作業車両
【課題】従来では、除草作業機の前部側を平行リンクで連結していた為、圃場の凹凸が存在しても平行リンク部より後方の第2中耕ディスクの追従性が悪く、作物への土寄せ精度が安定しない欠点があった。
【解決手段】本発明は、進行方向前側から順に配置したゲージ輪12、第1中耕ディスク13、チゼル14、第2中耕ディスク15からなる除草作業機9を、車体側後部に昇降調整可能に装備された作業部側メインフレーム10に対して圃場面の凹凸に追従するよう上下動自在に装備してある作業車両において、前記作業部側メインフレーム10と除草作業機9との間には、この除草作業機9の重心位置G付近を吊り下げ状態に連結支持する平行リンク機構22を介装してあることを特徴とする作業車両の構成とする。
【解決手段】本発明は、進行方向前側から順に配置したゲージ輪12、第1中耕ディスク13、チゼル14、第2中耕ディスク15からなる除草作業機9を、車体側後部に昇降調整可能に装備された作業部側メインフレーム10に対して圃場面の凹凸に追従するよう上下動自在に装備してある作業車両において、前記作業部側メインフレーム10と除草作業機9との間には、この除草作業機9の重心位置G付近を吊り下げ状態に連結支持する平行リンク機構22を介装してあることを特徴とする作業車両の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農業用トラクタや乗用管理機等に利用される作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、進行方向前側からチゼル、第1中耕ディスク、第2中耕ディスクの順に配置して備えた中耕除草機を、車体側から突設するフレーム機構に対して平行リンクを介して連結支持させた構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−259812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、除草作業機の前部側を平行リンクで連結していた為、圃場の凹凸が存在しても平行リンク部より後方の第2中耕ディスクの追従性が悪く、作物への土寄せ精度が安定しない欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、進行方向前側から順に配置したゲージ輪(12)、第1中耕ディスク(13)、チゼル(14)、第2中耕ディスク(15)からなる除草作業機(9)を、車体側後部に昇降調整可能に装備された作業部側メインフレーム(10)に対して圃場面の凹凸に追従するよう上下動自在に装備してある作業車両において、前記作業部側メインフレーム(10)と除草作業機(9)との間には、この除草作業機(9)の重心位置(G)付近を吊り下げ状態に連結支持する平行リンク機構(22)を介装してあることを特徴とする作業車両とする。
【0006】
作業車両の前進に伴い除草作業機(9)が作物の条間を進行すると、先行するゲージ輪(12)に後続して移動する第1中耕ディスク(13)によって中耕しながら左右方向への土寄せ作用が行われ、続いて、チゼル(14)の作用によって条間の土が掘り起こされ、そして、更に第2中耕ディスク(15)によって掘り起こされた土が左右方向に寄せられ、仕上げ培土がなされる。
【0007】
除草作業機(9)は、重心位置(G)が平行リンク(22)によって吊り下げ状態に支持されているので、前後のバランスが良好に保持され、圃場面に凹凸があっても滑らかに追従移動し、除草効果が高まり、作物の根元部への土寄せ量が一定となり精度が安定する。
【0008】
請求項2記載の本発明は、前記チゼル(14)の鉛直方向上方位置には、該チゼル(14)を下方に向けて加圧する加重スプリング(21)を設けてあることを特徴とする請求項1記載の作業車両とする。
【0009】
チゼル(14)への上方からの加重効率が良くなり、スプリング力が小さくても土中への入り込みが容易に行え、残耕処理精度が安定する。
請求項3記載の本発明は、前記チゼル(14)を挟んで前後に配置する第1中耕ディスク(13)と第2中耕ディスク(15)との離間距離を略同等としてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両とする。
【0010】
チゼル(14)前側の第1中耕ディスク(13)と、チゼル(14)後側の第2中耕ディスク(15)の土の反転量を同じにすることができ、作物への土寄せ量も調整し易くなる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の本発明によれば、除草作業機は、重心位置が平行リンクによって吊り下げ状態に支持されているので、前後バランスが良好に保持され、圃場面の凹凸に対しても滑らかに追従移動し、この追従性向上によって除草効果がより高まり、作物の根元部への土寄せ量も略一定となり、土寄せ精度が安定する。
【0012】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、チゼルの鉛直方向上方位置に加重スプリングを設けているので、チゼルへの上方からの加重効率が良く、スプリング力が小さくても土中への入り込みが容易に行え、残耕処理精度が安定する。
【0013】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2の発明効果を奏するものでありながら、チゼルを挟む前後の第1中耕ディスクと第2中耕ディスクとの離間距離が略同等であるため、前後の両ディスク共、土の反転量を同じにすることができ、作物への土寄せ量調整が行い易く、簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】除草作業機を備えたトラクタの側面図
【図2】同上平面図
【図3】除草作業機の側面図
【図4】除草作業機と除草剤散布装置を備えたトラクタの側面図
【図5】同上要部の背面図
【図6】3連型除草作業機の平面図
【図7】第1中耕ディスクの斜視図
【図8】第2中耕ディスクの斜視図
【図9】第1中耕ディスクの要部の背面図
【図10】第1中耕ディスクの背面図
【図11】第2中耕ディスクの背面図
【図12】除草作業機と施肥装置の一部を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は作業車両の一例としてトラクタを示し、車体1前部のボンネット2内部にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケ−ス3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5とに伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4,4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。
【0016】
車体側後部の取付ヒッチ部8には、後記する除草作業機9を支持するための作業側メインフレーム10が装着支持されていて、耕深調節ハンドル11の回動操作によって上下方向に昇降動し耕深調節が行えるようになっている。
【0017】
除草作業機9は、進行方向の前側から順に配置したゲージ輪12、第1中耕ディスク13、チゼル14、第2中耕ディスク15からなり、本例では3条の条間分の中耕を行いながら除草する構成としている。ゲージ輪12、第1中耕ディスク13及びチゼル14は、アンダーフレーム16によって支持され、第2中耕ディスク15は、前記アンダーフレーム16と一体構成のアッパーフレーム17によって支持されている。中央に位置するメインフレーム10と一体でこれより左右横方向に延びるツールバー18には、左右の除草作業機を支持する左右フレーム10L,10Rが装着支持され、また、該ツールバー18からは支持アーム19が後方上方に向けて延設されている。支持アーム19の先端は、前記チゼル14の鉛直方向上方位置でアッパーフレーム17に連結された支持ロッド20に接続されている。支持ロッド20には、下方のチゼル14側に向けて加圧付勢する加重スプリング21が外嵌されている。
【0018】
また、前記メインフレーム10(左右フレーム10L,10R)とアッパーフレーム17との間には、各除草作業機10の重心位置G近くを吊り下げ状態に連結支持する平行リンク機構22が介装されている。除草作業機は、平行リンク機構により上下に平行移動しながら対地面の凹凸に対して滑らかに順応する。
【0019】
チゼル14を挟んで前側の第1中耕ディスク13と後側の第2中耕ディスク15との離間距離L1,L2を略同等としている。これにより、前後の両ディスクは共に土の反転量を同じにすることができ、作物への土寄せ量調整が行い易くなる。
【0020】
第1中耕ディスク13は、作物の条間を進行しながら左右一対のディスクによって条間の土を中耕しながら除草するもので、周面が丸型で平面視ハの字型に配設されて左右方向への土寄せが行えるように構成されている。又、第2中耕ディスク15は、第1中耕ディスクと同様に、作物の条間を進行しながら左右一対のディスクによって条間の土を中耕しながら除草するものであり、周面が凹凸のある花型で平面視ハの字型に配設され左右側への土寄せが行えるように構成されている。
【0021】
なお、前後のディスク13,15の外径を同一にしておくと、進行方向との角度を統一できるので、作業時の土寄せ量の調節が容易にできる。また、第2中耕ディスク15は、上下方向に伸縮調節可能な伸縮調節具23を介してアッパーフレーム17に連結支持させた構成としている。
【0022】
チゼル14は、アンダーフレーム16に固着された取付ベース24に取り付けられ、作物の条間を進行しながら左右複数のチゼルによって条間の土を掘り起こすようになっている。
【0023】
ゲージ輪12の周面に泥土が付着すると、ゲージ輪の径が徐々に大きくなって除草作業機が浮き上がるので、ディスクの土中への入り込み量が浅くなり土の反転量が小さくなる。また、土寄せ量も低下する。そこで、図例(図1)に示すように、このゲージ輪12には、これに付着する泥土を削ぎ落とすスクレーパ26を該ゲージ輪の外周面適所に設けることによって解消することができる。このスクレーパ26はゲージ輪軸受アーム25に固着している。
【0024】
図3に示すゲージ輪12は、この軸受アーム25が横軸27を支点として上下に揺動変位することによって昇降するようになっており、螺旋軸などによる伸縮可能な無段階調節部28を備え、昇降ハンドル29を回すことによってゲージ輪12が無段階に上下動し、除草作業機の高さ調節が簡単に行えるように構成している。なお、ゲージ輪の昇降動は油圧シリンダ等のアクチュエータにて作動させるように構成することもでき、これによれば、除草作業を行いながらゲージ輪の高さ調節を運転席より遠隔操作することができる。
【0025】
前記除草作業機9は、車体後部の中央部において前後方向に架設されたローリング軸30周りに左右ローリング自在に懸架された構成になっている。車体が左右に傾いても除草作業機はその影響を受けないので、作業姿勢が安定し追従性が向上する。
【0026】
次に、図4及び図5に示す実施例について説明する。
図4に示すように、除草作業機9の後方に散布ノズル31を備えた除草剤散布装置を設けることにより、散布ノズルによる除草剤の散布と、ディスクによる除草及び土寄せ作業の複数作業を同時に行い除草性能の向上を図っている。かかる実施例では、トラクタ後部に搭載した薬液タンク33からの薬液をポンプ34の駆動により散布ホース32を通じて散布ノズル31から噴射し、中耕ディスク15通過後の作物条間内に散布するよう構成している。散布ノズル31は、作業部側メインフレーム10から後方に突設する支持ステー35を介して装着支持する構成であり、このことにより、除草作業中、圃場面に凹凸があっても散布ノズルの上下の揺れが回避され、薬液粒子の妄りな飛散を防止することができる。また、散布ノズルは、除草残りが発生し易い左右ディスク間の中心位置に配置し地面に散布することで、完全除草が可能となる。
【0027】
図6〜図8に示す実施例では、チゼル14の前方及び後方に配置した第1・第2中耕ディスク13,15において、左右ディスク13a,13b及び左右ディスク15a,15bのディスク角を左右に変更するディスク角変更ロッド36a,36bを前後方向に伸縮作動可能な油圧シリンダ等のアクチュエータ37によって作動させるべく連動構成している。アクチュエータ37は、左右ディスク間の中央に配置し、前後方向の伸縮動作でロッド36a,36bを前後方向に揺動させ、左右のディスクを相反する方向に回動させて、ディスク角の変更調整が行えるように構成している。この構成によれば、除草作業を行いながら、運転席から遠隔操作することができ、ディスク角を作物条件や圃場条件に適合した角度に容易に変更調整することができる。また、この除草作業機は、各連でそれぞれ独立して作動させたり、3連のすべてのディスクにおいて同時に作動させるようにも構成することができる。
【0028】
3連除草作業機の場合、サイドの1連と残りの2連が独立して角度調整が行えるディスクの構成とすることができる。これによれば、操作レバー数は2個で済み操作性が良くなる。なお、1連のみ独立させた理由は、隣接条は畦間が広い狭いができるので、これに対応させた考え方でその他と区別して角度調整が必要な為である。
【0029】
図9に示す実施例は、チゼル14の前方及び後方に配置した第1・第2中耕ディスク13,15において、左右ディスク13a,13b(左右ディスク15a,15b)の左右間隔を調整する構造として、左右ディスク間の上方位置にギヤボックス40を支持させて設け、このギヤボックスから左右方向に延びて外周にネジを有した螺旋軸41,41と、この螺旋軸に螺合して左右方向に摺動するスライドボス42と、スライドボスから下方に向けて垂下し左右のディスク13a,13bを軸支する支持稈43,43を設け、前記ギヤボックス40の上部に連動可能に設けたアジャスタハンドル44の回動操作により、左右のディスク13a,13bが同時に左右相反する方向にスライド移動する構成になっている。従って、畝間(作物条間)が広い場合には左右のディスク間隔を広くし、また、畝間が狭い場合にディスク間隔を狭くすることができ、畝間の間隔幅に応じて任意に微動調整することができる。なお、上記支持稈43,43は、垂直方向の支持筒体45に対してその垂直軸芯線周りに回動させることによって左右ディスクの角度調整も行えるように構成している。また、前記アジャスタハンドル44は、畝間の溝底の上方位置に配置することによって作物が成長してもハンドルとの干渉を防ぐことができる。
【0030】
また、図12に示す実施例においては、チゼルとこの前後に配置した複数のディスクによる畑用高速中耕除草作業機において、粒剤の化成肥料散布とディスク式による土の反転と土寄せ作業を同時に複合作業ができるよう構成したものである。かかる実施例では、肥料散布装置として施肥ホース47がチゼル14の前側に配置され、肥料を作物条間内に散布する構成としている。
【符号の説明】
【0031】
1 車体
9 除草作業機
10 作業部側メインフレーム
12 ゲージ輪
13 第1中耕ディスク
14 チゼル
15 第2中耕ディスク
20 支持ロッド
21 加重スプリング
22 平行リンク機構
【技術分野】
【0001】
この発明は、農業用トラクタや乗用管理機等に利用される作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、進行方向前側からチゼル、第1中耕ディスク、第2中耕ディスクの順に配置して備えた中耕除草機を、車体側から突設するフレーム機構に対して平行リンクを介して連結支持させた構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−259812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、除草作業機の前部側を平行リンクで連結していた為、圃場の凹凸が存在しても平行リンク部より後方の第2中耕ディスクの追従性が悪く、作物への土寄せ精度が安定しない欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、進行方向前側から順に配置したゲージ輪(12)、第1中耕ディスク(13)、チゼル(14)、第2中耕ディスク(15)からなる除草作業機(9)を、車体側後部に昇降調整可能に装備された作業部側メインフレーム(10)に対して圃場面の凹凸に追従するよう上下動自在に装備してある作業車両において、前記作業部側メインフレーム(10)と除草作業機(9)との間には、この除草作業機(9)の重心位置(G)付近を吊り下げ状態に連結支持する平行リンク機構(22)を介装してあることを特徴とする作業車両とする。
【0006】
作業車両の前進に伴い除草作業機(9)が作物の条間を進行すると、先行するゲージ輪(12)に後続して移動する第1中耕ディスク(13)によって中耕しながら左右方向への土寄せ作用が行われ、続いて、チゼル(14)の作用によって条間の土が掘り起こされ、そして、更に第2中耕ディスク(15)によって掘り起こされた土が左右方向に寄せられ、仕上げ培土がなされる。
【0007】
除草作業機(9)は、重心位置(G)が平行リンク(22)によって吊り下げ状態に支持されているので、前後のバランスが良好に保持され、圃場面に凹凸があっても滑らかに追従移動し、除草効果が高まり、作物の根元部への土寄せ量が一定となり精度が安定する。
【0008】
請求項2記載の本発明は、前記チゼル(14)の鉛直方向上方位置には、該チゼル(14)を下方に向けて加圧する加重スプリング(21)を設けてあることを特徴とする請求項1記載の作業車両とする。
【0009】
チゼル(14)への上方からの加重効率が良くなり、スプリング力が小さくても土中への入り込みが容易に行え、残耕処理精度が安定する。
請求項3記載の本発明は、前記チゼル(14)を挟んで前後に配置する第1中耕ディスク(13)と第2中耕ディスク(15)との離間距離を略同等としてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両とする。
【0010】
チゼル(14)前側の第1中耕ディスク(13)と、チゼル(14)後側の第2中耕ディスク(15)の土の反転量を同じにすることができ、作物への土寄せ量も調整し易くなる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の本発明によれば、除草作業機は、重心位置が平行リンクによって吊り下げ状態に支持されているので、前後バランスが良好に保持され、圃場面の凹凸に対しても滑らかに追従移動し、この追従性向上によって除草効果がより高まり、作物の根元部への土寄せ量も略一定となり、土寄せ精度が安定する。
【0012】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、チゼルの鉛直方向上方位置に加重スプリングを設けているので、チゼルへの上方からの加重効率が良く、スプリング力が小さくても土中への入り込みが容易に行え、残耕処理精度が安定する。
【0013】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2の発明効果を奏するものでありながら、チゼルを挟む前後の第1中耕ディスクと第2中耕ディスクとの離間距離が略同等であるため、前後の両ディスク共、土の反転量を同じにすることができ、作物への土寄せ量調整が行い易く、簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】除草作業機を備えたトラクタの側面図
【図2】同上平面図
【図3】除草作業機の側面図
【図4】除草作業機と除草剤散布装置を備えたトラクタの側面図
【図5】同上要部の背面図
【図6】3連型除草作業機の平面図
【図7】第1中耕ディスクの斜視図
【図8】第2中耕ディスクの斜視図
【図9】第1中耕ディスクの要部の背面図
【図10】第1中耕ディスクの背面図
【図11】第2中耕ディスクの背面図
【図12】除草作業機と施肥装置の一部を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は作業車両の一例としてトラクタを示し、車体1前部のボンネット2内部にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケ−ス3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5とに伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4,4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。
【0016】
車体側後部の取付ヒッチ部8には、後記する除草作業機9を支持するための作業側メインフレーム10が装着支持されていて、耕深調節ハンドル11の回動操作によって上下方向に昇降動し耕深調節が行えるようになっている。
【0017】
除草作業機9は、進行方向の前側から順に配置したゲージ輪12、第1中耕ディスク13、チゼル14、第2中耕ディスク15からなり、本例では3条の条間分の中耕を行いながら除草する構成としている。ゲージ輪12、第1中耕ディスク13及びチゼル14は、アンダーフレーム16によって支持され、第2中耕ディスク15は、前記アンダーフレーム16と一体構成のアッパーフレーム17によって支持されている。中央に位置するメインフレーム10と一体でこれより左右横方向に延びるツールバー18には、左右の除草作業機を支持する左右フレーム10L,10Rが装着支持され、また、該ツールバー18からは支持アーム19が後方上方に向けて延設されている。支持アーム19の先端は、前記チゼル14の鉛直方向上方位置でアッパーフレーム17に連結された支持ロッド20に接続されている。支持ロッド20には、下方のチゼル14側に向けて加圧付勢する加重スプリング21が外嵌されている。
【0018】
また、前記メインフレーム10(左右フレーム10L,10R)とアッパーフレーム17との間には、各除草作業機10の重心位置G近くを吊り下げ状態に連結支持する平行リンク機構22が介装されている。除草作業機は、平行リンク機構により上下に平行移動しながら対地面の凹凸に対して滑らかに順応する。
【0019】
チゼル14を挟んで前側の第1中耕ディスク13と後側の第2中耕ディスク15との離間距離L1,L2を略同等としている。これにより、前後の両ディスクは共に土の反転量を同じにすることができ、作物への土寄せ量調整が行い易くなる。
【0020】
第1中耕ディスク13は、作物の条間を進行しながら左右一対のディスクによって条間の土を中耕しながら除草するもので、周面が丸型で平面視ハの字型に配設されて左右方向への土寄せが行えるように構成されている。又、第2中耕ディスク15は、第1中耕ディスクと同様に、作物の条間を進行しながら左右一対のディスクによって条間の土を中耕しながら除草するものであり、周面が凹凸のある花型で平面視ハの字型に配設され左右側への土寄せが行えるように構成されている。
【0021】
なお、前後のディスク13,15の外径を同一にしておくと、進行方向との角度を統一できるので、作業時の土寄せ量の調節が容易にできる。また、第2中耕ディスク15は、上下方向に伸縮調節可能な伸縮調節具23を介してアッパーフレーム17に連結支持させた構成としている。
【0022】
チゼル14は、アンダーフレーム16に固着された取付ベース24に取り付けられ、作物の条間を進行しながら左右複数のチゼルによって条間の土を掘り起こすようになっている。
【0023】
ゲージ輪12の周面に泥土が付着すると、ゲージ輪の径が徐々に大きくなって除草作業機が浮き上がるので、ディスクの土中への入り込み量が浅くなり土の反転量が小さくなる。また、土寄せ量も低下する。そこで、図例(図1)に示すように、このゲージ輪12には、これに付着する泥土を削ぎ落とすスクレーパ26を該ゲージ輪の外周面適所に設けることによって解消することができる。このスクレーパ26はゲージ輪軸受アーム25に固着している。
【0024】
図3に示すゲージ輪12は、この軸受アーム25が横軸27を支点として上下に揺動変位することによって昇降するようになっており、螺旋軸などによる伸縮可能な無段階調節部28を備え、昇降ハンドル29を回すことによってゲージ輪12が無段階に上下動し、除草作業機の高さ調節が簡単に行えるように構成している。なお、ゲージ輪の昇降動は油圧シリンダ等のアクチュエータにて作動させるように構成することもでき、これによれば、除草作業を行いながらゲージ輪の高さ調節を運転席より遠隔操作することができる。
【0025】
前記除草作業機9は、車体後部の中央部において前後方向に架設されたローリング軸30周りに左右ローリング自在に懸架された構成になっている。車体が左右に傾いても除草作業機はその影響を受けないので、作業姿勢が安定し追従性が向上する。
【0026】
次に、図4及び図5に示す実施例について説明する。
図4に示すように、除草作業機9の後方に散布ノズル31を備えた除草剤散布装置を設けることにより、散布ノズルによる除草剤の散布と、ディスクによる除草及び土寄せ作業の複数作業を同時に行い除草性能の向上を図っている。かかる実施例では、トラクタ後部に搭載した薬液タンク33からの薬液をポンプ34の駆動により散布ホース32を通じて散布ノズル31から噴射し、中耕ディスク15通過後の作物条間内に散布するよう構成している。散布ノズル31は、作業部側メインフレーム10から後方に突設する支持ステー35を介して装着支持する構成であり、このことにより、除草作業中、圃場面に凹凸があっても散布ノズルの上下の揺れが回避され、薬液粒子の妄りな飛散を防止することができる。また、散布ノズルは、除草残りが発生し易い左右ディスク間の中心位置に配置し地面に散布することで、完全除草が可能となる。
【0027】
図6〜図8に示す実施例では、チゼル14の前方及び後方に配置した第1・第2中耕ディスク13,15において、左右ディスク13a,13b及び左右ディスク15a,15bのディスク角を左右に変更するディスク角変更ロッド36a,36bを前後方向に伸縮作動可能な油圧シリンダ等のアクチュエータ37によって作動させるべく連動構成している。アクチュエータ37は、左右ディスク間の中央に配置し、前後方向の伸縮動作でロッド36a,36bを前後方向に揺動させ、左右のディスクを相反する方向に回動させて、ディスク角の変更調整が行えるように構成している。この構成によれば、除草作業を行いながら、運転席から遠隔操作することができ、ディスク角を作物条件や圃場条件に適合した角度に容易に変更調整することができる。また、この除草作業機は、各連でそれぞれ独立して作動させたり、3連のすべてのディスクにおいて同時に作動させるようにも構成することができる。
【0028】
3連除草作業機の場合、サイドの1連と残りの2連が独立して角度調整が行えるディスクの構成とすることができる。これによれば、操作レバー数は2個で済み操作性が良くなる。なお、1連のみ独立させた理由は、隣接条は畦間が広い狭いができるので、これに対応させた考え方でその他と区別して角度調整が必要な為である。
【0029】
図9に示す実施例は、チゼル14の前方及び後方に配置した第1・第2中耕ディスク13,15において、左右ディスク13a,13b(左右ディスク15a,15b)の左右間隔を調整する構造として、左右ディスク間の上方位置にギヤボックス40を支持させて設け、このギヤボックスから左右方向に延びて外周にネジを有した螺旋軸41,41と、この螺旋軸に螺合して左右方向に摺動するスライドボス42と、スライドボスから下方に向けて垂下し左右のディスク13a,13bを軸支する支持稈43,43を設け、前記ギヤボックス40の上部に連動可能に設けたアジャスタハンドル44の回動操作により、左右のディスク13a,13bが同時に左右相反する方向にスライド移動する構成になっている。従って、畝間(作物条間)が広い場合には左右のディスク間隔を広くし、また、畝間が狭い場合にディスク間隔を狭くすることができ、畝間の間隔幅に応じて任意に微動調整することができる。なお、上記支持稈43,43は、垂直方向の支持筒体45に対してその垂直軸芯線周りに回動させることによって左右ディスクの角度調整も行えるように構成している。また、前記アジャスタハンドル44は、畝間の溝底の上方位置に配置することによって作物が成長してもハンドルとの干渉を防ぐことができる。
【0030】
また、図12に示す実施例においては、チゼルとこの前後に配置した複数のディスクによる畑用高速中耕除草作業機において、粒剤の化成肥料散布とディスク式による土の反転と土寄せ作業を同時に複合作業ができるよう構成したものである。かかる実施例では、肥料散布装置として施肥ホース47がチゼル14の前側に配置され、肥料を作物条間内に散布する構成としている。
【符号の説明】
【0031】
1 車体
9 除草作業機
10 作業部側メインフレーム
12 ゲージ輪
13 第1中耕ディスク
14 チゼル
15 第2中耕ディスク
20 支持ロッド
21 加重スプリング
22 平行リンク機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向前側から順に配置したゲージ輪(12)、第1中耕ディスク(13)、チゼル(14)、第2中耕ディスク(15)からなる除草作業機(9)を、車体側後部に昇降調整可能に装備された作業部側メインフレーム(10)に対して圃場面の凹凸に追従するよう上下動自在に装備してある作業車両において、前記作業部側メインフレーム(10)と除草作業機(9)との間には、この除草作業機(9)の重心位置(G)付近を吊り下げ状態に連結支持する平行リンク機構(22)を介装してあることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記チゼル(14)の鉛直方向上方位置には、該チゼル(14)を下方に向けて加圧する加重スプリング(21)を設けてあることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記チゼル(14)を挟んで前後に配置する第1中耕ディスク(13)と第2中耕ディスク(15)との離間距離を略同等としてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両。
【請求項1】
進行方向前側から順に配置したゲージ輪(12)、第1中耕ディスク(13)、チゼル(14)、第2中耕ディスク(15)からなる除草作業機(9)を、車体側後部に昇降調整可能に装備された作業部側メインフレーム(10)に対して圃場面の凹凸に追従するよう上下動自在に装備してある作業車両において、前記作業部側メインフレーム(10)と除草作業機(9)との間には、この除草作業機(9)の重心位置(G)付近を吊り下げ状態に連結支持する平行リンク機構(22)を介装してあることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記チゼル(14)の鉛直方向上方位置には、該チゼル(14)を下方に向けて加圧する加重スプリング(21)を設けてあることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記チゼル(14)を挟んで前後に配置する第1中耕ディスク(13)と第2中耕ディスク(15)との離間距離を略同等としてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−244766(P2011−244766A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122917(P2010−122917)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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