説明

シューズ、特にスポーツシューズ

シューアッパー(1)と、ソール(2)と、支持部分または内側部分(2′)と、ミッドソール(2″)と、アウターソール(2′′′)とを備えたシューズであって、この構成ではミッドソール(2″)が緩衝エレメントを含んでいて、この緩衝エレメントが、相並んで配置された複数の第1エレメント(3)を有しており、かつ中空体として形成され、受容室(4)を規定しており、この受容室(4)内に所属の第2エレメント(5)が、第1エレメント(3)よりも小さな寸法の横断面で少なくとも部分的に進入するようになっており、この場合、エレメント(3,5)は同心的であって、第2エレメント(5)の、少なくとも部分的に中実な部分として形成されている少なくとも一部分が、角柱形状または円柱形状を有していて、この場合、互いに対応配置されているエレメント(3,5)が、弾性的な接合区分(6)を介して互いに接合されていて、この接合区分(6)は第1エレメント(3)と第2エレメント(5)との間にしか延設されておらず、第1エレメント(3)と、接合区分(6)と、第2エレメント(5)とが一体に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューアッパーとソールとが設けられているシューズ、殊にスポーツシューズであって、ソールが、シューアッパーに接合されている支持部分または内側部分と、該支持部分または内側部分に接合されているミッドソールと、該ミッドソールに接合されているアウターソールとを有しており、ミッドソールが、シューズの接地面の少なくとも一部分にわたって緩衝エレメントを含んでいるか、または緩衝エレメントとして形成されており、該緩衝エレメントが、相並んで配置されている複数の第1エレメントを有しており、これらの第1エレメントが、主として負荷方向で緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態において、所定の高さにわたって延在して、中空体として形成され、受容室を規定しており、該受容室内に所属の第2エレメントが、第1エレメントよりも小さい寸法の横断面で少なくとも部分的に進入することができ、第2エレメントが、主として負荷方向で緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態において、所定の高さにわたって延在しおり、第1エレメントに対して同心的に配置されている形式のものに関する。
【0002】
この種のシューズが、国際公開第03/092423号パンフレットから公知である。シューズのばね・緩衝特性を所望の基準に基づき発揮させるために、特にミッドソール内に緩衝エレメントが組み込まれているので、ソールがこれに関して規定された特性を有するということが公知である。これに関して国際公開第03/092423号パンフレットには、前記の、特にスポーツシューズ用の特別な構造を有する緩衝エレメントについて記載されている。緩衝エレメントは、相並んで配置された複数の個別エレメントを有していて、これらの個別エレメントはそれぞれピストン・シリンダシステムの形式によるばね・緩衝室を形成している。形状において相応する第1エレメントと第2エレメントとが、接合区分を介して互いに接合されている。この場合、ソールの負荷時には、小さく形成されたエレメントが、大きく形成されたエレメント内に進入する。このために大きく形成されたエレメントは受容室を形成している。
【0003】
これまでの解決手段によれば、この種の緩衝エレメントは主として、ミッドソール内に組み込むために設けられていて、これに関する別の範例が先行技術にはある。これについて欧州特許出願公開第0385505号明細書が参照される。この明細書では、ハニカム形に形成された、シューズのミッドソール内の受容室内に挿入される緩衝エレメントが開示されている。
【0004】
緩衝エレメントに用いられる材料の選択、およびジオメトリ(第1エレメントと第2エレメントとの寸法、特にこれらの壁厚)の選択により、特定の範囲内でばね・緩衝特性を規定することができる。しかし時折、スペース条件に基づきこれに関する可能性は限定されてしまうので、緩衝エレメントの特性の効果は制限されたままになる。
【0005】
本発明の課題は、シューズ、特にスポーツシューズを改良して、シューズのばね・緩衝特性をより良好に発揮し、これによりばね・緩衝特性を所定の要望に合わせることができるものを提供することである。このことは容易に、かつ製造技術的に廉価に行うことができることが望ましい。
【0006】
この課題の本発明による解決手段は、緩衝エレメントの第2エレメントが、角柱形状または円柱形状を有していて、この場合、角柱形状体もしくは円柱形状体が、少なくとも部分的に中実の部分として形成されていて、この場合、互いに対応配置されている2つのエレメントが、弾性的な接合区分を介して互いに接合されていて、この接合区分が、第1エレメントと第2エレメントとの間にのみ延在していて、この場合、第1エレメントと、接合区分と、第2エレメントとが、一体に形成されているということを特徴としている。このことは、緩衝エレメントに設けられている第2エレメントの少なくとも一部分に当てはまる。
【0007】
緩衝エレメントの個別の区分は先行技術において、常にほぼ一定の厚さのプラスチックから成っているのに対して、本発明はつまり、少なくとも部分的に中実に形成された部分を緩衝エレメントに設けることを提案している。
【0008】
本発明に係るシューズ、特にスポーツシューズは、シューアッパーとソールとが設けられているシューズ、殊にスポーツシューズであって、ソールが、シューアッパーに接合されている支持部分または内側部分と、該支持部分または内側部分に接合されているミッドソールと、該ミッドソールに接合されているアウターソールとを有しており、ミッドソールが、シューズの接地面の少なくとも一部分にわたって緩衝エレメントを含んでいるか、または緩衝エレメントとして形成されており、該緩衝エレメントが、相並んで配置されている複数の第1エレメントを有しており、これらの第1エレメントが、主として負荷方向で緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態において、所定の高さにわたって延在し、中空体として形成され、受容室を規定しており、該受容室内に所属の第2エレメントが、第1エレメントよりも小さい寸法の横断面で少なくとも部分的に進入するようになっており、第2エレメントが、主として負荷方向で緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態において、所定の高さにわたって延在しおり、第1エレメントに対して同心的に配置されている形式のものにおいて、第2エレメントの少なくとも一部分が、角柱形状または円柱形状を有しており、角柱形状体もしくは円柱形状体が、少なくとも部分的に中実な部分として形成されており、互いに対応配置された2つのエレメントが、弾性的な接合区分を介して互いに接合されており、該接合区分が、第1エレメントと第2エレメントとの間にのみ延在しており、第1エレメントと、接合区分と、第2エレメントとが、一体に形成されていることを特徴とする。
【0009】
有利には、角柱容量または円柱容量の20〜100%が、第2エレメントの材料から成っている。特に有利には、角柱容量または円柱容量の30〜70%が、第2エレメントの材料から成っている。
【0010】
第2エレメントの中実に形成された領域は、有利には、第2エレメントの、第1エレメントから離れた端部領域内に配置されている。
【0011】
さらに、第2エレメントの中実に形成された領域が、凹状に形成された表面を有していると、緩衝エレメントのばね・緩衝特性を特に良好に発揮することができる。凹状の表面は、球表面の一部分または楕円の表面の一部分であってよい。
【0012】
ミッドソールを、シューズの接地面の少なくとも一部分にわたって、専ら緩衝エレメントとして形成することができ、つまり緩衝エレメントは、支持部分または内側部分とアウターソールとの間の唯一の接合部分である。この場合、アウターソールは複数の個別のソール部分により形成することができる。この場合、各ソール部分は、第2エレメントの、第1エレメントとは反対側の端部に配置されているか、または第1エレメントの、第2エレメントとは反対側の端部に配置されている。さらに、負荷方向に対して垂直な一断面において、アウターソールの個別の部分の形状は、第2エレメントの形状または第1エレメントの形状に相応するように提案することができる。
【0013】
この場合、第1エレメントと第2エレメントとは、それぞれ接合区分と共に気密な室を形成するようにすることができる。
【0014】
負荷方向に対して垂直な一断面において、第1エレメントと第2エレメントとは、互いに対応する形状を有していてよい。この場合、負荷方向に対して垂直な一断面において、第1エレメントと第2エレメントとは、所定の構成では、多角形、特に六角形の形状を有している。これに対して択一的には、負荷方向に対して垂直な一断面において、第1エレメントと第2エレメントとが、円形を有するように提案することもできる。
【0015】
第1エレメントの側方の領域は、互いに接合することができるか、または第1エレメントの側方の制限壁を、それぞれ共通の区分から形成することができる。
【0016】
第1エレメントおよび/または第2エレメントは、有利には、緩衝エレメントが負荷されていない状態において、少なくとも部分的に異なる高さを有している。負荷方向に対して垂直な一平面において、接合区分は、緩衝エレメントが負荷されていない状態で平坦に延びているか、または湾曲して延びていてよい。接合区分が湾曲して延びている構成によって、「ピストン」の、「シリンダ」への進入が、負荷時に助成される。
【0017】
第1エレメントと、接合区分と、第2エレメントとが、一体に形成されているので、有利には、第1エレメントと、接合区分と、第2エレメントとが、1回の共通の射出成形プロセスにより製造されている。
【0018】
緩衝エレメントを備えた、もしくは緩衝エレメントにより形成されたミッドソールは、ソールの負荷時に負荷方向でエネルギを受容することができ、ソールから負荷が除かれた時には再びエネルギを解放することができる。このことを、緩衝エレメントが負荷から解放された場合に復元効果を得ながら行うことができるためには、第1エレメントの軸方向の下側端部領域と、第2エレメントの軸方向の上側端部領域とが、接合区分を介して互いに接合されている。第1エレメントと第2エレメントと同じように、接合区分は弾性的なプラスチック材料から成る部材であるので、負荷方向で緩衝エレメントに対して負荷力を加える場合には変形がおこる。この場合、第2エレメントは、第1エレメントの受容室内にピストンのように進入する。
【0019】
緩衝エレメントの放圧後に再び出発状態を得るために、接合区分だけを弾性的に構成するのではなく、さらに以下の手段を講じることができる:
第1エレメントの、第2エレメントとは反対側の端部を、シールシートに接合、特に溶接することができる。従って、第1エレメントと、第2エレメントと、接合区分と、シールシートとが、気密に閉じられた空間を形成する。この空間は最適なばね・緩衝特性を有している。
【0020】
この場合、個別の「ピストン・シリンダエレメント」は、緩衝エレメントを形成するために、比較的大きな面状の延在部をもって相並んで配置されている。「シリンダ」として働く第1エレメントが互いに接合されているのに対して、第2エレメント、つまり「ピストン」は、間に自由なスペースをもって相並んでいる。
【0021】
有利には、これらのエレメントはプラスチック、特に熱可塑性材料から成っている。この場合、特に有利には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタン、ポリアミド、ポリウレタン、またはこれらの少なくとも2つのプラスチックの混合物が考慮されている。プラスチックは、半透明または透明であってよい。アウターソールも、プラスチック、有利にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタン、ポリアミド、ポリウレタンまたはこれらの少なくとも2つのプラスチックの混合物から成っているか、またはゴムから成っていてよい。この場合、材料は半透明でないかまたは透明ではない。
【0022】
第1エレメントと、第2エレメントと、接合区分の素材、および/またはこれらの部分の幾何学的な寸法、および/または中実に形成された部分の容積部分を、緩衝エレメントのばねおよび/または緩衝特性を規定するために選択することができる。特に、緩衝エレメントがもたらすばね剛性は、中実部分の容積部分の選択により影響を受けることがある。中実部分のより大きな容積は、結果としてより高いばね剛性に繋がる。
【0023】
有利には、ミッドソールが負荷されていない状態における第1エレメントの軸方向延在部は、第2エレメントの軸方向延在部の外側に実質的に位置している。このことから、ミッドソールに負荷がかかっていない状態にあるピストン状の第2エレメントが、軸方向で円形状の第1エレメントの外側に配置されているということが分かる。負荷方向で緩衝エレメントが負荷されてようやく、「ピストン」が「シリンダ」内に進入する。
【0024】
提案された構成によって、緩衝エレメントの第2エレメントの中実に形成された部分の容積を選択することにより、ばね特性に著しく影響を与えることができる。従って、上位概念部に記載した緩衝エレメントのタイプに、先行技術の緩衝エレメントが可能であるよりも広い範囲にわたって所望のばね特性を与えることができる。
【0025】
本発明に係るシューズは、有利には、角柱容量もしくは円柱容量の20〜100%が、第2エレメントの材料から成っている。
【0026】
本発明に係るシューズは、有利には、角柱容量または円柱容量の30〜70%が、第2エレメントの材料から成っている。
【0027】
本発明に係るシューズは、有利には、第2エレメントの中実に形成された領域が、第2エレメントの、第1エレメントから離れた端部領域に配置されている。
【0028】
本発明に係るシューズは、有利には、第2エレメントの中実に形成された領域が、凹状に形成された表面を有している。
【0029】
本発明に係るシューズは、有利には、ミッドソールが、シューズの接地面の少なくとも一部分にわたって、専ら緩衝エレメントとして形成されている。
【0030】
本発明に係るシューズは、有利には、アウターソールが、複数の個別のソール部分により形成され、各ソール部分が、第2エレメントの、第1エレメントとは反対側の端部に配置されているか、または第1エレメントの、第2エレメントとは反対側の端部に配置されている。
【0031】
本発明に係るシューズは、有利には、負荷方向に対して垂直な一断面において、アウターソールの個別の部分の形状が、第2エレメントの形状または第1エレメントの形状に相応している。
【0032】
本発明に係るシューズは、有利には、第1エレメントと第2エレメントとが、それぞれ接合区分と共に気密な室を形成する。
【0033】
本発明に係るシューズは、有利には、負荷方向に対して垂直な一断面において、第1エレメントと第2エレメントとが、互いに対応する形状を有している。
【0034】
本発明に係るシューズは、有利には、負荷方向に対して垂直な一断面において、第1エレメントと第2エレメントとが、多角形、特に六角形の形状を有している。
【0035】
本発明に係るシューズは、有利には、負荷方向に対して垂直な一断面において、第1エレメントと第2エレメントとが円形を有している。
【0036】
本発明に係るシューズは、有利には、第1エレメントの側方の領域が、互いに接合されているか、または第1エレメントの側方の制限壁が、それぞれ共通の区分から形成される。
【0037】
本発明に係るシューズは、有利には、第1エレメントおよび/または第2エレメントが、緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態において、少なくとも部分的に異なる高さを有している。
【0038】
本発明に係るシューズは、有利には、負荷方向に対して垂直な一平面において、接合区分が、緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態で平坦に延びている。
【0039】
本発明に係るシューズは、有利には、負荷方向に対して垂直な一平面において、接合区分が、緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態で湾曲して延びている。
【0040】
本発明に係るシューズは、有利には、第1エレメントと、接合区分と、第2エレメントとが、1回の共通の射出成形プロセスにより製造されている。
【0041】
本発明に係るシューズは、有利には、第1エレメントの、第2エレメントとは反対側の端部が、シールシートと接合されている。
【0042】
本発明に係るシューズは、有利には、エレメントが、プラスチック、殊に熱可塑性材料から成っている。
【0043】
本発明に係るシューズは、有利には、プラスチックとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタン、ポリアミド、ポリウレタンまたはこれらの少なくとも2つのプラスチックの混合物が用いられている。
【0044】
本発明に係るシューズは、有利には、プラスチックが半透明または透明である。
【0045】
本発明に係るシューズは、有利には、アウターソールがプラスチック、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタン、ポリアミド、ポリウレタンまたはこれらの少なくとも2つのプラスチックの混合物から成っているか、またはゴムから成っており、材料が、半透明でないかまたは透明でなはない。
【0046】
本発明に係るシューズは、有利には、第1エレメントと、第2エレメントと、接合区分との素材、および/またはこれらの部分の幾何学的な寸法、および/または中実に形成された部分の容積部分が、緩衝エレメントのばね・緩衝特性を規定するために選択されている。
【0047】
以下に、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0048】
図1にシューズ、つまりはスポーツシューズを単に極めて概略的に示した。このシューズは、公知にはソール2に接合しているシューアッパー1を備えている。
【0049】
ソール2は、前方ソール領域8で特定の面状の延在部にわたって拡張されて形成されている。ソール2は、後方ソール領域9においても同様に規定の面状の延在部にわたって拡張されている。
【0050】
ソール2の構造は、詳しくは図2から明らかになる。ソール2は3つの(ソール)部分から、つまりは支持部分または内側部分2′と、ミッドソール2″と、アウターソール2′′′とから成っている。支持部分または内側部分2′は内側ソール、つまりインソール、またはストローベルソール、またはシューアッパー1の実際の材料であってよい。支持部分または内側部分2′は、シューアッパー1とミッドソール2″との間の接合部分を形成する。特に有利な構成は、支持部分または内側部分2′が、プラスチック射出成形部分として(有利にはEVAから)製造されていて、皿形に形成されているようになっている。
【0051】
支持部分または内側部分2′は、シューアッパー1と接合している。この接合部分は、たとえば1回の射出成形プロセスにより製造することができ、支持部分または内側部分2′を形成するプラスチック材料は射出成形により、たとえば繊維材料から成るアッパー1に固着される。同様に、シューアッパー1と支持部分または内側部分2′との接着も可能である。
【0052】
ミッドソール2″は複数の緩衝エレメントから成っている。これらの緩衝エレメントは、ピストン・シリンダシステムの形式で構成されている。ミッドソール2″の、支持部分または内側部分2′から離れた端部には、アウターソール2′′′が配置されている。このアウターソール2′′′は、緩衝エレメントの数に相応する数のソールセグメント2′′′から成っている。
【0053】
必ずしも全てのソールを既述したように構成する必要はないことに注意されたい。たとえば、前方ソール領域8だけを既述したように構成することができ、後方ソール領域9を公知の形式で構成することができる。
【0054】
本実施例ではアウターソール2′′′は分割して形成されている。この場合、緩衝エレメントを専らミッドソール2″が形成している。しかしアウターソール2′′′を大面状のエレメントとして、ピストン・シリンダシステムの軸方向の端部に取り付けるということも同様に提案することができる。同じく略示の緩衝エレメントを、冒頭で述べた欧州特許出願公開第0387505号明細書に基づく背景技術の事例のように、典型的なミッドソール内に組み込むことができる。
【0055】
分割されたアウターソール2′′′を有する実施例のためのソール2の正確な構成が、図2および図3を概観することにより明らかになる。
【0056】
ミッドソール2″を形成する個別の緩衝エレメントは本実施例では、ソール2の負荷方向Rで見て、ハニカムパターンのように六角形の基本形状をもって形成されている(図2参照)。
【0057】
ウェブ状の接合区分6を介して、第1エレメント3の、支持部分または内側部分2′とは反対側の端部は、第2エレメント5と接合している。この第2エレメントは、方向Rで見て、第1エレメント3の形状に対応する形状を有していて、つまりは第2エレメント5も、本実施例では六角形の形状を有している。第2エレメント5は、所定の高さhにわたって延在していて、この高さhは高さHと同じである必要はない。
【0058】
図3から明らかであるように、第1エレメント3の幅Bと第2エレメント5の幅bとの寸法は、第2エレメント5が、緩衝エレメントに負荷がかかる場合に負荷方向Rで受容室4内に進入することができるように選択されている。この受容室4は第1エレメント3により規定されている。従って、第1エレメント3と第2エレメント5とはテレスコープ式緩衝器のように働く。この場合、第1エレメント3は「シリンダ」として働き、第1エレメント3内に、第2エレメント5が「ピストン」のように進入することができる。
【0059】
第2エレメント5の、支持部分または内側部分2′とは反対側の端部に、アウターソールセグメント2′′′が取り付けられていて、たとえば接着されているか、または射出成形により直接固着されてもいる。このアウターソールセグメント2′′′は、たとえば耐摩耗性のプラスチック材料から成っている。方向Rで見て、アウターソールセグメント2′′′は、第2エレメント5の形状に対応する形状を有してもいる。しかし必ずしもそうである必要はない。
【0060】
アウターソールセグメント2′′′に、シューズの接地時にもたらされるように、方向Rで力が加えられると、まず接合区分6が変形し、これによって、既述したように第2エレメント5が、ピストンのように第1エレメント3の受容室4内に進入する。
【0061】
バウンド特性を有利に発揮させるために、第1エレメント3と、接合区分6と、第2エレメント5とによって取り囲まれているスペースを、気密に形成することができる。
【0062】
場合によっては、支持部分または内側部分2′に対する気密性をシート7により形成することができる。このシート7は必要に応じて、第1エレメント3の、支持部分または内側部分2′寄りの端部領域に接着されるかまたは溶接される。
【0063】
第1エレメント3も第2エレメント5も、角柱形状体(エレメント横断面が多角形、たとえば六角形に形成されている事例)、もしくは円柱形状体(エレメント横断面が円形に形成されている事例)を形成する。角柱形状体もしくは円柱形状体は、それぞれの高さHもしくは高さhにわたって延在している。
【0064】
図3から判るように、本発明の実質的な特徴は、第2エレメント5の(横断面と高さhとの積で表される)角柱容量もしくは円柱容量の少なくとも一部分が中実に形成されているということである。図3には中実の容積Vの部分が示されていて、この容積Vは全角柱容量もしくは全円柱容量の約60%に当たる(容積Vの100%は、図3では破線で示してある)。中実の(プラスチック)ブロックの容積Vは、第2エレメント5の、第1エレメント3から離れた端部に設けられている。中実に形成された材料の表面10は、本例では凹状の形状を備えていて、つまり緩衝エレメントの変形に対する効果を有していることになる。
【0065】
角柱形状体もしくは円柱形状体の中実な部分の有利な値は、容積Vが全角柱容量または全円柱容量の20〜100%であり、特に有利な値は30〜70%である。
【0066】
図4a、図4bおよび図4cには3つの実施例が示してある。図4aでは、中実な容積部分Vは、第2エレメント5が形成している角柱形状体もしくは円柱形状体の全容量の約25%である(全容量は底面Aと高さhとの積で表される)。
【0067】
図4bには、角柱形状体もしくは円柱形状体の全容量のゆうに半分、つまり約60%の中実な部分Vが示されている。図4cでは中実部分は約90%になる。
【0068】
図5aおよび図5bには、本発明による構成(図5b)と、先行技術による構成(図5a)とを比較して示してある。両図面には、図示の緩衝エレメントの負荷なしの形状を実線で見て取ることができ、負荷方向Rで力Fを加えた場合にもたらされる形状は、破線で示されている。
【0069】
図5aの上側の図から見て取れるように、力Fにより接合区分6の他に第2エレメント5の壁も著しく変形するのに対して、第1エレメント3の壁はほとんど変形しない。図5aの下側の図における曲線のフラットな上昇から判るように、緩衝エレメントは比較的軟質である。ここではデカルト座標系において、力F(縦座標)の経過と、移動距離x(横座標)とが明らかになっている。
【0070】
これに対して、図5bの中実の容積部分Vは、第2エレメント5を補強しているので、変形時に第2エレメント5の壁が撓むことはほとんどあり得ない。これに基づき、所定の移動距離を得ることが望まれる場合には、接合区分6はより一層著しく変形する必要がある。このことは結果として、図5bの下側の図における曲線の急勾配の経過に繋がる、つまりはより高いばね剛性に繋がる(図5aおよび図5bは、同じ移動距離xにおける変形状態を示している)。
【0071】
第2エレメント5の中実な部分の容積Vは、第2エレメント5の射出成形の際に、製造技術的に簡単に一緒に加工することができるので、本発明によるコンセプトを実現する際には有利には付加的コストがかかることはない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】シューズを側方から見た概略図である。
【図2】図1の「Z」の拡大図である。
【図3】図2のA−Bに沿った断面図である。
【図4】図4a、図4bおよび図4cは、図3に対応して、緩衝エレメントの3つの実施例の、種々異なるサイズで構成された、緩衝エレメントの第2エレメントの中実な部分を示した図である。
【図5】図5aおよび図5bは、公知の緩衝エレメントと、本発明による緩衝エレメントとの、負荷なしの形状、もしくは負荷下で生じる形状、およびそれぞれのばね特性曲線を示した図である。
【符号の説明】
【0073】
1 シューアッパー、 2 ソール、 2′ 支持部分または内側部分、 2″ ミッドソール、 2′′′ アウターソール、 3 第1エレメント、 4 受容室、 5 第2エレメント、 6 結合区分、 7 シールシート、 8 前方ソール領域、 9 後方ソール領域、 10 表面、 R 負荷方向、 H 第1エレメントの高さ、 h 第2エレメントの高さ、 B 第1エレメントの寸法、 b 第2エレメントの寸法、 V 容量、 A 基体面、 x 移動距離、 F 力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューアッパー(1)とソール(2)とが設けられているシューズ、殊にスポーツシューズであって、ソール(2)が、シューアッパー(1)と接合された支持部分または内側部分(2′)と、該支持部分または内側部分(2′)と接合されたミッドソール(2″)と、該ミッドソール(2″)と接合されたアウターソール(2′′′)とを有しており、ミッドソール(2″)が、シューズの接地面の少なくとも一部分にわたって緩衝エレメントを含んでいるか、または緩衝エレメントとして形成されており、該緩衝エレメントが、相並んで配置されている複数の第1エレメント(3)を有しており、該第1エレメント(3)が、主として負荷方向(R)で緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態において、所定の高さ(H)にわたって延在しており、かつ中空体として形成され、受容室(4)を規定していて、該受容室(4)内に付属の第2エレメント(5)が、第1エレメント(3)よりも小さい寸法の横断面で少なくとも部分的に進入するようになっており、第2エレメント(5)が、主として負荷方向(R)で緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態において、所定の高さ(h)にわたって延在しおり、第1エレメント(3)に対して同心的に配置されている形式のものにおいて、
第2エレメント(5)の少なくとも一部分が、角柱形状または円柱形状を有しており、角柱形状体もしくは円柱形状体が、少なくとも部分的に中実な部分として形成されており、互いに対応配置された2つのエレメント(3,5)が、弾性的な接合区分(6)を介して互いに接合されており、該接合区分(6)が、第1エレメント(3)と第2エレメント(5)との間にしか延在しておらず、第1エレメント(3)と、接合区分(6)と、第2エレメント(5)とが、一体に形成されていることを特徴とするシューズ。
【請求項2】
角柱容量もしくは円柱容量の20〜100%が、第2エレメント(5)の材料から成っている、請求項1記載のシューズ。
【請求項3】
角柱容量または円柱容量の30〜70%が、第2エレメント(5)の材料から成っている、請求項2記載のシューズ。
【請求項4】
第2エレメント(5)の中実に形成された領域が、第2エレメント(5)の、第1エレメント(3)から離れた端部領域に配置されている、請求項1から3までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項5】
第2エレメント(5)の中実に形成された領域が、凹状に形成された表面(10)を有している、請求項1から4までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項6】
ミッドソール(2″)が、シューズの接地面の少なくとも一部分にわたって、専ら緩衝エレメントとして形成されている、請求項1から5までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項7】
アウターソール(2′′′)が、複数の個別のソール部分により形成され、各ソール部分が、第2エレメント(5)の、第1エレメント(3)とは反対側の端部に配置されているか、または第1エレメント(3)の、第2エレメント(5)とは反対側の端部に配置されている、請求項6記載のシューズ。
【請求項8】
負荷方向(R)に対して垂直な一断面において、アウターソール(2′′′)の個別の部分の形状が、第2エレメント(5)の形状または第1エレメント(3)の形状に相応している、請求項7記載のシューズ。
【請求項9】
第1エレメント(3)と第2エレメント(5)とが、それぞれ接合区分(6)と共に気密な室を形成する、請求項1から8までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項10】
負荷方向(R)に対して垂直な一断面において、第1エレメント(3)と第2エレメント(5)とが、互いに対応する形状を有している、請求項1から9までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項11】
負荷方向(R)に対して垂直な一断面において、第1エレメント(3)と第2エレメント(5)とが、多角形、殊に六角形の形状を有している、請求項10記載のシューズ。
【請求項12】
負荷方向(R)に対して垂直な一断面において、第1エレメント(3)と第2エレメント(5)とが円形を有している、請求項10記載のシューズ。
【請求項13】
第1エレメント(3)の側方の領域が、互いに接合されているか、または第1エレメント(3)の側方の制限壁が、それぞれ共通の区分から形成される、請求項1から12までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項14】
第1エレメント(3)および/または第2エレメント(5)が、緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態において、少なくとも部分的に異なる高さ(H,h)を有している、請求項1から13までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項15】
負荷方向(R)に対して垂直な一平面において、接合区分(6)が、緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態で平坦に延びている、請求項1から14までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項16】
負荷方向(R)に対して垂直な一平面において、接合区分(6)が、緩衝エレメントに負荷がかかっていない状態で湾曲して延びている、請求項1から14までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項17】
第1エレメント(3)と、接合区分(6)と、第2エレメント(5)とが、1回の共通の射出成形プロセスにより製造されている、請求項1から16までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項18】
第1エレメント(3)の、第2エレメント(5)とは反対側の端部が、シールシート(7)と接合されている、請求項1から17までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項19】
エレメント(3,5)が、プラスチック、殊に熱可塑性材料から成っている、請求項1から18までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項20】
プラスチックとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタン、ポリアミド、ポリウレタンまたはこれらの少なくとも2つのプラスチックの混合物が用いられている、請求項19記載のシューズ。
【請求項21】
プラスチックが半透明または透明である、請求項19または20記載のシューズ。
【請求項22】
アウターソール(2′′′)が、プラスチック、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタン、ポリアミド、ポリウレタンまたはこれらの少なくとも2つのプラスチックの混合物から成っているか、またはゴムから成っており、材料が、半透明でないかまたは透明でない、請求項1から21までのいずれか一項記載のシューズ。
【請求項23】
第1エレメント(3)と、第2エレメント(5)と、接合区分(6)との素材、および/または第1エレメント(3)と、第2エレメント(5)と、接合区分(6)との部分の幾何学的な寸法、および/または中実に形成された部分の容積部分が、緩衝エレメントのばね・緩衝特性を規定するために選択されている、請求項1から22までいずれか一項記載のシューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2008−528075(P2008−528075A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551574(P2007−551574)
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000024
【国際公開番号】WO2006/077009
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(398049829)プーマ アクチエンゲゼルシャフト ルードルフ ダスレル シュポルト (18)
【氏名又は名称原語表記】Puma Aktiengesellschaft Rudolf Dassler Sport
【住所又は居所原語表記】Wuerzburger Strasse 13, D−91074 Herzogenaurach, BRD
【Fターム(参考)】