説明

ソーカーフからシリコン粒子を回収及び浄化する方法

本開示は、概して、例えば単結晶シリコンインゴット若しくは多結晶シリコンインゴット等のシリコンインゴットを切断することに由来するソーカーフ及び使用済み研磨スラリーからシリコンを回収する方法に関する。より詳細には、本開示は、結果として得られるシリコンが、太陽電池グレードシリコン原材料等の原材料として使用されるように、ソーカーフ又は使用済みスラリーからシリコンを分離し浄化する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、例えば単結晶又は多結晶シリコンインゴット等のシリコンインゴットの切断に由来するソーカーフ又は使用済み研磨スラリーからシリコンを回収する方法に関する。より詳細には、本開示は、結果として得られるシリコンが、例えば太陽電池グレードシリコン原料等の原料として使用されるようにソーカーフ又は使用済みスラリーを分離、浄化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェハは、従来から、一般的に円柱状の形状を有する単結晶又は多結晶シリコンインゴットから調製されている。当該インゴットは長手方向軸に垂直な方向にスライスされ、数百個の薄いディスク状ウェハが製造される。スライスオペレーションは、一般的には、1以上の往復式ワイヤーソーによりなされる。シリコンカーバイド等の研磨粒子に接触する液体スラリーをインゴットとワイヤーとの間の接触領域に供給しながら、インゴットに上記往復式ワイヤーソーを接触させる。従来のワイヤソースラリーは、一般的には、例えば鉱油又は可溶性液体(具体的には、ポリエチレングリコール又はPEG)等の分散冷却流体として機能する潤滑油を含む。
【0003】
インゴットがスライスされる際、スラリーの研磨粒子はワイヤーソーによりインゴット表面に対して擦りつけられる。これにより、当該インゴットのシリコン粒子が流出し、同様に、ワイヤー自身の金属(具体的には鉄)も流出する。切断の間に、かなりの量のシリコン粒子を損失する。インゴットがスライスされるにしたがって蓄積されるシリコン材料は、従来から”ソーカーフ(saw kerf)”として知られている。スラリーにおけるシリコン並びに他の粒子(具体的には金属微粒子)の濃度が増加するにしたがって、スライスオペレーションの効率は低下する。スラリーは、徐々に、非効率的又は”使用済み”となり、一般的には廃棄又は処分される。元来、使用済みスラリーは焼却により廃棄され又は排水処理工場において処理されてきた。しかしながら、スラリーを焼却することにより二酸化炭素が発生し、そして、スラリーを廃水処理工場に送ることにより、埋め立て地に廃棄されるべき汚泥が生成されることになる。したがって、廃棄の両アプローチは、環境の観点及びそれに関連する費用の観点から好ましくない。そのため、研磨スラリーをリサイクルし再利用することができる方法が提案されている(具体的には、米国特許第7,223,344参照。当該米国特許第7,223,344の全内容は、関連づけそして一貫させるため、本明細書に引用して援用する)。
【0004】
しかしながら、ソーカーフ又は使用済みスラリーに関連する環境的及び経済的な懸念に加えて、潜在的に有益なシリコン材料の損失を考慮すべきである。特に、ワイヤーソー技術は改良されているけれども、ワイヤーがシリコンインゴットを一回通過することにより、約250〜280μmの厚さのインゴットに相当する量のシリコンが失われる。テクノロジーにより、インゴットからより薄いウェハをスライスすることが可能となるにしたがって、ワイヤーがインゴットをより多く通過することになるが、これにより、ソーカーフに対するシリコンの損失がより大きくなる。例えば、現存のワイヤーソー技術を用いた場合、ソーカーフの損失は、シリコンインゴット材料の約25%〜約50%に相当する。
【0005】
例えば、太陽電池において使用するため、ソーカーフ又は使用済みスラリーからシリコン材料を回収することを一般的に示唆するものは存在するけれども(具体的には、米国特許第6,780,665参照。米国特許第6,780,665の全内容は、関連づけ一貫させるため本明細書に引用して援用する。)、いくつかの欠点が存在する。例えば、以前から知られている方法は、当該カーフから得られたシリコンに存在しうるバルク及び表面の金属コンタミネーションの問題を解決する手段を提供しない。これは、回収されたシリコンの純度及び回収されたシリコンを利用する最終用途に重大な影響を与えうる。さらに、今まで使用されてきたシリコン回収(具体的には、フロス浮選回収)の方法は、一般的には、再利用に充分な量のシリコン粒子を回収できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、太陽電池グレードシリコン材料を含め様々なアプリケーションにおいて使用するため、例えば、回収されたシリコンが溶融されリサイクルされるように、シリコンインゴットの切断により生成されたシリコン粒子を回収及び浄化する方法についてニーズが存在する。任意ではあるが、当該方法は、スラリープロセスにおいて使用されるシリコンカーバイドの回収を可能としシリコンカーバイドが再利用される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、簡潔に言えば、本開示は、一の実施の形態では、シリコンインゴットからシリコンウェハをスライスすることに由来するシリコンソーカーフからシリコン粒子を分離し回収する方法であって、上記ソーカーフは、研磨粒子、シリコン粒子、金属粒子、及び酸化物粒子を含む固体微粒子混合物並びに潤滑流体を含む方法に関する。当該方法は、上記固体微粒子混合物から少なくとも上記潤滑媒体の一部を分離する工程と;(i)上記シリコン粒子は実質的に溶解せず(ii)上記金属粒子と酸化物粒子とが溶解する酸性の溶液で上記固体微粒子混合物を洗浄し上記金属粒子及び酸化物粒子を上記固体微粒子混合物から溶解させる工程と;シリコン粒子及び研磨粒子を含む上記洗浄された固体微粒子混合物を収集する工程と;上記洗浄された固体微粒子混合物中の研磨粒子から上記シリコン粒子を分離する工程とを備える。好ましくは、上記分離されたシリコン粒子は、約50ppma未満の炭素含有量を有してもよいし、約150ppma未満の金属コンタミネーション含有量を有していてもよい。
【0008】
本開示は、さらに、上記固体微粒子混合物を洗浄する工程が、固体微粒子混合物とともに浮選フロスを生成することができる酸性の溶液を上記固体微粒子混合物に接触させることを含む方法に関する。上記フロスは、シリコン粒子及び研磨粒子を含む。
【0009】
本開示は、さらに、他の実施の形態では、シリコンインゴットからシリコンウェハをスライスすることに由来するシリコンソーカーフからシリコン粒子を分離し回収する方法であって、上記ソーカーフは、研磨粒子、シリコン粒子、金属粒子及び酸化物粒子を含む固体微粒子混合物、並びに有機性の潤滑流体を含む方法に関する。当該方法は、有機性の潤滑流体に可溶なキレート剤を上記ソーカーフに接触させ上記ソーカーフに存在する1以上の金属により複合物を形成する工程と;上記キレートされたソーカーフ溶液に水溶性の酸溶液を接触させ、上記混合物を、シリコン粒子を含む水溶性の相、及びキレート剤と金属との間で形成された複合体を含む有機性の相に分離する工程と;上記シリコン粒子を含む水溶性の相を収集する工程と;上記水溶性の相から少なくともシリコン粒子の一部を回収する工程と、を備える。好ましくは、上記回収されたシリコン粒子は、約50ppma未満の含有量の炭素を有してもよく、約150ppma未満の含有量の金属コンタミネーションを有していてもよい。
【0010】
本開示は、さらに、上記シリコン粒子が、(i)収集され洗浄された固体微粒子混合物、又は(ii)上記洗浄された固体微粒子混合物から形成されたフロス、又は(iii)上記シリコン粒子を含む水溶性の相を、密度−依存分離技術、特に、沈殿物遠心分離、濾過遠心分離、ハイドロ−サイクロンセパレーションから選択された密度−依存分離技術に供することにより回収される前述の1以上の態様に関する。
【0011】
本開示は、さらに、上記シリコン粒子が、(i)収集され洗浄された固体微粒子混合物、又は(ii)上記洗浄された固体微粒子混合物から形成されたフロス、又は(iii)上記シリコン粒子を含む水溶性の相をまず乾燥させ、その後、上記研磨粒子、より好ましくはシリコンカーバイド研磨粒子から上記シリコン粒子を分離するため、上記乾燥させたフロスを不均一の磁場に供することにより回収される前述の1以上の態様に関する。
【0012】
本開示は、さらに、上記研磨粒子、特にシリコンカーバイドが、再利用のため付加的に回収される前述の1以上の態様に関する。
【0013】
本開示は、さらに、上述のシリコンソーカーフから太陽電池グレードのシリコンペレットを調製する方法に関する。当該方法は、(i)前述の態様のうちの一つにより上記ソーカーフからシリコン粒子を回収する工程と;(ii)上記回収されたシリコンを溶融する工程と;(iii)上記溶融されたシリコンから太陽電池グレードシリコンペレットを作製する工程と、を備える。
【0014】
本開示は、さらにシリコンインゴットをスライスする方法に関する。当該方法は、往復式ワイヤーソー及び有機性の潤滑流体、研磨微粒子、及び上記有機性の潤滑流体に可溶な金属キレート剤を含むスラリーをシリコンインゴットの表面に接触させる工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本開示のプロセスの一般的な概観を示したワークフローであり、上記ソーカーフの固体微粒子混合物から潤滑剤を分離することを含む。
【図2】図2は、本開示のプロセスの一部の一般的な概観を示したワークフローであり、特に上記固体微粒子混合物から金属及び酸化物粒子を除去するオプションを示している。
【図3】図3は、本開示のプロセスの一部の一般的な概観を示したワークフローであり、特に、上記ソーカーフ及び固体微粒子混合物から金属及び酸化物粒子を除去する任意の方法を示している。
【図4】図4は、本開示のプロセスの一部の一般的な概観を示したワークフローであり、特に、上記研磨粒子(具体的には、シリコンカーバイド)からシリコン粒子を分離するためのオプションを示している。
【図5】図5は、中央に鉄ラッパー及び鉄ポールを有する12個の40Moe磁石の配置を示している。磁力線は、エアーコアの周りにおいてトロイダル断面を追随するように形成される。当該配置では12mmである。各磁石における矢印は、磁北を示している。
【図6】図6は、鉄ポールに対する|H|の大きさ及び|H|のそれぞれの密度プロット並びにA/mを示している。
【図7】図7は、磁気セパレータの中央を通過するHgradHを示している。当該実線又は曲線は数値的計算を示しており、破線若しくはダッシュライン又は曲線は数値的期待値を示している。
【図8】図8は、シリコンカーバイド、シリコン、二酸化珪素の粒子半径による終端速度を示している。ここで、HgradH=5×1015/mであり、gと同じ符号である。測定結果の単位は、水中の粒子についてmm/分である。
【図9】図9は、磁気−アルキメデス効果を図形的に描写したものであり、図5及び6の磁場配置は回転している。
【図10】図10は、HgradH=2×1016/mであり、gと同じ符号である場勾配における、シリコンカーバイド、シリコン、及び二酸化珪素の粒子半径による終端速度を示している。測定結果の単位は、空気中の粒子についてmm/分である。
【図11】図11は、傾斜した磁場セパレータの概略図を示している。
【図12】図12は、HgradH=0.037・1016/mである液体空気中における重力及び磁気フィルターによる、シリコンカーバイド、シリコン及び二酸化珪素についての粒子直径に対するシリコンカーバイド、シリコン及び二酸化珪素の終端分離速度を示している。
【図13】図13は、密度に対する水溶性のメタタングステン酸ナトリウムの粘度を示している。
【図14】図14は、メタタングステン酸ナトリウム液における17,000gでの遠心密度分離を示している。図14は、さらに、タングステン酸ナトリウム密度に対する、500nmシリコン及び100nmシリコンカーバイド粒子の沈殿速度を示している。
【図15】図15Aは、初期濃度u=1、換算単位(reduced units)での初期全濃度が、a=1、及びD=1のとき4/3Πである球からの時間依存性バルク金属外方拡散を示している。図15Bは、換算時間0.0001、0.01、0.04、0.08、0.16及び0.32での半径方向濃度分布を示している。
【図16】図16A及び16Bは、ソーカーフから分離されたシリコンカーフ粒子のイメージを示している。
【図17】図17A〜17Dは、4つの異なるシリコン粒子のEDXスペクトルを示している。
【図18】図18Aは、シリコンペレットの分割されたフレークの400μmノマルスキー顕微鏡イメージである。図18B及び18Cは、シリコンペレットの分割されたフレークの100μmノマルスキー顕微鏡イメージであり、内表面及び外表面を示している。図18Dは、シリコンペレットの分割されたフレークの3〜10μmノマルスキー顕微鏡イメージである。 対応する参照文字は、図面のいくつかの図を通して対応する部材を示していることに留意すべきである。 さらに、これらの図に示された部材のデザイン又は配置は同一縮尺ではなく、及び/又は例示のみを目的とすることに留意すべきである。したがって、当該部材のデザイン又は配置は、対象とする本開示の範囲を逸脱しない限り上述したもの以外のものであってもよい。そのため、これらの図は、限定するものではないと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示によれば、シリコンインゴットをスライスすることに由来するシリコンインゴットソーカーフ(又は使用済みスラリー)中のシリコン粒子を効果的に分離し浄化し、それにより、上記分離され浄化された粒子を、他のシリコンアプリケーション(具体的には、太陽電池グレードシリコン)における原料として再利用するに適したものとすることができることが分かってきた。以下に詳細に説明し例説するように、例えば、図1〜4のワークフローにおいて、ソーカーフからシリコン粒子を分離し浄化することは、ソーカーフ又はその一部を水溶性の酸溶液で処理することと併せて、1以上の一般的に知られた液体/固体、液体/液体、及び/又は固体/固体分離技術のシーケンスを用いることにより行ってもよい。結果として得られるシリコン粒子は、例えば、約50ppma(100万原子当たり1部)未満、約40ppma未満、約30ppma未満、約25ppma以下(具体的には、約20ppma、約15ppma、さらには約10ppma)の含有量の炭素を含んでいてもよいし、及び/又は、実施例においてさらに例示しているように、約150ppma未満、約125ppma未満、約100ppma以下(具体的には、約90ppma、約70ppma、さらには約50ppma)の全含有量の金属コンタミネーション(具体的には、銅、ニッケル、鉄等)を含んでいてもよい。
【0017】
この観点から、ここで用いられているように、”ソーカーフ”なるフレーズは、概して、シリコンインゴットを切断するために用いられる切断プロセスのスライスに由来する廃棄材料を意味することに留意すべきである。当該フレーズは、任意に、シリコンインゴットスライス又は切断プロセスからの”使用済みスラリー”なるフレーズと互換可能に使用することができる。当該フレーズは、概して、例えば、スライスオペレーションを妨害するような、許容できない程高い含有量のシリコン及び/又は金属微粒子によって、もはや基本的にシリコンインゴットからシリコンウェハをスライスするに適さないようになっているスラリーを意味する。シリコン微粒子は、スラリー中における固形物質の濃度が約1〜5質量%を超えるとシリコンインゴットスライスオペレーションを妨害すると考えられている。また、金属微粒子は、スラリー中における固体物質の濃度が約0.5〜2質量%を超えるとスライスオペレーションを妨害すると考えられている。
【0018】
付加的に、”使用済みの研磨粒子”は概してスライスオペレーションによって損傷された結果、もはやシリコンインゴットからシリコンウェハをスライスするに適さなくなった直径又はサイズを有する研磨粒子(具体的には、シリコンカーバイド又はSiC)を意味する。研磨粒子が、約1μm未満の粒子サイズ(具体的には、約1μm未満の概算直径)を有する場合、使用尽くされたと考えられている。”使用済みでない研磨粒子”は、概して、未だシリコンインゴットからシリコンウェハをスライスするに適している研磨粒子であって、使用済みスラリー中の研磨粒子を意味する。当該粒子は、一般的には、約1μmより大きい粒子サイズを有する。使用済みの研磨粒子は、全研磨粒子(すなわち、使用済みの研磨粒子及び使用済みでない研磨粒子)の約5〜10質量%を超える濃度ではシリコンインゴットスライスオペレーションを妨害する。
【0019】
1.一般的なソーカーフ/使用済みスラリーの分析
単結晶シリコンインゴットの代表的なウェハスライスプロセスにより得られるソーカーフ廃棄材料スラリーの代表的なサンプルについて質量分析を実行した。これらの廃棄スラリーサンプルは、潤滑流体として使用されたポリエチレングリコール(PEG)、研磨粒子として使用されたシリコンカーバイド、鉄、銅、亜鉛、シリコン、それらの各酸化物、及び(上記した他の成分に比して濃度がより小さい)他の様々な不純物を含むことが分かった。より詳細には、中途の乾燥工程及び秤量工程とともに、水、水溶性のHCl溶液、水溶性のHF溶液、水溶性のHF/NO溶液でリンスすることにより、サンプル(原料である”切削廃棄”材料、並びに、市販のスラリー回収システム)を連続処理することによって、代表的なソーカーフ廃棄サンプルの全組成は、以下の表1及び表2において報告されているようなものであることが分かった。
【表1】


【表2】

【0020】
上記の表の結果が示すように、ソーカーフ又は廃棄スラリーに存在するシリコン粒子の回収は、シリコン粒子を溶解することなく、その後、さらに、他の不所望の残渣固形物(具体的には、例えばシリコンカーバイド粒子等の研磨粒子)から固体のシリコン微粒子を分離するための適切な手段を選択することなく、不所望のコンタミネーション(具体的には、金属粒子、酸化物粒子等)を溶解する一種の溶媒(又は複数種の溶媒)を適切に選択することにより、又は、別の態様では、不所望のコンタミネーション(具体的には、金属粒子)を捕捉するキレート剤を適切に選択することにより、又は、そのコンビネーションにより、達成してもよい。したがって、1以上のそのような実施の形態において、シリコン粒子が実質的に溶解しない溶媒(具体的には、溶媒と接触したとき、約5質量%、約3質量%、約1質量%、約0.5質量%以下のシリコンが溶解する溶媒)にソーカーフ又は使用済みスラリーを接触させる。しかしながら、別の態様では、溶媒とキレート剤とを組み合わせたものを用いてもよい。当該キレート剤は、ソーカーフ又は使用済みスラリーから(より詳細には回収されるべきシリコン粒子から)除去するため、金属コンタミネーションを捕捉する。
【0021】
2.金属/酸化物粒子及びコンタミネーションの除去
再び図1〜4を参照する。したがって、本開示は、シリコンインゴットからシリコンウェハをスライスすることに由来するシリコンソーカーフからシリコン粒子を分離し回収する方法に関連することに留意すべきである。以前に述べたように、当該ソーカーフは、一般的には、潤滑流体及び固体微粒子混合物を含み、上記固体微粒子は、研磨粒子(具体的にはシリコンカーバイド)、シリコン粒子、金属粒子、及び酸化物粒子を含む又は含有する。概して、第1の実施の形態において、当該方法は、任意ではあるが、固体微粒子混合物からの潤滑流体の少なくとも一部(具体的には、約25質量%、約50質量%、約75質量%以上)を選択すること、その後、結果として得られる固体微粒子混合物(又はスラリー、潤滑流体が存在する場合は、そのどれくらいが除去されるかに依存する)を、シリコン粒子が実質的に溶解せず、金属粒子、酸化物粒子、又はその両方が溶解する1以上の酸溶液で洗浄する工程を含む。このように、金属粒子、及び/又は酸化物粒子は、固体微粒子混合物の残留物(及び特にシリコン粒子)から溶解し分離してもよい。シリコン粒子及び研磨粒子(具体的にはシリコンカーバイド)を含む、洗浄された固体微粒子混合物は、上記研磨粒子から上記シリコン粒子を分離するため、その後、いくつかの固体分離プロセスに供してもよい。
【0022】
ソーカーフが有機性潤滑流体を含む他の実施の形態において、上記有機性潤滑流体において可溶性であるキレート剤により金属コンタミネーションを除去してもよい。特に、ソーカーフを、上記有機性の潤滑流体において可溶性のキレート剤と接触させ、上記ソーカーフに存在する1以上の金属で複合体を形成する。その後、キレートされたソーカーフ(例えば、スラリー又は懸濁液の形態である)を水溶性の酸溶液に接触させ任意として攪拌してもよい。その後、結果として得られた水溶性の有機性混合物を水溶性の相と有機性の相とに分離する。上記水溶性の相は、シリコン粒子を含み、上記有機性の相は、キレート剤と金属との間で形成された複合体を含む。2つの液相を、当該技術分野において一般的に良く知られている手段により分離してもよい。水溶性の相から(濾過、蒸発/乾燥等により)固体を収集した後、結果として得られた固体を分離し、存在する他の固体(具体的には、研磨粒子)からシリコン粒子の少なくとも一部を収集又は回収してもよい。
【0023】
これに関して、水溶性の溶液に対する有機性溶液の比率、液体/液体抽出の回数等は、回収されるシリコン粒子の量を最適化するため、実験的に決定してもよいことに留意すべきである。
【0024】
また、ソーカーフから金属及び/又は酸化物粒子を除去するための様々なオプションが以下本明細書でさらに詳細に説明されることに留意すべきである。
【0025】
A.潤滑流体の任意の除去
上述のように、上記ソーカーフ又は使用済みスラリーに存在する潤滑流体の実質的に全部又は一部を固体微粒子混合物のさらなる処理の前に任意に除去してもよい。所望であれば、基本的に、小さい直径(具体的には、一般的には約0.5μm〜約25μm。シリコン粒子は、例えば、一般的には、約0.5μm〜約10μm、又は約0.75μm〜約7.5μmの粒子サイズ範囲にあり、一方、シリコンカーバイド等の研磨粒子は、一般的には、約2.5μm〜約25μm、又は約5μm〜約20μmの粒子サイズ範囲にある)の固体を選択するための如何なる既知の方法を用いてもよい。ある好ましい実施の形態では、用いられる方法は、実質的に固体を含まない(具体的には、好ましくは、固体は、潤滑流体1リットル当たり約1g未満である)潤滑流体を生成するものである。プレス濾過等の当該技術分野において一般的に知られた技術を用いて、ソーカーフ又は使用済みスラリーを濾過することは、上記潤滑流体から固体物質を分離するために使用される方法の具体例である。プレス濾過には、概して、高圧下、流体から実質的に殆どの固体を除去するに充分なポアサイズ又はメッシュサイズを有する少なくとも一つのスクリーン(例えば、ポリプロピレンスクリーン)に流体を通過させることにより、上記ソーカーフ又は使用済みスラリーを液体部分と固体部分(具体的には、固体微粒子混合物)とに分離することが含まれる。(具体的には、米国出願公開2004/0144722で提供された濾過についての詳細を参照のこと。米国出願公開2004/0144722は本明細書に引用して援用する。)
【0026】
濾過により、シリコン粒子、金属粒子及び研磨粒子(すなわち、使用済みの研磨粒子、使用済みではない研磨粒子)を含む固体(すなわち、固体微粒子混合物)の”ケーキ”が生成され、同様少なくとも微量の潤滑流体(当該ケーキにおける潤滑流体の濃度は、一般的には、例えば、当該ケーキの約25質量%、20質量%、10質量%、さらには5質量%である)が生成される。その後、濾過又は分離に由来する固体微粒子混合物をさらに処理して、その中に存在する他の固体粒子からシリコン微粒子を分離してもよい。しかしながら、任意ではあるが、固体をさらに分離する前に、及び濾過装置にある間に、固体を溶媒(具体的には水又はメタノール)を用いて洗浄し、その中に存在する潤滑流体の濃度を減少させてもよい。
【0027】
B.HCl/HF溶液及び/又はキレート剤
ある実施の形態では、金属粒子又はコンタミネーション(HCl溶液)及びその中に存在する酸化物粒子又はコンタミネーション(HF溶液)を溶解除去するため、及び/又はシリコン粒子上に又はその中に(具体的には、シリコン粒子のバルクの中に)存在する金属コンタミネーションを除去するため、ソーカーフを、塩酸(HCl)及びフッ酸(HF)のそれぞれの水溶液に接触(具体的にはリンス又は洗浄)させてもよい。
【0028】
金属又は酸化物粒子の除去に関して、酸溶液の濃度及び/又はソーカーフが互いに接触する回数及び/又は所定の量のソーカーフのために必要とされる酸溶液の量は、コンタミネーションの除去を最大化するために、所定のソーカーフについて最適化してもよい。しかしながら、一般的には、ソーカーフは、中に存在するシリコンの濃度(又は相当物の数)に比較して、約1〜約5、又は約2〜約4の水溶性HF溶液、HCl溶液、又はその両方の化学量論相当物で処理してもよい。これに加えて又はこれに代えて、一般的な適切な可溶性HCl溶液は、約0.5〜約0.25規定度(N)、又は約0.75〜約0.2規定度(N)又は約0.1規定度(N)のHCl濃度を有し、一方、一般的な適切な可溶性HF溶液は、約40質量%〜約60質量%、又は約45質量%〜約55質量%、さらには約49質量%のHF濃度を有する。
【0029】
これに関連して、金属及び酸化物のコンタミネーション又は粒子に加えて、上記ソーカーフを酸溶液で処理することにより、シリコンと、存在しうる例えばカーバイドとの間に存在する結合を切断するように機能し、これにより、上記カーバイドからシリコンを分離することができることに留意すべきである。
【0030】
これに関連して、ある高速拡散金属(すなわち、銅、又はニッケル等の、例えば室温において、比較的短い時間に、例えば数時間のオーダー、具体的には約8時間未満、約6時間未満、約4時間未満、さらには約2時間未満でシリコン内を拡散又は移動することができる金属)が存在するとき、拡散金属がシリコン粒子の表面に達し、酸溶液により捕捉及び/又は除去される時間を確保しておくため、ソーカーフ、及びより詳細にはその中に存在するシリコン粒子は、酸処理の前又はその間のいずれか所定期間適切な温度(具体的には室温)で”時効化”又は維持してもよいことに留意すべきである。
【0031】
これに関連して、さらに、ポリエチレングリコール(PEG)を含有するソーカーフにおいて、水溶性の酸溶液及び水で洗浄することを繰り返すことにより、金属を上記シリコン粒子から除去又は濾過してもよいことに留意すべきである。HFが存在し、基本的に表面酸化物が存在しない場合、シリコン粒子表面は銅によりメッキされるであろう。しかしながら、シリコン粒子の表面上に銅が析出されることが防止されうる。そのため、水溶性の系(すなわちソーカーフ又はスラリー)では、洗浄工程又は濾過工程の少なくとも一つのサイクル又はステップはHFを用いないことが好ましく、好適にはHClを用いる。
【0032】
これに関連して、さらに、別の態様では、キレート剤を単独で使用してもよいし、1以上の水溶性の酸溶液とともに(具体的には連続して)使用してもよいことに留意すべきである。キレート剤は、シリコン粒子表面に拡散することから、金属を捕捉又は隔離するため使用してもよい。基本的に、目的の一の金属又は複数の金属(具体的には、鉄、銅、亜鉛、ニッケル等)を隔離するために効果的であり、接触されることとなる他の成分と相溶性を有するいずれかの既知のキレート剤を使用してもよい。
【0033】
以下図3を参照する。ソーカーフ又は使用済みスラリーが、鉱物油等の有機性の潤滑流体を含むある特定の実施の形態では、上記有機性の潤滑剤において可溶性のキレート剤が加えられる(銅及び/又はニッケル等の金属が、その中に存在するシリコン粒子のバルクから拡散する時間を確保するため、上記ソーカーフは、上記キレート剤を加える前又はその後のいずれかに適切な期間時効化することができる)。適切なキレート剤は、例えば既知のアルドキシムキレート剤(具体的には、5−ノニル−2−ハイドロオキシベンザルドキシム又は”P50”)を含む当該技術分野において一般的に知られたものの中から選択してもよい。これは、例えば銅等を隔離するに効果的であることが知られている。その後、結果として得られるスラリーは、水溶性の酸溶液に接触及び攪拌(具体的には振とう)させてもよい(具体的には、溶液は、約1〜約7未満、約2〜約3のpHを有する。例えば、希釈HCl等)。親水性のシリコン粒子は、結果として得られる混合物の水溶性の相に移動し、上記有機性の相にキレート−金属複合体のバルクが残る。2つの相を分離させるに充分な時間を確保した後、当該技術分野において一般的に知られた従来の方法を用いて収集又は分離してもよい。
【0034】
金属粒子及び/又は酸化物の粒子を除去するため(シリコン粒子のバルク自身の場合も含む)、ソーカーフが最初に処理される手段に拘わらず、シリコン粒子(水溶性の酸溶液による処理後残存する固体粒子混合物、又は潤滑流体が有機性である場合に使用される液体の抽出物に由来する水溶性の相)を含む結果物は、必要であればさらに処理してもよく(具体的には、過剰な水を取り除くため濾過し若しくは乾燥させ又は直接使用してもよく)、それにより、適切に固体が調製され、所望のシリコン粒子が所望の連続固体分離により分離及び回収され(固体分離は、以下本明細書にさらに詳細に記載されている)、同様に適切に研磨粒子が任意に回収される。
【0035】
C.フロス浮選
他の実施の形態では、金属粒子又はコンタミネーション(HCl溶液)及びそこに存在する酸化物粒子又はコンタミネーション(HF溶液)を溶解除去するため、及び/又はシリコン粒子の上又はその中に存在する(具体的には、シリコン粒子のバルクの中に存在する)金属コンタミネーションを除去するため、さらには、上記溶液に溶解されたコンタミネーションからシリコン粒子を効果的に分離するため、ソーカーフに、塩酸(HCl)及びフッ酸(HF)の混合水溶液を接触(具体的にはリンス又は洗浄)させてもよい。特に、当該溶液中において、シリコンは、水素終端しており、そのため疎水性であることに留意すべきである。そのため、HFが存在しつつ、その表面に形成されるガスバルブに引き付けられる。フロスは、形成される揮発性のフッ化物により発生し、シリコン粒子の視覚可能なグレーのシーンが当該フロスの上部又はその近郊に浮遊する。
【0036】
溶液中の各酸の濃度、及び/又は、溶液中の2つの酸の互いに対する比率、及び/又はソーカーフに存在するシリコンの濃度は、上記ソーカーフからのシリコン分離を最大化するため、及び/又は、その中に存在する金属及び/又は酸化物のコンタミネーションの溶解(及びそれによる除去)を最大化するため、当該技術分野において一般的に知られている手段を使用して実験的に最適化してもよい。これに加えて、2つの酸の濃度及び/又は比率を変更して、確実に適切な量の又は充分な量(具体的には、その中に存在するシリコンを効果的に懸濁又は浮選するに充分な量)のフロスが生成される。しかしながら、一般的には、希釈HCl溶液(0.5〜約0.25規定度(N)又は約0.75〜約0.2N、特に約0.1N)の約75〜約125ml、又は約90〜約110ml、特に約100mlが、HF溶液(その中のHF濃度は約40質量%〜約60質量%、又は約45質量%〜約55質量%、特には約49質量%)の約5〜約20ml、又は約8〜約16mlを混合する。その後、一般的には、当該溶液を、固体(具体的には、ソーカーフ材料)約20〜約50グラム、又は約25〜約40グラム、特に約30グラムに塗布又は混合してもよく、それにより、最初の液体+固体の混合物の体積の約5〜約8倍のフロスとなる。
【0037】
以下の実施例に開示されているように、一般的な塩酸及び水の混合物又は溶液は、約1:9(36%HCl:水)の比率を有していてもよく、一方、フロス溶液は、HO、HF(49%溶液)及びHCl(36%溶液)の混合物を約10:3.125:1(具体的には、約250ml:80ml:25ml)の比率で含んでいてもよい。
【0038】
フロスは、一旦形成されると、当該技術分野において一般的に知られた手段(具体的には、濾過又はスキミング)を用いて分離してもよい。本明細書において別のところでさらに詳細に説明しているように、一旦収集されると、後の固体分離のため乾燥させてもよいし又は適切な固体分離技術(具体的には密度による固体分離)に直接供してもよい。
【0039】
3.固体分離
ソーカーフを金属及び/又は酸化物の粒子及びコンタミネーションを除去するために処理した後、シリコン粒子及び研磨粒子(具体的にはシリコンカーバイド粒子)を含む、結果として得られる固体微粒子混合物を、当該技術分野において一般的に知られた手段(例えば、質量(具体的には重量又は密度)又はサイズに基づいて粒子を分離することができる手段を含む)を用いて分離してもよい。当該タイプの分離に適した具体的なデバイスには、市販の、ハイドロ−サイクロンセパレータ又は沈殿遠心分離又は両方が含まれる。別の態様では、以下に本明細書においてさらに説明するように、分離される固体の反磁性の充分な相違(例えば、シリコン粒子とシリコンカーバイド粒子の相違)が与えられる。磁場勾配を粒子に付加してこれらを分離してもよい。
【0040】
これに関連して、金属の及び/又は酸化物の粒子又はコンタミネーションを除去するために処理した後固体を分離してもよく、別のアプローチでは、コンタミネーションにより、許容可能な量のシリコン粒子の研磨粒子からの分離が抑制されないならば、固体粒子を、最初、(上記した)いくつかの形態の分離技術に供されることに留意すべきである。例えば、いくつかの例では、シリコン粒子は、何らかの方法で研磨グリットと結合してもよく、特に存在するシリコンカーバイドと結合してもよい。もしこれらの結合が切断される場合、遠心分離はソーカーフの様々な成分を分離するための許容可能な方法である。これは、シリコン粒子、研磨グリット(具体的には、シリコンカーバイド)、金属及び酸化物の粒子は分離を可能にするために、充分異なる重量又は密度を有するからである(金属及び金属酸化物は、一般的にはシリコン及びシリコンカーバイドより実質的に大きい密度を有する)。中に存在している金属及び/又は酸化物の粒子又はコンタミネーションを除去するため、結果として得られるシリコン粒子は、その後、上述した1以上の技術に供してもよい(又は任意として供してもよい)。
【0041】
A.質量分離
一般的には、例えば、固体微粒子混合物中において遠心分離をすることにより分離される材料は、平均密度約2.33g/cmを有するシリコン、平均密度約3.22g/cmを有するシリコンカーバイドである。付加的には、二酸化ケイ素は、約2.26g/cmの平均密度を有するが、しかしながら、これは概して本明細書において上述した何種類かの酸洗浄又は酸処理により除去されうる。例えば、二酸化ケイ素は、例えば、塩酸溶液において溶解される。
【0042】
任意ではあるが、当該固体の遠心分離を”重液(heavy liquid)”を加えること又は用いることにより助力してもよい。上記適切な液体は、分離されるべき材料に充分近い密度を有するように選択され当該分離において助力する。例えば、このようにシリコン及びシリコンカーバイドを分離する際、当該分離において使用される重液又は流体の密度は、一般的には、約2g/cm〜約3.5g/cmであり、好ましくは、約2.3g/cm〜約3.2g/cmである。
【0043】
これに関連して、重液の遠心分離において使用されうるいくつかの可能性として考えられる適切な流体が存在することに留意すべきである。当該”重液”なる用語は、当該技術分野において一般的に知られている。適切な重液の具体例及びそれらのそれぞれの密度は、ヨードメタン(CHI)、20℃で2.2789g/cm;ジヨードメタン(CH)、20℃で3.325g/cm;ブロモメタン(CHBr)、15℃で2.889g/cm;テトラブロモメタン(CBr)、100℃で2.961g/cm及び20℃で3.420g/cm;ヨウ化水素(HI)、−47℃で2.850g/cm及び−35.36℃で2.797g/cm;臭素(Br)、20℃で3.1028g/cm;フッ化カリウム水和物(KF・2HO)、20℃で2.420g/cm;及び、水溶性の六方晶系タングステン酸(一般的には、20℃で約1〜3g/cmの密度を有する)である。
【0044】
適切な重液に関連する特性及び費用は異なる。例えば、ヨードメタンとジヨードメタンとが混合されたとき、互いにマイクロスケールテストは良好であるが、毒性を有し、突然変異を引き起こしうる。ブロモメタンは、マイクロスケールテストにおいては理想的であるが、しかしながら、毒性を有し、突然変異を引き起こしうる。ヨウ化水素は、上記同様毒性を有するが、しかしながら、シリコン及びシリコンカーバイドの理想的な密度分離を可能とする。臭素は、毒性を有し、その高い蒸気圧のため取り扱いが困難である。さらに、臭素は、知能に関連する健康への影響を引き起こすことが知られている。したがって、適切な重液を選択するに際して、これらの問題が考慮され、適切な重液を選択することは適切で安全な測定を伴う。
【0045】
フッ化カリウム水和物(KF・2HO)は数多くの利点を有する。例えば、比較的ローコストであり、液体状態において遠心分離セパレータを行うことができ、そして、シリコン層をコンテナ(及びその内容物)の冷凍後剥落させることができる。また、混合物は、可能性として、シリコン上のシリコン酸化物をエッチングすることができる。このことは、分離オペレーションにおいて利点となり、固有のシリコン酸化物の薄膜層により結合されるとき、シリコン及びシリコンカーバイドの化学的に結合された凝集体を切断する。(具体的には、H.ノグチ及びS.アダチ、水溶性KF溶液におけるシリコン表面の化学処理効果、アプライド表面科学、246巻、1〜3版、139〜48頁(2005年6月15日)参照)
【0046】
適切な重液としては、一般的には、ヨウ化水素、臭素、ブロモメタン、フッ化カリウム水和物、水溶性のポリタングステン酸が最も実用的な使用の候補である。適切な水溶性ポリタングステン酸には、カリウム、砒素、シリコン、ゲルマニウム、チタニウム、コバルト、鉄、アルミニウム、クロム、ガリウム、テルル、ホウ素、ヨウ素、ニッケル、モリブデン、ベリリウム、プラチナ等からなる群のいずれかにより部分的に置換されうるポリオキシタングステンアルカリ塩が含まれる。好適には、ナトリウムポリタングステン酸(SPT)及びリチウムポリタングステン酸(LPT)が重液として用いられる。
【0047】
重液の使用とは別に又は重液の使用に加えて、シリコンは、任意ではあるが、当該技術分野において一般的に知られた手段により、シラン、より具体的にはSiIに変換してもよい。シランは、クリーンな[ポリ]シリコンの形態で蒸留され、そして再析出又は収集されるが、特に、中で使用又は形成されうる低温のヨウ化水素が、シラン粒子自体及び研磨粒子(具体的には、シリコンカーバイド粒子)により囲まれている範囲内の密度を有する場合、例えばそのようなプロセスのコスト及び/又は複雑性のため、遠心分離プロセスにおいてシラン(具体的にはSiI)の形態を用いることが好ましいであろう。
【0048】
SIに変換することは、可能性として考えられる魅力的なオプションであることに留意すべきである。これは、特に費用効率が高い方法で変換を実行することが可能であるためである。ヨウ素は、シリコン/シリコンカーバイド分離プロセスにおける自然に存在する成分であり、ヨウ素系反応プロセスは容易に利用可能であると当該技術分野において良く知られている。(具体的には、シセックら、ヨウ素化学気相輸送浄化により冶金グレードシリコンから得られた太陽電池グレードシリコン、国際再生可能エネルギーラボラトリー出版、NREL/CP−520−31443(2002年5月)参照)
【0049】
固体分離のために使用されるプロセス条件(具体的には、使用される装置のタイプ、当該装置を介したサイクル又は循環の回数、又は分離プロセスの期間)、及び/又は、使用されるセパレーション補助物(具体的には、重液)のタイプ及び/又は品質を当該技術分野において一般的に知られた(及び/又は以下に与えられた実施例にさらに例示された)技術を用いて実験的に決定してもよいことに留意すべきである。これに加えて又はこれに代えて、上記シリコン粒子の回収を助力するため、結果として得られる遠心分離コンテナの内容物を任意に凍結させてもよいことに留意すべきである。
【0050】
B.磁場勾配による分離
上述したように、シリコン及び例えばシリコンカーバイドは異なる反磁性を有し、これらの反磁性は強い磁場勾配によりシリコン及びシリコンカーバイドを分離するために使用される。磁場勾配は、当該技術分野において一般的に知られた技術及び方法を用いて構成又は設計してもよい。従来、磁気的分離を行うために3つの方法が存在していた。第1の方法には、水が含まれ、第2の方法には、空気が含まれ、第3の方法には、酸素(これは常磁性材料である)が含まれる。酸素分離法において、反磁性材料に対する磁力を高めることができる。(具体的には、磁場中において反磁性材料の浮揚を助力する常磁性流体を参照する特許、欧州特許1181982、米国特許7,008,572及び6,902,065参照)。これらの既知の磁気分離技術を永久磁石の使用と組み合わせて適用することにより、本明細書において目的の粒子を磁気的に分離する費用効率が高い方法を提供しうる。当該永久磁石は、例えば、NdFeBタイプのネオジウム磁石であってもよいし、特に当該永久磁石は、NdFe14Bであってもよい。
【0051】
当該技術分野において一般的に理解されているように、反磁性材料は、HgradHに比例した力により磁場から遠ざけられる。以下図5を参照すると、中央における最大HgradHについて使用される磁場配置が示されている。これは、混合された固体微粒子サンプル(具体的には、シリコンカーバイド粒子)に存在する他の粒子からシリコン粒子を分離するために、本開示にしたがって使用することに適している。当該配置は、第1のポールと第2のポールとの間に約3テスラの不均一な磁場を発生させる。図5に示す磁力線は、空気のコアを囲むトロイダルの断面を示している。図5の配置では、中央を毛細管が通過することが可能であり、粒子は内側に流れ込む。重力と磁力との組み合わせにより、粒子が毛細管のどちらかのサイドに押し付けられるであろう。
【0052】
以下図6を参照する。左から右への磁場のコアにおいてHgradHを計算することが可能である。これは、磁場内の粒子に対する力を計算するために使用されうる。本開示により、狭小領域において、約5・1015/m〜約6・1015/mのHgradHを得ることができることが分かった。流体における球体の終端速度は、
【数1】


により計算される。ここで、
χ水(質量)=−7.194・10−7cm/g(293Kにおいて);
χSi(質量)=−1.112・10−7cm/g;
gは、z方向の重力加速度である;
μ=4π・10−7ニュートン/アンペア
v(r)は、粘度ηの水中におけるz方向における半径rの粒子の終端速度である;
ρは、ρの下付文字により示される材料の密度である(よって、ρ流体は、分離される流体の密度(具体的にはkg/m)である);
zは、重力によって与えられる力の方向である(すなわち、”上”及び”下”の座標である);
Hはアンペア/メートル(A/m)を単位とする磁場である。
【0053】
以下図7及び8を引用する。ここに示されたデータを用いることにより、期待される粒子サイズ範囲について、水中における粒子の終端速度を計算することができる。磁力、液体の粘性ドラッグ、重力、及び広いサイズ分布の組み合わせにより、当該磁気泳動による分離は水中では困難となりうる。しかしながら、もし、粒子が乾燥され懸濁され、空気中に分離されており(互いに結合されているのとは対照的である)、HgradHが2・1016/mまで増加させる場合、粒子の特定の化学的同定に基づいて、分離モーションを生み出すことができる。液体酸素又は液体空気を用いることにより、永久磁石は粒子をサポートすることができる。
【0054】
再度図6を参照し、以下図9を参照する。図9の中央領域は図6の中央を概略的な態様で例示するが、磁気−アルキメデス効果を利用することにより、当該材料は、図5及び6の配置に置かれ、図9に示すように、上部及び下部のチャンバ又は領域が存在するように回転させる。液体空気中の乾燥した粒子のエアロゾルを上部チャンバに供給することにより、シリコン粒子のみが重力の下、下部チャンバまで降下するであろう。ところで、シリコンカーバイド及び二酸化珪素は、上部チャンバに磁気的に分散されたままであろう。当該配置は、磁気フィルターとしても知られている。図10に示すように、基本的に、シリコンのみが、重力によりギャップに押し込まれ、一方、シリコンカーバイド及び二酸化珪素は、上部チャンバに分散されている。図10では、終端速度はmm/分である。
【0055】
永久磁石材料(具体的には酸素)を用いて粒子に対して過剰な力を加えることが可能であることに留意すべきである。ここで、数1においてχ流体(質量)は、χ固体(質量)より大きく反対の符号を有する。
【0056】
図11は、さらに、開示された方法の実際の実施を示している。図11は、傾斜されたチューブ構造体を数メートルの長さだけ拡張させた、図6の磁場配置である。エアロゾルは、下部チャンネルがシリコンビンを供給する一端と、上部チャンネルがソーカーフ廃棄物ビンを供給する他端とに注入される。すなわち、シリコンカーバイド及び二酸化珪素は、上部チャンバから粒子を収集するビンへ供給され、一方、図11に示されているように、下部チャンバから粒子を収集するセパレータビンにシリコン粒子が供給される。図11の装置において、いくつかの例では、例えば40Moe永久磁石では、液体空気が必要とされる。液体空気は、−192.3℃において0.173cPの粘度を有し、0.87g/cmの密度を有し、およそ146・10−6cm/g永久磁石磁化率を有する。液体空気においては、磁気フィルターを形成するために必要とされるHgradHの値は、大きく減少しうる。正確な磁場強度のx軸勾配は、液体空気の混合物については狭くなり、実験的に決定される。
【0057】
また、シリコンカーバイド粒子を分離して下部チャンバへ移すことが可能である。以下図12を参照すると、シリコンカーバイドは、HgradH=0.037・1016/mである場合、磁気フィルターを介して下部チャンバへ下降することが分かった。
【0058】
当該実施の形態(液体空気)では、分離のために必要とされる磁場強度は、14倍減少する。これにより、磁場条件を、現存する永久磁石技術の届く範囲内とすることができる。そのため、混合物の酸素含有量を減少させることは、より強い磁石を要求することになるけれども、磁場強度及び勾配のより広い動作範囲を得ることができるであろう。結果として、困難な仕様で磁場を配置することが困難となる代わりに、液体空気の組成は、特定の一組の磁石について調整することができる。液体空気については、最大HgradHの動作範囲は、約0.034・1016/m〜0.037・1016/mである。液体空気の組成が10.5%O及び89.5%Nである場合、当該動作範囲は、約0.066・1016/m〜0.074・1016/mである。後者の組成は、圧縮された空気が約6.9MPa(1000psi)の酸素分圧を有するとき、同様の磁気−アルキメデス効果を有するであろう。
【0059】
永久磁石では0.25・1016/mのHgradHが達成され、約1.8MPa(265psi)の酸素分圧により分離が可能となることに留意すべきである。
【0060】
本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、ここに記載された磁場/磁気システムの設計は、所定のソーカーフ材料(具体的には、異なる研磨粒子が存在する場合)について、当該技術分野において一般的に知られた本明細書において詳述された手段によって所望のように最適化されうることに留意すべきである。しかしながら、一の実施の形態において、チューブ状の磁気フィルターは、好適には、砂時計状の断面を有し、不均一の磁場は、第1のポールと第2のポールとの間において約3テスラの磁束密度を有する。さらに、磁場勾配におけるシリコンソーカーフ粒子は、加圧ガス、液体又は低温流体により分離してもよい。より好適には、シリコンソーカーフ粒子は、加圧式ガス中に浮遊している。
【0061】
4.付加的なアプリケーション
本明細書において上述された実施の形態に加重して、本明細書は、ソーカーフから研磨粒子を回収するための手段を提供する。一旦収集されると、”使用済み”研磨粒子は、当該技術分野において一般的に知られた手段により”使用済みでない”研磨粒子から分離してもよい(米国特許7,223,344参照。米国特許7,223,344の全内容は関連づけ及び一貫させるため本明細書に引用して援用する)。後者は、別のスラリーにおいて再使用される。
【0062】
付加的に、本明細書は、太陽電池グレードシリコンペレット等の新規なシリコン原材料を調製するための手段を提供する。具体的には、本明細書において開示された様々な実施例を用いて、ソーカーフから回収されたシリコン粒子をさらに処理(具体的には、溶融及び成形)し、当該技術分野において一般的に知られた手段を用いて太陽電池グレードシリコンペレットを形成してもよい。
【0063】
最終的に、本開示は、シリコンインゴットをスライス又はカットするための改良されたプロセスであって、当該プロセスにおいて使用されるスラリーにキレート剤を加えることを含むプロセスを提供する。有機性の潤滑流体において可溶性のキレート剤(具体的には、鉱油潤滑流体と組み合わせるP50)等のキレート剤が存在することにより、ソーカーフ中の金属コンタミネーション(例えばワイヤーソーから導入されるもの)を捕捉又は隔離することができる。このようにして、ソーカーフからシリコン粒子及び/又は研磨粒子及び/又は潤滑流体を回収するために採られる後続のステップを簡略化してもよい。
【0064】
以下の具体例は、本開示の様々な実施の形態を表している。本明細書に記載された発明の明細書又はプラクティスを考慮すると、添付のクレームの範囲内における他の実施の形態は当業者にとって明らかであろう。実施例とともに、本明細書は、例示であるとのみみなされ本発明の範囲及び精神は、実施例に続くクレームにより示されることに留意すべきである。
【実施例】
【0065】
本開示をさらに説明するため、以下の非限定的な具体例を提供する。
【0066】
実施例1:具体的なSi粒子分離
実用されている重液としてSPTを使用して、およそ3グラムのシリコンをポリエチレングリコール(PEG)の懸濁ソースラリー190グラムから調製した。PEGを水による洗浄と真空濾過とを繰り返すことにより除去した。除去されるとき、バルク液体の材料は、硬い泥に似ており、水に混合する際再懸濁されうる。
【0067】
0.1規定度のHClによる洗浄と真空濾過とを繰り返すことにより上記混合物から金属を除去した。HClは、銅が除去されるようにHF無しで当該工程において使用した。HF存在下では、銅及びニッケルはシリコン表面にメッキされる傾向があるからである。
【0068】
次のステップは、洗浄された固体をHF:HClで処理することを含む。これは、粒子を再懸濁させ、大量のバスバブルを発生させ、浮選フロスを生成した。灰色の滑らかなシリコンが、フロスの上面において観測され、一方、フロスの下の液体が、ブラウンであり、シリコンカーバイドの一部を含んでいた。
【0069】
これに関連して、特定の理論に拘泥されることなく、ワイヤーソーからの金属が、固体の混合物に存在するシリコンとカーバイドとの間において結合を形成するように作用したと考えられる。酸で固体混合物を処理することは、シリコンカーバイドからシリコンを分離するように作用する。分離後流体のpHがおよそ7となるまで当該材料を水で洗浄し真空濾過した。
【0070】
その後、結果として得られた湿った泥状混合物を重液(この例ではSPT)に再懸濁させ、およそ70分間およそ17,000gで遠心分離させた。遠心分離の間、ビンの上部は、シリコンが増加した。ビンに投入する固体を約5体積%に制限し、軽い粒子に重たい粒子を衝突させること及びシリコンを下降させることを抑制した。
【0071】
収集されたシリコンリッチ材料を、その後、クリーンな機械的分離で2回捕捉し遠心分離した。その後、シリコンを遠心分離フィルターにおいて収集し、懸濁されたSPTを多く除去した。
【0072】
この例において、SPTは、水で、密度約2.6g/cm、粘度約10cPまで希釈した。これは、シリコンとシリコンカーバイドとの間の中間密度を示しており、同じサイズの粒子を分析的に分離するための理想的な密度であると考えられる。その後粒子のサイズ分布をなし、基本的に、100nmより小さい粒子を示さないことが分かった。粒子サイズ測定により、約99%のシリコン粒子は、約500nmより大きいこと;すなわち、SPT液体の最適密度及び粘度が、500nmシリコン粒子から100nmシリコンカーバイドを分離するために調整されうることを示している。
【0073】
図13は、当該実験においてシリコン及びシリコンカーバイド粒子について使用される異なるサイズカットオフ、及び、分離に必要とされる最小密度により決定された、SPTのための最適密度を示している(最適密度は丸で囲まれている)。図14は、さらに、シリコン及びシリコンカーバイド粒子の対称沈殿速度と比較して、SPTについての密度の実際範囲及び最小分離密度を開示している。
【0074】
他の試験では、約0.1ml〜約0.3mlの水で多結晶シリコンダストをリンスした。その後、当該材料を各回約4000gを用いて5回遠心分離した。これにより、充填された固体及びそこに存在するフィルター膜を介して水を通す。(これに関連して、ここでは5つの遠心分離パスが計算されるけれども、専用の自動化され最適化され最適化されたシステム内において使用してもよい。)
【0075】
HCl溶液(およそ0.1N)をその後遠心分離された材料(約0.1ml〜約0.3ml)をリンスするために使用し、再度各回およそ4,000gを用いて5回遠心分離した。その後、シリコンダストの全部が被覆されるように、ビンを再びHCl溶液で充填した。その後、(以下の実施例においてさらに詳述しているように、バルクの金属コンタミネーションを除去することを助力するため)24時間時効化した。
【0076】
時効化後、シリコンソーカーフ廃棄材料(ここではポリシリコンダスト)を約0.1ml〜約0.3mlの水でリンスし、再度、各回4,000gで5回遠心分離した。その後、結果として得られたシリコン固体を約40℃で約12時間乾燥させた。
【0077】
実施例2−バルク金属のコンタミネーション
上述のように、いくつかの金属コンタミネーションを商業的に妥当な期間内にシリコン粒子から外方拡散させてもよい。以下の拡散等式級数解法を用いることにより、粒子からのバルク金属外方拡散を計算することができる。当該モデルは、均一にバルク汚染された球である。ここで、銅/ニッケルは、境界においてゼロとされる。
【数2】


ここで、uは、過渡電流であり、uはコンタミネーションの初期濃度であり、Dは拡散係数であり、aは粒子の半径であり、rは特定の粒子の半径であり、nは合計級数における整数であり、tは時間である。関数u(r、t)は、正常に動作し、球状の粒子における材料の全量はいつでもrについての各項の整数により決定することができる。
【数3】


数3は、任意の所定の時間tにおける球の金属含有物の半径に関する積分を表している。そのため、もし数2が、u(r、t)について数3に組み込まれた場合、微積分の通常の手法によって数4になる。
【数4】

【0078】
これらの等式において、a=1、かつD=1のとき、時間に依存する材料の外方拡散により、図15A及び15Bにおいて開示された結果が生じる。
【0079】
分離された第1サンプルにおいて、銅のバルク含有量は47ppmaであり、ニッケルのバルク含有量は0.21ppmaであった。太陽電池グレードインゴットと対照的に、チョクラルスキーシリコンインゴットに対して実験を行った場合、バルクの銅は約47,000倍減少し、バルクのニッケルは約105倍減少した。
【0080】
20℃における10オーム−cmシリコンにおける銅については、拡散係数は364μm/分である。P(++)シリコンについて、銅の拡散係数は、0.371μm/分である。20℃ではP(−)シリコンにおいて、ニッケル拡散係数は、0.427μm/分である。以下の表3は、20℃において、7μmの酸化物終端されたシリコン粒子について、バルク金属の外方拡散時間を計算したものを開示している。
【表3】

【0081】
室温において数時間待機することにより、バルクニッケル及びバルク銅が酸化物被覆粒子の表面にメッキされるであろう。
【0082】
実施例3−フロス浮選
フロス浮選を用いてシリコン粒子の初期分離及び富化のための手続を手動で実行し、セパレーションシステムに基づく遠心分離に要求される質量−負荷を実質的に低減した。当該実施例において、ソーカーフ粒子47.0818グラムを処理し、シリコン富化フロスを生成させた(ソーカーフは、表1に示され分析されたものと異なるバッチからのものである)。リンス及び脱水のため、0.45μmのPVDFフィルターにより、液体の容積250mlの真空濾過を用いた。
【0083】
ここで、工程の以下のシーケンスを用いた:
(1)廃棄物を250mlHOで2回リンスした;
(2)36%HCl:HOが1:9の1,000mlの溶液でリンスした;
(3)汚泥に流され、手動でPTFEビーカに回収する;
(4)結果として得られた汚泥に、フロス溶液:HO:49%HF:36%HClが250ml:80ml:25mlを加える;
(5)当該フロスを発生させ7時間に亘ってすくい上げて他のビーカに移す;
(6)捕捉したフロスを、1,800ml:200mlのHO:36%HClを用いて真空濾過においてリンスする;
(7)真空フィルターにおいて1,000mlのHOでリンスされたフロスを捕捉する;
(8)回収されたペーストを乾燥させ秤量する;
(9)ガス発生が止まるまで、ペーストをエッチングして、4:3:1のHO:49%HF:70%HNOを用いてシリコンを除去する;
(10)現存する材料を乾燥させ秤量する。
【0084】
回収された乾燥フロスは、0.3085グラムのシリコンカーバイド及び0.3295グラムのシリコンを含んでいた。回収されたシリコンは、約0.011*47.0818(表1参照)又は約0.52グラムであると予期された。当該サンプルにおけるフロスが、予期されるより多くのシリコンを含むため、シリコンはシリコンカーバイドから雑把に分離される。0.3295/0.52*100は約63%の効率に相当し、(0.3295/(0.3295+0.3085))/0.02のオーダーについての富化係数は約26に相当する。
【0085】
実施例4−SEMイメージ
SEMイメージ及びサイズ分布についてシリコン粒子のサンプルを0.45μmのポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜フィルター上で収集し、その後酸洗浄した。結果として得られた粒子は形状が不規則であり脆性破壊により切断された外見を示している(図16A及び16B参照)。
【0086】
図16A及び16Bは、ソーカーフ混合物から分離されたシリコンソーカーフ粒子のイメージを示している。断面領域について125シリコン粒子の全部を測定した。断面領域を算出する個々に区別可能な粒子及び同じ断面積の相当球直径を追跡することによりイメージを分析した。結果として得られるサイズ分布をPSS780アキュサイザー粒子サイズ分析装置により実施例1及び2において収集されたデータと比較した。
【0087】
実施例5−バルク金属消化(第1の試行)
SEM分析を用いる際、PVDF膜フィルターに捕捉された材料には、タングステンが含まれていないことが分かった。しかしながら、フッ素が可能性として存在するため、表示されうる鉄シグナルはマスクされている。結果として、シリコン粒子の中で、(仮に存在する場合に)バルク金属コンタミネーションの量を決定するため、4つの異なるシリコン粒子のEDXスペクトルを受信した。
【0088】
図17A〜17Dは、実験された4つの異なるシリコン粒子についてのEDXスペクトルの結果を示している。鉄及びフッ化物のシグナルは区別することが困難であることが分かった。図17A〜17Dにおけるフッ化物と炭素のシグナルは、シリコン粒子を捕捉するために使用されるPVDFフィルターに由来する。
【0089】
当該結果の初期分析により、粒子が完全には金属フリーではないことが示された。しかしながら、さらなる試験により、シリコンソーカーフ粒子の純度を、濾過及びリンスを増加させることにより改善することができることが明らかとなった。表4は、第1セパレーション試行による14mgシリコン粒子についてのバルク金属消化のデータを示している。使用される技術におけるホウ素及びリンの揮発性のため、ホウ素及びリンの測定は相関しないであろう。
【表4】

【0090】
実施例6−ポリシリコンペレット
ポリシリコンペレットを調製するため、浄化されたシリコンをソーカーフ粒子から分離し、シリカ坩堝に投入し、溶融させてペレットとした。乾燥させた多結晶シリコンダストは、脆弱なペレットを形成するため、結合することが可能である。しかしながら、乾燥後、収縮のため、多結晶シリコンダストは、遠心分離フィルターのポリプロピレン壁部に対して弱く結合している。遠心分離濾過ビンは、100nmのPVDFフィルター膜及び8mmのビン外径を有する。
【0091】
その後、ペレットを約5.7K/分より大きい速度で溶融物から冷却し、その後、銅の析出を抑制するため、1,000:25の比率で49%HF及び36%HClでシリカをエッチングすることにより坩堝から放出した。結果として得られた表面は粗く約3μmの長さのテクスチャーを有する。表面の内側は、光学顕微鏡の観測下均一である。
【0092】
ペレットから離脱した(坩堝から除去された)約20mgのフレークを49%HF及び70%HNOの1:1混合物にさらした。シリコンは完全に溶解し残留物が観察されなかった。そのような結果は、シリコンカーバイドコンタミネーションが、全体量において現われないことを示している。
【0093】
ペレットを坩堝から除去した後、脱イオン水と36%HClの1,000:25溶液で急冷した。その後、上記表面上においてクリーンな保護酸化物を成長させるため、30%H及び36%HClの1,000:25溶液に浸漬した。
【0094】
結果として得られた多結晶はボイドで満たされ、円柱状タイプの内部構造を有していた。多結晶において、充分な内部機械的応力が存在した。これは、持つと壊れた。図18A〜18Dは、シリコンペレットの分離されたフレークのノルマルスキー顕微鏡イメージを示しており、外部表面及び内部表面を示している。
【0095】
実施例7−バルク金属消化(第2の試行)
当該実施例において、164mgの多結晶をHF:HNOにおいて消化した。回収されたシリコン粉末の付加的な酸洗浄の結果、バルク金属の含有量は第1の試行から改善された(表4と表5とを比較のこと)。
【表5】

【0096】
酸消化のために使用される多結晶の配置は選択的でないため、溶融による金属偏析効果はそれ程大きくないであろう。消化流体を2時間21,000gで遠心分離し、そして、その結果を表5に示す。作製された乾燥含有物は、8.41mg(質量分率0.0513)で測定した(緑色のシリコンカーバイド)。2つの遠心分離パスを実行する前、シリコンカーバイドの開始時の重量分率は0.979である。各遠心分離パスは、フィルターになりうる可能性があり、分率Cfカーバイドは各パスに残存する。遠心分離パス当たりの浄化効率Cfの決定は、代数方程式によりなされる。
【0097】
浄化の前において、固体の全質量は、Wであり、シリコンの質量はWSiであり、カーバイドはWSiCである。以前に開示された計算に基づく当該サンプルそれぞれに対する固体の比率は、WSi/WSiC=0.0216である。炭素のモル分率、及びシリコンカーバイドのモル分率faは同じである。そのため、浄化の前では、以下の条件が存在する:
【数5】


当該表記における上付き文字は、パワーではなく指数を示していることに留意すべきである。
【0098】
各遠心分離工程後、およそ全てのシリコンが保持され、カーバイドの小さな分率Cfのみが残る。n回の遠心分離工程後、以下の関係が示される:
【数6】


ここで、Wは、n回の遠心分離パス後の全質量であり、数式(Cf)におけるnは指数ではなくパワーである。faは、混合物におけるカーバイドのモル分率である。
【0099】
2回の遠心分離パス後、0.163gのシリコン及び0.00841gのカーバイドが残存し分析のため採取された。そのため、固体の開始時の量は、0.163/0.0216=7.593グラム固体であった。開始時の材料比率に基づいて、7.593*0.0216=0.663グラムシリコン及び(1−0.0216)*7.593=7.429グラムカーバイドである。
【0100】
結果として以下のようになる:
【数7】


しかしながら、炭素含有量を多結晶についてのSEMI標準レベルまで減少させるために必要とされる遠心分離パスの回数を決定するために、以前から開発されてきた関係を用いることが可能である。SEMI標準M6−1000により、単結晶太陽電池では10ppma以下のカーボン含有量が要求され、多結晶太陽電池では20ppma以下のカーボン含有量が要求されることが示されている。実験において使用されるソーカーフのサンプルを用いて、特定のリミット未満にカーボンを(カーバイドとして)除去することが要求されるn回の遠心分離パスの数を計算するための以下の関係式が存在する。
【数8】

【0101】
単結晶太陽電池については、SEMIスペックレベル(10ppma)に達するために、n=4.41掛かる。少なくとも5回の遠心分離パスは、カーバイドを許容可能なレベルまで低下させるのに必要とされる。
【0102】
SPT液体を当該コンセプトのプルーフのために使用した。SPTは、毒性が低く、室温において流動性が低いという利点を有する。しかしながら、グロスメタリックコンタミネーションは、特にタングステンに関連する問題である。塩−水和物KF・2HOは、本開示のための適切な密度、SiOに結合された粒子を攻撃するというさらなる利点、より低いコストを有する。熱的要件にもかかわらず、好適には、KF・2HOは、遠心分離のための好ましい流体である。しかしながら、使用に適した粘度を得るために高温が要求される。
【0103】
上記に鑑み、本開示のいくつかの利点は達成され、他の好ましい結果が得られることが分かるであろう。本明細書の範囲を逸脱しない限り、上記プロセス及び組成において様々に変更することができるため、上記明細書に含まれ添付の図面に示された全ての事項は、例示であり、限定するものではないと解釈されるべきである。
【0104】
本明細書又は様々なバージョン、実施の形態又は態様の構成要素を導入する際、冠詞”a”、”an”、”the”及び”said”は、1以上の構成要素が存在することを意味する。”comprising(含有する)”、”including(含む)”及び”having(有する)”なる用語は、包括的であり、列挙された構成要素以外の付加的な構成要素が存在しうることを意味する。特定の方向を示す用語(具体的には、”上部”、”下部”、”側面”等)の使用は、記載の便宜のためであり、記載された事項の特定の方向を要求するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンインゴットからシリコンウェハをスライスすることに由来するシリコンソーカーフからシリコン粒子を分離回収する方法であって、
上記ソーカーフは、研磨粒子、シリコン粒子、金属粒子、及び酸化物粒子を含む固体微粒子混合物と潤滑流体とを含み、
当該方法は、
上記固体微粒子混合物から上記潤滑流体の少なくとも一部を分離する工程と、
(i)上記シリコン粒子は実質的に溶解せず(ii)上記金属粒子及び酸化物粒子は溶解する酸性の溶液により上記固体微粒子混合物を洗浄し上記金属粒子及び酸化物粒子を上記固体微粒子混合物から溶解させる工程と;
シリコン粒子及び研磨粒子を含む上記洗浄された固体微粒子混合物を収集する工程と;
上記洗浄された固体微粒子混合物中の研磨粒子から上記シリコン粒子を分離する工程と、を備え、
上記分離されたシリコン粒子は、約50ppma未満の炭素含有量を有し、約150ppma未満の金属コンタミネーション含有量を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
上記研磨粒子は、シリコンカーバイドである請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記の固体微粒子混合物を洗浄する工程には、固体微粒子混合物とともに浮選フロスを生成することができる酸溶液を上記固体微粒子混合物に接触させることが含まれ、
上記フロスは、シリコン粒子及び研磨粒子を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記酸性の浮選フロスは、フッ化水素及び塩酸を含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
上記シリコン粒子は、上記フロスを密度−依存性分離技術に供することにより、上記フロスから回収される請求項3記載の方法。
【請求項6】
上記の密度−依存性分離技術が、沈殿物遠心分離、濾過遠心分離、ハイドロ−サイクロンセパレーションから選択される請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記の密度−依存性分離の前に、中に存在するシリコンの少なくとも一部をSiIに変換するため、上記シリコン粒子をヨウ素源に接触させる請求項6記載の方法。
【請求項8】
上記の密度−依存性分離の前に、上記シリコン粒子を、約2.25〜約3.35gm/cmの密度を有する液体に接触させ、中に存在するシリコン及び研磨粒子の分離において助力する請求項6記載の方法。
【請求項9】
上記シリコン粒子を水溶性の六方晶系ポリタングステン酸溶液に接触させる請求項8記載の方法。
【請求項10】
上記洗浄された微粒子混合物において研磨粒子からシリコン粒子を分離する前に、上記フロスを乾燥させる請求項3記載の方法。
【請求項11】
上記乾燥されたフロスを不均一な磁場に供することにより、上記シリコン粒子を上記乾燥されたフロスから回収する請求項10記載の方法。
【請求項12】
さらに、
上記磁石の第1ポールと第2ポールとの間に不均一磁場を発生させる工程と、
上記乾燥されたシリコンフロスをエアロゾル化する工程と、
シリコン粒子を中に存在する研磨粒子から分離するため、上記エアロゾルを不均一磁場に供給する工程と、を備える請求項11記載の方法。
【請求項13】
上記固体微粒子混合物から金属粒子及び酸化物粒子を溶解させるため、上記固体微粒子混合物を酸溶液で洗浄する工程には、上記固体微粒子混合物を別々に(i)水溶性のフッ化水素溶液、及び(ii)水溶性の塩酸溶液に接触させることが含まれる請求項1記載の方法。
【請求項14】
シリコンが上記固体微粒子混合物に存在する場合に、濃度に比して約2〜約4規定度当量の(i)水溶性のフッ酸溶液、及び(ii)水溶性の塩酸溶液にそれぞれ上記固体微粒子混合物を接触させる請求項13記載の方法。
【請求項15】
上記の洗浄された固体微粒子混合物を密度−依存性分離技術に供して上記研磨粒子から上記シリコン粒子を分離する請求項13記載の方法。
【請求項16】
上記密度−依存性分離技術は、沈殿遠心分離、濾過遠心分離及びハイドロサイクロンセパレーションから選択される請求項15記載の方法。
【請求項17】
上記の密度−依存性分離の前に、上記シリコン粒子をヨウ素源に接触させ中に存在するシリコンの少なくとも一部をSiIに変換する請求項16記載の方法。
【請求項18】
上記の密度−依存性分離の前に、上記シリコン粒子を約2.25〜約3.35gm/cmの密度を有する液体に接触させ中に存在するシリコン及び研磨粒子の分離を助力する請求項16記載の方法。
【請求項19】
上記シリコン粒子を水溶性の六方晶系タングステン酸溶液に接触させる請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記の洗浄された固体微粒子混合物を、中に存在する上記研磨粒子からシリコン粒子を分離する前に乾燥させる請求項13記載の方法。
【請求項21】
上記乾燥させた混合物を不均一磁場に供することにより、上記シリコン粒子を、上記乾燥させた固体微粒子混合物中の上記研磨粒子から分離する請求項20記載の方法。
【請求項22】
さらに、
上記磁石の第1ポールと第2ポールとの間に不均一磁場を発生させる工程と、
上記の乾燥させた固体微粒子混合物をエアロゾル化する工程と、
上記エアロゾルを上記不均一磁場に供して中に存在する研磨粒子からシリコン粒子を分離する工程と、を備える請求項21記載の方法。
【請求項23】
シリコンインゴットからシリコンウェハをスライスすることに由来するシリコンソーカーフからシリコン粒子を分離回収する方法であって、
上記ソーカーフは、研磨粒子、シリコン粒子、金属粒子及び酸化物粒子を含む固体微粒子混合物、並びに有機性の潤滑流体を含み、
当該方法は、
有機性の潤滑流体に可溶なキレート剤を上記ソーカーフに接触させ、上記ソーカーフに存在する1以上の金属により複合体を生成させる工程と;
上記キレートされたソーカーフ溶液に水溶性の酸溶液を接触させ、上記混合物を、シリコン粒子を含む水溶性の相、及び、キレート剤と金属との間で形成された複合体を含む有機性の相に分離する工程と;
上記シリコン粒子を含む水溶性の相を収集する工程と;
上記水溶性の相から少なくともシリコン粒子の一部を回収する工程と、を備え、
上記回収されたシリコン粒子は、約50ppma未満の含有量の炭素を有し、約150ppma未満の含有量の金属コンタミネーションを有することを特徴とする方法。
【請求項24】
上記水溶性の相は、上記シリコン粒子及び上記研磨粒子を含み、
さらに、上記水溶性の相は、密度−依存性分離技術に供され、上記研磨粒子から上記シリコン粒子を分離する請求項23記載の方法。
【請求項25】
上記密度−依存性分離技術は、沈殿遠心分離、濾過遠心分離、及びハイドロサイクロンセパレーションから選択される請求項24記載の方法。
【請求項26】
上記密度−依存性分離の前に、上記シリコン粒子をヨウ素源と接触させ、中に存在するシリコンの少なくとも一部をSiIに変換する請求項25記載の方法。
【請求項27】
上記密度−依存性分離の前に、上記シリコン粒子を約2.25〜約3.35gm/cmの密度を有する液体に接触させ中に存在するシリコン及び研磨粒子の分離を助力する請求項26記載の方法。
【請求項28】
上記シリコン粒子を水溶性の六方晶系タングステン酸溶液に接触させる請求項27記載の方法。
【請求項29】
上記シリコン粒子を中に存在する研磨粒子から分離する前に、上記収集された水溶性の相を乾燥させる請求項23記載の方法。
【請求項30】
上記の乾燥させた混合物を不均一の磁場に供することにより、上記シリコン粒子を乾燥後上記研磨粒子から分離する請求項29記載の方法。
【請求項31】
さらに、
上記磁石の第1ポールと第2ポールとの間に不均一磁場を発生させる工程と、
上記乾燥させた固体微粒子混合物をエアロゾル化する工程と、
上記エアロゾルを上記不均一磁場に供して中に存在する研磨粒子からシリコン粒子を分離する工程と、を備える請求項30記載の方法。
【請求項32】
上記キレート剤がアルドキシムである請求項23記載の方法。
【請求項33】
シリコンインゴットをスライスする方法であって、
上記シリコンインゴットの表面に、往復運動ワイヤーソー、及び、有機性の潤滑流体、研磨微粒子、及び上記有機性の潤滑流体に可溶な金属キレート剤を含むスラリーを接触させる工程を含む方法。
【請求項34】
上記有機性潤滑流体は、鉱油である請求項33記載の方法。
【請求項35】
上記キレート剤は、アルドキシムである請求項34記載の方法。
【請求項36】
シリコンインゴットからシリコンウェハをスライスすることに由来するシリコンソーカーフから太陽電池グレードのシリコンを調製する方法であって、
上記ソーカーフは、研磨粒子、シリコン粒子、金属粒子、及び酸化物粒子を含む固体微粒子混合物と有機性の潤滑流体とを含み、
当該方法は、以下の方法(A)又は(B)の一方により、上記ソーカーフからシリコン粒子を分離回収することを含む方法:
(A)
(i)上記固体微粒子混合物から上記潤滑流体の少なくとも一部を分離する工程と、
(ii)上記シリコン粒子は実質的に溶解せず、上記金属粒子及び酸化物粒子は溶解する酸性溶液で上記固体微粒子混合物を洗浄し上記金属粒子及び酸化物粒子を上記固体微粒子混合物から溶解させる工程と;
(iii)シリコン粒子及び研磨粒子を含む上記洗浄された固体微粒子混合物を収集する工程と;
(iv)上記洗浄された固体微粒子混合物中の研磨粒子から上記シリコン粒子を分離する工程と、を備え、上記分離されたシリコン粒子は、約50ppma未満の炭素含有量を有し、約150ppma未満の金属コンタミネーション含有量を有する方法;又は
(B)
(i)上記ソーカーフに存在する1以上の金属により複合体を形成するため、有機性の潤滑流体に可溶なキレート剤を上記ソーカーフに接触させる工程と;
(ii)上記キレートされたソーカーフ溶液に水溶性の酸溶液を接触させ、上記混合物を、シリコン粒子を含む水溶性の相、及び、キレート剤と金属との間で形成された複合体を含む有機性の相に分離する工程と;
(iii)上記シリコン粒子を含む水溶性の相を収集する工程と;
(iv)上記水溶性の相から少なくともシリコン粒子の一部を回収する工程と、を備え、上記回収されたシリコン粒子は、約50ppma未満の含有量の炭素を有し、約150ppma未満の含有量の金属コンタミネーションを有し、
当該方法は、さらに、
上記分離回収されたシリコン粒子を溶融させる工程と、
上記溶融されたシリコン粒子からシリコンペレットを形成する工程と、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【公表番号】特表2012−514349(P2012−514349A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544566(P2011−544566)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/069616
【国際公開番号】WO2010/078274
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511071083)エムイーエムシー・シンガポール・プライベイト・リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】MEMC SINGAPORE PTE. LTD.
【Fターム(参考)】