目的とする2−(N−カルバゾリル)ピリジンが白色粉末として15.1g得られた。
単離収率:98.0%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.29(dd,J=0.9,7.5Hz,1H),7.31(dt,J=0.9,7.5Hz,2H),7.44(ddd,J=1.2,7.2,8.4Hz,2H),7.64(dt,J=0.9,8.4Hz,1H),7.84(d,J=8.1Hz,2H),7.92(ddd,J=2.1,7.5,8.1Hz,1H),8.12(ddd,J=0.9,1.5,7.8Hz,2H),8.73(ddd,J=0.9,1.8,4.8Hz,1H).
13C NMR(75MHz,CDCl):111.1,119.1,120.2,120.9,121.2,124.3,126.2,138.4,139.6,149.6,151.9.
【0119】
(実施例14)2−(N−カルバゾリル)キノリン(構造式(18))の製造
【0120】
【化33】

【0121】
ハロゲン化ヘテロアリールとして2−クロロキノリン(10.3g、63.1mmol、1.0当量)を用い、その他は実施例12と同様の実験操作にて15分反応を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶離液としてトルエン/トリエチルアミン=100/1を用いて精製したところ、目的とする2−(N−カルバゾリル)キノリンが薄黄色固体として18.3g得られた。
単離収率:98.5%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.34(ddd,J=1.2,7.8,8.4Hz,2H),7.47(ddd,J=1.2,7.2,8.4Hz,2H),7.59(ddd,J=0.9,6.9,8.1Hz,1H),7.75−7.84(m,2H),7.91(dd,J=1.2,8.4Hz,1H),8.01(dt,J=8.4,0.9Hz,2H),8.10−8.20(m,3H),8.35(d,J=9.0Hz,1H).
13C NMR(75MHz,CDCl):111.6,117.7,120.2,121.2,124.6,126.30,126.34,126.5,127.6,128.8,130.3,138.7,139.6,147.7,150.9.
【0122】
(実施例15)擬ハロゲン化アリールとして2−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン(2−ナフチルトシラート)を用いた、N−(2−ナフチル)カルバゾール(構造式(19))の製造(反応式3)
【0123】
【化34】

【0124】
高純度品が入手困難な2−ハロゲン化ナフタレン(2−クロロナフタレンは市販されておらず、市販の2−ブロモナフタレンは高価な上に1−ブロモ体が混入している)の代わりに、安価に入手可能な2−ナフトールから得られる擬ハロゲン化アリールを用いて、表題化合物の製造を行った。2L四つ口反応フラスコにスターラーバー、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに2−ナフトール(51.8g、359.3mmol、1.0当量)、脱水トルエン(800mL)及びトリエチルアミン(52.6mL、377.3mmol、1.05当量)を順次仕込んだ。次いで、p−トルエンスルホニルクロライド(69.9g、366.5mmol、1.02当量)の脱水トルエン(140mL)溶液を内温が50度以下を保つ速度で15分かけて滴下し、室温で更に2時間攪拌した。得られた白色の懸濁液を水に注いだ後に水層を分液し、有機層をシリカゲル濾過した。濾液から減圧下にて溶媒を留去して得られた残渣をトルエン/メタノールから再結晶することで、目的とする2−ナフチルトシラートを白色粉末として94.2g得た。濾液を濃縮して得られた残渣を再結晶し、更に9.2gの目的物を得た。
単離収率:96.5%。
H NMR(300MHz,CDCl):2.44(s,3H),7.10(dd,J=2.4,9.0Hz,1H),7.29(d,J=7.8Hz,2H),7.45−7.52(m,3H),7.70−7.84(m,5H).
【0125】
50mL二つ口反応フラスコに、[PdCl(π−allyl)](5.8mg、0.05モル%)及びcBRIDP(22.2mg、0.2モル%)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで脱水THF(4.1mL、50.5mmol、1.6当量)を加えて触媒溶液を調製した。200mL四つ口反応フラスコにスターラーバー、冷却管、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにカルバゾール(5.4g、32.5mmol、1.03当量)及び脱水キシレン(33mL)を加え、氷水浴を用いて5℃に冷却した。次いでMeMgClのTHF溶液(3.22mol/L、10.0mL、32.2mmol、1.02当量)を、反応液の温度が20℃以下となるような速度で滴下した後、滴下漏斗を脱水キシレン(6mL)にて共洗した。次いで、2−ナフチルトシラート(9.4g、31.6mmol、1.0当量)及び触媒溶液(4.1mL)を順次加えた後、還流条件にて15分攪拌した。反応物を室温にまで冷却した後に、水(100mL)及び塩化アンモニウム(850mg)を加え、水層を分液した後に減圧下にて溶媒を留去した。得られた固体状残渣をトルエンに溶解させ、シリカゲル(500mg)を加えて脱色した後に、セライト濾過を行った。濾液を濃縮後、残渣をトルエン/メタノールから再結晶することで、目的とするN−(2−ナフチル)カルバゾールを白色粉末として8.5g得た。
単離収率:91.6%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.30(ddd,J=1.5,6.6,7.8Hz,2H),7.41(ddd,J=1.2,6.6,8.1Hz,2H),7.47(ddd,J=0.9,1.5,8.1Hz,2H),7.54−7.61(m,2H),7.66(dd,J=2.1,8.7Hz,1H),7.86−8.00(m,2H),8.05−8.09(m,2H),8.17(dt,J=7.5,0.9Hz,2H).
13C NMR(75MHz,CDCl):109.8,120.0,120.3,123.4,125.3,125.4,126.0,126.5,126.8,127.86,127.93,129.8,132.4,134.0,135.2,141.1.
【0126】
実施例4〜15の結果をまとめて表2として示す。
【0127】
【表2】

【0128】
これらの結果から、本発明の製造方法では種々の(擬)ハロゲン化(ヘテロ)アリールを好適に使用出来ることが明らかとなった。
【0129】
(実施例16)1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(mCP、構造式(20))の製造
【0130】
【化35】

【0131】
50mL二つ口反応フラスコに、[PdCl(π−allyl)](11.6mg、0.1モル%)及びcBRIDP(44.4mg、0.4モル%)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで脱水THF(8.2mL、101.0mmol、3.2当量)を加えて触媒溶液を調製した。200mL四つ口反応フラスコにスターラーバー、冷却管、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにカルバゾール(10.9g、65.0mmol、2.06当量)及び脱水キシレン(66mL)を加え、氷水浴を用いて5℃に冷却した。次いでMeMgClのTHF溶液(3.22mol/L、20.0mL、64.4mmol、2.04当量)を、反応液の温度が20℃以下となるような速度で滴下した後、滴下漏斗を脱水キシレン(11mL)にて共洗した。次いで、1,3−ジクロロベンゼン(3.6mL、31.6mmol、1.0当量)及び触媒溶液(8.2mL)を順次加えた後、還流条件にて10分攪拌した。反応液を室温にまで冷却した後に、水(25mL)及び塩化アンモニウム(1.7g)を加え、水層を分液した後に減圧下にて溶媒を留去した。得られた固体状残渣をトルエンに溶解させ、シリカゲル(1g)を加えて脱色した後に、セライト濾過を行った。濾液を濃縮後、残渣をトルエン/メタノールから再結晶することで、目的とするmCPを白色粉末として12.5g得た。
単離収率:96.8%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.31(ddd,J=1.2,6.6,7.8Hz,4H),7.44(ddd,J=1.2,6.9,8.1Hz,4H),7.54(d,J=8.1Hz,4H),7.70(dd,J=2.1,7.5Hz,2H),7.80−7.88(m,2H),8.15(d,J=7.8Hz,4H).
13C NMR(75MHz,CDCl):109.7,120.3,120.4,123.6,125.3,125.8,126.1,131.2,139.4,140.6.
【0132】
(実施例17)1,4−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(pCP、構造式(21))の製造
【0133】
【化36】

【0134】
ハロゲン化アリールとして1,4−ジクロロベンゼン(4.6g、31.6mmol、1.0当量)を用い、その他は実施例16と同様の実験操作にて10分反応を行った。反応物に塩化アンモニウム水溶液を加えた後にクロロホルム(800mL)に注ぎ、水層を分液した後に有機層をシリカゲル濾過した。濾液から減圧下にてクロロホルムを留去した後にメタノール(130mL)を加え、得られた懸濁液を吸引濾過して濾取した結晶を減圧下加熱乾燥することで、目的とするpCPを白色粉末として12.6g得た。
単離収率:97.6%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.34(ddd,J=0.9,6.9,7.8Hz,4H),7.48(ddd,J=1.2,6.9,8.1Hz,4H),7.57(d,J=8.4Hz,4H),7.83(s,4H),8.19(d,J=7.8Hz,4H).
13C NMR(75MHz,CDCl):109.7,120.3,120.4,123.6,126.1,128.4,136.7,140.8.
【0135】
(実施例18)4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP、構造式22))の製造
【0136】
【化37】

【0137】
ハロゲン化アリールとして4,4’−ジブロモビフェニル(9.8g、31.6mmol、1.0当量)を用い、その他は実施例16と同様の実験操作にて15分反応を行った。反応物に塩化アンモニウム水溶液を加えた後にクロロホルム(500mL)に注ぎ、水層を分液した後に有機層をシリカゲル濾過した。濾液から減圧下にてクロロホルムを留去した後にメタノール(150mL)を加え、得られた懸濁液を吸引濾過して濾取した結晶を減圧下加熱乾燥することで、目的とするCBPを薄黄色粉末として14.9g得た。
単離収率:97.3%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.32(ddd,J=1.2,6.9,7.8Hz,4H),7.45(ddd,J=1.2,6.9,8.1Hz,4H),7.52(d,J=7.8Hz,4H),7.68−7.74(m,4H),7.88−7.95(m,4H),8.18(d,J=7.5Hz,4H).
13C NMR(75MHz,CDCl):110.6,120.3,120.6,123.7,126.2,127.7,128.8,137.5,139.5,141.1.
【0138】
(実施例19)2,6−ビス(N−カルバゾリル)ピリジン(26mCPy、構造式23))の製造
【0139】
【化38】

【0140】
50mL二つ口反応フラスコに、[PdCl(π−allyl)](23.1mg、0.2モル%)及びcBRIDP(89.0mg、0.8モル%)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで脱水THF(8.2mL、101.0mmol、3.2当量)を加えて触媒溶液を調製した。200mL四つ口反応フラスコにスターラーバー、冷却管、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにカルバゾール(10.9g、65.0mmol、2.06当量)及び脱水キシレン(66mL)を加え、氷水浴を用いて5℃に冷却した。次いでMeMgClのTHF溶液(3.22mol/L、20.0mL、64.4mmol、2.04当量)を、反応液の温度が20℃以下となるような速度で滴下した後、滴下漏斗を脱水キシレン(11mL)にて共洗した。次いで、2,6−ジクロロピリジン(4.7g、31.6mmol、1.0当量)及び触媒溶液(8.2mL)を順次加えた後、還流条件にて15分攪拌した。反応液を50℃にまで冷却した後に、トルエン(70mL)、水(25mL)及び塩化アンモニウム(1.7g)を加え、50℃にて水層を分液した。有機層から減圧下にて残存したTHF及び水分を留去し、更にシリカゲル(1g)を加えて脱色した後にセライト濾過を行った。濾液を濃縮後、残渣をトルエン/メタノールから再結晶することで、目的とする26mCPyを白色粉末として11.8g得た。
単離収率:91.2%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.33(dt,J=0.9,7.5Hz,4H),7.41(dt,J=1.2,7.2Hz,4H),7.63(d,J=8.1Hz,2H),8.02(d,J=8.1Hz,2H),8.08−8.15(m,5H).
13C NMR(75MHz,CDCl):111.9,114.9,120.1,121.2,124.6,126.3,139.5,140.4,151.6.
【0141】
(実施例20)1,3,5−トリス(N−カルバゾリル)ベンゼン(tCP、構造式(24))の製造
【0142】
【化39】

【0143】
50mL二つ口反応フラスコに、[PdCl(π−allyl)](11.6mg、0.15モル%)及びcBRIDP(44.4mg、0.6モル%)を仕込み、内部を窒素置換した。次いで脱水THF(8.2mL、101.0mmol、4.8当量)を加えて触媒溶液を調製した。200mL四つ口反応フラスコにスターラーバー、冷却管、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにカルバゾール(10.9g、65.0mmol、3.09当量)及び脱水キシレン(66mL)を加え、氷水浴を用いて5℃に冷却した。次いでMeMgClのTHF溶液(3.22mol/L、20.0mL、64.4mmol、3.06当量)を、反応液の温度が20℃以下となるような速度で滴下した後、滴下漏斗を脱水キシレン(11mL)にて共洗した。次いで、1,3,5−トリクロロベンゼン(3.8g、21.0mmol、1.0当量)及び触媒溶液(8.2mL)を順次加えた後、還流条件にて10分攪拌した。反応物に塩化アンモニウム水溶液を加えた後にクロロホルム(1,200mL)に注ぎ、水層を分液した後に有機層をシリカゲル濾過した。濾液から減圧下にてクロロホルムを留去した後にメタノール(200mL)を加え、得られた懸濁液を吸引濾過して濾取した結晶を減圧下加熱乾燥することで、目的とするtCPを白色粉末として11.4g得た。
単離収率:94.6%。
H NMR(300MHz,CDCl):7.34(ddd,J=0.9,6.9,7.8Hz,6H),7.48(ddd,J=1.2,7.2,8.4Hz,6H),7.67(d,J=8.1Hz,6H),7.96(s,3H),8.17(d,J=7.8Hz,6H).
13C NMR(75MHz,CDCl):109.7,120.6,120.7,123.5,123.9,126.4,140.3,140.8.
【0144】
実施例16〜20の結果をまとめて表3に示す。
【0145】
【表3】

【0146】
これらの結果より、本発明の製造方法ではmCP、pCP、CBP、26mCPy及びtCP等の有機光導電体/有機電界発光素子材料を、極めて少ないパラジウム触媒量(ハロゲン化(ヘテロ)アリール中のハロゲン原子1モルに対して0.1〜0.2モル%)、短時間(10〜15分)及び高い単離収率(91.2〜97.6%)で製造出来ることが明らかとなった。
【0147】
(実施例21)N−フェニルインドール(構造式(25))の製造
【0148】
【化40】

【0149】
NH−アゾール類の一種であるインドールとハロゲン化アリールを、パラジウム触媒存在下で反応させる際にマグネシウム塩基を用いると、N−アリールインドールではなくC−アリールインドールが得られるという報告(非特許文献8)があることから、NH−アゾール類としてインドールを用いて実験を行った。
【0150】
50mL二つ口反応フラスコに[PdCl(π−allyl)](15.6mg、0.1モル%)及びcBRIDP(60.2mg、0.4モル%)を加え、内部を窒素置換した。次いで脱水THF(11mL)を加えて触媒溶液を調製した。200mL四つ口反応フラスコにスターラーバー、冷却管、滴下漏斗及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにインドール(5.0g、42.7mmol、1.0当量)及び脱水トルエン(55mL)を仕込み、氷水浴を用いて5℃に冷却した。次いで塩化tert−ブチルマグネシウム(BuMgCl)のTHF溶液(1.02mol/L、46.0mL、47.0mmol、1.1当量){THFを42.0mL相当含有}を反応液の温度が15℃以下となるような速度で滴下した後、クロロベンゼン(4.8mL、47.0mmol、1.1当量)及び触媒溶液(11mL)を順次加え、還流条件にて15分攪拌した。反応液を室温にまで冷却した後に水(30mL)を加え、水層を分液した後に減圧下にて溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/トルエン)にて精製することで、フェニルインドールを粘性液体として7.9g得た。
単離収率:96.0%。
H NMR(300MHz、CDCl):6.69(dd,J=3.6,0.9Hz,1H),7.13−7.26(m,2H),7.32−7.41(m,2H),7.48−7.61(m,5H),7.67−7.73(m,1H).
この分析結果から、本発明の製造方法ではマグネシウム塩基を用いているにも関わらず、生成物はC−フェニルインドールではなく、N−フェニルインドールであることが明らかとなった。
【0151】
(実施例22)9−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール(構造式(26))の製造
【0152】
【化41】

【0153】
NH−アゾール類として2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール(11.1g、65.0mmol、1.03当量)を用い、その他は実施例6と同様の実験操作にて1時間反応を行ったところ、目的とする9−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾールを白色固体として15.5g得た。
単離収率:99.3%。
H NMR(300MHz、CDCl):1.82−1.96(m,4H),2.59−2.63(m,2H),2.75−2.82(m,2H),7.05−7.14(m,2H),7.17−7.25(m,1H),7.33−7.41(m,3H),7.45−7.54(m,3H).
13C NMR(75MHz,CDCl):21.1,23.1,23.2,23.4,109.8,110.9,117.7,119.5,121.2,127.0,127.2,127.7,129.3,135.8,137.2,138.0.
【0154】
(比較例1)N−フェニルカルバゾール(構造式(11))の製造時における、MeMgClとナトリウムtert−ブトキシド(NaOBu)との比較実験(反応式4)
【0155】
【化42】

【0156】
実施例6で用いたMeMgClをNaOBuに置き換えて、両者の比較実験を行った。すなわち、50mL二つ口反応フラスコに[PdCl(π−allyl)](5.8mg、0.025モル%)及びcBRIDP(22.2mg、0.1モル%)を加え、内部を窒素置換した。次いで脱水THF(8.2mL、101.0mmol、1.6当量)を加え触媒溶液を調製した。200mL四つ口反応フラスコにスターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにカルバゾール(10.9g、65.0mmol、1.03当量)、脱水キシレン(77mL)、脱水THF(17.3mL){実施例6で用いたMeMgCl中に含まれるTHF量に相当}、NaOBu(6.2g、64.4mmol、1.02当量)、クロロベンゼン(6.4mL、63.1mmol、1.0当量)及び触媒溶液(8.2mL)を順次加えた後、還流条件にて30分攪拌した。GC分析を行って反応の進行を確認したところ、反応転化率はクロロベンゼン基準で0.9%であった。GC保持時間;クロロベンゼン:2.4分、N−フェニルカルバゾール:17.1分。
【0157】
(比較例2)N−フェニルカルバゾール(構造式(11))の製造時における、MeMgClと炭酸カリウム(KCO)との比較実験(反応式5)
【0158】
【化43】

【0159】
塩基としてKCO(8.9g、64.4mmol、1.02当量)を用い、その他は比較例1と同様の実験操作にて30分反応を行った。GC分析を行って反応の進行を確認したところ、反応転化率はクロロベンゼン基準で2.2%であった。
【0160】
(比較例3)N−フェニルインドール(構造式(25))の製造時における、BuMgClとNaOBuとの比較実験(反応式6)
【0161】
【化44】

【0162】
実施例21で用いたBuMgClをNaOBuに置き換えて、両者の比較実験を行った。すなわち、50mL二つ口反応フラスコに[PdCl(π−allyl)](15.6mg、0.1モル%)及びcBRIDP(60.2mg、0.4モル%)を加え、内部を窒素置換した。次いで脱水THF(11mL)を加え触媒溶液を調製した。200mL四つ口反応フラスコにスターラーバー、冷却管及び温度計を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにインドール(5.0g、42.7mmol、1.0当量)、脱水トルエン(55mL)、脱水THF(42.0mL){実施例21で用いたBuMgClに含まれるTHF量に相当}、NaOBu(4.5g、47.0mmol、1.1当量)、クロロベンゼン(4.8mL、47.0mmol、1.1当量)及び触媒溶液(11mL)を順次加えた後、還流条件にて15分攪拌した。GC分析を行って反応の進行を確認したところ、反応転化率はインドール基準で0.2%であった。GC保持時間;インドール:5.6分、N−フェニルインドール:11.7分。
【0163】
(比較例4)N−フェニルインドール(構造式(25))の製造時における、BuMgClとKCOとの比較実験(反応式7)
【0164】
【化45】

【0165】
塩基としてKCO(6.5g、47.0mmol、1.1当量)を用い、その他は比較例3と同様の実験操作にて15分反応を行った。GC分析を行って反応の進行を確認したところ、反応転化率はインドール基準で2.5%であった。
【0166】
実施例6及び21、比較例1〜4の結果をまとめて表4に示す。
【0167】
【表4】

【0168】
これらの結果より、N−(ヘテロ)アリールアゾール類の製造時にMeMgCl及びBuMgCl等のマグネシウム塩基を用いると、Buchwald−Hartwigアミノ化反応で最も汎用されているNaOBu(例えば、非特許文献1、2、4及び7)や、パラジウム触媒存在下でハロゲン化アリールとNH−アゾール類を反応させる際に有効とされるKCO(非特許文献5)等のアルカリ金属塩基を用いた場合と比較して、触媒活性が大幅に(40〜500倍)向上することが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラジウム化合物と配位性化合物とから構成される触媒及びマグネシウム塩基の存在下、(擬)ハロゲン化(ヘテロ)アリールとNH−アゾール類を反応させることを特徴とする、N−(ヘテロ)アリールアゾール類の製造方法。
【請求項2】
配位性化合物が、下記一般式(1)
【化1】

(Pはリン原子を示し、R及びRは各々独立してアルキル基を示し、Rは置換基を有してもよい、炭化水素基、ヘテロアリール基又はフェロセニル基を示す。)
で表されるモノホスフィン類、下記一般式(2)
【化2】

(Pはリン原子を示し、R〜Rは各々独立してアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、Qは置換基を有してもよい二価基を示す。)
で表されるジホスフィン類、下記一般式(3−1)又は(3−2)
【化3】

(Nは窒素原子を示し、R及びRは各々独立してアルキル基を示す)
で表される(ベンゾ)イミダゾールイリデン類、及び下記一般式(4)
【化4】

(Nは窒素原子を示し、R10及びR11は各々独立してアルキル基又はアリール基を示す。)
で表されるイミダゾリジンイリデン類からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
(擬)ハロゲン化(ヘテロ)アリールが、下記一般式(5)
【化5】

((Het)Arは置換基を有してもよい、芳香環基又は芳香族複素環基を示し、Xは(擬)ハロゲノ基を示し、nは(Het)Arに対するXの同時置換数を示し、1〜7の整数値を示す。)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
一般式(5)で表される化合物におけるXがクロロ基、ブロモ基、(ハロゲン化)アルカンスルホニルオキシ基又はアレーンスルホニルオキシ基であり、nが1〜3の整数値であることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
NH−アゾール類が、置換基を有してもよい、1H−ピロール、インドール、カルバゾール、ベンゾカルバゾール類、ジベンゾカルバゾール類、インドロカルバゾール類、ビインドール類及びビカルバゾール類からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
マグネシウム塩基が、無機マグネシウム塩基及び下記一般式(6)
【化6】

(Mgはマグネシウム原子を示し、R12及びR13は各々独立して炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基又はハロゲノ基を示す。但し、R12及びR13のいずれもがハロゲノ基になることはない。)
で表される有機マグネシウム塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
マグネシウム塩基が、Grignard試薬であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2013−63962(P2013−63962A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185502(P2012−185502)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】