説明

セル設計最適化プログラム、記録媒体およびセル設計最適化方法

【課題】短い予測計算時間によりセル設計最適化作業を行ない、予測値計算作業にかかるコストの増大を抑え、未経験者であっても短期間にセル設計最適化作業に習熟できるセル設計最適化プログラム等を提供する。
【解決手段】セルパラメータ計算部8は最適化対象エリア内において特定された問題エリア内の全てのセルについて局情報記録DB22から検索した局情報と測定データ記録DB21に記録された問題エリアの各測定点の位置座標とに基づき、問題エリアにおける受信品質を向上させる各セルのセルパラメータを計算する。予測値計算部12は選択されたセル毎に各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差と、アンテナプロファル記録DB23に記録されたアンテナプロファイルと、測定された所定の受信品質パラメータとに基づき、セルパラメータを変化させた場合における所定の受信品質パラメータの予測値を所定の式により計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムにおけるセル設計最適化を行うためのセル設計最適化プログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムにおいて、セル設計最適化(RF Field Optimization)が行われている。移動通信事業者は自分たちのサービスエリアのセルカバレッジまたは無線カバレッジ(以下、「カバレッジ」と言う。)を広げるために、普段から新しい基地局を設置している。受信信号の品質が満足できるような良い場所に基地局を設置する(以後「置局」と言う。)ため、移動通信事業者は卓上で置局用シミュレーションツールを使用しており、シミュレーションの結果に基づくある程度のカバレッジを予測して置局を行っている。上述のセルとは、置局された基地局がカバーするサービスエリアの基本単位であり、一つの基地局が3つのセルを有する、即ち3つの基地局アンテナを有する3セクタ(または3セル)、あるいは一つの基地局が1つのセルを有する、即ち1つの基地局アンテナを有する1セクタ(または1セル)等がある。これらの基地局アンテナは各セルを識別するセル識別信号を送信している。上述のように予測して置局を行なった後、実際のフィールドで受信品質パラメータの測定をしてみると、予測に比べカバレッジが不足している等の問題が生じることがあり、逆にカバレッジが大きすぎて他の基地局のサービスエリアと重なってしまい、干渉が発生する等の問題が生じる場合がある。このような問題を解決する作業がセル設計最適化という作業である。
【0003】
セル設計最適化の主な作業内容は、基地局の各セルに対応するアンテナの高さ、指向方向(アンテナのメインビームの方向)、チルト角(傾斜角度)、および送信電力等で構成されるセルパラメータの調整作業である。いずれのセルパラメータの調整も、その目的は問題が生じているサービスエリア(以下、「問題エリア」と言う。)で得られる希望信号の受信品質を調整することにある。複数の基地局の性能を向上させるこのセル設計最適化作業により、全体的に効率の良い置局が可能になるため、移動通信事業者としては事業資産の有効活用の点で必須の作業となっている。
【0004】
サービスエリアの通信品質を評価するために測定および記録される受信品質パラメータとしては、当該の無線帯域の総受信電力(Received Signal Strength Indicator : RSSI)、希望信号の受信電力(移動通信CDMAシステムでは、Received Signal Code Power : RSCP)、希望信号対干渉雑音比(移動通信CDMAシステムではEc/No(逆拡散前)、 Signal Interference Ratio : SIR(逆拡散後)等) 、希望信号対総受信電力比(移動通信CDMAシステムではEc/Io(逆拡散前))等が用いられている。
【0005】
次に、従来のセル設計最適化作業の一例として、移動通信CDMAシステム(いわゆる第3世代(3G)移動通信システム)を採り上げて説明する。移動通信CDMAシステムにおけるカバレッジ不足に対する対処例は下記のようなステップ1から14までのような流れで実行されている。
【0006】
ステップ1.受信品質パラメータの測定データをロギングする電波測定用ロギングツール(フィールドにおける実測とその結果を記録するツール)を利用して事前にフィールド測定を実施する。具体的には基地局の各セルに対する上記セル識別信号を受信し、その受信信号の各種受信品質パラメータを記録する。図18(A)は、電波測定用ロギングツール200を使用して電波を測定する状態を示す。図18(A)において、符号210はコアネットワーク(Core Network : CN)、212はコアネットワークCN210と接続された制御局(Radio Access Network controller : RNC)、214は制御局RNC212と接続された基地局NODEである。基地局NODE214から送信された電波は電波測定用ロギングツール200により測定され、ロギングされる。図18(A)に示される電波測定用ロギングツール200において、符号202はログデータ解析ツール等を備えたノート型パーソナルコンピュータPC等の携帯型PC、204は携帯型PC202とUSBで接続されたマルチI/Oアダプタ、206はマルチI/Oアダプタ204と接続されたGPSアンテナ、208はマルチI/Oアダプタ204とUSBまたはRS−232Cで接続されたDM(Diagnostic Monitor)用UE(User Equipment : 移動機)である。図18(B)は、携帯型PC202の表示装置に表示される電波の測定状態等を示す。
【0007】
ステップ2.ビュアー(測定結果を表示する機能、一般に携帯型PC202のモニター表示装置を使用)を利用して測定データを2次元地図上で確認する。
【0008】
ステップ3.ビュアーにより表示された2次元地図の表示装置上でカバレッジ不足が発生している問題エリアを目視選択する。図19は、携帯型PC202に備えられたログデータ解析ツールのビュアーにより表示された画像220を示す。図19に示されるように、電波測定用ロギングツール200により電波測定が行われた地域を含む2次元地図上に基地局および受信品質パラメータが合わせて表示されている。図19において、点線の円により示される基地局BS10はセル番号503のセル(扇形で示す。以下同様)を有している1セクタの基地局であり、点線の円により示される基地局BS11はセル番号292、300および308のセルを有している3セクタの基地局であり、点線の円により示される基地局BS12はセル番号169のセルを有している1セクタの基地局である。いずれも基地局アンテナの向きはセルを示す扇形の末が広がる方向により示されている。電波測定用ロギングツール200による電波測定は例えば道路R10に沿って行われ、その結果の受信品質パラメータは道路R10等上に色分けして表示されている。図面の都合上、受信品質パラメータは白黒で表示されているが、例えば受信品質が高い場合は暖色系で表示され、低い場合は寒色系で表示されている。以上のようにログデータ解析ツールのビュアーを使用して、作業者は寒色系で表示された測定点が多い問題エリアA10を目視で選別する。問題エリアA10を示す楕円はビュアーにより表示されるものではなく、作業者が目視で選別するべき問題エリア、即ちセル設計最適化対象エリアを示す。このため、セル設計最適化対象エリア選別作業の時間効率および精度は作業者個人の経験および力量に大きく依存するものとなっていた。
【0009】
ステップ4.問題エリアA10の受信品質が低い原因を地図等を参照して把握する。
【0010】
ステップ5.受信品質の低い原因が途中に山がある等というような地理的条件によるものであり、周辺の基地局の調整によるセル設計最適化で対処可能と作業者が判断できる場合はステップ6へ進む。それ以外の場合はセル設計最適化のレベルでは対処できないため、次の置局計画等に任せることとし、ステップ3に戻って別の問題エリアを目視探索する。
【0011】
ステップ6.問題エリアA10に存在しているセル識別信号のうち、受信品質が低いという問題改善に寄与できそうな近傍基地局のセルを作業者が目視で探索する。つまり、問題エリアA10の周囲を作業者が目視で探索する。
【0012】
ステップ7.ステップ6で探索された近傍基地局の位置情報および上記セルパラメータに関する情報を紙または電子ファイル等による他の資料から収集する。図20は、セルパラメータに関する情報が記録されたセル情報テーブル230を示す。図20において、符号231は基地局名(Site name)欄、232は各基地局が有しているセルの名前を示すセクタ名(Sector)欄である。通常、一つ基地局は3個のセルを有している、即ち3セクタである。続いて、符号233は地面からアンテナ(ANT)までのアンテナを含む高さを示すグランドレベル(Ground Level : AGL)欄、234はアンテナの高さを示すアンテナ高さ(ASL)欄、235はアンテナ種別を示すアンテナタイプ(ANT Type)欄であり、アンテナモデル(Model)欄236およびアンテナのビーム幅を示すビーム幅(Beam)欄237から構成されている。符号238はアンテナのアジマス方向の角度を示すアンテナ方向(Azimuth)欄、239は遠隔操作で変えることができるアンテナのチルト角を示す電気チルト(E-Tilt)欄、240は物理的に工事により変えたアンテナチルト角を示すMチルト(M-Tilt)欄、241は基地局の各セル(セクタ)が出している送信電力(コモンパイロットチャネル(common pilot channel)電力)を示す送信電力(CPICH-TX-PWR)欄、242は各セル固有のスクランブルコード番号を示すスクランブルコード(Scrambling Code : SC)欄である。作業者は、 紙または電子ファイルの形式で記録されたセル情報テーブル230を用いて、手動操作により一つ一つ確認しながら問題改善に寄与可能な近傍基地局についてセルパラメータを収集していく。
【0013】
ステップ8.ステップ6で探索された近傍基地局のセルのアンテナプロファイル(方位角、俯角に依存する放射利得特性)を紙または電子ファイル等を使用して確認する。図21(A)、(B)は、アンテナプロファイルの一例を示す。図21(A)は水平面のアンテナ利得パターンを規定する水平面の利得テーブル(Horizontal Gain Table)であり、図21(B)は垂直面の利得パターンを規定する垂直面の利得テーブル(Vertical Gain Table)である。アンテナプロファイルは水平面の利得テーブルと垂直面の利得テーブルとにより構成される。図21(A)において、上下方向は指向方向角度を示し、左右方向は指向方向角度のステップ幅を示し、両者の交わる位置はその指向方向角度における利得値を示す。図21(A)に示されるように、指向方向角度6度で最大相対利得0dBが設定されている。最大相対利得0dBが設定された最大指向方向角度6度より反時計方向(水平面の利得テーブルの上側方向)は、最右ステップ幅欄251から左側の欄へ順に0.1度のステップ幅ずつ指向方向角度が離調した場合の利得値となる。例えば、指向方向角度が5.9度になった場合、利得は−0.07となる。逆に、最大指向方向6度より時計方向(水平面の利得テーブルの下側方向)は、最左ステップ幅欄252から右側の欄へ順に0.1度のステップ幅ずつ指向方向角度が離調した場合の利得値となる。最大指向方向より±10度以上離調の場合は上記の角度ステップ幅が1度となる。例えば、指向方向角度が6.1度になった場合、利得は−0.03となる。図21(B)において、符号260は下側仰角(電気チルト角度)欄であり、261はその下側仰角における利得値を示す利得値欄である。図21(B)に示されるように、水平方向を下側仰角0度とし、それより上側方向は−の角度値、下側方向は+の角度値で表現している。図21(B)に示されるように、下側仰角6度の方向で最大相対利得0dBが設定されている。作業者は、上述したアンテナプロファイルを確認してアンテナのチルト角、指向方向の変更値の妥当性を手作業ベースで確認する。
【0014】
ステップ9.ステップ8で変更値に妥当性があり、改善が得られると確認されたセルパラメータについて、当該セルパラメータを変更した場合、その結果としての改善量がどのくらいか定量的に予測する。この予測にはその地域の地理的特性を反映した伝搬モデルを用いて経験的に手計算で行われる。具体的には、基地局からセル設計最適化対象エリア内の問題エリア地点までの距離および周囲の地形等を考慮した伝搬モデルに基づいて、アンテナのチルト角の調整により向上できる利得、送信電力増大可能幅等の予測値を試算する。予測計算には電波の伝搬特性の計算に利用されるレイトレーシング法(Ray Tracing method。非特許文献1参照)等も使用されることがある。レイトレーシング法は、幾何光学的理論に基づき送信点から受信点へ到達する電波を追跡することにより、伝搬損失、遅延時間、到来方向を推定する手法である。上記予測計算の時間効率および精度は作業者個人の経験および力量に大きく依存する。
【0015】
ステップ10.ステップ6で探索された他の近傍基地局のセルに関して上記ステップ6からステップ9を繰り返す。
【0016】
ステップ11.上記の繰り返し操作の中で最も大きな改善が得られると予測される近傍基地局のセルのパラメータ変更およびその変更値を最適案として採用し、実環境に設定(実調整)する。
【0017】
ステップ12.ステップ11の実調整後、事後測定を実施する。
【0018】
ステップ13.ステップ12の事後測定の結果を再度ビュアーで確認し、セルパラメータ変更前後の測定データを比較する。
【0019】
ステップ14.ステップ13で問題改善を確認できた場合は終了する。まだ問題が残っている場合はステップ6からステップ13を繰り返す。
【0020】
【非特許文献1】“無線LANシミュレーションソフト導入事例”、[online]、日本電気株式会社、[平成19年9月24日検索]、インターネット、<URL: http://www.nec.co.jp/techrep/ja/journal/g06/n01/060123.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述したステップ9における伝搬モデルを用いた予測計算は対象地域の地理的特性を反映した伝搬モデルを用いていた。このため、対象地域毎の伝搬モデルの設定、即ち、アンテナ利得を含めた電波伝搬における電波の減衰量の数学的計算モデルの設定が必要となった。この結果、当該数学的計算モデルの設定のためのチューニング作業、即ち、当該数学的計算モデルのための最適なパラメータを抽出する作業に要する時間は対象地域の数に比例して余分に必要となり、極めて余分な時間を要することになるという問題があった。
【0022】
上述したステップ9における予測計算のためにレイトレーシング法等を使用する場合、予測計算の時間は一つの対象地域で数時間から数日要するため、予測計算が極めて長時間かかることになる。このため、全ての対象地域にレイトレーシング法等を適用することは非現実的であるという問題があった。
【0023】
レイトレーシング法等を使用した予測計算(シミュレーション)には3次元地図(3DMap)が不可欠であり、シミュレーション結果に最も影響を与えるものである。しかし、精度の高い3次元地図は極めて高価であるため、シミュレーション作業のコストが著しく増大することになるという問題があった。
【0024】
上述したステップ9における伝搬モデルを用いた予測計算は手計算で行われるため、電波伝搬および移動通信システムに関する深い専門知識が必要である。このため、高度に熟練した作業者を必要とするが、そのような高度に熟練した作業者は数が少ないという問題がある上、セル設計最適化作業の未経験者を高度に熟練した作業者にするまでには長い教育訓練期間を必要とするという問題があった。
【0025】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、対象地域毎の伝搬モデルの設定のためのチューニング作業等の余分な時間を要することなく、レイトレーシング法等の使用による極めて長い予測計算時間を必要とすることなく、短い予測計算時間によりセル設計最適化作業を行なうことができるセル設計最適化プログラム等を提供することにある。
【0026】
本発明の第2の目的は、高価な高精度3次元地図を必要とせず、シミュレーション作業にかかるコストの著しい増大を抑えることができるセル設計最適化プログラム等を提供することにある。
【0027】
本発明の第3の目的は、セル設計最適化作業について高度に熟練した作業者を必要とせず、未経験者であっても短期間にセル設計最適化作業に習熟することができるセル設計最適化プログラム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この発明のセル設計最適化プログラムは、移動通信システムにおけるセル設計最適化を行うためのセル設計最適化プログラムであって、所定の測定点で測定された基地局のセルを識別するセル識別信号について所定の受信品質パラメータと該所定の測定点の位置とを記録した測定データ記録部と、セルに関する所定のセルパラメータ及びセル識別信号を含む局情報を記録した局情報記録部と、セルの基地局アンテナの水平面利得パターン及び垂直面利得パターンを規定したアンテナプロファイルを記録したアンテナプロファイル記録部と、所定の測定点を含むエリアの2次元地図データを記録した2次元地図記録部及び3次元地図データを記録した3次元地図記録部とを用いて、コンピュータを、所定の測定点で測定されたセル識別信号について所定の受信品質パラメータを入力し、前記測定データ記録部に記録する受信品質パラメータ入力手段、前記2次元地図記録部に記録された2次元地図データに基づき2次元地図を表示し、前記受信品質パラメータ入力手段により前記測定データ記録部に記録された所定の測定点における所定の受信品質パラメータを、該2次元地図上で該所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する表示手段、前記表示手段により表示された2次元地図を示す画像上で最適化対象エリアを選定させる最適化対象エリア選定手段、前記最適化対象エリア選定手段により選定させた最適化対象エリア内において、前記測定データ記録部に記録された所定の受信品質パラメータ中の所定データが所定の基準値以下である問題エリアを特定する問題エリア特定手段、前記問題エリア特定手段により特定された問題エリア内の全てのセルについて前記局情報記録部から検索した局情報と、前記測定データ記録部に記録された該問題エリアの各測定点の位置とに基づき、該問題エリアの各測定点における受信品質を向上させる各セルのセルパラメータを計算するセルパラメータ計算手段、前記セルパラメータ計算手段により計算された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択するセル選択手段、前記3次元地図記録部に記録された3次元地図データに基づき、前記セル選択手段により選択されたセル毎に、該セルの基地局アンテナと前記問題エリアにおける測定点との間の直線経路の見通しの程度を判断する見通し判断手段、前記見通し判断手段により見通の程度が高いと判断されたセルから所定数のセルを候補セルとして選択する候補セル選択手段、前記候補セル選択手段により選択されたセル毎に、前記セル選択手段において用いられた各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差と、前記アンテナプロファイル記録部に記録されたアンテナプロファイルと、測定された前記所定の受信品質パラメータとに基づき、該セルパラメータを変化させた場合における前記問題エリアの測定点における所定の受信品質パラメータの予測値を所定の式により計算する予測値計算手段、前記予測値計算手段により計算されたセル毎の所定の受信品質パラメータの予測値と測定された前記所定の受信品質パラメータとの比較に基づき、前記問題エリアの測定点における受信品質を最も向上させるセルを求めるセル設計最適化候補取得手段、前記2次元地図記録部に記録された2次元地図データに基づき前記問題エリアを含む2次元地図を表示し、前記セル設計最適化候補取得手段により求められたセルによる該問題エリアの測定点における所定の受信品質パラメータの予測値を、該2次元地図上で該所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する予測値表示手段として機能させるためのセル設計最適化プログラムである。
【0029】
ここで、この発明のセル設計最適化プログラムにおいて、前記問題エリア特定手段は、前記最適化対象エリア選定手段により選定させた最適化対象エリア内において対象とするエリアを問題エリアとして特定させ、該問題エリアにおけるセル別の所定データの時間的変化を示す画像を表示するものであり、前記セルパラメータ計算手段は、前記問題エリア特定手段により表示されたセル別の所定データの時間的変化を示す画像上において任意のセルを選択させ、該セルについて前記局情報記録部から検索した局情報と、前記測定データ記録部に記録された該問題エリアの各測定点の位置とに基づき、該問題エリアの各測定点における受信品質を向上させるセルパラメータを計算し、該局情報と該セルパラメータとを含むデータを示す所定の画像を表示することができる。
【0030】
ここで、この発明のセル設計最適化プログラムにおいて、前記所定の画像は、前記局情報と前記セルパラメータとを含むデータを欄形式で表示する画像とすることができる。
【0031】
ここで、この発明のセル設計最適化プログラムにおいて、前記欄形式の画像に表示された又は前記欄形式の画像において入力され表示されたセルパラメータに応じて水平方向及び/又は垂直方向のアンテナ利得パターンを前記アンテナプロファイル記録部に記録されたアンテナプロファイルに基づき図形式で表示するアンテナ利得パターン表示手段をさらに備え、前記セル選択手段は、前記アンテナ利得パターン表示手段において前記欄形式の画像に表示された又は前記欄形式の画像において入力され表示された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択することができる。
【0032】
ここで、この発明のセル設計最適化プログラムにおいて、前記所定の表示形式は、前記所定の受信品質パラメータの受信品質の高低に応じた色分けにより表示する表示形式とすることができる。
【0033】
ここで、この発明のセル設計最適化プログラムにおいて、前記所定の受信品質パラメータは希望信号対干渉雑音比を含み、前記所定データは希望信号対干渉雑音比とすることができる。
【0034】
ここで、この発明のセル設計最適化プログラムにおいて、前記所定のセルパラメータは基地局の送信電力、基地局アンテナの高さ、チルト角及び指向方向を含むことができる。
【0035】
ここで、この発明のセル設計最適化プログラムにおいて、前記予測値計算手段における前記所定の式は、希望信号対干渉雑音比の予測値=(変更前の希望信号(dB)対干渉雑音(dB)比の実測値)+(当該セルのアンテナプロファイルの変化に基づき得られる当該測定地点における希望信号電力の増加量予測値(dB))−(当該セル及び当該セル以外のセルのアンテナプロファイルの変化に基づき得られる当該測定地点における受信干渉雑音電力の増加量予測値(dB))とすることができる。
【0036】
ここで、この発明のセル設計最適化プログラムにおいて、前記所定の測定点は、道路上の測定点とすることができる。
【0037】
この発明の記録媒体は、本発明のいずれかのセル設計最適化プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0038】
この発明のセル設計最適化方法は、移動通信システムにおけるセル設計最適化を行うためのセル設計最適化方法であって、所定の測定点で測定された基地局のセルを識別するセル識別信号について所定の受信品質パラメータを記録した測定データ記録部と、セルに関する所定のセルパラメータ及びセル識別信号を含む局情報を記録した局情報記録部と、セルの基地局アンテナの水平面利得パターン及び垂直面利得パターンを規定したアンテナプロファイルを記録したアンテナプロファイル記録部と、所定の測定点を含むエリアの2次元地図データを記録した2次元地図記録部及び3次元地図データを記録した3次元地図記録部とを用いるものであり、所定の測定点で測定されたセル識別信号について所定の受信品質パラメータを入力し、前記測定データ記録部に記録する受信品質パラメータ入力ステップと、前記2次元地図記録部に記録された2次元地図データに基づき2次元地図を表示し、前記受信品質パラメータ入力ステップで前記測定データ記録部に記録された所定の測定点における所定の受信品質パラメータを、該2次元地図上で該所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する表示ステップと、前記表示ステップで表示された2次元地図を示す画像上で最適化対象エリアを選定させる最適化対象エリア選定ステップと、前記最適化対象エリア選定ステップで選定させた最適化対象エリア内において、前記測定データ記録部に記録された所定の受信品質パラメータ中の所定データが所定の基準値以下である問題エリアを特定する問題エリア特定ステップと、前記問題エリア特定ステップで特定された問題エリア内の全てのセルについて前記局情報記録部から検索した局情報と、前記測定データ記録部に記録された該問題エリアの各測定点の位置とに基づき、該問題エリアの各測定点における受信品質を向上させる各セルのセルパラメータを計算するセルパラメータ計算ステップと、前記セルパラメータ計算ステップで計算された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択するセル選択ステップと、前記3次元地図記録部に記録された3次元地図データに基づき、前記セル選択ステップで選択されたセル毎に、該セルの基地局アンテナと前記問題エリアにおける測定点との間の直線経路の見通しの程度を判断する見通し判断ステップと、前記見通し判断ステップで見通しの程度が高いと判断されたセルから所定数のセルを候補セルとして選択する候補セル選択ステップと、前記候補セル選択ステップで選択されたセル毎に、前記セル選択ステップにおいて用いられた各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差と、前記アンテナプロファイル記録部に記録されたアンテナプロファイルと、測定された前記所定の受信品質パラメータとに基づき、該セルパラメータを変化させた場合における所定の受信品質パラメータの予測値を所定の式により計算する予測値計算ステップと、前記予測値計算ステップで計算されたセル毎の所定の受信品質パラメータの予測値と測定された前記所定の受信品質パラメータとの比較に基づき、前記問題エリアの測定点における受信品質を最も向上させるセルを求めるセル設計最適化候補取得ステップと、前記2次元地図記録部に記録された2次元地図データに基づき前記問題エリアを含む2次元地図を表示し、前記セル設計最適化候補取得ステップで求められたセルによる該問題エリアの測定点における所定の受信品質パラメータの予測値を、該2次元地図上で該所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する予測値表示ステップとを備えたことを特徴とする。
【0039】
ここで、この発明のセル設計最適化方法において、前記問題エリア特定ステップは、前記最適化対象エリア選定ステップで選定させた最適化対象エリア内において対象とするエリアを問題エリアとして特定させ、該問題エリアにおけるセル別の所定データの時間的変化を示す画像を表示するものであり、前記セルパラメータ計算ステップは、前記問題エリア特定ステップSで表示されたセル別の所定データの時間的変化を示す画像上において任意のセルを選択させ、該セルについて前記局情報記録部から検索した局情報と、前記測定データ記録部に記録された該問題エリアの各測定点の位置とに基づき、該問題エリアの各測定点における受信品質を向上させるセルパラメータを計算し、該局情報と該セルパラメータとを含むデータを示す所定の画像を表示することができる。
【0040】
ここで、この発明のセル設計最適化方法において、前記所定の画像は、前記局情報と前記セルパラメータとを含むデータを欄形式で表示する画像とすることができる。
【0041】
ここで、この発明のセル設計最適化方法において、前記欄形式の画像に表示された又は前記欄形式の画像において入力され表示されたセルパラメータに応じて水平方向及び/又は垂直方向のアンテナ利得パターンを前記アンテナプロファイル記録部に記録されたアンテナプロファイルに基づき図形式で表示するアンテナ利得パターン表示ステップをさらに備え、前記セル選択ステップは、前記アンテナ利得パターン表示ステップにおいて前記欄形式の画像に表示された又は前記欄形式の画像において入力され表示された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択することができる。
【0042】
ここで、この発明のセル設計最適化方法において、前記所定の表示形式は、前記所定の受信品質パラメータの受信品質の高低に応じた色分けにより表示する表示形式とすることができる。
【0043】
ここで、この発明のセル設計最適化方法において、前記所定の受信品質パラメータは希望信号対干渉雑音比を含み、前記所定データは希望信号対干渉雑音比とすることができる。
【0044】
ここで、この発明のセル設計最適化方法において、前記所定のセルパラメータは基地局の送信電力、基地局アンテナの高さ、チルト角及び指向方向を含むことができる。
【0045】
ここで、この発明のセル設計最適化方法において、前記予測値計算ステップにおける前記所定の式は、希望信号対干渉雑音比の予測値=(変更前の希望信号(dB)対干渉雑音(dB)比の実測値)+(当該セルのアンテナプロファイルの変化に基づき得られる当該測定地点における希望信号電力の増加量予測値(dB))−(当該セル及び当該セル以外のセルのアンテナプロファイルの変化に基づき得られる当該測定地点における受信干渉雑音電力の増加量予測値(dB))とすることができる。
【0046】
ここで、この発明のセル設計最適化方法において、前記所定の測定点は、道路上の測定点とすることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明のセル設計最適化プログラム等によれば、受信品質パラメータ入力部は、所定の測定点で測定された基地局のセルを識別するセル識別信号について当該信号の所定の受信品質パラメータを入力し、測定データ記録DBに記録する。入力された所定の受信品質パラメータは、測定点の位置座標と対応させて測定データ記録DBに記録される。表示部は、2次元地図記録DBに記録された2次元地図データに基づき2次元地図を表示装置に表示し、受信品質パラメータ入力部により測定データ記録DBに記録された所定の測定点における所定の受信品質パラメータを、2次元地図上で所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する。所定の測定点は道路上の測定点であることが好適である。道路上の各測定点には当該測定点で測定された所定の受信品質パラメータが、当該所定の受信品質パラメータの受信品質の高低に応じた色分けにより表示されている。最適化対象エリア選定部は、表示部により表示された2次元地図を示す画像上で最適化対象エリアを選定させる。問題エリア特定部は、最適化対象エリア選定部により選定させた最適化対象エリア内において、受信品質パラメータ入力部により入力され測定データ記録DBに記録された所定の受信品質パラメータ中の所定データが所定の基準以下である問題エリアを特定する。上記所定データとしては希望信号対干渉雑音比(Ec/No)が好適である。セルパラメータ計算部は、問題エリア特定部により特定された問題エリア内の全てのセルについて局情報記録DBから検索した局情報と、受信品質パラメータ入力部により入力され測定データ記録DBに記録された問題エリアの各測定点の位置座標とに基づき、問題エリアにおける受信品質を向上させる各セルのセルパラメータを計算する。上記局情報には所定のセルパラメータが含まれており、所定のセルパラメータとしては基地局のセルにおける送信電力、基地局アンテナの高さ、チルト角および指向方向等が含まれている。セル選択部は、セルパラメータ計算部により計算された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差、即ちセルパラメータの変更量が所定の値以下であるセルを選択する。各セルにおけるセルパラメータの変更量は、適宜作業領域に記録しておく。見通し判断部は、3次元地図記録DBに記録された3次元地図データに基づき、セル選択部で選択されたセル毎に、当該セルの基地局アンテナと問題エリアにおける測定点との間の直線経路の見通しの程度を判断する。見通し判断部は、3次元地図データを用いることにより、セルの基地局アンテナと問題エリアの任意の測定点との間の直線経路の伝搬条件を短時間で判断処理することができる。3次元地図記録DBに記録された3次元地図データは、基地局、測定点を含む地域における地形の概要データを記録したものであれば十分である。従って、レイトレーシング法のように伝搬利得を精密に計算するために使用する高価なものではなく廉価なものであっても有効に利用することができる。この結果、精度が高く従って高価な3次元地図を必要とせず、予測値計算のシミュレーション作業にかかるコストの著しい増大を抑えることができるという効果がある。候補セル選択部は、見通し判断部により見通の程度が高いと判断されたセルから所定数のセルを候補セルとして選択する。予測値計算部は、候補セル選択部により選択されたセル毎に、セル選択部において用いられ作業領域に記録された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差と、アンテナプロファル記録DBに記録されたアンテナプロファイルと、測定された所定の受信品質パラメータとに基づき、セルパラメータを変化させた場合における所定の受信品質パラメータの予測値を所定の式により計算する。予測値計算部が行う処理は、基地局の送信出力、アンテナプロファイル等のセルパラメータを変更した場合に変化する希望信号対干渉雑音比(Ec/No)等の測定データを予測する計算処理である。上記所定の式は、測定された所定の受信品質パラメータを用いる点に特徴がある。所定の式では、伝搬モデルは使用せず、従ってレイトレーシング法も使用しない。このため、対象地域毎の伝搬モデルの設定のためのチューニング作業等の余分な時間を要することなく、レイトレーシング法等の使用による極めて長い予測計算時間を必要とすることなく、短い予測計算時間によりセル設計最適化作業を行なうことができるという効果がある。セル設計最適化候補取得部は、予測値計算部により計算されたセル毎の所定の受信品質パラメータの予測値と測定された所定の受信品質パラメータとの比較に基づき、問題エリアの測定点における受信品質を最も向上させるセルを求める。予測値表示部は、2次元地図記録DBに記録された2次元地図データに基づき問題エリアを含む2次元地図を表示し、セル設計最適化候補取得部により求められたセルによる問題エリアの測定点における所定の受信品質パラメータの予測値を、2次元地図上で当該所定の測定点と対応する位置に上述した所定の表示形式により表示する。表示された従前の画像と予測された画像とを比較することにより、セル設計最適化候補取得部によって求められたセルでのセルパラメータの変更に基づき、問題エリアにおける測定点の受信品質を増大させることが容易に判明できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0049】
図1は、本発明の実施例1におけるセル設計最適化を行うためのセル設計最適化プログラムの機能および当該プログラムを実行する環境を示す。図1において、符号1は本発明のセル設計最適化プログラムを実行するパーソナルコンピュータ等のコンピュータ、2はコンピュータ1のディスプレイ等の表示装置、3はセル設計最適化プログラムの機能を示す機能ブロック、20はセル設計最適化プログラムを実行する際に使用する種々のデータベースDBを記録したディスク等の記録装置である。図1の記録装置20に示されるように、種々のデータベースDBとして、所定の測定点で測定された基地局のセルを識別するセル識別信号について所定の受信品質パラメータと当該所定の測定点の位置とを記録した測定データ記録部DB(測定データ記録部)21と、セルに関する所定のセルパラメータおよびセル識別信号を含む局情報を記録した局情報記録DB(局情報記録部)22と、セルの基地局アンテナの水平面利得パターンおよび垂直面利得パターンを規定したアンテナプロファイルを記録したアンテナプロファイル記録DB(アンテナプロファイル記録部)23と、所定の測定点を含むエリアの2次元地図データを記録した2次元地図記録DB(2次元地図記録部)24と、所定の測定点を含むエリアの3次元地図データを記録した3次元地図記録DB(3次元地図記録部)25とを用いる。以下、セル設計最適化プログラムの機能について、図1および図2以降の表示装置2に表示された画像を用いて説明していく。
【0050】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号4は、所定の測定点で測定された基地局のセルを識別するセル識別信号について当該信号の所定の受信品質パラメータを入力し、測定データ記録DB21に記録する受信品質パラメータ入力部(受信品質パラメータ入力手段)である。所定の受信品質パラメータとしては、上述した当該の無線帯域の総受信電力(RSSI)、希望信号の受信電力(移動通信CDMAシステムでは、RSCP)、希望信号対干渉雑音比(移動通信CDMAシステムではEc/No(逆拡散前)、 Signal Interference Ratio : SIR(逆拡散後)等) 、希望信号対総受信電力比(移動通信CDMAシステムではEc/Io(逆拡散前))等が挙げられる。特に、希望信号対干渉雑音比(Ec/No)が好適である。所定の受信品質パラメータは上述した電波測定用ロギングツールを用いて測定され、受信品質パラメータ入力部4により、例えばCSV形式で入力される。
【0051】
図2は、受信品質パラメータ入力部4により所定の受信品質パラメータを入力する際に表示装置2に表示される画像30を示す。入力された所定の受信品質パラメータは、測定点の位置座標と対応させて測定データ記録DB21に記録される。
【0052】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号5は、2次元地図記録DB24に記録された2次元地図データに基づき2次元地図を表示装置2に表示し、受信品質パラメータ入力部4により測定データ記録DB21に記録された所定の測定点における所定の受信品質パラメータを、2次元地図上で所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する表示部(表示手段)である。
【0053】
図3は、表示部5により表示装置2に表示された画像40を示す。図3に示されるように、画像40には所定の測定点を含む2次元地図が表示されている。所定の測定点は道路R1、R2等の道路上の測定点であることが好適である。実際の測定は、道路R1等上を走行しながら所定の受信品質パラメータを測定していく。このため、測定データは測定した日時(測定時)、測定点の位置座標および測定されたデータから構成されている、従って、入力された所定の受信品質パラメータは、正確には測定時および測定点の位置座標と対応させて測定データ記録DB21に記録される。図3の画像40に示されるように、道路R1等上の各測定点には当該測定点で測定された所定の受信品質パラメータが、当該所定の受信品質パラメータの受信品質の高低に応じた色分けにより表示されている(所定の表示形式)。図3は白黒表示であるが、実際は例えば所定の受信品質パラメータの受信品質が高品質である場合は暖色系により表示され、低品質の場合は寒色系で表示されている。この色分けは一例であって、暖色系、寒色系を逆にしてもよいし、任意の色分けを行うことができる。図3の画像40には、道路R1等上に各測定点で測定された所定の受信品質パラメータが連なって表示されると共に、近傍の基地局BS1、BS2も表示されている。基地局BS1の表示形式は背景技術で説明したビュアーと同様であり、点線の円内に示される扇形がセル(セクタ)を示し、セルの個数により何セクタの基地局かを示し、扇形の末が広がる方向により基地局アンテナの向きを示している。例えば、基地局BS1は3セクタの基地局であり、基地局BS2は2セクタの基地局である。他の道路近傍の基地局BS3、BS4およびBS5も同様であるため説明は省略する。
【0054】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号6は、表示部5により表示装置2に表示された2次元地図を示す画像40上で最適化対象エリアを選定させる最適化対象エリア選定部(最適化対象エリア選定手段)である。図3に示されるように、最適化対象エリア選定部6は作業者に画像40上でマウス等を用いてドラッグさせることにより、最適化対象エリアAREAを選定させる。
【0055】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号7は、最適化対象エリア選定部6により選定させた最適化対象エリアAREA内において、受信品質パラメータ入力部4により入力され測定データ記録DB21に記録された所定の受信品質パラメータ中の所定データが所定の基準以下である問題エリアを特定する問題エリア特定部(問題エリア特定手段)である。上述のように、所定の受信品質パラメータとしては希望信号対干渉雑音比(Ec/No)が好適であり、上記所定データとしてはこの希望信号対干渉雑音比(Ec/No)が好適である。問題エリア特定部7は測定データ記録DB21に記録された最適化対象エリアAREA内の各測定点における希望信号対干渉雑音比(Ec/No)を検索し、希望信号対干渉雑音比(Ec/No)が所定の基準値以下である測定点を一定数以上含むエリアを問題エリアとして特定し、図3の画像40に示されるように問題エリアAとして表示する。例えば、最適化対象エリアAREAを所望の数のエリアに分割し、エリア毎に希望信号対干渉雑音比(Ec/No)が所定の基準値以下である測定点の数を求め、当該測定点の数が一定数以上のエリアを問題エリアAとして特定すればよい。上記所定の基準値、一定数は所望の値とすればよい。あるいは、希望信号対干渉雑音比(Ec/No)が所定の基準値以下である測定点の数/エリア中の全測定点の数の比が一定値以上のエリアを問題エリアAとして特定することもできる。
【0056】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号8は、問題エリア特定部7により特定された問題エリアA内の全てのセルについて局情報記録DB22から検索した局情報と、受信品質パラメータ入力部4により入力され測定データ記録DB21に記録された問題エリアAの各測定点の位置座標とに基づき、問題エリアAにおける受信品質を向上させる各セルのセルパラメータを計算するセルパラメータ計算部(セルパラメータ計算手段)である。上記局情報には所定のセルパラメータが含まれており、所定のセルパラメータとしては基地局のセルにおける送信電力、基地局アンテナの高さ、チルト角および指向方向が含まれており、背景技術で述べたセル情報テーブル230と同様のデータが記録されている。セルパラメータ計算部8は、まず、問題エリアA内の全てのセルについて局情報記録DB22から検索した局情報から、各基地局のセルにおける現在の送信電力、基地局アンテナの高さ、現在のチルト角および指向方向等のセルパラメータを検索する。次に、問題エリアAのある測定点における受信品質を向上させる所定のアルゴリズムに基づき、セルパラメータの変更量を求める。以上の処理を問題エリアA内の全てのセルについて行うことにより、問題エリアAにおける各測定点の受信品質を向上させるセルとそのセルパラメータの変更量とを得ることができる。例えば問題エリアA内のある基地局BSのあるセルCにおける基地局アンンテナの現在のチルト角がαであり、問題エリアA内の測定点P1でセルCからの希望信号対干渉雑音比(Ec/No)が低い測定点をP1とし、基地局BS側により近い測定点P2の方がセルCからの希望信号対干渉雑音比(Ec/No)が高い場合を想定する。セルパラメータ計算部8は、まず、問題エリアA内のセルCについて局情報記録DB22から検索した局情報から、基地局BSのセルCにおける現在の送信電力、基地局アンテナの高さ、現在のチルト角および指向方向等のセルパラメータを検索する。その結果、セルCにおける現在の送信電力PWR、基地局アンテナの高さGL、現在のチルト角α等を得る。この場合、現在のチルト角αにより測定点P2にビームが合っているものと考えられるため、所定のアルゴリズムとしては、例えばまず現在のチルト角αを減らして遠方の測定点P1にビームを合わせることにより、測定点P1におけるセルCからの希望信号対干渉雑音比(Ec/No)を高めるようにする。基地局BSのセルCにおける基地局アンテナの高さGLと、測定データ記録DB21に記録された測定点P2の位置座標および測定点P1の位置座標とにより、測定点P1にビームを合わせるためのチルト角βを算出することができる。この結果、現在のチルト角αをβに変更するための変更量(=α−β)を求めることができる。しかし、算出したチルト角βが現在のチルト角であった場合、既にビームは測定点P1に合っていたものと考えられるため、所定のアルゴリズムとしては、送信電力PWRを上げることにより測定点P1におけるセルCからの希望信号対干渉雑音比(Ec/No)を高めるようにする。送信電力PWRの変更量は所望の刻み単位で上げるようにすればよい。
【0057】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号9は、セルパラメータ計算部8により計算された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差、即ちセルパラメータの変更量が所定の値以下であるセルを選択するセル選択部(セル選択手段)である。これは、送信電力の上昇量、チルト角度の変更量等が軽微なセルを優先的に選択するためである。各セルにおけるセルパラメータの変更量は、後述する予測値計算部12の処理に用いるため、適宜作業領域(不図示)に記録しておく。
【0058】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号10は、3次元地図記録DB25に記録された3次元地図データに基づき、セル選択部9で選択されたセル毎に、当該セルの基地局アンテナと問題エリアAにおける測定点との間の直線経路の見通しの程度を判断する見通し判断部(見通し判断手段)である。上述したように、受信品質を向上させるためには、1)送信電力の変更、2)基地局アンテナの高さ、指向方向、チルト角の変更、という2種類の方法がある。一般に、上記直線経路の伝搬条件が見通し有り(Line Of Sight : LOS)の場合は、伝搬利得に寄与する直線経路の成分が支配的となる。このため、上記1)の送信電力の変更だけではなく、上記2)のセルパラメータの変更もそのまま希望信号対干渉雑音比(Ec/No)等の測定データを変化させることになる確率が高い。一方、見通し無し(Non Line Of Sight : NLOS)の場合は、測定点周囲の反射散乱成分が支配的となる。このため、上記1)の送信電力の変更が受信品質を変化させるための調整手段となる。
【0059】
図4は、LOS、NLOSを説明するための画像を示す。図4(A)は問題エリアAにおける俯瞰画像50である。図4(A)に示されるように、基地局BSと測定点P1との間の直線経路がL1であり、基地局BSと測定点P2との間の直線経路がL3である。図4(B)は俯瞰画像50を3次元的に示したものであり、画像51は測定点P1から基地局BSを望んだ場合の画像であり、画像52は基地局BSから測定点P1を望んだ場合の画像であり、画像53は測定点P2から基地局BSを望んだ場合の画像であり、画像54は基地局BSから測定点P2を望んだ場合の画像である。
【0060】
図5は、見通し判断部10が直線経路の見通しを判断している際の画像60を示す。図5の画像60で、縦軸は高さ、横軸は距離を示す。図5の画像60において、距離0mの位置が基地局アンテナANTの位置であり、距離76mの位置が問題エリアAにおける測定点Pの位置であり、Lは基地局アンテナANTと問題エリアAにおける測定点Pとの間の直線経路を示し、符号61および62は建物等の障害物を示す。図5の画像60に示されるように、直線経路Lは障害物61、62が存在するため、見通し判断部10は見通し無し(NLOS)と判断する。以上のように、見通し判断部10は、3次元地図データを用いることにより、セルの基地局アンテナANTと問題エリアの任意の測定点との間の直線経路Lの伝搬条件を短時間で判断処理することができる。3次元地図記録DB25に記録された3次元地図データは、基地局、測定点Pを含む地域における地形の概要データを記録したものであれば十分である。従って、レイトレーシング法のように伝搬利得を精密に計算するために使用する高価なものではなく廉価なものであっても有効に利用することができる。
【0061】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号11は、見通し判断部10により見通の程度が高い、即ちLOSであると判断されたセルから所定数のセルを候補セルとして選択する候補セル選択部(候補セル選択手段)である。問題エリアAにおける候補セルが多いほど、上述した2)のセルパラメータの変更による受信品質の改善を行うことができる可能性が高くなる。
【0062】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号12は、候補セル選択部11により選択されたセル毎に、セル選択部9において用いられ作業領域に記録された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差と、アンテナプロファル記録DB23に記録されたアンテナプロファイルと、測定された所定の受信品質パラメータとに基づき、セルパラメータを変化させた場合における所定の受信品質パラメータの予測値を所定の式により計算する予測値計算部(予測値計算手段)である。予測値計算部12が行う処理は、基地局の送信出力、アンテナプロファイル等のセルパラメータを変更した場合に変化する希望信号対干渉雑音比(Ec/No)等の測定データを予測する計算処理である。以下では、測定データとして希望信号対干渉雑音比(Ec/No)を用いた場合について説明する。ここで、Ec/Noは、基地局のセル毎に送信される下りパイロット信号(セル識別信号)の拡散符号1チップあたりの受信エネルギーEcと、受信干渉信号と受信雑音信号とで構成される受信干渉雑音電力の周波数スペクトラム密度Noとの比である。Ec/Noが大きいほど受信品質が良好であることを示す。上記所定の式は、以下の式1で表される。
【0063】
セルパラメータ変更後のEc/Noの予測値
=(変更前のEc/Noの実測値)+(当該セルのアンテナプロファイルの変化に基づき得られる当該測定地点におけるEcの増加量予測値)−(当該セルおよび当該セル以外のセルのアンテナプロファイルの変化に基づき得られる当該測定地点におけるNoの増加量予測値) (1)
【0064】
式1で、Ec、No、Ec/Noは対数値のデジベル(dB)で表されているものとする。ここで、Ecは受信信号に含まれる希望信号の電力を逆拡散処理により検出することにより導出される。Noは総受信電力を測定することにより導出される。従って、Ec/Noは上記EcとNoとの差を求めることにより簡単に計算される。即ち、式1では測定された所定の受信品質パラメータを用いる点に特徴がある。式1では、背景技術で説明したような伝搬モデルは使用せず、従ってレイトレーシング法も使用しない。このため、予測値の計算を極めて高速に行うことができる。セル選択部9において用いられ作業領域に記録された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差、即ち、セルパラメータの変更量に従って、アンテナプロファル記録DB23に記録されたアンテナプロファイルを用いることにより、利得の変化分を得ることができる。この利得の変化分が、第2項のセルパラメータを変化させた場合においてアンテナプロファイルに基づき得られるEcの変化量予測値となる。第3項のセルパラメータを変化させた場合においてアンテナプロファイルに基づき得られるNoの変化量予測値も同様にして求めることができる。予測値計算部12は他の受信品質パラメータについても同様に予測値を求めることができる。
【0065】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号13は、予測値計算部12により計算されたセル毎の所定の受信品質パラメータの予測値と測定された所定の受信品質パラメータとの比較に基づき、問題エリアAの測定点P等における受信品質を最も向上させるセルを求めるセル設計最適化候補取得部(セル設計最適化候補取得手段)である。
【0066】
図1の機能ブロック3に示されるように、符号14は、2次元地図記録DB24に記録された2次元地図データに基づき問題エリアAを含む2次元地図を表示し、セル設計最適化候補取得部13により求められたセルによる問題エリアAの測定点Pにおける所定の受信品質パラメータの予測値を、2次元地図上で当該所定の測定点Pと対応する位置に上述した所定の表示形式により表示する予測値表示部(予測値表示手段)である。
【0067】
図6は、予測値表示部14により表示された画像70を従前に表示部5により表示された画像40と重ねて比較した図である。図6で、画像71は所定の表示形式として用いられる所定の受信品質パラメータの受信品質の高低に応じた色分け表である。図6では白黒表示となっているため判別できないが、実際のカラーで表示された画像では、従前の画像40の問題エリアA1において受信品質の低い寒色系で表示された測定点が多い。一方、予測された画像70の問題エリアA1では、受信品質の高い暖色系で表示された測定点が増加している。従前の画像40と予測された画像70とを比較することにより、セル設計最適化候補取得部13により求められたセルでのセルパラメータの変更により、問題エリアA1における測定点の受信品質を増大させることが容易に判明できる。
【0068】
図7は、本発明の実施例1におけるセル設計最適化方法の流れをフローチャートで示す。 本セル設計最適化方法は移動通信システムにおけるセル設計最適化を行うための方法であって、所定の測定点Pで測定された基地局BSのセルCを識別するセル識別信号について所定の受信品質パラメータを記録した測定データ記録DB21と、セルCに関する所定のセルパラメータおよびセル識別信号を含む局情報を記録した局情報記録DB22と、セルCの基地局アンテナの水平面利得パターンおよび垂直面利得パターンを規定したアンテナプロファイルを記録したアンテナプロファイル記録DB23と、所定の測定点Pを含むエリアの2次元地図データを記録した2次元地図記録DB24および3次元地図データを記録した3次元地図記録DB25とを用いる。以下では、必要に応じて図1、図3ないし6に示された符号等を参照する。図7に示されるように、まず、所定の測定点P1等で測定されたセル識別信号について所定の受信品質パラメータを入力し、測定データ記録DB21に記録する(受信品質パラメータ入力ステップ。ステップS10)。
【0069】
続いて、2次元地図記録DB24に記録された2次元地図データに基づき2次元地図を表示装置2に表示し、受信品質パラメータ入力ステップ(ステップS10)で測定データ記録DB21に記録された所定の測定点Pにおける所定の受信品質パラメータを、2次元地図上で所定の測定点P1等と対応する位置に所定の表示形式により表示する(表示ステップ。ステップS12)。
【0070】
表示ステップ(ステップS12)で表示された2次元地図を示す画像上で最適化対象エリアAREAを選定させる(最適化対象エリア選定ステップ。ステップS14)。
【0071】
最適化対象エリア選定ステップ(ステップS14)で選定させた最適化対象エリアAREA内において、測定データ記録DB22に記録された所定の受信品質パラメータ中の所定データが所定の基準値以下である問題エリアAを特定する(問題エリア特定ステップ。ステップS16)。
【0072】
問題エリア特定ステップ(ステップS16)で特定された問題エリアA内の全てのセルCについて局情報記録DB22から検索した局情報と、測定データ記録DB21に記録された問題エリアAの各測定点P1等の位置とに基づき、問題エリアAの各測定点P1等における受信品質を向上させる各セルCのセルパラメータを計算する(セルパラメータ計算ステップ。ステップS18)。
【0073】
セルパラメータ計算ステップ(ステップS18)で計算された各セルCのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択する(セル選択ステップ。ステップS20)。
【0074】
3次元地図記録DB25に記録された3次元地図データに基づき、セル選択ステップ(ステップS20)で選択されたセルC毎に、セルCの基地局アンテナと問題エリアAにおける測定点P1等との間の直線経路Lの見通しの程度を判断する(見通し判断ステップ。ステップS22)。
【0075】
見通し判断ステップ(ステップS22)で見通しの程度が高い、即ちLOSであると判断されたセルCから所定数のセルCを候補セルとして選択する(候補セル選択ステップ。ステップS24)。
【0076】
候補セル選択ステップ(ステップS24)で選択されたセルC毎に、セル選択ステップ(ステップS20)において用いられた各セルCのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差と、アンテナプロファイル記録DB23に記録されたアンテナプロファイルと、測定された所定の受信品質パラメータとに基づき、上記セルパラメータを変化させた場合における所定の受信品質パラメータの予測値を所定の式1により計算する(予測値計算ステップ。ステップS26)。
【0077】
予測値計算ステップ(ステップS26)で計算されたセルC毎の所定の受信品質パラメータの予測値と測定された所定の受信品質パラメータとの比較に基づき、問題エリアAの測定点P1等における受信品質を最も向上させるセルCを求めるセル(設計最適化候補取得ステップ。ステップS28)。
【0078】
2次元地図記録DB24に記録された2次元地図データに基づき問題エリアAを含む2次元地図を表示し、セル設計最適化候補取得ステップ(ステップS28)で求められたセルCによる問題エリアAの測定点P1等における所定の受信品質パラメータの予測値を、上記2次元地図上で上記所定の測定点P1等と対応する位置に所定の表示形式により表示する(予測値表示ステップ。ステップS30)。
【0079】
以上より、本発明の実施例1によれば、受信品質パラメータ入力部4は、所定の測定点P1等で測定された基地局BSのセルCを識別するセル識別信号について当該信号の所定の受信品質パラメータを入力し、測定データ記録DB21に記録する。所定の受信品質パラメータとしては、希望信号対干渉雑音比(移動通信CDMAシステムではEc/No(逆拡散前)が好適である。入力された所定の受信品質パラメータは、測定点の位置座標と対応させて測定データ記録DB21に記録される。表示部5は、2次元地図記録DB24に記録された2次元地図データに基づき2次元地図を表示装置2に表示し、受信品質パラメータ入力部4により測定データ記録DB21に記録された所定の測定点における所定の受信品質パラメータを、2次元地図上で所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する。所定の測定点は道路R1、R2等の道路上の測定点であることが好適である。道路R1等上の各測定点には当該測定点で測定された所定の受信品質パラメータが、当該所定の受信品質パラメータの受信品質の高低に応じた色分けにより表示されている(所定の表示形式)。最適化対象エリア選定部6は、表示部5により表示された2次元地図を示す画像40上で最適化対象エリアを選定させる。問題エリア特定部7は、最適化対象エリア選定部6により選定させた最適化対象エリアAREA内において、受信品質パラメータ入力部4により入力され測定データ記録DB21に記録された所定の受信品質パラメータ中の所定データが所定の基準以下である問題エリアを特定する。上記所定データとしては希望信号対干渉雑音比(Ec/No)が好適である。セルパラメータ計算部8は、問題エリア特定部7により特定された問題エリアA内の全てのセルについて局情報記録DB22から検索した局情報と、受信品質パラメータ入力部4により入力され測定データ記録DB21に記録された問題エリアAの各測定点の位置座標とに基づき、問題エリアAにおける受信品質を向上させる各セルのセルパラメータを計算する。上記局情報には所定のセルパラメータが含まれており、所定のセルパラメータとしては基地局のセルにおける送信電力、基地局アンテナの高さ、チルト角および指向方向が含まれており、背景技術で述べたセル情報テーブル230と同様のデータが記録されている。セル選択部9は、セルパラメータ計算部8により計算された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差、即ちセルパラメータの変更量が所定の値以下であるセルを選択する。各セルにおけるセルパラメータの変更量は、後述する予測値計算部12の処理に用いるため、適宜作業領域に記録しておく。見通し判断部10は、3次元地図記録DB25に記録された3次元地図データに基づき、セル選択部9で選択されたセル毎に、当該セルの基地局アンテナと問題エリアAにおける測定点との間の直線経路の見通しの程度を判断する。見通し判断部10は、3次元地図データを用いることにより、セルの基地局アンテナANTと問題エリアの任意の測定点Pとの間の直線経路Lの伝搬条件を短時間で判断処理することができる。3次元地図記録DB25に記録された3次元地図データは、基地局、測定点Pを含む地域における地形の概要データを記録したものであれば十分である。従って、レイトレーシング法のように伝搬利得を精密に計算するために使用する高価なものではなく廉価なものであっても有効に利用することができる。候補セル選択部11は、見通し判断部10により見通の程度が高い、即ちLOSであると判断されたセルから所定数のセルを候補セルとして選択する。予測値計算部12は、候補セル選択部11により選択されたセル毎に、セル選択部9において用いられ作業領域に記録された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差と、アンテナプロファル記録DB23に記録されたアンテナプロファイルと、測定された所定の受信品質パラメータとに基づき、セルパラメータを変化させた場合における所定の受信品質パラメータの予測値を所定の式により計算する。予測値計算部12が行う処理は、基地局の送信出力、アンテナプロファイル等のセルパラメータを変更した場合に変化する希望信号対干渉雑音比(Ec/No)等の測定データを予測する計算処理である。上記所定の式は、式1で表されるように、測定された所定の受信品質パラメータを用いる点に特徴がある。式1では、背景技術で説明したような伝搬モデルは使用せず、従ってレイトレーシング法も使用しない。このため、予測値の計算を極めて高速に行うことができる。セル設計最適化候補取得部13は、予測値計算部12により計算されたセル毎の所定の受信品質パラメータの予測値と測定された所定の受信品質パラメータとの比較に基づき、問題エリアAの測定点P等における受信品質を最も向上させるセルを求める。予測値表示部14は、2次元地図記録DB24に記録された2次元地図データに基づき問題エリアAを含む2次元地図を表示し、セル設計最適化候補取得部13により求められたセルによる問題エリアAの測定点Pにおける所定の受信品質パラメータの予測値を、2次元地図上で当該所定の測定点Pと対応する位置に上述した所定の表示形式により表示する。表示された従前の画像と予測された画像とを比較することにより、セル設計最適化候補取得部13によって求められたセルでのセルパラメータの変更に基づき、問題エリアA1における測定点の受信品質を増大させることが容易に判明できる。
【0080】
上述したように、予測値計算部12が用いる所定の式は、式1で表されるように、測定された所定の受信品質パラメータを用いる点に特徴がある。式1では、背景技術で説明したような伝搬モデルは使用せず、従ってレイトレーシング法も使用しない。このため、対象地域毎の伝搬モデルの設定のためのチューニング作業等の余分な時間を要することなく、レイトレーシング法等の使用による極めて長い予測計算時間を必要とすることなく、短い予測計算時間によりセル設計最適化作業を行なうことができる。
【0081】
上述したように、見通し判断部10は、3次元地図データを用いることにより、セルの基地局アンテナANTと問題エリアの任意の測定点Pとの間の直線経路Lの伝搬条件を短時間で判断処理することができる。3次元地図記録DB25に記録された3次元地図データは、基地局、測定点Pを含む地域における地形の概要データを記録したものであれば十分である。従って、レイトレーシング法のように伝搬利得を精密に計算するために使用する高価なものではなく廉価なものであっても有効に利用することができる。この結果、精度が高く従って高価な3次元地図を必要とせず、予測値計算のシミュレーション作業にかかるコストの著しい増大を抑えることができる。
【実施例2】
【0082】
実施例1ではすべて自動的に計算が実行されたが、実施例2では一部作業者が介入する余地のあるセル設計最適化プログラム等について説明する。実施例1の問題エリア特定部7は自動的に問題エリアAを特定したが、実施例2では作業者に問題エリアAを特定させることができる。実施例1のセルパラメータ計算部8は問題エリア特定部7により自動的に特定された問題エリアA内のすべてのセルについて各セルのセルパラメータを計算したが、実施例2では作業者に選択させた任意のセルについて各セルのセルパラメータを計算することができる。他の機能、受信品質パラメータ入力部4、表示部5、最適化エリア選定部6、セル選択部9、見通し判断部10、候補セル選択部11、予測値計算部12、セル設計最適化候補取得部13および予測値表示部14の機能は実施例1と同様であるため、説明は省略する。以下では、必要に応じて図1、図3ないし6に示された符号等を参照する。
【0083】
実施例2における問題エリア特定部7は、最適化対象エリア選定部6により選定させた最適化対象エリアAREA内において対象とするエリアを問題エリアAとして作業者に特定させ、特定させた問題エリアAにおけるセル別の所定データの時間的変化を示す画像を表示する。
【0084】
図8は、実施例2における問題エリア特定部7が表示装置2に表示する画像80を示す。図8において、画像40は表示部5が表示した実施例1と同様の画像である。実施例2における問題エリア特定部7は、図8の画像40に表示された最適化対象エリアAREA内において、作業者に問題エリアAとしたいエリアをクリック等により特定させる。上述したように、画像40では受信品質の高低に応じて受信品質パラメータは色分け表示されているため、作業者は容易に問題エリアAとしたいエリアを見つけることができる。実施例2における問題エリア特定部7は、作業者に特定させた問題エリアAにおけるセル別の所定データ、好適には希望信号対干渉雑音比(Ec/No)の時間的変化を示す画像81を表示する。図8に示される画像81において、横軸は道路R1等を走行しながら各測定点P1等で測定した際の時間、縦軸はその時間に測定された希望信号対干渉雑音比(Ec/No)であり、セル番号は画像81の右側のSIGに示される色分けで表示されている。図8では白黒表示であるため判別できないが、実際は、SIGの1番上の色は赤色であり、その横の数字308はセル番号を示している。図8の画像81中のグラフRは赤色であり、問題エリアA中で道路R1等を走行しながら各測定点P1等で測定した場合におけるセル番号308のセルから受信した希望信号対干渉雑音比(Ec/No)の時間的変化を示している。同様に、SIGの上から3番目の色は緑色であり、その横の数字300はセル番号を示している。図8の画像81中のグラフGは緑色であり、問題エリアA中で道路R1等を走行しながら各測定点P1等で測定した場合におけるセル番号300のセルから受信した希望信号対干渉雑音比(Ec/No)の時間的変化を示している。実施例1で説明したように、測定データ記録DB21に記録されている測定データは、測定時、測定点の位置座標および希望信号対干渉雑音比(Ec/No)等から構成されている。従って、画像81の測定時から測定点の位置座標を得ることができる。図8の画像81中の横線VALは、サービス品質を維持可能な加減レベルを示す評価閾値である。図8の画像81に示されるように、TIMEで示される時間帯では、セル番号300のセルから受信した希望信号対干渉雑音比(Ec/No。緑色)が評価閾値VALを下回っている。一方、TIMEで示される時間帯の前後の時間帯ではセル番号300のセルから受信した希望信号対干渉雑音比(Ec/No。緑色)は評価閾値VALを上回っている。この結果、経験の浅い作業者であっても、問題エリアAではセル番号300のセルがメインとなるセルであり、時間帯TIMEでは当該メインとなるセルから受信した希望信号対干渉雑音比(Ec/No。緑色)が評価閾値VALを下回っていることを推測することができる。従って当該作業者は、時間帯TIMEで示される測定時、すなわち測定点の希望信号対干渉雑音比(Ec/No)を高くするためには、セル番号300のセル以外のセルのセルパラメータを変更すればよいことに容易に気づくことができる。
【0085】
図9は、実施例2における問題エリア特定部7が表示装置2に表示する画像90を示す。図9で図8と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図9と図8とは基本的に同じ画像を示しているが、図9の画像40では作業者が最適化対象エリアAREA内で任意の測定点にマウスのカーソルを合わせると、表示91に示されるように、当該測定点において測定された希望信号対干渉雑音比(Ec/No)の内で最も高い受信品質のセルのセル番号と希望信号対干渉雑音比(Ec/No)とを表示することができる。同様に、図9の画像81では作業者が所望の時間軸にマウスのカーソルを合わせると、表示92に示されるように、当該時間において測定された希望信号対干渉雑音比(Ec/No)の内で最も高い受信品質のセルのセル番号と希望信号対干渉雑音比(Ec/No)とを表示することができる。
【0086】
実施例2におけるセルパラメータ計算部8は、実施例2における問題エリア特定部7により表示されたセル別の所定データの時間的変化を示す画像81上において作業者に任意のセルを選択させる。セルの選択は、SIG内のセル番号をクリックさせるか、あるいはセルに対応するグラフG等をクリックさせることにより行うことができる。次に、選択させたセルについて局情報記録DB22から検索した局情報と、測定データ記録DB21に記録された問題エリアAの各測定点P1等の位置とに基づき、問題エリアAの各測定点P1等における受信品質を向上させるセルパラメータを計算し、当該局情報と当該セルパラメータとを含むデータを示す所定の画像を表示することができる。受信品質を向上させるセルパラメータの計算は、実施例1と同様であるため説明は省略する。実施例1と異なるのは、セルを作業者により選択させるという点である。
【0087】
図10は、実施例2におけるセルパラメータ計算部8が表示する所定の画像100を示す。図10に示されるように、所定の画像100は、局情報とセルパラメータとを含むデータを欄形式で表示する画像である。図10の所定の画像100において、符号101で示される欄部分は、現在のセルパラメータであり、例えば電気チルト角は4゜等と設定されている。符号102で示される欄部分は、実施例2におけるセルパラメータ計算部が計算した受信品質を向上させるセルパラメータであり、例えば電気チルト角は4.3゜等と計算されている。
【0088】
上述した欄形式で表示する画像100に加えて、欄形式で表示された画像100に表示されたセルパラメータに応じて水平方向および/または垂直方向のアンテナ利得パターンをアンテナプロファイル記録DB23に記録されたアンテナプロファイルに基づき図形式で表示するアンテナ利得パターン表示部(アンテナ利得パターン表示手段。不図示)をさらに備えることができる。
【0089】
図11は、欄形式で表示する画像100に加えて、水平方向および/または垂直方向のアンテナ利得パターンを図形式で表示する画像110を示す。図11の画像110において、符号111は垂直面の利得テーブルを示し、112は垂直方向のアンテナ利得パターンを示す図であり、113は水平面の利得テーブルを示し、114は水平方向のアンテナ利得パターンを示す図である。
【0090】
アンテナ利得パターン表示部は、欄形式の画像100においてセルパラメータを作業者に入力させ、当該セルパラメータを表示した後、水平方向および/または垂直方向のアンテナ利得パターンを同様に図形式の画像110で表示することもできる。この場合、実施例2におけるセル選択部9は、アンテナ利得パターン表示部において欄形式の画像110に表示されたまたは欄形式の画像において入力され表示された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択することになる。
【0091】
以上より、本発明の実施例2によれば、一部作業者が介入する余地のあるセル設計最適化プログラム等とすることができる。実施例2における問題エリア特定部7は、最適化対象エリア選定部6により選定させた最適化対象エリアAREA内において対象とするエリアを問題エリアAとして作業者に特定させ、特定させた問題エリアAにおけるセル別の所定データの時間的変化を示す画像を表示する。より詳しくは、実施例2における問題エリア特定部7は、画像40に表示された最適化対象エリアAREA内において、作業者に問題エリアAとしたいエリアをクリック等により特定させる。画像40では受信品質の高低に応じて受信品質パラメータは色分け表示されているため、作業者は容易に問題エリアAとしたいエリアを見つけることができる。実施例2における問題エリア特定部7は、作業者に特定させた問題エリアAにおけるセル別の所定データ、好適には希望信号対干渉雑音比(Ec/No)の時間的変化を示す画像81を表示する。画像81において、セル番号は画像81の右側のSIGに示される色分けで表示されている。画像81中の横線VALは、サービス品質を維持可能な加減レベルを示す評価閾値である。このため、経験の浅い作業者であっても、問題エリアAでメインとなるセルがどのセルであるか容易に判別することができ、測定点の希望信号対干渉雑音比(Ec/No)を高くするためには、どのセルのセルパラメータを変更すればよいことに容易に気づくことができる。実施例2におけるセルパラメータ計算部は、実施例2における問題エリア特定部7により表示されたセル別の所定データの時間的変化を示す画像81上において作業者に任意のセルを選択させることができる。セルの選択は、SIG内のセル番号をクリックさせるか、あるいはセルに対応するグラフをクリックさせることにより行うことができる。次に、選択させたセルについて局情報記録DB22から検索した局情報と、測定データ記録DB21に記録された問題エリアAの各測定点P1等の位置とに基づき、問題エリアAの各測定点P1等における受信品質を向上させるセルパラメータを計算し、当該局情報と当該セルパラメータとを含むデータを示す所定の画像100を表示することができる。所定の画像100は、局情報とセルパラメータとを含むデータを欄形式で表示する画像である。画像100に加えて、欄形式で表示された画像100に表示されたセルパラメータに応じて水平方向および/または垂直方向のアンテナ利得パターンをアンテナプロファイル記録DB23に記録されたアンテナプロファイルに基づき図形式で表示するアンテナ利得パターン表示部をさらに備えることができる。アンテナ利得パターン表示部は、欄形式の画像100においてセルパラメータを作業者に入力させ、当該セルパラメータを表示した後、水平方向および/または垂直方向のアンテナ利得パターンを同様に図形式の画像110で表示することもできる。この結果、経験の浅い作業者であっても、入力したセルパラメータから水平方向および/または垂直方向のアンテナ利得パターンをビジュアルに把握することができる。セル選択部9は、アンテナ利得パターン表示部において欄形式の画像110に表示されたまたは欄形式の画像において入力され表示された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択することになる。他の機能は実施例1と同様であるため、入力したセルパラメータから受信品質パラメータの予測値が求められ表示されることになる。この結果、経験の浅い作業者であっても、自ら入力したセルパラメータに基づきどのような受信品質パラメータの予測値が求められかを短時間で得ることができる。以上より、セル設計最適化作業について高度に熟練した作業者を必要とせず、未経験者であっても短期間にセル設計最適化作業に習熟することができるセル設計最適化プログラム等を提供することができる。
【0092】
比較.
以下では、実施例1および2で説明したセル設計最適化プログラムを用いた場合の予測値と実測値との比較例について説明する。
【0093】
図12(A)は、セル設計最適化プログラムを用いる前の実測値をプロットしたエリア120を示す。図12(B)は受信品質パラメータの高低に応じた色分けを示す。受信品質パラメータは白黒で表示されているが、例えば受信品質が高い場合は暖色系で表示され、低い場合は寒色系で表示されている。図12(A)に示されるように、問題エリアA3では受信品質が低いことを示す寒色系の測定点が多い。図13は、セル設計最適化プログラムを用いた予測値をプロットしたエリア130を示す。図13に示されるように、問題エリアA3では受信品質が高いことを示す暖色系の測定点が多くなっている。図14は、セル設計最適化プログラムを用いてセル設計最適化を行った後の実測値をプロットしたエリア140を示す。図14に示されるように、問題エリアA3では受信品質が高いことを示す暖色系の測定点が多くなっている。図13と図14とを比較すると明らかなように、図13に示されるセル設計最適化プログラムを用いた予測値は、図14に示されるセル設計最適化プログラムを用いてセル設計最適化を行った後の実測値に近い。即ち、本発明のセル設計最適化プログラムはセル設計最適化作業において極めて有効であることがわかる。
【0094】
図15は、図12ないし14のプロットから得られる統計量の一つである確率密度関数(Probability Density Function : PDF)の比較をグラフ150で示す。図15のグラフ150において、横軸は希望信号対干渉雑音比(Ec/No。dB)、縦軸は確率である。図15では白黒で表示されているが、実際はセル設計最適化プログラムを用いる前の実測値のPDFは青色の線(Before)、セル設計最適化プログラムを用いた予測値のPDFは赤紫色の線(Sim)、セル設計最適化プログラムを用いてセル設計最適化を行った後の実測値のPDFは赤色の線(After)で示されている。図15から明らかなように、予測値のPDF(Sim)はセルパラメータ変更後の実測値のPDF(After)にかなり近い分布となっている。本発明のセル設計最適化プログラムはセル設計最適化作業において極めて有効であることがわかる。
【0095】
図12ないし14のプロットから得られる統計量の一つであるヒストグラムと累積分布とを用いて評価することもできる。この場合、累積分布上で所望の評価閾値より受信品質の高い割合をセル設計最適化を行う前と後とで比較することにより、改善したかどうかおよび改善の度合いを確認することができる。あるいは、横軸を希望信号対干渉雑音比(Ec/No。dB)とし、縦軸を希望信号の受信電力(移動通信CDMAシステムではRSCP)とした測定値分布により評価することもできる。
【0096】
図16は、他の統計量の一つである累積分布関数(Cumulative Distribution Function : CDF)に基づく値域別パーセンタイルの数値比較の表160を示す。図16の表160において、欄161はカバレッジのクラス、欄162は値域条件、欄163はセル設計最適化プログラムを用いる前の実測値における値域条件欄162に該当するサンプルの割合、欄164はセル設計最適化プログラムを用いた予測値における値域条件欄162に該当するサンプルの割合、165はセル設計最適化プログラムを用いてセル設計最適化を行った後の実測値における値域条件欄162に該当するサンプルの割合、166はセル設計最適化プログラムを用いた予測値における値域条件欄162に該当するサンプルの割合(欄164)−セル設計最適化プログラムを用いる前の実測値における値域条件欄162に該当するサンプルの割合(欄163)、167はセル設計最適化プログラムを用いてセル設計最適化を行った後の実測値における値域条件欄162に該当するサンプルの割合(欄165)−セル設計最適化プログラムを用いる前の実測値における値域条件欄162に該当するサンプルの割合(欄163)、168はセル設計最適化プログラムを用いた予測値における値域条件欄162に該当するサンプルの割合(欄164)−セル設計最適化プログラムを用いてセル設計最適化を行った後の実測値における値域条件欄162に該当するサンプルの割合(欄165)である。図16に示されるように、セルパラメータ変更後の予測値(欄164)は同実測値(欄165)に比べ、Ec/No≧−6.8dBの値域のパーセンタイルは−4.5%だけ低いが、その他の値域では±3%以内の誤差であり、比較的高精度の予測を得られることがわかる。
【実施例3】
【0097】
図17は、上述した各実施例を実現するための本発明のコンピュータ・プログラム(セル設計最適化プログラム)を実行するコンピュータの1内部回路170を示すブロック図である。図17に示されるように、CPU171、ROM172、RAM173、画像制御部175、コントローラ176、入力制御部178および外部インタフェース(I/F)部180はバス181に接続されている。図17において、上述した本発明のセル設計最適化プログラムは、ROM172、ディスク等の記録装置20またはCD−ROM177等の記録媒体(脱着可能な記録媒体を含む)に記録されている。記録装置20には上述した種々の測定データ記録DB21、局情報記録DB22、アンテナプロファイル記録DB23、2次元地図記録DB24、3次元地図記録DB25等が記録されている。本発明のセル設計最適化プログラムは、ROM172からバス181を介し、または記録装置20若しくはCD−ROM177等の記録媒体からコントローラ176を経由してバス181を介しRAM173へロードされる。入力制御部178はマウス、テンキー等の入力操作部179と接続され入力制御等を行う。画像メモリであるVRAM174はコンピュータ1の表示装置2の少なくとも一画面分のデータ容量に相当する容量を有しており、画像制御部175はVRAM174のデータを画像データへ変換して表示装置2へ送出する機能を有している。外部I/F部180は、電波測定用ロギングツール200等との間の入出力インタフェース機能を有する。
【0098】
上述のようにCPU171が本発明のセル設計最適化プログラムを実行することにより、本発明の目的を達成することができる。セル設計最適化プログラムは上述のようにCD−ROM177等の記録媒体の形態でコンピュータCPU171に供給することができ、セル設計最適化プログラムを記録したCD−ROM177等の記録媒体も同様に本発明を構成することになる。セル設計最適化プログラムを記録した記録媒体としては上述した記録媒体の他に、例えばメモリ・カード、メモリ・スティック、DVD、光ディスク、FD等を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の活用例として、移動通信システムにおけるセル設計最適化への応用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施例1におけるセル設計最適化を行うためのセル設計最適化プログラムの機能および当該プログラムを実行する環境を示す図である。
【図2】受信品質パラメータ入力部4により受信品質パラメータを入力する際に表示装置2に表示される画像30を示す図である。
【図3】表示部5により表示装置2に表示された画像40を示す図である。
【図4】LOS、NLOSを説明するための画像を示す図である。
【図5】見通し判断部10が直線経路の見通しを判断している際の画像50を示す図である。
【図6】予測値表示部14により表示された画像70を従前に表示部5により表示された画像40と重ねて比較した図である。
【図7】本発明の実施例1におけるセル設計最適化方法の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施例2における問題エリア特定部7が表示装置2に表示する画像80を示す図である。
【図9】実施例2における問題エリア特定部7が表示装置2に表示する画像90を示す図である。
【図10】実施例2におけるセルパラメータ計算部が表示する所定の画像100を示す図である。
【図11】欄形式で表示する画像100に加えて、水平方向および/または垂直方向のアンテナ利得パターンを図形式で表示する画像110を示す図である。
【図12】セル設計最適化プログラムを用いる前の実測値をプロットしたエリアを示す図である。
【図13】セル設計最適化プログラムを用いた予測値をプロットしたエリアを示す図である。
【図14】セル設計最適化プログラムを用いてセル設計最適化を行った後の実測値をプロットしたエリアを示す図である。
【図15】図12ないし14のプロットから得られる統計量の一つである確率密度関数の比較を示すグラフ150である。
【図16】他の統計量の一つである累積分布関数に基づく値域別パーセンタイルの数値比較の表160を示す図である。
【図17】本発明の各実施例を実現するための本発明のコンピュータ・プログラム(セル設計最適化プログラム)を実行するコンピュータの1内部回路170を示すブロック図である。
【図18】電波測定用ロギングツール100を使用して電波を測定する状態を示す図である。
【図19】PC202に備えられたログデータ解析ツールのビュアーにより表示された表示装置220を示す図である。
【図20】セルパラメータに関する情報が記録されたセル情報テーブル230を示す図である。
【図21】アンテナプロファイルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1 コンピュータ、 2 表示装置、 3 機能ブロック、 4 受信品質パラメータ入力部、 5 表示部、 6 最適化エリア選定部、 7 問題エリア特定部、 8 セルパラメータ計算部、 9 セル選択部、 10 見通し判断部、 11 候補セル選択部、 12 予測値計算部、 13 セル設計最適化候補取得部、 14 予測値表示部、 20 記録装置、 21 測定データ記録DB、 22 局情報記録DB、 23 アンテナプロファイル記録DB、 24 2次元地図記録DB、 25 3次元地図記録DB、 30、40、50、51、52、53、54、60、70、71、80、81、100、 110、220、 画像、 61、62 障害物、 91、92 表示、 101、102 セルパラメータ欄、 111 垂直面の利得テーブル、 112 垂直方向のアンテナ利得パターン、 113 水平面の利得テーブル、 114 水平方向のアンテナ利得パターン、120、130、140 エリア、 150 グラフ、 160 表、 170 内部回路、 171 CPU、 172 ROM、 173 RAM、 175 VRAM、 175 画像制御部、 176 コントローラ、 177 CD−ROM、 178 入力制御部、 179 入力操作部、 180 外部I/F部、 181 バス、 200 電波測定用ロギングツール、 202 携帯型PC、 204 マルチI/Oアダプタ、 206 GPSアンテナ、 208 DM用UE、 210 CN、 212 RNC、 214 NODE、 230 セル情報テーブル、 231 基地局名(Site name)欄、 232 セクタ名(Sector)欄、 233 グランドレベル(Ground Level : AGL)欄、 234 アンテナ高さ(ASL)欄、 235 アンテナタイプ(ANT Type)欄、 236 アンテナモデル(Model)欄、 237 ビーム幅(Beam)欄、 238 アンテナ方向(Azimuth)欄、 239 電気チルト(E-Tilt)欄、 240 Mチルト(M-Tilt)欄、 241 送信電力(CPICH-TX-PWR)欄、 242 スクランブルコード(Scrambling Code : SC)欄、 251 最右ステップ幅欄、 252 最左ステップ幅欄、 260 下側仰角(電気チルト角度)欄、 261 利得値欄。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムにおけるセル設計最適化を行うためのセル設計最適化プログラムであって、所定の測定点で測定された基地局のセルを識別するセル識別信号について所定の受信品質パラメータと該所定の測定点の位置とを記録した測定データ記録部と、セルに関する所定のセルパラメータ及びセル識別信号を含む局情報を記録した局情報記録部と、セルの基地局アンテナの水平面利得パターン及び垂直面利得パターンを規定したアンテナプロファイルを記録したアンテナプロファイル記録部と、所定の測定点を含むエリアの2次元地図データを記録した2次元地図記録部及び3次元地図データを記録した3次元地図記録部とを用いて、コンピュータを、
所定の測定点で測定されたセル識別信号について所定の受信品質パラメータを入力し、前記測定データ記録部に記録する受信品質パラメータ入力手段、
前記2次元地図記録部に記録された2次元地図データに基づき2次元地図を表示し、前記受信品質パラメータ入力手段により前記測定データ記録部に記録された所定の測定点における所定の受信品質パラメータを、該2次元地図上で該所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する表示手段、
前記表示手段により表示された2次元地図を示す画像上で最適化対象エリアを選定させる最適化対象エリア選定手段、
前記最適化対象エリア選定手段により選定させた最適化対象エリア内において、前記測定データ記録部に記録された所定の受信品質パラメータ中の所定データが所定の基準値以下である問題エリアを特定する問題エリア特定手段、
前記問題エリア特定手段により特定された問題エリア内の全てのセルについて前記局情報記録部から検索した局情報と、前記測定データ記録部に記録された該問題エリアの各測定点の位置とに基づき、該問題エリアの各測定点における受信品質を向上させる各セルのセルパラメータを計算するセルパラメータ計算手段、
前記セルパラメータ計算手段により計算された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択するセル選択手段、
前記3次元地図記録部に記録された3次元地図データに基づき、前記セル選択手段により選択されたセル毎に、該セルの基地局アンテナと前記問題エリアにおける測定点との間の直線経路の見通しの程度を判断する見通し判断手段、
前記見通し判断手段により見通の程度が高いと判断されたセルから所定数のセルを候補セルとして選択する候補セル選択手段、
前記候補セル選択手段により選択されたセル毎に、前記セル選択手段において用いられた各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差と、前記アンテナプロファイル記録部に記録されたアンテナプロファイルと、測定された前記所定の受信品質パラメータとに基づき、該セルパラメータを変化させた場合における前記問題エリアの測定点における所定の受信品質パラメータの予測値を所定の式により計算する予測値計算手段、
前記予測値計算手段により計算されたセル毎の所定の受信品質パラメータの予測値と測定された前記所定の受信品質パラメータとの比較に基づき、前記問題エリアの測定点における受信品質を最も向上させるセルを求めるセル設計最適化候補取得手段、
前記2次元地図記録部に記録された2次元地図データに基づき前記問題エリアを含む2次元地図を表示し、前記セル設計最適化候補取得手段により求められたセルによる該問題エリアの測定点における所定の受信品質パラメータの予測値を、該2次元地図上で該所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する予測値表示手段として機能させるためのセル設計最適化プログラム。
【請求項2】
請求項1記載のセル設計最適化プログラムにおいて、
前記問題エリア特定手段は、前記最適化対象エリア選定手段により選定させた最適化対象エリア内において対象とするエリアを問題エリアとして特定させ、該問題エリアにおけるセル別の所定データの時間的変化を示す画像を表示するものであり、
前記セルパラメータ計算手段は、前記問題エリア特定手段により表示されたセル別の所定データの時間的変化を示す画像上において任意のセルを選択させ、該セルについて前記局情報記録部から検索した局情報と、前記測定データ記録部に記録された該問題エリアの各測定点の位置とに基づき、該問題エリアの各測定点における受信品質を向上させるセルパラメータを計算し、該局情報と該セルパラメータとを含むデータを示す所定の画像を表示することを特徴とするセル設計最適化プログラム。
【請求項3】
請求項2記載のセル設計最適化プログラムにおいて、前記所定の画像は、前記局情報と前記セルパラメータとを含むデータを欄形式で表示する画像であることを特徴とするセル設計最適化プログラム。
【請求項4】
請求項3記載のセル設計最適化プログラムにおいて、
前記欄形式の画像に表示された又は前記欄形式の画像において入力され表示されたセルパラメータに応じて水平方向及び/又は垂直方向のアンテナ利得パターンを前記アンテナプロファイル記録部に記録されたアンテナプロファイルに基づき図形式で表示するアンテナ利得パターン表示手段をさらに備え、
前記セル選択手段は、前記アンテナ利得パターン表示手段において前記欄形式の画像に表示された又は前記欄形式の画像において入力され表示された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択することを特徴とするセル設計最適化プログラム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のセル設計最適化プログラムにおいて、前記所定の表示形式は、前記所定の受信品質パラメータの受信品質の高低に応じた色分けにより表示する表示形式であることを特徴とするセル設計最適化プログラム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のセル設計最適化プログラムにおいて、前記所定の受信品質パラメータは希望信号対干渉雑音比を含み、前記所定データは希望信号対干渉雑音比であることを特徴とするセル設計最適化プログラム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のセル設計最適化プログラムにおいて、前記所定のセルパラメータは基地局の送信電力、基地局アンテナの高さ、チルト角及び指向方向を含むことを特徴とするセル設計最適化プログラム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のセル設計最適化プログラムにおいて、前記予測値計算手段における前記所定の式は、
希望信号対干渉雑音比の予測値=(変更前の希望信号対干渉雑音比の実測値)+(当該セルのアンテナプロファイルの変化に基づき得られる当該測定地点における希望信号電力の増加量予測値)−(当該セル及び当該セル以外のセルのアンテナプロファイルの変化に基づき得られる当該測定地点における受信干渉雑音電力の増加量予測値)であることを特徴とするセル設計最適化プログラム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のセル設計最適化プログラムにおいて、前記所定の測定点は、道路上の測定点であることを特徴とするセル設計最適化プログラム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のセル設計最適化プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項11】
移動通信システムにおけるセル設計最適化を行うためのセル設計最適化方法であって、所定の測定点で測定された基地局のセルを識別するセル識別信号について所定の受信品質パラメータを記録した測定データ記録部と、セルに関する所定のセルパラメータ及びセル識別信号を含む局情報を記録した局情報記録部と、セルの基地局アンテナの水平面利得パターン及び垂直面利得パターンを規定したアンテナプロファイルを記録したアンテナプロファイル記録部と、所定の測定点を含むエリアの2次元地図データを記録した2次元地図記録部及び3次元地図データを記録した3次元地図記録部とを用いるものであり、
所定の測定点で測定されたセル識別信号について所定の受信品質パラメータを入力し、前記測定データ記録部に記録する受信品質パラメータ入力ステップと、
前記2次元地図記録部に記録された2次元地図データに基づき2次元地図を表示し、前記受信品質パラメータ入力ステップで前記測定データ記録部に記録された所定の測定点における所定の受信品質パラメータを、該2次元地図上で該所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する表示ステップと、
前記表示ステップで表示された2次元地図を示す画像上で最適化対象エリアを選定させる最適化対象エリア選定ステップと、
前記最適化対象エリア選定ステップで選定させた最適化対象エリア内において、前記測定データ記録部に記録された所定の受信品質パラメータ中の所定データが所定の基準値以下である問題エリアを特定する問題エリア特定ステップと、
前記問題エリア特定ステップで特定された問題エリア内の全てのセルについて前記局情報記録部から検索した局情報と、前記測定データ記録部に記録された該問題エリアの各測定点の位置とに基づき、該問題エリアの各測定点における受信品質を向上させる各セルのセルパラメータを計算するセルパラメータ計算ステップと、
前記セルパラメータ計算ステップで計算された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択するセル選択ステップと、
前記3次元地図記録部に記録された3次元地図データに基づき、前記セル選択ステップで選択されたセル毎に、該セルの基地局アンテナと前記問題エリアにおける測定点との間の直線経路の見通しの程度を判断する見通し判断ステップと、
前記見通し判断ステップで見通しの程度が高いと判断されたセルから所定数のセルを候補セルとして選択する候補セル選択ステップと、
前記候補セル選択ステップで選択されたセル毎に、前記セル選択ステップにおいて用いられた各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差と、前記アンテナプロファイル記録部に記録されたアンテナプロファイルと、測定された前記所定の受信品質パラメータとに基づき、該セルパラメータを変化させた場合における所定の受信品質パラメータの予測値を所定の式により計算する予測値計算ステップと、
前記予測値計算ステップで計算されたセル毎の所定の受信品質パラメータの予測値と測定された前記所定の受信品質パラメータとの比較に基づき、前記問題エリアの測定点における受信品質を最も向上させるセルを求めるセル設計最適化候補取得ステップと、
前記2次元地図記録部に記録された2次元地図データに基づき前記問題エリアを含む2次元地図を表示し、前記セル設計最適化候補取得ステップで求められたセルによる該問題エリアの測定点における所定の受信品質パラメータの予測値を、該2次元地図上で該所定の測定点と対応する位置に所定の表示形式により表示する予測値表示ステップとを備えたことを特徴とするセル設計最適化方法。
【請求項12】
請求項11記載のセル設計最適化方法において、
前記問題エリア特定ステップは、前記最適化対象エリア選定ステップで選定させた最適化対象エリア内において対象とするエリアを問題エリアとして特定させ、該問題エリアにおけるセル別の所定データの時間的変化を示す画像を表示するものであり、
前記セルパラメータ計算ステップは、前記問題エリア特定ステップSで表示されたセル別の所定データの時間的変化を示す画像上において任意のセルを選択させ、該セルについて前記局情報記録部から検索した局情報と、前記測定データ記録部に記録された該問題エリアの各測定点の位置とに基づき、該問題エリアの各測定点における受信品質を向上させるセルパラメータを計算し、該局情報と該セルパラメータとを含むデータを示す所定の画像を表示することを特徴とするセル設計最適化方法。
【請求項13】
請求項12記載のセル設計最適化方法において、前記所定の画像は、前記局情報と前記セルパラメータとを含むデータを欄形式で表示する画像であることを特徴とするセル設計最適化方法。
【請求項14】
請求項13記載のセル設計最適化方法において、
前記欄形式の画像に表示された又は前記欄形式の画像において入力され表示されたセルパラメータに応じて水平方向及び/又は垂直方向のアンテナ利得パターンを前記アンテナプロファイル記録部に記録されたアンテナプロファイルに基づき図形式で表示するアンテナ利得パターン表示ステップをさらに備え、
前記セル選択ステップは、前記アンテナ利得パターン表示ステップにおいて前記欄形式の画像に表示された又は前記欄形式の画像において入力され表示された各セルのセルパラメータと従前のセルパラメータとの差が所定の値以下であるセルを選択することを特徴とするセル設計最適化方法。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれかに記載のセル設計最適化方法において、前記所定の表示形式は、前記所定の受信品質パラメータの受信品質の高低に応じた色分けにより表示する表示形式であることを特徴とするセル設計最適化方法。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれかに記載のセル設計最適化方法において、前記所定の受信品質パラメータは希望信号対干渉雑音比を含み、前記所定データは希望信号対干渉雑音比であることを特徴とするセル設計最適化方法。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれかに記載のセル設計最適化方法において、前記所定のセルパラメータは基地局の送信電力、基地局アンテナの高さ、チルト角及び指向方向を含むことを特徴とするセル設計最適化方法。
【請求項18】
請求項11乃至17のいずれかに記載のセル設計最適化方法において、前記予測値計算ステップにおける前記所定の式は、
希望信号対干渉雑音比の予測値=(変更前の希望信号対干渉雑音比の実測値)+(当該セルのアンテナプロファイルの変化に基づき得られる当該測定地点における希望信号電力の増加量予測値)−(当該セル及び当該セル以外のセルのアンテナプロファイルの変化に基づき得られる当該測定地点における受信干渉雑音電力の増加量予測値)
であることを特徴とするセル設計最適化方法。
【請求項19】
請求項11乃至18のいずれかに記載のセル設計最適化方法において、前記所定の測定点は、道路上の測定点であることを特徴とするセル設計最適化方法。

【図1】
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【図7】
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【図17】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−81486(P2009−81486A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247024(P2007−247024)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(301066730)株式会社弘栄 (3)
【Fターム(参考)】