説明

アルミニウム導体コンポジットコア強化ケーブルおよび製造方法

【課題】 本発明はアルミニウム導体コンポジットコア強化ケーブル(ACCC)(300)および製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも1層のアルミニウム導体(306,308)により囲まれるコンポジットコア(302,304)を持つACCCケーブルに関する。コンポジットコアは、軸方向に配向されかつ充分に連続した少なくとも1種類の強化繊維を熱硬化性樹脂マトリクス中に有し、約90〜約230℃の範囲内の使用温度性能、少なくとも50%の繊維体積分率、約1.10〜約1.65GPa(約160〜約240Ksi)の範囲の引張強度、約50〜約210GPa(約7〜約30Msi)の範囲の弾性率、および約0〜約6×10−6m/m/℃の範囲の熱膨張率を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルミニウム導体コンポジットコア(ACCC)強化ケーブルおよび製造方法に関する。より詳細には、高温で増加する許容電流を伝えることが可能なアルミニウム導体により囲まれる強化繊維熱硬化性樹脂コンポジットコアを持つ電気出力供給用ケーブルに関する。
【0002】
本発明は、コンポジットコア部材およびそれからなるアルミニウム導体コンポジットコア(ACCC)強化ケーブル製品に関する。更に本発明は、アルミニウム導体コンポジットコア強化ケーブル(ACCC)の形成工程に関する。従来のアルミニウム導体スチール強化ケーブル(ACSR)では、アルミニウム導体は出力を伝送しており、スチールコアは伝達荷重を支持するように設計されている。
【背景技術】
【0003】
ACCCケーブルでは、ACSRケーブルのスチールコアを、少なくとも1種類の強化繊維を熱硬化性樹脂マトリクス中に有するコンポジットコアで置き換えている。スチールコアを置換することは多くの利点を持つ。ACCCケーブルは、従来のACSRケーブルで誘導されるたるみを伴うことなく、約90〜約230℃の範囲の使用温度を保持することが可能である。更に、許容電流を増加するために、ACCCケーブルは低熱膨張率に加えて高弾性率を備える。
【0004】
本発明は、配電および送電ケーブルの両方を含む電気出力供給用の他のケーブルに固有の電流使用制限により制限されることなく高い使用温度での使用に適当な、アルミニウム導体コンポジットコア強化ケーブルに関する。典型的なACSRケーブルは、導体の引張強度の減少に関連した物理的特性に何ら有意な変化なしで、連続的に100℃に昇るまでの温度で使用されることができる。これらの温度制限は、約403mm(795kcmil)のACSR「ドレイク(DRAKE )」導体で撚られた、典型的な230kV線の熱定格を、1000Aの電流に対して約400MVAまでに抑制する。
【0005】
導体ケーブルは許容電流を制限する構成要素の固有の物理的特性により抑制される。より詳細には、許容電流はケーブルを通じて出力を送る性能の尺度であり、ケーブル中では出力増加が導体の使用温度の上昇を引き起こす。余分な熱は許容される水準以下にケーブルがたるむ原因となる。そのため、送電ケーブルの荷重支持性能を増加するために、余分なたるみを誘起することなく許容電流増加に耐える固有の特性を持つ構成要素を用いて、ケーブルそれ自身は設計されなければならない。
【0006】
許容電流増大は送電ケーブルのコアを巻く導体面積の増加により達成されることができるが、導体重量の増加はケーブルの重量を増加し、たるみの一因となる。更に、重量増加はケーブル支持基礎構造に増加された張力を用いることをケーブルに要求する。そのような大きな荷重増加は典型的には構造の補強または置換を要求するが、そのような基礎構造改修は典型的には資金的に実施可能でない。従って、既存の送電網を用いる場合、電気送電ケーブルの荷重性能を増加することには資金的な動機がある。
【0007】
特許文献1には、単一の種類の強化ガラス繊維および熱可塑性樹脂を有するコンポジットコアが開示されている。目的は、ケーブル中に荷重支持要素として強化プラスチックコンポジットコアを利用する電気送電ケーブルを提供すること、および内側の強化プラスチックコアを利用する電気送電ケーブルを通じて電流を送る方法を提供することである。コンポジットコアは、これらの目的に適わない。ガラス繊維を有する1繊維系は、伝達荷重
を誘引するために要求される剛直性を持ち、ケーブルがゆるむのを防いでいる。次に、ガラス繊維および熱可塑性樹脂を有するコンポジットコアは、許容電流増加に要求される使用温度、すなわち90℃〜230℃の間に応じない。
カーボンエポキシコンポジットコアを用いて設計されるコンポジットコアはまた固有の問題点を持つ。カーボンエポキシコアは非常に制限された柔軟性を持っておりコストは実に高い。カーボンエポキシコアを持つケーブル製品は巻取および輸送を可能にするために充分な柔軟性を持たない。更に、カーボン繊維のコストは他の入手可能な繊維に比較して高価である。ガラス繊維のキロあたり約0.79ドル〜約2.64ドル(ポンドあたり0.36ドル〜1.20ドル)の範囲に比較して、カーボン繊維のコストはキロあたり約11ドル〜81ドル(ポンドあたり5ドル〜37ドル)の範囲である。従って、カーボン繊維のみから構成されるコンポジットコアは資金的に実施可能でない。
【0008】
コンポジットコアの物理的特性は加工方法により更に制限される。従来の加工方法は体積または重量で高い繊維/樹脂比率を達成できない。これらの工程はスチールコアに匹敵する強度を達成するであろう繊維豊富なコアの形成を可能としない。更に、従来の加工方法の加工速度は工程それ自身に固有の特性により制限される。例えば従来のプルトルージョンダイは約91cm(約36インチ)であり、一定の断面を持っている。その結果、コンポジットおよびダイの間の摩擦が増加されて、加工時間を遅くする。エポキシ樹脂のそのようなシステムでの加工時間は約15cm/分〜30cm/分(約6インチ/分〜約12インチ/分)に渡り、経済的に実施可能でない。更に、これらの工程は工程中にコンポジットの配置および、繊維/樹脂比率の変更を含む調整を可能としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1168374A3号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、ケーブルのたるみを伴うことなく許容電流増加を容易にする固有の物理的特性を有する、少なくとも1種類の強化繊維を熱硬化性樹脂マトリクス中に持つ経済的に実施可能なACCCケーブルを設計することは望ましい。加工中にコンポジットコアの配置および調整を可能とし、約3m/分〜約15m/分(約9フィート/分〜50フィート/分)の範囲の速度での加工を可能とする工程を用いてコンポジットコアを加工することは更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
許容電流増加は、アルミニウム導体コンポジットコア(ACCC)強化ケーブルを用いることにより達成されることができる。ACCC強化ケーブルは、温度が高く、たるみが小さい導体であり、安定した引張強度およびクリープ伸び特性を示す一方、100℃より高い温度で使用されることができる。230℃に昇る実用温度制限を達成することは更に望ましい。180℃で元と同じ直径を持つACCC強化ケーブルを用いることはまた、構造加重に何ら有意な変化なしで線の定格を50%まで増加する。置換導体が元より低い熱伸び率を持つ場合には、支持構造は増強または強化される必要はないだろう。
【0012】
詳細には、比較的高い弾性率および比較的低い熱膨張率の繊維および樹脂を有するコンポジット強度部材を持つ配電および送電導体ケーブルのコアを置換することは、導体ケーブル許容電流増大を容易にする。コンポジットコアの直径または導体の外部直径を増大する必要がなく、許容電流増加に伴う温度、約90〜230℃で少なくとも60年、より好ましくは70年、コンポジット強度部材を使用することを可能にする長期耐久性を持つコンポジットコアを設計することは更に望ましい。これはまた、より多くのアルミニウムを
据えるためのより多くの物理的空間を可能にし、導体重量の増加なくたるみの制限に応じる機械的および物理的性能を可能にする。
【0013】
更に、本発明はより小さなコア寸法を持つコンポジットコアの形成を可能にする。より小さなコア寸法は導体ケーブルがアルミニウム体積の増加に適合することを可能にし、ACCCケーブルはコンポジットコアなしの導体ケーブルと同じ強度および重量特性を持つ。
【0014】
所望の許容電流増加を達成するために、本発明によるコンポジットコアはまた、コアの剛直性増加のための高い弾性率および低い伸び率を持つ繊維と、低い弾性率を持つ繊維とを組合わせてもよい。繊維を組合わせることにより、異なる弾性率、熱膨張、密度およびコストを含む新しい特性の集合が得られる。対温度たるみの推定は、アドバンスド・コンポジットがガラス繊維と同じ範囲内の固有の物理的特性を持つ低弾性強化繊維と組合わされた場合の、達成可能な許容電流増加を示す。
【0015】
本発明によるコンポジットコアは、所望の固有の物理的特性を持つ強化繊維型および熱硬化性樹脂の選択に依存して一定の物理的特性を有する。本発明によるコンポジットコアは、充分に低い熱膨張率、充分に高い引張強度、充分に高い使用温度範囲に耐える性能、低い環境温度範囲に耐える性能、充分に高い誘電特性、および巻取を可能にするための充分な柔軟性を持つ。
【0016】
詳細には、本発明によるコンポジットコアは、約1.10〜約1.65GPa(約160〜約240Ksi)の範囲内の引張強度、約50〜約210GPa(約7〜約30Msi)の範囲内の弾性率、約90〜約230℃の範囲内の使用温度、および約0〜約6×10−6m/m/℃の範囲の熱膨張率を持つ。これらの範囲は単一の種類の強化繊維または強化繊維の種類の組合せにより達成され得る。理論的には、特性は単一の種類の繊維のみで達成され得るであろうが、実用の観点から、本発明範囲内の大抵のコアは2種類以上の異なる強化繊維を有する。加えて、最終のコンポジットコアに望まれる物理的特性に従い、コンポジットコアは繊維相対量の変量に適合する。
【0017】
本発明のコンポジットコアは、工程内で複数のゾーンを通じて繊維が樹脂で含浸され連続的に引取られる、Bステージ化工程により形成されることができる。Bステージ化工程は一般にはコンポジットコア部材の製造に関し、詳細には樹脂含浸繊維コンポジットコア部材の作製用の改良された装置および工程に関する。より詳細には、好適な実施態様に従い、多段階のBステージ工程は従来のコア部材よりも優れた強度、高い許容電流、低い電気抵抗、および軽い重量を持つコンポジットコア部材を、繊維および樹脂から形成する。この工程はコンポジットの強度、より詳細には曲げ、圧縮および引張強度を最大化する繊維−樹脂比を持つコンポジットコア部材の形成を可能にする。更なる実施態様では、コンポジットコア部材は高い導電性のアルミニウムによって包囲され、高い強度および高い剛直性特性を持つACCCケーブルを生じている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による強化繊維コンポジットコア部材を形成するために用いられるBステージ化工程の概略図。
【図2】本発明によるBステージ化工程を通じて繊維を案内するために所定のパターンへの繊維挿入用の充分に間隔の空けられた通路を示すブッシングの概略図。
【図3】本発明による強化繊維の束を形成し圧縮するために用いられる通路を示すブッシング構造の概略図。
【図4】本発明によるコンポジットコア形成中に繊維を束に形成し圧縮するために一方のブッシングから続くブッシングに通路の縮小を示す2つの異なるブッシングの比較の概略図。
【図5】本発明による30の可能なコンポジットコア断面幾何学構造の断面図。
【図6】それぞれのブッシングで通路寸法の縮小を示す互いの頂部で重ねられる複数のブッシングの多元的な断面図。
【図7】本発明による通路の移動を示し連続する各ブッシングで通路の寸法を縮小する複数のブッシングの多段階の概略図。
【図8】本発明によるコンポジットコアのある実施態様の断面図。
【図9】本発明による空気温度を一定に保つための交差循環気流を持つオーブン工程の概略図。
【図10】本発明による加熱要素内の各加熱器を示す、図9中に示されるオーブン内の加熱要素の断面図。
【図11】本発明による2層のアルミニウム導体により囲まれる内側のアドバンスド・コンポジットコアおよび外側の低弾性コアを示すアルミニウム導体コンポジットコア(ACCC)強化ケーブルのある実施態様の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本国際出願に関して、出願人らは2002年4月23日に米国特許商標庁に提出された先行の米国仮出願、番号60/374,879号の優先権を主張し、その完全なる開示は本願に引用として援用される。
本発明のこれらのおよび他の特徴は、本発明の詳細な説明を参照し、添付の図面に照らして読まれることにより最もよく理解される。
本発明の好適な実施態様が示される添付の図面に関連して、本発明は以下でより完全に説明される。しかしながら本発明は多くの異なる形態に具体化されてよく、前記の実施態様に制限されるとして構成されるべきではない。むしろこれらの実施態様は、本開示が当業者らに本発明の範囲を完全に伝達するために提供される。同じ番号は終始同じ要素を参照する。図面は必ずしも縮尺で示されてはいないが、本発明を明瞭に図示するように配置されている。
【0020】
本発明は、配電および送電ケーブルを含む電気出力配電を供給するためのアルミニウム導体コンポジットコア強化(ACCC)ケーブルに用いられ、高温樹脂中に埋め込まれる強化繊維からなる強化コンポジットコア部材に関する。図11ではACCC強化ケーブル300の典型的な実施態様が図示される。図11では、内側の強化カーボン繊維/エポキシ樹脂コンポジットコア302および外側の強化ガラス繊維/エポキシ樹脂コンポジットコア304を有するACCC強化ケーブルが図示されている。コンポジットコアはコンポジットコアの周りを複数の台形状のアルミニウムストランドが包む第1のアルミニウム導体層306によって囲まれ、複数の台形状のアルミニウムストランドが第1のアルミニウム層306を包む第2のアルミニウム導体層308を有する。
【0021】
本発明のコンポジットコアは以下の特性を有する。すなわち、少なくとも1種類の強化繊維、強化繊維の種類毎に変量できる相対量、充分に直径が小さい種類の強化繊維、充分に連続したな長さの種類の強化繊維、高充填密度を有するコンポジットコア、充填密度以内で相対的な空間を持つ強化繊維トウ、少なくとも50%の体積分率、約60〜約75%の間の繊維重量分率、調整可能な体積分率、充分に低い熱膨張率、充分に高い引張強度、充分に高い操作温度の範囲に耐える性能、充分に低い環境温度に耐える性能、コンポジットコアの樹脂特性の変更可能性を持つこと、充分に高い誘電特性、複数の断面配置の幾何学構造の可能性を持つこと、およびコンポジットコアの連続的な長さの巻取を可能にするための充分な柔軟性である。
【0022】
以下の本発明のコンポジットコアは、約1.10〜約1.65GPa(約160〜約240Ksi)の範囲の引張強度、約50〜約210GPa(約7〜約30Msi)の範囲
の弾性率、約90〜約230℃の範囲の使用温度、および約0〜約6×10−6m/m/℃の範囲の熱膨張率を持つ。これらの物理的特性を達成するために、本発明のコンポジットコアは、要求される物理的特性にコンポジットコアが応じることを可能にするための固有の物理的特性を持つ種類の強化繊維を有することができる。実用の観点から、本発明範囲内の大抵のケーブルは少なくとも2種類の異なる強化繊維を有する。
【0023】
コンポジットコア部材の中に2以上の強化繊維を組合わせることは、強度−重量比に電気出力送電システムに一般に用いられる材料を超える充分な改良を提供する。繊維は例えば、HMおよびHS(ピッチ系)の両カーボン繊維、ケブラー繊維、バサルト繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、液晶繊維、高性能ポリエチレン(high performancepolyethylene )繊維およびカーボンナノファイバーを有する群から選択されてよい。カ
ーボン、ボロン、ケブラー、およびガラス繊維の何種類かは工業的に入手可能である。各々の繊維の種類は、特定のコンポジットを達成するために種々の組合せで組合わせられてよい、特性を異にする特殊型を持つ。注目すべきは、これらは本発明の明記される特性に応じる繊維の単なる例であることであり、そのため本発明はこれらの繊維のみに制限されない。本発明の要求される物理的特性に応じる他の繊維は用いられてよい。
【0024】
本発明のコンポジットコアは好ましくは比較的小さなイールド(yield )またはK値を持つ繊維トウを有する。繊維トウは連続的なマイクロファイバーの撚り合わされていない束であり、トウの組成はそのイールドあるいはK値で示される。例えば、12Kのトウは12,000本のマイクロファイバーを持つ。理想的には、マイクロファイバーは樹脂で含浸して、束またはトウ内の各々のマイクロファイバー周辺を樹脂が覆う。含浸性はトウの寸法、すなわち、束中のマイクロファイバーの本数および個々のマイクロファイバーの寸法により影響され得る。より大きなトウは束の中に含まれる繊維の数のため束の個々の繊維の周囲を濡らすことをより困難にするのに対して、より小さな繊維直径は各繊維トウ中の各繊維の周囲への樹脂の配分を増加する。コンポジット中の繊維トウが含浸することは、生じるコンポジットの性能に極めて重要である。不完全な含浸は繊維コンポジット内に傷(flaw)またはドライスポット(dry spot)を生じて、コンポジット製品の強度および耐久性を減ずる。繊維トウはまた、最適な所望の物理的特性を持つコンポジットを形成することができるように工程が取扱える繊維トウの寸法に従い選択されてもよい。本発明に従いコンポジットコアを形成するためのある工程はBステージ化工程と称される。本発明のカーボン繊維トウは好ましくは約4K〜約50Kの範囲で選択され、ガラス繊維トウは好ましくは約800〜約1200イールドの範囲で選択される。
【0025】
本発明による個々の強化繊維の寸法は、ガラス繊維では好適には直径で約8〜約15μm の範囲内、最適には約10μm であり、対してカーボン繊維は好ましくは直径で約5〜約10μm の範囲、最も好ましくは約7μm である。他の種類の繊維では好適な寸法の範囲は望ましい物理的特性に従い決定される。範囲は最適な含浸特性および実行可能性に基づき選択される。例えば、直径で約5μm よりも小さな繊維は、小さ過ぎて繊維を取扱う者に一定の健康の危険を与える。反対に直径で25μm に近づくと、繊維はより剛直で脆くなるため取り扱うことは困難である。
【0026】
本発明のコンポジットコアは充分に連続した長さの繊維トウを有する。実際に、本発明を有するカーボン繊維トウはスプール寸法により好ましくは約1000〜3000mの間の長さである。しかしながらガラス繊維の長さはスプール寸法により36kmにまで渡ることができる。最も好ましくは、繊維は1000〜33,000mの範囲から選択される。繊維の接続をより少なくすることにより加工装置は約1800m(6000フィート)を超える連続なコンポジットコアを形成することに適合するので、最長の繊維を選択することが最も好ましい。繊維末端は末端同士で接着されて、充分に連続した繊維トウ長さを形成してよい。連続的なトウ形成(towing)はケーブルに沿う軸方向に繊維を配向する。
【0027】
本発明のコンポジットコアは他の導体ケーブルコアに比して高い充填効率を持つ繊維を有する。より詳細には、従来のスチール導体ケーブルは一般に幾つかの円形のスチールワイヤを有する。ワイヤの円形のため、ワイヤは密に充填することができず、約74%の充填効率しか達成できない。スチールコアが100%の充填効率を持つことを可能にする唯一の方法は、幾つかの円形のスチールワイヤとは対照的に、充実したスチールロッドを有することである。最終のケーブルは剛直になり曲げられないであろうから、これは不可能である。本発明では個々の繊維は軸方向に配向されており、各繊維は樹脂で覆われ硬化されて、100%の充填効率を持つハイブリッド化されたコンポジットコア部材を形成する。より高い充填効率は他のケーブルに比して所定の体積でより大きなコンポジット強度を与える。加えて、より高い充填効率は、コンポジット導体コアの周囲を巻くことが可能なアルミニウム導体材料の量を増加させるため、より小さな直径のコンポジットコアの形成を可能にする。
【0028】
本発明のコンポジットコアは、充分に熱に耐える強化繊維を有する。耐熱性は、より高い使用温度に耐えるためのコンポジットコアの性能により、ACCCケーブルが増加された出力を送電することを可能にする。本発明に用いられる繊維は、約90〜約230℃の範囲の使用温度に耐える性能を持つ。最も好ましくは、本発明の繊維は約170〜約200℃の範囲の使用温度に耐える性能を持つ。更に、本発明に用いられる繊維は、好ましくは約−40〜約90℃の範囲の環境温度に耐えることができる。すなわち、ACCCケーブルに電流が流れない環境条件の元では、コンポジットコアは物理的特性の減損を被ることなく約−40℃の低温に耐えることができる。
【0029】
強化繊維の各種類の相対量はコンポジットケーブルの所望の物理的特性に従い変化する。例えば、より低い弾性率を持つ繊維は高強度の剛直なコンポジットコアを形成することができる。カーボン繊維は好ましくは約150〜約260GPa(約22〜約37Msi)の範囲の弾性率を持つのに対して、ガラス繊維は低弾性強化繊維と考えられる。2種類の繊維は、付与される柔軟性を持つ高強度、高剛直性のコンポジットコアを形成するために、各繊維固有の物理的特性を利用するように組合わされてよい。ある実施態様では、例えば、コンポジットコアは約24mm(0.037sq.in.)の面積および重量で約70/30の繊維樹脂比を持つ内側のカーボン/樹脂コアと、約48mm(0.074sq.in.)の面積および重量で約75/25の繊維/樹脂比を持つ外側のガラス/エポキシ層とを有する。
【0030】
本発明に従い、コンポジットコアの物理的特性は各成構成要素の繊維/樹脂比を調整することにより調整されてよい。これに代えて、コンポジットコアの物理的特性はコンポジットコア部材内の各構成要素の面積百分率を調整することにより調整されてよい。例えば、全カーボン面積を約24mm(0.037sq.in.)から減少し、かつガラス面積を約48mm(0.074sq.in.)から増加することにより、コンポジットコア部材製品は柔軟性増加に加えてカーボンコア中の剛直性を減少する。更に、カーボンに比較してガラスのトウの直径は小さいため、生じるコンポジットコアはより小さな直径であり、生じるケーブル寸法は同じで導体増加を可能にする。これに代えて、第3の繊維、例えばバサルトがコンポジットコア中に導入されてもよい。追加の繊維は最終製品の物理的特性を変化させる。例えば、カーボン繊維の幾らかをバサルトに置換することにより、コアは誘電特性を増加し、コアの剛直性は相対的に減少する。
【0031】
本発明のコンポジットコアは比較的高い引張強度を持つ強化繊維を有する。架空電圧出力送電ケーブルのたるみの程度は、張る長さの2乗に連れ、かつケーブルの引張強度の逆数に従い変化するため、引張強度の増加はACCCケーブルのたるみを効果的に減少する。好ましくは約2.41〜約5.17GPa(約350〜約750Ksi)の範囲の引張
強度を持つカーボン繊維が選択される。更に好ましくは約4.90〜約5.17GPa(約710〜750Ksi)の範囲である。好ましくは約1.24〜約1.52GPa(約180〜約220Ksi)の範囲の引張強度を持つガラス繊維が選択される。コンポジットの引張強度は、より低い引張強度を持つガラス繊維をより高い引張強度を持つカーボン繊維と組合わせることにより向上される。両種類の繊維の特性は、より望ましい物理的特性の集合を持つ新規なケーブルを形成するために組合わせられる。
【0032】
本発明のコンポジットコアは、樹脂マトリクス中に埋込まれる軸方向の繊維を有し、少なくとも50:50%の比の繊維/樹脂体積分率を持つ。体積分率は断面の全面積で除される繊維面積であり、繊維重量は重量での最終の百分率比で決定する。本発明に従い、繊維/樹脂コンポジット中の繊維の体積分率は好ましくは値で約50〜約57%の範囲内である。最も好ましくは、体積分率は重量による繊維/樹脂比で72%であると繊維の重量により算出される。
【0033】
本発明によると、コンポジットコアはACCC強化ケーブルの所望の物理的特性に基づいて設計される。より好ましくは、コンポジットコアは外側のより柔軟な層により囲まれるアドバンスド・コンポジットを有する内側の強化コア部材を持ち設計される。アドバンスド・コンポジットは、50%より大きな体積分率を持つ連続な繊維と、ガラス繊維の機械的特性を超える機械的特性とを持つコンポジットである。更に、ガラス繊維の範囲の機械的特性を持つ低弾性コンポジットの外側の層を持つことは好ましい。低弾性繊維はガラス繊維の範囲の機械的特性を持つ。ガラス繊維の機械的特性は接続に適合するが、これに対してアドバンスド・コンポジットはより脆く接続を充分に請負えない。
【0034】
アドバンスド・コンポジットを形成する繊維は好ましくは、約2.41〜約5.17GPa(約350〜約750Ksi)の範囲の引張強度、好ましくは約150〜約260GPa(約22〜約37Msi)の範囲内の弾性率、約−0.7〜約0m/m/℃の範囲の熱膨張率、約1.5〜3%の範囲の降伏伸び率、約0.31W/m・K〜約0.04W/m・Kの範囲の誘電特性、および約1800kg/m〜約3600kg/m(約0.065lb/in〜約0.13lb/in)の密度を持ち選択される。
【0035】
アドバンスド・コンポジットを囲む外側の低弾性層を形成する繊維は好ましくは、約1.24〜約1.52GPa(約180〜220Ksi)の範囲の引張強度、約5×10−6〜約10×10−6m/m/℃の範囲の熱膨張率、約3〜約6%の範囲の降伏伸び率、および約0.034W/m・K〜約0.04W/m・Kの範囲の誘電特性、および約1800kg/m〜約3600kg/m(約0.065lb/in〜約0.13lb/in)の密度を持つ。
【0036】
上記の好適な範囲の値に従う外側の低弾性層により囲まれる上記の好ましい範囲の値に従うアドバンスド・コンポジットを有する内側のコアを持つコンポジットコア部材は、他の導体ケーブルを約0〜約200%超えて許容電流を増加させる。詳細には、最終のコンポジットコアは以下の好ましい物理的特性を持つ。約1.10〜約1.65GPa(約160〜約240Ksi)の範囲内の引張強度、より好ましくは、約1.28GPa(約185Ksi)の引張強度を持つ。好ましくは約5 0〜約210GPa(約7〜約30Msi)の範囲内の弾性率、より好ましくは、約97GPa(約14Msi)の範囲の弾性率を持つ。約90〜約230℃の範囲内の使用温度、より好ましくは、コンポジットコアは少なくとも約190℃の使用温度に耐えることができる。約0〜約6×10−6m/m/℃の範囲の熱膨張率、より好ましくは、コアの熱膨張率は約2.5×10−6m/m/℃である。
【0037】
好ましくは、強化繊維の特定の組合せは、特定の物理的特性を持つコンポジットコア製
品を製作するための強化繊維の固有の物理的特性に基づき選択される。詳細には、許容電流増加に耐えることができるACCCケーブルを設計するために、コンポジットコアはより高い弾性率およびより低い熱膨張率の両方を有する。繊維は導電性ではなく高い誘電特性を持つことが好ましい。ACCCケーブルは、たるみの増加を伴うことなく、より高い使用温度で機能する。対温度たるみの推定は、弾性率、熱膨張率、コンポジット強度部材の重量、および導体重量の入力を必要とする。従って、これらの物理的特性はコンポジットコアの設計では考慮に入れられる。
【0038】
低弾性コンポジットにより囲まれる内側のアドバンスド・コンポジットを持つコンポジットコアを形成することは好ましいが、散在される高弾性率の繊維および低弾性率の繊維を有するコンポジットコアを作成することも実行可能である。ひずみ−破壊比により、ホイール輸送時に適当な導体巻取を達成するために、この種類のコアはセグメント化されなければならない場合がある。更に、内側のコアのひずみ程度減少のため、コンポジットコアは、より低い弾性率を持つ繊維により囲まれる内側のコアに増加された弾性率の繊維を持ち設計される。
【0039】
例えば、カーボンは約150〜約260GPa(約22〜約37Msi)の範囲の高い弾性率、約−0.7〜約0m/m/℃の範囲の低い熱膨張率、および約1.5〜約3%の範囲の伸び率のため選択される。ガラス繊維は、低い弾性率、約5×10−6〜約10×10−6m/m/℃の範囲の低い熱膨張率、および約3〜約6%の範囲の伸び率のため選択される。コンポジットのひずみ性能は構成要素の固有の物理的特性および構成要素の体積分率と結付けられている。繊維/樹脂コンポジットが選択された後、各繊維/樹脂コンポジットのひずみ破壊比は決定される。本発明によると、樹脂は加工のための一定の特性を達成するために、および最終製品で所望の物理的特性を達成するために変更されることができる。そのようにして、繊維/変更された樹脂のひずみ破壊比は決定される。例えば、ガラス繊維/エポキシは、1.7%のひずみ破壊比を持つのに対して、カーボン/エポキシは2.1%のひずみ破壊比を持つ。従って、必要な柔軟性および低い熱膨張率を持つコンポジットコアを形成するために、コンポジットコアは内側のコアに剛直なカーボン/エポキシ、および外側のコアにより柔軟なガラス繊維/エポキシを有するように設計される。
【0040】
これに代えて、ガラス繊維を超える機械的特性を持つ別のアドバンスド・コンポジットは、カーボン繊維の少なくとも一部に置換されることが可能であり、ガラス繊維の範囲の機械的特性を持つ別の繊維はガラス繊維に置換されることが可能である。例えば、バサルトは以下の特性を持つ。約4.8400GPa(約701.98Ksi)の範囲の高い引張強度(ガラス繊維の約1.24GPa〜約3.45GPa(約180〜約500Ksi)の範囲と比較して)、約89.29GPa(約12.95Msi)の範囲の高い弾性率、約8.0ppm/℃の範囲の低い熱膨張率(ガラス繊維の約5.4ppm/℃と比較して)、および約3.15%の範囲の伸び率(ガラス繊維の約3〜約6%の範囲と比較して)である。バサルト繊維は、引張強度の増大、カーボンおよびガラス繊維の間の弾性率、およびカーボン繊維のものと近い伸び%を与える。更なる利点はバサルトがカーボンより優れた誘電特性を持つことである。好ましくは、コンポジットコアは非導電性の内側の強度部材を有する。低弾性繊維の外側のコアにより囲まれる固有の物理的特性の繊維を持つアドバンスド・コンポジットコアを設計することにより、コンポジットコアの新規な特性の集合が得られる。
【0041】
対温度たるみは、弾性率、熱膨張率、コンポジット強度部材の重量、および導体重量を考慮することにより決定される。生じるコンポジットコアのより高い弾性率およびより低い熱膨張率はACCCケーブルが許容電流増加および約90〜約230℃の間の使用温度に耐えることを可能にする。
【0042】
本発明のコンポジットコアは、本発明の目的を達成するために調整可能な物理的特性を持つ熱硬化性樹脂を有する。予定されるケーブルの用途により、コンポジットコアが高温使用時での長期耐久性を持つことを可能にするために、所望のケーブル特性に応じて適当な熱硬化性樹脂が選択される。適当な熱硬化性樹脂はまた、加工中の摩擦を最小化し工程速度を増加するためにコンポジットコアを形成する工程に従い選択されてよく、最終のコンポジットコア中で適当な繊維/樹脂比を達成するための好ましい粘度に従い選択されてよい。
【0043】
本発明のコンポジットコアは少なくとも約60年の使用での長期曝露の下で優れた機械的特性および化学的耐性を持つ樹脂を有する。更に好ましくは、本発明のコンポジットコアは少なくとも約70年の使用での長期曝露で優れた機械的特性および化学的耐性を持つ樹脂を有する。更に、本発明のコンポジットコアは約90〜約230℃の範囲内で好ましく機能する樹脂を有する。更に好ましくは、該樹脂は約170〜約200℃の範囲内で機能する。
【0044】
本発明のコンポジットコアはコンポジット本体にクラックを発生させることなく接続操作に充分耐えるだけ強靭である樹脂を有する。本発明の必須の要素は最終のケーブル製品でコンポジットコア部材を接続する性能である。本発明のコンポジットコアは好ましくは約0.96MPa・m1/2〜1.37MPa・m1/2(約0.87INS-lb/in 〜約1.24INS-lb/in )の範囲内の単味(neat)樹脂破壊靭性を持つ熱硬化性樹脂を有する。
【0045】
本発明のコンポジットコアは低い熱膨張率を持つ樹脂を有する。低い熱膨張率は生じるケーブルのたるみの量を減少する。本発明の樹脂は好ましくは約15×10−6C〜約42×10−6Cの範囲で機能する。本発明のコンポジットコアは約4.5%より大きな伸びを持つ樹脂を有する。
【0046】
本発明のコンポジットコアは、少なくとも50%の体積分率を持つ高温樹脂に埋め込まれる繊維を有する。繊維−樹脂比はコンポジットコア部材の物理的特性に影響する。詳細には、強度、電気伝導性、および熱膨張率はコンポジットコアの繊維体積の関数である。一般には、コンポジット中の繊維の体積分率が高くなるほど、生じるコンポジットの引張強度も高くなる。本発明の繊維−樹脂体積分率は、好ましくは重量で約62〜約75%に対応する、好ましくは約50〜57%の範囲内にある。更に好ましくは、本発明の繊維/樹脂比は重量で約65〜約72%にある。最も好ましくは、本発明の繊維体積分率は重量で約72%に応じるかまたは超える。
【0047】
コンポジットコアの各繊維の種類は他の繊維に比して重量で異なる繊維/樹脂比を持ってよい。これは、所望の比を達成するために適当な数種類の各繊維および適当な種類の樹脂を選択することにより達成される。例えば、外側のガラス/エポキシ層により囲まれる内側のカーボン/エポキシコアを持つコンポジットコア部材は、重量で約75/25の所定の繊維/樹脂比を与える、126個のスプールのガラス繊維および50℃で約2000〜約6000cPの粘度を持つエポキシ樹脂を有してよい。好ましくは、樹脂は工程に所望の粘度を達成するように調整されてよい。コンポジットはまた、重量で約70/30の所定の繊維/樹脂比を与える、16個のスプールのカーボン繊維および50℃で約2000〜約6000cPの粘度を持つエポキシ樹脂を有してよい。繊維のスプール数を変更することは、重量での繊維/樹脂比を変更することによりコンポジットコア製品の物理的特性を変更する。これに代えて、繊維/樹脂比を変更するために樹脂は調整されて樹脂粘度を増加または減少してもよい。
【0048】
本発明に従い作成されるコンポジットケーブルは、コンポジットコア形成工程中にパラ
メータを変更することにより制御されてもよい一定の物理的特性を示す。より詳細には、コンポジットコア形成工程は、最終のACCCケーブルで所望の物理的特性を達成するために調整可能である。
【0049】
本発明に従い、多段階のBステージ化工程は充分に連続した長さの適当な繊維トウおよび熱加工可能な樹脂からコンポジットコアを製作する。更なる工程では、コンポジットコア部材は高導電性のアルミニウムで巻かれる。
【0050】
本発明によるACCCケーブル用のコンポジットコア作成工程は以下に説明される。図1を参照すると、本発明の導体コアBステージ化工程が示されており、一般には参照番号10により明示される。Bステージ化工程10は適当な繊維トウまたはロービングおよび熱加工可能な樹脂から連続な長さのコンポジットコア部材を作成するために用いられる。生じるコンポジットコア部材は一体に配置される充分に平行な繊維の内側および外側の層を持つハイブリッド化された同軸コアを有する。
【0051】
運転開始時に、引取および巻取スプール装置は引取を開始するために作動される。ゾーン9中の冷却部分の出口末端から伸びている未含浸の初期の繊維トウは、繊維トウガイド18およびコンポジットコア加工システムを通じてスプール11から繊維トウ12を引取るために、運転開始時にリーダとして働く。
【0052】
図1中で、繊維トウ12の複数のスプールはラックシステム14内に格納され、スプール11から繊維トウガイド18に通される個々の繊維トウ12の末端が提供される。繊維撚れを防ぐために、繊維は接線方向の引取を経る。好ましくは、装置末端の引取機16が装置を通じて繊維を引取る。各分配ラック14は各スプール11の張力を調整可能な装置を有する。例えば、各ラック14は各スプールの張力を個々に調整するために分配ラックに小さな制動機を有していてもよい。張力調整は移動び際の繊維のカテナリーおよび交差を最小化して、含浸工程を補助する。トウ12はガイド18を通じて湿分を蒸発させる予熱オーブン20の中に引取られる。予熱オーブン20は一定温度を保つために連続的な循環空気および加熱要素を用いる。
【0053】
トウ12は含浸タンク22の中に引取られる。含浸タンク22は繊維トウ12を含浸するための樹脂で満たされている。余分な樹脂は含浸タンク22を出る間に繊維トウ12から除去される。繊維トウ12は含浸タンク22から第2のシステム、Bステージオーブンに引取られる。Bステージオーブンは液状の樹脂が半硬化状態に変化する温度まで樹脂を加熱する。Bステージ硬化樹脂は粘着ステージにあり、繊維トウ12は曲げ、変化、圧縮および配置されることが可能である。粘着性は、樹脂の種類、繊維の種類、繊維の打込み密度および寸法、およびオーブンの温度の操作により制御される。ガイド18により別々に保持される繊維トウ12は、トウ12を圧縮および配置するための複数の連続的なブッシングを有する第2のBステージオーブン26の中に引取られる。第2のBステージオーブン26中で、繊維トウ12はブッシングにより与えられる複数の通路を通じて方向付けられる。連続的な通路は繊維トウ12を最終の一体のコンポジットコア部材へと連続的に圧縮および配置する。
【0054】
好ましくは、コンポジットコア部材は第2のBステージオーブン26から続くオーブン加工システム28へ引取られ、その中でコンポジットコア部材は硬化され、続く冷却用の冷却システム30へ引取られる。冷却後、コンポジットコアは昇温下での後硬化用の続くオーブン加工システム32に引取られる。後硬化工程は樹脂マトリクス内の架橋増加を促進して、コンポジット部材の改良された物理的特性を生じる。工程は一般に加熱および冷却工程と、製品を自然にまたは対流により冷却するための引取装置36との間に間隔を許すため、製品を把持および引取るために用いられる引取装置34は製品を損傷しないであ
ろう。引取装置は精密に制御された速度を持つ工程を通じて製品を引取る。
【0055】
より詳細に図1を参照すると、好適な実施態様では、本明細書中ではゾーンとして言及される一連の段階を通じて、該工程はシステムの左から右へと連続的に繊維を引取る。各ゾーンは異なる加工機能を実行する。この詳細な実施態様では工程は9つのゾーンを有する。工程は、キャタピラ(caterpuller )34が各ゾーンを通じて繊維12を連続的に引取る、一連の繊維分配ラック14から始まる。キャタピラ(caterpullar )システムの利点の1つは、従来のレシプロシステムと対照的に電気モータにより駆動される連続の引取システムとして機能することである。キャタピラシステムは製品の上部および下部を移動してその間で製品を絞る2本のベルトのシステムを用いる。従って、キャタピラシステムは、工程を通じて製品を推進するために機能する複数の相互作用する部品に代えて、ただ1つの装置を用いて精密に制御された速度で機能する単純化された一体の引取システムを具体化する。これに代えて、工程を通じて繊維を引取るためにレシプロシステムが用いられてもよい。
【0056】
工程はゾーン1で始まる。ゾーン1は繊維分配システムを有する。用いられることが可能な繊維は例えば、ガラス繊維、HMおよびHS(ピッチ系)の両カーボン繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、液晶繊維、ケブラー繊維、ボロン繊維、高性能ポリエチレン繊維およびカーボンナノファイバー(CNF)がある。ある実施態様では、繊維分配システムは、各々のラックが繊維トウ12を格納する複数のスプール11を格納する、2基のラック13を有する。更に、スプール11はコンポジットコア部材の所望の特性により繊維トウ12の種類の変更に適合するために互換可能である。
【0057】
例えば、Bステージ化工程により形成される好適なコンポジットコア部材は、外側のガラス/樹脂コア層により囲まれる内側のカーボン/樹脂コアを有する。好ましくは、高強度および高品質のカーボンが用いられる。樹脂マトリクスはまた、表面の損傷から繊維を保護して、破壊抵抗を改良する繊維の集合体を通じてクラックを防止する。最適なコンポジット特性を持つコンポジット部材を形成するために、導体コアのBステージ化工程10は繊維間の最適な結合程度を達成するための繊維引取システムを形成する。
【0058】
先述の通り、コンポジットコアの構成要素は所望のコンポジットコア特性に基づいて選択される。該工程の利点の1つは、最終のACCCケーブルの所望目標、すなわち、たるみを引起こす過度の熱膨張および引張強度の減少なしで電流を伝えるケーブルを達成するためのコンポジットコアのために、コンポジットの構成要素を調整する性能である。各々の物理的特性を組合わせるために繊維の種類を組合わせることは好ましい。より柔軟な外側の層に加えて、増加された強度および剛直性を持つコアを形成することにより性能は改良され得る。工程はロービングの撚れを防ぐことによりコンポジットの最適な特性を増加して、より一様な含浸および強度特性を誘導する。
【0059】
例えば、コンポジットコア部材の好適な実施態様では、コンポジットコアはガラスおよびカーボンを有する。Bステージ化工程を用いて、ラック13は126個のスプール11のガラスおよび16個のスプール11のカーボンを保持する。スプール11から案内する繊維トウ12は、一体のカーボンコアおよび外側のガラス層を持つコアコンポジット部材の配置を与えるように繊維トウ通路が配列されている繊維トウガイド18を貫通して通される。カーボン層は高い強度および剛直性により特徴付けられ、弱い電気導体であるのに対して、外側の低弾性ガラス層はより柔軟で非導電性である。外側のガラス層を持つことはカーボンおよび最終のコンポジット導体製品を巻いている高導電性のアルミニウムの間に外側の絶縁層を与える。
【0060】
繊維分配システムは、繊維容器の引取(fiber package pull)から接線方向に繊維を分
配する。スプールから接線方向の引取(tangent pull)は繊維を撚ることはない。中央から引取る方法(center pull method)はスプールから分配される繊維を撚る。そのようにして、中央から引取る方法は繊維撚れの数を増加させる。繊維撚れは他の繊維撚れの上に重なる場合があり、未含浸の(dry )繊維から多数のスポットを持つコンポジットを形成する。ドライスポットを回避し繊維の含浸性能を最適化するために接線方向の引取を用いることが好ましい。
【0061】
繊維トウ12は案内システム18を貫通して通される。好ましくは、ガイド18は繊維が交差するのを防ぐために繊維を案内する所定のパターンの複数の通路を有するポリエチレンおよびスチールのブッシングを有する。図2を参照すると、ガイドは所定のパターンに繊維を挿入するための充分に間隔の空けられた通路を持つブッシングを有する。通路は内側の方形部分40に格納される。通路は数を異にする列に配列されており、より大きな直径のカーボン繊維は中央2列の通路42を通じ、より小さな直径のガラス繊維はカーボンの通路42の両側の外側2列の44を通じる。張力装置は、好ましくは各スプールにあり、引取られる繊維の張力を調整し、ガイド18を通じて繊維が真直ぐに引取られることを保証する。
【0062】
少なくとも2本の繊維がガイド18の各通路を通じて引取られる。例えば、各々2本の繊維を持つ26個の通路を有するガイド18は52本の繊維を引取る。対の繊維が切れる場合、検出システムはコンポジットコアのBステージ化工程10に切れた繊維があると警報を発し、引取機34を停止する。これに代えて、ある実施態様では、切れた繊維は工程に警報を発し、破損が発生する場所により工程を停止することなく即座に修復がなされる。修復するために、新しい繊維はラック13から引取られ、新しい繊維を切れた末端に接着される。繊維が修復された後、導体コアBステージ化装置10は再始動される。
【0063】
好適な形態では、繊維は複数の列の平行な配列に分別される。例えば、図2では、6個の平行な通路の列がある。外側2列は32個の通路を、内側2列は31個の通路を、中央2列は4個の通路を各々有する。各通路の中へ同時に少なくとも2本の繊維が引取られ、ゾーン2の中へ引取られる。
【0064】
ゾーン2は任意の湿分を蒸発させるために未含浸の繊維を予熱するオーブン加工システムを有する。湿分を蒸発させるために本発明の繊維は好ましくは約65.6〜約121℃(約150〜250°F)の範囲内に加熱される。
【0065】
オーブン加工システムは、材料の流れに対して交差循環(cross-circular)する気流を促進するように設計されるオーブン部分を有する。図9にはオーブンシステムの典型的な実施態様が説明されている。オーブンは一般的に符号60で示されている。繊維は上流から下流方向にオーブンを通じ、空気は反対方向に通じる。オーブン加工システムは、気流管62を通じて下流方向に空気を循環するための加熱器集合体66から上流に配置される電気モータ70により駆動されるブロワ68を収容する熱推進システムハウジング64を有する。熱推進システムハウジングは加熱器集合体66の上流にブロワ68を収容する。ブロワ68は加熱器集合体66の向こうへオーブンシステムを通じて空気を推進する。空気は曲りエルボ管72に向かい下流に流れる。曲りエルボ管72は気流をインレット管78の中およびオーブンインレット76を通じる90°上の方向に変える。繊維の引取方向と反対にオーブン60を通じて上流に流れるために、インレットを通じて気流は90°向きを変える。オーブン60の端では、気流はアウトレット80を通じアウトレット管74を通じモータ70を通じ熱推進システムハウジング64の中に戻る90°下に方向を変える。モータ70は加熱防止のために熱推進システムの外部に電気モータを有する。モータ70は羽根ブロワ68を作動させるタイミングベルトを持つプーリを有する。好ましくは、システムはコンピュータ制御されて、所望の温度で連続の空気循環を可能にする。より
好ましくは、工程の必要に従い、工程は温度を随時変更することを可能にする。
【0066】
例えば、コンピュータは要求温度より低い温度を検出し加熱要素を作動させ、また温度が高すぎる場合には加熱器を停止(disactivate )させる。ブロワは加熱要素の向こうへ下流に空気を送る。システムは一定温度を保持するオーブンを通じて連続的に循環する閉じた円環中で空気を移動させる。
【0067】
図10は加熱要素66の好適な実施態様のより詳細な図である。ある実施態様では、加熱器集合体は9台の水平なスチール電気加熱器82を有する。各加熱器単体は分離しており他の加熱器から独立している。各加熱器単体は間隙により区分されている。
好ましくは、温度差を検出した後、コンピュータは充分な熱を供給するために幾つかの加熱器を作動させる。システムが要求する場合には、コンピュータは9台の加熱器の中の1台を作動させる。これに代えて、工程の必要により、コンピュータは加熱器集合体の中の他の全ての加熱器を作動させる。別の実施態様では、コンピュータは加熱器集合体の中の全ての加熱器を作動させる。更なる代わりの実施態様では、コンピュータは加熱器集合体の中の一部の加熱器を作動させる、または全ての加熱器を停止させる。
【0068】
代わりの実施態様では、繊維を加熱して任意の湿分を除去するために加工材料を通じて電磁場が貫通する。別の実施態様では、パルスマイクロ波が繊維を加熱して任意の湿分を除去する。別の実施態様では、電子線加工が任意の余分な湿分を除去するためのイオン化放射として電子を用いる。
【0069】
別の実施態様では、引取機はゾーン2から、繊維含浸システムであるゾーン3に繊維を引取る。ゾーン3は含浸タンク22を有する。好適な実施態様では、含浸タンク22は含浸の間に繊維の再度の方向付けを可能にする装置を格納する。好ましくは、装置はタンクの中央に配置され引取方向とは垂直に繊維を上下に鉛直に動かして、偏向は繊維を丸い配置から平らな配置に再配置させる。平らな配置は繊維が並行してあることを可能にし、樹脂により繊維がより完全に含浸されることを可能にする。
【0070】
当業者に周知の種々の代わりの技術は樹脂を繊維に塗布または含浸するために用いられることが可能である。そのような技術は、例えば、噴霧、浸漬、リバースコーティング、刷毛塗り、および樹脂注入を含む。代わりの実施態様では、超音波活性化は繊維の含浸性を改良するために振動を用いる。
【0071】
一般に、任意の種々の周知の熱硬化可能な熱硬化性重合体樹脂組成物は本発明に用いられることができる。樹脂は例えば、PEAR(ポリエーテルアミド樹脂)、ビスマレイミド、ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、および液晶技術に基づく高温エポキシ、または類似の樹脂材料であってよい。樹脂はコンポジットコアで所望の工程および物理的特性に基づき選択される。
【0072】
更に、樹脂粘度は形成速度に影響する。コンポジットコア部材の形成に所望の繊維/樹脂比率を達成するために、好ましくは粘度は20℃で約200〜約1500センチポアズの範囲内にある。より好ましくは、粘度は20℃で約200〜約600センチポアズの範囲にある。樹脂は、約230℃に昇る使用で少なくとも60年より好ましくは少なくとも70年の長期曝露に対する優れた機械的特性および優秀な化学的耐性を持つように選択される。本発明の詳細な利点は、低粘度樹脂の使用に適合する工程のための性能である。本発明に従い、重量で62〜75%の範囲内の繊維/樹脂比を達成することは好ましい。更に好ましいのは、重量で72〜75%の範囲内の繊維/樹脂比である。低粘度樹脂はコンポジットコア部材用の繊維を充分に含浸する。好適な高分子体は広範な攻撃性化学薬品に対する耐性を与え、かつ非常に安定な誘電および絶縁特性を持つ。高分子体が米国材料試
験協会(ASTM)E595のアウトガス要求およびUL94の難燃性試験に応じ、熱的にまたは機械的に強度部材を損傷することなく220〜280℃に渡る温度で断続的に使用することができることは更に好ましい。
【0073】
望ましい繊維−樹脂比を達成するために、含浸タンクの上流側は幾つかの再方向付けワイパ棒を有する。含浸タンクを通じて繊維が引取られるにつれて、余分な樹脂を除去する一連のワイパ棒に対して繊維は上下に調整される。これに代えて、再方向付けシステムは繊維によりタンクの外へ運ばれた余分な樹脂を拭うためにワイパシステムを有する。好ましくは、余分な樹脂は収集され、含浸タンク22の中に再循環される。
【0074】
これに代えて、含浸タンクは余分な樹脂を除去するために一連のしぼりブッシングを用いる。含浸工程の間、各繊維の束は最終製品に望まれる3倍程度の量の樹脂を含む。コンポジットコア部材の断面で適当な繊維および樹脂の比率を達成するために、純粋な繊維量が算出される。設計されるしぼりブッシングは所定の百分率の樹脂を除去する。例えば、ブッシングの通路が繊維の断面積の2倍の大きさの場合、値で50%を超える濃度の樹脂はブッシングを通じて引取られず、余分な樹脂は除去される。これに代えて、ブッシングは100%の繊維および20%の樹脂の通過が可能なように設計されることもできる。
【0075】
好ましくは、再循環トレイは流出樹脂を捕捉するために含浸タンク22の下に長く延伸する。更に好ましくは、含浸タンクは流出性能を持つ補助タンクを持つ。流出樹脂は配管を通じて重力により補助タンクへ戻される。これに代えて、タンク流出は流出溝により捕捉され、重力によりタンクへ戻される。更なる代わりの態様では、工程は樹脂を補助タンクから含浸タンクの中に戻して再循環させるためにドレンポンプシステムを用いる。好ましくは、コンピュータシステムがタンク内の樹脂のレベルを制御する。検知機は低い樹脂レベルを検出し、タンクの中へ補助混合タンクから加工タンクの中へ樹脂を輸送するためにポンプを作動させる。更に好ましくは、含浸タンクの領域内に設置される混合タンクがある。樹脂は混合タンク中で混合され、樹脂含浸タンクの中へ輸送される。
【0076】
引取機はゾーン3から、Bステージゾーンであるゾーン4に繊維を引取る。ゾーン4はオーブン加工システム24を有する。好ましくは、オーブン加工システムはゾーン2のオーブンと同様の、空気の温度を制御し気流を一定に保持するコンピュータシステムを持つオーブンである。
【0077】
引取機はゾーン3からゾーン4に繊維を引取る。オーブンはプロペラ加熱システムにより下流から上流方向に環状に空気を循環させる。コンピュータシステムは含浸された(wet )繊維を加熱してBステージにするための温度に温度を制御する。好ましくは、工程は温度を決定する。本発明のBステージ温度は約93.3〜121℃(約200〜250°F)の範囲内に渡る。本発明のBステージ半硬化工程の1つの利点は、短時間、連続工程の間のほぼ1〜1.5分間に樹脂を半硬化状態まで加熱する性能である。利点は加熱工程がシステムの工程速度に影響しないことである。Bステージ工程は含浸ステージから余分な樹脂を除去することにより繊維/樹脂比の更なる調整を可能にする。更に、Bステージは工程の間に繊維/樹脂マトリクスが更に圧縮され配置されることを可能にする。従って、該工程は半硬化プリプレグを用いる従来工程とは異なる。加熱は繊維を粘着ステージまで半硬化する。
【0078】
より詳細には、従来のコンポジット加工出願では、含浸された繊維は半硬化状態まで徐々に加熱される。しかしながら半硬化状態に到達するためには、加熱工程は一般に1時間またはそれ以上の期間を必要とする。更に、コンポジットを半硬化状態に保持するため、および最終ステージに硬化するのを防ぐために、コンポジットは即座に包装および冷凍されなければならない。従って、製品を配置するためにラインから製品を取除く必要がある
ために、加工は分断される。
【0079】
本発明に従い、Bステージ加熱は高効率の商業的実用に供せられ、半硬化は工程内のラインの連続工程の間の好ましくは1〜1.5分間と急速である。好ましくは、形成および配置および製品の更なる圧縮を可能にする工程を通じて一定に保持される急速なBステージ半硬化を可能にするように樹脂は設計される。
【0080】
引取機はBステージゾーン4から、コンポジットコア部材を形成するためのゾーン5に繊維を引取る。ゾーン5は複数のブッシングを持つ続くオーブン加工システム26を有する。ブッシングは繊維トウ12の断面を形成するように機能する。好ましくは、ブッシングはお互いに平行な配置を有するように一連に配置される。本実施態様では、オーブン加工システム26の中に横方向に間隔を空けられる7枚のブッシングの集合がある。好ましくは、ブッシングの間隔は工程に従い調整される。ブッシングはお互いに等間隔にまたは異なる間隔に置かれることができる。
【0081】
ゾーン5の一連のブッシングは、厚み約0.95〜約1.9cm(約3/8〜約3/4インチ)に渡る比較的厚いブッシングなため、摩擦を最小化する。摩擦の最小化は工程速度を最大化するのを補助する。
【0082】
本発明のゾーン4,5,6は約9.1〜約14m(約30〜45フィート)の範囲内に渡る。最も好ましくは、ゾーン4,5,6は少なくとも約9.1(約30フィート)に渡る。この引取距離および厚いブッシング板による摩擦減少は、約2.7m/分〜約15m/分(約9フィート/分〜約50フィート/分)の範囲の所望の引取速度を達成するのを補助する。最も好ましくは約6.1m/分(約20フィート/分)である。高い繊維/樹脂比のため、加工速度は更に増加される。
【0083】
図3を参照すると、例えば、ブッシング90は、それを通じて繊維トウ12が引取られる複数の通路を持つ平たいスチール板を有する。平板スチールブッシング90は好ましくは工程により決定される約0.95cm〜約1.3cm(3/8インチ〜1/2インチ)に渡る厚みを有する。ブッシング90は摩擦と、繊維樹脂マトリクスの硬化をもたらすために要求される温度変化を達成するために加熱および冷却工程により加えられまたは除去されなければならない熱量とを減少するための比較的厚い壁を有する。ブッシング90の厚みは、好ましくはそれを通じる材料によりブッシング90に負荷される力を抑えるために必要な構造強度を与えるために要求される最小の厚みである。詳細には、ブッシング90の厚みは好ましくはシステムを通じる材料の引取に差支えない許容可能なレベルまでにブッシング壁の変形を制限するのに必要とされる最小値である。
【0084】
好ましくは、ブッシング90の設計および寸法は同一である。更に好ましくは、各々のブッシング90内の通路は、上流方向の連続的なブッシング90の各々の中で寸法を減少および位置を変更する。図3にはブッシング90の好適な実施態様が説明される。ブッシング90は2つのかぎ状部分94、および内側の好ましくは方形の部分92を有する。内側の方形部分92はそれを通じて引取装置が繊維を引取る通路を収容する。外側のかぎ状部分94はブッシング90をゾーン5のオーブン内に設置する支持システムを形成する。外側のかぎ状部分94はオーブン内で連結する長いスチール梁と結合して、ブッシング90を支持するために作用する。
【0085】
ゾーン5は一連の8枚の連続的なブッシングを有する。ブッシングは2つの機能、即ち、(1)最終の製品のための配置に繊維を案内すること、および(2)繊維を形成および圧縮すること、を有する。ある実施態様では、ブッシング90はかぎ状構造で支持されるオーブン内に別個に設置される。工程は繊維を混合することなく繊維の同軸および一様な
分配を達成するために適当な張力の下にあり、ブッシング90は連続的に繊維を圧縮するために機能し、この実施態様では、カーボンおよびガラスを有するコンポジットコアを形成する。ブッシング90は複数の幾何学構造の束を形成するように設計されてよい。例えば、図5にはコンポジット部材の断面の異体が説明されている。各断面は異なるブッシング90の設計から生じる。
【0086】
各々の連続的なブッシング90中の通路は寸法を減少して、更に繊維束を圧縮する。例えば、図6にはお互いの頂部で重ね合わされた各ブッシング90が示されている。各々の連続的なブッシング90での幾つかの変化は明白である。第1に、各々の重ねられたブッシング90は各通路の寸法が減少することを示す。第2に、重ね合わされた像はコア要素の圧縮のための中央孔の発生を示す。第3に、像は外側の角の通路の中央位置への移動を示す。
【0087】
図4を参照すると、図示される2枚のブッシングがある。図示される第1のブッシング100は、ガイドブッシング18と同様の配置である。第2のブッシング104はコンポジットコアを圧縮および配置するために機能する一連のブッシングの最初のものである。第1のブッシング100は、それを通じて繊維が引取られるよう予め配列される複数の通路102を持つ内側の方形部分92を有する。通路102は、4つの外側の繊維群106および4つの内側の繊維群108を持つ第2のブッシング104中で、繊維を群に整列させるように設計されている。ブッシング100の内側の方形部分は6列の通路110を有する。通路110の配列はコンポジットコア部材の所望の断面幾何学構造により任意の複数の配置に配置されてよい。頂部および底部の列、それぞれ112および114は、同一数の通路を格納する。頂部の次および底部の次の列、それぞれ116および118は、同一数の通路を格納し、内側の2列120および122は同一数の通路を格納する。
【0088】
好適な実施態様では、頂部および底部の列は各々32個の通路を格納する。次の段の列は各々31個の通路を格納する。中央の列は各々4個の通路を格納する。引取装置は各通路を通じて2本の繊維を引取る。図4を参照すると、例えば、引取装置は列112,114,116,118を通じて126本のガラス繊維を引取る。更に、引取装置は列120,122を通じて16本のカーボン繊維を引取る。
【0089】
図7を参照すると、続くブッシング130、一連の中で第3のブッシングは、4つの外側の角の通路132a,132b,132c,132dおよび4つの内側の通路134a,134b,134c,134dを持つ内側の方形部分131を有する。繊維は第2のブッシングを出て均等な部分に分配され、第3のブッシングを通じて引取られる。第3のブッシング内の各通路は第2のブッシングを通じて引取られる特定の種類の繊維の4分の1を有する。より詳細には、第2のブッシングの頂部および底部の頂部2列は半分に分割され、頂部2列の繊維の右半分は第3のブッシングの右外側の角を通じて引取られる。頂部2列の繊維の左半分は第3のブッシング130の上部左の角132aを通じて引取られる。頂部2列の繊維の右半分は第3のブッシング130の上部右の角132bを通じて引取られる。底部2列の繊維の右半分は第3のブッシングの下部右の角132cを通じて引取られる。底部2列の繊維の左半分は第3のブッシング130の下部左の角132dを通じて引取られる。第1のブッシングの内側2列は半分に分割され、中央列頂部の繊維の頂部右半分は第3のブッシング130の内側の上部右の角134bを通じて引取られる。中央列頂部の繊維の左半分は第3のブッシング130の内側の上部左の角134aを通じて引取られる。中央列下部の繊維の右半分は第3のブッシング130の内側の下部右の角134cを通じて引取られる。中央列下部の繊維の左半分は第3のブッシング130の内側の下部左の角134dを通じて引取られる。従って、第3のブッシング130は一連の続くブッシングを通じて連続的に圧縮されるであろう含浸される繊維の8つの束を形成する。
【0090】
引取機は第3のブッシング130を通じて第4のブッシング140へ繊維を引取る。第4のブッシング140は第3のブッシング130と同一の配置を有する。第4のブッシング140は4つの外側の角の通路142a,142b,142c,142dおよび4つの内側の通路144a,144b,144c,144dを持つ内側の方形部分141を有する。好ましくは、4つの外側の角の通路142a〜dおよび4つの内側の通路144a〜dは、第3のブッシング130に同様に配置される通路よりも寸法がわずかに小さい。第4のブッシング140は第3のブッシング130を通じて引取られる繊維を圧縮する。
【0091】
引取機は第4のブッシング140を通じて第5のブッシング150へ繊維を引取る。好ましくは、4つの外側の角の通路152a,152b,152c,152dおよび4つの内側の通路154a,154b,154c,154dは、第4のブッシング140に同様に配置される通路よりも寸法がわずかに小さい。第5のブッシング150は第4のブッシング140を通じて引取られる繊維を圧縮する。
【0092】
各々の連続的なブッシングのために、各々のブッシングは次第に直径を小さくする繊維の束を形成する。好ましくは、最適および所望な繊維−樹脂組成の比率に到達するために、各々のより小さなブッシングは余分な樹脂を拭い取る。
【0093】
引取機は第5のブッシング150を通じて第6のブッシング160へ繊維を引取る。好ましくは、4つの外側の角の通路162a,162b,162c,162dおよび4つの内側の通路164a,164b,164c,164dは、第5のブッシング150に同様に配置される通路よりも寸法がわずかに小さい。第6のブッシング160は第5のブッシング150を通じて引取られる繊維を圧縮する。
【0094】
第7のブッシング170は4つの外側の角の通路172a,172b,172c,172dおよび1つの内側の通路174を持つ内側の方形部分171を有する。引取機は第6のブッシング160の4つの内側の通路164から第7のブッシング170の単一の内側の通路174を通じて繊維を引取る。工程は製品を最終の一体の同軸コアに圧縮する。好ましくは、繊維は第6のブッシング160から4つの内側の通路164を圧縮するのと同時に第7のブッシング170の4つの外側の角172a,172b,172c,172dを通じて引取られる。
【0095】
引取機は第7のブッシング170を通じて第8のブッシング180へ繊維を引取る。引取機は内側の圧縮されたコア184およびコア184に近い中央に移動する外側の4つの角182a,182b,182c,182dを引取る。好ましくは、内側のコアおよび外側の角の間の距離の半分だけ、外側の繊維は距離を縮小する。
【0096】
引取機は第8のブッシング180を通じて第9のブッシング190へ繊維を引取る。第9のブッシング190はコンポジットコア形成のための最終のブッシングである。引取機は第9のブッシング190の中央の通路192を通じて4つの外側の繊維の束および圧縮されたコアを引取る。
【0097】
好ましくは、第9のブッシング190は外側部分および内側部分を圧縮して、カーボンの内側部分およびガラス繊維の外側部分を形成する。図8には例えば、コンポジットケーブルの断面が図示されている。例には、外側の強化ガラス繊維コンポジット部分204により囲まれる内側の強化カーボン繊維コンポジット部分202を持つコンポジットコア部材200が図示されている。
【0098】
温度はゾーン5を通じて一定に保持される。温度は工程により決定され、樹脂を半硬化状態に保持するために充分なだけ高い。ゾーン5の末端では、製品は最終の圧縮レベルお
よび最終の直径を有する。
【0099】
引取機はゾーン5から、好ましくはゾーン5,4,2のように一定の熱および気流を持つオーブンを有する硬化ステージのゾーン6に繊維を引取る。オーブンは、ゾーン5、ゾーン4、およびゾーン2と同様に、一定の加熱および交差循環気流を用いる。工程は硬化熱を決定する。硬化熱は硬化工程を通じ終始一定である。本発明では、硬化に好適な温度は約177℃〜約204℃(約350°F〜約400°F)に渡る。硬化工程は、好ましくは約2.4m〜約4.6m(約8〜約15フィート)の範囲内に渡る。より好ましくは、硬化工程は約3.0m(約10フィート)の長さに渡る。高温のゾーン6は最終の硬化を生じて、硬い樹脂を形成する。
【0100】
最終の繊維コンポジットコア(cor )部材がその形状を保持することを保証するために、ゾーン6は第10のブッシングを組込んでよい。加えて、別のブッシングは硬化の間のコアのブルーミング(bluming )を防ぐ。
【0101】
続くステージの間、コンポジットコア部材製品は一連の加熱および冷却段階を通じて引取られる。後硬化加熱は樹脂マトリクス内の架橋を改良して、製品の物理的特性を改良する。引取機は、冷却装置であるゾーン7へ繊維を引取る。好ましくは、オーブンの機械的な配置はゾーン2,4,5,6と同一である。より詳細には、装置は冷却装置およびブロワを用いる閉循環空気システムを有する。好ましくは、冷却装置は複数のコイルを有する。これに代えて、コイルは水平に構築される連続的な冷却要素であってもよい。更なる代わりの態様では、冷却装置は冷却スパイラルを有する。ブロワは冷却装置から上流に配置され、冷却室内で上流方向に連続的に空気を送る。空気は閉循環方向に装置を通じて循環して、終始一定温度に空気を保つ。好ましくは、冷却温度は約4.4〜約82.2℃(約40〜約180°F)からに渡る。
【0102】
引取機はゾーン7を通じて、後硬化段階であるゾーン8へコンポジット部材を引取る。コンポジットコア部材製品の機械的特性を改良するために、コンポジットコア部材は後硬化温度に加熱される。
【0103】
引取機はゾーン8を通じて、後硬化冷却段階であるゾーン9へコンポジット部材を引取る。コンポジットコアは一旦再加熱されると、引取機が圧縮されたコンポジットコアを把持する前にコンポジットコアは冷却される。好ましくは、コンポジットコア部材は引取機に到達する前に空気対流により約2.4m〜約4.6m(約8〜約15フィート)に渡る距離で冷える。最も好ましくは、冷却距離は約3.0m(約10フィート)である。
【0104】
引取機は冷却段階であるゾーン9を通じて、繊維コアが保管のためホイールの周囲に巻かれる巻取システムであるゾーン10へコンポジットコア部材を引取る。コア部材の強度にとって、屈曲により巻取が過度の応力をコアに与えないことは重要である。ある実施態様では、コアは全く撚られることなく、ある程度曲がるだけである。別の実施態様では、ホイールは約2.1m(7フィート)の直径を持ち、約2073m(6800フィート)までの完全に硬化されたコンポジットコア部材を扱う。ホイールは、緊密すぎる配置をコア部材に強いることなく、Bステージ化されたコンポジットコア部材の剛直性に適合するように設計されている。更なる実施態様では、巻取システムはホイールが巻取から巻戻しに逆転するのを防ぐ手段を有する。該手段はホイール方向が逆転するのを防ぐ任意の装置、例えば制動機システムであることができる。
【0105】
更なる実施態様では、工程はライン検査システムを有する品質管理システムを含む。品質管理工程は一貫した製品を保証する。品質管理システムは、コンポジットコア部材の超音波検査、最終製品中のトウ数の記録、樹脂品質の監視、種々の段階の間のオーブンおよ
び製品温度の監視、組成の測定、および引取工程速度の測定を含んでよい。例えば、各バッチのコンポジットコア部材は工程の最適な実行を保持するための支持データを持つ。これに代えて、品質管理システムは標識システムを有する。標識システムはコンポジットコア部材に特定ロットの製品情報を標識する。更に、コンポジットコア部材は、例えば高等級のクラスA、クラスB、クラスCのように、特定の品質に従い異なる等級に位置づけられてよい。
【0106】
コンポジットコア部材の加工に用いられる繊維は、最終のコンポジットコア部材製品により要求される設計に応じるために置換されることができる。例えば、工程はカーボンコアおよび外側のガラス繊維のコアを持つコンポジットコア部材中の繊維を高等級カーボンおよびE−ガラスで置換することを可能にする。繊維の組合せおよび要求される小さなコア寸法のため、工程はより高価でない繊維の代わりにより高価で優れる性能の繊維を用いることを可能にする。ある実施態様では、繊維の組合せは外側の低弾性非導電性絶縁層により囲まれる極小の導電性を持つ内側の高強度コアを形成する。別の実施態様では、外側の絶縁層はコンポジットコア部材の柔軟性を与え、コア部材が巻取、保管および輸送されることを可能にする。
【0107】
本発明の別の実施態様は、物理的特性の変更に適合しコンポジットコア部材の柔軟性を増加するために、コンポジットコアの断面の再設計を可能にする。再び図5を参照すると、異なるコンポジット形状はコンポジットコア部材の柔軟性を変更する。コア設計を変更することはより小さなホイール直径でコアの巻取を可能にする場合がある。さらに、コンポジットコアを変更することは内側のコアの剛直性および強度に影響する場合がある。利点のため、コアの幾何学構造は最終のACCCケーブルで所望の最適な物理的特性を達成するように設計されてよい。
【0108】
本発明の別の実施態様では、コア直径は約0.953cm(0.375インチ)より大きい。約0.953cm(0.375インチ)より大きなコアは約2.1m(7フィート)のホイール直径の巻取を達成するほど曲がることはできない。外面の曲がった形状を可能にする強度は材料の強度を超え、材料はクラックする。約1.27〜約1.59cm(1/2〜5/8インチ)のコア直径は約4.6m(15フィート)の直径のホイールを必要とし、これは工業的に実現可能でない。コンポジットコアの柔軟性を増加するために、コアは許容できる巻取直径を達成するように撚られてまたはセグメント化されてよい。360°はコアの1回転に対してコア中の繊維の配向を撚る。これに代えて、コアは撚られる繊維および真直ぐな繊維の組合せであることも可能である。撚りはホイール直径の制限により決定されてよい。制限が禁止されている場合には、ホイール直径の1回転毎に撚られる。コア中の引張および圧縮応力は1回転毎に平衡される。
【0109】
巻取の応力はセグメント化されたコアを作成することにより減少される。図5にはセグメント化されたコアの可能な断面配置の幾つかの例が示される。セグメント化されたコアは工程の下で、やがて一纏めにされる別個の部分として、部分を硬化することにより形成される。コアをセグメント化することは、約0.953cm(0.375インチ)より大きなコアを持つコンポジットコア部材製品が、部材製品に追加の応力なしで所望の巻取直径を達成することを可能にする。
【0110】
コンポジットコア部材中の断面の種々の幾何学構造は好ましくは複合的な流線として加工される。加工システムは各セグメントの平行な形成に適合するように設計されている。好ましくは、各セグメントは各通路のための所定の配置を持つブッシングと一連の連続的なブッシングを交換することにより形成される。詳細には、通路の寸法はより多いまたは少ない繊維に適合するために変更されてよく、通路の配列は最終製品中で異なる配置に繊維を組合せるのを可能にするために変更されてよく、コンポジットコア部材中の異なる幾
何学構造断面の形成を容易にするために複数の連続的なブッシング内に更なるブッシングが追加されてもよい。加工システムの末端で、5つの加工流線中の5つの部分はコンポジットケーブルコアを形成するために工程の終端で組合わせられる。これに代えて、セグメントは柔軟性を増加させ巻取を容易にするために撚られてよい。最終のコンポジットコアは軽量の高導電性アルミニウム中に巻かれてコンポジットケーブルを形成する。好ましくは、コンポジットコアケーブルは外側の絶縁ガラス繊維コンポジット層を持つ内側のカーボンコアと、アルミニウムの台形状の2層のストランドとを有する。
【0111】
ある実施態様では、内側のアルミニウム層はコンポジットコア部材の周囲に反時計回りに巻かれる複数の台形状アルミニウムセグメントを有する。各台形状部分はアルミニウム量を最適化し導電性を増加するように設計されている。台形状セグメントの幾何学構造は各セグメントがコンポジットコア部材の周囲におよび相互に密着することを可能にしている。
【0112】
更なる実施態様では、外側のアルミニウム層はコンポジットコア部材の周囲に時計回りに巻かれる複数の台形状アルミニウムセグメントを有する。反対向きの巻付は最終のケーブルの撚れを防ぐ。各々の台形状アルミニウム要素は内側のアルミニウム層の周囲に巻かれる台形状アルミニウム要素と密着している。
【0113】
コンポジット強度部材がE−ガラスおよびサイジングタイプ13のカーボンからなる本発明の詳細な実施態様を以下に記載する。E−ガラスは、優れた化学的および熱安定性の望ましい特性、および高強度と優れた電気抵抗を兼備える。断面の形状または輪郭は図8に示され、コンポジット強度部材はガラス繊維コンポジットの一体の層により包込まれた同軸カーボンコアを有する。好適な実施態様では、工程は2つの異なる材料を有するハイブリッド化されたコア部材を製作する。
【0114】
この詳細な実施態様の繊維構造はE−ガラス製品(イールド900、ヴェトロテックスアマー(Veterotex Amer))の126本の末端およびカーボン(イールド24K、トレカ(Torayca )T7DOS)の16本の末端である。用いられる樹脂はバンティコ(Vantico )のアラルダイト(Aralite )MY721である。
【0115】
作業では、E−ガラスの126本の繊維トウおよびカーボンの16本の繊維トウの末端は、32個の通路2列、内側の31個の通路2列、および最内側の4個の通路2列を有する繊維トウガイドを通じて、任意の湿分を蒸発させるために約65.6℃(150°F)の予熱ステージの中へ通される。予熱オーブンの通過後、繊維トウは含浸タンクを通じて引取られる。含浸タンク中では、装置は繊維を垂直方向上下に効果的に動かし、繊維トウの徹底的な含浸を可能にする。含浸タンクの上流側には、繊維トウがタンクから引取られるにつれて余分な樹脂を除去するワイパシステムが設置される。余分な樹脂は樹脂流出トレイにより収集され、樹脂含浸タンクへ戻し加えられる。
【0116】
繊維トウは含浸タンクから、樹脂含浸された繊維トウを粘着ステージに半硬化するBステージオーブンへ引取られる。このステージで繊維トウは更に圧縮され続く段階でその最終形体に配置されることができる。繊維トウは粘着ステージを保持するためにBステージオーブン温度で続くオーブンへ引取られる。オーブン内には、最終のコンポジットコア部材形体に繊維トウを圧縮および配置するために機能する8枚の連続的なブッシングがある。2本の繊維トウ末端は、最終のコンポジットコア部材で72%の繊維体積および28%の樹脂体積を達成するために、予め計算された寸法に加工された第1のブッシング中の134本の通路の各々を貫通して通される。頂部2列の半分を有する頂部右4分の1の通路から出ている繊維トウの末端は続くブッシングの通路132を貫通して通される。頂部2列の半分を有する頂部左4分の1の通路から出ている繊維トウの末端は続くブッシングの
通路136を貫通して通される。底部2列の半分を有する下部右4分の1の通路から出ている繊維トウの末端は続くブッシングの通路140を貫通して通される。底部2列の半分を有する下部左4分の1の通路から出ている繊維トウの末端は続くブッシングの通路138を貫通して通される。中央上部列の右4分の1および左4分の1の通路は続くブッシングの通路142および144を通じて通され、中央底部列の右4分の1および左4分の1の通路はそれぞれ通路134および146を貫通して通される。
【0117】
繊維トウは各連続するブッシングの外側および内側の通路を通じ連続的に引取られて、更に繊維束を圧縮および配置する。第7のブッシングでは、第6のブッシングの内側の4本の通路を通じて引取られる繊維束はコンポジットコアを形成するために組合わされ、一方残る外側の通路は4つのガラス繊維の束を別々に保持し続ける。第7のブッシングの4本の外側の通路は第8のブッシングでより中央に近づけられ、内側のカーボンコアにより近づけられる。繊維トウは第9のブッシングで内側のカーボンコアと組合わされて、外側のガラス層を持つ内側のカーボンコアを有するハイブリッド化されたコンポジットコア部材を形成する。
【0118】
コンポジットコア部材は第9のブッシングから、特定の樹脂により要求される約193℃(380°F)の温度に昇温された最終の硬化オーブンに引取られる。コンポジットコア部材は約65.6〜約82.2℃(150〜180°F)に冷却されるために、硬化オーブンから冷却オーブンを通じて引取られる。冷却後、好ましくは少なくともBステージ温度まで部材を加熱するために、コンポジットコア部材は後硬化オーブンを通じて引取られる。後硬化後、部材はほぼ82.2℃(180°F)にまで空気により冷却される。約1,829m(6,000フィート)の収容量を持つコア巻取ホイールにキャタピラ引取機により把持されるのに先立ち、部材は冷却される。
【0119】
本発明によるACCC強化ケーブルの実施例は以下である。内側のカーボン/エポキシ層、続くガラス繊維/エポキシ層および2層の4面体形状のアルミニウムストランドからなる4層の構成要素を有するACCC強化ケーブルに関する。強度部材は約0.953cm(約0.375インチ)の層直径を持つR099−688ガラス繊維/エポキシの外側の層により囲まれる、約0.5499cm(約0.2165インチ)の直径を持つアドバンスド・コンポジットT700Sカーボン/エポキシからなる。ガラス繊維/エポキシ層は約1.883cm(約0.7415インチ)の直径を持つ9本の台形状アルミニウムストランドの内側の層および約2.8143cm(約1.1080インチ)の直径を持つ13本の台形状アルミニウムストランドの外側の層により囲まれる。全面積はカーボンで約0.24cm(約0.037平方インチ)、ガラスで約0.48cm(約0.074平方インチ)、内側のアルミニウムで約2.03cm(約0.315平方インチ)、外側のアルミニウムで約3.37cm(約0.5226平方インチ)である。内側のカーボン強度部材の繊維−樹脂比は重量で70/30であり、外側のガラス層の繊維−樹脂比は重量で75/25である。
【0120】
詳細な設計は以下の表1に要約される。
【0121】
【表1】

【0122】
上記の設計を持つACCC強化ケーブルは以下に従い製造される。本実施例のコンポジットケーブルを形成するために用いられる工程は図1に示される。第1に、126個のスプールのガラス繊維トウ12および8個のスプールのカーボンがラックシステム14に据えられ、個々の繊維トウ12の末端は、スプール11から導いて、繊維トウガイド18を貫通して通される。繊維は繊維撚れを防ぐために接線方向の引取を経る。装置末端の引取機16は装置を通じて繊維を引取る。各分配ラック14は各スプールの張力を個別に調整するための小さな制動機を持つ。トウ12はガイド18を通じて湿分を蒸発させるための約65.6℃(150°F)の予熱オーブン20の中へ引取られる。
【0123】
トウ12は含浸タンク22の中へ引取られる。含浸タンク22は繊維トウ12を含浸するためのアラルダイトMY721/硬化剤99−023/促進剤DY070で満たされている。余分な樹脂は含浸タンク22を出る間に繊維トウ12から除去される。繊維トウ1
2は含浸タンク22からBステージオーブン24へ引取られ、約93.3℃(200°F)まで加熱される。ガイド18により別々に保持される繊維トウ12は、繊維トウ12を圧縮および配置するための複数の連続的なブッシングを有するやはり約93.3℃(200°F)の第2のBステージオーブン26の中に引取られる。第2のBステージオーブン26の中で、繊維トウ12はブッシングにより与えられる複数の通路を通じて方向付けられる。連続的な通路は繊維トウ12を最終の一体のコンポジットコア部材の中に連続的に圧縮および配置する。
【0124】
第1のブッシングは32個の通路2列、各々31個の通路の内側2列、および各々4個の通路の最も内側の2列を持つ。126本のガラス繊維トウは外側の32個および31個の通路2列を通じてそれぞれ引取られる。炭素繊維トウは各々4個の通路の内側2列を通じて引取られる。続くブッシングは頂部2列を半分に分け、その左部分は第2のブッシングの上部左かつ外側の角の通路を通じて引取られる。右部分は第2のブッシングの上部右かつ外側の角の通路を通じて引取られる。底部2列は半分に分けられ、その右部分は第2のブッシングの下部右外側の角を通じて引取られ、左部分は第2のブッシングの下部左外側の角を通じて引取られる。同様に、内側2列のカーボンは半分に分けられ、上部右の2個の通路の繊維は第2のブッシングの内側の上部右角を通じて引取られる。上部左の通路の繊維は第2のブッシングの内側の上部左角を通じて引取られる。下部右の通路の繊維は第2のブッシングの内側の下部右角を通じて引取られ、下部左の通路の繊維は第2のブッシングの内側の下部左角を通じて引取られる。
【0125】
繊維束は一連の7枚のブッシングを通じて引取られ、ハイブリッド化された一体の同軸コア部材に束を連続的に圧縮および配置する。
コンポジットコア部材は第2のBステージオーブン26から続く約166〜188℃(約330〜約370°F)のオーブン加工システム28へ引取られ、その中でコンポジットコアは硬化され、続く約−1.1℃〜約37.8℃(30〜100°F)の冷却システム30へ冷却のために引取られる。冷却後、コンポジットコアは続く約166〜188℃(約330〜約370°F)のオーブン加工システム32へ後硬化のために引取られる。引取装置は約82.2℃(約180°F)の約3.0m(10フィート)空気冷却領域を通じて製品を引取る。
【0126】
各々約0.226cm(約0.0350平方インチ)の面積を持つ、すなわちコアの全面積で約2.03cm(約0.315平方インチ)の9本の台形状のアルミニウムストランドは冷却後にコンポジットコアの周囲に巻かれる。続いて、約0.259cm(約0.0402平方インチ)の面積を持つ、すなわちコアの全面積で約3.372cm(約0.5226平方インチ)の13本の台形状のアルミニウムストランドは内側のアルミニウム層の周囲に巻かれる。
【0127】
本発明は例示および説明される構成、操作、材料または実施態様の厳密な詳細に制限されるべきでなく、本発明の範囲から逸脱することのない修正および均等は当業者であれば明確に理解するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂マトリクス中の2種類以上の強化繊維と、前記コアは少なくとも50%の繊維体積分率を有することとを有する、電気ケーブル用のコンポジットコアにおいて、
少なくとも1つの繊維は約−0.7〜約0m/m/℃の範囲の熱膨張率に加えて約151〜約255GPa(約22〜37Msi)の範囲の弾性率、および少なくとも約2413MPa(約350Ksi)の引張強度を有することと、少なくとも1つの繊維は約5×10−6m/m/℃〜約10×10−6m/m/℃の範囲の熱膨張率、および少なくとも約1241MPa(約180Ksi)の引張強度を有することとを特徴とするコンポジットコア。
【請求項2】
電気ケーブル用のコンポジットコアにおいて、
軸方向に配向されかつ充分に連続した1種類以上の強化繊維を熱硬化性樹脂マトリクス中に有し、少なくとも約1103MPa(約160Ksi)の引張強度、および約48〜約206GPa(約7〜約30Msi)の範囲の弾性率を有するコンポジットコア。
【請求項3】
電気ケーブル用のコンポジットコアにおいて、コンポジット材料を有し、少なくとも約1103MPa(約160Ksi)の引張強度および少なくとも約90℃の使用温度を有し、輸送のために少なくとも約2.1m(7フィート)の直径のホイールに巻取るのに充分な可撓性を有するコンポジットコア。
【請求項4】
電気ケーブル用のコンポジットコアにおいて、
20℃で少なくとも約200〜約1500cPの粘度範囲を有する熱硬化性樹脂中に、少なくとも約4826MPa〜約5171MPa(約700Ksi〜約750Ksi)の引張強度、および少なくとも約206GPa〜約255GPa(約30Msi〜約37Msi)の弾性率を備える高品質カーボン繊維を有する内側のコアと、
20℃で少なくとも約200〜約1500cPの粘度範囲を有する熱硬化性樹脂中に、E−ガラス繊維を有する外側のコアとを有し、
約1103〜約1655MPa(約160〜240Ksi)の範囲の引張強度、および約48〜約206GPa(約7〜約30Msi)の範囲の弾性率を有するコンポジットコア。
【請求項5】
電気ケーブル用のコンポジットコアにおいて、
カーボン繊維と、ガラス繊維を超える機械的特性を有する少なくとも一部の繊維とを熱硬化性樹脂中に含有する内側のコアと、
熱硬化性樹脂中にガラス繊維を含有する外側のコアとを有するコンポジットコア。
【請求項6】
請求項5に記載のコンポジットコアにおいて、ガラス繊維を超える機械的特性を有する前記繊維はバサルトであるコンポジットコア。
【請求項7】
請求項1,2,4のいずれか一項に記載のコンポジットコアにおいて、前記コンポジットコアの前記強化繊維の種類は、カーボン、ケブラー、バサルト、ガラス、アラミド、ボロン、液晶繊維、高性能ポリエチレンおよびカーボンナノファイバーからなる群から選択されるコンポジットコア。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンポジットコアにおいて、少なくとも約0.96MPa・m1/2(約0.87INS-lb/in )の単味樹脂破壊靭性を有する熱硬化性樹脂を含有するコンポジットコア。
【請求項9】
請求項4に記載のコンポジットコアにおいて、前記内側のコア中の少なくとも1種類の
強化繊維は、約−0.7〜約0m/m/℃の範囲の熱膨張率に加えて約151〜約255GPa(約22〜37Msi)の範囲の弾性率、および少なくとも約2413MPa(350Ksi)の範囲の引張強度を有し、前記外側のコア中の少なくとも1種類の強化繊維は、約5×10−6〜約10×10−6m/m/℃の範囲の熱膨張率に加えて少なくとも約1241MPa(約180Ksi)の範囲の引張強度を有するコンポジットコア。
【請求項10】
請求項1,2,4,5のいずれか一項に記載のコンポジットコアにおいて、少なくとも約1103MPa(160Ksi)の範囲の引張強度、少なくとも約48〜約206GPa(約7〜約30Msi)の範囲の弾性率、約90℃〜約230℃の範囲の使用温度、および少なくとも約0〜約6×10−6m/m/℃の範囲の熱膨張率を含む、最終的な前記コンポジットコアの物理的特性に適うように、前記繊維の数および種類は選択されるコンポジットコア。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンポジットコアにおいて、少なくとも約50%の範囲の繊維/樹脂体積分率を有するコンポジットコア。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンポジットコアにおいて、重量で少なくとも約62%の範囲の繊維樹脂比を有するコンポジットコア。
【請求項13】
請求項1,3,4のいずれか一項に記載のコンポジットコアにおいて、内側のカーボン/熱硬化性樹脂層および外側のガラス繊維/熱硬化性樹脂層を有するハイブリッド化された同軸コアを有するコンポジットコア。
【請求項14】
請求項4〜6のいずれか一項に記載のコンポジットコアにおいて、前記内側および外側のコアはハイブリッド化された同軸コアを形成するコンポジットコア。
【請求項15】
請求項4〜6のいずれか一項に記載のコンポジットコアにおいて、前記内側のコアおよび前記外側のコアはセグメント化された同軸コアを形成するコンポジットコア。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のコンポジットコアにおいて、複数のアルミニウムセグメントの少なくとも1つの層は前記コンポジットコアの周囲に巻かれるコンポジットコア。
【請求項17】
請求項16に記載のコンポジットコアにおいて、複数のアルミニウムセグメントの第2の層は前記コンポジットコアの周囲に巻かれるコンポジットコア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−100858(P2010−100858A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285511(P2009−285511)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【分割の表示】特願2003−587608(P2003−587608)の分割
【原出願日】平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願人】(504394560)コンポジット テクノロジー コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】COMPOSITE TECHNOLOGY CORPORATION
【Fターム(参考)】