説明

供給溝を有する、平型セルおよびフレーム要素から成る電気的エネルギー貯蔵装置

本発明は、向かい合う平型電流導体を有する、電気的エネルギーを貯蔵および放出するための、複数の平型貯蔵セルと、貯蔵セルを保持するための複数のフレーム要素と、セルをフレーム要素と締め付けてスタックを形成するためのクランプ手段とを有する電気的エネルギー貯蔵装置に関する。各貯蔵セルは、少なくとも1つの物理量を測定するための測定要素もしくはセンサ要素を少なくとも1つ備えており、当該要素には、それぞれ測定データを伝達するためのケーブルが取り付けられている。フレーム要素は、測定要素もしくはセンサ要素を受容するための第1の凹部と、第1の凹部に接続された第2の凹部とを有しており、フレーム要素の第2の凹部は全体として、ケーブルを受容するための、少なくとも1つの、装置の長さに亘って延在している溝を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平型セルとフレーム要素とから成る電気的エネルギー貯蔵装置、ならびに、当該電気的エネルギー貯蔵装置内で用いるためのフレーム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
平型かつ長方形の貯蔵要素の形態で電気的エネルギー貯蔵セルを構成することが知られている。このような電気的エネルギー貯蔵セルは、例えばいわゆるパウチセルまたはコーヒーバッグセル、すなわち、平型かつ長方形に構成された電気的エネルギー貯蔵セル(バッテリセル、蓄電池セル、コンデンサ等々)、特にガルバニセルである。当該ガルバニセルの電気化学的活性部分は、ホイル状のカバーに包囲されており、当該カバーを、板状の電気接続部(極)、いわゆる(電流)導体が通っている。さらに、複数の当該電気的エネルギー貯蔵セルから成る電気的エネルギー貯蔵装置を構成することが知られている。当該セルは、クランプ装置を用いて、ブロックを形成するように統合されている。セルの電気的直列接続または並列接続は、伝導性接触要素を通じて行われる。当該接触要素は、隣接するセルの対応する電流導体間に電気的接続を形成する。このとき、セルを、固定せずにフレーム内で受容するか、またはクリップなどで互いに強く合わせて、スタック内(「セルブロック」とも呼ばれる)に配置すること、および、セルの小幅面の上側に露出している極を適切な手段で接続することが普及している。セルを接続するための接続手段の他に、平衡(電荷補償)または温度測定のためにセルの電圧を測定するためのケーブルも、セルからバッテリ電子機器に至るまで設置されている。それによって、余分な費用や空間が必要となり、重量が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、電気的エネルギー貯蔵装置の構成を、特に(それだけではないが)上述した観点について改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本課題は、独立請求項の特徴によって解決される。本発明の有利なさらなる構成は、従属請求項の対象である。
【0005】
本発明に係る電気的エネルギー貯蔵装置は、
向かい合う平型電流導体を有する、電気的エネルギーを貯蔵および放出するための、複数の平型貯蔵セルと、
貯蔵セルを保持するための複数のフレーム要素と、
セルをフレーム要素と締め付けてスタックを形成するためのクランプ手段とを有しており、
各貯蔵セルは、少なくとも1つの物理量、特に温度および/または電圧を測定するための測定要素もしくはセンサ要素を少なくとも1つ備えており、
各測定要素もしくはセンサ要素には、測定データを伝達するためのケーブルが取り付けられており、
フレーム要素は、測定要素もしくはセンサ要素を受容するための第1の凹部と、第1の凹部に接続された第2の凹部とを有しており、
フレーム要素の第2の凹部は全体として、ケーブルを受容するための、少なくとも1つの、装置の長さに亘って延在している溝を形成する。
【0006】
本発明において、電気的エネルギー貯蔵装置として理解されるのは、電気的エネルギーの放出も行うように設計され設置された装置であり、当該エネルギーは、1つまたは複数の貯蔵セルにおいて貯蔵可能である。貯蔵セル自体は自明のことながら、電気的エネルギーの放出も行うように設計され設置されている。本発明に係る貯蔵セルは、エネルギーの電気的貯蔵を行うためのあらゆる種類の装置である。したがって、当該概念は特に、一次電気化学的セルもしくはガルバニセル(いわゆるバッテリであり、一度貯蔵した化学的エネルギーを電気化学的エネルギーを介して一度放出した後、消費されるもの)または二次電気化学的セルもしくはガルバニセル(いわゆる蓄電池であり、電荷の供給によって、すなわち電気的エネルギーの供給によって、電気化学的反応によって再充電可能であるもの)を含むが、コンデンサなどのその他の形態のエネルギー貯蔵装置も含んでいる。本発明に係る貯蔵セルは、特に活性部分を有していても良い。当該活性部分内部においては、電気的エネルギーの充電プロセスおよび場合によっては変換プロセスが行われ、当該活性部分は、例えばホイル状カバーによって、好ましくは気密かつ液密に包囲されている。このとき、いわゆる電流導体が活性部分の内部から突出しており、当該電流導体は、カバーを通ってセルの外側に向かって、当該部分と伝導的に接続されており、セルの活性部分同士の接続またはセルの活性部分と電力消費機器との接続を可能にする。
【0007】
本発明において平型とは、1つの空間方向において、残りの2つの空間方向においてよりも少ない広がりを有するような幾何学形状であると理解される。本発明においてフレーム要素とは、例えば略角柱状の、好ましくは押出方向において平らな立体構造物であると理解される。当該立体構造物は、径方向内側の領域において、径方向外側の領域よりも材料強度が低くなる。特に角柱状の中空立体形状、すなわち径方向内側の領域に材料を有していない立体形状も、当該立体構造物に含まれる。材料強度は、径方向外側の領域(本来の意味でのフレーム)において略一定であっても良いが、略一定である必要はない。
【0008】
本発明において測定要素もしくはセンサ要素とは、物理量の受動的取得または能動的取得のために設計および設置された任意の種類の装置であると理解される。当該装置は、測定環境に接続されるか、もしくは測定環境に曝露された単なる導線端部に限定されるか、または、測定データを処理するための電気および/または電子機器を備えていても良い。当該測定要素もしくはセンサ要素は、信号および/または電荷を測定環境の方向において、例えば電流導体に放出するように設計および設置され得る。すなわち、当該要素は、特に作動要素としての機能も果たすことができる。当該測定要素もしくはセンサ要素は、測定環境に接して、または測定環境内に固定手段を備えていても良い。
【0009】
本発明においてケーブルとは、電流および/または信号を伝えるためのあらゆる装置であると理解される。例えば、導電体または光学導体またはその他の導体が考えられる。異なる種類の複数の導体の組合せも当該概念に含まれる。
【0010】
本発明において凹部とは、材料がジオメトリの基本形状から除去される部分であると理解される。このとき、例えば、ノッチ、空洞、ポケット、くぼみ、もしくはその他の空洞、止まり穴もしくは貫通孔、または溝などが考えられる。本発明において溝とは、連続的な、装置の長さに亘って全体として延在している凹部であると理解される。当該凹部を通って、ケーブルが誘導され得る。本発明において装置の長さとは、略積層されたフレーム要素によって決定された長さであると理解される。しかしながら、当該溝はさらに、例えば端面においてフレーム要素のスタックに載置された部材を通過して延在しても良い。また、当該溝はそれぞれ、最後のフレーム要素の手前で終端することも可能であるが、これは、当該箇所に存在する測定要素もしくはセンサ要素が依然としてアクセス可能である限りにおいてである。
【0011】
各貯蔵セルには、物理量、特に温度を測定するための測定要素もしくはセンサ要素が少なくとも1つ取り付けられているので、貯蔵セルの正確な特徴のプロフィール、特に温度プロフィールを作成することも可能である。これによって、例えば、個別に局所的な冷却を行うことを通じて、特にセルスタックの温度バランスを正確かつ目標を定めて制御することが可能になる。測定を例えば電圧を対象にする場合には、セルスタックの個別セル間の電荷補償を適切に制御することも可能である。当該フレーム要素は、測定要素もしくはセンサ要素を受容するための第1の凹部を有しているので、当該測定要素もしくはセンサ要素を省スペースに収容することも可能である。データケーブルは、例えば隙間容積などを活用して、第2の凹部によって形成される溝を通って、目立たないように防護して誘導され、また、フレーム要素から材料を除去するので、重量面でも影響が生じない。貯蔵セルの電流導体は互いに向かい合っているので、貯蔵セルの許容される接続、直列および/または並列接続も容易な方法で可能である。セルは、フレーム要素に締め付けられてスタックを形成しているので、多数の平型貯蔵セルを、安定したブロック内に省スペースかつ容易な方法で配置することも可能である。
【0012】
当該装置は、第2の凹部がフレーム要素の径方向外側の縁部に向かって開放されるように構成しても良い。それによって、ケーブルの取り付け、保守、配置のために当該溝に外側から容易にアクセスすることが可能になる。
【0013】
少なくとも1つの溝を密閉するために、クリップなどのシール装置が設けられている場合、データケーブルは、溝が外側に向かって開放されている場合には、目立たないように防護して誘導され得る。
【0014】
測定要素もしくはセンサ要素を取り付けるためには、それぞれ貯蔵セルの少なくとも1つの電流導体が用いられる。ここでは、セル電圧のような電気量などを直接測定することが可能であり、温度などのその他の物理量は、電流導体を通じて、セル内部から良好に伝達され、測定される。このとき、所定の関係において、取り付けるとは、少なくともスタックが締め付けによって固定された状態において、径方向または軸方向への摺動を防止するように置くことであると理解される。このとき、当該取り付けは、締め付け、貼付、リベット留め、はんだ付けなどによって、特に解除可能または解除不可能に実施され得る。
【0015】
セルの電流導体が、それぞれフレーム要素の間で、クランプ手段を用いて、摩擦接続によって締め付けられている場合には、隣接するセルとの間の所定の間隔も維持され得る。当該間隔は、セルの電気化学的活性部分にクランプ力が及ばないように調整され得る。このことは、セルの機能確実性および耐久性に関して利点をもたらす。さらに、セルの平らな面は、例えば低温での開始時に、熱を熱伝導媒体に放出するか、場合によっては当該熱伝導媒体から熱を受容することもできる。冷却剤の個別導入などの適切な手段によって、隣接するセルとの間の各隙間における温度は、個別に制御可能である。このとき、フレーム要素間における貯蔵セルの電流導体への締め付けは、電流導体が向かい合って配置されることによって容易になっている。それによって、ブロック内において、貯蔵セルを確実に、動かないように安定して固定することも容易になる。
【0016】
末端のフレーム要素上でクランプ手段によってスタックに締め付けられている、それぞれの圧力末端部が、各溝の高さにおいて通過開口部を有する場合、当該ケーブルは、特に容易にスタックから外に向かって誘導され得る。本発明において圧力末端部とは、クランプ手段によって加えられる締め付け力を受容し、例えば圧縮力として、末端のフレーム要素を通じて、スタック内に誘導するように設計され設置されている部材であると理解される。このとき、当該圧力末端部が、局所的に生じる場合もあるクランプ手段の締め付け力を、均等に分割し、圧縮力としてフレーム要素内に誘導すると有利である。
【0017】
本発明は、温度バランスが敏感なので、特に有利にはリチウムイオン蓄電池に適用可能である。本発明においてリチウムイオン蓄電池とは、ガルバニセル、特に二次セルを有する電気的エネルギー貯蔵装置であると理解される。当該セルにおいては、起電力が、正極と負極との間におけるリチウムイオンの移動によって発生する。平型のリチウムイオン蓄電池セルの場合は、正極、負極、および電解質が、例えば層状にホイルスタック内に存在する。層の順序またはその部分は、一回または複数回繰り返しても良い。正極の層(ホイル)は第1の電流導体と結合されており、負極の層(ホイル)は第2の電流導体と結合されており、電解質のホイルは障壁層として用いられる。
【0018】
本発明は、上述したような電気的エネルギー貯蔵装置内で用いるために構成されたフレーム要素にも関する。
【0019】
本発明の前記およびさらなる特徴、課題、および利点は、添付された図を用いて作成された以下の説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例としてのセルブロックの斜視図である。
【図2】図1のセルブロックのフレーム要素の斜視図である。
【図3】図2のフレーム要素と貯蔵セルとを示す図である。
【図4】図1のセルアセンブリの分解斜視図である。
【図5】図1のセルブロックの測定要素もしくはセンサ要素および供給ラインを有し、フレームおよびクランプ装置を有さないセルアセンブリを示す図である。
【図6】図1のセルブロックを、2つの隣接する貯蔵セルの間の面で切断し、端面を見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図中の描写は概略的であり、本発明の理解に重要な特徴の再現に限定されていることに注意が必要である。また、図中に再現された寸法および大きさの比率は、描写を明瞭にするためのものであるにすぎず、限定的に理解されるべきものではない。
【0022】
本発明の実施例は、図1から図6を用いて説明される。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の一実施例としてのセルブロックの斜視図である。
【0024】
図1の斜視全体図によると、セルブロック1は、複数の貯蔵セル2(ガルバニセル、蓄電池セルなど。図1では1つのみが見えている)と、複数の中間フレーム4と、2つの末端フレーム6と、2つのグランドシール(Druckbrille)8と、両側に載置されたナット12を備えた4つのタイロッド10と、を有する。両方の末端フレーム4の内1つの末端フレームと、中間フレーム6と、両方の末端フレーム4の内第2の末端フレームとは、この順序でブロックを形成しており、当該ブロックは末端に配置されたグランドシール8を介して、タイロッド10およびナット12を用いて一体化される。グランドシール8は窓14を有しており、フレーム状に形成されている。貯蔵セル2は、以下により詳細に説明するように、積層されたフレーム4、6によって形成された構造の内部に存在している。
【0025】
まず、2つの供給溝16が言及される。当該供給溝はそれぞれ、中間フレームおよび末端フレーム4、6から形成されたブロックの上面において、左と右とに形成されている。供給溝16内には低圧ケーブル18が延在しており、当該低圧ケーブルは、前面のグランドシール8内の開口部20を通って外部に誘導されている。
【0026】
図2は、図1のブロックの中間フレーム4の内1つを単独で示した図である。
【0027】
中間フレーム4は、直方体の輪郭を有しており、2つの平らな面と、周囲を取り巻く4つの小幅面とを備えている。平らな面の垂線は、図1のセルブロックにおけるフレームの積層方向に一致する。中心には窓状の開口部が形成されているので、残された辺はフレームを形成する。中間フレームの側方の垂直な辺には、前方および後方に押圧面22が形成されている。
【0028】
上側の小幅面から、左と右とに、それぞれノッチ24が、垂直辺内を下方に向かって延在している。ノッチ24の延長部分には、それぞれ押圧面内にポケット形のくぼみ26が形成されている。右の垂直辺では、くぼみが前面に形成されており、左の垂直辺では、くぼみが背面に形成されていることに注意が必要である。
【0029】
複数の垂直辺の内の1つには、2つの貫通孔28が形成されており、当該貫通孔は押圧面22を積層方向において接続している。複数の垂直辺の内のもう1つにおける、2つのさらなる、詳細には図示されていない貫通孔は、貫通孔28よりも大きな直径を有しており、当該貫通孔には、それぞれスリーブ30がはめ込まれている。スリーブ30は、導電性に優れた材料から製造されており、当該辺の押圧面22間のフィードスルーに用いられる。
【0030】
中間フレーム4に関する説明は、末端フレーム6にも相応に有効である。当該末端フレームの場合は、セルに対向する側にのみ、くぼみ26が形成されている。
【0031】
図3には、図2の中間フレーム4が、貯蔵セル2と共に示されている。
【0032】
図3の描写によると、貯蔵セル2は、いわゆる平型セルまたはパウチセルとして構成され、向かい合う平らな電流導体を有する。より詳細に言えば、各貯蔵セル2は、活性部分32と、シール接合部(周縁領域)34と、2つの電流導体36とを有している。活性部分32内では、電気的エネルギーを貯蔵および放出するための電気化学的反応が生じている。基本的には、貯蔵セルを構成するためには、あらゆる種類の電気化学的反応が利用可能である。しかしながら、この説明は、特にリチウムイオン蓄電池に関係して行われる。リチウムイオン蓄電池は、機械的安定性および熱バランスに関する要求、ならびに経済的意義ゆえに、本発明が特に良好に適用できるからである。活性部分32は2つのホイル(詳細には図示されていない)によってサンドイッチ状に囲まれており、ホイルの張り出した縁は、互いに気密かつ液密に溶接され、いわゆるシール接合部34を形成している。貯蔵セル2の2つの向かい合う小幅面からは、電流導体36が、正極(+)および負極(−)として突出している。
【0033】
電流導体36は、それぞれ2つの孔38(以下「端子孔」と称する)を有しており、当該孔は、中間フレーム4内の貫通孔28およびスリーブ30と整列している。端子孔38の直径は、貫通孔28の直径およびスリーブ30の内径に等しい。
【0034】
右の電流導体36の背面には、センサ要素40が取り付けられており、当該センサ要素は、そのボディが、中間フレーム4のくぼみ26に収容されている。センサ要素40は、その接続端部に出力信号を送るために、温度および電圧に応じて、電流導体36に設置されている。好ましくは、センサ要素40は、電圧および/または信号を受容するために、温度などのさらなる物理量に応じて設置されている。さらに、その接続端部を通じて、低圧電流を受け取り、導体36に放出するための、またはその逆のためのセンサ要素が設置されている。それゆえ、詳細には図示されていない制御装置を通じて、電荷がセル2に供給されるか、またはセルから取り出され、セルブロック1の内部で、セル2間の電荷補償がもたらされる。さらに、当該制御装置内では、センサ要素40の出力信号が評価され、例えば、局所的な個別の温度バランスが、熱工学の適切な手段によって実現する。
【0035】
図4は、図1のセルブロック1を部分的に分解した斜視図である。すなわち、ナット12は取り外されており、観察者に対向する側において、グランドシール8、末端フレーム4、貯蔵セル2、および中間フレーム6が、タイロッド10から引き抜かれている。
【0036】
図中では、どのようにして貯蔵セル2が、フレーム4、6の押圧面22間でサンドイッチ状に受容されており、タイロッド10を通じて締め付けられるかが明らかにされている。タイロッド10は、互いに位置合わせされた貫通孔28、スリーブ30、端子孔38、およびグランドシール8内に形成された中央部42を貫通して延在している。ナット12をタイロッド10に締め付けるとき、セルブロック1全体が締め付けられ、貯蔵セル2は、フレーム4、6もしくはフレーム4、4の間で固く保持される。
【0037】
フレーム4、6はスタック内に配置されているので、スリーブ30は、スタックの側面において交互に位置している。図5では、センサ要素40および供給ライン18を有し、フレーム4、6およびクランプ装置10、12を有さない、セルスタック1内のセルアセンブリが図示されているが、その描写によると、さらに、貯蔵セル2が積層方向において、極の位置が交互になっている電流導体36と共に配置されている。すなわち、隣接する貯蔵セル36では、つねに極性の異なる電流導体36が向かい合っている。また、スリーブ30は、スタック内でクランプ要素10、12によって、向かい合う電流導体36に対して押圧され、当該電流導体間に導電性接続を形成する。このようにして、スタック内において連続的に、極性の異なる電流導体36が互いに接続され、貯蔵セル2の直列接続が実現する。
【0038】
末端フレーム6内のスリーブ30を通じて、最初のセル2および最後のセル2の電流導体36がそれぞれ、最初のグランドシール8もしくは最後のグランドシール8と接続されている。グランドシール8は伝導性材料から形成されており、したがって、セルブロック1の極である。
【0039】
タイロッド10は、コーティングまたは絶縁性材料から成る、切れ目のないスリーブなどの適切な手段によって、伝導性を有する、もしくは電位を有する部分、つまり電流導体36、グランドシール8、および接触スリーブ30に対して電気的に絶縁されており、それによって、短絡が効果的に回避される。さらに、タイロッド10と、タイロッド10が貫通する部材との間には、間隔を設けても良い。図では詳細に示されていないが、フレーム4、6と、グランドシール8と、貯蔵セル2とは、径方向に決定された位置において保持される。センタリングのための適切な手段は、固定ピン、または積層された部材のジオメトリを適切に調整して当該部材を成形することである。やはり図には詳細には示されていないが、ナット12のグランドシール8に対する適切な絶縁も行われる。これは、例えば絶縁プレートまたはネックブッシュなどによって行われる。ネックブッシュの円柱部分は、各グランドシール8の中央部42に突出している。
【0040】
図5には、貯蔵セル2の正の電流導体36(+)にそれぞれ取り付けられたセンサ要素40が、積層方向において、側面に交互に配置されていることが示されている。供給ラインもしくは低圧ケーブル18の2つの束は、それぞれセンサ要素40の接続端部に接続されており、フレーム4、6のノッチ24の接続によって形成される供給溝16(図1、図4を参照)を通って、前方のグランドシール8の開口部20を通過して、外に向かって、詳細には図示されていない制御装置まで延在している。
【0041】
最後に図6は、図1のセルブロックを、2つの隣接する貯蔵セルの間の面で切断し、端面を見た図である。図6では、セルスタックの端面から見た、センサ要素40(上側の接続端部のみが見える)と、ノッチ24によって形成された供給溝16内の供給ライン18との位置が示されている。
【0042】
電気的エネルギー貯蔵装置の少なくとも1つの実施例をこれまでに説明した。本発明に係る当該装置は、向かい合う平型電流導体を有する、電気的エネルギーを貯蔵および放出するための、複数の平型貯蔵セルと、貯蔵セルを保持するための複数のフレーム要素と、セルをフレーム要素と締め付けてスタックを形成するためのクランプ手段とを有しており、各貯蔵セルは、少なくとも1つの物理量、特に温度および/または電圧を測定するための測定要素もしくはセンサ要素を少なくとも1つ備えており、各測定要素もしくはセンサ要素には、測定データを伝達するためのケーブルが取り付けられており、フレーム要素は、測定要素もしくはセンサ要素を受容するための第1の凹部と、第1の凹部に接続された第2の凹部とを有しており、フレーム要素の第2の凹部は全体として、ケーブルを受容するための、少なくとも1つの、装置の長さに亘って延在している溝を形成する。
【0043】
セルブロック1は、本発明に係る電気的エネルギー貯蔵装置である。末端フレーム4および中間フレーム6は、本発明に係るフレーム要素の例である。タイロッド10およびナット12は、本発明に係るクランプ手段の例である。グランドシール8は、本発明に係る圧力末端部の例である。センサ要素40は、本発明に係る測定要素もしくはセンサ要素の例である。くぼみ26は、本発明に係る第1の凹部の例であり、ノッチ24は本発明に係る第2の凹部の例である。供給溝16は、本発明に係る溝の例である。開口部20は、本発明に係る通過開口部の例である。低圧ケーブル18は、本発明に係るケーブルの例である。
【0044】
これまでに、具体的な実施例を基に、本発明の主要な特徴を説明したが、本発明は当該実施例に限定されるものではなく、請求項によって規定される程度および範囲において変更を加えること、および拡大することが可能である。
【0045】
図示された貯蔵セル2の直列接続は、実際の場では特に重要である。しかしながら、並列接続、または並列接続と直列接続との組合せも、セル2および接触スリーブ30を中間フレーム4内に適切に配置することによって実現可能である。
【0046】
セルブロック内部で、もしくはスペーサ要素に対して、セル2を径方向にセンタリングするためのセンタリング装置を設けても良い。このようなセンタリング装置は、スペーサ要素内および導体内の固定ピンおよび固定孔などから構成されるか、またはその他の手段によって実現される。
【0047】
一変型例では、測定および制御の精度を向上させるために、測定要素もしくはセンサ要素40が各電流導体38に取り付けられている。電流導体38への測定要素もしくはセンサ要素40の取り付けは、典型的な可能性である。しかしながら、構成上または機能上の利点が得られる限りにおいて、当該要素をセルの任意の場所に取り付けることも可能である。
【0048】
さらなる変型例では、測定要素もしくはセンサ要素が、それぞれリベットとして形成され、当該リベットによって、測定ケーブルがケーブルエンドシュー(Kabelendschuhe)を介して固定されている。
【0049】
さらなる変型例では、各面において2つより多くのタイロッドが用いられる。
【0050】
最後の変型例では、セルブロックを締め付けるために、タイロッドの代わりに締め付けベルトが用いられる。
【符号の説明】
【0051】
1 セルブロック
2 貯蔵セル
4 中間フレーム
6 末端フレーム
8 グランドシール
10 タイロッド
12 ナット
14 8内の窓
16 供給溝
18 低圧ケーブル
20 8内の開口部
22 押圧面
24 ノッチ
26 くぼみ
28 22内の貫通孔
30 接触スリーブ
32 2の活性部分
34 2のシール接合部
36 2の電流導体((+)および(−))
38 14内の端子孔
40 センサ要素もしくは測定要素
42 8内の中央部
当該参照符号リストは明細書の一部であることを明記しておく。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
向かい合う平型電流導体を有する、電気的エネルギーを貯蔵および放出するための、複数の平型貯蔵セルと、
貯蔵セルを保持するための複数のフレーム要素と、
前記セルを前記フレーム要素と締め付けてスタックを形成するためのクランプ手段とを有する電気的エネルギー貯蔵装置において、
各貯蔵セルは、少なくとも1つの物理量、特に温度および/または電圧を測定するための測定要素もしくはセンサ要素を少なくとも1つ備えており、各測定要素もしくはセンサ要素には、測定データを伝達するためのケーブルが取り付けられており、前記フレーム要素は、測定要素もしくはセンサ要素を受容するための第1の凹部と、前記第1の凹部に接続された第2の凹部とを有しており、前記フレーム要素の前記第2の凹部は全体として、前記ケーブルを受容するための、少なくとも1つの、装置の長さに亘って延在している溝を形成することを特徴とする電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
前記第2の凹部は、前記フレーム要素の径方向外側の縁部に向かって開放されていることを特徴とする請求項1に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項3】
少なくとも1つの溝を密閉するためのシール装置をさらなる特徴とする請求項2に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項4】
前記シール装置がクリップを有していることを特徴とする請求項3に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項5】
極の位置が交互になっている前記貯蔵セルが前記スタック内に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項6】
前記測定要素もしくはセンサ要素は、それぞれ、前記貯蔵セルの電流導体の内少なくとも1つに、好ましくは専ら同じ極性の電流導体に取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項7】
前記セルが、それぞれその電流導体において、2つのフレーム要素の間で、クランプ手段を用いて摩擦接続によって締め付けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項8】
前記クランプ手段は、複数の、好ましくは4つまたは6つのタイロッドを有しており、前記電流導体および前記フレーム要素内の孔を通って延在していることを特徴とする請求項7に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項9】
前記タイロッドは、電気的絶縁性の材料で覆われているか、または切れ目のない絶縁スリーブによって包囲されていることを特徴とする請求項8に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
前記フレーム要素は、ガラスもしくはセラミック材料、またはプラスチックなどの電気的絶縁材料から形成されているとともに、導電性材料から成る接触要素を有しており、前記接触要素は、向かい合う押圧面の間に電気的フィードスルーを形成することを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項11】
前記接触要素はスリーブであり、前記スリーブを通って前記タイロッドが延在していることを特徴とする請求項10に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項12】
前記スタックは、2つの伝導性の、好ましくはフレーム状の圧力末端部によって区切られており、前記圧力末端部は、末端のフレーム要素において、前記クランプ手段によって、前記スタックに締め付けられていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項13】
前記圧力末端部は、それぞれ最初のセルもしくは最後のセルの電流導体と電気的に接続されていることを特徴とする請求項12に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項14】
前記圧力末端部は、各溝の高さにおいて通過開口部を有することを特徴とする請求項12または13に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項15】
前記貯蔵セルが蓄電池であり、前記蓄電池において、電気化学的反応、特にリチウムイオンが関与した反応が行われることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の電気的エネルギー貯蔵装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の電気的エネルギー貯蔵装置において使用するために形成されているフレーム要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−531718(P2012−531718A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518029(P2012−518029)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003409
【国際公開番号】WO2011/000458
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(511173550)リ−テック・バッテリー・ゲーエムベーハー (85)
【Fターム(参考)】