説明

マンホールと更生管との接続構造およびその接続方法

【課題】インバートを有する既存のマンホールであっても、地震などによる既設管および既設管を更生する更生管の変位に対して更生管とマンホールとを止水性能を維持して接続する。
【解決手段】インバート1aがはつられたマンホール1内に突出された更生管3の外周面に変位吸収部43を有する可撓止水材4が嵌挿されるとともに、可撓止水材4の管状一端部41およびフランジ状他端部42がそれぞれ更生管3の外周面およびマンホール1の内壁面に密封状態で固定される。また、更生管3の外周面下半部および可撓止水材4の変位吸収部43の外周面下半部を覆うクッション材7がマンホール1の底部に配設されるとともに、クッション材7が復旧されたインバート1aに埋設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンホールと更生管との接続構造およびその接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、経年によって老朽化した下水道管などの既設管を更生するため、マンホールにわたって地中に埋設された既設管内に、既設管の内径よりも小径であって、形状記憶温度において円管形状に形状回復する塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂製のライニングパイプを挿入し、ライニングパイプを加熱して拡径させ、円管形状に復元させた後、ライニングパイプを既設管の内周面に密着させ、更生管を形成する更生方法が提案され、実施されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、地震などによって地盤変動が生じた場合、マンホールに対して既設管が変位するおそれが有り、その際には、マンホールと既設管との接続部の止水性能を確保することが困難となる。
【0004】
このため、径方向に伸長できる伸長可能部が形成されたフランジを有する止水部材をマンホールの内壁面と更生管の内周面との間に設け、地震などによる既設管および更生管の変位に対して止水性能を確保するようにした発明が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−230412号公報
【特許文献2】特開2008−248602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、伸長可能部が一部に形成された止水部材では、その一端を更生管の内周面に拡径リングを介して固定していることから、更生管の断面積が減少し、流下能力を低下させるものとなる。また、止水部材の伸長可能部は、マンホールに対する更生管の抜け出し方向の変位については吸収することができるものの、マンホールに対する更生管の突き出し方向の変位および屈曲による変位については確実に吸収できないおそれがある。
【0007】
さらに、管内の水流は水勾配による自然流下であり、地震などの地盤変動によってマンホールに対して既設管が脱落し、あるいは、それらの接続部が破損すると、圧力がほとんどない管内の内水圧よりも地下水位により水圧の高い外水圧が破損した接続部を通して止水部材に作用し、止水部材を押し潰して断面積を大幅に減少させることから、流下能力を確保することができないものとなる。また、仮に、既設管がマンホールから脱落すると、既設管の管端部が止水部材に接触し、余震などによって既設管の移動が繰り返されることによって止水部材を破損、切断させ、漏水させるおそれもある。さらにまた、通常、マンホールの底部には流水を確保するためにインバートが形成されて既設管に連通されているが、このような場合に止水部材を取り付けようとすると、蛇腹状の伸長可能部がインバートと干渉し、伸長可能部を機能させることができない。このため。インバートを有する既存のマンホールに止水部材を採用することはできないものである。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、インバートを有する既存のマンホールであっても、地震などによる既設管および既設管を更生する更生管の変位に対して更生管とマンホールとを、止水性能を維持して接続することのできるマンホールと更生管との接続構造およびその接続方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のマンホールと更生管との接続構造は、インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとの接続構造であって、インバートがはつられたマンホール内に設定長さ突出された更生管の外周面に変位吸収部を有する可撓止水材が嵌挿されるとともに、可撓止水材の管状一端部およびフランジ状他端部がそれぞれ更生管の外周面およびマンホールの内壁面に密封状態で固定され、また、更生管の外周面下半部および可撓止水材の変位吸収部の外周面下半部を覆うクッション材がマンホール底部に配設されるとともに、クッション材が復旧されたインバートに埋設されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、マンホール内に設定長さ突出された更生管の外周面およびマンホールの内壁面にわたって可撓止水材が密封状態で固定されることにより、更生管の流水断面積を減少させることがなく、流下能力を確保することができ、仮に、マンホールと既設管との接続部分が破損し、破損個所を通して可撓止水材に外水圧が作用したとしても、止水性能を確保することができるとともに、更生管の流下能力に影響を与えることはない。
【0011】
また、地震などの地盤変動によってマンホールに対して既設管が脱落し、あるいは、それらの接続部が破損して、抜け出し、突き出し、あるいは、屈曲が生じたとしても、更生管の外周面およびマンホールの内壁面にわたって固定された可撓止水材の変位吸収部が追従して変形し、容易に各種変位を吸収することができる。
【0012】
さらに、更生管の外周面下半部および可撓止水材の外周面下半部を覆ってクッション材を配設してインバートを復旧することにより、インバートによる流下能力を安定して確保することができる。また、地震などによって更生管の突き出しが生じ、更生管に固定された可撓止水材が更生管の突き出しに追従した場合、クッション材を圧縮変形させなが変位吸収部が変形して吸収することから、可撓止水材を保護して変位吸収部の変形を確保することができる。一方、地震などによって更生管の抜け出しが生じ、更生管に固定された可撓止水材が更生管の抜け出しに追従した場合、変位吸収部が変形して吸収する。
【0013】
この結果、地震などによる既設管および既設管を更生する更生管の変位に対して更生管とマンホールとを、止水性能を維持して接続することができる。
【0014】
本発明のマンホールと更生管との接続構造は、インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとの接続構造であって、インバートがはつられたマンホール内に設定長さ突出された更生管の外周面に変位吸収部を有する可撓止水材が嵌挿されるとともに、可撓止水材の管状一端部およびフランジ状他端部がそれぞれ更生管の外周面およびマンホールの内壁面に密封状態で固定され、また、可撓止水材の変位吸収部を全周にわたって覆うカバー材が配設されるとともに、カバー材の下半部が復旧されたインバートに埋設されることを特徴とするものである。
【0015】
本発明によれば、マンホール内に設定長さ突出された更生管の外周面およびマンホールの内壁面にわたって可撓止水材が密封状態で固定されることにより、更生管の流水断面積を減少させることがなく、流下能力を確保することができ、仮に、マンホールと既設管との接続部分が破損し、破損個所を通して可撓止水材に外水圧が作用したとしても、止水性能を確保することができるとともに、更生管の流下能力に影響を与えることはない。
【0016】
また、地震などの地盤変動によってマンホールに対して既設管が脱落し、あるいは、それらの接続部が破損して、抜け出し、突き出し、あるいは、屈曲が生じたとしても、更生管の外周面およびマンホールの内壁面にわたって固定された可撓止水材の変位吸収部が追従して変形し、容易に各種変位を吸収することができる。
【0017】
さらに、更生管の外周面下半部および可撓止水材を全周にわたって覆うカバー材を配設してインバートを復旧することにより、インバートによる流下能力を安定して確保することができる。また、地震などによって更生管の突き出しが生じ、更生管に固定された可撓止水材が更生管の突き出しに追従した場合、カバー材内において、変位吸収部が変形して吸収することから、可撓止水材を保護して変位吸収部の変形を確保することができる。一方、地震などによって更生管の抜け出しが生じ、更生管に固定された可撓止水材が更生管の抜け出しに追従した場合、変位吸収部が変形して吸収する。
【0018】
この結果、地震などによる既設管および既設管を更生する更生管の変位に対して更生管とマンホールとを、止水性能を維持して接続することができる。
【0019】
本発明において、前記可撓止水材の管状一端部が更生管の外周面に固定バンドを介して固定され、また、フランジ状他端部がマンホールの周壁に固定された接着系アンカーボルト、フランジ材およびナットを介して固定されることが好ましい。これにより、更生管の外周面およびマンホールの内壁面にわたって可撓止水材を密封性能を確保して簡単に固定することができる。また、地震などによりマンホールの周壁にひび割れなどが発生し、ひび割れを通してボルト穴に外水圧が作用したとしても、接着剤によってボルト穴を通してマンホールの内部に漏出することがなく、確実に止水することができる。
【0020】
本発明において、前記固定バンドにストッパが設けられることが好ましい。これにより、更生管が一定以上抜け出した場合、固定バンドのストッパが可撓止水材を介してマンホールの内壁面に当接し、それ以上の可撓止水材の抜け出しを阻止することができ、可撓止水材の変位吸収部の過剰な変形を防止することができる。
【0021】
本発明のマンホールと更生管との接続構造は、インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとの接続構造であって、インバートがはつられたマンホール内に設定長さ突出された更生管の外周面に、クッション部材にシール部材を一体に設けた可撓止水材およびフランジ部材が嵌挿され、フランジ部材が可撓止水材をマンホールの内壁面との間に挟んでマンホールの周壁に固定され、また、フランジ部材およびマンホールの内壁面間の可撓止水材の周囲に無収縮モルタルが充填され、さらに、更生管の外周面下半部、フランジ部材の下半部および無収縮モルタルの外周面下半部が復旧されたインバートに埋設されることを特徴とするものである。
【0022】
本発明によれば、マンホール内に設定長さ突出された更生管の外周面に可撓止水材がシール部材を介して密封状態で嵌挿されるとともに、更生管の外周面に嵌挿されたフランジ部材がマンホールの周壁にその内壁面に可撓止水材を密着させて固定され、さらに、フランジ部材およびマンホールの内壁面にわたって可撓止水材の周囲に無収縮モルタルが充填されて密封状態で固定されることにより、更生管の流水断面積を減少させることがなく、流下能力を確保することができ、仮に、マンホールと既設管との接続部分が破損し、破損個所を通して可撓止水材に外水圧が作用したとしても、止水性能を確保することができるとともに、更生管の流下能力に影響を与えることはない。
【0023】
また、地震などの地盤変動によってマンホールに対して既設管が脱落し、あるいは、それらの接続部が破損して、抜け出し、突き出し、あるいは、屈曲が生じたとしても、更生管の外周面に嵌挿された可撓止水材のクッション部材が追従して変形し、容易に各種変位を吸収することができる。
【0024】
さらに、更生管の外周面下半部、フランジ部材の下半部および無収縮モルタルの外周面下半部を覆ってインバートを復旧することにより、インバートによる流下能力を安定して確保することができる。また、地震などによって更生管の突き出しや抜け出しが生じ、更生管に嵌挿された可撓止水材が更生管の突き出しや抜け出しに追従した場合、クッション部材が変形して吸収することができる。
【0025】
この結果、地震などによる既設管および既設管を更生する更生管の変位に対して更生管とマンホールとを、止水性能を維持して接続することができる。
【0026】
本発明において、前記フランジ部材がマンホールの周壁に固定された接着系アンカーボルトおよびナットを介して固定されることが好ましい。これにより、可撓止水材をマンホールの内壁面との間に挟んでフランジ部材をマンホールの周壁に簡単に固定することができる。また、地震などによりマンホールの周壁にひび割れなどが発生し、ひび割れを通してボルト穴に外水圧が作用したとしても、接着剤によってボルト穴を通してマンホールの内部に漏出することがなく、確実に止水することができる。
【0027】
本発明のマンホールと更生管との接続方法は、インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとを接続する方法であって、更生対象の既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、既設管内にライニングパイプを挿入して既設管の内周面に密着させ、マンホール内に設定長さ突出させた更生管を形成し、次いで、更生管の外周面に変位吸収部を有する可撓止水材を嵌挿し、そのフランジ状他端部をマンホールの内壁面に固定するとともに、管状一端部を更生管の外周面に固定し、さらに、更生管の外周面下半部および可撓止水材の変位吸収部の外周面側下半部を覆うクッション材をマンホールの底部に配設した後、コンクリートを打設してインバートを復旧させるとともに、クッション材を埋設することを特徴とするものである。
【0028】
本発明によれば、更生対象の既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、既設管内にライニングパイプを挿入して既設管の内周面に密着させ、マンホール内に設定長さ突出させた更生管を形成する。次いで、更生管の外周面に変位吸収部を有する可撓止水材を嵌挿し、そのフランジ状他端部をマンホールの内壁面に固定するとともに、管状一端部を更生管の外周面に固定した後、更生管の外周面下半部および可撓止水材の変位吸収部の外周面側下半部を覆うクッション材をマンホールの底部に配設する。その後、コンクリートを打設してインバートを復旧させるとともに、クッション材を埋設する。
【0029】
この結果、地震などによる既設管および既設管を更生する更生管の変位に対して更生管とマンホールとを、止水性能を維持して効率よく接続することができる。
【0030】
本発明のマンホールと更生管との接続方法は、インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとを接続する方法であって、更生対象の既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、既設管内にライニングパイプを挿入して既設管の内周面に密着させ、マンホール内に設定長さ突出させた更生管を形成し、次いで、更生管の外周面に変位吸収部を有する可撓止水材を嵌挿し、そのフランジ状他端部をマンホールの内壁面に固定するとともに、管状一端部を更生管の外周面に固定し、さらに、可撓止水材の変位吸収部を覆うカバー材を配設した後、コンクリートを打設してインバートを復旧させるとともに、カバー材の下半部を埋設することを特徴とするものである。
【0031】
本発明によれば、更生対象の既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、既設管内にライニングパイプを挿入して既設管の内周面に密着させ、マンホール内に設定長さ突出させた更生管を形成する。次いで、更生管の外周面に変位吸収部を有する可撓止水材を嵌挿し、そのフランジ状他端部をマンホールの内壁面に固定するとともに、管状一端部を更生管の外周面に固定した後、可撓止水材の変位吸収部を覆うカバー材を更生管の外周面および可撓止水材のフランジ状他端部にわたって配設する。その後、コンクリートを打設してインバートを復旧させるとともに、カバー材の下半部を埋設する。
【0032】
この結果、地震などによる既設管および既設管を更生する更生管の変位に対して更生管とマンホールとを、止水性能を維持して効率よく接続することができる。
【0033】
本発明のマンホールと更生管との接続方法は、インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとを接続する方法であって、更生対象の既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、既設管内にライニングパイプを挿入して既設管の内周面に密着させ、マンホール内に設定長さ突出させた更生管を形成し、次いで、更生管の外周面にクッション部材にシール部材を一体に設けた可撓止水材を嵌挿した後、フランジ部材を更生管の外周面に嵌挿するとともに、可撓止水材をマンホールの内壁面との間に挟んでマンホールの周壁に固定し、さらに、フランジ部材およびマンホールの内壁面間の可撓止水材の周囲に無収縮モルタルを充填した後、コンクリートを打設してインバートを復旧させるとともに、更生管の外周面下半部、フランジ部材の下半部および無収縮モルタルの外周面下半部を埋設することを特徴とするものである。
【0034】
本発明によれば、更生対象の既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、既設管内にライニングパイプを挿入して既設管の内周面に密着させ、マンホール内に設定長さ突出させた更生管を形成する。次いで、更生管の外周面にクッション部材にシール部材を一体に設けた可撓止水材を嵌挿した後、フランジ部材を更生管の外周面に嵌挿するとともに、可撓止水材をマンホールの内壁面間に挟んでマンホールの周壁に固定し、さらに、フランジ部材およびマンホールの内壁面間の可撓止水材の周囲に無収縮モルタルを充填する。その後、コンクリートを打設してインバートを復旧させるとともに、更生管の外周面下半部、フランジ部材の下半部および無収縮モルタルの外周面下半部を埋設する。
【0035】
この結果、地震などによる既設管および既設管を更生する更生管の変位に対して更生管とマンホールとを、止水性能を維持して効率よく接続することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、インバートを有する既存のマンホールであっても、地震などによる既設管および更生管の変位に対して既設管を更生する更生管とマンホールとを、止水性を維持して接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のマンホールと更生管との接続構造の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】可撓止水材を示す半断面図である。
【図5】クッション材を示す斜視図である。
【図6】図1の接続構造の施工要領を説明する工程図である。
【図7】図6のC−C線断面図である。
【図8】図6のX部拡大図である。
【図9】図1のマンホールと更生管との接続構造の変形例を示す要部拡大図である。
【図10】本発明のマンホールと更生管との接続構造の他の実施形態を示す正面図である。
【図11】図10の縦断面図である。
【図12】図11のY部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
図1乃至図3には、本発明のマンホールと更生管との接続構造の一実施形態が示されている。
【0040】
この接続構造は、マンホール1に接続されたヒューム管などの既設管2を更生する更生管3と、マンホール1内に設定長さ突出された更生管3の外周面に嵌挿され、更生管3の外周面先端部近傍およびマンホール1の内壁面にそれぞれ各端部が固定された可撓止水材4と、更生管3の外周面下半部および可撓止水材4の外周面下半部を覆って配設されたクッション材7とから構成され、復旧されたマンホール1のインバート1aにクッション材7が埋設されるとともに、更生管3の内周面下半部が連通されている。
【0041】
更生管3は、前述したように、塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂によって形成され、既設管2との間にモルタルなど裏込め材が充填されておらず、既設管2に対して独立して変位可能である。
【0042】
可撓止水材4は、図4に示すように、管状一端部41と、フランジ状他端部42と、これらの管状一端部41およびフランジ状他端部42に連続して全周にわたる略Z字状の変位吸収部43とからなり、下水道管などにおいて発生する硫化水素などの影響を受けないゴム、あるいは、合成樹脂によって一体に形成されている。そして、可撓止水材4の管状一端部41の先端外周面には、後述する固定バンド5の抜け出しを防止する抜け止め用フランジ411が形成されるとともに、その内周面には、軸線方向に間隔をおいて複数個の止水用突起412が全周にわたって形成されている。また、可撓止水材4のフランジ状他端部42には、周方向に間隔をおいて複数個のアンカーボルト用取付穴42aが形成されるとともに、その外面にアンカーボルト用取付穴42aの外周側および内周側に位置して複数個の止水用突起421が円周状に形成されている。さらに、可撓止水材4の管状一端部41およびフランジ状他端部42は、軸心に対して直交する端面に形成され、それぞれ固定バンド5および接着系アンカーボルトを介して更生管3の外周面およびマンホール1の内壁面に固定されている。
【0043】
クッション材7は、インバート1aを復旧するために打設されたコンクリートが可撓止水材4に接触することを防止するとともに、その変位吸収部43の変形を許容するために設けられ、発泡ポリエチレンなどの発泡体によって形成されている。具体的には、クッション材7は、図5に示すように、可撓止水材4の変位吸収部43の下半部周囲を一定空間を確保して覆う内周面7aと、更生管3の外周面下半部に対応する内周面7bとの段差状の内周面を有する、下隅角部が切り落とされた略直方体形状に形成され、可撓止水材4のフランジ状他端部42の内面から更生管3の先端を越えて設定長さ突出された先端までの幅を有している。そして、クッション材7の先端部には、高さ方向に更生管3の厚みに略相当する高さの段差7cが形成されており、後述するように、その段差7cは、インバート1aを復旧するためにコンクリートが打設された際、コンクリートによって覆われるようになっている。
【0044】
なお、クッション材7の形状は特に限定されず、例えば、略直方体形状の外面形状に代えて半円管状の外面形状、すなわち、半円周面に形成してもよい。
【0045】
ここで、可撓止水材4の管状一端部41を更生管3の外周面に固定する固定バンド5は、詳細には図示しないが、略半円状のバンド本体51の両端部にナットおよびスリーブをそれぞれ設けて構成され、一対のバンド本体51を互いにナットおよびスリーブが対向するように可撓止水材4の管状一端部41の外周面に装着し、ボルトをスリーブを経てナットにねじ込むことにより、一対のバンド本体51を連結固定することができる。これにより、固定バンド5は、バンド本体51を介して可撓止水材4の管状一端部41の外周面にほぼ均等な締め付け力を作用させることができる。したがって、更生管3の外周面に可撓止水材4の管状一端部41の内周面に設けた止水用突起412を密着させて密封状態で固定することができる。また、バンド本体51の外周面には、ストッパ52(図8参照)が設けられており、後述するように、可撓止水材4の引き抜き方向の移動を阻止することができる。
【0046】
また、可撓止水材4のフランジ状他端部42をマンホール1の内壁面に固定する接着系アンカーボルトは、マンホール1の周壁に可撓止水材4のフランジ状他端部42に形成されたボルト用取付穴42aに対応してボルト穴を形成し、ボルト穴に対してアンカーボルト6を接着剤を介して固定するものである。これにより、地震などによりマンホール1の周壁にひび割れなどが発生してボルト穴に連続し、ひび割れを通してボルト穴に外水圧が作用したとしても、接着剤によってボルト穴を経てマンホール1の内部に漏出することがなく、確実に止水することができる。
【0047】
次に、このように構成された接続構造を施工する手順について以下説明する。
【0048】
まず、更生対象の既設管2が接続されるマンホール1において、インバート1aをはつり、既設管2の管底部側にクッション材7の配設空間を形成する。次いで、更生管3の外周面に可撓止水材4を嵌挿した際に、可撓止水材4のフランジ状他端部42に形成されたアンカーボルト用取付穴42aに対応してマンホール1の周壁にボルト穴を形成した後、該ボルト穴に接着剤を充填し、アンカーボルト6を打ち込んで固定する。その後、マンホール1にわたる既設管2内に、既設管2の内径よりも小径であって、形状記憶温度において円管形状に形状回復する塩化ビニルなどのライニングパイプを挿入し、ライニングパイプを加熱して拡径させ、円管形状に復元させた後、ライニングパイプを既設管2の内周面に密着させて更生管3を形成する。この際、更生管3をマンホール1内に設定された長さ分突出させる。
【0049】
なお、マンホール1の周壁が硫化水素などによって浸食されている場合は、エポキシ樹脂などを用いて周壁の補修を行う。
【0050】
接着剤が硬化してアンカーボルト6が固定されたならば、マンホール1の内壁面における可撓止水材4のフランジ状他端部42が接触する部位にブチルゴムなどのシール材62(図8参照)を貼着した後、マンホール1内に突出された更生管3の外周面に可撓止水材4を嵌挿するとともに、そのフランジ状他端部42のアンカーボルト用取付穴42aをアンカーボルト6に挿通する。次いで、予めフランジ状他端部42のアンカーボルト用取付穴42aに対応する複数個の取付穴を形成した鋼板製のフランジ材45(図2、図8参照)をアンカーボルト6に挿通して可撓止水材4のフランジ状他端部42の内面にあてがった後、アンカーボルト6にナット61をねじ込み、可撓止水材4のフランジ状他端部42をマンホール1の内壁面に固定する。これにより、可撓止水材4のフランジ状他端部42の外面とマンホール1の内壁面とがシール部材62および止水用突起421を介して密封される。
【0051】
さらに、可撓止水材4の管状一端部41の先端部近傍の周囲に一対のバンド本体51を装着してボルトをスリーブを経てナットにねじ込み、一対のバンド本体51を介して可撓止水材4の管状一端部41を更生管3の外周面に固定する。これにより、更生管3の外周面と可撓止水材4の管状一端部41の内周面とが止水用突起412を介して密封される(図6乃至図8参照)。
【0052】
この際、マンホール1は、現場組立のマンホール、すなわち、上方より見て内壁面が円弧状に形成されていることにより、可撓止水材4のフランジ状他端部42および変位吸収部43は、その管頂部および管底部に対して左右両側が内壁面の曲率半径に沿って湾曲することから、左右両側の変位吸収部43の屈曲状態が大きくなる。したがって、固定バンド5のボルトおよびナットによる連結部分を管頂部および管底部に配置することが、作業スペースを確保して作業する上で好ましい。
【0053】
可撓止水材4の取付作業が終了したならば、インバート1aをはつることによって更生管3の外周面側下半部および可撓止水材4の外周面側下半部に形成された空間にクッション材7を配設する。すなわち、更生管3の外周面下半部にクッション材7の前方の内周面7bを接触させるとともに、基端面を可撓止水材4のフランジ状他端部42の内面に接触させてクッション材7をマンホール1の底部に配置する。この際、クッション材7の後方の内周面7aは、可撓止水材4の変位吸収部43との間に一定の空間を確保するように設定されている。次いで、先にはつった箇所にコンクリートを打設し、クッション材7を埋設しつつ更生管3の内周面下半部に連続するインバート1aを復旧させる。具体的には、コンクリートは、クッション材7の段差7cを埋めるとともに、更生管3の先端面に更生管3の厚み分の半円を形成するように打設される。これにより、更生管3の先端面下半部前方に更生管3の厚みに相当する厚みの、正面より見て略逆オメガ状のコンクリートが形成される。
【0054】
なお、インバート1aは、更生管3の外周面に連続するように復旧させてもよい。
【0055】
このように構成されたマンホール1と更生管3との接続構造においては、次のような利点がある。
【0056】
マンホール1内に設定長さ突出させた更生管3の外周面とマンホール1の内壁面とにわたって可撓止水材4を固定したことにより、更生管3の流水断面積を減少させることがなく、流下能力を確保することができる。
【0057】
また、地震などの地盤変動によってマンホール1に対して既設管2が脱落し、あるいは、それらの接続部が破損して、抜け出し、突き出し、あるいは、屈曲が生じたとしても、更生管3の外周面およびマンホール1の内壁面にわたって固定された可撓止水材4の変位吸収部43が追従して変形し、容易に各種変位を吸収することができる。また、可撓止水材4は、マンホール1の内壁面と更生管3の外周面とに密封状態で固定されており、仮に、マンホール1と既設管2との接続部分が破損し、破損個所を通して可撓止水材4に外水圧が作用したとしても、止水性能を確保することができるとともに、更生管3の流下能力に影響を与えることがない。
【0058】
さらに、更生管3の外周面下半部および可撓止水材4の外周面下半部を覆うクッション材7を配設してインバート1aを復旧することにより、インバート1aによる流下能力を安定して確保することができる。また、地震などによって更生管3の突き出しが生じ、更生管3に固定された可撓止水材4が更生管3の突き出しに追従した場合、クッション材7を圧縮変形させながら変位吸収部43が変形して吸収することから、可撓止水材4を保護して変位吸収部43の変形を確保することができる。
【0059】
一方、地震などによって更生管3の抜け出しが生じ、更生管3に固定された可撓止水材4が更生管3の抜け出しに追従した場合、変位吸収部43が変形して吸収する。そして、更生管3が一定以上抜け出した場合、固定バンド5のストッパ52が可撓止水材4を介してマンホール1の内壁面に当接し、それ以上可撓止水材4が抜け出し方向に移動することが阻止される。
【0060】
さらにまた、地震などによりマンホール1の周壁にひび割れなどが生じてアンカーボルト6に伝わった場合において、アンカーボルト6は接着剤によって固定されており、外水圧がアンカーボルト6を経て漏水することはなく、止水性能を確保することができる。
【0061】
また、施工に際して、既設管2の切断や切り欠き加工などを行うことがないので、健全な状態の既設管2に更生管3を形成することから、更生管3の形成前と同等以上の管強度を維持することができる。
【0062】
しかも、接続作業は、マンホール1内において、マンホール1の内壁面および更生管3の外周面に対するものとなることから、作業性を確保して効率よく行うことができる。
【0063】
ところで、前述した実施形態においては、インバート1aを復旧するコンクリートから可撓止水材4を保護するため、更生管3の外周面側下半部および可撓止水材4の外周面側下半部にクッション材7を配設する場合を説明したが、可撓止水材4をカバー材によって覆うようにしてもよい。
【0064】
具体的には、カバー材8は、ステンレス鋼板からなり、図9に示すように、更生管3の外径に対応する内径の穴を有する円板部81と、円板部81の外周縁に連結された円筒部82とから形成され、円筒部82の先端は、マンホール1の内壁面に沿って湾曲された可撓止水材4のフランジ状他端部42を固定するフランジ材45に沿うように切断されている。
【0065】
このカバー材8を用いる場合も、前述したように、更生管3に可撓止水材4を嵌挿し、更生管3の外周面およびマンホール1の内壁面にそれぞれ可撓止水材4の管状一端部41およびフランジ状他端部42を固定した後、カバー材8の円板部81を更生管3の外周面に嵌挿するとともに、円筒部82の先端をフランジ材45に突き合わせ、カバー材8を接着剤などで仮止めした後、コンクリートを打設してインバート1aを復旧させればよいものである。
【0066】
なお、カバー材8としては、円筒部82をテレスコープ状に摺動自在に形成し、その先端をフランジ材45に突き合わせるようにしてもよい。
【0067】
また、カバー材8としては、ステンレス鋼板に限らず、ゴム製であってもよい。
【0068】
さらに、図10乃至図12には、本発明のマンホールと更生管との接続構造の他の実施形態が示されている。
【0069】
この実施形態の接続構造は、マンホール1に接続された既設管2を更生する更生管3と、マンホール1内に設定長さ突出された更生管3の外周面に嵌挿された可撓止水材9と、更生管3の外周面に嵌挿されるとともに、マンホール1の周壁に固定されたフランジ部材10とから構成され、フランジ部材10およびマンホール1の内壁面を型枠として可撓止水材9の周囲には無収縮モルタル11が充填されて可撓止水材9の止水性能が確保される一方、更生管3の外周面下半部に復旧されたマンホール1のインバート1aが連通されている。
【0070】
可撓止水材9は、発泡ポリエチレンなど発泡体によって管状に形成されたクッション部材91と、クッション部材91の一端側内周面に一体に設けられ、リップ部921を有して断面略V字状に形成されたゴム、または、合成樹脂製のシール部材92とからなり、シール部材92のリップ部921が更生管3の外周面に接触して密封するように設定されている。
【0071】
フランジ部材10は、インバート1aを復旧するコンクリートから可撓止水材9を保護するとともに、可撓止水材9をマンホール1の内壁面に密着状態で固定し、さらに、無収縮モルタル11の型枠として機能するものであり、更生管3の外径よりも若干大きな内径の嵌合穴10aを有して円板状に形成され、周縁部に複数個のアンカーボルト用取付穴10bが周方向に間隔をおいて形成されている。
【0072】
次に、このような可撓止水材9およびフランジ部材10を用いてマンホール1と更生管3とを接続する施工手順について説明する。
【0073】
まず、先の実施形態の施工手順と同様に、更生対象の既設管2が接続されるマンホール1において、インバート1aをはつった後、更生管3の外周面にフランジ部材10を嵌挿した際に、フランジ部材10に形成されたアンカーボルト用取付穴10bに対応してマンホール1の周壁にボルト穴を形成した後、該ボルト穴に接着剤を充填し、アンカーボルト6を打ち込んで固定する。次いで、マンホール1内に設定長さ突出させた状態でマンホール1にわたる既設管2内に更生管3を形成する。
【0074】
接着剤が硬化してアンカーボルト6が固定されたならば、マンホール1の内壁面にブチルゴムなどのシール材62をアンカーボルト6に嵌挿して円周方向に貼着した後、マンホール1内に突出された更生管3の外周面に可撓止水材9を嵌挿する。この際、可撓止水材9のシール部材92のリップ部921が更生管3の外周面に接触し、密封する。次いで、予め可撓止水材9の外周面に対応する部位の内面側円周方向およびアンカーボルト用取付穴10bに対応する部位の内面側円周方向にそれぞれブチルゴムなどのシール材62を貼着したフランジ部材10を嵌合穴10aを通して更生管3の外周面に嵌挿するとともに、そのアンカーボルト用取付穴10bをアンカーボルト6に挿通する。次いで、アンカーボルト6にナット61をねじ込み、マンホール1の内壁面に可撓止水材9を密着させた状態でフランジ部材10を固定する。その後、フランジ部材10およびマンホール1の内壁面を型枠として可撓止水材9の周囲に無収縮モルタル11を充填する。これにより、フランジ部材10の内面、マンホール1の内壁面および可撓止水材9の外面によって形成される空間が密封される。
【0075】
この際、マンホール1の内壁面が上方より見て円弧状に形成されていることにより、可撓止水材9のクッション部材91は、その管頂部および管底部に対して左右両側が内壁面の曲率半径に沿うように圧縮変形される。
【0076】
無収縮モルタル11が硬化すれば、先にはつった箇所にコンクリートを打設し、更生管3の外周面に連続するインバート1aを復旧させる。すなわち、コンクリートは、更生管3の外周面下半部、フランジ部材10の下半部および無収縮モルタル11の外周面下半部を埋めるように打設される。
【0077】
このように施工されたマンホール1と更生管3との接続構造においても、マンホール1内に設定長さ突出させた更生管3の外周面とマンホール1の内壁面とにわたって可撓止水材9をフランジ部材10および無収縮モルタル11を介して固定したことにより、更生管3の流水断面積を減少させることがなく、流下能力を確保することができる。
【0078】
また、地震などの地盤変動によってマンホール1に対して既設管2が脱落し、あるいは、それらの接続部が破損して、抜け出し、突き出し、あるいは、屈曲が生じたとしても、可撓止水材9のクッション部材91が追従して変形し、容易に各種変位を吸収することができる。また、可撓止水材9は、更生管3の外周面にシール部材92のリップ部921を接触させて密封するとともに、マンホール1の内壁面とフランジ部材10の内面間に充填された無収縮モルタル11によって密封状態で固定されており、仮に、マンホール1と既設管2との接続部分が破損し、破損個所を通して可撓止水材9に外水圧が作用したとしても、止水性能を確保することができるとともに、更生管3の流下能力に影響を与えることはない。
【0079】
さらに、更生管3の外周面下半部、フランジ部材10の下半部および無収縮モルタル11の外周面下半部を覆ってインバート1aを復旧することにより、インバート1aによる流下能力を安定して確保することができる。また、地震などによって更生管3の突き出しが生じ、更生管3に嵌挿された可撓止水材9が更生管3の突き出しに追従した場合、可撓止水材9のクッション部材91をフランジ部材10との間で圧縮変形させて吸収することができる。そして、可撓止水材9のクッション部材91が一定量変形すれば、可撓止水材9に対して更生管3のみが突き出される。
【0080】
一方、地震などによって更生管3の抜け出しが生じ、更生管3に嵌挿された可撓止水材9が更生管3の抜け出しに追従した場合、可撓止水材9のクッション部材91をマンホール1の内壁面との間で圧縮変形させて吸収することができる。そして、可撓止水材9のクッション部材91が一定量変形すれば、可撓止水材9に対して更生管3のみが抜け出される。これにより、更生管3のマンホール1内への突出量に予め余裕量を確保することによって更生管3の抜け出し方向の大きな移動量を確保することができる。
【0081】
さらにまた、地震などによりマンホール1の周壁にひび割れなどが生じてアンカーボルト6に伝わった場合において、アンカーボルト6は接着剤によって固定されており、外水圧がアンカーボルト6を経て漏水することはなく、止水性能を確保することができる。
【0082】
また、施工に際して、既設管2の切断や切り欠き加工などを行うことがないので、健全な状態の既設管2に更生管3を形成することから、更生管3の形成前と同等以上の管強度を維持することができる。
【0083】
なお、前述した実施形態においては、マンホール1として、上方より見て壁面が円弧状の現場組立マンホールを例示したが、壁面がフラットな現場打ちマンホールであってもよい。この際、可撓止水材4,9は、可撓性を有することにより、マンホールの壁面形状に合わせて成形する必要がなく、仕様を共通化することができる。
【0084】
また、更生管3としては、繊維強化プラスチックなどの反転工法および形成工法によるものであっても構わない。
【符号の説明】
【0085】
1 マンホール
1a インバート
2 既設管
3 更生管
4,9 可撓止水材
41 管状一端部
42 フランジ状他端部
43 変位吸収部
45 フランジ材
91 クッション部材
92 シール部材
921 リップ部
5 固定バンド
51 バンド本体
52 ストッパ
6 アンカーボルト
61 ナット
7 クッション材
8 カバー材
10 フランジ部材
11 無収縮モルタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとの接続構造であって、インバートがはつられたマンホール内に設定長さ突出された更生管の外周面に変位吸収部を有する可撓止水材が嵌挿されるとともに、可撓止水材の管状一端部およびフランジ状他端部がそれぞれ更生管の外周面およびマンホールの内壁面に密封状態で固定され、また、更生管の外周面下半部および可撓止水材の変位吸収部の外周面下半部を覆うクッション材がマンホール底部に配設されるとともに、クッション材が復旧されたインバートに埋設されることを特徴とするマンホールと更生管との接続構造。
【請求項2】
インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとの接続構造であって、インバートがはつられたマンホール内に設定長さ突出された更生管の外周面に変位吸収部を有する可撓止水材が嵌挿されるとともに、可撓止水材の管状一端部およびフランジ状他端部がそれぞれ更生管の外周面およびマンホールの内壁面に密封状態で固定され、また、可撓止水材の変位吸収部を全周にわたって覆うカバー材が配設されるとともに、カバー材の下半部が復旧されたインバートに埋設されることを特徴とするマンホールと更生管との接続構造。
【請求項3】
請求項1または2記載のマンホールと更生管との接続構造において、前記可撓止水材の管状一端部が更生管の外周面に固定バンドを介して固定され、また、フランジ状他端部がマンホールの周壁に固定された接着系アンカーボルト、フランジ材およびナットを介して固定されることを特徴とするマンホールと更生管との接続構造。
【請求項4】
請求項3記載のマンホールと更生管との接続構造において、前記固定バンドにストッパが設けられることを特徴とするマンホールと更生管との接続構造。
【請求項5】
インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとの接続構造であって、インバートがはつられたマンホール内に設定長さ突出された更生管の外周面に、クッション部材にシール部材を一体に設けた可撓止水材およびフランジ部材が嵌挿され、フランジ部材が可撓止水材をマンホールの内壁面との間に挟んでマンホールの周壁に固定され、また、フランジ部材およびマンホールの内壁面間の可撓止水材の周囲に無収縮モルタルが充填され、さらに、更生管の外周面下半部、フランジ部材の下半部および無収縮モルタルの外周面下半部が復旧されたインバートに埋設されることを特徴とするマンホールと更生管との接続構造。
【請求項6】
請求項5記載のマンホールと更生管との接続構造において、前記フランジ部材がマンホールの周壁に固定された接着系アンカーボルトおよびナットを介して固定されることを特徴とするマンホールと更生管との接続構造。
【請求項7】
インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとを接続する方法であって、更生対象の既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、既設管内にライニングパイプを挿入して既設管の内周面に密着させ、マンホール内に設定長さ突出させた更生管を形成し、次いで、更生管の外周面に変位吸収部を有する可撓止水材を嵌挿し、そのフランジ状他端部をマンホールの内壁面に固定するとともに、管状一端部を更生管の外周面に固定し、さらに、更生管の外周面下半部および可撓止水材の変位吸収部の外周面側下半部を覆うクッション材をマンホールの底部に配設した後、コンクリートを打設してインバートを復旧させるとともに、クッション材を埋設することを特徴とする更生管とマンホールとの接続方法。
【請求項8】
インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとを接続する方法であって、更生対象の既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、既設管内にライニングパイプを挿入して既設管の内周面に密着させ、マンホール内に設定長さ突出させた更生管を形成し、次いで、更生管の外周面に変位吸収部を有する可撓止水材を嵌挿し、そのフランジ状他端部をマンホールの内壁面に固定するとともに、管状一端部を更生管の外周面に固定し、さらに、可撓止水材の変位吸収部を覆うカバー材を配設した後、コンクリートを打設してインバートを復旧させるとともに、カバー材の下半部を埋設することを特徴とする更生管とマンホールとの接続方法。
【請求項9】
インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生する更生管とマンホールとを接続する方法であって、更生対象の既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、既設管内にライニングパイプを挿入して既設管の内周面に密着させ、マンホール内に設定長さ突出させた更生管を形成し、次いで、更生管の外周面にクッション部材にシール部材を一体に設けた可撓止水材を嵌挿した後、フランジ部材を更生管の外周面に嵌挿するとともに、可撓止水材をマンホールの内壁面との間に挟んでマンホールの周壁に固定し、さらに、フランジ部材およびマンホールの内壁面間の可撓止水材の周囲に無収縮モルタルを充填した後、コンクリートを打設してインバートを復旧させるとともに、更生管の外周面下半部、フランジ部材の下半部および無収縮モルタルの外周面下半部を埋設することを特徴とする更生管とマンホールとの接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−236303(P2010−236303A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86756(P2009−86756)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(000196624)西武ポリマ化成株式会社 (60)
【Fターム(参考)】