説明

バッテリ残量表示装置、バッテリ残量表示方法及びプログラム

【課題】時間経過や状況変化によるバッテリ温度の変化を考慮したバッテリ残量表示を行う。
【解決手段】バッテリ温度計測部13およびバッテリ電圧計測部24は、それぞれバッテリの温度および電圧を計測する。放電特性決定部15は、バッテリ温度に基づいて、適合する放電特性データを決定する。気温情報取得部19は、位置時刻取得部16が取得した現在地を示す位置情報に基づいて、現在地周辺の気温の予想値を示す気温情報を取得する。最低気温算出部21は、計時部18から受け取った現在日時を示す時刻情報と気温情報とに基づいて、所定の期間の現在地周辺の最低気温を算出する。補正データ生成部23は、最低気温とバッテリ温度と放電特性データとに基づいて、補正放電特性データを生成する。バッテリ残量算出部25は、補正放電特性データとバッテリ電圧とに基づいて、バッテリ残量を算出し、表示部26に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ残量表示装置、バッテリ残量表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ残量の検出方法には、大きく分けて、バッテリ充放電電流から検出する方法とバッテリ電圧から検出する方法とがある。バッテリ充放電電流から検出する方法は、一般的に充電及び放電電流をそれぞれ積算した結果とバッテリの総容量から計算していく方法である。
【0003】
特許文献1には、電池の充放電電流の検出精度を改良し、正確な電池の残量検出を行うことができる電池残量検出回路が開示されている。
【0004】
バッテリ電圧から残量を検出する方法は、最も簡単な方法として、使用するバッテリ電圧の上限、下限をそれぞれバッテリ容量100%、0%に割当て、この間のバッテリ電圧を直線的にバッテリ容量に対応させる方法がある。ただし、バッテリには固有の放電特性が存在し、バッテリ電圧とバッテリ容量との関係は直線的ではない。そこで、バッテリ残量の検出精度を向上させるため、このバッテリ固有の放電特性からバッテリ電圧に対応するバッテリ容量を算出して残量を求める手法が考案されている。
【0005】
特許文献2には、バッテリ電圧と温度(バッテリの放電特性)からバッテリ残量を検出する携帯電話用電池残量表示装置が開示されている。
【0006】
バッテリ充放電電流からバッテリ残量を検出する方法は、精度が良好である反面、構成が複雑で高価であるという欠点がある。またバッテリ電圧からバッテリ残量を検出する方法は、精度が低くなってしまうという欠点が存在するが、単純な構成で実現可能で、安価であるという利点がある。
【0007】
機器に採用するバッテリ残量の検出方法は、その対象機器によって要求される様々な条件が考慮され、いずれかの方法が選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−240524号公報
【特許文献2】特開平07−283774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のバッテリ残量の検出方法は、どちらの方法であっても、現時点でのバッテリ残量を正確に検出する事には配慮されているが、時間が経過したり、場所を屋外に移動したりした場合の温度変化は配慮されていない。たとえば、冬季の屋内(通常の室温)で機器を使用しており、バッテリ残量が十分では無いが起動させるだけの残量がある状態において、機器の電源を切断してカバン等に入れて屋外(寒い所)に持ち出し、内蔵バッテリが冷え切った状態になった場合、この状態で電源を投入すると機器が再起動しないという現象が現れることがある。 また再起動出来ないため、バッテリ残量やメッセージ等を液晶ディスプレイ等に表示することもできず、再起動出来ない原因をユーザに通知する事も出来ない。
【0010】
ポータブル機器等にはリチウムイオン電池が搭載されているものが多く、上記のような現象は、リチウムイオン電池の放電特性から発生する問題である。また、使用するリチウムイオン電池個別の特性にも依存する。ユーザから見た場合、電源切断時にまだ起動させるだけのバッテリ残量があったにも関わらず、寒い屋外に持ち出したことで機器が再起動できないということは理解できない現象である。これにより、故障でないにもかかわらず、機器が故障したと判断して製造メーカに修理やクレームを申し入れるといった問題が発生する可能性がある。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、時間経過や状況変化によるバッテリ温度の変化を考慮したバッテリ残量表示を行うバッテリ残量表示装置、バッテリ残量表示方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点に係るバッテリ残量表示装置は、
電子機器に電力を供給するバッテリの残量を表示するバッテリ残量表示装置であって、
前記バッテリの電圧と容量と温度との関係を示す放電特性データを記憶する放電特性記憶部と、
現在地を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて、現在から将来のある時点までの所定の期間を含む期間の現在地の気温の予想値を示す気温情報を取得する気温情報取得部と、
前記気温情報に基づいて、現在地の前記所定の期間の最低気温を算出する最低気温算出部と、
前記バッテリの温度を計測するバッテリ温度計測部と、
前記バッテリの温度に基づいて、前記放電特性記憶部が記憶する前記放電特性データから、適合する前記放電特性データを決定する放電特性決定部と、
前記放電特性記憶部が記憶する前記放電特性データと前記バッテリの温度と前記最低温度とに基づいて、前記放電特性決定部が決定した前記放電特性データを補正し、補正放電特性データを生成する補正データ生成部と、
前記バッテリの電圧または放電電流を計測する電圧電流計測部と、
前記バッテリの電圧または放電電流と前記補正放電特性データとに基づいて、補正した前記バッテリの残量を算出する第1残量算出部と、
補正した前記バッテリの残量を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
上記バッテリ残量表示装置は、前記バッテリの自己放電量と電圧と温度との関係を示す自己放電特性データを記憶する自己放電データ記憶部と、
前記電子機器の電源を切断したときの日時と前記バッテリの温度と電圧とを含む電源切断時情報を記憶する電源切断時情報記憶部と、
前記電子機器の電源を投入したときに、前記電源切断時情報に含まれる電源を切断したときの日時から経過時間を算出する経過時間算出部と、
前記経過時間と、前記電源切断時情報に含まれる電源を切断したときの前記バッテリの電圧および温度と、前記バッテリ温度計測部が計測する前記バッテリの温度と、前記自己放電特性データとに基づいて、前記バッテリの電圧を予測するバッテリ電圧予測部と、
前記バッテリ電圧予測部が予測した前記バッテリの電圧と、前記放電特性決定部が決定した前記放電特性データとに基づいて、前記バッテリの残量を算出する第2残量算出部と、
前記第2残量算出部が算出した前記バッテリの残量に基づいて、前記電子機器のOSの起動を制御する制御部と、をさらに備えてもよい。
【0014】
前記制御部は、前記第2残量算出部が算出した前記バッテリの残量に基づいて、前記OSを起動可能か否かを判定し、前記OSを起動可能である場合には、前記バッテリの残量に適した方法で前記OSを起動し、前記OSを起動不可能である場合には、エラーまたは前記バッテリの残量を前記表示部に表示させてもよい。
【0015】
前記第1残量算出部は、さらに、前記バッテリの電圧または放電電流と前記放電特性決定部が決定した前記放電特性データとに基づいて、補正していない前記バッテリの残量を算出し、
前記表示部は、補正した前記バッテリの残量と、補正していない前記バッテリの残量とを両方表示してもよい。
【0016】
上記バッテリ残量表示装置は、現在地の気温を検出する気温検出部を備え、
前記気温情報取得部は、前記気温検出部が検出した現在地の気温に基づいて、前記気温情報を補正してもよい。
【0017】
前記電圧電流計測部は、少なくとも前記バッテリの放電電流を計測し、
前記放電特性決定部は、前記バッテリの温度および放電電流から適合する前記放電特性データを決定してもよい。
【0018】
本発明の第2の観点に係るバッテリ残量表示方法は、
電子機器に電力を供給するバッテリの残量を表示するバッテリ残量表示装置が実行するバッテリ残量表示方法であって、
現在地を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報に基づいて、現在から将来のある時点までの所定の期間を含む期間の現在地の気温の予想値を示す気温情報を取得する気温情報取得ステップと、
前記気温情報に基づいて、現在地の前記所定の期間の最低気温を算出する最低気温算出ステップと、
前記バッテリの温度を計測するバッテリ温度計測ステップと、
前記バッテリの温度に基づいて、放電特性記憶部が記憶する前記バッテリの電圧と容量と温度との関係を示す放電特性データから、適合する前記放電特性データを決定する放電特性決定ステップと、
前記放電特性記憶部が記憶する前記放電特性データと前記バッテリの温度と前記最低温度とに基づいて、前記放電特性決定ステップで決定した前記放電特性データを補正し、補正放電特性データを生成する補正データ生成ステップと、
前記バッテリの電圧または放電電流を計測する電圧電流計測ステップと、
前記バッテリの電圧または放電電流と前記補正放電特性データとに基づいて、補正した前記バッテリの残量を算出する第1残量算出ステップと、
補正した前記バッテリの残量を表示する表示ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、電子機器に電力を供給するバッテリの残量を表示するバッテリ残量表示装置が備えるコンピュータに、
前記バッテリの電圧と容量と温度との関係を示す放電特性データを記憶する放電特性記憶ステップ、
現在地を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップ、
前記位置情報に基づいて、現在から将来のある時点までの所定の期間を含む期間の現在地の気温の予想値を示す気温情報を取得する気温情報取得ステップ、
前記気温情報に基づいて、現在地の前記所定の期間の最低気温を算出する最低気温算出ステップ、
前記バッテリの温度を計測するバッテリ温度計測ステップ、
前記バッテリの温度に基づいて、前記放電特性記憶ステップにおいて記憶された前記放電特性データから、適合する前記放電特性データを決定する放電特性決定ステップ、
前記放電特性記憶ステップにおいて記憶された前記放電特性データと前記バッテリの温度と前記最低温度とに基づいて、前記放電特性決定ステップにおいて決定された前記放電特性データを補正し、補正放電特性データを生成する補正データ生成ステップ、
前記バッテリの電圧または放電電流を計測する電圧電流計測ステップ、
前記バッテリの電圧または放電電流と前記補正放電特性データとに基づいて、補正した前記バッテリの残量を算出する第1残量算出ステップ、および、
補正した前記バッテリの残量を表示する表示ステップ、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、時間経過や状況変化によるバッテリ温度の変化を考慮したバッテリ残量表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係るバッテリ残量表示装置の構成例を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る最低気温算出の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1に係るバッテリ残量表示の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】放電特性データの一例を示す図である。
【図5】補正放電特性データの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るバッテリ残量表示装置の構成例を示す図である。
【図7】実施の形態2に係るOS起動制御の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係るバッテリ残量表示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のバッテリ残量表示装置をポータブル機器に搭載した例を説明する。本発明のバッテリ残量表示装置が搭載されるポータブル機器の例としては、バッテリを内蔵し、そのバッテリの電力によって動作する携帯型の電子機器であり、例えばスマートフォン等の携帯電話、携帯型メディア装置、携帯可能なPC(Personal Computer)、携帯型のナビゲーション装置等である。また、バッテリ残量表示装置は搭載されるポータブル機器の内部に独立して存在せず、ポータブル機器を構成する各種要素やソフトウェアによって構成される。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るバッテリ残量表示装置の構成例を示す図である。バッテリ残量表示装置1は、放電電流計測部12、バッテリ温度計測部13、放電特性記憶部14、放電特性決定部15、位置時刻取得部16、位置情報記憶部17、計時部18、気温情報取得部19、気温情報記憶部20、最低気温算出部21、最低気温記憶部22、補正データ生成部23、バッテリ電圧計測部24、バッテリ残量算出部25および表示部26を備える。
【0024】
放電電流計測部12は、バッテリ残量表示装置1を搭載したポータブル機器に電力を供給するバッテリ(以下、単にバッテリという)の放電電流を計測する。
【0025】
バッテリ温度計測部13は、バッテリの温度を計測する。
【0026】
放電特性記憶部14は、バッテリの電圧と容量と温度との関係を示す放電特性データを記憶する。
【0027】
放電特性決定部15は、放電電流計測部12が計測したバッテリの放電電流の値と、バッテリ温度計測部13が計測したバッテリの温度の値とに基づいて、放電部特性記憶部14が記憶する放電特性データから、適合する放電特性データを決定する。
【0028】
一般的にバッテリは温度以外にも放電電流に応じて放電特性が変化する。この特性を考慮して、本実施の形態では、放電特性決定部15は、バッテリの放電電流の値と温度の値とに基づいて、適合する放電特性データを決定する。しかし、ポータブル機器の消費電流が一定に近い機器である場合は、放電電流による放電特性はあまり変化しないので、放電電流計測部12を省略しても問題ない場合もある。この場合、放電特性決定部15は、バッテリ温度計測部13が計測したバッテリの温度の値のみに基づいて、放電部特性記憶部14が記憶する放電特性データから、適合する放電特性データを決定する。
【0029】
位置時刻取得部16は、GPS信号を受信し、GPS信号からバッテリ残量表示装置1の現在地を示す位置情報と、現在日時を示す現在日時情報とを取得する。また、位置時刻取得部16は、WiFiや携帯電話回線を用いた送受信部によっても構成され、その場合には通信を行っているアクセスポイントや基地局の情報によって、バッテリ残量表示装置1の現在地を示す位置情報を取得する。
【0030】
位置情報記憶部17は、位置時刻取得部16が取得した位置情報を記憶する。
【0031】
計時部18は、現在日時を示す時刻情報を生成し、最低気温算出部21に送る。また計時部18は、位置時刻取得部16が取得した現在日時情報と同期する。これにより、計時部18は、正確な時刻情報の生成を維持できる。なお、ポータブル機器は、バッテリ表示装置1外に計時部18を備え、バッテリ表示装置1は、外の計時部18から現在日時を示す時刻情報を取得してもよい。
【0032】
気温情報取得部19は、位置情報記憶部17が記憶する位置情報に基づいて、現在から将来のある時点までの所定の期間を含む期間の現在地周辺の気温の予想値を示す気温情報を外部から取得する。所定の期間は、たとえば24時間でもよいし、1週間でもよい。バッテリの温度変化が起こりうると想定される任意の期間を設定する。また、気温情報取得部19は、外部から気温情報を取得できない場合には、気温情報記憶部20が記憶する各地の平均的な気温の変化を示す平均気温情報から、位置情報記憶部17が記憶する位置情報に基づいて、現在地周辺の気温の予想値を示す気温情報を抽出してもよい。なお、気温情報取得部19は、現在地周辺の気温を検出する気温検出部を備え、その検出結果から気温情報を補正してもよい。
【0033】
気温情報記憶部20は、気温情報取得部19が取得した気温情報を記憶する。また、気温情報記憶部20は、あらかじめ各地の平均的な気温の変化を示す平均気温情報を記憶しておいてもよい。
【0034】
最低気温算出部21は、計時部18から受け取った時刻情報と、気温情報記憶部20が記憶する気温情報とに基づいて、所定の期間の現在地周辺の最低気温を算出する。なお、気温情報取得部19は、位置情報記憶部17が記憶する位置情報と計時部18から受け取った時刻情報とに基づいて、現在から将来のある時点までの所定の期間の現在地周辺の気温の予想値を示す気温情報を外部から取得してもよい。この場合、最低気温算出部21は、気温情報記憶部20が記憶する気温情報から最低気温を算出する。
【0035】
最低気温記憶部22は、最低気温算出部21が算出した最低気温を記憶する。
【0036】
補正データ生成部23は、最低気温記憶部22が記憶する最低気温と、バッテリ温度計測部13が計測したバッテリ温度と、放電特性記憶部14が記憶する放電特性データとに基づいて、補正値を算出する。補正データ生成部23は、放電特性決定部15が決定した放電特性データを補正値で補正して補正放電特性データを生成する。
【0037】
バッテリ電圧計測部24は、バッテリの電圧を計測する。
【0038】
バッテリ残量算出部25は、補正データ生成部23が生成した補正放電特性データと、バッテリ電圧計測部24が計測したバッテリの電圧とに基づいて、バッテリの残量を算出する。本実施の形態では、バッテリ電圧からバッテリ残量を検出する方法を用いているが、バッテリ放電電流からバッテリ残量を検出する方法を用いる場合には、バッテリ残量算出部25は、補正データ生成部23が生成した補正放電特性データと、放電電流計測部12が計測したバッテリの放電電流とに基づいて、バッテリの残量を算出する。
【0039】
バッテリ残量算出部25が、補正データ生成部23が生成した補正放電特性データと、バッテリ電圧計測部24が計測したバッテリの電圧とに基づいて算出するバッテリの残量は、補正したバッテリの残量である。バッテリ残量算出部25は、放電特性決定部15が決定した放電特性データと、バッテリ電圧計測部24が計測したバッテリの電圧とに基づいて、補正していないバッテリの残量を算出してもよい。
【0040】
表示部26は、バッテリ残量算出部25が算出したバッテリの残量を表示する。表示部26は、補正したバッテリ残量のみを表示してもよいし、補正したバッテリ残量および補正していないバッテリ残量を両方表示してもよい。
【0041】
図2は、実施の形態1に係る最低気温算出の動作の一例を示すフローチャートである。最低気温算出処理は、ポータブル機器の電源が投入されているとき、または、低消費電力状態(スタンバイ)になっているときに実施する。頻度は、たとえば一定時間毎や、位置情報が示す現在地が変わったとき、後述するバッテリ残量表示処理を実行する直前など、バッテリの消費を抑えながら、最も効果的なタイミングで実施するとよい。
【0042】
まず、位置時刻取得部16は、バッテリ表示装置1の現在地を示す位置情報および現在日時を示す現在日時情報を取得する(ステップS11)。位置情報および現在日時情報を取得できなかった場合(ステップS12;NO)、処理は、ステップS15に移行する。位置情報および現在日時情報を取得できた場合(ステップS12;YES)、計時部18は、現在日時情報と時刻同期を行う(ステップS13)。また、位置情報記憶部17は、位置情報を記憶する(ステップS14)。
【0043】
気温情報取得部19は、位置情報記憶部17が記憶する位置情報に基づいて、現在から将来のある時点までの所定の期間を含む期間の現在地周辺の気温の予想値を示す気温情報を外部から取得する(ステップS15)。気温情報を取得できなかった場合(ステップS16;NO)、処理は、ステップS18に移行する。気温情報を取得できた場合(ステップS16;YES)、気温情報記憶部20は、気温情報を記憶する(ステップS14)。
【0044】
最低気温算出部21は、計時部18から現在日時を示す時刻情報を受け取り(ステップS18)、気温情報記憶部20が記憶する気温情報とに基づいて、所定の期間の現在地周辺の最低気温を算出する(ステップS19)。最低気温記憶部22は、最低気温算出部21が算出した最低気温を記憶して(ステップS20)、処理を終了する。最低気温算出部21が算出した最低気温を上書きして記憶することで、最低気温記憶部22には、最新の最低気温が記憶される。
【0045】
なお、ステップS12で位置情報および現在日時情報を取得できなかった場合や、ポータブル機器の最初の電源投入時などの理由で位置情報記憶部17が位置情報を記憶していない場合は、ユーザが国や都市名等を含む現在地を入力してもよい。また、ステップS16で気温情報を取得できなかった場合や、ポータブル機器の最初の電源投入時時などの理由で気温情報記憶部20が気温情報を記憶していない場合、気温情報記憶部20があらかじめ記憶している各地の平均的な気温の変化を示す平均気温情報を用いてもよい。
【0046】
図3は、実施の形態1に係るバッテリ残量表示の動作の一例を示すフローチャートである。バッテリ残量表示処理は、ポータブル機器のOS(Operating System)が起動しているとき、または、低消費電力状態(スタンバイ)となっているときに実施する。頻度は、たとえば一定時間毎や、バッテリ残量を所定の量以下になったときや、ユーザがバッテリ残量表示の指示をポータブル機器に入力したときなど、バッテリ残量等に応じて、最も効果的なタイミングで実施するとよい。
【0047】
まず、バッテリ温度計測部13は、バッテリの温度を計測する(ステップS21)。放電電流計測部12は、バッテリの放電電流を計測する(ステップS22)。放電特性決定部15は、バッテリの放電電流の値と、バッテリの温度の値とに基づいて、放電部特性記憶部14が記憶する放電特性データから、適合する放電特性データを決定する(ステップS23)。
【0048】
補正データ生成部23は、最低気温記憶部22が記憶する最低気温と、バッテリ温度計測部13が計測したバッテリ温度とを比較する(ステップS24)。バッテリ温度の方が低い場合(ステップS25;YES)、処理は、ステップS28に移行する。バッテリ温度の方が低い場合、ポータブル機器が特別な環境下に置かれていると判断し、放電特性データを補正しない。バッテリ温度の方が高い場合(ステップS25;NO)、補正データ生成部23は、最低気温と、バッテリ温度と、放電特性記憶部14が記憶する放電特性データとに基づいて、補正値を算出する(ステップS26)。
【0049】
補正データ生成部23は、放電特性決定部15が決定した放電特性データを補正値で補正した補正放電特性データを生成する(ステップS27)。バッテリ電圧計測部24は、バッテリの電圧を計測し(ステップS28)、バッテリ残量算出部25は、補正放電特性データと、バッテリの電圧とに基づいて、バッテリの残量を算出する(ステップS29)。最低気温よりバッテリ温度の方が低かった場合(ステップS25;YES)、バッテリ残量算出部25は、放電特性決定部15が決定した放電特性データと、バッテリの電圧とに基づいて、バッテリの残量を算出する(ステップS29)。
【0050】
表示部26は、バッテリの残量を表示し(ステップS30)、処理を終了する。
【0051】
ここで、図4および図5を用いて、ステップS26およびステップS27の補正データ生成部23が補正放電特性データを生成する方法について説明する。
【0052】
図4は、放電特性データの一例を示す図である。図4は、放電特性記憶部14が記憶する放電特性データであり、縦軸はバッテリ電圧(v)、横軸は放電容量(mAh)である。図4の例では、補正データ生成部23は、同一放電容量(850mAh)において、バッテリ温度が20℃で最低気温が0℃である場合のバッテリ電圧の差(ΔV)を算出する。このΔVは、バッテリ電圧からバッテリ残量を検出する方法を用いる場合の補正値となる。本発明において注目しているポイントは、「バッテリ温度が20℃のとき、バッテリ残量が十分ではないが起動させるだけの残量がある状態」である。ここでは、一例として「バッテリ温度が20℃のとき、バッテリ残量が十分ではないが起動させるだけの残量がある状態」を「バッテリ容量が約1000mAhで放電容量が850mAhの場合」として、補正値を求めている。
【0053】
また、補正データ生成部23は、同一電圧(3.6V)において、バッテリ温度が20℃で最低気温が0℃である場合の放電容量の差(ΔC)を算出してもよい。このΔCは、バッテリ放電電流からバッテリ残量を検出する方法を用いる場合の補正値となる。本実施の形態では、バッテリ電圧からバッテリ残量を検出する方法を採用しているので、図3のステップS26ではΔVを補正値とする。
【0054】
図5は、補正放電特性データの一例を示す図である。まず、放電特性決定部15が図4に示す放電特性データからバッテリ温度が20℃の放電特性データを決定する。補正データ生成部23は、バッテリの残量表示用に、横軸を放電容量(mAh)からバッテリ残量(%)に変換する。また、補正データ生成部23は、20℃の放電特性データを簡単化のために直線に変換する。
【0055】
図5における「直線」は、最も簡単な方法であり、バッテリ電圧の上限、下限をそれぞれバッテリ容量100パーセント、0パーセントに割当て、この間のバッテリ電圧を直線的にバッテリ容量に対応させている。これに対し「放電特性」は、図4のように使用するバッテリの特性に合わせて曲線で表現する事が望ましいが、ここでは簡単化のため直線的に変換している。
【0056】
図4で補正値を求めた「バッテリ容量が約1000mAhで放電容量が850mAhの場合」のバッテリ残量15%を、バッテリ温度が想定される最低温度(ここでは0℃)になっても再起動を保証する最低限のバッテリ残量と設定し、バッテリ温度が想定される最低気温(ここでは0℃)になっても、十分な余裕を持って再起動可能であるバッテリ残量を70%以上と設定する。従って70%以上は補正不要であり、補正データ生成部23は、「放電特性」のバッテリ残量が15%のときの電圧に補正値「ΔV」を加算して補正し、補正放電特性データを作成する。
【0057】
バッテリ残量が15%のときの電圧に補正値「ΔV」を加算する事で、バッテリ温度が最低気温(0℃)となっても、OSを起動させるだけの残量が確保される。従ってバッテリ温度が20℃の時と同様に確実に再起動可能である。
【0058】
図5の例では、簡単化のためにバッテリ残量15%と70%の間を直線で結んでいるが、使用するバッテリの特性に合わせて曲線を用い、最小限の補正とするようにしてもよい。これにより正確なバッテリ残量表示に近づけることが可能である。
【0059】
以上のようにして作成した補正放電特性データが図5の「補正後」である。バッテリ電圧計測部24は、バッテリ電圧を計測し、A−D変換する。バッテリ残量算出部25は、補正放電特性データを参照し、バッテリ電圧計測部24の計測結果に基づいてバッテリ残量(%)を算出する。表示部26は、バッテリ残量算出部25が算出したバッテリ残量を数値ないしアイコン等により表示する。
【0060】
以上説明したように、実施の形態1のバッテリ残量表示装置1によれば、時間経過や状況変化によるバッテリ温度の変化を考慮したバッテリ残量表示を行うことができる。これにより、ユーザは、電源を切断する時のバッテリ残量表示と、所定の期間内に再起動した時の機器の動作やバッテリ残量表示との間に違和感を感じにくい。
【0061】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係るバッテリ残量表示装置の構成例を示す図である。バッテリ残量表示装置1は、放電電流計測部12、バッテリ温度計測部13、放電特性記憶部14、計時部18、バッテリ電圧計測部24、バッテリ残量算出部25、表示部26、電源切断時情報記憶部27、経過時間算出部28、バッテリ電圧予測部29および起動制御部30を備える。
【0062】
放電電流計測部12、バッテリ温度計測部13、放電特性決定部15およびバッテリ電圧計測部24は、実施の形態1と同様である。なお、実施の形態2では、バッテリ温度計測部13および放電特性決定部15は、それぞれポータブル機器のOSを起動する前に処理を実行する。
【0063】
放電特性記憶部14は、バッテリの電圧と容量と温度との関係を示す放電特性データに加え、バッテリの自己放電量と、バッテリの電圧および温度との関係を示す自己放電特性データを記憶する。
【0064】
計時部18は、現在日時を示す時刻情報を生成し、電源切断時情報記憶部27および経過時間算出部28に送る。なお、計時部18は、実施の形態1と同様に、外部から取得した現在日時情報と同期してもよい。
【0065】
電源切断時情報記憶部27は、バッテリ残量表示装置1を搭載したポータブル機器の電源を切断したときのバッテリの放電電流、温度および電圧と、電源を切断した日時とを対応付けて電源切断時情報として記憶する。
【0066】
経過時間算出部28は、ポータブル機器に電源が投入されると、電源切断時情報記憶部27が記憶する電源切断時情報に含まれる電源を切断した日時と、計時部18から受け取る時刻情報とに基づいて、電源が切断されてからの経過時間を算出する。
【0067】
バッテリ電圧予測部29は、経過時間算出部28が算出した経過時間と、バッテリ温度計測部13が計測したバッテリの温度と、電源切断時情報記憶部27が記憶する電源切断時情報に含まれる電源を切断したときのバッテリの電圧および温度、放電特性記憶部14が記憶する自己放電特性データとに基づいて、バッテリの電圧を予測する。
【0068】
バッテリ残量算出部25は、放電特性決定部15が決定した放電特性データと、バッテリ電圧予測部29が予測したバッテリの電圧とに基づいて、バッテリの残量を算出する。本実施の形態では、バッテリ電圧からバッテリ残量を検出する方法を用いているが、バッテリ放電電流からバッテリ残量を検出する方法を用いてもよい。
【0069】
バッテリ放電電流からバッテリ残量を検出する方法を用いる場合、経過時間算出部28が算出した経過時間と、バッテリ温度計測部13が計測したバッテリの温度と、電源切断時情報記憶部27が記憶する電源切断時情報に含まれる電源を切断したときのバッテリの放電電流および温度、放電特性記憶部14が記憶する自己放電特性データに基づいて、バッテリの放電容量(mAh)を予測する。バッテリ残量算出部25は、放電特性決定部15が決定した放電特性データと、予測したバッテリの放電容量とに基づいて、バッテリの残量を算出する。
【0070】
起動制御部30は、バッテリ残量算出部25が算出したバッテリの残量がOSを通常起動するのに十分な量であるか否かを判定し、十分な量であれば、OSを通常起動させる。十分な量でなければ、起動制御部30は、バッテリの残量がOSを低消費電力で起動できる量か否かを判定し、低消費電力で起動できる量であれば、OSを低消費電力で起動させる。低消費電力で起動できる量でなければ、起動制御部30は、バッテリ残量が不足していることを示すエラー、または、バッテリの残量を表示部26に表示させる。
【0071】
表示部26は、バッテリ残量が不足していることを示すエラー、または、バッテリの残量の残量を表示する。
【0072】
図7は、実施の形態2に係るOS起動制御の動作の一例を示すフローチャートである。OS起動制御処理は、低消費電力で素早い結果を得るため、OS起動前のブート時のプログラム(ブートローダ)にて実施することが望ましい。
【0073】
まず、バッテリ温度計測部13は、バッテリの温度を計測する(ステップS31)。経過時間算出部28は、計時部18から現在日時を示す時刻情報を受け取る(ステップS32)。経過時間算出部28は、電源切断時情報記憶部27が記憶する電源切断時情報に含まれる電源を切断した日時と、計時部18から受け取った時刻情報とに基づいて、電源が切断されてからの経過時間を算出する(ステップS33)。
【0074】
バッテリ電圧予測部29は、バッテリ温度計測部13が計測したバッテリ温度と、経過時間算出部28が算出した経過時間と、電源切断時情報記憶部27が記憶する電源切断時情報と、放電特性記憶部14が記憶する自己放電特性データとに基づいて、バッテリの電圧を予測する(ステップS33)。具体的には、電源切断時情報記憶部27が記憶する電源切断時情報に含まれる電源を切断したときのバッテリの電圧および温度と、放電特性記憶部14が記憶するバッテリの自己放電特性データから、時間経過によるバッテリ電圧の減少分を算出し、電源切断時情報に含まれる電源を切断したときのバッテリの電圧から算出した減少分を差し引いて現在のバッテリの電圧を予測する。
【0075】
バッテリ残量算出部25は、バッテリ電圧予測部29が予測したバッテリの電圧と、放電特性決定部15が決定した放電特性データとに基づいて、バッテリの残量を算出する(ステップS34)。バッテリの残量が所定の値以上である場合、(ステップS35;YES)、OSの通常起動処理を行う。所定の値とは、OSを通常起動するのに必要な最低限のバッテリ残量を示す値である。ステップS34で算出したバッテリの残量が所定の値以下である場合、(ステップS35;NO)、起動制御部30は、低消費電量でOS起動できるか否かを判定する(ステップS36)。低消費電量でOS起動可能である場合(ステップS36;YES)、低消費電量でOSの起動処理を行う(ステップS37)。OS起動時の消費電量を低く抑える方法としては、ポータブル機器の特にCPUの動作クロックを低く抑える方法などがある。
【0076】
OS起動後、電源を切断すると(ステップS40;YES)、電源切断時情報記憶部27は、電源を切断したときのバッテリの放電電流、温度および電圧と、電源を切断した日時とを対応付けて電源切断時情報として記憶し(ステップS41)、処理を終了する。
【0077】
一方、ステップS37で、低消費電量でOS起動できない場合(ステップS36;YES)、バッテリ残量が不足していることを示すエラー表示、または、バッテリの残量を表示部26に表示させて(ステップS38)、処理を終了する。ステップS38では、OSが起動していないことや、液晶画面などに表示するのは消費電力が高いことから、表示部26に表示させるのが難しい場合がある。そこで、OSを起動できない原因をユーザに通知するために、LED等の簡単な表示装置を別に備え、これを用いてもよい。
【0078】
以上説明したように、実施の形態2のバッテリ残量表示装置1によれば、ポータブル機器のOS起動時に、電源を切断したときのバッテリ温度と、再起動時のバッテリ温度との差を考慮したOS起動処理またはバッテリ残量表示を行うことができる。
【0079】
上述の実施の形態では、バッテリ残量表示装置1をポータブル機器に搭載する例を説明したが、本発明は、これに限らず、様々なバッテリの残量表示に適用可能である。また、本発明は、バッテリで駆動する電子機器に一般的に備わっているハードウェアの範囲内で実現できるので、小型化が必要な電子機器にも適用可能である。
【0080】
また、実施の形態1および実施の形態2は、便宜上、別々の実施の形態として説明したが、これらの実施の形態を組み合わせてもよい。すなわち、バッテリ残量表示装置1は、ポータブル機器のOS起動前に、実施の形態2の処理を実行し、OS起動後に実施の形態1の処理を実行してもよい。
【0081】
図8は、本発明の実施の形態に係るバッテリ残量表示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。バッテリ残量表示装置1は、図8に示すように、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、タイマ34、表示部35、センサ36および送受信部37を備える。主記憶部32、外部記憶部33、タイマ34、表示部35、センサ36および送受信部37はいずれも内部バス40を介して制御部31に接続されている。
【0082】
制御部31はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム39に従って、バッテリ残量表示装置1の放電特性決定部15、最低気温算出部21、補正データ生成部23、バッテリ残量算出部25、経過時間算出部28、バッテリ電圧予測部29および起動制御部30の各処理を実行する。
【0083】
主記憶部32はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム39をロードし、制御部31の作業領域として用いられる。
【0084】
外部記憶部33は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、バッテリ残量表示装置1の処理を制御部31に行わせるためのプログラムをあらかじめ記憶し、また、制御部31の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部31に供給し、制御部31から供給されたデータを記憶する。放電特性記憶部14、位置情報記憶部17、気温情報記憶部20、最低気温記憶部22および電源切断時情報記憶部27の各々は、主記憶部32または外部記憶部33のいずれかによって構成される。
【0085】
タイマ34は、リアルタイムクロックで構成され、現在日時を示す時刻情報を生成し、制御部31に供給する。タイマ34は、計時部18として機能する。
【0086】
表示部35は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、エラー表示やバッテリ残量表示の画面を表示する。表示部35は、タッチパネルを備え、ユーザがデータを入力する入力部として機能してもよい。表示部35は、表示部26として機能する。
【0087】
センサ36は、バッテリ残量表示装置1を搭載するポータブル機器のバッテリの温度、電圧および放電電流を計測し、計測結果を示すデータを制御部31に送る。センサ36は、放電電流計測部12、バッテリ温度計測部13およびバッテリ電圧計測部24として機能する。
【0088】
送受信部37は、通信ネットワークに接続する網終端装置または無線通信装置、およびそれらと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。送受信部37および制御部31は、位置時刻取得部16および気温情報取得部19として機能する。送受信部37は、受信した位置情報、現在日時情報および気温情報を制御部31に送る。
【0089】
図1および図6に示す放電電流計測部12、バッテリ温度計測部13、放電特性決定部15、位置時刻取得部16、計時部18、気温情報取得部19、最低気温算出部21、補正データ生成部23、バッテリ電圧計測部24、バッテリ残量算出部25、表示部26、経過時間算出部28、バッテリ電圧予測部29および起動制御部30の処理は、制御プログラム39が、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、タイマ34、表示部35、センサ36および送受信部37等を資源として用いて処理することによって実行する。
【0090】
その他、前記のハードウェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0091】
制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、タイマ34、表示部35、送受信部37、内部バス40等から構成されるバッテリ残量表示処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行するセンサノードを構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することでセンサノードを構成してもよい。
【0092】
また、センサノードの機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合等には、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0093】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、通信ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 バッテリ残量表示装置
12 放電電流計測部(電圧電流計測部の一部を構成)
13 バッテリ温度計測部
14 放電特性記憶部(自己放電データ記憶部)
15 放電特性決定部
16 位置時刻取得部(位置情報取得部)
17 位置情報記憶部
18 計時部
19 気温情報取得部(気温検出部)
20 気温情報記憶部
21 最低気温算出部
22 最低気温記憶部
23 補正データ生成部
24 バッテリ電圧計測部(電圧電流計測部の一部を構成)
25 バッテリ残量算出部(第1残量算出部、第2残量算出部)
26 表示部
27 電源切断時情報記憶部
28 経過時間算出部
29 バッテリ電圧予測部
30 起動制御部
31 制御部
32 主記憶部
33 外部記憶部
34 タイマ
35 表示部
36 センサ
37 送受信部
39 制御プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に電力を供給するバッテリの残量を表示するバッテリ残量表示装置であって、
前記バッテリの電圧と容量と温度との関係を示す放電特性データを記憶する放電特性記憶部と、
現在地を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて、現在から将来のある時点までの所定の期間を含む期間の現在地の気温の予想値を示す気温情報を取得する気温情報取得部と、
前記気温情報に基づいて、現在地の前記所定の期間の最低気温を算出する最低気温算出部と、
前記バッテリの温度を計測するバッテリ温度計測部と、
前記バッテリの温度に基づいて、前記放電特性記憶部が記憶する前記放電特性データから、適合する前記放電特性データを決定する放電特性決定部と、
前記放電特性記憶部が記憶する前記放電特性データと前記バッテリの温度と前記最低温度とに基づいて、前記放電特性決定部が決定した前記放電特性データを補正し、補正放電特性データを生成する補正データ生成部と、
前記バッテリの電圧または放電電流を計測する電圧電流計測部と、
前記バッテリの電圧または放電電流と前記補正放電特性データとに基づいて、補正した前記バッテリの残量を算出する第1残量算出部と、
補正した前記バッテリの残量を表示する表示部と、
を備えることを特徴とするバッテリ残量表示装置。
【請求項2】
前記バッテリの自己放電量と電圧と温度との関係を示す自己放電特性データを記憶する自己放電データ記憶部と、
前記電子機器の電源を切断したときの日時と前記バッテリの温度と電圧とを含む電源切断時情報を記憶する電源切断時情報記憶部と、
前記電子機器の電源を投入したときに、前記電源切断時情報に含まれる電源を切断したときの日時から経過時間を算出する経過時間算出部と、
前記経過時間と、前記電源切断時情報に含まれる電源を切断したときの前記バッテリの電圧および温度と、前記バッテリ温度計測部が計測する前記バッテリの温度と、前記自己放電特性データとに基づいて、前記バッテリの電圧を予測するバッテリ電圧予測部と、
前記バッテリ電圧予測部が予測した前記バッテリの電圧と、前記放電特性決定部が決定した前記放電特性データとに基づいて、前記バッテリの残量を算出する第2残量算出部と、
前記第2残量算出部が算出した前記バッテリの残量に基づいて、前記電子機器のOSの起動を制御する制御部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のバッテリ残量表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2残量算出部が算出した前記バッテリの残量に基づいて、前記OSを起動可能か否かを判定し、前記OSを起動可能である場合には、前記バッテリの残量に適した方法で前記OSを起動し、前記OSを起動不可能である場合には、エラーまたは前記バッテリの残量を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載のバッテリ残量表示装置。
【請求項4】
前記第1残量算出部は、さらに、前記バッテリの電圧または放電電流と前記放電特性決定部が決定した前記放電特性データとに基づいて、補正していない前記バッテリの残量を算出し、
前記表示部は、補正した前記バッテリの残量と、補正していない前記バッテリの残量とを両方表示することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のバッテリ残量表示装置。
【請求項5】
現在地の気温を検出する気温検出部を備え、
前記気温情報取得部は、前記気温検出部が検出した現在地の気温に基づいて、前記気温情報を補正することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のバッテリ残量表示装置。
【請求項6】
前記電圧電流計測部は、少なくとも前記バッテリの放電電流を計測し、
前記放電特性決定部は、前記バッテリの温度および放電電流から適合する前記放電特性データを決定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のバッテリ残量表示装置。
【請求項7】
電子機器に電力を供給するバッテリの残量を表示するバッテリ残量表示装置が実行するバッテリ残量表示方法であって、
現在地を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報に基づいて、現在から将来のある時点までの所定の期間を含む期間の現在地の気温の予想値を示す気温情報を取得する気温情報取得ステップと、
前記気温情報に基づいて、現在地の前記所定の期間の最低気温を算出する最低気温算出ステップと、
前記バッテリの温度を計測するバッテリ温度計測ステップと、
前記バッテリの温度に基づいて、放電特性記憶部が記憶する前記バッテリの電圧と容量と温度との関係を示す放電特性データから、適合する前記放電特性データを決定する放電特性決定ステップと、
前記放電特性記憶部が記憶する前記放電特性データと前記バッテリの温度と前記最低温度とに基づいて、前記放電特性決定ステップで決定した前記放電特性データを補正し、補正放電特性データを生成する補正データ生成ステップと、
前記バッテリの電圧または放電電流を計測する電圧電流計測ステップと、
前記バッテリの電圧または放電電流と前記補正放電特性データとに基づいて、補正した前記バッテリの残量を算出する第1残量算出ステップと、
補正した前記バッテリの残量を表示する表示ステップと、
を備えることを特徴とするバッテリ残量表示方法。
【請求項8】
電子機器に電力を供給するバッテリの残量を表示するバッテリ残量表示装置が備えるコンピュータに、
前記バッテリの電圧と容量と温度との関係を示す放電特性データを記憶する放電特性記憶ステップ、
現在地を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップ、
前記位置情報に基づいて、現在から将来のある時点までの所定の期間を含む期間の現在地の気温の予想値を示す気温情報を取得する気温情報取得ステップ、
前記気温情報に基づいて、現在地の前記所定の期間の最低気温を算出する最低気温算出ステップ、
前記バッテリの温度を計測するバッテリ温度計測ステップ、
前記バッテリの温度に基づいて、前記放電特性記憶ステップにおいて記憶された前記放電特性データから、適合する前記放電特性データを決定する放電特性決定ステップ、
前記放電特性記憶ステップにおいて記憶された前記放電特性データと前記バッテリの温度と前記最低温度とに基づいて、前記放電特性決定ステップにおいて決定された前記放電特性データを補正し、補正放電特性データを生成する補正データ生成ステップ、
前記バッテリの電圧または放電電流を計測する電圧電流計測ステップ、
前記バッテリの電圧または放電電流と前記補正放電特性データとに基づいて、補正した前記バッテリの残量を算出する第1残量算出ステップ、および、
補正した前記バッテリの残量を表示する表示ステップ、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−68431(P2013−68431A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205279(P2011−205279)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】