説明

レンズ装置に取り付けられる無線アダプタ

【課題】レンズ装置(駆動ユニット)と外部機器との間で無線通信を行うための無線アダプタをレンズ鏡胴のエクステンダ筐体部の開口の蓋部材の代わりに取り付けることによって、従来のレンズ装置でも備えているスペースで、且つ、撮影操作を阻害しないスペースにワイヤレスアダプタを設置することができるレンズ装置に取り付けられる無線アダプタを提供する。
【解決手段】レンズ装置のレンズ鏡胴においてエクステンダの周部を覆うエクステンダ筐体部152には開口156が形成され、通常はその開口156を塞ぐための蓋部材が取り付けられている。本願発明に係るワイヤレスアダプタ50は、レンズ鏡胴側部に設置されたドライブユニットに接続され、レンズコントローラ等の外部機器との信号伝送を無線化するものであり、そのワイヤレスアダプタ50は蓋部材の代わりにエクステンダ筐体部152の開口156に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ装置に取り付けられる無線アダプタに係り、特にレンズ装置の駆動ユニットと外部機器と間の信号伝送を無線により行うことを可能にするレンズ装置に取り付けられる無線アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
放送用又は業務用として使用されるテレビカメラとして、携帯可能なENG(Electric News Gathering)カメラやハンディカメラが知られており、このようなテレビカメラは、三脚、ペデスタルドリー等の架台に支持された状態で使用される場合と、肩担ぎや手持ち等によってカメラマンが直接支持した状態で使用される場合がある。また、テレビカメラが架台に支持された状態で使用される場合、遠隔操作用のコントローラが使用されることが多い。例えば、架台から延設されているパン/チルト棒の先端にフォーカスデマンドやズームデマンド等のコントローラが取り付けられ、それらのコントローラがカメラ本体に装着されたレンズ装置にケーブルによって電気的に接続される。これによって、カメラマンは、パン/チルト棒によるテレビカメラのパン/チルト操作と同時にコントローラの操作を行うことができ、そのコントローラの操作によってレンズ装置における光学系のフォーカス、ズーム等のレンズ操作を行うことができる。
【0003】
また、上記のようにテレビカメラを架台に設置して撮影を行っている状況において、急にカメラマンがテレビカメラを持って撮影しなければならないという場合がある。この場合に、架台に設置したテレビカメラのレンズ装置と、コントローラとをケーブルで接続していると、レンズ装置からケーブルを取り外す作業が必要となり、テレビカメラを架台から迅速に取り外して持ち運ぶことができないという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1では、レンズ装置とコントローラとの間の信号のやり取りを無線通信で行うことにより、レンズ装置とコントローラとの間を無線アダプタを介してワイヤレス接続にできるようにしたレンズシステムが提案されている。これによれば、テレビカメラを架台から取り外す際にケーブルを取り外す作業の手間や時間が削減され、即座にテレビカメラを持ち運ぶことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−310303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来では一般に、レンズ装置とコントローラ等の外部機器との間はケーブルで接続されるようになっており、無線通信の機能を内蔵していない。そのため、特許文献1のようにレンズ装置とコントローラとの間をワイヤレス接続する場合には、レンズ装置と外部機器の各々の信号入出力端子(ケーブル接続端子)に無線通信のための無線アダプタ(ワイヤレスアダプタ)をケーブルで接続し、アダプタ間で無線通信を行うようにする必要がある。
【0007】
その場合に、レンズ装置にケーブルで接続された無線アダプタを架台に装着すると、テレビカメラを架台から迅速に取り外せるようにするという目的に反するため、少なくともレンズ装置側の無線アダプタはレンズ装置に設置しておかなければならない。
【0008】
しかしながら、レンズ装置には無線アダプタを設置するスペースが確保されておらず、レンズ装置のどの部分に取り付けるかが問題となる。また、カメラマンの撮影操作の邪魔にならないような場所に設置する必要がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、レンズ装置(駆動ユニット)と外部機器との間で無線通信を行うための無線アダプタを、従来のレンズ装置でも備えているスペースで、且つ、撮影操作を阻害しないスペースに設置することができるレンズ装置に取り付けられる無線アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に係るレンズ装置に取り付けられる無線アダプタは、カメラ本体の撮像面に被写体像を結像する光学系と、前記光学系の焦点距離を所定倍に変換するエクステンダとからなり、該エクステンダの構成部品を覆うエクステンダ筐体部を備えたレンズ鏡胴と、該レンズ鏡胴に設置され、前記光学系を駆動するために所定の外部機器との間で信号伝送を行うためのコネクタを備えた駆動ユニットと、からなるレンズ装置に取り付けられる無線アダプタであって、前記無線アダプタは、前記駆動ユニットの前記コネクタに接続され、前記駆動ユニットとの間で信号伝送を行うと共に、前記外部機器との間で無線通信を介して信号伝送を行うことにより、前記駆動ユニットと前記外部機器との信号伝送を中継し、前記無線アダプタは、前記エクステンダ筐体部に形成された開口を塞ぐ蓋部材と略同一構造の蓋部と、前記無線通信を行う無線装置とからなり、前記蓋部を前記蓋部材の代わりに前記エクステンダ筐体部に取り付けることによって、前記蓋部が前記開口を塞ぐと共に、前記無線装置が前記エクステンダ筐体部の前記開口の周辺部に配置されるようにした、ことを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、レンズ鏡胴がエクステンダを備えたレンズ装置において、そのエクステンダ筐体部の開口部分に蓋部材の代わりに無線アダプタを取り付けることができるため、従来のレンズ装置が備えているスペースに無線アダプタを設置することができ、また、そのスペースに無線アダプタを設置しても操作リング等の撮影操作を阻害しない。
【0012】
更に、エクステンダ筐体の蓋部材を取り付けるための蓋部材取付手段を利用して無線アダプタを取り付けるため、レンズ装置側に変更を要せず従来から使用されているレンズ装置に本発明の無線アダプタを取り付けることができる。
【0013】
請求項2に係るレンズ装置に取り付けられる無線アダプタは、請求項1に係る発明において、前記無線アダプタの構成部品は、前記エクステンダ筐体部の内部となる前記蓋部の裏面側に配備され、前記蓋部は、前記無線通信により送受信される無線信号を透過する性質の部材で形成されることを特徴としている。
【0014】
本発明は、無線アダプタの構成部品を蓋部の裏面側に配備することによって、無線アダプタをエクステンダ筐体部に取り付けた際に、無線アダプタの構成部品がエクステンダ筐体部の内部に収容するようにした態様である。このとき無線信号を無線アダプタの送受信部で送受信するために蓋部を無線信号を透過する性質の部材で形成するようにしたものである。
【0015】
請求項3に係るレンズ装置に取り付けられる無線アダプタは、請求項1に係る発明において、前記無線アダプタの構成部品は、前記エクステンダ筐体部の外部となる前記蓋部の表面側に配備されると共に、全体が筐体で覆われ、該筐体の少なくとも一部が前記無線通信により送受信される無線信号を透過する性質の部材で形成されることを特徴としている。
【0016】
本発明は、無線アダプタの構成部品を蓋部の表面側に配備するようにした態様である。このとき無線アダプタの全体を覆う筐体の少なくとも一部が無線信号を透過する性質の部材で形成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レンズ装置(駆動ユニット)と外部機器との間で無線通信を行うための無線アダプタを、従来のレンズ装置でも備えているスペースで、且つ、撮影操作を阻害しないスペースに設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る無線アダプタが適用されるレンズ装置を使用したカメラシステムの全体構成を示した外観図。
【図2】レンズコントローラ(外部機器)をレンズ装置のドライブユニットにワイヤレスアダプタを介して接続する場合のレンズシステムの構成を示したブロック図
【図3】図3(A)、(B)、(C)は、本発明に係る無線アダプタが使用可能なレンズ装置の上面図、側面図、背面図。
【図4】エクステンダ筐体部の蓋取付部を拡大して示した斜視図であって、ワイヤレスアダプタの非取付時において蓋部材を取り付ける場合の構成を示した斜視図。
【図5】エクステンダ筐体部の蓋取付部を拡大して示した斜視図であって、ワイヤレスアダプタを取り付ける様子を示した斜視図。
【図6】エクステンダ筐体部の蓋取付部を拡大して示した斜視図であって、蓋取付部にワイヤレスアダプタを取り付ける状態を示した斜視図。
【図7】図7(A)、(B)は、ワイヤレスアダプタの上面図及びA−A線断面図
【図8】エクステンダ筐体部の蓋取付部を拡大して示した斜視図であって、蓋取付部に図5乃至図7と異なる他の実施の形態のワイヤレスアダプタを取り付ける状態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明に係るレンズ装置に取り付けられる無線アダプタを実施するための形態を詳述する。
【0020】
図1は、本発明に係る無線アダプタが適用されるレンズ装置を使用したカメラシステムの全体構成を示した外観図である。同図に示すカメラシステムは、放送用又は業務用に用いられるテレビカメラ10を三脚12に設置して使用している状態を示している。
【0021】
三脚12はテレビカメラ10を支持する架台であり、地面に立てられる3本の脚を備えた脚部20の上端部に、雲台22が固定され、その雲台22の上面にカメラプレート24が装着されている。そして、カメラプレート24の上面にテレビカメラ10が着脱可能に載置されるようになっている。雲台22は、パン/チルト機構を備えており、その雲台22から左右斜め方向に延設されている2本のパン/チルト棒26、26(一方のみ図示)を水平方向及び鉛直方向に旋回操作することによって、カメラプレート24及びカメラプレート24に載置されたテレビカメラ10がパン/チルト動作するようになっている。
【0022】
カメラプレート24には、テレビカメラ10のカメラ装置14を容易に着脱するための固定手段(図示せず)が設けられている。固定手段は、例えば、カメラプレート24に載置されたカメラ装置14の底面に係合爪(図示せず)を係合させるようにしたもので、図1に示すスライドスイッチ24Aをスライドさせると、係合爪による係合が解除され、テレビカメラ10をカメラプレート24から取り外すことができるようになっている。これによれば、テレビカメラ10をカメラプレート24に瞬時に着脱することができ、必要なときにテレビカメラ10をカメラプレート24から取り外してカメラマンがテレビカメラ10を直接支持した状態(手で持った状態や肩担ぎの状態)で撮影することができる。尚、テレビカメラ10を支持する架台は同図のような三脚に限らず、どのようなものであっても本発明の適用は可能である。
【0023】
テレビカメラ10は、レンズ交換式のカメラ装置(カメラ本体)14とレンズ装置16とから構成されている。同図のカメラ装置14は、取材等において携帯可能なENG(Electric News Gathering)カメラと呼ばれるカメラ装置を示しており、被写体像を電気信号に変換する撮像素子(CCD等)、撮像素子から得られた信号に所要の信号処理を施してNTSC等の所定方式の映像信号を生成するための信号処理回路、映像信号を外部機器に出力し又は記録メディア(ビデオテープ)に記録する等の処理を行う処理回路が搭載されている。
【0024】
同図に示すレンズ装置16は、主にカメラ装置14のようなENGカメラにおいて使用されるもので、被写体像を結像するための光学系とその光学系を駆動制御するための制御系とから構成されている。光学系はレンズ鏡胴30内に配置された各種光学部材によって構成されており、そのレンズ鏡胴30の後端部が、カメラ装置14の前面側のマウントに着脱可能に装着されるようになっている。これによって、レンズ鏡胴30内の光学系によって結像された被写体像が、カメラ装置14における撮像素子の撮像面に結像されるようになっている。
【0025】
レンズ鏡胴30内には、例えば、光軸方向に移動可能に支持されたフォーカスレンズ(群)やズームレンズ(群)が配置されると共に、開閉動作可能に支持された絞りが配置されている。レンズ鏡胴30の外周部には、フォーカスレンズ、ズームレンズ、絞りの各々に連結された操作リング(フォーカスリング、ズームリング、アイリスリング)が回動可能に設けられており、各々の操作リングの回動に対応してフォーカスレンズ、ズームレンズが光軸方向に移動し、絞りが開閉動作するようになっている。フォーカスレンズが移動すると、光学系の焦点(ピント位置)が変化し、ズームレンズが移動すると光学系の焦点距離が変化し、絞りが開閉動作すると、光学系(像)の明るさが変化する。
【0026】
レンズ装置16の制御系は主としてレンズ鏡胴30の側部に設置されたドライブユニット(駆動ユニット)32において構成されている。ドライブユニット32には、上記操作リングの各々に連結されたモータや各モータを制御する制御回路等が搭載されている。そして、それらのモータを駆動することによって各モータで各操作リングを回動させ、レンズ鏡胴30内のフォーカスレンズ、ズームレンズ、絞りを電動で駆動するようになっている。
【0027】
また、ドライブユニット32には、カメラ装置14が信号伝送可能に接続されると共に、雲台22の各パン/チルト棒26、26に設置されたレンズコントローラ(ズーム操作用のズームデマンド42のみを図示し、後述のフォーカス操作用のフォーカスデマンド40は不図示)が信号伝送可能に接続されるようになっている。
【0028】
ドライブユニット32の制御回路は、例えば、後述のフォーカスデマンド40から与えられるフォーカス制御信号に基づいてフォーカスリングに連結されたモータを制御することによって、フォーカス制御信号によって指令された位置に(又は動作速度で)フォーカスレンズを移動させ、ズームデマンド42から与えられるズーム制御信号に基づいてズームリングに連結されたモータを制御することによって、ズーム制御信号によって指令された動作速度で(又は位置に)ズームレンズを移動させる。また、カメラ装置14から与えられるアイリス制御信号に基づいてアイリスリングに連結されたモータを制御することによって、アイリス制御信号によって指令された位置(開口度)に絞りを設定する。
【0029】
尚、各操作リング(フォーカスリング、ズームリング、アイリスリング)は、カメラマンが直接把持した手動力で回動操作することも可能であり、また、通常、ズームレンズ(ズームリング)の動作速度を指示操作するための操作部材がドライブユニット32に設けられている。従って、テレビカメラ10を三脚12から取り外して撮影を行う場合に、フォーカスデマンド40やズームデマンド42のようなレンズコントローラを使用しなくても所要のレンズ操作を行うことができる。
【0030】
ワイヤレスアダプタ50、52は、各々、ドライブユニット32とレンズコントローラ(フォーカスデマンド40、ズームデマンド42)に接続されており、ワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間で赤外線による双方向の無線通信が行われるようになっている。これにより、ドライブユニット32とレンズコントローラとの間での信号伝送がワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間での無線通信を介して行われるようになっている。
【0031】
ドライブユニット32とレンズコントローラには、それらを直接ケーブルで接続してシリアル通信等による信号伝送を行うためのコネクタを備えており、それらのコネクタ間を有線で接続する代わりに、ドライブユニット32のコネクタにワイヤレスアダプタ50が接続され、レンズコントローラのコネクタにワイヤレスアダプタ52が接続されている。
【0032】
ワイヤレスアダプタ50は、詳細は後述するが、レンズ鏡胴30に取り付けられ、ワイヤレスアダプタ52は、テレビカメラ10以外の部分、例えば、カメラプレート24に設置されている。そのため、テレビカメラ10を三脚から取り外す必要が生じた場合にレンズ装置16とレンズコントローラ間のケーブルを取り外す作業が不要であり、また、ワイヤレスアダプタ50、52がテレビカメラ10の取り外しに無関係であるため、手間なく且つ迅速にテレビカメラ10を三脚12から取り外すことができるようになっている。
【0033】
尚、ワイヤレスアダプタ50、52を用いることによって、有線で互いに接続される従来のレンズ装置16とレンズコントローラを使用することができ、また、状況に応じてワイヤレスアダプタ50、52を使用することなく、従来通り、レンズ装置16とレンズコントローラとをケーブルで直接接続したシステムを構築することもできる。また、レンズコントローラ側にケーブルで接続されるワイヤレスアダプタ52は、カメラプレート24に限らず、パン/チルト棒26等のテレビカメラ10以外の所望部分に設置しておくことができる。
【0034】
図2は、上記のカメラシステムのように、レンズコントローラとしてフォーカスデマンド40とズームデマンド42をレンズ装置16のドライブユニット32にワイヤレスアダプタ50、52を介して接続する場合のレンズシステムの構成を示したブロック図である。
【0035】
同図に示すようにレンズシステムは、レンズ装置16のドライブユニット32にワイヤレスアダプタ50がケーブルで接続され、フォーカスデマンド40とズームデマンド42にワイヤレスアダプタ52がケーブルで接続されている。
【0036】
ワイヤレスアダプタ50は、CPU100、D/A変換器102、シリアルコミュニケーションインターフェース(SCI)104、赤外線(Ir)通信部106、コネクタ108、110、112を備えている。一方、ワイヤレスアダプタ52は、CPU120、A/D変換器122、SCI124、Ir通信部126、コネクタ128、130、132を備えている。
【0037】
ワイヤレスアダプタ50のコネクタ108、110には、ドライブユニット32の各コネクタ32A、32Bがケーブルを介して接続され、ワイヤレスアダプタ52のコネクタ128、130には、フォーカスデマンド40とズームデマンド42とが接続されている。ドライブユニット32のコネクタ32Aは、本来、フォーカスデマンド40が直接ケーブルで接続されるコネクタであり、コネクタ32Bは、本来、ズームデマンド42が直接ケーブルで接続されるコネクタである。
【0038】
ここで、従来から使用されているフォーカスデマンド40やズームデマンド42のようなレンズコントローラには、ドライブユニット32にアナログ信号で信号伝送を行うアナログ方式のものと、デジタル信号(シリアル通信)により信号伝送を行うデジタル方式のものとがある。これに対して従来から使用されているドライブユニット32には、アナログ方式のレンズコントローラのみとアナログ信号による信号伝送を行うことができるアナログ方式対応のものと、アナログ方式とデジタル方式のいずれのレンズコントローラとも信号伝送が可能なアナログ/デジタル両方向対応のものがある。アナログ方式とデジタル方式のいずれのレンズコントローラにおいても、また、アナログ方式対応とアナログ/デジタル両方式対応のいずれのドライブユニット32においても、それらを信号伝送可能に接続するインターフェースのコネクタは同じ機械的仕様(例えばRS485規格のコネクタ)のものが使用されている。また、アナログ/デジタル両方式対応のドライブユニット32では、フォーカスデマンド40やズームデマンド42は、アナログ方式であってもデジタル方式であっても同一のコネクタに接続されるようになっており、接続されたレンズコントローラの方式に従って内部的にアナログ方式とデジタル方式の各々に対応する処理に切り替えるようになっている。
【0039】
ワイヤレスアダプタ50、52は、レンズシステムに使用するフォーカスデマンド40とズームデマンド42がアナログ方式とデジタル方式のいずれのものであっても、また、ドライブユニット32がアナログ方式対応とアナログ/デジタル両方式対応のいずれのものであっても図2の形態のように各々のコネクタ108、110、128、130にドライブユニット32のコネクタ32A(フォーカスデマンド接続用のコネクタ)、32B(ズームデマンド接続用のコネクタ)、フォーカスデマンド40、ズームデマンド42が接続されるようになっている。
【0040】
また、ドライブユニット32には、パソコン(PC)のようなシリアル通信可能な任意の機器(以下、シリアル通信機器と称す)とシリアル通信を行うためのインターフェースを備えているものがあり、図2の点線で示すコネクタ32Cは、そのようなドライブユニット32においてシリアル通信機器が接続されるコネクタを示している。このようなインターフェースを備えるドライブユニット32において、ワイヤレスアダプタ50のコネクタ112にドライブユニット32のコネクタ32Cをケーブルで接続し、ワイヤレスアダプタ52のコネクタ132に所望のシリアル通信機器44を接続すれば、ドライブユニット32とシリアル通信機器44との間の信号伝送を行うことができるようになっている。尚、以下において、ワイヤレスアダプタ52のコネクタ128、130、132にケーブルで接続された機器をシリアル通信機器44を含めてレンズコントローラ(又は外部機器)と称す。
【0041】
ワイヤレスアダプタ50、52のCPU100、120は、各々、ワイヤレスアダプタ50、52の各回路の動作を統括制御すると共に、ワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間、ワイヤレスアダプタ50とドライブユニット32との間、及び、ワイヤレスアダプタ52とレンズコントローラとの間での信号伝送を制御し、レンズコントローラとドライブユニット32との間での信号伝送を中継する。
【0042】
ワイヤレスアダプタ50のCPU100とドライブユニット32との間の信号伝送は、CPU100が、後述のようにワイヤレスアダプタ52を介してレンズコントローラからの出力信号を取得して、レンズコントローラとドライブユニット32との間で送受信される信号を、CPU100とドライブユニット32との間で伝送するもので、D/A変換器102を介したアナログ信号による信号伝送と、SCI104を介したシリアル通信による信号伝送のいずれかによって行われるようになっている。
【0043】
ドライブユニット32がアナログ方式対応のものである場合には、CPU100は、ワイヤレスアダプタ52を介して取得したフォーカスデマンド40の出力信号をD/A変換器102に出力してデジタル信号からアナログ信号に変換した後、コネクタ108とコネクタ32Aの間の伝送線(ケーブル)を通じてドライブユニット32へと伝送する。同様に、CPU100は、ワイヤレスアダプタ52を介して取得したズームデマンド42の出力信号をD/A変換器102に出力してデジタル信号からアナログ信号に変換した後、コネクタ110とコネクタ32Bの間の伝送線(ケーブル)を通じてドライブユニット32へと伝送する。尚、一般的にアナログ方式のフォーカスデマンド及びズームデマンドと、アナログ方式対応のドライブユニットとの間では、フォーカスデマンド及びズームデマンドからドライブユニットへの信号の送信が行われるのみで、ドライブユニットからフォーカスデマンド及びズームデマンドへの信号の送信が行われないため、ワイヤレスアダプタ50の構成もこれに従い、ドライブユニット32がアナログ方式対応のものである場合には、CPU100からドライブユニット32のコネクタ32A、32Bへのアナログ信号の伝送のみが行われるようになっている。
【0044】
一方、ドライブユニット32がアナログ/デジタル両方式対応のものである場合には、CPU100は、コネクタ108とコネクタ32Aとの間の伝送線と、コネクタ110とコネクタ32Bとの間の伝送線の各々を通じてSCI104とドライブユニット32(ドライブユニット32内の図示しないSCI)との間でシリアル通信の接続を確立させる。そして、CPU100は、フォーカスデマンド40とドライブユニット32との間で送受信される信号をコネクタ108とコネクタ32Aの間の伝送線を通じてSCI104のシリアル通信によりドライブユニット32との間で双方向に伝送し、フォーカスデマンド40からの出力信号(出力データ)をSCI104を介してドライブユニット32に送信し、ドライブユニット32からの出力信号(出力データ)をSCI104を介して受信する。同様に、CPU100は、ズームデマンド42とドライブユニット32との間で送受信される信号をコネクタ110とコネクタ32Bの間の伝送線を通じてSCI104のシリアル通信によりドライブユニット32との間で双方向に伝送し、ズームデマンド42からの出力信号(出力データ)をSCI104を介してドライブユニット32に送信し、ドライブユニット32からの出力信号(出力データ)をSCI104を介して受信する。
【0045】
尚、上記のようにドライブユニット32がシリアル通信用のコネクタ32Cを備え、PC等の任意のシリアル通信機器44との間で信号伝送を行えるようにする場合には、ワイヤレスアダプタ50のコネクタ112とドライブユニット32のコネクタ32Cがケーブルで接続され、ワイヤレスアダプタ52のコネクタ132にシリアル通信機器44がケーブルで接続される。このとき、CPU100は、コネクタ112とコネクタ32Cとの間の伝送線を通じてSCI104とドライブユニット32との間でシリアル通信の接続を確立させる。そして、CPU100は、シリアル通信機器44とドライブユニット32との間で送受信される信号をコネクタ112とコネクタ32Cの間の伝送線を通じてSCI104のシリアル通信によりドライブユニット32との間で双方向に伝送する。このようにワイヤレスアダプタ50のコネクタ112とドライブユニット32のコネクタ32Cがケーブルで接続した場合には、シリアル通信機器44を用いない場合であっても、フォーカスデマンド40及びズームデマンド42とドライブユニット32との間での送受信される信号をコネクタ112とコネクタ32Cの間の伝送線を通じてシリアル通信により伝送することも可能であり、コネクタ108とコネクタ32Aの間、及び、コネクタ110とコネクタ32Bの間のケーブルの接続やシリアル通信を不要にすることができる。
【0046】
ワイヤレスアダプタ50のCPU100とワイヤレスアダプタ52のCPU120との間の信号伝送は、CPU100が上記のようにドライブユニット32からの出力信号を取得すると共に、CPU120が、後述のようにレンズコントローラからの出力信号を取得して、レンズコントローラとドライブユニット32との間で送受信される信号を、CPU100とCPU120との間で伝送するもので、ワイヤレスアダプタ50、52の各々に具備されたIr通信部106、126を介した赤外線通信による信号伝送によって行われるようになっている。
【0047】
Ir通信部106、126の各々には、赤外線信号を空中に送信(放出)する発信部と、空中を伝搬する赤外線信号を受信する受信部とを備えており、Ir通信部106の発信部から送信された赤外線信号がIr通信部126の受信部により受信され、Ir通信部126の発信部から送信された赤外線信号がIr通信部106の受信部で受信されることにより双方向に信号伝送が行われるようになっている。また、Ir通信部106、126には赤外線信号により伝送する信号がCPU100、120から与えられるようになっており、Ir通信部106、126はその信号を赤外線により伝送するための赤外線信号に変換して送信部から送信(放出)すると共に、受信部により受信した赤外線信号を赤外線信号に変換する前の元の信号に復元してCPU100、120に与えるようになっている。これにより、CPU100とCPU120との間の信号伝送が、Ir通信部106、126を介した赤外線通信により行われるようになっている。
【0048】
そして、CPU100は、ドライブユニット32からの出力信号をIr通信部106に出力し、CPU120は、レンズコントローラからの出力信号をIr通信部126に出力することにより、レンズコントローラとドライブユニット32との間で送受信される信号が、CPU100とCPU120との間で双方向に伝送され、レンズコントローラからの出力信号がCPU100に取得され、ドライブユニット32からの出力信号がCPU120に取得される。
【0049】
ワイヤレスアダプタ52のCPU120とレンズコントローラとの間の信号伝送は、CPU120が、ワイヤレスアダプタ50を介してドライブユニット32からの出力信号を取得して、レンズコントローラとドライブユニット32との間で送受信される信号を、CPU120とレンズコントローラとの間で伝送するもので、A/D変換器122を介したアナログ信号による信号伝送と、SCI124を介したシリアル通信による信号伝送のいずれかによって行われるようになっている。
【0050】
レンズコントローラであるフォーカスデマンド40がアナログ方式のものである場合には、CPU120は、アナログ信号として伝送されるフォーカスデマンド40からの出力信号をコネクタ128を介してA/D変換器122に取り込み、アナログ信号からデジタル信号に変換した後にA/D変換器122から取得する。
【0051】
同様に、レンズコントローラであるズームデマンド42がアナログ方式のものである場合には、CPU120は、アナログ信号として伝送されるズームデマンド42からの出力信号をコネクタ130を介してA/D変換器122に取り込み、アナログ信号からデジタル信号に変換した後にD/A変換器122から取得する。
【0052】
一方、フォーカスデマンド40がデジタル方式のものである場合には、CPU120は、コネクタ128とフォーカスデマンド40との間の伝送線を通じてSCI124とフォーカスデマンド40(フォーカスデマンド40内の図示しないSCI)との間でシリアル通信の接続を確立させる。そして、CPU120は、フォーカスデマンド40とドライブユニット32との間で送受信される信号をコネクタ128とフォーカスデマンド40の間の伝送線を通じてSCI124のシリアル通信によりフォーカスデマンド40との間で双方向に伝送し、フォーカスデマンド40からの出力信号(出力データ)をSCI124を介して受信し、ドライブユニット32からの出力信号(出力データ)をSCI124を介してフォーカスデマンド40に送信する。
【0053】
同様に、ズームデマンド42がデジタル方式のものである場合には、CPU120は、コネクタ130とズームデマンド42との間の伝送線を通じてSCI124とズームデマンド42(ズームデマンド42内の図示しないSCI)との間でシリアル通信の接続を確立させる。そして、CPU120は、ズームデマンド42とドライブユニット32との間で送受信される信号をコネクタ130とズームデマンド42の間の伝送線を通じてSCI124のシリアル通信によりズームデマンド42との間で双方向に伝送し、ズームデマンド42からの出力信号(出力データ)をSCI124を介して受信し、ドライブユニット32からの出力信号(出力データ)をSCI124を介してズームデマンド42に送信する。
【0054】
更に、シリアル通信機器44がワイヤレスアダプタ52のコネクタ132に接続された場合には、CPU120はコネクタ132とシリアル通信機器44との間の伝送線を通じてSCI124とシリアル通信機器44(シリアル通信機器44内の図示しないSCI)との間でシリアル通信の接続を確立させる。そして、CPU120は、シリアル通信機器44とドライブユニット32との間で送受信される信号をコネクタ132とシリアル通信機器44の間の伝送線を通じてSCI124のシリアル通信によりシリアル通信機器44からの出力信号(出力データ)をSCI124を介して受信し、ドライブユニット32からの出力信号(出力データ)をSCI124を介してシリアル通信機器44に送信する。
【0055】
以上のごとく構成されたワイヤレスアダプタ50、52により、フォーカスデマンド40及びズームデマンド42等のレンズコントローラ(外部機器)とドライブユニット32との間での信号伝送が、ワイヤレスアダプタ50、52による無線通信を介して行われるようになる。
【0056】
続いて、上記ワイヤレスアダプタ50の取付構造に関して説明する。図3(A)、(B)、(C)は、レンズ装置16の上面図、側面図、背面図である。同図に示すレンズ装置16には、レンズ鏡胴30の後部に像倍率(ズーム倍率)を1倍と所定倍に切り替えるエクステンダ150が配置されており、そのエクステンダ150の構成部品の周部全体を覆うエクステンダ筐体部152がレンズ鏡胴30の一部として設けられている。そして、そのエクステンダ筐体部152には蓋取付部154が設けられている。
【0057】
蓋取付部154は、エクステンダ筐体部152に形成された開口に、それを塞ぐ蓋部材が装着される部分であり、その開口は、組立時やメンテナンス時等において内部に配置するエクステンダ150の構成部品の挿脱や位置調整などに使用される。本実施の形態のワイヤレスアダプタ50は、その蓋取付部154に取り付けることができるようになっており、レンズ装置16(レンズ鏡胴30)に既に備わっているスペースを利用してワイヤレスアダプタ50を取り付けることができるため、ワイヤレスアダプタ50を設置するためのスペースをレンズ装置16等に新たに設ける必要がなく、また、撮影操作を阻害しないスペースにワイヤレスアダプタ50を設置することができる。
【0058】
図4、図5、及び、図6は、上記エクステンダ筐体部152の蓋取付部154を拡大して示した斜視図である。図4に示すように蓋取付部154は、四角形状の開口156を有し、本来(ワイヤレスアダプタ50の非取付時)は、同図に示す一枚の板状の蓋部材158が開口156を塞ぐように取り付けられるようになっている。
【0059】
即ち、図4に示すようにエクステンダ筐体部152には、開口156の周縁部の対向する2箇所に突片160、160が突出配置されており、それらの突片160、160にはネジ孔160A、160Aが形成されている。
【0060】
一方、蓋部材158は、開口156の形状と略一致しており、突片160、160に当接する位置まで嵌め込むと、略隙間なく開口156が塞がれるようになっている。そして、蓋部材158には、突片160、160のネジ孔160A、160Aに連通する位置にネジ挿通孔158A、158Aが形成されており、ネジ162、162をそれらのネジ挿通孔158A、158Aに挿通させて突片160、160のネジ孔160A、160Aに締め込むことによって蓋部材158がエクステンダ筐体部152(蓋取付部154)に固定されるようになっている。
【0061】
一方、図2のようにワイヤレスアダプタ50を使用する場合において、本実施の形態のワイヤレスアダプタ50は、図4の蓋部材158を蓋取付部154に取り付ける構造(蓋部材取付手段)を利用して、図5、図6に示すように図4の蓋部材158の代わりに、蓋取付部154に取り付けることができるようになっている。
【0062】
図5に示すようにワイヤレスアダプタ50は、構成部品を内部に収容するアダプタ筐体170で覆われている。図7(A)は、ワイヤレスアダプタ50の上面図であり、図7(B)は、図7(A)に示されたA−A線断面を示しており、アダプタ筐体170の内部には、図2に示した各構成部の回路部品等が実装された回路基板173、Ir通信部106の赤外線信号を発信(放出)する発信部174、赤外線信号を受信する受信部176等が収容保持されている。
【0063】
ワイヤレスアダプタ50のアダプタ筐体170の上壁部(蓋部172)は、図4に示した蓋部材158と略同一形状で形成されており、図7(B)のように断面が2つの扇型の壁面を繋ぎ合わせた形状を有すると共に、図5、図7(A)に示すように、蓋部材158と同じ位置にネジを挿通するネジ挿通孔178、178が形成されている。即ち、アダプタ筐体170は、蓋部材158と略同一構造を有する部分として蓋部172を備えている。また、図7(B)に示すようにアダプタ筐体170の側壁部180、182は、ネジ挿通孔178、178よりも内側となる位置で蓋部172に固着されている。
【0064】
従って、図5に示すようにエクステンダ筐体部152の開口156にワイヤレスアダプタ50のアダプタ筐体170を下面側から挿入すると、蓋部172が開口156に突出配置された突片160、160に当接する位置まで進入し、蓋部172によって略隙間なく開口156が塞がれるようになっている。そして、蓋部材158を取り付ける場合と同様に、ネジ162、162を蓋部172のネジ挿通孔178、178に挿通させて突片160、160のネジ孔160A、160Aに締め込むことによって蓋部材158がエクステンダ筐体部152(蓋取付部154)に固定される。これによって、図6に示すようにワイヤレスアダプタ50がエクステンダ筐体部152の蓋取付部154に取り付けられると共に、ワイヤレスアダプタ50のアダプタ筐体170の蓋部172が開口156を塞ぐ蓋部材として兼用されるようになっている。尚、アダプタ筐体170の蓋部172はエクステンダ筐体部152の開口156を塞ぐ蓋部材を兼ねるために図5のような湾曲形状で形成されているが、その形状自体に特別の意味はなく、エクステンダ筐体部152の表面形状(本来の蓋部材158の形状)に応じてアダプタ筐体170の蓋部172の形状も異なる。
【0065】
また、アダプタ筐体170の蓋部172の裏面側(アダプタ筐体170の内部側)の近傍には、図6、図7に示すようにIr通信部106の赤外線信号を発信(放出)する発信部174と赤外線信号を受信する受信部176が配置されており、蓋部172は、赤外線の波長領域の光を透過する部材により形成されている。これにより、Ir通信部106の発信部174から放出された赤外線信号が蓋部172を介してアダプタ筐体170の外部に放出されると共に、ワイヤレスアダプタ52から放出された赤外線信号が、蓋部172を介してアダプタ筐体170内に進入し、Ir通信部106の受信部176で受信されるようになっている。
【0066】
更に、ワイヤレスアダプタ50のアダプタ筐体170の蓋部172には、図5、図6、図7に示すように、図2に示したコネクタ108、110、112が設けられており、使用するコネクタがドライブユニット32のコネクタ32A、32B、32Cにケーブルで接続されるようになっている。このとき、例えば、図3(C)及び図6に示すようにケーブル両端のコネクタのうち一方が蓋部172のコネクタ(同図ではコネクタ112)に装着され、そのコネクタからのケーブル190がエクステンダ筐体部152の上側外周面に沿って反対側のドライブユニット32の後端下側付近まで配線され、ドライブユニット32の後端下側付近に設けられたコネクタ(コネクタ112に接続されるコネクタ32C)にケーブルの他方のコネクタが装着される。従って、レンズ鏡胴30に設けられた操作リングの回動操作等を阻害しないようにワイヤレスアダプタ50とドライブユニット32とを接続するケーブルを配線することができる。
【0067】
以上のワイヤレスアダプタ50の取付構造によれば、レンズ装置16(レンズ鏡胴30)のエクステンダ筐体部152の蓋取付部154のスペースや取付構造を利用してワイヤレスアダプタ50を取り付けることができるため、ワイヤレスアダプタ50を取り付けるための特別なスペースや構造をレンズ装置16に新たに設ける必要がなく、従来のレンズ装置16にも本実施の形態のワイヤレスアダプタ50を装着することができる。また、撮影操作を阻害しないスペースにワイヤレスアダプタ50を設置することができるようになる。
【0068】
以上、上記実施の形態では、ワイヤレスアダプタ50の蓋部172の裏面側、即ち、エクステンダ筐体部152の内部となる面側に、ワイヤレスアダプタ50の構成部品を配置するようにしたが、これに限らない。例えば、図8に示すように、図4の本来の蓋部材158と略同一形状に形成され、蓋部材158と同様にネジ挿通孔204、204を有する蓋部200を、ネジ162、162によりエクステンダ筐体部152の開口156(蓋取付部154)に取り付けると共に、その蓋部200の表面側、即ち、エクステンダ筐体部152の外部となる面側にワイヤレスアダプタ50の構成部品を配置してもよい。この場合に、ワイヤレスアダプタ50の構成部品は、蓋部200とその表面側に固着された壁部とからなるアダプタ筐体202によって囲まれ、上記Ir通信部106の発信部174と受信部176は例えばアダプタ筐体202の上壁部202Aの裏面側近傍に配置される。そして、アダプタ筐体202のうち、少なくとも上壁部202Aが赤外線を透過する部材で形成される。また、図2に示したコネクタ108、110、112は、例えばアダプタ筐体202の側壁部に設けられる。
【0069】
また、上記実施の形態では、ワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間で赤外線を使用して無線通信を行うようにしたが、他の波長領域の電波を使用しようして無線通信を行うものであってもよく、また、通信方式もどのようなものであってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、ドライブユニット32側にワイヤレスアダプタ50を接続すると共に、レンズコントローラ(外部機器)側にワイヤレスアダプタ52を接続することによって無線通信を介して信号伝送を行えるようにしたが、外部機器側において無線通信を可能にするための構成はこれに限らず、どのような態様であってもよい。例えば、外部機器が無線通信機能を搭載している場合であってもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、図4に示したように蓋部材158のネジ挿通孔158A、158Aにネジ162、162を挿通させてエクステンダ筐体部152の突片160、160に締め込むことによってエクステンダ筐体部152の開口156(蓋取付部154)に蓋部材158を取り付ける構造となっている場合を示したが、蓋取付部154に蓋部材158を取り付ける構造がこれと相違する場合であっても本発明を適用できる。即ち、ワイヤレスアダプタ50において、蓋部材158と同一構造を有する蓋部を設け、その蓋部によってエクステンダ筐体部152の蓋取付部154にワイヤレスアダプタ50を取り付けるようにすればよい。
【符号の説明】
【0072】
10…テレビカメラ、12…三脚、14…カメラ装置、16…レンズ装置、30…レンズ鏡胴、32…ドライブユニット、40…フォーカスデマンド、42…ズームデマンド、50、52…ワイヤレスアダプタ、100、120…CPU、102…D/A変換器、104、124…SCI、106、126…赤外線通信部、32A、32B、32C、108、110、112、128、130、132…コネクタ、122…A/D変換器、150…エクステンダ、152…エクステンダ筐体部、154…蓋取付部、156…開口、158…蓋部材、170、202…アダプタ筐体、172、200…蓋部、174…発信部、176…受信部、178…ネジ挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体の撮像面に被写体像を結像する光学系と、前記光学系の焦点距離を所定倍に変換するエクステンダとからなり、該エクステンダの構成部品を覆うエクステンダ筐体部を備えたレンズ鏡胴と、
該レンズ鏡胴に設置され、前記光学系を駆動するために所定の外部機器との間で信号伝送を行うためのコネクタを備えた駆動ユニットと、
からなるレンズ装置に取り付けられる無線アダプタであって、
前記無線アダプタは、前記駆動ユニットの前記コネクタに接続され、前記駆動ユニットとの間で信号伝送を行うと共に、前記外部機器との間で無線通信を介して信号伝送を行うことにより、前記駆動ユニットと前記外部機器との信号伝送を中継し、
前記無線アダプタは、前記エクステンダ筐体部に形成された開口を塞ぐ蓋部材と略同一構造の蓋部と、前記無線通信を行う無線装置とからなり、
前記蓋部を前記蓋部材の代わりに前記エクステンダ筐体部に取り付けることによって、前記蓋部が前記開口を塞ぐと共に、前記無線装置が前記エクステンダ筐体部の前記開口の周辺部に配置されるようにした、
ことを特徴とするレンズ装置に取り付けられる無線アダプタ。
【請求項2】
前記無線アダプタの構成部品は、前記エクステンダ筐体部の内部となる前記蓋部の裏面側に配備され、前記蓋部は、前記無線通信により送受信される無線信号を透過する性質の部材で形成されることを特徴とする請求項1のレンズ装置に取り付けられる無線アダプタ。
【請求項3】
前記無線アダプタの構成部品は、前記エクステンダ筐体部の外部となる前記蓋部の表面側に配備されると共に、全体が筐体で覆われ、該筐体の少なくとも一部が前記無線通信により送受信される無線信号を透過する性質の部材で形成されることを特徴とする請求項1のレンズ装置に取り付けられる無線アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257694(P2011−257694A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133987(P2010−133987)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】