説明

UV支援ナノインプリントリソグラフィー用モールド及びその製造方法

【課題】2つの連続するチップ間の距離を最小化する、所定波長によって支援されるナノインプリントリソグラフィー用のモールドを設計する。
【解決手段】本発明は、所定波長によって支援されるナノインプリントリソグラフィー用のモールドに関する。このモールドは、第1材料製の層を備え、この層は、第1面上に第2の剛体材料製の層を含み、第1面と反対側の面上に第3の剛体材料製の層を含み、第2の剛体材料製の層は、層内にマイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーのパターンを有するn個の構造ゾーン(n≧1)が形成され、第3の剛体材料製の層は、層内に、n個の構造ゾーンに対向するn個のくぼみが形成され、n個のくぼみは第4材料で充填され、これによりn個の部分領域が形成され、所定波長λdetにおける第3材料の層の透過率は、n個の部分領域いずれの透過率よりも低く、第1、第2、及び第3材料の層の所定波長λdetにおける透過率は、これらの層を通る所定波長λdetの光の透過率が、n個の部分領域の任意の1つ、第1材料製の層、及び第2材料製の層を通る光の透過率よりも小さいような透過率である。
本発明は、こうしたモールドを製造する2つの方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV支援ナノインプリントリソグラフィー(UV-NIL: UV-assisted NanoImprint Lithography)の実行に用いることを意図したモールドに関する。
【0002】
本発明は、このようなモールドを製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
UV支援ナノインプリントリソグラフィーは、インプリントされる基板内に配置されたUV感光性ポリマーフィルムに、UV範囲(すなわち、193nm〜400nmの波長、好ましくは200nm〜400nmの波長)内の使用波長において透明なモールドを押圧することにより、パターンを転写する工程と、そのモールドを通してUV放射を当てて樹脂フィルムを光重合させる工程から成る。
【0004】
次に、ポリマーフィルムに転写したパターンを、ポリマーフィルムの下にある、インプリントされる基板内にエッチングする。
【0005】
これを、ナノインプリンティングと称する。なぜなら、転写するパターンが2、3ナノメートル〜数百マイクロメートルの寸法(長さ、幅、及び/又は直径)を有するからである。
【0006】
UV支援ナノインプリンティングは、一般的に「ステップアンドリピート」と称する技術を用いて行われる:数cmの面積を有するモールドを、インプリントされる基板上に配置された樹脂フィルムに接触させる。樹脂フィルムを、UV範囲内の使用波長で露光する。次に、モールドを、樹脂フィルムから取り外し、インプリントされる基板の他の場所へ移動する。これらの工程を、処理される基板の領域全体をインプリントするまで、繰り返す。
【0007】
この技術の主な欠点は、2つの隣接するチップ間に距離を置かずにこれらをインプリントすることができないということである。最も良い場合で、この距離は数十マイクロメートルであり、チップの寸法とモールドの寸法と比較して、相当な距離を成す。よって、かなりの空間が無駄になる。
【0008】
この制約の主な原因は、「ステップアンドリピート」技術を実行するために通常製造されるモールドが、UVに対して完全に透明であるという事実にある。その結果、UV範囲内の使用波長での露光中に、UVは、インプリントされるパターンの下にある樹脂フィルムを変化させるだけでなく、パターンに近い周囲の樹脂フィルムまでも変化させる(横方向拡散)。
【0009】
このモールドの透明性による光の横方向拡散は、パターン間の空間を光吸収層で覆えば制限することができる。例えば、パターンを有する石英モールドの面上にクロム層を堆積させることより、このモールドの透明性を局所的になくすことが可能になる。しかしながら、このモールドのリソグラフィーとエッチングの後に行われる上記層の堆積は、簡易に実行できるものではない。また、モールドの透明ゾーンと吸収ゾーンとの間の境界を非常に正確に画定することも困難である。この光吸収層の存在により、ナノインプリンティング中に用いられるポリマーフィルムに対するモールドの面特性も変化する。これは、新たな問題を生じさせ得る(ひびの出現、ぬれ性の問題など)。
【0010】
UVに対して透明なモールドの他の欠点は、これらは一般的に剛体ということである。実際に、UV支援ナノインプリンティングの実行に一般的に用いられるモールドは、石英(193nmより長い波長に対して透明な石英)製である。
【0011】
しかしながら、UVに対して透明な剛体材料、特に石英の従来のリソグラフィー/エッチング法を用いた構造化は、得ようとするパターンが100nmより小さな寸法を有する場合に問題となる。
【0012】
さらに、モールドの剛性が高いほど、モールドと樹脂フィルムの間の全ての点において一様な接触(均等な接触)を得ることが困難になる。これにより、十分な一様性をもつパターンをインプリントすることが非常に困難となり、さらには不可能になる。例えば、石英モールドは、このモールドを用いて単一のステップでインプリント可能な最大面積が一般的に数cmであるような剛性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述の欠点を踏まえ、発明者の目標は、2つの連続するチップ間の必要距離が最小化できるような、所定波長によって支援されるナノインプリントリソグラフィー用のモールドを設計することである。
【0014】
発明者の他の目標は、モールドが、ナノメートルオーダーの寸法を有するパターンを備えることもでき、及び/又は数cmより大きな面積を有することもできることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目標は、所定波長λdetによって支援されるナノインプリントリソグラフィー用のモールドによって達成され、このモールドは第1材料製の層を備え、この第1材料製の層は、その第1面上に第2材料製の層を含み、第1面と反対側の面上に第3材料製の層を含み、第2材料製の層は剛体であり、この層内にマイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーのパターンを有するn個の構造ゾーンが形成され、nは1以上の整数であり、上記第3材料製の層は剛体であり、この層内に、上記n個の構造ゾーンに対向するn個のくぼみが形成され、これらのn個のくぼみは第4材料を充填され、これによりn個の部分領域が形成され、
第3材料製の層は、所定波長λdetの光に対するこの層の透過率が、上記n個の部分領域のいずれの、所定波長λdetの光に対する透過率よりも低いような厚さ及び組成を有し、
第1、第2、及び第3材料製の層の所定波長λdetにおける透過率は、第1材料の層、第2材料の層、及び第3材料の層を通る所定波長λdetの光の透過率が、上記n個の部分領域の任意の1つ、第1材料製の層、及び第2材料製の層を通るその所定波長λdetの光の透過率よりも小さいような透過率である。
【0016】
第2材料製の層が剛体であることにより、ナノインプリントモールドの使用中にパターンの幾何学的形状を維持することができる。
【0017】
以上と以下において、面又は層に適用する「マイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーのパターンで構造化された」という表現は、当該面又は層がパターンを備え、このパターンの長さ、幅、及び直径から選択した少なくとも1つの寸法が、マイクロメートルオーダーのパターンの場合は1000マイクロメートル未満かつ1マイクロメートルより大きく、ナノメートルオーダーのパターンの場合は1ナノメートル以上かつ1000ナノメートル未満であることを意味する。
【0018】
本発明では、パターンをレリーフにすることができるし、又はくぼみにする(空洞にする)こともできる。パターンは、上記n個のゾーン内に一様に分散させることができる。パターン間の距離は、同じゾーン内では、等間隔であることが好ましい。パターンは同一であることが有利である(パターンは同じ寸法と同じ形状を有する)。n個の構造ゾーンは同一であることが有利である。
【0019】
以上と以下において、層に適用する「剛体」という用語は、その層が、所定圧力がその層の面上にかかるときに決定される境界値未満の曲げ変形(たわみ)を有することを意味する。
【0020】
同様に、以上と以下において、層に適用する「フレキシブル」という用語は、その層が、所定圧力がその層の面上にかかるときに決定される境界値以上の曲げ変形を有することを意味する。
【0021】
境界値を決定するためには、いくつかの単純な計算を行う必要がある。例えば、以下の特性を有するシリコン及び石英のモールドの場合を考える:
ESi=130GPa ESiO2=71.7GPa
νSi=0.28 νSiO2=0.16
hSi=750μm hSiO2=6mm
ここで、Eはヤング係数、νはポアソン係数、そしてhは対象とする層の高さである。
【0022】
試片の曲げに対する剛性は、以下の公式により与えられる:
【数1】

【0023】
厚さhを有する辺長aの正方形板においては、(曲げにより)発生する最大のたわみwは、およそ以下の値である:
【数2】

【0024】
したがって、上の例でモールドに均一にかかる圧力が2・10Paに等しく、かつ板の辺長aが20・10−3mの値を有する場合は、以下のようになる:
wSi≒500μm
wSiO2≒25μm
【0025】
これらの計算を通して、個別に考慮した各層のたわみが得られる。
【0026】
層がフレキシブルまたは剛体であると見なすことを可能にする境界値を得るためには、モールドを用いてインプリントしたい基板のたわみ計算値と表面粗さ値(又はトポグラフィー)とを比較することが必要である。実際に、インプリントを行う際は、モールドとインプリントされる基板とが密接に接触(「均等な接触」とも称する)していることが必要である。よって、モールドの面全体がインプリントされる基板の面全体と直接接触していることが必要である。
【0027】
例えば、直径200mmのシリコン板により形成された基板は、50μmの粗さを有する(シリコン板の供給業者により与えられたデータである)。よって、モールドの層が、製造者によって与えられたインプリントされる基板の粗さ値、すなわち50μm以上のたわみを有する場合、この層は、インプリントしたい基板と比較してフレキシブルな材料製であると見なされる。一方、モールドの層のたわみ値がインプリントされる基板の粗さ値より小さい場合、その層は剛体材料製であると見なされる。
【0028】
よって、この例では、シリコン層(wSi≒500μm)はフレキシブルであると見なされ、石英層(wSiO2≒25μm)は剛体であると見なされる。
【0029】
さらに、材料の透過率は、その材料が受ける入射エネルギーに対するその材料を透過するエネルギーの比である。所定物質については、厚さと波長が決まれば、透過率は定数である。
【0030】
第3材料の層の透過率は0.2以下であり、上記n個の部分領域の各々の透過率は0.65以上であることが有利である。第3材料の層の透過率は0.1未満であり、上記n個の部分領域の各々の透過率は0.85より大きいことが好ましい。
【0031】
第1、第2、及び第3材料の層を通る所定波長λdetの光の透過率は、20%以下であることが有利であり、10%未満であることが好ましい。上記n個の部分領域の任意の1つと第1及び第2の材料の層とを通る所定波長λdetの光の透過率は、65%以上であることが有利であり、85%より大きいことが好ましい。
【0032】
第3材料製の層の透過率は、上記n個の部分領域の材料の透過率の値の2/3倍以下の値を有することが好ましい。光リソグラフィーでは、コントラストCが20%以上である場合、現代の樹脂によれば、露光されるゾーンを露光されないゾーンから区別することができると考えられる。コントラストは次の公式で表される:
【数3】

ここで、Imaxは、所定波長における透過率が最大(Tmax)であるゾーン内で受ける光強度であり、Iminは、所定波長における透過率が最小(Tmin)であるゾーン内で受ける光強度である。
【0033】
透過率は、入射強度(初期強度I)に対する材料を透過する光の強度の比であることから、以下の式が得られる:
Imax=Tmax×Io
Imin=Tmin×Io
及び
【数4】

【0034】
最終的に、20%のコントラストに対して、Tmin≒0.66Tmax、すなわち約2/3が得られる。
【0035】
上記n個のくぼみは、第3材料製の層の厚さに等しい深さを有することが有利である。
【0036】
第1の代案によれば、第1材料は剛体材料であり、第2材料の層は上記n個の構造ゾーンがあるところのみに存在する。この場合、第1材料、第2材料、及び場合によっては第3材料が同一である。
【0037】
上記n個の構造ゾーンは、第2材料の層の厚さ全体に渡って形成されていることが有利である。
【0038】
第1及び第2材料の層は、150nm以下の厚さを有することが有利である。
【0039】
第2の代案によれば、第1材料はフレキシブル材料であり、第2材料の層はn個の構造ゾーンの外側においてゼロではない厚さを有する。
【0040】
上記n個の部分領域の第4材料は、フレキシブル材料であることが有利である。
【0041】
所定波長λdetは、UV波長範囲内にあることが有利であり、193nm〜400nmであることが好ましい。例えば、モールドを、193nm〜400nmの波長におけるUV支援ナノインプリンティングを実行するために用いようとする場合、第2材料の層はシリコンの層とすることができる。これにより、シリコンのリソグラフィー/ナノメートルオーダーのエッチングに習熟していれば、このような層内でナノメートルオーダーのパターンに従った構造化を行うことは容易である。
【0042】
第1材料製の層は、シリカ又は窒化シリコン製であることが有利である。第2材料製の層はシリカ又は窒化シリコン製であることが有利である。第3材料の層はシリコン製であることが有利である。上記第4材料のn個の部分領域はポリジメチルシロキサン(PDMS)製であることが有利である。
【0043】
本発明は、また、所定波長λdetによって支援されるナノインプリントリソグラフィー用の、上記に定義したモールドを製造する第1の方法に関する。この第1の方法は以下のステップを備える:
a)初期基板を用意するステップ;
b)その初期基板の1面(前面と称する)を、モールドの第2材料の層内に得ようとする上記n個の構造ゾーンのネガティブインプリントを表すパターンに従って構造化するステップ;
c)初期基板の前面上に3層から成る積層を堆積させるステップであって、第1層は、構造化するステップb)にて形成したレリーフを覆うとともにモールドの第2材料の層を形成し、この第1層と初期基板は互いに異なる材料製であり、第2層は第1層を覆うとともにモールドの第1材料の層を形成し、第3層は第2層を覆うとともにモールドの第3材料の層を形成するステップ;
d)第3層を構造化してn個のくぼみを得るステップであって、これらn個のくぼみは上記n個の構造ゾーンに対向するステップ;
e)第4材料の層を第3層の上に堆積させて上記n個のくぼみを覆うことによって、モールドのn個の部分領域を形成するステップ;
f)初期基板(13)を除去するステップ。
第3層は、所定波長λdetの光に対する透過率が、上記n個の部分領域のいずれの、所定波長λdetの光に対する透過率よりも小さいような厚さと組成を有し、
所定波長λdetにおける第1、第2、及び第3層の透過率は、第1層、第2層、及び第3層を通る所定波長λdetの光の透過率が、上記n個の部分領域の任意の1つ、第1層、及び第2層を通るその所定波長λdetの光の透過率より小さいような透過率である。
【0044】
第3層の透過率は、0.2以下であることが有利であり、0.1未満であることが好ましい。そして、上記n個の部分領域の各々の透過率は、0.65以上であることが有利であり、0.85より大きいことが好ましい。
【0045】
第1、第2、及び第3層を通る所定波長λdetの光の透過率は、20%以下であることが有利である。そして、上記n個の部分領域の任意の1つ、第1層、及び第2層を通るその所定波長λdetの光の透過率は65%以上であることが有利である。
【0046】
ステップb)は以下のステップを備えることが有利である:
初期基板の1面上に感光性樹脂の層を堆積させるステップ;
第1層内に得ようとするn個の構造ゾーンのネガティブインプリントを表す絶縁パターンに従って、感光樹脂の層を絶縁するステップ;
絶縁した樹脂の層をエッチングするステップ;
上記初期基板の1面における、樹脂の層で覆われていない部分領域をエッチングするステップ。
【0047】
ステップd)は以下のステップを備えることが有利である:
第3層の面上に感光樹脂の層を堆積させるステップ;
第3層内に得ようとするn個のくぼみのポジティブインプリントを表す絶縁パターンに従って、感光樹脂の層を絶縁するステップ;
絶縁した樹脂の層をエッチングするステップ;
上記第3層の面における、樹脂の層で覆われていない部分領域をエッチングするステップ。
【0048】
ステップe)は、初期基板の選択的エッチングを行うことにより、又は初期基板の背面を機械加工し、その後初期基板の選択的エッチングを行うことにより、実行できる。
【0049】
本発明は、また、所定波長λdetによって支援されるナノインプリントリソグラフィー用の上述したモールドを製造する第2の方法に関連する。この第2の方法は、以下のステップを備える:
a)3層から成る積層を用意するステップであって、第1層はモールドの第2材料の層を形成し、第2層は第1層を覆うとともにモールドの第1材料の層を形成し、第3層は第2層を覆うとともにモールドの第3材料の層を形成するステップ;
b)積層の第1層を構造化して上記n個の構造ゾーンを得るステップ;
c)積層の第3層内にn個のくぼみを形成するステップであって、これらn個のくぼみはn個の構造ゾーンに対向するステップ;
d)第3層上に第4材料の層を堆積させて上記n個のくぼみを覆うことによって、モールドの上記n個の部分領域を形成するステップ。
第3の層は、所定波長λdetの光に対するこの層の透過率が、上記n個の部分領域のいずれの、所定波長λdetの光に対する透過率よりも小さいような厚さと組成を有し、
所定波長λdetにおける第1、第2、及び第3層の透過率は、第1層、第2層、及び第3の層を通る所定波長λdetの光の透過率が、n個の部分領域(4)の任意の1つ、第1層、及び第2層を通るその所定波長λdetの光の透過率より小さいような透過率である。
【0050】
第3層の透過率は、0.2以下であることが有利であり、0.1より小さいことが好ましい。上記n個の部分領域の各々の透過率は、0.65以上であることが有利であり、0.85より大きいことが好ましい。
【0051】
第1、第2、及び第3層を通る所定波長λdetの光の透過率は、20%以下であることが有利である。上記n個の部分領域の任意の1つ、第1層、及び第2層を通るその所定波長λdetの光の透過率は65%以上であることが有利である。
【0052】
ステップb)は以下のステップを備えることが有利である:
積層スタックの第1層上に感光樹脂の層を堆積させるステップ;
得ようとする上記n個の構造ゾーンに従って構成されたマイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーのパターンを表す絶縁パターンに従って、感光樹脂の層を絶縁するステップ;
絶縁した樹脂の層をエッチングするステップ;
上記第1層の面における、樹脂の層により覆われていない部分領域をエッチングするステップ。
【0053】
ステップc)は以下のステップを備えることが有利である:
積層の第3層上に感光樹脂の層を堆積させるステップ;
得ようとするn個のくぼみを表す絶縁パターンを用いて感光樹脂の層を絶縁するステップ;
絶縁した樹脂の層をエッチングするステップ;
第3層の面における、樹脂の層により覆われていない部分領域をエッチングするステップ。
【0054】
上記の第1及び第2の方法において、所定波長はUV波長の範囲内の波長であることが有利であり、193nm〜400nmの波長であることが好ましい。
【0055】
同様に、第1及び第2の方法における上記n個のくぼみは、第3層の厚さに等しい深さを有することが有利である。
【0056】
本発明は、以下の説明を読むことにより、さらに良く理解され、他の有利な点や特徴が明らかになる。以下の説明は、非限定的な例として提供し、次の図面を伴う。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明によるモールドの第1の例を示す図である。
【図2】本発明によるモールドの第2の例を示す図である。
【図3】本発明によるモールドの第3の例を示す図である。
【図4】本発明によるモールドの第4の例を示す図である。
【図5a】本発明によるモールドを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【図5b】本発明によるモールドを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【図5c】本発明によるモールドを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【図5d】本発明によるモールドを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【図5e】本発明によるモールドを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【図5f】本発明によるモールドを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【図5g】本発明によるモールドを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【図5h】本発明によるモールドを製造する第1の方法のステップを示す図である。
【図6a】本発明によるモールドを製造する第2の方法のステップを示す図である。
【図6b】本発明によるモールドを製造する第2の方法のステップを示す図である。
【図6c】本発明によるモールドを製造する第2の方法のステップを示す図である。
【図6d】本発明によるモールドを製造する第2の方法のステップを示す図である。
【図6e】本発明によるモールドを製造する第2の方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下の説明では、不透明と透明という用語を用いる。
【0059】
不透明な材料とは、光が通過できないような材料を指す。実際には、厚さXの材料は、その透過率が0.2以下であるとき、不透明であると考える。
【0060】
透明な材料とは、光が通過できるような材料を指す。実際には、厚さXの材料は、その透過率が0.85以上であるとき、透明であると考え、厚さXを持つ材料は、その透過率が0.65以上0.85未満であるとき、半透明であると考える。
【0061】
図1から4のいずれにも図示するように、本発明に係るモールド1は、そのいずれかの1面(前面8)上に、2次元又は3次元のマイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーのパターン3に従ったn個の構造ゾーン30、並びに、反対側の面(背面9)上に、剛体製で不透明な層2内に形成され、n個の構造ゾーン30の上に来るように配置された、n個のくぼみ又空洞を備える。ここで、これらn個のくぼみは、透明な材料を充填されてn個の部分領域4を形成する。これらのパターンは、レリーフにすることができ(図1から3)、又はくぼみ(空洞)にすることもできる(図4)。
【0062】
詳細には、本発明に係るモールドは、剛体又はフレキシブルの第1材料の層5を含み、その1面上に、第2の剛体材料の層15、25を備え、この第2材料の層を含む面と反対側の面上に、第3の剛体で不透明な材料の層2を備える。
【0063】
第2材料の剛体層15内には、n個の構造ゾーン30がマイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーのパターン3で形成される。nは、1以上の整数である。
【0064】
剛体かつ所定波長λdetにおいて不透明な材料の第3層2内には、n個の構造ゾーンに対向するn個のくぼみが形成される。n個のくぼみは、所定波長λdetにおいて透明又は半透明な第4材料を充填されている。
【0065】
剛体層2の材料は、その透過率がn個の部分領域4の材料の透過率より低いように選択する。
【0066】
さらに、所定波長λdetにおける第1材料の層、第2材料の層、及び第3材料の層の透過率は、第1材料の層、第2材料の層、及び第の材料の層を通る所定波長λdetの光の透過率が、n個の部分領域の1つ、第1材料の層、及び第2材料の層を通るその所定波長λdetの光の透過率より低いように選択する。
【0067】
第3材料の層の材料は、その透過率が0.2以下となるように選択することが好ましく、0.1未満となるように選択することが好ましい。
【0068】
n個の部分領域に充填する材料は、0.65以上の透過率を有することが好ましく、0.85より大きい透過率を有することが好ましい。
【0069】
第3材料の層2は、モールドの機械的耐性を保証するものである。第3材料の層2は、100マイクロメートル〜数ミリメートルの厚さを有することが好ましい。
【0070】
なお、所定波長とは、のちにモールドを用いてナノインプリントを実行する時の波長に相当する。
【0071】
第1、第2、及び/又は第3材料の層は、互いに異なる材料製又は同じ材料製とすることができる。
【0072】
第1材料はフレキシブル又は剛体とすることができるのに対し、第2及び第3材料は剛体でなければならない。
【0073】
図1に示す第1の代案によれば、第1材料の層5、第2材料の層15、及び第3材料の層2は、同じ材料製である。したがって、この材料は、剛体材料である。
【0074】
図2に示す第2の代案によれば、第1材料の層5、及び第2材料の層15は、同じ材料製である。よって、その材料は剛体材料であり、単一の層35を形成する。
【0075】
図3に示す第3の代案によれば、第1材料の層5、及び第2材料の層15は、2つの異なる材料製である。ここで、第3材料の層は、第1及び第2材料とは異なる。
【0076】
以上で説明した図1から3では、パターンは第2材料の層(層15)内のレリーフである。さらに正確には、図1から3において、第2材料の層は、n個の構造ゾーンがあるところのみに存在する(例えば、第2材料の層は、n個の構造ゾーン間では完全にエッチングされている)。しかし、パターンは、図4に示すように、第2材料の層内の空洞にすることもできる。
【0077】
図1から4に示す例では、n個のくぼみは、第3材料の層の厚さ全体に渡って形成されている。ただし、n個のくぼみの深さを第3の材料の層の厚さよりも小さくすることは可能である。
【0078】
n個のくぼみは、n個の構造ゾーンに近づくにつれて細くなるベースを有することが好ましい(じょうご形状)。この特定の形状は、実際に、光をn個の構造ゾーンに向けて集光させることを可能にする。なお、くぼみのじょうご形状は、エッチングにより設定する。しかし、側壁がベースに対して垂直であるようなくぼみを用いることは全面的に可能である。
【0079】
第2材料の層(層15又は25)は、剛体材料製である。剛体材料としては、マイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーでの構造化が容易であるものが好ましい(例えば、シリコン)。
【0080】
材料は、その剛性又はフレキシブル性、インプリントモールドとともに使用したいUV波長、及びモールドを構成する各層の厚さに応じて選択する。例えば、第1、第2、及び第3材料の層には、シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、又は金属(Al、Tiなど)を用いることができる。これらの層は、用いる材料と層の厚さに応じて、異なる透過率を有する。n個のくぼみに充填するための材料は、モールドの使用波長に応じて、シリカ、シリコン、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサンなどの中から選択することができる。
【0081】
剛体材料製の層2内にn個のくぼみを形成し、これらn個のくぼみに、インプリントの実行に用いる波長における透過率が剛体材料製の層2のこの波長における透過率より大きい材料を充填することにより、モールドの背面に照射される光の横方向の拡散を回避し、その光をモールドの前面上に位置するn個の構造ゾーンに指向させることができる。これにより、モールドを通る光のより良好な透過が得られる。
【0082】
さらに、n個のくぼみに充填する材料もまたフレキシブル材料である場合、モールドの前面上にある構造ゾーンに非常に近接してフレキシブル材料を堆積させることができ、これによりモールドの機械的動作を単純に調整することも可能になる。パターンを備えたゾーンの上に来る剛体材料の層2の厚さを薄くし、これにより生成された空間にフレキシブル材料を充填することにより、実際に、これらのパターンにおいてモールドに加わる応力を平準化し、最終的な均一の押圧状態により迅速に到達することができる。よって、パターンの分解能に関連する問題とプリント中の押圧の均一性に関連する問題とを同時に解決することができる。
【0083】
次に、図2に示す本発明に係るモールドの実施例を説明する。すなわち、第1材料の層5と第2材料の層15が同じ剛体材料製であり、単一かつ同じ層35を形成し、層35は、所定波長、例えば350nmにおいて0.65より大きな透過率を有し、ナノメートルオーダーのパターンを有する構造ゾーンを含む。
【0084】
リソグラフィー(電子的、光学的、EUV、X、FIBリソグラフィーなど)により、及びエッチング(反応性イオンドライエッチング、イオン機械加工、ウェットエッチングなど)により、まず初期基板13の前面の構造化を行う。そのためには、樹脂の層14を、シリコン基板13、あるいはマイクロ電子部品の製造において十分習熟されたマイクロ及びナノ製造法において通常用いられる他の任意の材料の面上に設ける(図5a)。この樹脂の層14を、後にモールドになる第2材料の層内に得ようとするn個のゾーンの反転画像(ネガティブインプリント)を表すパターンに従って絶縁する(図5b)。絶縁した樹脂の層14とこの樹脂により覆われていない部分をエッチングする(図5c)。例えば、後にモールドになる第2材料の層内に、n個のゾーンをレリーフで得ようとする場合、これらn個のゾーンは、初期基板上の空洞になるようにエッチングする。この例では、シリコン基板を用いることを選んだ。なぜなら、シリコンは、10nmより小さい分解能と10より大きいアスペクト比(高さ/幅)のエッチングを実行することができるからである。
【0085】
次に、剛体かつ193〜400nmの波長範囲内で透明な材料の層350、例えば酸化シリコンの層を、初期基板の構造化した面上に堆積させる。この積層した層350の厚さは、初期基板13内に形成されたパターンの高さより大きい。なぜなら、この層350は、モールドの第2材料の層15と第1材料の層5の両方を形成するためのものだからである(図2を参照)。さらに、この堆積は、初期基板13内に形成されたレリーフ隙を適切に満たすように行わなければならない。
【0086】
なお、図5dは、層15と層5が互いに異なる材料製にする可能性を示すために、単一層350を形成する層150と層50を示している(層150はのちにモールドの第2材料の層15を形成し、層50はのちにモールドの第1材料の層5を形成する)。
【0087】
次に、剛体で不透明な材料の層20を、剛体で透明な材料の層350上に堆積させる(図5e)。剛体材料の層20は、例えば、少なくとも100マイクロメートルの厚さのシリコン又は窒化シリコンの層とすることができる。これらの材料は、こうした厚さに対して、193nm〜400nmの波長において0.2未満の透過率を有する。次に、N個のくぼみを、例えばリソグラフィーとエッチングにより、剛体で不透明な材料の層20内の、層35内に位置するn個のパターンに対向して形成する。これは、樹脂の層16を堆積させ、これをパターンに従って絶縁し、そしてこれをエッチングし(図5f)、次にその下にある層20をエッチングすることにより行う。これにより、第3材料の層2が、n個のくぼみとともに得られる。これらのくぼみは、剛体で不透明な材料の層20の厚さ全体に渡ってエッチングすることが好ましい。
【0088】
次に、193〜400nm波長において透明で、好ましくはフレキシブルである材料の層を、n個のくぼみ内に堆積させて、n個の部分領域4を形成する(図5g)。例えば、n個のくぼみ内に堆積させるこの層は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)製である。PDMSの利点は、PDMSの製剤に含まれる開始剤の比率に応じて、ヤング係数を調節することができることにある。これにより、PDMSをよりフレキシブルにするか、よりフレキシブルでなくすることができる。
【0089】
なお、前述したように、異なる層の材料は、193〜200nmの範囲内の波長におけるこれらの透過率に応じて選択する。
【0090】
次に、初期基板13を除去する(図5h)。例えば、初期基板13の大部分を、その背面を研磨又はエッチングすることにより除去し、酸化シリコンの層に対して初期シリコン基板を選択的にエッチングするために、ウェットエッチング、例えばTMAH又はKOHエッチングにより、初期基板13の残りを除去する。初期基板13用、及び層内にn個の構造ゾーンが形成される剛体材料の層350用に、選択的なエッチングに耐えうる一対の材料を選択することが望ましい。
【0091】
他の実施例によれば、本発明に係るモールドは図3に示すように製造する。すなわち、モールドは、剛体かつ所定波長、例えば193〜400nmにおいて透明な材料の層5を備え、層5は、その第1面上に剛体材料の層15を含み、層15は、例えば所定波長において0.2未満又は0.65未満の透過率を有し、かつ層内にナノメートルオーダーのパターンを有するn個の構造ゾーンが形成され、層5はさらに、その第1面と反対側の第2面上に剛体材料の層2を含み、層2は、例えば所定波長において0.2未満の透過率を有し、かつ、例えば0.65より大きな透過率を有する材料を充填されたn個のくぼみを含む。
【0092】
まず、SOI基板17の1面の構造化を行う。SOI基板17は、100nm〜500nmの厚さを有するシリコンの積層150、100nm〜数マイクロメートルの厚さを有する埋め込まれた酸化シリコン層50、及び少なくとも数百マイクロメートル(すなわち100マイクロメートル以上)の厚さを有するシリコンの層20の積層で構成される。
【0093】
構造化は、感光性樹脂の層14をSOI基板の前面上(シリコン層150上)に堆積させ(図6a)、得ようとするn個の構造ゾーンを表すパターンに従って樹脂の層を絶縁し(図6b)、絶縁した樹脂の層と樹脂で覆われていない部分とをエッチングする(図6c)ことにより行う。これにより、構造層15が得られる。エッチングするパターンの深さは、SOI基板のシリコンの層150の厚さ以下とすることができる。エッチングするパターンの深さがシリコンの層150の厚さに等しい場合は、SOI基板のシリコン酸化物の層50は、エッチングにおける停止層として働く。
【0094】
次に、SOI基板(シリコン層20)の背面を構造化する。これにより、その基板の前面上にある各構造ゾーン30に対向して、その基板の背面上に対応するくぼみが存在する。これにより、構造化層2が得られる。n個のくぼみは、樹脂の層16をSOI基板の背面上に堆積させ、得ようとするn個のくぼみを表すパターンに従って樹脂の層を絶縁し、次にこの絶縁した樹脂の層と樹脂で覆われていない部分とをエッチングすることにより、得られる(図6d)。エッチングは、潜在的に酸化シリコン層60が得られるまで行うことができる。この場合、酸化シリコン層60は、エッチングにおける停止層とし働く。このようにして、基板の背面上のエッチングが、前面上の、n個の構造ゾーンのパターン上に出ないことを確実にする。
【0095】
次に、層を、所定波長において0.65より大きい透過率を有する材料で、SOI基板の背面上に堆積させて、n個のくぼみを充填する(図6e)。この材料は、フレキシブルであることが好ましく、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0096】
本発明に係る2つの製造方法によれば、当業者が周知であり習熟している単純なリソグラフィー及びエッチング法を用いて、面上にマイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーのパターンを有するモールドを得ることができる。特に、本発明に係るモールドを製造する方法は、マイクロ電子工学とマイクロ技術分野において通常用いられる方法と両立する。
【0097】
さらに、従来技術では、特に100nm未満の寸法のパターンを得るためには、数百マイクロメートルの厚さの剛体で透明な(すなわち、0.65以上の透過率を有する)材料であって、時として、エッチングが非常に困難なシリカ又は石英型の非常に硬い材料製の基板をエッチングする必要があった。本発明によれば、例えば材料が透明又は不透明(すなわち、0.2未満の透過率を有すること)でなければならないということによって制限されることなく、シリコンの層のように構造化が容易な材料の層内でモールドのマイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーの構造化を行うことができる。これにより、n個のくぼみを備える剛体で不透明な材料の層上に、n個の構造ゾーンを備えるこうした層を堆積させるだけで、十分である。よって、モールドの製造が大幅に簡略化され、同様に製造コストが低下する。
【0098】
さらに、光の横方向拡散がモールド内に限定されるため、2つの隣接する構造ゾーン間に必要な距離を最小化することができる。したがって、従来技術と比べて、同じモールド上により多数の構造ゾーンを配置することができる。
【0099】
また、2つの隣接するインプリントされた「チップ」間の距離を低減しつつ、同じモールドで2つの隣接するゾーン(チップと呼ぶゾーン)を同じ平板上にインプリントすることもできる。要するに、図面に示す構造を取り、横方向に移動させて先行する同一の構造の隣に配置するならば、この移動を1マイクロメートル未満にすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定波長λdetの光によって支援されるナノインプリントリソグラフィー用のモールド(1)であって、
第1材料製の層(5)を備え、この第1材料製の層は、第1面上に第2材料製の層を含み、前記第1面と反対側の面上に第3材料製の層を含み、前記第2材料製の層は剛体であり、層内にマイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーのパターン(3)を有するn個の構造ゾーン(30)が形成され、nは1以上の整数であり、前記第3材料製の層は剛体であり、層内に、前記n個の構造ゾーンに対向するn個のくぼみが形成され、前記n個のくぼみは第4材料を充填され、これによりn個の部分領域(4)が形成され、
前記第3材料製の層(2)は、所定波長λdetの光に対する当該層の透過率が、前記n個の部分領域のいずれの、前記所定波長λdetの光に対する透過率よりも低いような厚さ及び組成を有し、
前記第1材料製の層(5)、前記第2材料製の層(15, 25)、及び前記第3材料製の層(2)の前記所定波長λdetにおける透過率は、前記第1材料製の層(5)、前記第2材料製の層(15, 25)、及び前記第3材料製の層(2)を通る前記所定波長λdetの光に対する透過率が、前記n個の部分領域(4)の任意の1つ、前記第1材料製の層(5)、及び前記第2材料製の層(15, 25)を通る前記所定波長λdetの光の透過率よりも小さいような透過率であるることを特徴とするナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項2】
前記第3材料製の層の透過率は、前記n個の部分領域の材料の透過率の値の2/3倍以下の値を有することを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項3】
前記第3材料製の層の透過率は0.2以下であり、
前記n個の部分領域の各々の透過率は0.65以上であることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項4】
前記第3材料製の層の透過率は0.1未満であり、
前記n個の部分領域の各々の透過率は0.85より大きいことを特徴とする請求項3に記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項5】
前記第1材料製の層(5)、前記第2材料製の層(15, 25)、及び前記第3材料製の層(2)を通る前記所定波長λdetの光の透過率は、20%以下であり、
前記n個の部分領域(4)の任意の1つ、前記第1材料製の層(5)、及び前記第2材料製の層(15, 25)を通る前記所定波長λdetの光の透過率は、65%以上であることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項6】
前記n個のくぼみは、前記第3材料製の層の厚さに等しい深さを有することを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項7】
前記第1材料は、剛体材料であり、
前記第2材料の層(15)は、前記n個の構造ゾーン(30)があるところのみに存在することを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項8】
前記第1材料、前記第2材料、及び場合によっては前記第3材料が同一であることを特徴とする請求項7に記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項9】
前記n個の構造ゾーン(30)は、前記第2材料の層(15, 25)の厚さ全体に渡って形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項10】
前記第1材料は、フレキシブル材料であり、
前記第2材料の層(25)は、前記n個の構造ゾーン(30)の外側においてゼロではない厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項11】
前記n個の部分領域(4)の前記第4材料は、フレキシブル材料であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項12】
前記所定波長λdetは、UV波長範囲内にあり、好ましくは193nm〜400nmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のナノインプリントリソグラフィー用のモールド。
【請求項13】
前記第1材料製の層(5)は、シリカ又は窒化シリコンであり、
前記第2材料製の層(15, 25)は、シリカ又は窒化シリコンであり、
前記第3材料製の層(2)は、シリコンであり、
前記第4材料の前記n個の部分領域(4)は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)製であることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントリソグラフィー用モールド。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の、所定波長λdetによって支援されるナノインプラントリソグラフィー用のモールド(1)を製造する方法であって、
a)初期基板(13)を用意するステップと、
b)前記モールドの前記第2材料の層(15, 25)内に、得ようとする前記n個の構造ゾーン(30)のネガティブインプリントを表すパターンに従って、前記初期基板(13)の1面を前面として構造化するステップと、
c)前記初期基板(13)の前記前面上に3層から成る積層を堆積させるステップであって、前記積層の第1層(150)は、構造化するステップb)にて形成したレリーフを覆うとともに前記モールドの前記第2材料の層(15, 25)を形成し、前記第1層(150)と前記初期基板(13)は互いに異なる材料製であり、前記積層の第2層(50)は、前記第1層(150)を覆うとともに前記モールドの前記第1材料の層(5)を形成し、前記積層の第3層(20)は、前記第2層を覆うとともに前記モールドの前記第3材料の層(2)を形成するステップと、
d)前記第3層(20)を構造化してn個のくぼみを得るステップであって、前記n個のくぼみは前記n個の構造ゾーン(30)に対向するステップと、
e)第4材料の層を前記第3層上に堆積させて前記n個のくぼみを覆うことによって、前記モールドのn個の部分領域(4)を形成するステップと、
f)前記初期基板(13)を除去するステップとを備え、
前記第3層(20)は、所定波長λdetの光に対する透過率が、前記n個の部分領域(4)のいずれの、前記所定波長λdetの光に対する透過率より小さいような厚さ及び組成を有し、
前記所定波長λdetにおける前記第1、第2、及び第3層の透過率は、前記第1層(150)、前記第2層(50)、及び前記第3の層(20)を通る所定波長λdetの光の透過率が、前記n個の部分領域(4)の任意の1つ、前記第1層(150)、及び前記第2層(50)を通る前記所定波長λdetの光の透過率より小さいような透過率であることを特徴とするナノインプラントリソグラフィー用モールドの製造方法。
【請求項15】
前記第3層(20)の透過率は0.2以下であり、好ましくは0.1未満であり、
前記n個の部分領域(4)の各々の透過率は0.65以上であり、好ましくは0.85より大きいことを特徴とする請求項14に記載のナノインプラントリソグラフィー用モールド(1)の製造方法。
【請求項16】
前記第1層(150)、前記第2層(50)、及び前記第3層(20)を通る前記所定波長λdetの光の透過率は、20%以下であり、
前記n個の部分領域(4)の任意の1つ、前記第1層(150)、及び前記第の層(50)を通る前記所定波長λdetの光の透過率は、65%以上であることを特徴とする請求項14に記載のナノインプラントリソグラフィー用モールドの製造方法。
【請求項17】
ステップb)は、
前記初期基板(13)の1面上に感光性樹脂の層(14)を堆積させるステップと、
前記第1層内に得ようとする前記n個の構造ゾーンのネガティブインプリントを表す絶縁パターンに従って、前記感光樹脂の層を絶縁するステップと、
前記絶縁した樹脂の層(14)をエッチングするステップと、
前記初期基板の前記1面における、前記樹脂の層で覆われていない部分領域をエッチングするステップとを備えていることを特徴とする請求項14に記載のナノインプラントリソグラフィー用モールドの製造方法。
【請求項18】
ステップd)は、
前記第3層の1面上に感光樹脂の層(16)を堆積させるステップと、
前記第3層の中で得ようとする前記n個のくぼみのポジティブインプリントを表す絶縁パターンに従って、前記感光樹脂の層を絶縁するステップと、
前記絶縁した樹脂の層をエッチングするステップと、
前記第3層の前記1面における、前記樹脂の層で覆われていない部分領域をエッチングするステップとを備えていることを特徴とする請求項14に記載のナノインプラントリソグラフィー用モールドの製造方法。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれかに記載の、所定波長λdetによって支援されるナノインプラントリソグラフィー用のモールド(1)を製造する方法であって、
a)3層から成る積層を用意するステップであって、前記積層の第1層(150)は前記モールドの前記第2材料の層(15)を形成し、前記積層の第2層(50)は、前記第1層(150)を覆うとともに前記モールドの前記第1材料の層(5)を形成し、前記積層の第3層(20)は、前記第2層(50)を覆うとともに前記モールドの前記第3材料の層(2)を形成するステップと、
b)前記積層の前記第1層(150)を構造化して前記n個の構造ゾーン(30)を得るステップと、
c)前記積層の前記第3層(20)内にn個のくぼみを形成するステップであって、前記n個のくぼみは前記n個の構造ゾーン(30)に対向するステップと、
d)前記第3層(20)上に前記第4材料の層を堆積させて、前記n個のくぼみを覆うことによって、前記モールドの前記n個の部分領域(4)を形成するステップとを備え、
前記第3層(20)は、所定波長λdetの光に対する当該層の透過率が、前記n個の部分領域(4)のいずれの、前記所定波長λdetの光に対する透過率よりも小さいような厚さと組成を有し、
前記所定波長λdetにおける前記第1層(150)、前記第2層(50)、及び前記第3層(20)の透過率は、前記第1層(150)、前記第2層(50)、及び前記第3層(20)を通る前記所定波長λdetの光の透過率が、前記n個の部分領域(4)のいずれか1つ、前記第1層(150)、及び前記第2層(50)を通る前記所定波長λdetの光の透過率より小さいような透過率であることを特徴とするナノインプラントリソグラフィー用モールドの製造方法。
【請求項20】
前記第3層(20)の透過率は0.2以下であり、好ましくは0.1より小さく、
前記n個の部分領域(4)の各々の透過率は0.65以上であり、好ましくは0.85より大きいことを特徴とする請求項19に記載のナノインプラントリソグラフィー用モールド(1)の製造方法。
【請求項21】
前記第1層(150)、前記第2層(50)、及び前記第3層(20)を通る前記所定波長λdetの光の透過率は、20%以下であり、
前記n個の部分領域(4)の任意の1つ、前記第1層(150)、及び前記第2層(50)を通る前記所定波長λdetの光の透過率は65%以上であることを特徴とする請求項19に記載のナノインプラントリソグラフィー用モールド(1)の製造方法。
【請求項22】
ステップb)は、
前記積層の前記第1層上に感光樹脂の層を堆積させるステップと、
得ようとする前記n個の構造ゾーンに従って構成された前記マイクロメートルオーダー又はナノメートルオーダーのパターンを表す絶縁パターンに従って、前記感光樹脂の層を絶縁するステップと、
前記絶縁した樹脂の層をエッチングするステップと、
前記第1層の面における、前記樹脂の層により覆われていない部分領域をエッチングするステップとを備えていることを特徴とする請求項19に記載のナノインプラントリソグラフィー用モールド(1)の製造方法。
【請求項23】
ステップc)は、
前記積層の前記第3層上に感光樹脂の層を堆積させるステップと、
得ようとする前記n個のくぼみを表す絶縁パターンを用いて前記感光樹脂の層を絶縁するステップと、
前記絶縁した樹脂の層をエッチングするステップと、
前記第3層の面における、前記樹脂の層により覆われていない部分領域をエッチングするステップとを備えていることを特徴とする請求項19に記載のナノインプラントリソグラフィー用モールドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図5g】
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【図5h】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【公開番号】特開2011−156865(P2011−156865A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−13431(P2011−13431)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(509248165)コミサリア ア レネルジ アトミ−ク エ オエネルジー アルテルナティヴ (28)
【Fターム(参考)】