説明

プロセッサおよび内視鏡システム

【課題】スコープの特性を考慮したノイズ軽減を行う内視鏡システムを提供する。
【解決手段】内視鏡システムのプロセッサ30は、スコープ10と通信し、スコープ識別情報を取得する制御部37を備える。スコープ10により得られた画像信号についてノイズ軽減を行うノイズ軽減回路34を備える。ノイズ軽減回路34のノイズ軽減フィルタ部34bは、複数のノイズ軽減特性を有するノイズ軽減フィルタを有する。制御部37は、スコープ識別情報に基づいて、複数のノイズ軽減フィルタの中から、ノイズ軽減に使用するノイズ軽減フィルタを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関し、特にノイズ軽減度合いの調整が可能な内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、撮像素子が搭載されたスコープを備えた内視鏡システムにおいて、ノイズ軽減フィルタを使って画像ノイズを軽減することが知られている。
【特許文献1】特開2007−50110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1などで使用されるノイズ軽減フィルタは、通常1種類のノイズ軽減特性を有するものだけが設けられており、複数種類のスコープの特性それぞれに応じた最適化は図られていない。
【0004】
したがって本発明の目的は、スコープの特性を考慮したノイズ軽減を行うことが出来るプロセッサ、及び該プロセッサを有する内視鏡システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る内視鏡システムのプロセッサは、スコープと通信し、スコープ識別情報を取得する制御部と、スコープにより得られた画像信号についてノイズ軽減を行うノイズ軽減部とを備え、ノイズ軽減部は、複数のノイズ軽減特性を有するノイズ軽減フィルタを有し、制御部は、スコープ識別情報に基づいて、複数のノイズ軽減フィルタの中から、ノイズ軽減に使用するノイズ軽減フィルタを設定する。
【0006】
これにより、プロセッサに接続されたスコープの特性に対応したノイズ軽減フィルタが自動的に設定することが可能になる。
【0007】
好ましくは、ノイズ軽減に使用されるノイズ軽減フィルタを手動的に選択するために使用される操作部を備え、制御部は、スコープ識別情報と、操作部からの情報との一方に基づいて、ノイズ軽減に使用するノイズ軽減フィルタを設定する。
【0008】
スコープ識別情報に基づいて、制御部が自動的に設定したノイズ軽減フィルタが使用者にとって適切なノイズ軽減度合いでない場合が起こりうる。また、スコープやプロセッサの部材の劣化などにより、予め用意しておいたスコープとノイズ軽減フィルタとの組み合わせが適当でない状態も起こりうる。しかしながら、プロセッサに設けられた操作部を使用者が操作することにより、ノイズ軽減フィルタを設定することも可能であるため、このような場合であっても使用者にとって最適なノイズ軽減処理を行うことが可能になる。
【0009】
また、好ましくは、プロセッサを含む内視鏡システムは、スコープ識別情報を保持するスコープを有する。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、スコープの特性を考慮したノイズ軽減を行うことが出来るプロセッサ、及び該プロセッサを有する内視鏡システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本実施形態における内視鏡システムの構成について、図1及び図2を用いて説明する。本実施形態に係る内視鏡システム1は、スコープ10、プロセッサ30、及びモニタ50を備える。スコープ10は、光ファイバーケーブル11、対物レンズや視感度補正フィルタを含む対物光学系13、CCDなどの撮像素子を含む撮像部14、画像制御部15、Y信号バッファ回路16、C信号バッファ回路17、及びスコープ情報管理部21を有する。プロセッサ30は、光源部31、Y信号処理回路32、C信号処理回路33、ノイズ軽減回路34、A/Dコンバータ35、映像信号制御回路36、プロセッサ30の各部を制御する制御部37、及び操作部38を有する。プロセッサ30ではスコープ10により取得され画像制御部15で前段の画像処理が施された画像信号に対し、モニタ50で表示可能な画像(ビデオ信号)を生成する後段の画像処理が施される。
【0012】
プロセッサ30には、モニタ50が接続される。モニタ50は、プロセッサ30で画像処理された、所定のビデオ信号の規格に準拠した画像を表示する表示手段である。プロセッサ30には、モニタ50の他に、プロセッサ30で画像処理された画像データ等を記録する外部記憶装置や、画像を出力(プリントアウト)するプリンタなどが接続されてもよい。
【0013】
プロセッサ30の光源部31から出射された光は、光ファイバーケーブル11を介して、スコープ10の先端部から被観察体に向けて照射される。被観察体からの反射光などは対物光学系13を介して撮像部14の撮像素子に入射され、撮像素子の受光面に被観察体の光学像が結像される。撮像素子では入射した被観察体の光学像が光電変換され、該光学像に基づいた画像信号が出力される。
【0014】
撮像部14から出力された画像信号は、画像制御部15において、YC分離など前段の画像処理が施され、Y(輝度)信号とC(色差)信号とが分離した状態で、プロセッサ30に出力される。Y信号は、Y信号バッファ回路16で、低インピーダンスに変換された状態で、プロセッサ30のY信号処理回路32に出力され、C信号は、C信号バッファ回路17で、低インピーダンスに変換された状態で、プロセッサ30のC信号処理回路17に出力される。
【0015】
プロセッサ30では、Y信号は、Y信号処理回路32でインピーダンス整合が行われた後、ノイズ軽減回路34でノイズが軽減されA/Dコンバータ35に出力される。C信号は、C信号処理回路33でインピーダンス整合が行われた後、A/Dコンバータ35に出力される。Y信号、C信号は、A/Dコンバータ35でA/D変換された後、映像信号制御回路36において、後段の画像処理が施されて、モニタ50で出力可能なビデオ信号にされる。
【0016】
ノイズ軽減回路34は、振幅拡張部34a、ノイズ軽減フィルタ部34b、及び振幅収縮部34cを有する(図2参照)。振幅拡張部34aは、Y信号処理回路32でインピーダンス整合されたY信号の振幅を拡張して、ノイズ軽減を行いやすい状態にする。ノイズ軽減フィルタ部34bは、複数のノイズ軽減特性を有するノイズ軽減フィルタを有し、制御部37を介して自動的にまたは手動的に設定されたノイズ軽減フィルタを使って、振幅が拡張されたY信号のノイズ軽減を行う。図2は、一例として、ノイズ軽減フィルタ部34bが、4種類のノイズ軽減フィルタを有する形態を示す。振幅収縮部34cは、ノイズ軽減されたY信号の振幅を、振幅拡張部34aで拡張される前の振幅に戻して、A/Dコンバータ35に出力する。ノイズ軽減処理が施されたY信号は、C信号とともにビデオ信号を構成して、モニタ50に出力されるため、ノイズ軽減の効果はモニタ50上に映し出される画像を観察することにより確認出来る。
【0017】
ノイズ軽減フィルタの設定は、制御部37の、スコープ10の型名、シリアルナンバーなどスコープ識別情報を記録したスコープ情報管理部21との通信結果に基づいて自動的に行われる。具体的には、制御部37のメモリなどには、スコープ識別情報に対応したノイズ軽減フィルタの組み合わせが予め記録されており、制御部37は、スコープ情報管理部21と通信してスコープ識別情報を取得し、スコープ識別情報に基づいて最適なノイズ軽減フィルタを設定する。制御部37とスコープ情報管理部21との通信は、スコープ10がプロセッサ30に接続されて電源がオン状態にされた立ち上げ時に行われる。これにより、プロセッサ30に接続されたスコープ10の特性に対応したノイズ軽減フィルタが自動的に設定される。
【0018】
また、ノイズ軽減フィルタの設定は、制御部37とスコープ情報管理部21との通信結果に基づく自動的な設定に加え、さらにノイズ軽減に使用されるノイズ軽減フィルタを手動的に選択するための操作部38を使用者が操作することによっても行われる。これにより、使用者は、モニタ50上に映し出された画像を観察し、ノイズ軽減効果を視覚的に認識しながら、自らの好みに応じて、ノイズ軽減度合いを手動で設定することも可能になる。
【0019】
スコープ情報管理部21に記録されたスコープ識別情報に基づいて、制御部37が自動的に設定されたノイズ軽減フィルタが使用者にとって適切なノイズ軽減度合いでない場合が起こりうる。また、スコープ10やプロセッサ30の部材の劣化などにより、予め用意しておいたスコープ10とノイズ軽減フィルタとの組み合わせが適当でない状態も起こりうる。本実施形態では、プロセッサ30に設けられた操作部38を使用者が操作することにより、ノイズ軽減フィルタを設定することも可能であるため、このような場合であっても使用者にとって最適なノイズ軽減処理を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態における内視鏡システムの構成図である。
【図2】ノイズ軽減回路の詳細と、その周辺部分を示す構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1 内視鏡システム
10 スコープ
11 光ファイバーケーブル
13 対物光学系
14 撮像部
15 画像制御部
21 スコープ情報管理部
30 プロセッサ
31 光源部
32 Y信号処理回路
33 C信号処理回路
34 ノイズ軽減回路
34a 振幅拡張部
34b ノイズ軽減フィルタ部
34c 振幅収縮部
35 A/Dコンバータ
36 映像信号制御回路
37 制御部
38 操作部
50 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スコープと通信し、スコープ識別情報を取得する制御部と、
前記スコープにより得られた画像信号についてノイズ軽減を行うノイズ軽減部とを備え、
前記ノイズ軽減部は、複数のノイズ軽減特性を有するノイズ軽減フィルタを有し、
前記制御部は、前記スコープ識別情報に基づいて、前記複数のノイズ軽減フィルタの中から、前記ノイズ軽減に使用するノイズ軽減フィルタを設定することを特徴とする内視鏡システムのプロセッサ。
【請求項2】
前記ノイズ軽減に使用されるノイズ軽減フィルタを手動的に選択するために使用される操作部を備え、
前記制御部は、前記スコープ識別情報と、前記操作部からの情報との一方に基づいて、前記ノイズ軽減に使用するノイズ軽減フィルタを設定することを特徴とする請求項1に記載のプロセッサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロセッサと、
前記スコープ識別情報を保持する前記スコープとを有することを特徴とする内視鏡システム。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−279213(P2009−279213A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134940(P2008−134940)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】