説明

トランスおよび該トランスを用いたスイッチング電源装置

【課題】スイッチングノイズ量のばらつきを抑制することができるトランス、および該トランスを用いたスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】トランス1は、一次コイル7と二次コイル3とをシールド部材5を挟んで巻回したものであって、シールド部材5は、第1導電部8dと、これに対して巻回軸の径方向外側に巻回された第2導電部8eと、第1導電部8dの端部と第2導電部の端部とを電気的に接続する接続部8cとからなる導電性部材8と、第1導電部8dと第2導電部8eとの間に介装され、これらを絶縁する絶縁層9とを有し、第1導電部8dと第2導電部8eとの接続方向において、導電性部材8の両端部(8a、8b)のうち一方端8aが開放されるとともに、他方端8bが一次コイル7側に設けられたスイッチング手段を有する一次側回路の基準電位ラインに電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次コイルと二次コイルの間に導電性を有するシールド部材を配置したトランス、および該トランスを用いたスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源装置に使用される従来のトランスとしては、特許文献1に記載のものが知られている。図3(A)に示すように、従来のトランス1’は、コア10の中足を挿入するために中空とした円筒状のボビン2と、その周りに順次巻回された第1コイル3、第1絶縁部材4、シールド部材5’、第2絶縁部材6、第2コイル7および第3絶縁部材11とを備える。
【0003】
シールド部材5’は、導電性を有する帯状の導電性部材8’であり、第1縁部8aと第2縁部8bとが周方向上で相対向しながら離間している。したがって、導電性部材8’は、第1縁部8aおよび第2縁部8bのいずれか一方を巻き始めとし、他方を巻き終わりとする1ターンのコイルTとみなすことができる(図3(B)参照)。
【0004】
トランス1’は、例えば、図4に示すスイッチング電源装置で使用される。この従来のスイッチング電源装置20’は、入力端子から入力される交流電圧を整流・平滑等する一次側整流平滑手段21と、第2コイル(一次コイル)7の一端と基準電位ライン25(例えば、GNDライン)の間に接続され、一次側整流平滑手段21で得られた直流電圧をスイッチングするスイッチング手段22と、当該スイッチングにより、第1コイル(二次コイル)3に誘起される交流電圧を整流・平滑等する二次側整流平滑手段23とを備える。二次側整流平滑手段23で得られた所定の直流電圧は、出力端子から出力される。
【0005】
図3(B)および図4を参照して、トランス1’のシールド部材5’である導電性部材8’は、第2縁部8bが基準電位ライン25に電気的に接続されている。第2縁部8bと基準電位ライン25との間には、必要に応じて、コンデンサ24および抵抗26が接続されることもある。一方、導電性部材8’の第1縁部8aは開放状態となっている。
【0006】
このスイッチング電源装置20’では、シールド部材5’の電位とスイッチング手段22の基準電位(例えば、GNDレベル)とが等しくなる。したがって、スイッチング電源装置20’によれば、シールド部材5’と二次コイル3との間に生じる電界の強さと、一次コイル7と二次コイル3との間に生じる電界の強さとを均衡させることができ、トランス1’からのコモンモードノイズの発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4100886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、トランス1’を用いた従来のスイッチング電源装置20’では、トランス1’の製造ばらつきにより、スイッチング手段22のスイッチングに起因するスイッチングノイズ量にばらつきが発生していた。
【0009】
すなわち、二次コイル3および一次コイル7を巻回する際のテンションおよび密着性の変動や巻きずれにより、シールド部材5’から基準電位ライン25に流出するスイッチングノイズ量に大きなばらつきが発生していた。ここで、製造工程にて上記テンション等を厳密に管理することが考えられるが、事実上、そのような管理は困難なので、製造工程の改良のみでは上記スイッチングノイズ量のばらつきを抑制することはできない。
【0010】
そこで、本発明は、コイルを巻回する際にテンションや密着性が変動したり、巻きずれが発生した場合においても、基準電位ラインに流出するスイッチングノイズ量のばらつきを抑制することができるトランスおよび該トランスを用いたスイッチング電源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るトランスは、一次コイルと二次コイルとを導電性のシールド部材を挟んで所定の巻回軸回りに巻回したトランスであって、前記シールド部材は、巻回軸回りに巻回された第1導電部と、第1導電部に対して巻回軸の径方向外側に巻回された第2導電部と、第1導電部の巻回方向における端部と第2導電部の巻回方向における端部とを電気的に接続する接続部とからなる導電性部材と、第1導電部と第2導電部との間に介装され、第1導電部と第2導電部とを絶縁する絶縁層とを有し、第1導電部と第2導電部との接続方向において、導電性部材の両端部のうち一方端が開放されるとともに、他方端が一次コイル側に設けられたスイッチング手段を有する一次側回路の基準電位ラインに電気的に接続されることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、巻回軸回りに巻回された第1導電部の巻回方向における端部と、該第1導電部に対して巻回軸の径方向外側に巻回された第2導電部の巻回方向における端部とが、絶縁層により絶縁されながら接続部を介して接続されているので、第1導電部および第2導電部は互いに逆方向に巻回されたコイルとみなすことができる。このため、第1導電部に発生するノイズ成分と第2導電部に発生するノイズ成分とが打ち消し合い、一次側回路の基準電位ラインに流出するノイズ量が低減され、トランスの一次コイルおよび二次コイルを巻回する際のテンション等の製造要因に基づくスイッチングノイズ量のばらつきを抑制することができる。
【0013】
上記トランスにおいて、一次コイルとシールド部材との間に介装された第1絶縁部材と、シールド部材と二次コイルとの間に介装された第2絶縁部材とをさらに備え、前記第1絶縁部材および前記第2絶縁部材は、それぞれ、少なくとも2重に巻回された絶縁テープであることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、絶縁テープを薄くしても、一次コイルとシールド部材、およびシールド部材と二次コイルの絶縁耐圧を確保しながら、トランスの大型化(巻き太り)を防ぐことができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るスイッチング電源装置は、上記トランスと、前記一次側回路と、前記二次コイルに誘起された交流電圧を整流および平滑する手段を有する二次側回路とを備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、トランスのシールド部材においてスイッチングノイズが相殺されるので、シールド部材から基準電位ラインに流出するスイッチングノイズ量のばらつきを抑制することができる。
【0017】
上記スイッチング電源装置において、導電性部材の他方端と前記基準電位ラインとの間にコンデンサが直列に接続されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、シールド部材から基準電位ラインに流出するスイッチングノイズ量をコンデンサにより調整することで、一次側回路の基準電位ラインに流出するノイズの絶対量を低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、トランスのコイルを巻回する際にテンションや密着性が変動したり、巻きずれが発生した場合においても、基準電位ラインに流出するスイッチングノイズ量のばらつきを抑制することができるトランスおよび該トランスを用いたスイッチング電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るトランスに関係する図であって、(A)は断面図、(B)は導電性部材の等価回路図である。
【図2】本発明に係るスイッチング電源装置の回路図である。
【図3】従来のトランスに関係する図であって、(A)は断面図、(B)は導電性部材の等価回路図である。
【図4】従来のスイッチング電源装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るトランスとスイッチング電源装置の好ましい実施形態について説明する。
【0022】
[トランス]
図1(A)に、本発明に係るトランスの断面図を示す。この図に示すように、本発明に係るトランス1は、コア10の中足を挿入するために中空とした円筒状のボビン2と、その周り(巻回軸回り)に順次巻回された第1コイル3、第1絶縁部材4、シールド部材5、第2絶縁部材6、第2コイル7および第3絶縁部材11とを備えている。この実施形態では、第1コイル3が本発明の「二次コイル」として機能し、第2コイル7が本発明の「一次コイル」として機能する。
【0023】
シールド部材5は、帯状の導電性部材8と絶縁層9とから構成されている。導電性部材8は、その一方端である第1縁部8aと、該第1縁部8aよりも巻回軸に対して径方向外側に位置し、他方端である第2縁部8bと、第1縁部8aと第2縁部8bのほぼ中央部分にある折曲部8c(本願の「接続部」に相当)とを有し、この折曲部8cにおいてU字状に折り曲げられている。また、導電性部材8は、第1縁部8aを含む第1導電部8d(以下「第1部分」という)と、第2縁部8bを含み、第1部分8dに対して巻回軸の径方向外側に巻回された第2導電部8e(以下「第2部分」という)とを有し、第1部分8dの巻回方向における端部と、第2部分8eの巻回方向における端部とが折曲部8cによって電気的に接続されている。
【0024】
また、この折り曲げ加工を行う際に、折曲部8cよって区分けされた導電性部材8の第1部分8dおよび第2部分8eの間に、絶縁層9が介装される。これにより、導電性部材8の第1部分8dと第2部分8eとが絶縁される。
【0025】
図1(A)に示すように、シールド部材5は、導電性部材8の第1縁部8a(一方端)および第2縁部8b(他方端)のそれぞれが、周方向上で折曲部8cに対向するように配置されている。また、第1縁部8aおよび第2縁部8bのそれぞれと折曲部8cとは、ショートしない程度に周方向上で僅かに離間している。
【0026】
第1絶縁部材4、第2絶縁部材6、第3絶縁部材11、およびシールド部材5を構成する絶縁層9としては、種々の絶縁性材料が適用可能であるが、本実施形態では、一例として厚さが0.025mmのポリエステルフィルムテープ(寺岡製作所製「630F #25」、住友3M製「1350F−1」等)を使用している。
【0027】
また、第1絶縁部材4、第2絶縁部材6および第3絶縁部材11はそれぞれ3重に巻回され、これにより、破れ等が発生した場合においても確実に所定の絶縁耐圧基準(例えば3000[V])を満たすことができるようになっている。すなわち、2重である場合には、1枚の絶縁部材で所定の絶縁耐圧基準を満たさなければならないため、絶縁部材上に視認できない微細な孔が存在した場合にも問題となることから、3重以上に重ねることが好ましい。なお、絶縁耐圧を向上させるという観点からは、各絶縁部材4、6、11を4重、5重・・・と重ねて巻回するのが好ましいが、極端に巻数を増やすと、トランス1が大形化(巻き太り)するとともに、第1コイル3と第2コイル7の磁気結合が悪化し、スイッチング時のサージ電圧が増加するという不都合が生じる。したがって、各絶縁部材4、6、11の巻数は、これらの利点、欠点のバランスを考慮して適宜決定すればよい。
【0028】
前記の通り、導電性部材8の第1部分8dと第2部分8eとは、これらの間に挟み込まれた絶縁層9によって絶縁されている。したがって、導電性部材8は、互いに逆方向に巻回された2つの1ターンのコイルT1(第1部分8dに相当)、T2(第2部分8eに相当)を折曲部8cにおいて直列接続したものとみなすことができる(図1(B)参照)。後述するが、導電性部材8の第2縁部8bは、スイッチング電源装置(より具体的には、一次コイル側に設けられたスイッチング手段を有する一次側回路)の基準電位ラインに電気的に接続される。一方、導電性部材8の第1縁部8aは開放状態とされる。当然ながら、第1縁部8aを基準電位ラインに接続し、第2縁部8bを開放状態とすることもできる。
【0029】
以上のように、本発明に係るトランス1では、第1コイル3と第2コイル7との間に、同一巻数で逆方向に巻回され、かつ直列に接続された2つのコイルT1、T2が配置されている。したがって、本発明に係るトランス1によれば、コイルT1に発生するノイズ成分とコイルT2に発生するノイズ成分とが打ち消し合う。このため、一次側回路の基準電位ラインに流出するノイズ量を低減し、トランスの第1コイル(二次コイル)3および第2コイル(一次コイル)7を巻回する際のテンション等の製造要因に基づくスイッチングノイズ量のばらつきを抑制することができる。
【0030】
[スイッチング電源装置]
図2は、本発明に係るトランス1を用いたスイッチング電源装置である。このスイッチング電源装置20は、入力端子から入力される交流電圧を整流・平滑等する一次側整流平滑手段21と、第2コイル(一次コイル)7の一端と基準電位ライン25(この実施形態では、一次側回路のGNDライン)の間に接続され、一次側整流平滑手段21で得られた直流電圧をスイッチングするスイッチング手段22と、当該スイッチングにより、第1コイル(二次コイル)3に誘起される交流電圧を整流・平滑等する二次側整流平滑手段23とを備えている。二次側整流平滑手段23で得られた所定の直流電圧は、出力端子から出力される。このように、この実施形態では、一次側整流平滑手段21とスイッチング手段22とにより本発明の「一次側回路」が構成され、二次側整流平滑手段23が本発明の「二次側回路」に相当する。
【0031】
また、図1(B)に示すように、トランス1の導電性部材8は、第2縁部8b(他方端)が基準電位ライン25に電気的に接続され、シールド部材5の電位とスイッチング手段22の基準電位とが等しくなるようになっている。一方、導電性部材8の第1縁部8a(一方端)は開放状態とされる。
【0032】
第2縁部8b(他方端)と基準電位ライン25との間には、必要に応じて、コンデンサ24を直列に接続することが好ましい。この構成によれば、シールド部材5から基準電位ライン25に流出するスイッチングノイズ量をコンデンサ24により調整することで、基準電位ライン25に流出するノイズの絶対量を低減することができる。
【0033】
本発明に係るスイッチング電源装置20によれば、シールド部材5と二次コイル3との間に生じる電界の強さと、一次コイル7と二次コイル3との間に生じる電界の強さとを均衡させることができ、トランス1からのコモンモードノイズの発生を抑制することができる。
【0034】
また、本発明に係るスイッチング電源装置20によれば、トランス1のシールド部材5が、逆方向に巻回され、かつ直列に接続された同一巻数のコイルT1、T2から構成されているので、基準電位ライン25に流出するスイッチングノイズ量のばらつきを抑制することができる。
【0035】
[効果確認実験]
続いて、本発明に係るトランス1を用いたスイッチング電源装置(以下、実施例1という)、および従来のトランス1’を用いたスイッチング電源装置(以下、従来例)の雑音端子電圧を測定した実験結果について説明する。なお、雑音端子電圧はスイッチングノイズ量に依存しており、スイッチングノイズ量がばらつくと雑音端子電圧もばらつく。
【0036】
スイッチング電源装置としては図2および図4に示すものを使用し、コンデンサ24や抵抗25を使用することなく、シールド部材5(5’)と基準電位ライン25とを直接接続した。また、トランスの製造ばらつきが雑音端子電圧に顕著に現れるようにするために、一次側整流平滑手段21には、特にノイズフィルタ回路を設けていない。
【0037】
その他の測定条件は、入力交流電圧:AC100V、出力電圧:4.6V(0.2A)、スイッチング手段22の発振周波数:300kHzとした。また、測定周波数は、トランスの違いが最も顕著に現れる300kHz(=発振周波数)とし、VCCIクラスBの規格値に対するマージンというかたちで測定を行った。
【0038】
この測定条件で、実施例1に係るスイッチング電源装置と従来例に係るスイッチング電源装置、各5台について測定を行った結果を以下に示す。
【表1】

表1の結果から明らかなように、実施例1に係るスイッチング電源装置では、トランス1の製造ばらつきによって測定結果が大きく変動することがなく、2.0dB〜4.0dBの範囲に収まっている。これに対して、従来例に係るスイッチング電源装置では、測定結果が−1.6dB(規格割れ)〜21.2dBと大きく変動した。
【0039】
実施例1に係るスイッチング電源装置に、220pFのコンデンサ24を付加したスイッチング電源装置(以下、実施例2という)、5台についても測定を行った。その結果を以下に示す。
【表2】

表2の結果から明らかなように、220pFのコンデンサ24をシールド部材5と基準電位ライン25との間に直列接続することで、雑音端子電圧の絶対量が低減され、規格値に対するマージンが大きく改善した。また、測定結果は16.8dB〜18.5dBの範囲に収まっており、実施例1と同様に、トランス1の製造ばらつきに起因する雑音端子電圧のばらつきを低減することもできた。
【0040】
なお、コンデンサ24の容量は、基準電位ライン25に流出するスイッチングノイズ量に応じて実験的に決定されるが、従来例に係るスイッチング電源装置では、このノイズ量がばらついているので、最適な容量値を決定するのが困難である。例えば、No.4のトランス1’を用いた従来例に係るスイッチング電源装置においてコンデンサ24の容量値を最適化しても、その容量値がNo.5のトランス1’を用いた従来例に係るスイッチング電源装置に適しているとは限らない。この点、実施例1に係るスイッチング電源装置では、スイッチングノイズ量が安定しているので、コンデンサ24の容量値を決定するのが容易である。
【0041】
以上、本発明に係るトランスおよびスイッチング電源装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではない。
【0042】
例えば、図2に示すスイッチング電源装置20では、トランスの第1コイル3を二次コイル、第2コイル7を一次コイルとしたが、これを逆にすることもできる。要は、コイルの直流抵抗成分による損失が小さくなるようにコイルを配置すればよい。例えば、一次コイルに比べて二次コイルの方が直流抵抗成分による損失が大きい場合には、二次コイルを一次コイルに対してトランス内側に配置してコイル長を短くして抵抗成分の増加を抑制すればよい。一方で、一次コイルの抵抗成分を優先する場合には、二次コイルに対してトランス内側に一次コイルを配置すればよい。
また、図1に示すトランス1では、隙間を設けることによって導電性部材8の第1縁部8aおよび第2縁部8bと折曲部8cとのショートを防いでいるが、第1縁部8aおよび第2縁部8bを折曲部8cにオーバーラップさせ、間に絶縁テープ等を挟み込むようにしてもよい。ただし、この場合は、巻き太りに注意が必要である。
また、本発明に係るトランス1は、図2に示すタイプのスイッチング電源装置だけでなく、様々な種類のスイッチング電源装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 トランス
2 ボビン
3 第1コイル(二次コイル)
4 第1絶縁部材
5 シールド部材
6 第2絶縁部材
7 第2コイル(一次コイル)
8 導電性部材
8a 第1縁部
8b 第2縁部
8c 折曲部(接続部)
8d 第1部分(第1導電部)
8e 第2部分(第2導電部)
9 絶縁層
10 コア
11 第3絶縁部材
20 スイッチング電源装置
21 一次側整流平滑手段
22 スイッチング手段
23 二次側整流平滑手段
24 コンデンサ
25 基準電位ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次コイルと二次コイルとをシールド部材を挟んで所定の巻回軸回りに巻回したトランスであって、
前記シールド部材は、
前記巻回軸回りに巻回された第1導電部と、
前記第1導電部に対して前記巻回軸の径方向外側に巻回された第2導電部と、
前記第1導電部の巻回方向における端部と前記第2導電部の巻回方向における端部とを電気的に接続する接続部と
からなる導電性部材と、
前記第1導電部と前記第2導電部との間に介装され、前記第1導電部と前記第2導電部とを絶縁する絶縁層と
を有し、
前記第1導電部と前記第2導電部との接続方向において、前記導電性部材の両端部のうち一方端が開放されるとともに、他方端が前記一次コイル側に設けられたスイッチング手段を有する一次側回路の基準電位ラインに電気的に接続されることを特徴とするトランス。
【請求項2】
前記一次コイルと前記シールド部材との間に介装された第1絶縁部材と、
前記シールド部材と前記二次コイルとの間に介装された第2絶縁部材と
をさらに備え、 前記第1絶縁部材および前記第2絶縁部材は、それぞれ、少なくとも2重に巻回された絶縁テープであることを特徴とする請求項1に記載のトランス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のトランスと、
前記一次側回路と、
前記二次コイルに誘起された交流電圧を整流および平滑する手段を有する二次側回路と
を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記導電性部材の他方端と前記基準電位ラインとの間にコンデンサが直列に接続されていることを特徴とする請求項3に記載のスイッチング電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−272552(P2010−272552A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120525(P2009−120525)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】