説明

インゴット切削方法

【課題】本発明は、使用済み切削油組成物と切削粉末とを含む排油液から、簡単な操作により、高い分離効率で切削粉末を分離し且つ高い回収率で油分を回収することにより、切削油組成物の再生効率の向上を可能とするインゴット切断方法を提供する。
【解決手段】固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を用いて固定砥粒ワイヤソーにてインゴットを切断するインゴット切断方法であって、前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物は、特定のポリエーテル化合物を30〜100重量%含有し、インゴット切断方法は、インゴットを切断する切断工程と、排油液から、少なくとも前記切削粉末を除去する粉末除去工程と、排油液から少なくとも切削粉末を除去して得た残液をインゴットの切断に再使用する工程とを含む。前記粉末除去工程は、前記ポリエーテル化合物を主成分とする上層、前記水を主成分とする中間層、前記切削粉末の沈殿層(下層)とに分離する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を用いてインゴットを切削する方法、及びインゴットの切断に使用された固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、砥粒を利用してワイヤソーでシリコンインゴット等を切断するときに用いる切削油組成物として、ポリエーテル化合物を油分として含有するものが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
近年、生産性、経済性の観点から、切削油組成物を再利用することが試みられている。例えば、下記特許文献3には、遠心分離により砥粒やインゴットの切削粉末などの分散物と切削油組成物とを分離し、切削油組成物を再利用することが開示されている。
【0004】
一方、遊離砥粒ワイヤソーに代わり固定砥粒ワイヤソーを用いたシリコンインゴット等を切断する方法が知られている。この方法は、インゴットの切しろを少なくすることができるためインゴットを有効に使用することができるという利点を有する。また切削油組成物中に砥粒が混入しないことから、切削時の切削油組成物の粘度などの性状が変わりにくくウエハを安定して生産でき、かつウエハの洗浄も容易となるため、遊離砥粒ワイヤソーを用いた切断方法より有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−286693号公報
【特許文献2】特開平11−323376号公報
【特許文献3】特開平01−316170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、インゴットの切断に固定砥粒ワイヤソーを用いた場合でも、インゴットの切削粉末は切削油組成物中に混入するために、前記切削粉末の分離作業は必要である。遠心分離法では高速回転を行っても、切削粉末の分離に非常に長時間がかかる上、分離効率も悪いことから、切削油組成物の再生効率が低いことが課題となっている。この課題はシリコンウエハの生産性向上の妨げとなる。
【0007】
切削油組成物の再生効率の向上のためには、切削粉末の分離効率の向上のみならず、油分の回収率の向上も必要である。
【0008】
本発明は、使用済み切削油組成物を再生して繰り返し使用する、固定砥粒ワイヤソーを用いるインゴット切断方法であって、インゴットの切断により生じた、使用済み切削油組成物と切削粉末とを含む排油液から、簡単な操作により、高い分離効率で切削粉末を分離し且つ高い回収率で油分を回収することにより、切削油組成物の再生効率の向上を可能とするインゴット切断方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のインゴット切断方法は、
固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を用いて固定砥粒ワイヤソーにてインゴットを切断するインゴット切断方法であって、
前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物は、下記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物を30〜100重量%含有し、
R−O−(EO)m(AO)n−H (1)
(ただし、Rは炭素数が1〜24の炭化水素基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数が3又は4のオキシアルキレン基、m及びnはそれぞれEO及びAOの平均付加モル数であり、mは2〜20、nは0〜20を表す数であり、EOとAOの配列はブロックでもランダムでもよい。)
前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を用いて前記固定砥粒ワイヤソーにてインゴットを切断する切断工程と、
前記切断工程で生じた、前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物と前記インゴットの切削粉末とを含む排油液から、少なくとも前記切削粉末を除去する粉末除去工程と、
前記排油液から少なくとも前記切削粉末を除去して得た残液を固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物としてインゴットの切断に再使用するか、又は、前記残液に、前記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物及び/又は水を添加して固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を得、当該固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物をインゴットの切断に使用する工程とを含み、
前記粉末除去工程が、
前記排油液の水の含有量が28〜70重量%でない場合に前記排油液の水の含有量を28〜70重量%に調製する第1工程と、
水の含有量が28〜70重量%の排油液を、前記ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点以上の温度に加熱して、前記ポリエーテル化合物を主成分とする上層、前記水を主成分とする中間層、前記切削粉末の沈殿層(下層)とに分離する第2工程と、
前記第2工程で3層に分離された前記排油液から、少なくとも前記切削粉末の沈殿層(下層)を除去する第3工程とを含む。
【0010】
本発明の固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法は、
インゴットの切断に使用された固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法であって、
使用前の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物は、下記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物を30〜100重量%含有し、
R−O−(EO)m(AO)n−H (1)
(ただし、Rは炭素数が1〜24の炭化水素基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数が3又は4のオキシアルキレン基、m及びnはそれぞれEO及びAOの平均付加モル数であり、m=2〜20,n=0〜20を表す数であり、EOとAOの配列はブロックでもランダムでもよい。)
使用後の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物と前記インゴットの切削粉末とを含む排油液の水の含有量が28〜70重量%でない場合に、前記排油液の水の含有量を28〜70重量%に調製する第1工程と、
水の含有量が28〜70重量%の排油液を、前記ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点以上の温度に加熱して、前記ポリエーテル化合物を主成分とする上層、水を主成分とする中間層、前記切削粉末の沈殿層(下層)とに分離する第2工程と、
前記第2工程で3層に分離された前記排油液から、少なくとも前記切削粉末の沈殿層(下層)を除去する第3工程と
前記第3工程において前記排油液から少なくとも前記下層を除去して得た残液に、前記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物及び/又は水を添加して固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を得る第4工程とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、簡単な操作により高い分離効率で排油液から切削粉末を分離できるので、固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生効率が高い。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明では、使用済みの固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物(以下、「固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物」を単に「切削油組成物」と称する場合もある。)と切削粉末とを含む排油液の水分量を28〜70重量%に必要に応じて調整し、当該水分量が調整された排油液を、切削油組成物に含まれる特定のポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点以上の温度に加熱して、排油液を3層に分離し、前記3層から少なくとも切削粉末の沈殿層(下層)を除去することにより、排油液から切削粉末の除去を行う。本発明では、切削粉末と前記特定のポリエーテル化合物との分離、及び排油液からの切削粉末の分離に曇点を利用した分離方法を採用するので、切削油組成物の再生に遠心分離装置のような特別な装置が不要で経済的であり、しかも、切削粉末と前記特定のポリエーテル化合物との分離が良好に行われ、且つ、排油液からの切削粉末の分離効率が高い。故に、排油液から少なくとも前記下層を除去することにより得られ前記特定のポリエーテル化合物を含む残液を再利用すれば、効率よく切削油組成物を再生できる。
【0013】
前記切削粉末の沈殿層(下層)は、実質的に切削粉末からなるものであるが、後述のとおり、前記沈澱層は、曇点現象の発生に起因して水と前記ポリエーテル化合物のいずれにも分散しづらくなった切削粉末の沈澱により形成される層であるので、前記沈澱層には切削粉末以外に固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を構成する成分のうちの少なくとも1種の成分(例えば、水及び/又はポリエーテル化合物)が含まれていてもよい。
【0014】
(固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物)
本発明のインゴット切断方法に使用される切削油組成物は、固定砥粒ワイヤソー(以下、単に「ワイヤソー」と称する場合もある。)によるインゴットの切断後に得られる切削油組成物が付着したインゴットのスライス品の洗浄の容易化、ワイヤソーの切断性能の向上、及び切削粉末の分離効率向上の観点から、下記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物を含有する。
R−O−(EO)m(AO)n−H (1)
【0015】
前記一般式(1)中、Rは炭素数が1〜24の炭化水素基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数が3又は4のオキシアルキレン基、m及びnはそれぞれEO及びAOの平均付加モル数であり、mは2〜20、nは0〜20を表す数であり、EOとAOの配列はブロックでもランダムでもよい。一般式(1)で示される化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。
【0016】
前記一般式(1)で表わされるポリエーテル化合物は、例えば、KOH等を触媒として用い、1価アルコールやフェノールにアルキレンオキサイド化合物を付加することによって得ることができる。前記のようにして得られたポリエーテル化合物においては、該ポリエーテル化合物中のオキシエチレン基及びオキシプロピレン基の付加モル数は分布を有する。
【0017】
前記一般式(1)中の(EO)m(AO)nは、オキシエチレン基単独で構成されていてもよいが、オキシエチレン基と炭素数が3又は4のオキシアルキレン基とから構成されていてもよい。(EO)m(AO)nが、オキシエチレン基と炭素数が3又は4のオキシアルキレン基とから構成される場合、EOとAOの配列はブロックでもランダムでもよい。EOとAOの配列がブロックである場合、EOのブロックの数、POのブロックの数は、各平均付加モル数が前記範囲内にある限り、それぞれ1個であってもよいが2個以上であってもよい。また、EOからなるブロックの数が2個以上である場合、各ブロックにおけるEOの繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。POのブロックの数が2個以上である場合も、各ブロックにおけるPOの繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。
【0018】
前記一般式(1)中のAOは、炭素数が3のオキシアルキレン基(オキシプロピレン基)、又は炭素数が4のオキシアルキレン基(オキシブチレン基)であるが、AOは、前記曇点の制御が容易であるという観点からオキシプロピレン基であると好ましい。
【0019】
前記一般式(1)中のR(炭化水素基)の炭素数は、ワイヤソーの切断性能の向上、及びスライス品の洗浄の容易化の観点から、1〜24であるが、同様の観点から、3〜18であると好ましく、4〜12であるとより好ましく、切削粉末の分離効率向上及び切削油組成物の低発泡化の観点から、4〜8であるとさらに好ましく、4〜6であることがより好ましい。
【0020】
R(炭化水素基)は、脂肪族及び芳香族のいずれの基であってもよい。また、脂肪族においては、飽和及び不飽和のいずれの基であってもよく、直鎖及び分岐鎖のいずれの基であってもよい。Rはなかでも、切削粉末の分離効率向上及び切削油組成物の低発泡化の観点から、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基が好ましく、ブチル基がより好ましい。
【0021】
前記一般式(1)中のmは2〜20、nは0〜20を表す数であるが、mは、切削粉末の分離効率向上、スライス品の洗浄の容易化、及び切削油組成物の流動性の向上の観点から、2〜10であると好ましく、2〜9であるとより好ましく、3〜8であることがさらに好ましく、4〜6であることがさらにより好ましい。一方、nは、切削粉末の分離効率向上、切削油組成物の流動性の向上、及び切削油組成物の低発泡化の観点から、0〜10であると好ましく、2〜8であるとより好ましく、3〜5であることがさらに好ましい。切削粉末の分離効率向上、スライス品の洗浄の容易化、及び切削油組成物の流動性の向上の観点から、m+nは、4〜20であると好ましく、4〜18であるとより好ましく、8〜10であることがさらに好ましい。切削粉末の分離効率向上及びスライス品の洗浄の容易化の観点から、関係式m≧n>0が満たされていると好ましい。すなわち、本発明では、切削粉末の分離効率向上、スライス品の洗浄の容易化、及び切削油組成物の流動性の向上の観点から、前記一般式(1)中のmは2〜9、nは2〜8、m+nは4〜18、関係式m≧n>0が満たされていると好ましく、前記一般式(1)中のmは3〜8、nは3〜5、m+nは8〜10、関係式m≧n>0が満たされているとより好ましい。
【0022】
また、本発明では、ワイヤソーの切断性能の向上、スライス品の洗浄の容易化、切削粉末の分離効率向上、及び前記曇点の制御の容易化の観点から、Rが炭素数4〜12の炭化水素基であり、関係式m≧n>0を満たし、かつ、AOがオキシプロピレン基であると好ましく、ワイヤソーの切断性能の向上、スライス品の洗浄の容易化、切削粉末の分離効率向上、前記曇点の制御の容易化、及び切削油組成物の低発泡化の観点から、Rが炭素数4〜8の炭化水素基であり、関係式m≧n>0を満たし、かつ、AOがオキシプロピレン基であるとより好ましく、同様の観点から、Rが炭素数4〜6の炭化水素基であり、関係式m≧n>0を満たし、かつ、AOがオキシプロピレン基であるとさらに好ましい。
【0023】
切削油組成物における前記ポリエーテル化合物の含有量は、切削粉末の分離効率向上、前記ポリエーテル化合物の回収率の向上、スライス品の洗浄の容易化、及びワイヤソーの切断性能の向上の観点から、30〜100重量%であるが、同様の観点から、30〜70重量%であると好ましく、30〜50重量%であるとより好ましい。
【0024】
前記切削油組成物は、ワイヤソーによるインゴットの切断時の条件に応じて、水を含有していてもよい。前記切削油組成物が水を含む場合、ワイヤソーによる切断時に切削油組成物は冷却効果を発揮できる。
【0025】
前記切削油組成物が水を含む場合、水の含有量は、切削油組成物の潤滑性向上の観点から70重量%以下であると好ましい。ワイヤソーの切断性能の向上の観点から、切削油組成物による冷却効果は高いと好ましく、水の含有量は、冷却効果の向上の観点から、28重量%以上であると好ましく、30重量%以上であるとより好ましく、50重量%以上であるとさらに好ましい。よって、切削油組成物における水の含有量は、28〜70重量%であると好ましく、30〜70重量%であるとより好ましく、50から700重量%であるとさらに好ましい。
【0026】
前記切削油組成物に含まれる水には、例えば、超純水、純水、イオン交換水、又は蒸留水等を用いることができるが、超純水、純水、又はイオン交換水が好ましく、超純水がより好ましく使用される。なお、純水及び超純水は、例えば、水道水を活性炭に通し、イオン交換処理し、さらに蒸留したものを、必要に応じて所定の紫外線殺菌灯を照射、又はフィルターに通すことにより得ることができる。例えば、25℃での電気伝導率は、多くの場合、純水で1μS/cm以下であり、超純水で0.1μS/cm以下を示す。
【0027】
前記切削油組成物は、必要に応じて、炭化水素化合物、難水溶性のアルキルエステル類及び難水溶性のアルキルケトン類から選ばれた1種以上の化合物を含有できる。これらの化合物を含有することにより、切削油組成物の潤滑性が向上する。
【0028】
前記炭化水素化合物としては、例えば、ウエハを洗浄する際の温度において液状である炭素数6〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和結合を有するパラフィン類および/またはオレフィン類、或いはウエハを洗浄する際の温度において液状である芳香族および/又は脂肪族を含む炭化水素化合物が挙げられる。
【0029】
前記アルキルエステル類としては、例えば、ウエハを洗浄する際の温度において液状である炭素数6〜40の、モノエステル、ジエステル、トリエステル類が挙げられる。中でも炭素数6〜18の高級脂肪酸と炭素数2〜8のジオール又はトリオールとのエステル;炭素数1〜18の高級アルコールと炭素数2〜8のジカルボン酸又はトリカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0030】
前記アルキルケトン類としては、炭素数6〜40のジアルキルケトンが好ましい。
【0031】
前記炭化水素化合物、難水溶性のアルキルエステル類及び難水溶性のアルキルケトン類は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】
前記切削油組成物には、さらに、任意に、増粘剤、分散剤、防錆剤、キレート剤、塩基性物質、他の界面活性剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0033】
前記切削油組成物には、前記ポリエーテル化合物などの各種成分の媒体として、水溶性の有機化合物が含まれていてもよい。
【0034】
(切削油組成物の調製方法)
前記切削油組成物の調製方法は、何ら制限されず、前記ポリエーテル化合物、及び、必要に応じて水、さらには任意成分を混合することによって調製できる。
【0035】
(インゴット切断方法)
本発明のインゴット切断方法は、切削油組成物を用いて固定砥粒ワイヤソーにてインゴットを切断する切断工程の後に、インゴットの切断に使用された切削油組成物とインゴットの切削粉末とを含む排油液から少なくとも切削粉末を除去して残液を得る粉末除去工程と、当該残液を切削油組成物としてインゴットの切断に再使用する工程、又は、前記残液にポリエーテル化合物及び/又は水を添加して切削油組成物を得、当該切削油組成物をインゴットの切断に使用する工程を含む。
【0036】
本発明のインゴット切断方法では、切削粉末の除去を、ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点よりも高い温度に排油液を加熱した時に生じる、ポリエーテル化合物と水との分離現象を利用して行うので、簡単な操作、且つ高い分離効率で、排油液から少なくとも切削粉末を分離できる。切削時にできる切削粉末はポリエーテル化合物と水とを含む混合液には分散してしまうため、前記混合液からの切削粉末の分離効率は悪い。しかし、曇点現象を利用して前記混合液を油層と水層に分離した場合、切削粉末は油層及び水層のいずれにも分散し難くなり沈殿層を形成するため、この沈殿層の分離により、切削粉末を高い分離効率で排油液から分離できる。故に、本発明のインゴット切断方法は、切削油組成物の再生効率が高く、ウエハの生産性向上に寄与し得、経済的且つ環境に優しい。
【0037】
(切断工程)
切断工程では、インゴットを固定砥粒ワイヤソー(以下、「ワイヤソー」と略称する場合もある。)で切断する。インゴットの切断に用いられるワイヤソー装置について特に制限はなく、従来から公知の装置を用いて行える。ワイヤソーについても、特に制限はなく、例えば、鉄又は鉄合金を主成分とするピアノ線にダイヤモンドやSiCからなる砥粒をニッケルや銅・クロムによるメッキにて固着させるか、又は樹脂接着材によって固着させたもの等が挙げられる。
【0038】
インゴットの切断は、前記切削油組成物を、ワイヤソーと、インゴットの切断部位又はインゴット全体に供給しながら、ワイヤソーをシリコンインゴットに押し付けながら高速で移動走行させることによって行える。
【0039】
ワイヤソーは、例えば、ワイヤソー供給リールから供給され、メインローラー上に設けられた所定間隔の溝に巻きつけ配列される。ワイヤソーはメインローラーを所定の回転速度で回転させることによって走行移動させることができ、通常、400〜1000m/min程度となるように高速に走行移動される。尚、ワイヤソー装置は、一本のワイヤーによって切断加工を行うシングルタイプであってもよい。
【0040】
インゴットの切断により生じた排油液は、使用済みの切削油組成物と切削粉末とを含み、例えば、ワイヤソー装置が有するディップ槽内に一時貯留される。
【0041】
(粉末除去工程)
前記切削粉末の除去は、前記排油液の水の含有量を所定量に調整する第1工程と、前記第1工程で調整された排油液を、上層、中間層、下層の3層に分離する第2工程と、前記第2工程で3層に分離された排油液から、少なくとも切削粉末の沈殿層(下層)を除去する第3工程とを含む。
【0042】
(第1工程)
第1工程では、後述する第2工程における排油液の3層への分離を可能とする観点から、排油液の水の含有量を28〜70重量%に調整するが、切削粉末の分離効率向上の観点から、前記排油液の水の含有量は28〜50重量%であると好ましい。
【0043】
尚、調整前の前記排油液の水の含有量が、28〜70重量%の範囲内の何れかの量であれば、水の添加は必ずしも行わなくてもよいが、水は70重量%を超えない限り添加してもよい。
【0044】
(第2工程)
第2工程では、まず、水の含有量が28〜70重量%の排油液を、前記ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点以上の温度に加熱する。その後、排油液を放置すると、排油液は、前記ポリエーテル化合物を主成分とする上層、水を主成分とする中間層、切削粉末の沈殿層(下層)とに分離する。ここで、主成分とは、層を構成する構成成分中で最も含有量が多い成分を意味する。
【0045】
前記ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点(℃)は、ポリエーテル化合物を10重量%濃度で含む水溶液の温度を上げていったとき、当該水溶液が白濁し始める温度のことである。水溶液の温度が上昇して水分子の運動が活発になると、液中のポリエーテル化合物の親水基部分と水分子との水素結合が切れて、ポリエーテル化合物は水に対する溶解性を失う。故に、前記ポリエーテル化合物を含む排油液を、前記ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点以上の温度に加熱した後、放置すれば、水よりも比重が小さい前記ポリエーテル化合物は水よりも上側に移動し、水よりも比重が大きい切削粉末は沈降するので、排油液は3層に分離する。
【0046】
前記曇点は、ワイヤソーの切断性能の向上、及び切削粉末の分離効率向上の観点から、30℃以上であると好ましく、50℃以上であるとさらに好ましい。
【0047】
前記ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点が50℃以上である場合、切削粉末の分離効率向上の観点から、前記第2工程において、排油液をポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点よりも5〜20℃高い温度(分離温度)に加熱すると好ましく、15〜20℃高い温度に加熱するとより好ましい。
【0048】
前記第2工程において、切削粉末の分離効率向上の観点から、排油液は、加熱前及び/又は加熱中に撹拌されることが好ましい。
【0049】
(第3工程)
第3工程では、第2工程で3層に分離された排油液から、少なくとも切削粉末の沈殿層(下層)を除去するが、切削粉末の分離効率向上の観点から、3層に分離された排油液から、下層と、水を主成分とする中間層との双方を除去してもよい。
【0050】
(残液の再使用)
排油液から少なくとも切削粉末を除去して得た残液は、前記ポリエーテル化合物の濃度が30重量%以上であれば、そのまま切削油組成物としてインゴットの切断に再使用してもよい。また、前記ポリエーテル化合物の濃度が30量%以上である限り、前記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物及び/又は水の添加によりポリエーテル化合物の濃度の調製を行ってからインゴットの切断に使用してもよい。また、残液中のポリエーテル化合物が30重量%未満である場合、前記残液に、前記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物及び/又は水を添加して切削油組成物を得、当該切削油組成物をインゴットの切断に使用してもよい。
【0051】
前記残液への前記ポリエーテル化合物及び/又は水の添加量は、残液中の前記ポリエーテル化合物の含有量及び水の含有量等を測定し、当該測定結果に基づき決定することが好ましい。又は、前記切削工程及び前記粉末除去工程に伴う前記ポリエーテル化合物の減少量及び水の減少量を各々予め見積っておき、当該減少量と同量の前記ポリエーテル化合物及び/又は水が、1つのスライス品又は複数のスライス品の形成により得られる排油液又は残液に補給されるようにしてもよい。
【実施例】
【0052】
1.切削油組成物の調製
表1に記載の組成(重量%)となるように各成分を配合及び混合することにより、実施例1〜8及び比較例1〜7の切削油組成物を得た。
【0053】
(曇点の測定)
(1)ポリエーテル化合物の濃度が10重量%である水溶液を調整し、これを100ccの試験管に50cm3入れる。
(2)水浴槽に前記試験管を入れ、ガラス棒状の温度計を用いて手動で調製液を攪拌しながら、調製液の温度を室温から2℃/minの速度で上げる。
(3)攪拌しても濁りが消えない状態になったところで調製液の温度を読み取る。
(4)試験管を水浴槽から取り出し、25℃の雰囲気下で攪拌しながら、温度を室温まで徐々に下げる。
(5)(2)〜(4)を2回繰り返し、(3)で読み取った温度の平均値を曇点とする。
【0054】
以下のとおり、切削粉末の分離効率(粉末分離効率)、油分回収率を計算した。
【0055】
[実施例1〜6について]
分液ロート中で、実施例1〜6の切削油組成物(200g)の各々に、シリコンウエハ切削粉末モデル(Silicon dioxide:S5631 sigma-aldrich社製)2gを添加して攪拌することにより試験用排油液を調製した後、分離温度(実施例1〜4、6は70℃、実施例5は50℃)まで試験用排油液の温度を上昇させ、その後1時間放置した。1時間放置後、試験用排油液が、上層(油層)、中間層(水層)、下層(沈殿層)の3層に分層することを確認した。
【0056】
下層を試験用排油液から除去し、粉末分離効率を下記(A式)より算出した。
粉末分離効率(%)={下層を多量の水で洗浄した後、乾燥して得た切削粉末量(g)/切削油組成物に添加した切削粉末量(g)}×100%(A式)
【0057】
油分回収率は、上層と中間層の水分量の合計をカールフィッシャー法で測定し、得られた値を用いて下記(B式)より算出した。尚、その際、上層または中層中に存在し得る切削粉末量は微量であるため無視することとした。
【0058】
油分回収率(%)=〔{(上層の重量(g)+中間層の重量(g))−(上層中の水分量(g)+中間層中の水分量(g))}/配合油分量(g)〕×100%(B式)
【0059】
[実施例7について]
実施例1の場合と同様にして試験用排油液の分層を行った後、下層と中間層の両方を試験用排油液から除去し、その中の切削粉末量、及び上層の水分量を測定し、下記(C式)より粉末分離効率を、下記(D式)より油分回収率を計算した。
【0060】
粉末分離効率(%)={下層及び中間層を多量の水で洗浄した後、乾燥して得た切削粉末量(g)/切削油組成物に添加した切削粉末量(g)}×100%(C式)
【0061】
油分回収率(%)={(上層の重量(g)−上層の水分量(g))/配合油分量(g)}×100%(D式)
【0062】
[実施例8について]
分液ロート中で、実施例8の切削油組成物(200g)に、シリコンウエハ切削粉末モデル(Silicon dioxide:S5631 sigma-aldrich社製)2gを添加して攪拌することにより試験用排油液を調製した後、切削油組成物100重量部に対して50重量部の水を添加してさらに攪拌して、油分の含有量が67重量%に調製された試験用排油液を得た。その後、分離温度(70℃)まで試験用排油液の温度を上昇させた後、1時間放置して分層させ、実施例1と同様にして、粉末分離効率を前記(A式)から、油分回収率を前記(B式)から計算した。
【0063】
[比較例1について]
分液ロート中で、比較例1の切削油組成物(200g)に、シリコンウエハ切削粉末モデル(Silicon dioxide:S5631 sigma-aldrich社製)2gを添加して攪拌することにより試験用排油液を調製した後、30℃まで試験用排油液の温度を上昇させ、その後1時間放置して分層させ、実施例1と同様にして、粉末分離効率を前記(A式)から算出した。尚、下層(沈殿層)は存在したが、下層の上にある液層(上澄み層)が、油層(上層)と水層(中間層)とに分層しなかったので、油分回収率は下記(E式)から算出した。
【0064】
分層しない場合の油分回収率(%)={(上澄み層の重量(g)−上澄み層の水分量(g))/配合油分量(g)}×100%(E式)
【0065】
[比較例2について]
分液ロート中で、比較例2の切削油組成物(200g)に、シリコンウエハ切削粉末モデル(Silicon dioxide:S5631 sigma-aldrich社製)2gを添加して攪拌することにより試験用排油液を調製した。遠心分離機(3K30C:クボタ社製)を用いて、3,000rpm、5時間、30℃の条件で、試験用排油液の分離を行い、下層(沈殿層)を除去した。粉末分離効率は前記(A式)から、油分回収率は前記(E式)から算出した。尚、上澄み層は、油層(上層)と水層(中間層)とに分離しなかった。
【0066】
[比較例3〜7について]
実施例1と同様して、粉末分離効率を(A式)から、油分回収率を前記(B式)から算出した。尚、比較例5〜7の切削油組成物では、下層(沈殿層)は存在したが、上澄み層は油層(上層)と水層(中間層)とに分離しなかったので、油分回収率は前記(E式)から算出した。
【0067】
また、下記基準により粉末分離効率、油分回収率の良否を相対評価した。
(粉末分離効率の評価基準)
A:90%以上
B:80%以上90%未満
C:70%以上80%未満
D:70%未満
(油分回収率の評価基準)
A:90%以上
B:80%以上90%未満
C:70%以上80%未満
D:70%未満
【0068】
【表1】

【0069】
表1に示されるように、実施例1〜8の切削油組成物と切削粉末とを含み、水の含有量が28〜70重量%の排油液を、切削油組成物に含まれるポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点以上の温度に加熱して、排油液を、上層と中間層と下層とに分離すれば、下層の除去により排油液から高い分離効率で切削粉末を除去でき、下層及び中間層の除去により排油液からさらに高い分離効率で切削粉末を除去できる。また、曇点現象を利用して排油液を上層と中間層と下層とに分離すると切削粉末と前記ポリエーテル化合物との分離が良好に行われるので、排油液からの下層の除去の結果、高い回収率でポリエーテル化合物を回収できる。
【0070】
表1中の各成分の詳細は下記のとおりである。
(1)C4−O−(EO)5(PO)4−H(重量平均分子量526)
(2)C4−O−(EO)9(PO)7−H((花王社製;重量平均分子量876)
(3)C12−O−(EO)2.5(PO)2.5−H
(花王社製;重量平均分子量441)
(4)C6−O−(EO)2−H
(花王社製;重量平均分子量190)
(5)ポリエチレングリコール
(花王社製;重量平均分子量300)
【0071】
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を下記の条件で適用して得たクロマトグラム中のピークに基づいて算出した値である。
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー株式会社)
溶離液:(0.2Mリン酸バッファー)/(CH3CN)=9/1(容量比)
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI検出器
標準物質:ポリスチレン
【0072】
前記(1)の物質の製造方法は以下のとおりである。オートクレーブにブタノール74.1g(1モル)及びKOH(触媒)0.30g(0.4重量%)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、ブタノールを攪拌しながらオートクレーブ内の温度を130℃に昇温した。エチレンオキサイド220g(5モル)を3.5kg/cm2の圧力でオートクレーブ中に導入し、前記圧力が低下して一定になるまでブタノールとエチレンオキサイドとを反応させた後、オートクレーブ内の温度を120℃まで下げた。次いで、プロピレンオキサイド232g(4モル)を3.5kg/cm2の圧力でオートクレーブ中に導入した。前記圧力が低下して一定になるまでブタノールとプロピレンオキサイドとを反応させた後、オートクレーブ内の温度を室温まで低下させて、上記(1)の物質を約520g得た。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、簡単な操作により、使用済み切削油組成物と切削粉末とを含む排油液から高い分離効率で切削粉末を分離でき且つ高い回収率で油分を回収できるので、切削油組成物の再生効率がよい。よって、本発明は、ウエハの生産性の向上に寄与し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を用いて固定砥粒ワイヤソーにてインゴットを切断するインゴット切断方法であって、
前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物は、下記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物を30〜100重量%含有し、
R−O−(EO)m(AO)n−H (1)
(ただし、Rは炭素数が1〜24の炭化水素基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数が3又は4のオキシアルキレン基、m及びnはそれぞれEO及びAOの平均付加モル数であり、mは2〜20、nは0〜20を表す数であり、EOとAOの配列はブロックでもランダムでもよい。)
前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を用いて前記固定砥粒ワイヤソーにてインゴットを切断する切断工程と、
前記切断工程で生じた、前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物と前記インゴットの切削粉末とを含む排油液から、少なくとも前記切削粉末を除去する粉末除去工程と、
前記排油液から少なくとも前記切削粉末を除去して得た残液を固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物としてインゴットの切断に再使用するか、又は、前記残液に、前記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物及び/又は水を添加して固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を得、当該固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物をインゴットの切断に使用する工程とを含み、
前記粉末除去工程が、
前記排油液の水の含有量が28〜70重量%でない場合に前記排油液の水の含有量を28〜70重量%に調製する第1工程と、
水の含有量が28〜70重量%の排油液を、前記ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点以上の温度に加熱して、前記ポリエーテル化合物を主成分とする上層、前記水を主成分とする中間層、前記切削粉末の沈殿層(下層)とに分離する第2工程と、
前記第2工程で3層に分離された前記排油液から、少なくとも前記切削粉末の沈殿層(下層)を除去する第3工程とを含む、インゴット切断方法。
【請求項2】
前記下記一般式(1)において、Rが炭素数4〜12の炭化水素基であり、関係式m≧n>0を満たし、AOがオキシプロピレン基(PO)である、請求項1に記載のインゴット切断方法。
【請求項3】
前記ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点が50℃以上であり、
前記第2工程において、前記排油液を、前記ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点よりも5〜20℃高い温度に加熱する、請求項1又は2に記載のインゴット切断方法。
【請求項4】
インゴットの切断に使用された固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法であって、
使用前の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物は、下記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物を30〜100重量%含有し、
R−O−(EO)m(AO)n−H (1)
(ただし、Rは炭素数が1〜24の炭化水素基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数が3又は4のオキシアルキレン基、m及びnはそれぞれEO及びAOの平均付加モル数であり、m=2〜20,n=0〜20を表す数であり、EOとAOの配列はブロックでもランダムでもよい。)
使用後の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物と前記インゴットの切削粉末とを含む排油液の水の含有量が28〜70重量%でない場合に、前記排油液の水の含有量を28〜70重量%に調製する第1工程と、
水の含有量が28〜70重量%の排油液を、前記ポリエーテル化合物の10重量%水溶液を用いて測定される曇点以上の温度に加熱して、前記ポリエーテル化合物を主成分とする上層、水を主成分とする中間層、前記切削粉末の沈殿層(下層)とに分離する第2工程と、
前記第2工程で3層に分離された前記排油液から、少なくとも前記切削粉末の沈殿層(下層)を除去する第3工程と
前記第3工程において前記排油液から少なくとも前記下層を除去して得た残液に、前記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物及び/又は水を添加して固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を得る第4工程とを含む、固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。

【公開番号】特開2011−230275(P2011−230275A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105580(P2010−105580)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】