説明

そのままトイレに流せる排泄物処理袋

【課題】排泄物処理容器の洗浄作業を無くし、簡単かつ衛生的に排泄物を水洗トイレへ廃棄処理できる排泄物処理袋を提供する。
【解決手段】水分散性紙を二重に張り合わせ袋状に形成した外側を水溶性フィルムで包み込むように張り合わせた袋状体内に、水解性高分子ポリマーが収納された水解性内袋と、ポリエチレンシートを袋状とした外袋とで構成した処理袋であって、外袋2は底部において折り返し状に連続しているとともに袋底部中央部より袋上端に向かい2/3まで切り込みを有し、切り込み部分をテープで張り合わせることで袋状を維持する。排泄物を廃棄する際にはテープを剥がすことで水解性内袋が落下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護者が衛生的に排泄物を処理するために、尿や水様便であってもゼリー状に固形化し、排泄物を手で触れることなく簡単かつ衛生的に水洗排水処理を可能とした排泄物処理袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
介護の現場では、ポータブルトイレを使用することが多くある。介護者は、バケツ状の排泄物収容容器をトイレまで持って行き、排泄物を水洗トイレに流しバケツ状の排泄物収容容器を毎回洗浄するという作業が発生する。
【0003】
また、従来のポータブルトイレ用排泄物処理袋は、生ゴミとして処理する必要があるため、ゴミ回収日までの間自宅にて排泄物を保管する事となり保管スペースの確保および、周囲への悪臭の発散や衛生面で問題がある。
【0004】
こうした課題を解決するために、溶解温度60度以上の熱水溶解フィルムを使用した多層膜構造の汚物処理袋が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−296399
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記汚物処理袋では排泄物をトイレへ流す度に60度以上の熱水を用意する煩わしさがあり、水洗トイレへ汚物処理袋を投入した際、トイレの水に水没した部分が完全に溶解するか疑問が残る。また、60度以上の熱水を、汚物処理袋が完全に溶解するまで掛け続けた場合に想像される、悪臭の発散の問題もある。
今後、到来する高齢化社会において、排泄物処理を簡単かつ衛生的に行うことは社会的に高い要請であり、その手段が求められている。
これらの問題、要望を一挙に解決する手段として、例えば、ポータブルトイレの排泄物収容容器を汚染することなく、悪臭の発散を抑えた状態で排泄物をトイレまで持って行き、そのまま水洗トイレに廃棄したいという要望が高いものの、かかる要望を実現する製品は未だ無い。
【0006】
本発明は前記事情を鑑み考案されたもので、ポータブルトイレ使用後の排泄物を簡単かつ衛生的に処理できるようにした水解性内袋および、搬送用外袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、水分散性紙からなる袋体内に、水解性高分子吸水ポリマーを収納されたシート状の物で形成し、その外側周囲を内袋の強度を上げる目的の水溶性フィルムで覆った水解性内袋および、排泄物を簡単かつ衛生的に搬送し、水洗トイレへ内袋のみを簡単かつ衛生的に廃棄するためのポリエチレン製外袋を有することを特徴とするポータブルトイレ用排泄物処理袋を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水解性内袋は、水分散性紙を複数の袋状に張り合わせた間に水に流せる高分子吸収ポリマーが収納され、内袋外側周囲を水溶性フィルムで覆ったものであるので尿の吸収のみならず感染症の原因となる可能性のある水様便も固形化でき、菌の飛散を防ぎ介護者の安全が確保される。使用後の廃棄は水解性内袋をそのまま水洗トイレに流しても、配管を詰まらせることはない。また、ポリエチレン製外袋を有することで水洗トイレまでの搬送において悪臭の発散を防止し、簡単かつ衛生的に排泄物を水洗トイレへ廃棄することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図4は、本願発明に係る水解性内袋1および、ポリエチレン製外袋2からなるポータブルトイレ用排泄物処理袋を一般的なポータブルトイレの排泄物収容容器3に取り付けた斜視図であり実施形態を示している。ポータブルトイレの排泄物処理容器3にポータブルトイレ用排泄物処理袋の水解性内袋1および外袋2を確実に取り付けるために固定紐23により固定する。
【0010】
図1は、水解性内袋1の斜視図である。水散性紙12を格子状に張り合わせ、各格子の空間内部に水解性高分子吸水ポリマー16を内蔵する(図−A断面拡大図に示す)。水溶性フィルム11は内袋全体の強度を上げることを目的とする。折り曲げ部13および融着部15により市販のポータブルトイレ用排泄物処理容器内部に安定して収まる立体形状に成型する。
【0011】
上記水散性紙12は、適度な水への分散性を有することが必要である。JIS P4501の「ほぐれやすさ」が100秒以内のものを用いる。代表例として、トイレットペーパがある。
【0012】
上記水溶性フィルム11は、たとえば、ポリビニールアルコール(PVA)を基材としたフィルムが好適に用いられる。
【0013】
上記水解性高分子ポリマー16は、たとえば、公知の高分子吸収ポリマーが好適に用いられる。
【0014】
図2は、外袋2の斜視図である。底部折り返し26で折り返された連続したポリエチレン素材を側面融着部24により袋状となる。また、底部折り返し26中央部より切り込み25により袋の縦方向2/3まで切り込みが入る。切り込み25を閉じ袋状を持続するためにテープ22にて張り合わせる。テープ先端28は接着剤がなく排泄物廃棄時にテープ22を簡単に取り除くためのものである。固定紐23は上部折り返し27で折り返された袋内側に設置され、上部融着部29にて固定される。
【0015】
外袋2は液体を透過させない素材で構成される。かかる素材としては、従来ゴミ袋に用いられている公知の液体不透過の材料が適宜用いることができる。たとえば、ポリエチレンフィルム等が好適に用いられる。
【0016】
次に、上記水解性内袋1および外袋2を併せ持つ排泄物処理袋の使用方法を説明する。図4に示すように、水解性内袋1および外袋2を一般的なポータブルトイレの排泄物収容容器3に取り付ける。取り付け方法は、排泄物収容容器3の内側に外袋2を入れて外袋2の上部を排泄物処理容器3上端部で外側へ折り返し、外袋2に付随している紐を引くことで排泄物収容容器3の外周部に外袋2を固定することができる。続いて、水解性内袋1を外袋2および排泄物処理容器3が一体化されたものの内側へ設置し排泄物処理容器3をポータブルトイレ本体へ戻すことで準備が完了となる。
【0017】
排泄が終わると尿や水様性便など水分の多い便は水解性高分子ポリマー16に吸収されてゼリー状に固体化する。そのため、液体が袋に入っている状態とは違い搬送時に尿や水様便が外袋より漏れる心配がなく安心して水洗トイレまで排泄物を持って行くことができる。
【0018】
続いて、排泄物の処理方法では、ポータブルトイレ用排泄物処理容器3に取り付けた外袋2の固定紐23を緩め、外袋2を排泄物処理容器3の上端部で折り返した部分を元の袋状になるように戻した後、もう一度固定紐23を引き外袋2の開口部を完全に閉じる。図6の状態となる。
【0019】
次に、図6で示した外袋2の上部を持ち水洗トイレまで持って行き、片手でテープ先端28を持ち外袋2の下端に向かいテープ22を剥がす。そうすることで、外袋2に入れられた切り込み25が排泄物により固体化した水解性内袋1の重みにより、外袋2が図7で示す矢印BおよびCに開き水解性内袋1が矢印D方向に落下し水洗トイレに廃棄される。残った外袋2およびテープ22は家庭ごみとして処理する。
【図面の簡単な説明】
【0020】

【図1】本願発明に係る排泄物処理袋の水解性内袋10の斜視図である。
【図2】本願発明に係る排泄物処理袋の外袋20の斜視図である。
【図3】一般的なポータブルトイレに付随する排泄物処理容器3の斜視図である。
【図4】使用方法説明図である。
【図5】図4で示す図−Aの拡大図である。
【図6】使用方法説明図である。
【図7】使用方法説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 水解性内袋
11 水溶性フィルム
12 水散性紙
13 折り曲げ部
14 水散性紙接着部
15 融着部
16 水解性高分子ポリマー
2 外袋
21 ポリエチレンシート
22 テープ
23 紐
24 側面融着部
25 切り込み
26 底部折り返し
27 上部折り返し
28 テープ先端
29 上部融着部
3 ポータブルトイレに付随の排泄物処理容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水解性高分子吸水ポリマーと水分散性紙、水溶性フィルムからなる複合素材シートで形成された内袋および、ポリエチレン製フィルムの外袋で構成されることを特徴とする、排泄物処理袋。
【請求項2】

水解性高分子吸収ポリマーを、二重に張り合わせた水分散性紙の間に配置し、袋状に形成した外側を水溶性フィルムで包みこむ様に張り合わせることを特徴とする、請求項1で記載の内袋。
【請求項3】
表面パネルと裏面パネルが底部において折り返し状に連続して袋状とされたポリエチレン製フィルムの中央部を底部より縦方向に切り込みを入れる。袋状を維持するために切断部をテープにて張り合わせることを特徴とする、請求項1で記載の外袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−285019(P2009−285019A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139044(P2008−139044)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(708001462)
【Fターム(参考)】