説明

ロータリ耕耘装置

【課題】 ロータリ耕耘作業と同時に薬剤散布や施肥等の作業や他の動作をなし得るにも拘わらず、トラクタに対するロータリ耕耘装置の着脱を簡単になし得、また、動力取出用の動力取出軸やギヤ等が不要で、ロータリ耕耘装置を安上がりに製造できるようにする。
【解決手段】 入力軸の動力を爪軸に伝達して、爪軸を軸心廻りに回転駆動するようにしたロータリ耕耘装置において、入力軸から爪軸に至る動力伝達経路又は該動力伝達経路から分岐した経路に、爪軸の回転に連動して発電するように発電機が設けられている。また、前記発電機の電力によって駆動される電動手段が具備され、この電動手段の動力によりロータリ耕耘装置側の被駆動部を動かすようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ耕耘装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、トラクタの後部に着脱自在に装着されるロータリ耕耘装置には、入力軸と爪軸とを備え、入力軸の動力を爪軸に伝達して、爪軸を軸心廻りに回転駆動して、ロータリ耕耘作業を行うようにしたものがあり、この種の従来のロータリ耕耘装置には、ロータリ耕耘作業と同時に、例えば薬剤散布作業や施肥作業等の他の作業をなし得るようにしたものがある(例えば特許文献1)。この種の従来の施肥作業機では、電気モータを使用するのが安価で構造も簡単であり、その電源としてトラクタのバッテリーや油圧を用いて薬剤散布作業や施肥作業等の他の作業をなすのが一般的であった(例えば特許文献2)。
【0003】
また、従来のロータリ耕耘装置には、ロータリ耕耘装置のギヤケースの後方等に動力取出軸を突設して、この動力取出軸に伝動ベルトをつないで、これを他の作業の動力としたものもあった(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−275402号公報
【特許文献2】実開昭56−5421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、前者の場合、トラクタから動力をとるために、配線や配管をする必要があり、トラクタからロータリ耕耘装置を取り外す際に、ワンタッチでロータリ耕耘装置を外せなくなり、トラクタに対するロータリ耕耘装置の着脱が面倒になった。
また、後者の場合、動力取出用に、他の作業に使用する作業機等の回転方向に合わせた新たな動力取出軸やギヤ等が必要になって、ロータリ耕耘装置が複雑になりロータリ耕耘装置の製造費が高く付いた。
本発明は上記問題点に鑑み、ロータリ耕耘作業と同時に薬剤散布や施肥等の作業や他の動作をなし得るにも拘わらず、トラクタに対するロータリ耕耘装置の着脱を簡単になし得、また、動力取出用の動力取出軸やギヤ等が不要で、ロータリ耕耘装置を安上がりに製造できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、入力軸の動力を爪軸に直結伝達して、爪軸を軸心廻りに回転駆動するようにしたロータリ耕耘装置において、
入力軸から爪軸に至る動力伝達経路又は該動力伝達経路から分岐した経路に、爪軸の回転に連動して発電するように発電機が設けられている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記発電機の電力によって駆動される電動手段が具備され、この電動手段の動力によりロータリ耕耘装置側の被駆動部を動かすようにした点にある。
【0006】
また、本発明の他の技術的手段は、前記電動手段を制御するスイッチが具備されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記被駆動部が、ロータリ耕耘作業と連動してなされる薬剤散布、施肥又は播種等の連動作業をなすためのものである点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記発電機が、爪軸の外側方を覆う保護カバーに組み込まれ、発電機の回転軸が、爪軸と共に軸心廻りに回転するように爪軸の端部に固着されている点にある。
【0007】
また、本発明の他の技術的手段は、左右一対のサポートアームが設けられ、一方のサポートアームの外端側に伝動ケースの上部が連結され、他方のサポートアームの外端側にサイドフレームの上部が連結され、一方のサポートアーム内に伝動軸が設けられ、伝動ケースとサイドフレームとの下部間に、前記爪軸が軸心廻りに回転自在に支持され、前記入力軸の動力を、伝動軸と伝動ケース内の伝動機構とを介して前記爪軸に伝達するようにしたロータリー耕耘装置であって、
サイドフレーム側のサポートアーム内に、伝動軸と一体回転される動力取出軸が設けられ、動力取出軸はサイドフレームの近傍まで延長され、その延長端部に、前記発電機の回転軸が動力取出軸と一体回転するように固着されている点にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発電機の電力を使用して、ロータリ耕耘作業と同時に薬剤散布や施肥等の作業や他の動作をなし得る。また、トラクタから動力をとるための配線や配管をする必要がなくなり、トラクタに対するロータリ耕耘装置の着脱を簡単になし得る。また、発電機を使用するため、発電機の回転方向に左右されることなく、配線をつなぎかえるだけで、電動手段を所定方向に回転させることができ、他の作業に使用する作業機等の回転に合致した動力取出用の動力取出軸やギヤ等が不要になって、ロータリ耕耘装置を安上がりに製造できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図2及び図3において、1はロータリ耕耘装置であり、このロータリ耕耘装置1は、トラクタ等の車両の後部等に、三点リンク機構等を介して着脱自在に連結される機枠2を備えている。
この機枠2は、左右方向中央部のギヤケース3から左右両側にサポートアーム4を突設すると共に、左側のサポートアーム4の外端側に伝動ケース5の上部を連結し、且つ右側のサポートアーム4の外端側にサイドフレーム6の上部を連結して、背面視門型状に主構成されている。
【0010】
なお、本実施の形態では、サイドドライブ式のロータリ耕耘装置を図示しているが、センタードライブ式のロータリ耕耘装置が採用されてもよい。
この機枠2のギヤケース3にはトップマスト7が上方突出状に固定され、このトップマスト7にはトップリンク取付ブラケット16が設けられ、このトップリンク取付ブラケット16の前端側にトップリンクの後端側が連結される。
また、機枠2の左右各サポートアーム4にはロワーリンク取付ブラケット17が固定され、このロワーリンク取付ブラケット17の前端側に連結ピンを介してロワーリンクの後端側が連結される。
【0011】
前記機枠2の下部側には、ロータリ耕耘部8が設けられており、このロータリ耕耘部8は、伝動ケース5とサイドフレーム6との下部間に、左右方向の軸心廻りに回転自在に支持された爪軸9と、この爪軸9に、左右方向に亘って取り付けられた多数の耕耘爪10とを備えている。
図1及び図2に示すように、爪軸9の両側に端部軸9aが固設され、爪軸9の端部軸9aはベアリング15により、支持筒体18等を介してサイドフレーム6又は電動ケース5に軸心廻りに回転自在に支持されている。爪軸9の右側の外側方を覆う保護カバー19が設けられ、この保護カバー19はサイドフレーム6の下部にボルト等によって固定されている。
【0012】
図2及び図3において、機枠2のギヤケース3には、トラクタのPTO軸からユニバーサルジョイント等を介してギヤケース3内のベベルギヤ伝動機構11に動力を入力する入力軸12が設けられ、この入力軸12から入力された動力は、ギヤケース3内のベベルギヤ伝動機構11から左側のサポートアーム4内の伝動軸13を介して伝動ケース5内のチェーン伝動機構14に伝達されると共に、このチェーン伝動機構14から爪軸9に伝達されて、該爪軸9が軸心回りに矢示A方向に回転駆動されるようになっている。入力軸12)から爪軸9に至る動力伝達経路には、クラッチ機構を介在しておらず、これにより、入力軸12の動力を爪軸9に直結伝達するように構成されており、入力軸12の動力は常時爪軸9に伝達されるようになっている。
【0013】
また、機枠2には、ロータリ耕耘部9を覆う耕耘カバー22が支持されている。
この耕耘カバー22は、ロータリ耕耘部9の上方側を覆う主カバー23と、ロータリ耕耘部9の後方側を覆う後部カバー24と、ロータリ耕耘部9の上部の左右両側を覆う前後一対の側部カバー25F,25Rとを備えている。
後部カバー24は、その上端側が主カバー23の後端側に支軸26を介して左右方向の軸心廻りに回動自在に支持されている。
また、主カバー23の後部上面側と、後部カバー24の背面側の上下中途部とに亘って弾下ロッド27が設けられ、この弾下ロッド27に套嵌される弾下用のコイルバネによって、後部カバー24がロータリ耕耘部9側に向けて付勢されるように構成されている。
【0014】
後部カバー24は、ロータリ耕耘部9の後方を覆う主要部24aと、後部カバー24の下端側に位置していて圃場に接地して該圃場を整地する整地部24bとを有する。
図4に示すように、本実施の形態にあっては、後部カバー24の下端側の左右両側には、主要部24aの下端側の左右両側部から整地部24bの左右両端側に亘って切り欠かれた、左右方向外方及び下方に開放状の切欠き部28が設けられていると共に、この切欠き部28を塞ぐ着脱自在な閉鎖カバー29を有し、本実施の形態では、後部カバー24は、切欠き部28を有する主体側と、閉鎖カバー29とから構成されており、前記閉鎖カバー29は、後部カバー24の主要部24aの下端側左右方向外端側の一部及び整地部24bの左右方向外端側の一部を構成している。
【0015】
図4及び図5に示すように、後部カバー24の下端側の左右両側には、整地部24bから左右方向外側方に突出して該整地部24bと共に圃場を整地する延長整地部37が設けられている。
この延長整地部37は、図5(a)に示すように整地部24bから左右方向外側方に突出する延長姿勢と、この延長姿勢から図5(b)に示すように整地部24bの上方側に重ね合わされるように位置する不使用姿勢とに姿勢変更可能(開閉可能)とされている。
閉鎖カバー29の下部側背面には該閉鎖カバー29に固定された上下一対の固定ブラケット38が設けられ、延長整地部37の背面側には揺動ブラケット39が固定され、この揺動ブラケット39は支軸40を介して前記固定ブラケット38に回動自在に支持されており、前記支軸40廻りに揺動ブラケット39を回動させることで、延長整地部37が支軸40廻りに略180°反転して該延長整地部37が延長姿勢と不使用姿勢とに姿勢変更自在とされている。
【0016】
前記揺動ブラケット39の内側には回動部材41が配置されており、この回動部材41には前記支軸40が挿通されている。
この回動部材41には、支軸40に套嵌された筒部材42の一端側が固定され、回動部材41及び筒部材42が支軸40に軸心廻りに回動自在に支持されている。コイルバネ44の付勢力によって、延長整地部37が、該延長整地部37を不使用姿勢から延長姿勢に回動させる方向(開方向)に常時付勢されている。
前記回動部材41には、押動部材47が設けられ、押動部材47は、ピン等から構成されていて、上下に突出状となるように回動部材41を貫通して該回動部材41に固定されており、この押動部材47にはボーデンケーブル48(プルケーブル)のインナーケーブル49の一端側が相対回動自在に連結されている。回動部材41には、前記支軸40を中心とする略円弧状に形成されたケーブルガイド54が設けられている。延長整地部37が延長姿勢にあるときにあっては、インナーケーブル49がケーブルガイド54のケーブルガイド54に巻き掛けられていて、この状態からインナーケーブル49を引っ張ると、インナーケーブル49の一端側に連結された押動部材47が揺動ブラケット39を押圧しながら回動部材41が支軸40廻りに回動して揺動ブラケット39を支軸40廻りに回動させ、延長整地部37を不使用姿勢へと回動させる(延長整地部37を閉じる)。
【0017】
また、延長整地部37の不使用姿勢において、インナーケーブル49の前記引張力を解除すると、付勢手段の付勢力によって、延長整地部37が延長姿勢へと姿勢変更される。
図1に示すように、前記保護カバー19に発電機65が組み込まれ、発電機65の回転軸66が保護カバー19の取付孔67を介して、爪軸9の端部軸9a側に突出され、回転軸66の突出端部が、爪軸9の右側の端部軸9aにスプライン嵌合されて、発電機65の回転軸66が、爪軸9と共に軸心廻りに回転するように爪軸9の端部に連結され、これにより、入力軸12から爪軸9に至る動力伝達経路に発電機65が設けられ、爪軸9が回転している状態では発電機65は必ず回転駆動され、発電機65は爪軸9の回転に連動して発電するように構成されている。
【0018】
図3に示すように、トップマスト7の上下方向中途部に、モータ(電動手段)69が、左右の各延長整地部37に対応して左右一対設けられている。この各モータ69は、図1に示す配線70によって前記発電機65と接続されており、各モータ69は発電機65の電力によって駆動するように構成されている。また、トップマスト7には、延長整地部37を遠隔操作する操作レバー57が、左右の各延長整地部37に対応して左右一対設けられている。各モータ69の回転軸71にそれぞれ各操作レバー57が外嵌固着されている。各操作レバー57には、ボーデンケーブル48のインナーケーブル49が連結されている。
【0019】
また、トップマスト7には、ケーブルステー61が固定され、このケーブルステー61に、左右同じ側に位置するボーデンケーブル48のアウターケーブル50が取付機構53を介して長さ方向位置調整自在に取り付けられている。そして、モータ69の回転軸71の回転により、操作レバー57を、図3に実線で示す位置から仮想線で示す位置に揺動させて、延長整地部37を延長姿勢から不使用姿勢へと姿勢変更させ、又は操作レバー57を、図3に仮想線で示す位置から実線で示す位置に揺動させて、延長整地部37を不使用姿勢から延長姿勢へと姿勢変更させるように構成されている。
【0020】
また、モータ69を正転、逆転及びオンオフ制御するためのスイッチ73が具備され、このスイッチ73は、トップマスト7等に取り付けられ、ロータリ耕耘装置1を装着したトラクタの座席等から作業者がスイッチ73を操作できるようになっている。なお、このスイッチ73は、各モータ69に対応して一対設けるようにしてもよいし、一対のモータ69に対して1つのみ設けるようにしてもよい。
上記実施の形態によれば、トラクタの後部に三点リンク機構等を介してロータリ耕耘装置1を装着して、ロータリ耕耘作業をする場合、トラクタのPTO軸からユニバーサルジョイント等を介してロータリ耕耘装置1の入力軸12に動力が入力され、動力が、入力軸12から爪軸9に至る動力伝達経路を通って、入力軸12から爪軸9に伝達されて、爪軸9が軸心廻りに矢印A方向に回転駆動され、ロータリ耕耘作業がなされる。
【0021】
このとき、爪軸9の回転に連動して、発電機65の回転軸66が回転して、発電機65が爪軸9の回転駆動に連動して発電する。従って、爪軸9が回転駆動されている際、スイッチ73を操作することによって、モータ69が正転駆動又は逆転駆動し、延長整地部37を延長姿勢から不使用姿勢へと簡単に姿勢変更することができ、また、スイッチ73を操作することによって、モータ69が逆転駆動又は正転駆動し、延長整地部37を不使用姿勢から延長姿勢へと簡単に姿勢変更することができる。
そして、発電機65、モータ69、モータ69を制御するスイッチ73、モータ69の動力により動かされる被駆動部である延長整地部37が、ロータリ耕耘装置1側にあるため、トラクタから動力をとるための配線や配管を設ける必要がなくなり、従って、トラクタからロータリ耕耘装置1を取り外す際に、ワンタッチでロータリ耕耘装置1を簡単に外すことが可能になり、トラクタに対するロータリ耕耘装置1の着脱が非常に容易になる。また、発電機65を使用するため、発電機65の回転方向に左右されることなく、配線とつなぎかえるだけで、モータ69を所定方向に回転させることができ、他の作業に使用する作業機等の回転に合致した動力を取り出すための新たな動力取出軸やギヤ等が不要になり、この点からロータリ耕耘装置1の構造が簡単になってロータリ耕耘装置1を安上がりに製造できるようになる。
【0022】
また、延長整地部37を姿勢変更操作するための操作レバー57が、トラクタのキャビン等と干渉するのを回避することができる。即ち、操作レバー57を手動により操作するようにした場合には、トラクタの座席側から操作レバー57を操作できるように、操作レバー57をトラクタ側に長く延ばす等してトラクタに近づける必要があり、このようにすれば、トラクタ側のキャビンその他の構成部材と操作レバー57とが干渉するおそれが生じるが、上記実施の形態では、操作レバー57をモータ69で動かすため、操作レバー57をトラクタ側に近づける必要がなくなり、操作レバー57がトラクタと干渉するのを回避することができるのである。
【0023】
図6は他の実施形態を示し、発電機65が電動ケース5に組み込まれ、発電機65の回転軸66が、伝動軸13の左端部にスプライン嵌合等により連結されている。これにより、入力軸12から爪軸9に至る動力伝達経路に発電機65が設けられ、爪軸9が回転している状態では発電機65は必ず回転駆動され、発電機65は爪軸9の回転に連動して発電するように構成されている。その他の点は前記実施の形態と同様の構成であり、前記実施の形態の場合と同様の作用効果を奏する。
【0024】
図7は他の実施形態を示し、サイドフレーム6側のサポートアーム4内に、伝動軸13と一体回転される動力取出軸75が設けられ、動力取出軸75はサイドフレーム6の近傍まで延長されている。動力取出軸75は軸受76等を介してサポートアーム4に回転自在に支持され、動力取出軸75の基端部(左端部)は連結突部75aを介してスプライン嵌合等により伝動軸13に連結され、発電機65がサイドフレーム6のカバー体6b内に収納固定され、発電機65の回転軸66が、サイドフレーム6の側壁6aの挿通孔77を通してサポートアーム4側に突出されて、動力取出軸75の延長端部(右端部)にスプライン嵌合等により連結され、発電機65の回転軸66が動力取出軸75と一体回転するようになっている。これにより、入力軸12から爪軸9に至る動力伝達経路から分岐した経路に発電機65が設けられ、爪軸9が回転している状態では発電機65は必ず回転駆動され、発電機65は爪軸9の回転に連動して発電するように構成されている。そして、発電機65を使用しない場合は、発電機65をカバー体6bと共に取り外し、カバー体6bに代えて、メクラ蓋6cを取り付けるようにしている。発電機65を使用しないときに、泥土や雨水等がサポートアーム4側に浸入するのを防ぐためである。その他の点は前記実施の形態と同様の構成であり、前記実施の形態の場合と同様の作用効果を奏する。
【0025】
図8は他の実施形態を示し、トラクタ81の後方に三点リンク機構83を介してロータリ耕耘装置1が着脱自在に装着されている。このロータリ耕耘装置1は前記実施の形態の場合と略同様の構成であるが、前記実施の形態とは大きく異なるのは、畝成形器85と、薬剤供給装置86と、施肥装置87とを備えている点である。
【0026】
ロータリ耕耘装置1は、前記実施の形態の場合と同様に、機枠2と、ロータリ耕耘部8と、耕耘カバー22とを備えると共に、左右一対のゲージ輪89を取付支持する支持フレーム90を備えている。
機枠2は、前記実施の形態の場合と同様に、ギヤケース3から左右にサポートアーム4を突設すると共に、左側サポートアーム4の外端に伝動ケース5を取り付け、右側サポートアーム4の外端にサイドフレームを取り付けて正面視門型に構成され、ギヤケース3上にはトップマスト7が固定されている。
【0027】
ロータリ耕耘部8は、前記実施の形態の場合と同様に、伝動ケース5とサイドフレームとの下部間に回転自在に支持された左右方向の軸心を有する爪軸9と、この爪軸9上に軸心方向にわたって取付固定された多数の耕耘爪10とを備えて構成されており、爪軸9を軸心回りに回転駆動することにより、耕耘爪10が、爪軸9の軸心回りに回転して土中に突入し、土が耕起されると共に砕土されるように構成されている。また、入力軸12から爪軸9に至る動力伝達経路には、クラッチ機構を介在しておらず、これにより、入力軸12の動力を爪軸9に直結伝達するように構成されており、入力軸12の動力は常時爪軸9に伝達されるようになっている。
【0028】
トラクタ81のPTO軸91からユニバーサルジョイントを介してギヤケース3内の伝動機構に伝達されると共に、該ギヤケース3から左側サポートアーム4内の伝動軸、伝動ケース5内の伝動機構を経て伝達される動力によって爪軸9が矢示A方向に回転駆動されるようになっている。
ロータリ耕耘部8の後方に畝成形器85が配置され、ロータリ耕耘部8で耕耘された土で畝Rを立てるように構成されている。
薬剤供給装置86は薬剤を貯留する薬剤タンク93を備え、施肥装置87は肥料を貯留する肥料タンク94を備えており、薬剤タンク93及び肥料タンク94は、それらの下部に繰出し装置95,96が設けられていて、薬剤タンク93の下端の繰出し口から薬剤を、また、肥料タンク94の下端の繰出し口から肥料を、それぞれ排出可能としている。
【0029】
また、薬剤供給装置86には、薬剤タンク93から排出された薬剤をロータリ耕耘部8の前方側に導く薬剤導管97が備えられている。薬剤タンク93から薬剤導管97を通ってロータリ耕耘部8の前方側に排出される。
施肥装置97には、肥料タンク94から排出された肥料を畝成形器85内の土中に導く肥料導管98が設けられている。
そして、図示省略しているが、前記実施の形態の場合と同様に、入力軸12から爪軸9に至る動力伝達経路又は該動力伝達経路から分岐した経路に、発電機65が設けられて、爪軸9が回転している状態では発電機65は必ず回転駆動され、発電機65は爪軸9の回転に連動して発電するように構成されている(図1、図6又は図7参照)。また、発電機65の電力によって駆動されるモータ(電動手段)69が、薬剤供給装置86の繰出し装置95及び施肥装置87の繰出し装置96に組み込まれ、モータ69の駆動によって、それぞれ薬剤タンク93から薬剤を排出すると共に、肥料タンク94から肥料を排出するようになっている。また、図示省略しているが、前記実施の形態の場合と同様に、ロータリ耕耘装置1に、モータ69をオンオフ制御するためのスイッチ73が具備されている。なお、本実施の形態の場合、スイッチ73を省略し、爪軸9の回転に連動して発電機65が発電すると同時にモータ69が回転駆動するようにしてもよい。
【0030】
上記実施の形態によれば、トラクタ81の後部に三点リンク機構83を介してロータリ耕耘装置1を装着して、ロータリ耕耘作業をする場合、トラクタ81のPTO軸91からユニバーサルジョイントを介してロータリ耕耘装置1の入力軸12に動力が入力され、その動力が入力軸12から爪軸9に伝達されて、爪軸9が軸心廻りに矢印A方向に回転駆動され、ロータリ耕耘部8で圃場が耕耘され、畝成形器85によってロータリ耕耘部8で耕耘された土で畝Rが形成される。
このとき、爪軸9の回転に連動して、発電機65の回転軸66が回転して、発電機65が爪軸9の回転駆動に連動して発電する。従って、爪軸9が回転駆動されている際、スイッチ73を操作することによって、一対のモータ69が回転駆動し、一対のモータ69の駆動によって、薬剤タンク93から薬剤が薬剤導管97を通ってロータリ耕耘部8の前方側に排出されると共に、肥料タンク94から肥料が肥料導管98を通って畝成形器85内の土中に排出される。
【0031】
また、前記実施の形態の場合と同様に、発電機65、モータ69、モータ69を制御するスイッチ73、モータ69の動力により動かされる被駆動部である薬剤供給装置86の繰出し装置95及び施肥装置87の繰出し装置96がロータリ耕耘装置1側にあるため、トラクタ81から動力をとるための配線や配管を設ける必要がなくなり、従って、トラクタ81からロータリ耕耘装置1を取り外す際に、ワンタッチでロータリ耕耘装置1を簡単に外すことが可能になり、トラクタ81に対するロータリ耕耘装置1の着脱が非常に容易になる。また、動力を取り出すための新たな動力取出軸やギヤ等が不要になって、ロータリ耕耘装置1のギヤケース等の動力伝達機構を改造する必要がほとんどなくなり、この点からロータリ耕耘装置1の構造が簡単になってロータリ耕耘装置1を安上がりに製造できるようになる。
【0032】
また、本実施の形態の場合、爪軸9の回転が停止すれば、発電機65の発電も停止してモータ69の駆動が停止し、薬剤タンク93からの薬剤の排出及び肥料タンク94からの肥料の排出も停止するため、耕耘がなされないのに、圃場に薬剤が無駄に供給されたり、圃場に肥料が無駄に供給されたりする不都合がなくなる。また、スイッチ73を常時オン状態に設定し、又は、スイッチ73を省略して、爪軸9の回転に連動して発電機65が発電すると同時にモータ69が回転駆動するようにしておけば、圃場の耕耘だけがなされて、薬剤や肥料が圃場に供給されなかったりする不都合もなくすることができる。
【0033】
なお、前記実施の形態では、モータ69の駆動により、延長整地部37を不使用姿勢から延長姿勢へと姿勢変更し又は延長姿勢から不使用姿勢へと姿勢変更するようにし、或いは、モータ69の駆動により、薬剤供給装置86の繰出し装置95を駆動し、施肥装置87の繰出し装置96を駆動するようにしているが、モータ69による駆動よる動作はこれらものに限定されず、例えば、これらに代えて又はこれらに加えて、モータ69の駆動により、播種装置の繰り出し装置を駆動して、耕耘作業に連動して圃場に播種するようにしてもよい。
【0034】
また、前記実施の形態では、発電機65の電力によって駆動される電動手段としてモータ69を使用しているが、発電機65の電力によって駆動される電動手段は、モータ69に限定されず、ソレノイドその他であってもよい。
また、前記実施の形態では、発電機65の電力によって直接モータ69を駆動するようにしているが、これに代え、ロータリ耕耘装置1側にバッテリ等の蓄電器を設け、発電機で発電した電力を、蓄電器に供給してこの蓄電器に電力を蓄えておき、発電機65の電力を、蓄電器を介してモータ69等の電動手段に供給して電動手段を駆動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本願発明の一実施の形態を示す爪軸の右端部部分の背面断面図である。
【図2】同ロータリ耕耘装置の背面展開図である。
【図3】同ロータリ耕耘装置の側面図である。
【図4】同耕耘カバーの側部下部を背面側から見た図である。
【図5】同延長設置部の姿勢変更状態を示す図であり、(a)は延長姿勢を示し、(b)不使用姿勢を示す。
【図6】他の実施形態を示す伝動軸の左端部部分の背面断面図である。
【図7】他の実施形態を示す右側のサポートアーム部分の背面断面図である。
【図8】他の実施形態を示すトラクタにロータリ耕耘装置を装着した状態の側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ロータリ耕耘装置
8 ロータリ耕耘部
9 爪軸
12 入力軸
37 延長整地部
65 発電機
66 回転軸
69 モータ
73 スイッチ
75 動力取出軸
81 トラクタ
86 薬剤供給装置
87 施肥装置
95 繰り出し装置
96 繰り出し装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸(12)の動力を爪軸(9)に直結伝達して、爪軸(9)を軸心廻りに回転駆動するようにしたロータリ耕耘装置において、
入力軸(12)から爪軸(9)に至る動力伝達経路又は該動力伝達経路から分岐した経路に、爪軸(9)の回転に連動して発電するように発電機(65)が設けられていることを特徴とするロータリ耕耘装置。
【請求項2】
前記発電機(65)の電力によって駆動される電動手段(69)が具備され、この電動手段(69)の動力によりロータリ耕耘装置側の被駆動部を動かすようにしたことを特徴とする請求項1に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項3】
前記電動手段(69)を制御するスイッチ(73)が具備されていることを特徴とする請求項2に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項4】
前記被駆動部が、ロータリ耕耘作業と連動してなされる薬剤散布、施肥又は播種等の連動作業をなすためのものであることを特徴とする請求項2に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項5】
前記発電機(65)が、爪軸(9)の外側方を覆う保護カバー(19)に組み込まれ、発電機(65)の回転軸(66)が、爪軸(9)と共に軸心廻りに回転するように爪軸(9)の端部に固着されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項6】
左右一対のサポートアーム(4)が設けられ、一方のサポートアーム(4)の外端側に伝動ケース(5)の上部が連結され、他方のサポートアーム(4)の外端側にサイドフレーム(6)の上部が連結され、一方のサポートアーム(4)内に伝動軸(13)が設けられ、伝動ケース(5)とサイドフレーム(6)との下部間に、前記爪軸(9)が軸心廻りに回転自在に支持され、前記入力軸(12)の動力を、伝動軸(13)と伝動ケース(5)内の伝動機構(14)とを介して前記爪軸(9)に伝達するようにしたロータリー耕耘装置であって、
サイドフレーム(6)側のサポートアーム(4)内に、伝動軸(13)と一体回転される動力取出軸(75)が設けられ、動力取出軸(75)はサイドフレーム(6)の近傍まで延長され、その延長端部に、前記発電機(65)の回転軸(66)が動力取出軸(75)と一体回転するように固着されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリ耕耘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−81507(P2006−81507A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272105(P2004−272105)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】