説明

ウェハ処理装置、ウェハ処理方法及びハンドリングアーム

【課題】ウェハの受け渡し時におけるチャック機構の吸着不良を低減する。
【解決手段】ハンドリングユニットのウェハ保持面18は、断面がL字状の金属板で円弧に沿ったC字状に形成されている。ウェハ保持面18はウェハ16の外周を囲む大きさとされ、平面部18Fでウェハ16の下面を保持している。平面部18Fの外周部には、ウェハ16の平面部18Fからの高さより高い寸法で立上り部18Hが立ち上げられ、立上り部18Hでウェハ16の外周を囲んでいる。ウェハ保持面18の一部は切り欠かれ、切り欠き部を利用して、後述するシャトル24の軸部38を側方から囲むことができる。ウェハ保持面18の平面部18Fには、平面部18Fから突出された2本の固定ピン28と、平面部18Fからの突出高さが固定ピン28より高い1本の固定ピン30が周方向に間隔を開けて突設されており、ウェハ16の下面との接触部とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハ処理装置、ウェハ処理方法及びハンドリングアームに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハの製造段階においては、幾つもの加工ステップが順次実行される。これらの加工ステップの多くで、保持面でウェハを保持するハンドリングアームと、ウェハ吸着面でウェハを吸着保持するチャック機構との間で、ウェハの受け渡しが行われている。
【0003】
しかし、ウェハに反りがある場合、ハンドリングアームとチャック機構でのウェハの受け渡しにおいて、チャック機構での吸着不良による受け渡しミスが発生する場合がある。この吸着不良は、近年、サファイアウェハの裏面に不透明なポリシリコン層を備えたSOSウェハや、サファイアウェハの裏面に石英層を備えたSOQウェハなど、重くて反りの生じやすいウェハが製造されるようになり、増加している。
【0004】
ハンドリングアームとチャック機構の構成に関しては特許文献1、2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−83182号公報
【特許文献2】特開平5−326386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実に鑑み、ウェハの受け渡し時におけるチャック機構の吸着不良を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係るウェハ処理装置は、ウェハ保持面を備えたハンドリングアームと、前記ウェハ保持面と平行に設けられたウェハ吸着面で、前記ハンドリングアームから前記ウェハを受け取るチャック機構と、を備えたウェハ処理装置であって、前記ハンドリングアームは、前記ウェハ保持面上に保持される前記ウェハを前記ウェハ吸着面に対して傾斜させる傾斜機構を備えていることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、ハンドリングアームは、ウェハ吸着面と平行に設けられたウェハ保持面を有し、ウェハ保持面に備えられた傾斜機構で、ウェハ保持面上のウェハをウェハ吸着面に対して傾斜させて保持する。
【0009】
これにより、ウェハをウェハ吸着面に対して傾斜させた状態で、ハンドリングアームとチャック機構との間でウェハの受け渡しを開始することができるので、ウェハを吸着するウェハ吸着面の端部が傾斜したウェハと先に当接し、続いて残りのウェハ吸着面が順次ウェハと当接される。
この結果、ウェハに反りがあっても、ウェハの受け渡し時におけるチャック機構の吸着不良を低減することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のウェハ処理装置において、前記傾斜機構は、前記ウェハ保持面の表面よりもウェハ側に突出された少なくともひとつの突出部を有することを特徴としている。
【0011】
即ち、ウェハ保持面の表面よりもウェハ側に突出された少なくともひとつの突出部により、ウェハをウェハ保持面に対して傾斜させている。
これにより、ウェハをウェハ保持面に対して傾斜させた状態で、ハンドリングアームとチャック機構との間でウェハの受け渡しを開始することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のウェハ処理装置において、前記突出部は、前記ウェハ保持面からの突出高さが変更可能とされていることを特徴としている。
【0013】
即ち、突出部の、ウェハ保持面からの突出高さを変更して、ウェハのウェハ保持面に対する傾斜角度を変更できる。
これにより、ウェハの受け渡し時におけるウェハと、ウェハ吸着面との受け渡し角度を変更できる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のウェハ処理装置において、前記ハンドリングアーム及び前記チャック機構は、前記ウェハ保持面に対する垂直方向の移動が可能であることを特徴としている。
これにより、ハンドリングアームとチャック機構を、ウェハ保持面に対して垂直方向に相対移動させることができる。このウェハ保持面に対する垂直方向の相対移動を利用して、ウェハをハンドリングアームとチャック機構の間で受け渡すことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明に係るウェハ処理装置は、上下方向の端部でウェハを吸着保持するチャック機構を備え、前記ウェハを搬送するために受け渡し場所間を移動する搬送手段と、上向きのウェハ保持面で前記ウェハの周縁部を保持して搬送するハンドリングアームと、前記ウェハ保持面に設けられ前記ウェハを前記ウェハ保持面に対して傾斜させる傾斜機構と、を備え、いずれかの前記受け渡し場所で、前記ハンドリングアームと前記チャック機構との上下方向の相対移動に伴って、前記ウェハの受け渡しを行うハンドリングユニットと、を有することを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、搬送手段がウェハを吸着保持するチャック機構を備え、ウェハを搬送するために受け渡し場所間を移動する。また、ハンドリングユニットが、ハンドリングアームのウェハ保持面でウェハを保持して搬送し、受け渡し場所で、搬送手段との間でウェハの受け渡しを行う。このとき、ウェハ保持面には、ウェハを水平面に対して傾斜させる傾斜機構が設けられている。
【0017】
これにより、ウェハを傾斜させた状態で受け渡しが開始されるので、ウェハに反りがあっても、チャック機構のウェハを吸着するウェハ吸着面の端部が、傾斜したウェハと先に当接し、続いて残りのウェハ吸着面が順次ウェハと当接される。
この結果、ウェハの受け渡し時におけるチャック機構の吸着不良を低減できる。
【0018】
請求項6に記載の発明に係るウェハ処理方法は、ハンドリングアームに備えられたウェハ保持面に搭載されたウェハを、チャック機構に備えられたウェハ吸着面に受け渡すウェハ処理方法において、前記ウェハ保持面から前記ウェハ吸着面への前記ウェハの受け渡しの際に、前記ウェハを前記ウェハ吸着面の端部から順次吸着させることを特徴としている。
【0019】
これにより、ウェハ保持面からウェハ吸着面へのウェハの受け渡しが、ウェハ吸着面の端部から開始され、順次ウェハの全体を吸着させる。
この結果、ウェハの受け渡し時におけるチャック機構の吸着不良を低減できる。
【0020】
請求項7に記載の発明に係るウェハ処理方法は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のウェハ処理装置を用いたウェハ処理方法であって、前記ウェハ保持面に保持されたウェハを、前記ウェハ吸着面との対向位置に移動させるステップと、前記ハンドリングアーム又は前記チャック機構を前記ウェハ保持面に対する垂直方向に移動させ、前記ウェハ吸着面に対して傾斜させた状態の前記ウェハを、前記ウェハ吸着面の端部から順次前記ウェハ吸着面に吸着させるステップと、を有することを特徴としている。
【0021】
即ち、先ず、ウェハ保持面に保持されたウェハを、ウェハ吸着面との対向位置に移動させるステップを実行する。次いで、ハンドリングアーム又はチャック機構をウェハ保持面に垂直方向に移動させ、ウェハ吸着面に対して傾斜させた状態のウェハを、ウェハ吸着面の端部から順次前記ウェハ吸着面に吸着させるステップを実行する。
これにより、ウェハの受け渡し時におけるチャック機構の吸着不良を低減できる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のウェハ処理方法前記ウェハ保持面に保持されたウェハを、前記ウェハ吸着面との対向位置に移動させるステップにおいて、前記ハンドリングアームは、前記ウェハ吸着面の中心と、前記ハンドリングアームに保持された前記ウェハの中心とが一致しない位置に移動させることを特徴としている。
【0023】
この結果、ウェハ処理装置の構造により、ハンドリングアームに保持された前記ウェハの中心と、チャック機構のウェハ吸着面の中心が一致しなくても、ハンドリングアームとチャック機構の間で、ウェハの受け渡しを行うことができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のウェハ処理方法において、前記傾斜機構は、前記ウェハの中心より前記ウェハ吸着面の中心を低くする方向に、前記ウェハを傾斜させることを特徴としている。
これにより、ハンドリングアームの中心とチャック機構の中心を結ぶ線上にウェハの中心を一致させることができ、ハンドリングアームからウェハへの受け渡しが安定する。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のウェハ処理方法において、前記ウェハは、サファイア又はクオーツを含むことを特徴としている。
即ち、サファイアウェハ又はクオーツウェハ等の重くて反りの生じ易いウェハであっても、ウェハの受け渡し時におけるチャック機構の吸着不良を低減できる。
【0026】
請求項11に記載の発明に係るウェハ処理方法は、ハンドリングユニットによって、ハンドリングアームの保持面に設けられた傾斜機構でウェハを前記保持面に対し傾斜させて前記ウェハの周縁部を保持し、前記ウェハを吸着保持するチャック機構を備えた搬送手段との受け渡し場所まで、前記ウェハを搬送するステップと、前記受け渡し場所で、前記ハンドリングアームと前記チャック機構を上下方向に相対移動させ、前記チャック機構によって、傾斜した状態の前記ウェハの傾斜を解消しながら吸着保持するステップと、を有することを特徴としている。
【0027】
即ち、先ず、搬送ステップを実行して、ハンドリングアームの保持面に設けられた傾斜機構でウェハを保持面に対し傾斜させ、ウェハを吸着保持するチャック機構を備えた搬送手段との受け渡し場所までウェハを搬送する。
【0028】
次いで、吸着ステップを実行して、受け渡し場所で、ハンドリングアームとチャック機構を上下方向に相対移動させ、チャック機構によって、傾斜された状態のウェハの傾斜を解消しながら吸着保持される。
これにより、ウェハの受け渡し時におけるチャック機構の吸着不良を低減できる。
【0029】
請求項12に記載の発明に係るハンドリングアームは、ウェハ保持面と、前記ウェハ保持面の表面よりもウェハ側に突出して形成された少なくともひとつの突出部と、を有することを特徴としている。
即ち、ウェハ保持面の表面よりもウェハ側に突出された、少なくともひとつの突出部により、ウェハが、ウェハ保持面に対し傾斜して保持される。
【0030】
これにより、ウェハを傾斜させた状態でハンドリングアームとチャック機構との間で、ウェハの受け渡しを開始することができる。
【0031】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のハンドリングアームにおいて、前記突出部は、前記ウェハ保持面からの突出高さが変更可能であることを特徴としている。
即ち、突出部の、ウェハ保持面からの突出高さを変更して、ウェハのウェハ保持面に対する傾斜角度を変更できる。
【0032】
これにより、ウェハの受け渡し時における、ウェハとウェハ吸着面との受け渡し角度を変更できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、上記構成としてあるので、ウェハの受け渡し時におけるチャック機構の吸着不良を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るウェハ処理装置の基本構成を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るウェハ処理装置におけるハンドリングアームの保持面を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るウェハ処理装置の基本構成を示す立面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るウェハ処理装置のハンドリングアームの保持面とチャック機構の位置関係を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るウェハ処理装置のハンドリングアームの保持面とチャック機構のウェハの受け渡し状態を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るウェハ処理装置におけるハンドリングアームの保持面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1の実施の形態)
図1の平面図に示すように、第1の実施の形態に係るウェハ処理装置10は、ハンドリングユニット12を有している。ハンドリングユニット12は、ハンドリングアーム14を備え、ハンドリングアーム14の先端には、ウェハ16の周縁部を保持するウェハ保持面18が形成されている。
【0036】
ハンドリングユニット12は、矢印P方向への移動及び上下方向に沿った軸周りの回転動作が可能とされ、ハンドリングアーム14のウェハ保持面18に保持されたウェハ16を、受け取り場所22と処理室20の間で搬送する。
【0037】
図2に示すように、ウェハ保持面18は、断面がL字状の金属板で円弧に沿ったC字状に形成されている。ウェハ保持面18は、ウェハ16の外周を囲む大きさとされ、平面部18F(後述する固定ピン28、30)でウェハ16の下面を保持している。平面部18Fの外周部には、ウェハ16の平面部18Fからの高さより高い寸法で、立上り部18Hが設けられ、立上り部18Hでウェハ16の外周を囲む構成とされている。ウェハ保持面18の一部は切り欠かれ、切り欠き部を利用して、後述するシャトル24の軸部38を側方から囲むことができる。
【0038】
ウェハ保持面18の平面部18Fには、平面部18Fから2本の固定ピン28が突出され、固定ピン28より平面部18Fからの突出高さが高い1本の固定ピン30が、周方向に間隔を開けて突設され、ウェハ16の下面との接触部とされている。
即ち、3本の固定ピン28、30で、ウェハ16を平面部18Fに対し傾斜させて支持する。
【0039】
図3の立面図に示すように、搬送手段としてのシャトル24は、上部にウェハ16を、ウェハ保持面18が保持する周縁部でない部分において吸着保持するチャック機構26を備え、下部に設けた移動手段42で、受け渡し場所21、22の間、又は受け渡し場所22、23の間を水平方向(矢印P3の方向)に移動して、ウェハ16を搬送する。
【0040】
また、チャック機構26は、高さ変更手段40を備え、軸部38を介して移動手段42に支持された状態で、上下方向(矢印P2の方向)に移動可能とされている。
【0041】
チャック機構26は、外径がハンドリングアーム14の内径より小さい径とされ、上面は、ウェハを吸着保持するウェハ吸着面26Uとされている。ウェハ吸着面26Uは、例えば、減圧手段や磁気手段等によりウェハ16を吸着保持する。
このような構成とすることにより、以下の手順でウェハ16をウェハ処理装置10で処理できる。
【0042】
図1に示すように、先ず、ロード側のシャトル24は、受け渡し場所21で、ロード側キャリアエレベータ32で運ばれてきた、未処理のウェハ16をチャック機構26で吸着保持して、受け渡し場所22へ搬送する。
【0043】
ハンドリングユニット12は、ハンドリングアーム14を受け渡し場所22に移動させ、ウェハ16の下側にウェハ保持面18をセットする。その後、シャトル24がチャック機構26を下降させ、ウェハ16の吸着を解除してハンドリングアーム14のウェハ保持面18にウェハ16を乗せる。その後、ハンドリングユニット12は、ハンドリングアーム14でウェハ16を処理室20に搬送する。シャトル24は、受け渡し場所21へ移動する。
【0044】
処理室20での処理を終えたウェハ16は、ハンドリングアーム14で、処理室20から受け渡し場所22まで搬送される。これに先立ち、アンロード側のシャトル24は、チャック機構26をハンドリングアーム14との受け渡し場所22へ移動させ、チャック機構26を下降させておく。
【0045】
ウェハ16がハンドリングアーム14で渡し場所22に搬送された後、シャトル24は、チャック機構26を上昇させてウェハ16を吸着して受け取る。
【0046】
本実施の形態に係るウェハ処理装置10、及びウェハ処理方法によれば、ウェハ保持面18のウェハ16を傾斜させた状態でアンロード側へのウェハ16の受け渡しを開始することができる。
【0047】
これにより、ウェハ保持面18のウェハ16を傾斜させずに、チャック機構26のウェハ吸着面26Uに一様にウェハ16を近づけて吸着させる場合には、一様な吸着が妨げられやすい、反りを有するウェハ16を吸着する場合であっても、ウェハ16を傾斜させることにより、チャック機構26のウェハ吸着面26Uの端部を先にウェハ16に当接させ、順次吸着面の全体で吸着保持させるため、ウェハ16の受け渡し時におけるチャック機構26の吸着不良を低減することができる。
【0048】
本実施の形態は、サファイアウェハの裏面に不透明なポリシリコン層を備えたSOSウェハや、サファイアウェハの裏面に石英層を備えたSOQウェハなど、重くて反りの生じやすいウェハにも適用可能である。
【0049】
図4に示す実施形態では、ウェハ処理装置10の構造により、ハンドリングアーム14の中心C1と、チャック機構のウェハ吸着面26Uの中心C2が一致していない設定とされている。
【0050】
ここで固定ピン30は、ハンドリングアーム14の中心C1に対して、ウェハ吸着面26Uの中心C2とは反対側に配置されているので、ウェハ16が、ハンドリングアーム14の中心C1側よりウェハ吸着面26Uの中心C2側を低くする方向に傾斜される。
【0051】
例えば、ウェハ16が逆方向に傾斜していると、チャック機構26の押し上げ力でウェハ16は傾斜角を増す方向に変位するので、ウェハ吸着面26Uでの吸着不良が起こりやすい。これに対してウェハ処理装置10では、図5(A)に示す状態から、図5(B)に示すように受け渡しが開始される。すると図5(C)に示すように、上昇するチャック機構26の押し上げ力でウェハ16は、固定ピン30を中心として回転されるから、このウェハ吸着面26Uにウェハ16が吸着される。
【0052】
この結果、ウェハ処理装置10の構造上、ハンドリングアーム14の中心C1とチャック機構26の中心C2が一致しないときであっても、ウェハ16の受け渡し時におけるチャック機構26の吸着不良を低減できる。
【0053】
なお、以上の説明は、水平に設定されたウェハ保持面18に傾斜してウェハ16を載置し、ウェハ保持面18と平行なウェハ吸着面26Uで受け取る例を示したが、例えば、ウェハ保持面18にもウェハ16の吸着機能を持たせ、ウェハ吸着面との間でウェハ16の受け渡しを行っても良い。これにより、ウェハ16の受け渡し姿勢は、水平に近い姿勢に限られず、傾斜させた姿勢で受け渡しを行うことができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
図6に示すように、第2の実施の形態に係るウェハ処理装置50は、ハンドリングアーム14のウェハ保持面18に、周方向に隙間を開けて2本の可変ピン44を設けている。
【0055】
可変ピン44は、第1の実施の形態に係るウェハ処理装置10において説明した、固定ピン30に代えて設けたもので、固定ピン30が1本であったのに対し、2本としている。なお、2本の固定ピン28は、第1の実施の形態のままの位置、形状である。
【0056】
可変ピン44は、外周面に雄ねじが設けられ、平面部18Fを貫通して設けられた雌ねじ46と螺合される。これにより、可変ピン44のねじ込み量で平面部18Fからの高さを調整できる。2本の可変ピン44を固定ピン28より高くセットすれば、ウェハ16は、可変ピン44側が高い傾斜で保持される。また、2本の可変ピン44の高さをそれぞれで異ならせれば、ウェハ16の傾斜面の方向を調整できる。
【0057】
なお、可変ピン44の支持部を、例えば電動等でせり上がる構造としてもよい。これにより、高さ調整が容易となる。また、ロード時とアンロード時で傾斜あり、傾斜なし、と設定を変更したり、ウェハ16の傾斜角度の設定を変更することもできる。
【0058】
また、ハンドリングアーム14の中心C1とチャック機構の中心C2が一致していても適用できる。
他の構成は、第1の実施の形態に係るウェハ処理装置10と同じであり、説明は省略する。
【符号の説明】
【0059】
10 ウェハ処理装置
12 ハンドリングユニット
14 ハンドリングアーム
16 ウェハ
18 ウェハ保持面
21 受け渡し場所
22 受け渡し場所
23 受け渡し場所
24 シャトル(搬送手段)
26 チャック機構
26U ウェハ吸着面
30 固定ピン(傾斜機構、突出部)
44 可変ピン(傾斜機構、突出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ保持面を備えたハンドリングアームと、
前記ウェハ保持面と平行に設けられたウェハ吸着面で、前記ハンドリングアームから前記ウェハを受け取るチャック機構と、
を備えたウェハ処理装置であって、
前記ハンドリングアームは、前記ウェハ保持面上に保持される前記ウェハを前記ウェハ吸着面に対して傾斜させる傾斜機構を備えていることを特徴とするウェハ処理装置。
【請求項2】
前記傾斜機構は、前記ウェハ保持面の表面よりもウェハ側に突出された、少なくともひとつの突出部を有することを特徴とする請求項1に記載のウェハ処理装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記ウェハ保持面からの突出高さが変更可能とされていることを特徴とする請求項2に記載のウェハ処理装置。
【請求項4】
前記ハンドリングアーム及び前記チャック機構は、前記ウェハ保持面に対する垂直方向の移動が可能であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のウェハ処理装置。
【請求項5】
上下方向の端部でウェハを吸着保持するチャック機構を備え、前記ウェハを搬送するために受け渡し場所間を移動する搬送手段と、
上向きのウェハ保持面で前記ウェハの周縁部を保持して搬送するハンドリングアームと、前記ウェハ保持面に設けられ前記ウェハを前記ウェハ保持面に対して傾斜させる傾斜機構と、を備え、いずれかの前記受け渡し場所で、前記ハンドリングアームと前記チャック機構との上下方向の相対移動に伴って、前記ウェハの受け渡しを行うハンドリングユニットと、
を有するウェハ処理装置。
【請求項6】
ハンドリングアームに備えられたウェハ保持面に搭載されたウェハを、チャック機構に備えられたウェハ吸着面に受け渡すウェハ処理方法において、
前記ウェハ保持面から前記ウェハ吸着面への前記ウェハの受け渡しの際に、前記ウェハを前記ウェハ吸着面の端部から順次吸着させることを特徴とするウェハ処理方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のウェハ処理装置を用いたウェハ処理方法であって、
前記ウェハ保持面に保持されたウェハを、前記ウェハ吸着面との対向位置に移動させるステップと、
前記ハンドリングアーム又は前記チャック機構を前記ウェハ保持面に対する垂直方向に移動させ、前記ウェハ吸着面に対して傾斜させた状態の前記ウェハを、前記ウェハ吸着面の端部から順次前記ウェハ吸着面に吸着させるステップと、
を有することを特徴とするウェハ処理方法。
【請求項8】
前記ウェハ保持面に保持されたウェハを、前記ウェハ吸着面との対向位置に移動させるステップにおいて、
前記ハンドリングアームは、前記ウェハ吸着面の中心と、前記ハンドリングアームに保持された前記ウェハの中心とが一致しない位置に移動させることを特徴とする請求項7に記載のウェハ処理方法。
【請求項9】
前記傾斜機構は、前記ウェハの中心より前記ウェハ吸着面の中心を低くする方向に前記ウェハを傾斜させることを特徴とする請求項8に記載のウェハ処理方法。
【請求項10】
前記ウェハは、サファイア又はクオーツを含むことを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のウェハ処理方法。
【請求項11】
ハンドリングユニットによって、ハンドリングアームの保持面に設けられた傾斜機構でウェハを前記保持面に対し傾斜させて前記ウェハの周縁部を保持し、前記ウェハを吸着保持するチャック機構を備えた搬送手段との受け渡し場所まで、前記ウェハを搬送するステップと、
前記受け渡し場所で、前記ハンドリングアームと前記チャック機構を上下方向に相対移動させ、前記チャック機構によって傾斜した状態の前記ウェハの傾斜を解消しながら吸着保持するステップと、
を有するウェハ処理方法。
【請求項12】
ウェハ保持面と、
前記ウェハ保持面の表面よりもウェハ側に突出して形成された少なくともひとつの突出部と、
を有することを特徴とするハンドリングアーム。
【請求項13】
前記突出部は、前記ウェハ保持面からの突出高さが変更可能であることを特徴とする請求項12に記載のハンドリングアーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−187726(P2011−187726A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52079(P2010−52079)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】