説明

サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブ

【課題】 本発明は、カバー層の損傷を防止し、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的な接合信頼性を確保できるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブを提供することを目的とするものである。
【解決手段】 サスペンション用基板の端子部の下のベース絶縁層に開口を設けて、その開口内に層間熱伝導部を形成し、さらに、その下の金属支持体に開口を設けて、その開口内に熱伝導体ランド部を形成し、前記層間熱伝導部を通じて、前記端子部と前記熱伝導体ランド部とを熱的に接続させることにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)に用いられるサスペンション用基板(フレキシャ)に関し、より詳しくは、端子部近傍のカバー層の損傷を防止し、磁気ヘッドスライダや外部回路の端子部との電気的な接合信頼性を向上させることができるサスペンション用基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハードディスクドライブ(HDD)は、データが記憶されるディスクに対してデータの書き込み、および読み取りを行う磁気ヘッドスライダが実装されるサスペンション用基板を備えている。
このサスペンション用基板は、バネ性を有する金属支持体と、前記金属支持体の上に形成されたベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成された配線と、前記ベース絶縁層の上に形成され、前記配線と接続されている端子部と、を有している。
前記端子部は、磁気ヘッドスライダや外部回路と電気的に接続するためのものである。
【0003】
ここで、一般に、前記配線は銅(Cu)を含む材料からなり、外気との接触による腐食を防止するために、ポリイミド等からなるカバー層によって被覆保護されている。一方、前記端子部の大部分は、磁気ヘッドスライダや外部回路と電気的に接続するために、カバー層から露出しており、その表面には、金(Au)等を含む材料からなるめっき膜が形成されている。
なお、前記配線と前記端子部の境界においては、一般に、前記配線のみならず、前記端子部の一部もカバー層で覆われている形態になっている(特許文献1)。
【0004】
このサスペンション用基板の端子部と、磁気ヘッドスライダや外部回路の端子部とを電気的に接続する方法としては、例えば、両者の端子部の間を、溶融した半田で接合する方法(ソルダージェット法)が知られている(特許文献2)。
【0005】
また、球状の半田(半田ボール)を、配線の端子部の上に配置して、その後、レーザ照射で加熱して半田ボールを溶融させて接合する方法(半田ボールボンディング法)もある(特許文献3)。
【0006】
ここで、磁気ヘッドスライダは、一般に、スライダ本体の一側面に設けられた磁気ヘッドと、この磁気ヘッドと同一側面に設けられ、磁気ヘッドに接続された複数のスライダ端子部とを有している。
そして、前記スライダ端子部は、サスペンション用基板の端子部に対して、所定の高さ位置に配するように設計されている。
それゆえ、前記スライダ端子部との接続に半田を用いる場合には、サスペンション用基板の端子部の上に配置される半田の高さが均一となることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−352155号公報
【特許文献1】特開2002−50018号公報
【特許文献2】特開2003−123217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、HDDの大容量化に伴って磁気ヘッドの高機能化が進んでおり、磁気ヘッドスライダの端子部の数が増加する傾向にあり、それに伴って、サスペンション用基板の端子部の数も増加する傾向にある。
そして、サスペンション用基板の限られた領域に多くの端子部を配置するために、個々の端子部の平面サイズは縮小化され、さらには、各端子部の平面サイズが異なる場合も生じてきている。
【0009】
しかしながら、前記端子部の平面サイズが縮小化される場合、端子部の上に形成される半田と、端子部の一部を被覆するカバー層とが、従来よりも近接することになり、溶融した半田が、端子部の上を濡れ広がってカバー層に接触し、半田の熱でカバー層が損傷してしまうという問題がある。そして、カバー層が損傷してしまうと、その損傷部近傍の端子部や配線が腐食されてしまい、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的接続の信頼性が低下してしまうという問題がある。
【0010】
また、上述のように、複数の端子部において、各端子部の平面サイズが異なる場合には、溶融した半田が冷えるまでに濡れ広がる範囲も変わってしまうため、同一量の半田を各端子部に配したとしても、その高さは各端子部間で不均一となるため、サスペンション用基板の端子部と磁気ヘッドスライダや外部回路の端子部との電気的接続状態に差異が生じてしまい、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的接続の信頼性が低下してしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、前記カバー層の損傷を防止し、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的な接合信頼性を確保できるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、種々研究した結果、前記サスペンション用基板の端子部の下のベース絶縁層に開口を設けて、その開口内に層間熱伝導部を形成し、さらに、その下の金属支持体に開口を設けて、その開口内に熱伝導体ランド部を形成し、前記層間熱伝導部を通じて、前記端子部と、前記熱伝導体ランド部とを接続させることにより、上記課題を解決できることを見出して本発明を完成したものである。
【0013】
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、金属支持体と、前記金属支持体の上に形成されたベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成された配線と、前記ベース絶縁層の上に形成され、前記配線と接続されている端子部と、を有するサスペンション用基板であって、前記ベース絶縁層には、前記端子部の下側の位置において第1の開口を有し、前記第1の開口には、層間熱伝導部を有し、前記金属支持体には、前記端子部の下側の位置において第2の開口を有し、前記第2の開口には、熱伝導体ランド部を有し、前記端子部と前記熱伝導体ランド部とが前記層間熱伝導部を介して接続されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記熱伝導体ランド部は、前記金属支持体と同一材料から形成されており、前記熱伝導体ランド部と前記金属支持体とは、互いに絶縁されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板である。
【0015】
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記端子部の一部がカバー層で覆われていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサスペンション用基板である。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記熱伝導体ランド部の厚みが、前記金属支持体の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のサスペンション用基板である。
【0017】
また、本発明の請求項5に係る発明は、第1の端子部と、前記第1の端子部よりも平面サイズの小さい第2の端子部とを含む、複数の前記端子部と、前記第1の端子部に接続された第1の層間熱伝導部と、前記第2の端子部に接続された第2の層間熱伝導部とを含む、複数の前記層間熱伝導部とを有し、前記第2の層間熱伝導部の容積が、前記第1の層間熱伝導部の容積よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のサスペンション用基板である。
【0018】
また、本発明の請求項6に係る発明は、第1の端子部と、前記第1の端子部よりも平面サイズの小さい第2の端子部とを含む、複数の前記端子部と、前記第1の端子部に接続された第1の層間熱伝導部と、前記第2の端子部に接続された第2の層間熱伝導部とを含む、複数の前記層間熱伝導部とを有し、前記第2の層間熱伝導部の個数が、前記第1の層間熱伝導部の個数よりも多いことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のサスペンション用基板である。
【0019】
また、本発明の請求項7に係る発明は、第1の端子部と、前記第1の端子部よりも平面サイズの小さい第2の端子部とを含む、複数の前記端子部と、前記第1の端子部に接続された第1の層間熱伝導部と、前記第2の端子部に接続された第2の層間熱伝導部とを含む、複数の前記層間熱伝導部と、前記第1の層間熱伝導部に接続された第1の熱伝導体ランド部と、前記第2の層間熱伝導部に接続された第2の熱伝導体ランド部とを含む、複数の前記熱伝導体ランド部と、を有し、前記第2の熱伝導体ランド部の容積が、前記第1の熱伝導体ランド部の容積よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のサスペンション用基板である。
【0020】
また、本発明の請求項8に係る発明は、前記層間熱伝導部が、ニッケルを含む材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のサスペンション用基板である。
【0021】
また、本発明の請求項9に係る発明は、複数の前記端子部上に各々半田を有し、前記半田の高さは、複数の前記端子部間で互いに均一であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のサスペンション用基板である。
【0022】
また、本発明の請求項10に係る発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のサスペンション用基板と、ロードビームとを含むことを特徴とするサスペンションである。
【0023】
また、本発明の請求項11に係る発明は、請求項10に記載のサスペンションと、前記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有することを特徴とするヘッド付サスペンションである。
【0024】
また、本発明の請求項12に係る発明は、請求項11に記載のヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、サスペンション用基板の端子部の平面サイズが縮小化された場合であっても、半田の熱は、端子部から層間熱伝導部を経由して、熱伝導体ランド部に伝導するため、溶融した半田が端子部の上を濡れ広がってカバー層に接触し、半田の熱でカバー層が損傷してしまうという問題を解消することができる。
それゆえ、カバー層が損傷することによって端子部や配線が腐食されてしまい、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的接続の信頼性が低下してしまうという問題も解消することができる。
【0026】
また、本発明によれば、複数の端子部において、各端子部の平面サイズが異なる場合においても、溶融した半田が冷えて固まるまでに濡れ広がる範囲を均一にすることができる。
それゆえ、同一量の半田を各端子部に配した場合には、その半田の高さおよび平面サイズを各端子部で均一にすることができ、結果、磁気ヘッドスライダや外部回路の端子部との電気的な接合信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
【図2】本発明に係るサスペンション用基板の第1の実施形態における端子部の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)からカバー層およびめっき膜を削除した図である。
【図3】図2(a)のA−A断面図である。
【図4】本発明に係るサスペンション用基板の第1の実施形態における端子部と半田の関係を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図5】本発明に係るサスペンション用基板の第2の実施形態における端子部の平面図である。
【図6】本発明に係るサスペンション用基板の第2の実施形態における端子部の説明図であり、(a)は図5のC−C断面図、(b)は図5のD−D断面図である。
【図7】本発明に係るサスペンション用基板の第3の実施形態における端子部の平面図である。
【図8】本発明に係るサスペンション用基板の第3の実施形態における端子部の説明図であり、(a)は図7のE−E断面図、(b)は図7のF−F断面図である。
【図9】本発明に係るサスペンション用基板の製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【図10】図9に続く本発明に係るサスペンション用基板の製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【図11】本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図12】本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図13】本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略斜視図である。
【図14】従来のサスペンション用基板の一例における端子部の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)からカバー層およびめっき膜を削除した図である。
【図15】図11(a)のG−G断面図である。
【図16】従来のサスペンション用基板の一例における端子部と半田の関係を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のH−H断面図である。
【図17】従来のサスペンション用基板の他の例における端子部の平面図である。
【図18】従来のサスペンション用基板の他の例における端子部の説明図であり、(a)は図17のI−I断面図、(b)は図17のJ−J断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブについて詳細に説明する。
【0029】
[サスペンション用基板]
まず、本発明に係るサスペンション用基板について説明する。
図1は、本発明に係るサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
図1に示すように、本発明に係るサスペンション用基板1は、先端部分に、磁気ヘッドスライダを搭載するタング部2、および磁気ヘッドスライダのスライダ端子部と電気的に接続される端子部が配設された端子部領域3を有し、テール側端部に外部回路と電気的に接続される端子部が配設された端子部領域4を有し、端子部領域3と端子部領域4との間に、少なくとも、前記磁気ヘッドと外部回路とを電気的に接続するための配線群5、6を有している。
【0030】
ここで、配線群5と配線群6は、相互の電気的な影響を極力避けるため、および、サスペンション用基板の力学的平衡を保つため、各々、サスペンション用基板1の長手方向の両外縁に沿うように配設されている。配線群5、6を構成する配線は、書込配線、読取配線、電源配線、グランド配線等である。
次に、本発明に係るサスペンション用基板の端子部の構成について説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
図2は、本発明に係るサスペンション用基板の第1の実施形態における端子部の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)からカバー層およびめっき膜を削除した図である。なお、配線13および端子部14と、カバー層15の位置関係を分かりやすくするために、図2(a)においては、カバー層15に被覆された配線13および端子部14の一部を、破線で示している。
そして、図3は、図2(a)のA−A断面図である。また、図4は、本発明に係るサスペンション用基板の第1の実施形態における端子部と半田の関係を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【0032】
一方、図14は、従来のサスペンション用基板の一例における端子部の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)からカバー層およびめっき膜を削除した図である。なお、配線113および端子部114と、カバー層115の位置関係を分かりやすくするために、図14(a)においても、カバー層115に被覆された配線113および端子部114の一部を、破線で示している。
そして、図15は、図14(a)のG−G断面図である。また、図16は、従来のサスペンション用基板の一例における端子部と半田の関係を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のH−H断面図である。
【0033】
まず、図14および図15に示すように、従来のサスペンション用基板100は、金属支持体111と、前記金属支持体111の上に形成されたベース絶縁層112と、前記ベース絶縁層112の上に形成された配線113と、前記ベース絶縁層112の上に形成され、前記配線113と接続されている端子部114と、を有している。
配線113はカバー層115によって被覆されており、配線113と端子部114の境界近傍においては、端子部114の一部もカバー層で覆われているが、端子部114の中央部を含む大部分は、カバー層115から露出しており、前記カバー層115から露出する端子部114の表面には、めっき膜117が形成されている。
【0034】
そして、従来のサスペンション用基板100においては、図15に示すように、端子部114は、ベース絶縁層112の介在により、金属支持体111とは電気的にも熱的にも絶縁されている。
【0035】
このような構成において端子部114の平面サイズが小さい場合は、図16に示すように、溶融した半田118は、冷えて固まる前に、端子部114のめっき膜117上を濡れ広がってカバー層115に接触し、半田118の熱でカバー層115の半田接触部120が損傷してしまう恐れがある。
そして、カバー層115が損傷してしまうと、半田接触部120近傍の端子部114や配線113が腐食されてしまい、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的接続の信頼性が低下してしまう。
【0036】
一方、図2および図3に示すように、本発明に係るサスペンション用基板1においては、端子部14の一部(配線13と端子部14の境界近傍)はカバー層で覆われており、カバー層15から露出する端子部14の上にはめっき膜17が形成されている点については、従来の構成と同じであるが、端子部14の下のベース絶縁層12には開口(第1の開口)が形成されていて、この第1の開口には、層間熱伝導部16が形成されており、さらに、端子部14の下の金属支持体11にも開口(第2の開口)が形成されていて、この第2の開口には、熱伝導体ランド部18が形成されており、端子部14の熱が、層間熱伝導部16を通じて熱伝導体ランド部18に伝導するように、端子部14と層間熱伝導部16が接続され、かつ、層間熱伝導部16と熱伝導体ランド部18が接続されている点で、従来の構成と異なる。
【0037】
上述のような構成を有するため、本発明に係るサスペンション用基板1においては、端子部14の平面サイズが縮小化された場合でも、図4に示すように、半田19の熱の一部を、端子部14から層間熱伝導部16を経由して、熱伝導体ランド部18に伝導させることができる。
そして、端子部14と、めっき膜17と、層間熱伝導部16と、熱伝導体ランド部18を合わせた熱容量を調整することにより、溶融した半田19がカバー層15に接触する前に、半田19の熱を分散させ、半田19を固まらせることができる。
【0038】
それゆえ、本発明によれば、溶融した半田が、端子部の上を濡れ広がってカバー層に接触し、半田の熱でカバー層が損傷してしまうという問題を解消することができる。
そして、カバー層が損傷することによって配線が腐食されてしまい、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的接続の信頼性が低下してしまうという問題も解消することができる。
【0039】
ここで、前記層間熱伝導部16は、ベース絶縁層12の上に形成される端子部14と、ベース絶縁層12の下に形成される熱伝導体ランド部18とを、熱的に接続するものである。
本発明において、前記層間熱伝導部16を構成する材料は、熱伝導性を有するものであれば用いることができるが、好ましくは金属であり、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、および、これらの金属の合金等を挙げることができる。中でも、ニッケル(Ni)、またはニッケル(Ni)を含む合金であることが好ましい。
層間熱伝導部16は、例えば、上記のような金属を材料に用いて、電解めっき法により形成することができる。
【0040】
また、前記熱伝導体ランド部18は、熱伝導性を有する材料からなる島状の構造部であって、端子部14の熱の一部を、層間熱伝導部16を通じて吸収する効果を奏するものである。
本発明において、熱伝導体ランド部18には、金属材料を用いることができ、例えば、熱伝導体ランド部18は、金属支持体11と同一材料から形成されていてもよい。
なお、金属は熱伝導性のみならず導電性も有しているため、熱伝導体ランド部18を金属で形成する場合には、熱伝導体ランド部18と金属支持体11とを、互いに絶縁された構造に形成することが必要である。
【0041】
また、本発明においては、熱伝導体ランド部18の厚みは、金属支持体11の厚みよりも小さいことが好ましい。磁気ヘッドの静電破壊を防止できるからである。
【0042】
上記の理由について、説明する。
例えば、熱伝導体ランド部18の厚みが、金属支持体11の厚みよりも大きい場合には、その差分に応じて、熱伝導体ランド部18の一部が、サスペンション基板1の裏面から突出する形態になる。
そして、上述のように、層間熱伝導部16と熱伝導体ランド部18が、金属材料のように導電性も有する材料から形成される場合、熱伝導体ランド部18の前記突出部分が他の物質と接触することによって、他の物質に生じていた静電気が、熱伝導体ランド部18から層間熱伝導部16を経由して、端子部14および配線13に流れてしまい、その結果、磁気ヘッドが静電破壊してしまうという恐れがある。
【0043】
一方、熱伝導体ランド部18の厚みが、金属支持体11の厚みよりも小さい場合には、熱伝導体ランド部18がサスペンション基板1の裏面から突出することはなく、上述のような静電破壊を防止することができる。
それゆえ、本発明においては、熱伝導体ランド部18の厚みは、金属支持体11の厚みよりも小さいことが好ましい。
【0044】
なお、図2〜図4おいては、1個の端子部14に対し、1個の層間熱伝導部16が形成されている例を示しているが、本発明においては、1個の端子部14に対し、複数個の層間熱伝導部16が形成されていても良い。
【0045】
また、図2〜図4おいては、層間熱伝導部16もめっき膜17で被覆されている例を示しているが、本発明においては、めっき膜17は端子部14の表面に形成されていれば良く、層間熱伝導部16の上にはめっき膜17が形成されていない形態であっても良い。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るサスペンション用基板において、上述の構成を有する端子部が複数個あり、各端子部の平面サイズが異なる場合の形態(第2の実施形態)について説明する。
【0047】
図5は、本発明に係るサスペンション用基板の第2の実施形態における端子部の平面図である。そして、図6(a)は、図5のC−C断面図であり、図6(b)は図5のD−D断面図である。
【0048】
一方、図17は、従来のサスペンション用基板の他の例における端子部の平面図である。そして、図18(a)は、図17のI−I断面図であり、図18(b)は、図17のJ−J断面図である。
【0049】
従来のサスペンション用基板100においては、複数個の端子部の各々の平面サイズが異なる場合には、通常、各端子部の厚みが同一であることから、各端子部の容積は平面サイズにしたがって異なることになる。
そして、各端子部は同じ材料から形成されているため、各端子部の容積が異なる場合には、各端子部の有する熱容量も異なってしまうことになる。
【0050】
それゆえ、各端子部の平面サイズが異なる場合には、その平面サイズにしたがって、溶融した半田が冷えて固まるまでの時間に差が生じる。それゆえ、濡れ広がる範囲が各端子部で異なってしまうため、同一量の半田を各端子部に配したとしても、その高さおよび平面サイズは各端子部で不均一となり、磁気ヘッドスライダや外部回路の各端子部との電気的接続も不均一となり、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的接続の信頼性が低下してしまうという問題がある。
【0051】
例えば、図17に示すように、従来のサスペンション用基板100において、平面サイズが異なる端子部114aと端子部114bがある場合、同一量の半田118a、118bを、端子部114aと端子部114bに配したとしても、溶融した半田118a、118bが冷えて固まるまでに濡れ広がる範囲は異なり、平面サイズが小さい端子部114bに配された半田118bの方が、平面サイズが大きい端子部114aに配された半田118aよりも、濡れ広がる範囲は大きくなる。
【0052】
そして、同一量の半田において、濡れ広がる範囲が異なる場合は、各半田の高さも異なることになることから、例えば、図18(a)、(b)に示すように、濡れ広がる範囲が大きい半田118bの高さH6は、濡れ広がる範囲が小さい半田118aの高さH5よりも小さく(低く)なってしまう。
【0053】
一方、本発明によれば、設計上の制約等により、平面サイズが異なる端子部を配置する必要がある場合でも、各端子部におけるめっき膜と、端子部と、層間熱伝導部と、熱伝導体ランド部とを合わせた熱容量が、各端子部において等しくなるように調整することで、各端子部において溶融した半田が冷えて固まるまでに濡れ広がる範囲を均一にすることができる。
それゆえ、同一量の半田を各端子部に配した場合には、その半田の高さおよび平面サイズを均一にすることができ、その結果、磁気ヘッドスライダや外部回路の端子部との電気的な接合信頼性を確保することができる。
【0054】
例えば、図5に示すように、本発明に係るサスペンション用基板1において、平面サイズが異なる端子部14a(第1の端子部)と端子部14b(第2の端子部)がある場合、図6(a)、(b)に示すように、平面サイズが大きい端子部14a(第1の端子部)においては、その分、熱伝導体ランド部18aの容積を小さくなるように形成し、平面サイズが小さい端子部14bにおいては、その分、熱伝導体ランド部18bの容積を大きくなるように形成する。すなわち、端子部14aにおけるめっき膜17aと、端子部14aと、層間熱伝導部16aと、熱伝導体ランド部18aを合わせた熱容量が、端子部14bにおけるめっき膜17bと、端子部14bと、層間熱伝導部16bと、熱伝導体ランド部18bを合わせた熱容量に等しくなるように調整することで、端子部14aにおいて溶融した半田19aが冷えて固まるまでに濡れ広がる範囲と、端子部14bにおいて溶融した半田19bが冷えて固まるまでに濡れ広がる範囲を均一にすることができる。
【0055】
それゆえ、同一量の半田19a、19bを、それぞれ端子部14a、14bに配した場合には、濡れ広がる範囲が均一なため、図6(a)、(b)に示す各半田19a、19bの高さH1、H2を均一にすることができる。
【0056】
なお、図6に示す例においては、前記熱容量の調整を、前記熱伝導体ランド部の容積を調整する方法で達成しているが、本発明においては、前記熱伝導体ランド部の容積を調整する方法に代えて、若しくは、前記熱伝導体ランド部の容積を調整する方法に加えて、前記層間熱伝導部の容積や個数を調整する方法で達成してもよい。
【0057】
例えば、図示はしないが、上述のように、端子部14b(第2の端子部)の平面サイズが、端子部14a(第1の端子部)の平面サイズよりも小さい場合には、端子部14b(第2の端子部)に接続された層間熱伝導部16b(第2の層間熱伝導部)の容積を、端子部14a(第1の端子部)に接続された層間熱伝導部16b(第1の層間熱伝導部)の容積よりも大きくなるように形成して、端子部14aにおけるめっき膜17aと、端子部14aと、層間熱伝導部16aと、熱伝導体ランド部18aを合わせた熱容量が、端子部14bにおけるめっき膜17bと、端子部14bと、層間熱伝導部16bと、熱伝導体ランド部18bを合わせた熱容量に等しくなるように調整しても良い。
【0058】
また、図示はしないが、端子部14b(第2の端子部)に接続された層間熱伝導部16b(第2の層間熱伝導部)の個数を、端子部14a(第1の端子部)に接続された層間熱伝導部16b(第1の層間熱伝導部)の個数よりも多くなるように形成して、端子部14aにおけるめっき膜17aと、端子部14aと、層間熱伝導部16aと、熱伝導体ランド部18aを合わせた熱容量が、端子部14bにおけるめっき膜17bと、端子部14bと、層間熱伝導部16bと、熱伝導体ランド部18bを合わせた熱容量に等しくなるように調整しても良い。
【0059】
なお、ここまでの説明において、熱容量が等しくなるように調整するということは、実際には、端子部や熱伝導体ランド部からの放熱等も考慮して調整するという意味であり、
必ずしも両者の熱容量が一致するとは限らない。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係るサスペンション用基板において、上述のような本発明に係る構成を有する端子部(積層構造の端子部)と、従来の構成からなる端子部(平面構造の端子部)が形成されている場合の形態(第3の実施形態)について説明する。
本発明によれば、従来の構成からなる端子部(平面構造の端子部)に対しても熱容量が等しくなるように、上述の本発明に係る構成を有する端子部(積層構造の端子部)を調整することが可能である。
【0061】
図7は、本発明に係るサスペンション用基板の第3の実施形態における端子部の平面図である。そして、図8(a)は、図7のE−E断面図であり、図8(b)は図7のF−F断面図である。
【0062】
例えば、図7および図8に示すように、本発明に係るサスペンション用基板1に、ベース絶縁層12によって、金属支持体11とは熱的に絶縁されている端子部14c(平面構造の端子部)と、熱伝導体ランド部18dに層間熱伝導部16dを通じて接続されている端子部14d(積層構造の端子部)がある場合、端子部14d(積層構造の端子部)におけるめっき膜17dと、端子部14dと、層間熱伝導部16dと、熱伝導体ランド部18dを合わせた熱容量が、端子部14c(平面構造の端子部)と、その表面に形成されためっき膜17cを合わせた熱容量に等しくなるように調整することで、各端子部14c、14dにおいて溶融した半田19c、19dが冷えて固まるまでに濡れ広がる範囲を均一にすることができる。
【0063】
なお、上述の説明において、熱容量が等しくなるように調整するということは、実際には、端子部や熱伝導体ランド部からの放熱等も考慮して調整するという意味であり、必ずしも両者の熱容量が一致するとは限らない。
【0064】
それゆえ、同一量の半田19c、19dを各端子部14c、14dに配した場合には、図8(a)、(b)に示す各半田19c、19dの高さH3、H4を均一にすることができ、結果、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的な接合信頼性を確保することができる。
【0065】
続いて、以下、本発明のサスペンション用基板を構成する部材について説明する。
【0066】
[金属支持体]
金属支持体の材料としては、サスペンション用基板の支持体として機能し、所望のばね性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばステンレス鋼を挙げることができる。
金属支持体の厚さは、例えば10μm〜30μmの範囲内、中でも15μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
【0067】
[ベース絶縁層]
次に、本発明におけるベース絶縁層について説明する。ベース絶縁層は、金属支持体の表面上に形成されるものであり、ベース絶縁層の上に形成される配線や端子部と、金属支持体とを電気的に絶縁するものである。
ベース絶縁層の材料としては、所望の絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリイミド等を挙げることができる。また、ベース絶縁層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。ベース絶縁層の厚さは、例えば5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
【0068】
[配線および端子部]
次に、本発明における配線および端子部の材料について説明する。
配線および端子部の材料としては、例えば、金属を挙げることができ、具体的には、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、および、これらの金属の合金等を挙げることができ、中でも銅(Cu)が好ましい。導電性が高く、安価だからである。
配線および端子部の厚さは、例えば、1μm〜18μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがより好ましい。
【0069】
[カバー層]
次に、本発明に用いられるカバー層について説明する。腐食等による劣化を防止するため、配線はカバー層で覆われていることが好ましい。カバー層の材料としては、例えば、ポリイミドを挙げることができる。また、カバー層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。カバー層の厚さは、例えば3μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
【0070】
[層間熱伝導部]
次に、本発明に用いられる層間熱伝導部について説明する。層間熱伝導部は、端子部の下のベース絶縁層に設けられた第1の開口内に形成され、前記端子部と前記熱伝導体ランド部とを、熱的に接続するものである。
層間熱伝導部の材料としては、熱伝導性を有するものであれば用いることができるが、好ましくは金属であり、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、および、これらの金属の合金等を挙げることができる。中でも、ニッケル(Ni)、またはニッケル(Ni)を含む合金であることが好ましい。
層間熱伝導部は、例えば、電解めっき法により形成することができる。
【0071】
[熱伝導体ランド部]
次に、本発明に用いられる熱伝導体ランド部について説明する。熱伝導体ランド部は、熱伝導性を有する材料からなる島状の構造部であって、前記端子部の熱の一部を、前記層間熱伝導部を通じて吸収する効果を奏するものである。
本発明において、熱伝導体ランド部には、金属材料を用いることができ、例えば、熱伝導体ランド部は、前記金属支持体と同一材料から形成されていてもよい。
なお、金属は熱伝導性のみならず導電性も有しているため、熱伝導体ランド部を金属で形成する場合には、熱伝導体ランド部と前記金属支持体とを、互いに絶縁された構造に形成することが必要である。
また、本発明においては、熱伝導体ランド部の厚みは、前記金属支持体の厚みよりも小さいことが好ましい。上述のように、磁気ヘッドの静電破壊を防止できるからである。
【0072】
[めっき膜]
次に、本発明に用いられるめっき膜について説明する。めっき膜は、端子部の表面に形成され、半田との接合強度の向上や、露出する端子部の腐食からの保護を目的とするものである。
めっき膜は、電解めっき法により形成され、その材料としては、サスペンション用基板の端子部に用いることができるものであれば、特に制限されず、例えば、Ni(ニッケル)、Au(金)、パラジウム(Pd)などが用いられる。
めっき膜は、多層膜として形成してもよく、例えば、電解Niめっきと電解Auめっきとを順次実施して、下層にNi、上層にAuの多層膜構造とすることができる。この場合、Ni層の厚さは、例えば、0.1〜3μm程度であり、Au層の厚さは、例えば、1〜5μm程度である。
【0073】
[サスペンション用基板の製造方法]
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。なお、本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上述した構成を有するサスペンション用基板を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
【0074】
図9は、本発明に係るサスペンション用基板の製造方法の一例を示す模式的工程図であり、図10は、図9に続く本発明に係るサスペンション用基板の製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【0075】
まず、図9(a)に示すように、金属支持部材11A(例えばステンレス鋼)、ベース絶縁材料層12A(例えばポリイミド)、および導体層13A(例えば銅)が、順次積層された積層体を用意する。
【0076】
次に、ドライフィルムレジストを用いたフォト製版、およびハーフエッチングにより、金属支持部材11Aを加工して、凹部11Bを形成する(図9(b))。
【0077】
次に、ドライフィルムレジストを用いたフォト製版、およびエッチングにより、導体層13Aを加工して、配線13(図示せず)および端子部14を形成する(図9(c))。
【0078】
次に、カバー層15(例えばポリイミド)を、ベース絶縁層12、配線13(図示せず)、および端子部14の端部の上に形成する。(図9(d))。
【0079】
次に、ドライフィルムレジストを用いたフォト製版、およびアルカリ系のエッチング液を用いたエッチングにより、端子部14の中央部に露出するベース絶縁材料層12Aをエッチングして、開口12Bを有するベース絶縁層12を形成する(図10(e))。
【0080】
次に、金属支持部材11Aに通電して、電解めっき法により、前記開口12Bに露出する金属支持部材11Aの上に層間熱伝導部16(例えばニッケル)を形成し、層間熱伝導部16を経由して端子部14と金属支持部材11Aを接続する(図10(f))。
【0081】
次に、金属支持部材11Aに通電して、電解めっき法により、端子部14および層間熱伝導部16の上にめっき膜17(例えば金)を形成する(図10(g))。
【0082】
最後に、ドライフィルムレジストを用いたフォト製版、およびエッチングにより、凹部11Bの周囲に開口11Cを形成して、熱伝導体ランド部18と金属支持体11を形成し、本発明に係るサスペンション用基板1を得る(図10(h))。
【0083】
[サスペンション]
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板と、ロードビームとを含むことを特徴とするものである。
【0084】
図11は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図11に示されるサスペンション30は、上述したサスペンション用基板1と、サスペンション用基板1の裏面側(金属支持体11側)に備え付けられたロードビーム31、及びベースプレート(図示せず)とを有するものである。ロードビーム、及びベースプレートは、一般的なサスペンションに用いられるロードビーム、ベースプレートと同様のものを用いることができる。
【0085】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的な接続信頼性が良好なサスペンションとすることができる。
【0086】
[ヘッド付サスペンション]
次に、本発明のヘッド付サスペンションについて説明する。本発明のヘッド付サスペンションは、上述したサスペンションと、該サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有するものである。
【0087】
図12は、本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図12に示されるヘッド付サスペンション40は、上述したサスペンション30と、サスペンション30のタング部2に実装された磁気ヘッドスライダ41とを有するものである。
【0088】
なお、サスペンション30については、上述した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、磁気ヘッドスライダ41は、一般的なヘッド付サスペンションに用いられる磁気ヘッドスライダと同様のものを用いることができる。
【0089】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、磁気ヘッドスライダや外部回路との電気的な接続信頼性が良好なヘッド付サスペンションとすることができる。
【0090】
[ハードディスクドライブ]
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0091】
図13は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略斜視図である。
図13に示されるハードディスクドライブ50は、ケース51と、このケース51に回転自在に取り付けられ、データが記憶されるディスク52と、このディスク52を回転させるスピンドルモータ53と、ディスク52に所望のフライングハイトを保って近接するように設けられ、ディスク52に対してデータの書き込みおよび読み込みを行うスライダを含むヘッド付サスペンション40とを有している。このうちヘッド付サスペンション40は、ケース51に対して移動自在に取り付けられ、ケース51にはヘッド付サスペンション40のスライダをディスク52上に沿って移動させるボイスコイルモータ54が取り付けられている。また、ヘッド付サスペンション40は、ボイスコイルモータ54にアーム55を介して取り付けられている。
【0092】
なお、ヘッド付サスペンションについては、上述した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0093】
本発明によれば、上述したヘッド付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【0094】
以上、本発明に係るサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブについて説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0095】
1・・・サスペンション用基板
2・・・タング部
3、4・・・端子部領域
5、6・・・配線群
10・・・端子部領域
11・・・金属支持体
11A・・・金属支持部材
11B・・・凹部
11C・・・開口
12・・・ベース絶縁層
12A・・・ベース絶縁材料層
12B・・・開口
13・・・配線
13A・・・導体層
14、14a、14b、14c、14d・・・端子部
15・・・カバー層
16、16a、16b、16c、16d・・・層間熱伝導部
17、17a、17b、17c、17d・・・めっき膜
18、18a、18b、18c、18d・・・熱伝導体ランド部
19、19a、19b、19c、19d・・・半田
30・・・サスペンション
31・・・ロードビーム
40・・・ヘッド付サスペンション
41・・・磁気ヘッドスライダ
50・・・ハードディスクドライブ
51・・・ケース
52・・・ディスク
53・・・スピンドルモータ
54・・・ボイスコイルモータ
55・・・アーム
100・・・サスペンション用基板
110・・・端子部領域
111・・・金属支持体
112・・・ベース絶縁層
113・・・配線
114、114a、114b・・・端子部
115・・・カバー層
117、117a、117b・・・めっき膜
118、118a、118b・・・半田
120・・・半田接触部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持体と、前記金属支持体の上に形成されたベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成された配線と、前記ベース絶縁層の上に形成され、前記配線と接続されている端子部と、を有するサスペンション用基板であって、
前記ベース絶縁層には、前記端子部の下側の位置において第1の開口を有し、
前記第1の開口には、層間熱伝導部を有し、
前記金属支持体には、前記端子部の下側の位置において第2の開口を有し、
前記第2の開口には、熱伝導体ランド部を有し、
前記端子部と前記熱伝導体ランド部とが前記層間熱伝導部を介して接続されていることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
前記熱伝導体ランド部は、前記金属支持体と同一材料から形成されており、前記熱伝導体ランド部と前記金属支持体とは、互いに絶縁されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
前記端子部の一部がカバー層で覆われていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
前記熱伝導体ランド部の厚みが、前記金属支持体の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
第1の端子部と、前記第1の端子部よりも平面サイズの小さい第2の端子部とを含む、複数の前記端子部と、
前記第1の端子部に接続された第1の層間熱伝導部と、前記第2の端子部に接続された第2の層間熱伝導部とを含む、複数の前記層間熱伝導部とを有し、
前記第2の層間熱伝導部の容積が、前記第1の層間熱伝導部の容積よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
第1の端子部と、前記第1の端子部よりも平面サイズの小さい第2の端子部とを含む、複数の前記端子部と、
前記第1の端子部に接続された第1の層間熱伝導部と、前記第2の端子部に接続された第2の層間熱伝導部とを含む、複数の前記層間熱伝導部とを有し、
前記第2の層間熱伝導部の個数が、前記第1の層間熱伝導部の個数よりも多いことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
第1の端子部と、前記第1の端子部よりも平面サイズの小さい第2の端子部とを含む、複数の前記端子部と、
前記第1の端子部に接続された第1の層間熱伝導部と、前記第2の端子部に接続された第2の層間熱伝導部とを含む、複数の前記層間熱伝導部と、
前記第1の層間熱伝導部に接続された第1の熱伝導体ランド部と、前記第2の層間熱伝導部に接続された第2の熱伝導体ランド部とを含む、複数の前記熱伝導体ランド部と、を有し、
前記第2の熱伝導体ランド部の容積が、前記第1の熱伝導体ランド部の容積よりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のサスペンション用基板。
【請求項8】
前記層間熱伝導部が、ニッケルを含む材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のサスペンション用基板。
【請求項9】
複数の前記端子部上に各々半田を有し、前記半田の高さは、複数の前記端子部間で互いに均一であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のサスペンション用基板。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のサスペンション用基板と、ロードビームとを含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項11】
請求項10に記載のサスペンションと、前記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有することを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項12】
請求項11に記載のヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−69390(P2013−69390A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208815(P2011−208815)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】