説明

ハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体、該基体により構成される微粒子捕集フィルタ、微粒子捕集フィルタ装置、及びそれらの製造方法

本発明は、ハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体、該基体から構成される微粒子捕集フィルタ、微粒子捕集フィルタ装置、及びそれらの製造方法を開示する。本発明のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体は以下の重量比の原料から生成される。すなわち、シリコンカーバイド:1、粘土:0.05〜0.5、小麦粉:0.1〜0.35、グリース:0.025〜0.05、水:0.2〜0.35であり、基体はセル密度が4〜62セル/cm2のハニカム構造を有し、セル壁厚は0.2〜1.2mmであり、セル壁の多孔率は40%〜70%であり、セル壁の貫通孔率は>30%、セル壁微細孔の平均半径の分布は1〜50μmである。前記捕集フィルタ基体は、異なる多面体或いは曲辺多面柱状体として設計でき、組合わせ、接着後に自動車の微粒子捕集フィルタとして形成される。微粒子捕集フィルタを封装することにより、微粒子捕集フィルタ装置が形成される。本発明は、ディーゼル車とその他の自動車の微粒子汚染物質の汚染問題を解決し、自動車、特にはディーゼル車の排気による環境汚染を有効に低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体、前記基体よりなる微粒子捕集フィルタと微粒子捕集フィルタ装置、及びそれらの製造方法に関する。より詳細には、本発明は自動車(特にディーゼル車)或いは工業廃ガスの触媒浄化装置に採用されるSiC壁流ハニカムセラミックス捕集フィルタ基体、前記基体よりなる微粒子捕集フィルタと微粒子捕集フィルタ装置、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会の発展に伴い、自動車の台数の急速な増加が生じた。その結果、排気ガス排出による更なる汚染が大きく広がっている。自動車が集中する市街地、特に大都市では、それらの地区における大気汚染の50−60%が車の排気ガス排出に起因する。人々への生存環境の重視に伴い、自動車の排気ガス排出の低減、排気ガス汚染の処理は国内外における重要な課題になってきている。技術的な面からいえば、自動車の排気ガス排出を削減するためには、エンジン前の処理、エンジン中の処理、及びエンジン後の処理の3種の方法が講じられる。現在国内外では主に上述の3種の処理を組合わせた方法を採用して排気ガスを処理しているが、より厳しくなる排気ガス排出基準に伴い、エンジン後の処理の重要性がより一層増している。すなわち、触媒浄化の方法を用いて排気ガス汚染物の排出を低減することが重要になっている。自動車(ディーゼル車)の排気ガス触媒浄化装置は、筐体、微粒子捕集フィルタ、及び触媒の3つの部分からなる。触媒と微粒子捕集フィルタの特性は触媒の活性、微粒子捕集の効果、及び排気ガス浄化効果に直接的な影響を及ぼす。
【0003】
これまでの公知技術においては、日本企業であるNGK、フランス企業であるイビデン(IBIDEN)が、純粋なシリコンカーバイドを用いて製造した微粒子捕集フィルタを開示している(EP,A1,1142619A1)。その製造方法においては、押し出しプロセスが採用されるが、純粋なシリコンカーバイド微粒子フィルタ基体製造の特殊性のため、分体を組合わせる方法でユニットを構成するが、そこで、世界的に広く行われているようにセルを互いに封孔する方法で壁流が形成される組立てとなっている。この捕集フィルタはディーゼル車の微粒子の捕集再生成において応用されてきた。純粋なシリコンカーバイド基体の耐火温度は非常に高く、最高2200℃にも達し、ディーゼル車における煤煙の捕集と再生成の過程で高温に耐えるのに有利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それにも拘らず、焼結温度は非常に高い。EP,A1,1142629の段落[0065]には、「本実施例では、平均孔径6μmないし15μmで多孔率35%ないし50%を得るために、焼結温度は2100℃から2300℃に設定され、焼結時間は0.1時間から5時間に設定される。さらに、焼結過程中は焼結炉の内部は不活性雰囲気とされ、焼結炉内の圧力は通常の大気圧である」と記載されている。焼結温度が2000℃よりもかなり高いため、この種の製法には高品質の焼結設備や器具を使用する必要があり、高額の投資も必要になる。さらに焼結工程は不活性雰囲気中で行わねばならない。製造は高度に洗練されたものであり、大量のエネルギーを消費する。結局、製造コストが高くなり、これが前記基体を幅広く応用形成することを極めて大きく阻んでいる。これが特に発展途上国でこの技術を実用化することを非常に困難にしている。製品のより高い費用対品質比率が本技術分野における緊急に解決されるべき技術課題の一つである。
【0005】
本発明の目的は、従来技術の欠点に鑑み、シリコンカーバイドを基礎原料となし、普通粘土を粘結剤とした一種のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体を提供し、前記基体で構成される一種の微粒子捕集フィルタを、さらには微粒子捕集フィルタ装置を提供することにある。本発明のさらなる目的は、微粒子捕集フィルタ基体、微粒子捕集フィルタ、及び微粒子フィルタ装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のステップにより実現される。
本発明は、以下の重量比の原料から生成されることを特長とするハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体を提供する。すなわち、シリコンカーバイド:1、粘土:0.05〜0.5、小麦粉:0.1〜0.35、グリース:0.025〜0.05、水:0.2〜0.35であり、ハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体製品は、セル密度が4〜62セル/cmのハニカム構造、セル壁厚は0.2〜1.2mm、セル壁の多孔率は40%〜70%、セル壁の貫通孔率は>30%、セル壁微細孔の平均半径の分布は1〜50μmである。
【0007】
上記において、前記粘土は、工業用粘土又は顔料粘土でなり、前記グリースは高蒸留した潤滑油または合成潤滑油のいずれかから選択されるか、あるいはそれらの混合物でなる。
【0008】
前記シリコンカーバイドは、粒径が200〜400メッシュの差で異なる二種類のシリコンカーバイドを、重量比で1:4ないし3:4の組成となるようにして使用する。
【0009】
本発明は前記のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体の製造方法を提供し、該方法は、以下のステップを含む。
(1)各原材料をその配合比に応じて計量する。
(2)シリコンカーバイドと粘土を十分に混合して均一にし、その後グリースを加え、ミキサ内で十分に攪拌し、次のステップで使用されるのを待つ。
(3)常温で小麦粉と水を混合して乳液状態になるようにし、65℃〜100℃で糊状ペーストになるまで加熱する。
(4)糊状ペーストとステップ(2)の混合物とをミキサ内で1〜3時間混合し攪拌する。
(5)混合物を、混合するとともに篩いにかけ、十分に均一になるようにする。
(6)型を使用して押し出し、横断面が様々な幾何学形状の基体をなすようにし、4〜62セル/cmのハニカムセラミックス素子を形成し、それを室温で乾燥するとともにセルを目封止してハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体素子を形成する。
(7)<5℃/分の速度で600℃〜900℃になるまで加温し、2〜12時間保温し、その後さらに1250℃〜1350℃まで加温して0.5〜12時間保温し、その後炉を室温まで冷却して炉から出し、所要のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体を得る。
【0010】
好ましくは、前記ステップ(2)において、シリコンカーバイドは、振動篩いにかけることによって篩い分けられ、粒径の差が200〜400メッシュ、重量比1:4ないし3:4の2種のシリコンカーバイドが採用される。
【0011】
本発明の実験調査によれば、以下の通りである:
(1)焼成後のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体製品の多孔率は40%〜70%であり、その貫通孔率は>30%であり、微細孔の平均半径は1〜50μmの範囲である。もしも微細孔の半径が50μmを越えると、微粒子は微細孔から漏れ出し、微粒子の捕集効果を阻害するので、最適な微細孔平均半径は10〜30μmの範囲である。
【0012】
(2)焼成後のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体のセル壁の厚さは0.2〜1.2mmであり、もし厚みが1.2mmを超えると貫通孔率が低下し、背圧が高くなり、これはエンジンのパワーにも影響する。もし壁の厚みが0.2mmより小さいと、セル壁面の機械的強度が弱くなり、これにより使用にも影響が生じ得る。最適なセル壁厚は0.2〜0.6mmである。
【0013】
(3)複数のシリコンカーバイドの粒径の適合性が、多孔率にとって非常に重要である。一般には、2種類を超えるサイズの異なるシリコンカーバイドが採用され、それらのサイズに200〜400メッシュ程度の差のあることが好ましい。例えば、200メッシュと400メッシュのシリコンカーバイドを採用して配合するのが満足の行く結果を得るのに適当である。上記は一例であり、幾つかの組合わせがある。シリコンカーバイドの含有率は50%〜95%である。
【0014】
(4)粘土は、工業用粘土または顔料粘土を選んで使用すべきであり、高い接着相温度のためには200メッシュを超える粒径の粘土が選ばれる。粘土の分量は、シリコンカーバイドの粒径に応じて選択される。分量は濾過限界を若干超える量に選択するのが好ましく、粘土の比率は一般には5%〜50%である。
【0015】
本発明は、さらに前記のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体を複数個含む一種の微粒子捕集フィルタを提供する。概基体間は接着剤層によって接続され、前記接着剤の組成は重量比で、:シリコンカーバイド:1、粘土:0.2〜1、水ガラス:0.06〜0.35、であり、接着剤層の厚さは1〜3mmである
【0016】
本発明はさらに、微粒子捕集フィルタの一種の製造方法を提供し、該方法は、以下のステップを含む。
(1)請求項1ないし5のいずれかに記載した前記ハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体を組合わせるべき部品として作成する。
(2)接続すべき前記請求項1ないし5のいずれかに記載したハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体の表面に相互に接着剤を均一に塗布して接着し、前記接着剤の組成は重量比で、シリコンカーバイド:1、粘土:0.2〜1、水ガラス:0.06〜0.35、であり、接着剤層の厚さは1〜3mmであり、次いで部品相互を一体に貼り合わせ、必要とされるいろいろな幾何学形状の準完成体の微粒子フィルタ素子を形成する。
(3)準完成体の微粒子フィルタ素子の表面に接着剤を塗布し、乾燥成形並びに表面処理して微粒子捕集フィルタを得る。
【0017】
微粒子捕集フィルタの適用容量は自動車の排気容量と適合させねばならない。本発明の実証テストによれば、微粒子捕集フィルタの容量はディーゼル車の排気容量の1ないし2.5倍が最適である。
【0018】
微粒子捕集フィルタの再生は、適切な化学的・物理的方法を使用することで可能となる。例えば、CRT(continuous regeneration technology:連続再生技術)、或いはオイル噴霧による焼却や電気加熱法がある。これら装置は車やOBD(on board diagnostic:車載診断システム)で使用されるとよい。
【0019】
本発明はさらに、ステンレス鋼製筐体と、ステンレス鋼製筐体内に溶接されるとともに封設されたフィルタと、フィルタ外部を包囲する断熱パッド、吸入管と排気管とを含み、前記フィルタが前記微粒子捕集フィルタであることを特徴とする一種の微粒子捕集フィルタ装置を提供する。
【0020】
本発明はさらに、前記微粒子捕集フィルタ装置の一種の製造方法を提供し、該方法は、本発明の前記微粒子捕集フィルタ外部を断熱パッドで包囲し、ステンレス鋼筐体内に溶接するとともに封設し、ならびに吸入管と排気管を溶接し、微粒子捕集フィルタ装置を形成する。この装置は、ディーゼル車エンジンの排気微粒子のフィルタリングと後処理に応用できる。
【0021】
本発明の基本原理は以下の通りである:物理化学原理の濾過理論を利用して、一種のSiCの耐火材料で基体をなすものとして使用し、他の技術と比べて低温でより簡単に焼結が可能であり、しかもある程度の耐火性を維持した製品を提供できる。ある程度の耐火性を犠牲にしても、触媒作用とフィルタリング機能を満足するのみでなく、エネルギー消費を削減しコストを下げるという目的を果たすことができ、もって製造規模を容易に拡大し、また市場参入を可能とすることができる。基本的な要件は、粘土の体積比率又は重量比率を濾過限界に近く、又は若干多めに設定することである。通常の三次元物質では、この比率は5%〜50%になるが、この割合は物質の種類によるばかりでなく、物質の微細構造にも依存するため、各物質にはある下限値がある。本発明はさらにグリーン・ハニカムセラミックス基体を作るのに、先進的な押し出し法を利用する。伝統的な焼結技術を採用し、成分を調整することにより、理想的な耐火性能、熱伝導性、熱膨張、有孔率、及び機械的強度等を備えた製品を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
従来技術と比較して、本発明は以下のような利点を有する。
(1)本発明の製品は以下のような特筆すべき優れた特徴点を有する。
(i)先進的な押し出し成型工程を採用することによって、ハニカムセラミックス基体は、単位表面積あたりにより多くの均一な孔を有し、そのセル密度は4〜62セル/cmであることが可能である。
(ii)濾過理論の利用と粒径の選択により、セル壁には多數の微細孔が形成され(孔のサイズとその分布は、粉末のサイズを組合わせること、接着剤或いは孔形成剤を加えることで調整することができ)、このことは触媒性の付与のみならずディーゼル車の排気微粒子の捕集フィルタリングに有益である。
(iii)ディーゼル車の排気微粒子の捕集フィルタリングや再生に用いることができ、ある種の化学的処理またはオイル噴霧による燃焼或いは電気加熱プロセスにより捕集された微粒子を除去することが定期的に可能で、ディーゼル車の排気微粒子捕集フィルタの通気性と動作を確実なものにする。
【0023】
(2)原材料として工業用シリコンカーバイドと粘土を使用するため、材料はふんだんに低価格で入手できる。成型が容易であり、焼結には伝統的な粘土耐火材料用の焼結設備がそのまま利用できる。製造加工工程は大幅に簡単化される。焼結されたセラミックスは期待する多数の孔を有するだけでなく、自動車や化学工業等の分野で利用する触媒捕集フィルタ基体として十分な熱伝導性、有孔性、機械的強度を有する。
【0024】
(3)イビデン(IBIDEN)の出願に開示された発明と比較すると、その製品の焼結温度は2100℃〜2300℃の高温まで高くしなければならず、焼結設備の要求は非常に高くなるとともに設備投資も非常に高くなる。同時に、焼結プロセスは不活性雰囲気で行われるため、洗練された製造技術と大量のエネルギー消費を要する。その結果、製品価格が非常に高くなる。しかし、本発明により生産される製品の焼結温度は1350℃と低く、焼結プロセスを保護するための不活性雰囲気も不要である。従って、製品の生産コストは大幅に削減できる。勿論、貴重なエネルギー消費と設備投資も削減できる。その結果、優位な価格対性能比率が達成できる。と同時に、世界でよく知られた技術である、セルを交互に目封止する方法を採用することにより、壁流式の微粒子捕集フィルタが形成される。本発明は原材料が容易に入手でき、コストは明らかに下がり、成型が容易で、焼結プロセスは合理的である。
【0025】
(4)適用範囲は広範に及ぶ。例えば、冶金産業における溶融スラグの濾過や、熱交換機、環境処理問題における汚水の濾過および浄化等にも利用できる。さらには、化学産業における触媒基体にも利用できる。或いは、航空・宇宙に関連した材料の生産にも利用できる。本発明が提供するSiCを基本原料とするハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体は、先ずは車の排気処理に適用され、また特にディーゼル車の排気浄化問題、捕集、煤煙および有害気体の分解に広く使用できる。本発明は、ディーゼル車およびその他の自動車両の排気による環境汚染を削減するのに有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明をより具体的に実施例を参照して説明する。以下の実施例は説明目的のものであり、本発明の範囲の制限を意図するものではない。
【実施例1】
【0027】
原料は、シリコンカーバイド、精選された粘土、小麦粉、グリースおよび水からなる。原料の各重量比は、シリコンカーバイド:1、粘土:0.5、小麦粉:0.35、グリース:0.05、そして水:0.35である。シリコンカーバイド粉末としては200メッシュと400メッシュのものを重量比1:3で混合したものを使用し、また粘土の粒径は1200メッシュである。小麦粉と水を一緒に混合して乳液状にし、それを65℃から100℃で加熱して粘性のある小麦粉ペーストとし、使用されるのを待つ。シリコンカーバイド、粘土およびグリースをミキサ中に一緒に入れて1時間混合し、その後そこに小麦粉を加えて更に1時間十分に攪拌し、混合ペーストにし、使用されるのを待つ。そして、混合ペーストを100メッシュの篩いにかけて濾す。濾したペーストを壁厚1.2mm、密度25セル/平方インチ(25CPSI)の型を通して押し出して57×57×254mmのグリーン・セラミックス基体を得る。室温乾燥と交互に孔を目封止した後、グリーン・セラミックス基体を5℃/分の加温スピードで600℃まで加熱して焼結し、その温度で6〜12時間保持し、その後1250℃に温度を上げて6〜12時間保持し、その後炉を室温まで自然冷却させて炉から取出し、ハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体を得る。この焼結基体の特性は表1に記載のとおりである。
【0028】
【表1】

【実施例2】
【0029】
実施例1と同様の手順であるが、以下の点で異なる:
原料の重量比が:シリコンカーバイド:1、粘土:0.15、小麦粉:0.35、グリース:0.05、そして水:0.35である。シリコンカーバイド粉末として200メッシュと500メッシュのものを重量比3:4で混合したものを使用し、また粘土の粒径は1000メッシュである。
【実施例3】
【0030】
実施例1と同様の手順であるが、以下の点で異なる:
原料の重量比が:シリコンカーバイド:1、粘土:0.3、小麦粉:0.18、グリース:0.03、そして水:0.25である。シリコンカーバイド粉末として200メッシュと600メッシュのものを重量比1:4で混合したものを使用し、また粘土の粒径は200メッシュである。
【実施例4】
【0031】
実施例1と同様の手順であるが、以下の点で異なる:
原料の重量比が:シリコンカーバイド:1、特定の粘土:0.4、小麦粉:0.3、合成潤滑油:0.04、そして水:0.30である。シリコンカーバイド粉末として250メッシュと450メッシュのものを重量比1:3で混合したものを使用し、また粘土の粒径は800メッシュである。
【実施例5】
【0032】
原料は、シリコンカーバイド、精選された粘土、小麦粉、合成潤滑油、そして水である。原料の各重量比は、シリコンカーバイド:1、粘土:0.2、小麦粉:0.35、合成潤滑油:0.05、そして水:0.35である。シリコンカーバイド粉末として200メッシュと400メッシュのものを重量比1:3で混合したものを使用し、また粘土の粒径は1200メッシュである。小麦粉と水を一緒に混合して乳液状にし、それを65℃から100℃で加熱して粘性のある小麦粉ペーストとし、使用されるのを待つ。その他の原料をミキサ中に一緒に入れて2時間混合し、そこに上記で用意した小麦粉ペーストを加えて更に2時間十分に攪拌し、混合ペーストにし、使用されるのを待つ。
【0033】
そして、混合ペーストを120メッシュの篩いにかけて濾す。濾したペーストを壁厚1.0mm、密度25セル/平方インチ(25CPSI)の型を通して押し出して36×36×254mm3のグリーン・セラミックス基体を得る。
【0034】
室温乾燥と交互に孔を目封止した後、グリーン・セラミックス基体を1℃/分の加温スピードで900℃まで加熱して焼結し、その温度で2〜6時間保温し、その後1350℃に温度を上げて0.5〜2時間保持し、その後炉を室温まで自然冷却させて炉から取出し、形成された製品を得る。製品の特性は表2に記載のとおりである。
【0035】
【表2】

【実施例6】
【0036】
原料は、シリコンカーバイド、精選された粘土、小麦粉、合成潤滑油とグリース、そして水である。原料の各重量比は、シリコンカーバイド:1、粘土:0.1、小麦粉:0.35、合成潤滑油と蒸留潤滑油:0.05、そして水:0.35である。シリコンカーバイド粉末としては220メッシュと440メッシュのものを重量比1:3で混合したものを使用し、また粘土の粒径は1200メッシュである。小麦粉と水を一緒に混合して乳液状にし、それを65℃から100℃で加熱して粘性のある小麦粉ペーストとし、使用されるのを待つ。その他の原料をミキサ中に一緒に入れて1時間混合し、そこに上記で用意した小麦ペーストを加えて更に1時間〜3時間十分に攪拌し、混合ペーストにし、使用されるのを待つ。
【0037】
そして、混合ペーストを150メッシュの篩いにかけて濾す。濾したペーストを壁厚0.6mm、密度120セル/平方インチ(120CPSI)の型を通して押し出して36×36×254mmのグリーン・ハニカムセラミックス基体を得る。
【0038】
室温乾燥と交互に孔を目封止した後、グリーン・セラミックス基体を3℃/分の加温スピードで800℃まで加熱して焼結し、その温度で4〜6時間保持し、その後1300℃に温度を上げて1〜4時間保持し、その後炉を室温まで自然冷却させて炉から取出し、形成された製品を得る。この製品の特性は表3に記載のとおりである。
【0039】
【表3】

【実施例7】
【0040】
図1から図3に示されるように、
(1)実施例1ないし6において形成される何れか一種類の微粒子捕集フィルタ基体を部品として採用する。
(2)接続を必要とする微粒子捕集フィルタ基体の部品表面に接着剤を均一に塗布する。前記接着剤は、シリコンカーバイド:1、粘土:0.2、水ガラス:0.06の重量比からなり、接着剤の塗膜の厚みは約1mmであり;部品を貼り合わせて、所要とする方形柱状体、長方形注状体、円柱体或いは平行パイプ状の円柱体等の形状の準完成体の微粒子捕集フィルタを得る。
(3)準完成体フィルタの表面に接着剤を塗布する。乾燥並びに表面処理後、微粒子捕集フィルタを得る。
【実施例8】
【0041】
(4)実施例1ないし6において形成される何れか一種類の微粒子捕集フィルタ基体を部品として採用する。
(5)接続を必要とする微粒子捕集フィルタ基体の部品表面に接着剤を均一に塗布する。前記接着剤は、シリコンカーバイド:1、粘土:1、水ガラス:0.35の重量比からなり、接着剤の塗膜の厚みは約3mmであり;部品を貼り合わせて、所要とする方形柱状体、長方形注状体、円柱体或いは平行パイプ状の円柱体等の形状の準完成体の微粒子捕集フィルタを得る。
(3)準完成体フィルタの表面に接着剤を塗布する。乾燥並びに表面処理後、微粒子捕集フィルタを得る。
【実施例9】
【0042】
図4に示されるように、実施例7或いは実施例8において形成される微粒子捕集フィルタ2の外部を断熱パッド1で包囲し、ステンレス鋼筐体3内に溶接するとともに封設し、ならびに吸入管と排気管を溶接し、排気微粒子捕集フィルタ装置を形成する。この装置は、ディーゼル車のエンジン排気微粒子の捕集フィルタリングと後処理に応用される。
【0043】
上述した各種実施例は、本発明例示的に説明したものであって、本発明を上述した実施例に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の方形状のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタの概観図である。
【図2】本発明の円形状のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタの概観図である。
【図3】本発明の長円形状のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタの概観図である。
【図4】本発明をディーゼル車エンジンの排気微粒子捕集と後処理に応用した排気微粒子捕集フィルタ装置の概観図である。
【符号の説明】
【0045】
1:断熱パッド、2:フィルタ、3:ステンレス鋼筐体、4:吸入管、5:排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量比で、シリコンカーバイド:1、粘土:0.05〜0.5、小麦粉:0.1〜0.35、グリース:0.025〜0.05、水:0.2〜0.35の原料からセラミックス素地を形成し、前記セラミック素地を焼成することによって作製されたハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体であって、前記ハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体は、セル密度が4〜62セル/cmのハニカム構造、セル壁厚は0.2〜1.2mm、セル壁の多孔率は40%〜70%、セル壁の貫通孔率は>30%、セル壁微細孔の平均半径の分布は1〜50μmであることを特長とするハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体。
【請求項2】
前記粘土は、工業用粘土又は顔料粘土でなることを特徴とする請求項1記載のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体。
【請求項3】
前記グリースは高蒸留した潤滑油、合成潤滑油又はこれらの混合物から選択された1種であることを特徴とする請求項1記載のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体。
【請求項4】
前記基体のセル壁微細孔の平均半径の分布は10〜30μmであることを特徴とする請求項1記載のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体。
【請求項5】
前記シリコンカーバイドは、粒径が200〜400メッシュの差で異なる二種類のシリコンカーバイドを、重量比で1:4ないし3:4の組成となるように選択されていることを特徴とする請求項1記載のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体。
【請求項6】
以下のステップを含むことを特徴とする請求項1記載のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体の製造方法。
(1)各原材料をその配合比に応じて計量する。
(2)シリコンカーバイドと粘土を十分に混合して均一にし、その後グリースを加え、ミキサ内で十分に攪拌し、次のステップで使用されるのを待つ。
(3)常温で小麦粉と水を混合して乳液状態になるようにし、65℃〜100℃で糊状ペーストになるまで加熱する。
(4)糊状ペーストとステップ(2)の混合物とをミキサ内で1〜3時間混合し攪拌する。
(5)混合物を、混合するとともに篩いにかけ、十分に均一になるようにする。
(6)型を使用して押し出し、横断面が様々な幾何学形状の基体をなすようにし、4〜62セル/cmのハニカムセラミックス素地を形成し、それを室温で乾燥するとともにセルを目封止してハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体素地を形成する。
(7)<5℃/分の速度で600℃〜900℃になるまで加熱して焼結し、2〜12時間保持し、その後さらに1250℃〜1350℃まで加熱して0.5〜12時間保持し、その後炉を室温まで自然冷却して炉から出し、所要のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体を得る。
【請求項7】
前記ステップ(2)において、シリコンカーバイドは、振動篩いにかけることによって篩い分けられ、粒径の差が200〜400メッシュの2種のシリコンカーバイドが、重量比1:4ないし3:4で使用されていることを特徴とする請求項6に記載のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかに記載のハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体を複数個含む微粒子捕集フィルタであって、前記ニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体間は接着剤層によって接続され、前記接着剤の組成は、重量比でシリコンカーバイド:1、粘土:0.2〜1、水ガラス:0.06〜0.35、であり、接着剤層の厚さは1〜3mmであることを特徴とする一種の微粒子捕集フィルタ。
【請求項9】
請求項8に記載の微粒子捕集フィルタの一種の製造方法であって、以下のステップを含むことを特徴とする。
(1)請求項1ないし5のいずれかに記載した前記ハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体を組合わせるべき部品として作成する。
(2)接続すべき前記請求項1ないし5のいずれかに記載したハニカムセラミックス微粒子捕集フィルタ基体の表面相互に接着剤を均一に塗布して接着し、前記接着剤の組成は重量比で、シリコンカーバイド:1、粘土:0.2〜1、水ガラス:0.06〜0.35、であり、接着剤層の厚さは1〜3mmであり、次いで部品相互を一体に貼り合わせ、必要とされるいろいろな幾何学形状の準完成体の微粒子フィルタ素子を形成する。
(3)準完成体の微粒子フィルタ素子の表面に接着剤を塗布し、乾燥成形並びに表面処理して微粒子捕集フィルタを得る。
【請求項10】
ステンレス鋼製筐体と、ステンレス鋼製筐体内に溶接されるとともに封設されたフィルタと、フィルタ外部を包囲する断熱パッド、吸入管と排気管とを含み、前記フィルタが請求項8に記載の微粒子捕集フィルタであることを特徴とする一種の微粒子捕集フィルタ装置。
【請求項11】
請求項10に記載の前記微粒子捕集フィルタ装置の一種の製造方法であって、前記方法は、前記請求項8に記載の微粒子捕集フィルタ外部を断熱パッドで包囲し、ステンレス鋼筐体内に溶接するとともに封設し、ならびに吸入管と排気管を溶接し、微粒子捕集フィルタ装置を形成することを特徴とする微粒子フィルタ装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−504389(P2009−504389A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526359(P2008−526359)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/CN2006/002092
【国際公開番号】WO2007/019801
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(508217135)▲雲▼南▲菲▼▲尓▼▲特▼▲環▼保科技有限公司 (1)
【Fターム(参考)】