ワーク搬送装置
【課題】設置に広いスペースを必要としないコンパクトな装置であるとともに、効率的なワークの搬入搬出動作ができるワーク搬送装置を提供すること。
【解決手段】支持フレーム2と、第1軸J1まわりに回動自在に支持される第1アーム3と、第1軸J1上に配置され支持フレーム2に対して相対的に姿勢を保持可能な基準姿勢保持部材と、第1アーム3に対して第1軸J1と平行な第2軸J2まわりに回動自在に支持される第2アーム5と、第1軸J1と平行であって第2軸からの距離が略等距離である第3軸J3及び第4軸J4上にそれぞれ配置され、第2アーム5に対して第3軸J3及び第4軸J4まわりにそれぞれ回動自在に支持される第1及び第2ハンド51、52と、を備え、第1アーム3又は第2アーム5が回動した場合であっても、支持フレーム2に対する第1及び第2ハンド51、52の姿勢が保持されることを特徴とするワーク搬送装置。
【解決手段】支持フレーム2と、第1軸J1まわりに回動自在に支持される第1アーム3と、第1軸J1上に配置され支持フレーム2に対して相対的に姿勢を保持可能な基準姿勢保持部材と、第1アーム3に対して第1軸J1と平行な第2軸J2まわりに回動自在に支持される第2アーム5と、第1軸J1と平行であって第2軸からの距離が略等距離である第3軸J3及び第4軸J4上にそれぞれ配置され、第2アーム5に対して第3軸J3及び第4軸J4まわりにそれぞれ回動自在に支持される第1及び第2ハンド51、52と、を備え、第1アーム3又は第2アーム5が回動した場合であっても、支持フレーム2に対する第1及び第2ハンド51、52の姿勢が保持されることを特徴とするワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械等で加工するワークを加工位置に対し搬入搬出するワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
未加工ワークを工作機械等の加工位置に搬入し、加工完了ワークを加工位置より搬出するワーク搬送装置として、例えば、図11で示すように、多関節ロボットと、ワークを把持するハンドとを組み合わせたワーク搬送装置が知られている。図11のワーク搬送装置は、工作機械前面から進入し、加工完了ワークをハンドにて把持して取り出し、所定位置に加工完了ワークを仮置きした後、未加工ワークをハンドにて把持し、再度工作機械前面から進入し、未加工ワークを加工位置にセットしている。また、加工完了ワークの搬出動作及び未加工ワークの搬入動作を効率化するため、1つの動作でワークを2個まとめて搬送可能なダブルハンドと、多関節ロボットと、を組み合わせたワーク搬出装置も知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、加工機械へのワーク供給をおこなうためのワーク搬送装置として、多関節ロボットとダブルハンドを組み合わせたワーク搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−96236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ワーク搬送装置は、多間接ロボットにワークを2個同時に搬送可能なダブルハンドを備えた構成のため、ワークの重量に応じた可搬重量のロボットが必要となり、設置にはロボットのハンドが他の装置と干渉しないように広いスペースが必要となるという問題があった。また、ワーク交換時やワーク搬送時におけるワークの姿勢変化により、ワークに付着したクーラントが動作経路の周囲に飛散するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、設置に広いスペースを必要としないコンパクトな機体であるとともに、効率的なワークの搬入搬出動作が可能であり、さらに搬送時のハンド姿勢を常に維持して、ワークの姿勢変化により、ワークに付着したクーラントが周囲に飛散することを抑えることができるワーク搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために提供される請求項1に記載の発明は、支持フレームと、基端側が前記支持フレームに対して第1軸まわりに回動自在に支持される第1アームと、前記第1軸上に配置され前記支持フレームに対して相対的に姿勢を保持可能な基準姿勢保持部材と、前記第1アームの先端側に配置され、前記第1アームに対して前記第1軸と平行な第2軸まわりに回動自在に支持される第2アームと、前記第1軸と平行であって前記第2軸からの距離が略等距離である第3軸及び第4軸上にそれぞれ配置され、前記第2アームに対して前記第3軸及び前記第4軸まわりにそれぞれ回動自在に支持される第1ハンド及び第2ハンドと、前記第2軸上に配置され、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれに対し相対回転可能な中間回転部材と、前記支持フレームに固定され前記第1アームを前記支持フレームに対して回動させる第1アーム駆動装置と、前記第1アームに固定され前記第2アームを前記第1アームに対して回動させる第2アーム駆動装置と、前記第1アームに対する前記基準姿勢保持部材の回動を前記中間回転部材に伝達する第1伝達機構と、前記中間回転部材の回転を前記第1ハンド及び前記第2ハンドに伝達する第2伝達機構と、を備え、前記第1アーム又は前記第2アームが回動した場合であっても、前記支持フレームに対する前記第1ハンド及び前記第2ハンドの姿勢が、前記第1伝達機構及び前記第2伝達機構によって保持されることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0008】
上記ワーク搬送装置によれば、第2アームに第1ハンド及び第2ハンドを備えた構成となっており、ワーク2個を同時に搬送することにより、搬入搬出時の動作数を少なくし、搬送時間を短くすることができる。また、本請求項のワーク搬送装置は、第1アーム又は第2アームがワーク搬送時にどのような軌跡を描いたとしても、第1伝達機構及び第2伝達機構によって、常に、支持フレームに対する第1ハンド及び第2ハンドの姿勢が維持される。そのため、本請求項のワーク搬送装置は、ワークの姿勢を変化させることなくワークを搬送することが可能であり、ワークに付着したクーラントが周囲に飛散するおそれも少ない。さらに、本請求項のワーク搬送装置は、軸数を限定するとともに、第1〜4軸すべてが平行に配置されているため、第1ハンド及び第2ハンドの動作範囲が一平面に限定され、機体を軽量かつ小型に形成することができる。そのため、本請求項のワーク搬送装置は、設置に広いスペースを必要としない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワーク搬送装置であって、前記第1アームは、一対の支持部を有し、前記一対の支持部間には、前記第2アーム、前記第1ハンド及び前記第2ハンドが配置され、前記第2アームは、一対のハンド支持部を有し、前記一対のハンド支持部間に前記第1ハンド及び前記第2ハンドが支持されることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0010】
本請求項のワーク搬送装置は、ワークを把持する第1及び第2ハンドが、第2アームを構成する一対のハンド支持部によって両側から支持されるとともに、この第2アームが第1アームを構成する一対の支持部によってさらに両側から支持される。したがって、本請求項のワーク搬送装置は、機体全体の剛性が高く、重量が大きなワークについても安定した搬送が可能である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のワーク搬送装置であって、前記第1ハンド及び前記第2ハンドは、前記第2アームに片持ち支持されることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0012】
本請求項のワーク搬送装置は、第1及び第2ハンドが、第2アームに片持ち支持されている。即ち、本請求項のワーク搬送装置は、第1及び第2ハンドを可動支持する部分を、第1及び第2ハンドの片側のみに配置すればよく、機体全体をコンパクトに設計することが可能である。そのため、本請求項のワーク搬送装置は、設置スペースが狭小な場合や開口部が狭い工作機械についても対応することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、回転軸が前記第1軸と同軸上に配置されるように前記支持フレームに固定されるとともに、前記基準姿勢保持部材を支持フレームに対して回動させるハンド駆動装置を備えることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0014】
本請求項のワーク搬送装置によれば、ハンド駆動装置によって支持フレームに対する基準姿勢保持部材の姿勢を変更することにより、第1伝達機構、中間回転部材、及び第2伝達機構を介して、支持フレームに対する第1及び第2ハンドの姿勢を変更することができる。これにより本請求項のワーク搬送装置は、例えば、工作機械及び治具ごとにワーク着脱時の姿勢が異なる場合であっても、第1及び第2ハンドの姿勢をその時々に応じて合わせることが可能となり、各種の工作機械及び治具に対応することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、前記基準姿勢保持部材は前記ハンド駆動装置の回転軸に固定された歯車であり、前記第1伝達機構は、前記ハンド駆動装置の回転軸に固定された歯車と、前記中間回転部材の回転軸方向の端部に固定された歯車と、これらの歯車間を連結する歯車又は歯車列とからなり、前記第2伝達機構は、前記中間回転部材の回転軸方向の端部に固定された歯車と、前記第1及び第2ハンドの回転軸に固定された歯車と、これらの歯車間を連結する歯車又は歯車列とからなることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0016】
本請求項のワーク搬送装置は、伝達機構に歯車を用いることにより高い位置決め精度を確保することが可能である。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、前記支持フレームに走行装置を備えたことを特徴とするワーク搬送装置である。
【0018】
本請求項のワーク搬送装置は、並んで配置される工作機械間のワークの搬送にも使用することができる。工作機械の前面において、本請求項のワーク搬送装置を走行させてワークを搬送することにより、ライン毎の搬送装置の台数を削減するとともに、搬送効率の良い加工ラインを構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンパクトな機体で、ハンド姿勢を維持した効率的な搬入搬出動作が可能なワーク搬送装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の外観の側面図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態の第2アーム駆動の伝達機構を示す説明図。
【図4】本発明の第1の実施形態の第1伝達機構を示す説明図。
【図5】本発明の第1の実施形態の第2伝達機構を示す説明図。
【図6】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の第1アーム回動の場合の動作説明図。
【図7】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の第2アーム回動の場合の動作説明図。
【図8】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の第1、第2アーム回動の場合の動作説明図。
【図9】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の第1、第2ハンド回動の場合の動作説明図。
【図10】本発明の第2の実施形態を示すワーク搬送装置の断面図。
【図11】従来の多関節ロボットとワークを把持するハンドを組み合わせた構成のワーク搬送装置の例を示す外観図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のワーク搬送装置1の外観の側面図であり、図2は、図1のワーク搬送装置1の断面図である。図3〜図5は各伝達機構の説明図である。図6〜図9はワーク搬送装置1の各動作を示す説明図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のワーク搬送装置1は、第1アーム3の基端側が、水平な第1軸J1まわりに支持フレーム2に対して回転自在に取り付けられている。第1アーム3の先端側には、第2アーム5が中央部にて第1軸J1と平行な第2軸J2まわりに回転自在に取り付けられている。第2アーム5の両端側には、第1軸J1と平行であって第2軸J2からの距離が略等距離である第3軸J3及び第4軸J4上に、第1ハンド51及び第2ハンド52が、それぞれ第3軸J3及び第4軸J4まわりに第2アーム5に対して回転自在に取り付けられている。
【0023】
以下、本実施形態の構造の詳細について説明する。
第1の実施形態では、支持フレーム2に第1アーム3、第2アーム5、第1及び第2ハンド51、52が配置されており、第1及び第2ハンド51、52が、第2アーム5に片持ち支持される構成となっている。
【0024】
本実施形態のワーク搬送装置1は、図2に示すように、床面等に設置されて全体を支持する支持フレーム2を有し、支持フレーム2には平行に立設された一対の支持枠2a、2bが形成されている。支持フレーム2の一方の支持枠2aにはサーボモータを備えた第1アーム駆動装置9が取り付けられており、第1アーム駆動装置9の回転軸(図示せず)には減速機10が取り付けられている。この減速機10の出力軸70は、第1軸J1に同軸となるように配置されている。
【0025】
第1アーム3は、箱状に形成された高剛性の筐体であり、支持フレーム2に立設された一対の支持枠2a、2bの間に配置されている。第1アーム3は、基端側の一方の側面に第1アーム駆動装置9の減速機10の出力軸70が固定され、第1アーム駆動装置9を介して支持フレーム2と連結されている。第1アーム3の他方の側面には、第1アーム駆動装置9の減速機10の出力軸70が固定される位置と対向する位置に軸穴55が形成されている。また、第1アーム3の先端側の所定位置には軸穴56が形成されている。
【0026】
第2アーム5は、箱状に形成された高剛性の筐体であり、一方の側面の中央に軸穴57が形成されている。第2アーム5の他方の側面の両端部には、ハンド支持部材41、42が回転自在に支持されている。ハンド支持部材41,42は、それぞれの回転軸である第3軸J3及び第4軸J4が、軸穴57の中心(第2軸J2)から等距離になるように配置される。また第2アーム5内に配置されたハンドル支持部材41,42の先端には、歯車31,34がそれぞれハンドル支持部材41,42と同軸回転するように固定されている。第2アーム5は、第1アーム3の先端側に形成された軸穴56と第2アーム5の中央に形成された軸穴57とが同軸上(第2軸J2)に対向するように配置される。そして、第1アーム3の先端側に形成された軸穴56、及び第2アーム5の中央に形成された軸穴57には、第2アーム支持部材13及び中間回転部材25が挿通されている。
【0027】
第2アーム支持部材13は、略円柱形状に形成された棒材であり、第2アーム5の回転軸と同軸上(第2軸J2)に配置される。第2アーム支持部材13の第1アーム3内に配される部分には、第2アーム支持部材13と同軸回転するプーリ14が固定される。また、第2アーム支持部材13は、第2アーム5側の端部が第2アーム5に固定されており、第1アーム3側の端部が第1アーム3に回転自在に支持されている。
【0028】
中間回転部材25は、略円筒形状であり、軸方向の長さが第2アーム支持部材13よりも短くなるように形成される。中間回転部材25の外周面には、歯車24,35が固定され、内側には、第2アーム支持部材13が配置される。第2アーム支持部材13は、中間回転部材25内において回転自在に支持される。中間回転部材25は、第2アーム支持部材13と同様に、第2アーム5の回転軸と同軸上(第2軸J2)に配置される。中間回転部材25は、第1アーム3の先端側の軸穴56と第2アーム5中央部の軸穴57のそれぞれ設置された軸受58、59によって回転自在に支持されている。また、中間回転部材25が第1アーム3の軸穴56及び第2アーム5の軸穴57に挿入されると、歯車25は第1アーム3内に配置され、歯車35は第2アーム5内に配置される。
【0029】
第1及び第2ハンド51、52は、コの字形状の本体部61と、ワーククランプ装置64とを備えている。本体部61は、底部60の両端から一対の側部60a、60bが平行に立設されている。ワーククランプ装置64は、一対の側部60a、60b間に配され、底部60に取り付けられる。また、本体部61の側部60aには支持部62が設けられており、この支持部62には、ハンド支持部材41,42が固定される。これにより、第1及び第2ハンド51、52は、第2アーム5に対し回転自在に支持されている。
【0030】
第1アーム3の側面所定位置にはサーボモータを備えた第2アーム駆動装置19が取り付けられている。第2アーム駆動装置19の回転軸71は、第1アーム3の側面に形成された軸穴54から内部に挿通されており、回転軸71の先端にはプーリ11が固定されている。第2アーム駆動装置19によるプーリ11の回転は、第1アーム3内に配された伝達機構18によりプーリ14へと伝達される。プーリ14には減速機20が取り付けられており、減速機20の出力軸(図示せず)には第2アーム支持部材13が固定されている。
【0031】
支持フレーム2の他方の支持枠2bにはサーボモータを備えたハンド駆動装置29が取り付けられている。ハンド駆動装置29の回転軸(図示せず)は第1軸J1に同軸であり、ハンド駆動装置29の回転軸には減速機30が取り付けられている。減速機30の出力軸72は第1アーム3の基端側に形成された軸穴55から第1アーム3内に挿通されており、出力軸72の先端には歯車21(基準姿勢保持部材)が固定されている。ハンド駆動装置29による歯車21の回転は、第1アーム3内に配された第1伝達機構28により中間回転部材25に固定された歯車24へと伝達される。歯車24の回転は、中間回転部材25を介して歯車35へと伝達され、歯車35の回転は、第2アーム5内に配された第2伝達機構38により歯車31、34へと伝達される。
【0032】
伝達機構18は、図2及び図3に示すように、第1アーム3内に配置され、第2アーム駆動装置19の回転軸71に固定されたプーリ11と減速機20の入力軸73に固定されたプーリ14とにタイミングベルト(巻掛け部材)12が巻掛けられて構成される。
【0033】
第1伝達機構28は、図2及び図4に示すように、第1アーム3内に配置され、ハンド駆動装置29の回転軸に取り付けられた減速機30の出力軸72に固定された歯車21(基準姿勢保持部材)と中間回転部材25に固定された歯車24との間に歯車列23を配置し、歯車21と歯車24とを機構的に連結して構成される。なお、歯車列23は、歯車21と歯車24の回転方向が同じで歯車21と歯車24の回転比が1:1になるように構成される。
【0034】
第2伝達機構38は、図2及び図5に示すように、第2アーム5内に配置され、中間回転部材25に固定された歯車35とハンド支持部材41、42に固定された歯車31、34との間に歯車32、33を配置し、歯車35、31、34を機構的に連結して構成される。この歯車35と歯車31、34の回転方向は同じであり、歯車35と歯車31、34の回転比は1:1である。
【0035】
第1アーム駆動装置9、第2アーム駆動装置19、ハンド駆動装置29は、制御装置(図示せず)と接続されており、制御装置からの指令により駆動する。
【0036】
上記のように構成されるワーク搬送装置1の動作を説明する。
まずは、図6に示すように、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1だけ回動させる場合について説明する。制御装置により、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1だけ回動させる指令が出力されると、第1アーム駆動装置9が駆動される。第1アーム駆動装置9の回転は、減速機10で減速され第1アーム3を支持フレーム2に対し第1軸J1まわりにθ1だけ回動させる。この時、制御装置は、ハンド駆動装置29のモータをサーボロックし、支持フレーム2に対する歯車21の姿勢を固定する。ここで、歯車21は、支持フレーム2に対する第1アーム3の回転軸と同軸上(第1軸J1)に配置されている。そのため、第1アーム3が支持フレーム2に対して回動すると、第1アーム3内に配置された第1伝達機構28は、姿勢の保持された歯車21を中心に回動し、歯車21に噛み合わされた歯車列23が回転を歯車24へ伝達する。本実施形態において、歯車列23は、歯車21と歯車24の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。そのため、第1アーム3が支持フレーム2に対しθ1回転した場合であっても、支持フレーム2に対する歯車24の姿勢は変わらない。また、歯車24及び歯車35は、中間回転部材25と同軸上(第2軸J2)に配され、ともに中間回転部材25に固定されている。そのため、支持フレーム2に対する歯車24の姿勢が保持されると、支持フレーム2に対する中間回転部材25及び歯車35の姿勢も保持される。
【0037】
ここで、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1だけ回動させると、第2アーム5も第1軸J1を中心として支持フレーム2に対しθ1だけ回動する。第2伝達機構38は、歯車31,34が歯車35と回転方向が同一であり、その回転比が1:1になるように構成されている。そのため、第2アーム5が回転すると、第2アーム5内の第2伝達機構38は、支持フレーム2に対する歯車31,34の姿勢が、歯車35と同様に保持されるように回転する。その結果、歯車31、34が固定されたハンド支持部材41、42も支持フレーム2に対する姿勢が維持されるので、第1及び第2ハンド51、52の姿勢が維持される。
【0038】
次に、図7に示すように、第2アーム5を第1アーム3に対しθ2だけ回動させる場合について説明する。制御装置により、第2アーム5を第1アーム3に対しθ2だけ回動させる指令が出力されると、第2アーム駆動装置19が駆動される。第2アーム駆動装置19の回転は、第2アーム駆動装置19の回転軸に固定されたプーリ11が回転し、伝達機構18によりプーリ14へと伝達される。プーリ14の回転は減速機20において減速され、第2アーム支持部材13を回動させる。第2アーム支持部材13の先端には第2アーム5が固定されており、第2アーム支持部材13が回動することで、第2アーム5は、第1アーム3に対し第2軸J2まわりに回動する。この時、制御装置は、ハンド駆動装置29のモータをサーボロックし、支持フレーム2に対する歯車21の姿勢を固定する。ここで、第1アーム3は支持フレーム2に対して回転せず、歯車21は、第1伝達機構28および中間回転部材25を介して歯車35に機構的に連結されている。そのため、第2アーム5が回動したとしても、第1アーム3内に配置された第1伝達機構28、中間回転部材25、及び歯車35の支持フレーム2に対するそれぞれの姿勢は保持される。
【0039】
これにより、第2アーム5が回動すると、第2アーム5内に配置された第2伝達機構38は、姿勢の保持された歯車35を中心に回動し、歯車35に噛み合わされた歯車列32、33が回転を歯車31、34へ伝達する。本実施形態において、歯車列32、33は、歯車35と歯車31、34の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。そのため、第2アーム5が第1アーム3に対しθ2回転した場合であっても、支持フレーム2に対する歯車31、34の姿勢は変わらない。その結果、歯車31、34が固定されたハンド支持部材41、42も支持フレーム2に対する姿勢が維持されるので、第1及び第2ハンド51、52の姿勢が維持される。
【0040】
次に、図8に示すように、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1回動させ、同時に第2アーム5を第1アーム3に対しθ2回動させる同時2軸制御の場合について説明する。制御装置により、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1回動させる指令と、第2アーム5を第1アーム3に対しθ2だけ回動させる指令が同時に出力されると、第1アーム駆動装置9及び第2アーム駆動装置19が駆動される。第1アーム駆動装置9の回転は、第1アーム3を支持フレーム2に対し第1軸J1まわりにθ1だけ回動させる。同時に、第2アーム駆動装置19の回転は、第2アーム支持部材13を介して、第2アーム5を第1アーム3に対し第2軸J2まわりに回動させる。この時、制御装置(図示せず)は、ハンド駆動装置29のモータをサーボロックし、支持フレーム2に対する歯車21の姿勢を固定する。ここで、歯車21は、第1アーム3の回転軸と同軸上(第1軸J1)に配置されている。そのため、第1アーム3が回動すると、第1アーム内に配置された第1伝達機構28は、姿勢の保持された歯車21を中心に回動し、歯車21に噛み合わされた歯車列23が回転を歯車24へ伝達する。同時に、第2アーム5が回動すると、第2アーム内に配置された第2伝達機構38は、歯車35を中心に回動し、歯車35に噛み合わされた歯車列32、33が回転を歯車31、34へ伝達する。
【0041】
本実施形態において、歯車24及び歯車35は、中間回転部材25と同軸上(第2軸J2)に配され、ともに中間回転部材25に固定されている。また、歯車列23は、歯車21と歯車24の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。また、歯車列32、33は、歯車35と歯車31、34の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。
【0042】
したがって、支持フレーム2に対する歯車21の姿勢が保持されると、支持フレーム2に対する中間回転部材25、歯車35、及び歯車31、34の姿勢も保持される。そのため、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1回動させ、同時に第2アーム5を第1アーム3に対しθ2回動させる同時2軸制御の場合であっても、支持フレーム2に対する歯車31、34の姿勢は変わらない。その結果、歯車31、34が固定されたハンド支持部材41、42も支持フレーム2に対する姿勢が維持されるので、第1及び第2ハンド51、52の姿勢が維持される。
【0043】
次に、図9に示すように、第1及び第2ハンド51、52の姿勢をθ3だけ回動させる場合について説明する。制御装置により、第1及び第2ハンド51、52の姿勢を初期状態(ワーククランプ装置64の開口部が下に向いた状態)からθ3だけ回動する指令が出力されると、ハンド駆動装置29が駆動される。ハンド駆動装置29の回転は、減速機30で減速され歯車21を支持フレーム2に対し第1軸J1まわりにθ3だけ回動させる。歯車21を回動させると、第1アーム3内に配置された第1伝達機構28により、歯車21に噛み合わされた歯車列23が回転を歯車24へ伝達する。本実施形態において、歯車列23は、歯車21と歯車24の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。そのため、支持フレーム2に対し歯車21をθ3回動させた場合、支持フレーム2に対する歯車24の姿勢は歯車21の姿勢と同様にθ3だけ回動した状態となる。また、歯車24及び歯車35は、中間回転部材25と同軸上(第2軸J2)に配され、ともに中間回転部材25に固定されている。そのため、支持フレーム2に対する歯車24の姿勢が変更されると、支持フレーム2に対する中間回転部材25及び歯車35の姿勢も同様に変更される。
【0044】
したがって、歯車21が回動すると、第2アーム内に配置された第2伝達機構38は、姿勢の変更された歯車35を中心に回動し、歯車35に噛み合わされた歯車列32、33が回転を歯車31、34へ伝達する。本実施形態において、歯車列32、33は、歯車35と歯車31、34の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。そのため、歯車21が支持フレーム2に対しθ3回転した場合、歯車31、34の姿勢は、歯車21と同様にθ3だけ回動した状態に変更される。その結果、歯車31、34が固定されたハンド支持部材41、42も支持フレーム2に対する姿勢も変更されるので、第1及び第2ハンド51、52の姿勢が変更される。
【0045】
上記のように構成される第1の実施形態のワーク搬送装置は、第1アーム3又は第2アーム5がどのように回動した場合であっても、基準姿勢保持部材の歯車21の姿勢を保持させることで、第1及び第2ハンド51、52の姿勢は常に維持される。したがって、ハンドにて把持したワークの姿勢を変化させることなく、ワークを搬送することが可能であり、ワークに付着したクーラントが周囲に飛散するおそれも少ない。
【0046】
また、基準姿勢保持部材の歯車21の姿勢を変更した後、基準姿勢保持部材の歯車21の姿勢を保持させることで、任意の第1及び第2ハンド51、52の姿勢を基準姿勢とすることができる。これにより、工作機械及び治具ごとにワーク着脱時の姿勢が異なる場合であっても、第1及び第2ハンド51、52の姿勢を、その時々に応じて合わせることが可能となり、各種の工作機械及び治具に対応することができる。
【0047】
さらに、第1の実施形態のワーク搬送装置は、第1及び第2ハンド51、52が、第2アーム5に片持ち支持されているため、第1及び第2ハンド51、52を可動支持する部分を、第1及び第2ハンド51、52の片側のみに配置すればよく、機体全体をコンパクトに設計することが可能である。そのため、設置スペースが狭小な場合や開口部が狭い工作機械についても対応できる。
【0048】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、ワークを把持する第1及び第2ハンド51、52が、第2アーム5を構成する一対のハンド支持部材41、41’、42、42’によって両側から支持されるとともに、この第2アーム5が第1アーム3を構成する一対の支持部によってさらに両側から支持される構成となっている。
【0049】
本実施形態のワーク搬送装置101は、図10に示すように、床面等に設置されて全体を支持する支持フレーム2を有し、支持フレーム2には平行に立設された一対の支持枠2a、2bが形成されている。支持フレーム2の一方の支持枠2bにはサーボモータを備えた第1アーム駆動装置9が取り付けられており、第1アーム駆動装置9の回転軸(図示せず)には減速機10が取り付けられている。この減速機10の出力軸70は、第1軸J1に同軸となるように配置されている。
【0050】
第1アーム3は、平行に配置された一対のアーム部3a、3bと、アーム部3a,3bそれぞれの基端部を連結する連結部材3cによりコの字形状に構成されている。アーム部3a、3bのそれぞれは、箱状に形成された高剛性の筐体である。また第1アーム3は、支持フレーム2に立設された一対の支持枠2a、2bの間に配置されている。第1アーム3を構成するアーム部3bの基端側側面には、支持フレーム2に固定された第1アーム駆動装置9の減速機10の出力軸70が固定され、第1アーム3と支持フレーム2とが第1駆動装置9を介して連結されている。第1アーム3a、3bの先端側のそれぞれ側面には軸穴56a、56bが形成されている。第1アーム3aの先端側の軸穴56aには、第2アーム支持部材13a及び中間回転部材25が挿通されており、第1アーム3bの先端側の軸穴56bには、減速機20の出力軸(図示せず)に連結された第2アーム支持部材13bが挿通されている。
【0051】
第2アーム5は一対のアーム部5a、5bにより構成されている。アーム5aは、箱状に形成された高剛性の筐体であり、一方の側面の中央に軸穴57が形成されている。第2アーム5aの他方の側面の両端部には、ハンド支持部材41、42が回転自在に支持されている。ハンド支持部材41、42は、それぞれの回転軸である第3軸J3及び第4軸J4が、軸穴57の中心(第2軸J2)から等距離になるように配置される。またアーム部5a内に配置されたハンドル支持部材41,42の先端には、歯車31,34がそれぞれハンドル支持部材41,42と同軸回転するように固定されている。第2アーム5は、第1アーム3を構成する一対のアーム部3a,3b間において、アーム部3aの先端側に形成された軸穴56aと第2アーム5のアーム部5aの中央に形成された軸穴57とが同軸上(第2軸J2)に対向するように配置される。そして、アーム部3aの先端側に形成された軸穴56a、及びアーム部5aの中央に形成された軸穴57には、第2アーム支持部材13a及び中間回転部材25が挿通されている。
【0052】
第2アーム5bは、板状に形成されており、中央に第2アーム支持部材13bの一端が固定されている。アーム部5bの両端部には、ハンド支持部材41’、42’のそれぞれが第3軸J3及び第4軸J4まわりに回転自在に支持されている。
【0053】
第2アーム支持部材13a、13bは、それぞれ略円柱形状に形成された棒材であり、第2アーム5の回転軸と同軸上(第2軸J2)に配置される。第2アーム支持部材13aは、一方の端部がアーム部3aに、他方の端部がアーム部5aに、それぞれ回転自在に取り付けられる。また、第2アーム支持部材13aは、外周に中間回転部材25が固定されている。第2アーム支持部材13bには、減速機20の出力軸及び入力軸73とプーリ14が固定されている。
【0054】
中間回転部材25は、略円筒形状であり、軸方向の長さが第2アーム支持部材13aよりも短くなるように形成される。中間回転部材25の外周面には、歯車24,35が固定され、内周には、第2アーム支持部材13aが固定されている。中間回転部材25は、第2アーム支持部材13aと同様に、第2アーム5の回転軸と同軸上(第2軸J2)に配置され、第1アーム3の先端側の軸穴56aと第2アーム5中央部の軸穴57のそれぞれに設置された軸受58、59によって回転自在に支持されている。また、中間回転部材25がアーム部3aの軸穴56a及びアーム部5aの軸穴57に挿入されると、歯車25はアーム部3a内に配置され、歯車35はアーム部5a内に配置される。
【0055】
第1及び第2ハンド51、52は、第1の実施形態1と略同一の構成であり、本体部61の側部60bに、ハンド支持部材41’、42’が固定される支持部62bが設けられる点で相違する。よって本実施形態の第1及び第2ハンド51、52は、左右の側部60a,60bに、ハンド支持部材41、41’、42、42’が固定されることで、第2アーム5a、5bに対し、回転自在に両側から支持される。
【0056】
第1アーム3のアーム部3bの側面所定位置にはサーボモータを備えた第2アーム駆動装置19が取り付けられている。第2アーム駆動装置19の回転軸71は、アーム部3bの側面に形成された軸穴54から内部に挿通されており、回転軸71の先端にはプーリ11が固定されている。第2アーム駆動装置19によるプーリ11の回転は、アーム部3b内に配された伝達機構18によりプーリ14へと伝達される。プーリ14には減速機20が取り付けられ、減速機20の出力軸には第2アーム支持部材13bが固定されている。
【0057】
支持フレーム2に立設された支持枠2aにはサーボモータを備えたハンド駆動装置29が取り付けられている。ハンド駆動装置29の回転軸は第1軸J1に同軸であり、ハンド駆動装置29の回転軸には減速機30が取り付けられている。減速機30の出力軸72はアーム部3aの基端側に形成された軸穴55からアーム部3a内に挿通されており、出力軸72の先端には歯車21(基準姿勢保持部材)が固定されている。ハンド駆動装置29による歯車21の回転は、アーム部3a内の第1伝達機構28により中間回転部材25に固定された歯車24へと伝達される。歯車24の回転は、中間回転部材25を介して歯車35へと伝達され、歯車35の回転は、アーム部5a内に配された第2伝達機構38により歯車31、34へと伝達される。
【0058】
伝達機構18、第1伝達機構28、第2伝達機構38は、第1の実施形態と同様に構成される。また、第1の実施形態同様、第1アーム駆動装置9、第2アーム駆動装置19、ハンド駆動装置29は、制御装置(図示せず)と接続されており、制御装置からの指令により駆動する。本実施形態のワーク搬送装置1の動作については、第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0059】
上記のように構成される第2の実施形態のワーク搬送装置1は、第1の実施形態と同様に、搬送動作時に第1及び第2ハンド51、52の姿勢が保持されることに加え、ワークを把持する第1及び第2ハンド51、52が両側から支持されるため、機体全体の剛性が高く、重量が大きなワークについても安定した搬送が可能である。
【0060】
なお、前記の第1の実施形態及び第2の実施形態は以下のように変更することもできる。
第2アーム駆動装置19の回転を第2アーム支持部材13へ伝達する伝達機構18は、第2アーム駆動装置19の回転軸に固定された歯車と、第2アーム支持部材13、13bに固定された歯車と、これらの歯車間を連結する歯車列とからなる構成としてもよい。
【0061】
また、上記実施形態のワーク搬送装置1、101は、第2アーム駆動装置19の回動軸を、第2アーム支持部材13,13bに固定された減速機20の入力軸に連結する構成とし、伝達機構18をなくしてもよい。これにより、部品点数を少なくし、コストを安価にできる効果が得られる。
【0062】
上記実施形態において、基準姿勢保持部材は、歯車21であったが、これはプーリであってもよい。この場合、第1伝達機構28は、ハンド駆動装置29の減速機の出力軸72に固定されたプーリと、中間回転部材25の回転軸方向の端部に固定されたプーリと、これらのプーリ間に巻掛けられた巻掛け部材とから構成され、これらのプーリは、回転方向が同じで、回転比が1:1となることが望ましい。これにより部品点数が少なく軽量となり、コストを安価にできる効果が得られる。
【0063】
また、基準姿勢保持部材はハンド駆動装置29の回転軸に固定されたリンク支持部材としてもよい。この場合、第1伝達機構28は、ハンド駆動装置29の減速機の出力軸72に固定されたリンク支持部材と、中間回転部材25の回転軸方向の端部に固定されたリンク支持部材と、これらのリンク支持部材間を連結するリンクとから構成され、これらのリンクは、回転方向が同じであり、回転比が1:1となることが望ましい。リンク機構を用いることで、組立性がよく、がたの削減効果大きいワーク搬送装置が得られる。
【0064】
上記実施形態において、第2伝達機構38を構成する歯車列32、33は、一つの歯車から構成されたが、本発明はこの様な形態に限られない。第2伝達機構38は、歯車35と歯車31、34の回転方向が同じで、歯車35と歯車31、34の回転比が1:1であればよく、歯車35及び歯車31,34とを連結する歯車列は、複数の歯車で構成してもよい。
【0065】
また上記実施形態において中間回転部材25の回転は、歯車35を介して第2伝達機構38に伝達されたが、本発明はこの様な構成に限定されない。例えば、中間回転部材25の軸方向の端部にプーリを固定し、第1及び第2ハンド支持部材41、42のそれぞれにもプーリを固定して、中間回転部材25に固定されたプーリと、第1及び第2ハンド支持部材41,42に固定されたプーリとの間に巻掛け部材を巻掛けて第2伝達機構38を構成してもよい。これらプーリの回転比は、1:1になることが望ましい。これにより部品点数が少なく軽量となり、コストを安価にできる効果が得られる。
【0066】
また、上記実施形態のワーク搬送装置1、101は、支持フレーム2が床面等に設置され移動できない態様であったが、本発明はこの様な態様に限定されない。例えば、支持フレーム2にキャスター等の走行装置を設け、工作機械の前面を走行可能に構成してもよい。これにより、ライン毎のワーク搬送装置の設置台数を削減するとともに、搬送効率の良い加工ラインを構成することが可能である。
【0067】
本発明のワーク搬送装置は本実施形態で説明した外観、構成、動作等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。また、伝達機構18、第1伝達機構28、第2伝達機構38は本実施形態にて説明した構成及び構造に限定されず、種々の構成及び構造にて実現することができる。
【符号の説明】
【0068】
1,101:ワーク搬送装置、
2:支持フレーム、 2a,2b:支持枠、
3:第1アーム、3a,3b:アーム部、3c:連結部材、
5:第2アーム、5a,5b:アーム部、
9:第1アーム駆動装置、 10:減速機、 11:プーリ、 12:タイミングベルト、
13、13a,13b:第2アーム支持部材、 14:プーリ、 18:伝達機構、
19:第2アーム駆動装置、 20:減速機、 21:歯車(基準姿勢保持部材)、
23:歯車列、24:歯車、 25:中間回転部材、 28:第1伝達機構、
29:ハンド駆動装置、 30:減速機、 31:歯車、 32:歯車、
33:歯車、 34:歯車、 35:歯車、 38:第2伝達機構、
41,41’:第1ハンド支持部材、 42,42’:第2ハンド支持部材、
51:第1ハンド、 52:第2ハンド、
54:軸穴、 55:軸穴、 56,56a,56b:軸穴、 57:軸穴、
58:軸受、 59:軸受、
60:底部、 60a,60b:側部、 61:本体部、 62:支持部、
64:ワーククランプ装置
70:出力軸、 71:回転軸、 72:出力軸、73:入力軸
201:工作機械、 202:多関節ロボット、 203:治具、204:仮置台、
J1:第1軸、 J2:第2軸、 J3:第3軸、 J4:第4軸、 W:ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械等で加工するワークを加工位置に対し搬入搬出するワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
未加工ワークを工作機械等の加工位置に搬入し、加工完了ワークを加工位置より搬出するワーク搬送装置として、例えば、図11で示すように、多関節ロボットと、ワークを把持するハンドとを組み合わせたワーク搬送装置が知られている。図11のワーク搬送装置は、工作機械前面から進入し、加工完了ワークをハンドにて把持して取り出し、所定位置に加工完了ワークを仮置きした後、未加工ワークをハンドにて把持し、再度工作機械前面から進入し、未加工ワークを加工位置にセットしている。また、加工完了ワークの搬出動作及び未加工ワークの搬入動作を効率化するため、1つの動作でワークを2個まとめて搬送可能なダブルハンドと、多関節ロボットと、を組み合わせたワーク搬出装置も知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、加工機械へのワーク供給をおこなうためのワーク搬送装置として、多関節ロボットとダブルハンドを組み合わせたワーク搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−96236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ワーク搬送装置は、多間接ロボットにワークを2個同時に搬送可能なダブルハンドを備えた構成のため、ワークの重量に応じた可搬重量のロボットが必要となり、設置にはロボットのハンドが他の装置と干渉しないように広いスペースが必要となるという問題があった。また、ワーク交換時やワーク搬送時におけるワークの姿勢変化により、ワークに付着したクーラントが動作経路の周囲に飛散するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、設置に広いスペースを必要としないコンパクトな機体であるとともに、効率的なワークの搬入搬出動作が可能であり、さらに搬送時のハンド姿勢を常に維持して、ワークの姿勢変化により、ワークに付着したクーラントが周囲に飛散することを抑えることができるワーク搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために提供される請求項1に記載の発明は、支持フレームと、基端側が前記支持フレームに対して第1軸まわりに回動自在に支持される第1アームと、前記第1軸上に配置され前記支持フレームに対して相対的に姿勢を保持可能な基準姿勢保持部材と、前記第1アームの先端側に配置され、前記第1アームに対して前記第1軸と平行な第2軸まわりに回動自在に支持される第2アームと、前記第1軸と平行であって前記第2軸からの距離が略等距離である第3軸及び第4軸上にそれぞれ配置され、前記第2アームに対して前記第3軸及び前記第4軸まわりにそれぞれ回動自在に支持される第1ハンド及び第2ハンドと、前記第2軸上に配置され、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれに対し相対回転可能な中間回転部材と、前記支持フレームに固定され前記第1アームを前記支持フレームに対して回動させる第1アーム駆動装置と、前記第1アームに固定され前記第2アームを前記第1アームに対して回動させる第2アーム駆動装置と、前記第1アームに対する前記基準姿勢保持部材の回動を前記中間回転部材に伝達する第1伝達機構と、前記中間回転部材の回転を前記第1ハンド及び前記第2ハンドに伝達する第2伝達機構と、を備え、前記第1アーム又は前記第2アームが回動した場合であっても、前記支持フレームに対する前記第1ハンド及び前記第2ハンドの姿勢が、前記第1伝達機構及び前記第2伝達機構によって保持されることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0008】
上記ワーク搬送装置によれば、第2アームに第1ハンド及び第2ハンドを備えた構成となっており、ワーク2個を同時に搬送することにより、搬入搬出時の動作数を少なくし、搬送時間を短くすることができる。また、本請求項のワーク搬送装置は、第1アーム又は第2アームがワーク搬送時にどのような軌跡を描いたとしても、第1伝達機構及び第2伝達機構によって、常に、支持フレームに対する第1ハンド及び第2ハンドの姿勢が維持される。そのため、本請求項のワーク搬送装置は、ワークの姿勢を変化させることなくワークを搬送することが可能であり、ワークに付着したクーラントが周囲に飛散するおそれも少ない。さらに、本請求項のワーク搬送装置は、軸数を限定するとともに、第1〜4軸すべてが平行に配置されているため、第1ハンド及び第2ハンドの動作範囲が一平面に限定され、機体を軽量かつ小型に形成することができる。そのため、本請求項のワーク搬送装置は、設置に広いスペースを必要としない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワーク搬送装置であって、前記第1アームは、一対の支持部を有し、前記一対の支持部間には、前記第2アーム、前記第1ハンド及び前記第2ハンドが配置され、前記第2アームは、一対のハンド支持部を有し、前記一対のハンド支持部間に前記第1ハンド及び前記第2ハンドが支持されることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0010】
本請求項のワーク搬送装置は、ワークを把持する第1及び第2ハンドが、第2アームを構成する一対のハンド支持部によって両側から支持されるとともに、この第2アームが第1アームを構成する一対の支持部によってさらに両側から支持される。したがって、本請求項のワーク搬送装置は、機体全体の剛性が高く、重量が大きなワークについても安定した搬送が可能である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のワーク搬送装置であって、前記第1ハンド及び前記第2ハンドは、前記第2アームに片持ち支持されることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0012】
本請求項のワーク搬送装置は、第1及び第2ハンドが、第2アームに片持ち支持されている。即ち、本請求項のワーク搬送装置は、第1及び第2ハンドを可動支持する部分を、第1及び第2ハンドの片側のみに配置すればよく、機体全体をコンパクトに設計することが可能である。そのため、本請求項のワーク搬送装置は、設置スペースが狭小な場合や開口部が狭い工作機械についても対応することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、回転軸が前記第1軸と同軸上に配置されるように前記支持フレームに固定されるとともに、前記基準姿勢保持部材を支持フレームに対して回動させるハンド駆動装置を備えることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0014】
本請求項のワーク搬送装置によれば、ハンド駆動装置によって支持フレームに対する基準姿勢保持部材の姿勢を変更することにより、第1伝達機構、中間回転部材、及び第2伝達機構を介して、支持フレームに対する第1及び第2ハンドの姿勢を変更することができる。これにより本請求項のワーク搬送装置は、例えば、工作機械及び治具ごとにワーク着脱時の姿勢が異なる場合であっても、第1及び第2ハンドの姿勢をその時々に応じて合わせることが可能となり、各種の工作機械及び治具に対応することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、前記基準姿勢保持部材は前記ハンド駆動装置の回転軸に固定された歯車であり、前記第1伝達機構は、前記ハンド駆動装置の回転軸に固定された歯車と、前記中間回転部材の回転軸方向の端部に固定された歯車と、これらの歯車間を連結する歯車又は歯車列とからなり、前記第2伝達機構は、前記中間回転部材の回転軸方向の端部に固定された歯車と、前記第1及び第2ハンドの回転軸に固定された歯車と、これらの歯車間を連結する歯車又は歯車列とからなることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0016】
本請求項のワーク搬送装置は、伝達機構に歯車を用いることにより高い位置決め精度を確保することが可能である。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、前記支持フレームに走行装置を備えたことを特徴とするワーク搬送装置である。
【0018】
本請求項のワーク搬送装置は、並んで配置される工作機械間のワークの搬送にも使用することができる。工作機械の前面において、本請求項のワーク搬送装置を走行させてワークを搬送することにより、ライン毎の搬送装置の台数を削減するとともに、搬送効率の良い加工ラインを構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンパクトな機体で、ハンド姿勢を維持した効率的な搬入搬出動作が可能なワーク搬送装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の外観の側面図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態の第2アーム駆動の伝達機構を示す説明図。
【図4】本発明の第1の実施形態の第1伝達機構を示す説明図。
【図5】本発明の第1の実施形態の第2伝達機構を示す説明図。
【図6】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の第1アーム回動の場合の動作説明図。
【図7】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の第2アーム回動の場合の動作説明図。
【図8】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の第1、第2アーム回動の場合の動作説明図。
【図9】本発明の第1の実施形態を示すワーク搬送装置の第1、第2ハンド回動の場合の動作説明図。
【図10】本発明の第2の実施形態を示すワーク搬送装置の断面図。
【図11】従来の多関節ロボットとワークを把持するハンドを組み合わせた構成のワーク搬送装置の例を示す外観図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のワーク搬送装置1の外観の側面図であり、図2は、図1のワーク搬送装置1の断面図である。図3〜図5は各伝達機構の説明図である。図6〜図9はワーク搬送装置1の各動作を示す説明図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のワーク搬送装置1は、第1アーム3の基端側が、水平な第1軸J1まわりに支持フレーム2に対して回転自在に取り付けられている。第1アーム3の先端側には、第2アーム5が中央部にて第1軸J1と平行な第2軸J2まわりに回転自在に取り付けられている。第2アーム5の両端側には、第1軸J1と平行であって第2軸J2からの距離が略等距離である第3軸J3及び第4軸J4上に、第1ハンド51及び第2ハンド52が、それぞれ第3軸J3及び第4軸J4まわりに第2アーム5に対して回転自在に取り付けられている。
【0023】
以下、本実施形態の構造の詳細について説明する。
第1の実施形態では、支持フレーム2に第1アーム3、第2アーム5、第1及び第2ハンド51、52が配置されており、第1及び第2ハンド51、52が、第2アーム5に片持ち支持される構成となっている。
【0024】
本実施形態のワーク搬送装置1は、図2に示すように、床面等に設置されて全体を支持する支持フレーム2を有し、支持フレーム2には平行に立設された一対の支持枠2a、2bが形成されている。支持フレーム2の一方の支持枠2aにはサーボモータを備えた第1アーム駆動装置9が取り付けられており、第1アーム駆動装置9の回転軸(図示せず)には減速機10が取り付けられている。この減速機10の出力軸70は、第1軸J1に同軸となるように配置されている。
【0025】
第1アーム3は、箱状に形成された高剛性の筐体であり、支持フレーム2に立設された一対の支持枠2a、2bの間に配置されている。第1アーム3は、基端側の一方の側面に第1アーム駆動装置9の減速機10の出力軸70が固定され、第1アーム駆動装置9を介して支持フレーム2と連結されている。第1アーム3の他方の側面には、第1アーム駆動装置9の減速機10の出力軸70が固定される位置と対向する位置に軸穴55が形成されている。また、第1アーム3の先端側の所定位置には軸穴56が形成されている。
【0026】
第2アーム5は、箱状に形成された高剛性の筐体であり、一方の側面の中央に軸穴57が形成されている。第2アーム5の他方の側面の両端部には、ハンド支持部材41、42が回転自在に支持されている。ハンド支持部材41,42は、それぞれの回転軸である第3軸J3及び第4軸J4が、軸穴57の中心(第2軸J2)から等距離になるように配置される。また第2アーム5内に配置されたハンドル支持部材41,42の先端には、歯車31,34がそれぞれハンドル支持部材41,42と同軸回転するように固定されている。第2アーム5は、第1アーム3の先端側に形成された軸穴56と第2アーム5の中央に形成された軸穴57とが同軸上(第2軸J2)に対向するように配置される。そして、第1アーム3の先端側に形成された軸穴56、及び第2アーム5の中央に形成された軸穴57には、第2アーム支持部材13及び中間回転部材25が挿通されている。
【0027】
第2アーム支持部材13は、略円柱形状に形成された棒材であり、第2アーム5の回転軸と同軸上(第2軸J2)に配置される。第2アーム支持部材13の第1アーム3内に配される部分には、第2アーム支持部材13と同軸回転するプーリ14が固定される。また、第2アーム支持部材13は、第2アーム5側の端部が第2アーム5に固定されており、第1アーム3側の端部が第1アーム3に回転自在に支持されている。
【0028】
中間回転部材25は、略円筒形状であり、軸方向の長さが第2アーム支持部材13よりも短くなるように形成される。中間回転部材25の外周面には、歯車24,35が固定され、内側には、第2アーム支持部材13が配置される。第2アーム支持部材13は、中間回転部材25内において回転自在に支持される。中間回転部材25は、第2アーム支持部材13と同様に、第2アーム5の回転軸と同軸上(第2軸J2)に配置される。中間回転部材25は、第1アーム3の先端側の軸穴56と第2アーム5中央部の軸穴57のそれぞれ設置された軸受58、59によって回転自在に支持されている。また、中間回転部材25が第1アーム3の軸穴56及び第2アーム5の軸穴57に挿入されると、歯車25は第1アーム3内に配置され、歯車35は第2アーム5内に配置される。
【0029】
第1及び第2ハンド51、52は、コの字形状の本体部61と、ワーククランプ装置64とを備えている。本体部61は、底部60の両端から一対の側部60a、60bが平行に立設されている。ワーククランプ装置64は、一対の側部60a、60b間に配され、底部60に取り付けられる。また、本体部61の側部60aには支持部62が設けられており、この支持部62には、ハンド支持部材41,42が固定される。これにより、第1及び第2ハンド51、52は、第2アーム5に対し回転自在に支持されている。
【0030】
第1アーム3の側面所定位置にはサーボモータを備えた第2アーム駆動装置19が取り付けられている。第2アーム駆動装置19の回転軸71は、第1アーム3の側面に形成された軸穴54から内部に挿通されており、回転軸71の先端にはプーリ11が固定されている。第2アーム駆動装置19によるプーリ11の回転は、第1アーム3内に配された伝達機構18によりプーリ14へと伝達される。プーリ14には減速機20が取り付けられており、減速機20の出力軸(図示せず)には第2アーム支持部材13が固定されている。
【0031】
支持フレーム2の他方の支持枠2bにはサーボモータを備えたハンド駆動装置29が取り付けられている。ハンド駆動装置29の回転軸(図示せず)は第1軸J1に同軸であり、ハンド駆動装置29の回転軸には減速機30が取り付けられている。減速機30の出力軸72は第1アーム3の基端側に形成された軸穴55から第1アーム3内に挿通されており、出力軸72の先端には歯車21(基準姿勢保持部材)が固定されている。ハンド駆動装置29による歯車21の回転は、第1アーム3内に配された第1伝達機構28により中間回転部材25に固定された歯車24へと伝達される。歯車24の回転は、中間回転部材25を介して歯車35へと伝達され、歯車35の回転は、第2アーム5内に配された第2伝達機構38により歯車31、34へと伝達される。
【0032】
伝達機構18は、図2及び図3に示すように、第1アーム3内に配置され、第2アーム駆動装置19の回転軸71に固定されたプーリ11と減速機20の入力軸73に固定されたプーリ14とにタイミングベルト(巻掛け部材)12が巻掛けられて構成される。
【0033】
第1伝達機構28は、図2及び図4に示すように、第1アーム3内に配置され、ハンド駆動装置29の回転軸に取り付けられた減速機30の出力軸72に固定された歯車21(基準姿勢保持部材)と中間回転部材25に固定された歯車24との間に歯車列23を配置し、歯車21と歯車24とを機構的に連結して構成される。なお、歯車列23は、歯車21と歯車24の回転方向が同じで歯車21と歯車24の回転比が1:1になるように構成される。
【0034】
第2伝達機構38は、図2及び図5に示すように、第2アーム5内に配置され、中間回転部材25に固定された歯車35とハンド支持部材41、42に固定された歯車31、34との間に歯車32、33を配置し、歯車35、31、34を機構的に連結して構成される。この歯車35と歯車31、34の回転方向は同じであり、歯車35と歯車31、34の回転比は1:1である。
【0035】
第1アーム駆動装置9、第2アーム駆動装置19、ハンド駆動装置29は、制御装置(図示せず)と接続されており、制御装置からの指令により駆動する。
【0036】
上記のように構成されるワーク搬送装置1の動作を説明する。
まずは、図6に示すように、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1だけ回動させる場合について説明する。制御装置により、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1だけ回動させる指令が出力されると、第1アーム駆動装置9が駆動される。第1アーム駆動装置9の回転は、減速機10で減速され第1アーム3を支持フレーム2に対し第1軸J1まわりにθ1だけ回動させる。この時、制御装置は、ハンド駆動装置29のモータをサーボロックし、支持フレーム2に対する歯車21の姿勢を固定する。ここで、歯車21は、支持フレーム2に対する第1アーム3の回転軸と同軸上(第1軸J1)に配置されている。そのため、第1アーム3が支持フレーム2に対して回動すると、第1アーム3内に配置された第1伝達機構28は、姿勢の保持された歯車21を中心に回動し、歯車21に噛み合わされた歯車列23が回転を歯車24へ伝達する。本実施形態において、歯車列23は、歯車21と歯車24の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。そのため、第1アーム3が支持フレーム2に対しθ1回転した場合であっても、支持フレーム2に対する歯車24の姿勢は変わらない。また、歯車24及び歯車35は、中間回転部材25と同軸上(第2軸J2)に配され、ともに中間回転部材25に固定されている。そのため、支持フレーム2に対する歯車24の姿勢が保持されると、支持フレーム2に対する中間回転部材25及び歯車35の姿勢も保持される。
【0037】
ここで、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1だけ回動させると、第2アーム5も第1軸J1を中心として支持フレーム2に対しθ1だけ回動する。第2伝達機構38は、歯車31,34が歯車35と回転方向が同一であり、その回転比が1:1になるように構成されている。そのため、第2アーム5が回転すると、第2アーム5内の第2伝達機構38は、支持フレーム2に対する歯車31,34の姿勢が、歯車35と同様に保持されるように回転する。その結果、歯車31、34が固定されたハンド支持部材41、42も支持フレーム2に対する姿勢が維持されるので、第1及び第2ハンド51、52の姿勢が維持される。
【0038】
次に、図7に示すように、第2アーム5を第1アーム3に対しθ2だけ回動させる場合について説明する。制御装置により、第2アーム5を第1アーム3に対しθ2だけ回動させる指令が出力されると、第2アーム駆動装置19が駆動される。第2アーム駆動装置19の回転は、第2アーム駆動装置19の回転軸に固定されたプーリ11が回転し、伝達機構18によりプーリ14へと伝達される。プーリ14の回転は減速機20において減速され、第2アーム支持部材13を回動させる。第2アーム支持部材13の先端には第2アーム5が固定されており、第2アーム支持部材13が回動することで、第2アーム5は、第1アーム3に対し第2軸J2まわりに回動する。この時、制御装置は、ハンド駆動装置29のモータをサーボロックし、支持フレーム2に対する歯車21の姿勢を固定する。ここで、第1アーム3は支持フレーム2に対して回転せず、歯車21は、第1伝達機構28および中間回転部材25を介して歯車35に機構的に連結されている。そのため、第2アーム5が回動したとしても、第1アーム3内に配置された第1伝達機構28、中間回転部材25、及び歯車35の支持フレーム2に対するそれぞれの姿勢は保持される。
【0039】
これにより、第2アーム5が回動すると、第2アーム5内に配置された第2伝達機構38は、姿勢の保持された歯車35を中心に回動し、歯車35に噛み合わされた歯車列32、33が回転を歯車31、34へ伝達する。本実施形態において、歯車列32、33は、歯車35と歯車31、34の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。そのため、第2アーム5が第1アーム3に対しθ2回転した場合であっても、支持フレーム2に対する歯車31、34の姿勢は変わらない。その結果、歯車31、34が固定されたハンド支持部材41、42も支持フレーム2に対する姿勢が維持されるので、第1及び第2ハンド51、52の姿勢が維持される。
【0040】
次に、図8に示すように、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1回動させ、同時に第2アーム5を第1アーム3に対しθ2回動させる同時2軸制御の場合について説明する。制御装置により、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1回動させる指令と、第2アーム5を第1アーム3に対しθ2だけ回動させる指令が同時に出力されると、第1アーム駆動装置9及び第2アーム駆動装置19が駆動される。第1アーム駆動装置9の回転は、第1アーム3を支持フレーム2に対し第1軸J1まわりにθ1だけ回動させる。同時に、第2アーム駆動装置19の回転は、第2アーム支持部材13を介して、第2アーム5を第1アーム3に対し第2軸J2まわりに回動させる。この時、制御装置(図示せず)は、ハンド駆動装置29のモータをサーボロックし、支持フレーム2に対する歯車21の姿勢を固定する。ここで、歯車21は、第1アーム3の回転軸と同軸上(第1軸J1)に配置されている。そのため、第1アーム3が回動すると、第1アーム内に配置された第1伝達機構28は、姿勢の保持された歯車21を中心に回動し、歯車21に噛み合わされた歯車列23が回転を歯車24へ伝達する。同時に、第2アーム5が回動すると、第2アーム内に配置された第2伝達機構38は、歯車35を中心に回動し、歯車35に噛み合わされた歯車列32、33が回転を歯車31、34へ伝達する。
【0041】
本実施形態において、歯車24及び歯車35は、中間回転部材25と同軸上(第2軸J2)に配され、ともに中間回転部材25に固定されている。また、歯車列23は、歯車21と歯車24の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。また、歯車列32、33は、歯車35と歯車31、34の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。
【0042】
したがって、支持フレーム2に対する歯車21の姿勢が保持されると、支持フレーム2に対する中間回転部材25、歯車35、及び歯車31、34の姿勢も保持される。そのため、第1アーム3を支持フレーム2に対しθ1回動させ、同時に第2アーム5を第1アーム3に対しθ2回動させる同時2軸制御の場合であっても、支持フレーム2に対する歯車31、34の姿勢は変わらない。その結果、歯車31、34が固定されたハンド支持部材41、42も支持フレーム2に対する姿勢が維持されるので、第1及び第2ハンド51、52の姿勢が維持される。
【0043】
次に、図9に示すように、第1及び第2ハンド51、52の姿勢をθ3だけ回動させる場合について説明する。制御装置により、第1及び第2ハンド51、52の姿勢を初期状態(ワーククランプ装置64の開口部が下に向いた状態)からθ3だけ回動する指令が出力されると、ハンド駆動装置29が駆動される。ハンド駆動装置29の回転は、減速機30で減速され歯車21を支持フレーム2に対し第1軸J1まわりにθ3だけ回動させる。歯車21を回動させると、第1アーム3内に配置された第1伝達機構28により、歯車21に噛み合わされた歯車列23が回転を歯車24へ伝達する。本実施形態において、歯車列23は、歯車21と歯車24の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。そのため、支持フレーム2に対し歯車21をθ3回動させた場合、支持フレーム2に対する歯車24の姿勢は歯車21の姿勢と同様にθ3だけ回動した状態となる。また、歯車24及び歯車35は、中間回転部材25と同軸上(第2軸J2)に配され、ともに中間回転部材25に固定されている。そのため、支持フレーム2に対する歯車24の姿勢が変更されると、支持フレーム2に対する中間回転部材25及び歯車35の姿勢も同様に変更される。
【0044】
したがって、歯車21が回動すると、第2アーム内に配置された第2伝達機構38は、姿勢の変更された歯車35を中心に回動し、歯車35に噛み合わされた歯車列32、33が回転を歯車31、34へ伝達する。本実施形態において、歯車列32、33は、歯車35と歯車31、34の回転が同じになり、回転比が1:1になるように構成されている。そのため、歯車21が支持フレーム2に対しθ3回転した場合、歯車31、34の姿勢は、歯車21と同様にθ3だけ回動した状態に変更される。その結果、歯車31、34が固定されたハンド支持部材41、42も支持フレーム2に対する姿勢も変更されるので、第1及び第2ハンド51、52の姿勢が変更される。
【0045】
上記のように構成される第1の実施形態のワーク搬送装置は、第1アーム3又は第2アーム5がどのように回動した場合であっても、基準姿勢保持部材の歯車21の姿勢を保持させることで、第1及び第2ハンド51、52の姿勢は常に維持される。したがって、ハンドにて把持したワークの姿勢を変化させることなく、ワークを搬送することが可能であり、ワークに付着したクーラントが周囲に飛散するおそれも少ない。
【0046】
また、基準姿勢保持部材の歯車21の姿勢を変更した後、基準姿勢保持部材の歯車21の姿勢を保持させることで、任意の第1及び第2ハンド51、52の姿勢を基準姿勢とすることができる。これにより、工作機械及び治具ごとにワーク着脱時の姿勢が異なる場合であっても、第1及び第2ハンド51、52の姿勢を、その時々に応じて合わせることが可能となり、各種の工作機械及び治具に対応することができる。
【0047】
さらに、第1の実施形態のワーク搬送装置は、第1及び第2ハンド51、52が、第2アーム5に片持ち支持されているため、第1及び第2ハンド51、52を可動支持する部分を、第1及び第2ハンド51、52の片側のみに配置すればよく、機体全体をコンパクトに設計することが可能である。そのため、設置スペースが狭小な場合や開口部が狭い工作機械についても対応できる。
【0048】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、ワークを把持する第1及び第2ハンド51、52が、第2アーム5を構成する一対のハンド支持部材41、41’、42、42’によって両側から支持されるとともに、この第2アーム5が第1アーム3を構成する一対の支持部によってさらに両側から支持される構成となっている。
【0049】
本実施形態のワーク搬送装置101は、図10に示すように、床面等に設置されて全体を支持する支持フレーム2を有し、支持フレーム2には平行に立設された一対の支持枠2a、2bが形成されている。支持フレーム2の一方の支持枠2bにはサーボモータを備えた第1アーム駆動装置9が取り付けられており、第1アーム駆動装置9の回転軸(図示せず)には減速機10が取り付けられている。この減速機10の出力軸70は、第1軸J1に同軸となるように配置されている。
【0050】
第1アーム3は、平行に配置された一対のアーム部3a、3bと、アーム部3a,3bそれぞれの基端部を連結する連結部材3cによりコの字形状に構成されている。アーム部3a、3bのそれぞれは、箱状に形成された高剛性の筐体である。また第1アーム3は、支持フレーム2に立設された一対の支持枠2a、2bの間に配置されている。第1アーム3を構成するアーム部3bの基端側側面には、支持フレーム2に固定された第1アーム駆動装置9の減速機10の出力軸70が固定され、第1アーム3と支持フレーム2とが第1駆動装置9を介して連結されている。第1アーム3a、3bの先端側のそれぞれ側面には軸穴56a、56bが形成されている。第1アーム3aの先端側の軸穴56aには、第2アーム支持部材13a及び中間回転部材25が挿通されており、第1アーム3bの先端側の軸穴56bには、減速機20の出力軸(図示せず)に連結された第2アーム支持部材13bが挿通されている。
【0051】
第2アーム5は一対のアーム部5a、5bにより構成されている。アーム5aは、箱状に形成された高剛性の筐体であり、一方の側面の中央に軸穴57が形成されている。第2アーム5aの他方の側面の両端部には、ハンド支持部材41、42が回転自在に支持されている。ハンド支持部材41、42は、それぞれの回転軸である第3軸J3及び第4軸J4が、軸穴57の中心(第2軸J2)から等距離になるように配置される。またアーム部5a内に配置されたハンドル支持部材41,42の先端には、歯車31,34がそれぞれハンドル支持部材41,42と同軸回転するように固定されている。第2アーム5は、第1アーム3を構成する一対のアーム部3a,3b間において、アーム部3aの先端側に形成された軸穴56aと第2アーム5のアーム部5aの中央に形成された軸穴57とが同軸上(第2軸J2)に対向するように配置される。そして、アーム部3aの先端側に形成された軸穴56a、及びアーム部5aの中央に形成された軸穴57には、第2アーム支持部材13a及び中間回転部材25が挿通されている。
【0052】
第2アーム5bは、板状に形成されており、中央に第2アーム支持部材13bの一端が固定されている。アーム部5bの両端部には、ハンド支持部材41’、42’のそれぞれが第3軸J3及び第4軸J4まわりに回転自在に支持されている。
【0053】
第2アーム支持部材13a、13bは、それぞれ略円柱形状に形成された棒材であり、第2アーム5の回転軸と同軸上(第2軸J2)に配置される。第2アーム支持部材13aは、一方の端部がアーム部3aに、他方の端部がアーム部5aに、それぞれ回転自在に取り付けられる。また、第2アーム支持部材13aは、外周に中間回転部材25が固定されている。第2アーム支持部材13bには、減速機20の出力軸及び入力軸73とプーリ14が固定されている。
【0054】
中間回転部材25は、略円筒形状であり、軸方向の長さが第2アーム支持部材13aよりも短くなるように形成される。中間回転部材25の外周面には、歯車24,35が固定され、内周には、第2アーム支持部材13aが固定されている。中間回転部材25は、第2アーム支持部材13aと同様に、第2アーム5の回転軸と同軸上(第2軸J2)に配置され、第1アーム3の先端側の軸穴56aと第2アーム5中央部の軸穴57のそれぞれに設置された軸受58、59によって回転自在に支持されている。また、中間回転部材25がアーム部3aの軸穴56a及びアーム部5aの軸穴57に挿入されると、歯車25はアーム部3a内に配置され、歯車35はアーム部5a内に配置される。
【0055】
第1及び第2ハンド51、52は、第1の実施形態1と略同一の構成であり、本体部61の側部60bに、ハンド支持部材41’、42’が固定される支持部62bが設けられる点で相違する。よって本実施形態の第1及び第2ハンド51、52は、左右の側部60a,60bに、ハンド支持部材41、41’、42、42’が固定されることで、第2アーム5a、5bに対し、回転自在に両側から支持される。
【0056】
第1アーム3のアーム部3bの側面所定位置にはサーボモータを備えた第2アーム駆動装置19が取り付けられている。第2アーム駆動装置19の回転軸71は、アーム部3bの側面に形成された軸穴54から内部に挿通されており、回転軸71の先端にはプーリ11が固定されている。第2アーム駆動装置19によるプーリ11の回転は、アーム部3b内に配された伝達機構18によりプーリ14へと伝達される。プーリ14には減速機20が取り付けられ、減速機20の出力軸には第2アーム支持部材13bが固定されている。
【0057】
支持フレーム2に立設された支持枠2aにはサーボモータを備えたハンド駆動装置29が取り付けられている。ハンド駆動装置29の回転軸は第1軸J1に同軸であり、ハンド駆動装置29の回転軸には減速機30が取り付けられている。減速機30の出力軸72はアーム部3aの基端側に形成された軸穴55からアーム部3a内に挿通されており、出力軸72の先端には歯車21(基準姿勢保持部材)が固定されている。ハンド駆動装置29による歯車21の回転は、アーム部3a内の第1伝達機構28により中間回転部材25に固定された歯車24へと伝達される。歯車24の回転は、中間回転部材25を介して歯車35へと伝達され、歯車35の回転は、アーム部5a内に配された第2伝達機構38により歯車31、34へと伝達される。
【0058】
伝達機構18、第1伝達機構28、第2伝達機構38は、第1の実施形態と同様に構成される。また、第1の実施形態同様、第1アーム駆動装置9、第2アーム駆動装置19、ハンド駆動装置29は、制御装置(図示せず)と接続されており、制御装置からの指令により駆動する。本実施形態のワーク搬送装置1の動作については、第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0059】
上記のように構成される第2の実施形態のワーク搬送装置1は、第1の実施形態と同様に、搬送動作時に第1及び第2ハンド51、52の姿勢が保持されることに加え、ワークを把持する第1及び第2ハンド51、52が両側から支持されるため、機体全体の剛性が高く、重量が大きなワークについても安定した搬送が可能である。
【0060】
なお、前記の第1の実施形態及び第2の実施形態は以下のように変更することもできる。
第2アーム駆動装置19の回転を第2アーム支持部材13へ伝達する伝達機構18は、第2アーム駆動装置19の回転軸に固定された歯車と、第2アーム支持部材13、13bに固定された歯車と、これらの歯車間を連結する歯車列とからなる構成としてもよい。
【0061】
また、上記実施形態のワーク搬送装置1、101は、第2アーム駆動装置19の回動軸を、第2アーム支持部材13,13bに固定された減速機20の入力軸に連結する構成とし、伝達機構18をなくしてもよい。これにより、部品点数を少なくし、コストを安価にできる効果が得られる。
【0062】
上記実施形態において、基準姿勢保持部材は、歯車21であったが、これはプーリであってもよい。この場合、第1伝達機構28は、ハンド駆動装置29の減速機の出力軸72に固定されたプーリと、中間回転部材25の回転軸方向の端部に固定されたプーリと、これらのプーリ間に巻掛けられた巻掛け部材とから構成され、これらのプーリは、回転方向が同じで、回転比が1:1となることが望ましい。これにより部品点数が少なく軽量となり、コストを安価にできる効果が得られる。
【0063】
また、基準姿勢保持部材はハンド駆動装置29の回転軸に固定されたリンク支持部材としてもよい。この場合、第1伝達機構28は、ハンド駆動装置29の減速機の出力軸72に固定されたリンク支持部材と、中間回転部材25の回転軸方向の端部に固定されたリンク支持部材と、これらのリンク支持部材間を連結するリンクとから構成され、これらのリンクは、回転方向が同じであり、回転比が1:1となることが望ましい。リンク機構を用いることで、組立性がよく、がたの削減効果大きいワーク搬送装置が得られる。
【0064】
上記実施形態において、第2伝達機構38を構成する歯車列32、33は、一つの歯車から構成されたが、本発明はこの様な形態に限られない。第2伝達機構38は、歯車35と歯車31、34の回転方向が同じで、歯車35と歯車31、34の回転比が1:1であればよく、歯車35及び歯車31,34とを連結する歯車列は、複数の歯車で構成してもよい。
【0065】
また上記実施形態において中間回転部材25の回転は、歯車35を介して第2伝達機構38に伝達されたが、本発明はこの様な構成に限定されない。例えば、中間回転部材25の軸方向の端部にプーリを固定し、第1及び第2ハンド支持部材41、42のそれぞれにもプーリを固定して、中間回転部材25に固定されたプーリと、第1及び第2ハンド支持部材41,42に固定されたプーリとの間に巻掛け部材を巻掛けて第2伝達機構38を構成してもよい。これらプーリの回転比は、1:1になることが望ましい。これにより部品点数が少なく軽量となり、コストを安価にできる効果が得られる。
【0066】
また、上記実施形態のワーク搬送装置1、101は、支持フレーム2が床面等に設置され移動できない態様であったが、本発明はこの様な態様に限定されない。例えば、支持フレーム2にキャスター等の走行装置を設け、工作機械の前面を走行可能に構成してもよい。これにより、ライン毎のワーク搬送装置の設置台数を削減するとともに、搬送効率の良い加工ラインを構成することが可能である。
【0067】
本発明のワーク搬送装置は本実施形態で説明した外観、構成、動作等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。また、伝達機構18、第1伝達機構28、第2伝達機構38は本実施形態にて説明した構成及び構造に限定されず、種々の構成及び構造にて実現することができる。
【符号の説明】
【0068】
1,101:ワーク搬送装置、
2:支持フレーム、 2a,2b:支持枠、
3:第1アーム、3a,3b:アーム部、3c:連結部材、
5:第2アーム、5a,5b:アーム部、
9:第1アーム駆動装置、 10:減速機、 11:プーリ、 12:タイミングベルト、
13、13a,13b:第2アーム支持部材、 14:プーリ、 18:伝達機構、
19:第2アーム駆動装置、 20:減速機、 21:歯車(基準姿勢保持部材)、
23:歯車列、24:歯車、 25:中間回転部材、 28:第1伝達機構、
29:ハンド駆動装置、 30:減速機、 31:歯車、 32:歯車、
33:歯車、 34:歯車、 35:歯車、 38:第2伝達機構、
41,41’:第1ハンド支持部材、 42,42’:第2ハンド支持部材、
51:第1ハンド、 52:第2ハンド、
54:軸穴、 55:軸穴、 56,56a,56b:軸穴、 57:軸穴、
58:軸受、 59:軸受、
60:底部、 60a,60b:側部、 61:本体部、 62:支持部、
64:ワーククランプ装置
70:出力軸、 71:回転軸、 72:出力軸、73:入力軸
201:工作機械、 202:多関節ロボット、 203:治具、204:仮置台、
J1:第1軸、 J2:第2軸、 J3:第3軸、 J4:第4軸、 W:ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームと、
基端側が前記支持フレームに対して第1軸まわりに回動自在に支持される第1アームと、
前記第1軸上に配置され前記支持フレームに対して相対的に姿勢を保持可能な基準姿勢保持部材と、
前記第1アームの先端側に配置され、前記第1アームに対して前記第1軸と平行な第2軸まわりに回動自在に支持される第2アームと、
前記第1軸と平行であって前記第2軸からの距離が略等距離である第3軸及び第4軸上にそれぞれ配置され、前記第2アームに対して前記第3軸及び前記第4軸まわりにそれぞれ回動自在に支持される第1ハンド及び第2ハンドと、
前記第2軸上に配置され、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれに対し相対回転可能な中間回転部材と、
前記支持フレームに固定され前記第1アームを前記支持フレームに対して回動させる第1アーム駆動装置と、
前記第1アームに固定され前記第2アームを前記第1アームに対して回動させる第2アーム駆動装置と、
前記第1アームに対する前記基準姿勢保持部材の回動を前記中間回転部材に伝達する第1伝達機構と、
前記中間回転部材の回転を前記第1ハンド及び前記第2ハンドに伝達する第2伝達機構と、を備え、
前記第1アーム又は前記第2アームが回動した場合であっても、前記支持フレームに対する前記第1ハンド及び前記第2ハンドの姿勢が、前記第1伝達機構及び前記第2伝達機構によって保持されることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク搬送装置であって、
前記第1アームは、一対の支持部を有し、
前記一対の支持部間には、前記第2アーム、前記第1ハンド及び前記第2ハンドが配置され、
前記第2アームは、一対のハンド支持部を有し、
前記一対のハンド支持部間に前記第1ハンド及び前記第2ハンドが支持されることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載のワーク搬送装置であって、
前記第1ハンド及び前記第2ハンドは、前記第2アームに片持ち支持されることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、
回転軸が前記第1軸と同軸上に配置されるように前記支持フレームに固定されるとともに、前記基準姿勢保持部材を支持フレームに対して回動させるハンド駆動装置を備えることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、
前記基準姿勢保持部材は前記ハンド駆動装置の回転軸に固定された歯車であり、
前記第1伝達機構は、
前記ハンド駆動装置の回転軸に固定された歯車と、
前記中間回転部材の回転軸方向の端部に固定された歯車と、
これらの歯車間を連結する歯車又は歯車列とからなり、
前記第2伝達機構は、
前記中間回転部材の回転軸方向の端部に固定された歯車と、
前記第1及び第2ハンドの回転軸に固定された歯車と、
これらの歯車間を連結する歯車又は歯車列とからなることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、
前記支持フレームに走行装置を備えたことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項1】
支持フレームと、
基端側が前記支持フレームに対して第1軸まわりに回動自在に支持される第1アームと、
前記第1軸上に配置され前記支持フレームに対して相対的に姿勢を保持可能な基準姿勢保持部材と、
前記第1アームの先端側に配置され、前記第1アームに対して前記第1軸と平行な第2軸まわりに回動自在に支持される第2アームと、
前記第1軸と平行であって前記第2軸からの距離が略等距離である第3軸及び第4軸上にそれぞれ配置され、前記第2アームに対して前記第3軸及び前記第4軸まわりにそれぞれ回動自在に支持される第1ハンド及び第2ハンドと、
前記第2軸上に配置され、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれに対し相対回転可能な中間回転部材と、
前記支持フレームに固定され前記第1アームを前記支持フレームに対して回動させる第1アーム駆動装置と、
前記第1アームに固定され前記第2アームを前記第1アームに対して回動させる第2アーム駆動装置と、
前記第1アームに対する前記基準姿勢保持部材の回動を前記中間回転部材に伝達する第1伝達機構と、
前記中間回転部材の回転を前記第1ハンド及び前記第2ハンドに伝達する第2伝達機構と、を備え、
前記第1アーム又は前記第2アームが回動した場合であっても、前記支持フレームに対する前記第1ハンド及び前記第2ハンドの姿勢が、前記第1伝達機構及び前記第2伝達機構によって保持されることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク搬送装置であって、
前記第1アームは、一対の支持部を有し、
前記一対の支持部間には、前記第2アーム、前記第1ハンド及び前記第2ハンドが配置され、
前記第2アームは、一対のハンド支持部を有し、
前記一対のハンド支持部間に前記第1ハンド及び前記第2ハンドが支持されることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載のワーク搬送装置であって、
前記第1ハンド及び前記第2ハンドは、前記第2アームに片持ち支持されることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、
回転軸が前記第1軸と同軸上に配置されるように前記支持フレームに固定されるとともに、前記基準姿勢保持部材を支持フレームに対して回動させるハンド駆動装置を備えることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、
前記基準姿勢保持部材は前記ハンド駆動装置の回転軸に固定された歯車であり、
前記第1伝達機構は、
前記ハンド駆動装置の回転軸に固定された歯車と、
前記中間回転部材の回転軸方向の端部に固定された歯車と、
これらの歯車間を連結する歯車又は歯車列とからなり、
前記第2伝達機構は、
前記中間回転部材の回転軸方向の端部に固定された歯車と、
前記第1及び第2ハンドの回転軸に固定された歯車と、
これらの歯車間を連結する歯車又は歯車列とからなることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のワーク搬送装置であって、
前記支持フレームに走行装置を備えたことを特徴とするワーク搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−40678(P2012−40678A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74656(P2011−74656)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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