アドホック・ピアツーピア無線ネットワークを用いて資産を追跡するためのシステム及び方法
移動体端末、無線ルータ及び1つ以上の操作卓を備える無線装置のネットワークを、建物等の三次元配備領域内に配備するためのシステム及び方法に関する。このシステム及び方法によって、建物構造にかかわらず、移動体端末を用いる消防士等の要員の通信、識別及び位置計算が可能である。また、火災救助活動における消防士等の追跡対象資産が所望の期間より長く所定のユーザ指定領域内に留まっているか否かをユーザが判断することが可能である。また、対象資産及び対象資産が位置する建物のフロア番号等の位置を識別する警報を生成することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドホック・ピアツーピア無線移動体通信ネットワーク技術を用いて、火災救助活動における消防士等、追跡対象の資産(asset)が所望の期間より長く所定の領域内に留まっているか否かを正確に判断し、対象資産と、その対象資産の位置する建物のフロア番号等の位置とを識別する警報を生成し得るシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、“アドホック・マルチホップ”ネットワークとして知られる種類の移動体通信ネットワークが開発されている。この種類のネットワークでは、各移動体ノードが他の移動体ノード用のルータとして動作可能であり、基地局のほとんどの機能を提供するため、ほとんどコストをかけないで有効範囲領域が拡張される。アドホックネットワークの詳細については、メイヤ(Mayor)による特許文献1に記載されている。その全内容を引用によって本明細書に援用する。当業者は認識し得るように、ネットワークノードが時分割多元接続(TDMA)形式、符号分割多元接続(CDMA)形式、又は周波数分割多元接続(FDMA)形式等の多重形式でデータパケット通信を送受信することによって、基地ノードの単一の送受信機が、その有効範囲領域にある幾つかの移動体ノードと同時に通信を行うことが可能である。
【0003】
更に高度なアドホックネットワークも開発されつつあるが、これらのネットワークでは、従来のアドホックネットワークでのように移動体ノードが互いに通信可能であることに加え、更に移動体ノードが固定ネットワークへアクセスすることが可能であるため、公衆交換電話網(PSTN)上やインターネット等の他のネットワーク上などの他の固定ノード又は移動体ノードと通信を行い得る。これら改良型のアドホック・マルチホップ・ネットワークの詳細については、2001年6月29日に出願の“PSTN及びセルラーネットワークに接続されるアドホック・ピアツーピア移動体無線接続システム”と題する特許文献2、2001年3月22日に出願の“単独補助チャネルによる共有並列データチャネルへの連係チャネルアクセスを行うアドホック・ピアツーピア無線ネットワーク用の時分割プロトコル”と題する特許文献3、および2001年3月22日に出願の“アドホック・ピアツーピア移動体無線接続システムのための優先順位付け式ルーティング”と題する特許文献4に述べられている。各出願の全内容を引用によって本明細書に援用する。
【0004】
従来の無線通信ネットワーク又はアドホック無線通信ネットワークのいずれにおいても、移動体ノードが相対的若しくは絶対的な地理的地点、即ち位置、を知り得ること若しくは決定し得ることが必要であるか又は望ましい。当業者には知られているように、このことは多くの技術を利用して達成され得る。これらの技術は、セル識別を必要とし、ラウンドトリップ時間(RTT)、タイミング・アドバンス(TA)及び測定信号レベル(RXレベル)、到達時間差(TDOA)及び到着角度(AOA)手法と組み合わせる必要がある。これらの詳細については、当業者には認識される。他の利用可能な技術は、符号分割多元接続(CDMA)及び広帯域符号分割多元接続(WCDMA)用のセルラー信号タイミングに基づく方法を用いる。更に他の技術は、全地球測位システム(GPS)手法を用いるが、これらは、一般的に、記載した他の全ての方法より正確であると見られている。
【0005】
GPS手法は相当長期に渡って用いられてきており、また、世界中のほとんどのナビゲーションがGPS手法に依拠しているという事実にもかかわらず、一部の特定の条件下での測定ではGPS手法は極めて大きな誤差を生じやすい。GPS手法では、多数の衛星を伴う比較的多数の測定を実施して伝搬及び方法誤差を除去した後にのみ、極めて高い精度で位置決定結果を提供することが可能である。GPSの欠陥の説明については、非特許文献1に記載されている。その全内容を引用によって本明細書に援用する。また、他の或る試験によって、GPS手法は、地下トンネル内、建物内、大量の葉の下、又は市街地の“谷間(canyons)”の中など、良好な精度を提供するには見通せる衛星の数が少な過ぎる環境において動作する地上ネットワークには不適切であることが実証されている。
【0006】
上述の位置情報決定の問題を克服するため、位置情報を決定するために衛星や中央演算設備を用いる必要のない新しい手法が開発されつつある。アドホック・マルチホップ・ネットワークにおける移動体端末の位置を演算するための新しい手法の更なる詳細については、“無線通信ネットワークにおける移動体端末の位置を演算するためのシステム及び方法”と題する特許文献5に述べられている。その全内容を引用によって本明細書に援用する。更に、アドホックネットワークは、非固定、即ち、移動可能なインフラ構成要素を利用して開発され得る。最適化された有効範囲及び容量制約のための移可動能なアクセスポイントや中継器を用いるネットワークの更なる詳細については、2001年8月15日に出願の“無線通信ネットワークにおける有効範囲制約及び容量制約を最小化するための移動可能なアクセスポイント及び中継器並びにこれを用いる方法”と題する特許文献6に述べられている。その全内容を引用によって本明細書に援用する。
【0007】
上述の特許及び特許出願は、一般的に、位置情報が絶対位置として提示される恒久的な固定ネットワークに接続する移動体ネットワークに関する。しかしながら、上述の特許出願から認識され得るように、一時的なアドホック・マルチホップ・ネットワークが必ずしも同じ要件を有するとは限らない。従って、非常事態条件下で活動する要員の位置が重要である場合など、相対位置の検出が望まれる場合、携帯可能で、配備が簡単である、自己完結型のアドホック・マルチホップ・ネットワークシステムの必要が存在する。相対位置は、地理的絶対位置に加えて又は代えて提供可能であり、また、そのような位置に通常存在する様々な送信障害物の間において容易に通信可能である。
【0008】
従って、配備された無線通信ネットワークにおける移動体ノードの絶対位置及び相対位置のうちの1つ以上を簡単に決定し、通信を行うための、改善されたシステム及び方法の必要が存在する。詳細には、火災救助活動における消防士等、移動体ノードを携行する資産が所望の期間より長く所定の領域内に留まっているか否かを識別し、対象資産と、その対象資産の位置する建物のフロア番号等の位置とを識別する警報を生成し得るために用いられるシステム及び方法の必要が存在する。
【特許文献1】米国特許第5,943,322号明細書
【特許文献2】米国特許出願第09/897,790号明細書
【特許文献3】米国特許出願第09/815,157号明細書
【特許文献4】米国特許出願第09/815,164号明細書
【特許文献5】米国特許第6,728,545号明細書
【特許文献6】米国特許出願第09/929,030号明細書
【非特許文献1】数学・応用研究所(IMA;Institute For Mathematics and its Applications)、“全地球測位システム(GPS)における数学的課題(Mathematical Challenges in Global Positioning Systems(GPS))”
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上述のように、非常事態条件下で活動する要員の位置は、多くの理由で極めて重要である。消防士等の要員が煙の中で迷い、自身の又は他者の実際の位置について、現在のフロア上なのか又は以前に自身が活動していたフロア上なのか混同する場合があった。後述のシステム及び方法を、消防士の安全性を保証するために構成されている一実施形態として提示する。本発明の更に別の実施形態では、任意数の他の非常事態又は特殊部隊配備における活動を支援するようにシステム及び方法が構成され得る。
【0010】
より詳細には、本発明は、建物等の三次元配備構造物内に、移動体端末、無線ルータ及び1つ以上のコントローラを含む無線装置のネットワーク、詳細には、移動体無線アドホック・ピアツーピアネットワークを配備するためのシステム及び方法を提供し、建物構造にかかわらず通信、識別及び位置計算を行い、火災救助活動中の消防士等の追跡対象資産が所望の期間より長く所定のユーザ指定領域内に留まっているか否かをユーザが決定し、対象資産と、その対象資産の位置する建物のフロア番号等の位置とを識別する警報を生成し得る。本明細書に述べる本発明の一実施形態による事故及び要員管理システムは、延焼中の建物等の事故領域内において非常事態要員を追跡する手段を提供するように構成されている。要員位置は、建物のフロア及び区画領域のうちの1つ以上毎に報告される。また、このシステムは、リアルタイムの要員位置情報及び警告状態インジケータへのアクセスを提供する。このシステムによって管理される補助的な要員データには、ユニット番号、名前、割当及び無線周波数を含む属性が含まれる。
【0011】
この種類のシステムは、MEA(商標)無線技術を用いることによって可能になっている。この技術は、MeshNetworks(商標)WMC6300無線送受信機等の複数の無線送受信機及び無線アドホック・スケーラブル・ルーティング技術を用いる。本例における送受信機は、MeshNetworksQDMAモデム等のモデムを利用して、厳しい条件のRF環境下であっても、堅牢な無線データ伝送を行う。この送受信機は、MeshNetworksスケーラブル・ルーティング(MSR)プロトコル及び地理的な位置解決策が結合されており、ユーザが1点の不足もなく高密度でスケーラブルなアドホック・マルチホップ・ネットワークを即座に配備することを可能とする。つまり、このシステムには、音声、映像及びデータを搬送することが可能であり、更にネットワーク境界の内に存在する或る要素の相対位置を計算することが可能なアドホック無線マルチホップ通信機構が含まれる。このシステムのアドホックな性質は、このシステムの配備を簡単とする幾つかの属性のうちの1つであり、苛酷な又は常に変化する物理的条件に曝される場合にも、全てのネットワークノード間に完全な接続を生成し、事故命令操作卓へ重要な情報を適宜配信することが可能である。
【0012】
更に詳細に後述するように、このシステムには、特に、MEA事故命令操作卓(ICC;Incident Commander Console)、複数のフロア指示ルータ(FIR;Floor Indicating Router)、及び1つ以上のMeshTracker(商標)(MT)装置を含む。MEA事故命令操作卓には、タッチスクリーンディスプレイを組み込むWindows(登録商標)ベースのPCが含まれ、これによって、簡易なユーザインタフェースが提供される。事故管理アプリケーションは、このPC上で実行され、MEA無線ネットワークカードを介して、MEAネットワーク機構に接続される。命令操作卓は完全に自己完結型であり、即時防災隊員(RIC;Rapid Intervention Crew)のリーダ等、事故現場を管理する要員によって監視されるように意図されている。事故管理アプリケーションは、リアルタイムの要員位置及び識別情報を図によって表現するように意図されている。詳細には、事故命令操作卓によって報告されるデータには、事故現場内における全要員の位置、ユニット番号、名前、無線周波数の割当、各個人への最近接FIR(通常、入口/出口地点)及びその距離、分隊によって(隊長/分隊長を介して)又は個人として要員を表す機能、各個人の警報状態、並びに個人とのネットワーク通信の喪失又はFIRとの通信の喪失が含まれる。
【0013】
フロア指示ルータ(FIR)は、上述のFCC/UL認定MEA無線送受信機カードを採用した小型の携帯装置である。これらの装置は、事故現場周辺に静的な基準点として配備される。これらの装置は、通常、RIC等の現場要員が事故現場に到着した後、その現場要員によって配備される。FIRは、階段吹抜け内の柱に及びエレベーターシャフト付近に、即ち、入口/出口地点に配備される。無線有効範囲領域及びシステムの信頼性を大きくするために、必要に応じて複数のFIR柱に配備される。この例のFIR装置は携帯可能であり、重さは約340g(12オンス)未満、バッテリ寿命は5時間である。この装置は第2のISM帯域(2.40〜2.48GHz範囲)で動作し、送信パワーは+25dbmである。
【0014】
MeshTracker(MT)装置は、位置の追跡及び明確化のために現場要員により携行される移動体装置、即ち移動体端末として用いられることが意図されることを除き、形状因子はFIRと同様である。MeshTrackerは、MEA位置特定技術を利用して、事故現場内での相対位置を計算する。これは、詳細に後述するように、事故現場内に配備されたFIR装置との無線交信によって行われる。MTは、アドホック無線通信機構として、配備されたFIR及び他のMTを利用して、重要な情報を命令操作卓に中継する。
【0015】
上述のように、このシステムにおいて基幹・データ配信機構として機能する基本的な技術は、MEAである。MEAはMeshNetworksのアドホック・マルチホップネットワーキングソリューションであり、簡易な配備指針を用い、重大な依存性の存在しない迅速な配備を可能とする。ネットワークは、2つの方法のうちの1つを用いて配備される。即ち、ネットワークインフラ構成要素(FIR)は建物管理・安全システムの一部として予め配備される(例えば、各フロア上の“出口”表示に接続される)か、あるいは、事故が起きたときに配備される。これから述べるように、ネットワークがいつ配備されるかにかかわらず、配備指針は同じである。
【0016】
最初に指揮所が設立されるが、この場所は指揮所が配備され、事故命令操作卓(ICC)を介して事故が管理される場所である。この場所では、事故現場内の2つ以上のFIRへの無線接続を可能とする。命令操作卓とFIRネットワークとの間の接続は、数十〜数百メートル(数百〜数千フィート)の範囲で得られる。
【0017】
FIRは、入口及び出口の地点の外にある柱(通常、階段吹抜け及びエレベーターシャフトのうちの1つ以上の付近又は内部)に配備される。FIRは、資産が追跡されるフロア及び領域の上並びに周辺に配置されるが、通常、これらのフロア及び領域は火災フロア及び中間準備領域(staging area)である。各FIRはフロア及び柱と論理的に結び付けられる。各FIRに対するフロア及び柱情報を命令操作卓にプリロードすることや、事故指揮装置によってGUIを介してリアルタイムに構成することが可能である。システムはFIR柱が1つしか配備されていないときにも位置情報を提供可能であるが、多数のFIR柱を配備することによって位置精度が改善され、監督領域が増えるとともに、熱や崩れ落ちるがれきのために装置が失われる場合に必要な冗長性が確保される。通常、単一のFIR柱の提供する有効範囲はフロア当り約18,000平方メートル(約200,000平方フィート)である、即ち、通常の高層構造では250フィート(約75メートル)の有効範囲半径を提供し、95%を超える場合において正確な位置を提供する。有効範囲領域のサイズ及び特定される位置の精度は、各フロアに用いられる仕切方法及び材料に強く影響される。FIRのネットワークの配備後、事故現場内においてMeshTrackerを使用している要員からの位置更新情報は、自動的に事故命令操作卓へ報告される。
【0018】
図1は、階段102及びエレベーターシャフト104を有する建物100を示す概略ブロック図である。階段102及びエレベーターシャフト104には、上述の手法によりFIR 106が配備されている。図1の凡例には、消防士108、位置基準FIR 106、データリンク、及び上述の事故命令操作卓(ICC)111の位置する事故指揮装置(通信指令装置)110の記号を示す。FIR 106は位置基準を提供する他、フロアを通じるネットワーク接続及びフロア間のネットワーク接続を確保する。事故指揮装置の位置が事故現場から遠過ぎる場合、1つのネットワーク中の全ての無線構成要素を接続するために補助の無線ルータ(この図には示さない)を配備する必要がある。FIRは二様の機能を提供することから、しばしば無線ルータ(WR)と呼ばれる。
【0019】
図2は、FIR 106の構成要素の一例を示すブロック図である。示すように、各FIR 106は、1つ以上のモデム112と、モデム112の送受信動作、メモリへのデータ記憶及びメモリからのデータ取り出しを制御するためのコントローラ114とを備える。この例のモデム112は、MeshNetworksWMC6300無線送受信機を用いるMeshNetworksQDMAモデムである。FIR 106は、例えば、上述の特許出願に記載のアドホック無線通信ネットワークにおいて、無線ノードとして動作する。各FIR 106又は選択FIR 106は、FIR 106の配備されている環境に関する情報を命令操作卓へ提供するため、熱センサ、COセンサ等のセンサを備えることが可能である。従って、消防士はアドバイスを受けて、例えば、極端な熱のために特に危険であるとFIR 106のセンサが示す領域を回避することや、それらの領域において最大の注意を払ったりすることが可能である。
【0020】
図3は、MeshTracker移動体端末(MT)116の一例を示すブロック図である。更に詳細に後述するように、この移動体端末(MT)116は、各消防士108が自分の移動体端末116を用いて移動体端末116のブロードキャスト範囲内にいる他の消防士と通信を行い得るように、また全ての消防士の動きを追跡し得るように、各消防士108に支給され得る。移動体端末116はマイクロホン及びイヤホンを有するヘッドセットを備えることが可能であり、手を使わない(ハンズフリー)操作が保証される。また、方向を提供するためのデジタルコンパスを備えることも可能であり、消防士が動かなくなった場合、運動センサが報告することも可能である。これらの装置は全て、通常の操作者装備の一部であるバッテリに接続され得る。
【0021】
移動体端末116のマイクロホン及びイヤホンは、モデム118、コントローラ120及び音声プロセッサ122等、3つの主要な構成要素を有する小さいサイズの送受信機に接続され得る。プログラムコード及び動作パラメータとしてコントローラメモリに記憶されるソフトウェアは、移動体端末の全構成要素の動作を制御する。
【0022】
モデム118は送信機及び受信機を用いて、ネットワークの他の構成要素との無線通信を提供する。送信機及び受信機の動作は、一組のレジスタとして構成されたメモリに適切なデータ及びコードを記憶することによって制御される。受信機及び送信機は、メモリレジスタを用いて、モデム状態及び実行された機能の結果に関するフィードバックを提供する。コントローラ120は、メモリバスを介してモデム118に接続される。コントローラ120は、CPUと、データ及びモデム機能を制御するプログラムのコードを記憶するためのメモリとを備える。これにより、メモリバスを介してモデムレジスタにデータを書き込むことと、モデムレジスタを読み出してモデム状態を見出すこととによって、モデム118の動作が制御される。この例におけるモデム118は、MeshNetworksWMC6300無線送受信機を用いるMeshNetworksQDMAモデムである。移動体端末116は、例えば、上述の特許出願に記載のアドホック無線通信ネットワークにおいて移動体無線ノードとして動作する。
【0023】
更に、移動体端末116の音声プロセッサ122はコントローラ120に接続されており、2つ以上の独立した構成要素、即ち、エンコーダ及びデコーダを備える。エンコーダはマイクロホンの受信した音声を数字列に変換し、デコーダは数字列を音声に再変換し、この音声がスピーカ又はイヤホンへ送られる。図3に示す実施形態では、音声プロセッサ122はメモリバスを介したコントローラメモリへのアクセスを含む。また、デジタルコンパスもヘッドセットへ組み込まれ得る。デジタルコンパスは適切に配置されると操作者の頭の方向を示すため、操作者の現在位置に対する角度を用いて方向を識別することが可能となる(即ち、“2時の方向に約6メートル(20フィート)”)。また、運動センサ(図示せず)も送受信機へ組み込まれ得る。ある一定の期間、消防士が動かない場合、運動センサは自動的に報告することが可能である。運動センサと同じ効果を有するように、押しボタンが組み込みまれることも可能である。助けを必要とする場合、消防士はボタンを押す。ボタンを押す動作は、主制御装置、例えば、ICC 111向けの一組のデータメッセージを生成する送受信機ソフトウェアへ送信される。主制御装置はこれらのメッセージを受信すると、どの消防士が助けを必要とするかと、その消防士の現在地点について、事故指揮装置に警告する。
【0024】
次に、非常事態場面における上述のシステムの動作の一例について述べる。
各消火活動には即時防災隊員(RIC)が配属される。消防士の消火活動中、RIC隊は、誰かが救助される必要がある場合に備えている。いずれかの消防士又はグループが、呼ばれたときに応答しない場合、又は、助けを求めた場合、RICは行動に移り、救助活動に入る。RICは消防士の救助に移る前に、救助対象の消防士がその時点で位置する場所を最初に確認する必要がある。現在実施されている手順では、最初にRICは助けの必要な消防士の最新の既知の位置に進み、そこから捜索を開始する。火災が多階層の建物内で発生しているとき、成功の1つの重要な要素は、捜索を開始するべき正しいフロアを迅速に識別する能力である。
【0025】
建物構造において知られているように、現代の多階層の建物は鉄筋で補強されたコンクリートのフロアを有するが、古い建物は木材等、別の材料で作られたフロアを有する場合がある。無線エネルギの吸収は電波がコンクリートを通過する時の方が大きく、木製の板を通過する時は、それほど大きくない。その結果、コンクリートフロアの建物では電波は数フロアしか貫通しないが、木製フロアの建物では多くのフロアを貫通することが可能である。
【0026】
上述において簡単に説明したように、図1には、RIC要員が階段吹抜け102(右)及びエレベータ104(左)に沿って進んでいる、進行中の救助活動を示す。状況に応じて、RICは階段及びエレベータを用いて、多くのフロアにて建物にアクセスし得る。示すように、無線フロア指示ルータ(FIR)106は、各フロアにおいて、階段吹抜け102内や、エレベーターシャフト104の傍に存在する。信号はフロアや壁を通過するときにエネルギを失うことから、FIR 106は、FIR 106と同じフロアにいない消防士と通信を行うことが不可能な場合がある。
【0027】
RIC救助隊は、最初に火災現場に到着すると各フロアに1つのルータを配備する。これによって、RICは非常事態が宣言された時点からわずか数秒で特定の消防士の位置するフロア番号を見出すことが可能である。全てのFIR 106が可能な限り垂直線に近く配置される必要がある。このことは、木製フロアを備えた建物内の階段吹抜けの同じ角にルータを配置することによって、又は金属若しくはコンクリートのフロアを備えた建物内では、階段の手すりにルータを吊るすことによって実現し得る。1つ以上のエレベーターシャフトを有する高い建物では、FIR 106はエレベータが上方に移動するときにエレベータから配備され得る。即ち、エレベータが各フロアに停止するとき、FIR 106をエレベータドアの近くに配備して、全てのFIR 106を可能な限り真っ直ぐな垂直線内に確実に配置し得る。
【0028】
次に述べるように、フロア番号は、本発明の一実施形態による飛行時間(TOF)及び受信信号強度インジケータ(RSSI)のデータを用いて求められる。
建物内の無線信号の伝搬は多数の反射による影響を受け、無線FIR 106とMTを用いる消防士との間の正しい距離の決定はほとんど不可能となる。また、建物内の無線信号の伝搬は、電波がフロア及び壁を通過するときの大きなエネルギ吸収による影響を受ける。この吸収のレベルは構造物の厚さ及び組成に応じて異なる。鉄筋で補強されたコンクリートの壁やフロアの吸収レベルは高く、木製の壁又はドライウォールの電波エネルギに対する影響は小さい。媒体は均質ではないため、RSSIに基づく消防士と無線ルータとの間の厳密な距離の計算は、ほとんど不可能である。
【0029】
本明細書に記載の本発明の実施形態によるシステム及び方法では、消防士の位置するフロアを識別するためにTOF及びRSSIの両方を用いる。全てのルータから受信されるRSSI及びTOFの値は、フロア番号の評価に用いられる前にフィルタ処理される。RSSI及びTOFのデータは消防士までの正しい距離を示さない場合があるが、フィルタ処理されたデータを比較して、最小のTOF及び最良のRSSIを対象の移動体装置に同時に提供するFIRが位置するフロアを求めることが可能である。
【0030】
図4〜7に記載のフローチャートに示す動作では、各フロアに点数を設定し、最も良い点数のフロアを選択するための手法を提供する。同じ手法が、TOF及びRSSIのデータと一致する点数を設定するために用いられる。即ち、この手法では、最初に、移動体端末116と、移動体端末116の受信可能な信号を送信するFIR 106との間で実施された測定の数でTOFを除算して、その最小の値(又はRSSIの最小の絶対値)を捜す。重み付けされたTOFの最小の値を与えるFIR 106は、MT 116の位置する可能性が最も高いフロアを表し、その点数は最大値に設定される。残りのフロアからのTOFを測定の数で除算した最小の値を再度検索することによって、次に可能性が高いフロアが求められる。この方法は、全てのフロアが検索され、各フロアに点数が割り当てられるまで適用される。2つのフロアに対し求められた検索値がほとんど等しい(例えば、それらの互いの値の差異が5%以内である)場合、2つのフロアの点数は等しく設定される。RSSI及びTOFに基づき各フロアの点数を計算した後、RSSI及びTOFの点数の両方を加算することによって、総点数が計算される。最大の点数に合致するフロアが、消防士の位置するフロアとして指定される。
【0031】
図4〜7に示すフロア識別のアルゴリズムは、リアルタイムで機能する。上述のように、各消防士は自身の装備の一部として加入者装置(即ち、MT 116)を有する。事故指揮官、例えば、上位の火災隊長又は責任者は、上述のMEA事故命令操作卓111等のコンピュータを有する。このコンピュータは、例えば、図8〜19に示すように、各消防士の位置を継続的に表示する。
【0032】
なお、各MT 116は通信を行い得る全ての無線ルータ(即ち、FIR 106)と範囲メッセージ(range message)を交換する。MT 116は、そのブロードキャスト範囲内にあるFIR 106の一覧を決定すると、FIR 106の一覧、それらのFIRの各々に対するTOF、及び伝搬範囲内にある各FIR 106からの受信信号のRSSIを含む情報(例えば、データパケット)を事故指揮装置コンピュータ(ICC)111に送信する。ICC 111は、上述の命令操作卓110に配置され得る。ICC 111は、アドホックネットワークのマルチホップ機能によって、FIR 106及びMT 116からデータを受信し、フロア番号の計算を実行し、各消防士の位置するフロア番号を表示する。GUI出力を伴うリアルタイム処理には、3つの異なる構成要素、即ち、初期化、データ収集、及びGUI更新による計算が必要である。
【0033】
ICC 111が開始されると、初期化動作が実行される。初期化動作の一例を図4に示す。
初期化では、ステップ1000にて建物100におけるフロアの数(nFloors)及び階段吹抜けの数(nStairs)が設定される。同様に、フロア番号の計算に厳密には関連しない他の情報が設定されるが、ここでは提示しない。ステップ1010,1020,1030,1040にて、変数Count,TOF,RSSI,FIRIDの値が全て消去される(即ち、ゼロに設定される。ただし、FIRIDは文字変数であるため、空白に設定される)。ステップ1050にて、初期化プロセスは終了する。
【0034】
MT 116は、利用可能なデータを有するとき、ICC 111にデータパケットを転送する。従って、データが受信されると、図5に示すデータ収集タスクが起動される。動作の進行に関してICへ通知され続けるように、定期的にICC GUIを更新する必要がある。従って、フロア番号の計算に続き、定期的なタイマによって、GUIの更新が起動される。アプリケーションは、それ自体のデータ構造を維持する。このデータ構造は各々、nFloorsと同数の行と、nStairsと同数の列とを備える、4つの構成要素を有する。
【0035】
次に、図4〜7に示す変数及び配列について、簡単に説明する。
FIRID(FIR識別を表す)は、各FIR 106の識別子の配列である。各FIR識別は、FIRの配備されたフロア番号と関連付けられている。これは、フロア上の位置にかかわらず、同じフロアに配備された全てのFIRが行列の同じ行にあることを意味する。無線エネルギ吸収により、MT 116が同じフロア上の全てのFIRと通信を行うことは不可能な場合があるため、FIRIDテーブルの幾つかの位置は未使用のまま残ることがある。消防士が建物を動き回るにつれて、新たなFIR識別子がテーブルに追加されるが、古いFIR識別子は除去されない。
【0036】
Count行列は、SDが各FIRに報告する範囲メッセージの数の計数値を含む。
RSSI及びTOFのテーブルの構造は、FIRIDと同じである。これらのテーブルは、各FIRに対して記録されたRSSI及びTOFのフィルタ処理済みの値を含む。
【0037】
図5のフローチャートには、データ収集関数を示す。関数名は、NewDataであり、MTから新たな組のデータが受信される毎に起動され、ステップ1100にて開始する。関数NewDataは、データの収集されたFIRの識別を表すFIR、FIRに対する最新のTOFを表すFIR_TOF、最新の受信メッセージのRSSIの絶対値を表すFIR_RSSI、及びFIRの配備されるフロア番号を表すFLOOR、の4つのパラメータを有する。
【0038】
データ収集関数は、FIRIDテーブルのFLOOR行におけるFIR識別の位置を見出す。ステップ1110にて、このFIR識別が新たな識別と判断される場合、ステップ1120にて、この新たなFIR識別はテーブルの第1の空の位置に追加される。ステップ1130にて示すように、FIRjはFLOOR行のFIR識別の列である。
【0039】
ステップ1140,1150に示すように、最初に、TOF及びRSSIの値はサイズCountの可変サイズ窓を用いてフィルタ処理される。MTとFIRとの間で交換されたメッセージの数が所定の値MAX_ITより大きくなったとき、フィルタは1/(MAX_IT+1)のレートを有する無限入力フィルタ(Infinite Input Filter)に変わる。示すように、この効果は、ステップ1160,1170によってCountテーブルの値がMAX_ITより大きくならないように制限することによって達成される。
【0040】
このフローチャートのステップ1180では、余りにも以前に収集されたデータをアルゴリズムが“忘却する”ことが保証される。そのような“忘却性”が必要とされるのは、消防士が1つのFIRから離れて別のFIRに接近すると、収集されたTOF及びRSSIの値が消防士の新しい位置に従って変化し得るためである。アルゴリズムはFORGET係数の値に応じて早く又は遅く忘却する。FORGET係数は常に0〜1の数である。FORGET係数が0の場合、アルゴリズムは何も思い出さない。FORGET係数が1の場合、アルゴリズムは全てを思い出す。本出願では、最も普通の値は0.99又は0.999であり、FIRからのデータ収集頻度に依存する。次いでステップ1190にて、データ収集プロセスは終了する。
【0041】
図6のフローチャートには、消防士のフロア番号を計算するための関数GetFloorNumberを示す。この関数はステップ1200にて開始し、フロアの数nFloorsと同数の要素を有する2つのローカル整数配列を用いる。この関数はステップ1210にてRSSIscoreを、ステップ1220にてTOFscoreを計算するため、関数GetScoreを2回、呼び出す。点数を組み合わせることによって、可能性のあるフロアに関し、独立した各々の判断基準よりも正確な推定が提供される。測定では、建物内の反射のため、TOFは30メートル程の誤差の影響を受けた。フロア間の距離が3〜6メートルであることを考慮すると、30メートルの誤差はフロア番号推定の誤差が5〜10フロアであることを意味する。RSSIは、FIRからMTが受信する信号の強度を示す。全てのFIRは同じパワーで送信しているが、各部屋(store)の仕切が異なるため、またフロアの吸収は壁の吸収と大きく異なるという事実のため、各信号の経路長は異なる。更に、MTと、そのMTが通信を行うFIRとの間の壁の数は、各フロアの仕切方法に応じて異なるため、FIR毎に異なる。この理由から、RSSI情報自体は、フロア番号を求めるために用いることは不可能である。従って、このアルゴリズムでは、各フロアの点数を計算し、次いで、両方の判断基準を用いて最高の加算点を与えるフロアを選択する。試験では、結果は極めて正確であった。このフローチャートのステップ1230では、各フロアのTOF点数にRSSI点数を加算することによって計算された最高点数に基づき、フロア番号を求める。ステップ1240にて、処理は終了する。
【0042】
図7には、関数GetScoreのフローチャートの一例を示す。この関数は、上述の図6のステップ1210,1220にて、RSSI及びRSSIscoreを、次いでTOF及びTOFscoreをパラメータとして呼び出される。この関数は、各判断基準に従って各フロアの点数を計算する。
【0043】
この関数は、ステップ1300の開始後、ステップ1310にて全てのScore値をゼロに設定することによって開始され、次いでステップ1320にて、一時記憶tempへData(RSSI又はTOF)のコピーを作成する。またステップ1330にて、最新のVal(lastVal)及びLevelが初期化される。変数Levelの値は重要ではないが、RSSI及びTOFの両方に対して同じである必要がある。
【0044】
この関数には、判断基準(RSSI又はTOF)が最良の値を有するフロアを特定するループが含まれる。ステップ1340にてフロアが求められると、同じフロアの他の全てのデータは無視され、次のフロアが識別される。ステップ1350にて、識別を必要とするフロアが残っていると判断される限り、この関数は継続する。しかしながら、そのようなフロアが残っていない場合、ステップ1360にて、この関数は終了する。
【0045】
アルゴリズムの実行中、ステップ1370にて、tempの内容が破棄される。この理由から、ステップ1320にて、Dataの内容をtempへコピーした。
2つのフロアの値の差異が5%未満である場合、ステップ1380,1390,1400に示すように、変数Levelに対して同じ値を維持することによって、2つのフロアは同じScoreを受信する。値が異なる場合、ステップ1420にて各フロアが求められるに従ってLevelの値が減少するため、各フロアに関する点数は異なる。ステップ1410にて、lastValは以前のminValの値を示す。minValは、判断基準の最小値である。各フロアに対する最小値が求められ、それらの最小値を並び替えた結果に従って点数が設定されると、同じ結果が得られる。
【0046】
上述のように、図8〜19には、上述の手法で決定される消防士の位置に基づき、ICCによって生成される表示画面の例を示す。例えば、図8には消防士が建物に入る前の初期表示ウィンドウを示し、図9には、表示ウィンドウ上に表示され、異なる種類の要員及び条件を表す記号を示すように“凡例タブ”の拡張された、初期表示ウィンドウを示す。図10には、各フロアにFIRの配備されている建物の4つの階の表示を示し、図11には、大隊指揮官が中間準備フロアに入ったことを示す記号(隊長のバー)を示す。欧州のフロア番号付けの慣習を用いると、この中間準備フロアは建物のボトムフロア、即ち、“フロア0”である。図12には、梯子ユニットが建物のフロア2に入ったことを示し、図13には、そのフロア2の梯子ユニットの要員3人の詳細(即ち、隊長1人と消防士2人)を示す。図14にはフロア2の拡張された表示図を示し、図15にはフロア2の警報状態を示し、図16には、その警報が確認されたことを示す。図17には、選択された要員(この例では、隊長)の詳細と、隊長から最も近いFIR 106への距離とを示す。この例では、隊長は“A”で表されるFIR 106から約0.88メートル(2.9フィート)に位置する。図18には、FIR(この場合、2Cで表されるFIR)が信号を失うときの表示の一例を示す。FIRが信号を失うことは、FIRが損傷を受けたか又は壊れた可能性があることを意味する。図19には、多フロア表示及び各フロアの要員の一例を示す。当然のことながら、任意の所望の形式で情報を表示するように、このシステムを修正することが可能である。
【0047】
また、図20にはICC 111によって生成される表示画面の一例を示す。この表示画面は、図8〜19に示す画面に表示されている建物のフロアの平面図200と、ICC 111のユーザによって指定されるフロア上の複数の関心領域202−1,202−2とを示している。本発明の一実施形態に基づき、システムは、いずれかの資産(例えば、消防士)が所望の期間より長く、それらの領域202−1又は202−2のいずれかに留まっているか否かを判断することが可能である。詳細には、表示を生成するためのICC 111に関連するグラフィカルユーザインタフェース及びActiveXコントロールによって、ユーザが、例えば、マウス及びキーパッドのうちの1つ以上又は他の操作手段を用いて、有限領域(例えば、領域202−1又は202−2)を各々画定する多角形を描き、1つ以上の領域202−1又は202−2を表示上に画定することが可能となる。2つの領域202−1,202−2のみを示したが、ユーザは各々任意の所望のサイズを有する任意の所望の数の領域を指定することが可能である。ActiveXコントロールは、表示上に示される資産204−1〜204−5(例えば、上述の消防士)の位置を、指定される1つ以上の領域202−1,202−2の位置と関連付ける。
【0048】
追跡対象資産(例えば、資産204−1)が、指定される領域(例えば、領域202−1)に入ると、ICC 111のコントローラはタイマを起動する。資産204−1がユーザの設定可能な所定のしきい値時間(例えば、数分又は任意の所望の長さの時間)より長い時間、領域202−1に留まっている場合、ICC 111のコントローラは、追跡対象資産204−1と、追跡対象資産204−1に関連する任意の属性とのうちの1つ以上や、領域202−1内における資産204−1の位置を識別する警報を生成する。なお、ICC 111のコントローラは、それぞれの資産204−1〜204−5が、それぞれの指定される領域202−1,202−2のいずれかに留まるそれぞれの時間を追跡し続ける。また、領域202−1,202−2が重なり合うこともあり、ユーザはそれぞれの領域202−1,202−1の各々に対し、それぞれ同じ時間しきい値を設定することも異なる時間しきい値を設定することも可能である。
【0049】
要約すると、本発明のこの態様に基づき、追跡対象資産が指定領域に入ると、タイマが起動される。このタイマは資産及び領域に関連する。資産が領域内に位置し、かつ、タイマのタイムアウトが検出される場合、警報が生成される。資産が領域を出ると、この資産及び領域に関連したそれぞれのタイマはその初期値にリセットされる。上述のように、本発明のこの態様は、上述の位置特定システム機能と共に消火活動に用いることが可能であり、指定領域内において所望の期間の資産追跡が必要な任意の他の種類の場面に用いることが可能である。
【0050】
上述の本発明の実施形態において、本システム及び方法は、移動ネットワーク構成員の正確な位置を提供し、活動中の隊の構成員間での音声交信を可能とする。本発明の代表的な幾つかの実施形態についてのみ詳細に述べたが、これらの代表的な実施形態において、本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく多くの修正が可能であることが、当業者には容易に認識されるであろう。従って、そのような修正は全て、本発明の範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態によるシステムの無線ルータを備える建物の概略図。
【図2】図1に示すシステムに用いられる無線ルータの構成要素の一例を示すブロック図。
【図3】図1に示す建物内で消防士が用い得る移動体端末の構成要素の一例を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施形態による図1に示すシステムにおいて移動体端末の位置を識別するために実施される初期化動作の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態による図1に示すシステムにおいて移動体端末の位置を識別するために実施されるデータ収集動作の一例を示すフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態による図1に示すシステムにおいて移動体端末の位置を識別するために実施されるフロア番号計算動作の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の一実施形態による図1に示すシステムにおいて移動体端末の位置を識別するために実施されるフロア記録動作の一例を示すフローチャート。
【図8】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図9】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図10】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図11】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図12】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図13】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図14】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図15】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図16】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図17】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図18】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図19】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図20】図1〜7において実証された本発明の一実施形態により、いずれかの消防士が所望の期間より長くそれらの領域のいずれかに留まっているか否かをシステムが判断することが可能であるように、図8〜19に示す画面に表示される建物のフロアと、そのフロアにおいてユーザの指定する複数の関心領域との平面図を示す、事故指揮操作卓(ICC)によって生成された表示画面の例を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドホック・ピアツーピア無線移動体通信ネットワーク技術を用いて、火災救助活動における消防士等、追跡対象の資産(asset)が所望の期間より長く所定の領域内に留まっているか否かを正確に判断し、対象資産と、その対象資産の位置する建物のフロア番号等の位置とを識別する警報を生成し得るシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、“アドホック・マルチホップ”ネットワークとして知られる種類の移動体通信ネットワークが開発されている。この種類のネットワークでは、各移動体ノードが他の移動体ノード用のルータとして動作可能であり、基地局のほとんどの機能を提供するため、ほとんどコストをかけないで有効範囲領域が拡張される。アドホックネットワークの詳細については、メイヤ(Mayor)による特許文献1に記載されている。その全内容を引用によって本明細書に援用する。当業者は認識し得るように、ネットワークノードが時分割多元接続(TDMA)形式、符号分割多元接続(CDMA)形式、又は周波数分割多元接続(FDMA)形式等の多重形式でデータパケット通信を送受信することによって、基地ノードの単一の送受信機が、その有効範囲領域にある幾つかの移動体ノードと同時に通信を行うことが可能である。
【0003】
更に高度なアドホックネットワークも開発されつつあるが、これらのネットワークでは、従来のアドホックネットワークでのように移動体ノードが互いに通信可能であることに加え、更に移動体ノードが固定ネットワークへアクセスすることが可能であるため、公衆交換電話網(PSTN)上やインターネット等の他のネットワーク上などの他の固定ノード又は移動体ノードと通信を行い得る。これら改良型のアドホック・マルチホップ・ネットワークの詳細については、2001年6月29日に出願の“PSTN及びセルラーネットワークに接続されるアドホック・ピアツーピア移動体無線接続システム”と題する特許文献2、2001年3月22日に出願の“単独補助チャネルによる共有並列データチャネルへの連係チャネルアクセスを行うアドホック・ピアツーピア無線ネットワーク用の時分割プロトコル”と題する特許文献3、および2001年3月22日に出願の“アドホック・ピアツーピア移動体無線接続システムのための優先順位付け式ルーティング”と題する特許文献4に述べられている。各出願の全内容を引用によって本明細書に援用する。
【0004】
従来の無線通信ネットワーク又はアドホック無線通信ネットワークのいずれにおいても、移動体ノードが相対的若しくは絶対的な地理的地点、即ち位置、を知り得ること若しくは決定し得ることが必要であるか又は望ましい。当業者には知られているように、このことは多くの技術を利用して達成され得る。これらの技術は、セル識別を必要とし、ラウンドトリップ時間(RTT)、タイミング・アドバンス(TA)及び測定信号レベル(RXレベル)、到達時間差(TDOA)及び到着角度(AOA)手法と組み合わせる必要がある。これらの詳細については、当業者には認識される。他の利用可能な技術は、符号分割多元接続(CDMA)及び広帯域符号分割多元接続(WCDMA)用のセルラー信号タイミングに基づく方法を用いる。更に他の技術は、全地球測位システム(GPS)手法を用いるが、これらは、一般的に、記載した他の全ての方法より正確であると見られている。
【0005】
GPS手法は相当長期に渡って用いられてきており、また、世界中のほとんどのナビゲーションがGPS手法に依拠しているという事実にもかかわらず、一部の特定の条件下での測定ではGPS手法は極めて大きな誤差を生じやすい。GPS手法では、多数の衛星を伴う比較的多数の測定を実施して伝搬及び方法誤差を除去した後にのみ、極めて高い精度で位置決定結果を提供することが可能である。GPSの欠陥の説明については、非特許文献1に記載されている。その全内容を引用によって本明細書に援用する。また、他の或る試験によって、GPS手法は、地下トンネル内、建物内、大量の葉の下、又は市街地の“谷間(canyons)”の中など、良好な精度を提供するには見通せる衛星の数が少な過ぎる環境において動作する地上ネットワークには不適切であることが実証されている。
【0006】
上述の位置情報決定の問題を克服するため、位置情報を決定するために衛星や中央演算設備を用いる必要のない新しい手法が開発されつつある。アドホック・マルチホップ・ネットワークにおける移動体端末の位置を演算するための新しい手法の更なる詳細については、“無線通信ネットワークにおける移動体端末の位置を演算するためのシステム及び方法”と題する特許文献5に述べられている。その全内容を引用によって本明細書に援用する。更に、アドホックネットワークは、非固定、即ち、移動可能なインフラ構成要素を利用して開発され得る。最適化された有効範囲及び容量制約のための移可動能なアクセスポイントや中継器を用いるネットワークの更なる詳細については、2001年8月15日に出願の“無線通信ネットワークにおける有効範囲制約及び容量制約を最小化するための移動可能なアクセスポイント及び中継器並びにこれを用いる方法”と題する特許文献6に述べられている。その全内容を引用によって本明細書に援用する。
【0007】
上述の特許及び特許出願は、一般的に、位置情報が絶対位置として提示される恒久的な固定ネットワークに接続する移動体ネットワークに関する。しかしながら、上述の特許出願から認識され得るように、一時的なアドホック・マルチホップ・ネットワークが必ずしも同じ要件を有するとは限らない。従って、非常事態条件下で活動する要員の位置が重要である場合など、相対位置の検出が望まれる場合、携帯可能で、配備が簡単である、自己完結型のアドホック・マルチホップ・ネットワークシステムの必要が存在する。相対位置は、地理的絶対位置に加えて又は代えて提供可能であり、また、そのような位置に通常存在する様々な送信障害物の間において容易に通信可能である。
【0008】
従って、配備された無線通信ネットワークにおける移動体ノードの絶対位置及び相対位置のうちの1つ以上を簡単に決定し、通信を行うための、改善されたシステム及び方法の必要が存在する。詳細には、火災救助活動における消防士等、移動体ノードを携行する資産が所望の期間より長く所定の領域内に留まっているか否かを識別し、対象資産と、その対象資産の位置する建物のフロア番号等の位置とを識別する警報を生成し得るために用いられるシステム及び方法の必要が存在する。
【特許文献1】米国特許第5,943,322号明細書
【特許文献2】米国特許出願第09/897,790号明細書
【特許文献3】米国特許出願第09/815,157号明細書
【特許文献4】米国特許出願第09/815,164号明細書
【特許文献5】米国特許第6,728,545号明細書
【特許文献6】米国特許出願第09/929,030号明細書
【非特許文献1】数学・応用研究所(IMA;Institute For Mathematics and its Applications)、“全地球測位システム(GPS)における数学的課題(Mathematical Challenges in Global Positioning Systems(GPS))”
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上述のように、非常事態条件下で活動する要員の位置は、多くの理由で極めて重要である。消防士等の要員が煙の中で迷い、自身の又は他者の実際の位置について、現在のフロア上なのか又は以前に自身が活動していたフロア上なのか混同する場合があった。後述のシステム及び方法を、消防士の安全性を保証するために構成されている一実施形態として提示する。本発明の更に別の実施形態では、任意数の他の非常事態又は特殊部隊配備における活動を支援するようにシステム及び方法が構成され得る。
【0010】
より詳細には、本発明は、建物等の三次元配備構造物内に、移動体端末、無線ルータ及び1つ以上のコントローラを含む無線装置のネットワーク、詳細には、移動体無線アドホック・ピアツーピアネットワークを配備するためのシステム及び方法を提供し、建物構造にかかわらず通信、識別及び位置計算を行い、火災救助活動中の消防士等の追跡対象資産が所望の期間より長く所定のユーザ指定領域内に留まっているか否かをユーザが決定し、対象資産と、その対象資産の位置する建物のフロア番号等の位置とを識別する警報を生成し得る。本明細書に述べる本発明の一実施形態による事故及び要員管理システムは、延焼中の建物等の事故領域内において非常事態要員を追跡する手段を提供するように構成されている。要員位置は、建物のフロア及び区画領域のうちの1つ以上毎に報告される。また、このシステムは、リアルタイムの要員位置情報及び警告状態インジケータへのアクセスを提供する。このシステムによって管理される補助的な要員データには、ユニット番号、名前、割当及び無線周波数を含む属性が含まれる。
【0011】
この種類のシステムは、MEA(商標)無線技術を用いることによって可能になっている。この技術は、MeshNetworks(商標)WMC6300無線送受信機等の複数の無線送受信機及び無線アドホック・スケーラブル・ルーティング技術を用いる。本例における送受信機は、MeshNetworksQDMAモデム等のモデムを利用して、厳しい条件のRF環境下であっても、堅牢な無線データ伝送を行う。この送受信機は、MeshNetworksスケーラブル・ルーティング(MSR)プロトコル及び地理的な位置解決策が結合されており、ユーザが1点の不足もなく高密度でスケーラブルなアドホック・マルチホップ・ネットワークを即座に配備することを可能とする。つまり、このシステムには、音声、映像及びデータを搬送することが可能であり、更にネットワーク境界の内に存在する或る要素の相対位置を計算することが可能なアドホック無線マルチホップ通信機構が含まれる。このシステムのアドホックな性質は、このシステムの配備を簡単とする幾つかの属性のうちの1つであり、苛酷な又は常に変化する物理的条件に曝される場合にも、全てのネットワークノード間に完全な接続を生成し、事故命令操作卓へ重要な情報を適宜配信することが可能である。
【0012】
更に詳細に後述するように、このシステムには、特に、MEA事故命令操作卓(ICC;Incident Commander Console)、複数のフロア指示ルータ(FIR;Floor Indicating Router)、及び1つ以上のMeshTracker(商標)(MT)装置を含む。MEA事故命令操作卓には、タッチスクリーンディスプレイを組み込むWindows(登録商標)ベースのPCが含まれ、これによって、簡易なユーザインタフェースが提供される。事故管理アプリケーションは、このPC上で実行され、MEA無線ネットワークカードを介して、MEAネットワーク機構に接続される。命令操作卓は完全に自己完結型であり、即時防災隊員(RIC;Rapid Intervention Crew)のリーダ等、事故現場を管理する要員によって監視されるように意図されている。事故管理アプリケーションは、リアルタイムの要員位置及び識別情報を図によって表現するように意図されている。詳細には、事故命令操作卓によって報告されるデータには、事故現場内における全要員の位置、ユニット番号、名前、無線周波数の割当、各個人への最近接FIR(通常、入口/出口地点)及びその距離、分隊によって(隊長/分隊長を介して)又は個人として要員を表す機能、各個人の警報状態、並びに個人とのネットワーク通信の喪失又はFIRとの通信の喪失が含まれる。
【0013】
フロア指示ルータ(FIR)は、上述のFCC/UL認定MEA無線送受信機カードを採用した小型の携帯装置である。これらの装置は、事故現場周辺に静的な基準点として配備される。これらの装置は、通常、RIC等の現場要員が事故現場に到着した後、その現場要員によって配備される。FIRは、階段吹抜け内の柱に及びエレベーターシャフト付近に、即ち、入口/出口地点に配備される。無線有効範囲領域及びシステムの信頼性を大きくするために、必要に応じて複数のFIR柱に配備される。この例のFIR装置は携帯可能であり、重さは約340g(12オンス)未満、バッテリ寿命は5時間である。この装置は第2のISM帯域(2.40〜2.48GHz範囲)で動作し、送信パワーは+25dbmである。
【0014】
MeshTracker(MT)装置は、位置の追跡及び明確化のために現場要員により携行される移動体装置、即ち移動体端末として用いられることが意図されることを除き、形状因子はFIRと同様である。MeshTrackerは、MEA位置特定技術を利用して、事故現場内での相対位置を計算する。これは、詳細に後述するように、事故現場内に配備されたFIR装置との無線交信によって行われる。MTは、アドホック無線通信機構として、配備されたFIR及び他のMTを利用して、重要な情報を命令操作卓に中継する。
【0015】
上述のように、このシステムにおいて基幹・データ配信機構として機能する基本的な技術は、MEAである。MEAはMeshNetworksのアドホック・マルチホップネットワーキングソリューションであり、簡易な配備指針を用い、重大な依存性の存在しない迅速な配備を可能とする。ネットワークは、2つの方法のうちの1つを用いて配備される。即ち、ネットワークインフラ構成要素(FIR)は建物管理・安全システムの一部として予め配備される(例えば、各フロア上の“出口”表示に接続される)か、あるいは、事故が起きたときに配備される。これから述べるように、ネットワークがいつ配備されるかにかかわらず、配備指針は同じである。
【0016】
最初に指揮所が設立されるが、この場所は指揮所が配備され、事故命令操作卓(ICC)を介して事故が管理される場所である。この場所では、事故現場内の2つ以上のFIRへの無線接続を可能とする。命令操作卓とFIRネットワークとの間の接続は、数十〜数百メートル(数百〜数千フィート)の範囲で得られる。
【0017】
FIRは、入口及び出口の地点の外にある柱(通常、階段吹抜け及びエレベーターシャフトのうちの1つ以上の付近又は内部)に配備される。FIRは、資産が追跡されるフロア及び領域の上並びに周辺に配置されるが、通常、これらのフロア及び領域は火災フロア及び中間準備領域(staging area)である。各FIRはフロア及び柱と論理的に結び付けられる。各FIRに対するフロア及び柱情報を命令操作卓にプリロードすることや、事故指揮装置によってGUIを介してリアルタイムに構成することが可能である。システムはFIR柱が1つしか配備されていないときにも位置情報を提供可能であるが、多数のFIR柱を配備することによって位置精度が改善され、監督領域が増えるとともに、熱や崩れ落ちるがれきのために装置が失われる場合に必要な冗長性が確保される。通常、単一のFIR柱の提供する有効範囲はフロア当り約18,000平方メートル(約200,000平方フィート)である、即ち、通常の高層構造では250フィート(約75メートル)の有効範囲半径を提供し、95%を超える場合において正確な位置を提供する。有効範囲領域のサイズ及び特定される位置の精度は、各フロアに用いられる仕切方法及び材料に強く影響される。FIRのネットワークの配備後、事故現場内においてMeshTrackerを使用している要員からの位置更新情報は、自動的に事故命令操作卓へ報告される。
【0018】
図1は、階段102及びエレベーターシャフト104を有する建物100を示す概略ブロック図である。階段102及びエレベーターシャフト104には、上述の手法によりFIR 106が配備されている。図1の凡例には、消防士108、位置基準FIR 106、データリンク、及び上述の事故命令操作卓(ICC)111の位置する事故指揮装置(通信指令装置)110の記号を示す。FIR 106は位置基準を提供する他、フロアを通じるネットワーク接続及びフロア間のネットワーク接続を確保する。事故指揮装置の位置が事故現場から遠過ぎる場合、1つのネットワーク中の全ての無線構成要素を接続するために補助の無線ルータ(この図には示さない)を配備する必要がある。FIRは二様の機能を提供することから、しばしば無線ルータ(WR)と呼ばれる。
【0019】
図2は、FIR 106の構成要素の一例を示すブロック図である。示すように、各FIR 106は、1つ以上のモデム112と、モデム112の送受信動作、メモリへのデータ記憶及びメモリからのデータ取り出しを制御するためのコントローラ114とを備える。この例のモデム112は、MeshNetworksWMC6300無線送受信機を用いるMeshNetworksQDMAモデムである。FIR 106は、例えば、上述の特許出願に記載のアドホック無線通信ネットワークにおいて、無線ノードとして動作する。各FIR 106又は選択FIR 106は、FIR 106の配備されている環境に関する情報を命令操作卓へ提供するため、熱センサ、COセンサ等のセンサを備えることが可能である。従って、消防士はアドバイスを受けて、例えば、極端な熱のために特に危険であるとFIR 106のセンサが示す領域を回避することや、それらの領域において最大の注意を払ったりすることが可能である。
【0020】
図3は、MeshTracker移動体端末(MT)116の一例を示すブロック図である。更に詳細に後述するように、この移動体端末(MT)116は、各消防士108が自分の移動体端末116を用いて移動体端末116のブロードキャスト範囲内にいる他の消防士と通信を行い得るように、また全ての消防士の動きを追跡し得るように、各消防士108に支給され得る。移動体端末116はマイクロホン及びイヤホンを有するヘッドセットを備えることが可能であり、手を使わない(ハンズフリー)操作が保証される。また、方向を提供するためのデジタルコンパスを備えることも可能であり、消防士が動かなくなった場合、運動センサが報告することも可能である。これらの装置は全て、通常の操作者装備の一部であるバッテリに接続され得る。
【0021】
移動体端末116のマイクロホン及びイヤホンは、モデム118、コントローラ120及び音声プロセッサ122等、3つの主要な構成要素を有する小さいサイズの送受信機に接続され得る。プログラムコード及び動作パラメータとしてコントローラメモリに記憶されるソフトウェアは、移動体端末の全構成要素の動作を制御する。
【0022】
モデム118は送信機及び受信機を用いて、ネットワークの他の構成要素との無線通信を提供する。送信機及び受信機の動作は、一組のレジスタとして構成されたメモリに適切なデータ及びコードを記憶することによって制御される。受信機及び送信機は、メモリレジスタを用いて、モデム状態及び実行された機能の結果に関するフィードバックを提供する。コントローラ120は、メモリバスを介してモデム118に接続される。コントローラ120は、CPUと、データ及びモデム機能を制御するプログラムのコードを記憶するためのメモリとを備える。これにより、メモリバスを介してモデムレジスタにデータを書き込むことと、モデムレジスタを読み出してモデム状態を見出すこととによって、モデム118の動作が制御される。この例におけるモデム118は、MeshNetworksWMC6300無線送受信機を用いるMeshNetworksQDMAモデムである。移動体端末116は、例えば、上述の特許出願に記載のアドホック無線通信ネットワークにおいて移動体無線ノードとして動作する。
【0023】
更に、移動体端末116の音声プロセッサ122はコントローラ120に接続されており、2つ以上の独立した構成要素、即ち、エンコーダ及びデコーダを備える。エンコーダはマイクロホンの受信した音声を数字列に変換し、デコーダは数字列を音声に再変換し、この音声がスピーカ又はイヤホンへ送られる。図3に示す実施形態では、音声プロセッサ122はメモリバスを介したコントローラメモリへのアクセスを含む。また、デジタルコンパスもヘッドセットへ組み込まれ得る。デジタルコンパスは適切に配置されると操作者の頭の方向を示すため、操作者の現在位置に対する角度を用いて方向を識別することが可能となる(即ち、“2時の方向に約6メートル(20フィート)”)。また、運動センサ(図示せず)も送受信機へ組み込まれ得る。ある一定の期間、消防士が動かない場合、運動センサは自動的に報告することが可能である。運動センサと同じ効果を有するように、押しボタンが組み込みまれることも可能である。助けを必要とする場合、消防士はボタンを押す。ボタンを押す動作は、主制御装置、例えば、ICC 111向けの一組のデータメッセージを生成する送受信機ソフトウェアへ送信される。主制御装置はこれらのメッセージを受信すると、どの消防士が助けを必要とするかと、その消防士の現在地点について、事故指揮装置に警告する。
【0024】
次に、非常事態場面における上述のシステムの動作の一例について述べる。
各消火活動には即時防災隊員(RIC)が配属される。消防士の消火活動中、RIC隊は、誰かが救助される必要がある場合に備えている。いずれかの消防士又はグループが、呼ばれたときに応答しない場合、又は、助けを求めた場合、RICは行動に移り、救助活動に入る。RICは消防士の救助に移る前に、救助対象の消防士がその時点で位置する場所を最初に確認する必要がある。現在実施されている手順では、最初にRICは助けの必要な消防士の最新の既知の位置に進み、そこから捜索を開始する。火災が多階層の建物内で発生しているとき、成功の1つの重要な要素は、捜索を開始するべき正しいフロアを迅速に識別する能力である。
【0025】
建物構造において知られているように、現代の多階層の建物は鉄筋で補強されたコンクリートのフロアを有するが、古い建物は木材等、別の材料で作られたフロアを有する場合がある。無線エネルギの吸収は電波がコンクリートを通過する時の方が大きく、木製の板を通過する時は、それほど大きくない。その結果、コンクリートフロアの建物では電波は数フロアしか貫通しないが、木製フロアの建物では多くのフロアを貫通することが可能である。
【0026】
上述において簡単に説明したように、図1には、RIC要員が階段吹抜け102(右)及びエレベータ104(左)に沿って進んでいる、進行中の救助活動を示す。状況に応じて、RICは階段及びエレベータを用いて、多くのフロアにて建物にアクセスし得る。示すように、無線フロア指示ルータ(FIR)106は、各フロアにおいて、階段吹抜け102内や、エレベーターシャフト104の傍に存在する。信号はフロアや壁を通過するときにエネルギを失うことから、FIR 106は、FIR 106と同じフロアにいない消防士と通信を行うことが不可能な場合がある。
【0027】
RIC救助隊は、最初に火災現場に到着すると各フロアに1つのルータを配備する。これによって、RICは非常事態が宣言された時点からわずか数秒で特定の消防士の位置するフロア番号を見出すことが可能である。全てのFIR 106が可能な限り垂直線に近く配置される必要がある。このことは、木製フロアを備えた建物内の階段吹抜けの同じ角にルータを配置することによって、又は金属若しくはコンクリートのフロアを備えた建物内では、階段の手すりにルータを吊るすことによって実現し得る。1つ以上のエレベーターシャフトを有する高い建物では、FIR 106はエレベータが上方に移動するときにエレベータから配備され得る。即ち、エレベータが各フロアに停止するとき、FIR 106をエレベータドアの近くに配備して、全てのFIR 106を可能な限り真っ直ぐな垂直線内に確実に配置し得る。
【0028】
次に述べるように、フロア番号は、本発明の一実施形態による飛行時間(TOF)及び受信信号強度インジケータ(RSSI)のデータを用いて求められる。
建物内の無線信号の伝搬は多数の反射による影響を受け、無線FIR 106とMTを用いる消防士との間の正しい距離の決定はほとんど不可能となる。また、建物内の無線信号の伝搬は、電波がフロア及び壁を通過するときの大きなエネルギ吸収による影響を受ける。この吸収のレベルは構造物の厚さ及び組成に応じて異なる。鉄筋で補強されたコンクリートの壁やフロアの吸収レベルは高く、木製の壁又はドライウォールの電波エネルギに対する影響は小さい。媒体は均質ではないため、RSSIに基づく消防士と無線ルータとの間の厳密な距離の計算は、ほとんど不可能である。
【0029】
本明細書に記載の本発明の実施形態によるシステム及び方法では、消防士の位置するフロアを識別するためにTOF及びRSSIの両方を用いる。全てのルータから受信されるRSSI及びTOFの値は、フロア番号の評価に用いられる前にフィルタ処理される。RSSI及びTOFのデータは消防士までの正しい距離を示さない場合があるが、フィルタ処理されたデータを比較して、最小のTOF及び最良のRSSIを対象の移動体装置に同時に提供するFIRが位置するフロアを求めることが可能である。
【0030】
図4〜7に記載のフローチャートに示す動作では、各フロアに点数を設定し、最も良い点数のフロアを選択するための手法を提供する。同じ手法が、TOF及びRSSIのデータと一致する点数を設定するために用いられる。即ち、この手法では、最初に、移動体端末116と、移動体端末116の受信可能な信号を送信するFIR 106との間で実施された測定の数でTOFを除算して、その最小の値(又はRSSIの最小の絶対値)を捜す。重み付けされたTOFの最小の値を与えるFIR 106は、MT 116の位置する可能性が最も高いフロアを表し、その点数は最大値に設定される。残りのフロアからのTOFを測定の数で除算した最小の値を再度検索することによって、次に可能性が高いフロアが求められる。この方法は、全てのフロアが検索され、各フロアに点数が割り当てられるまで適用される。2つのフロアに対し求められた検索値がほとんど等しい(例えば、それらの互いの値の差異が5%以内である)場合、2つのフロアの点数は等しく設定される。RSSI及びTOFに基づき各フロアの点数を計算した後、RSSI及びTOFの点数の両方を加算することによって、総点数が計算される。最大の点数に合致するフロアが、消防士の位置するフロアとして指定される。
【0031】
図4〜7に示すフロア識別のアルゴリズムは、リアルタイムで機能する。上述のように、各消防士は自身の装備の一部として加入者装置(即ち、MT 116)を有する。事故指揮官、例えば、上位の火災隊長又は責任者は、上述のMEA事故命令操作卓111等のコンピュータを有する。このコンピュータは、例えば、図8〜19に示すように、各消防士の位置を継続的に表示する。
【0032】
なお、各MT 116は通信を行い得る全ての無線ルータ(即ち、FIR 106)と範囲メッセージ(range message)を交換する。MT 116は、そのブロードキャスト範囲内にあるFIR 106の一覧を決定すると、FIR 106の一覧、それらのFIRの各々に対するTOF、及び伝搬範囲内にある各FIR 106からの受信信号のRSSIを含む情報(例えば、データパケット)を事故指揮装置コンピュータ(ICC)111に送信する。ICC 111は、上述の命令操作卓110に配置され得る。ICC 111は、アドホックネットワークのマルチホップ機能によって、FIR 106及びMT 116からデータを受信し、フロア番号の計算を実行し、各消防士の位置するフロア番号を表示する。GUI出力を伴うリアルタイム処理には、3つの異なる構成要素、即ち、初期化、データ収集、及びGUI更新による計算が必要である。
【0033】
ICC 111が開始されると、初期化動作が実行される。初期化動作の一例を図4に示す。
初期化では、ステップ1000にて建物100におけるフロアの数(nFloors)及び階段吹抜けの数(nStairs)が設定される。同様に、フロア番号の計算に厳密には関連しない他の情報が設定されるが、ここでは提示しない。ステップ1010,1020,1030,1040にて、変数Count,TOF,RSSI,FIRIDの値が全て消去される(即ち、ゼロに設定される。ただし、FIRIDは文字変数であるため、空白に設定される)。ステップ1050にて、初期化プロセスは終了する。
【0034】
MT 116は、利用可能なデータを有するとき、ICC 111にデータパケットを転送する。従って、データが受信されると、図5に示すデータ収集タスクが起動される。動作の進行に関してICへ通知され続けるように、定期的にICC GUIを更新する必要がある。従って、フロア番号の計算に続き、定期的なタイマによって、GUIの更新が起動される。アプリケーションは、それ自体のデータ構造を維持する。このデータ構造は各々、nFloorsと同数の行と、nStairsと同数の列とを備える、4つの構成要素を有する。
【0035】
次に、図4〜7に示す変数及び配列について、簡単に説明する。
FIRID(FIR識別を表す)は、各FIR 106の識別子の配列である。各FIR識別は、FIRの配備されたフロア番号と関連付けられている。これは、フロア上の位置にかかわらず、同じフロアに配備された全てのFIRが行列の同じ行にあることを意味する。無線エネルギ吸収により、MT 116が同じフロア上の全てのFIRと通信を行うことは不可能な場合があるため、FIRIDテーブルの幾つかの位置は未使用のまま残ることがある。消防士が建物を動き回るにつれて、新たなFIR識別子がテーブルに追加されるが、古いFIR識別子は除去されない。
【0036】
Count行列は、SDが各FIRに報告する範囲メッセージの数の計数値を含む。
RSSI及びTOFのテーブルの構造は、FIRIDと同じである。これらのテーブルは、各FIRに対して記録されたRSSI及びTOFのフィルタ処理済みの値を含む。
【0037】
図5のフローチャートには、データ収集関数を示す。関数名は、NewDataであり、MTから新たな組のデータが受信される毎に起動され、ステップ1100にて開始する。関数NewDataは、データの収集されたFIRの識別を表すFIR、FIRに対する最新のTOFを表すFIR_TOF、最新の受信メッセージのRSSIの絶対値を表すFIR_RSSI、及びFIRの配備されるフロア番号を表すFLOOR、の4つのパラメータを有する。
【0038】
データ収集関数は、FIRIDテーブルのFLOOR行におけるFIR識別の位置を見出す。ステップ1110にて、このFIR識別が新たな識別と判断される場合、ステップ1120にて、この新たなFIR識別はテーブルの第1の空の位置に追加される。ステップ1130にて示すように、FIRjはFLOOR行のFIR識別の列である。
【0039】
ステップ1140,1150に示すように、最初に、TOF及びRSSIの値はサイズCountの可変サイズ窓を用いてフィルタ処理される。MTとFIRとの間で交換されたメッセージの数が所定の値MAX_ITより大きくなったとき、フィルタは1/(MAX_IT+1)のレートを有する無限入力フィルタ(Infinite Input Filter)に変わる。示すように、この効果は、ステップ1160,1170によってCountテーブルの値がMAX_ITより大きくならないように制限することによって達成される。
【0040】
このフローチャートのステップ1180では、余りにも以前に収集されたデータをアルゴリズムが“忘却する”ことが保証される。そのような“忘却性”が必要とされるのは、消防士が1つのFIRから離れて別のFIRに接近すると、収集されたTOF及びRSSIの値が消防士の新しい位置に従って変化し得るためである。アルゴリズムはFORGET係数の値に応じて早く又は遅く忘却する。FORGET係数は常に0〜1の数である。FORGET係数が0の場合、アルゴリズムは何も思い出さない。FORGET係数が1の場合、アルゴリズムは全てを思い出す。本出願では、最も普通の値は0.99又は0.999であり、FIRからのデータ収集頻度に依存する。次いでステップ1190にて、データ収集プロセスは終了する。
【0041】
図6のフローチャートには、消防士のフロア番号を計算するための関数GetFloorNumberを示す。この関数はステップ1200にて開始し、フロアの数nFloorsと同数の要素を有する2つのローカル整数配列を用いる。この関数はステップ1210にてRSSIscoreを、ステップ1220にてTOFscoreを計算するため、関数GetScoreを2回、呼び出す。点数を組み合わせることによって、可能性のあるフロアに関し、独立した各々の判断基準よりも正確な推定が提供される。測定では、建物内の反射のため、TOFは30メートル程の誤差の影響を受けた。フロア間の距離が3〜6メートルであることを考慮すると、30メートルの誤差はフロア番号推定の誤差が5〜10フロアであることを意味する。RSSIは、FIRからMTが受信する信号の強度を示す。全てのFIRは同じパワーで送信しているが、各部屋(store)の仕切が異なるため、またフロアの吸収は壁の吸収と大きく異なるという事実のため、各信号の経路長は異なる。更に、MTと、そのMTが通信を行うFIRとの間の壁の数は、各フロアの仕切方法に応じて異なるため、FIR毎に異なる。この理由から、RSSI情報自体は、フロア番号を求めるために用いることは不可能である。従って、このアルゴリズムでは、各フロアの点数を計算し、次いで、両方の判断基準を用いて最高の加算点を与えるフロアを選択する。試験では、結果は極めて正確であった。このフローチャートのステップ1230では、各フロアのTOF点数にRSSI点数を加算することによって計算された最高点数に基づき、フロア番号を求める。ステップ1240にて、処理は終了する。
【0042】
図7には、関数GetScoreのフローチャートの一例を示す。この関数は、上述の図6のステップ1210,1220にて、RSSI及びRSSIscoreを、次いでTOF及びTOFscoreをパラメータとして呼び出される。この関数は、各判断基準に従って各フロアの点数を計算する。
【0043】
この関数は、ステップ1300の開始後、ステップ1310にて全てのScore値をゼロに設定することによって開始され、次いでステップ1320にて、一時記憶tempへData(RSSI又はTOF)のコピーを作成する。またステップ1330にて、最新のVal(lastVal)及びLevelが初期化される。変数Levelの値は重要ではないが、RSSI及びTOFの両方に対して同じである必要がある。
【0044】
この関数には、判断基準(RSSI又はTOF)が最良の値を有するフロアを特定するループが含まれる。ステップ1340にてフロアが求められると、同じフロアの他の全てのデータは無視され、次のフロアが識別される。ステップ1350にて、識別を必要とするフロアが残っていると判断される限り、この関数は継続する。しかしながら、そのようなフロアが残っていない場合、ステップ1360にて、この関数は終了する。
【0045】
アルゴリズムの実行中、ステップ1370にて、tempの内容が破棄される。この理由から、ステップ1320にて、Dataの内容をtempへコピーした。
2つのフロアの値の差異が5%未満である場合、ステップ1380,1390,1400に示すように、変数Levelに対して同じ値を維持することによって、2つのフロアは同じScoreを受信する。値が異なる場合、ステップ1420にて各フロアが求められるに従ってLevelの値が減少するため、各フロアに関する点数は異なる。ステップ1410にて、lastValは以前のminValの値を示す。minValは、判断基準の最小値である。各フロアに対する最小値が求められ、それらの最小値を並び替えた結果に従って点数が設定されると、同じ結果が得られる。
【0046】
上述のように、図8〜19には、上述の手法で決定される消防士の位置に基づき、ICCによって生成される表示画面の例を示す。例えば、図8には消防士が建物に入る前の初期表示ウィンドウを示し、図9には、表示ウィンドウ上に表示され、異なる種類の要員及び条件を表す記号を示すように“凡例タブ”の拡張された、初期表示ウィンドウを示す。図10には、各フロアにFIRの配備されている建物の4つの階の表示を示し、図11には、大隊指揮官が中間準備フロアに入ったことを示す記号(隊長のバー)を示す。欧州のフロア番号付けの慣習を用いると、この中間準備フロアは建物のボトムフロア、即ち、“フロア0”である。図12には、梯子ユニットが建物のフロア2に入ったことを示し、図13には、そのフロア2の梯子ユニットの要員3人の詳細(即ち、隊長1人と消防士2人)を示す。図14にはフロア2の拡張された表示図を示し、図15にはフロア2の警報状態を示し、図16には、その警報が確認されたことを示す。図17には、選択された要員(この例では、隊長)の詳細と、隊長から最も近いFIR 106への距離とを示す。この例では、隊長は“A”で表されるFIR 106から約0.88メートル(2.9フィート)に位置する。図18には、FIR(この場合、2Cで表されるFIR)が信号を失うときの表示の一例を示す。FIRが信号を失うことは、FIRが損傷を受けたか又は壊れた可能性があることを意味する。図19には、多フロア表示及び各フロアの要員の一例を示す。当然のことながら、任意の所望の形式で情報を表示するように、このシステムを修正することが可能である。
【0047】
また、図20にはICC 111によって生成される表示画面の一例を示す。この表示画面は、図8〜19に示す画面に表示されている建物のフロアの平面図200と、ICC 111のユーザによって指定されるフロア上の複数の関心領域202−1,202−2とを示している。本発明の一実施形態に基づき、システムは、いずれかの資産(例えば、消防士)が所望の期間より長く、それらの領域202−1又は202−2のいずれかに留まっているか否かを判断することが可能である。詳細には、表示を生成するためのICC 111に関連するグラフィカルユーザインタフェース及びActiveXコントロールによって、ユーザが、例えば、マウス及びキーパッドのうちの1つ以上又は他の操作手段を用いて、有限領域(例えば、領域202−1又は202−2)を各々画定する多角形を描き、1つ以上の領域202−1又は202−2を表示上に画定することが可能となる。2つの領域202−1,202−2のみを示したが、ユーザは各々任意の所望のサイズを有する任意の所望の数の領域を指定することが可能である。ActiveXコントロールは、表示上に示される資産204−1〜204−5(例えば、上述の消防士)の位置を、指定される1つ以上の領域202−1,202−2の位置と関連付ける。
【0048】
追跡対象資産(例えば、資産204−1)が、指定される領域(例えば、領域202−1)に入ると、ICC 111のコントローラはタイマを起動する。資産204−1がユーザの設定可能な所定のしきい値時間(例えば、数分又は任意の所望の長さの時間)より長い時間、領域202−1に留まっている場合、ICC 111のコントローラは、追跡対象資産204−1と、追跡対象資産204−1に関連する任意の属性とのうちの1つ以上や、領域202−1内における資産204−1の位置を識別する警報を生成する。なお、ICC 111のコントローラは、それぞれの資産204−1〜204−5が、それぞれの指定される領域202−1,202−2のいずれかに留まるそれぞれの時間を追跡し続ける。また、領域202−1,202−2が重なり合うこともあり、ユーザはそれぞれの領域202−1,202−1の各々に対し、それぞれ同じ時間しきい値を設定することも異なる時間しきい値を設定することも可能である。
【0049】
要約すると、本発明のこの態様に基づき、追跡対象資産が指定領域に入ると、タイマが起動される。このタイマは資産及び領域に関連する。資産が領域内に位置し、かつ、タイマのタイムアウトが検出される場合、警報が生成される。資産が領域を出ると、この資産及び領域に関連したそれぞれのタイマはその初期値にリセットされる。上述のように、本発明のこの態様は、上述の位置特定システム機能と共に消火活動に用いることが可能であり、指定領域内において所望の期間の資産追跡が必要な任意の他の種類の場面に用いることが可能である。
【0050】
上述の本発明の実施形態において、本システム及び方法は、移動ネットワーク構成員の正確な位置を提供し、活動中の隊の構成員間での音声交信を可能とする。本発明の代表的な幾つかの実施形態についてのみ詳細に述べたが、これらの代表的な実施形態において、本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく多くの修正が可能であることが、当業者には容易に認識されるであろう。従って、そのような修正は全て、本発明の範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態によるシステムの無線ルータを備える建物の概略図。
【図2】図1に示すシステムに用いられる無線ルータの構成要素の一例を示すブロック図。
【図3】図1に示す建物内で消防士が用い得る移動体端末の構成要素の一例を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施形態による図1に示すシステムにおいて移動体端末の位置を識別するために実施される初期化動作の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態による図1に示すシステムにおいて移動体端末の位置を識別するために実施されるデータ収集動作の一例を示すフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態による図1に示すシステムにおいて移動体端末の位置を識別するために実施されるフロア番号計算動作の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の一実施形態による図1に示すシステムにおいて移動体端末の位置を識別するために実施されるフロア記録動作の一例を示すフローチャート。
【図8】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図9】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図10】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図11】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図12】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図13】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図14】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図15】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図16】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図17】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図18】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図19】図1〜7に示す本発明の実施形態により決定される消防士の位置に基づき、事故指揮操作卓(ICC)によって生成される表示画面の例を示す図。
【図20】図1〜7において実証された本発明の一実施形態により、いずれかの消防士が所望の期間より長くそれらの領域のいずれかに留まっているか否かをシステムが判断することが可能であるように、図8〜19に示す画面に表示される建物のフロアと、そのフロアにおいてユーザの指定する複数の関心領域との平面図を示す、事故指揮操作卓(ICC)によって生成された表示画面の例を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元多階層構造物における動きを監視するための方法であって、
三次元多階層構造物に複数の移動体無線遠隔端末を配備する端末配備工程と、
三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を決定する位置決定工程と、
三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を示すインジケータを生成するインジケータ生成工程と、
三次元多階層構造物の1つ以上の領域を指定するようにインジケータを修正するインジケータ修正工程と、
いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっている場合、警報を生成する端末監視工程と、からなる方法。
【請求項2】
インジケータは三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を示す表示を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
インジケータ修正工程はユーザが前記領域のうちの複数の領域を指定するように表示を修正することを可能とする工程を含むことと、
端末監視工程は、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっている場合、警報を生成することと、を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれの領域のうちの幾つかは重なり合う請求項3に記載の方法。
【請求項5】
それぞれの所望の期間のうちの少なくとも幾つかは、異なるそれぞれの前記領域に対して異なる請求項3に記載の方法。
【請求項6】
各々の移動体無線遠隔端末は無線アドホック・ピアツーピア通信ネットワークにおいて通信を行うように構成されていることと、
三次元多階層構造物に複数の無線ルータを配備する工程と、各々の無線ルータは無線アドホック・ピアツーピア通信ネットワークにおいて通信を行うように構成されていることと、
各々の移動体無線遠隔端末がその移動体無線遠隔端末のブロードキャスト範囲内の任意のルータと信号を交換し、同信号に基づき、三次元多階層構造物におけるその移動体無線遠隔端末の位置を決定するように、各々の移動体無線遠隔端末を制御する工程と、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
移動体無線遠隔端末のうちの少なくとも幾つかを操作して、少なくとも音声データを互いに通信させる工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
三次元多階層構造物における動きを監視するためのシステムであって、
三次元多階層構造物に配備するように構成されている複数の移動体無線遠隔端末と、
三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を決定し、三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を示すインジケータを生成し、三次元多階層構造物の1つ以上の領域を指定するようにインジケータを修正し、いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっている場合、警報を生成するように構成されている監視ユニットと、からなるシステム。
【請求項9】
インジケータは三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を示す表示を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
監視ユニットは、ユーザが前記領域のうちの複数の領域を指定するように表示を修正することを可能とし、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっている場合、警報を生成するように構成されていることを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
それぞれの領域のうちの幾つかは重なり合う請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
それぞれの所望の期間のうちの少なくとも幾つかは、異なるそれぞれの前記領域に対して異なる請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
各々の移動体無線遠隔端末は無線アドホック・ピアツーピア通信ネットワークにおいて通信を行うように構成されていることと、
三次元多階層構造物に配備するように構成されている複数の無線ルータと、各々の無線ルータは無線アドホック・ピアツーピア通信ネットワークにおいて通信を行うように構成されていることと、
各々の移動体無線遠隔端末はその移動体無線遠隔端末のブロードキャスト範囲内の任意のルータと信号を交換し、同信号に基づき、三次元多階層構造物におけるその移動体無線遠隔端末の位置を決定することと、を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
移動体無線遠隔端末のうちの少なくとも幾つかは送受信機を備え、他の移動体無線遠隔端末と少なくとも音声データを通信するように構成されている請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
三次元多階層構造物における1つ以上の移動体無線遠隔端末の動きを監視するための監視ユニットであって、
三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を決定するように構成されているコントローラと、
コントローラの制御下において、三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末の位置を示し、三次元多階層構造物の1つ以上の領域を指定するようにインジケータを修正し、移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっているか否かを監視し、移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっている場合、警報を生成するように構成されている位置インジケータと、からなる監視ユニット。
【請求項16】
インジケータは三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末の位置を示す表示を含む請求項15に記載の監視ユニット。
【請求項17】
位置インジケータは、コントローラの制御下において、ユーザが前記領域のうちの複数の領域を指定するように表示を修正することを可能とし、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっている場合、警報を生成するように構成されていることを含む、請求項16に記載の監視ユニット。
【請求項18】
それぞれの領域のうちの幾つかは重なり合う請求項17に記載の監視ユニット。
【請求項19】
それぞれの所望の期間のうちの少なくとも幾つかは、異なるそれぞれの前記領域に対して異なる請求項17に記載の監視ユニット。
【請求項20】
監視ユニットは複数の無線端末の動きを監視することと、
コントローラは三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を決定するように構成されていることと、
位置インジケータは、コントローラの制御下において、三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を示し、三次元多階層構造物の1つ以上の領域を指定するようにインジケータを修正し、いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっている場合、警報を生成するように構成されていることと、を含む請求項15に記載の監視ユニット。
【請求項1】
三次元多階層構造物における動きを監視するための方法であって、
三次元多階層構造物に複数の移動体無線遠隔端末を配備する端末配備工程と、
三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を決定する位置決定工程と、
三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を示すインジケータを生成するインジケータ生成工程と、
三次元多階層構造物の1つ以上の領域を指定するようにインジケータを修正するインジケータ修正工程と、
いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっている場合、警報を生成する端末監視工程と、からなる方法。
【請求項2】
インジケータは三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を示す表示を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
インジケータ修正工程はユーザが前記領域のうちの複数の領域を指定するように表示を修正することを可能とする工程を含むことと、
端末監視工程は、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっている場合、警報を生成することと、を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれの領域のうちの幾つかは重なり合う請求項3に記載の方法。
【請求項5】
それぞれの所望の期間のうちの少なくとも幾つかは、異なるそれぞれの前記領域に対して異なる請求項3に記載の方法。
【請求項6】
各々の移動体無線遠隔端末は無線アドホック・ピアツーピア通信ネットワークにおいて通信を行うように構成されていることと、
三次元多階層構造物に複数の無線ルータを配備する工程と、各々の無線ルータは無線アドホック・ピアツーピア通信ネットワークにおいて通信を行うように構成されていることと、
各々の移動体無線遠隔端末がその移動体無線遠隔端末のブロードキャスト範囲内の任意のルータと信号を交換し、同信号に基づき、三次元多階層構造物におけるその移動体無線遠隔端末の位置を決定するように、各々の移動体無線遠隔端末を制御する工程と、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
移動体無線遠隔端末のうちの少なくとも幾つかを操作して、少なくとも音声データを互いに通信させる工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
三次元多階層構造物における動きを監視するためのシステムであって、
三次元多階層構造物に配備するように構成されている複数の移動体無線遠隔端末と、
三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を決定し、三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を示すインジケータを生成し、三次元多階層構造物の1つ以上の領域を指定するようにインジケータを修正し、いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっている場合、警報を生成するように構成されている監視ユニットと、からなるシステム。
【請求項9】
インジケータは三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を示す表示を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
監視ユニットは、ユーザが前記領域のうちの複数の領域を指定するように表示を修正することを可能とし、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっている場合、警報を生成するように構成されていることを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
それぞれの領域のうちの幾つかは重なり合う請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
それぞれの所望の期間のうちの少なくとも幾つかは、異なるそれぞれの前記領域に対して異なる請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
各々の移動体無線遠隔端末は無線アドホック・ピアツーピア通信ネットワークにおいて通信を行うように構成されていることと、
三次元多階層構造物に配備するように構成されている複数の無線ルータと、各々の無線ルータは無線アドホック・ピアツーピア通信ネットワークにおいて通信を行うように構成されていることと、
各々の移動体無線遠隔端末はその移動体無線遠隔端末のブロードキャスト範囲内の任意のルータと信号を交換し、同信号に基づき、三次元多階層構造物におけるその移動体無線遠隔端末の位置を決定することと、を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
移動体無線遠隔端末のうちの少なくとも幾つかは送受信機を備え、他の移動体無線遠隔端末と少なくとも音声データを通信するように構成されている請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
三次元多階層構造物における1つ以上の移動体無線遠隔端末の動きを監視するための監視ユニットであって、
三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を決定するように構成されているコントローラと、
コントローラの制御下において、三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末の位置を示し、三次元多階層構造物の1つ以上の領域を指定するようにインジケータを修正し、移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっているか否かを監視し、移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっている場合、警報を生成するように構成されている位置インジケータと、からなる監視ユニット。
【請求項16】
インジケータは三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末の位置を示す表示を含む請求項15に記載の監視ユニット。
【請求項17】
位置インジケータは、コントローラの制御下において、ユーザが前記領域のうちの複数の領域を指定するように表示を修正することを可能とし、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末がユーザの指定するそれぞれの所望の期間より長く、それぞれの領域に留まっている場合、警報を生成するように構成されていることを含む、請求項16に記載の監視ユニット。
【請求項18】
それぞれの領域のうちの幾つかは重なり合う請求項17に記載の監視ユニット。
【請求項19】
それぞれの所望の期間のうちの少なくとも幾つかは、異なるそれぞれの前記領域に対して異なる請求項17に記載の監視ユニット。
【請求項20】
監視ユニットは複数の無線端末の動きを監視することと、
コントローラは三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を決定するように構成されていることと、
位置インジケータは、コントローラの制御下において、三次元多階層構造物における移動体無線遠隔端末のそれぞれの位置を示し、三次元多階層構造物の1つ以上の領域を指定するようにインジケータを修正し、いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっているか否かを監視し、いずれかの移動体無線遠隔端末が所望の期間より長く同領域に留まっている場合、警報を生成するように構成されていることと、を含む請求項15に記載の監視ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2008−507866(P2008−507866A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520571(P2007−520571)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/024421
【国際公開番号】WO2006/010071
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(505448981)メッシュネットワークス インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】MESHNETWORKS,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/024421
【国際公開番号】WO2006/010071
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(505448981)メッシュネットワークス インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】MESHNETWORKS,INC.
【Fターム(参考)】
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