説明

ネジ締結構造

【課題】信頼性を確保しつつ生産性を向上させることができるネジ締結構造の提供。
【解決手段】筒体18と、筒体18の一端側に配置され、外周側にオネジ66が形成された蓋状部材21と、筒体18の外周側に形成された周溝53と、周溝53に配置されるリング部材22と、一端側の内周にリング部材22の外径より小径の小径部70が設けられ、他端側の内周にオネジ66と螺合するメネジ73が形成され、小径部70とメネジ73との間にリング部材22が配置されるように筒体18および蓋状部材21の外周側に設けられる筒状の締結部材20とを備え、小径部70のリング部材22が当接する当接部74が、テーパ形状となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
筒体と、その一端側に設けられる蓋状部材とを連結するネジ締結構造として、例えば、蓋状部材にオネジを形成するとともに、筒体の外周側に周溝を形成してこの周溝にリング部材を配置し、一端側の内周にリング部材の外径より小径の小径部が設けられ他端側の内周に蓋状部材のオネジと螺合するメネジが形成された筒状の締結部材を用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−196885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のネジ締結構造において、締結部材の小径部は、R面取りされた当接部において丸断面のリング部材と当接するようになっている。ところで、締結部材とリング部材との接触面積が少ないと、締結時の面圧が過大となり、信頼性に影響を及ぼす可能性がある。上記のように当接部がR面取りされた形状であると、リング部材との接触面積を確保するためには加工精度を上げる必要があり、生産性が低下してしまうという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、信頼性を確保しつつ生産性を向上させることができるネジ締結構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、筒体の外周側に形成された周溝に配置されるリング部材の外径より小径の小径部が一端側の内周に設けられ、他端側の内周に蓋状部材のオネジと螺合するメネジが形成された締結部材の前記小径部の前記リング部材が当接する当接部をテーパ形状とした。
【0007】
また、本発明は、蓋状部材の外周側に形成された周溝に配置されるリング部材の外径より小径の小径部が一端側の内周に設けられ、他端側の内周に筒体のオネジと螺合するメネジが形成された締結部材の前記小径部の前記リング部材が当接する当接部をテーパ形状とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、信頼性を確保しつつ生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るネジ締結構造が適用された緩衝器を示す全体断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るネジ締結構造が適用された緩衝器の要部を示す部分拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るネジ締結構造が適用された緩衝器の主要部を示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るネジ締結構造が適用された緩衝器の要部を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るネジ締結構造の第1実施形態を図1〜図3を参照して以下に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るネジ締結構造の第1実施形態が適用されたシリンダ装置としての緩衝器1を示すものである。この緩衝器1は、自動車の前後、左右の車輪のサスペンション装置にそれぞれ装着され、これらを管路によって外部の液圧回路を介して互いに連結し、車体の姿勢変化等によって生じる緩衝器間の作動液の流れを外部の液圧回路のアキュムレータおよび減衰バルブ等によって制御することにより、車体の振動および姿勢制御を行うようになっている。このようなサスペンション装置および外部の液圧回路等については、例えば特開2008−45738号公報に開示されている。
【0012】
図1に示すように、緩衝器1は、円筒状の内筒2の外周に円筒状の外筒3が設けられて、これらの間に環状通路4が形成された二重筒構造となっている。内筒2内には、ピストン5が摺動可能に挿入され、このピストン5によって内筒2の内部がシリンダ室2Aとシリンダ室2Bとの2室に仕切られている。ピストン5には、ピストンロッド6の一端部がナット7によって固定され、ピストンロッド6の他端側は、内筒2および外筒3の下端部に取り付けられたロッドガイド8およびオイルシール9に摺動可能かつ液密的に挿入されて外部へ突出している。ロッドガイド8およびオイルシール9は、外筒3内に嵌合されて加締められるリテーナ10,11によって外筒3に固定されている。シリンダ室2Aと環状通路4とは、ロッドガイド8に設けられた切欠き12によって連通されている。
【0013】
内筒2の上端部には、減数力発生機構13が取り付けられている。減衰力発生機構13は、外筒3の上端部に溶接によって固定された通路部材14および内筒2の内部に嵌合され固定されている。通路部材14には、接続ポート15が軸方向に沿って貫通され、シリンダ室2Bが減衰力発生機構13を介して接続ポート15に連通され、環状通路4の上端部が減衰力発生機構13および通路部材14によって閉鎖されている。
【0014】
外筒3の側壁の中間部には、円形の開口16が設けられ、開口16には、減衰力発生機構19を内部に納めた継手17が接続されている。継手17は、一端部が縮径された円筒状のバルブケース18と、バルブケース18内に収容された減衰力発生機構19と、バルブケース18の一端大径側の開口端部を塞ぐように配置された蓋状のキャップ21と、キャップ21をバルブケース18に取り付ける筒状のナット20およびリング部材22とを有している。そして、キャップ21にはバルブケース18内に連通する接続ポート24が設けられ、この接続ポート24の外側周囲にネジ穴25が複数形成され、図示せぬ外部の液圧回路に接続される接続配管の先端が、ネジ穴25に螺合されるネジによりキャップ21に接続される。
【0015】
図2に示すように、バルブケース18の縮径された一端側の開口部28の周囲には、環状の接合部29が突出形成されている。バルブケース18は、接合部29を外筒3の開口16の周囲の外周面に当接させ、接合部29が外筒3の側壁に溶接されることにより、外筒3に固定されている。
【0016】
減衰力発生機構19は、有底円筒状の外側バルブ部材32と、外側バルブ部材32の底部の内側にピン33によって一体的に結合された内側バルブ部材34とを備えている。減衰力発生機構19には、バルブケース18の開口部28とキャップ21の接続ポート24とを連通する伸び側通路36および縮み側通路37が設けられている。伸び側通路36は、互いに連通する外側バルブ部材32の底部の内周側に設けられた通路36Aと内側バルブ部材34に設けられた通路36Bとからなり、縮み側通路37は、外側バルブ部材32の底部の外周側に設けられている。内側バルブ部材34の弁座34Aには、伸び側通路36の作動液の圧力を受けて開弁して減衰力を発生させる円形の減衰バルブ40が弁座34Aに着座して設けられ、減衰バルブ40には、伸び側通路36を接続ポート24に常時連通させるオリフィス40Aが設けられている。減衰バルブ40も上記したピン33によって、内周側が外側バルブ部材32および内側バルブ部材34に一体的に結合されている。
【0017】
このような緩衝器1において、ピストンロッド6の伸び行程時には、内筒2内のピストン5の摺動によってシリンダ室2A側の作動液が加圧され、加圧された作動液が、切欠き12、環状通路4、開口16、開口部28、減衰力発生機構19の伸び側通路36および接続ポート24を通って外部の液圧回路に流れる。一方、内筒2内のピストン5の摺動によって減圧されるシリンダ室2Bには、減衰力発生機構13を介して、通路部材14の接続ポート15に接続された外部の液圧回路から作動液が流入する。これにより、ピストンロッド6のストロークに対して、減衰力発生機構19のオリフィス40Aおよび減衰バルブ40によって減衰力が発生し、また、外部の液圧回路による抵抗力が発生する。このとき、減衰力発生機構19には、その上流側と下流側との間に圧力差で、キャップ21側へ移動する方向の力が発生することになる。
【0018】
ピストンロッド6の縮み工程時には、内筒2内のピストン5の摺動によってシリンダ室2B側の作動液が加圧され、減衰力発生機構13を介して、通路部材14の接続ポート15に接続された外部の液圧回路へ流れる。一方、内筒2内のピストン5の摺動によって減圧されるシリンダ室2Aには、接続ポート24に接続された外部の液圧回路から、縮み側通路37、開口部28、開口16、環状通路4および切欠き12を通して作動液が流入する。これにより、ピストンロッド6のストロークに対して、減衰力発生機構13によって減衰力が発生し、また、外部の液圧回路による抵抗力が発生する。
【0019】
次に、ネジ締結構造の第1実施形態について詳述する。
【0020】
筒状のバルブケース(筒体)18は、上記した接合部29と、接合部29の基端側から径方向外側に広がる底板部48と、底板部48の外周側から接合部29とは反対側に延出する円筒状部49とを有している。円筒状部49の内周側は、一端開口側がケース大径部50となっており、ケース大径部50よりも奥側がケース大径部50よりも小径のケース小径部51となっている。これにより、ケース小径部51は、ケース大径部50側に、軸直交方向に沿うケース段差部52を有している。また、円筒状部49の外周側には、周溝53が形成されている。この周溝53は、その軸方向に沿う断面が半円状をなして円筒状部49の外周面から径方向内方に凹んでいる。
【0021】
リング部材22は、円周方向の一部が破断されることで開口部を有するC字状のCリングであり、その軸方向に沿う断面が円形状(丸形状)をなしている。このリング部材22がバルブケース18の周溝53に配置されることになり、この状態でリング部材22は内径側半分が周溝53内に位置し、外径側半分がバルブケース18の円筒状部49の外周面よりも径方向外側に突出する。
【0022】
上記した外側バルブ部材32は、その外周側に、ケース小径部51に嵌合する小径嵌合部56と、ケース大径部50に嵌合する大径嵌合部57とを有している。これにより、大径嵌合部57は、小径嵌合部56側に、軸直交方向に沿う当接段差部58を有しており、この当接段差部58がケース段差部52に当接する。
【0023】
バルブケース18の一端開口側に配置されるキャップ(蓋状部材)21は、その外周側に、ケース大径部50に嵌合する嵌合小径部61と、バルブケース18の外側でバルブケース18よりも径方向外側まで延出する大径螺合部62とを有している。これにより、大径螺合部62は、嵌合小径部61側に、軸直交方向に沿う段差部63を有している。大径螺合部62には、その嵌合小径部61側の所定範囲にオネジ66が形成されている。
【0024】
ナット(締結部材)20は、筒状をなしており、その内周側には、軸方向の一端側に小径部70が設けられ、小径部70に隣り合って小径部70よりも大径の中間径部71が設けられ、中間径部71に隣り合って中間径部71よりも大径の大径部72が設けられている。大径部72には、キャップ21のオネジ66に螺合するメネジ73が中間径部71側の端部を除いて形成されている。小径部70は、バルブケース18の円筒状部49の外径よりも若干大径で、バルブケース18の周溝53に嵌合されたリング部材22の外径よりも小径となっている。
【0025】
そして、ナット20の小径部70の中間径部71側の端部には、中間径部71側ほど大径となるテーパ形状の当接部74が形成されている。なお、テーパ形状の角度は軸方向と径方向に力が分散するようにするため45度とすることが望ましい。ナット20は、その一端側の小径部70の内側にバルブケース18の円筒状部49が挿入され、他端側のメネジ73に、キャップ21のオネジ66が螺合されることで、バルブケース18およびキャップ21の外周側に設けられる。そして、その際に、小径部70とメネジ73との間に円形のリング部材22が配置されることになり、小径部70は当接部74においてリング部材22に当接する。
【0026】
つまり、これらは、例えば以下のようにして組み付けられる。
外筒3に固定されたバルブケース18の径方向外側に、ナット20を、その小径部70側を先頭にして被せて一旦外筒3側まで移動させておき、バルブケース18の内側に、減衰力発生機構19を配置する。このとき、減衰力発生機構19は、その外側バルブ部材32が、大径嵌合部57をケース大径部50に、小径嵌合部56をケース小径部51に嵌合させて、当接段差部58をバルブケース18のケース段差部52に当接させる。
【0027】
上記の状態から、バルブケース18の周溝53にリング部材22を嵌合させる。このとき、リング部材22は弾性力をもって全内周が周溝53に当接する。そして、キャップ21の嵌合小径部61をバルブケース18のケース大径部50に嵌合させる。次に、ナット20をキャップ21側に移動させてその小径部70をバルブケース18の円筒状部49の径方向外側に位置させるとともにメネジ73をキャップ21のオネジ66に螺合させる。螺合が進むと、ナット20が小径部70のテーパ形状の当接部74でリング部材22に当接してバルブケース18に対する軸方向移動が規制されることになり、その結果、さらなる螺合で、ナット20は、キャップ21を外側バルブ部材32側に引き込み、外側バルブ部材32の当接段差部58をバルブケース18のケース段差部52に押し付けて締結軸力を発生させる。このとき、リング部材22は、テーパ形状の当接部74により、軸方向はキャップ21側に、径方向は周溝53側に向けて押圧される。上記の締結軸力で、被締結部材である外側バルブ部材32の大径嵌合部57をバルブケース18のケース段差部52とキャップ21の嵌合小径部61とが挟み込み、外側バルブ部材32を含んで一体に組み立てられた減衰力発生機構19をバルブケース18に固定する。
【0028】
ここで、緩衝器1の作動時は、減衰力発生機構19の上流側と下流側との間に生じる上記した圧力差により、減衰力発生機構19をキャップ21側に押し上げる力が生じる。これにより、ナット20には減衰力発生機構19およびキャップ21を介して軸力変動が発生し、リング部材22とナット20の当接部74との間に大きな面圧が発生する可能性がある。あるいは、ナット20に外力が及んだ場合にも同様に大きな面圧が発生する可能性がある。
【0029】
先行技術文献として示した締結部材の小径部がR面取りされた当接部の構造の場合、加工精度、生産時のばらつきによっては、当接部のR面の角部がリング部材と接触する可能性があり、接触面積が少なくなることが考えられた。これに対して、第1実施形態によれば、バルブケース18の周溝53に配置されるリング部材22に当接するナット20の当接部74をテーパ形状としたため、生産時のばらつきによりリング部材22と当接部74の軸方向位置に個体差がでたとしても、当接部74をテーパ形状としたため、安定した接触状態とすることができる。これにより、締結時の軸力負荷により、当接部74の座面陥没が発生したとしても、リング部材22との接触面積を安定して大きく増加する状態とすることができる。よって、前述の圧力差やナット29への外力によって軸力変動が発生した場合の当接部74の座面陥没による締結軸力の低下を抑制できるため、信頼性を確保できる。しかも、当接部74をテーパ形状とすれば良いため、特に加工精度を上げる必要はなく、加工も容易であることから、生産性を向上させることができる。なお、当接部74に仮に座面陥没が生じてしまったとしても、軸方向の分力による量だけとなる。また、周方向成分はナット20を周方向に拡げ、またはバルブケース18を縮める力であり、軸力変動に対する効力や座面負荷への影響はない。これにより、軸方向の座面陥没量が減少し、締結軸力の低下量を低減することができる。また、当接部74の断面の傾斜角を45度としたため、締結軸力を効果的に出すことができる。
【0030】
本発明に係るネジ締結構造の第2実施形態を主に図4に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一の称呼、同一の符号で表す。
【0031】
ネジ締結構造の第2実施形態は、シリンダ装置としての緩衝器の減衰力調整機構80に適用されている。このような減衰力調整機構80を備えた緩衝器については、例えば特開2001−12534号公報に開示されている。
【0032】
内筒2には、セパレータチューブ81が外嵌され、内筒2とセパレータチューブ81との間に中間環状通路82が形成されている。セパレータチューブ81の側壁には、開口83が形成されている。外筒3の側面部に、減衰力発生機構80が取り付けられている。以下、減衰力発生機構80について説明する。
【0033】
円筒状のケース85の内側フランジ部86を有する一端側開口部が外筒3の側壁に溶接されている。ケース85内には、内側フランジ部86側から順に、通路リング88、通路部材89、バルブ部材90、ディスクバルブ91、通路部材92、ベース部材93、保持部材94、通路リング95およびソレノイド制御部96が、それぞれ隣り合うもの同士が当接するように挿入されている。そして、ソレノイド制御部96が、ナット98およびリング部材99によってケース85の他端部に取り付けられることで、通路リング95、保持部材94、ベース部材93、通路部材92、ディスクバルブ91、バルブ部材90、通路部材89および通路リング88を、内側フランジ部86とで挟持している。
【0034】
通路リング88には、環状通路4をケース85内の室101に連通させる切欠通路102が形成されている。通路部材89には、中間環状通路82に連通する通路104が形成されており、バルブ部材90には、通路104に連通する通路105が形成されている。この通路105はディスクバルブ91とバルブ部材90との間の室106に連通している。ディスクバルブ91は開閉して室106と室101との連通および遮断を切り替える。また、ディスクバルブ91はベース部材93との間に背圧室107を形成しており、通路部材92には、通路104を、背圧室107に連通させるとともに、ベース部材93と保持部材94との間の室108に連通可能とする通路109が形成されている。
【0035】
ソレノイド制御部96は、ソレノイドボディ97に埋設されたコイル110への通電でソレノイドボディ97に対してプランジャ111を移動させるものであり、プランジャ111の先端には室108内で移動可能な弁座部材112が設けられている。この弁座部材112は、ベース部材93との間に介装されたスプリング113で保持部材94側に付勢されており、コイル110が消磁されることによりスプリング113の付勢力で保持部材94側に移動すると、保持部材94に保持されたディスクバルブ115に当接可能となってこのディスクバルブ115の変形によりディスクバルブ115を離座および着座させる弁座となる。また、このとき、保持部材94の閉塞部116に当接して、保持部材94とプランジャ111との隙間を閉塞する。保持部材94には、弁座部材112が当接する状態で形成されるディスクバルブ115との間の室117を、同じく弁座部材112が当接する状態で形成されるソレノイド制御部96との間の室118に連通させる通路119が形成されている。通路リング95には、室118を室101に連通させる切欠通路120が形成されている。なお、コイル110が励磁されると、弁座部材112は、ベース部材93側に移動して閉塞部116およびディスクバルブ115から常時離間する状態となる。
【0036】
次に、ネジ締結構造の第2実施形態について詳述する。
【0037】
筒状のケース(筒体)85は、上記した内側フランジ部86と、内側フランジ部86の外周縁部から軸方向に延出する円筒状部125とを有している。円筒状部125の内側フランジ部86とは反対側の端部の外周側にはオネジ126が形成されている。
【0038】
ケース85の一端開口側に配置されるソレノイド制御部(蓋状部材)96には、そのソレノイドボディ97に、軸直交方向に広がって通路リング95に当接する当接底部130と、当接底部130の外周縁部から軸方向に延出する円筒状部131とを有する有底円筒状部132が設けられている。ソレノイド制御部96は、この有底円筒状部132においてケース85の円筒状部125の一端側に嵌合する。有底円筒状部132の外周側には、周溝134が形成されている。この周溝134は、その軸方向に沿う断面が円弧状をなして有底円筒状部132の外周面から径方向内方に凹む円弧状溝部135と、その軸方向に沿う断面が矩形状をなしてこの円弧状溝部135よりもさらに凹む矩形状溝部136とからなっている。
【0039】
リング部材99も、第1実施形態と同様、円周方向の一部が破断されることで開口部を有するC字状のCリングであり、その軸方向に沿う断面が円形状(丸形状)をなしている。このリング部材99がソレノイドボディ97の周溝134の円弧状溝部135に配置されることになり、この状態でリング部材99は内径側半分が周溝134内に位置し、外径側半分がソレノイドボディ97の有底円筒状部132の外周面よりも径方向外側に突出する。
【0040】
ナット(締結部材)98の内周側には、軸方向の一端側に小径部140が設けられ、小径部140に隣り合って小径部140よりも大径の中間径部141が設けられ、中間径部141に隣り合って中間径部141よりも大径の大径部142が設けられ、大径部142に隣り合って、大径部142よりも小径でケース85のオネジ126に螺合するメネジ143が形成されている。小径部140は、ソレノイドボディ97の有底円筒状部132の外径よりも若干大径で、ソレノイドボディ97の周溝134の円弧状溝部135に嵌合されたリング部材99の外径よりも小径となっている。
【0041】
そして、このナット98においても、小径部140の中間径部141側の端部に、中間径部141側ほど大径となるテーパ形状の当接部144が形成されている。ナット98は、その一端側の小径部140の内側にソレノイドボディ97の有底円筒状部132が挿入され、他端側のメネジ143に、ケース85のオネジ126が螺合されることで、ケース85およびソレノイド制御部96の外周側に設けられる。そして、その際に、小径部140とメネジ143との間にリング部材99が配置されることになり、小径部140は当接部144においてリング部材99に当接する。
【0042】
つまり、これらは、例えば以下のようにして組み付けられる。
ソレノイド制御部96の外側に、ナット98を小径部140側を先頭にして被せ、ナット98通過後の周溝134の円弧状溝部135にリング部材99を嵌合させる。このとき、リング部材99は弾性力をもって全内周が円弧状溝部135に当接する。他方で、ケース85の内側に、通路リング88、通路部材89、バルブ部材90、ディスクバルブ91、通路部材92、ベース部材93、スプリング113、弁座部材112、保持部材94および通路リング95を配置する。
【0043】
上記の状態から、ソレノイド制御部96の有底円筒部132を、その内側に、通路リング95、保持部材94およびベース部材93を配置しつつ、ケース85の円筒状部125の内側に嵌合させる。そして、ナット98のメネジ143をケース85のオネジ126に螺合させる。螺合が進むと、ナット98の小径部140のテーパ形状の当接部144がリング部材99に当接してソレノイド制御部96に対する軸方向移動が規制されることになり、その結果、ナット98は、ソレノイド制御部96を一体にケース85側に引き込み、ソレノイド制御部96の当接底部130で、通路リング88、通路部材89、バルブ部材90、ディスクバルブ91、通路部材92、ベース部材93、保持部材94および通路リング95をケース85の内側フランジ部86に押し付けて締結軸力を発生させて、これらをケース85に固定する。このとき、リング部材99は、テーパ形状の当接部144により、軸方向はケース85側に、径方向は周溝134の円弧状溝部135側に向けて押圧される。
【0044】
以上に述べた第2実施形態によれば、ソレノイド制御部96の周溝134に配置されるリング部材99に当接するナット98の当接部144をテーパ形状としたため、第1実施形態と同様に締結時の軸力負荷により、当接部144の座面陥没が発生したとしても、リング部材99との接触面積を安定して大きく増加する状態とすることができる。よって、圧力差やナット98への外力によって軸力変動が発生した場合の当接部144の座面陥没による締結軸力の低下を抑制できるため、信頼性を確保できる。
【符号の説明】
【0045】
18 バルブケース(筒体)
20 ナット(締結部材)
21 キャップ(蓋状部材)
22 リング部材
53 周溝
66 オネジ
70 小径部
73 メネジ
74 当接部
85 ケース(筒体)
96 ソレノイド制御部(蓋状部材)
98 ナット(締結部材)
99 リング部材
126 オネジ
134 周溝
140 小径部
143 メネジ
144 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の筒体と、
該筒体の一端側に配置され、外周側にオネジが形成された蓋状部材と、
前記筒体の外周側に形成された周溝と、
該周溝に配置される断面円形のリング部材と、
一端側の内周に前記リング部材の外径より小径の小径部が設けられ、他端側の内周に前記オネジと螺合するメネジが形成され、前記小径部と前記メネジとの間に前記リング部材が配置されるように前記筒体および前記蓋状部材の外周側に設けられる筒状の締結部材とを備え、
前記小径部の前記リング部材が当接する当接部が、テーパ形状であることを特徴とするネジ締結構造。
【請求項2】
筒状をなし、外周側にオネジが形成された筒体と、
該筒体の一端側に配置される蓋状部材と、
該蓋状部材の外周側に形成された周溝と、
該周溝に配置される断面円形のリング部材と、
一端側の内周に前記リング部材の外径より小径の小径部が設けられ、他端側の内周に前記オネジと螺合するメネジが形成され、前記小径部と前記メネジとの間に前記リング部材が配置されるように前記筒体および前記蓋状部材の外周側に設けられる筒状の締結部材とを備え、
前記小径部の前記リング部材が当接する当接部が、テーパ形状であることを特徴とするネジ締結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−97785(P2012−97785A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244324(P2010−244324)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】