説明

アクセス制御装置

【課題】無線APにおける内線グループ単位のリソース状態に応じた呼制御を行う。
【解決手段】無線IP電話システムにおけるアクセス制御装置において、無線APに割り当てられた内線グループ毎のリソース量と内線グループ毎の使用中のリソース量とを対応付けた情報と、各内線グループと当該内線グループに属する各端末の上位レイヤ識別情報とを対応付けた情報と、端末が接続された無線APと当該端末の上位レイヤ識別情報とを対応付けた情報とを記憶手段に保持し、呼接続要求を受信したVoIP呼制御手段からリソース状態の問い合わせを受信し、当該問い合わせに含まれる端末の上位レイヤ識別情報と前記記憶装置に保持された情報とに基づき、前記端末が接続された無線APにおける前記端末が属する内線グループのリソース状態を把握して、当該内線グループが輻輳状態にあるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線LAN技術を用いた無線IP電話システムに関し、特に、無線LANアクセスポイント毎に内線グループ単位の輻輳制御を行う無線IP電話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に従来の無線IP電話システムの構成例を示す。図1に示すように、この無線IP電話システムは、複数の無線LANアクセスポイント(以下、無線APと呼ぶ)、複数の無線APを管理する無線LANスイッチ、IP電話の呼制御を行うSIPサーバを含む。また、無線APの配下には無線VoIP端末等の端末が存在し、無線APと接続する。このシステムでは、SIPに基づく呼接続処理により、端末間で音声チャネルが確立され、RTPによる音声通信が行われる。
【0003】
無線LANスイッチは、端末と無線APとの間のハンドオーバをサポートする機能、端末から無線APへの接続を分散させる機能等を備えており、これにより高速なハンドオーバや、帯域が不足している無線APを回避して帯域に余裕のある無線APへの接続を行うことなどが可能である(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、SIPサーバにおいて代表番号とその代表番号で代表される内線グループに属する端末を管理することにより、特定の部署への代表番号に対する着信があった場合にその部署の全ての端末を鳴らす等の内線サービスを提供することが可能である。
【非特許文献1】日経コミュニケーション、pp.96〜103、日経BP社 2005.7.15
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の無線IP電話システムには次のような問題がある。
【0006】
図2に示すように無線APの配下に総務部と営業部が存在し、総務部と営業部にそれぞれ一つの内線グループが形成されているものとする。
【0007】
一般に無線APにおける各接続端末に対するリソース配分はサービス品質(QoS)の保証がないベストエフォート型である。また、無線APは端末の属する内線グループを識別することができず、SIPサーバは無線APのリソース状態を把握することができない。よって、図2において、例えば総務部に属する端末のみで無線APのリソースを消費してしまう場合が発生し得る。このような状態で営業部に属する端末が呼接続を行った場合、当該端末が良い品質で音声通信を行うことができないばかりか、既に接続している総務部の端末に対して悪影響を及ぼし、無線APに接続している全端末において音声品質が低下し、雑音、音抜けの発生、通信断等が発生する。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、上記従来技術の問題を解消し、無線APにおける内線グループ単位のリソース状態に応じた呼制御を行うための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、上記の課題は、複数の内線グループを配下に持つ無線APとVoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御装置であって、前記無線APに割り当てられた内線グループ毎のリソース量と内線グループ毎の使用中のリソース量とを対応付けた内線グループリソース情報と、各内線グループと当該内線グループに属する各端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報とを対応付けた内線グループ管理情報と、を記録する記憶手段と、端末から前記無線APへの接続を契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線AP識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する下位レイヤ登録手段と、前記端末の上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録手段と、前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信した前記VoIP呼制御手段からリソース状態の問い合わせを受信し、当該問い合わせに含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、当該無線APにおける前記端末が属する内線グループの割り当てリソース量と、当該内線グループで使用中のリソース量とから当該内線グループが輻輳状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記端末が属する内線グループが輻輳状態にある場合に前記内線グループが輻輳中であることを前記VoIP呼制御手段に通知する通知手段とを有することを特徴とするアクセス制御装置により解決される。
【0010】
前記無線IP電話システムにおいて複数の無線APからなる無線APグループの配下に複数の内線グループが形成されている場合に、前記アクセス制御装置は、前記無線APグループにおいて各内線グループに割り当てられた各リソース量の入力を受け付け、当該各内線グループに割り当てられた各リソース量に基づき各無線APの内線グループ毎のリソース量を前記内線グループリソース情報内に設定するように構成することができる。
【0011】
また、前記アクセス制御装置は、前記無線APグループ内の無線AP毎に、無線APに接続されている端末の数を内線グループ毎に取得し、前記無線APグループにおいて各内線グループに割り当てられた各リソース量を、前記無線APグループ内の各無線APにおける内線グループ毎の接続端末数に比例させて各無線APに配分することにより各無線APの内線グループ毎のリソース量を設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、データリンク層における端末の識別情報である下位レイヤ識別情報に基づき無線AP識別情報と端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報とを対応付けて登録するので、呼制御で用いられる上位レイヤ識別情報に基づき対象端末を収容する無線APを検出できる。更に、無線APに割り当てられた内線グループ毎のリソース量と内線グループ毎の使用中のリソース量とを対応付けた内線グループリソース情報と、各内線グループと当該内線グループに属する各端末の上位レイヤ識別情報とを対応付けた内線グループ管理情報とを保持するので、呼接続で用いられる上位レイヤ識別情報を用いて端末が所属する無線APにおける内線グループの輻輳状態を判定できる。よって、無線APの内線グループ単位のリソース状態に応じた呼制御を行うことが可能となる。
【0013】
また、複数の無線APからなる無線APグループに対して内線グループ毎のリソース量を割り当てた場合において、各内線グループのリソース量を各無線APに対して無線APへの接続端末数に比例して配分することとした場合には、各無線APにおけるリソースを効率的に使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(システム概要)
図3に、本発明の実施の形態におけるシステムの一例を示す。図3に示すシステムは、図1に示した従来のシステムにアクセスコントローラ30が付加されたものである。なお、アクセスコントローラ30は、図3における無線LANスイッチに替えて、もしくは無線LANスイッチ内に備えることも可能である。
【0016】
図3のシステムにおけるアクセスコントローラ30は無線AP毎に内線グループ毎のリソースの割り当て状態及び使用状態を管理する機能を有している。SIPサーバ40はVoIP通信の発生に応じてアクセスコントローラにリソース状態を問い合わせ、リソース状態に応じた呼制御を行う機能を有している。
【0017】
図4を用いて本実施の形態のシステムの動作概要を説明する。図4に示すように、無線AP10配下に総務部の端末が5台存在し、営業部の端末が3台存在しているものとする。また、アクセスコントローラ30は、無線AP10に対し、総務部の内線グループに3回線分のリソースを割り当て、営業部の端末に2回線分のリソースを割り当てている。なお、ある内線グループにX回線分のリソースを割り当てるとは、当該内線グループにおいて最大でX個の端末が同時に呼接続可能であることを意味する。
【0018】
ここで、無線AP10配下の総務部の端末5台のうち3台が呼接続中であるものとする。つまり、総務部は割り当てられた無線AP10のリソースを全て使用している。また、営業部はいずれの端末も呼接続を行っていないものとする。
【0019】
このとき、総務部の端末5台のうち呼接続をしていない端末1に端末2から着信要求があった場合(ステップA)、SIPサーバ40はアクセスコントローラ30に、着信先端末である端末1の属する内線グループのリソース状態を問い合わせる(ステップB)。アクセスコントローラ30は、無線AP10における端末1の属する内線グループは全ての割り当て済リソースを使用中であり、端末1の属する内線グループに対して新たに使用できるリソースが無いことをSIPサーバに通知する(ステップC)。SIPサーバ40はこの通知を受信し、ステップAの呼接続要求に対する応答として、発信元の端末2に対してビジーを送信する(ステップD)。
【0020】
また、このとき端末2から営業部の端末に対して着信要求がなされた場合には、営業部の内線グループには未使用のリソースが残っているため、正常に呼接続を行うことができる。このように本実施形態では、無線APにおいて内線グループ毎にリソースを管理し、呼制御を行うことが可能である。なお、内線グループのリソースが全て使用中の場合における呼接続要求に対するSIPサーバ40の処理としてビジー返却を説明したが、これは一例に過ぎず、他にも様々な処理が可能である。
【0021】
(システムの動作詳細)
次に、本実施の形態のシステムの動作をシーケンス図を参照して詳細に説明する。各シーケンス図では、各装置内に保持されるデータの構造を適宜示しているが、これらは一例である。また、シーケンス図中にレジストラとSIPサーバが示されているが、これらは別々の装置であってもよいし、SIPサーバ内にレジストラが含まれる構成でもよい。このレジストラは一般的なSIPに基づくレジストラの機能と同様の機能を有している。また、各シーケンス中、MSIDは端末のMACアドレスを示し、APIDは無線APのIDを示し、URIはSIP−URIを示す。また、NGIDは内線グループを識別するための内線グループIDである。
【0022】
また、アクセスコントローラは無線AP毎、内線グループ毎の割り当てリソース量と、端末のMACアドレスと端末のSIP−URIとを対応付けたデータと、内線グループIDと端末のSIP−URIとを対応付けたデータを予め保持しているものとする。
【0023】
まず、図5を参照してVoIP端末1(以下、端末1と呼ぶ)をアクセスコントローラに登録するためのシーケンスを説明する。
【0024】
図5に示す登録処理は、例えば端末1の電源が入れられたときに自動的に行われるものである。また、図5に示す時点においてSIPサーバにアクセスコントローラが登録されており、アクセスコントローラとSIPサーバ間でSIPに基づくメッセージ送受信が可能となっている。
【0025】
図5のステップ1において、端末1と無線AP間で無線LAN接続に必要な認証処理等が行われる。ここで、無線APは端末1のMACアドレス(MSID)を取得し、登録する(ステップ2)。無線APは無線APのID(AP01)と端末1のMACアドレス(MS01)とを含む端末登録リクエストをアクセスコントローラに対して送信する(ステップ3)。アクセスコントローラは無線APから受信した無線APのID(AP01)と端末1のMACアドレス(MS01)とを記憶装置に格納することにより登録する(ステップ4)。そして、アクセスコントローラは無線APに対して端末登録レスポンスを返す(ステップ5)。また、アクセスコントローラは、予め保持しているデータを用いて、端末1のMACアドレスから端末1の所属内線グループIDを検出し、端末1のMACアドレスとそれに対応する内線グループIDを端末登録レスポンスに含めて無線APに送ることができる。これにより、無線APが端末と内線グループとの対応を把握できるようになる。
【0026】
ステップ6において、端末1はレジストラに対してSIPのレジスタメッセージを送信する。送信するメッセージにはMS01と端末1のURI(URI1)が含まれる。レジストラは通常のレジスタ処理を行うとともに、MS01とURI1とを含むURI登録リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ7)。アクセスコントローラはURI1をAP01及びMS01と対応付けて格納することによりURIの有効化を行い(ステップ8)、URI登録レスポンスをレジストラに送信する(ステップ9)。そして、レジストラはステップ6のレジスタメッセージの応答を端末1に返す(ステップ10)。
【0027】
なお、ここで説明する例では、端末のMACアドレスとURIとをシーケンスの中でアクセスコントローラに格納することにより登録しているが、状態変化のみを記録することとしてもよい。この場合、例えば、ステップ4において予め登録されているMS01に対応付けてAP01が記録され、ステップ8においてAP01、MS01、URI1に対応付けてURI1が有効になった旨の情報が記録される。
【0028】
次に、図6を参照してアクセスコントローラから登録された端末1を削除する処理について説明する。図6に示す処理は、例えば端末1の電源が切られたことを契機に実行されるものである。
【0029】
図6のステップ1において、端末1は登録削除命令を含むレジスタメッセージをレジストラに送信する。レジストラはアクセスコントローラに対してURI削除リクエストを送信し(ステップ2)、これを受信したアクセスコントローラはデータベースからURI1を削除することによりURIを無効化する(ステップ3)。アクセスコントローラはURI削除レスポンスを返し(ステップ4)、レジストラは端末1に対して応答を返す(ステップ5)。
【0030】
ステップ6において、端末1は無線APから離脱する場合における無線LANの処理を実行し、これを受けて無線APはMSIDを削除するとともに(ステップ7)、端末削除リクエストをアクセスコントローラに送信し(ステップ8)、これを受信したアクセスコントローラはデータベースからAP01とMS01を削除し(ステップ9)、端末削除レスポンスを無線APに返す(ステップ10)。
【0031】
次に、図7〜図9を参照して、無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合の動作について説明する。
【0032】
図7の上側に示すように、ここでの動作の前提として、内線グループIDがNG01の内線グループにおいて3台の端末が呼接続状態にあり、割り当てリソース320kbpsのうち192kbpsが消費されているものとする。無線APにはこの状態を示すデータが格納されている。なお、シーケンス図では当該データを無線APが管理し、無線APが輻輳判定を行うこととしているが、これらに相当するデータをアクセスコントローラが保持し、アクセスコントローラが輻輳判定を行ってもよい。
【0033】
発信元の端末2が端末1に対する呼接続要求(INVITE)をSIPサーバに送信する(ステップ1)。INVITEを受信したSIPサーバは、発信元端末URI(URI2)と着信先端末URI(URI1)と必要帯域幅とを含むQoS予約リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ2)。アクセスコントローラは着信先URI1に基づきデータベースを検索し、端末1を配下に持つ無線APを抽出する(ステップ3)。そして、その無線APに対してMS01と必要帯域幅とを含むQoS予約リクエストを送信する(ステップ4)。
【0034】
QoS予約リクエストを受信した無線APは、端末1が属する内線グループ(NG01)において端末1が呼接続用リソースを使用可能かどうかを判定する。ここで、NG01の割り当てリソースが320kbpsであり、消費リソースが192kbpsであるので、端末1の呼接続に必要な64kbps以上の余裕がある。従って、無線APは端末1に対して帯域を予約し、消費リソースを更新し(ステップ5)、QoS予約レスポンスをアクセスコントローラに返し(ステップ6)、アクセスコントローラはQoS予約レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ7)。その後、通常のSIPに基づくシーケンスが実行される(図8のステップ8〜ステップ12)。
【0035】
なお、上述したとおり本例では無線APが内線グループ毎の帯域を管理し、帯域予約/確保を行うこととしているが、アクセスコントローラに内線グループ毎の帯域管理/帯域予約/確保等を行う機能を持たせてもよい。この場合、無線APとアクセスコントローラ間での帯域予約/確保/開放等に関するメッセージの送受信はなされず、アクセスコントローラ内で帯域予約/確保/開放等の帯域管理がなされる。
【0036】
無線APはタイマ監視をしており、所定の時間内に次のメッセージ(ステップ16)を受信しなければステップ5で予約した帯域を開放する(図8のステップ13)。
【0037】
ACKの送受信(図8のステップ11、12)を行ったSIPサーバは端末1と端末2間の呼を話中呼として管理している。また、この時点で端末1、2間の帯域幅が決定することから、図8のステップ14において、SIPサーバはQoS確保リクエストをアクセスコントローラに送信する。その後は、QoS予約リクエストのシーケンス(図7のステップ3〜ステップ7)と同じシーケンス(図8のステップ15〜ステップ19)によって無線APでの帯域確保がなされ、端末1、2間での音声通信が実行される(ステップ20)。
【0038】
図9は、図8のステップ20の後、端末2から呼切断が行われる場合の処理を示すシーケンス図である。ステップ21〜ステップ24において、通常のSIPによる処理が行われることにより、SIPサーバは呼を切断する。ステップ25において、SIPサーバはQoS開放リクエストをアクセスコントローラに送信する。アクセスコントローラは該当の無線APを抽出し(ステップ26)、QoS開放リクエストを無線APに送信する(ステップ27)。無線APは今までMS01に対して確保していた帯域を開放するとともに、端末1が属する内線グループにおける消費リソースを更新し(ステップ28)、QoS開放レスポンスをアクセスコントローラに返し(ステップ29)、アクセスコントローラはQoS開放レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ30)。
【0039】
上記の場合において、無線APの配下の端末1が端末2に対して発信する場合も、発信端末と着信端末が入れ替わったことにより生じるSIPシーケンスの違いを除き図7〜図9と同じ処理が実行され、帯域予約、帯域確保、帯域開放が行われる。
【0040】
図7〜9に示した例は端末1が属する内線グループのリソースに余裕がある場合であったが、例えば図7のステップ5の判定の段階において、内線グループ1(NG01)の割り当てリソースから消費リソースを引いた値が端末1の呼接続に必要な値より小さい場合にはQoS予約が不可能であるため、それに応じた処理が行われる。以下、この場合の動作例を説明する。なお、ある内線グループにおける割り当てリソースから消費リソースを引いた値が端末1の呼接続に必要な値より小さい場合のことを、その内線グループが「輻輳中」であるものとする。
【0041】
まず、動作例1を図10を参照して説明する。
【0042】
図10におけるステップ1〜ステップ4は図7におけるステップ1〜ステップ4と同じである。無線APがアクセスコントローラからQoS予約リクエストを受信した後のステップ5において、無線APは、内線グループ1(NG01)が輻輳中でありQoS予約リクエストに含まれる必要帯域幅を予約することができないと判定する。すると無線APは輻輳中であることを示すQoS予約レスポンスをアクセスコントローラに返す(ステップ6)。アクセスコントローラも同様のQoS予約レスポンスをSIPサーバに返し(ステップ7)、SIPサーバはこのQoS予約レスポンスに基づき無線APが輻輳中であると判定し、端末2にビジーを送信する(ステップ8)。
【0043】
次に、動作例2を図11、12を参照して説明する。図10で説明した動作例1はSIPサーバが発信端末にビジーを返す例であるが、動作例2はSIPサーバが呼の転送を行う例である。この場合、SIPサーバには端末毎にその端末に対応する転送先端末を記録した転送先テーブルが登録されているものとする。また、転送先である端末3(URI3)は有線でネットワーク接続されたVoIP端末であるものとする。
【0044】
図11のステップ1〜ステップ7は図10のステップ1〜ステップ7と同じである。輻輳中であることを示すQoS予約レスポンスをSIPサーバが受信すると、ステップ8において、SIPサーバは転送先テーブルを参照し、着信先である端末1(URI1)に対応する転送先URI3を取得する。そして、SIPサーバは着信先のURI3を指定したQoS予約リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ9)。アクセスコントローラはURI3の端末3を配下に持つ無線APを探すが(ステップ10)、データベースにそのような無線APが存在せず、その旨を示すQoS予約レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ11)。その後、SIPサーバは通常の転送のための呼接続処理を行い(図12のステップ12〜ステップ16)、端末3と端末2間での音声通信が行われる(ステップ17)。ステップ18〜21で呼が切断されると、ステップ22においてSIPサーバはQoS開放リクエストをアクセスコントローラに送信するが(ステップ22)、アクセスコントローラでは該当無線APは見出されず(ステップ23)、その旨のQoS開放レスポンスがSIPサーバに送信される(ステップ24)。
【0045】
次に、動作例3を図13を参照して説明する。動作例3ではメディアサーバが備えられ、ステップ7において輻輳中であることを示すQoS予約メッセージをSIPサーバが受信した後に、メディアサーバと端末2間が接続され(ステップ8〜ステップ12)、メディアサーバから「輻輳中ですので接続できません」等のガイダンスが端末2に流された後(ステップ13)、呼が切断される(ステップ14〜ステップ17)。
【0046】
次に、動作例4を図14〜16を参照して説明する。動作例4は、端末1が無線APの内線グループ輻輳により接続不可能の状態にあり、端末1が通信可能になるまで待ってもらうことを通知するガイダンスを端末2に流し、無線APの輻輳が解消して端末1が通信可能になると端末1と端末2を接続するものである。
【0047】
ステップ7において、輻輳中であることを示すQoS予約レスポンスをSIPサーバが受信すると、SIPサーバは、発/着信URI、必要帯域幅、CallIDを含むQoS予約+通知リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ8)。QoS予約+通知リクエストは、無線APに対してQoS予約を行おうとしている帯域を通知し、その帯域を確保できるだけの空きができたらその旨を通知するよう要求するためのメッセージである。
【0048】
ステップ9においてアクセスコントローラは該当する無線APにQoS予約+通知リクエストを送信する。QoS予約+通知リクエストを受信した無線APは、MS01に対して帯域予約があったことを認識し、帯域の監視を開始するとともに(ステップ10)、QoS予約+通知リクエストに対するレスポンスを返す(ステップ11、12)。
【0049】
一方、発信元の端末2とメディアサーバとがSIPによる所定の手順で接続され(ステップa〜ステップf)、端末2にガイダンスが流される(ステップ13)。
【0050】
図15において、無線APは内線グループ1の帯域幅の空きをチェックし(ステップ14)、要求された帯域以上の帯域が空けばその旨の通知をするためのメッセージであるQoS空き通知をアクセスコントローラに送信する(ステップ15)。この通知には呼を識別するためのCallIDが含まれる。アクセスコントローラはQoS空き通知をSIPサーバに送信し(ステップ16)、SIPサーバからQoS空きレスポンスが返される(ステップ17、19)。
【0051】
次に、SIPの所定の手順により、端末2とメディアサーバ間のセッションが終了され(ステップ20)、端末2から端末1に対する接続処理が開始される(ステップ21)。その後の処理(ステップ22〜図16のステップ39)は図7のステップ2〜図8のステップ20の処理と同じである。
【0052】
次に、図17〜図19を参照して、他の動作例として内線グループ一斉呼び出しを行う場合の接続動作を説明する。この例では、SIPサーバが代表番号と子番号集合とを対応付けた内線グループテーブルを保持している。また、URI0を代表番号とする内線グループ1の端末URI1、URI2、URI3が無線AP配下に存在するものとする。
【0053】
図17において、SIPサーバが端末4から代表番号(URI0)を着信先として含むINVITEを受信すると(ステップ1)、SIPサーバは内線グループテーブルを参照し、URI0に対応する子番号(URI1、URI2、URI3)を抽出し、それぞれを着信先とするQoS予約リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ2〜ステップ4)。アクセスコントローラは着信先毎に対応する無線APの抽出を行い(ステップ5)、MSID、必要帯域幅、CallIDを含むQoS予約リクエストを無線APに送信するが、この例では全ての着信先が同一の無線APの配下にあるので、QoS予約リクエストは全て1つの無線APに送信される(ステップ6〜ステップ8)。なお、CallIDは全ての着信先で同一である。
【0054】
さて、代表番号での呼び出しによりその代表に属する複数の端末が呼び出されるが、発信元と接続される端末は1つだけである。従って、ステップ9において無線APはCallIDに対応付けて1回線分の帯域を予約する。つまり、ここで内線グループ1で使用可能な帯域がチェックされ、帯域予約が可能であることを確認し、帯域の予約を行う。
【0055】
その後、ステップ6〜ステップ8のそれぞれに対するレスポンス(ステップ10)、及びステップ2〜ステップ4のそれぞれに対するレスポンスが返される(ステップ11)。
【0056】
その後、SIPサーバは内線グループに属するそれぞれの端末に対してINVITEを送信し、各端末を鳴らす(図18のステップ12〜14)。図18の例では端末3が応答し、端末3と端末4とが接続される(ステップ15〜ステップ18)。その後、図8のステップ13〜ステップ19と同様のシーケンスで、端末3に対する無線APにおける帯域確保処理が行われる(ステップ19〜ステップ25)。
【0057】
一方、図19に示すように、端末1にはINVITEをキャンセルするためのメッセージ送受信が実行される(ステップ26〜ステップ29)。そして、端末1を対象とするQoS開放リクエストがSIPサーバからアクセスコントローラに送られ(ステップ30)、アクセスコントローラから無線APに送信される(ステップ31)。無線APは端末1のエントリを削除し(ステップ32)、リクエストに対するレスポンスが返される(ステップ33、34)。端末2に対しても端末1と全く同じ処理が行われる(ステップ35〜ステップ43)。
【0058】
(装置構成概要)
次に、上述した動作を実現するためにSIPサーバ、アクセスコントローラ、無線AP、コンソールが備える主要機能について説明する。図20は、SIPサーバ40、アクセスコントローラ30、無線AP10、コンソール50の機能概要例を説明するための図である。ここでは、アクセスコントローラが各無線APの帯域を管理し、輻輳判定を行う場合の例を説明する。
【0059】
SIPサーバ40は、SIPに基づく呼制御を行うための呼制御機能41に加えて、端末のSIPサーバ(レジストラ)への登録/削除をトリガーにして、アクセスコントローラ30に対してURI登録(有効化)/削除(無効化)のリクエストを行い、SIPメッセージ(INVITE/BYE/レスポンスなど)をトリガーにして、アクセスコントローラ30に対して、QoS予約/確保/開放のリクエストを行う等の機能を有する対アクセスコントローラインタフェース機能42を有している。
【0060】
アクセスコントローラ30は、SIPサーバ40から受信した上記各リクエストに対応する処理を行い、回答(OK/NG)をSIPサーバに対して送信する対SIPサーバインタフェース機能31、無線APにおける内線グループ毎の割り当てリソース及び消費リソースに基づき輻輳判定を行う判定機能32、無線APから受信した端末登録/削除のリクエストに対応する処理を行う対無線APインタフェース機能33、コンソールからの入力に応じて(a)端末MACアドレスとSIP−URIの対、(b)無線APの最大リソース量、(c)内線グループIDと内線グループに所属する端末のSIP−URIとを対応付けた内線グループ登録端末情報、(d)無線AP毎に内線グループIDと内線グループID毎の割り当てリソースとを対応付けた内線グループ設定リソース情報等をデータベース35に設定する対コンソールインタフェース機能34、及びデータベース35を有している。なお、複数の無線APからなる無線APグループ単位で複数の内線グループへのリソース割り当てを行う場合において、アクセスコントローラ30は、各無線APへのリソース配分を計算する計算手段と計算結果をデータベースに格納する手段を備えてもよい。
【0061】
また、無線AP10は無線AP本来の無線AP機能11に加え、端末の無線APへの接続/切断をトリガーに、アクセスコントローラ30に対して端末登録/削除のリクエストを行う対アクセスコントローラインタフェース機能12を有している。
【0062】
コンソール50は操作者の入力を受け付けるユーザインタフェース機能51と、設定情報をアクセスコントローラに送信する対アクセスコントローラインタフェース機能52を有している。
【0063】
SIPサーバ、アクセスコントローラはそれぞれCPU、記憶装置、通信用装置等を備えたコンピュータに上記各機能を実現するためのプログラムを搭載することにより実現されるものである。
【0064】
次に、本実施形態におけるアクセスコントローラ30が保持するデータベース35内の端末管理データ、無線AP管理データ、内線グループ登録端末データ、内線グループ設定リソースデータを説明する。
【0065】
図21に端末管理データの例を示す。ここで示す例では端末MACアドレスと端末SIP−URIとを対応付けて予めアクセスコントローラ30のデータベース35に固定値として登録しておく。そして、図5等で説明したシーケンスにより送受信されるデータに基づき、無線状態、SIP状態、CallID、接続APを随時記録することにより端末を管理する。
【0066】
図21に示すデータにおける「無線状態」は端末と無線APとの接続状態を示すデータであり、端末と無線APとが接続状態にあるときは“Link Up”が記録され、切断状態にあるときは“Link Down”が記録される。また、接続状態にあるときの無線APのIDが「接続AP」に記録される。
【0067】
「SIP状態」は端末とSIPサーバとの接続状態を示すデータであり、呼接続無しで登録されている状態では“Register”が記録され、登録が削除された状態では“Unregister”が記録され、呼接続処理開始から呼接続までのQoS予約中の状態では“QoS予約中”が記録され、呼接続から呼切断までのQoS確保中の状態では“QoS確保中”が記録される。
【0068】
「CallID」は、「SIP状態」がQoS予約中/QoS確保中の場合のみデータが記録されるものであり、呼(SIPセッション)毎のCallIDを設定する。このCallIDはQoS空きNotify()の呼の特定等で利用される。
【0069】
図22に無線AP管理データの例を示す。図22における「APID」は無線AP毎に一意なIDであり、端末管理データの「接続AP」に登録される情報と同じものである。「リソース上限値」は無線APで利用可能なリソース上限値である。これらのデータは固定値として予め登録されるものである。これらのデータは、リソース配分の計算時に用いることができる。
【0070】
図23に内線グループ登録端末データの例を示す。図23における「内線グループID」は内線グループ毎に一意なIDであり、内線グループ所属SIP−URIは内線グループに所属する端末のSIP−URIである。これらのデータは固定値として予め登録されるものである。
【0071】
図24に内線グループ設定リソースデータの例を示す。図24に示すデータのうち「内線グループID」、「割当リソース」、「設定AP」が固定値として予め登録されるデータである。ただし、後述するリソース比例配分を実施する場合には「割当リソース」を動的に設定することもできる。
【0072】
「内線グループID」は内線グループ登録端末データの「内線グループID」と同じである。「割当リソース」は内線グループで利用可能なリソース上限値である。「設定AP」は内線グループに対するリソース設定がなされている無線APの識別情報であり、端末管理データの「接続AP」に登録される情報と同じ識別情報である。
【0073】
「利用中リソース量」は、設定APで示される無線APの内線グループで現在使われているリソース量を示す値であり、当該無線AP配下の当該内線グループに属する端末の呼数に応じて動的に変化する値である。この値は、端末の呼接続が発生した場合に加算され、呼接続が終了すれば減算される。「割当リソース」から「利用中リソース量」を引いた値から、当該無線APにおける当該内線グループが輻輳中であるか否かを判定できる。
【0074】
本実施形態のアクセスコントローラは30は上記データを用いて次の手順で輻輳判定を行うことが可能である。
【0075】
アクセスコントローラ30がQoS予約リクエスト(又はQoS確保リクエスト)を受け付けると、QoS予約リクエストに含まれるURIを用いて端末管理データを検索して接続無線APを抽出する。そして、内線グループ登録端末データを検索して所属内線グループIDを抽出し、接続無線APと所属内線グループIDとを用いて内線グループ設定リソースデータを検索することにより割り当てリソース量と使用中リソース量を取得する。そして、これらから未使用リソース量を算出し、QoS予約リクエストに含まれる必要帯域幅と比較することにより、必要帯域幅を使用可能なだけ未使用リソースがあれば帯域予約を行い、未使用リソースが不足であれば輻輳中であると判定する。
【0076】
(アクセスコントローラ詳細機能構成)
次に、アクセスコントローラ30の詳細機能構成を図25を用いて説明する。図25に示すように、アクセスコントローラ30はデータベース35、SIP連携I/F60、リソース管理機能70、データ管理機能80、無線AP管理機能90、端末管理機能100、無線AP連携I/F110を有している。
【0077】
以下、各機能部の機能についてより詳細に説明する。
【0078】
SIP連携I/F60はSIP要求受付部61、SIP要求返却部62、SIP通知部63を有している。
【0079】
SIP要求受付部61は端末登録要求受付部64とリソース要求受付部65を有している。端末登録要求受付部64はレジストラから端末登録要求を受け付ける。また、端末登録情報を端末登録部(アプリケーション層)101に渡す。リソース要求受付部65はSIPサーバ40からリソース要求を受け付け、リソース要求種別(予約/予約+通知/確保/開放)に応じて、リソース予約/開放部71にリソース操作を要求する。リソース要求種別が”予約+通知”の場合は、リソース状態変化監視部72にリソース監視を要求する。
【0080】
SIP要求返却部62は端末登録要求返却部66とリソース要求返却部67を有しており、端末登録要求返却部66は端末登録要求受付部64へのリクエストの結果をレジストラに返却し、リソース要求返却部67はリソース要求受付部65へのリクエスト結果をSIPサーバ40に返却する。
【0081】
SIP通知部68はリソース状態変化通知部68を有しており、リソース状態変化通知部68はリソース状態変化監視部72からの要求に応じて、SIPサーバ40に対してQoS空きNotify()通知を行う。
【0082】
リソース管理機能70はリソース予約/開放部71とリソース状態変化監視部72を有している。リソース予約/開放部71はリソース要求種別(予約/確保/開放)に応じて、データ更新部81にリソース操作を要求する。予約/開放部71における内線グループ管理部711は内線グループの空きリソース量に応じて輻輳判断を行う。例えば、ある無線APにおけるある内線グループの上限リソース量から使用中リソース量を減算した値が、当該無線APにおける当該内線グループの端末に関連して要求されたリソース量以下である場合に輻輳中であると判断する。リソース状態変化監視部72は無線APの内線グループ毎の空きリソースを監視し、空きに状態に遷移した時に、リソース状態変化通知部68に対して空きを通知する。
【0083】
データ管理機能80はデータ更新部81を有している。データ更新部81はデータベース35のデータ読み出し/追加/更新/削除を行う。また、SIP−URIと端末MACアドレスとの相互変換を行う。データ更新部81における内線グループ更新部811は内線グループ関連情報のデータベース35へのデータ読み出し/追加/削除を行う。
【0084】
無線AP管理機能90は無線AP/リソース登録部91を有している。無線AP/リソース登録部91は無線APの登録及び当該無線APに対するリソース上限値をコンソール50からの指示に基づきデータベース35に設定する。また、無線AP/リソース登録部91における内線グループ登録部911は内線グループ関連の情報を設定する。
【0085】
端末管理機能100は端末登録部(アプリケーション層)101と端末登録部(データリンク層)102を有している。端末登録部(アプリケーション層)101は端末登録要求受付部64から、リソース管理対象端末のSIP−URIを受け取り、データ更新部81に対してデータ登録を要求する。当該処理により、SIP−URIが本システムで有効化される。また、端末登録部(データリンク層)102は端末MAC登録要求受付部111から、リソース管理対象端末のMACアドレスを受け取り、データ更新部81に対してデータ登録を要求する。当該処理により、端末MACアドレスが本システムで有効化される。
【0086】
無線AP連携I/F110は端末MAC登録要求受付部111を有している。端末MAC登録要求受付部111は無線APで発生する端末イベント(Association/Disassociation/Reassociation)を契機として、イベントを受け付け、当該イベントの種別に応じて、端末登録部(データリンク層)102に対して、端末MACアドレスの登録/削除/再登録を要求する。
【0087】
(内線グループに対する無線リソースの割り当て方法について)
これまでは無線AP毎に複数の内線グループに対するリソースを割り当てる例を説明した。例えば、図26に示すように、各無線AP(AP11,AP12など)毎に内線グループ(総務、営業など)に割り当てるリソースを固定で割り当てることが出来る。なお、これまでの説明では、利用端末ごとに使用帯域値が異なる場合を想定して、無線APのリソースについては、帯域値で説明した(例えば、図22)が、本項では、各端末が使用する帯域値が全て等しいと仮定して、接続可能な回線数でリソース量を表す。また、以下、複数の無線APからなるグループを無線APグループと呼ぶ。
【0088】
図26は、無線AP15と無線AP16が無線APグループXを構成し、無線AP21、無線AP22、無線AP23が無線APグループYを構成している例を示している。無線AP15に対しては、総務部内線グループ(以下では、「総務部」という。)に3回線、営業部内線グループ(以下では、「営業部」という。)に3回線、無線AP16に対しては、総務部に3回線、営業部に1回線という具合に、総務部、営業部の両内線グループに固定的に無線APのリソースを割り当てた例である。また、無線APグループYにおいても図26に示すとおりのリソースが各無線APに割り当てられている。
【0089】
図26に示すように無線AP毎に各内線グループへのリソース割り当てを固定的に行う場合は、内線グループの数、無線APの数が多い場合は、割り当て可能な量を超えて割り当てしない様に管理する必要がある等割り当ての管理稼動が大きくなる。
【0090】
上記の点に鑑み、例えば1フロアや1ビル等の複数の無線APからなるグループ単位に複数の内線グループに対するリソース割り当てを行ってもよい。例えば、5つの無線APを含む1フロアに対し、その1フロアに存在する総務部と営業部にそれぞれ15回線と10回線を割り当てるようにリソース割り当てを行う。
【0091】
無線APグループ単位で複数の内線グループに対するリソース割り当てを行う場合における、無線APグループ内の個々の無線APに対する内線グループ毎のリソース割り当てについて(1)無線グループ単位に固定の割合で各無線APのリソースを内線グループに配分する方法(これを、「固定比例配分」という。)、(2)無線グループ毎に各内線グループへの割り当てリソース(回線数)を設定し、無線APのサービスエリア内に存在する端末数に応じて無線APでの各内線グループへのリソースを割り当てる方法(これを、「接続端末比例配分」という。)を説明する。
【0092】
このようにすれば、複数の無線AP(例えば、ビルの同じフロア)を一つの無線グループとし、無線グループについて内線グループへのリソース割り当てを決定し、個々の無線APにおける内線グループは計算処理により決定することが出来るため、リソース割り当ての管理も容易となる。
【0093】
また、全てのリソースを内線グループに割り当てる必要は無く、内線グループに属さない端末や、割り当てリソースが全て使用されている内線グループの端末向けに一定のリソースを用意しておくこともできる。
【0094】
[(1)固定比例配分について]
固定比例配分は、無線APグループに設定された内線グループの割り当てリソースの比と同じ比で、各無線APにおける内線グループのリソースを割り当てるものである。例えば図27に示すように、総務部と営業部が存在する1フロアの無線APグループXでは、総務部と営業部が予約できるリソースを3:2の割合で、他のフロアの無線APグループZでは、同様に、総務部と営業部に1:9の割合で無線APのリソースを割り当てたとする。この場合、当該無線APグループにおける各無線AP内のリソースを、総務部:営業部=3:2の割合で割り当てる。例えば、無線APグループXに属する無線APが2台であり、それぞれ上限リソース量が、無線AP15は10回線、無線AP16は5回線であるとすれば、無線AP15の10回線を総務部と営業部で3:2に分け、また、無線AP16の5回戦を同じく総務部と営業部で3:2に分ける。つまり、図27に示すように各無線APに対して回線が割り当てられる。
【0095】
回線数を単位としてリソースを比例配分するときに端数が生ずる場合がある(帯域数を単位とする場合でも端末が使用するリソース量の最小単位で割り当てを行う場合は同様である)。例えば、図27のAP22で15回線を総務部、営業部に1:9の割合で振り分けようとすると、1.5回線と13.5回線となる。これについては、予めルール設定をしておくことにより解決できる。図27の例では、回線数が少ない内線グループ(総務部)向けに算出された回線数の端数を切り上げ、残りリソースを他の内線グループ(営業部)に割り当てるとした例である。この他、リソース量が1回線未満となった内線グループには、1回線を割り当て、残りのリソースをその他の内線グループで比例配分させてもよいし、1回線未満の内線グループが多い場合など、複数の内線グループを一塊の内線グループとして無線APのリソースを割り当てるようにしてもよい。
【0096】
また、各無線APにおける上限リソース量が同じである場合には、無線APグループに設定された各内線グループの割り当てリソースを、各無線APに均等に割り当てることとしてもよい。この場合、例えば各無線APの上限リソース量が5回線であれば、各無線APにおいて総務部に3回線、営業部に2回線が割り当てられる。
【0097】
この割り当て内容は、上記の計算を別のコンピュータ上で行ってコンソールからアクセスコントローラ30の内線グループ設定リソースデータに登録してもよいし、無線APグループ内の割り当て(総務部に6回線分、営業部に4回線分等)のみをアクセスコントローラ30に入力し、アクセスコントローラ30が上記の比例計算を行って内線グループ設定リソースデータに計算結果を登録してもよい。
【0098】
[(2)接続端末比例配分について]
接続端末比例配分では、無線APグループに設定された内線グループの割り当てリソースを、各無線APに対し、無線APに接続している端末数で比例配分する。なお、無線APに接続している端末とは、図21に示す端末管理データにおいて“Link up”の状態にある端末のことである。
【0099】
例えば図28に示すように、無線APグループXにおける総務部への割り当てリソースが6回線である場合において、無線APグループに属する2つの無線APのうちの無線AP15の配下に総務部の端末が10台接続され、無線AP16の配下に総務部の端末が5台接続されているものとする。この場合、総務部への割り当てリソース6回線を無線AP15と無線AP16とで10:5すなわち2:1の割合で配分する。つまり、無線AP15には総務部に対して6×10/(10+5)=4回線を割り当て、無線AP16には残りの2回線を割り当てる。
【0100】
この割り当ての処理は次のようにして行うことができる。
【0101】
無線APグループ内のリソース割り当て内容をアクセスコントローラ30に入力する。アクセスコントローラ30は定期的に端末管理データを監視し、無線AP毎に内線グループ毎の接続端末数を取得する。そして、取得したデータを用いて、上記の方法により各無線AP毎の各内線グループに対する割り当てリソースを算出し、内線グループ設定リソースデータに計算結果を設定する。なお、1つの無線AP配下に多くの端末が集中し、上記の計算方法により求めた各内線グループの割り当てリソースの合計が無線APの上限リソースを超える場合には、割り当てリソースの合計が無線APの上限リソースを超えないようにするために、例えば、各内線グループの割り当てリソースに、(無線APの上限リソース/計算で求めた割り当てリソースの合計)を乗じることにより割り当てリソースを圧縮する。そして、圧縮により減少した分のリソースを他の無線APに割り当てる。
【0102】
接続端末比例配分では、接続している端末数の多い無線APにより多くのリソースが割り当てられるので、リソース不足により接続を拒否される可能性が低くなると考えられる。
【0103】
上記の接続端末比例配分において、現時点での無線APへの接続端末数に応じてリソース割り当て計算を行うことの他、例えば、予め定めた期間における無線APへの接続端末数の平均を用いてリソース割り当て計算を行うことも考えられる。
【0104】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】従来の無線IP電話システムの構成例を示す図である。
【図2】従来技術の問題点を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるシステムの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるシステムの動作概要を説明するための図である。
【図5】端末1をアクセスコントローラに登録するためのシーケンス図である。
【図6】アクセスコントローラから登録された端末1を削除するためのシーケンス図である。
【図7】輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合のシーケンス図である。
【図8】輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合のシーケンス図である。
【図9】輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合のシーケンス図である。
【図10】内線グループ輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例1を示すシーケンス図である。
【図11】内線グループ輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例2を示すシーケンス図である。
【図12】内線グループ輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例2を示すシーケンス図である。
【図13】輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例3を示すシーケンス図である。
【図14】輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例4を示すシーケンス図である。
【図15】輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例4を示すシーケンス図である。
【図16】輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例4を示すシーケンス図である。
【図17】内線グループ一斉呼び出しを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図18】内線グループ一斉呼び出しを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図19】内線グループ一斉呼び出しを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図20】装置の機能概要を説明するための図である。
【図21】端末管理データの例を示す図である。
【図22】無線AP管理データの例を示す図である。
【図23】内線グループ登録端末データの例を示す図である。
【図24】内線グループ設定リソースデータの例を示す図である。
【図25】アクセスコントローラ30の詳細機能構成図である。
【図26】各無線APにリソースを配分する場合の例を説明するための図である。
【図27】リソースの固定比例配分を説明するための図である。
【図28】リソースの接続端末比例配分を説明するための図である。
【符号の説明】
【0106】
1、2 端末
10 無線AP
11 無線AP機能
12 対アクセスコントローラインタフェース機能
30 アクセスコントローラ
31 対SIPサーバインタフェース機能
32 判定機能
33 対無線APインタフェース機能
34 対コンソールインタフェース機能
35 データベース
40 SIPサーバ
41 呼制御機能
42 対アクセスコントローラインタフェース機能
50 コンソール
51 ユーザインタフェース機能
52 対アクセスコントローラインタフェース機能
60 SIP連携I/F
70 リソース管理機能
80 データ管理機能
90 無線AP管理機能
100 端末管理機能
110 無線AP連携I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内線グループを配下に持つ無線APとVoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御装置であって、
前記無線APに割り当てられた内線グループ毎のリソース量と内線グループ毎の使用中のリソース量とを対応付けた内線グループリソース情報と、各内線グループと当該内線グループに属する各端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報とを対応付けた内線グループ管理情報と、を記録する記憶手段と、
端末から前記無線APへの接続を契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線AP識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する下位レイヤ登録手段と、
前記端末の上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録手段と、
前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信した前記VoIP呼制御手段からリソース状態の問い合わせを受信し、当該問い合わせに含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、当該無線APにおける前記端末が属する内線グループの割り当てリソース量と、当該内線グループで使用中のリソース量とから当該内線グループが輻輳状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記端末が属する内線グループが輻輳状態にある場合に前記内線グループが輻輳中であることを前記VoIP呼制御手段に通知する通知手段と
を有することを特徴とするアクセス制御装置。
【請求項2】
前記無線IP電話システムにおいて複数の無線APからなる無線APグループの配下に複数の内線グループが形成されており、
前記アクセス制御装置は、前記無線APグループにおいて各内線グループに割り当てられた各リソース量の入力を受け付け、当該各内線グループに割り当てられた各リソース量に基づき各無線APの内線グループ毎のリソース量を前記内線グループリソース情報内に設定する請求項1に記載のアクセス制御装置。
【請求項3】
前記アクセス制御装置は、前記無線APグループ内の無線AP毎に、無線APに接続されている端末の数を内線グループ毎に取得し、前記無線APグループにおいて各内線グループに割り当てられた各リソース量を、前記無線APグループ内の各無線APにおける内線グループ毎の接続端末数に比例させて各無線APに配分することにより各無線APの内線グループ毎のリソース量を設定する請求項2に記載のアクセス制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2007−110411(P2007−110411A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298974(P2005−298974)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(000102717)エヌ・ティ・ティ・ソフトウェア株式会社 (43)
【Fターム(参考)】