説明

ディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法

【課題】 アウタ側端部にロータ回入側とロータ回出側とを連結する連結部を設けない、所望の形状を有するサポートを、精度良く実現する。
【解決手段】 板金を打ち抜く事により、基板部13aと、この基板部13aの周方向両端部から延出した1対の腕部14b、14bとを備えた素板20aを造る。この素板20aの基板部13a寄り部分を、曲げ加工装置29の第一の上型及び第一の下型31により押し下げる。上記1対の腕部14b、14bの先端寄り部分を上記曲げ加工装置の第二の下型33の上面に押し付けつつ、これら両腕部14b、14bの先端寄り部分を曲げ加工する。この曲げ加工の際、これら両腕部14b、14bの先端部同士の間に、第二の下型33に固定した受け部材42を位置させる事により、これら各腕部14b、14bの先端部の変形を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の制動に使用するディスクブレーキを構成するサポートのうち、板金にプレス加工等による曲げ加工を施して造る板金製サポートの製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の制動に使用するディスクブレーキとして、従来から各種構造のものが知られているが、厚肉鋼板等の板金に曲げ加工を施して成る板金製サポートを使用するものが、コスト並びに重量の低減を図る面から研究が進められている。図13〜16は、この様な板金製サポートを組み込んだディスクブレーキの1例として、特許文献1に記載されたものを示している。先ず、この従来構造に就いて簡単に説明する。
【0003】
このディスクブレーキは、車輪と共に回転するロータ1に隣接した状態で懸架装置に対し固定されるサポート2にキャリパ3を、1対のガイドピン4a、4bにより、上記ロータ1の軸方向(図13の上下方向、図14の左右方向)の変位自在に支持している。上記サポート2には、上記ロータ1を挟んでアウタ側(車両の幅方向に関して外側)のアウタパッド5a及びインナ側(車両の幅方向に関して中央側)のインナパッド5bを、上記ロータ1の軸方向の変位自在に支持している。又、上記キャリパ3のシリンダ部6に嵌装したピストン7の先端面(図14の左端面)を、上記インナパッド5bを構成するプレッシャプレート8bに突き当て、上記キャリパ3のアウタ側端部に形成したキャリパ爪9の内側面を、アウタ側のパッド5aを構成するプレッシャプレート8aに当接させている。
【0004】
制動を行なう場合には、上記シリンダ部6内への圧油の送り込みにより、上記ピストン7で上記インナ側のパッド5bを上記ロータ1の側面に押し付ける。この押し付けの反作用として、上記キャリパ3がインナ側に変位するので、上記キャリパ爪9が上記アウタ側のパッド5aを上記ロータ1の側面に押し付ける。この結果、このロータ1が1対のパッド5a、5bのライニング10a、10bにより両側から強く挟持されて、制動が行なわれる。この制動の際、これら各ライニング10a、10bとロータ1との摩擦に伴って上記各パッド5a、5bに加わる制動トルクは、これら各パッド5a、5bのプレッシャプレート8a、8bを支持した、上記サポート2により支承される。
【0005】
上述の様に構成し作用する従来構造の場合には、上記各パッド5a、5bに伝わる制動トルクの全部を、上記サポート2のうちで上記ロータ1の回出側(ロータ1の回転方向前方で、例えばロータ1が図13の矢印α方向に回転する場合に、同図の右側)部分で支承する。従って、この回出側部分の強度及び剛性を確保すべく、上記サポート2のアウタ側端部に、回入側(ロータ1の回転方向後方で、例えばロータ1が図13の矢印α方向に回転する場合に、同図の左側)、回出側両端部同士を結ぶ連結部11を設けている。
【0006】
上述した従来のディスクブレーキ用板金製サポートの場合、サポート2のアウタ側端部に連結部11を設ける分、材料である厚肉鋼板の歩留が悪くなるだけでなく、ディスクブレーキの設置スペースが嵩む原因となる。例えば、図17は、上述のサポート2と同様の形状のサポートを構成する板金製の素板12を示している。この素板12は、板金を打ち抜く事により全体を環状に形成しており、一端部(図17の下端部)に設けた基板部13と、この基板部13のロータ1(図13、14参照)の周方向(図17の左右方向)両端部に互いに同方向に延出する状態で設けた1対の腕部14、14と、これら両腕部14、14の先端部(図17の上端部)同士を連結した連結部11とを備える。このうちの基板部13は、車体に取り付ける為のインナ側取付部となるものである。又、上記連結部11の両端部に、アウタパッド5a(図13、14参照)を支持する為の1対のアウタパッド支持部16、16を設けている。この様な素板12は、上記各腕部14、14の先半部を、図17の鎖線部分で曲げ加工する事で、全体がL字形の中間素材を造る。この中間素材は、基板部13のロータ1の周方向両端部に、車体に取り付ける為のボルト結合用の1対の第一のねじ孔17(図16参照)を形成すると共に、各腕部14、14の基端部に1対の第二のねじ孔18(図13、15、16参照)を形成する。そして、これら各第二のねじ孔18にガイドピン4a、4b(図13、15、16参照)の基端部を結合固定する事で、サポートの完成品とする。
【0007】
この様な図17に示した素板12の場合、アウタ側端部となる他端部(図17の上端部)に、1対の腕部14、14同士を連結する連結部11が存在する為、この連結部11を設ける分、材料の歩留りが悪くなり、コストが増大する原因となる。又、上記連結部11の存在により、ディスクブレーキを設置する為の広いスペースが必要となり、レイアウト(配置の自由度)が厳しくなる。
【0008】
この様な事情から、従来から、上述の図17に示した素板12で、1対の腕部14、14のアウタ側端部となる端部同士を連結する連結部11を省略した素板により板金製サポートを造る事が考えられている。図18〜20は、この様な素板により造る板金製サポートのうち、特許文献2に記載されたサポート19と、このサポート19を得る為の素板20及び中間素材21とを示している。先ず、図18に示したサポート19は、厚肉鋼板等の板金を曲げ加工する等により一体に造ったもので、基板部13aと、それぞれ1対ずつの、インナパッド支持部24、24と、連結板部22、22と、突出板部23、23とを備える。このうちの基板部13aに、車体への固定の為のボルト取り付け用の第一のねじ孔17、17を形成している。
【0009】
上記1対のインナパッド支持部24、24は、上記基板部13aの周方向中間部2個所位置に、この基板部13aの外周縁側が開口する状態で、それぞれ形成している。これらインナパッド支持部24、24には、互いに対称形の係止切り欠き25、25を形成している。これら各係止切り欠き25、25には、インナパッド5bを構成するプレッシャプレート8bの両端部に形成した係止鉤部26、26を進入させる。この構成により、上記インナパッド5bを、サポート19に対し、ロータ1(図13、14参照)の軸方向の変位自在に、且つ、制動時にこのインナパッド5bに加わる制動トルクを支承自在に支持する。
【0010】
又、上記各連結板部22、22は、上記基板部13aの周方向両端部の外周縁部からアウタ側(図19の表側)に折れ曲がったもので、車体への取付状態では、上記各連結板部22、22の内周面と上記ロータ1の外周縁とが対向する。そして、これら各連結板部22、22の先端部から上記各突出板部23、23が、互いに近づき合う方向に延出している。更に、これら各突出板部23、23の外周縁に係止溝27、27を、それぞれ形成している。これら各係止溝27、27に、アウタパッド5aを構成するプレッシャプレート8aの両端部に設けた鉤部28、28を係止する事で、このアウタパッド5aを、ロータ1の軸方向の変位自在に、且つ、制動時にこのアウタパッド5aに加わる制動トルクを支承自在に支持する。
【0011】
又、上記サポート19には、キャリパ3(図13、14参照)を、ロータ1の軸方向の変位自在に支持する。この為に、上記サポート3のロータ1回入側、回出側両端部に形成した第二のねじ孔18、18に、1対のガイドピン4a、4b(図13、15、16参照)の基端部を螺合・固定する。そして、これら両ガイドピン4a、4bに、キャリパ3の一部に設けたガイドシリンダ部を、ロータ1の軸方向の変位自在に外嵌する。
【0012】
次に、上述のサポート19の製造方法に就いて、図19〜20を用いて説明する。このサポート19を造るには、先ず、厚肉鋼板等の板金を打ち抜き成形する事により、図19に示す様な素板20を造る。この素板20は、基板部13a及びインナパッド支持部24、24に対応する形状を加工している。又、この素板20の周方向両端部に、それぞれが上記各連結板部22、22及び各突出板部23、23(図18参照)を構成する、1対の腕部14a、14aを、互いに同方向に延出させている。
【0013】
次いで、図19に鎖線イ、イで示した部分を直角に曲げる曲げ加工を施す事により、図20に示す、中間素材21とする。即ち、この曲げ加工により、上記基板部13aに対応する部分の両端部外周縁から直角に折れ曲がった、1対の連結板部22、22と、これら各連結板部22、22の先端部に互いに近づく方向に延出した、1対の突出板部23、23とを有する、中間素材21を得る。そして、この中間素材21に、これら各突出板部23、23を所望形状とすると共に、これら各突出板部23、23に各係止溝27、27を形成する為のプレス加工を施す。このプレス加工は、静止型により上記各突出板部23、23に相当する部分の先端面を抑えつつ、この部分を上型と下型との間で挟持する事により行なう。そして、最後に、基板部に第一、第二の各ねじ孔17、18(図18)を形成して、図18に示した様なサポート19の完成品とする。
【0014】
上述の様に、1対の腕部14a、14aの先端部同士を連結部により連結しない素板20により、上記サポート19を製造する場合、この曲げ加工を、従来から一般的に行なわれている製造方法と同様にして行なうと、上記素板20の一部が望まない形状に大きく変形する可能性がある。この為、上述の図19に示した様な、1対の腕部14a、14aの先端部同士を連結部11(図17参照)により連結しない素板20により、所望の形状のサポート19を精度良く造る事が難しい。例えば、図19に示した素板20の基板部13a寄り部分を、金型を構成する上型と下型との間で挟持しつつ、1対の腕部14a、14aの先端寄り部分を下型の上面に押し付けつつ、基板部13a寄り部分を押し下げる事により、これら先端寄り部分を曲げ加工する事を考える。この場合、金型に特別の考慮をしない場合には、曲げ加工時に、曲げの起点となる鎖線イ(図19)はロータ1(図13、14参照)の外周に沿った円弧に近い直線状となっているので、鎖線イ部分で曲げると同図にロで示した部分が内側に入ってしまう。この為、このロで示した先端寄り部分が互いに近づく方向に大きく変位する。そして、1対の腕部14a、14aの先端寄り部分が、図20に矢印ハ、ハで示す方向の、基板部13a側に向け傾斜する様に変形する。しかも、その先端寄り部分の変形量は一定ではなく、その後にこの部分に仕上げ加工を施す作業が困難になる。この様に1対の腕部14a、14aの先端部が望まない形状に変形した場合には、得られたサポート19の各突出板部22、22に係止溝27、27を精度良く加工する事が難しくなる為、これら各突出板部22、22に、アウタパッド5aを構成するプレッシャプレート8aの両端部を良好に支持できなくなる可能性がある。この事は、従来の板金製サポートの製造方法で歩留りが悪化する原因となる。尚、上記曲げの起点となる線(図19の鎖線イ)は、ロータ1の外周に沿った形状の円弧とする事も従来から考えられている。但し、この場合も、1対の腕部14a、14aの先端寄り部分が内側に入ってしまう。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1、2の他に、特許文献3、4がある。
【0015】
【特許文献1】実開昭52−80839号公報
【特許文献2】特開2002−295538号公報
【特許文献3】特開昭57−6138号公報
【特許文献4】特開昭52−72067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明のディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法は、この様な事情に鑑みて、安価且つ小型にできる、アウタ側端部に連結部を設けない、所望の形状を有する板金製サポートを、精度良く実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法は、車輪と共に回転するロータの両側にアウタパッドとインナパッドとを軸方向に変位自在に支持すると共に、これら両パッドを上記ロータの両側面に押し付ける為のキャリパをロータの軸方向に関する変位自在に支持し、車体に取り付ける為にこのロータの一方の側に隣接して設けた基板部と、この基板部に上記インナパッドを支持する為に形成されたインナパッド支持部と、この基板部の周方向両端部から上記ロータの外周縁部を越えて他方の側に伸びた1対の連結板部と、これら両連結板部の先端部から互いに近づき合う方向に延出された1対の突出板部とを備えるディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法である。
そして、本発明のディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法にあっては、板金を打ち抜く事により形成した、基板部と、この基板部の周方向両端部に互いに同方向に延出する1対の腕部とを備えた素板の一部により、上記各連結板部及び各突出板部を構成する為、これら1対の腕部を曲げ加工する際に、これら両腕部の先端部同士の間に配置した受け部材により、これら両腕部の変形を規制する。
尚、本明細書及び特許請求の範囲で、「周方向」とは、特に断らない限りロータの周方向を言い、同じく「軸方向」とは、特に断らない限りロータの軸方向を言い、本明細書で「径方向」とは、特に断らない限りロータの径方向を言う。
【発明の効果】
【0018】
上述の様に構成する本発明のディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法の場合には、得られる板金製サポートのアウタ側端部に、ロータ回入側(ロータの回転方向後側)とロータ回出側(ロータの回転方向前側)とを連結する連結部を設ける必要がなくなる。この為、この連結部を省略できる分、板金製サポートを備えたディスクブレーキのコストを低減できると共に、設置スペースの有効利用を図れる。
しかも、本発明の場合には、この様な板金製サポートを、能率良く、且つ精度良く造れる。即ち、素板に曲げ加工を施す際に、1対の腕部の先端部同士の間に配置した受け部材によりこれら腕部の先端部の変形を規制する為、得られる板金製サポートでの、これら各腕部の先端部の所望形状からのずれを僅少にできる。この為、板金製サポートを、能率良く、且つ精度良く造れる。又、この様な板金製サポートを得る為に、従来から考えられている製造方法に使用する上型と下型との何れかに、受け部材用の部品を設けるだけで良く、製造コストを徒に高くする事がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、上記受け部材を上記曲げ加工の際に使用する下型に一体に結合固定された受け部とすると共に、曲げ加工時に、上記1対の腕部の先端部同士の間にこの受け部を配置し、この受け部の両側面に、これら両腕部の側面を摺動させつつ、これら各腕部に曲げ加工を施す。
この好ましい構成によれば、板金製サポートを、より能率良く、且つ、精度良く造れる。
【実施例1】
【0020】
図1〜10は、本発明のディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法の、実施例1を示している。尚、本実施例の特徴は、板金製のサポート19a(図1)を構成する為の平板状の素板20a(図2)に曲げ加工を施す事により、周方向(図1〜3の左右方向)両端部を略L字形に曲げた中間素材21a(図3)を造る際の方法に工夫した点にある。サポート19aの完成品の構造自体は、前述の図18に示した従来構造のサポート19とほぼ同様であり、上記素板20a及び中間素材21aの基本的構成も、前述の図18〜20に示した従来から知られている製造方法の場合とほぼ同様である。よって、前述の図18〜20に示した従来から知られている製造方法で造る素板20及び中間素材21と同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本実施例の特徴部分、並びに、前述の図18〜20に示した従来から知られている製造方法と異なる部分を中心に説明する。
【0021】
先ず、図1に示した、本実施例の製造方法により得られるサポート19aに就いて説明する。このサポート19aは、前述の図18に示した従来構造のサポート19と同様に、厚肉鋼板等の板金を曲げ加工する等により一体に造ったもので、ロータ1(図13、14参照)に関してインナ側に設ける基板部13aと、それぞれ1対ずつの連結板部22、22及び突出板部23、23とを備える。又、上記基板部13aの外周寄り部分(図1の上端寄り部分)に、インナパッド5bを構成するプレッシャプレート8b(図13、14、18参照)の両端部を係止自在なインナパッド支持部24a、24aを設けている。制動時にロータ1(図13、14参照)からインナパッド5bに加わる制動トルクは、上記各インナパッド支持部24a、24aの内側面(各インナパッド支持部24a、24a同士で互いに対向する側の面)でサポート19に支承される。尚、上記各インナパッド支持部24a、24aの、基板部13aの外周面(図1の上側面)に係止溝を形成し、これら各係止溝に上記インナパッド5bのプレッシャプレート8bの両端部に設けた鉤部を係止自在とする事もできる。一方、アウタ側(図1の表側)に設けた上記各突出板部23、23の外周面(図1の上側面)に係止溝27a、27aを形成しており、これら各係止溝27a、27aに、アウタパッド5aを構成するプレッシャプレート8aの鉤部28、28を係止自在としている。
【0022】
上述の様なサポート19aを得る為に本実施例の場合には、次の様にしてサポート19aを造る。先ず、厚肉鋼板等の板金を打ち抜き成形する事により、図2に示す様な素板20aを造る。この素板20aは、前記基板部13a及びインナパッド支持部24a、24aに対応する形状を加工している。又、この素板20aの周方向両端部に、それぞれが上記各連結板部22、22及び各突出板部23、23(図1参照)を構成する、1対の腕部14b、14bを、互いに同方向に延出させている。又、上記基板部13aの周方向両端部に1対のインナパッド支持部24a、24aを、段付状に互いに同方向に突出する状態で設けている。
【0023】
次いで、図2に鎖線イ、イで示した、ロータ1(図13、14参照)の外周に沿った円弧状部分を直角に曲げる曲げ加工を施す事により、図3に示す、中間素材21aとする。即ち、この曲げ加工により、上記基板部13aに対応する部分の両端部外周縁からほぼ直角に折れ曲がった、1対の連結板部22、22と、これら各連結板部22、22の先端部に互いに近づく方向に延出した、1対の突出板部23、23とを有する、中間素材21aを得る。この為に、本実施例の場合には、図4〜8に示す様な曲げ加工装置29を使用する。この曲げ加工装置29は、互いに上下方向に対向する第一の上型30及び第一の下型31と、互いに上下方向に対向する第二の上型32及び第二の下型33とを備える。このうちの第一の上型30及び第一の下型31は、上記素板20aの基板部13a寄り部分を挟持する機能を有する。又、上記第一の上型30は、上方に設けた支持部分37(図8)と共に昇降自在にとなっている。これに対して、第一の下型31は、基台34の上面に、上下方向に伸縮自在な弾性部材35を介して、昇降自在に支持している。この弾性部材35は、スプリングを備えたもので、曲げ加工の力に対応する為にスプリング力が高く設定されている。又、上記弾性部材35の下端部は、上記基台34の上面に設けられた溝部58に固定されている。
【0024】
又、上記第一の下型31の上面は、上記素板20aの基板部13a寄り部分を、がたつきなく設置可能な形状としている。即ち、上記第一の下型31の上面の一端部(図4〜6、8の右端部)に第一の壁部53を、他端部(図4〜6、8の右端部)の長さ方向(図4、6の上下方向、図5、8の表裏方向)中央部に第二の壁部54をそれぞれ形成している。又、上記第一の壁部53の片面(図4〜6、8の左側面)に、上記素板20aの基端部に設けた1対の突部55、55を進入自在な凹部56、56を形成している。上記第一の下型31の上面のうち、上記第一、第二の壁部53、54から外れた部分を、上記基板部13a寄り部分を載置自在な載置面41としている。上記基板部13aに設けた凹部57内に上記第二の壁部54を進入させつつ、上記載置面41に上記基板部13a寄り部分を設置した状態で、上記素板20aの第一の下型31に対するずれを、上記第一、第二の壁部53、54により規制する。
【0025】
一方、上記第二の上型32は、下方に突出する1対の脚部36、36を有するもので、上記支持部分37(図8)と共に昇降自在となっている。これら各脚部36、36の下面は、水平方向に対し、先端に向かう程第一の上型30及び第一の下型31から離れる方向に傾斜した、第一の傾斜面38、38としている。又、上記第二の下型33は、上記基台34の上面に、上記第一の下型31に対する水平方向の遠近動を可能に支持しており、片側(図4〜6、8の左側)上面に、それぞれが上記各第一の傾斜面38、38と平行な、水平方向に対し傾斜した1対の第二の傾斜面39、39を形成している。この様な構成により、上記第二の上型32が下降するのに伴って、上記各第一の傾斜面38、38と各第二の傾斜面39、39とが係合すると、これら両傾斜面38、39同士の押し付け合いにより、上記第二の下型33が上記第一の下型31に近づく方向(図4〜6、8の右方)に移動する。即ち、上記各第一、第二の傾斜面38、39がカム面としての役目を果たす。又、上記第二の下型33の他側(図4〜6、8の右側)上面に、下方に向かう程第一の下型31に近づく方向に傾斜した傾斜面40を形成している。又、この傾斜面40は、上記第一の下型31の上面に設けた、上記素板20aを設置可能な載置面41を含む仮想平面に対し、ほぼ直交している。
【0026】
特に、本実施例の場合には、上記第二の下型33の他側上面で、傾斜面40を形成した部分の幅方向(図4、6の上下方向、図5、8の裏表方向)中央部に、受け部となる受け部材42を結合固定している。この受け部材42は、直方体状で、ボルト等の締結部材により、上記第二の下型33に一体に結合固定している。そして、この受け部材42の幅方向(図4、6の上下方向、図5、8の裏表方向)両側面を、互いに平行な平坦面43、43としている。例えば、締結部材としてボルトを使用する場合には、上記受け部材42の厚さ方向に貫通する図示しない通孔に挿通させたボルトの先端部を、上記第二の下型33に形成した図示しないねじ孔に螺合・緊締する事で、上記受け部材42をこの第二の下型33に一体に結合固定する。
【0027】
更に、上記受け部材42の各平坦面43、43同士の間隔(幅方向の全長)L42(図4)は、上記素板20aの1対の腕部14b、14bの先端部内側面同士の間隔L14b (図2)よりも僅かに小さくしている(L42<。L14b )例えば、上記第一の下型31の上面に設けた載置面41に上記素板20aの基板部13a寄り部分を設置し、この素板20aの1対の腕部14b、14bの先端部内側面同士の間に上記受け部材42を位置させた状態で、これら内側面とこの受け部材の各平坦面43、43とを、それぞれ0.1mm以下の隙間を介して対向させる。
【0028】
上述の様に構成する曲げ加工装置29により、上記素板20aを曲げ加工する作業は、次の様にして行なう。先ず、上記第一の上型30と第一の下型31とを上下方向に離隔させた状態で、この第一の下型31の載置面41に、素材20aの基板部13a寄り部分を設置する。又、この素材20aの1対の腕部14b、14bの先端部の間に、上記第二の下型33に結合固定した受け部材42を位置させる。この状態で、第一の上型30を下降させ、上記素材20aを、この第一の上型30と上記第一の下型31との間で挟持し、加圧する。又、これに伴って、この第一の下型31を下降させる。そして、上記第一の上型30が第一の下型31との間で素材20aを挟持するのよりも少し遅れて、前記第二の上型32の下降により、第一、第二の各傾斜面面38、39同士の押し付け合いを行なわせ、前記第二の下型33を上記第一の下型31に向け移動させる。この結果、上記素板20aの1対の腕部14b、14bの先半部を上記第二の下型33の上面に押し付けつつ、上記素板20aの基板部13a寄り部分が上記第一の上型30及び第一の下型31により下方に押し下げられる。そして、上記1対の腕部14b、14bが、前記図2の鎖線イ部分に沿って略L字形に曲げられ、図8に示す様に、1対ずつの連結板部22と突出板部23とを備えた中間素材21aとなる。尚、曲げの起点となる鎖線イは、図2の様な円弧状ではなく、図19に示した様な直線状とする事もできる。
【0029】
又、この様な曲げ加工に伴って、鎖線イ部分に沿って直角に曲げられるので、上記1対の腕部14b、14bの先端部内側面が互いに近づく方向に力が加わる。そして、これら内側面が上記受け部材42の各平坦面43、43に対し、直線方向又は曲線方向に、又はこれらを組み合わせながら相対移動しつつ摺接する。これにより、上記各腕部14b、14bの先端部の変形が、この受け部材43により規制される。更に、上記第一、第二の上型30、32がストロークの最下点(下死点)に達した状態で、図8に示す様に、この第一の上型30の下面と、第二の下型33の上面との間で上記突出板部23の先端部を含む上記素板20aが押圧されて、これら各突出板部23の先端部が所望の形状に矯正される。そして、上述の様に、曲げ加工時に上記各腕部14b、14bの先端部が変形しようとして、これら各先端部の内側面が受け部材42の各平坦面43、43に摺接し、そのまま上記各突出板部23の先端部内側面が互いの精度を維持する。
【0030】
この様に上記素材20aは、曲げ加工装置29により周方向両端部を曲げられて、図3に示した様な、1対ずつの連結板部22、22と突出板部23、23とを備えた中間素材21aとなる。曲げ加工後、第一の上型30と第二の上型32とは元の位置に上昇し、第二の下型33も第一の下型31から離れる方向に移動するので、上記中間素材21aを上記曲げ加工装置29から容易に取り外せる。尚、第二の上型32の上昇後は、第二の下型33が、引っ張りばねを備えた図示しない移動機構により図8の左方に引っ張られる。
【0031】
次に、この中間素材21aは、次の工程で、各突出板部23、23に係止溝27a、27a(図1)を形成するプレス加工を施して、第二中間素材52(図9、10)とする。即ち、このプレス加工は、図3に示した中間素材21aの各突出板部23、23に、図9に示す様に、係止溝27aを形成する為のもので、図10に示す様に、押型44と受型45との間で上記各突出板部23を挟持して、これら各突出板部23を押圧する。又、このプレス加工の際、これら各突出板部23の先端面(図9、10の右側面)を静止型46により抑える。尚、この静止型46と上記受型45とは、一体とする事もできる。
【0032】
又、本実施例の場合には、上記押型44の、上記各突出板部23と対向する片面(図10の下面)に、上記各係止溝27aを形成する為の押し部47を突出形成している。又、上記受型45の片面(図10の上面)で、この押し部47と上記各突出板部23を介して対向する部分に、凹部48を形成している。更に、この凹部48内の容積を、上記押し部47のうちの上記係止溝27aを形成する部分(図10に梨地で示す部分)の容積とほぼ同じか、これよりも僅かに小さく(上記押し部47の上記係止溝27aを形成する部分の容積に対して0〜5%程度小さく)している。又、上記押し部47及び凹部48の、上記押型44及び受型45の厚さ方向(図10の表裏方向)の寸法を、互いにほぼ同じとしている。上記各係止溝27aを形成する場合、上記各突出板部23を上記押型44と受型45との間で押圧する。これにより、これら各突出板部23が押し部47により塑性変形させられて、これら各突出板部23の片面である外周面(図9、10の上面)に、前記ロータ1の径方向(図9、10の上下方向)に凹んだ係止溝27aが形成される。又、これと同時に、上記各突出板部23の係止溝27aと反対側の他面である内周面(図9、10の下面)に突部49が形成される。この突部49は、上記受型45の凹部48内に進入する。この結果、各突出板部23の係止溝27aの容積と、各突部49の容積(図10に斜格子で示す部分の容積)とはほぼ同じになる。
【0033】
この様にして、各突出板部23に係止溝27aを形成した第二中間素材52は、次の工程で、基板部13aに第一、第二のねじ孔17(図1に第一のねじ孔17のみを記載し、第二のねじ孔の図示は省略する。)を形成する事により、前述の図1に示したサポート19aの完成品とする。この様なサポート19aの使用時には、アウタパッド5aを構成するプレッシャプレート8aの両端部に形成した鉤部28、28を、上記各突出板部23の係止溝27aに、ロータ1の軸方向の変位自在に係止する。制動時にアウタパッド5aに加わる制動トルクは、上記各鉤部28、28及び各係止溝27a、27aによりサポート19aに支承自在となる。又、各インナパッド支持部24a、24aには、インナ側のパッド5bを構成するプレッシャプレート8b(図13、14参照)の両端部を、ロータ1の軸方向の変位自在に係止する。又、上記サポート19aの基板部13aに形成した第一のねじ孔17、17に螺合、緊締したボルトにより、上記基板部13aを車体に結合固定すると共に、上記第二のねじ孔に、キャリパ3を支持する為のガイドピン4a、4b(図13、14参照)の基端部を結合固定する。この部分の構成及び作用に就いては、前述の図13〜14に示した構造を含め、従来から広く知られているものであるから、詳しい図示並びに説明は省略する。
【0034】
上述の様に構成する本発明のディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法の場合には、得られるサポート19aのアウタ側端部(図1の表側端部)に、ロータ1回入側(ロータ1の回転方向後側)とロータ1回出側(ロータ1の回転方向前側)とを連結する連結部を設ける必要がなくなる。この為、この連結部を省略できる分、サポート19aを備えたディスクブレーキのコストを低減できると共に、設置スペースの有効利用を図れる。
しかも、本発明の場合には、この様なサポート19aを、能率良く、且つ精度良く造れる。即ち、素板20aに曲げ加工を施す際に、1対の腕部14b、14bの先端部同士の間に配置した受け部材42によりこれら腕部14b、14bの先端部の変形を規制する。この為、得られるサポート19aでの、これら各腕部14b、14bの先端部の所望形状からのずれを僅少にできる。この為、サポート19aを、能率良く、且つ精度良く造れる。例えば、上記素板20aに曲げ加工を施す際に、前述の図4〜8に示した曲げ加工装置29で、第二の下型33に受け部材42を設けないものを使用した場合、上記曲げ加工に伴って、素板20aの1対の腕部14b、14bの先端部が基板部13a側に近づく様に変形する。この場合には、各突出板部23、23の先端部が互いにハ字形に傾斜して、各突出板部23、23に係止溝27a、27aを精度良く形成する事が難しくなる。
【0035】
又、本実施例の場合には、上述の様なサポート19aの完成品を得る為に、従来から考えられている製造方法に使用する、第二の下型33に、受け部材42を設けるだけで良く、製造コストを徒に高くする事がない。
【0036】
又、本実施例の場合には、上記受け部材42を、上記曲げ加工に使用する第二の下型33に一体に結合固定すると共に、曲げ加工時に、上記1対の腕部14b、14bの先端部同士の間に配置した上記受け部材42の両側面に、これら両腕部14b、14bの側面を摺動させつつ、これら各腕部14b、14bに曲げ加工を施している。この為、上記サポート19aを、より能率良く、且つ、精度良く造れる。
【0037】
更に、本実施例の場合には、上記素板20aの1対の腕部14b、14bを曲げ加工する事により、1対ずつの連結板部22、22と突出板部23、23とを構成した後、これら各突出板部23、23を押型44と受型45との間で押圧して上記各係止溝27aを形成する際に、この受型45として、上記押型44の押し部47と対向する部分に凹部48を形成したものを使用している。又、これら凹部48内の容積を、上記各押し部47のうちの上記各係止溝27aを形成する部分の容積と同じか、又はこれよりも僅かに小さくしている。そして、上記各突出板部23、23を上記押型44と受型45との間で押圧する事により、これら各突出板部23、23の各係止溝27aと反対側の他面である内周面に突部49を形成している。この為、上記各突出板部23、23のうち、上記各係止溝27aの精度が良好となり、アウタパッド5aの鉤部28との係合精度が向上し、制動トルクをサポート19aに円滑に伝達できる。又、係止溝27aを形成した部分の板厚が過度に小さくなる事を防止できる。しかも各突出板部23、23を押型44と受型45との間で押圧する際の加圧力を小さく抑える事ができる。この為、この押圧の作業に使用する金型の寿命の向上を図れて、サポート19aの単品当たりの製造コストの低減を図れる。又、上記加圧力を小さくできる為、このサポート19aのインナ側、及びアウタ側を含めた、全体形状の精度を高める事ができ、歩留りの向上を図れる。
【0038】
又、従来から一般的に行なわれている単なるコイニング加工の場合、被加工物の一部を加圧し、この一部の肉厚を減少させるので、製品に内部応力が発生し、この製品全体に内部歪み(変形)を長期間に亙り残留させてしまう可能性がある。これに対して、本実施例の場合には、上述の様にして係止溝27aを形成する為、係止溝27aの精度が良好となって、アウタパッド5aとの係合精度も向上し、制動トルクのサポート19aへの伝達が円滑になる。又、製品内部に内部歪みが残留する事を少なく抑える事ができ、製品全体の形状精度を高くでき、信頼性向上を図れる。又、被加工部である、各突出板部23の肉厚が過度に小さくなる事を防止できると共に、後工程でトリミングせずに済む為、圧延により得られた鋼板等の板金の繊維状組織の流れが切断されずに済む。この為、サポート19aのアウタ側端部の強度が低下する事を防止できる。例えば、上記各係止溝27を従来から一般的に行なわれている単なるコイニング加工により加工する場合、サポート19aの基板部13aの厚さ方向側面の平面度が1.9〜2.1mmとなり、中央部がインナ側(反ロータ1側)に変形する可能性がある。又、この場合には、各係止溝27aの、ロータ1の軸方向に関する寸法が小さくなり、しかもその製造誤差が0.7mmと大きくなる可能性がある。
【0039】
尚、各突出板部23に形成する係止溝27a及び突部49の形状は、前述の図1、9、10に示した様な形状に限定するものではなく、例えば、図11(a)〜(c)に示す別例の3例の係止溝27b〜27d及び凸部49a〜49cの様に、種々の形状とする事もできる。
【実施例2】
【0040】
次に、図12は、本発明の実施例2の板金製サポートの製造方法を示している。本実施例の場合には、1枚の矩形状の板金50の3個所位置を打ち抜く事により、それぞれが上述の実施例1で示した、サポート19aを構成する素板20aと同形状の、3個の素板51a〜51cを造る。これら各素板51a〜51cは、互いに同形状である。又、本実施例の場合には、上記板金50のうち、上記各素板51a〜51cのうちの2個の素板51a、51cを打ち抜く部分を、板金50の幅方向(図12の左右方向)に関して同位置で、長さ方向(図12の上下方向)に離隔した位置に存在する、互いに同方向に向いた形状としている。
【0041】
そして、上記板金50のうち、長さ方向に関して、上記2個の素板51a、51cを打ち抜く部分の間を、残りの素板51bを打ち抜く部分としている。この残りの素板51bは、上記板金50のうち、上記2個の素板51a、51cを打ち抜く部分とは異なる方向に向いた形状を打ち抜く事により造る。又、上記残りの素板51bを打ち抜く部分の1対の腕部24a、24aとなる部分同士の間に、上記2個の素板51a、51cのうち、一方(図12の下方)の素板51cを打ち抜く部分の一方(図12の右方)の腕部14bとなる部分が進入する様にする。即ち、上記残りの素板51bと一方の素板51cとの各腕部14b、14bとなる部分を、板金50の幅方向に重畳させると共に、これら各腕部14b、14bとなる部分を、上記残りの素板51bとなる部分と上記一方の素板51cとなる部分とで、幅方向に交互に位置させる。この様にして板金50を打ち抜く事により得られた3個の素板51a〜51cは、その後の工程で、曲げ加工、プレス加工等を施す事により、3個のサポート19a(図1参照)の完成品とする。勿論、板金50から2個のサポート19aや、4個のサポート19aの完成品を造る事もできる。
【0042】
この様な本実施例によれば、矩形状の板金50のうち、総て互いに同じ向きの同形状を打ち抜く事により、複数の同形状の素板を造る場合と異なり、板金50の無駄となる部分の面積を十分に小さくでき、歩留りの向上を図れる。即ち、上記板金50のうち、総て互いに同じ向きの同形状を打ち抜く場合には、この板金50の長さ方向寸法を徒に大きくする必要があり、しかも1対の腕部14b、14b同士の間となる部分の材料が徒に無駄になる。これに対して、本実施例の場合には、少なくとも2個の素板51b、51cの1対の腕部14b、14bとなる部分同士の間の材料が無駄になるのを少なくできる。
その他の構成及び作用に就いては、上述の実施例1と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する図示並びに説明は省略する。
【0043】
尚、本実施例の様に、1枚の板金50から3個のサポート19aを造る場合に限らず、ロール状の長い板金50から連続して多くのサポート19aを造る事もできる。例えば、図12に二点鎖線ニで示す様に、板金50の上下に長い板金を連結した如き形状のロール状の板金とした場合に、上記板金50の上側に相当する位置に、同図の3個の素板51a〜51cとなる部分のうち、最も上側の素板51aとなる部分と逆向き、即ち、素板51bと同じ向きに、この素板51aを構成する1対の腕部14b、14bとなる部分の間に、その一方の腕部となる部分が進入する様に、別の1個の素板を打ち抜く部分とする。そして、更にその上側に順次、素板となる部分を向きが交互に逆になる様に組み合わせていく。この様に、矩形状の板金50により複数個の素板を造る場合には、歩留りをより向上させる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1の製造方法により得られるサポートを、アウタパッドと組合せた状態で示す図。
【図2】図1に示したサポートを構成する為に最初に造る素板を示す図。
【図3】この素板に曲げ加工を施す事により得られる中間素材を示す図。
【図4】この中間素材を得る為の曲げ加工装置の下型部分を、素板を設置した状態で示す略平面図。
【図5】図4のA−A断面図。
【図6】上記曲げ加工装置の下型部分の一部を、上方から見た斜視図。
【図7】同じく第二の上型及び第二の下型の一部を、図6の左方から見た斜視図。
【図8】上記曲げ加工装置により素板に曲げ加工を施す場合の曲げ加工の最終段階を示す、図5と同様の図。
【図9】中間素材の突出板部に係止溝を形成する事により第二中間素材とした状態を示す、図1のB部拡大相当図。
【図10】この係止溝を形成すべく突出板部にプレス加工を施す状態を示す、図9と同様の図。
【図11】突出板部に形成する係止溝及び突部の別形状の3例を示す、図9と同様の図。
【図12】本発明の実施例2の製造方法に於ける、3個所位置を打ち抜いて3個の素板を造る為の板金を示す図。
【図13】ディスクブレーキの従来構造の1例を、一部を切断して外径側から見た図。
【図14】図13のC−C断面図。
【図15】図13のサポートのみを取り出して外径側から見た図。
【図16】図15の下方に相当するインナ側から見た図。
【図17】図13のサポートと同様のサポートを構成する為に最初に造る、1対の腕部の先端部同士を連結部により連結した素板を示す図。
【図18】従来例の別例のサポートを、アウタ、インナ両パッドを組合せて示す図。
【図19】図18のサポートを構成する為に最初に造る素板を示す図。
【図20】この素板に曲げ加工を施す事により得られる中間素材を示す図。
【符号の説明】
【0045】
1 ロータ
2 サポート
3 キャリパ
4a、4b ガイドピン
5a アウタパッド
5b インナパッド
6 シリンダ部
7 ピストン
8a、8b プレッシャプレート
9 キャリパ爪
10a、10b ライニング
11 連結部
12 素板
13、13a 基板部
14、14a、14b 腕部
16 アウタパッド支持部
17 第一のねじ孔
18 第二のねじ孔
19、19a サポート
20、20a 素板
21、21a、21b 中間素材
22 連結板部
23 突出板部
24、24a インナパッド支持部
25 係止切り欠き
26 係止鉤部
27、27a〜27d 係止溝
28 鉤部
29 曲げ加工装置
30 第一の上型
31 第一の下型
32 第二の上型
33 第二の下型
34 基台
35 弾性部材
36 脚部
37 支持部分
38 第一の傾斜面
39 第二の傾斜面
40 傾斜面
41 載置面
42 受け部材
43 平坦面
44 押型
45 受型
46 静止型
47 押し部
48 凹部
49、49a〜49c 突部
50 板金
51a〜51c 素板
52 第二中間素材
53 第一の壁部
54 第二の壁部
55 突部
56 凹部
57 凹部
58 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と共に回転するロータの両側にアウタパッドとインナパッドとを軸方向に変位自在に支持すると共に、これら両パッドを上記ロータの両側面に押し付ける為のキャリパをロータの軸方向に関する変位自在に支持し、車体に取り付ける為にこのロータの一方の側に隣接して設けた基板部と、この基板部に上記インナパッドを支持する為に形成されたインナパッド支持部と、この基板部の周方向両端部から上記ロータの外周縁部を越えて他方の側に伸びた1対の連結板部と、これら両連結板部の先端部から互いに近づき合う方向に延出された1対の突出板部とを備えるディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法であって、
板金を打ち抜く事により形成した、基板部と、この基板部の周方向両端部に互いに同方向に延出する1対の腕部とを備えた素板の一部により、上記各連結板部及び各突出板部を構成する為、これら1対の腕部を曲げ加工する際に、これら両腕部の先端部同士の間に配置した受け部材により、これら両腕部の変形を規制するディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法。
【請求項2】
上記受け部材が曲げ加工の際に使用する下型に一体に結合固定された受け部であり、曲げ加工時に、上記1対の腕部の先端部同士の間にこの受け部を配置し、この受け部の両側面に、これら両腕部の側面を摺動させつつ、これら各腕部に曲げ加工を施す、請求項1に記載したディスクブレーキ用板金製サポートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−64380(P2007−64380A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251717(P2005−251717)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】