説明

プレキャストコンクリート柱梁の接合構造、この接合構造を含んだ柱梁架構構造、接合方法、およびプレキャストコンクリート梁

【課題】現場でのコンクリート打設を不必要にすることが可能なPC柱梁の接合構造等を提供する。
【解決手段】
梁主筋1aを挿通させるための水平方向の貫通孔3bが形成された直方体状のPC仕口パネル部3を有し、該PC仕口パネル部3が下階のPC柱4上に位置するように配置される第1PC部材3と、PC梁部を有し、前記PC仕口パネル部3の両側方に配置される第2及び第3PC部材11、13と、により構成される柱梁の接合構造である。前記第2PC部材13のPC梁部の端部からは梁主筋1aが突出しているとともに、前記第3PC部材11のPC梁部の端部には梁主筋連結用の継手12が埋入されており、前記第2PC部材13から突出する前記梁主筋1aは、前記貫通孔3bの一端から挿入され、その先端が、該貫通孔3bの他端から突出して前記第3PC部材11の前記継手12に定着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート(PC)柱梁の接合構造、この接合構造を含んだ柱梁架構構造、接合方法、およびプレキャストコンクリート梁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりコンクリート柱梁の接合構造として、図18に示す構成が一般的である。同図に示す従来の柱梁の接合構造では、PC梁200の端部から梁主筋202(同図の例では下端筋)を突出させる。そして、同じ直線上で隣り合う2本のPC梁200を、それらの端部が柱コンクリート204上で相対向するように設置し、床コンクリートと共に柱梁仕口部にコンクリートを打設することにより各端部から突出する梁主筋202を連結する。なお、図18では、下端筋のみをPC梁200の端部から突出させ、上端筋はPC梁200から露出させた構成を示しているが、上下両方の梁端筋をPC梁200に埋入して端面から突出させる場合もある。また、図18では下端筋を折り曲げることで現場打設コンクリートとの定着を確保するようにしているが、これに限らず、梁主筋同士を機械式継手で連結してもよい。
【0003】
また、特許文献1には、柱梁の接合部をPC部材で構成した構造が開示されている。この特許文献1に開示される構造では、図19に示すようなPC部材300を介して柱梁を接合する。このPC部材300は、直方体状の本体302と、この本体302を鉛直方向および水平方向に貫通する複数の貫通孔304a,304bとから構成される。かかるPC部材300の水平方向の貫通孔304bに梁筋を挿通させてグラウトを注入することで、PC部材300に梁筋を一体化させる。このPC部材300を柱梁仕口部まで揚重し、柱頭部から突出した柱筋を鉛直方向の貫通孔304aに挿通させてグラウトを注入することで柱梁を接合する。
【特許文献1】特開平2−101237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、図18に示す従来の構成では、現場にて柱梁仕口部にコンクリートを打設することが必要である。また、特許文献1に開示される構成においても、梁のコンクリートは現場で打設することになる。しかし、現場でコンクリートを打設すると、型枠の設置・解体作業が必要となるなど工程数が増大し、コスト増や工期の長期化を招いてしまう。
このため、現場でのコンクリート打設の施工箇所を削減可能な柱梁接合構造も開発されており、これについては本願出願人が既に特許出願済みである(特願2003―75125号)。
【0005】
ここで、図1及び図2を参照しながら、この特許出願済みの柱梁接合構造10について説明する。図1は、この接合構造10を示す斜視図であり、図2は、図1の接合構造10の鉛直断面図である。なお、説明の便宜上、これらの図に示すように、互いに直交する3方向をそれぞれ、上下方向、左右方向、および前後方向と定義する。
【0006】
図示のように、この柱梁接合構造10は、PC梁1とPC柱4とを、PC柱4上に配置される仕口パネル3を介して接合するものである。なお、図1および図2では、PC梁1、PC柱4、仕口パネル3、および中継筋4aが分解された状態を示しており、各部材を図中矢印で示す向きに移動し設置することで柱梁接合構造10が完成する。
【0007】
PC梁1は柱梁架構のスパン長に亘る長さを有しており、その両端部が、仕口パネル3を介してPC柱4に接合される。ただし、柱梁架構のスパン長が長い場合には、PC梁を複数(例えば2〜3個)に分割し、それらを接合してPC梁1として用いてもよい。仕口パネル3は、直方体状に構成されたPC部材であり、鉛直方向に貫通する複数の柱主筋孔3aと、水平方向に貫通する複数の梁主筋孔3bとを含んでいる。
【0008】
PC梁1の梁主筋1aは、梁コンクリートに埋入されてその端部が梁端面から突出している。そして、仕口パネル3の両側に配置されるPC梁1の梁主筋1aが、仕口パネル3の梁主筋孔3bに両側から挿入され、梁主筋孔3b内に埋入された継手によって相互に連結される。なお、梁主筋孔3b内の継手の構造については後述する。
【0009】
仕口パネル3の柱主筋孔3aには上方から中継筋4aが挿入される。中継筋4aは、下階のPC柱4の柱主筋4bと、上階のPC柱4の柱主筋4bとを中継するための鉄筋である。PC柱4の上端部には柱主筋連結用継手4cが埋入されており、中継筋4aの下端がこの柱主筋連結用継手4cに定着されることにより下階の柱主筋4bに連結される。また、PC柱4の下端部にも柱主筋連結用継手4cが埋入されており、この柱主筋連結用継手4cに中継筋4aの上端が定着される。すなわち、図1および図2において、不図示の上階のPC柱4を施工する場合には、その下端部の柱主筋連結用継手4cに中継筋4aの上端が定着されることになる。このように、当該柱梁接合構造10では、PC柱4の上下端部に夫々柱主筋連結用継手4c、4cを埋入し、下階のPC柱4の上端側の柱主筋連結用継手4cと、上階のPC柱4の下端側の柱主筋連結用継手4cとの間に、仕口パネル3を貫通する中継筋4aを連結する構成としている。
【0010】
これらのPC部材1、3、4を用いて柱梁接合構造10を施工する場合には、図1に示すように、先ず柱梁架構の左端部に位置するPC柱4−1上に仕口パネル3−1を設置し、その柱主筋孔3aへ上方から中継筋4aを挿入する。次に、前記仕口パネル3−1の右側方にPC梁1−1を配置し、この位置から、当該PC梁1−1を左方向に水平移動させることによって、前記仕口パネル3−1の梁主筋孔3bに、前記PC梁1−1の左端部から突出する梁主筋1aを挿入する。そうしたら、前記PC柱4−1の右隣のPC柱4−2上に設置すべき次の仕口パネル3−2を、前記PC梁1−1の右側方に配置し、この位置から、この仕口パネル3−2を左方向に水平移動させることによって、その梁主筋孔3bに、前記PC梁1−1の右端部から突出する梁主筋1aを挿入させつつ当該仕口パネル3−2を前記PC柱4−2上に設置する。そして、この仕口パネル3−2に対しても、その柱主筋孔3aに上方から中継筋4aを挿入して下階のPC柱4−2に連結すると共に、当該仕口パネル3−2の右側方に配置されたPC梁1−1を左方向に水平移動させることによって、その左端部から突出する梁主筋1aを前記仕口パネル3−2の梁主筋孔3bへ挿入しつつ設置する。そして、このような作業を繰り返して柱梁を接合していくことにより柱梁架構を構築する。
【0011】
なお、ここでは、左右方向について説明したが、このような作業が、前後方向に対しても行われるのは言うまでもなく、これら左右方向及び前後方向への構築を繰り返して、平面的な柱梁架構を構築するようになっている。
【0012】
ところで、前記構築中の適宜なタイミングで、前記梁主筋孔3b、柱主筋孔3a、及び柱主筋孔用継手4c内には、それぞれにグラウトが注入される。そして、これによって、これら梁主筋孔等3b、3a、4cに、前記梁主筋1a又は中継筋4aがそれぞれ定着されて、PC柱4及びPC梁1は前記仕口パネル3を介して一体化される。
【0013】
図3は、仕口パネル3の梁主筋孔3bに梁主筋1aが定着される様子を説明するための仕口パネル3の鉛直断面図である。同図に示すように、梁主筋孔3bには鞘管2が設けられており、梁主筋1aの先端が梁主筋孔3bの両側から鞘管2の内部に達するまで挿入される。仕口パネル3には、その外表面と梁主筋孔3bとを連通するグラウト注入孔3cが設けられており、このグラウト注入孔3cからグラウトが注入されることで、梁主筋1aが鞘管2に定着される。なお、鞘管2の外周面にはほぼ全長に亘って凹凸部を設けるようにして、鞘管2と仕口パネル3のコンクリートとの付着力を高めるようにしてもよいし、また、図3において、鞘管2が仕口パネル3の全幅に亘る長さを有する構成としてもよい。
【0014】
図4は、仕口パネル3の柱主筋孔3a及びPC柱4の柱主筋連結用継手4cに、中継筋4aが定着される様子の説明図であって、仕口パネル3及びPC柱4を鉛直断面視で示している。同図に示すように、PC柱4の上下端部にそれぞれ埋入された柱主筋連結用継手4cは、外周に凹凸部を有する短尺の鞘管である。そして、仕口パネル3の柱主筋孔3aに挿入された中継筋4aの下端は、下階のPC柱4の前記鞘管4cの内部に達するまで挿入される一方、当該中継筋4aの上端は、上階のPC柱4の前記鞘管4cの内部に挿入される。一方、仕口パネル3には、その外表面と柱主筋孔3aとを連通するグラウト柱入孔3dが設けられており、このグラウト柱入孔3dからグラウトが注入されることで、柱主筋孔3aおよび前記鞘管4cの内部にグラウトが注入されて、中継筋4aは柱主筋孔3aおよび前記鞘管4cに定着される。なお、グラウトの注入の仕方としては、ポンプを用いて前記グラウト柱入孔3dにグラウトを圧入する等が挙げられるが、これに限るものではない。
【0015】
そして、以上説明してきた特許出願済みの柱梁接合構造10によれば、グラウト注入によって柱梁を接合可能であることから、現場でのコンクリート打設の施工箇所を大幅に削減可能である。但し、現場でのコンクリート打設を不必要にできるものではなく、すなわち、柱梁架構を構成する仕口パネル3とPC梁1との接合の幾つかに対しては、従前の現場コンクリート打設で対処せざるを得ない。
【0016】
この現場コンクリート打設が必要となる様子を、図5の上面視概略図に示す柱梁架構の簡易モデルを用いて説明する。なお、この簡易モデルは、図5(a)に示すように前後方向及び左右方向で規定される水平平面内に等ピッチで格子目状に6カ所のPC柱4−1、4−2、…4−6が設けられ、かつ、図5(j)に示すように、これらPC柱4−1、4−2、…4−6の間に、左右方向及び前後方向にPC梁1−1、1−2、…1−7を渡して柱梁架構を構築する例である。
【0017】
この柱梁架構を、前述の柱梁接合構造10を用いて構築する場合には、例えば、始めに、図5(a)の左後ろに位置するPC柱4−1上に仕口パネル3−1を配置する。そして、図5(b)〜図5(e)に示すように、この仕口パネル3−1の右方に、PC梁1−1、仕口パネル3−2、PC梁1−2、仕口パネル3−3の順番でこれら部材を配置する。なお、ここで、PC梁1の長手方向は左右方向に揃えている。そして、前記順番で、各部材1−1、3−2、1−2、および3−3を、矢印で示す左方向に水平移動させるが、各水平移動の際に、各梁主筋孔3bに対して梁主筋1aを挿入してPC梁1と仕口パネル3とを接続していき、最終的に図5(f)に示す接続状態にする。なお、この接続状態にあっては、各仕口パネル3は、対応するPC柱4上に位置している。また、以下では説明を省略するが、仕口パネル3には上方から前記中継筋4aが挿入され下階のPC柱4に連結されているとともに、適宜タイミングで、前記柱主筋孔3a、梁主筋孔3b、及び柱主筋連結用継手4c内にグラウトが注入されているのは言うまでもない。
【0018】
次に、図5(g)に示すように、各PC柱4上に設置された3つの仕口パネル3−1、3−2、3−3に対して、その前方に、長手方向を前後方向に揃えてPC梁1−3、1−4、1−5を配置する。そして、各PC梁1−3、1−4、1−5を後方へ水平移動させ、当該水平移動の際に、各梁主筋孔3bに梁主筋1aを挿入して、仕口パネル3−1、3−2、3−3に各PC梁1−3、1−4、1−5を接続し、図5(h)に示す接続状態にする。
【0019】
そうしたら、図5(i)示すように、各PC梁1−3、1−4、1−5の前方に、仕口パネル3−4、3−5、3−6を配置する。そして、各仕口パネル3−4、3−5、3−6を後方へ水平移動させ、当該水平移動の際に、各梁主筋孔3bに梁主筋1aを挿入して、各PC梁1−3、1−4、1−5に仕口パネル3−4、3−5、3−6を接続し、図5(j)に示す接続状態にする。なお、この接続状態においては、各仕口パネル3−4、3−5、3−6は、対応するPC柱4−4、4−5、4−6上に位置しているのは言うまでもない。
【0020】
そして、最後に、仕口パネル3−4と仕口パネル3−5との間にPC梁1−6を設置するとともに、仕口パネル3−5と仕口パネル3−6との間に、PC梁1−7を設置すれば、当該柱梁架構は完成する。
【0021】
しかし、ここで、仕口パネル3−4と仕口パネル3−5との間に介挿すべきPC梁1−6、並びに、仕口パネル3−5と仕口パネル3−6との間に介設すべきPC梁1−7は、その両端部から梁主筋1aが突出しているが、当該PC梁1−6、1−7の水平移動は、左右の何れか一方向に対してしか行えない。このために、PC梁1−6、1−7は、その左右の両脇にある何れか一方の仕口パネル3の梁主筋孔3bに対してしか梁主筋1aを挿入できず、残るもう一方の仕口パネル3に対しては梁主筋1aを挿入することができない。
【0022】
従って、梁主筋孔3bに梁主筋1aを挿入できない方のPC梁1−6、1−7の端部と、これに対応する仕口パネル3との接合については、従前の現場コンクリート打設に頼らざるを得ず、結果として、当該柱梁接合構造10では、現場コンクリート打設の施工箇所を無くすことはできない。
【0023】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、現場でのコンクリート打設を不必要にすることが可能なPC柱梁の接合構造、この接合構造を含んだ柱梁架構構造、接合方法、およびプレキャストコンクリート梁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の目的を達成するために請求項1に示す発明は、梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC(プレキャストコンクリート)仕口パネル部を有し、該PC仕口パネル部が下階のPC柱上に位置するように配置される第1PC部材と、
PC梁部を有し、前記PC仕口パネル部の両側方に配置される第2及び第3PC部材と、により構成され、
前記第2PC部材のPC梁部の端部からは梁主筋が突出しているとともに、前記第3PC部材のPC梁部の端部には梁主筋連結用の継手が埋入されており、
前記第2PC部材から突出する前記梁主筋は、前記貫通孔の一端から挿入され、その先端が、該貫通孔の他端から突出して前記第3PC部材の前記継手に定着されていることを特徴とする。
【0025】
請求項2に示す発明は、梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC仕口パネル部を有し、該PC仕口パネル部が下階のPC柱上に位置するように配置される第1PC部材と、
PC梁部を有し、前記PC仕口パネル部の両側方に配置される第2及び第3PC部材と、により構成され、
前記第2及び第3PC部材のPC梁部の端部には梁主筋連結用の継手が埋入されており、
前記第2及び第3PC部材を接続するための中継筋が、その両端が前記貫通孔から突出するように前記貫通孔に挿入され、該貫通孔から突出する前記中継筋の両端がそれぞれ前記第2PC部材および第3PC部材の前記継手に定着されていることを特徴とする。
【0026】
請求項3に示す発明は、梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC仕口パネル部を有し、該PC仕口パネル部が下階のPC柱上に位置するように配置される第1PC部材と、
PC梁部を有し、前記PC仕口パネル部の側方に配置される第2PC部材と、により構成され、
前記第2PC部材のPC梁部の端部には梁主筋連結用の継手が埋入されており、
前記第1PC部材と前記第2PC部材とを接続するための中継筋が、前記貫通孔の一端から挿入されているとともに、該貫通孔の他端から突出する先端が前記第2PC部材の前記継手に定着され、もう一方の先端は前記第1PC部材に定着されていることを特徴とする。
【0027】
請求項4に示す発明は、請求項1〜3のうちの何れか1項記載のPC柱梁の接合構造において、前記PC仕口パネル部は、前記PC梁部の方へ延出する延出部を有していることを特徴とする。
【0028】
請求項5に示す発明は、請求項1〜4のうちの何れか1項記載のPC柱梁の接合構造において、前記下階のPC柱は、少なくとも上端部に柱主筋連結用の継手が埋入され、前記PC仕口パネル部には鉛直方向の貫通孔が形成されており、
上階のPC柱の柱主筋またはこの柱主筋に連結されるべき中継筋が、前記貫通孔に上方から挿入されて前記PC仕口パネル部を貫通し、前記下階のPC柱の前記継手に定着されていることを特徴とする。
【0029】
請求項6に示す発明は、請求項1〜5のうち何れか1項記載のPC柱梁の接合構造において、前記継手は、外周に凸部が設けられた鞘管により構成され、当該鞘管の内側に梁主筋の先端が挿入されてグラウトにより定着されていることを特徴とする。
【0030】
請求項7に示す発明は、請求項1〜6のうちの何れか1項記載のPC柱梁の接合構造を含んだ柱梁架構構造。
【0031】
請求項8に示す発明は、梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC仕口パネル部を有する第1PC部材と、
端部から梁主筋が突出しているPC梁部を有する第2PC部材と、
端部に梁主筋連結用の継手が埋入されているPC梁部を有する第3PC部材と、を用いたPC柱梁の接合方法であって、
第1PC部材及び第3PC部材を適宜移動して、下階のPC柱上に前記PC仕口パネル部が位置しつつ、該PC仕口パネル部の側方に第3PC部材のPC梁部を位置している状態にするステップと、
前記第2PC部材を前記PC仕口パネル部へ向けて略水平移動することによって、該第2PC部材から突出する梁主筋を前記貫通孔の一端から挿入しつつ、該貫通孔の他端から突出した先端を前記第3PC部材の前記継手に定着するステップと、
備えていることを特徴とする。
【0032】
請求項9に示す発明は、梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC仕口パネル部を有する第1PC部材と、
端部に梁主筋連結用の継手が埋入されているPC梁部を有する第2及び第3PC部材と、を用いたPC柱梁の接合方法であって、
前記第1PC部材及び第3PC部材を適宜移動して、下階のPC柱上に前記PC仕口パネル部が位置しつつ、該PC仕口パネル部の側方に第3PC部材のPC梁部が位置している状態にするステップと、
前記第2及び第3PC部材を接続するための中継筋を、前記貫通孔の一端から挿入することによって、前記貫通孔の他端から突出する前記中継筋の先端を前記第3PC部材の前記継手に定着するステップと、
前記第2PC部材を前記PC仕口パネル部へ向けて略水平移動することによって、前記一端から突出する前記中継筋の先端に、該第2PC部材の前記継手を定着するステップと、
を備えていることを特徴とする。
【0033】
請求項10に示す発明は、梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC仕口パネル部を有する第1PC部材と、
端部に梁主筋連結用の継手が埋入されているPC梁部を有する第2PC部材と、を用いたPC柱梁の接合方法であって、
前記第1PC部材及び第2PC部材を適宜移動して、下階のPC柱上に前記PC仕口パネル部が位置しつつ、該PC仕口パネル部の側方に第2PC部材のPC梁部が位置している状態にするステップと、
前記第1PC部材と前記第2PC部材とを接続するための中継筋を、前記貫通孔の一端から挿入することによって、該貫通孔の他端から突出する先端を前記第2PC部材の前記継手に定着するとともに、もう一方の先端を前記第1PC部材に定着するステップと、
を備えていることを特徴とするPC柱梁の接合方法。
【0034】
請求項11に示す発明は、少なくとも一端部に継手が埋入されていることを特徴とするプレキャストコンクリート梁。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、現場でのコンクリート打設を不必要にすることが可能なPC柱梁の接合構造、この接合構造を含んだ柱梁架構構造、接合方法、およびプレキャストコンクリート梁を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図6は、本発明の第1実施形態に係る柱梁接合構造の施工手順を説明するための柱梁架構の上面視概略図である。図7は、図6中のVIIa部およびVIIb部を一部上面視で示す仕口パネル3等の水平断面図である。また、図8は、図6中のVIIIa部およびVIIIb部を一部上面視で示す仕口パネル3等の水平断面図であり、図9は、図6中のIXa部及びIXb部を一部上面視で示す仕口パネル3等の水平断面図である。
【0037】
なお、図6(a)に示す構築途中の状態は、前述の図5(h)と同じであり、すなわち、この状態までは、図5にて説明した手順と同手順で構築され、その後は、次のようにして構築される。
【0038】
先ず、図6(b)に示すように、PC梁1−3、1−4の前方に、仕口パネル3−4、3−5をそれぞれ配置する。そして、各仕口パネル3−4、3−5を後方へ水平移動させ、当該水平移動の際に、各梁主筋孔3bに梁主筋1aを挿入して、各PC梁1−3、1−4に仕口パネル3−4、3−5を接続し、図6(c)に示す接続状態にする。ちなみに、PC柱4−6上に設置すべき仕口パネル3−6については、後で設置する。
【0039】
次に、図6(c)及び図6(d)に示すように、仕口パネル3−4と仕口パネル3−5との間にPC梁11を設置するが、ここで、本第1実施形態に係る柱梁接合構造にあっては、予め、図10の水平断面図に示す2種類のPC梁11、13が用意されている。すなわち、両端部に梁主筋連結用継手12が埋入されたPC梁11と、一方の端部からは梁主筋1aが突出しているとともに他方の端部には梁主筋連結用継手が埋入されたPC梁13とが用意されている。なお、梁主筋連結用継手12は、外周に凹凸部を有する短尺の鞘管であり、その内側の端部には、PC梁11、13内に埋入された梁主筋1aの一端が挿入されている。
【0040】
そして、仕口パネル3−4と仕口パネル3−5との間には、図6(c)及び図6(d)に示すように、前者のPC梁11が上方から落とし込まれて介挿され、この状態でPC梁11の左端部が、左側の仕口パネル3−4に接合される。すなわち、図6(d)のVIIa部を拡大して図7(a)に示すように、前記仕口パネル3−4の梁主筋孔3bの左端からは、例えば鍔状の定着具5bを左端に備えた中継筋5aが挿入される。そして、図7(b)に示すように、この梁主筋孔3bの右端から突出する前記中継筋5aは、前記PC梁11の前記梁主筋連結用継手12の内部に達するとともに、この時には、前記定着具5bは、仕口パネル3−4内に位置している。そして、仕口パネル3−4の外表面と梁主筋孔3bとを連通するグラウト注入孔(不図示)からグラウトが注入されることで、前記中継筋5aは梁主筋孔3bおよび前記梁主筋連結用継手12に定着され、これによって、PC梁11の左端部は、左側の仕口パネル3−4に接合される。
【0041】
一方、図6(e)および図6(f)に示すように、前記PC梁11の右端部は、仕口パネル3−5に接合されるが、この接合は、後者のPC梁13の前記仕口パネル3−5への接合と組み合わされて次のようにして行われる。すなわち、図6(e)のVIIIa部を拡大して図8(a)に示すように、前記仕口パネル3−5の右側方には、前記PC梁13が配置される。そして、この位置から当該PC梁13が左方へ水平移動される際に、その左端部から突出している梁主筋1aが、前記仕口パネル3−5の梁主筋孔3bの右端から挿入される。その結果、図8(b)に示すように梁主筋1aの先端は、前記梁主筋孔3bの左端から突出して前記PC梁11の梁主筋連結用継手12の内部に達する。そして、仕口パネル3−5の外表面と梁主筋孔3bとを連通するグラウト注入孔(不図示)からグラウトが注入されることで、前記梁主筋1aが梁主筋孔3b及び前記梁主筋連結用継手12に定着され、これによって、PC梁11の右端部は仕口パネル3−5に接合されると同時に、PC梁13の左端部も前記仕口パネル3−5に接合される。
【0042】
最後に、図6(f)〜図6(h)に示すように、未設置であった右前のPC柱4−6上に仕口パネル3−6を設置するが、この時には、図6(f)に示すように前記PC梁13の右端部からは梁主筋1aが突出していないので、前記仕口パネル3−6は、物理的に干渉することなく前方へ水平移動させることができて、もって、仕口パネル3−6の梁主筋孔3bの後端からPC梁1−5の梁主筋1aが挿入されてPC梁1−5に仕口パネル3−6が接合される。
【0043】
そして、残るPC梁13の右端部と仕口パネル3−6との接合は、前述した前記PC梁11の左端部の接合と同じようにしてなされる。すなわち、図6(g)のIXa部を拡大して図9(a)に示すように、仕口パネル3−6の梁主筋孔3bの右端から中継筋5aが挿入される。そして、図9(b)に示すように、この梁主筋孔3bの左端から突出する中継筋5aは前記PC梁13の前記継手12の内部に達するとともに、この時には、中継筋5aの右端の定着具5bは、仕口パネル3−6内に位置している。そして、仕口パネル3−6の外表面と梁主筋孔3bとを連通するグラウト注入孔(不図示)からグラウトが注入されることで、前記中継筋5aは梁主筋孔3bおよび前記梁主筋連結用継手12に定着され、これによって、PC梁13の右端部は、右側の仕口パネル3−5に接合される。
【0044】
そして、この接合によって当該柱梁架構は完成し、もって、本第1実施形態に係る柱梁接合構造を適用すれば、現場でのコンクリート打設を全く行わずに柱梁架構を完成させることが可能となる。
【0045】
ちなみに、この第1実施形態においては、請求項3に係るPC柱梁の接合構造は、図7に示した仕口パネル3−4とPC梁11との接合に適用されている。つまり、前記仕口パネル3−4およびPC梁11が、それぞれに、請求項3記載の第1PC部材および第2PC部材に相当している。
【0046】
また、請求項1に係るPC柱梁の接合構造は、図8に示した仕口パネル3−5と、PC梁11およびPC梁13との接合に適用されている。つまり、前記仕口パネル3−5、PC梁13、およびPC梁11が、それぞれに、請求項1記載の第1PC部材、第2PC部材、および第3PC部材に相当している。
【0047】
図11は、本発明の第2実施形態に係る柱梁接合構造の施工手順を説明するための柱梁架構の上面視概略図である。また、図12は、図11中のXIIa部およびXIIb部を一部上面視で示す水平断面図である。
【0048】
なお、第1実施形態との相違点は、図8を用いて説明した、仕口パネル3−5を介してPC梁13とPC梁11とを接合する接合構造に在って、その他の接合構造は、第1実施形態と同じである。従って、図11は、前述の図6(d)の構築途中の状態から示しており、この状態までは前述と同手順で構築され、その後は次のようにして構築される。
【0049】
先ず、第2実施形態に係る柱梁接合構造においては、前述のPC梁13の代わりに、両端部に梁主筋連結用継手12が埋入されたPC梁11(図10(a)を参照)が予め用意されている。そして、当該柱梁接合構造は、既に仕口パネル3−5の左脇に配置されたPC梁11の右端部と、前記PC梁13の代わりに右脇に配置されたPC梁11の左端部との両者を、それぞれ前記仕口パネル3−5に接合する。
【0050】
すなわち、図11(a)の状態においては、仕口パネル3−5の左脇には既にPC梁11が配置されているが、その右端部は未だ仕口パネル3−5に接合されていない。そして、図11(b)のXIIa部を拡大して図12(a)に示すように、仕口パネル3−5の梁主筋孔3bの右端から中継筋5cが挿入され、これによって、図12(b)に示すように、この梁主筋孔3bの左端から突出する前記中継筋5cの左端が前記PC梁11の前記梁主筋連結用継手12の内部に達するとともに、前記中継筋5cの右端は、前記梁主筋孔3bの右端から突出した状態になる。次に、図12(a)に示すように、仕口パネル3−5の右側方に、もう一つのPC梁11が配置され、この位置から前記PC梁11が左方へ水平移動される際に、その左端部の前記梁主筋連結用継手12に前記中継筋5cの右端が挿入されてその内部に達する。そうしたら、仕口パネル3−5の外表面と梁主筋孔3bとを連通するグラウト注入孔(不図示)からグラウトが注入されることで、前記中継筋5cが梁主筋孔3b及び前記梁主筋連結用継手12に定着され、これによって、仕口パネル3−5の左脇に位置するPC梁11の右端部は、仕口パネル3−5に接合されると同時に、右脇に位置するPC梁11の左端部も前記仕口パネル3−5に接合される。
【0051】
なお、この第2実施形態では、請求項2に係るPC柱梁の接合構造が適用されており、すなわち、前記仕口パネル3−5、および二つのPC梁11、11が、それぞれに、請求項1記載の第1PC部材、第2PC部材、および第3PC部材に相当している。
【0052】
図13は、本発明の第3実施形態に係る柱梁接合構造の水平断面図である。同図の上段に示すように、第1実施形態に係る仕口パネル3は、その平面寸法がPC柱4の平面寸法とほぼ同じであったが、同図の中段および下段に示すように、第3実施形態に係る仕口パネル3’、3’’は、その側端面が、前記PC梁4の方へ延出している点で相違する。
【0053】
すなわち、前記仕口パネル3’、3’’の四つの側端面のうち、梁主筋孔3bが設けられる側端面の一方又は両方には、PC梁11とほぼ同じ鉛直断面形状の梁状部3fが一体に延出形成されている。そして、この梁状部3fに、前記PC梁11の端部が突き合わされて接合される。
【0054】
なお、このように梁状部3fを予め一体に設けている理由は、仕口パネル3’、3’’とPC梁11との接合部jをPC柱4から遠ざけるためである。すなわち、一般に、柱に接合された梁においては、前記柱に近い部分ほど大きな曲げ応力が作用する一方、前記接合部jは通常、他の部分に比べて強度的に弱い。よって、前記接合部jを柱の近傍から遠ざけておけば、柱梁接合構造の強度を実質的に高めることができるためである。ちなみに、遠ざける目安としては、塑性ヒンジが形成される領域に前記接合部jを入らないようにする等が挙げられる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
【0056】
(a)前記実施形態では、仕口パネル3のコンクリートに、単なる貫通孔を形成して梁主筋孔3bとしたが、図14の仕口パネル3の水平断面図に示すように、仕口パネル3のコンクリートに、外周に凹凸部を有する鞘管3eを埋設して、これを梁主筋孔3bとしても良い。
【0057】
(b)前記実施形態では、梁主筋連結用継手として鞘管12を用いたが、前記継手は何等これに限るものではなく、例えば重ね継手であっても良い。
【0058】
(c)前記実施形態では、第1PC部材として、仕口パネル3のみからなるPC部材を説明したが、梁主筋孔3bが設けられた仕口パネル3を備えていれば何等これに限るものではない。例えば、図15の上面図(一部水平断面視)に示すように、仕口パネル3の四つの側端面のうちの、梁主筋孔3bが設けられない二つの側端面の一方からPC梁1又はPC梁11が一体に延出形成されていてもよく、更には、前記二つの側端面の両方からPC梁1又はPC梁11が一体に延出形成されていてもよい。
【0059】
(d)前記第1実施形態では、請求項1に記載の第2PC部材として、PC梁13のみからなるPC部材を説明したが、PC梁の端部から梁主筋1aが突出していれば何等これに限るものではない。例えば、図16の上面図(一部水平断面視)に示すように、梁主筋1aが突出しているPC梁13の端部の逆側の端部に、仕口パネル3を一体に設けても良い。
【0060】
(e)前記実施形態では、請求項1に記載の第3PC部材、請求項2に記載の第2及び第3PC部材、請求項3に記載の第2PC部材として、PC梁11のみからなるPC部材を説明したが、PC梁の端部に梁連結用継手12が埋入されていれば何等これに限るものではない。例えば、図17の上面図(一部水平断面視)に示すように、梁連結用継手12が埋入されているPC梁11の端部の逆側の端部に、仕口パネル3を一体に設けても良い。
【0061】
(f)前記実施形態に係る柱梁接合構造を構成するPC柱4として、その下端部に柱主筋連結用継手4cが埋入されたPC柱3を例示し、この継手に中継筋を定着させる構成について説明したが、何等これに限るものではない。例えば、前記継手4cを設けずに、PC柱4の下端部からその柱主筋4dを突出させて、前記中継筋4aの代わりとしても良い。
【0062】
(g)前記実施形態では、柱梁架構に含まれる全ての柱梁仕口部が、本発明に係る柱梁接合構造と、前記特許出願済みの発明に係る柱梁接合構造10とによって接合されているものとしたが、一部の柱梁仕口部は、例えば図18に示す従来構造のように現場打設コンクリートにより接合されていてもよい。要するに、柱梁架構の少なくとも一部の柱梁仕口部が本発明に係る柱梁接合構造により構成されていれば本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】特許出願済みの発明に係る柱梁接合構造10を示す斜視図である。
【図2】同じく鉛直断面図である。
【図3】仕口パネル3の梁主筋孔3bに梁主筋1aが定着される様子を説明するための仕口パネル3の鉛直断面図である。
【図4】仕口パネル3の柱主筋孔3a及びPC柱4の柱主筋連結用継手4cに、中継筋4aが定着される様子の説明図である。
【図5】特許出願済みの発明に係る柱梁接合構造の問題点を説明するための柱梁架構の上面視概略図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る柱梁接合構造の施工手順を説明するための柱梁架構の上面視概略図である。
【図7】図6中のVIIa部およびVIIb部を一部上面視で示す仕口パネル3等の水平断面図である。
【図8】図6中のVIIIa部およびVIIIb部を一部上面視で示す仕口パネル3等の水平断面図である。
【図9】図6中のIXa部及びIXb部を一部上面視で示す仕口パネル3等の水平断面図である。
【図10】第1実施形態に係る柱梁接合構造に使用されるPC梁11、13の水平断面図である。
【図11】第2実施形態に係る柱梁接合構造の施工手順を説明するための柱梁架構の上面視概略図である。
【図12】図11中のXIIa部およびXIIb部を一部上面視で示す水平断面図である。
【図13】第3実施形態に係る柱梁接合構造の水平断面図である。
【図14】梁主筋孔3bを形成すべく鞘管3eが埋入された仕口パネル3の水平断面図である。
【図15】本実施形態に係るPC部材の変形例の上面図である。
【図16】本実施形態に係るPC部材の変形例の上面図である。
【図17】本実施形態に係るPC部材の変形例の上面図である。
【図18】従来のPC柱梁接合構造を示す斜視図である。
【図19】特許文献1に開示された柱梁接合部のPC部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1a 梁主筋
3 仕口パネル
4 PC柱
3a 柱主筋孔
3b 梁主筋孔
11,13 PC梁
12 梁主筋連結用継手、鞘管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC(プレキャストコンクリート)仕口パネル部を有し、該PC仕口パネル部が下階のPC柱上に位置するように配置される第1PC部材と、
PC梁部を有し、前記PC仕口パネル部の両側方に配置される第2及び第3PC部材と、により構成され、
前記第2PC部材のPC梁部の端部からは梁主筋が突出しているとともに、前記第3PC部材のPC梁部の端部には梁主筋連結用の継手が埋入されており、
前記第2PC部材から突出する前記梁主筋は、前記貫通孔の一端から挿入され、その先端が、該貫通孔の他端から突出して前記第3PC部材の前記継手に定着されていることを特徴とするPC柱梁の接合構造。
【請求項2】
梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC仕口パネル部を有し、該PC仕口パネル部が下階のPC柱上に位置するように配置される第1PC部材と、
PC梁部を有し、前記PC仕口パネル部の両側方に配置される第2及び第3PC部材と、により構成され、
前記第2及び第3PC部材のPC梁部の端部には梁主筋連結用の継手が埋入されており、
前記第2及び第3PC部材を接続するための中継筋が、その両端が前記貫通孔から突出するように前記貫通孔に挿入され、該貫通孔から突出する前記中継筋の両端がそれぞれ前記第2PC部材および第3PC部材の前記継手に定着されていることを特徴とするPC柱梁の接合構造。
【請求項3】
梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC仕口パネル部を有し、該PC仕口パネル部が下階のPC柱上に位置するように配置される第1PC部材と、
PC梁部を有し、前記PC仕口パネル部の側方に配置される第2PC部材と、により構成され、
前記第2PC部材のPC梁部の端部には梁主筋連結用の継手が埋入されており、
前記第1PC部材と前記第2PC部材とを接続するための中継筋が、前記貫通孔の一端から挿入されているとともに、該貫通孔の他端から突出する先端が前記第2PC部材の前記継手に定着され、もう一方の先端は前記第1PC部材に定着されていることを特徴とするPC柱梁の接合構造。
【請求項4】
前記PC仕口パネル部は、前記PC梁部の方へ延出する延出部を有していることを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか1項記載のPC柱梁の接合構造。
【請求項5】
前記下階のPC柱は、少なくとも上端部に柱主筋連結用の継手が埋入され、前記PC仕口パネル部には鉛直方向の貫通孔が形成されており、
上階のPC柱の柱主筋またはこの柱主筋に連結されるべき中継筋が、前記貫通孔に上方から挿入されて前記PC仕口パネル部を貫通し、前記下階のPC柱の前記継手に定着されていることを特徴とする請求項1〜4のうちの何れか1項記載のPC柱梁の接合構造。
【請求項6】
前記継手は、外周に凸部が設けられた鞘管により構成され、当該鞘管の内側に梁主筋の先端が挿入されてグラウトにより定着されていることを特徴とする請求項1〜5のうち何れか1項記載のPC柱梁の接合構造。
【請求項7】
請求項1〜6のうちの何れか1項記載のPC柱梁の接合構造を含んだ柱梁架構構造。
【請求項8】
梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC仕口パネル部を有する第1PC部材と、
端部から梁主筋が突出しているPC梁部を有する第2PC部材と、
端部に梁主筋連結用の継手が埋入されているPC梁部を有する第3PC部材と、を用いたPC柱梁の接合方法であって、
第1PC部材及び第3PC部材を適宜移動して、下階のPC柱上に前記PC仕口パネル部が位置しつつ、該PC仕口パネル部の側方に第3PC部材のPC梁部を位置している状態にするステップと、
前記第2PC部材を前記PC仕口パネル部へ向けて略水平移動することによって、該第2PC部材から突出する梁主筋を前記貫通孔の一端から挿入しつつ、該貫通孔の他端から突出した先端を前記第3PC部材の前記継手に定着するステップと、
備えていることを特徴とするPC柱梁の接合方法。
【請求項9】
梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC仕口パネル部を有する第1PC部材と、
端部に梁主筋連結用の継手が埋入されているPC梁部を有する第2及び第3PC部材と、を用いたPC柱梁の接合方法であって、
前記第1PC部材及び第3PC部材を適宜移動して、下階のPC柱上に前記PC仕口パネル部が位置しつつ、該PC仕口パネル部の側方に第3PC部材のPC梁部が位置している状態にするステップと、
前記第2及び第3PC部材を接続するための中継筋を、前記貫通孔の一端から挿入することによって、前記貫通孔の他端から突出する前記中継筋の先端を前記第3PC部材の前記継手に定着するステップと、
前記第2PC部材を前記PC仕口パネル部へ向けて略水平移動することによって、前記一端から突出する前記中継筋の先端に、該第2PC部材の前記継手を定着するステップと、
を備えていることを特徴とするPC柱梁の接合方法。
【請求項10】
梁主筋を挿通させるための水平方向の貫通孔が形成された直方体状のPC仕口パネル部を有する第1PC部材と、
端部に梁主筋連結用の継手が埋入されているPC梁部を有する第2PC部材と、を用いたPC柱梁の接合方法であって、
前記第1PC部材及び第2PC部材を適宜移動して、下階のPC柱上に前記PC仕口パネル部が位置しつつ、該PC仕口パネル部の側方に第2PC部材のPC梁部が位置している状態にするステップと、
前記第1PC部材と前記第2PC部材とを接続するための中継筋を、前記貫通孔の一端から挿入することによって、該貫通孔の他端から突出する先端を前記第2PC部材の前記継手に定着するとともに、もう一方の先端を前記第1PC部材に定着するステップと、
を備えていることを特徴とするPC柱梁の接合方法。
【請求項11】
少なくとも一端部に継手が埋入されていることを特徴とするプレキャストコンクリート梁。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2006−22494(P2006−22494A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199297(P2004−199297)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】