説明

マルチャ

【課題】マルチフィルム敷設装置の畝に対する姿勢を容易に調整できるマルチャを提供する。
【解決手段】ロータリ4の機枠12に、爪軸13回りに上下揺動自在で且つ任意の揺動位置で固定自在に第2の機枠38を取り付け、第2の機枠38に畝整形器5とマルチフィルム敷設装置6とを設け、ゲージ輪62の高さを調整する高さ調整装置71の第1の係合部78と、第2の機枠38の第2の係合部82とに亘って設けられるロックプレート79を備え、このロックプレート79は第1、第2の係合部78,82に係合する係合孔80A,80Bを有し、第2の機枠38に、不使用時にロックプレート79を左右軸廻りに回動自在に支持する支持部83と、該支持部83に支持された状態のロックプレート79の係合孔80Bに挿通する指示部材86とを設け、指示部材86と係合孔80Bとの位置関係により、マルチフィルム敷設装置6の姿勢が適正姿勢であるか否かが指示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等に装着されて移動しながら圃場にマルチフィルムを敷設するマルチャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタに装着されて、圃場を移動しながら、耕耘作業と、畝立て作業と、マルチフィルムの敷設作業とを一工程で同時に行うようにした畝立てマルチャがある(特許文献1参照)。
このマルチャは、トラクタの後部に装着されるロータリを備え、このロータリの機枠に、ロータリの爪軸回りに上下揺動自在で且つ任意の揺動位置で固定自在に第2の機枠を取り付け、この第2の機枠に畝整形器とマルチフィルム敷設装置とを設けてなる。
また、このマルチャには、前記ロータリの高さを決定するゲージ部材と、このゲージ部材の高さを調整する高さ調整装置とが設けられている。
【0003】
このマルチャにあっては、装着されるトラクタの大きさ、姿勢、耕深、畝高さ等によって、マルチフィルム敷設装置の圃場に対する姿勢が変わる。
マルチフィルム敷設装置の畝に対する姿勢が適正姿勢でないと、畝にマルチフィルムを良好に張れないという問題が生じる。
そこで、このマルチャにあっては、第2の機枠をロータリの機枠に対して揺動可能とした状態で高さ調整装置を作動させることにより第2の機枠がロータリ機枠に対して上下に揺動動作するように、高さ調整装置と第2の機枠とに亘って設けられるロックプレートが備えられており、第2の機枠をロータリ機枠に対して揺動位置調整することにより、マルチフィルム敷設装置の圃場に対する姿勢が調整できるように構成されている。
【特許文献1】特開2004−65024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のマルチャにあっては、マルチフィルム敷設装置の畝に対する姿勢調整は目視で行っており、マルチフィルム敷設装置が畝に対して適正姿勢であるか否かを目視で判断するのは難しく、また、マルチフィルム敷設装置の畝に対する姿勢が適正でない場合、出来た畝をみて再度調整するという作業が必要であるという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、マルチフィルム敷設装置の圃場に対する姿勢を容易に適正姿勢にすることができるマルチャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、走行体に上下揺動自在に取り付けられて上下位置調整自在とされたマルチフィルム敷設装置を備え、このマルチフィルム敷設装置の圃場に対する姿勢が適正姿勢であるか否かを指示するインジケータを備えていることを特徴とする。
また、走行体に装着される第1の機枠に、該第1の機枠に対して上下揺動自在で且つ任意の揺動位置で固定自在な第2の機枠を取り付け、この第2の機枠に、圃場にマルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置を備え、前記第1の機枠に対する第2の機枠の上下揺動位置を変更することにより、圃場に対するマルチフィルム敷設装置の姿勢を調整可能となるように構成してもよい。
【0006】
また、インジケータは、第2の機枠の上下揺動に伴って該第2の機枠に対して相対的に揺動するように該第2の機枠に枢支され、前記第2の機枠に、インジケータに設けられた係合孔を挿通する指示部材を設け、この指示部材と前記係合孔との位置関係によりマルチフィルム敷設装置の圃場に対する姿勢が分かるように構成されてもよい。
また、マルチャの高さを決定するゲージ部材の高さを調整する高さ調整装置を備え、第2の機枠を第1の機枠に対して揺動可能とした状態で高さ調整装置を作動させることにより第2の機枠が第1の機枠に対して上下に揺動動作するように、高さ調整装置と第2の機枠とに亘って設けられるロックプレートを備え、このロックプレートで前記インジケータが構成されているのがよい。
【0007】
また、他の技術的手段は、トラクタの後部に装着されるロータリを備え、このロータリの機枠に、左右軸回りに上下揺動自在で且つ任意の揺動位置で固定自在に第2の機枠を取り付け、この第2の機枠に畝整形器とマルチフィルム敷設装置とを設け、前記ロータリの高さを決定するゲージ部材の高さを調整する高さ調整装置を備え、第2の機枠をロータリ機枠に対して揺動可能とした状態で高さ調整装置を作動させることにより第2の機枠がロータリ機枠に対して上下に揺動動作するように、高さ調整装置に設けられた第1の係合部と、第2の機枠に設けられた第2の係合部とに亘って設けられるロックプレートを備え、このロックプレートは前記第1、第2の係合部に係合する係合孔を有し、第2の機枠に、前記ロックプレートの不使用時に該ロックプレートを左右軸廻りに回動自在に支持する支持部と、この支持部に支持された状態のロックプレートの係合孔に挿通する指示部材とを設け、この指示部材とロックプレートの係合孔との位置関係により、マルチフィルム敷設装置の圃場に対する姿勢が適正姿勢であるか否かが指示されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マルチフィルム敷設装置の圃場に対する姿勢を容易に適正姿勢にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図3において、1はマルチャとして例示する畝立てマルチャであり、この畝立てマルチャ1は、走行体として例示するトラクタ2に、三点リンクヒッチ機構3(または2点ヒッチ機構等のヒッチ機構)を介して装着され、圃場を移動しながら、ロータリ耕耘作業と、畝立て作業と、マルチフィルムFの敷設作業とを一工程で同時に行うものである。
この畝立てマルチャ1は、ロータリ4と、畝整形器5と、マルチフィルム敷設装置6とを備えており、ロータリ4がトラクタ2の後部に装着されていると共に、該ロータリ4に畝整形器5と、マルチフィルム敷設装置6とが支持されている。
【0010】
ロータリ4は、本実施の形態ではセンタードライブ式ロータリが採用されており、該ロータリ4は、ギヤケース7と、このギヤケース7から下方に突出する伝動ケース8と、この伝動ケース8の下部に設けられたロータリ耕耘部9と、このロータリ耕耘部9を覆うロータリカバー10とを有する。
前記ギヤケース7の左右両側にはサポートアーム11が突設され、ギヤケース7と伝動ケース8とサポートアーム11等とで、ロータリ4の機枠12(ロータリ機枠、第1の機枠)を構成している。
【0011】
前記ロータリ耕耘部9は、伝動ケース8の下部から左右両側に突出されていて左右方向の軸心回りに回転自在に支持された左右一対の爪軸13と、この爪軸13上に取付固定された多数の耕耘爪14とを有し、爪軸13を、左右軸回りに第1、2図で符号Aで示す方向に回転駆動することにより、耕耘爪14が爪軸13回りに回転して土中に突入し、土が耕起されると共に砕土されて後方に放てきされるように構成されている。
前記ギヤケース7には、トラクタ2のPTO軸16にユニバーサルジョイントを介して連動連結されるPIC軸17が設けられ、このPIC軸17によってPTO軸16からギヤケース7内の伝動機構に動力が伝達され、このギヤケース7に入力された動力は伝動ケース8内の動力伝動機構を介して爪軸13に伝達され、該動力により該爪軸13が矢示A方向に回転駆動される。
【0012】
また、ギヤケース7にはトップマスト13が上方突出状に設けられていると共に、このトップマスト13の下部から前方側に突出状に上連結ブラケット19が設けられ、この上連結ブラケット19には上連結ピン20が設けられている。
前記左右各サポートアーム11の外端には下連結ブラケット21が固定され、左右各下連結ブラケット21には下連結ピン22が固定されている。
一方、トラクタ2の後部に取り付けられた三点リンクヒッチ機構3の後端側には、トップリンク23の後端側と左右ロワーリンク24の後端側とを連結して三点リンクヒッチ機構3に定形を与える連結フレーム25が取り付けられており、この連結フレーム25は、前記上連結ブラケット19の上連結ピン20に係脱自在に係合していると共に、前記左右各下連結ブラケット21の下連結ピン22に着脱自在に連結している。
【0013】
また、トラクタ2の後部には作業機昇降用の油圧装置26が設けられ、この油圧装置26の左右両側にはリフトアーム27の基部が左右軸回りに回動自在に設けられ、左右各リフトアーム27の先端側は、リフトロッド28を介して左右ロワーリンク24に連結されており、油圧装置26によってリフトアーム27及びリフトロッド28を介して左右ロワーリンク24をトラクタ側取付点回りに上下に揺動させることにより、トラクタ2に対してマルチャ1が昇降自在とされている。
前記ロータリカバー10は、ロータリ耕耘部9の上方を覆う上部カバー31と、ロータリ耕耘部9の上部の左右両側を覆う側部カバー32とを有し、側部カバー32は上部カバー31に一体形成されている。
【0014】
このロータリカバー10は取付手段33によって、ロータリ機枠12に対して爪軸13の軸心を中心として回動自在で且つ任意の回動位置で固定可能に、該ロータリ機枠12に取り付けられている。
取付手段33は、左右各サポートアーム11に固定された左右一対の固定ブラケット34と、上部カバー31の上面に固定された左右一対の可動ブラケット35と、これら固定ブラケット34と可動ブラケット35とを締結して連結するボルト36とを有する。
左右各可動ブラケット35には爪軸13の軸心を中心とする円弧状の長孔37が前後一対形成され、前記ボルト36を、前記各長孔37に通して固定ブラケット34に形成されたネジ孔に螺合させることにより、可動ブラケット35が固定ブラケット34に連結される。
【0015】
そして、前記ボルト36による締結を緩めることによりロータリ機枠12に対して可動ブラケット35と共にロータリカバー10が爪軸13を中心として回動可能とされ、前記ボルト36を締め付けることにより、ロータリカバー10が任意の回動位置でロータリ機枠12に対して固定されるように構成されている。
前記可動ブラケット35には第2の機枠38が固定され、この第2の機枠38に畝整形器5とマルチフィルム敷設装置6とが設けられており、ロータリ機枠12に対して、第2の機枠38と畝整形器5とマルチフィルム敷設装置6とが爪軸13を中心として上下に揺動自在で且つ任意の揺動位置で固定可能に支持されている。
【0016】
第2の機枠38は、前記ロータリカバー10の上部カバー31の後方側に該上部カバー31の後縁に沿って左右方向に配置された第1枠体39と、左右可動ブラケット35から後方に突出する第2枠材と、この第2枠体40の後部から後下方に突出する第3枠体41と、第2枠体40の後部から上方に突出する第4枠体42とを有する。
第1枠体39は、角パイプ等によって構成され、左右の可動ブラケット35の後部に溶接等によって連結されている。
第2枠体40は、左右各可動ブラケット35の後部にボルト等によって固定された左右一対の側枠材43と、これら左右側枠材43の後端側を連結する連結枠材44とから主構成されている。
【0017】
なお、第2枠体40の側枠材43は第1枠体39にも固定されていてもよい。
第3枠体41は、第2枠体40の左右各側枠材43の後部から後下方に突出する左右一対の側枠材46と、左右方向に配置されていて左右側枠材46の後端側に溶接等によって連結された横枠材47とから主構成されている。
第4枠体42は、第2枠体40の後部から上方に延出する縦枠部48と、この縦枠部48の上端から後方に延出する横枠部49とからL字形に形成されている。
第1枠体39の下面には、ロータリ耕耘部9の後方側に配置され且つロータリ耕耘部9の左右方向に亘って形成されていて、ロータリ耕耘部9で耕耘されて後方に放てきされる土を受けると共に左右方向中央側に案内するガイド板50が固定されている。
【0018】
畝整形器5はガイド板50の後方で且つロータリ耕耘部9の左右方向中央側に配置されていて、ガイド板50に固定されている。
ガイド板50の畝整形器5に対応する部分は切り欠かれていて、ロータリ耕耘部9で耕耘された土がガイド板50によって受け止められると共に畝整形器5へとガイドされ、該畝整形器5によって畝Rが整形される。
マルチフィルム敷設装置6は、マルチフィルムFが巻回されたフィルムロール51を左右方向の軸心回りに回転自在に支持するロールホルダ52と、畝Rの左右両側においてフィルムロール51から巻き出されたマルチフィルムFのすそを押さえてマルチフィルムFの巻き出しを助けるフィルム押え輪53と、マルチフィルムFの左右両側のすそを覆土する覆土器54とをそれぞれ左右一対有すると共に、畝Rの頂部側においてフィルムロール51から巻き出されたマルチフィルムFを押さえて畝RにマルチフィルムFを沿わせるフィルム押えロール55と、このフィルム押えロール55とフィルムロール51との間に配置されてフィルムロール51から巻き出されたマルチフィルムFをガイドするフィルムガイド56とを備えており、これらのマルチフィルム敷設装置6を構成する部材はそれぞれ支持体を介して第2の機枠38に取り付けられている。
【0019】
前記第2枠体40の左右各側枠材の上端側前部に軸受57が固定され、この軸受57に左右方向の軸心を有する筒体(本実施の形態では六角筒体)からなる回動部材58が軸心回りに回動自在に支持されている。
この回動部材58の左右両側には、該回動部材58と一体回動するアーム59が該回動部材58から後方側に突出状に設けられ、この左右各アーム59の後端側には左右方向の軸心を有する枢軸60が設けられている。
一方、畝整形器5の左右両側には、畝Rの左右両側を転動してロータリ4の耕深を決定するゲージ輪62(ゲージ部材)が配置され、この左右各ゲージ輪62は、取付部材63の下部に回転支軸64を介して左右方向の軸心廻りに回動自在に取り付けられ、この取付部材63の上部には左右方向で同じ側にある前記アーム59の枢軸60が軸心回りに回動可能に挿通する挿通孔65が形成されている。
【0020】
また、前記回転支軸64にはリンク66の一端側が枢支連結され、該リンク66の他端側は、ガイド板50の背面下端側に設けられた支持部材67に左右方向の軸心を有する支軸68を介して枢支連結されている。
また、回動部材58の左右方向中央側には、該回動部材58と一体回動するレバー69が該回動部材58から上方側に突出状に設けられ、このレバー69の先端側と前記トップマスト13とにわたって、ゲージ輪62の高さを調整する高さ調整装置71が設けられている。
【0021】
この高さ調整装置71は、長さ方向に伸縮自在な伸縮ロッド72と、該伸縮ロッド72とレバー69とを連動連結する連動部材73とを有する。
伸縮ロッド72は、トップマスト13に左右方向の軸心廻りに回動自在に支持されたカバー筒74と、操作ハンドル75と、カバー筒74に対して長さ方向に移動自在な可動杆76と、前記カバー筒74内に収納されていて前記可動杆76と螺合し且つ前記操作ハンドル75によって長さ方向の軸心回りに回転されるネジ杆とを有し、操作ハンドル75を回すことにより可動杆76が長さ方向に移動して伸縮するように構成されている。
【0022】
可動杆76の先端側は連動部材73の一端側にピン77を介して左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結され、連動部材73の他端側は前記レバー69の先端側に設けられた左右方向の軸心を有するピン78に軸心回りに回動自在に枢支連結され、このレバー69の先端側に設けられたピン78が第1の係合部78とされ、この第1の係合部78はレバー69から右方に突出している。
前記構成の高さ調整装置71にあっては、伸縮ロッド72を伸縮させることによりレバー69の先端側が押し引きされて回動部材58が回動し、該回動部材58が回動することにより左右アーム59が上下に揺動して取付部材63を介してゲージ輪62の上下方向の位置が調整可能とされており、ゲージ輪62の高さを調整することにより、ロータリ4の耕深が変更される。
【0023】
また、本実施の形態のマルチャ1にあっては、高さ調整装置71と第2の機枠38とを連結して前記回動部材58の回動を規制する帯板状のロックプレート79が備えられている。
このロックプレート79は、図4に示すように、長さ方向の一端側、他端側及び中間部に板厚方向に貫通する係合孔80A,80B,80Cが形成されており、この係合孔80A,80B,80Cは、前記第1の係合部78のレバー69から右方に突出した部分に左右方向の軸心廻りに回動自在に嵌合可能とされている。
【0024】
一方、第2の機枠38の第4枠体42の縦枠部48の下部後面側には、ロックプレート79の係合孔80A,80B,80Cが左右方向の軸心廻りに回動自在に嵌合可能な第2の係合部82が設けられている。
この第2の係合部82は本実施の形態では左右方向の軸心を有するピンによって構成され、縦枠部48に溶接等によって該縦枠部48から右方に突出状に固定されている。
前記ロックプレート79の一端側係合孔80Aを第1又は第2の係合部78,82に嵌合すると共に、他端側係合孔80Bを第2又は第1の係合部78,82に嵌合することにより、高さ調整装置71と第2の機枠38とが連結されて回動部材58の回動が規制される(なお、第1、第2の係合部78,82間の距離が、一端側、他端側の係合孔80A,80B間の距離に合わない場合は、伸縮ロッド72を伸縮させて第1の係合部78と第2の係合部82との距離を、一端側の係合孔80Aと他端側の係合孔80Bとの距離に合わせる)。
【0025】
この状態で、前記取付手段33の固定ブラケット34と可動ブラケット35との締結を緩めて、伸縮ロッド72を伸縮させると、ボルト36が長孔37内を移動して第2の機枠38が爪軸13回りに上下に揺動すると共に、第2の機枠38の上下揺動に伴って畝整形器5及びマルチフィルム敷設装置6も上下に揺動する。
これによって、畝整形器マルチフィルム敷設装置6の畝R(圃場、地面)に対する姿勢が変更調整自在とされている。
なお、伸縮ロッド72を伸張させていくと、第1の係合部78と第2の係合部82との距離が、一端側の係合孔80Aと他端側の係合孔80Bとの距離に対して極端に短くなる場合があるが、その場合は、一端側又は他端側の係合孔80A,80Bを第1の係合部78(又は第2の係合部82)に嵌合し、中間部の係合孔80Cを第2の係合部82(又は第1の係合部78)に嵌合する。
【0026】
前記第4枠体42の縦枠部48の前面側上部には、不使用時にロックプレート79を収納すべく該ロックプレート79を取り付けるための支持部83が溶接等によって固定され、この支持部83は、本実施の形態では左右方向の軸心を有するピンから構成され、縦枠部48から左方に突出している。
前記ロックプレート79の一端側の係合孔80Aと中間部の係合孔80Cとの間で且つ一端側係合孔80A寄りには被支持孔84が板厚方向貫通状に形成されていて、ロックプレート79の不使用時に、前記被支持孔84を前記支持部83に外嵌することにより、ロックプレート79が左右方向の軸心廻りに揺動自在に支持される。
【0027】
したがって、ロックプレート79は、第2の機枠38の上下揺動に伴って該第2の機枠38に対して相対的に揺動する。
なお、ロックプレート79はベータピン等の抜止め部材85によって支持部83から抜け止めされる。
また、第4枠体42の縦枠部48の前面側下部には、支持部83に支持された状態のロックプレート79の他端側係合孔80Bに対応する位置に位置する指示部材86が設けられている。
【0028】
この指示部材86は、本実施の形態では左右方向の軸心を有するピンから構成され、縦枠部48から左方に突出するように該縦枠部48に溶接等によって固定されていて、支持部83に支持された状態のロックプレート79の他端側係合孔80Bを挿通する。
この指示部材86の径は他端側係合孔80Bの径よりも一回り小さく、指示部材86と他端側係合孔80B内周面との間に隙間が形成される。
本マルチャ1にあっては、前記ロックプレート79が、マルチフィルム敷設装置6の畝R(圃場、地面)に対する姿勢が適正姿勢であるか否かを指示するインジケータに兼用されており、本実施の形態にあっては、指示部材86(の軸心)が他端側係合孔80Bの中心に略一致した状態で、マルチフィルム敷設装置6の畝Rに対する姿勢が適正姿勢であることを示している。
【0029】
また、指示部材86が係合孔80Bの前端側に接当している場合は、マルチフィルム敷設装置6が適正姿勢から下がっていることを示しており、この場合は前述した調整方法により、ロータリ機枠12に対して第2の機枠38を上方側に揺動してマルチフィルム敷設装置6の姿勢を調整する。
また、指示部材86が係合孔80Bの後端側に接当している場合は、マルチフィルム敷設装置6が適正姿勢から上がっていることを示しており、この場合はロータリ機枠12に対して第2の機枠38を下方側に揺動してマルチフィルム敷設装置6の姿勢を調整する。
【0030】
なお、ロックプレート79の他端側係合孔80Bと中間部の係合孔80Cとの間には、インジケータ(79)による指示を表示する説明書きが貼り付けられている。
なお、本発明は、前述した実施形態のマルチャ1に採用されることに限定されることはなく、マルチフィルム敷設装置6とその他の装置との複合機械に採用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】マルチャをトラクタに装着した状態の側面図である。
【図2】マルチャの一部の側面図である。
【図3】マルチャの一部の斜視図である。
【図4】(a)はインジケータの側面図、(b)はインジケータの正面断面図である。
【符号の説明】
【0032】
2 トラクタ(走行体)
4 ロータリ
5 畝整形器
6 マルチフィルム敷設装置
12 ロータリ機枠(第1の機枠)
38 第2に機枠
62 ゲージ輪(ゲージ部材)
71 高さ調整装置
78 第1の係合部
79 ロックプレート(インジケータ)
80A 係合孔
80B 係合孔
82 第2の係合部
83 支持部
86 指示部材
F マルチフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体(2)に上下揺動自在に取り付けられて上下位置調整自在とされたマルチフィルム敷設装置(6)を備え、このマルチフィルム敷設装置(6)の圃場に対する姿勢が適正姿勢であるか否かを指示するインジケータ(79)を備えていることを特徴とするマルチャ。
【請求項2】
走行体(2)に装着される第1の機枠(12)に、該第1の機枠(12)に対して上下揺動自在で且つ任意の揺動位置で固定自在な第2の機枠(38)を取り付け、この第2の機枠(38)に、圃場にマルチフィルム(F)を敷設するマルチフィルム敷設装置(6)を備え、前記第1の機枠(12)に対する第2の機枠(38)の上下揺動位置を変更することにより、圃場に対するマルチフィルム敷設装置(6)の姿勢を調整可能としていることを特徴とする請求項1に記載のマルチャ。
【請求項3】
インジケータ(79)は、第2の機枠(38)の上下揺動に伴って該第2の機枠(38)に対して相対的に揺動するように該第2の機枠(38)に枢支され、前記第2の機枠(38)に、インジケータ(79)に設けられた係合孔(80B)を挿通する指示部材(86)を設け、この指示部材(86)と前記係合孔(80B)との位置関係によりマルチフィルム敷設装置(6)の圃場に対する姿勢が分かることを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチャ。
【請求項4】
マルチャの高さを決定するゲージ部材(62)の高さを調整する高さ調整装置(71)を備え、第2の機枠(38)を第1の機枠(12)に対して揺動可能とした状態で高さ調整装置(71)を作動させることにより第2の機枠(38)が第1の機枠(12)に対して上下に揺動動作するように、高さ調整装置(71)と第2の機枠(38)とに亘って設けられるロックプレート(79)を備え、このロックプレート(79)で前記インジケータ(79)が構成されていることを特徴とする請求項3に記載のマルチャ。
【請求項5】
トラクタ(2)の後部に装着されるロータリ(4)を備え、このロータリ(4)の機枠(12)に、左右軸回りに上下揺動自在で且つ任意の揺動位置で固定自在に第2の機枠(38)を取り付け、この第2の機枠(38)に畝整形器(5)とマルチフィルム敷設装置(6)とを設け、前記ロータリ(4)の高さを決定するゲージ部材(62)の高さを調整する高さ調整装置(71)を備え、第2の機枠(38)をロータリ機枠(12)に対して揺動可能とした状態で高さ調整装置(71)を作動させることにより第2の機枠(38)がロータリ機枠(12)に対して上下に揺動動作するように、高さ調整装置(71)に設けられた第1の係合部(78)と、第2の機枠(38)に設けられた第2の係合部(82)とに亘って設けられるロックプレート(79)を備え、このロックプレート(79)は前記第1、第2の係合部(78,82)に係合する係合孔(80A,80B)を有し、第2の機枠(38)に、前記ロックプレート(79)の不使用時に該ロックプレート(79)を左右軸廻りに回動自在に支持する支持部(83)と、この支持部(83)に支持された状態のロックプレート(79)の係合孔(80B)に挿通する指示部材(86)とを設け、この指示部材(86)とロックプレート(79)の係合孔(80B)との位置関係により、マルチフィルム敷設装置(6)の圃場に対する姿勢が適正姿勢であるか否かが指示されるように構成されていることを特徴とするマルチャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−197820(P2006−197820A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10918(P2005−10918)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000183967)鋤柄農機株式会社 (20)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】