乗用型水田作業機
【課題】センサーフロートの前部を下方に付勢する付勢機構及び付勢力変更機構、昇降制御手段を備えた場合、付勢力変更機構の操作が行い易くなるように構成する。
【解決手段】作業装置におけるセンサーフロート9の上方の部分に高さセンサー68を備え、センサーフロート9の前部と高さセンサー68とに亘って連係部材55を接続して、作業装置に対するセンサーフロート9の上下位置を高さセンサー68により検出する。高さセンサー68の検出値に基づいて、田面Gから作業装置までの高さが設定高さに維持されるようにする昇降制御手段を備える。作業装置におけるセンサーフロート9の上側で且つ連係部材55の前側の部分に、連係部材55を下方側に付勢する付勢機構57と、付勢機構57の付勢力を変更する付勢力変更機構56とを備える。
【解決手段】作業装置におけるセンサーフロート9の上方の部分に高さセンサー68を備え、センサーフロート9の前部と高さセンサー68とに亘って連係部材55を接続して、作業装置に対するセンサーフロート9の上下位置を高さセンサー68により検出する。高さセンサー68の検出値に基づいて、田面Gから作業装置までの高さが設定高さに維持されるようにする昇降制御手段を備える。作業装置におけるセンサーフロート9の上側で且つ連係部材55の前側の部分に、連係部材55を下方側に付勢する付勢機構57と、付勢機構57の付勢力を変更する付勢力変更機構56とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の乗用型水田作業機において、機体の後部の作業装置及び作業装置に支持されたセンサーフロートの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型水田作業機の一例である乗用型田植機では、苗植付装置(作業装置に相当)を機体の後部に上下昇降自在に支持して、苗植付装置を昇降駆動する油圧シリンダ(昇降機構に相当)を備えている。センサーフロートの後部を作業装置の下部に上下動自在に支持して、苗植付装置におけるセンサーフロートの上方の部分に高さセンサーを備え、センサーフロートの前部と高さセンサーとに亘って連係部材を接続して、苗植付装置に対するセンサーフロートの上下位置を高さセンサーにより検出するように構成している。
【0003】
これにより、田面に接地追従するセンサーフロートに対し、機体の進行に伴って苗植付装置が上下動した場合、苗植付装置に対するセンサーフロートの上下位置を高さセンサーにより検出することにより、田面から苗植付装置までの高さを検出することができるのであり、高さセンサーの検出値に基づいて、田面から苗植付装置までの高さが設定高さに維持されるように、昇降制御手段により油圧シリンダが自動的に操作されて、苗植付装置による苗の植付深さが設定深さに維持される(以上、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−270624号公報(図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、センサーフロートを田面に接地追従させる場合、センサーフロートの前部を下方に付勢する付勢機構(例えばバネ等)を備えて、センサーフロートが上下にバタ付かないように構成する必要があり、田面の状態に応じてバネの付勢力を強弱に変更する付勢力変更機構を備える必要がある。
【0006】
特許文献1によると、センサーフロートの前部と高さセンサーとに亘って連係部材を接続した場合、苗植付装置の前側(機体側)から見て付勢力変更機構が後側に入り込んだ位置に配置されているので、作業者が苗植付装置の前側(機体側)から付勢力変更機構を手動で操作する際、作業者は連係部材を越えて苗植付装置の後方(内方)に手を入り込ませる必要があり、付勢力変更機構の操作性という面で改善の余地がある。
本発明は、乗用型水田作業機において、センサーフロートの前部を下方に付勢する付勢機構及び付勢力変更機構、昇降制御手段を備えた場合、付勢力変更機構の操作が行い易くなるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、乗用型水田作業機において次のように構成することにある。
作業装置を機体の後部に上下昇降自在に支持して、前記作業装置を昇降駆動する昇降機構を備え、
田面に接地追従するセンサーフロートの後部を前記作業装置の下部に上下動自在に支持して、前記作業装置における前記センサーフロートの上方の部分に高さセンサーを備え、前記センサーフロートの前部と前記高さセンサーとに亘って連係部材を接続して、前記作業装置に対する前記センサーフロートの上下位置を前記高さセンサーにより検出するように構成し、
前記高さセンサーの検出値に基づいて、田面から前記作業装置までの高さが設定高さに維持されるように、前記昇降機構を作動させる昇降制御手段を備えて、
前記作業装置における前記センサーフロートの上側で且つ前記連係部材の前側の部分に、前記連係部材を下方側に付勢する付勢機構と、前記付勢機構の付勢力を変更する付勢力変更機構とを備える。
【0008】
(作用及び発明の効果)
センサーフロートの後部を作業装置の下部に上下動自在に支持して、作業装置におけるセンサーフロートの上方の部分に高さセンサーを備え、センサーフロートの前部と高さセンサーとに亘って連係部材を接続すると、連係部材は作業装置の前部に位置することになる。
【0009】
この構成において本発明の第1特徴によると、作業装置におけるセンサーフロートの上側で且つ連係部材の前側の部分に、連係部材を下方側に付勢する付勢機構と、付勢機構の付勢力を変更する付勢力変更機構とを備えているので、付勢機構及び付勢力変更機構が作業装置の前側に位置する状態となる。
これにより、作業者が作業装置の前側(機体側)から付勢力変更機構を手動で操作する際、作業者は連係部材を越えて作業装置の後方(内方)に手を入り込ませなくても、付勢力変更機構の操作を容易に行うことができるのであり、連係部材が付勢力変更機構の操作の妨げになるようなことがなくなって、乗用型水田作業機の作業性を向上させることができた。
【0010】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の用型水田作業機において次のように構成することにある。
前記高さセンサーの検出アームを左右軸芯周りに上下揺動自在に構成し且つ前記高さセンサーから前方及び後方に延出して、前記検出アームの後部と前記センサーフロートの前部とに亘って前記連係部材を接続し、
前記検出アームの前部に前記付勢機構を接続し、且つ、前記高さセンサーの前側に前記付勢力変更機構を備える。
【0011】
(作用及び発明の効果)
本発明の第2特徴によると、高さセンサーの検出アームの後部に連係部材を接続して、高さセンサーの検出アームの前部に付勢機構を接続し、高さセンサーの前側に付勢力変更機構を備えているので、付勢機構及び付勢力変更機構が高さセンサーの検出アームの長さの分だけ連係部材から前方に離れることなる。
これにより、付勢機構及び付勢力変更機構がさらに作業装置の前側に位置する状態となるのであり、さらに連係部材が付勢力変更機構の操作の妨げになるようなことがなくなって、乗用型水田作業機の作業性を向上させることができた。
【0012】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第2特徴の乗用型水田作業機において次のように構成することにある。
前記高さセンサーの後側に前記センサーフロートの前端部を配置し、前記検出アームの後部と前記センサーフロートの前端部とに亘って前記連係部材を接続する。
【0013】
(作用及び発明の効果)
本発明の第3特徴によると、高さセンサー及び連係部材の下方にセンサーフロートの前端部が位置することになり、連係部材よりも前側にセンサーフロートが突出し難い状態となる。これにより、作業者が作業装置の前側(機体側)から付勢力変更機構を手動で操作する際に、センサーフロートが付勢力変更機構の操作の妨げになるようなことがなくなって、乗用型水田作業機の作業性を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】乗用型田植機を示す全体側面図である。
【図2】乗用型田植機を示す全体平面図である。
【図3】苗植付装置を示す正面図である。
【図4】苗植付装置を示す平面図である。
【図5】苗植付装置を示す側面図である。
【図6】苗植付装置のセンサーフロート及びポテンショメータの付近を示しており、植付深さレバーにより苗の設定深さが深い状態に設定された状態を示す側面図である。
【図7】苗植付装置のポテンショメータの付近を示す平面図である。
【図8】苗植付装置のセンサーフロート及びポテンショメータの付近を示しており、植付深さレバーにより苗の設定深さが浅い状態に設定された状態を示す側面図である。
【図9】制御装置と各部の連係状態を示すブロック図である。
【図10】発明の実施の別形態においてスタンドの付近を示す正面図である。
【図11】発明の実施の別形態においてスタンドの付近を示す側面図である。
【図12】発明の実施の別形態においてスタンドの取付板、支持フレームの平板及び取付部材を示す斜視図である。
【図13】発明の実施の別形態において苗植付装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1]
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体の後部に、上下揺動自在なリンク機構3が備えられ、リンク機構3を介して6条植型式の苗植付装置5(作業装置に相当)が昇降自在に支持され、リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4(昇降機構に相当)が備えられて、乗用型水田作業機の一例である乗用型田植機が構成されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、運転座席31の後側に、肥料を貯留するホッパー12及び2つの植付条に対応した3個の繰り出し部13が備えられており、運転座席31の下側にブロア14が備えられている。後述するセンサーフロート9及びサイドフロート11に2個の作溝器15が固定されて、6個の作溝器15が備えられており、繰り出し部13と作溝器15とに亘って6本のホース16が接続されている。
【0017】
[2]
次に、苗植付装置5について説明する。
図1,2,5に示すように、苗植付装置5は、1個のフィードケース17、3個の伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された一対の回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、中央のセンサーフロート9、右及び左のサイドフロート11、6個の苗のせ面を備えて左右方向に往復横送り駆動される苗のせ台10、苗のせ台10の苗のせ面の各々に備えられた縦送り機構25等を備えて構成されている。
【0018】
図3,4,5に示すように、左右方向に配置された断面四角形状の支持フレーム18が備えられており、3個の伝動ケース6が支持フレーム18の後面に所定間隔を置いて後向きに固定されている。支持フレーム18の左右中央の上面にフィードケース17が固定されており、フィードケース17がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1(図3参照)周りにローリング自在に支持されている。
【0019】
図4に示すように、フィードケース17から横送り軸19が延出され、横送り軸19の端部が支持部材20を介して支持フレーム18に支持されて、横送り軸19の回転に伴って往復横送り駆動される送り部材21が横送り軸19に外嵌されており、送り部材21が苗のせ台10に接続されている。伝動ケース6にガイドレール38が左右方向に支持されて、苗のせ台10の下部がガイドレール38に沿って横移動自在に支持されている。図3及び図4に示すように、支持フレーム18の右及び左の端部に支持部材26が固定され上方に延出されて、支持部材26の上部に亘って支持部材50が固定されており、苗のせ台10の上部の前面にガイドレール27が固定され、支持部材50に支持されたローラー51にガイドレール27が横移動自在に支持されている。
【0020】
図3に示すように、苗のせ台10の6個の苗のせ面の各々に、ベルト式の縦送り機構25が備えられている。図4に示すように、フィードケース17から縦送り軸36が延出され、縦送り軸36の端部が支持部材37を介して支持フレーム18に支持され、縦送り軸36に一対の駆動アーム36aが固定されており、縦送り軸36が回転駆動されている。6個の縦送り機構25に動力を伝達する入力部(図示せず)が苗のせ台10に備えられており、入力部が縦送り軸36の駆動アーム36aの間に位置している。これにより、苗のせ台10が往復横送り駆動の右又は左端部に達すると、入力部が縦送り軸36の一方の駆動アーム36aに達して、縦送り軸36の一方の駆動アーム36aにより入力部が駆動され、6個の縦送り機構25により苗のせ台10の苗が下方に送られる。
【0021】
[3]
次に、前輪1及び後輪2、苗植付装置5、繰り出し部13への伝動構造について説明する。
図1に示すように、エンジン49の動力が、静油圧式無段変速装置 (図示せず)からギヤ変速式の副変速装置(図示せず)を介して、前輪1及び後輪2に伝達されている。静油圧式無段変速装置と副変速装置との間から分岐した動力が、植付クラッチ87(図9参照)及びPTO軸22を介して、フィードケース17に備えられた入力軸28(図4参照)に伝達される。
【0022】
図4に示すように、入力軸28の動力が縦送り軸36に伝達されて、縦送り軸36が回転駆動されており、入力軸28の動力が横送り変速機構29を介して横送り軸19に伝達されて、横送り軸19が回転駆動される。入力軸28の動力が伝動チェーン30、伝動ケース6に亘って架設された伝動軸23、伝動ケース6に備えられた入力軸32に伝達されており、入力軸32の動力がトルクリミッター33、伝動チェーン34、少数条クラッチ24及び駆動軸35を介して回転ケース7に伝達される。伝動ケース6に亘って円筒状のカバー60が固定されており、カバー60により伝動軸23が覆われている。
【0023】
これにより図1,4,5に示すように、植付クラッチ87が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付けるのであり、苗のせ台10が往復横送り駆動の右又は左端部に達すると、6個の縦送り機構25により苗のせ台10の苗が下方に送られる。植付クラッチ87が遮断状態に操作されると、苗のせ台10の往復横送り駆動、回転ケース7の回転駆動及び縦送り機構25が停止する。
【0024】
図1及び図9に示すように、副変速装置の動力が施肥クラッチ90を介して繰り出し部13に伝達されており、施肥クラッチ90が伝動状態に操作されると、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13により繰り出され、ブロア14の送風により肥料がホース16を通って作溝器15に供給され、作溝器15を介して肥料が田面Gに供給される。施肥クラッチ90が遮断状態に操作されると、繰り出し部13が停止する。
【0025】
[4]
次に、苗植付装置5の昇降の構造について説明する。
図6及び図7に示すように、3個の伝動ケース6の下部に亘って支持軸41が横軸芯P2周りに回転自在に支持されて、支持軸41に固定された3組の支持アーム41aが斜め後方下方に延出されており、支持アーム41aの後端の横軸芯P3周りに、センサーフロート9及びサイドフロート11の後部が上下に揺動自在に支持されている。人為的に操作可能な植付深さレバー42が支持軸41に固定されて前方上方に延出され、支持フレーム18に固定されたレバーガイド43に植付深さレバー42が挿入されており、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることによって、植付深さレバー42を任意の位置で保持することができる。
【0026】
図6及び図8に示すように、植付深さレバー42により支持軸41及び支持アーム41aを回動操作して、横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11の後部)の位置を上下に変更することによって、後述する苗の設定深さを変更することができるのであり、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることにより、横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11)の位置を固定して、苗の設定深さを設定することができる。
【0027】
図6及び図7に示すように、センサーフロート9の前端部が側面視において支持フレーム18の前面部の下方に配置されるように、センサーフロート9が短いものに構成されている。支持フレーム18の前面部に支持ブラケット44が固定されている。板材をコ字状に折り曲げて構成された第1リンク45が、支持ブラケット44の横軸芯P4周りに揺動自在に支持されており、棒材をコ字状に折り曲げて構成された第2リンク52が、支持ブラケット44の横軸芯P5周りに揺動自在に支持されている。
【0028】
図6及び図7に示すように、鋳物で構成された支持部材53が第1及び第2リンク45,52の端部に揺動自在に支持されて、支持ブラケット44、第1及び第2リンク45,52、支持部材53により上下方向の平行四連リンクが構成されている。植付深さレバー42と第1リンク45の下部とに亘って連係ロッド58が接続されており、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させて保持することにより、支持部材53の位置が固定される。
これにより、植付深さレバー42を操作して苗の設定深さを設定すると、これに連動して連係ロッド58により第1リンク45が横軸芯P4周りに揺動操作されて、後述するポテンショメータ68と横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11の後部)との上下間隔は変化しない。
【0029】
図6及び図7に示すように、支持部材53にポテンショメータ68(高さセンサーに相当)が固定されて、ポテンショメータ68の検出軸68a(左右軸芯周りに回転自在)に検出アーム54が固定され、検出アーム54がポテンショメータ68の検出軸68aから前方(図6の紙面左方)及び後方(図6の紙面右方)に延出されている。センサーフロート9の前端部の右側部にブラケット9aが固定されて、検出アーム54の後部とセンサーフロート9のブラケット9aとに亘って、連係ロッド55(連係部材に相当)が接続されている。連係ロッド55にターンバックル55aが備えられて、連係ロッド55の長さが調節できるように構成されており、連係ロッド55の長さを調節することにより、検出アーム54の後部とセンサーフロート9の前端部(ブラケット9a)との上下間隔を調節することができる。
これにより、苗植付装置5におけるセンサーフロート9の上方の部分にポテンショメータ68が位置し、ポテンショメータ68の後側(図6の紙面右側)にセンサーフロート9の前端部(ブラケット9a)及び連係ロッド55が位置する状態となっている。
【0030】
図6及び図7に示すように、板材をコ字状に折り曲げて構成された二股状の支持アーム56(付勢力変更機構に相当)が、支持部材53の横軸芯P6周り(ポテンショメータ68よりも前側で上側の位置)に揺動自在に支持され、支持アーム56の端部と検出アーム54の前部とに亘って、コイルバネ57(付勢機構に相当)が接続されている。支持アーム56にスライド自在に支持された固定ピン56aを、支持部材53の複数の固定孔53aの一つに挿入することによって、支持部材53に対する支持アーム56の角度を変更して支持アーム56を固定することができるのであり、支持部材53に対する支持アーム56の角度を変更することにより、コイルバネ57の付勢力を変更することができる。
【0031】
これにより、図6及び図7に示すように、コイルバネ57により検出アーム54が図6の紙面時計方向に付勢されて、連係ロッド55及びセンサーフロート9の前端部が下方に付勢されるのであり、コイルバネ57の付勢力を変更することにより、連係ロッド55及びセンサーフロート9の前端部の下方への付勢力を変更することができる。
【0032】
[5]
次に、苗植付装置5の昇降制御について説明する。
図6及び図7に示すように、コイルバネ57により連係ロッド55及びセンサーフロート9の前端部が下方に付勢される点、及びセンサーフロート9に浮力が作用する点によって、センサーフロート9が田面Gに接地追従する。これに対して苗植付装置5が上下動すると、田面G(センサーフロート9)から苗植付装置5までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が変化しようとする。
【0033】
これにより図6及び図9に示すように、連係ロッド55により検出アーム54を介してポテンショメータ68の検出軸68aが回転操作されて、田面G(センサーフロート9)から苗植付装置5までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が、ポテンショメータ68により検出されるのであり、ポテンショメータ68の検出値が制御装置40(昇降制御手段74)に入力されている。油圧シリンダ4に作動油を給排操作して油圧シリンダ4を伸縮作動させる制御弁71が備えられており、制御弁71は制御装置40(昇降制御手段74)によって操作される。
【0034】
図6及び図9に示す状態は、植付設定高さレバー42により横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11の後部)の位置を設定した状態であり、ポテンショメータ68の検出値に基づいて、田面Gからポテンショメータ68までの高さが設定高さA1(設定深さ)が設定された状態である。この状態において、センサーフロート9の底面が水平となるポテンショメータ68の検出値が、設定高さA1(設定深さ)に対応する設定検出値B1として設定されている。
【0035】
これにより、田面Gに接地追従するセンサーフロート9に対して苗植付装置5が上下動すると、ポテンショメータ68の検出値と設定検出値B1とに差が発生し、制御装置40により制御弁71が操作されて、ポテンショメータ68の検出値と設定検出値B1とに差が無くなるように、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降する。
【0036】
このようにしてポテンショメータ68の検出値が設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))となるように、油圧シリンダ4が伸長及び収縮作動して苗植付装置5が昇降することにより、苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが設定深さに維持される(田面G(センターフロート9)からポテンショメータ68までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が、設定高さA1(設定深さ)に維持される)
以上のように昇降制御手段74が構成されており、昇降制御手段74は制御装置40にソフトウェアとして備えられている。
【0037】
この場合、図6及び図8に示すように、植付設定高さレバー42により横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11の後部)の位置を変更すると、前項[4]に記載のように、これに連動して連係ロッド58により第1リンク45が横軸芯P4周りに揺動操作されて、後述するポテンショメータ68と横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11の後部)との上下間隔(設定高さA1)は変化せずに、センサーフロート9及びポテンショメータ68に対する苗植付装置5の上下位置が変化して、植付アーム8による苗の植付深さが変更される。
【0038】
図6及び図7に示すように、平面視コ字状のブラケット59が支持部材53の上部に固定され、丸棒状の上限部材61がブラケット59にスライド自在に支持されている。上限部材61を突出側(検出アーム54側)に付勢するコイルバネ62が、上限部材61の先端部とブラケット59との間に外嵌されており、上限部材61の後部に抜け止め用のピン61aが取り付けられている。
【0039】
これにより、図6及び図8に示すように、田面Gに接地追従するセンサーフロート9に対して苗植付装置5が下降すると、連係ロッド55により検出アーム54が図6の紙面反時計方向に揺動操作される。検出アーム54の揺動操作が大きいと、検出アーム54に固定された円柱状の接当部54aが上限部材61の先端部に接当し、コイルバネ62が圧縮されて、検出アーム54の揺動操作が止められる。
【0040】
図6及び図7に示すように、上限部材61の後部に複数の取付孔が形成されており、上限部材61へのピン61aの取付位置を変更することにより、上下部材61の先端部の位置(コイルバネ62の初期付勢力)を、検出アーム54の接当部54aの移動方向に沿って変更することができる。
【0041】
[6]
次に、苗植付装置5の昇降制御の感度変更について説明する。
図9に示すように、人為的に操作可能なダイヤル式の感度設定スイッチ70が備えられて、感度設定スイッチ70の操作位置が制御装置40に入力されており、感度設定スイッチ70により設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))を変更することができる。
【0042】
図9に示すように、感度設定スイッチ70を敏感側及び鈍感側の中央の中立位置Nに操作していると、設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))に変更はない。感度設定スイッチ70を中立位置Nから敏感側に操作すると、設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))が、感度設定スイッチ70の操作位置に対応して少し下側に変更される。これにより、設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))でのセンターフロート9の底面が少し下向きとなって、センターフロート9の田面Gへの接地面積が大きくなり、コイルバネ57の付勢力が少し小さくなって、センターフロート9が田面Gに敏感に追従するようになるので、油圧シリンダ4による苗植付装置5の昇降が敏感なものに設定される。
【0043】
図9に示すように、感度設定スイッチ70を中立位置Nから鈍感側に操作すると、設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))が、感度設定スイッチ70の操作位置に対応して少し上側に変更される。これにより、設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))でのセンターフロート9の底面が少し上向きとなって、センターフロート9の田面Gへの接地面積が小さくなり、コイルバネ57の付勢力が少し大きくなって、センターフロート9が田面Gに鈍感に追従するようになるので、油圧シリンダ4による苗植付装置5の昇降が鈍感なものに設定される。
【0044】
[7]
次に、苗植付装置5のローリング制御について説明する。
図3及び図9に示すように、フィードケース17がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている(苗植付装置5がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている)。フィードケース17に傾斜センサー48が固定されて、水平面(田面G)に対する苗植付装置5の左右方向の傾斜角度が傾斜センサー48によって検出されており、傾斜センサー48の検出値が制御装置40(ローリング制御手段75)に入力されている。
【0045】
図3及び図9に示すように、リンク機構3の後部上部にローリング機構46が備えられており、ローリング機構46は、左右方向に押し引き操作される一対のワイヤ46a、ワイヤ46aを押し引き駆動するギヤ機構(図示せず)及び電動モータ46bを備えて構成されている。ガイドレール27の右及び左の端部にブラケット27aが固定され、ローリング機構46に固定されたアーム46cとガイドレール27のブラケット27aとに亘って、バネ47が接続されており、ローリング機構46のワイヤ46aと支持部材50の右及び左側部とに亘ってバネ39が接続されている。
【0046】
これにより、図3に示すように、苗のせ台10が往復横送り駆動されるのに伴って、右又は左のバネ47が引き延ばされて、右(左)のバネ47の付勢力により苗植付装置5の右(左)への傾斜が抑えられるのであり、傾斜センサー48の検出値に基づいて制御装置40(ローリング制御手段75)によりローリング機構46(電動モータ46b)が作動操作されて、苗植付装置5が水平(田面Gと平行)に維持される。
以上のようにローリング制御手段75が構成されており、ローリング制御手段75は制御装置40にソフトウェアとして備えられている。
【0047】
[8]
次に、昇降レバー72について説明する。
図1,2,9に示すように、運転座席31の右横側に昇降レバー72が備えられ、昇降レバー72は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されており、昇降レバー72の操作位置が制御装置40に入力されている。機体に対するリンク機構3の角度を検出するポテンショメータ88が備えられて、ポテンショメータ88の検出値が制御装置40に入力されており、機体に対するリンク機構3の角度を検出することによって機体に対する苗植付装置5の高さを検出することができる。
【0048】
図9に示すように、植付クラッチ87を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ89、及び施肥クラッチ90を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ91が備えられており、前項[5][7]に記載の昇降制御手段及びローリング制御手段が制御装置40に備えられている。これにより、制御装置40によって、制御弁71、電動モータ89,91、昇降制御手段及びローリング制御手段が、以下のように操作される。
【0049】
昇降レバー92を上昇位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ87,90が遮断状態に操作され、昇降制御手段及びローリング制御手段が停止した状態で、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇する。苗植付装置5がリンク機構3の上限位置に達すると、油圧シリンダ4が停止して、苗植付装置5が上限位置で停止する。
昇降レバー92を中立位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ87,90が遮断状態に操作され、昇降制御手段及びローリング制御手段が停止した状態で、油圧シリンダ4が停止して苗植付装置5の昇降が停止する。
【0050】
昇降レバー92を下降位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ87,90が遮断状態に操作され、昇降制御手段及びローリング制御手段が停止した状態で、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降するのであり、センターフロート9が田面Gに接地すると、昇降制御手段及びローリング制御手段が作動する。
昇降レバー92を植付位置に操作すると、昇降制御手段及びローリング制御手段が作動した状態で、植付及び施肥クラッチが伝動状態に操作される。
【0051】
[発明の実施の別形態]
図13に示すように、苗植付装置5に整地装置63を備えることがある。整地装置63は、右の伝動ケース6に横軸芯周りに上下揺動自在に支持された支持アーム64、左の伝動ケース6に横軸芯周りに上下揺動自在に支持された駆動ケース65、支持アーム64及び駆動ケース65に亘って横軸芯周りに回転自在に支持された整地体66を備えて構成されている。左の伝動ケース6の入力軸32の動力が、駆動ケース65の内部の伝動チェーン(図示せず)を介して整地体66に伝達されて、整地体66がダウンカット方向に回転駆動されて、田面Gが整地される。
【0052】
乗用型田植機において運搬時やメンテナンス時用として、スタンド67を支持フレーム18に取り付ける場合がある。図10及び図11に示すように、スタンド67は丸パイプをU字状に折り曲げて構成されており、直線状の横棒部67a、第1縦棒部67b、第2縦棒部67cを備えている。
【0053】
図10,11,12に示すように、支持フレーム18の右及び左端部に平板18aが固定されて、平板18aに上下2個の取付孔18bが形成されており、下側の取付孔18bの内側にナット18cが固定されている。スタンド67の第2縦棒部67cの上端部に平板状の取付板67dが固定されており、取付板67dに上下2個の取付孔67eが形成されている。
【0054】
図10,11,12に示すように、取付部材69が用意されている。取付部材69は合成樹脂により一体的に形成されており、縦長の本体部69a、本体部69aの一方の端部の表側及び裏側に形成されたピン69b,69c、本体部69aの他方の端部に形成された取付孔69dを備えている。
【0055】
これにより、図10,11,12に示すように、スタンド67を支持フレーム18に取り付ける場合、スタンド67の第1縦棒部67bの上端部を支持フレーム18の中央付近の下面にボルト連結する。支持フレーム18の平板18aとスタンド67の取付板67dとの間に取付部材69を挟み込みながら、取付部材69のピン69bを支持フレーム18の上側の取付孔18bに挿入し、取付部材69のピン69cをスタンド67の上側の取付孔67eに挿入する。ボルト73をスタンド67の下側の取付孔67e、取付部材69の取付孔69d、支持フレーム18の下側の取付孔18b及びナット18cにネジ込むことにより、スタンド67の第2縦棒部67c(取付板67d)を支持フレーム18の平板18aに連結する。
【0056】
このように苗植付装置5の横外側に位置するスタンド67の第2縦棒部67cを、合成樹脂製の取付部材69を介して支持フレーム18の平板18aに連結することにより、運搬時等においてスタンド67の第2縦棒部67cが他の物に接触しても、取付部材69が破損するようにして、スタンド67の取付板67dや支持フレーム18に衝撃が伝わらないようにしている。
【0057】
図13に示すように、スタンド67を支持フレーム18に取り付けた状態において、スタンド67(第2縦棒部67c)が支持アーム64及び駆動ケース65の内側(左右中央側)に位置している。図11に示すように、スタンド67の第2縦棒部67cが側面視で「く」字状に前側に折り曲げられており、スタンド67の第2縦棒部67cがサイドフロート11の前部に干渉しないようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は乗用型田植機ばかりではなく、機体の後部に直播装置(作業装置に相当)を上下昇降自在に支持した乗用型直播機にも適用できる。
【符号の説明】
【0059】
4 昇降機構
5 作業装置
9 センサーフロート
54 検出アーム
55 連係部材
56 付勢力変更機構
57 付勢機構
68 高さセンサー
74 昇降制御手段
G 田面
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の乗用型水田作業機において、機体の後部の作業装置及び作業装置に支持されたセンサーフロートの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型水田作業機の一例である乗用型田植機では、苗植付装置(作業装置に相当)を機体の後部に上下昇降自在に支持して、苗植付装置を昇降駆動する油圧シリンダ(昇降機構に相当)を備えている。センサーフロートの後部を作業装置の下部に上下動自在に支持して、苗植付装置におけるセンサーフロートの上方の部分に高さセンサーを備え、センサーフロートの前部と高さセンサーとに亘って連係部材を接続して、苗植付装置に対するセンサーフロートの上下位置を高さセンサーにより検出するように構成している。
【0003】
これにより、田面に接地追従するセンサーフロートに対し、機体の進行に伴って苗植付装置が上下動した場合、苗植付装置に対するセンサーフロートの上下位置を高さセンサーにより検出することにより、田面から苗植付装置までの高さを検出することができるのであり、高さセンサーの検出値に基づいて、田面から苗植付装置までの高さが設定高さに維持されるように、昇降制御手段により油圧シリンダが自動的に操作されて、苗植付装置による苗の植付深さが設定深さに維持される(以上、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−270624号公報(図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、センサーフロートを田面に接地追従させる場合、センサーフロートの前部を下方に付勢する付勢機構(例えばバネ等)を備えて、センサーフロートが上下にバタ付かないように構成する必要があり、田面の状態に応じてバネの付勢力を強弱に変更する付勢力変更機構を備える必要がある。
【0006】
特許文献1によると、センサーフロートの前部と高さセンサーとに亘って連係部材を接続した場合、苗植付装置の前側(機体側)から見て付勢力変更機構が後側に入り込んだ位置に配置されているので、作業者が苗植付装置の前側(機体側)から付勢力変更機構を手動で操作する際、作業者は連係部材を越えて苗植付装置の後方(内方)に手を入り込ませる必要があり、付勢力変更機構の操作性という面で改善の余地がある。
本発明は、乗用型水田作業機において、センサーフロートの前部を下方に付勢する付勢機構及び付勢力変更機構、昇降制御手段を備えた場合、付勢力変更機構の操作が行い易くなるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、乗用型水田作業機において次のように構成することにある。
作業装置を機体の後部に上下昇降自在に支持して、前記作業装置を昇降駆動する昇降機構を備え、
田面に接地追従するセンサーフロートの後部を前記作業装置の下部に上下動自在に支持して、前記作業装置における前記センサーフロートの上方の部分に高さセンサーを備え、前記センサーフロートの前部と前記高さセンサーとに亘って連係部材を接続して、前記作業装置に対する前記センサーフロートの上下位置を前記高さセンサーにより検出するように構成し、
前記高さセンサーの検出値に基づいて、田面から前記作業装置までの高さが設定高さに維持されるように、前記昇降機構を作動させる昇降制御手段を備えて、
前記作業装置における前記センサーフロートの上側で且つ前記連係部材の前側の部分に、前記連係部材を下方側に付勢する付勢機構と、前記付勢機構の付勢力を変更する付勢力変更機構とを備える。
【0008】
(作用及び発明の効果)
センサーフロートの後部を作業装置の下部に上下動自在に支持して、作業装置におけるセンサーフロートの上方の部分に高さセンサーを備え、センサーフロートの前部と高さセンサーとに亘って連係部材を接続すると、連係部材は作業装置の前部に位置することになる。
【0009】
この構成において本発明の第1特徴によると、作業装置におけるセンサーフロートの上側で且つ連係部材の前側の部分に、連係部材を下方側に付勢する付勢機構と、付勢機構の付勢力を変更する付勢力変更機構とを備えているので、付勢機構及び付勢力変更機構が作業装置の前側に位置する状態となる。
これにより、作業者が作業装置の前側(機体側)から付勢力変更機構を手動で操作する際、作業者は連係部材を越えて作業装置の後方(内方)に手を入り込ませなくても、付勢力変更機構の操作を容易に行うことができるのであり、連係部材が付勢力変更機構の操作の妨げになるようなことがなくなって、乗用型水田作業機の作業性を向上させることができた。
【0010】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の用型水田作業機において次のように構成することにある。
前記高さセンサーの検出アームを左右軸芯周りに上下揺動自在に構成し且つ前記高さセンサーから前方及び後方に延出して、前記検出アームの後部と前記センサーフロートの前部とに亘って前記連係部材を接続し、
前記検出アームの前部に前記付勢機構を接続し、且つ、前記高さセンサーの前側に前記付勢力変更機構を備える。
【0011】
(作用及び発明の効果)
本発明の第2特徴によると、高さセンサーの検出アームの後部に連係部材を接続して、高さセンサーの検出アームの前部に付勢機構を接続し、高さセンサーの前側に付勢力変更機構を備えているので、付勢機構及び付勢力変更機構が高さセンサーの検出アームの長さの分だけ連係部材から前方に離れることなる。
これにより、付勢機構及び付勢力変更機構がさらに作業装置の前側に位置する状態となるのであり、さらに連係部材が付勢力変更機構の操作の妨げになるようなことがなくなって、乗用型水田作業機の作業性を向上させることができた。
【0012】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第2特徴の乗用型水田作業機において次のように構成することにある。
前記高さセンサーの後側に前記センサーフロートの前端部を配置し、前記検出アームの後部と前記センサーフロートの前端部とに亘って前記連係部材を接続する。
【0013】
(作用及び発明の効果)
本発明の第3特徴によると、高さセンサー及び連係部材の下方にセンサーフロートの前端部が位置することになり、連係部材よりも前側にセンサーフロートが突出し難い状態となる。これにより、作業者が作業装置の前側(機体側)から付勢力変更機構を手動で操作する際に、センサーフロートが付勢力変更機構の操作の妨げになるようなことがなくなって、乗用型水田作業機の作業性を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】乗用型田植機を示す全体側面図である。
【図2】乗用型田植機を示す全体平面図である。
【図3】苗植付装置を示す正面図である。
【図4】苗植付装置を示す平面図である。
【図5】苗植付装置を示す側面図である。
【図6】苗植付装置のセンサーフロート及びポテンショメータの付近を示しており、植付深さレバーにより苗の設定深さが深い状態に設定された状態を示す側面図である。
【図7】苗植付装置のポテンショメータの付近を示す平面図である。
【図8】苗植付装置のセンサーフロート及びポテンショメータの付近を示しており、植付深さレバーにより苗の設定深さが浅い状態に設定された状態を示す側面図である。
【図9】制御装置と各部の連係状態を示すブロック図である。
【図10】発明の実施の別形態においてスタンドの付近を示す正面図である。
【図11】発明の実施の別形態においてスタンドの付近を示す側面図である。
【図12】発明の実施の別形態においてスタンドの取付板、支持フレームの平板及び取付部材を示す斜視図である。
【図13】発明の実施の別形態において苗植付装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1]
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体の後部に、上下揺動自在なリンク機構3が備えられ、リンク機構3を介して6条植型式の苗植付装置5(作業装置に相当)が昇降自在に支持され、リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4(昇降機構に相当)が備えられて、乗用型水田作業機の一例である乗用型田植機が構成されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、運転座席31の後側に、肥料を貯留するホッパー12及び2つの植付条に対応した3個の繰り出し部13が備えられており、運転座席31の下側にブロア14が備えられている。後述するセンサーフロート9及びサイドフロート11に2個の作溝器15が固定されて、6個の作溝器15が備えられており、繰り出し部13と作溝器15とに亘って6本のホース16が接続されている。
【0017】
[2]
次に、苗植付装置5について説明する。
図1,2,5に示すように、苗植付装置5は、1個のフィードケース17、3個の伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された一対の回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、中央のセンサーフロート9、右及び左のサイドフロート11、6個の苗のせ面を備えて左右方向に往復横送り駆動される苗のせ台10、苗のせ台10の苗のせ面の各々に備えられた縦送り機構25等を備えて構成されている。
【0018】
図3,4,5に示すように、左右方向に配置された断面四角形状の支持フレーム18が備えられており、3個の伝動ケース6が支持フレーム18の後面に所定間隔を置いて後向きに固定されている。支持フレーム18の左右中央の上面にフィードケース17が固定されており、フィードケース17がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1(図3参照)周りにローリング自在に支持されている。
【0019】
図4に示すように、フィードケース17から横送り軸19が延出され、横送り軸19の端部が支持部材20を介して支持フレーム18に支持されて、横送り軸19の回転に伴って往復横送り駆動される送り部材21が横送り軸19に外嵌されており、送り部材21が苗のせ台10に接続されている。伝動ケース6にガイドレール38が左右方向に支持されて、苗のせ台10の下部がガイドレール38に沿って横移動自在に支持されている。図3及び図4に示すように、支持フレーム18の右及び左の端部に支持部材26が固定され上方に延出されて、支持部材26の上部に亘って支持部材50が固定されており、苗のせ台10の上部の前面にガイドレール27が固定され、支持部材50に支持されたローラー51にガイドレール27が横移動自在に支持されている。
【0020】
図3に示すように、苗のせ台10の6個の苗のせ面の各々に、ベルト式の縦送り機構25が備えられている。図4に示すように、フィードケース17から縦送り軸36が延出され、縦送り軸36の端部が支持部材37を介して支持フレーム18に支持され、縦送り軸36に一対の駆動アーム36aが固定されており、縦送り軸36が回転駆動されている。6個の縦送り機構25に動力を伝達する入力部(図示せず)が苗のせ台10に備えられており、入力部が縦送り軸36の駆動アーム36aの間に位置している。これにより、苗のせ台10が往復横送り駆動の右又は左端部に達すると、入力部が縦送り軸36の一方の駆動アーム36aに達して、縦送り軸36の一方の駆動アーム36aにより入力部が駆動され、6個の縦送り機構25により苗のせ台10の苗が下方に送られる。
【0021】
[3]
次に、前輪1及び後輪2、苗植付装置5、繰り出し部13への伝動構造について説明する。
図1に示すように、エンジン49の動力が、静油圧式無段変速装置 (図示せず)からギヤ変速式の副変速装置(図示せず)を介して、前輪1及び後輪2に伝達されている。静油圧式無段変速装置と副変速装置との間から分岐した動力が、植付クラッチ87(図9参照)及びPTO軸22を介して、フィードケース17に備えられた入力軸28(図4参照)に伝達される。
【0022】
図4に示すように、入力軸28の動力が縦送り軸36に伝達されて、縦送り軸36が回転駆動されており、入力軸28の動力が横送り変速機構29を介して横送り軸19に伝達されて、横送り軸19が回転駆動される。入力軸28の動力が伝動チェーン30、伝動ケース6に亘って架設された伝動軸23、伝動ケース6に備えられた入力軸32に伝達されており、入力軸32の動力がトルクリミッター33、伝動チェーン34、少数条クラッチ24及び駆動軸35を介して回転ケース7に伝達される。伝動ケース6に亘って円筒状のカバー60が固定されており、カバー60により伝動軸23が覆われている。
【0023】
これにより図1,4,5に示すように、植付クラッチ87が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付けるのであり、苗のせ台10が往復横送り駆動の右又は左端部に達すると、6個の縦送り機構25により苗のせ台10の苗が下方に送られる。植付クラッチ87が遮断状態に操作されると、苗のせ台10の往復横送り駆動、回転ケース7の回転駆動及び縦送り機構25が停止する。
【0024】
図1及び図9に示すように、副変速装置の動力が施肥クラッチ90を介して繰り出し部13に伝達されており、施肥クラッチ90が伝動状態に操作されると、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13により繰り出され、ブロア14の送風により肥料がホース16を通って作溝器15に供給され、作溝器15を介して肥料が田面Gに供給される。施肥クラッチ90が遮断状態に操作されると、繰り出し部13が停止する。
【0025】
[4]
次に、苗植付装置5の昇降の構造について説明する。
図6及び図7に示すように、3個の伝動ケース6の下部に亘って支持軸41が横軸芯P2周りに回転自在に支持されて、支持軸41に固定された3組の支持アーム41aが斜め後方下方に延出されており、支持アーム41aの後端の横軸芯P3周りに、センサーフロート9及びサイドフロート11の後部が上下に揺動自在に支持されている。人為的に操作可能な植付深さレバー42が支持軸41に固定されて前方上方に延出され、支持フレーム18に固定されたレバーガイド43に植付深さレバー42が挿入されており、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることによって、植付深さレバー42を任意の位置で保持することができる。
【0026】
図6及び図8に示すように、植付深さレバー42により支持軸41及び支持アーム41aを回動操作して、横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11の後部)の位置を上下に変更することによって、後述する苗の設定深さを変更することができるのであり、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることにより、横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11)の位置を固定して、苗の設定深さを設定することができる。
【0027】
図6及び図7に示すように、センサーフロート9の前端部が側面視において支持フレーム18の前面部の下方に配置されるように、センサーフロート9が短いものに構成されている。支持フレーム18の前面部に支持ブラケット44が固定されている。板材をコ字状に折り曲げて構成された第1リンク45が、支持ブラケット44の横軸芯P4周りに揺動自在に支持されており、棒材をコ字状に折り曲げて構成された第2リンク52が、支持ブラケット44の横軸芯P5周りに揺動自在に支持されている。
【0028】
図6及び図7に示すように、鋳物で構成された支持部材53が第1及び第2リンク45,52の端部に揺動自在に支持されて、支持ブラケット44、第1及び第2リンク45,52、支持部材53により上下方向の平行四連リンクが構成されている。植付深さレバー42と第1リンク45の下部とに亘って連係ロッド58が接続されており、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させて保持することにより、支持部材53の位置が固定される。
これにより、植付深さレバー42を操作して苗の設定深さを設定すると、これに連動して連係ロッド58により第1リンク45が横軸芯P4周りに揺動操作されて、後述するポテンショメータ68と横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11の後部)との上下間隔は変化しない。
【0029】
図6及び図7に示すように、支持部材53にポテンショメータ68(高さセンサーに相当)が固定されて、ポテンショメータ68の検出軸68a(左右軸芯周りに回転自在)に検出アーム54が固定され、検出アーム54がポテンショメータ68の検出軸68aから前方(図6の紙面左方)及び後方(図6の紙面右方)に延出されている。センサーフロート9の前端部の右側部にブラケット9aが固定されて、検出アーム54の後部とセンサーフロート9のブラケット9aとに亘って、連係ロッド55(連係部材に相当)が接続されている。連係ロッド55にターンバックル55aが備えられて、連係ロッド55の長さが調節できるように構成されており、連係ロッド55の長さを調節することにより、検出アーム54の後部とセンサーフロート9の前端部(ブラケット9a)との上下間隔を調節することができる。
これにより、苗植付装置5におけるセンサーフロート9の上方の部分にポテンショメータ68が位置し、ポテンショメータ68の後側(図6の紙面右側)にセンサーフロート9の前端部(ブラケット9a)及び連係ロッド55が位置する状態となっている。
【0030】
図6及び図7に示すように、板材をコ字状に折り曲げて構成された二股状の支持アーム56(付勢力変更機構に相当)が、支持部材53の横軸芯P6周り(ポテンショメータ68よりも前側で上側の位置)に揺動自在に支持され、支持アーム56の端部と検出アーム54の前部とに亘って、コイルバネ57(付勢機構に相当)が接続されている。支持アーム56にスライド自在に支持された固定ピン56aを、支持部材53の複数の固定孔53aの一つに挿入することによって、支持部材53に対する支持アーム56の角度を変更して支持アーム56を固定することができるのであり、支持部材53に対する支持アーム56の角度を変更することにより、コイルバネ57の付勢力を変更することができる。
【0031】
これにより、図6及び図7に示すように、コイルバネ57により検出アーム54が図6の紙面時計方向に付勢されて、連係ロッド55及びセンサーフロート9の前端部が下方に付勢されるのであり、コイルバネ57の付勢力を変更することにより、連係ロッド55及びセンサーフロート9の前端部の下方への付勢力を変更することができる。
【0032】
[5]
次に、苗植付装置5の昇降制御について説明する。
図6及び図7に示すように、コイルバネ57により連係ロッド55及びセンサーフロート9の前端部が下方に付勢される点、及びセンサーフロート9に浮力が作用する点によって、センサーフロート9が田面Gに接地追従する。これに対して苗植付装置5が上下動すると、田面G(センサーフロート9)から苗植付装置5までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が変化しようとする。
【0033】
これにより図6及び図9に示すように、連係ロッド55により検出アーム54を介してポテンショメータ68の検出軸68aが回転操作されて、田面G(センサーフロート9)から苗植付装置5までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が、ポテンショメータ68により検出されるのであり、ポテンショメータ68の検出値が制御装置40(昇降制御手段74)に入力されている。油圧シリンダ4に作動油を給排操作して油圧シリンダ4を伸縮作動させる制御弁71が備えられており、制御弁71は制御装置40(昇降制御手段74)によって操作される。
【0034】
図6及び図9に示す状態は、植付設定高さレバー42により横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11の後部)の位置を設定した状態であり、ポテンショメータ68の検出値に基づいて、田面Gからポテンショメータ68までの高さが設定高さA1(設定深さ)が設定された状態である。この状態において、センサーフロート9の底面が水平となるポテンショメータ68の検出値が、設定高さA1(設定深さ)に対応する設定検出値B1として設定されている。
【0035】
これにより、田面Gに接地追従するセンサーフロート9に対して苗植付装置5が上下動すると、ポテンショメータ68の検出値と設定検出値B1とに差が発生し、制御装置40により制御弁71が操作されて、ポテンショメータ68の検出値と設定検出値B1とに差が無くなるように、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降する。
【0036】
このようにしてポテンショメータ68の検出値が設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))となるように、油圧シリンダ4が伸長及び収縮作動して苗植付装置5が昇降することにより、苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが設定深さに維持される(田面G(センターフロート9)からポテンショメータ68までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が、設定高さA1(設定深さ)に維持される)
以上のように昇降制御手段74が構成されており、昇降制御手段74は制御装置40にソフトウェアとして備えられている。
【0037】
この場合、図6及び図8に示すように、植付設定高さレバー42により横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11の後部)の位置を変更すると、前項[4]に記載のように、これに連動して連係ロッド58により第1リンク45が横軸芯P4周りに揺動操作されて、後述するポテンショメータ68と横軸芯P3(センサーフロート9及びサイドフロート11の後部)との上下間隔(設定高さA1)は変化せずに、センサーフロート9及びポテンショメータ68に対する苗植付装置5の上下位置が変化して、植付アーム8による苗の植付深さが変更される。
【0038】
図6及び図7に示すように、平面視コ字状のブラケット59が支持部材53の上部に固定され、丸棒状の上限部材61がブラケット59にスライド自在に支持されている。上限部材61を突出側(検出アーム54側)に付勢するコイルバネ62が、上限部材61の先端部とブラケット59との間に外嵌されており、上限部材61の後部に抜け止め用のピン61aが取り付けられている。
【0039】
これにより、図6及び図8に示すように、田面Gに接地追従するセンサーフロート9に対して苗植付装置5が下降すると、連係ロッド55により検出アーム54が図6の紙面反時計方向に揺動操作される。検出アーム54の揺動操作が大きいと、検出アーム54に固定された円柱状の接当部54aが上限部材61の先端部に接当し、コイルバネ62が圧縮されて、検出アーム54の揺動操作が止められる。
【0040】
図6及び図7に示すように、上限部材61の後部に複数の取付孔が形成されており、上限部材61へのピン61aの取付位置を変更することにより、上下部材61の先端部の位置(コイルバネ62の初期付勢力)を、検出アーム54の接当部54aの移動方向に沿って変更することができる。
【0041】
[6]
次に、苗植付装置5の昇降制御の感度変更について説明する。
図9に示すように、人為的に操作可能なダイヤル式の感度設定スイッチ70が備えられて、感度設定スイッチ70の操作位置が制御装置40に入力されており、感度設定スイッチ70により設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))を変更することができる。
【0042】
図9に示すように、感度設定スイッチ70を敏感側及び鈍感側の中央の中立位置Nに操作していると、設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))に変更はない。感度設定スイッチ70を中立位置Nから敏感側に操作すると、設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))が、感度設定スイッチ70の操作位置に対応して少し下側に変更される。これにより、設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))でのセンターフロート9の底面が少し下向きとなって、センターフロート9の田面Gへの接地面積が大きくなり、コイルバネ57の付勢力が少し小さくなって、センターフロート9が田面Gに敏感に追従するようになるので、油圧シリンダ4による苗植付装置5の昇降が敏感なものに設定される。
【0043】
図9に示すように、感度設定スイッチ70を中立位置Nから鈍感側に操作すると、設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))が、感度設定スイッチ70の操作位置に対応して少し上側に変更される。これにより、設定検出値B1(設定高さA1(設定深さ))でのセンターフロート9の底面が少し上向きとなって、センターフロート9の田面Gへの接地面積が小さくなり、コイルバネ57の付勢力が少し大きくなって、センターフロート9が田面Gに鈍感に追従するようになるので、油圧シリンダ4による苗植付装置5の昇降が鈍感なものに設定される。
【0044】
[7]
次に、苗植付装置5のローリング制御について説明する。
図3及び図9に示すように、フィードケース17がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている(苗植付装置5がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている)。フィードケース17に傾斜センサー48が固定されて、水平面(田面G)に対する苗植付装置5の左右方向の傾斜角度が傾斜センサー48によって検出されており、傾斜センサー48の検出値が制御装置40(ローリング制御手段75)に入力されている。
【0045】
図3及び図9に示すように、リンク機構3の後部上部にローリング機構46が備えられており、ローリング機構46は、左右方向に押し引き操作される一対のワイヤ46a、ワイヤ46aを押し引き駆動するギヤ機構(図示せず)及び電動モータ46bを備えて構成されている。ガイドレール27の右及び左の端部にブラケット27aが固定され、ローリング機構46に固定されたアーム46cとガイドレール27のブラケット27aとに亘って、バネ47が接続されており、ローリング機構46のワイヤ46aと支持部材50の右及び左側部とに亘ってバネ39が接続されている。
【0046】
これにより、図3に示すように、苗のせ台10が往復横送り駆動されるのに伴って、右又は左のバネ47が引き延ばされて、右(左)のバネ47の付勢力により苗植付装置5の右(左)への傾斜が抑えられるのであり、傾斜センサー48の検出値に基づいて制御装置40(ローリング制御手段75)によりローリング機構46(電動モータ46b)が作動操作されて、苗植付装置5が水平(田面Gと平行)に維持される。
以上のようにローリング制御手段75が構成されており、ローリング制御手段75は制御装置40にソフトウェアとして備えられている。
【0047】
[8]
次に、昇降レバー72について説明する。
図1,2,9に示すように、運転座席31の右横側に昇降レバー72が備えられ、昇降レバー72は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されており、昇降レバー72の操作位置が制御装置40に入力されている。機体に対するリンク機構3の角度を検出するポテンショメータ88が備えられて、ポテンショメータ88の検出値が制御装置40に入力されており、機体に対するリンク機構3の角度を検出することによって機体に対する苗植付装置5の高さを検出することができる。
【0048】
図9に示すように、植付クラッチ87を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ89、及び施肥クラッチ90を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ91が備えられており、前項[5][7]に記載の昇降制御手段及びローリング制御手段が制御装置40に備えられている。これにより、制御装置40によって、制御弁71、電動モータ89,91、昇降制御手段及びローリング制御手段が、以下のように操作される。
【0049】
昇降レバー92を上昇位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ87,90が遮断状態に操作され、昇降制御手段及びローリング制御手段が停止した状態で、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇する。苗植付装置5がリンク機構3の上限位置に達すると、油圧シリンダ4が停止して、苗植付装置5が上限位置で停止する。
昇降レバー92を中立位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ87,90が遮断状態に操作され、昇降制御手段及びローリング制御手段が停止した状態で、油圧シリンダ4が停止して苗植付装置5の昇降が停止する。
【0050】
昇降レバー92を下降位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ87,90が遮断状態に操作され、昇降制御手段及びローリング制御手段が停止した状態で、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降するのであり、センターフロート9が田面Gに接地すると、昇降制御手段及びローリング制御手段が作動する。
昇降レバー92を植付位置に操作すると、昇降制御手段及びローリング制御手段が作動した状態で、植付及び施肥クラッチが伝動状態に操作される。
【0051】
[発明の実施の別形態]
図13に示すように、苗植付装置5に整地装置63を備えることがある。整地装置63は、右の伝動ケース6に横軸芯周りに上下揺動自在に支持された支持アーム64、左の伝動ケース6に横軸芯周りに上下揺動自在に支持された駆動ケース65、支持アーム64及び駆動ケース65に亘って横軸芯周りに回転自在に支持された整地体66を備えて構成されている。左の伝動ケース6の入力軸32の動力が、駆動ケース65の内部の伝動チェーン(図示せず)を介して整地体66に伝達されて、整地体66がダウンカット方向に回転駆動されて、田面Gが整地される。
【0052】
乗用型田植機において運搬時やメンテナンス時用として、スタンド67を支持フレーム18に取り付ける場合がある。図10及び図11に示すように、スタンド67は丸パイプをU字状に折り曲げて構成されており、直線状の横棒部67a、第1縦棒部67b、第2縦棒部67cを備えている。
【0053】
図10,11,12に示すように、支持フレーム18の右及び左端部に平板18aが固定されて、平板18aに上下2個の取付孔18bが形成されており、下側の取付孔18bの内側にナット18cが固定されている。スタンド67の第2縦棒部67cの上端部に平板状の取付板67dが固定されており、取付板67dに上下2個の取付孔67eが形成されている。
【0054】
図10,11,12に示すように、取付部材69が用意されている。取付部材69は合成樹脂により一体的に形成されており、縦長の本体部69a、本体部69aの一方の端部の表側及び裏側に形成されたピン69b,69c、本体部69aの他方の端部に形成された取付孔69dを備えている。
【0055】
これにより、図10,11,12に示すように、スタンド67を支持フレーム18に取り付ける場合、スタンド67の第1縦棒部67bの上端部を支持フレーム18の中央付近の下面にボルト連結する。支持フレーム18の平板18aとスタンド67の取付板67dとの間に取付部材69を挟み込みながら、取付部材69のピン69bを支持フレーム18の上側の取付孔18bに挿入し、取付部材69のピン69cをスタンド67の上側の取付孔67eに挿入する。ボルト73をスタンド67の下側の取付孔67e、取付部材69の取付孔69d、支持フレーム18の下側の取付孔18b及びナット18cにネジ込むことにより、スタンド67の第2縦棒部67c(取付板67d)を支持フレーム18の平板18aに連結する。
【0056】
このように苗植付装置5の横外側に位置するスタンド67の第2縦棒部67cを、合成樹脂製の取付部材69を介して支持フレーム18の平板18aに連結することにより、運搬時等においてスタンド67の第2縦棒部67cが他の物に接触しても、取付部材69が破損するようにして、スタンド67の取付板67dや支持フレーム18に衝撃が伝わらないようにしている。
【0057】
図13に示すように、スタンド67を支持フレーム18に取り付けた状態において、スタンド67(第2縦棒部67c)が支持アーム64及び駆動ケース65の内側(左右中央側)に位置している。図11に示すように、スタンド67の第2縦棒部67cが側面視で「く」字状に前側に折り曲げられており、スタンド67の第2縦棒部67cがサイドフロート11の前部に干渉しないようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は乗用型田植機ばかりではなく、機体の後部に直播装置(作業装置に相当)を上下昇降自在に支持した乗用型直播機にも適用できる。
【符号の説明】
【0059】
4 昇降機構
5 作業装置
9 センサーフロート
54 検出アーム
55 連係部材
56 付勢力変更機構
57 付勢機構
68 高さセンサー
74 昇降制御手段
G 田面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置を機体の後部に上下昇降自在に支持して、前記作業装置を昇降駆動する昇降機構を備え、
田面に接地追従するセンサーフロートの後部を前記作業装置の下部に上下動自在に支持して、前記作業装置における前記センサーフロートの上方の部分に高さセンサーを備え、前記センサーフロートの前部と前記高さセンサーとに亘って連係部材を接続して、前記作業装置に対する前記センサーフロートの上下位置を前記高さセンサーにより検出するように構成し、
前記高さセンサーの検出値に基づいて、田面から前記作業装置までの高さが設定高さに維持されるように、前記昇降機構を作動させる昇降制御手段を備えて、
前記作業装置における前記センサーフロートの上側で且つ前記連係部材の前側の部分に、前記連係部材を下方側に付勢する付勢機構と、前記付勢機構の付勢力を変更する付勢力変更機構とを備えてある乗用型水田作業機。
【請求項2】
前記高さセンサーの検出アームを左右軸芯周りに上下揺動自在に構成し且つ前記高さセンサーから前方及び後方に延出して、前記検出アームの後部と前記センサーフロートの前部とに亘って前記連係部材を接続し、
前記検出アームの前部に前記付勢機構を接続し、且つ、前記高さセンサーの前側に前記付勢力変更機構を備えてある請求項1に記載の乗用型水田作業機。
【請求項3】
前記高さセンサーの後側に前記センサーフロートの前端部を配置し、前記検出アームの後部と前記センサーフロートの前端部とに亘って前記連係部材を接続してある請求項2に記載の乗用型水田作業機。
【請求項1】
作業装置を機体の後部に上下昇降自在に支持して、前記作業装置を昇降駆動する昇降機構を備え、
田面に接地追従するセンサーフロートの後部を前記作業装置の下部に上下動自在に支持して、前記作業装置における前記センサーフロートの上方の部分に高さセンサーを備え、前記センサーフロートの前部と前記高さセンサーとに亘って連係部材を接続して、前記作業装置に対する前記センサーフロートの上下位置を前記高さセンサーにより検出するように構成し、
前記高さセンサーの検出値に基づいて、田面から前記作業装置までの高さが設定高さに維持されるように、前記昇降機構を作動させる昇降制御手段を備えて、
前記作業装置における前記センサーフロートの上側で且つ前記連係部材の前側の部分に、前記連係部材を下方側に付勢する付勢機構と、前記付勢機構の付勢力を変更する付勢力変更機構とを備えてある乗用型水田作業機。
【請求項2】
前記高さセンサーの検出アームを左右軸芯周りに上下揺動自在に構成し且つ前記高さセンサーから前方及び後方に延出して、前記検出アームの後部と前記センサーフロートの前部とに亘って前記連係部材を接続し、
前記検出アームの前部に前記付勢機構を接続し、且つ、前記高さセンサーの前側に前記付勢力変更機構を備えてある請求項1に記載の乗用型水田作業機。
【請求項3】
前記高さセンサーの後側に前記センサーフロートの前端部を配置し、前記検出アームの後部と前記センサーフロートの前端部とに亘って前記連係部材を接続してある請求項2に記載の乗用型水田作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−59267(P2013−59267A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198370(P2011−198370)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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