説明

エアチェックシステム、エアチェック装置及びエアチェックプログラム

【課題】放送局からの放送を聴いていなくても、コンテンツが放送された後速やかに取得できるエアチェックシステムを提供する。
【解決手段】
エアチェック装置80は、放送局から放送された放送データを受信し、記憶媒体(HDD)に記憶する。エアチェック装置80はまた、放送局から放送された複数の曲の放送時間に関するキューシートを所定期間ごとにキューシートサーバ12から取得する。取得されたキューシートが前回取得したキューシートから更新されている場合、キューシートの更新情報及び予め登録されたユーザ所望の曲の条件(抽出条件)を参照して、HDDに記憶された放送データから曲データを抽出する。そして、抽出された曲データを携帯端末5に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアチェックシステムに関し、さらに詳しくは、放送局から送信される楽曲や映画等の多数のコンテンツの中から所望のコンテンツを取得するエアチェックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアチェックは一般的に、ラジオやテレビで放送された曲や映画等のコンテンツを記憶媒体に記録しておき、その記録したコンテンツを後で再生して楽しむもので、無料でコンテンツを取得できることから視聴者の間で広く利用されている。
【0003】
しかしながら、視聴者には好みの曲等がいつ放送されるかわからない。たとえば、ラジオ放送では、所望の曲がある番組中に放送されることがあらかじめわかる場合もあるが、番組中のどの時間帯で放送されるかまではわからない。そのため、所望の曲を録音するためには、視聴者は番組を最初から注意深く聞き続けなければならない。さらに、好みの曲が知らないうちに放送されてしまうこともある。
【0004】
ところで、放送局は、オンエアされた曲に関する曲情報を列挙したキューシートを作成し、インターネット経由で視聴者に提供している。キューシート内の曲情報には、放送された曲のタイトルやアーティスト名といった曲のメタ情報と、曲の放送開始時刻とが含まれる。放送局では、1又は複数の曲をオンエアした後、オンエアした曲ごとの曲情報を順次キューシートに登録する。このキューシートを見れば、視聴者はどのような曲がいつ放送されたかを正確に知ることはできるが、それらの曲は既に放送された後であるため、その中に所望の曲があったとしても今さら録音することは不可能である。
【0005】
また、最近では、携帯型のHDDプレーヤに代表されるポータブルオーディオプレーヤや携帯電話機等の携帯端末で曲を聴くユーザが増えている。放送局からオンエアされた曲を携帯端末で聴くためには、オンエアされた曲を含む放送を一度記憶媒体に記憶し、そこから曲を探し出し、携帯端末にデータを転送しなければならないが、このような作業は煩雑である。
【0006】
さらに、たとえば外出中であって、ラジオを聴けない場合、オンエアされた曲を聴くことが出来ないし、そもそも、ラジオを聴いていなければたとえば好みの曲がオンエアされた事実さえ知ることができない。
【特許文献1】特許第3869826号
【特許文献2】特開2002−108352号公報
【特許文献3】特開2007−059035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、放送局からの放送を聴いていなくても、コンテンツが放送された後速やかに取得できるエアチェックシステムを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、放送局からの放送を聴いていなくても、ユーザ所望のコンテンツが放送された後速やかに端末に取得できるエアチェックシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明によるエアチェックシステムは、サーバと、エアチェック装置とを備える。サーバは、サーバ記憶手段と、サーバ送信手段と、更新手段とを備える。サーバ記憶手段は、キューシートを記憶する。キューシートは、放送局から放送された複数のコンテンツの放送時間に関する複数のコンテンツ情報を含む。更新手段は、時間の経過に伴い放送されたコンテンツのコンテンツ情報を順次キューシートに追加してキューシートを更新する。サーバ送信手段は、キューシートに追加されたコンテンツ情報を順次エアチェック装置に送信する。エアチェック装置は、受信手段と、エアチェック記憶手段と、取得手段と、抽出手段とを備える。受信手段は、放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する。エアチェック記憶手段は、受信された放送データを記憶する。取得手段は、キューシートに追加されたコンテンツ情報をサーバから順次取得する。抽出手段は、追加されたコンテンツ情報を取得したとき、コンテンツ情報を参照して、エアチェック記憶手段に記憶された放送データからコンテンツを抽出する。
【0010】
この場合、エアチェック装置は、放送局から新しいコンテンツが放送されると、追加されたコンテンツ情報を参照して、放送されたコンテンツを抽出することができる。そのため、エアチェック装置のユーザは、放送を聞いていなくても、コンテンツが放送された後速やかにそのコンテンツを取得できる。
【0011】
好ましくは、エアチェックシステムは、エアチェック装置に接続可能なユーザ端末を備える。エアチェック装置はさらに、エアチェック送信手段を備える。エアチェック送信手段は、コンテンツが抽出されたとき、抽出されたコンテンツをユーザ端末に送信する。
【0012】
この場合、コンテンツが放送された後、速やかにそのコンテンツをユーザ端末で取得できる。そのため、ユーザがユーザ端末を所持して外出する場合、放送を聞いていなくても、コンテンツが放送されると、そのコンテンツをユーザ端末に速やかに取得できる。
【0013】
好ましくは、エアチェック記憶手段はさらに、コンテンツの抽出条件を記憶する。抽出手段はさらに、抽出条件を満たすコンテンツを抽出する。
【0014】
この場合、ユーザ端末は、抽出条件を満たすコンテンツのみを取得する。そのため、ユーザは、たとえば、自身の好みのコンテンツの条件を抽出条件とすれば、好みのコンテンツが放送された後に速やかにユーザ端末で視聴できる。また、ユーザ端末は、抽出条件を満たさないコンテンツの送信を受けないため、不要なコンテンツの取得を防ぐことができる。
【0015】
好ましくは、コンテンツ情報は、コンテンツの放送開始時刻を含む。サーバ記憶手段はさらに、放送局から放送される複数の番組の放送時間に関する番組表情報を記憶する。取得手段はさらに、番組表情報をサーバから取得する。抽出手段はさらに、抽出手段はさらに、追加されたコンテンツ情報により特定されるコンテンツを放送した番組の番組終了時刻を特定する。そして、追加されたコンテンツ情報内の放送開始時刻と番組終了時刻とに基づいて、追加されたコンテンツ情報により特定されるコンテンツを放送データから抽出する。
【0016】
この場合、放送データからコンテンツを精度よく抽出できる。
【0017】
好ましくは、エアチェック送信手段はさらに、通知手段と、コンテンツ送信手段とを備える。通知手段は、抽出されたコンテンツを送信する前に、ユーザ端末に通知を送信する。コンテンツ送信手段は、通知を送信したユーザ端末から応答を受けたとき、抽出されたコンテンツを送信する。
【0018】
この場合、ユーザはユーザ端末に送信された通知を参照し、必要な場合のみコンテンツを取得することができる。
【0019】
本発明によるエアチェック装置は、上述のエアチェックシステムで使用される。また、本発明によるエアチェックプログラムは、上述のエアチェック装置内のコンピュータで実行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
[第1の実施の形態]
[全体構成]
図1を参照して、本発明の実施の形態によるエアチェックシステム10は、ラジオのFM(Frequency Modulation)放送から所望の曲を自動的に取得するためのもので、インターネット11に接続されるキューシートサーバ12と、インターネット11に接続されるパーソナルコンピュータ(PC)13と、PC13に接続されるFMチューナ14とを備える。インターネット11には、複数の放送局サーバ16も接続されている。キューシートサーバ12は本サービスを提供する事業者等によって管理され、放送局サーバ16は主に音楽番組等を放送する放送局によって管理される。PC13及びFMチューナ14は視聴者であるユーザの所有物である。エアチェックシステム10はさらに、ユーザが利用する携帯端末5を含む。
【0022】
キューシートサーバ12は、各放送局サーバ16からキューシートを取得し、各ユーザのPC13に提供する。PC13はキューシートサーバ12にアクセス可能なクライアントとして機能する。PC13及びFMチューナ14はエアチェック装置80を構成する。
【0023】
PC13は汎用のもので、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)131、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ132、ハードディスクドライブ(HDD)133、ディスプレイ134、キーボードやマウスといった入力装置135などを備える。PC13には、後述するエアチェックプログラムがインストールされている。FMチューナ14は、各放送局からFM放送を受信し、受信した放送データをPC13に供給する。
【0024】
携帯端末5は、たとえば、携帯電話機やPDA、通信機能を備えたポータブルオーディオである。携帯端末5もPC13と同様に、図2に示すような構成を備える。つまり、携帯端末5は、CPU、HDD、ディスプレイ及び入力装置を備える。また、データをエンコードして再生するMP3プレーヤを備える。携帯端末5は、放送データを受信可能なチューナを搭載していてもよいし、搭載してなくてもよい。
【0025】
[キューシートサーバ]
図3を参照して、キューシートサーバ12は、取得部20と、フォーマット変換部21と、サービス情報追加部22と、ウェブサーバ23とを備える。取得部20は、各放送局サーバ16にアクセスし、そこにアップロードされているキューシート24を取得する。
【0026】
各放送局から提供されるキューシート24には、時間の経過に伴ってオンエアされた曲の曲情報が順次登録される。以降の説明では、キューシート24に登録された最新の曲情報をMI[n]とし、その1つ前に登録された曲情報をMI[n−1]とする。曲情報MI[n]は、オンエアされた曲M[n]のメタ情報と、放送開始時刻begin[n]とを含む。メタ情報は、曲M[n]のタイトルやアーティスト名等を含む。
【0027】
曲情報MI[n]はHTML(Hyper Text Markup Language)で記述されている。しかしながら、記述されている情報の種類、使用されているタグの種類、記述の順序など、そのフォーマットは放送局ごとに異なっている。また、キューシート24には、放送された曲M[n]の放送終了時刻は記述されない。
【0028】
フォーマット変換部21は、取得されたキューシート24のフォーマットを所定の共通フォーマットに変換する。フォーマット変換部21は、複数種類のフォーマットに対応して複数の変換フィルタ25を有する。各変換フィルタ25は、対応するフォーマットを共通フォーマットに変換する。
【0029】
これにより得られるキューシート26は共通フォーマットを有する。具体的には図4に示すように、キューシート26は、各放送局に付与されるステーションID(識別子)を記述したフィールド261と、当該放送局から放送された複数の曲に対応する複数のレコード262とを備える。
【0030】
各レコード262には、対応する曲Mの曲情報MIが登録される。具体的には、曲Mの放送開始時刻beginと、メタデータとが記述される。図5にキューシート26の一例を示す。なお、キューシート26に放送終了時刻を記述してもよいが、この場合、放送終了時刻は放送開始時刻に基づいて求められる。具体的には、曲M[n−1]の放送終了時刻は、曲M[n−1]の次に放送された曲M[n]の放送開始時刻begin[n]と同じとする。
【0031】
再び図3を参照して、サービス情報追加部22は、共通フォーマットに変換された各キューシート26に、あらかじめ定められた各種サービス情報を追加する。各種サービス情報としては、放送された曲を収録したCDやDVD又はコンサートチケットなどを販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)、その曲のデジタルデータを販売するウェブサイトのURL、バナー広告などがある。したがって、キューシートサーバ12は、ユーザを各種ウェブサイト27に導くためのポータルサイトとなり得る。
【0032】
取得部20はさらに、各放送局から提供される番組表69を取得する。番組表69は、その放送局で放送される複数の番組のタイムスケジュールが記録されたものである。キューシート26は、曲がオンエアされるごとに、オンエアされた曲情報が登録される。つまり、キューシート26は、時間の経過に伴い頻繁に更新される。これに対して、番組表69は、番組が放送される前から既に決まっている。つまり、番組表69は、放送時間が経過しても頻繁に更新されることはなく、変化しない。
【0033】
番組表69には、放送された番組の放送時間(番組開始時刻及び番組終了時刻)と、番組名、DJ及び出演者等に関する情報、番組ホームページURL等のメタデータとを含む。各番組内では、上述の複数の曲が放送される。つまり、番組は複数の曲を含む。なお、番組は、1つのみの曲を含む場合や、曲を1つも含まない場合もある。
【0034】
各放送局から提供される番組表69は、キューシートと同様に、そのフォーマットが放送局ごとに異なっている。そのため、フォーマット変換部21は、取得された番組表を所定の共通フォーマットに変換する。これにより得られた番組表70は共通フォーマットを有する。得られた番組表70の一例を図6に示す。番組表70は、ステーションIDと、放送された番組の放送開始時刻及び放送終了時刻と、メタデータとを含む。
【0035】
ウェブサーバ23にはキューシートデータベース28及び番組表データベース71が構築される。各種サービス情報が追加されたキューシート29はキューシートデータベース28に記憶され、番組表70は番組表データベース71に記憶される。ウェブサーバ23は、PC13からの要求に応じてキューシート29及び番組表70を読み出してPC13に送信する。
【0036】
次に、図7を参照してキューシートサーバ12の動作を説明する。
【0037】
取得部20は、各放送局サーバ16にキューシート24及び番組表69を送信するよう要求する(S101)。各放送局サーバ16はこの要求を受け付け(S201)、キューシート24及び番組表69をキューシートサーバ12に送信する(S202)。取得部20はキューシート24及び番組表69を受信し(S102)、フォーマット変換部21に供給する。
【0038】
フォーマット変換部21は、キューシート24のフォーマットを共通フォーマットに変換し、図4及び5に示すキューシート26を作成する(S103)。作成されたキューシート26は、サービス情報追加部22に供給される。
【0039】
サービス情報追加部22はキューシート26にサービス情報を追加し(S104)、これにより得られたキューシート29をキューシートデータベース28に保存する(S105)。
【0040】
フォーマット変換部21はさらに、番組表69のフォーマットを共通フォーマットに変換し、図6に示す番組表70を作成する(S103)。作成された番組表70は、番組表データベース71に保存される(S105)。
【0041】
キューシートサーバ12は、上述の動作を所定期間ごと(たとえば30秒ごと)に実行する。これによりキューシート29は頻繁に更新され、最新の曲情報MI[n]が順次記録される。なお、番組表の要求は、キューシートよりも要求周期を長くしてもよい(たとえば1日おき)。番組表は頻繁に変更されないからである。
【0042】
[FMチューナ及びPC(エアチェック装置)]
図8を参照して、エアチェック装置80はPC13とFMチューナ14とを含む。FMチューナ14はFM放送を受信する。PC13は、FMチューナ14から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するADC(Analog to Digital Converter)31を備える。ADC31は、たとえばサウンドカードなどを指す。ただし、デジタル信号を出力可能なデジタルチューナの場合、PC13はADC31を備えていなくてもよい。PC13にはまた、汎用のMP3(MPEG Audio Layer-3)エンコーダ32、汎用のウェブブラウザ及び汎用のMP3プレーヤとともに、後に詳述するエアチェックプログラム(38〜41)がインストールされ、MP3データベース34、録音状況管理データベース35、インデックスデータベース36、キューシートデータベース37、番組表データベース75及び曲データベース76が構築される。エアチェックプログラムは、インデックス生成モジュール38、ウェブインターフェース39及び取得モジュール40からなる。これらの詳細は以下の動作説明で明らかにする。
【0043】
次に、エアチェック装置80の動作を説明する。
【0044】
FMチューナ14及びPC13は常に動作している。したがって、FMチューナ14は常にFM放送を受信し、PC13は受信された放送データを全て記憶媒体(HDD133)に記録する。
【0045】
図9を参照して、PC13内のMP3エンコーダ32は常に動作しており、FMチューナ14から出力され、A/D変換されたデジタル放送データをMP3データにエンコードする(S401)。これと並行してウェブインターフェース39も動作し、MP3エンコーダ32で得られたMP3データを所定時間(本例では6時間)ごとに1つのMP3ファイル42としてMP3データベース34に保存(録音)する(S402)。
【0046】
ウェブインターフェース39はまた、図10に示した録音状況管理テーブル43を生成し(S411)、録音状況管理データベース35に保存する(S412)。
【0047】
図10を参照して、録音状況管理テーブル43は、ステーションIDを記述したフィールド431と、複数のMP3ファイル42に対応する複数のレコード432とを有する。各レコード432には、対応するMP3ファイル42の録音開始時刻、録音終了時刻及びファイル名が記述されている。図11に録音状況管理テーブル43の一例を示す。
【0048】
なお、MP3ファイル42のファイル名は、ステーションID及び録音開始時刻を組み合わせ、たとえば「OOSAKA_20050522180000.MP3」(MP3はMP3ファイル42を示す拡張子)と設定される。録音開始時刻はMP3ファイル(放送データ)の放送開始時刻に相当し、録音終了時刻は、MP3ファイルの放送終了時刻に相当する。要するに、録音時刻は放送時刻に一致する。
【0049】
FM放送は原則として毎日24時間録音されるが、停電したり、ユーザがPC13の電源を落とす場合もあるので、必ずしも全ての放送データがMP3ファイル42として保存されるとは限らない。図11において斜線以外の部分は録音されていない。
【0050】
一方、インデックス生成モジュール38は、MP3データベース34からMP3ファイル42を読み込み、MP3ファイル42に基づいてインデックスファイル44を生成し(S421)、インデックスデータベース36に保存する(S422)。
【0051】
具体的には図12に示すように、インデックス生成モジュール38はMP3ファイル42を所定時間ごとに複数のセクション45に分割する。本例では、6時間分のMP3ファイル42が1秒ごとに分割されるので、21600個(=6時間×60分×60秒)のセクション45が得られる。そして、インデックス生成モジュール38は各セクション45の開始アドレスを順にインデックスファイル44に書き込む。
【0052】
図13にインデックスファイル44の一例を示す。インデックスファイル44はステーションIDを記述したフィールド441と、複数のセクション45に対応する複数のレコード442とを有する。各レコード442には、対応するセクション45の開始アドレスが記述される。本例では、MP3ファイル42の先頭アドレスからのオフセット(相対アドレス)が開始アドレスとして書き込まれる。
【0053】
なお、図13にはMP3ファイル42の先頭からの経過時間(秒数)が示されているが、この表記はあってもよいが、実際にはなくてもよい。各オフセット(レコード442)の経過時間は、そのオフセットよりも前にあるオフセットの数から算出可能だからである。
【0054】
また、インデックスファイル44のファイル名も、対応するMP3ファイル42と同じステーションID及び録音開始時刻を組み合わせ、たとえば「OOSAKA_20050522180000.IDX」(IDXはインデックスファイル44を示す拡張子)と設定される。
【0055】
[曲転送処理]
エアチェック装置80は、オンエアされた曲を蓄積していくとともに、蓄積された曲を特定する。そして、特定された曲がユーザ所望の曲である場合、その曲を抽出し、ユーザが所持する携帯端末5に送信する(曲転送処理)。これにより、ユーザは、FM放送を聴いていなくても、好みの曲がオンエアされた後にその曲を携帯端末5で聴くことができる。以下、曲転送処理の詳細を説明する。
【0056】
図14を参照して、PC13内の取得モジュール40は、所定の時間ごと(たとえば1分おき)にキューシートサーバ12に所望のキューシート29を送信するよう要求する(S301及びS302)。キューシートサーバ12内のウェブサーバ23は要求を受け付け、キューシートデータベース28からキューシート29を読み出してPC13に送信する。取得モジュール40はキューシートサーバ12から送信されたキューシート29を取得する(S302)。
【0057】
続いて、取得モジュール40は、ステップS302で取得されたキューシート29が前回取得されたキューシート29から更新されているか否かを判断する(S303)。前回取得されたキューシート29は、キューシートデータベース37に記憶されている。取得モジュール40は、ステップS302で取得されたキューシート29が前回取得されたキューシート29と比較して、新たな曲情報MIを含むか否かを判断する。たとえば、前回取得されたキューシート29が図15であり、今回取得したキューシート29も図15である場合、取得モジュール40は、キューシート29は更新されていないと判断する(S303でNO)。このとき、PC13は、ステップS302で取得されたキューシート29をキューシートデータベース37に登録することなく、ステップS301に戻る。
【0058】
一方、ステップS302で今回取得したキューシート29が図16のとおりである場合、取得されたキューシート29は、前回取得されたキューシート29(図15)と比較して、新たに追加された曲情報MI[n]を含む。このとき、取得モジュール40はキューシート29が更新されたと判断する(S303でYES)。このとき、取得モジュール40は、キューシートデータベース37内に記憶されているキューシート29を最新のものに更新する(S304)。
【0059】
続いて、PC13は、新たに追加された曲情報MInを用いて、MP3データベース34に記憶されている放送データから、ユーザが所望する曲データを抽出する(S306及びS307)。具体的には、PC13内のウェブインターフェース39は、キューシートデータベース37内のキューシート29を参照して、曲情報MI[n]の放送開始時刻begin[n]と、曲情報MI[n]の1つ前の曲情報MI[n−1]の放送開始時刻begin[n−1]とを抽出する。そして、ウェブインターフェース39は、キューシート29内のステーションID、begin[n]及びbegin[n−1]と、録音状況管理テーブル43とを参照して、対応するMP3ファイル42のファイル名を特定する。
【0060】
ウェブインターフェース39はさらに、特定されたファイル名に対応するインデックスファイル44を参照し、放送時間帯がbegin[n−1]からbegin[n]までのMP3データを抽出する(S306)。抽出されたMP3データ(以下、抽出曲データという)は、メモリ132又はHDD133に格納される。
【0061】
以上の動作により作成された抽出曲データは、曲情報MI[n−1]に対応する曲データである。そのため、ウェブインターフェース39は、曲データベース76内の曲テーブル77に、抽出されたMP3データを曲情報MI[n−1]と対応付けて登録する(S307)。曲テーブル77の一例を図17に示す。曲テーブル77には、曲情報MIと対応する抽出曲データの格納場所が登録される。
【0062】
続いて、PC13は、抽出されたMP3データをユーザの携帯端末5に転送するための処理を実行する(S308〜S313)。
【0063】
PC13内のウェブインターフェース39はまず、ステップS306で作成された抽出曲データの通知をユーザが希望しているか否かを判断する(S308)。PC13は、HDD133内に図18に示す抽出条件データベース90を記憶している。抽出条件データベース90は、ユーザが通知を希望する曲に関連するキーワード情報と、抽出曲データの転送の希望の有無を示す転送フラグ情報と、ユーザが利用している携帯端末5で再生可能なデータフォーマットに関するフォーマット情報とを含む。キーワード情報は、たとえば、アーティスト名や曲のジャンル等である。抽出条件データベース90内の各情報は、ユーザ操作に応じてPC13が予め設定する。
【0064】
ウェブインターフェース39は、抽出条件データベース90内のキーワード情報と、抽出曲データに対応する曲情報MI[n−1]とを参照して、抽出曲データがユーザ希望の曲データであるか否かを判断する(S308)。判断の結果、曲情報MI[n−1]がキーワード情報と関連していない場合、たとえば、曲情報MI[n−1]内のアーティスト名がキーワード情報内のアーティスト名と異なる場合(S308でNO)、ステップS301に戻る。つまり、PC13は、携帯端末5に対して抽出曲データの通知も転送もしない。
【0065】
一方、ステップS308で判断の結果、曲情報MI[n−1]がキーワード情報内のキーワードと関連するとき(S308でYES)、ウェブインターフェース39はさらに、抽出条件データベース90内の転送フラグを参照し、ユーザが抽出曲データの転送を希望しているか否かを判断する(S309)。ユーザが抽出曲データの転送を希望していない場合(S309でNO)、ウェブインターフェース39は、抽出曲データの取得通知を携帯端末5に送信する(S313)。取得通知はたとえばメールにより行われる。取得通知は、抽出曲データに対応する曲情報MI[n−1]内の所定の情報(たとえば、曲のタイトルやアーティスト名)を含む。
【0066】
ステップS309で判断の結果、ユーザが抽出曲データの転送を希望している場合(S309でYES)、PC13は、抽出曲データを携帯端末5が再生可能なフォーマットに変換する(S311)。PC13は、抽出条件データベース90内のフォーマット情報を参照して、抽出曲データのフォーマットを変換する。そして、PC13は、変換された抽出曲データを携帯端末5に送信する(S312)。PC13はたとえば、ステップS313で作成される取得通知と同様に、曲情報MI[n−1]の一部を含むメールを作成し、そのメールに抽出曲データを添付して携帯端末5に送信する。
【0067】
上述の曲転送処理は、所定時間ごと(たとえば1分ごと)に繰り返し実行される。そのため、PC13は、キューシート29に新たな曲情報MI[n]が追加されるごとに、曲情報MI[n−1]のMP3データを抽出し、ユーザの希望に応じて携帯端末5に送信する。その結果、ユーザがラジオ放送を聴いていなくても、好みの曲がオンエアされると、その曲データが携帯端末5に転送され、携帯端末5で再生することができる。たとえば、ユーザが携帯端末5を所持して外出しており、ラジオ放送を聴いていない場合であっても、オンエアされた好みの曲をいちはやく取得し、携帯端末5で再生することによりその曲を聴くことができる。
【0068】
携帯端末5の記憶容量に限りがある場合、ユーザは、ステップS313の取得通知が届いた後に、必要に応じて抽出曲データを取得することもできる。また、ユーザは、携帯端末5を用いて抽出条件データベース90を更新することもできる。以下、これらの動作(以下、応答処理という)を詳述する。
【0069】
図14を参照して、PC13はステップS312又はステップS313を実行したとき、応答処理を実行する(S320)。図19を参照して、PC13内のウェブインターフェース39は、携帯端末5からの応答を所定期間監視する(S321)。所定時間内に携帯端末5からの応答がなければ(S321でNO)、PC13は応答処理を終了する。
【0070】
一方、所定期間内に携帯端末5から応答があった場合(S321でYES)、ウェブインターフェース39は、携帯端末5からの応答メッセージに応じた処理を実行する(S322〜S325)。たとえば、携帯端末5から送信された応答メールが、メッセージ本体に何らかのテキストを含む場合(S322でNO)、PC13は抽出条件データベース90内のキーワード情報のうち、曲情報MI[n−1]に関連するキーワードを削除する。たとえば、曲情報MI[n−1]がキーワード情報内のアーティスト名「aaaa」に基づいて通知された場合、ステップS325でキーワード情報内のアーティスト名「aaaa」を削除する。
【0071】
一方、携帯端末5から送信された応答メールが、メッセージ本体にテキストを含まない、いわゆる空メールである場合(S322でYES)、ウェブインターフェース39はさらに、携帯端末5に抽出曲データを既に送信したか否かを判断する(S323)。換言すれば、携帯端末5の応答メールが、ステップS312の動作に対する応答メールか、ステップS313の動作に対する応答メールかを判断する。
【0072】
既に抽出曲データを送信している場合(S323でNO)、つまり、携帯端末5からの応答メールが、ステップS312で送信したメールに対するものである場合、ウェブインターフェース39は、以降の曲転送処理では携帯端末5に対して、ステップS313の取得通知を送信するよう(つまり、S309でNOと判断するよう)、抽出条件データベース90内の転送フラグを変更する。一方、ステップS323の判断の結果、応答メールがステップS313に応答したものである場合(S323でYES)、PC13は、抽出曲データのフォーマットを適切なフォーマットに変換し、携帯端末5に送信する(S310)。
【0073】
以上の動作により、携帯端末5のユーザは、抽出条件データベース90内の情報を自由に更新することができる。また、ステップS313の取得通知を受けたとき、通知を受けた曲を聴きたいのであれば、空メールをPC13に送信することで抽出曲データを取得でき、携帯端末5で再生できる。
【0074】
[第2の実施の形態]
上述の実施の形態では、キューシート29に登録された曲情報MI中の放送開始時刻begin[n]及びbegin[n−1]に基づいて、MP3データを抽出した。しかしながら、これらの放送開始時刻に基づいてMP3データを抽出する場合、曲データ以外のデータ、たとえば、曲の後に放送されるニュースや天気予報等も抽出してしまう場合がある。たとえば、次の事例を仮定する。図20を参照して、曲M3(曲名「LADY」、アーティスト名「TOMMY △×」)が実際に放送された時間帯が6時47分〜6時50分であるものの、曲M3の次に放送された曲M4の放送開始時刻が7時40分である。そして、6時50分から7時40分までの間の放送時間帯には、番組表70が示すとおり、オリンピック情報やニュース、スポーツ番組等の番組が放送されている。これらの番組中では曲が流れなかったと仮定する。
【0075】
この事例の場合、作成されるキューシート29は図20のとおりとなる。つまり、曲M3の曲情報MI3内の放送開始時刻begin[3]は6時47分であり、曲M4の放送開始時時刻begin[4]は7時40分である。
【0076】
PC13がキューシート29の放送開始時刻に基づいてMP3データを抽出する場合、PC13は、放送開始時刻begin[3]〜begin[4]までの放送時間帯PT3のMP3データを曲M3のデータとして抽出し、携帯端末5に送信する。この場合、送信されたMP3データ(抽出曲データ)は、オリンピック情報やニュース等の曲M3以外のデータも含む。これらの余分なデータは不要であるため、曲M3以外のデータをなるべく抽出しないのが好ましい。
【0077】
さらに、キューシート29の放送開始時刻に基づいて曲M3を抽出する場合、曲M3データを携帯端末5に送信できるのは、少なくとも7時40分以降である。なぜなら、キューシートに曲M4の放送開始時刻begin[4]が登録されるのは、7時40分以降になるためである。そのため、ユーザは、曲M3の放送終了後すみやかに携帯端末5で曲M3を聴くことができない。
【0078】
そこで、第2の実施の形態によるエアキャッシュシステムでは、MP3データを抽出するときに、キューシート29と共に、番組表70を活用する。図20を参照して、PC13は、曲M3の曲情報MI3をキューシート29から取得したとき、番組中に曲M3をオンエアを開始した番組P2(番組名「地球で暮らそう」)の番組終了時刻Pend(6時50分)を番組表70から読み出す。そして、キューシート29が更新されて曲M3の次の曲M4の曲情報MI4が取得できる状態になる前に、現在時刻が番組終了時刻Pendを超えたとき、曲M3の放送開始時刻begin[3](6時47分)から番組終了時刻Pend(6時50分)までの放送時間帯PT1のMP3データを抽出し、抽出したMP3データ(抽出曲データ)を曲情報MI3と対応付ける。
【0079】
この様に、キューシート29と共に番組表70を参照することにより、抽出するMP3データ内に曲データ以外のデータ(オリンピック情報やニュース等)が含まれるのを抑制できる。さらに、好みの曲M3がオンエアされたとき速やかに携帯端末5にその曲データを送信できる。曲M4のオンエアが開始されるまで待つ必要がない。
【0080】
以下、第2の実施の形態によるPC13の動作を説明する。なお、PC13は、予めキューシートサーバ12から各放送局の番組表70を取得しHDD133に格納している。
【0081】
図21を参照して、ステップS301〜S305までの動作は図14と同じである。ウェブインターフェース39はキューシート29を参照して最新の曲情報MI[n]から放送開始時刻begin[n]を読み出した後(S305)、曲データベース76を参照して1つ前の曲情報MI[n−1]にMP3データが既に対応付けられているか否かを判断する(S331)。対応付けられていない場合(S331でNO)、図14中のS306以降の動作を同じである。つまり、このケースは、たとえば図20中の曲M2に相当し、放送開始時刻begin[n](曲M3の放送開始時刻)と、放送開始時刻begin[n−1]とが同じ番組(P2)の放送時間帯に含まれるケースである。
【0082】
一方、ステップS331で判断の結果、1つ前の曲情報MI[n−1]にMP3データが既に対応付けられている場合(S331でYES)、ウェブインターフェース39は、番組表データベース75内の番組表70から最新曲情報MI[n]の放送開始時刻begin[n]を含む放送時間帯の番組を特定する。そして、特定された番組の番組終了時刻Pendを読み出す。番組表70に、各番組の放送開始時刻のみが登録されている場合、PC13は、特定された番組の次に放送される番組の放送開始時刻を、特定された番組の番組終了時刻Pendとみなして読み出す。たとえば、図20の場合であって、最新曲情報が曲M3の曲情報である場合、特定される番組はP2であり、番組終了時刻Pendは6時50分である。
【0083】
ウェブインターフェース39は、現在時刻が、読み出された放送終了時刻Pendを超えているか否かを判断する(S333)。現在時刻が放送終了時刻Pendを超えていない場合(S333でNO)、ステップS301に戻る。要するに、PC13は、更新されたキューシート29を取得しない限り、所定期間ごとにステップS333の判断ステップを実行する。
【0084】
ステップS333で判断の結果、現在時刻が番組終了時刻Pendを超えた場合(S333でYES)、たとえば図20で6時51分にステップS333を実行した場合、PC13は、放送開始時刻begin[n]から番組終了時刻PendまでのMP3データを抽出し(S334)。抽出曲データを曲情報MI[n]と対応付ける(S335)。以降の動作(S308〜S313及びS320)は、図14と同じである。
【0085】
以上の動作によれば、PC13は、キューシート29と番組表70とを参照することで、抽出するMP3データ内に曲以外の余分な情報が含まれるのを抑制する。さらに、ユーザの好みの曲がオンエアされた後、より速やかにユーザの携帯端末5に曲データを送信できる。
【0086】
上記実施の形態では放送されるコンテンツを曲(音楽)としたが、本発明は曲だけでなく、映像その他のあらゆるコンテンツに適用可能であり、そのデータは圧縮されているか否かは限定されない。つまり、コンテンツを含む放送データの形態は、FMラジオに限らず、AMラジオ、インターネットラジオ、TV(アナログ/デジタル)、CS/BS(アナログ/デジタル)等の衛星放送であってもよい。
【0087】
また、上記実施の形態ではPC13及びFMチューナ14は常に動作し、全ての放送を受信して録音することを原則としているが、有限な記憶領域を無駄に浪費しないように、週間スケジュールなどを組んで放送のない夜間は動作を停止したり、あるいは、放送されて来た音声又は映像信号を検知し、放送のあるときだけ動作し、放送のないときは動作を停止したりするようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態ではFMチューナ14及びPC13がエアチェック装置80を構成しているが、FM放送を受信してハードディスクに記録する一体型の専用機がエアチェック装置を構成してもよい。
【0089】
上記実施の形態では、キューシートサーバ12が放送局から提供されるキューシート及び番組表を取得しているが、キューシートサーバ12の運営者がキューシート及び番組表をキューシートサーバ12に直接入力してキューシートサーバ12に記憶させてもよい。
【0090】
また、上記実施の形態では、PC13は各放送局から提供されるキューシート及び番組表をキューシートサーバ12経由で取得しているが、各放送局から直接取得してもよい。具体的には、図8に示した取得モジュール40は、キューシートサーバ12ではなく各放送局サーバ16に直接アクセスする。キューシート及び番組表のフォーマットは放送局ごとに異なっているので、この場合は、図22に示すように、取得されたキューシート及び番組表のフォーマットを共通フォーマットに変換するフォーマット変換部21をPC13に設ければよい。フォーマット変換部21は、共通フォーマットのキューシート29をキューシートデータベース37に保存し、共通フォーマットの番組表70を番組表データベース71に保存する。ただし、放送局から提供されるキューシート及び番組表が既に共通フォーマットを有している場合、取得モジュール40はフォーマット変換部21をバイパスし、取得したキューシートをキューシートデータベース37に直接書き込み、番組表70を番組表データベース71に直接書き込む。
【0091】
また、上記実施の形態では放送データは無線放送で送信されているが、有線放送で送信されていてもよく、また、インターネット等の電気通信回線を介して送信されていてもよい。インターネット経由で放送データを受信するためには、図8に示したFMチューナ14、ADC31及びMP3エンコーダ32に代えて、図23に示すように、放送データ取得モジュール50をPC13に設ければよい。放送データ取得モジュール50は放送局サーバ16にアクセスし、そこに現在取得可能な状態でアップロードされている放送データ(又はリアルタイムストリームとして配信されている放送データ)を送信するよう要求する。放送局サーバ16はこの要求に応じて放送データを返信するので、放送データ取得モジュール50は返信されて来た放送データを受信してMP3データベース34に保存する。すなわち、放送データ取得モジュール50は放送局サーバ16から放送データをダウンロードする。
【0092】
図23に示した例では、取得モジュール40で放送局サーバ16からキューシート及び番組表を直接取得し、フォーマット変換部21でキューシート及び番組表のフォーマットを共通フォーマットに変換するようにしているが、図8に示したように取得モジュール40でキューシートサーバ12からキューシート及び番組表を取得してもよい。
【0093】
また、キューシート及び番組表が放送データに多重化されている場合は、図24に示すように、デマルチプレクサ(DMUX)52を設ければよい。デマルチプレクサ52は、取得モジュール40に代わりにキューシート及び番組表を取得する機能を有するもので、放送データ取得モジュール50で取得した放送データからキューシート及び番組表を分離する。放送データそのものはMP3データベース34に保存され、分離されたキューシートはキューシートデータベース37に、番組表は番組表データベース71にそれぞれ保存される。
【0094】
また、FM文字多重放送などのように、無線放送で送信される放送データにDARC(DAta Radio Channel)方式等によりキューシート及び番組表を文字情報として多重化することも可能である。この場合、図25に示すように、FM文字多重放送対応のFMチューナ14を用い、受信部54で受信した放送データからデマルチプレクサ52でキューシート及び番組表を分離する。放送データそのものはADC31及びMP3エンコーダ32を介してMP3データベース34に保存される。一方、分離されたキューシート及び番組表は、必要に応じて共通フォーマットに変換され、キューシートデータベース37及び番組表データベース71に保存される。
【0095】
また、図8に示したFMチューナ14及びPC13の両方の機能を備えた一体型のエアチェック装置にしてもよいことは上述したが、ネットワークインターフェースを有していないエアチェック装置には取得モジュールを設けることはできない。したがって、このような場合は、図26に示すように、ネットワークインターフェースを有するPC56に取得モジュール40を設け、PC56をエアチェック装置58の入出力インターフェース60に接続すればよい。入出力インターフェース60としては、USB(Universal Serial Bus)、IrDA(Infrared Data Association)などのほか、メモリカードを利用してもよい。
【0096】
この例では、PC56は取得モジュール40でキューシートサーバ12又は放送局サーバ16からキューシート及び番組表を取得し、エアチェック装置58の入出力インターフェース60を介してキューシートデータベース37及び番組表データベース71に保存する。取得モジュール40で取得するキューシート及び番組表のフォーマットが共通フォーマットでない場合、フォーマット変換部を図25に示すようにPC56に設けるか、エアチェック装置58に設けるか、すればよい。なお、PC56に代えて、携帯電話機やPDA等の携帯情報端末を用いてもよい。
【0097】
また、MP3データベース34には外部から取得したMP3データを保存しているが、ここに他の方法で取得したMP3データを一緒に保存してもよい。
上記実施の形態では、抽出条件データベース90に基づいて、HDD133に記録された放送データのうち、ユーザ所望の曲を抽出したが、PC13は、キューシートが更新されて新たな曲情報を取得するごとに、その曲情報に基づいて曲データを抜き出し、順次HDD133又はメモリ132に格納してもよい。要するに、抽出条件データベース90は、曲データを抽出するときに利用されなくてもよい。
【0098】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるエアチェックシステムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示したパーソナルコンピュータ(PC)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示したキューシートサーバの構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図1に示したエアチェックシステムで使用されるキューシートのデータ構造を示す図である。
【図5】図4に示したキューシートの一例を示す図である。
【図6】図1に示したエアチェックシステムで使用される番組表の一例を示す図である。
【図7】図3に示したキューシートサーバの動作を示すフロー図である。
【図8】図1に示したエアチェック装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図9】図8に示したPCの動作を示すフロー図である。
【図10】図8で示したPCで生成される録音管理状況テーブルのデータ構造を示す図である。
【図11】図10に示した録音管理状況テーブルの一例を示す図である。
【図12】図8に示したPCによるインデックスファイルの生成方法及び曲の抽出方法を説明するための図である。
【図13】図8に示したPCで生成されるインデックスファイルのデータ構造を示す図である。
【図14】図8に示したPCで実行される曲転送処理の詳細を示すフロー図である。
【図15】図5と異なるキューシートの他の一例を示す図である。
【図16】図5及び図15と異なるキューシートの他の一例を示す図である。
【図17】図8に示したPCで生成される曲データベースのデータ構造を示す図である。
【図18】図8に示したPCが記憶する抽出条件データベースのデータ構造を示す図である。
【図19】図8に示したPCが実行する応答処理の詳細を示すフロー図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態の概要を説明するための図である。
【図21】図14と異なる他の曲転送処理の詳細を示すフロー図である。
【図22】本発明の実施の形態によるPCの他の例を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態によるPCのさらに他の例を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態によるPCのさらに他の例を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態によるFMチューナ及びPCの他の例を示す図である。
【図26】本発明の実施の形態によるエアチェック装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
5 携帯端末
10 エアチェックシステム
12 キューシートサーバ
13 パーソナルコンピュータ
14 FMチューナ
24,26,29 キューシート
39 ウェブインターフェース
40 取得モジュール
69,70 番組表
80 エアチェック装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、前記サーバに接続されるエアチェック装置とを備えるエアチェックシステムであって、
前記サーバは、
放送局から放送された複数のコンテンツの放送時間に関する複数のコンテンツ情報を含むキューシートを記憶するサーバ記憶手段と、
時間の経過に伴い放送されたコンテンツのコンテンツ情報を順次前記キューシートに追加して前記キューシートを更新する更新手段と、
前記キューシートに追加されたコンテンツ情報を順次前記エアチェック装置に送信するサーバ送信手段とを備え、
前記エアチェック装置は、
放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、
前記受信された放送データを記憶するエアチェック記憶手段と、
前記キューシートに追加されたコンテンツ情報を前記サーバから順次取得する取得手段と、
前記追加されたコンテンツ情報を取得したとき、前記コンテンツ情報を参照して、前記エアチェック記憶手段に記憶された放送データからコンテンツを抽出する抽出手段とを備えることを特徴とするエアチェックシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のエアチェックシステムであってさらに、
前記エアチェック装置に接続可能なユーザ端末を備え、
前記エアチェック装置はさらに、
前記コンテンツを抽出したとき、前記抽出されたコンテンツを前記ユーザ端末に送信するエアチェック送信手段を備えることを特徴とするエアチェックシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のエアチェックシステムであって、
前記エアチェック記憶手段はさらに、コンテンツの抽出条件を記憶し、
前記抽出手段はさらに、前記抽出条件を満たすコンテンツを抽出することを特徴とするエアチェックシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のエアチェックシステムであって、
前記コンテンツ情報は、コンテンツの放送開始時刻を含み、
前記サーバ記憶手段はさらに、前記放送局から放送される複数の番組の放送時間に関する番組表情報を記憶し、
前記取得手段はさらに、前記番組表情報を前記サーバから取得し、
前記抽出手段はさらに、前記追加されたコンテンツ情報により特定されるコンテンツを放送した番組の番組終了時刻を特定し、前記追加されたコンテンツ情報内の放送開始時刻と前記番組終了時刻とに基づいて、前記追加されたコンテンツ情報により特定されるコンテンツを前記放送データから抽出することを特徴とするエアチェックシステム。
【請求項5】
請求項2に記載のエアチェックシステムであって、
前記エアチェック送信手段はさらに、
前記抽出されたコンテンツを送信する前に、前記ユーザ端末に通知を送信する通知手段と、
前記通知を送信したユーザ端末から応答を受けたとき、前記抽出されたコンテンツを送信するコンテンツ送信手段とを備えることを特徴とするエアチェックシステム。
【請求項6】
放送されたコンテンツの放送時間に関するコンテンツ情報が時間の経過に伴い順次追加されるキューシートを有するサーバに接続可能なエアチェック装置であって、
放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、
前記受信された放送データを記憶するエアチェック記憶手段と、
前記キューシートに追加されたコンテンツ情報を前記サーバから順次取得する取得手段と、
前記追加されたコンテンツ情報を取得したとき、前記コンテンツ情報を参照して、前記エアチェック記憶手段に記憶された放送データからコンテンツを抽出する抽出手段とを備えることを特徴とするエアチェック装置。
【請求項7】
請求項6に記載のエアチェック装置であってさらに、
ユーザ端末と接続可能であり、
前記エアチェック装置はさらに、
前記コンテンツを抽出したとき、前記抽出されたコンテンツを前記ユーザ端末に送信するエアチェック送信手段を備えることを特徴とするエアチェック装置。
【請求項8】
請求項6に記載のエアチェック装置であって、
前記エアチェック記憶手段はさらに、コンテンツの抽出条件を記憶し、
前記抽出手段はさらに、前記抽出条件を満たすコンテンツを抽出することを特徴とするエアチェック装置。
【請求項9】
請求項6に記載のエアチェック装置であって、
前記コンテンツ情報は、コンテンツの放送開始時刻を含み、
前記取得手段はさらに、前記放送局から放送される複数の番組の放送時間に関する番組表情報を前記サーバから取得し、
前記抽出手段はさらに、前記追加されたコンテンツ情報により特定されるコンテンツを放送した番組の番組終了時刻を特定し、前記追加されたコンテンツ情報内の放送開始時刻と前記番組終了時刻とに基づいて、前記追加されたコンテンツ情報により特定されるコンテンツを前記放送データから抽出することを特徴とするエアチェック装置。
【請求項10】
請求項7に記載のエアチェック装置であって、
前記エアチェック送信手段はさらに、
前記抽出されたコンテンツを送信する前に、前記ユーザ端末に通知を送信する通知手段と、
前記通知を送信したユーザ端末から応答を受けたとき、前記抽出されたコンテンツを送信するコンテンツ送信手段とを備えることを特徴とするエアチェック装置。
【請求項11】
放送されたコンテンツの放送時間に関するコンテンツ情報が時間の経過に伴い順次追加されるキューシートを有するサーバに接続可能なエアチェック装置内のコンピュータに、
放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを記憶するステップと、
前記キューシートに追加されたコンテンツ情報を前記サーバから順次取得するステップと、
前記追加されたコンテンツ情報を取得したとき、前記コンテンツ情報を参照して、前記記憶された放送データからコンテンツを抽出するステップとを実行させることを特徴とするエアチェックプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−290303(P2009−290303A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138221(P2008−138221)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】