ダブルクラッドファイバーの光除去方法および光除去装置
【課題】長期的に高い信頼性を有する、ダブルクラッドファイバー(DCF)のの光除去方法、および、光除去装置を提供する。
【解決手段】DCF(1)のアウタークラッド部を除去し、インナークラッドを露出させたインナークラッド露出部(7)を、無機材料により構成される2枚の光学基板(6A,6B)で挟むように構成する。除去したアウタークラッドの屈折率n4と、光学基板(6A,6B)の屈折率n6との間にはn6>n4の関係を有するようにする。DCF(1)の使用状態において、DCF(1)のインナークラッドを伝播してきた光は、インナークラッド露出部(7)と光学基板(6A,6B)との接触部から、光学基板(6A,6B)内に、第二の光の伝播方向に見て不均一に放射される。
【解決手段】DCF(1)のアウタークラッド部を除去し、インナークラッドを露出させたインナークラッド露出部(7)を、無機材料により構成される2枚の光学基板(6A,6B)で挟むように構成する。除去したアウタークラッドの屈折率n4と、光学基板(6A,6B)の屈折率n6との間にはn6>n4の関係を有するようにする。DCF(1)の使用状態において、DCF(1)のインナークラッドを伝播してきた光は、インナークラッド露出部(7)と光学基板(6A,6B)との接触部から、光学基板(6A,6B)内に、第二の光の伝播方向に見て不均一に放射される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高出力なファイバーレーザやファイバー光増幅器などの光ファイバーシステムに関し、特にダブルクラッドファイバーのインナークラッド伝播光をダブルクラッドファイバー外に取り出す光除去方法および光除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高出力なファイバーレーザやファイバー光増幅器として、少なくとも、増幅媒質が添加された増幅ファイバー、増幅媒質を励起するための励起光源、および、励起光源からの励起光を増幅ファイバーに入力するためのコンバイナーを含んで構成される光ファイバーシステムが、通常使用されている。
【0003】
この光ファイバーシステムの増幅ファイバーとして、一般的には、ダブルクラッドファイバー(以下、DCFともいう)が使用される。DCFは、増幅媒質が添加されたコア部と、コア部の外周を被覆するインナークラッド部と、インナークラッド部の外周を被覆するアウタークラッド部とを含んで構成される。使用状態において、インナークラッド部は信号光をその内側に閉じ込め伝播させる。また、アウタークラッド部は、励起光をその内側に閉じ込め、コア部およびインナークラッド部に励起光を伝播させる。励起光は、コア部を伝播する際に、増幅媒質に吸収され、信号光に利得を与える。
【0004】
増幅ファイバーには、通常、信号光および励起光を入出力するために、増幅媒質の添加されていないデリバリーファイバーが接続される。デリバリーファイバーも、増幅ファイバーと同様に、コア部とインナークラッド部とアウタークラッド部とからなり、増幅ファイバーと同様な断面形状と、光ファイバーの開口数(以下,NAという)とを有し、信号光はコア部を、励起光はコア部およびインナークラッド部を伝播可能に構成されている。
【0005】
前述のコンバイナー等の部品は、通常このデリバリーファイバーに取り付けられる。信号光はコンバイナーからデリバリーファイバーのコア部を介して、増幅ファイバーのコア部に入力される。また、励起光は、コンバイナーからデリバリーファイバーのコア部およびインナークラッド部を介して、増幅ファイバーのコア部およびインナークラッド部に入力される。
【0006】
一方、励起光は、増幅媒質に吸収されるため、増幅ファイバー内を減衰しながら伝播する。通常は、励起光が増幅ファイバーでほぼ全て吸収されることは無く、少なくとも、入力された励起光の約10%は増幅ファイバーを透過する。例えば、1kWの励起光が入力された場合は、出力される励起光は、少なくとも、100Wとなる。また、ある用途では、強い励起密度を増幅ファイバー内で維持させる必要がある。この場合には、入力された励起光が増幅ファイバーで吸収される比率を低くさせるように、光ファイバーシステムを構成する。従って、増幅ファイバーの出力側まで大きな光強度の非吸収励起光が伝播する。
【0007】
このようにしてコア部およびインナークラッド部を伝播した励起光が、不必要な光となり、増幅ファイバーから信号光とともに出射することにより、種々の好ましくない現象が発生する。例えば、出力側のデリバリーファイバーから自由空間へ信号光を取り出すために設けられた光コネクタにより、励起光の散乱光が発生しコネクタを破損させたり、増幅光ファイバーを光源方向へ伝播する反射光が発生して、励起光源や信号光の光源を破損させたりする虞がある。
【0008】
また、励起光以外にも、増幅媒質の励起光吸収により発生する増幅自然放射光(以下、ASE光と呼ぶ)、または、コア部から漏洩した信号光等の不必要な光もインナークラッド部を伝播する。これらの不必要な光によっても、上述の励起光の場合と同様な種々の好ましくない現象が発生する虞がある。
【0009】
そこで、DCFのインナークラッド部を伝播する光を、コア部を伝播する信号光に損失などの影響を与えることなく、DCF外に除去することが必要であり、そのための方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0010】
図12は、従来技術における、インナークラッド部から光を除去する光除去装置101の概略構成図であり、図12(a)はその従断面図を示し、図12(b)はその横断面図を示している。図12(a)に示すように、DCF102の一部のアウタークラッド部が、インナークラッド部を露出させるように除去され、インナークラッド露出部103を形成している。このインナークラッド露出部103は、図12(b)に示すように、外周を高屈折率の光学硬化樹脂104で覆われ、この光学硬化樹脂104とともに、金属パッケージ105に収められている。なお、光除去装置101は、インナークラッド露出部103を金属パッケージ105内に収め、この金属パッケージ105内に光学硬化樹脂104を注入して形成される。光学硬化樹脂104は、硬化する際に、金属パッケージ105およびインナークラッド露出部103とも接着する。
【0011】
上記のような構成により、図12(a)の左側からDCF102のコア部およびインナークラッド部を伝播してきた励起光等の光は、光除去装置101のインナークラッド露出部103において、該光を閉じ込めていたアウタークラッド部が除去されているため、光学硬化樹脂104に一部または全部が取り出される。このインナークラッド露出部103における、単位長さ当りの光の除去率は、光学硬化樹脂104とDCF102のインナークラッド部の屈折率差によって決定される。
【0012】
光学硬化樹脂104に取り出された光は、金属パッケージ105で反射する際に、その一部が金属パッケージ105に吸収され熱へと変換される。光学硬化樹脂104内の光は、金属パッケージ105と多重反射することにより消滅する。また、金属パッケージ105で発生した熱は、図示されていないヒートシンクへと伝熱して放熱される。また、光の入射側でより強度が強いことから、従来技術では、高屈折率樹脂である光学硬化樹脂104として、光の伝播方向に沿って異なる屈折率の光学硬化樹脂を複数用い、光の取り出し率を変えて、金属パッケージ105での熱の発生を均一化し、局所的な温度上昇が生じないようにしている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Proc.SPIE 6873,687327(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、ガラスを主成分とする光ファイバーと比べると、光学硬化樹脂は熱に弱く、損傷を受けやすい。従来技術のように光学硬化樹脂を、クラッドからの光を除去するために使用するには、光学硬化樹脂およびこれと伝熱関係にある金属パッケージの温度が上がり過ぎないように、さらに冷却することが必要となる。また、光学硬化樹脂は、光照射や温度上昇によって、屈折率や光の吸収率などの性質が経時的に変化し易い。光学硬化樹脂の性質が変化すると、温度上昇による光ファイバの破損などの問題がより発生し易くなる。すなわち、光学硬化樹脂を使用すると、長期的な信頼性が得難いという問題点がある。さらに、インナークラッドの外周を高屈折率の光学硬化樹脂で覆うと、光ファイバーの光の伝播方向に見て均一に放射が発生し、特に光の入射側の端部で大きな光の取り出しによる局所的な過熱が起こりやすく、上述のような光学硬化樹脂の破損や性質の変化を招きやすい。
【0015】
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、長期的に高い信頼性を有する、ダブルクラッドファイバーの光除去方法および光除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する請求項1に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法の発明は、
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記第二の光を当該第二の光の伝播方向に見て、不均一に放射させて除去することを特徴とするものである。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、該露出させたインナークラッドの少なくとも一部分に、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し前記第二の光に対して略透明な無機材料を、前記第二の光の伝播方向に見て不均一に接触させて、前記第二の光を、前記無機材料を通して不均一に放射させて除去することを特徴とするものである。
【0018】
上記目的を達成する請求項3に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法の発明は、
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記アウタークラッドを、該アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な無機材料として、該無機材料を通して前記第二の光を除去することを特徴とするものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、該露出させたインナークラッドの少なくとも一部分に前記無機材料を接触させて、前記第二の光を、前記無機材料を通して除去することを特徴とするものである。
【0020】
上記目的を達成する請求項5に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法の発明は、
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記インナークラッドからの前記第二の光を、前記アウタークラッドより高い屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な第一の材料を通すとともに、該第一の材料から、前記アウタークラッドより高い屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な第二の材料を通して放射させて除去することを特徴とするものである。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記第一の材料は光学硬化樹脂とし、前記第二の材料は無機材料とし、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、前記露出したインナークラッドの少なくとも一部分に前記光学硬化樹脂を接触させ、前記光学硬化樹脂の少なくとも一部分に前記無機材料を接触させて、前記第二の光を、前記光学硬化樹脂から前記無機材料を通して放射させて除去することを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項2,4,6のいずれか一項に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、曲率を有することを特徴とするものである。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項2,4,6,7の何れか一項に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記無機材料は基板であることを特徴とするものである。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記基板には、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分を案内する溝を形成したことを特徴とするものである。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、複数枚の前記基板と接触することを特徴とするものである。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、複数枚の前記基板で挟み込まれることを特徴とするものである。
【0027】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記複数枚の基板は、屈折率が異なることを特徴とするものである。
【0028】
請求項13に記載の発明は、請求項10または11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記複数枚の基板は、形状が異なることを特徴とするものである。
【0029】
請求項14に記載の発明は、請求項11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記複数枚の基板は、略同一の形状を有する2枚の基板であり、前記第二の光の伝播方向に互いにずらして配置したことを特徴とするものである。
【0030】
上記目的を達成する請求項15に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置の発明は、
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去する光除去装置であって、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、露出した前記インナークラッドを、挟み込むように設けた第一の基板および第二の基板と、
少なくとも前記露出したインナークラッド、前記第一の基板および前記第二の基板を収容する容器とを有し、
前記第一の基板および前記第二の基板は、少なくとも前記第二の光に対して略透明であり、且つ、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、
前記容器は、少なくとも前記第二の光を透過しない金属材料からなることを特徴とするものである。
【0031】
上記目的を達成する請求項16に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置の発明は、
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去する光除去装置であって、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、露出した前記インナークラッドに接して設けた光学硬化樹脂と、
該光学硬化樹脂に接して設けた基板と、
少なくとも前記露出したインナークラッド、前記光学硬化樹脂および前記基板を収容する容器とを有し、
前記光学硬化樹脂および前記基板は、少なくとも前記第二の光に対して略透明であり、且つ、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、
前記容器は、少なくとも前記第二の光を透過しない金属材料からなることを特徴とするものである。
【0032】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記光学樹脂を、前記基板を構成する第一の基板および第二の基板で挟み込むことを特徴とするものである。
【0033】
請求項18に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板および前記第二の基板の少なくとも一方と前記容器との間に密着するように配置された部材を更に有し、該部材は、前記第一の基板および前記第二の基板の熱伝導率より高い熱伝導率を有することを特徴とする。
【0034】
請求項19に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板または前記第二の基板の一方と前記容器との間に、少なくとも前記第二の光を略全反射させる第三の基板を有し、前記インナークラッドから前記第一の基板または前記第二の基板を経て放射される前記第二の光を、前記第一の基板または前記第二の基板側に反射させるように構成したことを特徴とするものである。
【0035】
請求項20に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板または前記第二の基板の、前記インナークラッドとは反対側の面に、少なくとも前記第二の光を略全反射させる反射面を有することを特徴とするものである。
【0036】
請求項21に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板および前記第二の基板は、形状が異なることを特徴とするものである。
【0037】
請求項22に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板または前記第二の基板には、前記インナークラッドを案内する溝があることを特徴とするものである。
【0038】
請求項23に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板と前記第二の基板とは、屈折率が異なることを特徴とするものである。
【0039】
請求項24に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板および前記第二の基板の少なくとも一方は、前記第二の光の伝播方向に分割された複数の基板からなり、前記複数の基板は、前記第二の光の伝播方向の上流側の屈折率が下流側の屈折率よりも低いことを特徴とするものである。
【0040】
請求項25に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板および前記第二の基板は、略同一の形状を有し、前記第二の光の伝播方向に互いにずらして配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0041】
請求項1に記載の発明によれば、第二の光を第二の光の伝播方向に見て、不均一に放射させて除去するようにしたので、光の取り出し率が制御可能であり、最も取り出し光強度が高くなる取り出し開始点での取り出し光強度が大き過ぎることによる、局所的な発熱によるDCFの破損を防止することができ、これによって、長期的に高い信頼性が得られる。
【0042】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、第二の光が熱的に安定で長期的な熱負荷や光照射による特性変化が無い無機材料へ放射されることにより、長期的な信頼性が得られ、且つ、該無機材料は第二の光に略透明であるため、光吸収による発熱を抑制することができる。
【0043】
請求項3に記載の発明によれば、第二の光が熱的に安定で長期的な熱負荷や光照射による特性変化が無い無機材料へ放射されることにより、長期的な信頼性が得られ、且つ、該無機材料は第二の光に略透明であるため、光吸収による発熱を抑制できる。
【0044】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、第二の光を、インナークラッドに接触した無機材料を通して除去することにより、光の取り出し率の制御が可能であり、最も取り出し光強度が高くなる取り出し開始点での取り出し光強度が大き過ぎることによる、局所的な発熱によるDCFの破損を防止することができる。
【0045】
請求項5に記載の発明によれば、インナークラッドからの第二の光を、第一の材料に通し、第一の材料から第二の材料に通すことにより、第一および第二の材料と発熱部との位置関係を調整し、局所的な発熱によるDCFの破損を防止することができ、これによって、長期的に高い信頼性が得られる。
【0046】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の作用効果に加えて、熱的に弱い光学硬化樹脂に取り出した光を、熱伝導率が低く熱的に安定で長期的な熱負荷や光照射による特性変化が無い無機材料に通して拡散させることにより、発熱部を光学硬化樹脂から遠ざけ、発熱を光学樹脂に伝導しにくくして、光学樹脂の熱的なストレスを緩和することができる。
【0047】
請求項7に記載の発明によれば、請求項2,4および6のいずれかに記載の発明の作用効果に加えて、限られた空間内での、DCFの一部分と無機材料または光学硬化樹脂との接触部の長さを長くし、且つ、曲げ損失を付加することにより、第二の光の取り出し強度を大きくすることができる。
【0048】
請求項8に記載の発明によれば、請求項2,4,6および7のいずれかに記載の発明の作用効果に加えて、基板の表面積を大きくすることができ、取り出した光を広い面内に拡散させることにより、局所的な発熱の発生を抑制することができる。
【0049】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明の作用効果に加えて、DCFと基板との接触部を増大させることにより、DCFの単位長さ当りの光の取り出し率を増大させることができる。
【0050】
請求項10に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明の作用効果に加えて、光ファイバーと基板との接触部を増大させることにより、光の取り出しを増大させることができ、且つ、基板面積が増大するので、取り出した光をより広範囲に拡散させることにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0051】
請求項11に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明の作用効果に加えて、単位長さあたりのDCFと基板との接触部を増大させることにより、単位長さ当りの光の取り出し率を増大させることができ、且つ、基板面積が増大するのでより広範囲に取り出した光を拡散させることにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0052】
請求項12に記載の発明によれば、請求項10または11に記載の発明の作用効果に加えて、屈折率の組み合わせを変えて光の取り出し率を制御することにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0053】
請求項13に記載の発明によれば、請求項10または11に記載の発明の作用効果に加えて、光ファイバーと基板との接触を局所的に調整して光の取り出し率を制御することにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0054】
請求項14に記載の発明によれば、請求項11に記載の発明の作用効果に加えて、DCFと基板との接触を局所的に調整して光の取り出し率を制御することにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0055】
請求項15に記載の発明によれば、熱的に安定で長期的な熱負荷や光照射による特性変化が無い基板を用いることにより、長期的な信頼性が得られ、且つ、取り出した第二の光を基板内で拡散させることにより、局所的な発熱を抑制することができ、長期的な信頼性が得られる。また、容器を介して発熱を速やかに外部に伝熱させて、基板の熱を逃がすことができるので、さらに長期的な信頼性が得られる。
【0056】
請求項16に記載の発明によれば、熱に弱い樹脂に取り出した光を、熱に強く長期的な信頼性のある基板へ伝達させることにより、樹脂の信頼性を高めることができ、装置としての長期的な信頼性が得られる。
【0057】
請求項17に記載の発明によれば、請求項16に記載の発明の作用効果に加えて、樹脂と基板との接触面積を大きくして樹脂から基板への光の伝播の効率を高めることにより、樹脂の信頼性をより高めることができる。また、基板で樹脂の形状を規定できるのでデバイス構成の設計が容易になる。
【0058】
請求項18に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、基板を伝播した光がDCFから離れた光吸収体で熱に変換され、且つ、発熱を容器から速やかに外部に伝熱させることにより、発熱によるDCFの損傷を防ぐことができる。
【0059】
請求項19および20に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、全反射面の設けられた基板とは反対側の容器部分により大きな発熱が発生するので、この面より発熱を速やかに外部に放熱させれば良く、デバイス構成の設計が容易になるとともに、部品を削減することができる。
【0060】
請求項21に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、基板の形状により基板内に取り出した光の拡散を制御し、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0061】
請求項22に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、DCFと基板との接触部を増大させることにより、DCFの単位長さ当りの光の取り出し率を増大させることができる。
【0062】
請求項23に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、基板の屈折率の組み合わせを変えて光の取り出し率を制御することにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0063】
請求項24に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、第二の光の伝播方向に屈折率の異なる基板を配置することにより、光の取り出し率を制御し、均一な発熱を図ることができる。
【0064】
請求項25に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、DCFと基板との接触を局所的に調整して光の取り出し率を制御することにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るDCFの光除去方法の基本原理を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係る光除去方法の説明図である。
【図3】本発明の第2実施の形態に係る光除去方法の説明図である。
【図4】本発明の第3実施の形態に係る光除去方法の説明図である。
【図5】本発明の第4実施の形態に係る光除去方法を説明する横断面図である。
【図6】本発明の第5実施の形態に係る光除去方法を説明する平面図である。
【図7】本発明の第6実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第7実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第8実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第9実施の形態に係る光除去部の横断面図である。
【図11】本発明の第10実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図12】従来例の光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
[第1実施の形態]
図1は、本発明の第1実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法の基本原理を説明するための図である。図1(a)に断面図を示すように、DCF1は、コア部2とコア部2の外周を被覆するインナークラッド部3と、インナークラッド部3の外周を被覆するアウタークラッド部4とを含んで構成される。本発明では、DCF1の一部分において、図1(b)に断面図を示すように、アウタークラッド部4を除去してインナークラッド部3を露出させる。さらに、図1(c)で示すように、DCF1のインナークラッド部3が露出した部分を、第一の基板である光学基板6Aおよび第二の基板である光学基板6Bで挟み込み、光除去部5を構成する。
【0067】
DCF1としては、石英系ガラス光ファイバー、多成分系ガラスである酸化物、フッ化物光ファイバー、または、カルコゲナイド系ガラス光ファイバーを用いることが可能である。石英系ガラスを使用する場合は、コア部2とインナークラッド部3との間に屈折率差を設けるため、屈折率を高くすることが可能なゲルマニウム、または、屈折率を低くすることが可能なフッ素を添加する。アウタークラッド部4としては、少なくともインナークラッド部3より低い屈折率を有する高分子樹脂を用いる。また、DCF1はその特性が零分散、分散シフト、分散フラットまたは偏波保持のいずれとしても良い。
【0068】
光学基板6Aおよび6Bとしては、BK7を材料とするものを用いることができる。あるいは、合成石英、パイレックス(登録商標)、フッ化カルシウム、シリコン、ジンクセレン、サファイア、または、ゲルマニウムなどの種々の無機材料からなるガラスを使用することも可能である。
【0069】
次に、DCF1の使用状態における光除去部5の作用について、各構成要素の屈折率の条件とともに説明する。まず、使用状態において、DCF1のコア部2には第一の光である信号光とともに図示しない増幅ファイバーからの非吸収励起光やASE光のごく一部が伝播しており、インナークラッド部3には、第二の光である、図示しない増幅ファイバーからの非吸収励起光や、ASE光の大部分、および、コア部2から洩れたごく一部の信号光が伝播している。
【0070】
この時、コア部2、インナークラッド部3、アウタークラッド部4のそれぞれの屈折率の大小関係は、コア部2の屈折率をn2、インナークラッド部3の屈折率をn3、アウタークラッド部4の屈折率をn4とすると、式(1)の関係を有する。
n2>n3>n4 (1)
そして、n2>n3の関係により全反射の関係が生じ、コア部2を伝播する第一の光は、その屈折率差と光の伝播方向に垂直な断面内の形状の関係である開口数NAで光の閉じ込めが生じている。同様に、n3>n4の関係により全反射の関係がインナークラッド部3とアウタークラッド部4との間に生じ、コア部2の場合と同様にインナークラッド部3およびその内側で第二の光の閉じ込めが生じる。
【0071】
図1(c)で示したアウタークラッド部4を除去したDCF1は、横断面の最上部で光学基板6Aと、最下部で光学基板6Bとそれぞれ接し、その他の部分は外気雰囲気である空気と接触する。空気の屈折率n(air)はほぼ1であり、常にインナークラッド部3の屈折率n3との間にn3>n(air)の関係にあり、且つ、除去したアウタークラッド部4の屈折率n4との間にもn4>n(air)の関係にある。よって、コア部2およびインナークラッド部3を伝播する第二の光は、インナークラッド部3と空気との接触面において全反射され、この部分でのDCF1からの光の放射はほぼ発生しない。
【0072】
一方、光学基板6Aおよび6Bの屈折率n6は、除去したアウタークラッド部4の屈折率n4よりも高くなるように設定する。このため式(2)に示すように、インナークラッド部3の屈折率n3と除去する前のアウタークラッド部4の屈折率n4との間にあった屈折率差より、光学基板6Aおよび6Bとインナークラッド部3との間の屈折率差は小さくなるので、この光学基板6A,6Bとの接触部では局所的に全反射の関係が変化しNAが小さくなる。
(n3−n4)>(n3−n6) (2)
これにより、上記接触部において、インナークラッド部3から光学基板6Aおよび6Bへ、第二の光の放射が発生する。
【0073】
光学基板6Aおよび6Bに放射して取り出された第二の光は、光学基板6Aおよび6B内を多重反射しながら、図1(c)において横方向へ伝播し拡散するとともに、全反射の条件を満たさない箇所で光学基板6A,6Bから更に外部へと放射される。なお、光学基板6Aおよび6Bは、インナークラッド部3を伝播する光に対してほぼ透明であり、また軟化点温度が高い材料で構成する。
【0074】
次に、光学基板6A,6Bの屈折率n6が式(3)に示すように、アウタークラッド部4よりも高く、インナークラッド部3よりも低い場合について述べる。
n3>n6>n4 (3)
この場合、全反射の関係がインナークラッド部3と光学基板6Aおよび6Bとの間に存在するものの、その屈折率差がアウタークラッド部4の場合よりも小さくなるので、接触部でインナークラッド部3を伝播する光の一部が、光学基板6Aまたは6Bに放射される。また、NAの大きさにより放射の量を制御することが可能である。
【0075】
また、光学基板6A,6Bの屈折率n6は、式(4)に示すように、インナークラッド部3と同じか大きくすることも可能である。
n6≧n3>n4 (4)
この場合、全反射の関係がインナークラッド部3と光学基板6Aおよび6Bとの間に存在しないので、インナークラッド部3を伝播する光は、接触部で全反射することなく、光学基板6Aまたは6Bに放射される。
【0076】
なお、光学基板6A,6Bは異なる屈折率と厚さを選択することが可能である。それらを選択することで、放射率を制御することがより可能となり、また、光学基板6A,6B内に取り出された光の拡散を制御することが可能となる。さらに、光学基板6A,6Bの少なくともインナークラッド部3との接触部の表面形状は、光学的に透明となる面精度を有することが好ましい。また、DCF1と光学基板6A,6Bとの接触は、光学基板6AおよびDCF1の自重によっても良いが、加重を加えることが更に好ましい。さらに、光学基板6A,6Bは、無機物からなる材料とすることが望ましい。
【0077】
以下に、上述の原理に基づく本発明の第一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0078】
図2は、本発明の第1実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法の説明図であり、図2(a)は、インナークラッド部から第二の光を除去する光除去部5を含む平面図、図2(b)は図2(a)のB−B’断面図、図2(c)は、図2(a)のA−A’断面図である。図2において、DCF1のアウタークラッド部を除去したインナークラッド露出部7が、第二の光に対して略透明な無機材料により構成される上部の光学基板6Aおよび下部の光学基板6Bで挟まれている。これら光学基板6Aおよび6Bは、同一の円形の形状を有し、インナークラッド露出部7を挟んで対向している。インナークラッド露出部7は、上下でそれぞれ光学基板6Aおよび6Bと接触しており、それ以外は外部雰囲気である空気と接している。また、除去したアウタークラッドの屈折率n4と、光学基板6A,6Bの屈折率n6との間には、n6>n4の関係を有する。
【0079】
以上のように構成されているので、この光除去部5では、図2(a)の左側よりDCF1のインナークラッドを伝播してきた第二の光が、インナークラッド露出部7と光学基板6A,6Bとの接触部より、光学基板6A,6Bに放出され、除去される。すなわち、第二の光の放出は、第二の光の伝達方向に見て、光ファイバーの軸周りに不均一に放射される。光学基板6A,Bに放出された光は、光学基板6A,6B内部を多重反射し、一部は光学基板6A,6Bの外に洩れながら光学基板6内に拡がる。
【0080】
また、光学基板6A,6Bの側面は砂面となっており、光学基板6A,6B内を多重反射して側面(多重反射の終点)まで到達した第二の光は、砂面での光散乱によって外部へと放射される。さらに、一部の光は、光学基板6A,6B内へと戻るように逆方向へと多重反射しながら横方向へ伝播し拡散して行くことにより徐々に減衰する。
【0081】
なお、光除去部5において、コア部2の屈折率n2とインナークラッド部3の屈折率n3との関係に変化はないため、コア部2を伝播してきた第一の光は、そのままコア部2を伝播する。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態によれば、インナークラッドを伝播してきた光を、光学基板6Aおよび6Bとの接触部から不均一に放射させたので、光の取り出し率を制御することができ、最も取り出し光強度が高くなる取り出し開始点での取り出し光強度が大き過ぎることによる、局所的な発熱によるDCFの破損を防止することができる。また、DCFから取り出した光を、該光学基板6A,6Bに沿って広範囲に拡散させて除去するようにしたので、温度上昇の影響を受け難く長期的に高い信頼性を有する、ダブルクラッドファイバーの光除去方法を実現することができる。
【0083】
また、光学基板6A,6Bの屈折率が式(3)に示したように、アウタークラッド部4よりも高く、インナークラッド部3よりも低い場合、インナークラッド部3と光学基板6A,6Bとの屈折率差を調整することにより、光の取り出し率が制御可能であり、最も取り出し光強度が高くなる取り出し開始点での、取り出し光強度が大き過ぎることによる、局所的な発熱によるDCFの破損を防止出来る。
【0084】
また、光学基板6A,6Bとして、熱的に安定で、且つ、長期的な熱負荷や光照射による特性変化の無い無機材料により構成される基板を使用したので、長期的な信頼性が得られる。さらに、この基板とインナークラッド部との屈折率差を小さくすることにより、より高い取り出し率でインナークラッドを伝播する第二の光を取り出すことができ、且つ、光学硬化材料を使用した場合と比較して、光吸収による発熱を抑制出来る。
【0085】
また、本実施の形態では、光学基板6A,6Bの側面を砂面としたことにより、該側面を鏡面とした場合には、インナークラッドから取り出した光を、光学基板6内で往復するように光伝播させることで徐々に減衰させなければならないのに比べ、砂面において光学基板6A,B内の光をより多く外部へ放射できるので、戻り方向への多重反射量が少なく、光除去効果が大きいという利点がある。
【0086】
さらに、本実施の形態では、インナークラッド露出部7と2枚の光学基板6A,6Bとを接触させることにより、1枚の光学基板を接触させる場合と比べ、DCFの単位長さ当りの光の取り出し率を増大させることができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、光学基板6A,6Bの側面を砂面としたが、光学基板6A,Bのインナークラッド露出部7と接触する面とは反対の面を砂面としても良い。
【0088】
[第2実施の形態]
図3は、本発明の第2実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法の説明図であり、図3(a)は、この方法に用いられる光除去部5を含む平面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A’断面図である。本実施の形態は、第1実施の形態に係るDCF1の光除去部5において、上側の光学基板6Aを、Dカットされた、すなわち円形から円弧の一部を直線でカットした形状を有する光学基板8に置き換えたものである。光学基板8のカットされた部分は、図において、第二の光の光除去部5への入射側、すなわち、図において左側に設けられている。また、アウタークラッドの屈折率n4と、光学基板8の屈折率n8との間には、n8>n4の関係がある。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0089】
以上のような構成により、本実施の形態では、第1実施の形態と同様に、図3の左側より図示しないDCF1のインナークラッドを伝播してきた第二の光が、インナークラッド露出部7と光学基板6Bおよび光学基板8との接触部より、光学基板6Bおよび光学基板8に取り出される。ここで、インナークラッド露出部7と光学基板8とが接する第二の光の除去開始点の位置は、インナークラッド露出部7と光学基板6Aとの接触による光の除去開始点のそれよりも第二の光の下流側にずれている。
【0090】
ここで、実際にインナークラッド露出部7と光学基板6B,8との接触部から光学基板6B,8に取り出される光強度は、入射する光強度と取り出し率とその距離の積である。接触点での第二の光の取り出し率は、DCF1のインナークラッドの屈折率と光学基板の屈折率差でほぼ決定される一定値となる。一方、光強度は、光の伝播と共に、接触部で光が取り出されるに従って減衰する。従って、光の取り出しの開始点で最も取り出される光強度が大きくなるので、上述のように光の取り出し開始点をずらすことにより、インナークラッド露出部7の上側および下側の合計による光の取り出しを制御し、DCF1のインナークラッド露出部7に損傷をもたらす虞のある、局所的な高光強度の光の取り出しによる加熱を回避することができる。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態によれば、インナークラッド露出部7と光学基板6Aおよび8のそれぞれとの間の光の取り出し開始点をずらすことにより、光の取り出しの開始点での局所的な加熱を抑えることができる。
【0092】
[第3実施の形態]
図4は、本発明の第3実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法の説明図であり、図4(a)は、この方法に用いる光除去部5を含む平面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A’断面図である。本実施の形態は、第1実施の形態に係るDCF1の光除去部5において、上側光学基板6Aを屈折率の異なる2枚の半円形の光学基板9Aおよび9Bを組み合わせて構成される円形の基板に置き換えたものである。光学基板9Aは、DCF1を伝播してくる第二の光の上流側に配置し、光学基板9Bは同じく下流側に配置する。また、アウタークラッドの屈折率n4と、光学基板9Aの屈折率n9Aおよび光学基板9Bの屈折率n9Bとの関係は、n9A>n4、n9B>n4とする。さらに、インナークラッド露出部7と光学基板9Aとの接触部より、インナークラッド露出部7と光学基板9Bとの接触部の方が光の取り出し率が高くなるようにしている。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0093】
以上のような構成により、本実施の形態では、第1実施の形態と同様に、図4の左側より図示しないDCF1のインナークラッドを伝播してきた第二の光が、インナークラッド露出部7と光学基板6Bおよび光学基板9A,9Bとの接触部より、光学基板6Bおよび光学基板9A,9Bに取り出される。ここで、光学基板9Aと9Bとの光の取り出し率の差異により、図4の左側から入射した光は、インナークラッド露出部7の上部においては、まず光学基板9Aとの接触部から低い取り出し率で取り出され、強度が減衰した後、光学基板9Bとの接触部から高い取り出し率で取り出される。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態によれば、光学基板6Bと、屈折率の異なる光学基板9A、9Bとによりインナークラッド露出部7を挟み込むようにしたので、光学基板9A,9Bの屈折率の組み合わせを変えることで、さらに光の取り出し率を制御することができる。
【0095】
[第4実施の形態]
図5は、本発明の第4実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法を説明するための横断面図であり、第1実施の形態における図2のB−B’断面図に相当する断面を示すものである。本実施の形態は、第1実施の形態に係る下側の光学基板6Bに代えてDCF1のインナークラッド露出部7をガイドする直線状のV溝が形成されたV溝光学基板10を用いたものである。なお、V溝の面は光学面または砂面の何れにすることもできる。また、アウタークラッドの屈折率n4と、V溝光学基板10の屈折率n10との関係は、n10>n4とする。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0096】
以上のような構成により、本実施の形態では、インナークラッド露出部7が、V溝光学基板10とV溝部分で接することにより、V溝がない第1実施の形態における光学基板6Bと比較して、より大きな接触を有する。その結果、接触部の増大により光の取り出し率が大きくなる。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態によれば、V溝光学基板10と、インナークラッド露出部7の露出したインナークラッドとの接触を増大させたので、単位長さあたりの光の取り出し率を増大することができる。また、V溝がアウタークラッドを除去したDCF7のガイドとなるので組立が容易になるという利点もある。
【0098】
なお、溝の形状はV型に限られず、R型など溝が無い場合より接触部が増大する多様な形状とすることができる。
【0099】
[第5実施の形態]
図6は本発明の第5実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法を説明するための、平面図である。本実施の形態の光除去部5は、第1実施の形態に係る光除去部5において、DCF1のインナークラッド露出部7を光学基板6A,6Bとの接触部で曲率を持つように構成したものである。
【0100】
これにより、インナークラッド露出部7を直線に配置した場合と比べて、インナークラッド露出部7と光学基板6A,6Bとの接触部の長さが増大すること、および、光ファイバーを曲げたことによる曲げ損失も発生することにより、同じ大きさの光学基板を使用しながら、光の取り出し強度を大きくすることができる。
【0101】
[第6実施の形態]
図7は、本発明の第6実施の形態に係る光除去装置11の概略構成を示す縦断面図である。光除去装置11は、図2に示した第1実施の形態における光除去部5の光学基板6A,6Bのそれぞれの背面に光吸収体12A,12Bを設け、さらに、この光除去部5を前後のDCF1の一部とともに、図示しないヒートシンクにマウントされた容器であるパッケージ13内に組み込んでいる。光吸収体12A,12Bと、パッケージ13とは、接触面を有し伝熱関係にある。
【0102】
ここで、光吸収体12Aおよび12Bは、DCF1から取り出す光の波長に対して吸収性を持つ材料で構成され、形態は基板やシート状、ペースト状のものが使用できる。また、光学基板6A,6Bやパッケージ13と接着性を有するものを使用することも可能である。更に、光吸収体12Aと12Bとは同じ材料や形態を有していても良く、あるいは、異なる材料や形態を有していても良い。また、光吸収体の熱伝導率は高い方が望ましい。例えば、光吸収体として、放熱性シリコンや放熱性シートが使用可能である。
【0103】
また、パッケージ13は熱伝導性が高いものが良く、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、銅合金など、様々な金属や金属合金が使用可能である。
【0104】
以上のような構成により、図2で説明したように、DCF1のインナークラッドを伝播してきた第二の光が、インナークラッド露出部7と光学基板6A,6Bとの接触部より、光学基板6Aおよび6Bに取り出されて除去される。光学基板6Aおよび6Bに取り出された光は、光学基板内を伝播し、光学基板6Aと光吸収体12Aとの界面、および、光学基板6Bと光吸収体12Bとの界面で、一部が反射されて光学基板6Aおよび6B内をさらに拡散し、他の一部は光吸収体12Aおよび12Bで吸収され、熱に変換される。この変換された熱は、光吸収体12Aおよび12Bからパッケージ13に速やかに伝熱し、さらに、パッケージ13からヒートシンクを介して外気へと放出される。
【0105】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1実施の形態の有する効果に加え、光吸収体12A,12Bから外気へ熱を速やかに排出するようにしたので、光吸収体12A,12Bの発熱を一定値以下に抑えることが可能となる。これにより、光学基板6A,6BやDCF1のインナークラッド露出部7が、光吸収体12A,12Bからの熱伝導により過熱されることを防ぎ、その温度を長期的に装置の信頼性が確保できる温度以下に抑えることが可能となる。
【0106】
[第7実施の形態]
図8は、本発明の第7実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。光除去装置11は、図2に示した第1実施の形態において、光除去部5の光学基板6Bの背面にミラー14を設け、さらに、この光除去部5を前後のDCF1の一部とともに、パッケージ13内に組み込んでいる。なお、ミラーを設けていない光学基板6Aとパッケージ13との間は、低屈折率な光学硬化樹脂などで接着して固定することが可能である。また、光学基板6A側のパッケージ13の外側には、パッケージ13と伝熱関係にある図示しないヒートシンクが取り付けられている。
【0107】
ミラー12は、金属、ガラス、または、結晶等の基板上に,金、銀、アルミなどの金属反射膜や、SiO2、MgF2などの単層または多層からなる誘電体反射膜を成膜したものであり、除去する光の波長に対してほぼ全反射となるように、反射膜を選択する。
【0108】
以上のような構成によって、図2で説明したように、DCF1のインナークラッドを伝播してきた第二の光が、インナークラッド露出部7と光学基板6A,6Bとの接触部より、光学基板6A,6Bに取り出される。光学基板6Bに取り出された光は、光学基板6Bを透過して、ミラー14の反射面でほぼ全てが光学基板6B側に反射する。反射した光は、光学基板6Bと光学基板6Aおよび6B間の空気との界面で一部が空気へと伝播する。さらに、空気へと伝播した光は光学基板6Aとの界面で一部は反射し、残りは光学基板6A内へと伝播する。
【0109】
一方、光学基板6Aに取り出された光は、光学基板6Aを透過して、一部が、パッケージ13との界面でパッケージ13に吸収され熱へと変換される。また、他の一部は、光学基板6Aを多重反射しながら、光学基板6Aと空気との界面で一部が空気へと伝播する。空気へと伝播した光は光学基板6Bとの界面で一部は反射し、残りは光学基板6B内へと伝播する。
【0110】
このようにして、インナークラッド露出部7から取り出された光は、パッケージ13内で光学基板6A,6Bの内部およびこれらと空気との間を多重反射しながら、最終的には主として光学基板6Aとパッケージ13との界面で吸収されて熱へと変換される。この熱は、パッケージ13から図示しないヒートシンクを介して外気へと放出される。
【0111】
なお、取り出された光の一部は、光学基板6A,6Bの側面に到達する。第1実施の形態で説明したように、光学基板6Aおよび6Bの側面は砂面であり、ここに到達した光は砂面での光散乱によって外部へと放射され、この放射された光も、パッケージ13に到達して一部が吸収される。
【0112】
以上説明したように、本実施の形態によれば、パッケージ13の温度をより低い温度に抑えることが可能となるので、パッケージ13からの熱伝導の影響を受ける光学基板6A,6BやDCF1のインナークラッド露出部7の温度を長期的により信頼性を確保できる低い温度に抑えることが可能となる。また、ヒートシンクは、光学基板6A側にのみ設ければよく、デバイスの設計が容易となる。
【0113】
本願の発明者らの実験によれば、図8の構成による光除去装置を、光学基板をBK7とし、且つ、パッケージをアルミとして構成し、DCFのインナークラッドに波長915nm、光強度50Wの光を入力したところ、5dB(68%)以上の光をDCF外に取り出すことができることを確認した。この実験において、パッケージ温度は41°Cであり、100時間以上破断や内部のDCF、光学基板、および、ミラー等に変化が無かった。
【0114】
[第8実施の形態]
図9は、本発明の第8実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。本実施の形態は、図8で示した第7実施の形態に係る光除去装置11の光除去部5と同様な構成の光除去部5Aおよび5Bを、パッケージ13内に、DCF1の光の伝播方向に直列に2段構成で設けたものである。
【0115】
光の伝播方向に下流側の光除去部5Bは、上流側の光除去部5Aで取り出されずにインナークラッドを伝播してきた第二の光を取り出すためのものである。上流側の段の光学基板6Aおよび6Bは、下流側の段の光学基板6Cおよび6Dに比べて、光の取り出し率が低くなるように屈折率を設定する。
【0116】
本実施の形態では、第7実施の形態における作用効果に加え、インナークラッドを伝播する光の強度が大きい上流側の光除去部5Aと、光除去部5Aによる光の取り出しにより光強度が小さくなった下流側の光除去部5Bとによる、光の取り出し強度が略等しくなるように調整し、全体として大きな光の取り出しを実現するとともに、局所的な熱の発生を回避することができる。
【0117】
[第9実施の形態]
図10(a)は、本発明の第9実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法を説明するための光除去部の横断面図であり、第1実施の形態の図2におけるB−B’断面図に相当するものである。また、図10(b)および図10(c)は、本実施の形態の変形例の光除去部5の横断面図を示している。
【0118】
図10(a)に示す本実施の形態は、第1実施の形態における光学基板6Aと6Bとの間に、第一の材料である光学硬化樹脂15を、インナークラッド露出部7の光学基板6A,6Bと接触している部分を除く外周上に接触するように設けたものである。なお、光学基板6A,6Bは、第1実施の形態と同様に、第二の材料である無機材料で構成される。
【0119】
光学硬化樹脂15としては、有機材料や有機材料と無機材料のハイブリッド材料が使用可能である。有機材料としては、エポキシ系やアクリレート系、メタクリレート系、ウレタンアクリレート系、または、シリコンアクリレート系の材料が使用可能である。光学硬化樹脂15の屈折率n15は、除去したDCF1のアウタークラッドの屈折率n4と,n15>n4の関係を有する。また、光学基板6Aおよび6Bの屈折率n6A,n6Bとは、望ましくはn15≦n6A、および、n15≦n6Bの関係を有する。
【0120】
DCF1のインナークラッド露出部7を伝播する第二の光は、インナークラッド露出部7と光学基板6A,6Bとの接触部に加え、光学硬化樹脂15との接触部からも取り出される。光学基板6Aおよび6Bに取り出された光は、第1実施の形態の場合と同様に、光学基板6A,6B内を多重反射しながら横方向へ伝播して拡散し、全反射にならない条件の箇所で、光学基板6A,6Bから更に外部へと放射される。一方、光学硬化樹脂15に取り出された光は、光学基板6Aおよび6Bの界面で一部が反射を繰り返しつつ光学基板6A,6Bへと伝播し、光学基板6A,6B内を多重反射しながら拡散し、全反射にならない条件の箇所で、光学基板6A,6Bから更に外部へと放射される。なお、光学硬化樹脂15と外部雰囲気である空気との界面では、光学硬化樹脂15に取り出された光はほぼ全反射する。
【0121】
なお、本実施の形態の変形例として、図10(b)および図10(c)で示した構成の光除去部を用いることが可能である。図10(b)は、インナークラッド露出部7が、その外周上で光学基板6Bおよび光学硬化樹脂12と接触し、光学基板6Aとは直接接触せず光学硬化樹脂12を介してして接触している。この場合、光学基板6Bに取り出された第二の光は、光学基板6B内を多重反射しながら横方向へ伝播して拡散し、全反射にならない条件の箇所で、光学基板6Bから更に外部へと放射される。一方、光学硬化樹脂15に取り出された光は、図10(a)の場合と同様に、光学基板6Aおよび6Bの界面で一部が反射を繰り返しつつ光学基板6A,6Bへと伝播し、光学基板6A,6B内を多重反射しながら拡散し、全反射にならない条件の箇所で、光学基板6A,6Bから更に外部へと放射される。
【0122】
また、図10(c)は、インナークラッド露出部7が、その外周上で光学硬化樹脂15と接触し、光学基板6Aおよび6Bとは直接接触せず光学硬化樹脂15を介して接触している。インナークラッド露出部7から、光学硬化樹脂15に取り出された第二の光は、図10(a)の場合と同様に、光学基板6Aおよび6Bとの界面で一部が反射を繰り返しつつ光学基板6A,6Bへと伝播し、光学基板6A,6B内を多重反射しながら拡散し、全反射にならない条件の箇所で、光学基板6A,6Bから更に外部へと放射される。
【0123】
以上のように、本実施の形態によれば、熱的に弱い光学樹脂15に取り出した光を、熱伝導率が低く熱的に安定で、長期的な熱負荷や光照射による特性変化が無い無機材料に伝播させることで、発熱部を光学樹脂から遠ざけ、発熱を光学樹脂に伝導しにくくして、光学樹脂の熱的なストレスを緩和することができる。
【0124】
[第10実施の形態]
図11は、本発明の第10実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。本実施の形態は、図9に示す第8実施の形態において、下流側の光除去部5Bの構成を、第9実施の形態の図10(b)で示した構成に置き換えたものである。ただし、本実施の形態では、第8実施の形態の場合とは異なり、光学基板3Cおよび3Dは、光学基板3Aおよび3Bと光の取り出し率が略等しくなるように屈折率を設定する。その他の構成は、第8実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0125】
本実施の形態では、下流側の光除去部5Bは、光学硬化樹脂15がインナークラッド露出部7の外周上に接触しており、上流側の光除去部5Aよりも高い光の取り出し率が得られる。このため、上流側の光除去部5Aによる光の取り出し率を、小さく設定することができ、これによって、インナークラッドを伝播する光の光強度が最も高い上流側の光除去部5Aの取り出し開始点で、取り出し光強度が大き過ぎることにより、局所的な発熱が発生してDCF1が破損されることを防止することができる。
【0126】
本願の発明者らの実験によれば、図11の構成による光除去装置を、光学基板をBK7とし、且つ、パッケージをアルミとして構成し、DCFのインナークラッドに波長915nm、光強度50Wの光を入力したところ、19dB(98%)以上の光をDCF外に取り出すことができることを確認した。この実験において、パッケージ温度は42°Cであり、100時間以上破断や内部のDCF、光学基板、および、ミラー等に変化は無かった。
【0127】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。たとえば、本願発明の各実施の形態において、光学基板を2枚以上用い、インナークラッド露出部を挟むように構成していたが、1枚の光学基板をインナークラッド露出部に接触させて、インナークラッドを伝播する光を取り出しても良い。
【0128】
また、各実施の形態では、光学基板として平面基板を例として詳細な説明を行ったが、平明面基板の他にウエッジ基板、凸面基板、または、凹面基板を用いた場合も、光ファイバーの露出させたインナークラッドの外周と部分的に接触していれば同様の作用効果を得ることができる。また、DCFから光を取り出すために使用するのは基板に限らず、光ファイバーの光の伝播方向に円形または四角形の断面を有する棒状の無機材料を、光ファイバーの長さ方向に沿って複数本接触させても、基板を用いた場合と同様の作用効果を生じさせることが可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 DCF
2 コア
3 インナークラッド
4 アウタークラッド
5,5A,5B 光除去部
6A,6B,6C,6D 光学基板
7 インナークラッド露出部
8 光学基板
9A,9B 光学基板
10 V溝光学基板
11 光除去装置
12A,12B 光吸収体
13 パッケージ
14,14A,14B ミラー
15 光学硬化樹脂
101 光除去装置
102 DCF
103 インナークラッド露出部
104 光学硬化樹脂
105 パッケージ
【技術分野】
【0001】
本発明は、高出力なファイバーレーザやファイバー光増幅器などの光ファイバーシステムに関し、特にダブルクラッドファイバーのインナークラッド伝播光をダブルクラッドファイバー外に取り出す光除去方法および光除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高出力なファイバーレーザやファイバー光増幅器として、少なくとも、増幅媒質が添加された増幅ファイバー、増幅媒質を励起するための励起光源、および、励起光源からの励起光を増幅ファイバーに入力するためのコンバイナーを含んで構成される光ファイバーシステムが、通常使用されている。
【0003】
この光ファイバーシステムの増幅ファイバーとして、一般的には、ダブルクラッドファイバー(以下、DCFともいう)が使用される。DCFは、増幅媒質が添加されたコア部と、コア部の外周を被覆するインナークラッド部と、インナークラッド部の外周を被覆するアウタークラッド部とを含んで構成される。使用状態において、インナークラッド部は信号光をその内側に閉じ込め伝播させる。また、アウタークラッド部は、励起光をその内側に閉じ込め、コア部およびインナークラッド部に励起光を伝播させる。励起光は、コア部を伝播する際に、増幅媒質に吸収され、信号光に利得を与える。
【0004】
増幅ファイバーには、通常、信号光および励起光を入出力するために、増幅媒質の添加されていないデリバリーファイバーが接続される。デリバリーファイバーも、増幅ファイバーと同様に、コア部とインナークラッド部とアウタークラッド部とからなり、増幅ファイバーと同様な断面形状と、光ファイバーの開口数(以下,NAという)とを有し、信号光はコア部を、励起光はコア部およびインナークラッド部を伝播可能に構成されている。
【0005】
前述のコンバイナー等の部品は、通常このデリバリーファイバーに取り付けられる。信号光はコンバイナーからデリバリーファイバーのコア部を介して、増幅ファイバーのコア部に入力される。また、励起光は、コンバイナーからデリバリーファイバーのコア部およびインナークラッド部を介して、増幅ファイバーのコア部およびインナークラッド部に入力される。
【0006】
一方、励起光は、増幅媒質に吸収されるため、増幅ファイバー内を減衰しながら伝播する。通常は、励起光が増幅ファイバーでほぼ全て吸収されることは無く、少なくとも、入力された励起光の約10%は増幅ファイバーを透過する。例えば、1kWの励起光が入力された場合は、出力される励起光は、少なくとも、100Wとなる。また、ある用途では、強い励起密度を増幅ファイバー内で維持させる必要がある。この場合には、入力された励起光が増幅ファイバーで吸収される比率を低くさせるように、光ファイバーシステムを構成する。従って、増幅ファイバーの出力側まで大きな光強度の非吸収励起光が伝播する。
【0007】
このようにしてコア部およびインナークラッド部を伝播した励起光が、不必要な光となり、増幅ファイバーから信号光とともに出射することにより、種々の好ましくない現象が発生する。例えば、出力側のデリバリーファイバーから自由空間へ信号光を取り出すために設けられた光コネクタにより、励起光の散乱光が発生しコネクタを破損させたり、増幅光ファイバーを光源方向へ伝播する反射光が発生して、励起光源や信号光の光源を破損させたりする虞がある。
【0008】
また、励起光以外にも、増幅媒質の励起光吸収により発生する増幅自然放射光(以下、ASE光と呼ぶ)、または、コア部から漏洩した信号光等の不必要な光もインナークラッド部を伝播する。これらの不必要な光によっても、上述の励起光の場合と同様な種々の好ましくない現象が発生する虞がある。
【0009】
そこで、DCFのインナークラッド部を伝播する光を、コア部を伝播する信号光に損失などの影響を与えることなく、DCF外に除去することが必要であり、そのための方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0010】
図12は、従来技術における、インナークラッド部から光を除去する光除去装置101の概略構成図であり、図12(a)はその従断面図を示し、図12(b)はその横断面図を示している。図12(a)に示すように、DCF102の一部のアウタークラッド部が、インナークラッド部を露出させるように除去され、インナークラッド露出部103を形成している。このインナークラッド露出部103は、図12(b)に示すように、外周を高屈折率の光学硬化樹脂104で覆われ、この光学硬化樹脂104とともに、金属パッケージ105に収められている。なお、光除去装置101は、インナークラッド露出部103を金属パッケージ105内に収め、この金属パッケージ105内に光学硬化樹脂104を注入して形成される。光学硬化樹脂104は、硬化する際に、金属パッケージ105およびインナークラッド露出部103とも接着する。
【0011】
上記のような構成により、図12(a)の左側からDCF102のコア部およびインナークラッド部を伝播してきた励起光等の光は、光除去装置101のインナークラッド露出部103において、該光を閉じ込めていたアウタークラッド部が除去されているため、光学硬化樹脂104に一部または全部が取り出される。このインナークラッド露出部103における、単位長さ当りの光の除去率は、光学硬化樹脂104とDCF102のインナークラッド部の屈折率差によって決定される。
【0012】
光学硬化樹脂104に取り出された光は、金属パッケージ105で反射する際に、その一部が金属パッケージ105に吸収され熱へと変換される。光学硬化樹脂104内の光は、金属パッケージ105と多重反射することにより消滅する。また、金属パッケージ105で発生した熱は、図示されていないヒートシンクへと伝熱して放熱される。また、光の入射側でより強度が強いことから、従来技術では、高屈折率樹脂である光学硬化樹脂104として、光の伝播方向に沿って異なる屈折率の光学硬化樹脂を複数用い、光の取り出し率を変えて、金属パッケージ105での熱の発生を均一化し、局所的な温度上昇が生じないようにしている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Proc.SPIE 6873,687327(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、ガラスを主成分とする光ファイバーと比べると、光学硬化樹脂は熱に弱く、損傷を受けやすい。従来技術のように光学硬化樹脂を、クラッドからの光を除去するために使用するには、光学硬化樹脂およびこれと伝熱関係にある金属パッケージの温度が上がり過ぎないように、さらに冷却することが必要となる。また、光学硬化樹脂は、光照射や温度上昇によって、屈折率や光の吸収率などの性質が経時的に変化し易い。光学硬化樹脂の性質が変化すると、温度上昇による光ファイバの破損などの問題がより発生し易くなる。すなわち、光学硬化樹脂を使用すると、長期的な信頼性が得難いという問題点がある。さらに、インナークラッドの外周を高屈折率の光学硬化樹脂で覆うと、光ファイバーの光の伝播方向に見て均一に放射が発生し、特に光の入射側の端部で大きな光の取り出しによる局所的な過熱が起こりやすく、上述のような光学硬化樹脂の破損や性質の変化を招きやすい。
【0015】
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、長期的に高い信頼性を有する、ダブルクラッドファイバーの光除去方法および光除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する請求項1に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法の発明は、
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記第二の光を当該第二の光の伝播方向に見て、不均一に放射させて除去することを特徴とするものである。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、該露出させたインナークラッドの少なくとも一部分に、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し前記第二の光に対して略透明な無機材料を、前記第二の光の伝播方向に見て不均一に接触させて、前記第二の光を、前記無機材料を通して不均一に放射させて除去することを特徴とするものである。
【0018】
上記目的を達成する請求項3に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法の発明は、
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記アウタークラッドを、該アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な無機材料として、該無機材料を通して前記第二の光を除去することを特徴とするものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、該露出させたインナークラッドの少なくとも一部分に前記無機材料を接触させて、前記第二の光を、前記無機材料を通して除去することを特徴とするものである。
【0020】
上記目的を達成する請求項5に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法の発明は、
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記インナークラッドからの前記第二の光を、前記アウタークラッドより高い屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な第一の材料を通すとともに、該第一の材料から、前記アウタークラッドより高い屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な第二の材料を通して放射させて除去することを特徴とするものである。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記第一の材料は光学硬化樹脂とし、前記第二の材料は無機材料とし、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、前記露出したインナークラッドの少なくとも一部分に前記光学硬化樹脂を接触させ、前記光学硬化樹脂の少なくとも一部分に前記無機材料を接触させて、前記第二の光を、前記光学硬化樹脂から前記無機材料を通して放射させて除去することを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項2,4,6のいずれか一項に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、曲率を有することを特徴とするものである。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項2,4,6,7の何れか一項に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記無機材料は基板であることを特徴とするものである。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記基板には、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分を案内する溝を形成したことを特徴とするものである。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、複数枚の前記基板と接触することを特徴とするものである。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、複数枚の前記基板で挟み込まれることを特徴とするものである。
【0027】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記複数枚の基板は、屈折率が異なることを特徴とするものである。
【0028】
請求項13に記載の発明は、請求項10または11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記複数枚の基板は、形状が異なることを特徴とするものである。
【0029】
請求項14に記載の発明は、請求項11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法において、前記複数枚の基板は、略同一の形状を有する2枚の基板であり、前記第二の光の伝播方向に互いにずらして配置したことを特徴とするものである。
【0030】
上記目的を達成する請求項15に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置の発明は、
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去する光除去装置であって、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、露出した前記インナークラッドを、挟み込むように設けた第一の基板および第二の基板と、
少なくとも前記露出したインナークラッド、前記第一の基板および前記第二の基板を収容する容器とを有し、
前記第一の基板および前記第二の基板は、少なくとも前記第二の光に対して略透明であり、且つ、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、
前記容器は、少なくとも前記第二の光を透過しない金属材料からなることを特徴とするものである。
【0031】
上記目的を達成する請求項16に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置の発明は、
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去する光除去装置であって、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、露出した前記インナークラッドに接して設けた光学硬化樹脂と、
該光学硬化樹脂に接して設けた基板と、
少なくとも前記露出したインナークラッド、前記光学硬化樹脂および前記基板を収容する容器とを有し、
前記光学硬化樹脂および前記基板は、少なくとも前記第二の光に対して略透明であり、且つ、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、
前記容器は、少なくとも前記第二の光を透過しない金属材料からなることを特徴とするものである。
【0032】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記光学樹脂を、前記基板を構成する第一の基板および第二の基板で挟み込むことを特徴とするものである。
【0033】
請求項18に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板および前記第二の基板の少なくとも一方と前記容器との間に密着するように配置された部材を更に有し、該部材は、前記第一の基板および前記第二の基板の熱伝導率より高い熱伝導率を有することを特徴とする。
【0034】
請求項19に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板または前記第二の基板の一方と前記容器との間に、少なくとも前記第二の光を略全反射させる第三の基板を有し、前記インナークラッドから前記第一の基板または前記第二の基板を経て放射される前記第二の光を、前記第一の基板または前記第二の基板側に反射させるように構成したことを特徴とするものである。
【0035】
請求項20に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板または前記第二の基板の、前記インナークラッドとは反対側の面に、少なくとも前記第二の光を略全反射させる反射面を有することを特徴とするものである。
【0036】
請求項21に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板および前記第二の基板は、形状が異なることを特徴とするものである。
【0037】
請求項22に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板または前記第二の基板には、前記インナークラッドを案内する溝があることを特徴とするものである。
【0038】
請求項23に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板と前記第二の基板とは、屈折率が異なることを特徴とするものである。
【0039】
請求項24に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板および前記第二の基板の少なくとも一方は、前記第二の光の伝播方向に分割された複数の基板からなり、前記複数の基板は、前記第二の光の伝播方向の上流側の屈折率が下流側の屈折率よりも低いことを特徴とするものである。
【0040】
請求項25に記載の発明は、請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置において、
前記第一の基板および前記第二の基板は、略同一の形状を有し、前記第二の光の伝播方向に互いにずらして配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0041】
請求項1に記載の発明によれば、第二の光を第二の光の伝播方向に見て、不均一に放射させて除去するようにしたので、光の取り出し率が制御可能であり、最も取り出し光強度が高くなる取り出し開始点での取り出し光強度が大き過ぎることによる、局所的な発熱によるDCFの破損を防止することができ、これによって、長期的に高い信頼性が得られる。
【0042】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、第二の光が熱的に安定で長期的な熱負荷や光照射による特性変化が無い無機材料へ放射されることにより、長期的な信頼性が得られ、且つ、該無機材料は第二の光に略透明であるため、光吸収による発熱を抑制することができる。
【0043】
請求項3に記載の発明によれば、第二の光が熱的に安定で長期的な熱負荷や光照射による特性変化が無い無機材料へ放射されることにより、長期的な信頼性が得られ、且つ、該無機材料は第二の光に略透明であるため、光吸収による発熱を抑制できる。
【0044】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、第二の光を、インナークラッドに接触した無機材料を通して除去することにより、光の取り出し率の制御が可能であり、最も取り出し光強度が高くなる取り出し開始点での取り出し光強度が大き過ぎることによる、局所的な発熱によるDCFの破損を防止することができる。
【0045】
請求項5に記載の発明によれば、インナークラッドからの第二の光を、第一の材料に通し、第一の材料から第二の材料に通すことにより、第一および第二の材料と発熱部との位置関係を調整し、局所的な発熱によるDCFの破損を防止することができ、これによって、長期的に高い信頼性が得られる。
【0046】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の作用効果に加えて、熱的に弱い光学硬化樹脂に取り出した光を、熱伝導率が低く熱的に安定で長期的な熱負荷や光照射による特性変化が無い無機材料に通して拡散させることにより、発熱部を光学硬化樹脂から遠ざけ、発熱を光学樹脂に伝導しにくくして、光学樹脂の熱的なストレスを緩和することができる。
【0047】
請求項7に記載の発明によれば、請求項2,4および6のいずれかに記載の発明の作用効果に加えて、限られた空間内での、DCFの一部分と無機材料または光学硬化樹脂との接触部の長さを長くし、且つ、曲げ損失を付加することにより、第二の光の取り出し強度を大きくすることができる。
【0048】
請求項8に記載の発明によれば、請求項2,4,6および7のいずれかに記載の発明の作用効果に加えて、基板の表面積を大きくすることができ、取り出した光を広い面内に拡散させることにより、局所的な発熱の発生を抑制することができる。
【0049】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明の作用効果に加えて、DCFと基板との接触部を増大させることにより、DCFの単位長さ当りの光の取り出し率を増大させることができる。
【0050】
請求項10に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明の作用効果に加えて、光ファイバーと基板との接触部を増大させることにより、光の取り出しを増大させることができ、且つ、基板面積が増大するので、取り出した光をより広範囲に拡散させることにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0051】
請求項11に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明の作用効果に加えて、単位長さあたりのDCFと基板との接触部を増大させることにより、単位長さ当りの光の取り出し率を増大させることができ、且つ、基板面積が増大するのでより広範囲に取り出した光を拡散させることにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0052】
請求項12に記載の発明によれば、請求項10または11に記載の発明の作用効果に加えて、屈折率の組み合わせを変えて光の取り出し率を制御することにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0053】
請求項13に記載の発明によれば、請求項10または11に記載の発明の作用効果に加えて、光ファイバーと基板との接触を局所的に調整して光の取り出し率を制御することにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0054】
請求項14に記載の発明によれば、請求項11に記載の発明の作用効果に加えて、DCFと基板との接触を局所的に調整して光の取り出し率を制御することにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0055】
請求項15に記載の発明によれば、熱的に安定で長期的な熱負荷や光照射による特性変化が無い基板を用いることにより、長期的な信頼性が得られ、且つ、取り出した第二の光を基板内で拡散させることにより、局所的な発熱を抑制することができ、長期的な信頼性が得られる。また、容器を介して発熱を速やかに外部に伝熱させて、基板の熱を逃がすことができるので、さらに長期的な信頼性が得られる。
【0056】
請求項16に記載の発明によれば、熱に弱い樹脂に取り出した光を、熱に強く長期的な信頼性のある基板へ伝達させることにより、樹脂の信頼性を高めることができ、装置としての長期的な信頼性が得られる。
【0057】
請求項17に記載の発明によれば、請求項16に記載の発明の作用効果に加えて、樹脂と基板との接触面積を大きくして樹脂から基板への光の伝播の効率を高めることにより、樹脂の信頼性をより高めることができる。また、基板で樹脂の形状を規定できるのでデバイス構成の設計が容易になる。
【0058】
請求項18に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、基板を伝播した光がDCFから離れた光吸収体で熱に変換され、且つ、発熱を容器から速やかに外部に伝熱させることにより、発熱によるDCFの損傷を防ぐことができる。
【0059】
請求項19および20に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、全反射面の設けられた基板とは反対側の容器部分により大きな発熱が発生するので、この面より発熱を速やかに外部に放熱させれば良く、デバイス構成の設計が容易になるとともに、部品を削減することができる。
【0060】
請求項21に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、基板の形状により基板内に取り出した光の拡散を制御し、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0061】
請求項22に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、DCFと基板との接触部を増大させることにより、DCFの単位長さ当りの光の取り出し率を増大させることができる。
【0062】
請求項23に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、基板の屈折率の組み合わせを変えて光の取り出し率を制御することにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【0063】
請求項24に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、第二の光の伝播方向に屈折率の異なる基板を配置することにより、光の取り出し率を制御し、均一な発熱を図ることができる。
【0064】
請求項25に記載の発明によれば、請求項15または17に記載の発明の作用効果に加えて、DCFと基板との接触を局所的に調整して光の取り出し率を制御することにより、局所的な過熱の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るDCFの光除去方法の基本原理を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係る光除去方法の説明図である。
【図3】本発明の第2実施の形態に係る光除去方法の説明図である。
【図4】本発明の第3実施の形態に係る光除去方法の説明図である。
【図5】本発明の第4実施の形態に係る光除去方法を説明する横断面図である。
【図6】本発明の第5実施の形態に係る光除去方法を説明する平面図である。
【図7】本発明の第6実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第7実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第8実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第9実施の形態に係る光除去部の横断面図である。
【図11】本発明の第10実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図12】従来例の光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
[第1実施の形態]
図1は、本発明の第1実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法の基本原理を説明するための図である。図1(a)に断面図を示すように、DCF1は、コア部2とコア部2の外周を被覆するインナークラッド部3と、インナークラッド部3の外周を被覆するアウタークラッド部4とを含んで構成される。本発明では、DCF1の一部分において、図1(b)に断面図を示すように、アウタークラッド部4を除去してインナークラッド部3を露出させる。さらに、図1(c)で示すように、DCF1のインナークラッド部3が露出した部分を、第一の基板である光学基板6Aおよび第二の基板である光学基板6Bで挟み込み、光除去部5を構成する。
【0067】
DCF1としては、石英系ガラス光ファイバー、多成分系ガラスである酸化物、フッ化物光ファイバー、または、カルコゲナイド系ガラス光ファイバーを用いることが可能である。石英系ガラスを使用する場合は、コア部2とインナークラッド部3との間に屈折率差を設けるため、屈折率を高くすることが可能なゲルマニウム、または、屈折率を低くすることが可能なフッ素を添加する。アウタークラッド部4としては、少なくともインナークラッド部3より低い屈折率を有する高分子樹脂を用いる。また、DCF1はその特性が零分散、分散シフト、分散フラットまたは偏波保持のいずれとしても良い。
【0068】
光学基板6Aおよび6Bとしては、BK7を材料とするものを用いることができる。あるいは、合成石英、パイレックス(登録商標)、フッ化カルシウム、シリコン、ジンクセレン、サファイア、または、ゲルマニウムなどの種々の無機材料からなるガラスを使用することも可能である。
【0069】
次に、DCF1の使用状態における光除去部5の作用について、各構成要素の屈折率の条件とともに説明する。まず、使用状態において、DCF1のコア部2には第一の光である信号光とともに図示しない増幅ファイバーからの非吸収励起光やASE光のごく一部が伝播しており、インナークラッド部3には、第二の光である、図示しない増幅ファイバーからの非吸収励起光や、ASE光の大部分、および、コア部2から洩れたごく一部の信号光が伝播している。
【0070】
この時、コア部2、インナークラッド部3、アウタークラッド部4のそれぞれの屈折率の大小関係は、コア部2の屈折率をn2、インナークラッド部3の屈折率をn3、アウタークラッド部4の屈折率をn4とすると、式(1)の関係を有する。
n2>n3>n4 (1)
そして、n2>n3の関係により全反射の関係が生じ、コア部2を伝播する第一の光は、その屈折率差と光の伝播方向に垂直な断面内の形状の関係である開口数NAで光の閉じ込めが生じている。同様に、n3>n4の関係により全反射の関係がインナークラッド部3とアウタークラッド部4との間に生じ、コア部2の場合と同様にインナークラッド部3およびその内側で第二の光の閉じ込めが生じる。
【0071】
図1(c)で示したアウタークラッド部4を除去したDCF1は、横断面の最上部で光学基板6Aと、最下部で光学基板6Bとそれぞれ接し、その他の部分は外気雰囲気である空気と接触する。空気の屈折率n(air)はほぼ1であり、常にインナークラッド部3の屈折率n3との間にn3>n(air)の関係にあり、且つ、除去したアウタークラッド部4の屈折率n4との間にもn4>n(air)の関係にある。よって、コア部2およびインナークラッド部3を伝播する第二の光は、インナークラッド部3と空気との接触面において全反射され、この部分でのDCF1からの光の放射はほぼ発生しない。
【0072】
一方、光学基板6Aおよび6Bの屈折率n6は、除去したアウタークラッド部4の屈折率n4よりも高くなるように設定する。このため式(2)に示すように、インナークラッド部3の屈折率n3と除去する前のアウタークラッド部4の屈折率n4との間にあった屈折率差より、光学基板6Aおよび6Bとインナークラッド部3との間の屈折率差は小さくなるので、この光学基板6A,6Bとの接触部では局所的に全反射の関係が変化しNAが小さくなる。
(n3−n4)>(n3−n6) (2)
これにより、上記接触部において、インナークラッド部3から光学基板6Aおよび6Bへ、第二の光の放射が発生する。
【0073】
光学基板6Aおよび6Bに放射して取り出された第二の光は、光学基板6Aおよび6B内を多重反射しながら、図1(c)において横方向へ伝播し拡散するとともに、全反射の条件を満たさない箇所で光学基板6A,6Bから更に外部へと放射される。なお、光学基板6Aおよび6Bは、インナークラッド部3を伝播する光に対してほぼ透明であり、また軟化点温度が高い材料で構成する。
【0074】
次に、光学基板6A,6Bの屈折率n6が式(3)に示すように、アウタークラッド部4よりも高く、インナークラッド部3よりも低い場合について述べる。
n3>n6>n4 (3)
この場合、全反射の関係がインナークラッド部3と光学基板6Aおよび6Bとの間に存在するものの、その屈折率差がアウタークラッド部4の場合よりも小さくなるので、接触部でインナークラッド部3を伝播する光の一部が、光学基板6Aまたは6Bに放射される。また、NAの大きさにより放射の量を制御することが可能である。
【0075】
また、光学基板6A,6Bの屈折率n6は、式(4)に示すように、インナークラッド部3と同じか大きくすることも可能である。
n6≧n3>n4 (4)
この場合、全反射の関係がインナークラッド部3と光学基板6Aおよび6Bとの間に存在しないので、インナークラッド部3を伝播する光は、接触部で全反射することなく、光学基板6Aまたは6Bに放射される。
【0076】
なお、光学基板6A,6Bは異なる屈折率と厚さを選択することが可能である。それらを選択することで、放射率を制御することがより可能となり、また、光学基板6A,6B内に取り出された光の拡散を制御することが可能となる。さらに、光学基板6A,6Bの少なくともインナークラッド部3との接触部の表面形状は、光学的に透明となる面精度を有することが好ましい。また、DCF1と光学基板6A,6Bとの接触は、光学基板6AおよびDCF1の自重によっても良いが、加重を加えることが更に好ましい。さらに、光学基板6A,6Bは、無機物からなる材料とすることが望ましい。
【0077】
以下に、上述の原理に基づく本発明の第一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0078】
図2は、本発明の第1実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法の説明図であり、図2(a)は、インナークラッド部から第二の光を除去する光除去部5を含む平面図、図2(b)は図2(a)のB−B’断面図、図2(c)は、図2(a)のA−A’断面図である。図2において、DCF1のアウタークラッド部を除去したインナークラッド露出部7が、第二の光に対して略透明な無機材料により構成される上部の光学基板6Aおよび下部の光学基板6Bで挟まれている。これら光学基板6Aおよび6Bは、同一の円形の形状を有し、インナークラッド露出部7を挟んで対向している。インナークラッド露出部7は、上下でそれぞれ光学基板6Aおよび6Bと接触しており、それ以外は外部雰囲気である空気と接している。また、除去したアウタークラッドの屈折率n4と、光学基板6A,6Bの屈折率n6との間には、n6>n4の関係を有する。
【0079】
以上のように構成されているので、この光除去部5では、図2(a)の左側よりDCF1のインナークラッドを伝播してきた第二の光が、インナークラッド露出部7と光学基板6A,6Bとの接触部より、光学基板6A,6Bに放出され、除去される。すなわち、第二の光の放出は、第二の光の伝達方向に見て、光ファイバーの軸周りに不均一に放射される。光学基板6A,Bに放出された光は、光学基板6A,6B内部を多重反射し、一部は光学基板6A,6Bの外に洩れながら光学基板6内に拡がる。
【0080】
また、光学基板6A,6Bの側面は砂面となっており、光学基板6A,6B内を多重反射して側面(多重反射の終点)まで到達した第二の光は、砂面での光散乱によって外部へと放射される。さらに、一部の光は、光学基板6A,6B内へと戻るように逆方向へと多重反射しながら横方向へ伝播し拡散して行くことにより徐々に減衰する。
【0081】
なお、光除去部5において、コア部2の屈折率n2とインナークラッド部3の屈折率n3との関係に変化はないため、コア部2を伝播してきた第一の光は、そのままコア部2を伝播する。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態によれば、インナークラッドを伝播してきた光を、光学基板6Aおよび6Bとの接触部から不均一に放射させたので、光の取り出し率を制御することができ、最も取り出し光強度が高くなる取り出し開始点での取り出し光強度が大き過ぎることによる、局所的な発熱によるDCFの破損を防止することができる。また、DCFから取り出した光を、該光学基板6A,6Bに沿って広範囲に拡散させて除去するようにしたので、温度上昇の影響を受け難く長期的に高い信頼性を有する、ダブルクラッドファイバーの光除去方法を実現することができる。
【0083】
また、光学基板6A,6Bの屈折率が式(3)に示したように、アウタークラッド部4よりも高く、インナークラッド部3よりも低い場合、インナークラッド部3と光学基板6A,6Bとの屈折率差を調整することにより、光の取り出し率が制御可能であり、最も取り出し光強度が高くなる取り出し開始点での、取り出し光強度が大き過ぎることによる、局所的な発熱によるDCFの破損を防止出来る。
【0084】
また、光学基板6A,6Bとして、熱的に安定で、且つ、長期的な熱負荷や光照射による特性変化の無い無機材料により構成される基板を使用したので、長期的な信頼性が得られる。さらに、この基板とインナークラッド部との屈折率差を小さくすることにより、より高い取り出し率でインナークラッドを伝播する第二の光を取り出すことができ、且つ、光学硬化材料を使用した場合と比較して、光吸収による発熱を抑制出来る。
【0085】
また、本実施の形態では、光学基板6A,6Bの側面を砂面としたことにより、該側面を鏡面とした場合には、インナークラッドから取り出した光を、光学基板6内で往復するように光伝播させることで徐々に減衰させなければならないのに比べ、砂面において光学基板6A,B内の光をより多く外部へ放射できるので、戻り方向への多重反射量が少なく、光除去効果が大きいという利点がある。
【0086】
さらに、本実施の形態では、インナークラッド露出部7と2枚の光学基板6A,6Bとを接触させることにより、1枚の光学基板を接触させる場合と比べ、DCFの単位長さ当りの光の取り出し率を増大させることができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、光学基板6A,6Bの側面を砂面としたが、光学基板6A,Bのインナークラッド露出部7と接触する面とは反対の面を砂面としても良い。
【0088】
[第2実施の形態]
図3は、本発明の第2実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法の説明図であり、図3(a)は、この方法に用いられる光除去部5を含む平面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A’断面図である。本実施の形態は、第1実施の形態に係るDCF1の光除去部5において、上側の光学基板6Aを、Dカットされた、すなわち円形から円弧の一部を直線でカットした形状を有する光学基板8に置き換えたものである。光学基板8のカットされた部分は、図において、第二の光の光除去部5への入射側、すなわち、図において左側に設けられている。また、アウタークラッドの屈折率n4と、光学基板8の屈折率n8との間には、n8>n4の関係がある。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0089】
以上のような構成により、本実施の形態では、第1実施の形態と同様に、図3の左側より図示しないDCF1のインナークラッドを伝播してきた第二の光が、インナークラッド露出部7と光学基板6Bおよび光学基板8との接触部より、光学基板6Bおよび光学基板8に取り出される。ここで、インナークラッド露出部7と光学基板8とが接する第二の光の除去開始点の位置は、インナークラッド露出部7と光学基板6Aとの接触による光の除去開始点のそれよりも第二の光の下流側にずれている。
【0090】
ここで、実際にインナークラッド露出部7と光学基板6B,8との接触部から光学基板6B,8に取り出される光強度は、入射する光強度と取り出し率とその距離の積である。接触点での第二の光の取り出し率は、DCF1のインナークラッドの屈折率と光学基板の屈折率差でほぼ決定される一定値となる。一方、光強度は、光の伝播と共に、接触部で光が取り出されるに従って減衰する。従って、光の取り出しの開始点で最も取り出される光強度が大きくなるので、上述のように光の取り出し開始点をずらすことにより、インナークラッド露出部7の上側および下側の合計による光の取り出しを制御し、DCF1のインナークラッド露出部7に損傷をもたらす虞のある、局所的な高光強度の光の取り出しによる加熱を回避することができる。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態によれば、インナークラッド露出部7と光学基板6Aおよび8のそれぞれとの間の光の取り出し開始点をずらすことにより、光の取り出しの開始点での局所的な加熱を抑えることができる。
【0092】
[第3実施の形態]
図4は、本発明の第3実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法の説明図であり、図4(a)は、この方法に用いる光除去部5を含む平面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A’断面図である。本実施の形態は、第1実施の形態に係るDCF1の光除去部5において、上側光学基板6Aを屈折率の異なる2枚の半円形の光学基板9Aおよび9Bを組み合わせて構成される円形の基板に置き換えたものである。光学基板9Aは、DCF1を伝播してくる第二の光の上流側に配置し、光学基板9Bは同じく下流側に配置する。また、アウタークラッドの屈折率n4と、光学基板9Aの屈折率n9Aおよび光学基板9Bの屈折率n9Bとの関係は、n9A>n4、n9B>n4とする。さらに、インナークラッド露出部7と光学基板9Aとの接触部より、インナークラッド露出部7と光学基板9Bとの接触部の方が光の取り出し率が高くなるようにしている。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0093】
以上のような構成により、本実施の形態では、第1実施の形態と同様に、図4の左側より図示しないDCF1のインナークラッドを伝播してきた第二の光が、インナークラッド露出部7と光学基板6Bおよび光学基板9A,9Bとの接触部より、光学基板6Bおよび光学基板9A,9Bに取り出される。ここで、光学基板9Aと9Bとの光の取り出し率の差異により、図4の左側から入射した光は、インナークラッド露出部7の上部においては、まず光学基板9Aとの接触部から低い取り出し率で取り出され、強度が減衰した後、光学基板9Bとの接触部から高い取り出し率で取り出される。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態によれば、光学基板6Bと、屈折率の異なる光学基板9A、9Bとによりインナークラッド露出部7を挟み込むようにしたので、光学基板9A,9Bの屈折率の組み合わせを変えることで、さらに光の取り出し率を制御することができる。
【0095】
[第4実施の形態]
図5は、本発明の第4実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法を説明するための横断面図であり、第1実施の形態における図2のB−B’断面図に相当する断面を示すものである。本実施の形態は、第1実施の形態に係る下側の光学基板6Bに代えてDCF1のインナークラッド露出部7をガイドする直線状のV溝が形成されたV溝光学基板10を用いたものである。なお、V溝の面は光学面または砂面の何れにすることもできる。また、アウタークラッドの屈折率n4と、V溝光学基板10の屈折率n10との関係は、n10>n4とする。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0096】
以上のような構成により、本実施の形態では、インナークラッド露出部7が、V溝光学基板10とV溝部分で接することにより、V溝がない第1実施の形態における光学基板6Bと比較して、より大きな接触を有する。その結果、接触部の増大により光の取り出し率が大きくなる。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態によれば、V溝光学基板10と、インナークラッド露出部7の露出したインナークラッドとの接触を増大させたので、単位長さあたりの光の取り出し率を増大することができる。また、V溝がアウタークラッドを除去したDCF7のガイドとなるので組立が容易になるという利点もある。
【0098】
なお、溝の形状はV型に限られず、R型など溝が無い場合より接触部が増大する多様な形状とすることができる。
【0099】
[第5実施の形態]
図6は本発明の第5実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法を説明するための、平面図である。本実施の形態の光除去部5は、第1実施の形態に係る光除去部5において、DCF1のインナークラッド露出部7を光学基板6A,6Bとの接触部で曲率を持つように構成したものである。
【0100】
これにより、インナークラッド露出部7を直線に配置した場合と比べて、インナークラッド露出部7と光学基板6A,6Bとの接触部の長さが増大すること、および、光ファイバーを曲げたことによる曲げ損失も発生することにより、同じ大きさの光学基板を使用しながら、光の取り出し強度を大きくすることができる。
【0101】
[第6実施の形態]
図7は、本発明の第6実施の形態に係る光除去装置11の概略構成を示す縦断面図である。光除去装置11は、図2に示した第1実施の形態における光除去部5の光学基板6A,6Bのそれぞれの背面に光吸収体12A,12Bを設け、さらに、この光除去部5を前後のDCF1の一部とともに、図示しないヒートシンクにマウントされた容器であるパッケージ13内に組み込んでいる。光吸収体12A,12Bと、パッケージ13とは、接触面を有し伝熱関係にある。
【0102】
ここで、光吸収体12Aおよび12Bは、DCF1から取り出す光の波長に対して吸収性を持つ材料で構成され、形態は基板やシート状、ペースト状のものが使用できる。また、光学基板6A,6Bやパッケージ13と接着性を有するものを使用することも可能である。更に、光吸収体12Aと12Bとは同じ材料や形態を有していても良く、あるいは、異なる材料や形態を有していても良い。また、光吸収体の熱伝導率は高い方が望ましい。例えば、光吸収体として、放熱性シリコンや放熱性シートが使用可能である。
【0103】
また、パッケージ13は熱伝導性が高いものが良く、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、銅合金など、様々な金属や金属合金が使用可能である。
【0104】
以上のような構成により、図2で説明したように、DCF1のインナークラッドを伝播してきた第二の光が、インナークラッド露出部7と光学基板6A,6Bとの接触部より、光学基板6Aおよび6Bに取り出されて除去される。光学基板6Aおよび6Bに取り出された光は、光学基板内を伝播し、光学基板6Aと光吸収体12Aとの界面、および、光学基板6Bと光吸収体12Bとの界面で、一部が反射されて光学基板6Aおよび6B内をさらに拡散し、他の一部は光吸収体12Aおよび12Bで吸収され、熱に変換される。この変換された熱は、光吸収体12Aおよび12Bからパッケージ13に速やかに伝熱し、さらに、パッケージ13からヒートシンクを介して外気へと放出される。
【0105】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1実施の形態の有する効果に加え、光吸収体12A,12Bから外気へ熱を速やかに排出するようにしたので、光吸収体12A,12Bの発熱を一定値以下に抑えることが可能となる。これにより、光学基板6A,6BやDCF1のインナークラッド露出部7が、光吸収体12A,12Bからの熱伝導により過熱されることを防ぎ、その温度を長期的に装置の信頼性が確保できる温度以下に抑えることが可能となる。
【0106】
[第7実施の形態]
図8は、本発明の第7実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。光除去装置11は、図2に示した第1実施の形態において、光除去部5の光学基板6Bの背面にミラー14を設け、さらに、この光除去部5を前後のDCF1の一部とともに、パッケージ13内に組み込んでいる。なお、ミラーを設けていない光学基板6Aとパッケージ13との間は、低屈折率な光学硬化樹脂などで接着して固定することが可能である。また、光学基板6A側のパッケージ13の外側には、パッケージ13と伝熱関係にある図示しないヒートシンクが取り付けられている。
【0107】
ミラー12は、金属、ガラス、または、結晶等の基板上に,金、銀、アルミなどの金属反射膜や、SiO2、MgF2などの単層または多層からなる誘電体反射膜を成膜したものであり、除去する光の波長に対してほぼ全反射となるように、反射膜を選択する。
【0108】
以上のような構成によって、図2で説明したように、DCF1のインナークラッドを伝播してきた第二の光が、インナークラッド露出部7と光学基板6A,6Bとの接触部より、光学基板6A,6Bに取り出される。光学基板6Bに取り出された光は、光学基板6Bを透過して、ミラー14の反射面でほぼ全てが光学基板6B側に反射する。反射した光は、光学基板6Bと光学基板6Aおよび6B間の空気との界面で一部が空気へと伝播する。さらに、空気へと伝播した光は光学基板6Aとの界面で一部は反射し、残りは光学基板6A内へと伝播する。
【0109】
一方、光学基板6Aに取り出された光は、光学基板6Aを透過して、一部が、パッケージ13との界面でパッケージ13に吸収され熱へと変換される。また、他の一部は、光学基板6Aを多重反射しながら、光学基板6Aと空気との界面で一部が空気へと伝播する。空気へと伝播した光は光学基板6Bとの界面で一部は反射し、残りは光学基板6B内へと伝播する。
【0110】
このようにして、インナークラッド露出部7から取り出された光は、パッケージ13内で光学基板6A,6Bの内部およびこれらと空気との間を多重反射しながら、最終的には主として光学基板6Aとパッケージ13との界面で吸収されて熱へと変換される。この熱は、パッケージ13から図示しないヒートシンクを介して外気へと放出される。
【0111】
なお、取り出された光の一部は、光学基板6A,6Bの側面に到達する。第1実施の形態で説明したように、光学基板6Aおよび6Bの側面は砂面であり、ここに到達した光は砂面での光散乱によって外部へと放射され、この放射された光も、パッケージ13に到達して一部が吸収される。
【0112】
以上説明したように、本実施の形態によれば、パッケージ13の温度をより低い温度に抑えることが可能となるので、パッケージ13からの熱伝導の影響を受ける光学基板6A,6BやDCF1のインナークラッド露出部7の温度を長期的により信頼性を確保できる低い温度に抑えることが可能となる。また、ヒートシンクは、光学基板6A側にのみ設ければよく、デバイスの設計が容易となる。
【0113】
本願の発明者らの実験によれば、図8の構成による光除去装置を、光学基板をBK7とし、且つ、パッケージをアルミとして構成し、DCFのインナークラッドに波長915nm、光強度50Wの光を入力したところ、5dB(68%)以上の光をDCF外に取り出すことができることを確認した。この実験において、パッケージ温度は41°Cであり、100時間以上破断や内部のDCF、光学基板、および、ミラー等に変化が無かった。
【0114】
[第8実施の形態]
図9は、本発明の第8実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。本実施の形態は、図8で示した第7実施の形態に係る光除去装置11の光除去部5と同様な構成の光除去部5Aおよび5Bを、パッケージ13内に、DCF1の光の伝播方向に直列に2段構成で設けたものである。
【0115】
光の伝播方向に下流側の光除去部5Bは、上流側の光除去部5Aで取り出されずにインナークラッドを伝播してきた第二の光を取り出すためのものである。上流側の段の光学基板6Aおよび6Bは、下流側の段の光学基板6Cおよび6Dに比べて、光の取り出し率が低くなるように屈折率を設定する。
【0116】
本実施の形態では、第7実施の形態における作用効果に加え、インナークラッドを伝播する光の強度が大きい上流側の光除去部5Aと、光除去部5Aによる光の取り出しにより光強度が小さくなった下流側の光除去部5Bとによる、光の取り出し強度が略等しくなるように調整し、全体として大きな光の取り出しを実現するとともに、局所的な熱の発生を回避することができる。
【0117】
[第9実施の形態]
図10(a)は、本発明の第9実施の形態に係るダブルクラッドファイバーの光除去方法を説明するための光除去部の横断面図であり、第1実施の形態の図2におけるB−B’断面図に相当するものである。また、図10(b)および図10(c)は、本実施の形態の変形例の光除去部5の横断面図を示している。
【0118】
図10(a)に示す本実施の形態は、第1実施の形態における光学基板6Aと6Bとの間に、第一の材料である光学硬化樹脂15を、インナークラッド露出部7の光学基板6A,6Bと接触している部分を除く外周上に接触するように設けたものである。なお、光学基板6A,6Bは、第1実施の形態と同様に、第二の材料である無機材料で構成される。
【0119】
光学硬化樹脂15としては、有機材料や有機材料と無機材料のハイブリッド材料が使用可能である。有機材料としては、エポキシ系やアクリレート系、メタクリレート系、ウレタンアクリレート系、または、シリコンアクリレート系の材料が使用可能である。光学硬化樹脂15の屈折率n15は、除去したDCF1のアウタークラッドの屈折率n4と,n15>n4の関係を有する。また、光学基板6Aおよび6Bの屈折率n6A,n6Bとは、望ましくはn15≦n6A、および、n15≦n6Bの関係を有する。
【0120】
DCF1のインナークラッド露出部7を伝播する第二の光は、インナークラッド露出部7と光学基板6A,6Bとの接触部に加え、光学硬化樹脂15との接触部からも取り出される。光学基板6Aおよび6Bに取り出された光は、第1実施の形態の場合と同様に、光学基板6A,6B内を多重反射しながら横方向へ伝播して拡散し、全反射にならない条件の箇所で、光学基板6A,6Bから更に外部へと放射される。一方、光学硬化樹脂15に取り出された光は、光学基板6Aおよび6Bの界面で一部が反射を繰り返しつつ光学基板6A,6Bへと伝播し、光学基板6A,6B内を多重反射しながら拡散し、全反射にならない条件の箇所で、光学基板6A,6Bから更に外部へと放射される。なお、光学硬化樹脂15と外部雰囲気である空気との界面では、光学硬化樹脂15に取り出された光はほぼ全反射する。
【0121】
なお、本実施の形態の変形例として、図10(b)および図10(c)で示した構成の光除去部を用いることが可能である。図10(b)は、インナークラッド露出部7が、その外周上で光学基板6Bおよび光学硬化樹脂12と接触し、光学基板6Aとは直接接触せず光学硬化樹脂12を介してして接触している。この場合、光学基板6Bに取り出された第二の光は、光学基板6B内を多重反射しながら横方向へ伝播して拡散し、全反射にならない条件の箇所で、光学基板6Bから更に外部へと放射される。一方、光学硬化樹脂15に取り出された光は、図10(a)の場合と同様に、光学基板6Aおよび6Bの界面で一部が反射を繰り返しつつ光学基板6A,6Bへと伝播し、光学基板6A,6B内を多重反射しながら拡散し、全反射にならない条件の箇所で、光学基板6A,6Bから更に外部へと放射される。
【0122】
また、図10(c)は、インナークラッド露出部7が、その外周上で光学硬化樹脂15と接触し、光学基板6Aおよび6Bとは直接接触せず光学硬化樹脂15を介して接触している。インナークラッド露出部7から、光学硬化樹脂15に取り出された第二の光は、図10(a)の場合と同様に、光学基板6Aおよび6Bとの界面で一部が反射を繰り返しつつ光学基板6A,6Bへと伝播し、光学基板6A,6B内を多重反射しながら拡散し、全反射にならない条件の箇所で、光学基板6A,6Bから更に外部へと放射される。
【0123】
以上のように、本実施の形態によれば、熱的に弱い光学樹脂15に取り出した光を、熱伝導率が低く熱的に安定で、長期的な熱負荷や光照射による特性変化が無い無機材料に伝播させることで、発熱部を光学樹脂から遠ざけ、発熱を光学樹脂に伝導しにくくして、光学樹脂の熱的なストレスを緩和することができる。
【0124】
[第10実施の形態]
図11は、本発明の第10実施の形態に係る光除去装置の概略構成を示す縦断面図である。本実施の形態は、図9に示す第8実施の形態において、下流側の光除去部5Bの構成を、第9実施の形態の図10(b)で示した構成に置き換えたものである。ただし、本実施の形態では、第8実施の形態の場合とは異なり、光学基板3Cおよび3Dは、光学基板3Aおよび3Bと光の取り出し率が略等しくなるように屈折率を設定する。その他の構成は、第8実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0125】
本実施の形態では、下流側の光除去部5Bは、光学硬化樹脂15がインナークラッド露出部7の外周上に接触しており、上流側の光除去部5Aよりも高い光の取り出し率が得られる。このため、上流側の光除去部5Aによる光の取り出し率を、小さく設定することができ、これによって、インナークラッドを伝播する光の光強度が最も高い上流側の光除去部5Aの取り出し開始点で、取り出し光強度が大き過ぎることにより、局所的な発熱が発生してDCF1が破損されることを防止することができる。
【0126】
本願の発明者らの実験によれば、図11の構成による光除去装置を、光学基板をBK7とし、且つ、パッケージをアルミとして構成し、DCFのインナークラッドに波長915nm、光強度50Wの光を入力したところ、19dB(98%)以上の光をDCF外に取り出すことができることを確認した。この実験において、パッケージ温度は42°Cであり、100時間以上破断や内部のDCF、光学基板、および、ミラー等に変化は無かった。
【0127】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。たとえば、本願発明の各実施の形態において、光学基板を2枚以上用い、インナークラッド露出部を挟むように構成していたが、1枚の光学基板をインナークラッド露出部に接触させて、インナークラッドを伝播する光を取り出しても良い。
【0128】
また、各実施の形態では、光学基板として平面基板を例として詳細な説明を行ったが、平明面基板の他にウエッジ基板、凸面基板、または、凹面基板を用いた場合も、光ファイバーの露出させたインナークラッドの外周と部分的に接触していれば同様の作用効果を得ることができる。また、DCFから光を取り出すために使用するのは基板に限らず、光ファイバーの光の伝播方向に円形または四角形の断面を有する棒状の無機材料を、光ファイバーの長さ方向に沿って複数本接触させても、基板を用いた場合と同様の作用効果を生じさせることが可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 DCF
2 コア
3 インナークラッド
4 アウタークラッド
5,5A,5B 光除去部
6A,6B,6C,6D 光学基板
7 インナークラッド露出部
8 光学基板
9A,9B 光学基板
10 V溝光学基板
11 光除去装置
12A,12B 光吸収体
13 パッケージ
14,14A,14B ミラー
15 光学硬化樹脂
101 光除去装置
102 DCF
103 インナークラッド露出部
104 光学硬化樹脂
105 パッケージ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記第二の光を当該第二の光の伝播方向に見て、不均一に放射させて除去することを特徴とするダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項2】
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、該露出させたインナークラッドの少なくとも一部分に、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し前記第二の光に対して略透明な無機材料を、前記第二の光の伝播方向に見て不均一に接触させて、前記第二の光を、前記無機材料を通して不均一に放射させて除去することを特徴とする請求項1に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項3】
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記アウタークラッドを、該アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な無機材料として、該無機材料を通して前記第二の光を除去することを特徴とするダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項4】
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、該露出させたインナークラッドの少なくとも一部分に前記無機材料を接触させて、前記第二の光を、前記無機材料を通して除去することを特徴とする請求項3に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項5】
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記インナークラッドからの前記第二の光を、前記アウタークラッドより高い屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な第一の材料を通すとともに、該第一の材料から、前記アウタークラッドより高い屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な第二の材料を通して放射させて除去することを特徴とするダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項6】
前記第一の材料は光学硬化樹脂とし、前記第二の材料は無機材料とし、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、前記露出したインナークラッドの少なくとも一部分に前記光学硬化樹脂を接触させ、前記光学硬化樹脂の少なくとも一部分に前記無機材料を接触させて、前記第二の光を、前記光学硬化樹脂から前記無機材料を通して放射させて除去することを特徴とする請求項5に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項7】
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、曲率を有することを特徴とする請求項2,4,6のいずれか一項に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項8】
前記無機材料は基板であることを特徴とする請求項2,4,6,7の何れか一項に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項9】
前記基板には、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分を案内する溝を形成したことを特徴とする請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項10】
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、複数枚の前記基板と接触することを特徴とする請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項11】
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、複数枚の前記基板で挟み込まれることを特徴とする請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項12】
前記複数枚の基板は、屈折率が異なることを特徴とする請求項10または11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項13】
前記複数枚の基板は、形状が異なることを特徴とする請求項10または11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項14】
前記複数枚の基板は、略同一の形状を有する2枚の基板であり、前記第二の光の伝播方向に互いにずらして配置したことを特徴とする請求項11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項15】
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去する光除去装置であって、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、露出した前記インナークラッドを、挟み込むように設けた第一の基板および第二の基板と、
少なくとも前記露出したインナークラッド、前記第一の基板および前記第二の基板を収容する容器とを有し、
前記第一の基板および前記第二の基板は、少なくとも前記第二の光に対して略透明であり、且つ、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、
前記容器は、少なくとも前記第二の光を透過しない金属材料からなることを特徴とするダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項16】
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去する光除去装置であって、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、露出した前記インナークラッドに接して設けた光学硬化樹脂と、
該光学硬化樹脂に接して設けた基板と、
少なくとも前記露出したインナークラッド、前記光学硬化樹脂および前記基板を収容する容器とを有し、
前記光学硬化樹脂および前記基板は、少なくとも前記第二の光に対して略透明であり、且つ、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、
前記容器は、少なくとも前記第二の光を透過しない金属材料からなることを特徴とするダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項17】
前記光学樹脂を、前記基板を構成する第一の基板および第二の基板で挟み込むことを特徴とする請求項16に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項18】
前記第一の基板および前記第二の基板の少なくとも一方と前記容器との間に密着するように配置された部材を更に有し、該部材は、前記第一の基板および前記第二の基板の熱伝導率より高い熱伝導率を有することを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項19】
前記第一の基板または前記第二の基板の一方と前記容器との間に、少なくとも前記第二の光を略全反射させる第三の基板を有し、前記インナークラッドから前記第一の基板または前記第二の基板を経て放射される前記第二の光を、前記第一の基板または前記第二の基板側に反射させるように構成したことを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項20】
前記第一の基板または前記第二の基板の、前記インナークラッドとは反対側の面に、少なくとも前記第二の光を略全反射させる反射面を有することを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項21】
前記第一の基板および前記第二の基板は、形状が異なることを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項22】
前記第一の基板または前記第二の基板には、前記インナークラッドを案内する溝があることを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項23】
前記第一の基板と前記第二の基板とは、屈折率が異なることを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項24】
前記第一の基板および前記第二の基板の少なくとも一方は、前記第二の光の伝播方向に分割された複数の基板からなり、前記複数の基板は、前記第二の光の伝播方向の上流側の屈折率が下流側の屈折率よりも低いことを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項25】
前記第一の基板および前記第二の基板は、略同一の形状を有し、前記第二の光の伝播方向に互いにずらして配置したことを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項1】
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記第二の光を当該第二の光の伝播方向に見て、不均一に放射させて除去することを特徴とするダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項2】
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、該露出させたインナークラッドの少なくとも一部分に、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し前記第二の光に対して略透明な無機材料を、前記第二の光の伝播方向に見て不均一に接触させて、前記第二の光を、前記無機材料を通して不均一に放射させて除去することを特徴とする請求項1に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項3】
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記アウタークラッドを、該アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な無機材料として、該無機材料を通して前記第二の光を除去することを特徴とするダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項4】
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、該露出させたインナークラッドの少なくとも一部分に前記無機材料を接触させて、前記第二の光を、前記無機材料を通して除去することを特徴とする請求項3に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項5】
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去するにあたり、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、前記インナークラッドからの前記第二の光を、前記アウタークラッドより高い屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な第一の材料を通すとともに、該第一の材料から、前記アウタークラッドより高い屈折率を有し、少なくとも前記第二の光に対して略透明な第二の材料を通して放射させて除去することを特徴とするダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項6】
前記第一の材料は光学硬化樹脂とし、前記第二の材料は無機材料とし、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分において、前記アウタークラッドを除去して、前記インナークラッドを露出させ、前記露出したインナークラッドの少なくとも一部分に前記光学硬化樹脂を接触させ、前記光学硬化樹脂の少なくとも一部分に前記無機材料を接触させて、前記第二の光を、前記光学硬化樹脂から前記無機材料を通して放射させて除去することを特徴とする請求項5に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項7】
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、曲率を有することを特徴とする請求項2,4,6のいずれか一項に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項8】
前記無機材料は基板であることを特徴とする請求項2,4,6,7の何れか一項に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項9】
前記基板には、前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分を案内する溝を形成したことを特徴とする請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項10】
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、複数枚の前記基板と接触することを特徴とする請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項11】
前記ダブルクラッドファイバーの前記一部分が、複数枚の前記基板で挟み込まれることを特徴とする請求項8に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項12】
前記複数枚の基板は、屈折率が異なることを特徴とする請求項10または11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項13】
前記複数枚の基板は、形状が異なることを特徴とする請求項10または11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項14】
前記複数枚の基板は、略同一の形状を有する2枚の基板であり、前記第二の光の伝播方向に互いにずらして配置したことを特徴とする請求項11に記載のダブルクラッドファイバーの光除去方法。
【請求項15】
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去する光除去装置であって、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、露出した前記インナークラッドを、挟み込むように設けた第一の基板および第二の基板と、
少なくとも前記露出したインナークラッド、前記第一の基板および前記第二の基板を収容する容器とを有し、
前記第一の基板および前記第二の基板は、少なくとも前記第二の光に対して略透明であり、且つ、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、
前記容器は、少なくとも前記第二の光を透過しない金属材料からなることを特徴とするダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項16】
第一の光と少なくとも前記第一の光と波長の異なる第二の光とが伝播するコアと、
前記コアの外周を覆うようにあって前記コアの屈折率より低い屈折率で、少なくとも前記第二の光が伝播するインナークラッドと、
前記インナークラッドの外周を覆うようにあって前記インナークラッドの屈折率より低い屈折率のアウタークラッドとから少なくとも構成されるダブルクラッドファイバーの、
前記インナークラッドを伝播する少なくとも前記第二の光を、前記光ファイバーから除去する光除去装置であって、
前記ダブルクラッドファイバーの一部分において、露出した前記インナークラッドに接して設けた光学硬化樹脂と、
該光学硬化樹脂に接して設けた基板と、
少なくとも前記露出したインナークラッド、前記光学硬化樹脂および前記基板を収容する容器とを有し、
前記光学硬化樹脂および前記基板は、少なくとも前記第二の光に対して略透明であり、且つ、前記アウタークラッドの屈折率より大きい屈折率を有し、
前記容器は、少なくとも前記第二の光を透過しない金属材料からなることを特徴とするダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項17】
前記光学樹脂を、前記基板を構成する第一の基板および第二の基板で挟み込むことを特徴とする請求項16に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項18】
前記第一の基板および前記第二の基板の少なくとも一方と前記容器との間に密着するように配置された部材を更に有し、該部材は、前記第一の基板および前記第二の基板の熱伝導率より高い熱伝導率を有することを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項19】
前記第一の基板または前記第二の基板の一方と前記容器との間に、少なくとも前記第二の光を略全反射させる第三の基板を有し、前記インナークラッドから前記第一の基板または前記第二の基板を経て放射される前記第二の光を、前記第一の基板または前記第二の基板側に反射させるように構成したことを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項20】
前記第一の基板または前記第二の基板の、前記インナークラッドとは反対側の面に、少なくとも前記第二の光を略全反射させる反射面を有することを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項21】
前記第一の基板および前記第二の基板は、形状が異なることを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項22】
前記第一の基板または前記第二の基板には、前記インナークラッドを案内する溝があることを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項23】
前記第一の基板と前記第二の基板とは、屈折率が異なることを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項24】
前記第一の基板および前記第二の基板の少なくとも一方は、前記第二の光の伝播方向に分割された複数の基板からなり、前記複数の基板は、前記第二の光の伝播方向の上流側の屈折率が下流側の屈折率よりも低いことを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【請求項25】
前記第一の基板および前記第二の基板は、略同一の形状を有し、前記第二の光の伝播方向に互いにずらして配置したことを特徴とする請求項15または17に記載のダブルクラッドファイバーの光除去装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−181574(P2010−181574A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24116(P2009−24116)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(707001768)ファイバーラボ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(707001768)ファイバーラボ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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