説明

トイレ装置

【課題】利用者の負担を低減することが可能で、臭気の漏れを確実に防ぐことが可能なトイレ装置を提供する。
【解決手段】トイレ装置1Aは、本体部2Aに開閉可能に設けられる便座3Aと、便座3Aを開閉可能に覆う座面部4Aと、本体部2Aに着脱可能に支持されると共に、排泄物を受容して貯留する貯留ポット5Aと、貯留ポット5Aに着脱可能に設けられるポット蓋6Aを備える。トイレ装置は、貯留ポット5Aの開口部に嵌まるポット蓋6Aを、便座3Aの下側に設けた開閉空間23Aで上下動させると共に横動させて、貯留ポット5Aの開口部を開閉するポット蓋駆動機構7Aと、ポット蓋6Aとポット蓋駆動機構7Aとを係脱させる係脱機構8Aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居室等に設置されて使用されるトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、介護等を必要とする人のために、居室等に設置されて使用されるトイレ装置が提案されている。このようなトイレ装置は、トイレとして使用していない未使用時には、椅子等の家具調の形態となるように構成されているものがある。
【0003】
このような椅子型のトイレ装置は、便座を開閉可能に覆う座面部が設けられ、トイレとしての未使用時には座面部を閉じて椅子としての使用を可能とし、トイレとして使用する際は、座面部を開けることで便座に着座が可能となる構成である。
【0004】
また、トイレ装置を下水道と接続せずに使用可能とするため、トイレ装置には排泄物等を受容して貯留する貯留ポットが設けられる。貯留ポットには、未使用時の臭気の漏れを防ぐために、着脱可能なポット蓋が設けられる。
【0005】
従来のトイレ装置は、トイレとして使用するためには、座面部を開閉する動作に加えて、ポット蓋を着脱するため、便座を開閉する動作と、ポット蓋を着脱する動作が必要である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一方、ポット蓋の着脱のために必要な便座の開閉を省略できるようにするため、便座部の開口部を通してポット蓋の着脱を可能とすると共に、便座を開閉する蓋体の裏面にポット蓋の取り付けと取り外しを可能として、蓋体の開閉でポット蓋の着脱を可能とした技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、貯留ポットの開口部をスライド移動で開閉するシートを設けると共に、シートを駆動するモータを設けた技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−212217号公報
【特許文献2】特開平11−313781号公報
【特許文献3】特開2002−010951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
文献1に記載のトイレ装置では、トイレとして使用する際に、便座の開閉動作とポット蓋の着脱動作が必要で、利用者の負担が大きい。これに対して、文献2のトイレ装置では、利用者の負担は低減できるが、貯留ポットの開口部の大きさを、便座の開口部の大きさより小さくしなければいけないので、排泄物等の飛散による汚れの付着が多くなる。
【0010】
文献3のトイレ装置でも、利用者の負担は低減できるが、貯留ポットの開口部をスライド移動するシートで開閉する構成であるので、臭気の漏れを十分に抑えることができない。また、貯留ポットを着脱する際には、シートはトイレ装置側に取り付けられているので、貯留ポットの開口部を閉塞することはできず、臭気の漏れを防ぐことができない。更に、シートの着脱は容易に行えないので、シートを洗浄することができない。また、シートはモータで開閉するので、停電時や、電気の供給がない場所では使用できない。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、利用者の負担を低減することが可能で、臭気の漏れを確実に防ぐことが可能なトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため、本発明は、排泄物を受容して貯留する貯留ポットと、貯留ポットに着脱可能に設けられ、貯留ポットの開口部に嵌まり貯留ポットの開口部を閉塞するポット蓋と、貯留ポットを着脱可能に支持する支持部を有すると共に、支持部に取り付けられた貯留ポットの上方に、ポット蓋が移動する開閉空間を有した本体部と、開閉空間の上方に設けられ、本体部に回転可能に支持される便座と、貯留ポットの開口部に嵌まるポット蓋を、開閉空間で上下動させると共に横動させて、貯留ポットの開口部を開閉するポット蓋駆動手段と、ポット蓋とポット蓋駆動手段とを係脱させ、ポット蓋駆動手段によるポット蓋の開閉と、ポット蓋で開口部が閉塞された貯留ポットの本体部に対する着脱及び本体部に支持された貯留ポットに対するポット蓋の着脱を切り換える係脱手段とを備えたトイレ装置である。
【0013】
本発明のトイレ装置では、便座が閉じた状態で、便座の下側でポット蓋を開閉させて、トイレとしての使用が可能となる。ポット蓋は、上下動と横動によって貯留ポットの開口部を開閉するので、閉塞時にはポット蓋が貯留ポットに嵌まる構成として、臭気の漏れを防ぐ。
【0014】
また、洗浄時等は、便座を開けることで、ポット蓋で閉塞された貯留ポットを、本体部に対してポット蓋と共に着脱可能となる。更に、便座を開けることで、貯留ポットに対してポット蓋を単体で着脱することも可能であって、ポット蓋をモータで開閉する構成としつつ、停電時等にもトイレとしての使用が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトイレ装置によれば、ポット蓋の開閉のために、便座を開ける必要がなく、また、人手でポット蓋を持って開ける必要もないので、利用者の負担を軽減することができる。
【0016】
また、本発明のトイレ装置によれば、貯留ポットの開口部にポット蓋が嵌まる構成であっても、ポット蓋の開閉が可能であり、ポット蓋が閉位置にある状態での臭気の漏れを確実に防止することができる。
【0017】
更に、本発明のトイレ装置によれば、閉じた状態の便座の下側でポット蓋が開閉動作を行う構成で、便座の開口部を通過させてポット蓋の着脱を行うような構成とする必要がない。これにより、貯留ポットの開口部を、便座の開口部に対して大きくすることができ、排泄物の飛散等による汚れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図である。
【図2】第1の実施の形態のトイレ装置の使用時の一例を示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態のトイレ装置の未使用時の一例を示す斜視図である。
【図4】第1の実施の形態のトイレ装置の一例を示す分解斜視図である。
【図5】第1の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す全体斜視図である。
【図6】第1の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す全体斜視図である。
【図7】第1の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部斜視図である。
【図8】第1の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部斜視図である。
【図9】第1の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部断面図である。
【図10】第1の実施の形態のトイレ装置の制御機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図11】第1の実施の形態のトイレ装置の動作の一例を示す側断面図である。
【図12】第1の実施の形態のトイレ装置の動作の一例を示す側断面図である。
【図13】第1の実施の形態のポット蓋開閉機構の動作の一例を示す側断面図である。
【図14】第1の実施の形態のポット蓋開閉機構の動作の一例を示す側断面図である。
【図15】第2の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図である。
【図16】第2の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図である。
【図17】第2の実施の形態のトイレ装置の一例を示す斜視図である。
【図18】第2の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部斜視図である。
【図19】第2の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部斜視図である。
【図20】第2の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部断面図である。
【図21】第3の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図である。
【図22】第3の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図である。
【図23】第3の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部斜視図である。
【図24】第3の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部斜視図である。
【図25】第4の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図である。
【図26】第4の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図である。
【図27】第4の実施の形態のトイレ装置の一例を示す底面図である。
【図28】第4の実施の形態のトイレ装置の一例を示す底面図である。
【図29】第5の実施の形態のトイレ装置の一例を示す斜視図である。
【図30】第5の実施の形態のトイレ装置の一例を示す斜視図である。
【図31】第5の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側面図である。
【図32】第5の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側面図である。
【図33】操作力伝達切替機構の一例を示す斜視図である。
【図34】第6の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図である。
【図35】第6の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図である。
【図36】操作力伝達切替機構の一例を示す斜視図である。
【図37】貯留ポットの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明のトイレ装置の実施の形態について説明する。
【0020】
<第1の実施の形態のトイレ装置の構成例>
図1は、第1の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図、図2は、第1の実施の形態のトイレ装置の使用時の一例を示す斜視図、図3は、第1の実施の形態のトイレ装置の未使用時の一例を示す斜視図、図4は、第1の実施の形態のトイレ装置の一例を示す分解斜視図である。
【0021】
第1の実施の形態のトイレ装置1Aは、本例では椅子型を成す本体部2Aと、本体部2Aに回転動作で開閉可能に設けられ、閉じた状態とすることで使用者が着座して用便可能な便座3Aと、本体部2Aに設けられ、便座3Aを開閉可能に覆う座面部4Aを備える。
【0022】
また、トイレ装置1Aは、本体部2Aに着脱可能に支持されると共に、排泄物を受容して貯留する貯留ポット5Aと、貯留ポット5Aに着脱可能に設けられるポット蓋6Aを備える。
【0023】
更に、トイレ装置1Aは、便座3Aの下側でポット蓋6Aを開閉するポット蓋駆動機構7Aと、ポット蓋6Aとポット蓋駆動機構7Aを係合して駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Aとポット蓋駆動機構7Aを係脱させる係脱機構8Aを備える。
【0024】
これにより、トイレ装置1Aでは、便座3Aが閉じた状態で、便座3Aの下側でポット蓋6Aを開閉させて、トイレとしての使用を可能にすると共に、便座3Aを開けることで、ポット蓋6Aで閉塞された貯留ポット5Aを、本体部2Aに対してポット蓋6Aと共に着脱可能とする。また、便座3Aを開けることで、貯留ポット5Aに対してポット蓋6Aを単体で着脱することも可能であって、ポット蓋駆動機構7Aによるポット蓋6Aの開閉動作が行えない停電時等でもトイレとしての使用を可能とする。
【0025】
以下に、トイレ装置1Aの構成について詳細すると、本体部2Aは、脚部及び背もたれ部を有した椅子状の枠部材20Aと、枠部材20Aに取り付けられ、貯留ポット5Aを着脱可能に支持する支持部材21Aを備える。
【0026】
支持部材21Aは、貯留ポット5Aが嵌まる開口を設けて構成され、貯留ポット5Aを上下方向に移動させることで着脱可能とする支持部22Aを備える。また、支持部材21Aは、支持部22Aの上方に凹状の空間を設けて構成され、支持部22Aに支持された貯留ポット5Aに対してポット蓋6Aを上下方向に移動可能とすると共に、貯留ポット5Aに対して上方に移動したポット蓋6Aを横方向、本例では後方に移動可能とする開閉空間23Aを備える。
【0027】
便座3Aは、支持部材21Aで本体部2Aに支持された貯留ポット5Aに合わせて開口部30Aが位置するように、支持部材21Aの上側で本体部2Aに取り付けられる。
【0028】
便座3Aは、後端側に設けた軸31Aにより本体部2Aに対して回転動作で開閉可能に支持され、軸31Aを支点とした回転動作で閉位置とすると、開口部30Aが貯留ポット5Aと対向する閉じた状態となると共に、貯留ポット5Aとの間に開閉空間23Aが形成される。また、前端側を持ち上げる回転動作で開位置とすると、貯留ポット5Aの上方を開くことが可能である。
【0029】
座面部4Aは、本例では分割された複数の座面を折り畳むことで、便座3Aを開閉可能に覆う構成で、第1の座面40Aと、第1の座面40Aとヒンジ部41Aで回転可能に連結される第2の座面42Aを備え、第1の座面40Aが軸43Aで本体部2Aに回転可能に支持される。
【0030】
座面部4Aは、軸43Aを支点とした回転動作で閉位置とすると、第1の座面40Aと第2の座面42Aが平板状に展開して便座3Aを覆い、通常の椅子としての使用が可能となる。また、座面部4Aは、軸43Aを支点にした回転動作で開位置とすると、第1の座面40Aと第2の座面42Aがヒンジ部41Aで折り畳まれる形態で便座3Aの後方に退避して、便座3Aの上方を開くことが可能である。
【0031】
貯留ポット5Aは、上面に開口部50Aが設けられた有底状で、開口部50Aの外周に、外側に向かって突出したフランジ部51Aが設けられる。また、貯留ポット5Aは、出没可能なハンドル部52Aが設けられる。貯留ポット5Aは、支持部材21Aの支持部22Aにフランジ部51Aが載る形態で、支持部材21Aに着脱可能に支持される。
【0032】
また、貯留ポット5Aは、ハンドル部52Aを開口部50Aの上方に突出させることで、ハンドル部52Aを把持して本体部2Aに対する着脱が可能であると共に、ハンドル部52Aをフランジ部51Aに沿った位置に退避させることで、ポット蓋6Aの開閉が可能である。
【0033】
ポット蓋6Aは、上面に設けられた把持部60Aと、貯留ポット5Aの開口部50Aの形状に合わせた嵌合凸部61Aと、嵌合凸部61Aの外周から外側に向かって突出したフランジ部62Aと、ポット蓋駆動機構7Aから駆動力を受けると共に、ポット蓋駆動機構7Aと係脱する駆動力受け部63Aを備える。
【0034】
ポット蓋6Aは、把持部60Aを持つことで、人手による貯留ポット5Aに対する着脱が可能である。また、ポット蓋6Aは、貯留ポット5Aの開口部50Aに嵌合凸部61Aが嵌まることで、フランジ部62Aが貯留ポット5Aの開口部50Aに載り、貯留ポット5Aに取り付けられる。
【0035】
駆動力受け部63Aは駆動力受け手段の一例で、ポット蓋6Aが貯留ポット5Aに取り付けられた状態で、貯留ポット5Aの外側に突出したフランジ部62Aに設けられる。駆動力受け部63Aの構成の詳細は後述するが、支持部材21Aに支持された貯留ポット5Aにポット蓋6Aが取り付けられると、駆動力受け部63Aはポット蓋駆動機構7Aと係合し、ポット蓋駆動機構7Aからの駆動力の伝達を受ける。
【0036】
そして、ポット蓋駆動機構7Aの動作との協働で、貯留ポット5Aに対してポット蓋6Aを上下方向に移動させると共に、貯留ポット5Aに対して上方に移動したポット蓋6Aを前方及び後方に移動させて、ポット蓋6Aの開閉が行われる。
【0037】
また、ポット蓋6Aで閉塞された貯留ポット5Aを持ち上げる動きで、駆動力受け部63Aはポット蓋駆動機構7Aと脱離し、本体部2Aに対して貯留ポット5Aがポット蓋6Aと共に着脱可能となる。更に、ポット蓋6Aを貯留ポット5Aに対して持ち上げる動きでも、駆動力受け部63Aはポット蓋駆動機構7Aと脱離し、貯留ポット5Aに対してポット蓋6Aが着脱可能となる。
【0038】
図5及び図6は、第1の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す全体斜視図で、図5は、ポット蓋6Aが閉位置にある状態を示し、図6は、ポット蓋6Aが開位置ある状態を示す。また、図7及び図8は、第1の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部斜視図で、図7は、ポット蓋6Aが閉位置にある状態を示し、図8は、ポット蓋6Aが開位置ある状態を示す。更に、図9は、第1の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部断面図である。
【0039】
ポット蓋駆動機構7Aはポット蓋駆動手段の一例で、ポット蓋6Aに駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aと係脱する駆動力伝達部材70Aと、駆動力伝達部材70Aの移動をガイドするガイド部材71Aと、駆動力伝達部材70Aを移動させるベルト72Aと、ベルト72Aを回転駆動するモータ73Aを備える。また、ポット蓋駆動機構7Aは、ポット蓋6Aの移動をガイドするポット蓋ガイド部材74Aを備える。
【0040】
ポット蓋駆動機構7Aは、ガイド部材71A、ベルト72Aが巻き付けられたプーリ75A及びモータ73A等の構成要素がフレーム76Aに取り付けられ、フレーム76Aが本体部2Aの後側に取り付けられる。また、ポット蓋ガイド部材74Aが、本体部2Aの後側に取り付けられる。
【0041】
ガイド部材71Aは、貯留ポット5Aを支持する支持部材21Aの後側で、後方に向かって延在する。本例では、ガイド部材71Aは直線状に延在する。プーリ75Aは、ガイド部材71Aに沿ってベルト72Aが張られる経路を形成する。ベルト72Aは、モータ73Aが正逆両方向に駆動されることで正逆両方向に回転し、ガイド部材71Aに沿った部位が前後方向に動く。
【0042】
ポット蓋ガイド部材74Aは、ポット蓋6Aの移動方向に沿った左右両側で、ガイド部材71Aに沿って後方に延在し、ポット蓋6Aの移動方向に沿った左右両側のフランジ部62Aをガイドする。
【0043】
駆動力伝達部材70Aは駆動力伝達手段の一例で、ガイド部材71Aに沿った部位のベルト72Aに取り付けられ、ベルト72Aの正逆両方向の回転によって、ガイド部材71Aに沿って前後方向に移動する。
【0044】
係脱機構8Aは係脱手段の一例で、上述した駆動力受け部63Aと駆動力伝達部材70Aで構成される。駆動力受け部63Aは、ポット蓋6Aの後端で左右方向の中央部に、下面が開口して駆動力伝達部材70Aが挿抜可能で、かつ、駆動力受け部63Aの内部で駆動力伝達部材70Aがポット蓋6Aの移動方向に沿った前後方向に所定量移動可能となる空間を設けて構成される。
【0045】
駆動力受け部63Aは、ポット蓋6Aの移動方向に沿った前側に形成される閉方向駆動力受け部80Aと、ポット蓋6Aの移動方向に沿った後側で、ポット蓋6Aの移動方向に沿って後端側に向けて下がる斜面で構成されて動作方向変換手段を構成する押し上げ部81Aと、ポット蓋6Aの移動方向に沿った後側に形成され、押し上げ部81Aとつながる開方向駆動力受け部82Aを備える。
【0046】
駆動力伝達部材70Aは、駆動力受け部63Aに挿抜可能な形状の凸状の部材で構成され、本例では、上端に曲面で構成される誘導部83Aを備える。
【0047】
係脱機構8Aは、ポット蓋6A側の駆動力受け部63Aが、下面が開口した空間で構成されることで、ポット蓋6Aの上下方向の動きによって、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Aの駆動力伝達部材70Aに挿抜される。
【0048】
駆動力受け部63Aに対して駆動力伝達部材70Aが挿入されると、駆動力受け部63Aは駆動力伝達部材70Aに係合される。また、駆動力受け部63Aが駆動力伝達部材70Aから抜けると、駆動力受け部63Aは駆動力伝達部材70Aから脱離される。
【0049】
これにより、ポット蓋6Aで閉塞された貯留ポット5Aを上下方向に動かして、貯留ポット5Aを本体部2Aに対して着脱する動作で、ポット蓋6Aとポット蓋駆動機構7Aは、駆動力受け部63Aと駆動力伝達部材70Aが係脱される。また、ポット蓋6Aを上下方向に動かして、ポット蓋6Aを貯留ポット5Aに対して着脱する動作でも、ポット蓋6Aとポット蓋駆動機構7Aは、駆動力受け部63Aと駆動力伝達部材70Aが係脱される。
【0050】
駆動力受け部63Aと駆動力伝達部材70Aが係合されると、ポット蓋駆動機構7Aからポット蓋6Aに駆動力が伝達可能となる。すなわち、図9に示すように、駆動力伝達部材70Aが矢印Fで示す前方向に移動する動作で、駆動力受け部63Aの閉方向駆動力受け部80Aが押され、ポット蓋6Aが閉方向に移動する。また、駆動力伝達部材70Aが矢印Rで示す後方向に移動する動作で、駆動力受け部63Aの開方向駆動力受け部82Aが押され、ポット蓋6Aが開方向に移動する。
【0051】
更に、駆動力伝達部材70Aが矢印Rで示す後方向に移動する動作で、駆動力伝達部材70Aの誘導部83Aで駆動力受け部63Aの押し上げ部81Aが押されると、駆動力伝達部材70Aの動きが、ポット蓋6Aを矢印Uで示す上方向に押し上げる動きに変換される。
【0052】
<第1の実施の形態のトイレ装置の制御機能例>
図10は、第1の実施の形態のトイレ装置の制御機能の一例を示す機能ブロック図である。トイレ装置1Aは、便座3Aに人が着座したことを検知する検知手段としての人検知センサ90Aと、ポット蓋6Aの開閉動作を行う駆動手段としてのモータ73Aの作動と非作動を切り替える切替手段としての切替スイッチ91Aと、人検知センサ90Aによる人の検知の有無に基づいてモータ73Aの駆動を制御すると共に、切替スイッチ91Aの操作に基づきモータ73Aの作動と非作動を切り替える制御手段としての制御部92Aを備える。
【0053】
人検知センサ90Aは、例えば、感圧センサあるいは近接センサ等で構成される。切替スイッチ91Aは、人が操作するスイッチである。ここで、座面部4Aが閉位置にある状態で、人検知センサ90Aの出力からポット蓋6Aの開閉動作が行われないようにするため、座面部4Aが閉位置にあることを検知すると、人検知センサ90Aの出力を無効にして、モータ73Aを非作動とするようにしても良い。
【0054】
<第1の実施の形態のトイレ装置の動作例>
次に、各図を参照して、第1の実施の形態のトイレ装置1Aの動作について説明する。図11及び図12は、第1の実施の形態のトイレ装置の動作の一例を示す側断面図で、図11は、ポット蓋6Aが閉位置から押し上げられた状態を示し、図12は、ポット蓋6Aが開位置にある状態を示す。
【0055】
また、図13及び図14は、第1の実施の形態のポット蓋開閉機構の動作の一例を示す側断面図で、図13(a)は、ポット蓋6Aが閉位置にある状態を示し、図13(b)は、ポット蓋6Aが閉位置から押し上げられた状態を示す。図14(a)は、ポット蓋6Aが開位置にある状態を示し、図14(b)は、ポット蓋6Aが開位置から閉位置への移動を開始する状態を示す。
【0056】
(a)貯留ポットの取り付け動作
貯留ポット5Aをトイレ装置1Aに取り付ける動作について、予めポット蓋6Aが取り付けられて閉塞された貯留ポット5Aを取り付ける場合を例に説明する。ここで、ポット蓋6Aが貯留ポット5Aに取り付けられると、貯留ポット5Aの開口部50Aにポット蓋6Aの嵌合凸部61Aが嵌まり、ポット蓋6Aのフランジ部62Aが貯留ポット5Aの開口部50Aに載ることで、搬送される貯留ポット5Aに対してポット蓋6Aが横方向にずれて外れることなく、貯留ポット5Aが閉塞される。
【0057】
貯留ポット5Aを取り付ける動作では、切替スイッチ91Aを操作して、モータ73Aを非作動とする。これにより、貯留ポット5Aの取り付けを行う人を人検知センサ90Aが検知して、モータ73Aが作動することが防止される。
【0058】
また、貯留ポット5Aを取り付ける際に、便座3Aと座面部4Aの両方が閉位置にある場合は、座面部4Aを、軸43Aを支点にした回転動作で開位置とすることで、第1の座面40Aと第2の座面42Aをヒンジ部41Aで折り畳まれる形態として便座3Aの後方に退避させて、便座3Aの上方を開く。次に、便座3Aを、前端側を持ち上げる開位置とすることで、支持部材21Aの上方を開く。
【0059】
貯留ポット5Aは、ポット蓋6Aで閉塞された状態であっても、ハンドル部52Aを上方に突出させることで、ハンドル部52Aを把持しての搬送、及び本体部2Aに対する着脱が可能であり、貯留ポット5Aを所定の向き、すなわち、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aが後側となる向きとして、支持部材21Aの支持部22Aに嵌める。これにより、貯留ポット5Aは、支持部22Aにフランジ部51Aが載る形態で、支持部材21Aに着脱可能に支持される。
【0060】
ポット蓋6Aで閉塞された貯留ポット5Aを支持部材21Aに取り付けると、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Aの駆動力伝達部材70Aに挿入され、駆動力受け部63Aが駆動力伝達部材70Aと係合される。
【0061】
これにより、ポット蓋駆動機構7Aでポット蓋6Aを開閉する構成のトイレ装置1Aで、貯留ポット5Aの取り付けのために、ポット蓋駆動機構7Aとポット蓋6Aを連結する別の操作は不要で、作業が容易に行える。なお、先に貯留ポット5Aを本体部2Aに取り付け、後でポット蓋6Aを取り付ける場合も同様に、ポット蓋6Aを貯留ポット5Aに取り付けることで、駆動力受け部63Aが駆動力伝達部材70Aと係合される。
【0062】
貯留ポット5Aとポット蓋6Aを本体部2Aに取り付けると、便座3Aを閉位置とする。また、直ぐにトイレとして使用しない場合は、座面部4Aを閉位置として便座3Aを覆い、通常の椅子としての使用が可能となる。そして、切替スイッチ91Aを操作して、モータ73Aを作動状態とする。
【0063】
(b)トイレ装置を使う動作
次に、トイレ装置1Aをトイレとして使用する動作について説明する。トイレ装置1Aをトイレとして使用する場合は、まず、座面部4Aを開位置とすることで、便座3Aの上方を開く。
【0064】
トイレ装置1Aは、便座3Aに人が着座したことを、人検知センサ90Aにより検知すると、制御部92Aがモータ73Aを駆動してベルト72Aを回転させ、駆動力伝達部材70Aを矢印Rで示す後方向に移動させる。
【0065】
貯留ポット5Aの開口部50Aにポット蓋6Aの嵌合凸部61Aが嵌まり、ポット蓋6Aが閉位置にある状態から、駆動力伝達部材70Aを矢印Rで示す後方向に移動させると、駆動力伝達部材70Aの誘導部83Aが駆動力受け部63Aの押し上げ部81Aに接する。
【0066】
駆動力伝達部材70Aが矢印Rで示す後方向に移動する動作で、駆動力伝達部材70Aの誘導部83Aで駆動力受け部63Aの押し上げ部81Aが押されると、押し上げ部81Aの斜面によって、ポット蓋6Aの後側が矢印Uで示す上方向に押し上げられ、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、ポット蓋6Aは、嵌合凸部61Aの後端側が貯留ポット5Aの開口部50Aから外れる高さで保持される。
【0067】
ここで、駆動力伝達部材70Aの誘導部83Aは、駆動力受け部63Aの押し上げ部81Aと接する上端が曲面で構成されることで、摺動による抵抗の増加を抑えられる構成となっている。
【0068】
駆動力伝達部材70Aが矢印Rで示す後方向に移動する動作で駆動力受け部63Aの押し上げ部81Aに接し、ポット蓋6Aの後側を押し上げると、駆動力伝達部材70Aが押し上げ部81Aから駆動力受け部63Aの開方向駆動力受け部82Aに接する。
【0069】
駆動力伝達部材70Aが駆動力受け部63Aの開方向駆動力受け部82Aに接すると、駆動力伝達部材70Aが矢印Rで示す後方向に移動する動作で開方向駆動力受け部82Aが押される。
【0070】
上述したように、ポット蓋6Aの後側が押し上げられ、嵌合凸部61Aの後端側が貯留ポット5Aの開口部50Aから外れる高さで保持されているので、駆動力伝達部材70Aが後方向に移動する動作で開方向駆動力受け部82Aが押されると、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、ポット蓋6Aが矢印Rで示す後方向である開方向に移動する。
【0071】
ポット蓋6Aが矢印Rで示す開方向に移動を開始すると、ポット蓋6Aの左右両側のフランジ部62Aがポット蓋ガイド部材74Aでガイドされる。これにより、ポット蓋6Aは、嵌合凸部61Aが貯留ポット5Aの開口部50Aから外れる高さで保持されて開く方向に移動し、貯留ポット5Aの開口部50Aが開く。
【0072】
トイレ装置1Aは、ポット蓋6Aが開くことで、便座3Aの開口部30Aの下に貯留ポット5Aの開口部50Aが露出し、トイレとしての使用が可能となる。本例のトイレ装置1Aでは、人が便座3Aに着座したことを検知して、ポット蓋6Aを開く構成であるので、ポット蓋6Aを開くために、便座3Aを開ける必要がなく、また、人手でポット蓋6Aを持って開ける必要もないので、利用者の負担を軽減することができる。また、通常は、人が便座3Aに着座しなければ、ポット蓋6Aを閉位置にできるので、臭気が漏れることを防止できる。
【0073】
更に、便座3Aの下側に開閉空間23Aを設けて、閉位置にある便座3Aの下側でポット蓋6Aを貯留ポット5Aから押し上げた後、後側への横方向の移動でポット蓋6Aを開ける構成とすることができる。
【0074】
これにより、貯留ポット5Aの開口部50Aにポット蓋6Aの嵌合凸部61Aが嵌まる構成であっても、ポット蓋6Aの開閉が可能であり、ポット蓋6Aが閉位置にある状態での臭気の漏れをより確実に防止することができる。
【0075】
また、トイレ装置1Aでは、便座3Aの下側でポット蓋6Aが開閉動作を行う構成で、便座3Aの開口部30Aを通過させてポット蓋6Aの着脱を行うような構成とする必要がない。これにより、貯留ポット5Aの開口部50Aを、便座3Aの開口部30Aに対して大きくすることができ、排泄物の飛散等による汚れを防止することができる。
【0076】
ここで、トイレ装置1Aでは、停電等でポット蓋駆動機構7Aが作動できないような状態では、便座3Aを開けて、ポット蓋6Aを持ち上げて取り外せば、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Aの駆動力伝達部材70Aから抜け、駆動力受け部63Aが駆動力伝達部材70Aから脱離される。これにより、ポット蓋駆動機構7Aによるポット蓋6Aの開閉動作が行えない状態でも、トイレとしての使用が可能である。
【0077】
用便が終了し、利用者が便座3Aから移動したことを人検知センサ90Aの出力から検知すると、トイレ装置1Aは、制御部92Aがモータ73Aを駆動してベルト72Aを回転させ、駆動力伝達部材70Aを矢印Fで示す前方向に移動させる。
【0078】
ポット蓋6Aが開位置にある状態から、駆動力伝達部材70Aを矢印Fで示す前方向に移動させると、駆動力伝達部材70Aが駆動力受け部63Aの閉方向駆動力受け部80Aに接する。
【0079】
駆動力伝達部材70Aが駆動力受け部63Aの閉方向駆動力受け部80Aに接すると、駆動力伝達部材70Aが矢印Fで示す前方向に移動する動作で閉方向駆動力受け部80Aが押される。
【0080】
開位置にあるポット蓋6Aは、左右両側のフランジ部62Aがポット蓋ガイド部材74Aでガイドされ、嵌合凸部61Aが貯留ポット5Aの開口部50Aから外れる高さで保持されているので、駆動力伝達部材70Aが前方向に移動する動作で閉方向駆動力受け部80Aが押されると、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、ポット蓋6Aが矢印Fで示す前方向である閉方向に移動する。
【0081】
ポット蓋6Aが閉方向に移動して、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、貯留ポット5Aの上方まで移動すると、ポット蓋6Aの左右両側のフランジ部62Aがポット蓋ガイド部材74Aから外れる。駆動力伝達部材70Aが駆動力受け部63Aの閉方向駆動力受け部80Aに接する位置では、駆動力伝達部材70Aと駆動力受け部63Aの押し上げ部81Aが接しない。
【0082】
これにより、ポット蓋6Aが貯留ポット5Aの上方まで移動すると、ポット蓋6Aが自重で下降し、貯留ポット5Aの開口部50Aにポット蓋6Aの嵌合凸部61Aが嵌まり、ポット蓋6Aのフランジ部62Aが貯留ポット5Aの開口部50Aに載ることで、貯留ポット5Aに対してポット蓋6Aの位置が横方向にずれることなく、貯留ポット5Aが閉塞される。
【0083】
本例のトイレ装置1Aでは、人が便座3Aから移動したことを検知して、ポット蓋6Aを閉じる構成であるので、ポット蓋6Aを閉じるために、便座3Aを開ける必要がなく、また、人手でポット蓋6Aを持って閉じる必要もないので、利用者の負担を軽減することができる。また、ポット蓋6Aを閉め忘れることがなく、ポット蓋6Aの閉め忘れに起因した臭気の漏れを防止できる。
【0084】
(c)貯留ポットの取り外し動作
貯留ポット5Aの洗浄等のため、本体部2Aから貯留ポット5Aを取り外す動作では、切替スイッチ91Aを操作して、モータ73Aを非作動とする。これにより、貯留ポット5Aの取り外しを行う人を人検知センサ90Aが検知して、モータ73Aが作動することが防止される。
【0085】
本体部2Aから貯留ポット5Aを取り外す場合、便座3Aと座面部4Aの両方が閉位置にある場合は、座面部4Aを開位置とすることで、便座3Aの上方を開き、次に、便座3Aを開位置とすることで、支持部材21Aに支持された貯留ポット5Aの上方を開く。
【0086】
貯留ポット5Aは、支持部材21Aに支持され、ポット蓋6Aで閉塞された状態であっても、ハンドル部52Aを上方に突出させることで、ハンドル部52Aを把持して本体部2Aから持ち上げることが可能である。ポット蓋6Aで閉塞された貯留ポット5Aを持ち上げて上方向に移動させると、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Aの駆動力伝達部材70Aから抜け、駆動力受け部63Aが駆動力伝達部材70Aから脱離される。
【0087】
これにより、ポット蓋駆動機構7Aでポット蓋6Aを開閉する構成のトイレ装置1Aで、貯留ポット5Aの取り外しのために、ポット蓋駆動機構7Aとポット蓋6Aを切り離す別の操作は不要で、作業が容易に行える。
【0088】
<第2の実施の形態のトイレ装置の構成例>
図15及び図16は、第2の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図で、図15は、ポット蓋が閉位置にある状態を示し、図16は、ポット蓋が開位置にある状態を示す。また、図17は、第2の実施の形態のトイレ装置の一例を示す斜視図である。
【0089】
更に、図18及び図19は、第2の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部斜視図で、図18は、ポット蓋が閉位置から押し上げられた状態を示し、図19は、ポット蓋が開位置にある状態を示す。また、図20は、第2の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部断面図で、図20(a)は、ポット蓋が閉位置にある状態を示し、図20(b)は、ポット蓋が閉位置から押し上げられた状態を示す。
【0090】
第2の実施の形態のトイレ装置1Bは、ベルトによるポット蓋駆動機構に代えて、自走するポット蓋駆動機構7Bを備える。また、トイレ装置1Bは、ポット蓋駆動機構7Bに駆動されて開閉するポット蓋6Bと、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Bを係合して駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Bを脱離させる係脱機構8Bを備える。
【0091】
ここで、トイレ装置1Bにおいて、本例では椅子型を成す本体部2Aと、本体部2Aに開閉可能に設けられる便座3Aと、便座3Aを開閉可能に覆う座面部4Aと、本体部2Aに着脱可能に支持され、ポット蓋6Bで開閉可能に閉塞される貯留ポット5Aは、第1の実施の形態のトイレ装置1Aと同様の構成で良い。
【0092】
まず、ポット蓋6Bの構成について説明すると、ポット蓋6Bは、上面に把持部60Bが設けられ、把持部60Bを持つことで、人手により貯留ポット5Aに対する着脱が可能である。また、ポット蓋6Bは、貯留ポット5Aの開口部50Aの形状に合わせた嵌合凸部61Bが設けられ、貯留ポット5Aの開口部50Aに嵌合凸部61Bが嵌まることで、嵌合凸部61Bの外周から外側に向かって突出したフランジ部62Bが貯留ポット5Aの開口部50Aに載り、貯留ポット5Aに取り付けられる。
【0093】
更に、ポット蓋6Bは、ポット蓋駆動機構7Bから駆動力を受けると共に、ポット蓋駆動機構7Bと係脱可能な駆動力受け部63Bを備える。駆動力受け部63Bは、ポット蓋6Bが貯留ポット5Aに取り付けられた状態で、貯留ポット5Aの外側に突出したフランジ部62Bに設けられる。
【0094】
次に、自走するポット蓋駆動機構7Bの構成について説明する。ポット蓋駆動機構7Bはポット蓋駆動手段の一例で、ポット蓋6Bに駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bと係脱する左右一対の駆動力伝達部70Bと、駆動力伝達部70Bが設けられた連結部材71Bを備える。
【0095】
また、ポット蓋駆動機構7Bは、連結部材71Bの移動をガイドするガイド部材72Bと、連結部材71Bを移動させる自走部73Bを備える。更に、ポット蓋駆動機構7Bは、ポット蓋6Bの移動をガイドするポット蓋ガイド部材74Bを備える。
【0096】
ポット蓋駆動機構7Bは、ガイド部材72Bとポット蓋ガイド部材74Bがフレーム75Bに取り付けられ、フレーム75Bが本体部2Aの後側に取り付けられる。
【0097】
ガイド部材72Bは、ポット蓋6Bの移動方向に沿った左右両側に設けられ、本体部2Aに支持される貯留ポット5Aの後側で、後方に向かって延在する。本例では、ガイド部材72Bは直線状に延在する。ポット蓋ガイド部材74Bは、ポット蓋6Bの移動方向に沿った左右両側で、ガイド部材72Bに沿って後方に延在し、ポット蓋6Bの移動方向に沿った左右両側のフランジ部62Bをガイドする。
【0098】
連結部材71Bは、左右一対のガイド部材72Bで左右の両側が支持される形状で、左右の両側に駆動力伝達手段としての駆動力伝達部70Bが設けられる。本例では、連結部材71Bは、板材を曲げ加工することにより、駆動力伝達部70Bが一体に形成される。
【0099】
自走部73Bは、連結部材71Bに取り付けられ、一方のガイド部材72Bと接する走行ローラ76Bと、走行ローラ76Bを回転駆動するモータ77Bを備える。自走部73Bは、モータ77Bにより走行ローラ76Bが回転駆動されると、モータ77Bの正逆両方向の回転によって、ガイド部材72Bに沿って前後方向に移動する。駆動力伝達部70Bが設けられた連結部材71Bは、自走部73Bに取り付けられおり、駆動力伝達部70Bは、自走部73Bの移動でガイド部材72Bに沿って前後方向に移動する。
【0100】
次に、ポット蓋6Bと、自走するポット蓋駆動機構7Bとの係脱を行う係脱機構8Bの構成について説明する。係脱機構8Bは係脱手段の一例で、上述した駆動力受け部63Bと駆動力伝達部70Bで構成される。駆動力受け部63Bは駆動力受け手段の一例で、ポット蓋6Bの後端で左右両側に、下面が開口して駆動力伝達部70Bが挿抜可能で、かつ、駆動力受け部63Bの内部で駆動力伝達部70Bがポット蓋6Bの移動方向に沿った前後方向に所定量移動可能となる空間を設けて構成される。
【0101】
ここで、ポット蓋6Bの後端は、左右両側が曲線状に構成されており、駆動力受け部63Bを、ポット蓋6Bの左右両側に設けることで、駆動力受け部をポット蓋の中央部に設ける構成と比較して、駆動力受け部63Bの突出量を減らすことができる。
【0102】
駆動力受け部63Bは、ポット蓋6Bの移動方向に沿った前側に形成される閉方向駆動力受け部80Bと、ポット蓋6Bの移動方向に沿った後側で、ポット蓋6Bの移動方向に沿って後端側に向けて下がる斜面で構成される動作方向変換手段としての押し上げ部81Bと、ポット蓋6Bの移動方向に沿った後側に形成され、押し上げ部81Bとつながる開方向駆動力受け部82Bを備える。
【0103】
駆動力伝達部70Bは、駆動力受け部63Bに挿抜可能な形状で、連結部材71Bの左右両側から上方に向けて立設される。
【0104】
係脱機構8Bは、ポット蓋6B側の駆動力受け部63Bが、下面が開口した空間で構成されることで、ポット蓋6Bの上下方向の動きによって、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Bの駆動力伝達部70Bに挿抜される。
【0105】
駆動力受け部63Bに対して駆動力伝達部70Bが挿入されると、駆動力受け部63Bは駆動力伝達部70Bに係合される。また、駆動力受け部63Bが駆動力伝達部70Bから抜けると、駆動力受け部63Bは駆動力伝達部70Bから脱離される。
【0106】
これにより、ポット蓋6Bで閉塞された貯留ポット5Aを上下方向に動かして、貯留ポット5Aを本体部2Aに対して着脱する動作で、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Bは、駆動力受け部63Bと駆動力伝達部70Bが係脱される。また、ポット蓋6Bを上下方向に動かして、ポット蓋6Bを単体で貯留ポット5Aに対して着脱する動作でも、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Bは、駆動力受け部63Bと駆動力伝達部70Bが係脱される。
【0107】
駆動力受け部63Bと駆動力伝達部70Bが係合されると、ポット蓋駆動機構7Bからポット蓋6Bに駆動力が伝達可能となる。すなわち、駆動力伝達部70Bが矢印Fで示す前方向に移動する動作で、駆動力受け部63Bの閉方向駆動力受け部80Bが押され、ポット蓋6Bが閉方向に移動する。また、駆動力伝達部70Bが矢印Rで示す後方向に移動する動作で、駆動力受け部63Bの開方向駆動力受け部82Bが押され、ポット蓋6Bが開方向に移動する。
【0108】
更に、ポット蓋6Bが貯留ポット5Aを閉塞する閉位置にある状態では、駆動力伝達部70Bが矢印Rで示す後方向に移動する動作で、駆動力伝達部70Bで駆動力受け部63Bの押し上げ部81Bが押され、駆動力伝達部70Bの動きが、ポット蓋6Bを矢印Uで示す上方向に押し上げる動きに変換される。
【0109】
<第2の実施の形態のトイレ装置の動作例>
次に、第2の実施の形態のトイレ装置1Bの動作について、図10の機能ブロック図におけるモータ73Aを、自走部73Bを駆動する駆動手段としてのモータ77Bに置き換えて、ポット蓋駆動機構7Bによるポット蓋6Bの開閉動作を中心に説明する。
【0110】
トイレ装置1Bは、座面部4Aが開位置とされて便座3Aの上方が開かれると、便座3Aへの着座が可能になる。トイレ装置1Bは、便座3Aに人が着座したことを、人検知センサ90Aにより検知すると、制御部92Aがモータ77Bを駆動して走行ローラ76Bを一の方向に回転させる。
【0111】
トイレ装置1Bは、ガイド部材72Bと接する走行ローラ76Bを一の方向に回転させることで、自走部73Bをガイド部材72Bに沿って後方向に移動させ、自走部73Bが取り付けられた連結部材71Bの駆動力伝達部70Bを、矢印Rで示す後方向に移動させる。
【0112】
貯留ポット5Aの開口部50Aにポット蓋6Bの嵌合凸部61Bが嵌まり、ポット蓋6Bが閉位置にある状態から、駆動力伝達部70Bを矢印Rで示す後方向に移動させると、駆動力伝達部70Bが駆動力受け部63Bの押し上げ部81Bに接する。
【0113】
駆動力伝達部70Bが矢印Rで示す後方向に移動する動作で、駆動力伝達部70Bにより駆動力受け部63Bの押し上げ部81Bが押されると、押し上げ部81Bの斜面によって、ポット蓋6Bの後側が矢印Uで示す上方向に押し上げられ、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、ポット蓋6Bは、嵌合凸部61Bの後端側が貯留ポット5Aの開口部50Aから外れる高さで保持される。
【0114】
ここで、駆動力伝達部70Bは、駆動力受け部63Bの押し上げ部81Bと接する上端が、曲げ加工によって曲面で構成されることにより、摺動による抵抗の増加を抑えられる構成となっている。
【0115】
駆動力伝達部70Bが矢印Rで示す後方向に移動する動作で駆動力受け部63Bの押し上げ部81Bに接し、ポット蓋6Bの後側を押し上げると、駆動力伝達部70Bが押し上げ部81Bから駆動力受け部63Bの開方向駆動力受け部82Bに接する。
【0116】
駆動力伝達部70Bが駆動力受け部63Bの開方向駆動力受け部82Bに接すると、駆動力伝達部70Bが矢印Rで示す後方向に移動する動作で開方向駆動力受け部82Bが押される。
【0117】
上述したように、ポット蓋6Bの後側が押し上げられ、嵌合凸部61Bの後端側が貯留ポット5Aの開口部50Aから外れる高さで保持されているので、駆動力伝達部70Bが後方向に移動する動作で開方向駆動力受け部82Bが押されると、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、ポット蓋6Bが矢印Rで示す後方向である開方向に移動する。
【0118】
ポット蓋6Bが矢印Rで示す開方向に移動を開始すると、ポット蓋6Bの左右両側のフランジ部62Bがポット蓋ガイド部材74Bでガイドされる。これにより、ポット蓋6Bは、嵌合凸部61Bが貯留ポット5Aの開口部50Aから外れる高さで保持されて開く方向に移動し、貯留ポット5Aの開口部50Aが開く。
【0119】
トイレ装置1Bは、ポット蓋6Bが開くことで、便座3Aの開口部30Aの下に貯留ポット5Aの開口部50Aが露出し、トイレとしての使用が可能となる。自走部73Bを備えてポット蓋6Bの開閉を行うトイレ装置1Bでも、便座3Aの下側に開閉空間23Aを設けて、閉位置にある便座3Aの下側でポット蓋6Bを貯留ポット5Aから押し上げた後、後側への横方向の移動でポット蓋6Bを開ける構成とすることができる。
【0120】
これにより、貯留ポット5Aの開口部50Aにポット蓋6Bの嵌合凸部61Bが嵌まる構成であっても、ポット蓋6Bの開閉が可能であり、ポット蓋6Bが閉位置にある状態での臭気の漏れを確実に防止することができる。
【0121】
また、トイレ装置1Bでも、便座3Aの開口部30Aを通過させてポット蓋6Bの着脱を行うような構成とする必要がないので、貯留ポット5Aの開口部50Aを、便座3Aの開口部30Aに対して大きくすることができ、排泄物の飛散等による汚れを防止することができる。
【0122】
更に、トイレ装置1Bでも、停電等でポット蓋駆動機構7Bが作動できないような状態では、便座3Aを開けて、ポット蓋6Bを持ち上げて取り外せば、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Bの駆動力伝達部70Bから抜け、駆動力受け部63Bが駆動力伝達部70Bから脱離される。これにより、ポット蓋駆動機構7Bによるポット蓋6Bの開閉動作が行えない状態でも、トイレとしての使用が可能である。
【0123】
用便が終了し、利用者が便座3Aから移動したことを人検知センサ90Aの出力から検知すると、トイレ装置1Bは、制御部92Aがモータ77Bを駆動して走行ローラ76Bを他の方向に回転させる。
【0124】
トイレ装置1Bは、ガイド部材72Bと接する走行ローラ76Bを他の方向に回転させることで、自走部73Bをガイド部材72Bに沿って前方向に移動させ、自走部73Bが取り付けられた連結部材71Bの駆動力伝達部70Bを、矢印Fで示す前方向に移動させる。
【0125】
ポット蓋6Bが開位置にある状態から、駆動力伝達部70Bを矢印Fで示す前方向に移動させると、駆動力伝達部70Bが駆動力受け部63Bの閉方向駆動力受け部80Bに接する。
【0126】
駆動力伝達部70Bが駆動力受け部63Bの閉方向駆動力受け部80Bに接すると、駆動力伝達部70Bが矢印Fで示す前方向に移動する動作で閉方向駆動力受け部80Bが押される。
【0127】
開位置にあるポット蓋6Bは、左右両側のフランジ部62Bがポット蓋ガイド部材74Bでガイドされ、嵌合凸部61Bが貯留ポット5Aの開口部50Aから外れる高さで保持されているので、駆動力伝達部70Bが前方向に移動する動作で閉方向駆動力受け部80Bが押されると、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、ポット蓋6Bが矢印Fで示す前方向である閉方向に移動する。
【0128】
ポット蓋6Bが閉方向に移動して、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、貯留ポット5Aの上方まで移動すると、ポット蓋6Bの左右両側のフランジ部62Bがポット蓋ガイド部材74Bから外れる。駆動力伝達部70Bが駆動力受け部63Bの閉方向駆動力受け部80Bに接する位置では、駆動力伝達部70Bと駆動力受け部63Bの押し上げ部81Bが接しない。
【0129】
これにより、ポット蓋6Bが貯留ポット5Aの上方まで移動すると、ポット蓋6Bが自重で下降し、貯留ポット5Aの開口部50Aにポット蓋6Bの嵌合凸部61Bが嵌まり、ポット蓋6Bのフランジ部62Bが貯留ポット5Aの開口部50Aに載ることで、貯留ポット5Aに対してポット蓋6Bの位置が横方向にずれることなく、貯留ポット5Aが閉塞される。
【0130】
トイレ装置1Bでも、ポット蓋6Bを閉じるために、便座3Aを開ける必要がなく、また、人手でポット蓋6Bを持って閉じる必要もないので、利用者の負担を軽減することができる。また、本例でも便座3Aに対する退座でポット蓋6Bが閉じる動作が行われるので、ポット蓋6Bを閉め忘れることがなく、ポット蓋6Bの閉め忘れに起因した臭気の漏れを防止できる。
【0131】
トイレ装置1Bにおいて、貯留ポット5Aの取り付け、及び取り外しを行う動作では、図10で説明した切替スイッチ91Aを操作して、モータ77Bを非作動とする。これにより、貯留ポット5Aの取り付けまたは取り外しを行う人を人検知センサ90Aが検知して、モータ77Bが作動することが防止される。
【0132】
貯留ポット5Aを取り付ける動作では、座面部4Aを開位置とすることで、便座3Aの上方を開き、次に、便座3Aを開位置とすることで、支持部材21Aの上方を開く。
【0133】
ポット蓋6Bで閉塞された貯留ポット5Aを支持部材21Aに取り付けると、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Bの駆動力伝達部70Bに挿入され、駆動力受け部63Bが駆動力伝達部70Bと係合される。
【0134】
これにより、ポット蓋駆動機構7Bでポット蓋6Bを開閉する構成のトイレ装置1Bでも、貯留ポット5Aの取り付けのために、ポット蓋駆動機構7Bとポット蓋6Bを連結する別の操作は不要で、作業が容易に行える。なお、先に貯留ポット5Aを本体部2Aに取り付け、後でポット蓋6Bを取り付ける場合も同様である。
【0135】
貯留ポット5Aとポット蓋6Bを本体部2Aに取り付けると、便座3Aを閉位置とする。また、直ぐにトイレとして使用しない場合は、座面部4Aを閉位置として便座3Aを覆い、通常の椅子としての使用が可能となる。そして、切替スイッチ91Aを操作して、モータ77Bを作動状態とする。
【0136】
本体部2Aから貯留ポット5Aを取り外す動作では、切替スイッチ91Aを操作して、モータ77Bを非作動状態とした後、座面部4Aを開位置とすることで、便座3Aの上方を開き、次に、便座3Aを開位置とすることで、支持部材21Aに支持された貯留ポット5Aの上方を開く。
【0137】
ポット蓋6Bで閉塞された貯留ポット5Aを持ち上げて上方向に移動させると、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Bの駆動力伝達部70Bから抜け、駆動力受け部63Bが駆動力伝達部70Bから脱離される。
【0138】
これにより、ポット蓋駆動機構7Bでポット蓋6Bを開閉する構成のトイレ装置1Bでも、貯留ポット5Aの取り外しのために、ポット蓋駆動機構7Bとポット蓋6Bを切り離す別の操作は不要で、作業が容易に行える。
【0139】
<第3の実施の形態のトイレ装置の構成例>
図21及び図22は、第3の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図で、図21は、ポット蓋が閉位置にある状態を示し、図22は、ポット蓋が開位置にある状態を示す。
【0140】
また、図23及び図24は、第3の実施の形態のトイレ装置におけるポット蓋駆動機構の一例を示す要部斜視図で、図23は、ポット蓋が閉位置から押し上げられた状態を示し、図24は、ポット蓋が開位置にある状態を示す。
【0141】
第3の実施の形態のトイレ装置1Cは、自走するポット蓋駆動機構に代えて、リンク機構によるポット蓋駆動機構7Cを備える。ここで、トイレ装置1Cにおいて、本例では椅子型を成す本体部2Aと、本体部2Aに開閉可能に設けられる便座3Aと、便座3Aを開閉可能に覆う座面部4Aと、本体部2Aに着脱可能に支持される貯留ポット5Aは、第1の実施の形態のトイレ装置1Aと同様の構成で良い。
【0142】
また、トイレ装置1Cにおいて、貯留ポット5Aに着脱可能に設けられるポット蓋は、駆動力受け部63Bが左右両側に設けられる第2の実施の形態のトイレ装置1Bにおけるポット蓋6Bと同様の構成で良い。
【0143】
更に、トイレ装置1Cにおいて、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Cを係合して駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Cを脱離させる係脱機構8Cは、左右両側に駆動力受け部63Bが設けられたポット蓋6Bに対応した第2の実施の形態のトイレ装置1Bにおける係脱機構8Bと同様の構成で良い。
【0144】
以下に、リンク機構によるポット蓋駆動機構7Cの構成について説明する。ポット蓋駆動機構7Cはポット蓋駆動手段の一例で、ポット蓋6Bに駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bと係脱可能な左右一対の駆動力伝達部70Cと、駆動力伝達部70Cが設けられた連結部材71Cを備える。
【0145】
また、ポット蓋駆動機構7Cは、連結部材71Cの移動をガイドするガイド部材72Cと、連結部材71Cを移動させるリンク部73Cと、リンク部73Cを駆動するモータ74Cを備える。更に、ポット蓋駆動機構7Cは、ポット蓋6Bの移動をガイドするポット蓋ガイド部材75Cを備える。
【0146】
ポット蓋駆動機構7Cは、ガイド部材72Cとポット蓋ガイド部材75Cがフレーム76Cに取り付けられ、フレーム76Cが本体部2Aの後側に取り付けられる。
【0147】
ガイド部材72Cは、ポット蓋6Bの移動方向に沿った左右両側に設けられ、本体部2Aに支持される貯留ポット5Aの後側で、後方に向かって延在する。本例では、ガイド部材72Cは直線状に延在する。ポット蓋ガイド部材75Cは、ポット蓋6Bの移動方向に沿った左右両側で、ガイド部材72Cに沿って後方に延在し、ポット蓋6Bの移動方向に沿った左右両側のフランジ部62Bをガイドする。
【0148】
連結部材71Cは、本例では第2の実施の形態のトイレ装置1Bの連結部材71Bと同様の構成で、板材を曲げ加工することにより、左右の両側に駆動力伝達手段としての駆動力伝達部70Cが一体に形成されると共に、左右一対のガイド部材72Cで左右の両側が支持される。
【0149】
リンク部73Cは、第1のリンク77Cと第2のリンク78Cが軸部79Cで回転可能に連結される。第1のリンク77Cは、軸部79Cと反対側の端部が、連結部材71Cに回転可能に支持される。また、第2のリンク78Cは、軸部79Cと反対側の端部が、モータ74Cの駆動力を受けて回転する。
【0150】
リンク部73Cは、モータ74Cの正逆両方向の回転により第2のリンク78Cが回転駆動されると、第2のリンク78Cと軸部79Cで連結された第1のリンク77Cが、第2のリンク78Cに対して引かれる方向への動きで、軸部79Cを支点に折り畳まれると共に、第2のリンク78Cに対して押される方向への動きで、軸部79Cを支点に伸長される。
【0151】
駆動力伝達部70Cが設けられた連結部材71Cは、第1のリンク77Cの軸部79Cと反対側の端部が連結されているので、リンク部73Cの軸部79Cを支点とした折り畳み及び伸長で、駆動力伝達部70Cはガイド部材72Cに沿って前後方向に移動する。
【0152】
次に、ポット蓋6Bと、リンク機構によるポット蓋駆動機構7Cとの係脱を行う係脱機構8Cの構成について説明する。係脱機構8Cは係脱手段の一例で、上述した駆動力受け部63Bと駆動力伝達部70Cで構成される。駆動力伝達部70Cは、駆動力受け部63Bに挿抜可能な形状で、連結部材71Cの左右両側から上方に向けて立設される。
【0153】
係脱機構8Cは、ポット蓋6B側の駆動力受け部63Bが、下面が開口した空間で構成されることで、ポット蓋6Bの上下方向の動きによって、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Cの駆動力伝達部70Cに挿抜される。
【0154】
駆動力受け部63Bに対して駆動力伝達部70Cが挿入されると、駆動力受け部63Bは駆動力伝達部70Cに係合される。また、駆動力受け部63Bが駆動力伝達部70Cから抜けると、駆動力受け部63Bは駆動力伝達部70Cから脱離される。
【0155】
これにより、ポット蓋6Bで閉塞された貯留ポット5Aを上下方向に動かして、貯留ポット5Aを本体部2Aに対して着脱する動作で、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Cは、駆動力受け部63Bと駆動力伝達部70Cが係脱される。また、ポット蓋6Bを上下方向に動かして、ポット蓋6Bを単体で貯留ポット5Aに対して着脱する動作でも、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Cは、駆動力受け部63Bと駆動力伝達部70Cが係脱される。更に、駆動力受け部63Bと駆動力伝達部70Cが係合されると、ポット蓋駆動機構7Cからポット蓋6Bに駆動力が伝達可能となる。
【0156】
<第3の実施の形態のトイレ装置の動作例>
次に、第3の実施の形態のトイレ装置1Cの動作について、図10の機能ブロック図におけるモータ73Aを、リンク部73Cを駆動する駆動手段としてのモータ74Cに置き換えて、ポット蓋駆動機構7Cによるポット蓋6Bの開閉動作を中心に説明する。
【0157】
トイレ装置1Cは、座面部4Aが開位置とされて便座3Aの上方が開かれると、便座3Aへの着座が可能になる。トイレ装置1Cは、便座3Aに人が着座したことを、人検知センサ90Aにより検知すると、制御部92Aがモータ74Cを駆動して、第2のリンク78Cを一の方向に回転させる。
【0158】
トイレ装置1Cは、第2のリンク78Cを一の方向に回転させると、第1のリンク77Cと第2のリンク78Cが軸部79Cを支点に折り畳まれる動きで、第1のリンク77Cが連結された連結部材71Cをガイド部材72Cに沿って移動させ、連結部材71Cに設けられた駆動力伝達部70Cを、矢印Rで示す後方向に移動させる。
【0159】
ポット蓋6Bが閉位置にある状態から、駆動力伝達部70Cを矢印Rで示す後方向に移動させると、駆動力伝達部70Cが駆動力受け部63Bの押し上げ部81Bを押すことにより、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、ポット蓋6Bの後側が上方向に押し上げられる。また、駆動力伝達部70Cが押し上げ部81Bから駆動力受け部63Bの開方向駆動力受け部82Bに接し、開方向駆動力受け部82Bを押すことにより、ポット蓋6Bが矢印Rで示す後方向である開方向に移動する。
【0160】
トイレ装置1Cは、上述した動作でポット蓋6Bが開くことで、便座3Aの開口部30Aの下に貯留ポット5Aの開口部50Aが露出し、トイレとしての使用が可能となる。
【0161】
用便が終了し、利用者が便座3Aから移動したことを人検知センサ90Aの出力から検知すると、トイレ装置1Cは、制御部92Aがモータ74Cを駆動して第2のリンク78Cを他の方向に回転させる。
【0162】
トイレ装置1Cは、第2のリンク78Cを他の方向に回転させると、第1のリンク77Cと第2のリンク78Cが軸部79Cを支点に伸張される動きで、第1のリンク77Cが連結された連結部材71Cをガイド部材72Cに沿って移動させ、連結部材71Cに設けられた駆動力伝達部70Cを、矢印Fで示す前方向に移動させる。
【0163】
ポット蓋6Bが開位置にある状態から、駆動力伝達部70Cを矢印Fで示す前方向に移動させると、駆動力伝達部70Cが駆動力受け部63Bの閉方向駆動力受け部80Bに接し、閉方向駆動力受け部80Bを押すことにより、ポット蓋6Bが矢印Fで示す前方向である閉方向に移動する。
【0164】
ポット蓋6Bが閉方向に移動して、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、貯留ポット5Aの上方まで移動すると、ポット蓋6Bの左右両側のフランジ部62Bがポット蓋ガイド部材75Cから外れ、ポット蓋6Bが自重で下降して、貯留ポット5Aが閉塞される。
【0165】
上述したように、リンク部73Cによるポット蓋駆動機構7Cを備えたトイレ装置1Cであっても、閉位置にある便座3Aの下側の開閉空間23Aで、リンク部73Cによる駆動力伝達部70Cの前後方向への移動によってポット蓋6Bを上下方向と前後方向に移動させて、ポット蓋6Bを開閉する構成とすることができる。
【0166】
これにより、トイレ装置1Cでも、ポット蓋6Bを開閉するために、便座3Aを開閉する必要がなく、また、人手でポット蓋6Bを持って開閉する必要もないので、利用者の負担を軽減することができる。
【0167】
トイレ装置1Cにおいて、貯留ポット5Aの取り付け、及び取り外しを行う動作では、図10で説明した切替スイッチ91Aを操作して、モータ74Cを非作動とする。これにより、貯留ポット5Aの取り付けまたは取り外しを行う人を人検知センサ90Aが検知して、モータ74Cが作動することが防止される。
【0168】
貯留ポット5Aを取り付ける動作では、座面部4Aを開位置とすることで、便座3Aの上方を開き、次に、便座3Aを開位置とすることで、支持部材21Aの上方を開く。
【0169】
ポット蓋6Bで閉塞された貯留ポット5Aを支持部材21Aに取り付けると、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Cの駆動力伝達部70Cに挿入され、駆動力受け部63Bが駆動力伝達部70Cと係合される。
【0170】
これにより、ポット蓋駆動機構7Cでポット蓋6Bを開閉する構成のトイレ装置1Cでも、貯留ポット5Aの取り付けのために、ポット蓋駆動機構7Cとポット蓋6Bを連結する別の操作は不要で、作業が容易に行える。なお、先に貯留ポット5Aを本体部2Aに取り付け、後でポット蓋6Bを取り付ける場合も同様である。
【0171】
貯留ポット5Aとポット蓋6Bを本体部2Aに取り付けると、便座3Aを閉位置とする。また、直ぐにトイレとして使用しない場合は、座面部4Aを閉位置として便座3Aを覆い、通常の椅子としての使用が可能となる。そして、切替スイッチ91Aを操作して、モータ74Cを作動状態とする。
【0172】
本体部2Aから貯留ポット5Aを取り外す動作では、切替スイッチ91Aを操作して、モータ74Cを非作動状態とした後、座面部4Aを開位置とすることで、便座3Aの上方を開き、次に、便座3Aを開位置とすることで、支持部材21Aに支持された貯留ポット5Aの上方を開く。
【0173】
ポット蓋6Bで閉塞された貯留ポット5Aを持ち上げて上方向に移動させると、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Cの駆動力伝達部70Cから抜け、駆動力受け部63Bが駆動力伝達部70Cから脱離される。
【0174】
これにより、ポット蓋駆動機構7Cでポット蓋6Bを開閉する構成のトイレ装置1Cでも、貯留ポット5Aの取り外しのために、ポット蓋駆動機構7Cとポット蓋6Bを切り離す別の操作は不要で、作業が容易に行える。
【0175】
<第4の実施の形態のトイレ装置の構成例>
図25及び図26は、第4の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図で、図25は、ポット蓋が閉位置にある状態を示し、図26は、ポット蓋が開位置にある状態を示す。また、図27及び図28は、第4の実施の形態のトイレ装置の一例を示す底面図で、図27は、ポット蓋が閉位置にある状態を示し、図28は、ポット蓋が開位置にある状態を示す。
【0176】
第4の実施の形態のトイレ装置1Dは、リンク機構によるポット蓋駆動機構として、パンタグラフ機構によるポット蓋駆動機構7Dを備える。ここで、トイレ装置1Dにおいて、本例では椅子型を成す本体部2Aと、本体部2Aに開閉可能に設けられる便座3Aと、便座3Aを開閉可能に覆う座面部4Aと、本体部2Aに着脱可能に支持される貯留ポット5Aは、第1の実施の形態のトイレ装置1Aと同様の構成で良い。
【0177】
また、トイレ装置1Dにおいて、貯留ポット5Aに着脱可能に設けられるポット蓋は、駆動力受け部が左右方向の中央部に設けられる第1の実施の形態のトイレ装置1Aにおけるポット蓋6Aと同様の構成で良い。
【0178】
更に、トイレ装置1Dにおいて、ポット蓋6Aとポット蓋駆動機構7Dを係合して駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Aとポット蓋駆動機構7Dを脱離させる係脱機構8Dは、左右方向の中央部に駆動力受け部が設けられたポット蓋6Aに対応した第1の実施の形態のトイレ装置1Aにおける係脱機構8Aと同様の構成で良い。
【0179】
以下に、パンタグラフ機構によるポット蓋駆動機構7Dの構成について説明する。ポット蓋駆動機構7Dはポット蓋駆動手段の一例で、ポット蓋6Aに駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aと係脱可能な駆動力伝達部材70Dを備える。
【0180】
また、ポット蓋駆動機構7Dは、駆動力伝達手段としての駆動力伝達部材70Dの移動をガイドするガイド部材71Dと、駆動力伝達部材70Dを移動させるパンタグラフ部72Dと、パンタグラフ部72Dを駆動するモータ73Dを備える。更に、ポット蓋駆動機構7Dは、ポット蓋6Aの移動をガイドするポット蓋ガイド部材74Dを備える。
【0181】
ポット蓋駆動機構7Dは、ガイド部材71Dとポット蓋ガイド部材74Dがフレーム75Dに取り付けられ、フレーム75Dが本体部2Aの後側に取り付けられる。
【0182】
ガイド部材71Dとポット蓋ガイド部材74Dは、ポット蓋6Aの移動方向に沿って設けられ、本体部2Aに支持される貯留ポット5Aの後側で、後方に向かって直線状に延在する。
【0183】
パンタグラフ部72Dは、複数のリンク76Dと、各リンク76Dを回転可能に連結する複数の軸部77Dを備え、複数のリンク76Dと軸部77Dが、本例では複数の菱形が構成されるように連結されて、モータ73Dの駆動力を受けて伸縮する。
【0184】
駆動力伝達部材70Dは、パンタグラフ部72Dと連結されているので、パンタグラフ部72Dの伸縮で、駆動力伝達部材70Dはガイド部材71Dに沿って前後方向に移動する。
【0185】
次に、ポット蓋6Aと、パンタグラフ機構によるポット蓋駆動機構7Dとの係脱を行う係脱機構8Dの構成について説明する。係脱機構8Dは係脱手段の一例で、上述した駆動力受け部63Aと駆動力伝達部材70Dで構成される。駆動力伝達部材70Dは、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aに挿抜可能な形状で、上方に向けて立設された凸状の部材で構成される。
【0186】
係脱機構8Dは、ポット蓋6A側の駆動力受け部63Aが、下面が開口した空間で構成されることで、ポット蓋6Aの上下方向の動きによって、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Dの駆動力伝達部材70Dに挿抜される。
【0187】
駆動力受け部63Aに対して駆動力伝達部材70Dが挿入されると、駆動力受け部63Aは駆動力伝達部材70Dに係合される。また、駆動力受け部63Aが駆動力伝達部材70Dから抜けると、駆動力受け部63Aは駆動力伝達部材70Dから脱離される。
【0188】
これにより、ポット蓋6Aで閉塞された貯留ポット5Aを上下方向に動かして、貯留ポット5Aを本体部2Aに対して着脱する動作で、ポット蓋6Aとポット蓋駆動機構7Dは、駆動力受け部63Aと駆動力伝達部材70Dが係脱される。また、ポット蓋6Aを上下方向に動かして、ポット蓋6Aを単体で貯留ポット5Aに対して着脱する動作でも、ポット蓋6Aとポット蓋駆動機構7Dは、駆動力受け部63Aと駆動力伝達部材70Dが係脱される。更に、駆動力受け部63Aと駆動力伝達部材70Dが係合されると、ポット蓋駆動機構7Dからポット蓋6Aに駆動力が伝達可能となる。
【0189】
<第4の実施の形態のトイレ装置の動作例>
次に、第4の実施の形態のトイレ装置1Dの動作について、図10の機能ブロック図におけるモータ73Aを、パンタグラフ部72Dを駆動する駆動手段としてのモータ73Dに置き換えて、ポット蓋駆動機構7Dによるポット蓋6Aの開閉動作を中心に説明する。
【0190】
トイレ装置1Dは、座面部4Aが開位置とされて便座3Aの上方が開かれると、便座3Aへの着座が可能になる。トイレ装置1Dは、便座3Aに人が着座したことを、人検知センサ90Aにより検知すると、制御部92Aがモータ73Dを駆動して、パンタグラフ部72Dを伸張させ、パンタグラフ部72Dに連結された駆動力伝達部材70Dを、ガイド部材71Dに沿って矢印Rで示す後方向に移動させる。
【0191】
ポット蓋6Aが閉位置にある状態から、駆動力伝達部材70Dを矢印Rで示す後方向に移動させると、駆動力伝達部材70Dが駆動力受け部63Aの押し上げ部81Aを押すことにより、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、ポット蓋6Aの後側が上方向に押し上げられる。また、駆動力伝達部材70Dが押し上げ部81Aから駆動力受け部63Aの開方向駆動力受け部82Aに接し、開方向駆動力受け部82Aを押すことにより、ポット蓋6Aが矢印Rで示す後方向である開方向に移動する。
【0192】
トイレ装置1Dは、上述した動作でポット蓋6Aが開くことで、便座3Aの開口部30Aの下に貯留ポット5Aの開口部50Aが露出し、トイレとしての使用が可能となる。
【0193】
用便が終了し、利用者が便座3Aから移動したことを人検知センサ90Aの出力から検知すると、トイレ装置1Cは、制御部92Aがモータ73Dを駆動して、パンタグラフ部72Dを収縮させ、パンタグラフ部72Dに連結された駆動力伝達部材70Dを、ガイド部材71Dに沿って矢印Fで示す前方向に移動させる。
【0194】
ポット蓋6Aが開位置にある状態から、駆動力伝達部材70Dを矢印Fで示す前方向に移動させると、駆動力伝達部材70Dが駆動力受け部63Aの閉方向駆動力受け部80Aに接し、閉方向駆動力受け部80Aを押すことにより、ポット蓋6Aが矢印Fで示す前方向である閉方向に移動する。
【0195】
ポット蓋6Aが閉方向に移動して、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、貯留ポット5Aの上方まで移動すると、ポット蓋6Aの左右両側のフランジ部62Aがポット蓋ガイド部材74Dから外れ、ポット蓋6Aが自重で下降して、貯留ポット5Aが閉塞される。
【0196】
上述したように、パンタグラフ部72Dによるポット蓋駆動機構7Dを備えたトイレ装置1Dであっても、閉位置にある便座3Aの下側の開閉空間23Aで、パンタグラフ部72Dによる駆動力伝達部材70Dの前後方向への移動によってポット蓋6Aを上下方向と前後方向に移動させて、ポット蓋6Aを開閉する構成とすることができる。
【0197】
これにより、トイレ装置1Dでも、ポット蓋6Aを開閉するために、便座3Aを開閉する必要がなく、また、人手でポット蓋6Aを持って開閉する必要もないので、利用者の負担を軽減することができる。
【0198】
トイレ装置1Dにおいて、貯留ポット5Aの取り付け、及び取り外しを行う動作では、図10で説明した切替スイッチ91Aを操作して、モータ73Dを非作動とする。これにより、貯留ポット5Aの取り付けまたは取り外しを行う人を人検知センサ90Aが検知して、モータ73Dが作動することが防止される。
【0199】
貯留ポット5Aを取り付ける動作では、座面部4Aを開位置とすることで、便座3Aの上方を開き、次に、便座3Aを開位置とすることで、支持部材21Aの上方を開く。
【0200】
ポット蓋6Aで閉塞された貯留ポット5Aを支持部材21Aに取り付けると、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Dの駆動力伝達部材70Dに挿入され、駆動力受け部63Aが駆動力伝達部材70Dと係合される。
【0201】
これにより、ポット蓋駆動機構7Dでポット蓋6Aを開閉する構成のトイレ装置1Dでも、貯留ポット5Aの取り付けのために、ポット蓋駆動機構7Dとポット蓋6Aを連結する別の操作は不要で、作業が容易に行える。なお、先に貯留ポット5Aを本体部2Aに取り付け、後でポット蓋6Aを取り付ける場合も同様である。
【0202】
貯留ポット5Aとポット蓋6Aを本体部2Aに取り付けると、便座3Aを閉位置とする。また、直ぐにトイレとして使用しない場合は、座面部4Aを閉位置として便座3Aを覆い、通常の椅子としての使用が可能となる。そして、切替スイッチ91Aを操作して、モータ73Dを作動状態とする。
【0203】
本体部2Aから貯留ポット5Aを取り外す動作では、切替スイッチ91Aを操作して、モータ73Dを非作動状態とした後、座面部4Aを開位置とすることで、便座3Aの上方を開き、次に、便座3Aを開位置とすることで、支持部材21Aに支持された貯留ポット5Aの上方を開く。
【0204】
ポット蓋6Aで閉塞された貯留ポット5Aを持ち上げて上方向に移動させると、ポット蓋6Aの駆動力受け部63Aが、本体部2A側のポット蓋駆動機構7Dの駆動力伝達部材70Dから抜け、駆動力受け部63Aが駆動力伝達部材70Dから脱離される。
【0205】
これにより、ポット蓋駆動機構7Dでポット蓋6Aを開閉する構成のトイレ装置1Dでも、貯留ポット5Aの取り外しのために、ポット蓋駆動機構7Dとポット蓋6Aを切り離す別の操作は不要で、作業が容易に行える。
【0206】
<第5の実施の形態のトイレ装置の構成例>
図29及び図30は、第5の実施の形態のトイレ装置の一例を示す斜視図で、図29は、ポット蓋が閉位置にある状態を示し、図30は、ポット蓋が開位置にある状態を示す。また、図31及び図32は、第5の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側面図で、図31は、ポット蓋が閉位置にある状態を示し、図32は、ポット蓋が開位置にある状態を示す。
【0207】
第5の実施の形態のトイレ装置1Eは、モータにより自走するポット蓋駆動機構に代えて、トイレ装置1Eの使用に伴う操作、本例では、座面部4Aを開閉する動作が伝達されて走行するポット蓋駆動機構7Eを備える。
【0208】
ここで、トイレ装置1Eにおいて、本例では椅子型を成す本体部2Aと、本体部2Aに開閉可能に設けられる便座3Aと、便座3Aを開閉可能に覆う座面部4Aと、本体部2Aに着脱可能に支持される貯留ポット5Aは、第1の実施の形態のトイレ装置1Aと同様の構成で良い。
【0209】
また、トイレ装置1Eにおいて、貯留ポット5Aに着脱可能に設けられるポット蓋は、駆動力受け部63Bが左右両側に設けられる第2の実施の形態のトイレ装置1Bにおけるポット蓋6Bと同様の構成で良い。
【0210】
更に、トイレ装置1Eにおいて、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Eを係合して駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Eを脱離させる係脱機構8Eは、左右両側に駆動力受け部63Bが設けられたポット蓋6Bに対応した第2の実施の形態のトイレ装置1Bにおける係脱機構8Bと同様の構成で良い。
【0211】
以下に、座面部4Aを開閉する動作が伝達されて走行するポット蓋駆動機構7Eの構成について説明する。ポット蓋駆動機構7Eはポット蓋駆動手段の一例で、ポット蓋6Bに駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bと係脱可能な左右一対の駆動力伝達部70Eと、駆動力伝達部70Eが設けられた連結部材71Eを備える。なお、図30では、一方の駆動力伝達部70Eは図示されない。
【0212】
また、ポット蓋駆動機構7Eは、連結部材71Eの移動をガイドするガイド部材72Eと、座面部4Aが開閉する動きを連結部材71Eに伝達して、駆動力伝達部70Eを移動させる操作力伝達部材73Eを備える。
【0213】
ポット蓋駆動機構7Eは、ガイド部材72Eと、ポット蓋6Bの移動をガイドする図示しないポット蓋ガイド部材が、本体部2Aの後側に取り付けられる図示しないフレームに取り付けられる。ガイド部材72Eは、ポット蓋6Bの移動方向に沿った左右両側に設けられ、本体部2Aに支持される貯留ポット5Aの後側で、後方に向かって直線状に延在する。
【0214】
連結部材71Eは、左右一対のガイド部材72Eで左右の両側が支持される形状で、左右の両側に駆動力伝達手段としての駆動力伝達部70Eが設けられると共に、操作力伝達部材73Eで座面部4Aと連結される。
【0215】
座面部4Aは、上述したように、ヒンジ部41Aで回転可能に連結される第1の座面40Aと第2の座面40Bを折り畳むことで、便座3Aを開閉可能に覆う構成であり、開閉動作で前後方向に移動する第2の座面44Bの先端に連結軸部44Aを備える。
【0216】
操作力伝達部材73Eは操作力伝達手段の一例で、座面部4Aの連結軸部44Aと連結される連結穴部74Eを備える。連結穴部74Eは、連結軸部44Aが回転可能に挿入可能で、かつ、座面部4Aの開閉動作による連結軸部44Aの移動方向に沿った長穴で構成される。
【0217】
操作力伝達部材73Eは、本体部2Aに設けられた溝部21Eに沿って移動可能に構成され、操作力伝達部材73Eと連結部材71Eが連結されており、座面部4Aの開閉動作で第2の座面42Aの先端側が前後方向に移動すると、第2の座面42Aの先端側に設けられた連結軸部44Aの前後方向への動きが、操作力伝達部材73Eの連結穴部74Eを介して連結部材71Eに伝達される。これにより、連結部材71Eに設けられた駆動力伝達部70Eが、ガイド部材72Eに沿って前後方向に移動する。
【0218】
ここで、連結軸部44Aが挿入される連結穴部74Eが長穴で構成されることで、座面部4Aの開閉動作による連結軸部44Aの移動を連結部材71Eに伝達しない範囲が設けられる。これにより、座面部4Aの開閉動作による連結軸部44Aの移動量と、ポット蓋6Bの開閉に必要な連結部材71Eの移動量が異なる構成で、連結部材71Eの移動量が、ポット蓋6Bの開閉動作で必要な移動量に規制される。
【0219】
図33は、操作力伝達切替機構の一例を示す斜視図である。操作力伝達切替機構75Eは操作力伝達切替手段の一例で、操作力伝達部材73Eを可倒とする軸部76Eを備え、連結穴部74Eと連結軸部44Aとの連結と非連結を切り換える。
【0220】
図33(a)に示すように、連結穴部74Eと連結軸部44Aが連結された状態では、座面部4Aの開閉動作が、操作力伝達部材73Eを介して駆動力伝達部70Eに伝達される。これに対して、図33(b)に示すように、操作力伝達部材73Eを軸部76Eを支点に倒し、連結穴部74Eと連結軸部44Aを非連結とした状態では、座面部4Aの開閉動作が駆動力伝達部70Eに伝達されない。
【0221】
<第5の実施の形態のトイレ装置の動作例>
次に、第5の実施の形態のトイレ装置1Eの動作について、ポット蓋駆動機構7Eによるポット蓋6Bの開閉動作を中心に説明する。
【0222】
トイレ装置1Eの使用時には、図33(a)に示すように、連結穴部74Eと連結軸部44Aが連結された状態とする。トイレ装置1Eは、第1の座面40Aと第2の座面42Aがヒンジ部41Aで折り畳まれる形態として、座面部4Aが開位置とされる。この座面部4Aを開位置とする動作で、第2の座面42Aの先端側に設けられた連結軸部44Aが後方向へ移動する。
【0223】
座面部4Aを開く動作で連結軸部44Aが後方向へ移動すると、連結穴部74Eの長穴形状に沿って連結軸部44Aが移動することで、座面部4Aを開く動作の途中までは、操作力伝達部材73Eを介して連結部材71Eに駆動力は伝達されない。
【0224】
連結軸部44Aが連結穴部74Eの後側の端部に当接すると、座面部4Aを開く動作による連結軸部44Aの後方向への動きが、操作力伝達部材73Eを介して連結部材71Eに伝達される。これにより、連結部材71Eに設けられた駆動力伝達部70Eが、ガイド部材72Eに沿って後方向に移動する。
【0225】
ポット蓋6Bが閉位置にある状態から、駆動力伝達部70Eを後方向に移動させると、図20で説明した駆動力受け部63Bの押し上げ部81Bを駆動力伝達部70Eが押すことにより、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、ポット蓋6Bの後側が上方向に押し上げられる。また、駆動力伝達部70Eが押し上げ部81Bから駆動力受け部63Bの開方向駆動力受け部82Bに接し、開方向駆動力受け部82Bを押すことにより、ポット蓋6Bが後方向である開方向に移動する。
【0226】
これにより、トイレ装置1Eは、座面部4Aを開く動作で便座3Aの上方が開かれて、便座3Aへの着座が可能になると共に、座面部4Aを開く動作でポット蓋6Bが開き、便座3Aの開口部30Aの下に貯留ポット5Aの開口部50Aが露出して、トイレとしての使用が可能となる。
【0227】
用便が終了した利用者が便座3Aから移動すると、座面部4Aを閉じることが可能となる。トイレ装置1Eは、第1の座面40Aと第2の座面42Aを平板状に展開することで、座面部4Aが閉位置とされる。この座面部4Aを閉じる動作で、第2の座面42Aの先端側の連結軸部44Aが前方向へ移動する。
【0228】
座面部4Aを閉じる動作で連結軸部44Aが前方向へ移動すると、連結穴部74Eの長穴形状に沿って連結軸部44Aが移動することで、座面部4Aを閉じる動作の途中までは、操作力伝達部材73Eを介して連結部材71Eに駆動力は伝達されない。
【0229】
連結軸部44Aが連結穴部74Eの前側の端部に当接すると、座面部4Aを閉じる動作による連結軸部44Aの前方向への動きが、操作力伝達部材73Eを介して連結部材71Eに伝達される。これにより、連結部材71Eに設けられた駆動力伝達部70Eが、ガイド部材72Eに沿って前方向に移動する。
【0230】
ポット蓋6Bが開位置にある状態から、駆動力伝達部70Eを前方向に移動させると、図20で説明した駆動力受け部63Bの閉方向駆動力受け部80Bに駆動力伝達部70Eが接し、閉方向駆動力受け部80Bを押すことにより、ポット蓋6Bが前方向である閉方向に移動する。
【0231】
ポット蓋6Bが閉方向に移動して、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、貯留ポット5Aの上方まで移動すると、図示しないポット蓋ガイド部材から外れ、ポット蓋6Bが自重で下降して、貯留ポット5Aが閉塞される。
【0232】
トイレ装置1Eにおいて、貯留ポット5Aの取り付け、及び取り外しを行う場合は、図33(b)に示すように、操作力伝達部材73Eを軸部76Eを支点に倒し、連結穴部74Eと連結軸部44Aを非連結の状態とする。
【0233】
これにより、座面部4Aの開閉動作が駆動力伝達部70Eに伝達されず、座面部4Aを開けてもポット蓋6Bは開かず、ポット蓋6Bで貯留ポット5Aを閉塞した状態が保持される。よって、便座3Aを開けて、貯留ポット5Aの取り付け、及び取り外しを行うことが可能である。貯留ポット5Aの着脱動作では、ポット蓋6Bと駆動力伝達部70Eの係脱が、係脱機構8Eによって行われる。
【0234】
上述したように、座面部4Aの開閉動作に連動するポット蓋駆動機構7Eを備えたトイレ装置1Eであっても、閉位置にある便座3Aの下側の開閉空間23Aで、座面部4Aの開閉動作が伝達される駆動力伝達部70Eの前後方向への移動によってポット蓋6Bを上下方向と前後方向に移動させて、ポット蓋6Bを開閉する構成とすることができる。
【0235】
これにより、トイレ装置1Eでも、ポット蓋6Bを開閉するために、便座3Aを開閉する必要がなく、また、人手でポット蓋6Bを持って開閉する必要もないので、利用者の負担を軽減することができる。
【0236】
なお、トイレ装置1Eでは、人の操作による変位として座面部4Aを開閉する動作を伝達する構成としたが、人の操作により変位する他の部材、例えば、操作レバーを備えて、操作レバーの動作を伝達する構成としても良い。
【0237】
<第6の実施の形態のトイレ装置の構成例>
図34及び図35は、第6の実施の形態のトイレ装置の一例を示す側断面図で、図34は、ポット蓋が閉位置にある状態を示し、図35は、ポット蓋が開位置にある状態を示す。
【0238】
第6の実施の形態のトイレ装置1Fは、モータによって駆動されるリンク機構によるポット蓋駆動機構に代えて、トイレ装置1Fの使用に伴う操作、本例では、座面部4Aを開閉する動作が伝達されるリンク機構によるポット蓋駆動機構7Fを備える。
【0239】
ここで、トイレ装置1Fにおいて、本例では椅子型を成す本体部2Aと、本体部2Aに開閉可能に設けられる便座3Aと、便座3Aを開閉可能に覆う座面部4Aと、本体部2Aに着脱可能に支持される貯留ポット5Aは、第1の実施の形態のトイレ装置1Aと同様の構成で良い。
【0240】
また、トイレ装置1Fにおいて、貯留ポット5Aに着脱可能に設けられるポット蓋は、駆動力受け部63Bが左右両側に設けられる第2の実施の形態のトイレ装置1Bにおけるポット蓋6Bと同様の構成で良い。
【0241】
更に、トイレ装置1Fにおいて、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Fを係合して駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Bとポット蓋駆動機構7Fを脱離させる係脱機構8Fは、左右両側に駆動力受け部63Bが設けられたポット蓋6Bに対応した第2の実施の形態のトイレ装置1Bにおける係脱機構8Bと同様の構成で良い。
【0242】
以下に、座面部4Aを開閉する動作が伝達されるリンク機構によるポット蓋駆動機構7Fの構成について説明する。ポット蓋駆動機構7Fはポット蓋駆動手段の一例で、ポット蓋6Bに駆動力を伝達すると共に、ポット蓋6Bの駆動力受け部63Bと係脱可能な左右一対の駆動力伝達部70Fと、駆動力伝達部70Fが設けられた連結部材71Fを備える。
【0243】
また、ポット蓋駆動機構7Fは、連結部材71Fの移動をガイドするガイド部材72Fと、連結部材71Fを移動させるリンク部73Fと、座面部4Aが開閉する動きをリンク部73Fに伝達して、駆動力伝達部70Fを移動させる操作力伝達部材74Fを備える。
【0244】
ポット蓋駆動機構7Fは、ガイド部材72Fと、ポット蓋6Bの移動をガイドする図示しないポット蓋ガイド部材が、本体部2Aの後側に取り付けられる図示しないフレームに取り付けられる。ガイド部材72Fは、ポット蓋6Bの移動方向に沿った左右両側に設けられ、本体部2Aに支持される貯留ポット5Aの後側で、後方に向かって直線状に延在する。
【0245】
連結部材71Fは、左右一対のガイド部材72Fで左右の両側が支持される形状で、左右の両側に駆動力伝達手段としての駆動力伝達部70Fが設けられると共に、リンク部73Fと操作力伝達部材74Fを介して座面部4Aと連結される。
【0246】
リンク部73Fは、第1のリンク75Fと第2のリンク76Fが軸部77Fで回転可能に連結される。第1のリンク75Fは、軸部77Fと反対側の端部が、連結部材71Fに回転可能に支持される。また、第2のリンク76Fは、軸部77Fと反対側の端部が軸部78Fに支持される。
【0247】
座面部4Aは、上述したように、ヒンジ部41Aで回転可能に連結される第1の座面40Aと第2の座面40Bを折り畳むことで、便座3Aを開閉可能に覆う構成であり、第1の座面40Aの軸43Aが、開閉動作で回転する。
【0248】
操作力伝達部材74Fは操作力伝達手段の一例で、座面部4Aの開閉動作で回転する第1の座面40Aの軸43Aに設けられた第1のプーリ79Fと、第1のプーリ79Fに架けられたベルト80Fと、ベルト80Fが架けられた第2のプーリ81Fを備える。また、操作力伝達部材74Fは、第2のプーリ81Fを支持する軸部82Fと、軸部82Fに支持されて第2のプーリ81Fと同期して回転する第1のギア83Fを備える。更に、操作力伝達部材74Fは、リンク部73Fの第2のリンク76Fを支持する軸部78Fに取り付けられ、第1のギア83Fと噛み合う第2のギア84Fを備える。
【0249】
操作力伝達部材74Fは、座面部4Aの開閉動作による軸43Aの回転が、第1のプーリ79Fとベルト80Fを介して第2のプーリ81Fに伝達される。第2のプーリ81Fの回転は、第1のギア83Fと第2のギア84Fを介してリンク部73Fの第2のリンク76Fに伝達される。
【0250】
リンク部73Fは、操作力伝達部材74Fを介して座面部4Aの開閉動作が伝達されて、第2のリンク76Fが回転駆動されると、第2のリンク76Fと軸部77Fで連結された第1のリンク75Fが、第2のリンク76Fに対して引かれる方向への動きで、軸部77Fを支点に折り畳まれると共に、第2のリンク76Fに対して押される方向への動きで、軸部77Fを支点に伸長される。
【0251】
駆動力伝達部70Fが設けられた連結部材71Fは、第1のリンク75Fの軸部77Fと反対側の端部が連結されているので、リンク部73Fの軸部77Fを支点とした折り畳み及び伸長で、駆動力伝達部70Fはガイド部材72Fに沿って前後方向に移動する。
【0252】
図36は、操作力伝達切替機構の一例を示す斜視図である。操作力伝達切替機構85Fは操作力伝達切替手段の一例で、本例では、座面部4Aの開閉動作で回転する第1の座面40Aの軸43Aを、第1の座面40Aに設けられる第1の軸43A1と、第1のプーリ79Fに設けられる第2の軸43A2で構成し、第1の軸43A1と第2の軸43A2の連結と非連結を切り換える。
【0253】
第1の軸43A1は、軸方向に沿ってスライド移動可能な構成で、第1の軸43A1をスライドさせる操作レバー86Fと、第1の連結部材87Fを備える。第2の軸43A2は、第1の連結部材87Aと連結及び切り離し可能な第2の連結部材88Fを備える。第1の連結部材87Fと第2の連結部材88Fは、座面部4Aの開度とポット蓋6Bの開度がずれないように、回転方向における位相が揃うような凹凸形状を連結面に有する。
【0254】
図36(a)に示すように、第1の連結部材87Fと第2の連結部材88Fが連結された状態では、座面部4Aの開閉動作が、操作力伝達部材74Fを介して駆動力伝達部70Fに伝達される。これに対して、図36(b)に示すように、操作レバー86Fを操作して、第1の連結部材87Fと第2の連結部材88Fを非連結とした状態では、座面部4Aの開閉動作が駆動力伝達部70Fに伝達されない。
【0255】
<第6の実施の形態のトイレ装置の動作例>
次に、第6の実施の形態のトイレ装置1Fの動作について、ポット蓋駆動機構7Fによるポット蓋6Fの開閉動作を中心に説明する。
【0256】
トイレ装置1Fの使用時には、図36(a)に示すように、第1の連結部材87Fと第2の連結部材88Fが連結された状態とする。トイレ装置1Fは、第1の座面40Aと第2の座面42Aがヒンジ部41Aで折り畳まれる形態として、座面部4Aが開位置とされる。この座面部4Aを開位置とする動作で、第1の座面40Aを支持する軸43Aが一の方向に回転する。
【0257】
座面部4Aを開く動作で軸43Aが一の方向に回転すると、操作力伝達部材74Fで第1のプーリ79Fとベルト80Fを介して第2のプーリ81Fに駆動力が伝達され、第2のプーリ81Fが回転する。第2のプーリ81Fの回転は、第1のギア83Fと第2のギア84Fを介してリンク部73Fの第2のリンク76Fに伝達される。
【0258】
リンク部73Fは、操作力伝達部材74Fを介して座面部4Aの開閉動作が伝達されて、第2のリンク76Fを一の方向に回転させると、第1のリンク75Fと第2のリンク76Fが軸部77Fを支点に折り畳まれる動きで、第1のリンク75Fが連結された連結部材71Fをガイド部材72Fに沿って移動させ、連結部材71Fに設けられた駆動力伝達部70Fを後方向に移動させる。
【0259】
ポット蓋6Bが閉位置にある状態から、駆動力伝達部70Fを後方向に移動させると、図20で説明した駆動力受け部63Bの押し上げ部81Bを駆動力伝達部70Fが押すことにより、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、ポット蓋6Bの後側が上方向に押し上げられる。また、駆動力伝達部70Fが押し上げ部81Bから駆動力受け部63Bの開方向駆動力受け部82Bに接し、開方向駆動力受け部82Bを押すことにより、ポット蓋6Bが後方向である開方向に移動する。
【0260】
これにより、トイレ装置1Fは、座面部4Aを開く動作で便座3Aの上方が開かれて、便座3Aへの着座が可能になると共に、座面部4Aを開く動作でポット蓋6Bが開き、便座3Aの開口部30Aの下に貯留ポット5Aの開口部50Aが露出して、トイレとしての使用が可能となる。
【0261】
用便が終了した利用者が便座3Aから移動すると、座面部4Aを閉じることが可能となる。トイレ装置1Fは、第1の座面40Aと第2の座面42Aを平板状に展開することで、座面部4Aが閉位置とされる。この座面部4Aを閉じる動作で、第1の座面40Aを支持する軸43Aが他の方向に回転する。
【0262】
座面部4Aを閉じる動作で軸43Aが他の方向に回転すると、操作力伝達部材74Fを介してリンク部73Fの第2のリンク76Fに駆動力が伝達される。
【0263】
リンク部73Fは、操作力伝達部材74Fを介して座面部4Aの開閉動作が伝達されて、第2のリンク76Fを他の方向に回転させると、第1のリンク75Fと第2のリンク76Fが軸部77Fを支点に伸張される動きで、第1のリンク75Fが連結された連結部材71Fをガイド部材72Fに沿って移動させ、連結部材71Fに設けられた駆動力伝達部70Fを前方向に移動させる。
【0264】
ポット蓋6Bが開位置にある状態から、駆動力伝達部70Fを矢印Fで示す前方向に移動させると、図20で説明した駆動力受け部63Bの閉方向駆動力受け部80Bに駆動力伝達部70Fが接し、閉方向駆動力受け部80Bを押すことにより、ポット蓋6Bが前方向である閉方向に移動する。
【0265】
ポット蓋6Bが閉方向に移動して、便座3Aの下側の開閉空間23Aで、貯留ポット5Aの上方まで移動すると、図示しないポット蓋ガイド部材から外れ、ポット蓋6Bが自重で下降して、貯留ポット5Aが閉塞される。
【0266】
トイレ装置1Fにおいて、貯留ポット5Aの取り付け、及び取り外しを行う場合は、図36(b)に示すように、操作レバー86Fを操作して、第1の連結部材87Fと第2の連結部材88Fを非連結の状態とする。
【0267】
これにより、座面部4Aの開閉動作が駆動力伝達部70Fに伝達されず、座面部4Aを開けてもポット蓋6Bは開かず、ポット蓋6Bで貯留ポット5Aを閉塞した状態が保持される。よって、便座3Aを開けて、貯留ポット5Aの取り付け、及び取り外しを行うことが可能である。貯留ポット5Aの着脱動作では、ポット蓋6Bと駆動力伝達部70Fの係脱が、係脱機構8Fによって行われる。
【0268】
上述したように、座面部4Aの開閉動作に連動するポット蓋駆動機構7Fを備えたトイレ装置1Fであっても、閉位置にある便座3Aの下側の開閉空間23Aで、座面部4Aの開閉動作が伝達される駆動力伝達部70Fの前後方向への移動によってポット蓋6Bを上下方向と前後方向に移動させて、ポット蓋6Bを開閉する構成とすることができる。
【0269】
これにより、トイレ装置1Fでも、ポット蓋6Bを開閉するために、便座3Aを開閉する必要がなく、また、人手でポット蓋6Bを持って開閉する必要もないので、利用者の負担を軽減することができる。
【0270】
なお、トイレ装置1Fでも、人の操作による変位として座面部4Aを開閉する動作を伝達する構成としたが、人の操作により変位する他の部材、例えば、操作レバーを備えて、操作レバーの動作を伝達する構成としても良い。
【0271】
<貯留ポットの変形例>
図37は、貯留ポットの変形例を示す斜視図である。変形例の貯留ポット5Bは、上面に開口部50Bが設けられた有底状で、開口部50Bの外周に、外側に向かって突出したフランジ部51Bが設けられる。また、貯留ポット5Bは、上述したポット蓋6Aまたはポット蓋6Bの開閉動作でポット蓋6Aまたはポット蓋6Bが移動する経路を除く前面側と側面側のフランジ部51Bに、飛散防止部52Bが設けられる。更に、貯留ポット5Bは、図示しないハンドル部が出没可能に設けられる。
【0272】
本体部2Aに貯留ポット5Bが取り付けられると、開閉空間23Aの壁部が飛散防止部52Bで覆われる。これにより、本体部2Aに対して着脱が行えない開閉空間23Aを構成する壁部に、汚物等が付着しないようにすることができる。貯留ポット5Bは、貯留ポット5Aと同様に本体部2Aに対して着脱可能であるので、飛散防止部52B等の洗浄は容易である。
【産業上の利用可能性】
【0273】
本発明は、家庭や公共施設等に設置されるトイレ装置や、屋外その他での簡易的に設置使用されたり、車載用等として使用されたりするポータブルトイレ装置や、介護用のトイレ装置に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0274】
1A、1B、1C、1D、1E,1F・・・トイレ装置、2A・・・本体部、23A・・・開閉空間、3A・・・便座、30A・・・開口部、31A・・・軸、4A・・・座面部、40A・・・第1の座面、41A・・・ヒンジ部、42A・・・第2の座面、43A・・・軸、5A・・・貯留ポット、50A・・・開口部、6A、6B・・・ポット蓋、63A、63B・・・駆動力受け部、7A、7B、7C、7D、7E,7F・・・ポット蓋駆動機構、8A、8B、8C、8D、8E,8F・・・係脱機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を受容して貯留する貯留ポットと、
前記貯留ポットに着脱可能に設けられ、前記貯留ポットの開口部に嵌まり前記貯留ポットの開口部を閉塞するポット蓋と、
前記貯留ポットを着脱可能に支持する支持部を有すると共に、前記支持部に取り付けられた前記貯留ポットの上方に、前記ポット蓋が移動する開閉空間を有した本体部と、
前記開閉空間の上方に設けられ、前記本体部に回転可能に支持される便座と、
前記貯留ポットの開口部に嵌まる前記ポット蓋を、前記開閉空間で上下動させると共に横動させて、前記貯留ポットの開口部を開閉するポット蓋駆動手段と、
前記ポット蓋と前記ポット蓋駆動手段とを係脱させ、前記ポット蓋駆動手段による前記ポット蓋の開閉と、前記ポット蓋で開口部が閉塞された前記貯留ポットの前記本体部に対する着脱及び前記本体部に支持された前記貯留ポットに対する前記ポット蓋の着脱を切り換える係脱手段と
を備えたことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記ポット蓋駆動手段は、
前記ポット蓋の横動方向に沿った一の方向に往復移動する駆動力伝達手段と、
前記ポット蓋に設けられ、前記駆動力伝達手段が係合される駆動力受け手段と、
前記ポット蓋の横動方向に沿った一の方向に移動する前記駆動力伝達手段の動きを、前記貯留ポットの上下動に変換する動作方向変換手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記係脱手段は、前記ポット蓋で開口部が閉塞された前記貯留ポットの前記本体部に対する着脱及び前記本体部に支持された前記貯留ポットに対する前記ポット蓋の着脱で、前記駆動力伝達手段が挿抜される開口を前記駆動力受け手段に設けて構成される
ことを特徴とする請求項2記載のトイレ装置。
【請求項4】
人を検知する検知手段と、
前記ポット蓋駆動手段を駆動する駆動手段と、
前記検知手段での人の有無の検知に基づき前記駆動手段を制御して、前記ポット蓋駆動手段で前記ポット蓋の開閉を行う制御手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記ポット蓋駆動手段を駆動して前記ポット蓋を開閉する前記駆動手段の作動と非作動を切り替える切替手段を備えた
ことを特徴とする請求項4記載のトイレ装置。
【請求項6】
人の操作による変位を前記ポット蓋駆動手段に伝達して前記ポット蓋を開閉する操作力伝達手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のトイレ装置。
【請求項7】
人の操作による変位の前記操作力伝達手段による伝達と非伝達を切り替える操作力伝達切替手段を備えた
ことを特徴とする請求項6記載のトイレ装置。
【請求項8】
前記本体部に設けられ、前記便座を開閉可能に覆う蓋体を備え、
前記操作力伝達手段は、人の操作により開閉する前記蓋体の動作を前記ポット蓋駆動手段に伝達して前記ポット蓋を開閉し、
前記操作力伝達切替手段は、人の操作により開閉する前記蓋体の動作の前記操作力伝達手段による伝達と非伝達を切り替える
ことを特徴とする請求項7記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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