説明

レーザ装置

【課題】スペクトル線幅を高精度に制御する。
【解決手段】レーザ装置は、出力するレーザ光のスペクトル線幅を調節可能なレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力された前記レーザ光のスペクトルを検出するスペクトル検出器と、前記スペクトル検出器に入射する前記レーザ光の光強度を調節可能な減衰部と、を備えてもよい。前記減衰部は、レーザ光の入射位置に依存して透過率が変化する可変アッテネータと、前記レーザ光の入射位置が変化するように前記可変アッテネータを移動させる移動機構と、を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、半導体露光装置(以下、「露光装置」という)においては解像力の向上が要請されている。このため露光用光源から放出される光の短波長化が進められている。露光用光源には、従来の水銀ランプに代わってガスレーザ装置が用いられている。現在、露光用のガスレーザ装置としては、波長248nmの紫外線を放出するKrFエキシマレーザ装置ならびに、波長193nmの紫外線を放出するArFエキシマレーザ装置が用いられている。
【0003】
次世代の露光技術としては、露光装置側の露光用レンズとウエハ間を液体で満たして、屈折率を変えることによって露光用光源の見かけの波長を短波長化する液浸露光が研究されている。ArFエキシマレーザ装置を露光用光源として液侵露光が行われた場合は、ウエハには水中における波長134nmの紫外光が照射され得る。この技術をArF液浸露光(又はArF液浸リソグラフィー)という。
【0004】
KrFエキシマレーザ装置やArFエキシマレーザ装置の自然発振幅は約350〜400pmと広い。そのため、露光装置において投影レンズが使用されると色収差が発生して解像力が低下する場合がある。そこで色収差が無視できる程度となるまでガスレーザ装置から放出されるレーザビームのスペクトル線幅(スペクトル幅)を狭帯域化する必要がある。近年では、ガスレーザ装置のレーザ共振器内に狭帯域化素子(エタロンやグレーティング等)を有する狭帯域化モジュール(Line Narrow Module)が設けられることで、スペクトル幅の狭帯域化が実現されている。このようにスペクトル幅が狭帯域化されるレーザ装置を狭帯域化レーザ装置という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7088758号明細書
【特許文献2】米国特許第7154928号明細書
【概要】
【0006】
本開示の一態様によるレーザ装置は、出力するレーザ光のスペクトル線幅を調節可能なレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出力された前記レーザ光のスペクトルを検出するスペクトル検出器と、前記スペクトル検出器に入射する前記レーザ光の光強度を調節可能な減衰部と、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図1】図1は、本開示の実施の形態1によるレーザ装置の構成例を概略的に示す。
【図2】図2は、実施の形態1におけるコントローラのメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図3は、図2のステップS102に示される調整発振サブルーチンの一例を示す。
【図4】図4は、図3のステップS122に示される送り量算出サブルーチンの一例を示す。
【図5】図5は、回転タイプの可変アッテネータを用いた減衰部を含むスペクトル検出部の一例を示す。
【図6】図6は、図5に示される可変アッテネータをレーザ光の入射方向から見た構成例を示す。
【図7】図7は、スライド方式の可変アッテネータを用いた減衰部を含むスペクトル検出部の一例を示す。
【図8】図8は、図7に示される可変アッテネータをレーザ光の入射方向から見た構成例を示す。
【図9】図9は、入射角度調節タイプの可変アッテネータを用いた減衰部を含むスペクトル検出部の一例を示す。
【図10】図10は、入射角度調節タイプの可変アッテネータを用いた減衰部を含むスペクトル検出部の他の一例を示す。
【図11】図11は、可変アッテネータを含むスペクトル検出部の他の一例を示す。
【図12】図12は、図1に示される波面調節部の構成例を示す。
【図13】図13は、図12に示される波面調節部の他の状態を示す。
【図14】図14は、図1に示される波面調節部の他の構成例を示す。
【図15】図15は、図14に示される波面調節部の側視図である。
【図16】図16は、図1に示される倍率調節部の一例を示す。
【図17】図17は、図16に示される倍率調節部の他の状態を示す。
【図18】図18は、図1に示される倍率調節部の他の一例を示す。
【図19】図19は、実施の形態によるパワー増幅器として構成された増幅装置の概略構成を模式的に示す。
【図20】図20は、実施の形態によるファブリペロ共振器を備えたパワーオシレータを用いた増幅装置の概略構成を模式的に示す。
【図21】図21は、実施の形態によるリング共振器を備えたパワーオシレータを用いた増幅装置の概略構成を模式的に示す。
【図22】図22は、図21示す構成をレーザ光の光路を軸として90°回転した際の断面図である。
【図23】図23は、実施の形態によるスペクトル検出器の概略構成を模式的に示す。
【図24】図24は、実施の形態によるスペクトル検出器の他の概略構成を模式的に示す。
【図25】図25は、スペクトル純度E95を説明するための図である。
【実施の形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示の一例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0009】
以下の説明では、下記目次の流れに沿って説明する。
目次
1.概要
2.用語の説明
3.露光装置用のスペクトル線幅可変レーザ装置
3.1 構成
3.2 動作
3.3 作用
3.4 フローチャート
3.4.1 メインルーチン
3.4.2 調整発振サブルーチン(ピーク強度調節あり)
3.4.3 送り量算出サブルーチン
4.可変アッテネータ
4.1 回転タイプの可変アッテネータ
4.2 スライド方式の可変アッテネータ
4.3 入射角度調節タイプの可変アッテネータ
4.4 入射角度調節タイプの可変アッテネータ(変形例)
5.可変アッテネータを含むスペクトル検出部
5.1 構成
5.2 動作
5.3 作用
6.波面調節部
6.1 出力結合ミラーと別体の波面調節機構
6.2 出力結合ミラーと一体の波面調節機構
7.倍率調節部
7.1 プリズムの切替機構を備えた倍率調節部
7.2 プリズムの回転機構を備えた倍率調節部
8.増幅装置
8.1 エキシマガスをゲイン媒質とするパワーアンプ
8.2 エキシマガスをゲイン媒質とするパワーオシレータ
8.2.1 ファブリペロ共振器を含む実施形態
8.2.2 リング共振器を含む実施形態
9.スペクトル検出器
9.1 モニタエタロン分光器
9.2 グレーティング型分光器
10.その他
10.1 スペクトル線幅E95の定義
【0010】
1.概要
様々なマスクパターンを露光するために、露光装置用の紫外線レーザ装置は、それぞれのマスクパターンに適合したスペクトル線幅のレーザ光を出力する必要がある。その場合、レーザ装置から出力されるスペクトル線幅が高精度に検出される必要がある。そこで、以下の実施の形態は、イメージセンサに入射するレーザ光の光強度またはピーク強度を調節する可変アッテネータを備えてもよい。この可変アッテネータを用いることによって、スペクトル線幅が大きく変化した場合でも、イメージセンサで検出されるピーク強度を調節することが可能となる。その結果、スペクトル線幅が大きく変化したとしても、スペクトル線幅や中心波長の検出精度を維持することが可能となる。
【0011】
2.用語の説明
つぎに、本開示において使用される用語を、以下のように定義する。上流とは、レーザ光の光路に沿って光源に近い側をいう。また、下流とは、レーザ光の光路に沿って露光装置に近い側をいう。プリズムとは、三角柱またはそれに類似した形状を有し、レーザ光を含む光を透過し得るものをいう。プリズムの底面および上面は、三角形またはそれに類似した形状であるとする。プリズムの底面および上面に対して略90°に交わる3つの面を側面という。直角プリズムの場合、これらの側面のうち他の2面と90°に交わらない面を斜面という。なお、プリズムの頂辺を削るなどして形状を変形したものについても、本説明におけるプリズムに含まれ得る。光軸とは、レーザ光の進行方向に沿ってレーザ光のビーム断面の略中心を通る軸であってもよい。
【0012】
3.露光装置用のスペクトル線幅可変レーザ装置
本開示の一実施の形態によるレーザ装置を、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
3.1 構成
図1は、実施の形態によるレーザ装置の構成例を概略的に示す。レーザ装置100は、半導体露光用レーザであってもよい。レーザ装置100は、発振段(マスタオシレータ)と増幅段(増幅装置)とを備えた2ステージレーザ装置であってもよい。このレーザ装置100は、少なくともスペクトル線幅を変更し得る。
【0014】
図1に示されるように、レーザ装置100は、コントローラ10と、マスタオシレータシステム20と、増幅装置50と、スペクトル検出部60と、を備えてもよい。レーザ装置100は、高反射ミラー41および42などの光学系と、シャッタ機構70とをさらに備えてもよい。レーザ装置100は、コントローラ10に接続された記憶部11をさらに備えてもよい。
【0015】
コントローラ10は、レーザ装置100全体を制御してもよい。コントローラ10は、マスタオシレータシステム20、増幅装置50、スペクトル検出部60、およびシャッタ機構70に接続されてもよい。さらに、コントローラ10は、露光装置80のコントローラ81に接続されてもよい。
【0016】
マスタオシレータシステム20は、レーザ光L1を出力してもよい。レーザ光L1は、パルス光であってもよい。マスタオシレータシステム20は、狭帯域化モジュール30と、増幅器23と、出力結合ミラー21とを含んでもよい。狭帯域化モジュール30は、倍率調節部32と、グレーティング31とを含んでもよい。グレーティング31と出力結合ミラー21とは、光共振器を形成してもよい。グレーティング31は、レーザ光L1に対する波長選択部としても機能してよい。出力結合ミラー21は、マスタオシレータシステム20におけるレーザ光L1の出力端としても機能してよい。
【0017】
増幅器23は、励起状態である場合、光共振器内を進行するレーザ光L1を増幅してもよい。倍率調節部32は、光共振器内を進行するレーザ光L1のビーム断面を拡大または縮小してもよい。これにより、レーザ光のスペクトル線幅が調節され得る。マスタオシレータシステム20は、波面調節部22をさらに含んでもよい。波面調節部22は、光共振器内を進行するレーザ光L1の波面を調節してもよい。レーザ光の波面を調節することで、レーザ光のスペクトル線幅が調節され得る。増幅器23、波面調節部22および倍率調節部32は、コントローラ10からの制御の下で動作してもよい。
【0018】
高反射ミラー41および42などの光学系は、マスタオシレータシステム20と増幅装置50との間の光路上に配置されてもよい。増幅装置50は、光学系を介して入射したレーザ光L1を増幅してもよい。増幅装置50は、エキシマガスなどを内部に含んでもよく、放電によりこれを励起状態にしてゲイン媒質としてもよい。増幅装置50は、コントローラ10からの制御の下で動作してもよい。
【0019】
スペクトル検出部60は、増幅装置50より下流の光路上に配置されてもよい。スペクトル検出部60は、ビームスプリッタ61と、減衰部62と、スペクトル検出器63とを含んでもよい。ビームスプリッタ61は、増幅装置50から出力されたレーザ光L1の光路上に配置されてもよい。
【0020】
減衰部62は、ビームスプリッタ61によって分岐されたレーザ光L1の光路上に配置されてもよい。減衰部62は、後述する可変アッテネータと移動機構とを備えてもよい(たとえば図5参照)。移動機構は、可変アッテネータにおけるレーザ光の入射位置を調節することで、減衰部62による減衰率を調節してもよい。
【0021】
スペクトル検出器63は、減衰部62を通過したレーザ光L1のスペクトルを検出してもよい。スペクトル検出器63は、レーザ光L1のスペクトル検出結果をコントローラ10へ出力してもよい。
【0022】
シャッタ機構70は、スペクトル検出部60より下流の光路上に配置されてもよい。シャッタ機構70は、シャッタ71と、駆動機構72とを含んでもよい。駆動機構72は、レーザ光L1の光路に対してシャッタ71を出し入れしてもよい。駆動機構72は、コントローラ10からの制御の下で動作してもよい。シャッタ71が開の状態でシャッタ機構70を通過したレーザ光L1は、露光装置80に出力されてもよい。
【0023】
3.2 動作
つづいて、図1に示されるレーザ装置100の概略動作を、以下に説明する。コントローラ10は、露光装置80のコントローラ81から、露光用のレーザ光L1の出力を要求する露光命令を受信してもよい。この露光命令には、レーザ光L1に要求されるスペクトル線幅の目標値(目標スペクトル線幅)が含まれていてもよい。コントローラ10は、露光命令を受信すると、まずシャッタ機構70を駆動して、シャッタ71を閉じてもよい。また、コントローラ10は、レーザ光L1のスペクトル線幅が要求された目標スペクトル線幅となるように、波面調節部22および倍率調節部32を駆動してもよい。記憶部11は、波面調節部22および/または倍率調節部32の制御値を、目標スペクトル線幅に対応づけて格納していてもよい。制御値と目標スペクトル線幅との対応関係は、制御テーブルのデータ形式で管理されていてもよい。あるいは、記憶部11は、目標スペクトル線幅から制御値を算出するための関数やパラメータ等を格納していてもよい。コントローラ10は、記憶部11から読み出した関数やパラメータを用いて、目標スペクトル線幅を達成するための制御値を算出してもよい。コントローラ10は、得られた制御値を、波面調節部22および倍率調節部32へ適宜送信してもよい。また、コントローラ10は、マスタオシレータシステム20内の増幅器23を励起状態に駆動してもよい。これにより、マスタオシレータシステム20から、スペクトル線幅が実質的に目標スペクトル線幅に調整されたレーザ光L1が出力され得る。
【0024】
コントローラ10は、マスタオシレータシステム20から出力されるレーザ光L1が増幅器50に入射するタイミングに同期して、増幅装置50を励起状態に駆動してもよい。これにより、マスタオシレータシステム20から出力されたレーザ光L1が増幅装置50によって増幅され得る。
【0025】
増幅後のレーザ光L1は、スペクトル検出部60のビームスプリッタ61に入射してもよい。ビームスプリッタ61によって分岐されたレーザ光L1は、減衰部62を透過してもよい。減衰部62は、透過するレーザ光L1の光強度またはピーク強度を、そのスペクトル幅に応じて調節してもよい。スペクトル検出部60は、強度調節後のレーザ光L1のスペクトル線幅を検出してもよい。検出されたスペクトル線幅は、コントローラ10へ送信されてもよい。コントローラ10は、検出されたスペクトル線幅が目標スペクトル線幅に近づくように、波面調節部22および倍率調節部32のうち少なくとも一方をフィードバック制御してもよい。また、コントローラ10は、検出されたスペクトル線幅に応じて、減衰部62をフィードバック制御してもよい。
【0026】
3.3 作用
上記によれば、スペクトル線幅の変化に応じて、減衰部62による減衰率を調節し得る。それにより、スペクトル検出器63に入射するレーザ光L1の光強度またはピーク強度を安定させることが可能となる。たとえば、スペクトル検出器63に入射するレーザ光L1のピーク強度が特定のダイナミックレンジに収まるように、レーザ光L1の光強度またはピーク強度が調節され得る。その結果、スペクトル線幅が大きく変化したとしても、スペクトル線幅や中心波長をダイナミックレンジ内で高精度に検出することが可能となる。
【0027】
3.4 フローチャート
つぎに、実施の形態1によるレーザ装置100の動作を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下では、コントローラ10の動作にしたがって説明する。
【0028】
3.4.1 メインルーチン
図2は、実施の形態1におけるコントローラ10のメインルーチンを示すフローチャートである。図2に示されるように、コントローラ10は、まず、露光装置コントローラ81などの外部装置から、目標スペクトル線幅Δλtおよび/または目標パルスエネルギーEtの変更指示を受信したか否かを判定してもよい(ステップS101)。変更指示は、レーザ光の出力を要求する露光命令などに含まれていてもよい。
【0029】
変更指示を受信した場合(ステップS101;YES)、コントローラ10は、調整発振サブルーチンを実行し(ステップS102)、その後、ステップS103へ移行してもよい。調整発振サブルーチンには、スペクトル検出器63に入射するレーザ光L1のピーク強度が所定のダイナミックレンジ内に収まるようにレーザ光L1のピーク強度を調節する動作が含まれていてもよい。一方、変更指示が含まれていなかった場合(ステップS101;NO)、コントローラ10は、そのままステップS103へ移行してもよい。
【0030】
ステップS103では、コントローラ10は、マスタオシレータシステム20および増幅装置50を駆動して、レーザ光L1を出力してもよい。つぎに、コントローラ10は、ステップS103で出力されたレーザ光L1のスペクトルを、スペクトル検出部60を用いて計測してもよい(ステップS104)。スペクトルの計測結果には、中心波長λの情報とピーク強度Iの情報とが含まれていてもよい。つぎに、コントローラ10は、スペクトルの計測結果から、レーザ光L1のピーク強度Iが所定のダイナミックレンジ(Ilower<I<Iupper)内に含まれているか否かを判定してもよい(ステップS105)。所定のダイナミックレンジは、たとえばスペクトル検出器63の感度特性に基づいた、利用し易い検出精度が得られる範囲であってもよい。
【0031】
レーザ光L1のピーク強度Iが所定のダイナミックレンジ内に含まれている場合(ステップS105;YES)、コントローラ10は、ピーク強度Iが減衰調節不要範囲内に含まれているか否かを判定してもよい(ステップS106)。減衰調節不要範囲とは、レーザ光L1のピーク強度Iに対して減衰部62を調節する必要がないと規定される範囲であってもよい。たとえば、減衰調節不要範囲は、目標ピーク強度Itargetを基準とした±αの範囲と定義されてもよい。この減衰調節不要範囲の幅を規定する値αは、予め定められていてもよい。その場合、値αは、記憶部11に記憶されていてもよい。値αは、たとえばスペクトル検出器63の感度特性や分解能などに基づいて予め定められていてもよい。また、ステップS106の判定は、毎パルスに対して実行されてもよいし、複数のパルスの平均値(たとえば100パルスや1000パルスの平均値)に対して実行されてもよい。
【0032】
ピーク強度Iが減衰調節不要範囲内である場合(ステップS106;YES)、コントローラ10は、ステップS101へリターンして、以降の動作を実行してもよい。一方、ピーク強度Iが減衰調節不要範囲内で無い場合(ステップS106;NO)、コントローラ10は、計測されたピーク強度Iと目標ピーク強度Itargetとの差ΔIを算出してもよい(ステップS107)。つぎに、コントローラ10は、算出された差ΔIが小さくなるように、減衰部62を駆動してスペクトル検出器63に入射するレーザ光L1の光強度を調節してもよい(ステップS108)。つぎに、コントローラ10は、可変アッテネータの位置Xを確認してもよい(ステップS109)。可変アッテネータの位置Xは、減衰部62へ与えた制御量に基づいて算出されてもよいし、移動機構に設けられた位置センサなどを用いて検出されてもよい。
【0033】
つぎに、コントローラ10は、可変アッテネータの位置Xが利用可能範囲(Xlower<X<Xupper)内にあるか否かを判定してもよい(ステップS110)。可変アッテネータが利用可能範囲内にある場合(ステップS110;YES)、コントローラ10は、ステップS101へリターンし、以降の動作を実行してもよい。
【0034】
一方、可変アッテネータが利用可能範囲内に無い場合(ステップS110;NO)、コントローラ10は、減衰部62によるピーク強度Iの制御が不可能であると判定してもよい(ステップS111)。つぎに、コントローラ10は、レーザ装置100のオペレータなどに、減衰部62が調節不可であることを示す警告を発してもよい(ステップS112)。その後、コントローラ10は、ステップS101へリターンし、以降の動作を実行してもよい。このように、レーザ光L1の検出ピーク強度が所望のダイナミックレンジ内に調節できない場合であっても、計測可能範囲内にある場合には、エラーとせずに、動作を継続してもよい。
【0035】
また、ステップS105の判定において、レーザ光L1のピーク強度Iが所定のダイナミックレンジ内に含まれていない場合(ステップS105;NO)、コントローラ10は、ピーク強度Iがエラーであると判断してもよい(ステップS113)。つぎに、コントローラ10は、レーザ装置100が動作不可能な状態にあるとして、インターロックによる動作の停止を実行してもよい(ステップS114)。その後、コントローラ10は、エラーが解消するまで待機してもよい(ステップS115;NO)。この状態において、ピーク強度Iがエラーとなった原因を解決するのが望ましい。エラー原因の解決は、オペレータなどが実施してもよいし、コントローラ10が自己診断機能により原因の解決に繋がるレーザ各部の操作を実施してもよい。エラーが解消可能な状態となった場合、レーザ装置100のオペレータなどがエラー解除の信号をコントローラ10に外部入力してもよい。あるいは、コントローラ10が内部の駆動情報等に基づいて自己判断してエラーの状態を解消してもよい。エラーが解消すると(ステップS115;YES)、コントローラ10は、インターロックを解除してもよい(ステップS116)。その後、コントローラ10は、ステップS101へリターンして、以降の動作を実行してもよい。なお、図2に示される動作は、適時、外部からの割込処理などによって終了してもよい。
【0036】
3.4.2 調整発振サブルーチン(ピーク強度調節あり)
図3は、図2のステップS102に示される調整発振サブルーチンの一例を示す。図3に示されるように、レーザ光L1のピーク強度調節を伴う調整発振サブルーチンでは、コントローラ10は、まず、シャッタ機構70を駆動してレーザ光L1の光路を遮断してもよい(ステップS121)。つぎに、コントローラ10は、目標スペクトル線幅Δλtの変更量からピーク強度Iの変化量を推定し、推定されたピーク強度Iから可変アッテネータの移動機構による送り量を算出する送り量算出サブルーチンを実行してもよい(ステップS122)。つぎに、コントローラ10は、算出した送り量を減衰部62へ与えることで、減衰部62による減衰率を調節してもよい(ステップS123)。
【0037】
つぎに、コントローラ10は、マスタオシレータシステム20に所定の繰返し周波数でレーザ光L1を出力させるレーザ発振動作を開始させてもよい(ステップS124)。この際、増幅装置50も駆動されてもよい。つぎに、コントローラ10は、ステップS124で出力されたレーザ光L1のスペクトルを、スペクトル検出部60を用いて計測してもよい(ステップS125)。スペクトルの計測結果には、中心波長λの情報とピーク強度Iの情報とが含まれていてもよい。つぎに、コントローラ10は、スペクトルの計測結果から、レーザ光L1のピーク強度Iが減衰調節不要範囲(Itargete−α<I<Itarget+α)内に含まれているか否かを判定してもよい(ステップS126)。この判定は、毎パルスに対して実行されてもよいし、複数のパルスの平均値(たとえば100パルスや1000パルスの平均値)に対して実行されてもよい。
【0038】
ピーク強度Iが減衰調節不要範囲内である場合(ステップS126;YES)、コントローラ10は、マスタオシレータシステム20に所定繰返し周波数のレーザ発振を停止させてもよい(ステップS127)。つぎに、コントローラ10は、露光準備が完了したことを露光装置コントローラ81へ通知してもよい(ステップS128)。つぎに、コントローラ10は、シャッタ機構70を駆動してレーザ光L1の光路を露光装置に連通させてもよい。(ステップS121)。その後、コントローラ10は、図2に示される動作へリターンしてもよい。
【0039】
一方、ピーク強度Iが減衰調節不要範囲内で無い場合(ステップS126;NO)、コントローラ10は、計測されたピーク強度Iと目標ピーク強度Itargetとの差ΔIを算出してもよい(ステップS130)。つぎに、コントローラ10は、算出された差ΔIが小さくなるように、減衰部62を駆動してスペクトル検出器63に入射するレーザ光L1の光強度を調節してもよい(ステップS131)。つぎに、コントローラ10は、可変アッテネータの位置Xを確認してもよい(ステップS132)。可変アッテネータの位置Xは、減衰部62へ与えた制御量に基づいて算出されてもよいし、移動機構に設けられた位置センサなどを用いて検出されてもよい。
【0040】
つぎに、コントローラ10は、可変アッテネータの位置Xが利用可能範囲(Xlower<X<Xupper)内にあるか否かを判定してもよい(ステップS133)。可変アッテネータが利用可能範囲内にある場合(ステップS133;YES)、コントローラ10は、ステップS125へリターンし、以降の動作を実行してもよい。
【0041】
一方、可変アッテネータが利用可能範囲内に無い場合(ステップS133;NO)、コントローラ10は、減衰部62によるピーク強度Iの制御が不可能であると判定してもよい(ステップS134)。つぎに、コントローラ10は、レーザ装置100のオペレータなどに、減衰部62が調節不可であることを示す警告を発してもよい(ステップS135)。
【0042】
つぎに、コントローラ10は、ステップS125におけるスペクトルの計測結果から、レーザ光L1のピーク強度Iが所定のダイナミックレンジ(Ilower<I<Iupper)内に含まれているか否かを判定してもよい(ステップS136)。レーザ光L1のピーク強度Iが所定のダイナミックレンジ内に含まれている場合(ステップS136;YES)、コントローラ10は、ステップS127へ移行して、移行の動作を実行してもよい。
【0043】
一方、レーザ光L1のピーク強度Iが所定のダイナミックレンジ内に含まれていない場合(ステップS136;NO)、コントローラ10は、ピーク強度Iがエラーであると判断してもよい(ステップS137)。つぎに、コントローラ10は、レーザ装置100が動作不適切な状態にあるとして、インターロックによる動作の停止を実行してもよい(ステップS138)。その後、コントローラ10は、エラーが解消するまで待機してもよい(ステップS139;NO)。この状態において、ピーク強度Iがエラーとなった原因を解決するのが望ましい。エラー原因の解決は、オペレータなどが実施してもよいし、コントローラ10が自己診断機能により原因の解決に繋がるレーザ各部の操作を実施してもよい。エラーが解消可能な状態となった場合、エラーの解消は、レーザ装置100のオペレータなどが外部入力してもよいし、コントローラ10が内部の駆動情報等に基づいて自己判断してもよい。エラーが解消すると(ステップS139;YES)、コントローラ10は、インターロックを解除してもよい(ステップS140)。その後、コントローラ10は、ステップS122へリターンして、以降の動作を実行してもよい。
【0044】
3.4.3 送り量算出サブルーチン
図4は、図3のステップS122に示される送り量算出サブルーチンの一例を示す。図4に示されるように、送り量算出サブルーチンでは、コントローラ10は、まず、現在の減衰部62の透過率T0を特定してもよい(ステップS151)。現在の減衰部62の透過率T0は、たとえば現在の可変アッテネータの位置Xと、透過率T0とを対応付けたテーブルを記憶部11に保持しておき、コントローラ10はこのテーブルを参照して透過率T0を求めてもよい。または、たとえば現在の可変アッテネータの透過率分布特性(位置依存)を計算式として記憶部11に保持しておき、コントローラ10はこの計算式に位置Xを入力した計算結果として透過率T0を求めてもよい。
【0045】
つぎに、コントローラ10は、変更前後での目標スペクトル線幅の比A1を算出してもよい(ステップS152)。比A1は、変更前の目標スペクトル線幅をΔλt0とし、変更後の目標スペクトル線幅をΔλtとして、A1=Δλt/Δλt0の式で算出されてもよい。また、コントローラ10は、変更前後での目標パルスエネルギーの比A2を算出してもよい(ステップS153)。比A2は、変更前の目標パルスエネルギーをEt0とし、変更後の目標パルスエネルギーをEtとして、A2=Et/Et0の式で算出されてもよい。
【0046】
つぎに、コントローラ10は、算出された比A1およびA2から、目標とする減衰部62の透過率Ttを算出してもよい(ステップS154)。目標とする透過率Ttは、たとえばTt=T0×(A1/A2)の式で算出されてもよい。
【0047】
つぎに、コントローラ10は、減衰部62の透過率が目標とする透過率Ttとなるように、減衰部62を調節してもよい(ステップS155)。つぎに、コントローラ10は、現在の目標スペクトル線幅Δλt0に変更後の目標スペクトル線幅Δλtを代入(Δλt0=Δλt)し、また、現在の目標パルスエネルギーEt0に変更後の目標パルスエネルギーEtを代入(Et0=Et)してもよい(ステップS156)。その後、コントローラ10は、図3に示される動作へリターンしてもよい。
【0048】
以上のように動作することで、スペクトル検出器63に入射するレーザ光L1のピーク強度が所定のダイナミックレンジに収まるように調節され得る。その結果、より正確にレーザ光L1のスペクトル線幅を計測することが可能となる。これにより、より安定してレーザ光L1のスペクトル線幅を目標とするスペクトル線幅に調節することが可能となる。
【0049】
4.可変アッテネータ
つぎに、上述した実施の形態における減衰部62について、その具体例を挙げて説明する。
【0050】
4.1 回転タイプの可変アッテネータ
図5は、回転タイプの可変アッテネータを用いた減衰部を含むスペクトル検出部の一例を示す。図6は、図5に示される可変アッテネータ621をレーザ光L1の入射方向から見た構成例を示す。
【0051】
図5に示されるように、スペクトル検出部60Aは、ビームスプリッタ61と、減衰部620と、スペクトル検出器63と、ビームダンパ64とを備えてもよい。減衰部62Aは、可変アッテネータ621と、移動機構622とを備えてもよい。
【0052】
図6に示されるように、可変アッテネータ621は、回転ディスク形状であってもよい。移動機構622は、可変アッテネータ621を回転させてもよい。可変アッテネータ621の透過率は、回転方向に沿った位置に依存して変化してもよい。たとえば、可変アッテネータ621は、回転方向に沿った位置に依存してその厚さが変化する構成を備えてもよい。または、回転方向に沿った位置に依存して反射膜あるいは遮蔽膜の塗布濃度あるいは膜厚が変化する構成を備えてもよい。これにより、回転方向に沿った位置に依存して透過率が変化し得る。
【0053】
ビームスプリッタ61によって分岐されたレーザ光L1は、減衰部620の可変アッテネータ621に入射してもよい。可変アッテネータ621は、レーザ光L1の入射軸に対して傾いていてもよい。移動機構622は、コントローラ10からの指示の下で、可変アッテネータ621を回転させることで、可変アッテネータ621に対するレーザ光L1の入射位置を変化させてもよい。本説明では、可変アッテネータ621の回転量が、現在位置または基準位置からの送り量に相当する。移動機構622は、レーザ光L1の入射角度を変化させることなく、可変アッテネータ621を回転させてもよい。移動機構622には、汚染物質の発生を抑制し得るクリーンモータや超音波モータが使用されてもよい。
【0054】
可変アッテネータ621を透過したレーザ光L1は、スペクトル検出器63に入射してもよい。スペクトル検出器63は、減衰されたレーザ光L1のスペクトルを計測してもよい。スペクトルの計測結果は、コントローラ10へ入力されてもよい。
【0055】
可変アッテネータ621で反射したレーザ光L1は、ビームダンパ64に入射してもよい。ビームダンパ64は、入射したレーザ光L1を吸収してもよい。ビームダンパ64には、不図示の冷却システムが設けられてもよい。
【0056】
4.2 スライド方式の可変アッテネータ
図7は、スライド方式の可変アッテネータを用いた減衰部を含むスペクトル検出部の一例を示す。図8は、図7に示される可変アッテネータ631をレーザ光L1の入射方向から見た構成例を示す。
【0057】
図7に示されるように、スペクトル検出部60Bは、図5に示されるスペクトル検出部60Aと同様の構成において、減衰部620が減衰部630に置き換えられた構成を備えてもよい。減衰部630は、可変アッテネータ631と、移動機構632とを備えてもよい。
【0058】
図8に示されるように、可変アッテネータ631は、長方形の板形状であってもよい。移動機構632は、可変アッテネータ631をスライドさせてもよい。可変アッテネータ631の透過率は、スライド方向に沿った位置に依存して変化してもよい。たとえば、可変アッテネータ631は、スライド方向に沿った位置に依存してその厚さが変化する構成を備えてもよい。または、スライド方向に沿った位置に依存して反射膜あるいは遮蔽膜の塗布濃度あるいは膜厚が変化する構成を備えてもよい。これにより、スライド方向に沿った位置に依存して透過率が変化し得る。
【0059】
ビームスプリッタ61によって分岐されたレーザ光L1は、減衰部630の可変アッテネータ631に入射してもよい。可変アッテネータ631は、レーザ光L1の入射軸に対して傾いていてもよい。移動機構632は、コントローラ10からの指示の下で、可変アッテネータ631をスライドさせることで、可変アッテネータ631に対するレーザ光L1の入射位置を変化させてもよい。本説明では、可変アッテネータ631のスライド量が、現在位置または基準位置からの送り量に相当する。移動機構632は、レーザ光L1の入射角度を変化させることなく、可変アッテネータ631をスライドさせてもよい。移動機構632には、汚染物質の発生を抑制し得るクリーンモータや超音波モータが使用されてもよい。
【0060】
可変アッテネータ631を透過したレーザ光L1は、スペクトル検出器63に入射してもよい。可変アッテネータ641で反射したレーザ光L1は、ビームダンパ64に入射してもよい。
【0061】
4.3 入射角度調節タイプの可変アッテネータ
図9は、入射角度調節タイプの可変アッテネータを用いた減衰部を含むスペクトル検出部の一例を示す。
【0062】
図9に示されるように、スペクトル検出部60Cは、図5に示されるスペクトル検出部60Aと同様の構成において、減衰部620が減衰部640に置き換えられた構成を備えてもよい。減衰部640は、可変アッテネータ641と、回転機構644とを備えてもよい。
【0063】
可変アッテネータ641は、透明基板642と、誘電体多層膜643とを含んでもよい。透明基板642は、レーザ光L1を透過してもよい。誘電体多層膜643は、透明基板642に対するレーザ光L1の入射面に形成されてもよい。誘電体多層膜643は、位置に依存しない一様な反射率を備えてもよい。ただし、誘電体多層膜643は、レーザ光の入射角度に依存して透過率が変化するよう構成されていてもよい。回転機構644は、レーザ光L1の入射角度θが変化するように、可変アッテネータ641を回転させてもよい。これにより、レーザ光L1の入射角度θに依存して透過率が変化し得る。
【0064】
ビームスプリッタ61によって分岐されたレーザ光L1は、減衰部640の可変アッテネータ641に入射してもよい。回転機構644は、コントローラ10からの指示の下で、可変アッテネータ641の入射面の傾きを変化させることで、可変アッテネータ641に対するレーザ光L1の入射角度θを変化させてもよい。本説明では、可変アッテネータ641の入射面の傾きの変換量が、現在位置または基準位置からの送り量に相当する。回転機構644には、汚染物質の発生を抑制し得るクリーンモータや超音波モータが使用されてもよい。
【0065】
可変アッテネータ641を透過したレーザ光L1は、スペクトル検出器63に入射してもよい。可変アッテネータ641で反射したレーザ光L1は、不図示のビームダンパに入射してもよい。
【0066】
4.4 入射角度調節タイプの可変アッテネータ(変形例)
図10は、入射角度調節タイプの可変アッテネータを用いた減衰部を含むスペクトル検出部の他の一例を示す。
【0067】
図10に示されるように、スペクトル検出部60Dは、図9に示されるスペクトル検出部60Cと同様の構成において、減衰部640が減衰部650に置き換えられた構成を備えてもよい。減衰部650は、可変アッテネータ651および655と、回転機構654および658とを備えてもよい。
【0068】
可変アッテネータ651は、可変アッテネータ641と同様、透明基板652と、誘電体多層膜653とを含んでもよい。透明基板652は、レーザ光L1を透過してもよい。誘電体多層膜653は、透明基板652に対するレーザ光L1の入射面に形成されてもよい。誘電体多層膜653は、位置に依存しない一様な反射率を備えてもよい。ただし、誘電体多層膜653は、レーザ光の入射角度に依存して透過率が変化するよう構成されていてもよい。回転機構654は、レーザ光L1の入射角度φが変化するように、可変アッテネータ651を回転させてもよい。これにより、レーザ光L1の入射角度φに依存して透過率が変化し得る。
【0069】
可変アッテネータ655は、可変アッテネータ651と同様に、透明基板656と、誘電体多層膜657とを含んでもよい。回転機構658は、回転機構654と同様の構成であってもよい。回転機構654および658には、汚染物質の発生を抑制し得るクリーンモータや超音波モータが使用されてもよい。
【0070】
ビームスプリッタ61によって分岐されたレーザ光L1は、減衰部650の可変アッテネータ651に入射してもよい。回転機構654は、コントローラ10からの指示の下で、可変アッテネータ651の入射面の傾きを変化させることで、可変アッテネータ651に対するレーザ光L1の入射角度φを変化させてもよい。
【0071】
可変アッテネータ651を透過したレーザ光L1は、可変アッテネータ655に入射してもよい。回転機構658は、コントローラ10からの指示の下で、可変アッテネータ655の入射面の傾きを変化させることで、可変アッテネータ655に対するレーザ光L1の入射角度φを変化させてもよい。
【0072】
回転機構654による可変アッテネータ651の回転量(送り量)は、回転機構658による可変アッテネータ655の回転量(送り量)と同等であってもよい。ただし、回転機構658は、回転機構654とは反対の回転方向に、可変アッテネータ655の入射面の傾きを変化させてもよい。これにより、可変アッテネータ651を透過することで生じたレーザ光L1の光軸または光路のずれを、可変アッテネータ655によって緩和することが可能となる。
【0073】
可変アッテネータ655を透過したレーザ光L1は、スペクトル検出器63に入射してもよい。可変アッテネータ651または655で反射したレーザ光L1は、それぞれ不図示のビームダンパに入射してもよい。
【0074】
5.可変アッテネータを含むスペクトル検出部
つぎに、上述した実施の形態におけるスペクトル検出部60の他の例について、具体例を挙げて説明する。なお、以下では、図5に示されるスペクトル検出部60Aをベースとした例を挙げるが、これに限定されるものではなく、他のスペクトル検出部60B〜60Dのいずれをベースとしてもよい。
【0075】
5.1 構成
図11は、可変アッテネータを含むスペクトル検出部60Eの一例を示す。図11に示されるように、スペクトル検出部60Eは、図5に示されるスペクトル検出部60Aと同様の構成に加え、エネルギー検出部66をさらに備えてもよい。エネルギー検出部66は、ビームスプリッタ61によって分岐されたレーザ光L1の光路上に位置してもよい。エネルギー検出部66は、減衰部620よりもレーザ光L1の入力側に配置されてもよい。エネルギー検出部66は、ビームスプリッタ661と、エネルギーセンサ662とを含んでもよい。
【0076】
5.2 動作
ビームスプリッタ61で分岐されたレーザ光L1は、エネルギー検出部66のビームスプリッタ661でさらに分岐されてもよい。ビームスプリッタ661で分岐されたレーザ光L1は、エネルギーセンサ662に入射してもよい。エネルギーセンサ662は、ビームスプリッタ661で分岐されたレーザ光L1のエネルギーを検出してもよい。エネルギーセンサ662は、エネルギーの検出結果を、コントローラ10に入力してもよい。コントローラ10は、入力されたエネルギー検出結果に基づいて、減衰部620による減衰率を調節してもよい。
【0077】
5.3 作用
レーザ光L1のパルスエネルギーを検出するエネルギー検出部66が備えられたことで、スペクトルの計測結果以外に、エネルギー検出結果に基づいても、レーザ光L1のピーク強度を調節することが可能となる。その結果、処理速度が向上する場合がある。
【0078】
6.波面調節機構
つぎに、上述した実施の形態のマスタオシレータシステム20における波面調節部22について、以下に例を挙げて説明する。
【0079】
6.1 出力結合ミラーと別体の波面調節機構
図12および図13は、波面調節部22の構成例を示す。波面調節部22は、両面が半筒状に窪んだ凹面シリンドリカルレンズ222と、両面が半筒状に突出した凸面シリンドリカルレンズ221と、架台223とを備えてもよい。凹面シリンドリカルレンズ222または凸面シリンドリカルレンズ221には、これをレーザ光L1の光軸に沿って移動させる移動機構が設けられてもよい。本説明では、凸面シリンドリカルレンズ221に移動機構が設けられている。移動機構が設けられていない凹面シリンドリカルレンズ222は、架台223に固定されてもよい。
【0080】
移動機構は、たとえば移動ステージ224と、スライドレール225と、突起部226と、ステッピングモータ227とを備えてもよい。凸面シリンドリカルレンズ221は、移動ステージ224に固定されてもよい。スライドレール225は、レーザ光L1の光路に沿って延在するように、架台223に固定されてもよい。移動ステージ224は、スライドレール225上にスライド可能に載置されてもよい。突起部226は、移動ステージ224から突出していてもよい。ステッピングモータ227は、突起部226をスライドレール225の延在方向に沿って進退させてもよい。ステッピングモータ227に連結した軸が突起部226に接触し、軸の反対側からプランジャピン等により突起部226を軸に押し付けるようにしてもよい。ステッピングモータ227を駆動することで、突起部226が押し引きされてもよい。これにより、移動ステージ224上の凸面シリンドリカルレンズ221がレーザ光L1の光路に沿って移動してもよい。その結果、凸面シリンドリカルレンズ221と凹面シリンドリカルレンズ222との間の距離が調節されてもよい。
【0081】
図12および図13に示されるように、以上のような構成を備えた波面調節部22は、凹面シリンドリカルレンズ222と凸面シリンドリカルレンズ221との間の距離を調節することで、レーザ光L1の波面を調節し得る。
【0082】
6.2 出力結合ミラーと一体の波面調節機構
また、波面調節部22および出力結合ミラー21は、これらの機能を併せ持つ波面調節部26に置き換えられてもよい。図14および図15は、波面調節部26の構成例を示す。図14は、波面調節部26の上視図である。図15は、波面調節部26の側視図である。
【0083】
波面調節部26は、片面が半筒状に突出した凸面シリンドリカルレンズ261と、片面が半筒状に窪んだ凹面シリンドリカルレンズ262と、架台263とを備えてもよい。凹面シリンドリカルレンズ262は、これをレーザ光L1の光軸に沿って移動させる移動機構が設けられてもよい。凸面シリンドリカルレンズ261は、架台263に固定されてもよい。凸面シリンドリカルレンズ261の歪曲面と反対側の面には、部分反射コート261aが設けられてもよい。部分反射コート261aが形成された面は、マスタオシレータシステム20のレーザ出力端として機能してもよい。
【0084】
移動機構は、たとえば移動ステージ264と、スライドレール265と、突起部266と、ステッピングモータ267とを備えてもよい。凹面シリンドリカルレンズ262は、移動ステージ264に固定されてもよい。スライドレール265は、レーザ光L1の光路に沿って延在するように、架台263に固定されてもよい。移動ステージ264は、スライドレール265上にスライド可能に載置されてもよい。突起部266は、移動ステージ264から突出していてもよい。ステッピングモータ267は、突起部266をスライドレール265の延在方向に沿って進退させてもよい。ステッピングモータ267に連結した軸が突起部266に接触し、軸の反対側からプランジャピン等により突起部266を軸に押し付けるようにしてもよい。ステッピングモータ267を駆動することで、突起部266が押し引きされてもよい。これにより、移動ステージ264上の凹面シリンドリカルレンズ262がレーザ光L1の光路に沿って移動してもよい。その結果、凹面シリンドリカルレンズ262と凸面シリンドリカルレンズ261との間の距離が調節されてもよい。
【0085】
図14および図15に示されるように、以上のような構成を備えた波面調節部26は、凸面シリンドリカルレンズ261と凹面シリンドリカルレンズ262との間の距離を調節することで、レーザ光L1の波面を調節し得る。
【0086】
7.倍率調節部
つぎに、上述した実施の形態のマスタオシレータシステム20における倍率調節部32について、以下に例を挙げて説明する。
【0087】
7.1 プリズムの切替機構を備えた倍率調節部
図16および図17は、複数のプリズムのうちの少なくとも1つを切り替える機構を備えた倍率調節部32Aの一例を示す。
【0088】
図16および図17に示されるように、倍率調節部32Aは、複数のプリズム321、322、323a、323bおよび324を含んでもよい。これらのうち、プリズム323aおよび323bは、レーザ光L1の光路に対して入れ換え可能であるとよい。図16は、プリズム323aが光路上に配置された場合を示し、図17は、プリズム323bが光路上に配置された場合を示す。
【0089】
フロントエッジ(レーザ出力端)側からプリズム323aに入射したレーザ光L1は、同じくフロントエッジ(レーザ出力端)側からプリズム323bに入射したレーザ光L1の光軸と同じ光軸で出射されてもよい。ただし、プリズム323aから出射するレーザ光L1のビーム径は、プリズム323bから出射するレーザ光L1のビーム径と異なるとよい。
【0090】
プリズム323aおよび323bは、移動ステージ32cに搭載されてもよい。倍率調節部32Aは、図示しない駆動機構に接続された移動ステージ32cによって、レーザ光L1の光路上に、プリズム323aおよび323bの何れかを選択的に配置してもよい。これにより、それぞれのプリズム323aおよび323bに設定された倍率で、グレーティング31へ入射するレーザ光L1のビーム径が変更され得る。
【0091】
7.2 プリズムの回転機構を備えた倍率調節部
複数のプリズムを用いて倍率調節部を構成する場合、各プリズムを回転させることで、光路を調節しつつビーム径を制御することも可能である。図18は、回転可能に保持された複数のプリズムを備える倍率調節部32Bの一例を示す。
【0092】
図18に示されるように、倍率調節部32Bは、光路調節ユニット410および420と、ピンホール430と、架台440とを備えてもよい。光路調節ユニット410および420とピンホール430とは、架台440に固定されてもよい。
【0093】
ピンホール430は、倍率調節部32におけるフロントエッジ(レーザ出力端)側に配置されてもよい。ピンホール430は、通過するレーザ光L1のビーム断面を整形してもよい。
【0094】
光路調節ユニット410は、プリズム411と、回転プレート412と、突起413と、ステッピングモータ414と、ステージ415とを備えてもよい。プリズム411は、回転プレート412上に固定されてもよい。回転プレート412は、回転可能にステージ415に保持されてもよい。回転プレート412の外周部には、突起413が設けられていてもよい。ステッピングモータ414に連結した軸が突起413に接触し、軸の反対側からプランジャピン等により突起413を軸に押し付けるようにしてもよい。ステッピングモータ414を駆動することで、突起413が押し引きされてもよい。これにより、プリズム411が回転し得る。
【0095】
同様に、光路調節ユニット420は、プリズム421と、回転プレート422と、突起423と、ステッピングモータ424と、ステージ425とを備えてもよい。プリズム421は、回転プレート422上に固定されてもよい。回転プレート422は、回転可能にステージ425に保持されてもよい。回転プレート422の外周部には、突起423が設けられていてもよい。ステッピングモータ424に連結した軸が突起423に接触し、軸の反対側からプランジャピン等により突起423を軸に押し付けるようにしてもよい。ステッピングモータ424を駆動することで、突起423が押し引きされてもよい。これにより、プリズム421が回転し得る。
【0096】
倍率調節部32を透過するレーザ光L1のビーム径は、プリズム411および421の光軸に対する傾きに依存する倍率に基づいて変化してもよい。光路調節ユニット420は、光路調節ユニット410によって元の光軸から外れたレーザ光L1の光軸が元の光軸と平行な光軸となるように、レーザ光L1の光軸を調節してもよい。ステッピングモータ415および425は、コントローラ10からの制御の下で、回転プレート412および422を回転してもよい。
【0097】
8.増幅装置
つぎに、図1に示す増幅装置50について、図面を用いて詳細に説明する。増幅装置50は、パワーオシレータやパワー増幅器や再生増幅器など、種々のレーザ増幅装置であってよい。また、増幅装置50は、1つの増幅装置であってもよいし、複数の増幅装置を含んでいてもよい。
【0098】
8.1 エキシマガスをゲイン媒質とするパワーアンプ
図19は、パワー増幅器として構成された増幅装置50の概略構成を模式的に示す。図19に示されるように、増幅装置50は、チャンバ53を備えてもよい。増幅装置50は、レーザ光L1のビームプロファイルを調整するスリット52をさらに備えてもよい。チャンバ53には、ウィンドウ54および57が設けられてもよい。ウィンドウ54および57は、チャンバ53の機密性を保持しつつ、レーザ光L1を透過させてもよい。このチャンバ53内には、エキシマガスなどのゲイン媒質が封入されていてもよい。ゲイン媒質は、例えばKrガス、Arガス、Fガス、Neガス、およびXeガスのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。さらに、チャンバ53内には、一対の放電電極55および56が設けられてもよい。放電電極55および56は、レーザ光L1が通過する領域(増幅領域)を挟むように配置されていてもよい。放電電極55および56間には、不図示の電源からパルス状の高電圧が印加されてもよい。高電圧は、レーザ光L1が増幅領域を通過するタイミングに合わせて、放電電極55および56間に印加されてもよい。放電電極55および56間に高電圧が印加されると、放電電極55および56間に、活性化されたゲイン媒質を含む増幅領域が形成され得る。レーザ光L1は、この増幅領域を通過する際に増幅され得る。
【0099】
8.2 エキシマガスをゲイン媒質とするパワーオシレータ
つづいて、パワーオシレータを増幅装置50として用いた場合を以下に例を挙げて説明する。
【0100】
8.2.1 ファブリペロ共振器を含む実施形態
まず、ファブリペロ共振器を備えたパワーオシレータを増幅装置50として用いた場合を例に挙げる。図20は、ファブリペロ共振器を備えたパワーオシレータを用いた増幅装置50Aの概略構成を模式的に示す。図20に示されるように、増幅装置50Aは、図19に示される増幅装置50と同様の構成に加え、レーザ光の一部を反射し、一部を透過するリアミラー51と、レーザ光の一部を反射し、一部を透過する出力カプラ58とを備えてもよい。リアミラー51と出力カプラ58とは、光共振器を形成してもよい。ここで、リアミラー51の反射率は出力カプラ58の反射率よりも高いことが好ましい。出力カプラ58は、増幅後のレーザ光L1の出力端であってもよい。
【0101】
8.2.2 リング共振器を含む実施形態
つぎに、リング共振器を備えたパワーオシレータを増幅装置50として用いた場合を例に挙げる。図21および図22は、リング共振器を備えたパワーオシレータを用いた増幅装置90の概略構成を模式的に示す。図21は増幅装置90の側視図を、図22は増幅装置90の上視図を示す。増幅装置90の出力段には、増幅装置90から出力されたレーザ光L1を遮断するシャッタ98がさらに設けられてもよい。シャッタ98は前述のシャッタ71を兼ねてもよい。
【0102】
図21および図22に示されるように、増幅装置90は、高反射ミラー91a、91b、97aおよび97bと、出力カプラ91と、チャンバ92とを備えてもよい。高反射ミラー91a、91b、97aおよび97bと出力カプラ91とは、チャンバ92内の増幅領域をレーザ光L1が複数回通過するマルチパス光路を形成してもよい。出力カプラ91は、部分反射ミラーであってもよい。チャンバ92は、高反射ミラー91a、91b、97aおよび97bと出力カプラ91とが形成する光路上に配置されてもよい。なお、増幅装置90は、内部を進行するレーザ光L1のビームプロファイルを調整する不図示のスリットをさらに備えていてもよい。チャンバ92内には、増幅領域を満たすようにエキシマガスなどのゲイン媒質が封入されていてもよい。ゲイン媒質は、例えばKrガス、Arガス、Fガス、Neガス、およびXeガスのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0103】
上記の構成において、例えばマスタオシレータシステム20から出力されたレーザ光L1は、高反射ミラー41および高反射ミラー42を介して増幅装置90に入射してもよい。入射したレーザ光L1は、まず、高反射ミラー91aおよび91bで反射された後、ウィンドウ93を介してチャンバ92内に入射してもよい。チャンバ92内に入射したレーザ光L1は、電圧が印加された2つの放電電極94および95間の増幅領域を通過する際に増幅されてもよい。増幅後のレーザ光L1は、ウィンドウ96を介してチャンバ92から出射してもよい。出射したレーザ光L1は、高反射ミラー97aおよび97bで反射されることで、ウィンドウ96を介して再びチャンバ92内に入射してもよい。その後、レーザ光L1は、チャンバ92内の増幅領域を通過する際に再び増幅されてもよい。増幅後のレーザ光L1は、ウィンドウ93を介してチャンバ92から出射してもよい。
【0104】
このようにチャンバ92内の増幅領域を2回通過したレーザ光L1は、その後、その一部が出力カプラ91を介して出力されてもよい。また、出力カプラ91で反射された残りのレーザ光は、再度、高反射ミラー91b、97aおよび97bと出力カプラ91とが形成する光路を進行して増幅されてもよい。
【0105】
9.スペクトル検出器
つぎに、図1に示されるスペクトル検出器63について、図面を参照して説明する。
【0106】
9.1 モニタエタロン分光器
まず、モニタエタロンを用いたスペクトル検出器63を、図面を用いて詳細に説明する。図23は、スペクトル検出器63の概略構成を模式的に示す。図23に示されるように、スペクトル検出器63は、拡散板701と、モニタエタロン702と、集光レンズ703と、イメージセンサ705(またはフォトダイオードアレイでもよい)とを備えてもよい。
【0107】
減衰部62を通過したレーザ光L1は、まず、拡散板701に入射してもよい。拡散板701は、入射したレーザ光L1を散乱させてもよい。この散乱光は、モニタエタロン702に入射してもよい。このモニタエタロン702は、レーザ光L1を透過する基板の表面に部分反射膜がコーティングされた2枚のミラーが所定の間隔となるようにスペーサを介して張り合わされたエアギャップエタロンであってもよい。モニタエタロン702は、入射した散乱光のうち所定の波長の光を透過してもよい。この透過光は、集光レンズ703に入射してもよい。イメージセンサ705は、集光レンズ703の焦点面に配置されてもよい。集光レンズ703によって集光された透過光は、イメージセンサ705に干渉縞を発生させ得る。イメージセンサ705は、発生した干渉縞を検出してもよい。この干渉縞の半径の2乗は、レーザ光L1の波長と比例関係にあり得る。そのため、検出した干渉縞からレーザ光L1全体のスペクトルを検出し得る。各々のスペクトル線幅、ピーク強度及び波長は、検出したスペクトルから図示せぬ情報処理装置によって求められてもよいし、コントローラ10で算出されてもよい。
【0108】
なお、集光レンズ703とイメージセンサ705との間に、遮光板704を設けてもよい。これにより、検出する光における迷光の成分を低減し、高精度に干渉縞を検出し得る。
【0109】
9.2 グレーティング型分光器
つぎに、グレーティング型分光器を用いたスペクトル検出器63Aを、図面を用いて詳細に説明する。図24は、スペクトル検出器63Aの概略構成を模式的に示す。図24に示されるように、スペクトル検出器63Aは、拡散板711と、集光レンズ712と、分光器713とを備えてもよい。分光器713は、凹面ミラー715と、グレーティング716と、凹面ミラー717と、イメージセンサ(ラインセンサ)718とを備えてもよい。
【0110】
減衰部62を通過したレーザ光L1は、まず、拡散板711に入射してもよい。拡散板711は、入射したレーザ光L1を散乱してもよい。この散乱光は、集光レンズ712に入射してもよい。集光レンズ712の焦点面付近には、分光器713の入射スリット714が配置されてもよい。入射スリット714は、集光レンズ712の焦点面より多少上流側に位置していてもよい。集光レンズ712で集光された散乱光は、入射スリット714を介して凹面ミラー715に入射してもよい。凹面ミラー715は、入射した散乱光の一部を平行光に変換して反射してもよい。この反射光は、グレーティング716に入射してもよい。グレーティング716は、入射した平行光を回折してもよい。この回折光の一部は、凹面ミラー717に入射してもよい。凹面ミラー717は、入射した回折光を集光するように反射してもよい。凹面ミラー717の焦点面には、イメージセンサ718が配置されていてもよい。その場合、凹面ミラー717によって集光された反射光は、イメージセンサ718に結像され得る。イメージセンサ718は、結像位置における光の強度分布を検出してもよい。反射光の結像位置は、レーザ光L1の波長と比例関係にあり得る。そのため、検出された結像位置からレーザ光L1全体のスペクトルを検出し得る。各々のスペクトル線幅、ピーク強度及び波長は、検出したスペクトルから図示せぬ情報処理装置によって求められてもよいし、コントローラ10で算出されてもよい。
【0111】
10.その他
10.1 スペクトル線幅E95の定義
ここで、図25を用いて、スペクトル純度E95について説明する。図25に示されるように、スペクトルSp全体の光エネルギーをSa、線幅Δλcに含まれる光エネルギーをSbとすると、スペクトル純度E95は、以下の式(1)で表現されるスペクトル純度Jが95%となる線幅Δλcと定義し得る。
J=Sb/Sa …(1)
【0112】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0113】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲に記載される不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0114】
100 レーザ装置
10 コントローラ
11 記憶部
20 マスタオシレータシステム
21 出力結合ミラー
22、26 波面調節部
23 増幅器
30 狭帯域化モジュール
31 グレーティング
32、32A、32B 倍率調節部
41、42 高反射ミラー
50、50A、90 増幅装置
60、60A、60B、60C、60D、60E スペクトル検出部
61 ビームスプリッタ
62、620、630、640、650 減衰部
621、631、641、651、655 可変アッテネータ
622、632 移動機構
642、652、656 透明基板
643、653、657 誘電体多層膜
644、654、658 回転機構
661 ビームスプリッタ
662 エネルギーセンサ
63、63A スペクトル検出器
64 ビームダンパ
70 シャッタ機構
71 シャッタ
72 駆動機構
80 露光装置
81 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力するレーザ光のスペクトル線幅を調節可能なレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出力された前記レーザ光のスペクトルを検出するスペクトル検出器と、
前記スペクトル検出器に入射する前記レーザ光の光強度を調節可能な減衰部と、
を備えるレーザ装置。
【請求項2】
前記減衰部は、
レーザ光の入射位置に依存して透過率が変化する可変アッテネータと、
前記レーザ光の入射位置が変化するように前記可変アッテネータを移動させる移動機構と、
を含む、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記可変アッテネータは、回転ディスク形状であり、
前記移動機構は、前記可変アッテネータを回転させることで前記レーザ光の入射位置を変化させる、
請求項2記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記可変アッテネータは、平板状であり、
前記移動機構は、前記可変アッテネータをスライドさせることで前記レーザ光の入射位置を変化させる、
請求項2記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記減衰部は、
入射角度に応じて透過率が変化する誘電体多層膜が形成された基板と、
前記基板への前記レーザ光の入射角度を変化させる回転機構と、
を含む、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記減衰部は、
入射角度に応じて透過率が変化する誘電体多層膜が形成された第1基板と、
前記第1基板への前記レーザ光の入射角度を変化させる第1回転機構と、
入射角度に応じて透過率が変化する誘電体多層膜が形成された第2基板と、
前記第1基板を透過した前記レーザ光が前記第2基板へ入射する角度を前記第1回転機構とは反対方向に変化させる第2回転機構と、
を含む、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記スペクトル検出器に入射する前記レーザ光のピーク強度が所定のダイナミックレンジ内に収まるように、前記減衰部の減衰率を調節する制御部をさらに備える、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記スペクトル検出器で検出されたスペクトルに基づいて前記減衰部の減衰率を調節する、請求項7記載のレーザ装置。
【請求項9】
前記レーザ発振器から出力された前記レーザ光のパルスエネルギーを検出するエネルギー検出器をさらに有し、
前記制御部は、前記エネルギー検出器で検出されたパルスエネルギーに基づいて前記減衰部の減衰率を調節する、請求項8記載のレーザ装置。
【請求項10】
前記レーザ発振器は、
出力結合ミラーとグレーティングとを含んで構成された光共振器と、
前記光共振器内を進行するレーザ光のビーム径を調節可能な倍率調節部と、
前記光共振器内を進行するレーザ光の波面を調節可能な波面調節部と、
を備え、
前記制御部は、前記スペクトル検出器で検出されたスペクトルに基づいて前記倍率調節部および前記波面調節部の少なくとも一方を調節する、
請求項7記載のレーザ装置。
【請求項11】
前記制御部は、目標とするスペクトル線幅を外部から入力し、該目標とするスペクトル線幅に応じて前記減衰部を調節する、請求項7記載のレーザ装置。
【請求項12】
前記スペクトル検出器は、エタロンを含む分光器である、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項13】
前記スペクトル検出器は、グレーティングを含む分光器である、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項14】
前記レーザ発振器から出力された前記レーザ光を増幅する増幅装置と、
前記増幅装置で増幅されたレーザ光を分岐するビームスプリッタと、
をさらに備え、
前記減衰部および前記スペクトル検出器は、前記ビームスプリッタで分岐されたレーザ光の光路上に配置される、
請求項1記載のレーザ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−98239(P2013−98239A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237484(P2011−237484)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】