説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】気泡の混入を極力小さくすることができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】シート貼付装置1は、接着シートSを繰り出す繰出手段2と、繰出手段2から繰り出された接着シートSを被着体Wの被着面W1に押圧する押圧手段3と、被着体Wと押圧手段3とを相対移動させる移動手段4とを備え、押圧手段3は、接着シートSを被着面W1に押圧しつつ、移動手段4により被着面W1内における第1方向に相対移動する第1貼付動作と、第1貼付動作により貼付された接着シートSを第1貼付動作時よりも大きい押圧力で被着面W1に押圧しつつ、移動手段4により第1方向と交差する当該被着面内における第2方向に相対移動する第2貼付動作とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、表面にチップやバンプ等の凸部が形成された半導体ウェハ(以下、単にウェハという場合がある)に接着シートを貼付するシート貼付が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のシート貼付装置は、チップのパターンが形成されたウェハを支持するテーブルと、テーブルに支持されたウェハに接着シートを押圧する貼付ローラとを備え、貼付ローラをチップの対角線方向に転動させることで接着シートをウェハに貼付するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−175384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシート貼付装置では、図5に示すように、貼付ローラARにより接着シートSが貼付されたウェハWにおいて、凸部WAを中心として気泡WBが混入してしまうという不都合がある。
これに対して、ウェハWに接着シートSを貼付した後、貼付ローラARにより前回とは異なる方向に沿って接着シートSの再貼付動作を行うことが考えられる。しかし、貼付ローラARによる貼付方向を変えて再貼付動作を行ったとしても、図6に示すように、気泡WBの形が変化するにすぎず、この場合でも気泡WBが混入してしまうという不都合を解消することができない。
【0005】
本発明の目的は、気泡の混入を極力小さくすることができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、接着シートを繰り出す繰出手段と、前記繰出手段から繰り出された接着シートを被着体の被着面に押圧する押圧手段と、前記被着体と前記押圧手段とを相対移動させる移動手段とを備え、前記押圧手段は、前記接着シートを被着面に押圧しつつ、前記移動手段により当該被着面内における第1方向に相対移動する第1貼付動作と、前記第1貼付動作により貼付された接着シートを第1貼付動作時よりも大きい押圧力で被着面に押圧しつつ、前記移動手段により第1方向と交差する当該被着面内における第2方向に相対移動する第2貼付動作とを行うことを特徴とする。
【0007】
本発明のシート貼付装置において、前記移動手段は、前記被着体を前記被着面内で回転可能に支持する回転手段を備えていることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置において、前記押圧手段は、前記接着シートを前記被着面に押圧する押圧部材と、前記押圧部材を前記被着面側に付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段は、前記第2貼付動作時の押圧部材の付勢力を前記第1貼付動作時の付勢力よりも増加可能に設けられていることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置において、前記押圧手段は、弾性部材を少なくとも表面に有した第1押圧部材と、前記第1押圧部材の弾性部材とは異なる弾性力を有する弾性部材を少なくとも表面に有した第2押圧部材とを備え、前記第1貼付動作時は前記第1押圧部材により前記接着シートを前記被着面に押圧し、前記第2貼付動作時は前記第2押圧部材により前記接着シートを前記被着面に押圧することが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置において、前記押圧手段は、前記第1押圧部材を前記被着面側に付勢する第1付勢手段と、前記第2押圧部材を前記被着面側に付勢する第2付勢手段とを備え、第2付勢手段は、前記第1付勢手段による付勢力よりも高い付勢力で前記第2押圧部材を付勢可能に設けられていることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、接着シートを繰り出し、繰り出された接着シートを押圧手段により被着体の被着面に押圧しつつ、当該押圧手段を当該被着体に対して被着面内における第1方向に相対移動する第1貼付動作を行い、前記第1貼付動作により貼付された接着シートを押圧手段により第1貼付動作時よりも大きい押圧力で被着面に押圧しつつ、当該押圧手段を当該被着体に対して第1方向と交差する当該被着面内における第2方向に相対移動する第2貼付動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、第1貼付動作によって、第1方向に隣り合う凸部間における接着シートと被着面とが接着した状態であって、第1方向に直交する方向に隣り合う凸部間における接着シートと被着面とが接着しない状態または小さな接着力で接着された状態(以下、このような状態を「気泡が連続した状態」という)とした後、第2貼付動作によって気泡が連続した方向に沿って気泡を押し出しながら接着シートを被着体に貼付すことができる。従って、接着シートを被着体に貼付する際の気泡の混入を極力少なくすることができる。
【0010】
本発明において、被着体を被着面内で回転可能に設ければ、押圧手段や移動手段を相対移動方向ごとに設ける必要がないため、装置全体を簡易な構成とすることができる。
また、第2貼付動作時の押圧部材の付勢力を第1貼付動作時の付勢力よりも増加可能に構成すれば、第1貼付動作における押圧力と、第2貼付動作における押圧力とを様々な接着シートや被着体に応じて設定したり調整したりすることができる。
一方、表面の弾性力が異なる第1押圧部材および第2押圧部材を設ければ、弾性力を使い分けることで、気泡が連続した状態を積極的に形成した後、第2貼付動作時に接着シートを被着面の凹凸に追従させてなじませることができる。従って、接着シートを被着面に密着させる度合いを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【図2】前記第1実施形態に係るシート貼付装置の動作説明図。
【図3】前記第1実施形態に係るシート貼付装置の動作説明図。
【図4】本発明の第2実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【図5】従来の不具合例を示す説明図。
【図6】予想される不具合例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
また、各実施形態における明示のない例えば、上、下、左、右、または、手前、奥という方向を示す表現は、全て図1を基準に用いられている。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、本実施形態のシート貼付装置1は、被着体としてのウェハWの一方の面に接着シートSを貼付するものである。ここで、ウェハWは、一方の面に複数のバンプW2が格子状に配置され、この面を被着面W1として接着シートSが貼付される。一方、接着シートSは、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADが積層されるとともに、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着された原反Rとして予め準備されている。
【0014】
シート貼付装置1は、接着シートSを繰り出す繰出手段2と、繰り出された接着シートSをウェハWの被着面W1に押圧して貼付する押圧手段3と、ウェハWと押圧手段3とを相対移動させる移動手段4とを備え、パーソナルコンピュータやシーケンサ等の図示しない制御手段によってその全体的な動作が制御されるように構成されている。
【0015】
繰出手段2は、その全体がベースフレーム10に支持され、原反Rを巻回して支持する支持ローラ21と、原反Rを案内する複数のガイドローラ22,23と、原反Rの剥離シートRLを折り返すことで当該剥離シートRLから接着シートSを剥離する剥離板24と、駆動機器としての回動モータ25によって駆動する駆動ローラ26と、駆動ローラ26との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ27と、図示しない駆動機器によって剥離シートRLを回収する回収ローラ28とを備えている。
【0016】
押圧手段3は、表面がゴムや樹脂等の弾性部材で構成された押圧部材としての押圧ローラ31と、押圧ローラ31を支持する支持部材32と、この支持部材32に出力軸33Aが固定され、押圧ローラ31を被着面W1側に付勢する付勢手段であって駆動機器としての直動モータ33とを備えている。直動モータ33は、制御手段によって、押圧ローラ31に付与する押圧力が調整可能に設けられている。なお、押圧ローラ31の回転軸心は、ウェハWと押圧ローラ31との相対移動方向と直行する方向に向けられている。
【0017】
移動手段4は、図示しない複数の吸引口によって被着面W1の反対側からウェハWを吸引保持可能に構成されたテーブル41と、テーブル41をウェハWの被着面W1内で回転可能に支持する回転手段であって駆動機器としての回動モータ42と、回動モータ42の下面にスライダ43が固定された駆動機器としての単軸ロボット44とを備え、スライダ43をスライド駆動することで、回動モータ42を含めてテーブル41を左右方向に移動可能に構成されている。
【0018】
以上のシート貼付装置1において、ウェハWの被着面W1に接着シートSを貼付する手順を説明する。
先ず、剥離シートRLの先端側が回収ローラ28に巻き取られ、接着シートSの繰出方向先端が剥離板24の先端側に位置するように、原反Rをセットしておく(図1参照)。そして、図1中二点鎖線で示すように、被着面W1が上になるようにウェハWをテーブル41上に載置して吸着保持し、単軸ロボット44によってテーブル41を矢印A方向に相対移動させる。なお、被着面W1におけるバンプW2の並び方向がウェハWと押圧ローラ31との相対移動方向と直行する方向に向けられていない場合には、回動モータ42の駆動によりテーブル41を回転させて、バンプW2の並び方向とテーブル41の移動方向とが直交するようにしておく。
【0019】
シート貼付装置1は、ウェハWが載置されたテーブル41が押圧ローラ31下方の所定位置に搬送されてきたことを図示しない検出手段により検出すると、直動モータ33の駆動によって押圧ローラ31を下降させ、接着シートSの繰出方向の先端部がウェハWの外縁に位置するように、当該接着シートSを被着面W1に押圧する。そして、シート貼付装置1は、直動モータ33によって所定の押圧力を付与しつつ、単軸ロボット44によるテーブル41の移動を続行することで、テーブル41を矢印A方向、すなわち、ウェハWに対して被着面W1内における第1方向である矢印WX方向に相対移動させて、接着シートSをウェハWの被着面W1に仮貼付する第1貼付動作を行う(図2参照)。このとき、直動モータ33は、図2に示すように、気泡ABが連続した状態が矢印WX方向に直交する方向に形成される程度の押圧力を、押圧ローラ31に付与するようになっている。
【0020】
次に、シート貼付装置1は、回動モータ42の駆動により、図3に示すように、テーブル41を所定角度θ(本実施形態の場合90度)反時計回りに回転させる。そして、シート貼付装置1は、第1貼付動作により貼付された接着シートSを押圧ローラ31により第1貼付動作時よりも大きい押圧力で被着面W1に押圧しつつ、単軸ロボット44によるテーブル41の移動でテーブル41を矢印B方向、すなわち、ウェハWに対して矢印WX方向と交差する被着面W1内における第2方向である矢印WY方向に移動させることで、接着シートSを被着面W1に本貼付する第2貼付動作を行う。
【0021】
ここで、第2貼付動作前の気泡ABは、テーブル41の回転により、押圧ローラ31の相対移動方向に沿って連続した状態となっているため、第2貼付動作により気泡ABが矢印Bの反対方向に押し出されていく。このとき、気泡ABの連続性が断続的な状態であったとしても、第1貼付動作の押圧力が小さく設定されているため、第2貼付動作で気泡ABが押し出されるときに、接着していた部分が外れ、気泡ABの押し出しに支障を来たすことはない。そして、接着シートSは、従来例で示したバンプW2周りの気泡WBに比べて非常に小さな気泡ABとなった状態で、被着面W1に貼付される。なお、第1貼付動作時に矢印WY方向に隣り合うバンプW2間における接着シートSと被着面W1とが仮貼付された領域は、接着力が弱いので、第2貼付動作の後に、回動モータ42の駆動により、テーブル41を所定角度θ(本実施形態の場合90度)時計回りに回転させ、押圧ローラ31に第2貼付動作と同等の押圧力を付与し、テーブル41を矢印A方向に移動させる再貼付動作を行ってもよい。
【0022】
以上のようにして接着シートSの貼付が完了したら、接着シートSが接着されたウェハWは、次工程に搬送されるようになっている。なお、テーブル41を固定しておいて、繰出手段2および押圧手段3を移動させたり、それら両方を移動させたりして、矢印WX方向または矢印WY方向に相対移動するようにしてもよい。また、テーブル41を所定角度θ反時計方向に回転させた後、テーブル41を固定しておいて、押圧手段3を矢印A方向に移動させるようにしてもよい。さらに、テーブル41を回転させる所定角度θは90度でなくてよく、例えば30度や60度とすることができ、バンプW2のパターン(延出方向等)によって適宜決定することができる。
【0023】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、シート貼付装置1は、第1貼付動作の押圧力を弱くすることで気泡ABが連続した状態を形成した後、第1貼付動作時よりも大きい押圧力が付与される第2貼付動作により、気泡ABが連続した方向に沿って当該気泡ABを押し出しながら貼付すことができる。従って、接着シートSをウェハWに貼付する際の気泡ABの混入を極力少なくすることができる。
【0024】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図4に基づいて説明する。
本実施形態のシート貼付装置1は、押圧手段3および移動手段4の構成が前記第1実施形態と相違する。
【0025】
図4において、押圧手段3は、繰出手段2により繰り出された接着シートSをウェハWの被着面W1に押圧する第1押圧手段5と、第1押圧手段5で押圧した接着シートSを被着面W1に再押圧する第2押圧手段6とを備えている。
一方、移動手段4は、ウェハWと第1押圧手段5とを相対移動させる第1移動手段7と、ウェハWと第2押圧手段6とを第1移動手段7による相対移動方向と直交する方向に相対移動させる第2移動手段8とを備えている。
【0026】
第1押圧手段5は、ゴムや樹脂等の弾性部材で構成された第1押圧部材としての第1押圧ローラ51と、第1押圧ローラ51を支持する支持部材52と、支持部材52に出力軸53Aが固定されて第1押圧ローラ51を被着面W1側に付勢する第1付勢手段であって駆動機器としての直動モータ53とを備えている。なお、押圧ローラ51の回転軸心は、ウェハWと押圧ローラ51との相対移動方向と直行する方向に向けられている。
【0027】
第2押圧手段6は、ゴムや樹脂等の弾性部材で構成された第2押圧部材としての第2押圧ローラ61と、第2押圧ローラ61を支持する支持部材62と、支持部材62に出力軸63Aが固定されて第2押圧ローラ61を被着面W1側に付勢する第2付勢手段であって駆動機器としての直動モータ63とを備えている。なお、押圧ローラ61の回転軸心は、ウェハWと押圧ローラ61との相対移動方向と直行する方向に向けられている。
【0028】
第1移動手段7は、ウェハWを吸引保持可能に構成されたテーブル71と、テーブル71を図4中左右方向に移動させる駆動機器としての単軸ロボット72とを備えている。
第2移動手段8は、第1移動手段7によるテーブル71の移動方向と直交する方向に延びる駆動機器としての単軸ロボット81を備え、この単軸ロボット81のスライダ82の下面に直動モータ63が固定されている。これにより、テーブル71に支持されたウェハWと第2押圧手段6とを相対移動可能になっている。
【0029】
以上のシート貼付装置1において、ウェハWの被着面W1に接着シートSを貼付する手順として、先ず、シート貼付装置1は、第1実施形態と同様に、直動モータ53によって所定の押圧力を付与しつつ、単軸ロボット72によるテーブル71の移動により、テーブル41を第1方向である矢印A方向、すなわち、ウェハWに対して被着面W1内における第1方向である矢印WX方向に相対移動させて、接着シートSをウェハWの被着面W1に仮貼付する第1貼付動作を行う。このとき、直動モータ33は、気泡ABが連続した状態が矢印WX方向に直交する方向に形成される程度の押圧力を、押圧ローラ31に付与するようになっている。そして、シート貼付装置1は、単軸ロボット72によるテーブル71の移動を続行し、テーブル71が第2押圧ローラ61下方の所定位置に到達すると、テーブル71の移動を停止する。
【0030】
次に、シート貼付装置1は、直動モータ63の駆動によって第2押圧ローラ61を下降させ、第1貼付動作により貼付された接着シートSを押圧ローラ31により第1貼付動作時よりも大きい押圧力で被着面W1に押圧しつつ、単軸ロボット81により第2押圧ローラ61を第2方向である図4中紙面直交方向、すなわち、ウェハWに対して矢印WX方向と交差する被着面W1内における第2方向である矢印WY方向に移動させることで、接着シートSを被着面W1に本貼付する第2貼付動作を行う。
【0031】
以上の本実施形態のシート貼付装置1によっても、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、テーブル71を第1実施形態と同様に、回動モータを介して単軸ロボット72に取り付けることができ、当該回動モータにより第2押圧ローラ61の下方でテーブル71を所定角度θ(例えば30度や60度)回転させてから、第2押圧ローラ61で押圧するようにしてもよい。この所定角度θは、バンプW2のパターン(延出方向等)によって適宜決定することができる。さらに、第1方向と第2方向とが直交する必要もない。なお、テーブル71を固定しておいて、繰出手段2および第1押圧手段5を移動させたり、それら両方を移動させたりして矢印WX方向または矢印WY方向に相対移動するようにしてもよい。また、第2押圧手段6を固定しておいて、テーブル71を移動させたり、それら両方を移動させたりして、矢印WY方向に相対移動するようにしてもよい。さらに、第2押圧ローラ61を介して第1実施形態と同様の再貼付動作を行ってもよい。
【0032】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0033】
例えば、前記各実施形態では、被着体がウェハWである場合を示したが、被着体はウェハWに限定されるものではなく、ウェハW以外にガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他のものも被着体の対象とすることができる。そして、ウェハWは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示できる。そして、このような被着体に貼付する接着シートは、シート、フィルム、テープ等、被着体に貼付する任意の用途、形状の接着シートが適用できる上、基材シートBSと接着剤層AD以外に他の構成の層を有する3層以上のものであってよいし、接着剤層ADだけの単層のものであってもよい。
【0034】
前記各実施形態では、バンプW2がウェハWの被着面W1に格子状に配置されていたが、バンプW2の位置としてはこれに限られない。要するに、バンプW2が少なくとも1方向に並んで設けられていればよく、例えば、バンプW2が千鳥状に配置されてもよい。さらに、バンプW2のような凸部のない被着体を対象としてもよい。また、被着体は、バンプW2が形成されたウェハW以外に、基板等の所定形状の凸部を有するものを対象とすることができる。
【0035】
前記各実施形態では、直動モータ33,53,63の駆動により各押圧ローラ31,51,61の押圧力を変化させていたが、例えば、前記第1実施形態において、押圧ローラ31の他に、当該押圧ローラ31とは異なる弾性力を有する押圧ローラを設け、弾性力の高い方の押圧ローラで第1貼付動作を行い、弾性力の低い方の押圧ローラで第2貼付動作を行うようにしてもよいし、その逆でもよい。要するに、第1貼付動作で気泡ABができやすい部分に積極的に気泡ABが連続した状態を形成した後、第2貼付動作で気泡ABが連続した方向に沿って当該気泡を押し出すように構成すればよい。また、前記第2実施形態において、第2押圧ローラ61の弾性力を第1押圧ローラ51の弾性力よりも低く構成することで、第1および第2押圧ローラ51,61間の押圧力に差を設けてもよい。
【0036】
前記各実施形態では、各押圧ローラ31,51,61は、表面がゴムや樹脂等の弾性部材で構成されていたが、当該各押圧ローラ31,51,61全体を弾性部材で構成してもよい。
また、各押圧ローラ31,51,61は、温度変化によって硬度が変化する弾性部材で構成された押圧面と、弾性部材の温度を調節する温度調節手段とを備えて構成されてもよい。このような構成によれば、押圧ローラの押圧面を構成する弾性部材の温度を調節することで、弾性部材の弾性力を任意に変更することができるので、押圧ローラによる接着シートの押圧力を各貼付動作に適した状態に変更することができる。
さらに、押圧手段3は、各押圧ローラ31,51,61に替えて、ブレード材、エア噴き付け、ゴム、樹脂、スポンジ等による押圧部材を採用することができる。
【0037】
前記各実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0038】
1 シート貼付装置
2 繰出手段
3 押圧手段
4 移動手段
5 第1押圧手段
6 第2押圧手段
7 第1移動手段(移動手段)
8 第2移動手段(移動手段)
31 押圧ローラ(押圧部材)
33 直動モータ(付勢手段)
42 回動モータ(回転手段)
51 第1押圧ローラ(第1押圧部材)
53 直動モータ(第1付勢手段)
61 第2押圧ローラ(第2押圧部材)
63 直動モータ(第2付勢手段)
S 接着シート
W ウェハ(被着体)
W1 被着面
W2 バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着シートを繰り出す繰出手段と、
前記繰出手段から繰り出された接着シートを被着体の被着面に押圧する押圧手段と、
前記被着体と前記押圧手段とを相対移動させる移動手段とを備え、
前記押圧手段は、
前記接着シートを被着面に押圧しつつ、前記移動手段により当該被着面内における第1方向に相対移動する第1貼付動作と、
前記第1貼付動作により貼付された接着シートを第1貼付動作時よりも大きい押圧力で被着面に押圧しつつ、前記移動手段により第1方向と交差する当該被着面内における第2方向に相対移動する第2貼付動作とを行うことを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記被着体を前記被着面内で回転可能に支持する回転手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記押圧手段は、
前記接着シートを前記被着面に押圧する押圧部材と、
前記押圧部材を前記被着面側に付勢する付勢手段とを備え、
前記付勢手段は、前記第2貼付動作時の押圧部材の付勢力を前記第1貼付動作時の付勢力よりも増加可能に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記押圧手段は、
弾性部材を少なくとも表面に有した第1押圧部材と、
前記第1押圧部材の弾性部材とは異なる弾性力を有する弾性部材を少なくとも表面に有した第2押圧部材とを備え、
前記第1貼付動作時は前記第1押圧部材により前記接着シートを前記被着面に押圧し、
前記第2貼付動作時は前記第2押圧部材により前記接着シートを前記被着面に押圧することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項5】
前記押圧手段は、
前記第1押圧部材を前記被着面側に付勢する第1付勢手段と、
前記第2押圧部材を前記被着面側に付勢する第2付勢手段とを備え、
第2付勢手段は、前記第1付勢手段による付勢力よりも高い付勢力で前記第2押圧部材を付勢可能に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のシート貼付装置。
【請求項6】
接着シートを繰り出し、
繰り出された接着シートを押圧手段により被着体の被着面に押圧しつつ、当該押圧手段を当該被着体に対して被着面内における第1方向に相対移動する第1貼付動作を行い、
前記第1貼付動作により貼付された接着シートを押圧手段により第1貼付動作時よりも大きい押圧力で被着面に押圧しつつ、当該押圧手段を当該被着体に対して第1方向と交差する当該被着面内における第2方向に相対移動する第2貼付動作を行うことを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−209303(P2012−209303A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71692(P2011−71692)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】