説明

プリント配線板および電子機器

【課題】歩留まりを向上させる。
【解決手段】本発明における電子機器は、第1面と、この第1面とは反対側に位置した第
2面とを有し、配線パターン2011が設けられた製品部301と、前記製品部301か
ら外れた位置に設けられた端部302と、前記製品部301と前記端部302を連結する
連結部303と、を有した基板本体201と、前記基板本体201の前記第1面の前記連
結部303に沿って塗布された塗料301aと、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の電子機器に用いられる、プリント配線板(PWB)と実装
部品により構成されるプリント回路板(PCB)は、それぞれの製品によって様々な形状
をしているが、実装ラインに投入する前は、PWB製品となる単面と端材(捨て材)とを
組み合わせた形状を有する。これらの設計では単面と端材の間の要所をミシン目で接続し
、打ち抜き加工で端材と製品部である単面を分離する。
【0003】
例えば特許文献1では、外形加工の際の金属プレス衝撃を塗膜に与えることなく加工す
る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−98795
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、加工時に加わる製品部へのストレスについて考慮がなさ
れていない。
特許文献1では、金型に載置される基板の片面が平坦に示されているが、高密度配線化
された製品部では両面に配線のパターンが設けられているため、該パターンによる凹凸で
金型と基板本体との間に空隙が生じる場合がある。例えば、これらの空隙が単面と端材と
の境界に位置すると基板本体が金型に十分支えられず撓んでしまい、製品部の破損につな
がる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、歩留まりを向上させるプリント配線板および電子機器を提供すること
にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態は、第1面と、この第1面とは反対側に
位置した第2面とを有し、配線パターンが設けられた製品部と、前記製品部から外れた位
置に設けられた端部と、前記製品部と前記端部を連結する連結部と、を有した基板本体と
、前記基板本体の前記第1面の前記連結部に沿って塗布された塗料と、を備えたことを特
徴とする。
【0008】
また、本発明の一つの形態は、筐体と、前記筐体に収容され、配線パターンが設けられ
た第1面と、この第1面とは反対側に位置した第2面とを有した基板本体と、前記基板本
体の前記第1面に塗布されたレジストと、前記基板本体の前記第1面の縁部に沿って設け
られ、前記レジスト上に塗布された塗料と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
歩留まりを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器の外観を示す概略図である。
【図2】本実施例の打ち抜き加工前のプリント配線板に実装された電子部品を示した図である。
【図3】本実施例におけるプリント配線板の連結部周辺の一例を示した図である。
【図4】本実施例におけるプリント配線板の断面図である。
【図5】本実施例における打ち抜きカット前の工程を示した図である。
【図6】本実施例における打ち抜きカット時の工程を示した図である。
【図7】本実施例における変形例を示した図である。
【図8】第2の実施形態に係るプリント配線板を示した図である。
【図9】第3の実施形態に係るプリント配線板を示した図である。
【図10】第4の実施形態に係るプリント配線板を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(電子機器の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器の外観を示す概略図である。図1では、本
発明の実施形態の一例としてノートブック型パーソナルコンピュータを開示している。
【0012】
本実施例のパーソナルコンピュータ100(電子機器)は、表示部10Aと本体部20
Aとから構成されている。表示部10Aと本体部20Aとはヒンジ部15により開閉自在
に接続されている。本体部20Aは下部筐体20を有す。下部筐体20(筐体)は、CP
U(Central Processing Unit)やメモリ等の電子部品を実装し
たプリント配線板201(プリント配線板)であって情報を処理する本体機能部2を収容
している。
【0013】
下部筐体20は、上面20a、底面20b、左側面20e、右側面20f、前面20g
、及び背面20hを有している。この下部筐体20には、文字やコマンドを入力するため
のキーボード等の文字入力部3と、ポインティングデバイスとしてのトラックパッド4A
と、選択・決定コマンドを入力するための決定スイッチ4Bと、利用者の認証等に用いる
指紋読取部5とが収納されている。上面20aには、開口部20A〜Dが開けられている
。また、上面20aには、開口部20D周辺に窪部21が形成されている。開口部20A
からは文字入力部3が露出している。開口部20Bからはトラックパッド4Aが露出して
いる。開口部20Cからは決定スイッチ4Bが露出している。開口部20Dからは指紋読
取部5が露出している。
【0014】
表示部10Aは上部筐体10を有する。上部筐体10には文字や画像等を表示する液晶
表示パネル等からなる画像表示部1が収容されている。上部筐体10は前面20iを有す
る。前面20iには開口部20Eが開けられている。開口部20Eからは画像表示部1が
露出している。
【0015】
パーソナルコンピュータ100に収容されたプリント配線板201は、筐体内の実装部
品や、それぞれの製品サイズによって様々な形状をしているが、実装ラインに投入する前
は、作業性や製造製を向上させるためにプリント配線板201となる製品部と端材とを組
み合わせた板形状を有する。そして、実装ラインに投入された後、製品部と端材とは、打
分離される。
【0016】
以下、本実施例における実装ラインに投入する前のプリント配線板201の構成、及び
実装ラインでの分離作業の構成について図2乃至図9を参照しながら説明する。
【0017】
(プリント配線板の構成)
先ず、図2乃至図4を参照しながら、本実施例のパーソナルコンピュータ100に収容
されるプリント配線板201の構成について説明する。図2は、本実施例の打ち抜き加工
前のプリント配線板201を示した図である。図3は、本実施例におけるプリント配線板
201の連結部周辺の一例を示した図である。図4は、本実施例におけるプリント配線板
の断面図である。
【0018】
図2乃至図4に示すように、プリント配線板201には、電子部品(図示していない)
を実装する製品部301(製品部)と、この製品部301の周囲に間隙を有して設けられ
る端材302(端部)と、製品部301と端材302とを連結する連結部303(連結部
)とを有する。
【0019】
図3に示すように、本実施例のプリント配線板201には、製品部301と端材302
とに亘りシルク301a(塗料)が塗布されている。このシルク301aは、連結部30
3の周囲に塗布されている。本実施例では、シルク301aが少なくとも製品部301と
連結部303とに跨る領域に塗布されている。尚、ここでシルクとは、例えば揮発性の有
機溶剤を用いる油性インク、水を溶剤とし、乾燥後耐水性となる水性インク等の塗料であ
る。
【0020】
図4に示すように、プリント配線板201には、電子部品実装領域や製品情報を示す文
字等を示したシルク301Aが設けられている。例えば連結部303の周囲に設けられる
シルク301aは、シルク301Aと同一面上に塗布されている。このような構成を有す
ることで、本実施例ではシルク印刷の工程を一括して行うことが可能となり、製造過程を
簡略化することを実現する。
【0021】
図4に示すように、本実施例のプリント配線板201には、両面に配線パターン201
1とレジスト2012とが設けられており、プリント配線板201の表面には複数の凹凸
が存在する。配線パターン2011は、連結部303から離れた位置、即ちプリント配線
板201の縁部から離れた位置に設けられている。
【0022】
本実施例のプリント配線板201では、製品部301と端材302とが連結部303に
より連結された状態で電子部品の実装工程を完了した後、打ち抜きカット方式にて連結部
303を切断し、製品部301と端材302とを分離する。
【0023】
図3及び図4に示すように、本実施例のプリント配線板201では、打ち抜きカットを
実行する際における打ち抜きの軌道(打ち抜きカット端)に沿ってシルク301aを塗布
した領域、即ち、打ち抜きの軌道(打ち抜きカット端)に沿ってプリント配線板201の
基板本体の厚みよりも肉厚が大きい領域が設けられている。この領域の肉厚は、図4に示
すようにプリント配線板201の両面に設けられた配線パターン2011と同等の肉厚を
有する。即ち、プリント配線板201の連結部303の周囲に塗布されたシルク301a
の膜厚は、配線パターン2011の高さと同等の高さを有する。
【0024】
このように本実施例のプリント配線板201では、打ち抜きカットを実行する際におけ
る打ち抜きの軌道に沿ってシルク301aが設けられるため、該シルク301aが打ち抜
き行程時に載置される金型の載置面と当接し、打ち抜き方向への基板の撓みを抑制するこ
とができる。以下、図5及び図6を参照しながら、本実施例におけるプリント配線板20
1の打ち抜きカット工程について説明する。
【0025】
まず、本実施例におけるプリント配線板201の打ち抜きカット工程では、金型350
の載置面351にプリント配線板201を載置する。本実施例では、プリント配線板20
1のシルク301aが設けられた面と金型350の載置面351とが向かい合うように差
位置する。尚、ここでは、シルク301aがプリント配線板201の片面に塗布された例
を示したが、シルク301aはプリント配線板201の両面に設けられていても良い。こ
のようにすることで金型350の載置面351にプリント配線板201を配置する際の位
置合わせが容易となる。
【0026】
次に、図5に示すように、本実施例におけるプリント配線板201の打ち抜きカット工
程では、金型350の抑えプレート352を下し、載置面351との間にプリント配線板
201を固定する。このとき、金型350の載置面351と抑えプレート352との端部
の外側、即ち、パンチ部353が打ち抜きを行う領域から金型350の外側には、連結部
303と端材302とが位置している。
【0027】
次に、図6に示すように、本実施例におけるプリント配線板201の打ち抜きカット工
程では、金型350のパンチ部353を打ち抜き方向へ下し、製品部301と端材302
とを分離させる。プリント配線板201を打ち抜き加工用の金型350に設置した際、該
金型350の載置面351とプリント配線板201とは、少なくとも配線パターン201
1の厚み分の距離で離間されている。例えば、シルク301aが打ち抜きの軌道に沿って
塗布されていない場合、打ち抜きの軌道近傍の領域が金型350の載置面351によって
十分に支持されないため、カットを実行したときにプリント配線板201が打ち抜き方向
へ撓み、その結果プリント配線板201にクラック等の損傷が発生する可能性がある。
【0028】
本実施例では、打ち抜きの軌道近傍の領域で、金型350の載置面351とプリント配
線板201との間に支持部材として機能するシルク301aを設けることにより、プリン
ト配線板201の歩留まりを向上させ、製品信頼性を高めることができる。
【0029】
また、本実施例では、シルク301aを打ち抜きの軌道に沿って塗布したことにより、
打ち抜きカット時に正常にカットが行われたか否かを、導通パターンを設けて電気検査で
確認する必要がなく、目視により判断・確認することができる。これにより、製造コスト
の低減、及び打ち抜きカット工程における作業効率の向上が実現される。
【0030】
図4に示すように、例えば、打ち抜きカット後のプリント配線板201にシルク301
aが残っていなければ、作業者は正常にカットができていないことを判定可能である。打
ち抜きカット後のプリント配線板201にシルク301aが残っていれば、作業者は正常
にカットがなされたことを判定可能である。
【0031】
このように本実施例のプリント配線板201では、打ち抜きカット後、連結部303近
傍のシルク301aが塗布されている領域を目視することで正常にカットができたか否か
を判定可能である。
【0032】
尚、ここでは、打ち抜きの軌道に沿ってシルク301aを塗布した例を挙げて説明した
が、打ち抜きの軌道近傍の領域で支持部材として機能する材料であれば良く、例えばダミ
ー配線やダミー部品、又はゴム材料等の弾性部材を打ち抜きの軌道近傍の領域に設けても
良い。また、これらの支持部材は、配線パターン2011の厚みと同等の高さを有するこ
とが望ましいが、少なくとも打ち抜き方向への基板の撓みを抑制することができれば配線
パターン2011より低く設けられてもいても良い。例えば打ち抜きの軌道近傍の領域で
レジスト2012の膜厚を大きくした場合、該膜厚の大きさを均一にすることが難しい。
しかしながら、本実施例のプリント配線板201では、シルク301a等の材料を用いる
ことでレジスト2012の膜厚均一化を図ることができる。
【0033】
尚、本実施例では、シルク301aの一部が金型350の載置面351と抑えプレート
352との端部の外側に位置される場合を示したが、これに限らず、シルク301aの全
面が金型350の載置面351と対向していても良い。
【0034】
次に、本発明の第2の変形例ついて、図7を参照して説明する。図7は、第2の変形例
に係るプリント配線板201を示した図である。第2の変形例におけるポータブルコンピ
ュータ100の他の構成は、図1に示すものとほぼ同様である。
【0035】
第2の変形例は、上記の実施形態に対してプリント配線板201のシルク301aの塗
布形状が異なる。第2の変形例は、シルク301aが、連結部303を中心に製品部30
1と端材302とに跨って塗布されている。このような塗布形状を有することで、金型3
50の載置面351に対するプリント配線板201の載置ずれの許容が大きくなる。即ち
、抑えプレート352設置時や打ち抜きカット時に、金型350内部方向へプリント配線
板201の位置ずれが生じたとしても、対応できる可能性がある。
【0036】
次に、本発明の他の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ100に
ついて、図8乃至図10を参照して説明する。図8は、第2の実施形態に係るプリント配
線板201を示した図である。図9は、第3の実施形態に係るプリント配線板201を示
した図である。図10は、第4の実施形態に係るプリント配線板201を示した図である
。なお第1の実施形態に係るポータブルコンピュータ100と同一または類似の機能を有
する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。この第2乃至第4の実施形態は、
上記第1の実施形態に対してプリント配線板201の形状が異なる。第2乃至第4の実施
形態のポータブルコンピュータ100は、図1に示すものとほぼ同様の外観を有している

【0037】
第2乃至第4の実施形態におけるポータブルコンピュータ100の筐体は、プリント配
線板201を収容する。第2乃至第4の実施形態のプリント配線板201では、打ち抜き
カット前のルータ加工がなされていない。第2の本実施例のプリント配線板201では、
打ち抜き軌道上にドリルによる孔部が設けられている。第3及び第4の本実施例のプリン
ト配線板201では、打ち抜き軌道上に孔部等の加工がなされていない。また、第4の本
実施例のプリント配線板201では、シルク301aを製品部離散的に塗布している。こ
のような構成により、第1の実施形態のプリント配線板201と同様の効果を得ることが
できるとともに、よりシルク301aが強調されて目視確認が容易となる。
【0038】
以上、第1ないし第4の実施形態、及びこれらの実施例における変形例に係るポータブ
ルコンピュータ100について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
第1ないし第3の実施形態及びこれらの実施例における複数の変形例に係る構成要素は、
適宜を組み合わせて実施することができる。
【0039】
本発明が適用可能な電子機器はポータブルコンピュータに限らず、例えばハードディス
クドライブ、デジタルカメラやビデオカメラ、パーソナルデジタルアシスタントなど種々
の電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…画像表示部
2…本体機能部
3…文字入力部
4A…トラックパッド
4B…決定スイッチ
5…指紋読取部
10A…表示部
10…上部筐体
20A…本体部
20…下部筐体(筐体)
20a…上面
20b…底面
20e…左側面
20f…右側面
20g…前面
20h…背面
20i…前面
201…プリント配線板
301…製品部
302…端材
303…連結部
301a…シルク
350…金型
351…載置面
352…抑えプレート
353…パンチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、この第1面とは反対側に位置した第2面とを有し、配線パターンが設けられ
た製品部と、前記製品部から外れた位置に設けられた端部と、前記製品部と前記端部を連
結する連結部と、を有した基板本体と、
前記基板本体の前記第1面の前記連結部に沿って塗布された塗料と、
を備えたことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記配線パターンは、前記連結部から離れた位置に設けられたことを特徴とする請求項
1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記塗料は、前記配線パターンと同等の高さを有した膜厚で前記連結部に塗布されたこ
とを特徴とする請求項2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記塗料は、シルク印刷により設けられたことを特徴とする請求項3に記載のプリント
配線板。
【請求項5】
前記塗料は、前記基板本体の前記第2面の前記連結部に設けられたことを特徴とする請
求項4に記載のプリント配線板。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体に収容され、配線パターンが設けられた第1面と、この第1面とは反対側に位
置した第2面とを有した基板本体と、
前記基板本体の前記第1面に塗布されたレジストと、
前記基板本体の前記第1面の縁部に沿って設けられ、前記レジスト上に塗布された塗料
と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記配線パターンは、前記縁部から離れた位置に設けられたことを特徴とする請求項6
に記載の電子機器。
【請求項8】
前記塗料は、前記配線パターンと同等の高さを有した膜厚でレジスト上に塗布されたこ
とを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記塗料は、シルク印刷により設けられたことを特徴とする請求項8に記載の電子機器

【請求項10】
前記塗料は、前記基板本体の前記第2面のレジスト上に設けられたことを特徴とする請
求項9に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−216717(P2011−216717A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84338(P2010−84338)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】