説明

ステッピングモータの制御装置およびステッピングモータの制御方法

【課題】ステッピングモータの負荷を常時モニタして、モータを脱調させることなくその時々の負荷に対して最適な駆動電流の設定を可能として、消費電力の低減を図る。
【解決手段】ステッピングモータ100を駆動する駆動電流を設定する駆動電流設定部121と、ステッピングモータ100の駆動波形から、その負荷を検出する負荷検出部124と、検出された負荷がある閾値を超えた際に、脱調の予兆があると判定する脱調予兆判定手部125と、駆動電流を可変して負荷に必要な脱調しない最小の駆動電流に設定する駆動電流最適化制御部130と、を備え、駆動電流最適化制御部130は、可変制御される所定時間が経過するごとに、脱調予兆判定部125による脱調予兆の有無情報にしたがって駆動電流を可変制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッピングモータの制御装置およびステッピングモータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿読取スキャナの原稿搬送機構、キャリッジ走査機構、あるいは複写機などの搬送機構など、被駆動対象物に対して駆動/停止、正回転/逆回転、増速/減速などが必要な駆動源としてステッピングモータが用いられている。このステッピングモータを搭載するにあたっては、被駆動対象物の負荷、すなわち被駆動対象物を駆動するための出力エネルギーを考慮した規模のモータを選択する必要があった。このようなことからステッピングモータの駆動電流値を決める方法としては、あらかじめ計算あるいは実測により負荷トルクを求め、ステッピングモータの負荷トルクのバラツキや環境、組付けなどによる負荷バラツキを許容できるマージンを付加した上で決定される。このため、種々のバラツキ条件を加味した上での電流値が設定されているため、実際の負荷トルクを賄う電流値よりも大きな値が設定されていることが多い。また、ステッピングモータで駆動する負荷は必ずしも一定ではなく、負荷が増加する駆動箇所、低下する駆動箇所があるが、ステッピングモータを駆動する駆動電流は最大負荷を駆動できる電流値に設定されている。
【0003】
このようなステッピングモータを駆動源とした装置において、ステッピングモータの消費電力を低減する目的で、駆動電流を徐々に低減させながらステッピングモータを駆動し、脱調を検知したときの駆動電流値に基づいて駆動電流の最適化を行う技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。また、ステッピングモータに流れる電流の変化を検出し、その検出波形に基づいて、必要負荷トルクに対して現在設定されている駆動電流値でのモータ出力が適正であるかを判断し、その結果に応じて駆動電流値を変更する技術が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
なお、脱調とは、ステッピングモータが過負荷や急な速度変化などに起因し、入力パルス信号とモータ回転との同期が失われる、すなわち、負荷が大きすぎると同期速度と実際の回転速度が一致しなくなる現象をいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−215890号公報
【特許文献2】特開2008−236940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記に示されるような、ステッピングモータの消費電力を低減する装置にあっては、ステッピングモータの負荷を常時モニタして、その時々の負荷に対して駆動電流値を最適化している訳ではなく、最大負荷時のみの駆動電流値の最適化を行っているため、最大負荷以外の駆動電流値を最適化することができなかった。また、駆動電流値の最適化処理を行うにあたりステッピングモータを脱調させてしまうため、次起動時にホームポジションの検出を行わない場合には、位置情報を把握することができず、非駆動対象物の暴走やロックなどによって装置を破損させてしまう可能性もあった。また、ホームポジションの検出を行なう場合には、検出に要する時間がかかるためダウンタイムが発生してしまうという問題もあった。
【0007】
また、特許文献1の技術にあっては、徐々に駆動電流値を低減させながら実負荷トルクを求め、それに対して最適な駆動電流値を決定しているものの、最大負荷時以外の駆動電流を最適化することができない。また、最適化処理を行うにあたりステッピングモータを脱調させてしまうため、位置情報を把握できないことによるマシンの破損やダウンタイム等が発生するという問題もあった。
【0008】
また、特許文献2の技術にあっては、駆動電流を最適と判断する閾値は、あらかじめ設定された値であるため、駆動環境の変化、マシン間での負荷バラツキなども加味したマージンを設定する必要がある。また、この閾値を操作パネル上から変更できるような構成としてもよいが、その場合にはユーザーまたはサービスマンが設定する必要があり、自動で必要なトルクに近い出力を得ることのできる電流値に設定することができない。また、上記バラツキが大きい場合には、脱調する可能性もあると考えられる。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ステッピングモータの負荷を常時モニタして、モータを脱調させることなくその時々の負荷に対して最適な駆動電流の設定を可能として、消費電力の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ステッピングモータを駆動する駆動電流を設定する駆動電流設定手段と、前記ステッピングモータの駆動波形から、前記ステッピングモータの負荷を検出する負荷検出手段と、前記負荷検出手段によって検出された負荷がある閾値を超えた際に、脱調の予兆があると判定する脱調予兆判定手段と、前記駆動電流を可変して負荷に必要な脱調しない最小の駆動電流に設定する駆動電流最適化制御手段と、を備え、前記駆動電流最適化制御手段は、可変制御される所定時間が経過するごとに、前記脱調予兆判定手段による脱調予兆の有無情報にしたがって前記駆動電流を可変制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、所定時間経過ごとに駆動電流を設定し、この所定時間の間、駆動電流を一定で制御することにより、ステッピングモータの回転を安定させて、脱調することなく所定時間ごとの駆動電流の最適化が図れるので、消費電力の低減を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置を搭載したシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の機能構成例(1)を示すブロック図である。
【図3】図3は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の全体の制御動作例(1)を示すフローチャートである。
【図4−1】図4−1は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の電流最適化シーケンス動作例(1−1)を示すフローチャートである。
【図4−2】図4−2は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の電流最適化シーケンス動作例(1−2)を示すフローチャートである。
【図5】図5は、駆動電流制御例を示すタイミングチャートである。
【図6】図6は、ステッピングモータのスローアップ制御時におけるt1の設定範囲を示すグラフである。
【図7】図7は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の機能構成例(2)を示すブロック図である。
【図8−1】図8−1は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の電流最適化シーケンス動作例(2−1)を示すフローチャートである。
【図8−2】図8−2は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の電流最適化シーケンス動作例(2−2)を示すフローチャートである。
【図9−1】図9−1は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の電流最適化シーケンス動作例(3−1)を示すフローチャートである。
【図9−2】図9−2は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の電流最適化シーケンス動作例(3−2)を示すフローチャートである。
【図10】図10は、この実施の形態にかかる回転速度制御例を示すタイミングチャートである。
【図11】図11は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の機能構成例(3)を示すブロック図である。
【図12】図12は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の全体の制御動作例(2)を示すフローチャートである。
【図13】図13は、この実施の形態にかかる自動原稿搬送装置の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるステッピングモータの制御装置およびステッピングモータの制御方法の一実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態)
本発明は、ステッピングモータの負荷を常時監視して、その監視した時々の負荷に対して最適な駆動電流をフィードバックし、さらに脱調予兆信号に基づいて駆動電流の最適化を行うことにより、ステッピングモータの低消費電力化を図るものである。以下、具体的に説明する。
【0015】
図1は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置を搭載したシステム構成を示すブロック図である。この図1において、符号100はステッピングモータ、符号110はシステム制御部、符号111はモータドライバ、符号112はモータ制御部、符号113は記憶部、符号114は温度検出素子、符号115は報知部、符号120は被駆動部である。
【0016】
ステッピングモータ100は、たとえば複写機などの自動原稿読取装置の給紙搬送機構、キャリッジ走査機構、複写機などの各種搬送および駆動機構といった被駆動部120の駆動源として用いられる。システム制御部110は、モータドライバ111、モータ制御部112、記憶部113などを有し、上記装置全体を制御するものである。モータドライバ111は、ステッピングモータ100を駆動する。モータ制御部112は、ステッピングモータ100を駆動するモータドライバ111に対してモータ回転方向、励磁パターン、駆動周波数などの制御信号のやりとりを行う。記憶部113は、ステッピングモータ100の駆動電流値、最適時条件などを記憶する。温度検出素子114には、ステッピングモータ100の近傍に配置され、その駆動時の温度を検出することが可能な公知の温度検出素子を用いる。報知部115は、ステッピングモータ100が搭載される装置の表示部、あるいはサービスセンターなどの装置に通信接続され、後述する警告処理の動作を行うために用いられる。上記の各制御部は、CPU,ROM,RAM,タイマ、I/Oポートなどを有するマイクロコンピュータシステムにより構成されており、CPUがROMに記憶されている制御プログラムにしたがって後述する制御動作を実行する。
【0017】
図2は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の機能構成例(1)を示すブロック図である。この図2において、符号121は駆動電流設定部、符号122は出力制御部、符号123は駆動波形出力部、符号124は負荷検出部、符号125は脱調予兆判定部、符号126は脱調予兆フラグ発生部である。また、モータ制御部112は駆動電流最適化制御部130を有する。
【0018】
駆動電流設定部121は、ステッピングモータ100を駆動する駆動電流を設定する。出力制御部122は、モータ制御部112より受けた回転方向や励磁パターン、駆動周波数などの指令情報を元に後述する駆動波形出力部123を制御する。駆動波形出力部123は、出力制御部122からの指令信号にしたがってステッピングモータ100を駆動する。負荷検出部124は、ステッピングモータ100の駆動波形をモニタし、ステッピングモータ100に掛かる負荷情報を検出する。脱調予兆判定部125は、負荷検出部124で検出して得られたステッピングモータ100の負荷情報が所定の閾値を超えたときに脱調しつつあるかどうかの予兆を判定する。脱調予兆フラグ発生部126は、脱調予兆判定部125にて脱調の予兆がありと判定された場合にフラグを発生させる。
【0019】
また、駆動電流最適化制御部130は、脱調予兆フラグ発生部126、および記憶部113に記憶してある情報の情報を元にステッピングモータ100の駆動電流を最適化する制御を行う。なお。上記最適化とは、駆動電流値を可変して負荷に必要な脱調しない最小電流値に設定(制御)する処理をいう。
【0020】
図3は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の全体の制御動作例(1)を示すフローチャートである。この制御動作が図2に示すように構成されたステッピングモータ制御装置によって実行される。制御動作を開始すると、まず、モータ制御部112は記憶部113に記憶されている駆動するステッピングモータ100の駆動電流値を読み込み(ステップS101)、その読み込んだ駆動電流値を駆動電流設定部121に設定する(ステップS102)。続いて、後述する電流最適化シーケンスを実行し(ステップS103)、この1モードについての動作が完了したか否かを判断する(ステップS104)。なお、1モードとは、ユーザーが指定した一連の動作、たとえば、20枚コピーを指定した場合、20枚コピー開始から完了までの動作を意味する。
【0021】
上記電流最適化シーケスが終了し、ステップS104において1モードが完了した場合(判断Yes)は、駆動電流値をリセットする(ステップS105)。一方、1モードが完了していない場合(判断No)は、ステップS101に戻り、直前に保存した駆動電流値を記憶部113から読み込む。そして、1モードが完了するまでステップS101〜S104を繰り返して実行することで1モード中にステッピングモータ100を駆動する駆動電流値が最適化される。
【0022】
なお、ステップS105において駆動電流値をリセットするのは、1モードが完了した後、再び別のモードを開始する場合、以前と条件が同じとは限らないことによる。たとえば、複写機の原稿搬送装置においては、用紙の種類、具体的には用紙の厚みによってモータの負荷は変わる。また、併せて駆動時の周囲温度にも影響を受ける。そのため、図3の制御動作では、1モードが完了したときに記憶部113のデータをリセットしているが、複写機の原稿搬送装置の例では、1モード中に最適化した駆動電流値と併せて、厚み検知センサを設けて用紙の厚み情報と温度センサ(図1:温度検出素子114)を設けて周囲温度情報を記憶部113に保存する場合は、駆動電流値をリセットする必要はなく、その情報を活用することで、電流を最適化する時間を短縮することができる。
【0023】
つぎに、電流最適化シーケンスについて図4−1、4−2〜図6を参照して説明する。図4−1、4−2は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の電流最適化シーケンス動作例(1)を示すフローチャートである。図5は、駆動電流制御例を示すタイミングチャートである。図5において(A)は回転速度制御例、(B),(C)は従来の駆動電流制御例(1),(2)、(D)はこの実施の形態にかかる駆動電流制御例についてそれぞれ示している。また、図6は、ステッピングモータ100のスローアップ制御時におけるt1の設定範囲を示すグラフである。
【0024】
図4−1,4−2において、まず、ステッピングモータ100が励磁開始あるいは励磁中であるか否かを判断する(ステップS201)。ここで励磁開始あるいは励磁中である場合(判断Yes)、さらにステッピングモータ100の回転速度が一定速度で制御されているか否かを判断する(ステップS202)。ここで、励磁開始と同時に、ステッピングモータ100を制御する回転速度が一定制御であれば(判断Yes)、駆動電流値を可変して脱調しない最小電流値に制御を行う最適化の周期(TSE)をt0に、設定する(ステップS203)。ここでt0は、駆動するステッピングモータ100によって選択できるものであってもよい。たとえば、負荷変動が比較的小さいことがわかっているステッピングモータについてはt0を大きく、あるいは負荷変動が大きいことがわかっているステッピングモータ100についてはt0を小さく初期値として記憶部113に保存しておく。
【0025】
一方、ステップS202において回転速度が一定制御でない場合(判断No)、以下の制御を実行する。具体的には、ステッピングモータ100を自起動領域以上の高速域で使用する場合は脱調を防止するためスローアップ制御(自起動領域でトルクマージンのある回転数から励磁を開始し、目的の回転数まで徐々に回転数を上げてゆく制御:図5(A)のT1の範囲)や、スローダウン制御(スローアップ制御の反対で、動作停止時に脱調の発生を防いで位置制御をする場合に目的の回転数まで徐々に回転数を下げてゆく制御:図5(A)のT3の範囲)の場合、周期をt1に設定する(ステップS204)。つまり、回転速度を可変制御している間は、周期t1で駆動電流の最適化を行う。
【0026】
上記ステップS203、S204を実行した後、Tsタイマが0からスタートする(ステップS205)。また、後述する振動の影響を考慮するため、スローアップ制御起動時(図5(A)の[1])の後、スローアップ制御から定速制御への切替時(図5(A)の[2])の後、スローダウン制御起動時(図5(A)の[3])の後、スローダウン制御から定速制御切替時(図5(A)の[4])の後において、Tα間は、所定時間t1で駆動電流の最適化を行うようにしてもよい。なお、このTαは、設計時の試験により取得された振動のデータから決定し初期値として記憶部113に保存しておく。
【0027】
続いて、t0あるいはt1経過するまでの間、脱調予兆信号を監視する(ステップS206)。なお、t0あるいはt1経過するまでは、本シーケンスを実行する前に取得した駆動電流値で駆動する。t0あるいはt1間で脱調予兆信号がある場合、脱調予兆ありとして(判断Yes)、記憶部113に保存し(ステップS207)、t0あるいはt1経過するまでステップS206〜S208を繰り返し、実行する。
【0028】
一方、ステップS206において、t0あるいはt1間で脱調予兆信号がない場合、脱調予兆なし(判断No)として、ステップS208へ進む。ステップS208ではTs=TSE経過したか、すなわち、t0あるいはt1経過したか否かを判断する。ここでt0もしくはt1経過後(判断Yes)、Tsタイマをリセットする(ステップS209)。続いて、モータ制御部112はステップS207の情報を確認し、TSE間で脱調予兆があったか否かを判断する(ステップS210)。ここで脱調予兆あり(判断Yes)の場合、駆動電流値Anに所定値Axを加算する(ステップS211)。一方、脱調予兆なし(判断No)の場合、駆動電流値Anに所定値Ayを減算する(ステップS212)。
【0029】
なお、上記において、Ax、Ayの関係は、Ax>Ayとする。ここで、Anとは所定時間経過ごとに設定する駆動電流であり、A1とは励磁開始1番目の区間、A2とは励磁開始2番目の区間の電流値を意味する。なお、初期値は、たとえば、図5(C)のように、最適な電流値(図5(D))より大きい値に設定しておけばよい。
【0030】
続いて、ステップS211、S212の何れかの処理後、駆動電流値Anを記憶部113に保存する(ステップS213)。そして、励磁完了であるか否かを判断し(ステップS214)、励磁が完了してなければ(判断No)、ステップS201へ進み、ステップS201からステップS214を繰り返し、実行する。一方、励磁が完了していれば(判断Yes)、この一連の動作を終了する。
【0031】
なお、上記では、電流最適化において脱調予兆あり(ステップS211)か、脱調予兆なし(ステップS212)の処理を繰り返すが、脱調予兆あり(ステップS211)が、同じ区間で、たとえば2回発生し、かつ、そのときの駆動電流値Anが同じ場合、その駆動電流値が最適値に近い(その電駆動流値を下回ると脱調する可能性あり)として、以降の処理において、駆動電流値An=An×1.1に固定し、再び脱調予兆が発生した場合、ステップS211の処理を行うようにしてもよい。
【0032】
ここで、t1の設定について説明する。上述したように、スローアップ制御はステッピングモータ100を自起動領域以上の高速域で使用する場合は脱調を防止するため低速から高速へ周波数を可変する。その際、低速時は、パルス間隔が大きく振動が発生し高速になるにつれ振動は徐々に収束する(図6参照)。
【0033】
振動の周期は、実験により大よそスローアップ制御の起動時のステッピングモータ100を制御する回転速度(図5(A)の例ではr0[pps])に影響することが把握できているため振動の周期tfは、下記式で求まる。
tf[ms]=1000÷r0
【0034】
また、ステッピングモータ100は、振動の変化により、負荷トルクが変化するため、駆動電流値を最適化する周期t1は以下のようにすることが好ましい。
0<t1≦tf<t0
【0035】
図5(A)に示す回転速度で制御する場合、従来は、図5(B)のように励磁中の負荷条件や周囲温度の最悪条件から求めた必要な電流で一定制御する。また、別の例では、図5(C)のようにスローアップ制御、スローダウン制御時とそれ以外の部分それぞれの最悪条件で求めた必要な電流で一定制御する。図5(D)はこの実施の形態にかかる電流制御例であり、図4−1,4−2の電流最適化シーケンスを実行する([1]−[2]間、[3]−[4]間は、周期t1、[2]−[3]間は周期t0)。
【0036】
図7は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の機能構成例(2)を示すブロック図である。本構成は前述した図2の構成に対してモータドライバ111にマージン設定部127を付加したものである。他の構成は図2と同一であるので、ここでは同一符号を付し、重複説明は省略する。
【0037】
図7に示すように構成されたステッピングモータ制御装置では、マージン設定部127は、負荷フィードバック制御では補えないバラツキ(たとえば、急激な負荷変動など)に対し、所定のトルクマージンを持たせるためのマージン値を設定する。
【0038】
図8−1、8−2は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の電流最適化シーケンス動作例(2)を示すフローチャートである。この動作は、前述した図4−1,4−2に対してステップS311〜S314が付加したものであり、他の動作は図4−1,4−2と同様であるので、重複部分の説明を省略し、この付加部分にかかわる説明を行う。
【0039】
図8−1、2において、ステッピングモータ100の回転速度が一定制御である場合、(ステップS302の判断Yes)、TSE=t0を設定する(ステップS303)。モータ制御部112はステップS307で記憶部113に保存した情報を確認し、脱調予兆あり(ステップS310の判断Yes)の場合、TSE=t0であるから(ステップS311の判断Yes)、駆動電流値Anに所定値Axを加算する。An=An+Axを設定する(ステップS312)。
【0040】
一方、ステッピングモータ100の回転速度が一定制御ではない場合、つまり、可変制御の場合(ステップS302の判断No)、TSE=t1を設定する(ステップS304)。モータ制御部112はステップS307で記憶部113に保存した情報を確認し、脱調予兆あり(ステップS310の判断Yes)の場合、TSE=t1であるから(ステップS311の判断No)、駆動電流値Anに所定値Axとマージン値Azを加算(An=An+Ax+Az)し、この値を設定する(ステップS313)。ここで、Ax、Ay、Azの関係は、Az≧Ax>Ayとする。
【0041】
なお、上記では、所定値Axとマージン値Azを加算しているが、以下の演算でも構わない。すなわち、
An=An+Ax×n倍
別の例では、
An=An+マージン値Azz (所定値Ax<マージン値Azz)
としてもよい。
【0042】
また、上記制御動作では、回転速度が一定制御でない、つまり可変制御中に脱調予兆を検知した場合にのみマージン値Azを加算しているが、この限りではない。たとえば、回転速度が一定制御中(ステップS302の判断Yes)でも、所定時間の間に複数回の脱調予兆を検知した(ステップS305〜S307で回数をカウントして記憶部113に保存)場合は、脱調する可能性が高いとしてマージン値を加算するようにしても構わない。
【0043】
図9−1、9−2は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の電流最適化シーケンス動作例(3)を示すフローチャートである。この動作は、前述した図8−1,8−2に対してステップS411以降が異なり、他の動作は図8−1,8−2と同様であるので、重複部分の説明を省略し、異なる部分について説明を行う。
【0044】
この図において、ステッピングモータ100の回転速度が一定制御でない場合、つまり、可変制御の場合(ステップS402の判断No)、ステップS404以降の動作を実行する。モータ制御部112はステップS407で記憶部113に保存した情報を確認し、脱調予兆あり(ステップS410の判断Yes)の場合、回転速度の傾きknを演算する。
【0045】
たとえば、図10に示すように、回転速度の傾きは、
T1の範囲では、k1=|(r1−r0)|÷T1
T2の範囲では、k2=|(r2−r1)|÷T2
T3の範囲では、k3=|(r0−r2)|÷T3
となる。
【0046】
ステップS413において回転速度の傾きknを演算した後、所定の傾きk0と比較して(ステップS414)、kn<k0の場合、マージン値1(Az1)を加算する(ステップS415)、kn≧k0の場合、マージン値2(Az2)を加算する(ステップS416)。なお、Ax、Ay、Az1、Az2の関係は、Az2>Az1≧Ax>Ayとする。つまり、傾きの小さい場合はマージン値を極力抑えることで消費電力の低減を図り、回転速度の傾きknの大きい場合はマージン値を大きくして脱調を確実に防止する。
【0047】
なお、図9−1,2では、所定の傾きk0を1つにしたが、2つ以上であっても構わない。また、スローアップ制御中(図10のT1やT2の範囲)と、スローダウン制御中(図10のT3の範囲)でマージン値を変えてもよい。
【0048】
また、図5で説明したようにt1の設定については0<t1≦tf<t0とする。また、T1においては、tf[ms]=1000÷r0、T2においては、tf[ms]=1000÷r1、T3においては、tf[ms]=1000÷r0となる。
【0049】
図11は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の機能構成例(3)を示すブロック図である。本構成は前述した図2の構成に対して最適化禁止手段140を付加したものである。他の構成は図2と同一であるので、ここでは同一符号を付し、重複説明は省略する。最適化禁止手段140は、最適化禁止信号を出力し、この最適化禁止信号が出力されている場合に駆動電流の最適化を禁止するものである。
【0050】
図11に示すように構成されたステッピングモータ制御装置の動作について説明する。図12は、この実施の形態にかかるステッピングモータ制御装置の全体の制御動作例(2)を示すフローチャートである。この制御動作が図11に示すように構成されたステッピングモータ制御装置によって実行される。制御動作を開始すると、まず、モータ制御部112は記憶部113に記憶されている駆動するステッピングモータ100の駆動電流値を読み込み(ステップS501)、その読み込んだ駆動電流値を駆動電流設定部121に設定する(ステップS502)。
【0051】
続いて、電流最適化フラグF=0であるか否かを判断する(ステップS503)。ここで電流最適化フラグF=0である場合(判断Yes)、電流最適化シーケンスを実行し(ステップS504)、この1モードが完了したか否かを判断する(ステップS507)。一方、ステップS503において電流最適化F=1である場合(判断No)、さらにAn=A0の設定前であるか否かを判断する(ステップS505)、ここでAn=A0の設定前であれば(判断Yes)、An=A0を設定し(ステップS506)、ステップS507に移行する。一方、ステップS506において駆動電流値An=A0の設定済であれば(判断No)、ステップS507に移行する。
【0052】
電流最適化シーケスが終了し、ステップS507において1モードが完了した場合(判断Yes)は、駆動電流値をリセットする(ステップS508)。一方、1モードが完了していない場合(判断No)は、ステップS501に戻り、直前に保存した電流値を記憶部113から読み込む。そして、1モードが完了するまでステップS501〜S507を繰り返して実行することで1モード中に駆動電流値が最適化される。
【0053】
すなわち、上述した図12の動作は、前述の図4−1,4−2の駆動電流最適化シーケンスとは、非同期に最適化禁止手段140からの信号を検知した際は、電流最適化フラグがF=1(ステップS503、判断No)となり、駆動電流の最適化を禁止するという最適化禁止処理を実行する。また、電流最適化フラグがF=1(ステップS503、判断No)の間は、所定の駆動電流値(An=A0)を設定する(ステップS505,S506)。一方、電流最適化フラグがF=0(ステップS503、判断Yes)のときは、電流最適化シーケンスを実行する(ステップS504)。
【0054】
なお、所定の電流値は、禁止期間中の最大負荷を考慮した電流値A0をあらかじめ設定しておく。具体的には、複写機の自動原稿搬送装置を例にとって図13を参照して説明する。
【0055】
図13は、この実施の形態にかかる自動原稿搬送装置の構成例を示す説明図である。図13に示すように、装置本体150上には自動原稿搬送装置(ADF)200が搭載されている。
【0056】
図13において、原稿テーブル2に積み重ねて載置された原稿1を最上位から1枚ずつ順に搬送するための給紙/分離部は、原稿テーブル2上の原稿給紙側に接する位置まで回転可能な呼び出しコロ4、給紙方向に回転し、呼び出しコロ4にて呼び出された原稿1を取り込む給紙部材5、および、給紙方向と逆方向に回転し、給紙された原稿1の最上位の1枚のみを分離する分離部材6、などから構成される。なお、呼び出しコロ4は図示していないソレノイドで、給紙部材5および分離部材6などは図示していない駆動モータ(たとえば前述のステッピングモータ100)にて駆動される。
【0057】
また、前記給紙/分離部の下流にて突き当てローラ対7,7aに原稿1を突き当てることにより原稿1の傾きは補正され入口ローラ対8,8aへ搬送される。搬送された原稿1をコンタクトガラス102上の読取位置まで搬送するための搬送部は、入口ローラ対8,8a、出口ローラ対10,10aなどから構成され、これらのローラは、図示していない駆動モータ(たとえば前述のステッピングモータ100)にて駆動される。また、読み取り後の原稿1を排紙トレイ14あるいは切換爪13の下流に排出するための排紙部は、出口ローラ対10,10aを介して搬送されてきた原稿1を検知する排紙センサ(たとえば光学式反射型センサ)23、排紙時あるいは反転時における搬送方向変更用の切換爪13、および、図示していない駆動モータにて駆動される排紙ローラ11および反転ローラ15、などを有する。
【0058】
また、図13において、符号3はストップ爪、符号9はガイド板、符号11は排紙ローラ、符号11aは排紙下従動ローラ、符号12は排紙上ガイド板、符号15は反転ローラ、符号15aは反転従動ローラ、符号21は入口センサ、符号22はレジストセンサ、符号101は読取部、符号103aは前側読取基準板、符号103bは後側読取基準板、符号R1は第1搬送路、符号R2は第2搬送路、符号R3は第3搬送路、符号R4は第4搬送路である。
【0059】
つぎに、図13に示す自動原稿搬送装置200の基本的な給紙/分離動作について説明する。原稿テーブル2上に第1画像面を上向きにして積み重ねられた原稿1は、装置本体150の操作部(不図示)におけるスタートボタン(不図示)の押下で自動原稿搬送装置200側にスタート信号が送られることにより、最上位から1枚ずつ順に給紙される。以下にその動作手順を述べる。原稿1を原稿テーブル2に積み重ねて載置する際、原稿先端は、ストップ爪3に突き当たることにより位置決めされる。こうして原稿1がセットされると、呼び出しコロ4は、前記スタート信号により、ソレノイド(不図示)によって矢印A方向へ回転し、原稿1が呼び出しコロ4と接する位置まで下降する。その呼び出しコロ4によって加圧された原稿1は、給紙方向に回転する呼び出しコロ4により、給紙部材5および分離部材6からなる分離部へ搬送され、最上位から1枚ずつ分離される。
【0060】
1枚ずつ分離された原稿1は、突き当てローラ対7,7aにより入口ローラ対8,8aが配置されている第1搬送路R1に搬送される。その入口ローラ対8,8a近傍に配置されたレジストセンサ22からの検知信号は、原稿先端を検知して読取部101への原稿先端の通過と画像読取り開始とのタイミングを合わせるために用いられる。
【0061】
さらに、操作部における片面/両面モードの設定に従い、読取動作に入る。片面モードにて第1画像面のみを読み取る場合は、原稿1は読取部101にて前述のように第1画像面の画像情報を読み取られた後、出口ローラ対10,10a、排紙ローラ11、および排紙下従動ローラ11aが配置された第2搬送路R2を通り、排紙トレイ14に排出される。一方、両面モードにて第1画像面および第2画像面を読取る場合は、原稿1は前述のように第1画像面を読み取られた後、第2搬送路R2を通り、反転ローラ15、および反転従動ローラ15aが配置されている第3搬送路R3を通って切換爪13の下流に排出される。この際、排紙センサ23にて原稿先端が検知されるか、あるいは、レジストセンサ22にて原稿1が検知されてから所定のタイミングで、ソレノイド(不図示)により切換爪13がB位置(ホームポジション)からB’位置に下降し、排紙ローラ11および排紙下従動ローラ11aにて挟持搬送された原稿1を切換爪13の下流に導く。
【0062】
前記B’位置に下降した切換爪13は、原稿先端が排紙センサ23を通過した後、さらに一定時間(原稿後端が排紙ローラ対11,11aを通過し切換爪13に達するまでの時間)経過した後、前記ソレノイドを解除することにより、B位置(ホームポジション)に復帰する。この切換爪13の復帰後、反転ローラ15が逆回転し、原稿先端は排紙ローラ11および排紙上従動ローラ11bのニップ部に進入する。原稿1は第4搬送路R4を搬送され、一時停止している突き当てローラ対7,7aに突き当てられ傾きを補正した後、第1搬送路R1を通って読取位置に搬送され、読取部101にて第2画像面を読み取られる。こうして第2画像面が読取られた後、原稿1のページ順を整えるため第1画像面が下向きでスタックされるように、切換爪13がB’位置に移動する。これにより、第2搬送路R2を通った読み取り後の原稿1は、第3搬送路R3を通り、第2画像面が下向きで切換爪13の下流に一旦保持される。この後、切換爪13はB位置(ホームポジション)に復帰し、切換爪13の下流に一旦保持されていた原稿1は、第4搬送路R4、第1搬送路R1、第2搬送路R2を通り、第1画像面が下向きで排紙トレイ14に排出される。
【0063】
つぎに、図13のように構成された自動原稿搬送装置200の電流最適化禁止シーケンスについて説明する。図13に示すような構成と動作において、画像読取中はステッピングモータ100の回転を安定させるため駆動電流値を固定することが好ましい。その間のステッピングモータ100の駆動電流の最適化を実施しないようにするため、用紙先端がレジストセンサ22を通過する際の信号を電流最適化禁止信号として禁止フラグをセットし、用紙後端が排紙センサ23を通過する際の信号により禁止フラグをリセットする。
【0064】
たとえば、両面モードの第2画像面が読み取られた後は、原稿1のページ順を整えるために第4搬送路R4、第1搬送路R1、第2搬送路R2を通り、第1画像面が下向きで排紙トレイ14に排出されるわけであるが、この際は、読み取りは行われないため、通常通りステッピングモータ100を駆動する電流の最適化を行うようにしてもよい。
【0065】
ステッピングモータ100の駆動電流の最適化禁止中は、最大負荷を考慮した電流値で駆動するため、禁止時間を短縮する方が好ましい。そのために、用紙先端が読取部直前(図13の符号103a付近)から、用紙後端が読み取り部直後(図13の符号103b付近)の間だけ禁止にする方法が考えられる。たとえば、レジストセンサ22を通過したときから所定時間遅延して禁止し、用紙サイズに応じて禁止時間を決定すればよい。遅延時間は、線速(用紙の搬送速度)と、レジストセンサ22と読み取り直前部までの搬送距離で求まる。なお、ステッピングモータ100を駆動する電流の最適化の禁止時間は線速と用紙サイズで求まる。
【0066】
したがって、以上説明してきた実施の形態によれば、ステッピングモータ100を駆動する電流を設定する駆動電流設定部121と、ステッピングモータ100の駆動波形から、ステッピングモータ100の負荷を検出する負荷検出部124と、負荷検出部124によって検出された負荷がある閾値を超えた際に、脱調の予兆があると判断する脱調予兆判定部125と、可変制御される所定時間が経過するごとに、脱調予兆判定部125による脱調予兆の有無情報を基に駆動電流を可変制御する駆動電流最適化制御部130と、を有することにより、所定時間経過ごとに駆動電流を設定し、この所定時間の間、駆動電流を一定で制御しているので、ステッピングモータ100の回転を安定することができ、脱調することなく所定時間ごとの駆動電流の最適化が図れ、消費電力の低減を行うことができる。
【0067】
また、上記構成において、所定時間を可変制御しているので、たとえばステッピングモータ100の起動時の脱調防止のため回転速度を低速から高速へ制御する場合、短い間隔で最適化することで負荷のばらつきがある場合でも脱調することなく所定時間ごとの駆動電流の最適化が図れ、消費電力の低減を行うことができる。
【0068】
また、上記のように構成されたステッピングモータ制御装置において、負荷に対して所定のトルクマージンを持たせるためのマージン設定部127を備え、駆動電流に対しマージン設定部127で設定されたマージン値を所定時間経過ごとに設定することにより、モータ起動時の脱調防止のため回転速度を低速から高速へ制御する間、マージン値を大きくすることで負荷の初期ばらつきや経時劣化がある場合でも脱調することなく所定時間ごとの駆動電流の最適化を行うことができる。また、所定時間経過ごとにマージン値を設定しているため制御負荷の増大を招くことがなくなる。
【0069】
また、上記のように構成されたステッピングモータ制御装置において、回転速度の傾き(回転速度変化と変化に要する時間の比)に応じて、マージンレベルを変更することにより、ステッピングモータ100により傾きは様々であるが、傾きに応じてマージンレベルを変更することで、脱調することなく所定時間ごとの駆動電流の最適化を行うことができる。
【0070】
また、上記のように構成されたステッピングモータ制御装置において、駆動電流の最適化禁止手段140を備え、最適化禁止手段140から出力される最適化禁止信号の検知中は、ステッピングモータ100の駆動電流の最適化を禁止制御することにより、駆動電流の最適化を禁止制御するので、所望の期間、駆動電流は一定に保たれるためステッピングモータ100の回転を安定することができる。
【符号の説明】
【0071】
100 ステッピングモータ
110 システム制御部
111 モータドライバ
112 モータ制御部
113 記憶部
114 温度検出素子
115 報知部
121 駆動電流設定部
122 出力制御部
123 駆動波形出力部
124 負荷検出部
125 脱調予兆判定部
126 脱調予兆フラグ発生部
127 マージン設定部
130 駆動電流最適化制御部
140 最適化禁止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステッピングモータを駆動する駆動電流を設定する駆動電流設定手段と、
前記ステッピングモータの駆動波形から、前記ステッピングモータの負荷を検出する負荷検出手段と、
前記負荷検出手段によって検出された負荷がある閾値を超えた際に、脱調の予兆があると判定する脱調予兆判定手段と、
前記駆動電流を可変して負荷に必要な脱調しない最小の駆動電流に設定する駆動電流最適化制御手段と、
を備え、
前記駆動電流最適化制御手段は、可変制御される所定時間が経過するごとに、前記脱調予兆判定手段による脱調予兆の有無情報にしたがって前記駆動電流を可変制御することを特徴とするステッピングモータの制御装置。
【請求項2】
さらに、負荷に対して所定のトルクマージンを持たせるためのマージン設定手段を備え、駆動電流に対し前記マージン設定手段で設定されたマージン値を前記所定時間が経過するごとに設定することを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータの制御装置。
【請求項3】
前記マージン設定手段は、前記ステッピングモータの回転速度の変化とこの変化に要する時間の比で表される回転速度の傾きに応じて、前記マージンレベルを変更することを特徴とする請求項2に記載のステッピングモータの制御装置。
【請求項4】
さらに、前記駆動電流の最適化処理を禁止する最適化禁止手段を備え、前記最適化禁止手段から最適化禁止信号が出力されている間は、前記駆動電流の最適化処理を禁止することを特徴とする請求項1、2または3に記載のステッピングモータの制御装置。
【請求項5】
前記最適化禁止手段は、前記ステッピングモータによって駆動される被駆動体が所定の動作を実行中に前記最適化禁止信号を出力することを特徴とする請求項4に記載のステッピングモータの制御装置。
【請求項6】
駆動電流設定手段が、ステッピングモータを駆動する駆動電流を設定する駆動電流設定工程と、
負荷検出手段が、前記ステッピングモータの駆動波形から、前記ステッピングモータの負荷を検出する負荷検出工程と、
脱調予兆判定手段が、前記負荷検出工程で検出された負荷がある閾値を超えた際に、脱調の予兆があると判定する脱調予兆判定工程と、
駆動電流最適化制御手段が、前記駆動電流を可変して負荷に必要な脱調しない最小の駆動電流に設定する駆動電流最適化制御工程と、
を含み、
前記駆動電流最適化制御工程は、可変制御される所定時間が経過するごとに、前記脱調予兆判定工程による脱調予兆の有無情報にしたがって前記駆動電流を可変制御することを特徴とするステッピングモータの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−195984(P2012−195984A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55908(P2011−55908)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】