説明

コンバイン

【課題】エンジンへ供給する燃料を貯留する燃料タンクを簡単で安価に製作しようとするものである。
【解決手段】走行車台2の前方部に立毛穀稈を刈取り移送する刈取機3を設け、前記走行車台2の上側には、刈取り穀稈を受けて挟持移送中に脱穀する脱穀機4と、エンジン5と、該エンジン5へ供給する燃料を貯留する燃料タンク6等を載置した構成において、前記燃料タンク6は、一個の金型から同じ形状の箱形状であって、底部を上下二段の浅部イと深部ロとから構成される二個の燃料タンク用部品6a、6aを作成し、該二個の燃料タンク用部品6a、6aを上下に重ね合させて燃料タンク6を構成したことを特徴とするコンバイン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
圃場内の植立穀稈を刈り取って脱穀選別するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
走行車台へ載置したエンジンへ供給する燃料を貯留する燃料タンクは、特開平11−243753号公報で示すように、走行車台後方で、脱穀機の横側で、穀粒貯留タンクの後側の空間部へ載置している。又、この燃料タンクへ燃料を供給する給油口は、脱穀機後部の排稈処理装置と、穀粒貯留タンクとの間に形成される空間部へ設けている。
【0003】
又、前記燃料タンクへ供給する燃料を収容した燃料容量を載置可能なタンク載置台を、前記給油口の下方で走行車台から後方へ突出する燃料供給姿勢状態と、上方へ回動退避する格納姿勢状態とに切換自在に設けて、燃料を燃料タンク内への供給を容易にした構成であると記載されているが、この燃料タンクの形状、及び製作方法等については記載されておらず、廉価に構成するなどの特別な作成方法は記載されていない。
【特許文献1】特開平11−243753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行車台へ載置したエンジンへ供給する燃料を貯留する燃料タンクを簡単な製作方法で製作したり、又、外形形状が同じ形状で上下に段差のあるものを二個作り、これを上下に重合させて燃料タンクを作る。この燃料タンクの段差の低い側を脱穀機の右側へ近接させて設け、機体の左右バランスの向上を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
このために、請求項1に記載の発明においては、走行車台2の前方部に立毛穀稈を刈取り移送する刈取機3を設け、前記走行車台2の上側には、刈取り穀稈を受けて挟持移送中に脱穀する脱穀機4と、エンジン5と、該エンジン5へ供給する燃料を貯留する燃料タンク6等を載置した構成において、前記燃料タンク6は、一個の金型から同じ形状の箱形状であって、底部を上下二段の浅部イと深部ロとから構成される二個の燃料タンク用部品6a、6aを作成し、該二個の燃料タンク用部品6a、6aを上下に重ね合させて燃料タンク6を構成したことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0006】
走行車台2の上側には、刈り取り穀稈を刈取機3から受けて、引継ぎ挟持移送中に穀稈を脱穀する脱穀機4と、各部を回転駆動するエンジン5と、該エンジン5へ供給する燃料を貯留する燃料タンク6等を載置して設けている。
【0007】
前記燃料タンク6の製作は、一個の絞り用金型により、同じ形状の箱形状であって、底部を上下二段の浅部イと深部ロとから構成される二個の燃料タンク用部品6a、6aを作成し、該二個の燃料タンク用部品6a、6aを上下に重ね合させて燃料タンク6を構成する。
【0008】
請求項2の発明においては、前記脱穀機4へ内装して、脱穀処理物を揺動選別する揺動選別装置20の揺動軸20aを、脱穀機4の右側壁板4cより突出させて設け、該揺動軸20aの突出部へ装着した揺動用ウエイト20bの下側へ前記燃料タンク6上側の燃料タンク用部品6aの浅部イ側を挿入すると共に、前記脱穀機4の右側壁板4cへ該燃料タンク6の左側部を近接させて設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
【0009】
前記脱穀機4へ内装した脱穀処理物の供給を受けて、揺動選別する揺動選別装置20の揺動軸20aを、脱穀機4を形成する右側壁板4cより突出させて設ける。揺動軸20aの該突出部には、揺動用ウエイト20bを軸支して設け、この揺動用ウエイト20bの下側へ燃料タンク6の上側の燃料タンク用部品6aの浅部イ側を挿入すると共に、脱穀機4の右側壁板4cへ燃料タンク6の左側部を近接させて設ける。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明においては、一個の絞り金型で製作できることにより、金型費が安価で廉価な構成となる。又、一個の絞り金型で同じものを二個作り、上下に使用することで、干渉物を避け、自由なレイアウトができる。
【0011】
請求項2に記載の発明においては、機体の左右バランスの向上を図ることができる。又、該燃料タンク6の装着位置の適応性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台2の前方部には、立毛穀稈を刈取り後方上部へ移送する刈取機3を設けている。又、この走行車台2の上側面には、この刈取機3から刈取り穀稈の供給を受けて、引継ぎ挟持移送中に脱穀する脱穀機4と、この脱穀機4で脱穀した穀粒を受けて、貯留する穀粒貯留タンク7と、コンバイン1の各部を回転駆動するエンジン5と、このエンジン5へ供給する燃料を貯留する燃料タンク6等とを載置している。
【0013】
前記燃料タンク6の製作方法、及び外観形状等を主に図示して説明する。
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、図6で示すように、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ8aを張設した走行装置8を配設し、走行車台2の上側面に脱穀機4を載置した構成である。走行車台2の前方部の刈取機3で立毛穀稈を刈り取りして、後方上部へ移送し、脱穀機4のフィードチェン4aと、挟持杆4bとで引継いで挟持移送しながら脱穀する。脱穀済みで選別済みの穀粒は、脱穀機4の右横側に配設した穀粒貯留タンク7内へ供給され、一時貯留される。
【0014】
前記走行車台2の前方部には、図6で示すように、立毛穀稈を分離するナローガイド9a、及び分草体9bと、立毛穀稈を引起す引起装置9cと、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置10の各掻込装置10aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置11と、刈取りされた穀稈を挟持移送して脱穀機4のフィードチェン4aと挟持杆4bとへ受渡しする穀稈掻込移送装置10の根元・穂先移送装置12a・12b等からなる刈取機3を設けている。該刈取機3は、油圧駆動による伸縮シリンダ13により、土壌面に対して昇降する。
【0015】
前記刈取機3の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆14aの上端部に設ける支持パイプ杆14bを走行車台2の上側面に設けた支持装置14cで回動自在に支持させている。伸縮シリンダ13を作動させると、支持杆14aと共に、刈取機3が上下回動する。
【0016】
前記刈取機3の穀稈掻込移送装置10によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送する穀稈に接触作用することにより、脱穀機4への穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ3aを設けた構成である。
【0017】
前記穀粒貯留タンク7側の前部には、図6で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置15と、操縦席16とを設け、この操縦席16の下側で走行車台2の上側面へエンジン5を載置している。
【0018】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用のミッションケース17内の伝動機構17aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ17bを設けている。
【0019】
前記穀粒貯留タンク7内へ貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク7の後側には、図6で示すように、縦移送螺旋18aを内装した縦移送筒18を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この縦移送筒18の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋19aを伸縮自在に内装した排出オーガ19を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設した構成である。
【0020】
前記エンジン5へ供給する燃料を貯留する燃料タンク6の製作は、図1で示すように、一個のプレス用の絞り用金型により、同じ形状の箱形状で、底部を上下二段とする浅部(イ)と、深部(ロ)とを有すると共に、フランヂ(ハ)を有する二個の燃料タンク用部品6a、6aを鉄板材を絞り加工により製作し、図2で示すように、対角上に上側の燃料タンク用部品6aの浅部(イ)と、下側の燃料タンク用部品6aの深部(ロ)とを上下に重合させると共に、上側の燃料タンク用部品6aの深部(ロ)と、下側の燃料タンク用部品6aの浅部(イ)とを上下に位置させて、重合させて、上下のフランヂ(ハ)部を固着して、一個の燃料タンク6を製作している。
【0021】
又は、図3で示すように、燃料タンク用部品6a、6aの浅部(イ)、(イ)を上下に位置させると共に、深部(ロ)、(ロ)を上下に位置させて、重合させて、上下のフランヂ(ハ)部を固着して、一個の燃料タンク6を製作している。
【0022】
前記エンジン(5)へ供給する燃料を貯留する燃料タンク6の製作は、一個の絞り用金型により、同じ形状の箱形状で、底部を上下二段の浅部(イ)と、深部(ロ)とを有すると共に、フランヂ(ハ)部を有する二個の燃料タンク用部品6a、6aを鉄板材で絞り加工により製作し、上下に該燃料タンク用部品6a、6aを位置させると共に、上下に浅部(イ)と深部(ロ)と対角位置へ位置させて、上下のフランヂ(ハ)部を重合させて、固着して設けるか、又は上下に浅部(イ)は浅部(イ)どうしで、又、深部(ロ)は深部(ロ)どうしで、重合させて、上下のフランヂ(ハ)部を固着し、一個の燃料タンク6としたことにより、一個の絞り金型で製作できることにより、金型費が安価でコストダウンになる。又、一個の絞り金型で同じものを二個作り、上下に使用することで、干渉物を避け、上下を自由にレイアウトができる。
【0023】
前記脱穀機4へ内装して、脱穀処理物を受けて、穀粒と、藁屑、及び塵埃等とに揺動選別する、揺動選別装置20へ設けた揺動軸20aの右側部を、この脱穀機4を略箱形状に形成する右側壁板4cより、突出させて設けている。該揺動軸20aの突出部には、揺動用ウエイト20bを軸支して設け、この揺動用ウエイト20bの下側には、図4、及び図5で示すように、燃料タンク6上側の燃料タンク用部品6aの浅部(イ)が左側へ位置すべく設けている。図2で示すように製作した、燃料タンク6の燃料タンク用部品6aの浅部(イ)を位置させて設けると共に、この燃料タンク6の左側端部を脱穀機4の右側壁板4cへ近接させて設けている。更に、この燃料タンク6は、走行車台2の上側で、脱穀機4の右側壁板4cと、この走行車台2へ前後方向に設けた、走行メインビーム2aの間へ設けている。
【0024】
前記脱穀機4へ内装して、脱穀処理物を揺動選別する、揺動選別装置20の揺動軸20aへ軸支して設けた揺動用ウエイト20bの下側へ燃料タンク6の上側の燃料タンク用部品6aの浅部(イ)側を挿入して設けると共に、脱穀機4の右側壁板4cへ該燃料タンク6の左側部側を、近接させて設けたことにより、コンバイン1の機体バランスの向上を図ることができる。又、この燃料タンク6の装着位置の適応性の向上を図ることができる。更に、この脱穀機4と、穀粒貯留タンク7との間へ設けたことにより、レイアウト性が向上した。
【0025】
図7で示すように、前記コンバイン1の走行車台2上側面の前方左外側部より、後方内側へ向けて、所定角度に傾斜させて、複数個のコントロールバルブ15aを載置して設けている。
【0026】
これにより、前記コントロールバルブ15aを左外側部へ寄せて設けたことにより、メンテナンス性が向上した。又、フレアパイプ15bの折り曲げ回数が減少して、加工工数の低減を図ることができる。
【0027】
図8で示すように、前記走行車台2の上側へ載置したエンジン5の右外側部には、ラジエータ5aを設けると共に、ラジエータ5aの外側には、オイルクーラケース21を設けている。このオイルクーラ21の上下部には、上・下オイルクーラ21a、21bを内装して設けている。又、このオイルクーラ21の下側には、回動具21dを設けると共に、上側に取付具21aを設けている。このオイルクーラケース21を固定、及び右外側へ回動自在に設けている。
【0028】
これにより、前記エンジン5用のラジエータ5aの外側へ設ける。上・下オイルクーラ21a、21bを内装する、オイルクーラケース21を回動自在に設けたことにより、このオイルクーラケース21内の清掃、及びこのオイルクーラケース21と、ラジエータ5aとの間に堆積する藁屑、及び塵埃の除却が容易である。
【0029】
前記操縦席16の左横側へ設けた操作装置15と、支持杆14aの支持パイプ杆14bの右側部へ設けた刈取入力プーリ14dとの間には、図9、及び図10で示すように、防音と、遮熱とを行う、樹脂材、又はゴム材等よりなるシート22を、操縦席16の左横側部へ設けた操作装置15へ装着して設けている。又、このシート22の内側面には、樹脂材等よりなり、防塵を主とした防塵部材23を貼付している。更に、シート22には、切込み22aを設け、この切込み22a部を接続具22bで接続している。
【0030】
前記操縦席16の左横側へ設けた操作装置15の操作ロット15cと、ミッションケース17へ設けた、操作レバー17cとを接続させるが、この操作ロット15cをシート22の切込み22a部へ挿入し、ミッションケース17の操作レバー17cとを接続している。
【0031】
これらにより、前記刈取機3の騒音、及びエンジン5の熱風等が防止できる。又、シート22を使用することにより、組立性、及びメンテナンス性が向上する。更に、防塵部材23を設けたことにより、更に、騒音、熱風、及び防塵性の向上を図ることができる。操作ロット15cの組付けが容易である。
【0032】
前記フィードチェン4aの右側には、図11、及び図12で示すように、補助チェン4dを設け、この補助チェン4dの補助チェンパイプ4eの上側には、補助引継ガイド装置24を設けている。又、フィードチェン4aのフィードチェンパイプ4fの上側には、引継ガイド装置29を設けている。
【0033】
前記補助引継ガイド装置24の装着は、図11、及び図12で示すように、受板27の上側へ設けたL字形状の支持板26の取付パイプ25bへ設けた取付板25aをボルト、及びナット等により、装着している。この取付パイプ25bへ補助引継ガイド装置24の略L字形状の補助ガイド杆24aを挿入し、この挿入部の先端部には、抜止めボス24cを設けて抜止めを施している。この抜止めボス24cには、掛具24dを固着している。この掛具24dと、支持板26へ設けた取付板26aとには、スプリング24eを掛け渡している。
【0034】
前記補助ガイド杆24aの移送終端部には、補助ガイド板24bを固着して設けている。これら補助ガイド杆24aと、補助ガイド板24bとの下側部は、補助チェン4dの補助チェンパイプ4eの外径部へ当接状態に、スプリング24eで下方へ引付けする。
【0035】
又、前記補助チェン4dの各補助チェンパイプ4eの移送終端側の回転軌跡(ホ)と、補助ガイド杆24aの補助ガイド板24bの下側面(ニ)とは、略平行状態に形成し、移送中の穀稈を確実に挟持移送すべく形成している。
【0036】
前記フィードチェン4aの各チェンパイプ4fの上側へ設けた、引継ガイド装置29の装着は、図11、及び図12で示すように、補助引継ガイド装置24の取付パイプ25bの外径部へ取付板27aを装着し、この取付板27aへ支持パイプ27bを設けている。この支持パイプ27bへ略コ字形状で、二個の長孔28bを有する受板28aを、支持軸28cで回動自在に軸支している。
【0037】
前記受板28aの長孔28b部へ引継ガイド装置29のガイド板29aをボルト、及びナットで装着し、このガイド板29aでフィードチェン4aへ穀稈を押し付けて、このフィードチェン4aと、挟持杆4bと、ガイド板29aとにより、挟持移送する。
【0038】
これにより、前記補助引継ガイド装置24の補助ガイド杆24aの移送終端部へ設けた補助ガイド杆24bの下側面(ニ)と、補助移送チェン4dの各補助チェンパイプ4e外径部の移送終端部側の回転軌跡(ホ)とは、略平行状態に設けたことにより、移送する穀稈に詰りが発生することなく、スムーズに移送される。又、この補助ガイド板24b全体で穀稈を挟持して移送する状態になることにより、少量の穀稈を移送時でも、確実に移送することができる。
【0039】
前記脱穀機4の前側には、図13〜図20で示すように、入口漏斗30を接続させて設けると共に、この入口漏斗30の下側には、ゴム材、又は樹脂材よりなる脱穀用垂れ部材30aを装着している。
【0040】
前記刈取機3は、上下回動移動自在な構成において、穂先移送装置12bの移送終端部の上側には、供給引継ぎ装置12cを設けている。この供給引継ぎ装置12cの上側で、脱穀機4の入口漏斗30の上側には、ゴム材等よりなる引継ガイド板31を設け、このガイド板31の移送始端部の上側へ上取付板31cを設けると共に、下側へ下取付板31dを設け、この下取付板31dの下側には、移送始端部の左右両側には、取付部31bを有して、移送終端部へ向けて、大きい円形状に、線材等で略コ字形状に形成したガイド31aを、ボルト、及びナット等により、一体に締付けしている。上取付板31cの移送始端部側を、供給引継ぎ装置12cの上側面へ装着している。
【0041】
前記引継ガイド板31と、ガイド31aと、脱穀用垂れ部材30aとの関係は、刈取機3を標準の刈取り状態へ回動移動操作したときには、図18で示すように、ガイド31aは、脱穀用垂れ部材30aとは、所定の隙間を有すると共に、入口漏斗30の前端下部より、所定寸法下部に位置した状態である。又、この刈取機3を最下降位置へ回動移動操作したときには、図19で示すように、ガイド31aは、入口漏斗30の下端部へ近接状態になる。更に、この刈取機3を最上部位置へ回動移動操作したときは、図20で示すように、ガイド31aと、脱穀用垂れ部材30aとは、当接状態になる。
【0042】
これにより、前記脱穀機4の入口漏斗30から、引継ガイド板31が落ちることを防止できる。又、ガイド31aで脱穀用垂れ部材30aを破損させることがなく、下部へスムーズに逃げることができる。
【0043】
前記刈取機3を左側方外側へ回動移動操作する構成において、補助チェン4dは、図21、及び図22で示すように、移送終端部の駆動軸4hを回動中心として、上下回動自在な構成である。補助チェン4d用の補助引継ガイド装置24と、フィードチェン4a用の引継ガイド装置29とは、補助チェン4dを上方へ回動移動操作する。前段で、上方へ回動移動操作するが、この上方への回動移動操作により、これら両引継ガイド装置24、29は、支点越えをして、その状態のままで保持される。
【0044】
これにより、前記補助チェン4dを上方回動移動操作しないと、刈取機3を左側方外側への回動移動操作できないが、各引継ガイド装置24、29を上方へ回動移動操作することにより、補助チェン4dの上方回動移動操作が可能となり、これに伴って刈取機3を左側方外側へ回動移動が可能となる。又、各チェン4a、4d部へ穀稈の詰りが発生したときには、各引継ガイド装置24、29を上方へ回動操作により、詰り穀稈の除却が容易になる。
【0045】
図21、及び図22で示すように、前記補助引継ガイド装置24を上方へ回動移動操作し、支点越えした状態での支持は、刈取機3を支持する左右支持フレーム32を上部へ設けた支持板32aの支持ピン32bで支持させている。又、引継ガイド装置29には、直接スプリング等を設けていないことで、弾発することがなく支持部材を設けていない。
【0046】
これにより、前記左右支持フレーム32の一部を共用使用することにより、構成が簡単であり、コストダウンになる。又、支点越えの一定位置で支持されることにより、上方へ回動時の支持が安定する。
【0047】
前記根元移送チェン12aの移送終端部には、図23〜図28で示すように、テンション装置33を設けている。又、この根元移送チェン12aには、チェン摺し装置36、及びチェン挟持装置37を設け、このチェン挟持装置37と、チェン摺し装置36とは、接続パイプ36aで接続している。
【0048】
前記テンション装置33には、支持軸34を設け、この支持軸34の操作により、このテンション装置33で根元移送チェン12aのチェン張りをする。前記テンション装置33には、上・下支持板33a、33bを設け、この上・下支持板33a、33b間には、テンション用スプロケット33cをテンション軸33dで軸支して設けている。このテンション用スプロケット33cへ根元移送装置12aの根元移送チェン移送終端部を掛け渡ししている。
【0049】
前記上支持板33aの穀稈移送側には、上案内杆35aをこの上支持板33aの外形形状に合わせて、略円形状に形成して設けている。又、下支持板33bの穀稈移送側には、下案内杆35bをこの下支持板33bの外観形状に合わせて、略直線形状で移送終端部側を円形状に形成して設けている。更に、この下支持板33bには、テンション用スプロケット33dの外径部が位置する箇所から、この下支持板33bの移送終端部外側端部より突出させて、巻付き防止杆35cを設けている。
【0050】
前記上支持板33aへ設ける上案内杆35aの下部外径部は、図26〜図28で示すように、この上支持板33aの下側面と同じ位置とするか、又は、この上支持板33aの下側面を所定寸法上側へ位置へ設けている。下支持板33bと、この下支持板33bへ設ける下案内杆35bとの関係位置は、図27で示すように、上支持板33aと、上案内杆35aとの関係位置の逆にして装着し、これら上・下案内杆35a、35b、及び上・下支持板33a、33b間の各間隔(T1)を狭くしている。
【0051】
これにより、前記上・下案内杆35a、35b間の間隔を狭くすることができて、根元移送チェン12aの傾向き時、及び緩み時にも、穀稈の詰りと、巻き込みを防止できる。又、この根元移送チェン12aの引っ掛かりを防止することができる。
【0052】
図29、及び図30で示すように、三条列の穀稈を刈取りする前記刈取機3の穀稈掻込移送装置10の右外側掻込装置10aへ設けた右下部スプロケット38bと、移送終端部の上部スプロケット38cと、右テンション装置38dの各プーリとへ掛け渡した右根元移送装置38の右根元移送チェン38aと、左外側の掻込装置10aへ設けた左下部スプロケット39bと、移送終端部の左テンション装置39cのプーリと、チェン受レール39dとへ掛け渡した左根元移送装置39の左根元移送チェン39aと、扱深さ調節チェン40とを設けている。又、この扱深さ調節チェン40の外側には、調節チェン挟持杆装置40aを設けている。
【0053】
前記左・右根元移送チェン39aと、38aとで後方上部へ移送されて、合流部(ニ)で合流する。この合流部(ニ)近傍部では、これら右根元移送チェン38aと、扱深さ調節チェン40との回転外周先端部の間隔は、所定間隔(T2)を設けて位置させている。又、合流部(ニ)近傍部では、これら左根元移送チェン39aと、扱深さ調節チェン40との回転外周先端部の間隔は、所定間隔(T3)を設けて位置させている。
【0054】
これにより、前記左・右根元移送チェン39a、38aにより、合流部(ニ)へ移送される穀稈量が、左右で異なったときでも、扱深さ調節チェン40へ確実に引継ぎできる。
図31、及び図32で示すように、前記右根元移送装置38の右根元移送チェン38aと、左根元移送装置39の左根元移送チェン39aとを略Y字形状に形成して設け、これら左・右根元移送チェン39a、38aで移送される穀稈を、移送終端部の合流部(ニ)へ案内する上・中ガイド41a、41bを設けている。
【0055】
前記上・中ガイド41a、41bは、支柱42へ設けた取付板42aへボルト、及びナット等に取付けしている。この上ガイド41aの移送終端部の湾曲に形成した湾曲部は、右側の右根元移送チェン38aの穀稈移送の阻害にならない位置であり、穀稈を挟持移送の時は、扱深さ調節チェン40の移送ラインに沿わせた形状に形成して設ける。又、この中ガイド41bの移送終端部の湾曲に形成した湾曲部は、左根元移送チェン39aの移送終端部の上側部へ位置させて設け、穀稈を挟持移送の時には、内側へ変化するように設けている。更に、上ガイド41aは、中ガイド41bの所定距離上部へ位置させて設けている。
【0056】
これにより、少量穀稈から多量穀稈までの移送適応性が向上する。
図33、及び図34で示すように、前記刈取機3の穀稈掻込移送装置10には、前記右根元移送チェン38aの上側には、移送チェン43aへ複数個の移送ラグ43bを設けた、穂先右下移送装置43と、移送チェン44aへ複数個の移送ラグ44bを設けた、穂先右上移送装置44と、左根元移送装置39aの上側には、移送チェン45aへ複数個の移送ラグ45bを設けた、穂先左下移送装置45と、移送チェン46aへ複数個の移送ラグ46bを設けた、穂先左上移送装置46と、移送チェン47aへ複数個の移送ラグ47bを設けた、穂先中下移送装置47と、移送チェン48aへ複数個の移送ラグ48bを設けた、穂先中上移送装置48等とを設け、これらは全て上下二段方式としている。
【0057】
図33で示すように、平面視においては、前記穂先左下移送装置45の内側で、図34で示すように、側面視においては、この穂先左下移送装置45と、穂先左上移送装置46との間には、穀稈の穂先側の倒れを防止すべく、倒れ防止具49を設けている。この倒れ防止具49の後端部は、穂先右下移送装置43の各穂先ラグ43bの回転外周の先端部との間に所定間隔(T4)を設けている。又、前端部は、引起装置9cの引起ケース9dの下側へ装着している。
【0058】
これにより、短稈の穀稈でも倒れることなく確実に移送され、穀稈の詰りを防止できる。又、長稈のときには、右側部と合流する直前まで、左側部の穀稈の穂先の移送姿勢の安定化を図ることにより、少量、及び多量穀稈の移送時でも、詰りなく移送できる。
【0059】
図35〜図37で示すように、前記刈取機3の穀稈掻込移送装置10の右穂先移送装置50の上下の各右穂先移送ケース50a、50a内には、穀稈を後方上部へ移送する、複数個の移送ラグ50cを設けた移送チェン50bを回転自在に軸支内装している。
【0060】
前記右穂先移送装置50の移送ラグ50cの移送通路の移送終端部上下間には、丸棒材等で略へ字形状に形成した上穂先ガイド51aを設けると共に、丸棒材等で略く字形状に形成した下穂先ガイド51bとを設けている。これら上・下穂先ガイド51a、51b間で、平面視交差部の近傍部には、穀稈がこの上穂先ガイド51a部より、外側へはみ出すことを防止すると共に、ステー51cへの引っ掛かりを防止すべく、これら上・下穂先ガイド51a、51b間には、面で形成するはみ出し防止用の防止用カバー52を装着して設けている。
【0061】
これにより、前記防止用カバー52で案内面を設けたことにより、多量の穀稈移送時、又は、長稈を移送のときでも、穀稈の移送通路を確保することができる。更に、上・下穂先ガイド51a、51b間を継ぐことにより、強度アップを図ることができると共に、上下に開くことを防止できる。移送中の穀稈のはみ出し、ステー51cへの穀稈の引っ掛かりが防止できる。
【0062】
図38〜図40で示すように、前記刈取機3から脱穀機4へ引継ぎ脱穀する穀稈のこぎ深さを検出する検出装置53を、刈取機3の穀稈移送終端部で、この脱穀機4へ供給する前段部へ設けている。
【0063】
前記検出装置53は、浅い側と、深い側とを検出する、浅い側の株元側ガイドセンサ53aと、深い側の穂先側ガイドセンサ53bとを、下端部を折曲した略L字形状の取付板55を介して、この取付板55の上側には、下端部を折曲した略L字形状の受板54を、重合させて設け、この受板54の長孔54a部には、この取付板55を貫通して、これら株元側・穂先側ガイドセンサ53a、53bの各取付軸部を挿入して、ナット等で装着している。
【0064】
前記受板54の折曲部の反対側の上端部には、へ字形状のカバー56を設けている。取付板55は、受板54の折曲部と、カバー56との間に設け、この取付板55と、この株元側・穂先側ガイドセンサ53a、53bとを一体で摺動移動自在で、スムーズに摺動移動可能に設けている。
【0065】
前記カバー56の上側面には、取付用孔を有する取付用孔57aを装着した、略三角形状の装着板37bを設けている。
前記検出装置53の取付板55と、この取付板55へ装着した株元側・穂先側ガイドセンサ53a、53bとが一体になった、この一体物を刈取る穀稈の稈長により、上下移動操作する。又、標準稈長時には、取付板55へ設けた表示ピン55aを、カバー56へ設けた三角形状の表示マーク56aの位置へ合わせると、標準稈長位置となり、両ガイドセンサ53a、53bが「ON」状態になると、標準稈長の穀稈の刈取りになる。58は移動操作用部品である。
【0066】
これにより、前記取付板55と、株元側・穂先側ガイドセンサ53a、53bとの摺動移動抵抗の軽減を図ったことにより、スムーズな摺動移動ができる。又、構成が簡単であり、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】燃料タンクの燃料タンク用部品図
【図2】燃料タンクの正面図
【図3】燃料タンクの正面図
【図4】燃料タンクの取付部の拡大背面図
【図5】燃料タンクの取付部の拡大側面図
【図6】コンバインの左側全体側面図
【図7】コントロールバルブの取付部の拡大平面図
【図8】オイルクーラケース部の取付部の正面図
【図9】シートの取付部の拡大側面斜視図
【図10】シートの取付部の背面図
【図11】補助引継ガイド装置部と、引継ガイド装置部との拡大側面図
【図12】補助引継ガイド装置部と、引継ガイド装置部との拡大平面図
【図13】引継ガイド板部の側面図
【図14】引継ガイド板部の平面図
【図15】引継ガイド板と、ガイドとの拡大平面図
【図16】ガイドの拡大平面図
【図17】ガイドの拡大側面図
【図18】刈取機作業時の引継ガイド板と、脱穀用垂れ部材との拡大側面図
【図19】刈取機最下降時の引継ガイド板と、脱穀用垂れ部材との拡大側面図
【図20】刈取機最上昇時の引継ガイド板と、脱穀用垂れ部材との拡大側面図
【図21】補助引継ガイド装置、及び引継ガイド装置と、補助チェン、及びフィードチェンとの拡大側面図
【図22】補助引継ガイド装置、及び引継ガイド装置と、補助チェン、及びフィードチェンとの拡大平面図
【図23】根元チェンのテンション装置部の拡大側面図
【図24】根元チェンのテンション装置部の拡大平面図
【図25】テンション装置部の拡大側面図
【図26】テンション装置部の拡大平面図
【図27】上テンション支持板と、上案内杆との取付時の拡大平面図
【図28】上テンション支持板と、上案内杆との取付時の拡大平面図
【図29】右根元移送装置と、左根元移送装置と、扱深さ調節チェンとの拡大平面図
【図30】右根元移送チェンと、左根元移送チェンと、扱深さ調節チェンとの取付部の拡大平面図
【図31】左根元移送チェンと、上・下ガイドとの取付部の拡大平面図
【図32】左根元移送チェンと、上・下ガイドとの取付部の拡大側面図
【図33】倒れ防止具の取付部の拡大平面図
【図34】倒れ防止具の取付部の拡大側面図
【図35】防止用カバーの取付部の拡大平面図
【図36】防止用カバーの取付部の拡大側面図
【図37】防止用カバーの取付部の拡大斜視図
【図38】検出装置部の拡大正面図
【図39】検出装置部の拡大平面図
【図40】検出装置部の拡大平面図
【符号の説明】
【0068】
2 走行車台
3 刈取機
4 脱穀機
4c 右側壁板
5 エンジン
6 燃料タンク
6a 燃料タンク用部品
20 揺動選別装置
20a 揺動軸
20b 揺動用ウエイト
イ 浅部
ロ 深部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車台(2)の前方部に立毛穀稈を刈取り移送する刈取機(3)を設け、前記走行車台(2)の上側には、刈取り穀稈を受けて挟持移送中に脱穀する脱穀機(4)と、エンジン(5)と、該エンジン(5)へ供給する燃料を貯留する燃料タンク(6)等を載置した構成において、前記燃料タンク(6)は、一個の金型から同じ形状の箱形状であって、底部を上下二段の浅部(イ)と深部(ロ)とから構成される二個の燃料タンク用部品(6a)、(6a)を作成し、該二個の燃料タンク用部品(6a)、(6a)を上下に重ね合させて燃料タンク(6)を構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記脱穀機(4)へ内装して、脱穀処理物を揺動選別する揺動選別装置(20)の揺動軸(20a)を、脱穀機(4)の右側壁板(4c)より突出させて設け、該揺動軸(20a)の突出部へ装着した揺動用ウエイト(20b)の下側へ前記燃料タンク(6)上側の燃料タンク用部品(6a)の浅部(イ)側を挿入すると共に、前記脱穀機(4)の右側壁板(4c)へ該燃料タンク(6)の左側部を近接させて設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2007−216703(P2007−216703A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36126(P2006−36126)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】