説明

作業車両

【課題】油圧アクチュエータの誤動作、及び操作レバー装置の誤操作を防止することができる作業車両の提供を目的とする。
【解決手段】複数の油圧アクチュエータに供給される作動油の流れをそれぞれ切り換える方向切換弁群110と、方向切換弁群110に供給されるパイロット用作動油の流れをそれぞれ切り換えるパイロット弁群120と、方向切換弁群110がそれぞれ接続される方向切換弁用油路群110bと、パイロット弁群120がそれぞれ接続されるパイロット用油路群120aと、を複数の所定の組み合わせから選択的に切り換えてそれぞれ連通させるパイロット切換弁130と、パイロット切換弁130の切換位置Pを検出するポテンショメータ133と、液晶表示部84cと、切換位置Pに対応する操作パターンを液晶表示部84cに表示させる制御部84eと、を具備するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関し、より詳細には、操作レバー装置の各操作に対して駆動される油圧アクチュエータの組み合わせを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バックホー等の作業車両は、複数の油圧アクチュエータを複数の操作レバー装置によって操作することで作業車両に具備される各種作業機に所望の動作や作業を行わせるように構成されている。このような作業車両における操作レバー装置の各操作に対して駆動される油圧アクチュエータは、各作業車両メーカーによって独自に設定されている。従って、一の作業車両メーカーの作業車両を操縦していた操縦者が、他の作業車両メーカーの作業車両を操縦する場合、操作レバー装置を誤操作してしまう可能性がある。そのため、操作レバー装置の各操作に対して駆動される油圧アクチュエータの設定(以下、単に「操作パターン」と言う)を操縦者の所望する操作パターンに変更することができる作業車両が知られている。例えば特許文献1の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の作業車両は、操縦席に設けられた表示部に現状の操作パターンを表示するとともに、表示部を介して各油圧アクチュエータの電磁弁に対する制御態様を変更することで任意の操作パターンに設定することができるように構成されている。これにより、操縦者は表示部から容易に操作パターンを変更することができるとともに、作業中に表示部に表示される操作パターンを確認することで操作レバー装置の誤操作を防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−214469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の作業車両は、制御態様の変更によって操作パターンを切り換えるため、ノイズや過電流等が制御部に加わった場合、操作パターンと異なる操作態様で油圧アクチュエータに制御信号が伝達される可能性がある。すなわち、操縦者の意図しない操作パターンで油圧アクチュエータが駆動する可能性がある。このため、操作パターンを表示部に表示することで操作レバー装置の誤操作を防止できても、ノイズや過電流等による油圧アクチュエータの誤動作を確実に防止することができない問題があった。
【0006】
本発明の目的は、油圧アクチュエータの誤動作及び誤操作を防止することができる作業車両の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、複数の油圧アクチュエータに供給される作動油の流れをそれぞれ切り換える複数の方向切換弁と、前記複数の方向切換弁毎に設けられ、前記複数の方向切換弁に供給されるパイロット用作動油の流れをそれぞれ切り換える複数のパイロット弁と、前記複数の方向切換弁にそれぞれ接続される複数の油路と、前記複数のパイロット弁にそれぞれ接続される複数の油路と、を複数の所定の組み合わせから選択的に切り換えてそれぞれ連通させるパイロット切換弁と、前記パイロット切換弁の切換位置を検出する切換位置検出手段と、操縦席の近傍に配置される表示部と、前記切換位置を所定の条件において前記表示部に表示させる制御部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記制御部は、記憶部を有し、前記切換位置を記憶するとともに、前記切換位置検出手段が新たに検出する前記切換位置が前記記憶部に記憶されている前記切換位置と比較して変更されている場合、新たな切換位置を所定の表示形態で前記表示部に表示させるものである。
【0010】
請求項3においては、操縦席に操縦者が着座した際の着圧を検出する着圧センサーを更に設け、前記制御部は、前記記憶部によって前記着圧を記憶するとともに、前記着圧が所定値以下になった後に再び所定値以上になった場合、前記切換位置を所定の表示形態で前記表示部に表示させるものである。
【0011】
請求項4においては、前記検出手段は、ポテンショメータから構成されるものである。
【0012】
請求項5においては、前記検出手段は、スイッチ機構から構成されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、パイロット切換弁の切換位置を変更することによって、複数の方向切換弁と複数のパイロット弁とを所定の組み合わせ(以下、単に「組み合わせ」と言う)となるように油路が連通されるため、ノイズや過電流等の外乱によって当該組み合わせが変更されることがない。また、パイロット切換弁の切換位置が操縦席から確認することができなくても、組み合わせを操縦席の近傍の表示装置に表示させるため、操縦者は容易に方向切換弁とパイロット弁との組み合わせを確認することができる。したがって、油圧アクチュエータの誤動作及び誤操作を防止することができる。
【0015】
請求項2においては、操縦者は、所定の組み合わせが切り換えられたことを容易に認識することがきる。したがって、油圧アクチュエータの誤操作を防止することができる。
【0016】
請求項3においては、座圧の変動によって操縦者が離席した、又は操縦者が代わったと判断して組み合わせを所定の表示形態で表示するため、組み合わせを誤認することがない。したがって、油圧アクチュエータの誤操作を防止することができる。
【0017】
請求項4においては、パイロット切換弁の各切換位置として、ポテンショメータの検出範囲を任意に設定することができるので、パイロット切換弁の切換位置が異なるものに対してもポテンショメータの検出範囲の設定を変更するだけで対応することができる。したがって、部品の共通化による生産コストの低減が可能である。
【0018】
請求項5においては、ノイズや過電流等の外乱による誤検出を低減することができるので所定の組み合わせを正確に表示することができる。したがって、油圧アクチュエータの誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一実施形態に係る作業車両の全体的な構成を示す側面図。
【図2】本発明の第一実施形態に係る作業車両の操縦部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の第一実施形態に係る作業車両の表示装置の構成を示す正面図。
【図4】本発明の第一実施形態に係る油圧回路の全体的な構成を示す図。
【図5】本発明の第一実施形態に係るパイロット切換弁を示す側面図。
【図6】本発明の第一実施形態に係る制御構成を示すブロック図。
【図7】本発明の第一実施形態に係る制御構成の別実施形態を示すブロック図。
【図8】本発明の別実施形態に係る制御構成を示すブロック図。
【図9】(a)本発明の第一実施形態に係る表示装置に表示される画面のうち警告・エラー画面を示す図。(b)本発明の第一実施形態に係る表示装置に表示される画面のうち組み合わせ(操作パターン)画面を示す図。
【図10】(a)本発明の第一実施形態に係る表示装置に表示される画面のうち掘削モード画面を示す図。(b)本発明の第一実施形態に係る表示装置に表示される画面のうちメニュー画面を示す図。
【図11】本発明の第一実施形態に係る表示装置の制御部の制御手順を示すフローチャート図。
【図12】本発明の第二実施形態に係る制御構成を示すブロック図。
【図13】本発明の第二実施形態に係る表示装置の着座センサーが着圧センサーの場合における制御部の制御手順を示すフローチャート図。
【図14】本発明の第二実施形態に係る表示装置の着座センサーがリミットスイッチの場合における制御部の制御手順を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、図1から図3を用いて、本発明の第一実施形態に係る作業車両であるバックホー1について説明する。なお、本実施形態においては、バックホー1を作業車両の一実施形態として説明するが、作業車両はこれに限るものではなく、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であっても良い。
以下の説明では矢印F方向をバックホー1の前方向、矢印L方向をバックホー1の左方向として前後左右上下方向を規定して説明する。
【0021】
バックホー1は、主として走行装置2、旋回装置3、及び作業装置4を具備する。
【0022】
走行装置2は、主として左右一対のクローラ5・5、左走行用油圧モータ5L、及び右走行用油圧モータ5Rを具備する。
走行装置2は、左走行用油圧モータ5Lにより機体左側のクローラ5を、右走行用油圧モータ5Rにより機体右側のクローラ5を、それぞれ駆動することで、バックホー1を前後進及び旋回させることができる。
【0023】
旋回装置3は、主として旋回台6、旋回モータ7、操縦部8、及びエンジン9を具備する。
旋回台6は、旋回装置3の主たる構造体となるものである。旋回台6は、走行装置2の上方に配置され、走行装置2に旋回可能に支持される。旋回装置3は、旋回モータ7を駆動することで、当該旋回台6を走行装置2に対して旋回させることができる。また、旋回台6上には、種々の操作具を備える操縦部8、動力源となるエンジン9等が配置される。
【0024】
作業装置4は、主としてブーム10、アーム11、バケット12、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、及びバケットシリンダ15を具備する。
ブーム10は、その一端部が旋回台6の前部に枢支され、伸縮自在に駆動するブームシリンダ13によって回動される。より詳細には、ブームシリンダ13が伸ばされた場合、ブーム10は上方に回動され、ブームシリンダ13が縮められた場合、ブーム10は下方に回動される。
アーム11は、その一端部がブーム10の他端部に枢支され、伸縮自在に駆動するアームシリンダ14によって回動される。より詳細には、アームシリンダ14が伸ばされた場合、アーム11は下方(アーム11の他端側がブーム10に近接する方向)に回動され、アームシリンダ14が縮められた場合、アーム11は上方(アーム11の他端側がブーム10から離間する方向)に回動される。
バケット12は、その一端部がアーム11の他端部に支持されて、伸縮自在に駆動するバケットシリンダ15によって回動される。より詳細には、バケットシリンダ15が伸ばされた場合、バケット12は下方(バケット12の他端側がアーム11に近接する方向)に回動され、バケットシリンダ15が縮められた場合、バケット12は上方(バケット12の他端側がアーム11から離間する方向)に回動される。
以上の如く、作業装置4は、バケット12を用いて土砂等の掘削を行う多関節構造を構成している。なお、本実施形態に係るバックホー1は、バケット12を有して掘削作業を行う作業装置4としているが、これに限定するものではなく、例えば油圧ブレーカーを有して破砕作業を行う作業装置4であっても良い。
【0025】
図2に示すように、操縦部8には、略中央に操縦席81が設けられ、その左右両側に右側操作レバー装置82及び左側操作レバー装置83が配置される。各操作レバー装置は、旋回モータ7、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、及びバケットシリンダ15を操作可能に構成される。操縦席81の左右一側(本実施形態では右側)には、表示装置84が設けられる。表示装置84は、表示部分が操縦席81に着座した操縦者と対向するように配置される。また、操縦部8には、エンジン9のスロットル開度を変更する図示しないスロットルレバーが備えられる。操縦者は、スロットルレバーを操作することによってエンジン9の出力を変更することができる。
【0026】
図2及び図3に示すように、表示装置84は、枠体84a、LED表示部84b、液晶表示部84c、液晶操作部84d、制御部84e(図6参照)を具備する。
【0027】
枠体84aは、側面視略L字の箱状に形成される。枠体84aは、その短辺部が操縦席81と対向するように端部を上側に向けて操縦席81の右側側方に配置される。
【0028】
LED表示部84bは、枠体84aの短辺部上側部分に設けられる。LED表示部84bには、バックホー1の動作状態や、警告の有無等を表す複数の図形が表示され、各図形にLEDが配置される。LED表示部84bは、所定の条件において対応するLEDが点灯することで特定の図形のみが点灯する。このようにして、LED表示部84bは、操縦者に情報を伝達可能なように構成される。なお、本実施形態において、LED表示部84bはLEDを点灯させて表示するものとしたが、これに限定されるものではなく、点灯制御できる光源であればよい。
【0029】
表示部である液晶表示部84cは、枠体84aの短辺部分であってLED表示部84bの下側部分に配置される。液晶表示部84cは、情報を表示する液晶画面から構成される。液晶表示部84cは、後述の液晶操作部84dの操作により液晶画面を各作業モード応じた表示に切り換えてバックホー1の稼動状態を確認することができる。このようにして、液晶表示部84cは、操縦者に情報を伝達可能なように構成される。なお、本実施形態において、液晶表示部84cは液晶画面によって表示するものとしたが、これに限定されるものではなく、複数の情報を任意に表示できるものであればよい。
【0030】
液晶操作部84dは、枠体84aの短辺部分であって液晶表示部84cの下側部分に配置される。液晶操作部84dは、複数の操作ボタンを具備する。液晶操作部84dは、操作ボタンを操作することで、液晶表示部84cに表示される画面を選択可能に構成される。
【0031】
制御部84eは、LED表示部84b及び液晶表示部84cの制御を行うものである。制御部84eは、LED表示部84b及び液晶表示部84cと近接する枠体84aの内部に、又は後述のECU16と一体的に構成される(図6参照)。
【0032】
次に、図4及び図5を用いて、バックホー1が具備する油圧回路100について説明する。
【0033】
なお、以下では説明の便宜上、旋回モータ用方向切換弁111、ブームシリンダ用方向切換弁112、アームシリンダ用方向切換弁113、及びバケットシリンダ用方向切換弁114、を総称して、単に「方向切換弁群110」と記す。右側前後パイロット弁121、右側左右パイロット弁122、左側前後パイロット弁123、及び左側左右パイロット弁124、を総称して、単に「パイロット弁群120」と記す。
【0034】
図4に示すように、油圧回路100は、主として方向切換弁群110、パイロット弁群120、パイロット切換弁130、パイロット切換弁130、及び油圧ポンプ140を具備する。
【0035】
方向切換弁群110(旋回モータ用方向切換弁111、ブームシリンダ用方向切換弁112、アームシリンダ用方向切換弁113、バケットシリンダ用方向切換弁114)は、旋回モータ7、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、及びバケットシリンダ15に供給される作動油の流れを切り換えるものである。
【0036】
旋回モータ用方向切換弁111は、パイロット圧によってスプールを摺動させることにより旋回モータ7に供給される作動油の方向を切り換えることが可能なパイロット式の方向切換弁である。
【0037】
旋回モータ用方向切換弁111にパイロット圧が付与された場合、旋回モータ用方向切換弁111は中立位置から一又は他のポジションに切り換えられる。
旋回モータ用方向切換弁111が一のポジションのとき、油路111aを介して旋回モータ用方向切換弁111に供給された作動油は、油路7aを介して旋回モータ7に供給される。油路7aを介して供給される作動油によって、旋回モータ7は一方向に回転駆動される。旋回モータ7から排出される作動油は、油路7bを介して旋回モータ用方向切換弁111に戻される。
旋回モータ用方向切換弁111が他のポジションのとき、油路111aを介して旋回モータ用方向切換弁111に供給された作動油は、油路7bを介して供給される作動油によって、旋回モータ7は他方向に回転駆動される。旋回モータ7から排出される作動油は、油路7aを介して旋回モータ用方向切換弁111に戻される。
油路7a又は油路7bを介して旋回モータ用方向切換弁111に戻された作動油は、旋回モータ用方向切換弁111から作動油タンク150に戻される。
【0038】
ブームシリンダ用方向切換弁112は、パイロット圧によってスプールを摺動させることによりブームシリンダ13に供給される作動油の方向を切り換えることが可能なパイロット式の方向切換弁である。ブームシリンダ用方向切換弁112の構成は、旋回モータ用方向切換弁111の構成と略同一である。
【0039】
ブームシリンダ用方向切換弁112にパイロット圧が付与された場合、ブームシリンダ用方向切換弁112は中立位置から一又は他のポジションに切り換えられる。油路112aを介して供給される作動油は、油路13a又は油路13bを介してブームシリンダ13に供給される。油路13a又は油路13bを介して供給される作動油によって、ブームシリンダ13が伸縮し、ブーム10が上方又は下方に回動される。
【0040】
アームシリンダ用方向切換弁113は、パイロット圧によってスプールを摺動させることによりアームシリンダ14に供給される作動油の方向を切り換えることが可能なパイロット式の方向切換弁である。アームシリンダ用方向切換弁113の構成は、旋回モータ用方向切換弁111の構成と略同一である。
【0041】
アームシリンダ用方向切換弁113にパイロット圧が付与された場合、アームシリンダ用方向切換弁113は中立位置から一又は他のポジションに切り換えられる。油路113aを介して供給される作動油は、油路14a又は油路14bを介してアームシリンダ14に供給される。油路14a又は油路14bを介して供給される作動油によって、アームシリンダ14が伸縮し、アーム11が上方又は下方に回動される。
【0042】
バケットシリンダ用方向切換弁114は、パイロット圧によってスプールを摺動させることによりバケットシリンダ15に供給される作動油の方向を切り換えることが可能なパイロット式の方向切換弁である。バケットシリンダ用方向切換弁114の構成は、旋回モータ用方向切換弁111の構成と略同一である。
【0043】
バケットシリンダ用方向切換弁114にパイロット圧が付与された場合、バケットシリンダ用方向切換弁114は中立位置から一又は他のポジションに切り換えられる。油路114aを介して供給される作動油は、油路15a又は油路15bを介してバケットシリンダ15に供給される。油路15a又は油路15bを介して供給される作動油によって、バケットシリンダ15が伸縮し、バケットシリンダ15が上方(バケット12の他端側がアーム11から離間する方向)又は下方(バケット12の他端側がアーム11に近接する方向)に回動される。
【0044】
パイロット弁群120(右側前後パイロット弁121、右側左右パイロット弁122、左側前後パイロット弁123、左側左右パイロット弁124)は、方向切換弁群110に供給されるパイロット用作動油の流れを切り換えるものである。
【0045】
右側前後パイロット弁121は、右側操作レバー装置82が前後方向に操作されるときに、パイロット用作動油の流れを切り換えるように右側操作レバー装置82と連動連結される。すなわち、右側前後パイロット弁121は、右側操作レバー装置82が前後方向に操作されることで、方向切換弁群110における一の方向切換弁のスプールを一又は他のポジションに切り換え可能に構成される。
【0046】
右側左右パイロット弁122は、右側操作レバー装置82が左右方向に操作されるときに、パイロット用作動油の流れを切り換えるように右側操作レバー装置82と連動連結される。右側左右パイロット弁122の構成は、右側前後パイロット弁121の構成と略同一である。
【0047】
左側前後パイロット弁123は、左側操作レバー装置83が前後方向に操作されるときに、パイロット用作動油の流れを切り換えるように左側操作レバー装置83と連動連結される。左側前後パイロット弁123の構成は、右側前後パイロット弁121の構成と略同一である。
【0048】
左側左右パイロット弁124は、左側操作レバー装置83が左右方向に操作されるときに、パイロット用作動油の流れを切り換えるように左側操作レバー装置83に連動連結される。左側左右パイロット弁124の構成は、右側前後パイロット弁121の構成と略同一である。
【0049】
これにより、操縦者は、右側操作レバー装置82及び左側操作レバー装置83の操作によって、複数の油圧アクチュエータに供給される作動油の方向を切り換えることで、自在にバックホー1の作業機を操縦することができる。
【0050】
パイロット切換弁130は、方向切換弁に連通されるパイロット弁の組み合わせを切り換えるものである。パイロット切換弁130は、操縦席81の下方に設けられる(図1、図2参照)。また、パイロット切換弁130は、方向切換弁群110とパイロット弁群120とを接続する油路の途中部に配置される。パイロット切換弁130は、ケーシング131と、ケーシング131に回動自在に挿入される円柱状のロータリスプール132と、を具備する。
図5に示すように、ロータリスプール132は、所定の切換位置P(位置A、位置B、位置C、位置D)において保持可能に構成される。
【0051】
図4に示すように、パイロット切換弁130のケーシング131には、旋回モータ用方向切換弁111からの油路111b、ブームシリンダ用方向切換弁112からの油路112b、アームシリンダ用方向切換弁113からの油路113b、及びバケットシリンダ用方向切換弁114からの油路114b(以下、単に「方向切換弁用油路群110b」と記す)と、右側前後パイロット弁121からの油路121a、右側左右パイロット弁122からの油路122a、左側前後パイロット弁123からの油路123a、及び左側左右パイロット弁124からの油路124a(以下、単に「パイロット用油路群120a」と記す)とがそれぞれ接続される。パイロット切換弁130のロータリスプール132には、方向切換弁用油路群110bとパイロット用油路群120aとを複数の所定の組み合わせでそれぞれ連通する図示しない油路が形成されている。
【0052】
パイロット切換弁130は、ロータリスプール132の切換位置Pを位置Aとしたときに方向切換弁用油路群110bがロータリスプール132によってパイロット用油路群120aに所定の組み合わせでそれぞれ連通されるように構成される。このときの方向切換弁用油路群110bとパイロット用油路群120aとの所定の組み合わせによる右側操作レバー装置82及び左側操作レバー装置83の組み合わせを操作パターンAとする。
さらに、ロータリスプール132の切換位置Pを位置Bとしたときに方向切換弁用油路群110bがロータリスプール132によって操作パターンAにおける組み合わせとは異なる所定の組み合わせでパイロット用油路群120aにそれぞれ連通されるように構成される。このときの方向切換弁用油路群110bとパイロット用油路群120aとの所定の組み合わせによる組み合わせを操作パターンBとする。
同様に、ロータリスプール132の切換位置Pを位置Cとしたときを操作パターンC、ロータリスプール132を位置Dとしたときを操作パターンDとする。
【0053】
よって、パイロット切換弁130は、ロータリスプール132を所定の切換位置Pに切り換えることで、操作パターンA、操作パターンB、操作パターンC、又は操作パターンDのうち一の操作パターンに選択的に切り換え可能に構成される。なお、本実施形態において、パイロット切換弁130はロータリスプール132を回動して切り換えるロータリ方式としたが、これに限定されるものではなく、方向切換弁用油路群110bとパイロット用油路群120aとをそれぞれ連通する油路を切り換えるものであればよい。
【0054】
パイロット切換弁130は、ロータリスプール132の切換位置検出手段であるポテンショメータ133を具備する。ポテンショメータ133は、その回動中心がロータリスプール132の回動中心となるようにパイロット切換弁130に配置される。ポテンショメータ133は、切換位置Pによって異なる値の電圧が出力されるように構成される。つまり、ポテンショメータ133は、検出する電圧値の設定によって検出位置を任意に設定することができる。
【0055】
油圧ポンプ140は、エンジン9によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ140は、図示しない可動斜板の斜板角度を変更することによって吐出量を変更可能な可変容量型のポンプである。油圧ポンプ140から吐出された作動油は、油路140aを介して方向切換弁群110及びパイロット弁群120へと供給される。
【0056】
次に、図6を用いて、本発明に係るバックホー1が具備するECU16、及び表示装置84が具備する制御部84eについて具体的に説明する。
【0057】
図6に示すように、ECU16は、エンジン9、油圧ポンプ140等を制御するものである。ECU16は、エンジン9や油圧ポンプ140等を制御するために種々のプログラムが格納される。また、ECU16は、これらのプログラム等に従って所定の演算を行うことができ、当該演算の結果等を記憶することができる。
【0058】
ECU16は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
【0059】
ECU16は、エンジン9に設けられる図示しない各種センサーや燃料噴射装置に接続され、エンジン9を制御することが可能である。
【0060】
ECU16は、燃料計17に接続され、燃料計17が検出する図示しない燃料タンク内の燃料残量Flを取得することが可能である。
【0061】
ECU16は、水温計18に接続され、水温計18が検出するエンジン9の冷却水温度Tを取得することが可能である。
【0062】
ECU16は、油圧ポンプ140に設けられる図示しない各種センサーやアクチュエータに接続され、油圧ポンプ140を制御することが可能である。
【0063】
ECU16は、表示装置84の制御部84eに接続され、制御部84eに警告・エラー情報、燃料残量Fl、及び冷却水温度T等についての制御信号を伝達し、制御部84eに入力された入力信号を取得することが可能である。
【0064】
次に、表示装置84が具備する制御部84eについて具体的に説明する。
【0065】
制御部84eは、表示装置84を制御するものである。制御部84eは、表示装置84を制御するために種々のプログラムが格納される。また、制御部84eは、これらのプログラム等に従って所定の演算を行うことができ、当該演算の結果等を記憶する記憶部84fを有する。
【0066】
制御部84eは、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。また、制御部84eは、本実施形態において後述のECU16と別構成としたが、これに限定されずECU16と一体に構成されていてもよい。この場合、ECU16には、ポテンショメータ133又は後述のスイッチ機構134が接続される。
【0067】
制御部84eは、ポテンショメータ133に接続され、ポテンショメータ133が検出するロータリスプール132の切換位置Pを取得することが可能である。
【0068】
制御部84eは、取得したロータリスプール132の切換位置Pや、算出した結果を記憶部84fにおいて記憶することが可能である。
【0069】
制御部84eは、LED表示部84bに接続され、LED表示部84bに制御信号を伝達することが可能である。すなわち、制御部84eは、表示装置84のLED表示部84bに制御信号を伝達することでLED表示部84bにおける所定のLEDを点灯させることが可能である。
【0070】
制御部84eは、ECU16に接続され、ECU16からの燃料残量Fl、冷却水温度T、警告、およびエラー情報等の制御信号を取得することが可能である。また、制御部84eは、液晶表示部84c及び液晶操作部84dに接続され、液晶表示部84cに制御信号を伝達し、液晶操作部84dからの入力信号を取得することが可能である。すなわち、制御部84eは、液晶表示部84cに制御信号を伝達することで液晶表示部84cにおいてバックホー1の稼動状態についての情報を表示させることが可能である。
【0071】
切換位置検出手段の別実施形態として、図7に示すように、ケーシング131における位置A・B・C・Dに対応する位置とロータリスプール132とに接点を設けるスイッチ機構134を構成してもよい。ロータリスプール132が所定の切換位置Pに回動されると、ロータリスプール132側の接点とケーシング131側の所定の接点とが接続されることでロータリスプール132の位置を検出するものである。
このように、本実施形態において、切換位置検出手段はポテンショメータ133又はスイッチ機構134としたがこれに限定されるものではなく、パイロット切換弁130の位置を検出することができるものであればよい。
【0072】
また、本発明に係るバックホー1が具備するECU16、及び表示装置84が具備する制御部84eの別実施形態として、図8に示すように、制御部84eに燃料計17及び水温計18が接続される構成としてもよい。このように構成することで、制御部84eは、燃料計17が検出する図示しない燃料タンク内の燃料残量Fl、及び水温計18が検出するエンジン9の冷却水温度Tを取得することが可能である。
【0073】
次に、図9及び図10を用いて、表示装置84の制御部84eによって液晶表示部84cに表示される情報について説明する。
【0074】
図9(a)に示すように、制御部84eは、ECU16から表示すべき警告・エラーの制御信号を取得すると、当該制御信号に基づいて所定の図形及びエラーコード等からなる警告・エラー画面85を液晶表示部84cに表示する。
【0075】
図9(b)に示すように、制御部84eは、所定の初期画面表示後、又はポテンショメータ133が検出するロータリスプール132の切換位置Pが制御部84eの記憶部84fに記憶されていたロータリスプール132の切換位置Pと比較して変更されている場合、取得したロータリスプール132の切換位置Pに対応する操作パターンを表す所定の文字情報や図形等からなる操作パターン画面86を液晶表示部84cに表示する。なお、操作パターン画面86の表示は、本実施形態における表示方法に限定されず、点滅表示や拡大表示等によって強調して表示する等して操作パターンを明示するものであればよい。
【0076】
図10(a)に示すように、制御部84eは、操作パターン画面86を表示後、掘削作業時に表示される掘削モード画面87を液晶表示部84cに表示する。掘削モード画面87は、時刻、稼動時間、操作パターン、燃料残量Fl、及び冷却水温度Tについての情報が常に表示される。つまり、掘削モード画面87が表示されている場合には、常に操作パターンが表示される。
【0077】
図10(b)に示すように、制御部84eは、液晶操作部84dのメニューボタンの操作により入力される入力信号を取得すると、メニュー画面88を液晶表示部84cに表示する。メニュー画面88は、複数のモード選択ボタンが表示され、モード選択ボタンを選択することでメニュー画面88から対応するモード画面に切換可能に構成される。
【0078】
以下では、図11を用いて、上述の如く構成される表示装置84の制御部84eの動作態様について説明する。
【0079】
制御部84eは、ロータリスプール132の切換位置P、燃料残量Fl、冷却水温度T、警告・エラー情報についての信号を取得し、警告・エラーがある場合、警告・エラーに画面を液晶表示部84cに表示させる。制御部84eは、所定の初期画面表示後、又はロータリスプール132の切換位置Pが変更された場合、操作パターン画面86を液晶表示部84cに表示させる。制御部84eは、操作パターン画面86を液晶表示部84cに表示した後に掘削モード画面87を表示する。
【0080】
以下では、制御部84eの制御態様について具体的に説明する。
【0081】
図11に示すように、制御部84eは、以下のステップで液晶表示部84cに情報を表示する。
【0082】
まず、ステップS110において、制御部84eは、初期画面を表示する必要があるか否か(作業車両の電源がオンにされた情報をECU16から取得したか否か)判定する。
その結果、初期画面を表示する必要がある(作業車両の電源がオンにされた情報をECU16から取得した)と判定した場合、制御部84eはステップをステップS120に移行させる。
一方、表示する必要がない(作業車両の電源がオンにされた情報をECU16から取得していない)と判定した場合、制御部84eはステップをステップS130に移行させる。
【0083】
ステップS120において、制御部84eは、所定の初期画面を表示する。
【0084】
ステップS130において、制御部84eは、ポテンショメータ133が検出するパイロット切換弁130のロータリスプール132の切換位置Pを取得し、燃料計17が検出する燃料残量Fl、水温計18が検出する冷却水温度T、及び警告・エラー情報をECU16から取得し、記憶部84fに記憶する。
また、図8に示す別実施形態においては、制御部84eは、ポテンショメータ133が検出するパイロット切換弁130のロータリスプール132の切換位置Pを取得し、燃料計17が検出する燃料残量Flを取得し、水温計18が検出する冷却水温度Tを取得するとともに、警告・エラー情報をECU16から取得し、記憶部84fに記憶する。
【0085】
ステップS140において、制御部84eは、取得して記憶した警告・エラー情報において表示する必要がある警告・エラーを有するか否か判定する。
その結果、表示する必要がある警告・エラーを有すると判定した場合、制御部84eはステップをステップS150に移行させる。
一方、表示する必要がある警告・エラーを有しないと判定した場合、制御部84eはステップをステップS160に移行させる。
【0086】
ステップS150において、制御部84eは、取得して記憶したセンサーに基づく警告・エラー情報に基づいて、液晶表示部84cに表示する必要がある警告・エラーについての警告・エラー画面85を表示する(図9(a)参照)。
【0087】
ステップS160において、制御部84eは、取得して記憶した切換位置Pがこれまでに取得して記憶していた切換位置Pと比較して変更されたか否か判定する。
その結果、切換位置Pがこれまでに取得して記憶していた切換位置Pと比較して変更されていると判定した場合、制御部84eはステップをステップS170に移行させる。
一方、切換位置Pがこれまでに取得して記憶していた切換位置Pと比較して変更されてないと判定した場合、制御部84eはステップをステップS180に移行させる。
【0088】
ステップS170において、制御部84eは、取得して記憶したパイロット切換弁130のロータリスプール132の切換位置Pに対応する操作パターンを表す操作パターン画面86を液晶表示部84cに表示する(図9(b)参照)。
【0089】
ステップS180において、制御部84eは、取得して記憶したパイロット切換弁130のロータリスプール132の切換位置P、燃料残量Fl、冷却水温度Tに基づいて、液晶表示部84cに掘削モード画面87を表示する(図10(a)参照)。
その後、制御部84eは、ステップをステップS110へ戻す。
【0090】
このような前記ステップを繰り返して、制御部84eは、ポテンショメータ133が検出するロータリスプール132の切換位置Pが記憶部84fに記憶されていたロータリスプール132の切換位置Pと比較して変更されている場合、新たな切換位置Pに対応する操作パターンを表す操作パターン画面86を表示する。
【0091】
以上の如く、複数の油圧アクチュエータである旋回モータ7、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、及びバケットシリンダ15に供給される作動油の流れをそれぞれ切り換える複数の方向切換弁である旋回モータ用方向切換弁111、ブームシリンダ用方向切換弁112、アームシリンダ用方向切換弁113、及びバケットシリンダ用方向切換弁114からなる方向切換弁群110と、方向切換弁群110に設けられ、方向切換弁群110に供給されるパイロット用作動油の流れをそれぞれ切り換える複数のパイロット弁である右側前後パイロット弁121、右側左右パイロット弁122、左側前後パイロット弁123、及び左側左右パイロット弁124からなるパイロット弁群120と、方向切換弁群110にそれぞれ接続される複数の油路111b、油路112b、油路113b、及び油路114bからなる方向切換弁用油路群110bと、パイロット弁群120にそれぞれ接続される複数のパイロット用の油路120a、油路122a、油路123a、油路124aからなるパイロット用油路群120aと、を複数の所定の組み合わせから選択的に切り換えてそれぞれ連通させるパイロット切換弁130と、パイロット切換弁130の切換位置Pを検出する切換位置検出手段であるポテンショメータ133と、操縦席81の近傍に配置される表示部である液晶表示部84cと、切換位置Pに対応する操作パターンを所定の条件において液晶表示部84cに表示させる制御部84eと、を具備するものである。
このように構成することにより、パイロット切換弁130の切換位置Pを変更することによって方向切換弁群110とパイロット弁群120との所定の組み合となるように油路である方向切換弁用油路群110bとパイロット用油路群120aとが連通されるため、ノイズや過電流等の外乱によって当該組み合わせである操作パターンA・B・C・Dが変更されることがない。また、パイロット切換弁130の切換位置Pが操縦席81から確認することができなくても、操作パターンを操縦席81の近傍の表示装置84に表示させるため、操縦者は容易に操作パターンを確認することができる。したがって、油圧アクチュエータである旋回モータ7、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、及びバケットシリンダ15の誤動作及び誤操作を防止することができる。
【0092】
また、制御部84eは、記憶部84fを有し、切換位置Pを記憶するとともに、切換位置検出手段であるポテンショメータ133が新たに検出する切換位置Pが記憶部84fに記憶されている切換位置Pと比較して変更されている場合、新たな切換位置Pを所定の表示形態で前記表示部に表示させるものである。
このように構成することにより、操縦者は、所定の組み合わせが切り換えられたことを容易に認識することがきる。したがって、旋回モータ7、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、及びバケットシリンダ15の誤操作を防止することができる。
【0093】
また、検出手段は、ポテンショメータ133から構成されるものである。
このように構成することにより、パイロット切換弁130の各切換位置Pとして、ポテンショメータ133の検出範囲を任意に設定することができるので、パイロット切換弁130の切換位置Pが異なるものに対してもポテンショメータ133の検出範囲の設定を変更するだけで対応することができる。したがって、部品の共通化による生産コストの低減が可能である。
【0094】
また、検出手段は、別実施形態としてスイッチ機構134から構成されるものである。
このように構成することにより、ノイズや過電流等の外乱による誤検出を低減することができるので所定の組み合わせである操作パターンA・B・C・Dを正確に表示することができる。したがって、旋回モータ7、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、及びバケットシリンダ15の誤操作を防止することができる。
【0095】
次に、図9、図12から図14を用いて、本発明に係るバックホー1が具備するECU16、及び表示装置84の第二実施形態に係るECU、及び表示装置について具体的に説明する。
【0096】
第二実施形態に係るECU、及び表示装置が第一実施形態におけるECU16、及び表示装置84(図6参照)と異なる点は、操縦者の着座を検出する手段として着座センサー20を具備している点である。
よって以下では、第一実施形態に係るECU16、及び表示装置84と異なる点についてのみ説明し、ECU16、及び表示装置84と略同一の構成の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0097】
図12に示すように、着座センサー20は、操縦者の操縦席81への着座を検出するものである。着座センサー20は、操縦席81に配置される。着座センサー20は、操縦者が操縦席81に着座することで操縦席81の座面に発生する着圧Spを検出する着圧センサー20aや、操縦者が操縦席81に着座することで着座信号Slを出力するリミットスイッチ20bから構成される。
【0098】
以下に、着座センサー20が着圧センサー20aである場合について説明する。
【0099】
図12に示すように、着座センサー20が着圧センサー20aの場合、ECU16は、着圧センサー20aに接続され、着圧センサー20aが検出する操縦席81の座面の着圧Spを取得することが可能である。これにより、ECU16は、着圧センサー20aが検出する着圧Spが所定値以下になった場合、操縦席81に操縦者が着座していないと判定し、着圧センサー20aが検出する着圧Spが所定値以上になった場合、操縦席81に操縦者が着座していると判定することが可能である。
【0100】
次に、図9を用いて、表示装置84の液晶表示部84cに表示される情報について説明する。
【0101】
表示装置84の制御部84eは、着座センサー20が検出する着圧Spが所定値を下回った後に所定値を上回った場合、すなわち、操縦者が操縦席81から離席した後に再び操縦者が操縦席81に着席したとして、図9(b)に示すように、取得したロータリスプール132の切換位置Pに対応した操作パターンを表す所定の文字情報や図形等からなる操作パターン画面86を表示する。なお、操作パターンの表示は、本実施形態における表示に限定されず、点滅表示や拡大表示等によって強調して表示する等して操作パターンを明示するものであればよい。
【0102】
以下では、図13を用いて、着座センサー20が着圧センサー20aの場合における制御部84eの制御態様について具体的に説明する。
【0103】
制御部84eは、以下のステップで液晶表示部84cに情報を表示する。
【0104】
ステップS110からステップS120までは第一実施形態と同一のため説明を省略する。
【0105】
ステップS230において、制御部84eは、ポテンショメータ133が検出するパイロット切換弁130のロータリスプール132の切換位置Pを取得し、燃料計17が検出する燃料残量Fl、水温計18が検出する冷却水温度T、警告・エラー情報、及び着圧センサー20aが検出する着圧SpをECU16から取得し、記憶部84fに記憶する。
【0106】
ステップS140からステップS150までは第一実施形態と同一のため説明を省略する。
【0107】
ステップS160において、制御部84eは、取得して記憶した切換位置Pがこれまでに取得して記憶していた切換位置Pと比較して変更されたか否か判定する。
その結果、切換位置Pがこれまでに取得して記憶していた切換位置Pと比較して変更されていると判定した場合、制御部84eはステップをステップS170に移行させる。
一方、切換位置Pがこれまでに取得して記憶していた切換位置Pと比較して変更されてないと判定した場合、制御部84eはステップをステップS270に移行させる。
【0108】
ステップS170からステップS180までは第一実施形態と同一のため説明を省略する。
【0109】
ステップS270において、制御部84eは、取得して記憶した着圧Spが所定値以下になった後に再び所定値以上になったか(着圧Spが変動したか)否か判定する。
その結果、着圧Spが所定値以下になった後に再び所定値以上になった(着圧Spが変動した)と判定した場合、制御部84eはステップをステップS280に移行させる。
一方、着圧Spが所定値以下になった後に再び所定値以上になっていない(着圧Spが変動していない)と判定した場合、制御部84eはステップをステップS180に移行させる。
【0110】
ステップS280において、制御部84eは、取得して記憶したパイロット切換弁130のロータリスプール132の切換位置P対応する操作パターンを表す操作パターン画面86を液晶表示部84cに表示する(図9(b)参照)。
その後、制御部84eは、ステップをステップS180へ移行する。
【0111】
このような前記ステップを繰り返して、制御部84eは、着圧センサー20aが検出する操縦席81の着圧Spが所定値以下になった後に所定値以上になった場合(着圧Spが変動した場合)、操縦者が操縦席81から一度離席した、又は操縦者が代わったと判断して操作パターン画面86を液晶表示部84cに表示する。
【0112】
以上の如く、操縦席81に操縦者が着座した際の着圧Spを検出する着座センサー20を更に設け、制御部84eは、記憶部84fによって着圧Spを記憶するとともに、着圧Spが所定値以下になった後に再び所定値以上になった場合、切換位置Pを所定の表示形態で表示部である液晶表示部84cに表示させるものである。
このように構成することにより、着圧Spの変動によって操縦者が離席した、又は操縦者が代わったと判断して操作パターンを所定の表示形態で表示するため、操作パターンを誤認することがない。したがって、旋回モータ7、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、及びバケットシリンダ15の誤操作を防止することができる。
【0113】
次に、着座センサー20がリミットスイッチ20bである場合について説明する。
【0114】
図12に示すように、着座センサー20がリミットスイッチ20bの場合、ECU16は、リミットスイッチ20bに接続され、リミットスイッチ20bが出力する着座信号Slを取得することが可能である。これにより、ECU16は、リミットスイッチ20bが出力する着座信号Slを検出していない場合、操縦席81に操縦者が着座していないと判定し、リミットスイッチ20bが出力する着座信号Slを検出している場合、操縦席81に操縦者が着座していると判定することが可能である。
【0115】
次に、図9を用いて、表示装置84の液晶表示部84cに表示される情報について説明する。
【0116】
表示装置84の制御部84eは、リミットスイッチ20bが出力する着座信号Slを検出していない状態から着座信号Slを検出した場合、すなわち、操縦者が操縦席81から離席した後に再び操縦者が操縦席81に着席したとして、図9(b)に示すように、取得したロータリスプール132の切換位置Pに対応した操作パターンを表す所定の文字情報や図形等からなる操作パターン画面86を表示する。なお、操作パターンの表示は、本実施形態における表示に限定されず、点滅表示や拡大表示等によって強調して表示する等して操作パターンを明示するものであればよい。
【0117】
以下では、図14を用いて、着座センサー20がリミットスイッチ20bの場合における制御部84eの制御態様について具体的に説明する。
【0118】
制御部84eは、以下のステップで液晶表示部84cに情報を表示する。
【0119】
ステップS110からステップS120までは第一実施形態と同一のため説明を省略する。
【0120】
ステップS330において、制御部84eは、ポテンショメータ133が検出するパイロット切換弁130のロータリスプール132の切換位置Pを取得し、燃料計17が検出する燃料残量Fl、水温計18が検出する冷却水温度T、警告・エラー情報、及びリミットスイッチ20bが出力する着座信号SlをECU16から取得し、記憶部84fに記憶する。
【0121】
ステップS140からステップS150までは第一実施形態と同一のため説明を省略する。
【0122】
ステップS160において、制御部84eは、取得して記憶した切換位置Pがこれまでに取得して記憶していた切換位置Pと比較して変更されたか否か判定する。
その結果、切換位置Pがこれまでに取得して記憶していた切換位置Pと比較して変更されていると判定した場合、制御部84eはステップをステップS170に移行させる。
一方、切換位置Pがこれまでに取得して記憶していた切換位置Pと比較して変更されてないと判定した場合、制御部84eはステップをステップS370に移行させる。
【0123】
ステップS170からステップS180までは第一実施形態と同一のため説明を省略する。
【0124】
ステップS370において、制御部84eは、着座信号Slを検出していない状態から着座信号Slを検出したか否か判定する。
その結果、着座信号Slを検出していない状態から着座信号Slを検出したと判定した場合、制御部84eはステップをステップS280に移行させる。
一方、着座信号Slを検出していない状態から着座信号Slを検出した場合でないと判定した場合、制御部84eはステップをステップS180に移行させる。
【0125】
ステップS280において、制御部84eは、取得して記憶したパイロット切換弁130のロータリスプール132の切換位置P対応する操作パターンを表す操作パターン画面86を液晶表示部84cに表示する(図9(b)参照)。
その後、制御部84eは、ステップをステップS180へ移行する。
【0126】
このような前記ステップを繰り返して、制御部84eは、リミットスイッチ20bが出力する着座信号Slを検出していない状態から着座信号Slを検出した場合、操縦者が操縦席81から一度離席した、又は操縦者が代わったと判断して操作パターン画面86を液晶表示部84cに表示する。
【符号の説明】
【0127】
7 旋回モータ(油圧アクチュエータ)
9 エンジン
13 ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
14 アームシリンダ(油圧アクチュエータ)
15 バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)
81 操縦席
84c 液晶表示部
84e 制御部
110 方向切換弁群
110b 方向切換弁用油路群
111 旋回モータ用方向切換弁
112 ブームシリンダ用方向切換弁
113 アームシリンダ用方向切換弁
114 バケットシリンダ用方向切換弁
120 パイロット弁群
120a パイロット用油路群
121 右側前後パイロット弁
122 右側左右パイロット弁
123 左側前後パイロット弁
124 左側左右パイロット弁
130 パイロット切換弁
133 ポテンショメータ
P 切換位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の油圧アクチュエータに供給される作動油の流れをそれぞれ切り換える複数の方向切換弁と、
前記複数の方向切換弁毎に設けられ、前記複数の方向切換弁に供給されるパイロット用作動油の流れをそれぞれ切り換える複数のパイロット弁と、
前記複数の方向切換弁にそれぞれ接続される複数の油路と、前記複数のパイロット弁にそれぞれ接続される複数の油路と、を複数の所定の組み合わせから選択的に切り換えてそれぞれ連通させるパイロット切換弁と、
前記パイロット切換弁の切換位置を検出する切換位置検出手段と、
操縦席の近傍に配置される表示部と、
前記切換位置を所定の条件において前記表示部に表示させる制御部と、
を具備する作業車両。
【請求項2】
前記制御部は、
記憶部を有し、
前記切換位置を記憶するとともに、前記切換位置検出手段が新たに検出する前記切換位置が前記記憶部に記憶されている前記切換位置と比較して変更されている場合、新たな切換位置を所定の表示形態で前記表示部に表示させる請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
操縦席に操縦者が着座した際の着圧を検出する着圧センサーを更に設け、
前記制御部は、前記記憶部によって前記着圧を記憶するとともに、前記着圧が所定値以下になった後に再び所定値以上になった場合、前記切換位置を所定の表示形態で前記表示部に表示させる請求項1または請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記検出手段は、
ポテンショメータから構成される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項5】
前記検出手段は、
スイッチ機構から構成される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−92500(P2012−92500A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238053(P2010−238053)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】