説明

ミラー角度検出装置

【課題】部品点数の増加を抑制できるミラー角度検出装置を提供する。
【解決手段】車体に取り付けられたブラケット15と、ブラケット15との間に収容室18を形成するホルダ16と、ホルダ16に設けられたピボット軸16aと、ミラーを支持し、かつ、ピボット軸16aに揺動可能に取り付けられたピボットプレート17と、垂直方向の平面内及び水平方向の平面内におけるミラーの角度を検出する角度検出機構25とを備えたミラー角度検出装置であって、角度検出機構25は、ピボットプレート17に取り付けられた永久磁石25aと、ホルダ16に取り付けられ、かつ、垂直方向の平面内におけるミラーの角度及び水平方向の平面内におけるミラーの角度を、永久磁石25aの磁界から検出する磁気センサユニット25bとを有し、永久磁石25a及び磁気センサユニット25bは、ピボット軸16aの中心線Aに沿って同軸上に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に取り付けられたミラーの水平方向における角度、及び垂直方向における角度を検出するミラー角度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の室内に設けられた角度調整スイッチを操作して、車両のドア(車体)に取り付けられたドアミラー(ミラー)を電動モータで動作させて、そのドアミラーの角度を自動的に調整することのできるミラー角度調整装置が知られている。また、ミラー角度調整装置を有する車両において、運転者毎に予め複数のミラー角度を記憶部に記憶しておき、運転者が操作スイッチを操作して何れか1つのミラー角度を選択すると、選択されたミラー角度となるように、ミラー角度を自動的に調整する制御が知られている。このように、実際のミラー角度を、選択されたミラー角度となるように調整するにあたり、実際のミラー角度を検出するミラー角度検出装置が設けられており、そのミラー角度検出装置の一例が、特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたミラー角度検出装置は、ミラーホルダにミラーを取り付けたミラーユニットと、ミラーユニットがピボット機構を介して傾動可能に取り付けられ、かつ、ミラーユニットを傾動させるパワーユニットと、ミラーユニットの傾動による永久磁石の磁界の変化を検出してミラーユニットの傾動角度を演算する角度検出ユニットとを備えている。
【0004】
また、角度検出ユニットは、パワーユニットの上部から右側部にかけて包囲する略L字形状をなすケーシングを備えている。さらに、角度検出ユニットは、上下方向(垂直方向)用の永久磁石及び左右方向(水平方向)用の永久磁石を有するとともに、上下方向用の磁気検出センサ及び左右方向用の磁気検出センサを有している。上下方向用の永久磁石は、ミラーホルダの背面のうち、ピボット軸の上部に固定され、左右方向用の永久磁石は、ミラーホルダの背面のうち、ピボット軸の側方(右側)に固定されている。さらに、上下方向用の磁気検出センサ及び左右方向用の磁気検出センサは、ケーシング内に設けられている。具体的に説明すると、上下方向用の磁気検出センサは、上下方向用永久磁石の上側に配置され、左右方向用の磁気検出センサは、左右方向用の永久磁石の側方に配置されている。
【0005】
特許文献2に記載された車両用アウターミラー装置においては、第1電動モータが作動すると、第1ドライブロッドがハウジングに対して伸縮し、ミラーホルダにより支持されたミラーの上下方向(垂直方向)の鏡面角度が変更されるように構成されている。これに対して第2電動モータが作動すると、第2ドライブロッドがハウジングに対して伸縮し、ミラーホルダにより支持されたミラーの左右方向(水平方向)の鏡面角度が変更されるように構成されている。
【0006】
また、ミラーにおける上下方向の鏡面角度を検出する第1鏡面角度検出センサ、及びミラーにおける左右方向の鏡面角度を検出する第2鏡面角度検出センサが設けられている。第1鏡面角度検出センサは、第1ドライブロッドに追従する第1センサロッドを備え、第2鏡面角度検出センサは、第2ドライブロッドに追従する第2センサロッドを備えている。第1センサロッドには上下用摺動接点が設けられ、上下用摺動接点が摺動可能に接触する第1基板が設けられている。第2センサロッドには左右用摺動接点が設けられ、左右用摺動接点が摺動可能に接触する第2基板が設けられている。このように構成された第1鏡面角度検出センサはポテンショメータであり、第1ドライブロッドの移動に追従して第1センサロッドが移動すると、出力電圧の変化によりミラーの上下方向の鏡面角度を検出する構成である。また、第2鏡面角度検出センサはポテンショメータであり、第2ドライブロッドの移動に追従して第2センサロッドが移動すると、出力電圧の変化によりミラーの左右方向の鏡面角度を検出する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−157519号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2004−175260号公報(図3、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1、2に記載されたミラー角度検出装置においては、垂直方向用の永久磁石と水平方向用の永久磁石とが別個に設けられているとともに、垂直方向のミラー角度を検出するミラー角度検出ユニットと、水平方向のミラー角度を検出するミラー角度検出ユニットとが別個に設けられていた。このため、ミラー角度検出装置を構成する部品点数が増加して、ミラー角度検出装置の大型化、及び組み立て工数の増加によるコスト高を招く問題があった。
【0009】
本発明の目的は、部品点数の増加を抑制することのできるミラー角度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のミラー角度検出装置は、車体に取り付けられたブラケットと、前記ブラケットに取り付けられ、かつ、このブラケットとの間に収容室を形成するホルダと、前記収容室に設けられた電動モータと、前記ホルダにおける前記ブラケットとは反対側に設けられたピボット軸と、ミラーを支持し、かつ、前記ピボット軸を中心として三次元的に揺動可能に取り付けられたピボットプレートと、前記電動モータの動力で動作し、かつ、前記ピボットプレートを前記ピボット軸を中心として垂直方向及び水平方向に揺動させる動作力変換機構と、前記垂直方向の平面内における前記ミラーの角度及び水平方向の平面内における前記ミラーの角度を検出する角度検出機構とを備えたミラー角度検出装置であって、前記角度検出機構は、前記ピボットプレートに取り付けられた単数の永久磁石と、前記ホルダに取り付けられ、かつ、前記垂直方向の平面内における前記ミラーの角度及び水平方向の平面内における前記ミラーの角度を、前記永久磁石の磁界から検出する単数の磁気センサユニットとを有し、前記永久磁石及び前記磁気センサユニットは、前記ピボット軸の中心線に沿って同軸上に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のミラー角度検出装置は、前記磁気センサユニットが、前記垂直方向の平面内における前記ミラーの角度を、前記永久磁石の磁界から検出する2個の垂直方向用磁気センサと、前記水平方向の平面内における前記ミラーの角度を、前記永久磁石の磁界から検出する2個の水平方向用磁気センサとを、基板に取り付けて構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のミラー角度検出装置は、前記永久磁石が環状に構成されており、その永久磁石は前記ピボット軸を取り囲むように配置されており、前記磁気センサユニットは、前記収容室の内部に設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明のミラー角度検出装置は、前記電動モータには、前記ピボットプレートを垂直方向に動作させる動力を発生する第1電動モータと、前記ピボットプレートを水平方向に動作させる動力を発生する第2電動モータとが含まれており、前記磁気センサユニットは、前記第1電動モータと前記第2電動モータとの間に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のミラー角度検出装置によれば、永久磁石と、垂直方向の平面内におけるミラーの角度及び水平方向の平面内におけるミラーの角度を検出する磁気センサユニットとが、ピボット軸の中心線に沿って同軸上に配置されている。このため、永久磁石が1個で済むとともに、垂直方向の平面内におけるミラーの角度、及び水平方向の平面内におけるミラーの角度を、1個の磁気センサユニットで検出することができる。したがって、部品点数が増加することを抑制でき、結果として、部品を配置するスペースを狭めることができ、ミラー角度検出装置の大型化を抑制できる。さらに、部品点数の増加を抑制できるため、ミラー角度検出装置の組み立て工数を削減でき、製造コストの上昇を抑制できる。
【0015】
本発明のミラー角度検出装置によれば、環状の永久磁石がピボット軸を取り囲むように配置されており、磁気センサユニットが収容室の内部に設けられている。したがって、元々ある空間を利用して、永久磁石及び磁気センサユニットを配置することができる。
【0016】
本発明のミラー角度検出装置によれば、磁気センサユニットが、第1電動モータと第2電動モータとの間に配置されている。したがって、元々ある空間を利用して、永久磁石及び磁気センサユニットを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のミラー角度検出装置を適用したドアミラー装置を、車両の後方側から見た概念図である。
【図2】図1に示されたドアミラー装置を側方から見た概念図である。
【図3】図1に示されたドアミラー装置の分解斜視図である。
【図4】図1に示されたドアミラー装置の水平方向における断面図である。
【図5】図1に示されたドアミラー装置の垂直方向における縦断面図である。
【図6】図1に示されたドアミラー装置に用いる磁気センサユニットの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明におけるミラー角度検出装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1、図2は、本発明におけるミラー角度検出装置10を、車両(自動車)のドアに取り付けるドアミラー装置11に適用した具体例である。ドアミラー装置11は、車体の一部を構成するドア(図示せず)に取り付けられたミラーステー(図示せず)に取り付けられている。図1には、車両の進行方向を向いて左側のドアに取り付けられたドアミラー装置11が示されている。ドアミラー装置11は、ミラーユニット12を収容したミラーハウジング13と、ミラーユニット12を垂直方向(上下方向)及び水平方向(左右方向)に動作させる駆動ユニット14とを有する。
【0019】
ここで、上下方向とは、車両の高さ方向と同じ意味であり、左右方向とは車両の幅方向と同じ意味である。ミラーハウジング13は樹脂により形成されており、ミラーハウジング13には、車両の後方側に向けて開口された収容室13aが設けられている。すなわち、ミラーハウジング13はカップ形状に構成されている。そのミラーハウジング13の収容室13aに、ミラーユニット12及び駆動ユニット14が設けられている。ミラーユニット12は、ガラス製のミラー12aと、ミラー12aを支持する樹脂製のミラーホルダ12bとによって構成されている。
【0020】
前記駆動ユニット14は、ミラーステーに取り付けられたブラケット15と、ブラケット15に取り付けられたホルダ16と、ミラーユニット12が取り付けられたピボットプレート17とを有している。また、ホルダ16におけるピボットプレート17側には、ピボットプレート17側に向けて突出されたスリーブ形状のピボット軸16aが設けられている。ピボット軸16aの外周面16bの一部は球面を模して構成されている。この球面は、ピボット軸16aの中心線A上に位置する基準点Bを中心として所定の曲率半径に設定されている。
【0021】
一方、ピボットプレート17にはカップ形状の支持部17aが設けられており、その支持部17aはホルダ16側で開口されている。また、支持部17aの内周面17bの一部が球面を模して構成されており、ピボット軸16aが支持部17aに嵌め込まれている。そして、ピボットプレート17がピボット軸16aを中心として三次元的に揺動することが可能なように、支持部17aの内周面17bの曲率半径が設定されている。
【0022】
さらに、ピボットプレート17には、中心線Aを中心とする半径方向で支持部17aよりも外側に、図1に示すような係止孔17cが複数設けられている。一方、ミラーホルダ12bには複数の係止爪(図示せず)が設けられており、係止爪が係止孔17cに係合されて、ミラーホルダ12bがピボットプレート17に固定されている。
【0023】
前記ブラケット15及びホルダ16及びピボットプレート17は共に樹脂製であり、ブラケット15におけるホルダ16側には、周壁部15aが設けられている。周壁部15aは、ホルダ16に向けて突出されており、切れ目なく環状に形成されている。一方、ホルダ16におけるブラケット15側には、周壁部16cが設けられている。周壁部16cは、ブラケット15に向けて突出されており、切れ目なく環状に形成されている。この2つの周壁部15a,16cは所定の平面内で相似形状を有している。また、周壁部15a,16c同士が嵌合されて、ブラケット15とホルダ16とが位置決めされた状態で、ネジ部材(図示せず)を締め付けることにより、ホルダ16がブラケット15に固定されている。
【0024】
このようにして固定されたブラケット15とホルダ16との間に、3つの収容室18,19,20が形成されている。図4及び図5に示すように、水平方向での平面内及び垂直方向での平面内において、収容室は18は中心線Aを含む位置に設けられており、収容室18には2個の電動モータ21,22が収納されている。2個の電動モータ21,22は、車体側に設けられたバッテリまたはキャパシタ等の電源(図示せず)に電気回路を介して接続されている。この2個の電動モータ21,22は、車両の室内に設けられたミラー角度調整スイッチが操作されると、回転、停止、回転角度、回転方向が、別個に制御されるように構成されている。
【0025】
また、2個の電動モータ21,22のうち、一方の電動モータ21の動力を、水平方向の平面に沿った方向の動作力に変換する動作力変換機構23が設けられている。ここで、水平方向の平面とは、ピボット軸16aの中心線Aを含む平面である。この動作力変換機構23の構成を、図4を参照して説明する。電動モータ21の出力軸21aには、図示しないウォーム(ねじ歯車)が形成されている。水平方向の平面内で、収容室19は収容室18の側方に、つまり、中心線Aから外れた位置に設けられている。この収容室19にはウォームホイール23aが設けられている。ウォームホイール23aの外周には、図示しないはす歯歯車が形成されており、そのはす歯歯車がウォームと噛み合わされている。
【0026】
ウォームホイール23aは、軸線Cを中心として回転可能に支持され、かつ、軸線Cに沿った方向には移動しないように支持されている。ピボット軸16aの中心線Aと、ウォームホイール23aの軸線Cとは、水平方向の平面内で平行である。このウォームホイール23aの軸孔23bには雌ねじ(図示せず)が形成されており、その軸孔23b内に雄ねじ(図示せず)を有する可動軸23cが挿入されている。その可動軸23cは、軸線Cに沿った方向の半分程度が収容室19に配置され、可動軸23cの軸線Cに沿った方向の残りの半分程度が、収容室19の外部に露出している。可動軸23cにおける収容室19から露出した部分の端部には、球状の頭部23dが形成されている。
【0027】
可動軸23cにおいて雄ねじが形成された部分には、軸線Cに沿った方向に切り込み(スリット)23eが設けられている。この切り込み23eにより可動軸23cの曲げ剛性が相対的に弱められて、可動軸23cが軸線Cを中心として弾性変形する(撓む)ことが可能となっている。また、ホルダ16には軸線Cを中心とする軸孔16dが設けられており、その軸孔16dはゴム状弾性体により構成されたグロメット16eにより塞がれている。このグロメット16eには孔16fが設けられており、その孔16fに可動軸23cが軸線Cに沿った方向に移動可能に挿入されている。
【0028】
さらに、ピボットプレート17におけるホルダ16側には、球面受け座17dが形成されており、その球面受け座17dにより頭部23dが支持されている。そして、頭部23dと球面受け座17dとの接触部分には、可動軸23cが軸線Cを中心として回転することを防止する回り止め機構(図示せず)が設けられている。この回り止め機構は、例えば、頭部23dに設けられたピン(図示せず)を、球面受け座17dに形成された係止孔(図示せず)に差し込んで構成されている。上記した出力軸21aのウォーム、ウォームホイール23a、可動軸23c、球面受け座17dを備えたピボットプレート17等により、動作力変換機構23が構成されている。
【0029】
一方、図5に示すように、電動モータ22の動力を、ミラーユニット12を垂直方向の平面内で動作させる動力に変換する動作力変換機構24が設けられている。ここで、垂直方向の平面とは、ピボット軸16aの中心線Aを含む平面である。電動モータ22の出力軸22aには、図示しないウォーム(ねじ歯車)が形成されている。垂直方向の平面内で、収容室20は収容室18の下方に設けられている。そして、収容室20にはウォームホイール24aが設けられている。ウォームホイール24aの外周には、図示しないはす歯歯車が形成されており、はす歯歯車がウォームと噛み合わされている。
【0030】
ウォームホイール24aは、軸線Dを中心として回転可能に支持され、かつ、軸線Dに沿った方向には移動しないように支持されている。ピボット軸16aの中心線Aと、ウォームホイール24aの軸線Dとは、垂直方向に沿った平面内で平行である。また、2本の軸線C,Dは、中心線Aを中心とする同一円周上に位置している。より具体的には、中心線Aと垂直な平面内において、中心線Aと軸線Cとを結ぶ線分(図示せず)と、中心線Aと軸線Dとを結ぶ線分(図示せず)とが90度となるように、軸線C,D同士の位置が決定されている。
【0031】
ウォームホイール24aの軸孔24bには雌ねじ(図示せず)が形成されており、その軸孔24b内に雄ねじ(図示せず)を有する可動軸24cが挿入されている。その可動軸24cは、軸線Dに沿った方向の半分程度が収容室20に配置され、可動軸24cの軸線Dに沿った方向の残りの半分程度が、収容室20の外部に露出している。可動軸24cにおける収容室20から露出した部分の端部には、球状の頭部24dが形成されている。
【0032】
可動軸24cにおける雄ねじが形成された部分には、軸線Dに沿った方向に切り込み(スリット)24eが設けられている。この切り込み24eにより可動軸24cの曲げ剛性が相対的に弱められて、可動軸24cが軸線Dを中心として弾性変形する(撓む)ことが可能となっている。また、ホルダ16には軸線Dを中心とする軸孔16gが設けられており、その軸孔16gはゴム状弾性体により構成されたグロメット16hにより塞がれている。このグロメット16hには孔16iが設けられており、その孔16iに可動軸24cが軸線Dに沿った方向に移動可能に挿入されている。
【0033】
さらに、ピボットプレート17には、球面受け座17eが形成されており、その球面受け座17eにより頭部24dが支持されている。そして、頭部24dと球面受け座17eとの接触部分には、可動軸24cが軸線Dを中心として回転することを防止する回り止め機構(図示せず)が設けられている。この回り止め機構は、上記と同じように構成されている。上記した出力軸22aのウォーム、ウォームホイール24a、可動軸24c、球面受け座17eを備えたピボットプレート17等により、動作力変換機構24が構成されている。
【0034】
次に、水平方向の平面内におけるミラーユニット12の動作角度、及び垂直方向の平面内におけるミラーユニット12の動作角度を検出する角度検出機構25を説明する。ここで、水平方向の平面内におけるミラーユニット12の角度は、例えば、中心線Aと、ミラー12aの厚さ方向の中心線(図示せず)とのなす角度で表すことができる。一方、垂直方向の平面内におけるミラーユニット12の角度は、例えば、中心線Aと、ミラー12aの厚さ方向の中心線(図示せず)とのなす角度で表すことができる。
【0035】
本実施形態における角度検出機構25は、ピボットプレート17に取り付けられた永久磁石25aと、収容室18に設けられた磁気センサユニット25bとを備えている。ピボットプレート17におけるミラーユニット12側には、中心線Aと同軸に環状の取り付け溝17fが設けられている。取り付け溝17fは、支持部17aの外側に設けられており、取り付け溝17fに環状の永久磁石25aが固定されている。具体的に説明すると、ピボットプレート17がピボット軸16aを中心として揺動した際に、永久磁石25aが基準点Bを中心として揺動するように、永久磁石25aが固定されている。なお、永久磁石25aの固定方法は、接着剤による固定、ねじの締め付けによる固定、嵌め殺し固定等のいずれでもよい。
【0036】
さらに、本実施形態における磁気センサユニット25bの構成を、図4〜図6を参照して説明する。磁気センサユニット25bは、収容室18を形成するホルダ16の内面に固定された基板25cと、この基板25cに取り付けられた4個の磁気センサ25d,25e,25f,25gとを有する。この基板25cは、水平方向の平面内、及び垂直方向の平面内で、共に中心線Aが通る箇所に配置されている。すなわち、磁気センサユニット25bは、電動モータ21と電動モータ22との間に形成された隙間に配置されている。また、図6に示すように、中心線Aと垂直な平面内において、4個の磁気センサ25d,25e,25f,25gは中心線Aを取り囲む同一円周上に90度間隔で配置されている。
【0037】
ここで、水平方向に沿って配置された2個の磁気センサ25d,25eは、水平方向の平面(X軸を含む平面)内における磁界を検出し、その検出結果に基づく信号を出力する素子である。つまり、2個の磁気センサ25d,25eは、水平方向の平面内でピボットプレート17が動作したとき、永久磁石25aにより形成されている磁界の変化を検出するものである。これに対して、垂直方向に沿って配置された2個の磁気センサ25f,25gは、垂直方向の平面内(Y軸を含む平面)における磁界を検出し、その検出結果に基づく信号を出力する素子である。つまり、2個の磁気センサ25f,25gは、垂直方向の平面内でピボットプレート17が動作したとき、永久磁石25aにより形成されている磁界の変化を検出するものである。これら4個の磁気センサ25d,25e,25f,25gとしては、例えば、ホール素子、磁気抵抗効果素子、磁気インピーダンス素子等の公知の素子を用いることができる。4個の磁気センサ25d,25e,25f,25gとして同じ種類の素子を用いてもよいし、垂直方向に配置された2個の磁気センサ25f,25gとして同じ種類の素子を用い、かつ、水平方向に配置された2個の磁気センサ25d,25eとして同じ種類の素子を用いてもよい。そして、4個の磁気センサ25d,25e,25f,25gから出力される信号は、車両に設けられている電子制御装置(図示せず)に入力されるように構成されている。
【0038】
この電子制御装置は、入力インタフェース、出力インタフェース、演算部、記憶部などを備えた公知のものである。また、電子制御装置には、磁気センサ25d,25e,25f,25gの出力信号の他、運転者により操作されるミラー角度調整スイッチ(図示せず)の信号が入力される。さらに、電子制御装置には、磁気センサ25d,25e,25f,25gから入力される信号に基づいて、実際のミラーユニット12の角度を求めるためのデータ、ミラー角度調整スイッチを操作して運転者が設定したミラー角度のデータ、電動モータ21,22の回転角度と、ミラー角度との相関関係を表すデータ等が記憶されている。また、電子制御装置は、電動モータ21,22の回転、停止、回転方向、回転角度を制御する公知の駆動回路(図示せず)に接続されている。そして、ミラー角度調整スイッチが操作されて目標ミラー角度が選択されると、実際のミラー角度が目標ミラー角度となるように、電子制御装置から駆動回路に対して制御信号が出力されて、電動モータ21,22の回転、停止、回転方向、回転角度が制御されるように構成されている。
【0039】
次に、ドアミラー装置11のミラー角度を調整する際の制御及び動作を説明する。まず、図4に示す水平方向の平面内において、実際のミラー角度を調整する際には、電動モータ21の出力軸21aが所定方向に回転される。すると、ウォームホイール23aが所定方向に回転し、可動軸23cが収容室19から押し出される向き(図4の下向き)に移動する。この可動軸23cの動作力がピボットプレート17に伝達されると、ピボットプレート17は、水平方向の平面内でピボット軸16aを中心として揺動(動作)する。つまり、ピボットプレート17に固定されたミラーユニット12が、水平方向の平面内で基準点Bを中心として、図4において反時計方向に所定角度回転する。
【0040】
これに対して、電動モータ21の出力軸21aが上記とは逆方向に回転すると、ウォームホイール23aが上記とは逆方向に回転し、可動軸23cが収容室19に戻る向き(図4の上向き)で移動する。この可動軸23cの動作力がピボットプレート17に伝達されると、ピボットプレート17は、ピボット軸16aを中心として水平方向の平面内で動作する。つまり、ピボットプレート17に固定されたミラーユニット12は、水平方向の平面内で基準点Bを中心として、図4において時計方向に所定角度回転する。
【0041】
一方、図5に示す垂直方向の平面内において、実際のミラー角度を調整する際には、電動モータ22の出力軸22aが所定方向に回転される。すると、ウォームホイール24aが所定方向に回転し、可動軸24cが収容室20から押し出される向き(図5の右向きで)で移動する。この可動軸24cの動作力がピボットプレート17に伝達されると、ピボットプレート17は、ピボット軸16aを中心として垂直方向の平面内で動作する。つまり、ピボットプレート17に固定されたミラーユニット12は、垂直方向の平面内で基準点Bを中心として、図5において反時計方向に所定角度回転する。
【0042】
これに対して、電動モータ22の出力軸22aが上記とは逆方向に回転すると、ウォームホイール24aが上記とは逆方向に回転し、可動軸24cが収容室20に戻される向き(図5の左向き)で移動する。この可動軸24cの動作力がピボットプレート17に伝達されると、ピボットプレート17は、ピボット軸16aを中心として垂直方向の平面内で動作する。つまり、ピボットプレート17に固定されたミラーユニット12は、垂直方向の平面内で基準点Bを中心として、図5において時計方向に所定角度回転する。
【0043】
ところで、ピボットプレート17が水平方向の平面内または垂直方向の平面内で動作すると、可動軸23c,24cに曲げ荷重が加わる。しかしながら、可動軸23c,24cは軸線を中心として弾性変形することが可能に構成されているため、その曲げ荷重を吸収する。したがって、軸線に沿った方向における可動軸23c,24cの移動動作が円滑に行われる。なお、水平方向の平面内におけるミラーユニット12の角度調整、及び垂直方向の平面内におけるミラーユニット12の角度調整は、同じタイミングで行ってもよいし、異なるタイミングで行ってもよい。
【0044】
上記のようにして、水平方向の平面内及び垂直方向の平面内におけるミラーユニット12の角度が調整されるとともに、水平方向の平面内および垂直方向の平面内における実際のミラー角度が、4個の磁気センサ25d,25e,25f,25gにより検出される。そして、目標ミラー角度と実際のミラー角度とが一致すると、電動モータ21,22が共に停止される。
【0045】
本実施形態においては、支持部17aの外側に元々存在する空間を利用して環状の永久磁石25aが配置され、その永久磁石25aがピボットプレート17に固定されている。また、水平方向の平面内及び垂直方向の平面内におけるミラーユニット12の角度を検出する4個の磁気センサ25d,25e,25f,25gは、電動モータ21,22を収容する収容室18に配置され、かつ、ホルダ16に固定されている。このため、角度検出機構25を構成する部品点数の増加を抑制でき、また、角度検出機構25を構成する部品を配置するスペースが拡大することを抑制できる。したがって、ドアミラー装置11をコンパクトに構成でき、大型化することを抑制できる。さらに、ドアミラー装置11の組立工数の増加を抑制でき、製造コストの上昇を抑制できる。また、角度検出機構25と他の部品との位置関係が制約を受けにくく、角度検出機構25の配置レイアウト性がよい。さらに、永久磁石25a、磁気センサユニット25bを固定するために、新たな部品を設けずに済み、部品点数の増加を抑制できる。
【0046】
さらに、本実施形態においては、単数の永久磁石25a、及び単一の磁気センサユニット25bにより、水平方向の平面内におけるミラーユニット12の角度、及び垂直方向の平面内におけるミラーユニット12の実際の角度を検出することができる。したがって、本実施形態と、「水平方向の平面内におけるミラーユニットの実際の角度を検出する永久磁石及び磁気センサと、垂直方向の平面内におけるミラーユニットの実際の角度を検出する永久磁石及び磁気センサとを別個に設ける比較例の構成」と比較すると、本実施形態は部品点数が少なく、ドアミラー装置11をコンパクト化することに寄与できる。さらに、ドアミラー装置11の組み立て作業工数を低減することができ、ドアミラー装置11の製造コストが上昇することを抑制できる。
【0047】
ここで、本実施形態において説明した構成と、本発明の構成との対応関係を説明すると、収容室18が、本発明の収容室に相当し、電動モータ22が、本発明の第1電動モータに相当し、電動モータ21が、本発明の第2電動モータに相当し、動作力変換機構23,24が、本発明の動作力変換機構に相当し、磁気センサ25f,25gが、本発明における「2個の垂直方向用磁気センサ」に相当し、磁気センサ25d,25eが、本発明における「2個の水平方向用磁気センサ」に相当する。
【0048】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、車両の進行方向を向いて、右側のドアに取り付けられるドアミラー装置に、本発明を適用することもできる。また、車両のドアに限らず、車体の一部であるフェンダーに取り付けられるフェンダーミラー装置に、本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0049】
10 ミラー角度検出装置
11 ドアミラー装置
12 ミラーユニット
12a ミラー
12b ミラーホルダ
13 ミラーハウジング
13a,18,19,20 収容室
14 駆動ユニット
15 ブラケット
15a,16c 周壁部
16 ホルダ
16a ピボット軸
16b 外周面
16d,16g 軸孔
16e,16h グロメット
16f,16i 孔
17 ピボットプレート
17a 支持部
17b 内周面
17c 係止孔
17d,17e 球面受け座
17f 取り付け溝
21,22 電動モータ
21a,22a 出力軸
23,24 動作力変換機構
23a,24a ウォームホイール
23b,24b 軸孔
23c,24c 可動軸
23d,24d 頭部
23e,24e 切り込み
25 角度検出機構
25a 永久磁石
25b 磁気センサユニット
25c 基板
25d,25e,25f,25g 磁気センサ
A 中心線
B 基準点
C,D 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられたブラケットと、前記ブラケットに取り付けられ、かつ、このブラケットとの間に収容室を形成するホルダと、前記収容室に設けられた電動モータと、前記ホルダにおける前記ブラケットとは反対側に設けられたピボット軸と、ミラーを支持し、かつ、前記ピボット軸を中心として三次元的に揺動可能に取り付けられたピボットプレートと、前記電動モータの動力で動作し、かつ、前記ピボットプレートを前記ピボット軸を中心として垂直方向及び水平方向に揺動させる動作力変換機構と、前記垂直方向の平面内における前記ミラーの角度及び水平方向の平面内における前記ミラーの角度を検出する角度検出機構とを備えたミラー角度検出装置であって、
前記角度検出機構は、前記ピボットプレートに取り付けられた単数の永久磁石と、前記ホルダに取り付けられ、かつ、前記垂直方向の平面内における前記ミラーの角度及び水平方向の平面内における前記ミラーの角度を、前記永久磁石の磁界から検出する単数の磁気センサユニットとを有し、
前記永久磁石及び前記磁気センサユニットは、前記ピボット軸の中心線に沿って同軸上に配置されていることを特徴とするミラー角度検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミラー角度検出装置において、
前記磁気センサユニットは、前記垂直方向の平面内における前記ミラーの角度を、前記永久磁石の磁界から検出する2個の垂直方向用磁気センサと、前記水平方向の平面内における前記ミラーの角度を、前記永久磁石の磁界から検出する2個の水平方向用磁気センサとを、基板に取り付けて構成されていることを特徴とするミラー角度検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のミラー角度検出装置において、
前記永久磁石は環状に構成されており、その永久磁石は前記ピボット軸を取り囲むように配置されており、前記磁気センサユニットは、前記収容室の内部に設けられていることを特徴とするミラー角度検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のミラー角度検出装置において、
前記電動モータには、前記ピボットプレートを垂直方向に動作させる動力を発生する第1電動モータと、前記ピボットプレートを水平方向に動作させる動力を発生する第2電動モータとが含まれており、前記磁気センサユニットは、前記第1電動モータと前記第2電動モータとの間に配置されていることを特徴とするミラー角度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−71514(P2013−71514A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210605(P2011−210605)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】