説明

インバータ装置の地絡検出回路

【課題】 安価で省スペースの地絡検出回路を提供する。
【解決手段】 本発明のインバータ装置の地絡検出回路は、プリント基板4に設けた電力供給用の配線パターン2を有するもので、このプリント基板4に設けた1対の平行な配線パターンと、配線パターン2の近傍に設けたホールIC1とを有し、平行な配線パターンに流れる往復電流によって発生する磁束を検知するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置等の地絡を検出する地絡検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインバータ装置の地絡検出回路として、零相電流検出器を用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。
図4は、インバータ装置に適用された従来の地絡検出回路である。図4において、5はインバータ装置であり、51の整流部、52のインバータ部からなる。6はモータ、7は地絡を検出する零相電流検出器である。8は地絡を示す地絡線である。
零相電流検出器7は、図5のブロック図に示すように、ホール素子71、コア75、巻線76、安定化電源72および増幅器73からなる。
この地絡検出回路は次のように動作する。先ず、インバータ装置5は整流部51で整流された電力をインバータ部52で電力変換しモータ6を駆動する。このとき地絡がない場合、整流部51からの直流電流Ia、Ibは等しい。したがって、ホール素子71は何も検出せず増幅器73の出力はゼロである。すなわち、零相電流検出器7は動作しない。一方、地絡が発生した場合、地絡線8の回路となり直流電流Ia、Ibは異なる。そうすると、ホール素子71はコア75に発生した磁界を検出し増幅器73に出力が現れる。そしてこの零相電流検出器の出力は図示しない保護装置を作動させる。
【特許文献1】特開平07−140191(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の地絡検出回路は、零相電流検出器を用いるので、高価であり、また、スペースも大きくなるという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、安価で省スペースの地絡検出回路提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するため、本発明は、プリント基板に設けた電力供給用の配線パターンを有するインバータ装置の地絡検出回路において、前記プリント基板に設けた1対の平行なパターンと、前記パターンの近傍に設けたホールICとを有し、前記平行なパターンに流れる往復電流によって発生する磁束を検知するものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明によると、往復電流が流れる一対の平行配線パターンとその近傍にホールICを設けたので、地絡を検出することができ、安価で省スペースの地絡検出回路を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明の実施例を示す地絡検出回路の側断面図である。図において、1はホールIC、21、22は往復電流が流れる平行な配線パターンである。31、32は配線パターン21,22を流れる電流により発生する磁束、4はプリント基板である。
ホールIC1は、図2に示すブロック図のように、ホール素子11、安定化電源12、増幅器13およびシュミットトリガ14からなる。
つぎに、動作について説明する。
地絡がない場合は、配線パターン21,22に流れる電流Ia、Ib(図4)の大きさは等しいので、それぞれの電流による磁束31、32の大きさも等しく、向きは反対になるので、二つの磁束が打ち消されるためホールIC1周辺の磁束は小さい。いま、異常が発生して、配線パターン21,22に地絡電流が流れると、Ia、Ibの大きさは異なる。そうすると、磁束31、32の差が大きくなるので、ホールIC1周辺の磁束は大きくなる。ホール素子11は、この磁束を感知して増幅器13およびシュミットトリガ14に信号を送り出力を発生する。ホールICの特性は、図3のようになるので、ホールIC1の出力により地絡を検出できる。そして、このホールIC1の出力は、従来と同じく図示しない保護装置を作動させる。
本発明が特許文献1と異なる部分は、零相電流検出器を平行な配線パターンとホールICで構成したことである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例を示す地絡検出回路の側断面図
【図2】本発明の地絡検出回路に用いたホールICのブロック図
【図3】本発明の地絡検出回路に用いたホールICの特性図
【図4】従来の地絡検出回路を用いたインバータ装置のブロック図
【図5】図4の地絡検出回路を示すブロック図
【符号の説明】
【0009】
1 ホールIC
11、71 ホール素子
12、72 安定化電源
13、73 増幅器
14 シュミットトリガ
21、22 配線パターン
31、32 磁束
4 プリント基板
5 インバータ装置
51 整流部
52 インバータ部
6 モータ
7 零相電流検出器
75 コア
76 巻線
8 地絡線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に設けた電力供給用の配線パターンを有するインバータ装置の地絡検出回路において、
前記プリント基板に設けた1対の平行なパターンと、前記配線パターンの近傍に設けたホールICとを有し、前記平行なパターンに流れる往復電流によって発生する磁束を検知することを特徴とするインバータ装置の地絡検出回路。
【請求項2】
前記ホールICは、ホール素子、安定化電源、増幅器およびシュミットトリガの回路からなることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置の地絡検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−170677(P2006−170677A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360729(P2004−360729)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】