説明

光学的に同調可能な偏光干渉フィルタのための装置及び方法

本発明は、1段フィルタ、複数段フィルタ及び中間偏光子なしのフィルタを含め、波長範囲において同調可能な又は切り替え可能なスペクトル・フィルタを構築するための構成要素としての同調器を提供し、その同調器は、回転角ρ(λ)を有し、前記波長範囲において光波長λの関数として変化する分散的偏光回転子及び方向感受性偏光用要素を含め、光ビーム軸に沿って縦列に配置された要素と、前記偏光用要素を回転させるための、又は/及び前記回転角ρ(λ)を変化させるための手段とを含み、それによって、前記偏光回転子及び前記偏光用要素が、前記光ビーム軸に沿って前記フィルタ中に直列に配置され、前記偏光用要素が、前記スペクトル・フィルタの構造に対して所定の方向角で配向され、前記同調器が、前記偏光用要素を回転させて前記フィルタ中でその方向を変化させるように、又は/及び前記回転角ρ(λ)を変化させるように動作することを特徴とする。本発明は、前記フィルタ及びさらに前記フィルタを同調させる同調方法にも関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に波長同調可能な光学的偏光干渉フィルタに関し、より詳しくは同調可能なスペクトル・フィルタを構築するための新しい概念及びこの概念に基づき開発される新スペクトル・フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
偏光は、横波が偏光されるとき現れる現象である。光は、伝播方向に対して直角の方向に振動する横波の電磁波である。通常、光は、偏光されておらず、すべての方向に振動する波の混合からなる。偏光されていない横波では、光線に直角な平面上の振動は、等しい確率ですべての方向に配向されて現れる。振動の方向が完全に予測可能であり、なんらかの理由で一定状態にある場合、光は、偏光されているといわれる。
【0003】
線形に偏光された光を生成するために、たとえばいわゆる偏光子を使用することによる様々な方法がある。偏光子は、ビームを線形に偏光して出現させる装置である。線形に偏光されて現れた光の振動方向は、偏光子の特性であり偏光子軸と言われる。ほとんどの偏光子は、透過モードで動作するので、対処する項は、しばしば透過軸である。偏光子は、偏光子軸の方向に偏光された入射光だけに透過的である。したがって、2つの偏光子の組み合わせは、その偏光子がその軸を互いに直角に配向されているとき、不透明になる。第2の偏光子が、第1の偏光子の軸にもう直角でない方向に軸を回転された場合、伝達される光量は、2つの偏光子が互いに平行になるまで、徐々に増加する。
【0004】
偏光された光の面は、光が、光回転子又はファラデー回転子といわれる媒体又は装置を通過したとき、固定角度だけ回転することもできる。回転の方向及び量(回転角)は、媒体又は装置の初期特性及び厚さに依存する。
【0005】
リターダー又は波長板は、リターダー中で固定された2つの特定の直交する方向に沿って、2つの直交する線形偏光成分に光波を分解し、それら間で位相のシフトを生じさせる装置である。位相シフトは、リターダーの特性であり、リターダーの位相遅れ(Δ)といわれ、位相遅れが生じる特定の方向が、リターダーの基準軸として知られている。リターダーを含むシステム中のリターダーの基準軸の角度は、リターダーの方向角(ψ)といわれる。もっとも普通のリターダーは、90°及び180°の位相シフト又は位相遅れをもたらし、それらは、4倍波及び半波リターダーと呼ばれる。普通の複屈折リターダーは、光軸がプレートの面に平行な複屈折材料の、面平行プレートである、
【0006】
偏光干渉フィルタ又は複屈折フィルタは、偏光された光の干渉に基づく。そのようなフィルタは、複屈折プレート及び偏光子から構成される。複屈折プレートの位相遅れΔ=Δ(λ)は、分散的、すなわちそれに入射する光の波長λに依存する。位相遅れパラメータΔ(λ)の分散は、伝達された光の強度が、波長λの関数として変化する、複屈折フィルタの基礎を成す。最初の複屈折フィルタは、同調可能でなく、それによる光波長の選択が、固定されている。その同調方法は、以下で、及び項「背景追加」中でさらにより詳しく紹介する。
【0007】
(スペクトル)フィルタのスペクトル伝達、又は単に伝達は、フィルタの特性であり、入射光の波長の関数として変化する、フィルタに入射された光強度に対し入射光の波長の関数として変化する、フィルタによって伝達された光強度として定義される。入射された光強度は、ほとんどの場合、一定と見なすことができ、したがってフィルタのスペクトラル伝達又は伝達は、光の波長の関数として、フィルタによって伝達された強度と同等である。
【0008】
偏光干渉フィルタ又は複屈折フィルタは、設計者の制御によるフィルタ伝達を有した一種の能動型フィルタである。フィルタは、極めて高い分解能とシステム性能とを有するように製造することができる。他の利点は、その優れたイメージ品質であり、したがってイメージ品質のフィルタとして知られ、イメージング装置中の使用に殊に適している。他の主な利点は、たぶん可能になる高受光角及び大きい有効口径を含む。複屈折フィルタは、天体研究で有効なツールであることが証明され、特に太陽物理学でユニークな評価を得ている。その優れたイメージ品質のおかげで、フィルタは、顕微鏡、イメージング分光器などのイメージング装置中で広く使用されている。フィルタは、モノクロメータ及び同調可能レーザ中の同調用デバイスとしても使用されてきた。他の重要な用途のいくつかは、光通信システム及びレーダ、イメージング及び投射、カラー・パターン解析及び表示、リモート・センシング装置及び宇宙ベースの装置を含む。
【0009】
複屈折フィルタは、最初リヨによって発明された(Lyot,B.(1933)Comptes Rendus 197:1593)。基本的なリヨ・フィルタは、平行な偏光子で挟まれた一組の複屈折結晶プレートから構成される(Yariv,A.及びYeh,P.(1984)「Optical Waves in Crystals」,Chapter 5,John Willey and Sons,New York)。各複屈折プレートの厚さは、その先行する複屈折プレートの厚さの2倍であり、プレートは、すべて方位角45°で配向される。別のタイプの複屈折フィルタは、ソルク(Solc)・フィルタである(Solc(1965),J.Opt.Soc.Am.55:621)。ソルク・タイプのフィルタは、1対の偏光子間に直列で配置され適切に配向された同一の複屈折プレートを含む、光学的ネットワークである。リヨ・フィルタは、一般に同等のソルク・フィルタより少ない複屈折プレートのみが必要である。しかし、ソルク・フィルタは、中間に入る偏光子を使用せず、したがってより高い伝達をもたらすことができる。リヨ・フィルタ及びソルク・フィルタの理論及び技術、並びにそれらの同調方法は、エバン(Evans,John W.(1949)J.Opt.Soc.Am.39:229)、タイトル及びローゼンバーグ(Title,A.M.及びRosenberg,W.J.(1981)Opt.Eng.20:815)によって見直され、かつ/又は議論された。また、興味深いのは、ガニング、ロッツピーチ他による論文である(Gunning,W.J.(1981)Opt.Eng.20:837;Lotspeich,J.F.,Stephens,R.R.及びHenderson,D.M.(1981)Opt.Eng.20:830)。
【0010】
リヨ・フィルタ又はソルク・タイプ・フィルタ中で使用される複屈折プレートは、光軸がプレート表面に平行になるようにカットされた石英及び方解石などの結晶材料から、又は他の複屈折材料から作られた平行なプレート又はシートである。結晶材料は、高分解能、及び/又は低波面歪曲が必要である用途に適している。他の複屈折材料は、ただしこれらに限定されないが、ポリビニール、アルコール及びポリカーボネートなどの高分子材料、及び液晶高分子膜を含む。これらの材料は、大きい有効口径及び/又は低コストのフィルタを可能にし、それによって多くのフィルタの潜在的な用途が可能になるので魅力的である。最初のリヨ又はソルク・フィルタは、同調可能でない。波長の選択が、同調可能な場合、光学的スペクトル・フィルタの有益性が、大いに増加することになる。複屈折フィルタを同調させるために、このフィルタを構成するすべての複屈折プレートの位相遅れを同時に変化させる、又はシフトする。従来、複屈折フィルタの同調には3つの基本テクノロジ、すなわち、直接法、回転要素法及び電気光学法がある。直接法は、たとえば楔形位相遅れプレートを対で使用することによって、同調させる複屈折プレートの物理的厚さを変える方法である。簡単であるが、もっとも実用的でない同調方法である。というのは、光経路の変化は、イメージング・システムに望ましくなく、及び温度制御が、必要になるからである。
【0011】
回転要素法は、色収差のないリターダー、通常複屈折の色収差がない波長板を使用する方法である。これは、実用に供される極めて有効な同調方法である。この方法を使用した同調可能な複屈折フィルタは、極めて高い分解能とシステム性能に到達するように製造することができる。この技術によれば(以下参照)、一般に、3つの色収差のない波長板が、1つの複屈折プレートの同調に必要である。特別な場合、必要な色収差のない波長板の数を低減することができるが、少なくとも1つの色収差のない4倍波プレートが必要である。この目的で通常使用される色収差のない波長板は、単一の複屈折プレートを複数組み合わせて製造された複合構成要素である。したがって、単一要素プレートを同調させるために、平均していくつかの又はさらにもっと多くの複屈折プレートが必要になるのが通常であり、したがって組み立てられた同調可能フィルタは、その最初の波長固定構造が、いくつかだけプレートを含むことができるはずだが、かなり複雑な光学機械的アセンブリになる。この理由で、この方法に基づき複屈折結晶材料から作られた同調可能フィルタの製造コストも、極めて高く、分解能、システム性能又は伝達のさらなる向上は、厳しく制限される。他方では、その多くの潜在的な用途を抑制するのは、同調可能な複屈折フィルタが、極めて高価で複雑な構造であることである。色収差のない波長板を使用するフィルタへの他の負担は、フィルタのスペクトリ範囲に対して、色収差のない波長板が、制限を加えることである。そのようなフィルタでは、通常、色収差のない波長板の動作スペクトル範囲は、フィルタの波長範囲を決定し、厳しく制限する。ブロードバンドの色収差のない波長板は、製造が、非常に困難で高価である。
【0012】
電気光学的な同調では、可動部品がなく、同調速度は、非常に高くすることができる。迅速に同調できる光学的スペクトル・フィルタは、殊に信号処理、カラー表示、宇宙ベース・プラットフォーム、リモート・センシング及び波長分割多重方式の用途において、魅力的である。同調可能な複屈折フィルタは、電気光学的結晶プレート又は変調器を使用することによって構築することができる(たとえば、Gunning,W.J.(1981)Opt.Eng.20:837;Lotspeich,J.F.、Stephens,R.R.及びHenderson,D.M.(1981)Opt.Eng.20:830参照)。フィルタ設計には多くのバージョンがあり、それらは、基本的なリヨ又はソルク・フィルタ構造に基づき、或いは機械的同調方法によるアナログ式で開発される。同調は、電気光学的複屈折プレートの複屈折を電気的に変化させる、又は回転する色収差のない波長板をその電気光学的同等物と置き換えることによって、達成することができる。電気光学的な同調の主な欠点は、有効口径及び視野が、小さいことである。他の制限は、数段のフィルタの伝達が、電極によって著しく減少する可能性があることである。というのは、数センチメートルまでの口径を得るために必要な縦方向電場又は電圧が、非常に高くなるからであり、或いは横方向の電場が、使用される場合も同様である。さらに、電気光学的な同調は、極めて高価である。
【0013】
電気光学的材料の代替として、液晶(LC)セル又はスイッチが、リヨ又はソルクの構造、又は機械的同調方法の基本構成に基づき、切り替え可能で同調可能なフィルタを構築するために使用されてきた(たとえば、Tarry,H.A.(1975)Elect.Lett.18:47;Scheffer他、米国特許第4,019,808号;Kaye,W.I.,米国特許第4,394,069号;Johnson,他、米国特許第5,132,826号及び第5,231,521号;Miller,P.米国特許第5,689,317号;Sharp,他、米国特許第6,091,462号参照)。様々なLCデバイスがある(たとえば、Saleh,B.E.A.及びTeich,M.C.「光通信の基礎」“Fundamentals of Photonics”,John Willy & Sons Inc,1991;Clark,N.A.他(1983)Mol.Cryst.And Liq.Cryst.94:213;及びAnderson他(1987)Appl.Phys.Lett.51:640参照)。たとえば、それらには、ネマチック及びホメオトロピック配向ネマチックLCセル、強誘導性LC(FLC)セル、面安定型強誘導性LC(SSFLC)セル、スメクチックA(SmA)LCセル及び歪らせん強誘導性LC(DHF)セル、及びツイスト・ネマチック偏光回転子が含まれる。視野角及びコントラスト比などの欠点があるが、液晶デバイスは、小型、低コスト、大きい有効口径及び低電力要件を含め、いくつかの魅力的な特徴を有し、したがって表示テクノロジだけでなく他の多くの用途でも殊に有益である。
【0014】
従来技術が実証するように、同調可能な複屈折スペクトル・フィルタを構築する既存の方法は、高価で複雑な構造が必要であり、かつ/又はその不利な負担のために限定される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
通常の光回転子又はファラデー回転子は、一般に単一の所定の波長又は極めて狭いスペクトル範囲だけに有効であり、回転角が光の波長に強く依存する、分散効果を示す。光回転子又はファラデー回転子の分散は、ほとんどの場合不要である。というのは、その分散は、光の波長に依存して異なる角度で光を回転させるからである。光回転子の分散は、周知であり、光回転子又はファラデー回転子のほとんどの用途において不要な効果として従来から認識されている。この理由のため、色収差のない光回転子及びファラデー回転子を開発するために、努力が傾注されている。
【0016】
本発明は、同調可能な偏光干渉スペクトル・フィルタを構築するための、既存の方法より簡単であるが、それよりもっと強力なまったく新しい概念を提供する。本発明の新概念は、光回転による分散に基づき開発され、従来技術より著しく簡単な方法による同調可能な複屈折スペクトル・フィルタの構築だけでなく、新しい特徴を有したスペクトル・フィルタの開発をも可能にする。
【0017】
本発明の一態様は、最初から同調可能である同調可能なスペクトル・フィルタを構築し開発する際、光回転による分散効果の数値を評価することである。
【0018】
新概念によれば、偏光回転による分散は、光の波長選択を成すために、偏光子又はリターダーなどの方向感受性要素と適切に組み合わせて利用することができる。光学的位相遅れとは違い、光回転は、偏光用要素の方向角と密接に関連するパラメータである。この特徴のおかげで、本発明による同調可能フィルタは、最初から同調可能であり、この技術の同等な構造より簡単又は極めて簡単な構造を有する。このフィルタは、その基本的伝達プロフィールが、使用される偏光回転子によって決定され、その同調性は、フィルタの直接関連する構成する偏光用要素を回転させる、かつ/又は可能な場合、フィルタの偏光回転子の回転角を変化させることによって、簡単に達成することができる。さらに、同調可能で切り替え可能なスペクトル・フィルタは、新しい特徴を帯びたフィルタを含め、選択された構成要素に応じて、機械的に、電気的に、又は電磁気的に、或いは連続的に又は離散的に動作させるように、開発することができる。
【0019】
さらに、本発明は、新概念に基づき開発された、従来技術の同等物よりまったく新しい又はもっとコンパクトな構成を有したどちらかの同調可能な複屈折スペクトル・フィルタを提供する。本発明のフィルタは、キー要素として通常の光回転子及び/又はファラデー回転子、或いはそれらを、複屈折リターダー及び同等のLCセル、好ましくは色収差のない又はゼロ次のリターダー、又はLC偏光回転子など追加の光リターダーと組み合わせて、使用する。本発明で開示されるスペクトル・フィルタには、色収差のないリターダーを必要としないフィルタを含め1段フィルタ及び複数段フィルタと、ソルク・タイプの2枚のプレート及び3枚のプレートのフィルタ、及びリヨの2段フィルタを含め中間に偏光子のないフィルタと、方形波バンドパス・フィルタとが含まれる。それらは、基本的特徴が、機械的同調性であり、さらに電気的に同調可能又は切り替え可能とすることができる。或いはさらに、スペクトル伝達の帯域幅が、ファラデー回転子及び/又は適切なセルなどの能動的な構成要素を使用した場合、調節可能である。ファラデー回転子を使用した本発明のフィルタは、さらに、一方向に光を伝達し、同調可能な状態でフィルタリングするが、逆方向の光を遮断する一方向装置として機能することができる。
【0020】
本発明の適切な偏光回転子は、通常の光回転子、すなわち石英光回転子及びファラデー回転子など、どんな分散的偏光回転子とすることができる。適切な光リターダーには、複屈折波長板、好ましくは色収差のない又はゼロ次の波長板、又はLCの電気的回転可能なリターダー及びLC可変リターダーなどそれらの電気的同等物、或いは電気光学的変調器、光弾性及び磁気変調器を含むそれらの同等物が含まれる。LCの電気的回転可能なリターダーは、SmAセル、DHFLCセル、SSFLCセル、平面配向スメクチックCセル及び三状態反強誘電性効果LCセルからなる群から選択することができる。LC可変リターダーは、たとえば、ネマチック及びホメオトロピック配向ネマチックLCセルとすることができる。本発明のスペクトル・フィルタは、反射モードで使用することができる、又は使用するようになすことができる。
【0021】
本発明の原理、利点及び特徴は、以下の説明から、添付の図面を参照して読んだとき、より明らかになる。本発明は、様々な実施例を含み、実施例は、本文にて与えられるその伝達カーブによって特徴付けられ、様々な状況で使用するのに適したフィルタについて説明する。さらに、従来技術の同等物との比較、並びにその特徴及び用途についての、及びそれらが構成される要素の選択についての論評及び示唆も提供する。
【0022】
「背景追加」
本発明の理解を容易にするために、色収差のない波長板を使用する従来技術による同調技法について、その背景をさらに提供する。図1に、従来技術の偏光子回転式同調可能1段フィルタの構成を概略的に示す。図1のフィルタは、入射偏光子11(方位角P)と、複屈折プレート12と、色収差のない4倍波プレート13と、出射偏光子14(方位角P)とを含む。光ビーム15が、図1のフィルタに入射し、法線入射で、すなわちz軸に平行に、それぞれ偏光子11及びその後に続く要素を同じように通過する。以下に説明するどんな光学的構成の場合でも、入射光ビームは、法線入射で、すなわち図面のz軸に平行で構成を通過する。複屈折プレート12は、その進み軸が、偏光子11に対し45°の角度で配向され、偏光子11は、その伝達軸が、y軸に平行、すなわちP=0°と仮定する。4倍波プレート13は、フィルタのスペクトル範囲にわたり色収差がなく、偏光子11に平行に配向される。波長板13は、通常複数の複屈折プレートを使用して製造された複合構成要素である。その複数の複屈折プレートは、その組み合わせが、波長範囲において位相遅れがほぼ一定であり、方向角が一定又はほぼ一定であるリターダーと同等になるように、縦列に配置され適切に配向される。Mueller行列又はJones行列公式によって(たとえば、R.M.A.Azzam及びN.M.Bashara著、「偏光解析法及び偏光光」(Ellipsometry and Polarized Light)North−Holland,New York,1988参照)、図1のフィルタが伝達する光強度が、次の式で与えられ、計算することができる。
【0023】
【数1】


ただし、Iは、偏光子11の入射光強度であり、Pは、偏光子11に対する偏光子14の方位角であり、Δ=Δ(λ)は、複屈折プレート12の位相遅れ又は位相角である。複屈折プレートの位相遅れΔは、以下の周知な特性によって説明される波長に依存するパラメータである。
【0024】
【数2】


ただし、λは、光波長であり、d(n−n)は、遅延特性といわれ、dは、複屈折プレートの厚さであり、n−nは、プレート材料の複屈折であり、nは、波長λにおける遅れ指数であり、nは、進み指数である。図1のフィルタの伝達は、位相遅れΔ(λ)によって決定され、伝達プロフィールは、出射偏光子14を回転させて角度Pを変更することによって、同調させることができる。
【0025】
出射偏光子14の回転は、いくつかの用途には所望されず、従来技術によって偏光子14の前に回転可能な色収差のない半波プレートを導入することによって、避けることができる。図2に、図1のフィルタから形成され、偏光子14の前に色収差のない半波プレート16を挿入することによって、そう修正された構成を概略的に示す。図2のフィルタでは、出射偏光子14は、静止状態に留まることができる。その進み軸が、入射偏光子11の進み角に対してγの角度を有するように半波プレート16を回転したとき、偏光子14の後の光強度は、位相遅れδΔ=4γを複屈折プレート12に加えることによって生じる強度と正確に等しくなる。4倍波プレート13及び半波プレート16は、2枚プレート同調要素又は同調器17を形成する。
【0026】
図1又は図2の同調させる複屈折プレート12は、偏光子(偏光子14)が、波長板13又は同調器17なしに、その後に続く。図3に、偏光子が先行せず又はその後に続かないフィルタ、たとえばソルク・タイプのフィルタ中の複屈折プレートを同調させるために使用するのに適した、さらに一般的な構成を概略的に示す。その構成は、その軸が4倍波プレート13に平行な回転可能な半波プレート16の後に、追加の固定された4倍波プレート18を加えることによって、図2の同調構成のさらに発展したものである。波長板13、16及び18の組み合わせは、その軸が複屈折プレート12の軸に平行な可変位相シフタ19として働き、波長板16の方向角γの4倍に等しい位相シフトを、プレート12の位相遅れΔ(λ)に加算する。従来技術の3枚プレート同調器を使用した同調可能な複屈折フィルタは、構成するプレートの数が増加するにつれて、ますます複雑になる。
【0027】
Evansは、図4に示す2枚プレート同調器を記載している(J.W.Evans 「複屈折フィルタ」(The Birefringent Filter)、J.Opt.Soc.Am.39,1949,pp.229〜242参照)。この2枚プレート同調器20は、同調するために、複屈折プレート21の後に縦列で配置された固定4倍波プレート22と、回転可能な4倍波プレート23とを含む。4倍波プレート22は、その軸が、プレート21の軸から45°の角度に配向される。4倍波プレート22と4倍波プレート23の組み合わせは、光回転子がその後に続く位相シフタと同等である。4倍波プレート23が、4倍波プレート22に対して角度ガンマを有するとき、生ずる位相シフトは、π+2γに等しい。2枚プレート同調器の主な欠点は、回転子が引き起こす座標軸の回転である。Evansの2枚プレート同調器に基づき、Buhrerは、2つの複屈折プレートを同時に及び等しく同調させるための二重同調器を開発した(Buhrer Carl F.米国特許第4,678,287号参照)。彼の二重同調器は、互いに補償された等しいが互いに反対で物理的に回転する、1対の相補的2枚プレート同調器を含む。図5に、彼の二重同調器24の一構成を示し、その構成は、同調させるために、2つの同一の複屈折プレート21と28の間に直列に配置された2つの固定された4倍波プレート22及び27と、2つの回転可能な4倍波プレート23及び26とを含む。波長板22及び23は、上記で説明したように、複屈折プレート21に対して配向されて2枚プレート同調器20を形成する。波長板26及び27は、複屈折プレート28に対し配向されて他の2枚プレート同調器25を形成し、したがって同調器20及び25が、互いに対面し、それらの回転は、等しいが互いに反対方向であり、互いに補償し合う。
【実施例】
【0028】
本発明のフィルタ又は光学的システムの要素は、光学的に縦列に接続される。図面では、一図面で現れる同一番号は、同一要素を示す。複数の図面で現れる同一番号は、互いに置き換えられる同一の特徴の要素を示す。用語「偏光回転子」は、本明細書では、偏光された光を回転するために働く構成要素又はデバイスと定義する。したがって、偏光回転子は、光回転子又はファラデー回転子又はある他のもの、たとえば液晶偏光回転子とすることができる。用語「リターダー」は、光ビームの位相を変化させることができるどんな要素又はデバイスである。リターダーによって導入される位相シフト又は位相遅れ(Δ)は、たとえば式(2)によって記述されるように波長に依存することがあり(Δ(λ))、又は波長範囲において色収差がないことがある。偏光回転子に加え、本発明のフィルタは、複屈折の色収差がない又はゼロ次のリターダー又は波長板から、及びLC可変リターダー及びLC(電気的)回転リターダーを含め、液晶リターダーから、又は同等物から好ましくは選択されたリターダーを使用する。リターダー材料は、ただしこれらに限定されないが、石英及び方解石などの結晶、ポリビニールアルコール及びポリカーボネートなどの高分子化合物、並びに液晶材料を含む。色収差なしのリターダーは、位相遅れΔが、スペクトル範囲にわたり所定の値に等しい又はほぼ等しく、複数の単一複屈折プレートを使用して製造することができる(たとえば、Pancharatnam,S.(1955)Proc.Indian Acad.Sci.41:137;Beckers,J.M.(1971)Appl.Opt.10:973参照)。ゼロ次リターダーは、ある周波数について、その遅延特性が、(k+1/4)λ又は(k+1/2)λ(k=1、2、3、・・・)である代わりに、通常λ/4又はλ/2に等しい。位相遅れΔ=π又はΔ=180°は、半波(λ/2)の遅延特性に等しいことに留意されたい。電気光学的、光弾性又は磁気の変調器などのLC可変リターダー又は同等物は、その位相遅れが電気的に可変であり、一方LC回転リターダーは、位相遅れが固定されているが、その光軸の方向が、電気的に回転可能である。リターダーは、複合構成要素とすることができる。用語「複合リターダー」は、縦列に光学的に結合された複数の個々のリターダー又は波長板を含み、1つのリターダーに同等なデバイスについて、使用される。本明細書で使用するように、用語「リターダー」は、そのような要素又はデバイス又は同等物をすべて含むと理解すべきである。用語「偏光子」は、偏光された光を生成する又は分析するためのどんな要素又はデバイスとする。本明細書に述べられた具体的な実施例は、多くのフィルタリング用途に望ましい線形の偏光子を使用することが好ましい。選択された基準軸に対してともに、偏光子の方位角Pは、その伝達軸の方向を示し、リターダーの方向角(ψ)は、このリターダーの光軸の角度を示す。偏光用要素を含む説明図では、偏光子又はリターダーの軸の方向は、太線矢印によって示す。電気的に回転可能なリターダーでは、その方向は、2つの選択できる状態間を切り替えることができ、その方向角は、ψon及びψoffによって与えられる。リターダーでは、その位相遅れは、2つの選択できる値間を電気的に切り替えることができ、その位相遅れは、Δon及びΔoffによって与えられる。
【0029】
本発明は、光回転の分散を使用する同調可能なスペクトル・フィルタを構築するための新概念を提供する。光回転子又はファラデー回転子などの偏光回転子は、その回転角が光の波長に依存し又は強く依存し、通常波長が短くなるにつれて増加する、分散効果を見せる。構成要素又はデバイスは、そのMueller行列M又は同等のJones行列Jが、次の式の形であり、光回転子として定義される(たとえば、Azzam,R.M.A.及びBashara,N.M.「偏光解析法及び偏光光」(Ellipsometry and Polarized Light)North−Holland,New York,1988参照)。
【0030】
【数3】


ただし、ρ=ρ(λ)は、回転角である。通常の光回転子は、結晶石英(たとえば、CVI Laser Corporation,Albuquerque,N.Mex.U.S.A.)、又はたとえば銀チオガリウム酸塩(silver thiogallate,AgGaS)など他の環状複屈折を示す結晶材料で、光軸がプレート表面に直角にカットされたものの面平行プレートである。石英光回転子は、単一石英プレートでもよいが、結晶石英から作られた波長板のための方法とは異なる方法でカットされる。一般に、市販の石英回転子は、同等品質の石英波長板より高価でない。従来、光回転子は、偏光された光を一定角度だけ回転させるために使用することができる。しかし、それは、一般に、単一の所定の波長について、又は極めて狭いスペクトル範囲においてだけしか有効でない。通常の光回転子は、色収差があり、回転角ρ(λ)が、通常、回転子厚さに比例し、光波長の二乗に逆比例する(たとえば、B.E.A.Saleh及びM.C.Teich「光通信の基礎」(Fundamentals of Photonics),John Wiley & Sons Inc.1991参照)。
【0031】
ファラデー効果を見せるいくつかの材料(たとえば、B.E.A.Saleh及びM.C.Teich「光通信の基礎」(Fundamentals of Photonics),John Wiley & Sons Inc.1991参照)は、偏光回転子としても働く。ファラデー回転は、ファラデー回転の向きが、磁場の方向で支配され、光の伝播方向に不変である点だけで、光回転とは異なる。したがって、式(3)は、逆方向の光波の伝播を議論しない場合、ファラデー回転子を記述するために使用することもできる。ファラデー回転子を製造するために利用できるファラデー効果を示す多くのガラス及び材料があり、ファラデー回転子のガラスは、ただしこれらに限定されないが、テルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)、イットリウム鉄ガーネット(YIG)及びテルビウム・アルミニウム・ガーネット(TbAlG)を含む。ファラデー回転子では、回転角ρ(λ)は、回転子厚さd、磁束密度B及びベルデ定数Vと呼ばれる特性に比例し、ベルデ定数は、強く波長に依存する。様々な材料について、ベルデ定数V=V(λ)は、互いに異なる波長依存性を示し、材料の固有の性質に依存するが、一般に、波長が短くなるにつれ、急速に大きくなる。ファラデー回転子の回転角は、加える磁束密度を調節することによって、電気的に変更することができる。
【0032】
光回転又はファラデー回転の分散効果は、大部分の従来の用地では不要である。この理由のため、その回転が、スペクトル範囲にわたりほぼ波長に依存しない、色収差のない光回転子を開発するために、努力が傾注されてきた(Displaytech,Inc.Longmont,CO.U.S.A.;Koester,C.J.(1959)J.Opt.Soc.Am.,49:405)。ブロードバンドのファラデー遮断器が、使用されるファラデー回転子の分散を補償することによって、広い帯域幅を達成することも周知である(たとえば、Electro−Optics Technology,Incorporation,Traverse City,Ml.U.S.A.)。光回転の分散は、光回転子又はファラデー回転子には不要な特徴であるが、本発明では、同調可能なスペクトル・フィルタを開発し構築するために、有利なものとして使用される。本発明の概念によれば、偏光回転の分散は、偏光子又はリターダーなど方向感受性の偏光用要素と適切に組み合わせることによって、光の波長選択に変形させることができる。変形された波長の選択は、偏光用要素の方向を変え、又は偏光回転を変化させることによって、最初から同調可能である。というのは、光回転は、偏光用要素の方向角と密接に関連したパラメータであるからである。したがって、本発明によれば、新しいタイプの同調器又は同調要素が、分散的偏光回転子を偏光子又はリターダーと組み合わせて使用することによって構築することができる。図6に、分散的偏光回転子が、それぞれ偏光子(図6a)、リターダー(図6b)並びにリターダー及び他の分散的偏光回転子(図6c)と組み合わされたとき、本発明の概念によって分散的偏光回転を光の波長選択に変形させた、本発明の同調器の構成を示す。
【0033】
図6aに、分散的偏光回転子31及び偏光子32を含む、本発明の同調器を示す。偏光子32は、フィルタの入射又は出射偏光子であって、その前又は後に偏光用要素が位置しないと仮定する。偏光回転子31は、回転角ρ(λ)が、光波長λの関数として変化し、選択された基準軸、すなわちy軸に対し方位角Pを有した偏光子32が、その後(図6aに示すように)又は前に位置する。偏光回転子31は、光回転子、たとえば石英光回転子又はファラデー回転子又は他の同等物とすることができる。偏光子が、入射又は出射偏光子であるので、1つの偏光回転子は、偏光子を回転させるために十分である(Ye,C.及びKeranen,E.(1997)J.Opt.Soc.Am.A.14:682参照)。したがって、偏光回転子31及び偏光子32の組み合わせは、基準軸に対しP+ρ(λ)(図6aに示すように)又はP−ρ(λ)に等しい方位角を有した偏光子33と同等である。通常の従来から使用できる偏光子とは違い、光を伝達するとき、方位角P+ρ(λ)又はP−ρ(λ)が、光波長の関数として変化するため、同等の偏光子33は、波長選択を示す。この波長選択は、最初の偏光子32を回転させ方向角Pを変えることによって、又は可変であれば回転角ρ(λ)を変化させることによって調節可能である。同等な偏光子33としての要素又はデバイスは、本明細書で偏光子同調器と称する。
【0034】
図6bの同調器は、構成要素として光ネットワーク中に又はフィルタ中に取り付けられたとき、リターダー34(Δ、ψ)が、その後(図6bに示すように)又は前に位置する偏光回転子31(ρ(λ))を含む。リターダー34(Δ、ψ)は、考慮する波長範囲において、位相遅れΔ及び方向角ψにおいて、ともに色収差がないことが好ましい。リターダー34の方向角ψは、y軸に平行でもあると仮定する、ネットワーク又はフィルタの選択された基準軸に対して測定される。リターダー34の候補は、複屈折リターダー、並びにLC可変及び電気的に回転可能なリターダーなどのLCリターダーを含む。一般に、リターダーは、等しいが互いに反対の回転角を有した2つの偏光回転子間にそのリターダーを挿入することによって、回転させることができる(たとえば、Azzam,R.M.A.(1975)J.Opt.Soc.Am.68:518参照)。したがって、偏光回転子31及びリターダー34の組み合わせは、光回転子36が、その後(図6bに示すように)又はその前に位置するリターダー35と同等である。規定されたように、同等のリターダー35は、リターダー34の位相遅れと同じ位相遅れΔを有するが、その方向角は、波長に依存し、ψ+ρ(λ)に(図6bに示すように)又はψ−ρ(λ)に等しく、一方同等の光回転子36は、回転がρ(λ)に等しい。同等のリターダー35は、純粋のリターダーとして働く。しかし、従来から使用できる通常のリターダーとは違い、光軸の方向角ψ+ρ(λ)又はψ−ρ(λ)は、波長に依存する。同等のリターダー35が、フィルタ中にあるとき、最初の回転子34を回転させ角度ψを変えることによって、かつ/又は回転角ρ(λ)を変化させることによって実現することができる方向角ψ+ρ(λ)又はψ−ρ(λ)の変化は、パラメータρ(λ)が寄与してネットワーク又はフィルタのスペクトル伝達を同調させることになる。これは、スペクトル・フィルタを構築する際、同調器の基礎を形成する。同等のリターダー35に続く光回転子、たとえば同等の光回転子36は、フィルタの伝達スペクトルを修正するが、同調器の同調メカニズムに変化をもたらさない。というのは、それは、ビーム軸まわりの機械的回転に影響されないからである。同等のリターダー35としての要素又はデバイスは、本明細書では、リターダー同調器と称する。
【0035】
図6bの同調器は、−ρ(λ)に等しい回転角を有し、リターダー34の後(図6c)に挿入された第2の分散的偏光回転子37を使用することによって、修正することができる。回転子31及び37は、等しいが反対の回転角、すなわちρ(λ)及び−ρ(λ)を有し、したがって回転子31、リターダー34及び回転子37の組み合わせが、リターダー又はリターダー同調器35と同等であり、それは、リターダー34が有する位相遅れと同じ位相遅れΔを有し、その波長依存の方向角が、ψ+ρ(λ)(図6cに示すように)又はψ−ρ(λ)に等しい。より一般的な場合、分散的偏光回転子31及び37は、考慮する波長範囲において前記フィルタの構造に関連する所定の比率で、互いに異なる回転角を取ることができる。それらは、同じ回転方向又は反対の回転方向のものとすることができる。この場合、偏光回転子31及び37、及びリターダー34の組み合わせは、上記で述べたように、リターダー同調器がそれに先行する又はその後に続く光回転子と同等になることができる。
【0036】
図6の同調器は、最初から同調可能な1段又は複数段のスペクトル・フィルタを開発し構築するために直接使用することができる。中間に偏光子がないフィルタは、本発明の2つ又はそれより多い同調器を使用し、同調器のパラメータを適切に選択し、偏光子間に直列に同調器を配置することによって、開発することも可能である。本発明の同調器を使用すると、原理的には、中間偏光子がないソルク・タイプ及びリヨ・タイプのフィルタ、並びに特別な伝達波形を有したフィルタを含め、新しい様々な同調可能フィルタが可能である。本発明の同調器は、構成するリターダー及び回転子を組み立てることによる複合構成要素として、製造することができる。単一の偏光回転子及びリターダーを用いてフィルタを設計し構築することも重要であるが、本発明の同調器の同調原理によって行うことが重要である。本発明は、さらに、本発明の新概念又は同調器に基づき開発される同調可能なスペクトル・フィルタを提供する。フィルタは、光回転子及びファラデー回転子などの分散的偏光回転子を使用し、或いは複屈折リターダー又は波長板、及び液晶リターダー又は同等物又は液晶偏光回転子などの追加のリターダーと組み合わせて、キー要素として分散的偏光回転子を使用する。フィルタは、すべて基本的特徴として機械的同調性を有し、さらに、電気的に同調可能又は切り替え可能とすることができ、或いはその帯域幅が、選択した構成要素に依存して、調節可能である。ファラデー回転子を用いて、波長選択が同調可能であって一方向に光を伝達するが、逆向きの光を遮断する一方向デバイスの構築が、実現可能である。本発明のフィルタは、1段フィルタ、複数段フィルタ及び中間偏光子を使用しないフィルタの3つのカテゴリの下で、アレンジすることができる。同調可能なフィルタの構築における本発明の同調器の使用は、以下に述べる実施例を通じ、単一の偏光回転子及びリターダーの構成で各実施例を表して、より詳細に説明する。
【0037】
本発明の1段フィルタ(図7〜10)は、偏光子の境界によって画定された独立のユニットであり、偏光子の境界内部の構成要素は、偏光回転子(図6aの同調器)、半波リターダーと組み合わされた光回転子(図6bの同調器)又は能動型回転子(図6aの同調器)、或いは等しいが反対の回転角を有し、可変リターダーをその間に挟んだ1対の偏光回転子(図6cの同調器)とすることができる。図7に、入射偏光子40(方位角;P=0)、偏光回転子41及び出射偏光子42(方位角;P)を含む、本発明の1段フィルタの光学的構成を示す。偏光回転子41は、分散的であり、その回転角ρ=ρ(λ)が、その分散性のため、波長に依存する。偏光回転子41と出射偏光子42の組み合わせは、図6aの偏光子同調器を形成する。この記述によるフィルタが伝達するスペクトル伝達又は光強度は、Mueller行列公式、すなわちこのフィルタの出射偏光子から現れる光ビームのStokesベクトルの第1要素によって計算される。したがって、図7のフィルタのスペクトル伝達I=I(λ)は、以下の式によって表し、計算することができる。
【0038】
【数4】


ただし、
【0039】
【数5】


式(4)は、標準リヨ1段フィルタの伝達スペクトルと同じ形である。しかし、図7のフィルタは、そのスペクトル伝達I(λ)の波長選択が、偏光回転子41の回転角ρ(λ)によって決定される。図7のフィルタは、機械的に偏光子40及び42の1つを他方に又は両方に対して回転させ、角度P−Pを変えることによって、同調させることができる。実際使用する場合、入射偏光子40を静止状態にし、出射偏光子42を回転させることが望ましい。図7のフィルタは、さらに、調節可能であれば回転角ρ(λ)を変化させることによって同調可能である。
【0040】
本発明によれば、回転子41は、好ましくは光回転子(ρ(λ)=ρ(λ))、たとえば石英回転子であって、通常、光軸がそのプレート表面に直角であるようにカットされた結晶石英の面平行プレートである。光回転子を使用した図7の1段フィルタは、機械的に同調可能であり、いくつかの面で従来技術より有利である。石英回転子は、結晶石英から作られる波長板のための方法とは異なる方法でカットされているが、単一プレートなので、フィルタは、その構造が、同調可能でないリヨ1段フィルタの構造と同等である。図1に示すように、リヨ1段フィルタは、同調機能を実現するために、追加の色収差のない4倍波プレートを使用しなければならない。しかし、従来技術と比べると、図7の本発明のフィルタは、最初から同調可能であり、色収差のない波長板を必要とせず、したがって、色収差のない4倍波プレートを構築するために必要な複屈折プレートが、省かれる。図7のフィルタの他の利点は、その構造が、図1のフィルタの構造より簡単であり、したがって図7のフィルタには、より高い伝達及びシステム性能が、同じ条件下で達成されると期待されることである。色収差のないリターダーが必要ないので、図7の実施例の他の重要なプラス面は、従来技術によるブロードバンドのフィルタを構築するための障害が、取り除かれたことである。図7の実施例に基づき、結晶石英が可能な伝達の上限までその動作スペクトル範囲を広くすることができる、リヨ構造フィルタ(以下参照)が、期待できる。さらに、光回転子が、回転子軸まわりのどんな機械的な回転の影響も受けない特徴を有する。したがって、他の図7のフィルタの卓越した特徴は、その極めて簡単な取り付け及び調節である。フィルタを取り付けるとき、偏光子の位置合わせだけが必要である。光回転子を使用した図7の1段フィルタは、反射モード、たとえば反射顕微鏡でも動作することができる。この場合、光は、フィルタを2回通過する、すなわちまず通過し、次にたとえばミラー又は試料で反射して、一巡する。反射モードで動作する図7のフィルタは、次の式によって表される伝達を有した同調可能なソルク2枚プレート・フィルタとして働く。
【0041】
=cos(P−P+ρ(λ)) (6)
以下に説明する本発明のフィルタは、反射モードで動作する、又は容易に動作するようになすこともできる。反射モードにおけるスペクトル伝達は、それぞれ伝達モードにおけるそれらの伝達を二乗することによって、簡単に得ることができ、したがって、ファラデー回転子が使用されたスペクトル伝達を除き、省略する。
【0042】
本発明によれば、図7のフィルタ中の偏光回転子41は、ファラデー回転子(ρ(λ)=ρ(λ))とすることもできる。ファラデー回転子は、分散効果のため波長に依存する、その回転角によって規定される。ファラデー回転子に利用できる多くの光磁気ガラスがある。そのベルデ定数V=V(λ)は、一般に波長が短くなるにつれて、急速に大きくなる傾向があるが、材料の固有の性質及び研究対象のスペクトル範囲に依存して様々な波長への相関関係を示す。選択された材料に依存して、ファラデー回転ρ(λ)は、同等の石英光回転ρ(λ)が示す分散性と類似の分散性を示すことができる。ファラデー回転子を使用した図7のフィルタのスペクトル・プロフィールI=I(λ)は、使用されたファラデー回転子の回転角ρ(λ)の分散性によって決定される。ファラデー回転子を使用した図7のフィルタは、回転角ρ(λ)=VdBを有したファラデー回転子の回転角ρ(λ)を変えることによって、同調可能である。ここで、dは、回転子厚さであり、Bは、磁束密度であり、V=V(λ)は、回転子材料のベルデ定数である。同調は、磁場Bを調節して回転角ρ(λ)を変えることによって電気的に行い、偏光子40及び42は、静止し、互いに平行又は直角に配向されることが好ましい。電気的な耐批判性に加えて、フィルタは、偏光子40に対して出射偏光子42を回転させることによって、機械的に同調可能である。この特徴は、回転角ρ(λ)が変化する範囲が、所望のように十部分広くないとき、有効である。電気的同調性の補償として、この特徴によって、電気的同調が達成される波長範囲の調節又は選択が、可能になる。
【0043】
ファラデー回転子を使用した図7の1段フィルタは、色収差のないリターダーも必要でない。フィルタの波長範囲は、使用された光磁気材料又はガラスが可能な伝達の上限までの広さとすることができる。典型的なファラデー回転子のガラスは、TGG(テルビウム・ガリウム・ガーネット)結晶であり、それは、500〜1500nmの広いスペクトル範囲で透過的であり、高ベルデ定数、低損失及び高耐損傷性を有する。図7の実施例は、適切にファラデー回転子及びブロードバンド偏光子を使用することによって、ブロードバンドの同調可能フィルタの構築のために使用することができる。ファラデー回転子を使用した図7のフィルタでは、磁場Bを調節することによってもたらされる位相シフトは、波長に依存する。回転子41が、出射偏光子の回転よって引き起こされた位相シフトがすべての波長に対して一定である光回転子のとき、これは、図7のフィルタとは異なる。
【0044】
ファラデー回転子を使用した図7のフィルタは、さらに、磁場Bをオン又はオフすることによって、電気的に切り替え可能にすることができる。この目的のために、偏光子42は、入射偏光子40に対して平行(P−P=0°)又は直角(P−P=90°)になるように配向することが好ましい。フィルタは、この場合、電気的スイッチとして働き、2つの切り替えられたその後の状態で伝達される光強度は、以下のように記述される。
【0045】
【数6】


又は、
【0046】
【数7】


図7のフィルタでは、ファラデー回転子を使用する他の利点は、フィルタが、同じく波長選択が同調可能で光を一方向に伝達するが、逆方向の光を遮断する一方向デバイスとして、機能することができることである。本発明によれば、図7のフィルタは、回転子41がファラデー回転子であるとき、一方向フィルタとして働き、偏光子42は、偏光子40に対し45°、すなわちP−P=45°の角度をなすように位置合わせされることが好ましい。P−P=45°の場合、フィルタの一巡伝達は、次の式で与えられる。
【0047】
=cos(45°+ρ(λ))cos(45°−ρ(λ)) (9)
ファラデー回転子を使用した図7の1段フィルタは、偏光子40及び42が、互いに平行又は直角のいずれかに、すなわちP−P=0°又はP−P=90°で配向されたとき、反射モードで働くこともできる。反射モードで動作するフィルタの伝達は、次の式による。
【0048】
【数8】

【0049】
図7の実施例による高分解能スペクトル・フィルタを構築するために、回転角が、現在の用途において現在利用できる光回転子又はファラデー回転子より極めて大きい、光回転子又はファラデー回転子が、必要である。通常の光回転子又はファラデー回転子の回転角は、一般にせいぜい180°である(ゼロ次)。たとえば、現在市販の光回転子は、回転が、通常その標準の波長で90°又は45°に等しく、一方光遮断器の形で使用されるファラデー回転子は、回転角が、通常遮断器の中心波長で45°に等しい。本発明の教示は、本発明による高分解能のスペクトル・フィルタを構築するために、複数次の光回転子及びファラデー回転子を製造することである。そのような複数次の回転子の回転角は、可視範囲又は対象とする波長範囲で180°より大きい又は極めて大きい。二酸化テルル(TeO)及び銀チオガリウム酸塩(silver thiogallate:AgGaS)結晶は、結晶石英よりはるかに大きい回転力を有し、複数次光回転子を作るための候補材料である。ファラデー回転子に大きい回転角を与えるために、高ベルデ定数を示す材料が、選択されるものとし、かつ/又は回転子厚さ及び加える磁束密度を増加する必要がある。高ベルデ定数を有する磁気結晶は、たとえばTGG(terbium Gallium Garnet)結晶を含む。
【0050】
図8に、入射偏光子40(方位角:P=0)、光回転子43、半波リターダー44及び出射偏光子42(方位角:P)を含む、本発明の他の1段フィルタを概略的に示す。光回転子43は、分散的であり、その回転角ρ(λ)=ρ(λ)が、フィルタの波長範囲において波長に依存する。半波リターダー44は、好ましくはフィルタの波長範囲において色収差がなく、その光軸が偏光子40に対し角度ψで配向される。リターダー44は、回転子43の後(図8に示すように)又はその前に位置することができ、リターダー44との接続が、図6Bによって述べたような同調器と同等である。Mueller行列公式によって、図8のフィルタの伝達I=I(λ)は、次の式で与えられ、表され計算される。
【0051】
【数9】


図8の1段フィルタのスペクトル・プロフィールは、光回転子43の回転角ρ=ρ(λ)によって決定され、フィルタのスペクトル伝達は、偏光子40に対し半波リターダー44を回転させることによって同調可能である。図7の実施例とは違い、偏光子40及び42は、図8のフィルタを同調させるとき、ともに静止していることができる。この特徴は、イメージング性能を向上させるために、好ましいはずである。半波リターダー44を回転させることによって伝達I(λ)に追加される位相シフトは、回転された角度の2倍である。同調は、使用に選択したリターダーに依存して、機械的又は電気的に行うことができる。
【0052】
本発明によれば、半波リターダー44は、色収差がない又はゼロ次の複屈折波長板又は同等の電気的に回転可能なLCリターダーが好ましい。複屈折リターダーを使用した図8のフィルタは、機械的に同調可能である。本発明によれば、フィルタのスペクトル範囲が、非常に広くなく、その位相角が、フィルタの波長範囲内の波長で180°に等しく、好ましくは設計及び要件に依存して中心波長より短い場合、ゼロ次の半波リターダーを使用することができる。そのようなゼロ次リターダーは、色収差のない半波リターダーの近似物として見なすことができる。この場合、図8のフィルタの伝達は、選択された波長範囲及び使用されたリターダーの同調角ψに依存して、式(11)によって記述されたものからわずかに異なるものになる。リターダー44としてゼロ次リターダーを使用することによって引き起こされる効果は、わずかに波形が変形され、サイドローブ振幅が変化することである。カラー表示、イメージング及び投射などの用途では、これは、利益を得られるので、そう重要ではない。
【0053】
本発明によれば、電気的同調が所望のとき、リターダー44として同等の電気的回転可能なLCリターダーを使用することが好ましい。適切なLCリターダーは、位相遅れが、Δlc=180°であり、その光軸の方向が、制御電圧を加えたとき、回転可能である。それは、回転可能な半波プレートの電気的同等物として働く。LCリターダーは、その光軸が、制御電圧がオフのとき、入射偏光子40に対し角度ψoffになるように配向される。光軸は、制御電圧がオンのとき、角度ψlcだけ回転して、ψon=ψoff+ψlcである方向ψonになる。位相シフトは、偏光子40及び42を静止させて、角度ψlcだけ電気的に回転させることによって導入することができる。角度ψlcの回転は、使用するLCリターダーに依存して連続的、又は離散的回転のいずれかとすることができる。光軸の方向が、連続的に回転可能であるLCリターダーの候補は、SmAセル及びDHFLCセルである。たとえば、DHFセルでは、得られる最大の傾斜角は、±38°である。光軸が離散的に回転可能なLCリターダーの例には、安定2元状態(stable binary state)のSSFLCセル及び平面配向スメクチックC(planar aligned smectic C:SmC)セル(2つの光軸の方向)及び3元状態反強誘電性効果LCセル(3つの光軸の方向)が含まれる。LC回転可能リターダーを使用した図8の1段フィルタは、使用されたLCリターダー又は出射偏光子42を機械的に回転させ、角度ψoff又はPを変化させることによって、そのように所望された場合、さらに同調可能とすることができる。従来技術の連続的に同調可能なLC1段フィルタは、図2の構成に基づいており、複屈折プレート、色収差のない4倍波プレート及びLCリターダーが必要である(たとえば、Johnson,K.M.及びSharp,G.D.米国特許第5,132,826号参照)。しかし、従来技術と比べて、図8のフィルタは、光回転子(複屈折プレートも)及びLCリターダーを使用し、色収差のないプレートはまったく必要でない。さらに、図8のフィルタは、機械的に同調可能であり、その取り付け及び調節は、より簡単である。
【0054】
図8の実施例によるスペクトル・フィルタを構築するために、その光軸の方向角が、光波長に関し正則関数として変化する、新しいタイプのLCの電気的に回転可能な半波リターダーを作ることが望ましい。原理的には、方向角は、どんな関数でもよく、スペクトル範囲にわたり波長に関して単調に減少する又は増加することが好ましい。そのようなLCリターダーを使用して、図8のリターダー44及び光回転子43と置き換えることができる。本発明の他の教示は、追加の偏光回転子を必要としない電気的に同調可能、又は切り替え可能なスペクトル・フィルタ(以下参照)を構築するために、光軸の方向が、光波長の所定の関数として変化するLC電気的回転可能リターダーを構築することである。
【0055】
図9に、入射偏光子40(方位角:P=0)と出射偏光子42(方位角:P)の間に配置された能動型偏光回転子45と組み合わせて分散的光回転子43を使用する、本発明の他の1段フィルタを示す。光回転子43は、受動型回転子と見なすことができ、好ましくは石英回転子であり、その回転角ρ=ρ(λ)が、フィルタの波長範囲において波長に依存する。能動型偏光回転子45は、フィルタの波長範囲において分散的又はほぼ一定であることができ、調節可能である回転角ρを有し、ファラデー回転子(ρ=ρ(λ))又は適切なLC偏光回転子、たとえばツイスト・ネマチック偏光回転子(ρ=ρlc)であることが好ましい。光回転子43は、能動型回転子45と、図6aの偏光子同調器と同等の出射偏光子42とに組み合わされて、能動型回転子45の前(図9に示すように)又はその後に位置することができる。図9では、光回転子43及び能動型回転子45は、回転が、光伝播方向に沿って見ると同じ向きと仮定する。式(4)に基づき、図9の1段フィルタのスペクトル伝達は、次の式によって与えられる。
【0056】
=cos(P−P+ρ(λ)+ρ) (12)
能動型偏光回転子45が、ファラデー回転子であるとき、図9のフィルタのスペクトル・プロフィールI(λ)は、回転角ρ(λ)及びρ=ρ(λ)の和によって決定される。フィルタは、ファラデー回転角ρ(λ)を変えることによって、電気的に同調可能である。図9のフィルタは、たとえば、ファラデー回転角が十分大きくないファラデー回転子を使用したときの図7のフィルタの分解能を増加するために、補償する解決策として働くことができる。ファラデー回転子を使用した図9のフィルタは、さらに、一方向デバイスとして動作することができる。この目的のために、回転角ρ(λ)が、ファラデー回転角ρ(λ)と相似又は理想的には等しい光回転子を、受動型回転子43として選択することが望ましい。この場合、出射偏光子42は、回転角ρ(λ)とρ(λ)の間の一致性に依存して、フィルタの一巡伝達が最小値に到達するように、偏光子40に対して45°の角度を成すように位置合わせされる。能動型回転子45としてツイスト・ネマチック偏光回転子を使用することも好ましい。ツイスト・ネマチック・セルは、2つの平行ガラス・プレート間に配置されたネマチックLCの薄層であり、分子配向が、プレートに垂直な軸(ツイスト軸)のまわりでらせん状に回転するように磨がかれる。電場が、ツイスト軸の方向に加えられていないとき、セルは、ツイスト角に、通常90°又は45°に等しい角度だけ線形に偏光された光を回転させる。逆に、電場が、ツイスト軸の方向に加えられ、したがって分子がそのツイスト特性を失っているとき、セルは、光の回転を生じない。ツイスト・ネマチック回転子の入射結晶軸は、入射偏光子40に対して平行又は直角である。ツイスト・ネマチック回転子は、回転角又はツイスト角が、適切な制御電圧を加える手段によって、又は電場が存在しないとき、ゼロ又はρlcに等しくなる、電気的スイッチとして機能する。図9のフィルタのスペクトル伝達は、ツイスト・ネマチック回転子を使用したとき、次の式で与えられる。
【0057】
【数10】


フィルタは、基本スペクトル・プロフィールが、光回転子43の回転角ρ(λ)によって決定され、LC偏光回転子を電気的に切り替える又は切り替えないことによって、離散的に同調可能である。さらに、図9のフィルタは、機械的に同調可能である。位相シフトは、偏光子42を回転させ、角度P−Pを変えることによって、導入することができる。この特徴は、電気的同調性を補償するように働き、電気的同調が達成できる波長範囲の都合よい調節又はシフトを可能にする。
【0058】
現在利用できるツイスト・ネマチック偏光回転子の回転角は、あるスペクトル範囲でほぼ一定である。本発明で開示されるフィルタを応用するために、その回転角が、光波長に関し正則関数として分散的であり、電気的に可変又は切り替え可能であるLC偏光回転子を構築することが望ましい。原理的には、回転角は、どんな関数でもよく、スペクトル範囲にわたり光波長に関して単調に減少する又は増加することが好ましい。純粋なLC同調可能フィルタが、そのようなLC偏光回転子を用いて、本発明によって構築することができる。たとえば、単一の分散的LC偏光回転子は、電気的に可変又は切り替え可能であり、図9の能動型回転子45及び光回転子43に取って代わることができる。本発明の他の教示は、同調可能なスペクトル・フィルタを構築するために、回転角が、分散的で可変であるLC偏光回転子を構築又は開発することである。
【0059】
図10に、電気的に切り替え可能で機械的に同調可能な本発明の他の1段フィルタを概略的に示す。電気的に切り替え可能フィルタは、通信の分野で殊に有益である。図10のフィルタは、入射偏光子40(P)と出射偏光子42(P)の間に配置された1対の分散的光回転子43及び47と、可変リターダー46とを含み、リターダー46は、回転子43と47の間に挟まれる。回転子43(ρ(λ))及び47(−ρ(λ))は、フィルタのスペクトル範囲にわたり等しいが反対の回転角度を有する。リターダー46は、好ましくはLC可変セル、たとえばネマチック又はホメオトロピック配向ネマチックLCセルであり、位相遅れが、制御電圧の印加によって電気的に可変である。LCデバイスを使用した電気的に切り替え可能フィルタの考えられる利点には、小型、低コスト、大きな有効口径及び低電力要件が含まれる。可変リターダー46は、その位相遅れが、2つの選択できる状態間で切り替わることが可能なように動作させ、位相遅れΔoff及びΔonが、フィルタの波長範囲においてそれぞれ0°及び180°に等しい又はほぼ等しい。位相遅れがゼロでないリターダー46は、光軸が、偏光子40に対してψonで配向される。リターダー46が、Δoffの状態に切り替えられたとき、それは、等方性媒体(ゼロ位相遅れ)として働き、したがって回転子43及び47は、互いに補償し合う。他方に切り替えられた状態Δonのとき、リターダー46と回転子43及び47との組み合わせは、図6cによる半波リターダー同調器と同等であり、その方向角が、ρ(λ)+ψonに等しい。したがって、P=0°(図10に示すように)の場合、図10の1段フィルタのスペクトル伝達I=I(λ)は、次の式のように書くことができる。
【0060】
【数11】


或いは、図10のフィルタは、偏光子42が90°だけ回転したとき、オフ状態で光を遮断することができる。P=90°の場合、フィルタの伝達は、次の式になる。
【0061】
【数12】


図10のフィルタは、切り替え状態Δoff及びΔonであるリターダー46をその後に切り替えることによって、電気的に切り替え可能であり、そのスペクトル伝達は、光ビーム軸zのまわりでリターダー46を機械的に回転させ、角度ψonを変えることによって、さらに同調可能である。この実施例では、リターダー46として、電気光学的変調器、又は光弾性又は磁気変調器などのその同等物を使用することも重要である。フィルタの波長範囲は、位相遅れが、0°と180°の間で切り替え可能であり、分散効果が、無視できるリターダーとして動作させることができるように使用する、LC可変リターダー又は変調器によって決定される。
【0062】
本発明は、さらに、偏光子境界によって画定された独立したユニットである、上記で述べた1段フィルタに基づき開発される、複数段の同調可能なフィルタを提供する。本発明の複数段フィルタは、光ビーム軸に沿って縦列に配置された、異なるサイズであるが同じ構造を有した1段フィルタの適切な組み合わせであり、ある段の出射偏光子が、次段の入射偏光子として働く。一般に、異なる構造の1段フィルタは、複数段フィルタを作るために組み合わせることもできる。
【0063】
図11に、n+1個の線形偏光子49、49、49、・・・、49n+1(方位角:P、P、P、・・・、Pn+1)及びn個の分散的偏光回転子50、50、50、・・、50を含む、本発明のn段(n=2、3、4、・・・)フィルタを概略的に示す。それらは、直列に配置されてn段を形成し、それぞれが図7の構成に従い、したがって回転子50は、偏光子49と49i+1(i=1、2、3、・・、n)の間に挟まれる。偏光回転子50、50、50、・・、50は、好ましくは光回転子であり、その回転角が、それぞれρ(λ)、ρ(λ)、ρ(λ)、・・、ρ(λ)によって指定される。本発明によれば、図11の実施例では仮定したように、回転角ρ(λ)、ρ(λ)、ρ(λ)、・・、ρ(λ)は、フィルタの波長範囲において整数の比でなければならず、好ましくは回転の向きを無視して、比が、1:2:4:8:・・・2n−1、すなわち|ρ(λ)|=2|ρ(λ)|、|ρ(λ)|=4|ρ(λ)|、|ρ(λ)|=8|ρ(λ)|、・・及び|ρ(λ)|=2n−1|ρ(λ)|である。これは、各回転子50、50、50、・・、50が、回転の向きを無視して、その直前の回転子の回転角の2倍の回転角を有することを意味する。偏光子49、49、・・・、49n+1は、同調前、偏光子49(P=0°)に対して平行に、すなわちP=0°、P=0°、・・、P=0°で配向されることが好ましい。同調時、偏光子49、49、・・・、49n+1は、それぞれその先行する偏光子に対して回転させられ、したがってそれらの方位角が、それらの直前の回転角に対する比と同じ比、すなわち(P−P):(P−P):(P−P):・・・:(Pn+1−P)=ρ(λ):ρ(λ):ρ(λ):・・:ρ(λ)になる。各段が伝達する光強度は、式(4)を使用して計算することができる。したがって、P−P=ψとすると、図11のフィルタのスペクトル伝達I=I(λ)は、次の式であることが分かる。
【0064】
=cos(ρ(λ)+ψ)cos2(ρ(λ)+ψ)cos4(ρ(λ)+ψ)・・・cosn−1(ρ(λ)+ψ) (15a)
式(15a)は、基本スペクトル伝達プロフィールが、回転の向きを無視して1:2:4:8:・・・:2n−1の比である、使用する回転子の分散的回転角によって決定される、リヨ幾何形状n段フィルタを記述する。図11のフィルタは、方位角P−P、P−P、・・・、Pn+1−Pの比を変更しない状態のままで、偏光子49、49、・・・、49n+1を同時に回転させることによって同調可能であり、さらに、回転角が調節可能である場合、それらの比を変更しないままで、回転角ρ(λ)、ρ(λ)、ρ(λ)、・・・、ρ(λ)を変化させることによって同調可能である。同調前に、偏光子49、49、・・・、49n+1は、偏光子49に対して直角、すなわちP=90°、P=90°、・・、Pn+1=90°とすることもでき、それらの方位角P−P−90°、P−P、P−P、・・・、Pn+1−Pを先行する回転角の比と同じ比にして、それらを回転させて、同調させる。この場合、フィルタの伝達I=I(λ)は、次の式である。
【0065】
=sin(ρ(λ)+ψ)cos2(ρ(λ)+ψ)cos4(ρ(λ)+ψ)・・・cosn−1(ρ(λ)+ψ) (15b)
図11の複数段フィルタは、図7の1段フィルタが有する特徴をすべて有する。同調を実現するためにn個の色収差のない4倍波プレートが必要な、従来技術によるリヨn段偏光子回転式同調可能フィルタと比較すると、図11のフィルタは、構成が、色収差のない波長板を必要とせずより簡単であり、したがってn個の色収差のない波長板が、省かれる。波長板を使用しないので、図11のフィルタは、回転子材料の伝達の上限まで光を伝達することができ、スペクトル範囲が、ブロードバンド偏光子を使用することによって、容易に拡張することができる。さらに、図11のフィルタの取り付けは、簡単であり、偏光子の位置合わせだけが必要である。従来技術の偏光子回転式複数段フィルタでは、1つの深刻な負担は、最初の段の出射偏光子の回転には、第2及びそれに続く段中の複屈折プレートを同時に回転させる必要があることである。これは、都合が悪く、実用上重大な問題を引き起こし得るはずである。この欠点は、図11のフィルタでは、避けられる。というのは、光回転子は、回転子軸まわりの機械的回転の影響を受けないからである。
【0066】
フィルタのスペクトル伝達は、波長λの関数としてフィルタが伝達する(相対的)光強度を示す。フィルタは、伝達カーブに従って光を伝達する。たとえば、フィルタは、伝達のピークがある波長ではどんな損失もなしに光を伝達し、伝達が、ゼロに等しい又はほぼそれに等しい波長では光を遮断する。
【0067】
例として、図12に、図11のn=2の場合の構成によって構築された2段フィルタの、400〜700nmの波長範囲で測定したスペクトル伝達を提示する。フィルタは、波長1064nmでそれぞれ45°及び90°に等しく回転する2つの市販の光回転子(CASIX Corporation,Chatsworth,U.S.A.)、及び3つの線形偏光子(HN38S,Meadowlark Optics,Longmont,U.S.A.)を使用した。偏光子の動作スペクトル範囲は、400〜700nmである。2つの光回転子の回転角は、互いに反対の向きで、その比が、ρ(λ):ρ(λ)=(P−P):(P−P)=1:−2であった。図12aに、ψ=0°及びψ=15°(ψ=P−P)の場合について、ψ=0°のカーブを理論によって計算したそのフィッティング・カーブと比べて、フィルタの測定したスペクトル伝達を示す。図12b及び図12Cに、ψ=30°、ψ=45°、ψ=90°及びψ=135°の場合について、フィルタの測定したスペクトル伝達カーブを示す。
【0068】
図11の実施例では、偏光回転子50、50、50、・・、50として、それぞれ磁場を加えるファラデー回転子を使用することも好ましい。ファラデー回転子の回転子厚さ及び加える磁場は、回転角ρf1(λ)、ρf2(λ)、ρf3(λ)、・・、ρfn(λ)が、好ましくは回転の向きを無視して1:2:4:8:・・・:2n−1の比になるように選ばれる。ファラデー回転子を使用した図11の複数段フィルタは、スペクトル伝達プロフィールが、ファラデー回転角によって決定され、フィルタは、回転角が同期して調節されその比が不変のままであるように、回転子に加える磁場を同時に変えることによって、電気的に同調可能にすることができる。フィルタは、さらに、それぞれ偏光子49、49、・・・、49n+1を直前の偏光子に対して機械的に、その方位角の比を不変のままで回転させることによって、同調可能である。この特徴によって、電気的同調の補償が可能になる。偏光子49、49、・・・、49n+1は、機械的同調を使用しないとき、入射偏光子49に対して平行又は直角、すなわちψ=0°又はψ=90°いずれかで配向することができることが好ましい。それは、フィルタの取り付けを簡単にし、フィルタの多くの用途で所望される。ファラデー回転子を使用した図11のn段フィルタのスペクトル伝達は、次の式のように書かれる。
【0069】
【数13】


ファラデー回転子を使用した図11のフィルタは、反射モードでも機能する。たとえば、ψ=0°の場合、反射モードのフィルタの伝達は、次の式になる。
【0070】
=cosρf1(λ)cos2ρf1(λ)cos4ρf1(λ)・・・cosn−1ρf1(λ) (17)
ファラデー回転子を使用した図11のフィルタは、さらに、ファラデー回転子の加える磁場を同時にオン及びオフすることによって、電気的に切り替え可能にすることができる。偏光子49、49、・・・、49n+1を入射偏光子49(ψ=0°)に対して平行に配向した状態では、フィルタは、切り替えられないとき、十分に光を伝達するスイッチとして働き、2つの切り替え状態におけるその伝達は、次の式によって記述される。
【0071】
【数14】


したがって、切り替えられないで、偏光子49が、入射偏光子49に対して直角に、すなわちψ=90°に配向され、一方他の偏光子49、49、・・・、49n+1は、それに対して平行又は直角でよい状態のとき、フィルタは、オフ状態で働く。フィルタの伝達は、この場合、次の式による。
【0072】
【数15】


ファラデー回転子を使用した図11のフィルタは、さらに、一方向デバイスとして機能することができる。この目的のために、偏光子49は、偏光子49に対して45°の角度、すなわち|ψ|=45°になるように配向することが好ましい。他の偏光子は、偏光子49が、偏光子49に対して直角に、すなわちP−P=90°又はP−P=−90°になり、それに続く偏光子が、偏光子49に対して平行になるように、配向される。これは、たとえば、入射偏光子49(P=0°)に対して、P=45°の場合、P=P=P・・・=P=Pn+1=135°、又はP=−45°の場合、P=P=P・・・=P=Pn+1=45°になることを意味する。図11のフィルタの一巡伝達は、一方向デバイスとして働くとき、次の式になる。
【0073】
nr=cos(45°+ρf1(λ))cos(45°−ρf1(λ))cos2(45°+ρf1(λ))xcos2(45°−ρf1(λ))cos4ρf1(λ)・・・cosn−1ρf1(λ) (19)
図13に、それぞれ図7の1段ファラデー・フィルタの、及び図11の実施例によるn=2及びn=3の場合の2つの複数段ファラデー・フィルタの計算した一巡伝達カーブを、スペクトル範囲500〜650nmにわたる光波長λに対して提示する。一巡伝達カーブI1r(λ)、I2r(λ)及びI3r(λ)(図13a)は、前向き伝達カーブI(λ)、I(λ)及びI(λ)(図13b)と比較する。計算では、ファラデー回転子は、TGG(terbium Gallium Garnet)結晶から作られたと仮定した。現在の用途で要求されたとき、ファラデー回転子のガラスのベルデ定数のデータは、わずかな単一波長だけについて入手可能であり、たとえばTGGガラス(たとえば、IMPEX−HIGH−TECH Inc.Rheine,Germany)では、500−633−1060nmにおいてV=0.75−0.46−0.12min/Oe.cmである。それらは、ここで必要な、十分にスペクトル伝達プロフィールの細部を計算するために使用することができないはずである。この理由のため、TGGガラスのベルデ定数の波長依存性は、入手可能なデータに基づき、近似的にフィッティングした。そのフィッティングの結果に従って、シミュレートした計算によるベルデ定数V、これを用いたファラデー回転ρf1(λ)、ρf2(λ)=2ρf1(λ)及びρf3(λ)=4ρf1(λ)は、スペクトル範囲において波長λの二乗に逆比例すると仮定した。この仮定は、妥当性及び計算結果の一般性に影響せず、TGGガラスのファラデー回転子が使用される以下の計算についても適用する。さらに、図13のカーブでは、ファラデー回転ρf1(λ)は、値が、λ=1336.8nmで90°に等しく、したがってカーブI(λ)、I(λ)及びI(λ)は、570nmで第1の最大値を有する(図13b)と仮定した。計算したところによると、一巡伝達カーブI1r(λ)、I2r(λ)及びI3r(λ)は、最大値が、それぞれ0.2499、0.0365及び0.0084であり、すなわち最小減衰率が、10Log()によって表すと、−6.0dB、−14.3dB及び−20.8dBである。図11のフィルタでは、個々の段の数nが増加したとき、一巡伝達Inr(λ)(n>3)の最大漏れ強度は、さらに減少する。計算したところでは、I4r(λ)、I5r(λ)及びI6r(λ)の最大値は、それぞれ0.00210、0.00051及び0.00013(最小減衰率:−26.8dB、−32.9dB及び−38.9dB)である。
【0074】
図14に、入射偏光子49(P=0°)と、n個の分散的光回転子51、51、51、・・、51(回転角ρo1(λ)、ρo2(λ)、ρo3(λ)、・・、ρon(λ))と、n個の半波リターダー52、52、52、・・、52と、n個の後続の偏光子49、49、・・・、49n+1(方位角:P、P、・・・、Pn+1)とを含む、本発明の他のn段(n=2、3、4、・・・)フィルタを概略的に示す。それらは、直列に配置されてn段を形成し、それぞれが、図8の構成による光回転子及び半波リターダーを含む。光回転子51、51、51、・・、51は、好ましくは石英回転子であり、その回転角が、回転の向きを無視して、1:2:4:8:・・・2n−1、すなわち|ρo1(λ)|:|ρo2(λ)|:|ρo3(λ)|:・・・:|ρon(λ)|=1:2:4:・・・:2n−1の比である。図14の実施例では、偏光子49、49、・・・、49n+1は、偏光子49に対して平行に、すなわちP=0°、P=0°、・・、Pn+1=0°で配向される。半波リターダー52、52、52、・・、52は、フィルタの波長範囲において色収差がなく、ビーム軸のまわりで回転可能であることが好ましい。それらは、それぞれ回転子51、51、51、・・、51の後に(図14に示すように)、又はその前に位置し、それぞれその先行する偏光子に対して、直前の回転角の比と同じ比である方向角ψ、ψ、ψ、・・・ψで、すなわちψ:ψ:ψ:・・・:ψ=ρo1(λ):ρo2(λ):ρo3(λ):・・・:ρon(λ)で配向される。図14のフィルタが伝達する光強度I=I(λ)は、式(11)に基づき計算することができ、次の式であることが分かる。
【0075】
=cos(ρo1(λ)+2ψ)cos2(ρo1(λ)+2ψ)cos4(ρo1(λ)+2ψ)・・・cosn−1(ρo1(λ)+2ψ) (20)
図14のフィルタは、基本スペクトル伝達プロフィールが、回転の向きを無視して1:2:4:8:・・・:2n−1の比になり分散的である光回転子の回転角によって決定される、リヨ構造のものである。このフィルタの単一段は、静止したままでいることができる中間の偏光子によって、分離される。フィルタは、入射偏光子49に対してリターダー52、52、52、・・、52を、その方向角の比を不変のままにして、同時に回転させることによって、同調可能である。偏光子49、49、・・・、49n+1を、その方位角が、それぞれその先行する偏光子に対し回転角の比と同じ比でその比を不変のままで、回転させることによって、フィルタを同調させることも重要である。
【0076】
図14のフィルタの同調は、好ましくは複屈折リターダー及び電気的回転可能なLCリターダーから選択され使用するリターダーに依存して、機械的又は電気的に行うことができる。機械的同調では、色収差のない波長板及びゼロ次波長板を含め、複屈折リターダーを使用することが望ましい。例として、図15に、図14のn=2の場合の実施例による、2つの石英回転子及び2つの同一ゼロ次半波プレートを使用した2段フィルタの、スペクトル範囲400〜550nmにおいて計算した同調スペクトル伝達I(λ)を、ψ=0°、ψ=30°及びψ=60°の場合について提示する。石英回転子は、回転角が、波長λの二乗に比例すると仮定する。この仮定は、石英回転子を使用する以下の計算にも適用する。ゼロ次波長板は、位相遅れが、λ=463nmで180°に等しく、式(2)によって記述されるように分散的であると仮定する。従来技術の偏光子固定リヨn段同調フィルタと比較すると、図14のフィルタは、必要な色収差のない4倍波プレートが、前者より少ないn個である。
【0077】
図14のフィルタでは、電気的同調が望まれた場合、同等の電気的回転可能なLCリターダーを使用することが好ましい。LCリターダーは、ゼロ場における方向角ψoff1、ψoff2、ψoff3、・・・ψoffnが、入射偏光子49に対して回転角の比と同じ比、すなわちψoff1:ψoff2:ψoff3:・・・:ψoffn=ρo1(λ):ρo2(λ):ρo3(λ):・・・:ρon(λ)の比になるように配向される。それらが切り替えられたとき、その光軸が、回転し、制御電圧は、その回転した角度ψlc1、ψlc2、ψlc3、・・・ψlcnが、回転角の比と同じ比、すなわちψlc1:ψlc2:ψlc3:・・・:ψlcn=ρo1(λ):ρo2(λ):ρo3(λ):・・・:ρon(λ)の比になるように選ばれる。図14のフィルタは、電気的回転可能なLCリターダーを使用したとき、そのスペクトル・プロフィールが、光回転角によって決定され、フィルタは、LCリターダーを、それらの方向角の比を不変のままで、同時に回転させることによって電気的に同調可能である。同調は、連続的に又は離散的に回転可能なLCリターダーのどちらが使用されるかに依存して、連続的又は離散的いずれかで行うことが可能である。電気的回転可能なLCリターダーを使用した図13のフィルタは、さらに、そのように望まれた場合、LCリターダーを、その方向角の比を不変のままで、同時に回転させることによって機械的に同調可能である。
【0078】
図16に、入射偏光子49(P=0°)と、n個の分散的光回転子51、51、51、・・、51(回転角:ρo1(λ)、ρo2(λ)、ρo3(λ)、・・、ρon(λ))と、n個の能動型偏光回転子53、53、53、・・、53(回転角:ρa1、ρa2、ρa3、・・、ρan)と、n個のその後に続く偏光子49、49、・・・、49n+1(方位角:P、P、・・・、Pn+1)とを含む、本発明の他のn段フィルタを概略的に示す。それらは、直列に配置されてn段を形成し、それぞれが、図9の構成によって光回転子及び能動型偏光回転子を含む。光回転子51、51、51、・・、51は、好ましくは石英回転子であり、その回転角が、回転の向きを無視して、比1:2:4:8:・・・:2n−1、すなわち比|ρo1(λ)|:|ρo2(λ)|:|ρo3(λ)|:・・・:|ρon(λ)|=1:2:4:・・・:2n−1である。能動型偏光回転子53、53、53、・・、53は、好ましくはファラデー回転子又は適切なLC偏光回転子、たとえばツイスト・ネマチック偏光回転子であり、それらの回転角が、その直前の受動型回転角の比と同じ比である。図16の実施例では、偏光子49、49、・・・、49n+1は、偏光子の方位角P−P、P−P、P−P、・・・及びP−Pn−1が、光回転角と同じ比になるように配向される。図16のn段フィルタのスペクトル伝達は、式(12)に基づき計算することができ、P−P=ψとして、次の式であることが分かる。
【0079】
=cos(ρo1(λ)+ρa1+ψ)cos2(ρo1(λ)+ρa1+ψ)cos4(ρo1(λ)+ρa1+ψ)・・・cosn−1(ρo1(λ)+ρa1+ψ) (21)
図16のフィルタは、リヨ幾何形状のもので、図9のフィルタの特徴をすべて有する。図16のフィルタのスペクトル・プロフィールI(λ)は、ファラデー回転子を使用したとき、光回転及びファラデー回転によって決定される。フィルタは、ファラデー回転子に加える磁場を調節し、ファラデー回転角をその比を不変のままで同時に変えることによって、電気的に同調可能である。フィルタは、一方向デバイスとしても機能することができる。この目的のために、その回転角が、それぞれファラデー回転角に相似又は理想的には等しく、したがってフィルタの一巡伝達が、回転角ρo1(λ)とρf1(λ)の一致性に応じて最小値に近づくように、受動型光回転子を選ぶことが望ましい。偏光子49、49、・・・、49n+1は、入射偏光子49に対し条件P=45°及びP=P=・・・=P=Pn+1=−45°を満足するように、配向される。
【0080】
図16の実施例では、能動型偏光回転子53、53、53、・・、53として、LC偏光回転子、たとえばツイスト・ネマチックLC偏光回転子を使用することも好ましい。ツイスト・ネマチックLC回転子は、適切な制御電圧を加えたとき、回転が生じない。ツイスト・ネマチックLC回転子が、切り替えられず、したがってρlc1:ρlc2:ρlc3:・・:ρlcn=ρo1(λ):ρo2(λ):ρo3(λ):・・:ρon(λ)であるとき、その回転角は、それぞれρlc1、ρlc2、ρlc3、・・、ρlcnに等しい。図16のn段フィルタのスペクトル伝達は、ツイスト・ネマチックLC偏光回転子を使用したとき、P−P=ψとして次の式で与えられる。
【0081】
【数16】


図16のフィルタのスペクトル・プロフィールI(λ)は、ツイスト・ネマチックLC偏光回転子を使用したとき、受動型光回転子によって決定される。フィルタは、同時にLC偏光回転子を切り替える又は切り替えないことによって、離散的に2つの状態で同調することができる。さらに、フィルタは、同時に偏光子49、49、・・・、49n+1を、その方位角の比を不変のままで、又はその方位角が、偏光子49に対して平行であるように、回転させることによって、機械的に同調させることが可能である。
【0082】
図17に、n+1個の偏光子49、49、49、・・・、49n+1(P、P、P、・・・、Pn+1)と、n個の可変リターダー55、55、55、・・、55と、2n個の光回転子51、51、51、・・、51(ρo1(λ)、ρo2(λ)、ρo3(λ)、・・、ρon(λ))及び54、54、54、・・、54(−ρo1(λ)、−ρo2(λ)、−ρo3(λ)、・・、−ρon(λ))とを含む、本発明の他のn段フィルタを概略的に示す。それらは、n個の単一段を直列に形成するように配置され、それぞれが、図10の構成に従う。各段中の光回転子51及び54(i=2、3、4、・・)は、等しいが反対の回転角、すなわちρ(λ)=−ρ(λ)を有する。回転角ρo1(λ)、ρo2(λ)、ρo3(λ)、・・、ρon(λ)は、フィルタの波長範囲において回転の向きを無視して、1:2:4:8:・・・:2n−1の比であることが好ましい。偏光子49、49、・・・、49n+1は、入射偏光子49に対して平行に、すなわちP=0°、P=0°、P=0°、・・及びPn+1=0°で配向されることが好ましい。リターダー55、55、55、・・、55は、同一であり、それぞれが、好ましくはLC可変リターダー、たとえばネマチック又はホメトロピック配向ネマチックLCセルであり、その位相遅れが、制御電圧を加えることによって、可変である。それらは、位相遅れが、2つの状態ΔoffとΔonの間で切り替え可能であるように動作させ、その位相遅れは、フィルタの波長範囲において、それぞれ0°及び180°に等しい又はほぼ等しい。リターダー55、55、55、・・、55は、その光軸の方向角(位相遅れが非ゼロである切り替え状態)ψV1、ψV2、ψV3、・・・ψVnが、回転角の比と同じ比、すなわちψV1:ψV2:ψV3:・・・:ψVn=ρo1(λ):ρo2(λ):ρo3(λ):・・・:ρon(λ)の比になるように配向される。図17のフィルタは、同時にリターダー55、55、55、・・、55を、同期してΔoffとΔonの間でその位相遅れを切り替えるように、動作させることによって、電気的に切り替え可能である。式(14)に基づき、図17のn段フィルタのスペクトル伝達I=I(λ)は、次の式のように書くことができる。
【0083】
【数17】


図17のフィルタは、偏光子49が、偏光子49に対して直角に、すなわちP−P=90°で配向され、それに続く偏光子49、・・・、49n+1が、偏光子49に対して平行なとき、オフ状態であり光を遮断することができる。P=0°、P=90°、P=0°、・・及びPn+1=0°の場合、スペクトル伝達Iは、次の式になる。
【0084】
【数18】


図17のフィルタは、電気的に同時にLC可変リターダーを切り替えることによって、スイッチとして働く。フィルタのスペクトル伝達(切り替え状態)は、さらに、機械的にLCリターダーを回転させ、同時にその方向角を、その比を不変のままで変えることによって、同調させることができる。LCリターダー55、55、55、・・、55は、電気光学的、光弾性的及び磁気的な変調器など同等の位相変調器によって置き換えることができる。
【0085】
本発明は、さらに、図6の同調器に基づき開発され、中間の偏光子を使用しない同調可能なスペクトル・フィルタを提供する。本発明の無損失フィルタ又は中間偏光子なしのフィルタの共通の特徴は、それらが基本的に機械的に同調可能であることである。それらは、さらに、ファラデー回転子、又はLCの電気的に回転可能な又は可変なリターダーなどの能動的構成要素を使用したとき、電気的に同調可能又は切り替え可能とすることができる。ファラデー回転子を使用したとき、本発明のフィルタは、さらに、リターダーを適切に配向して、一方向同調可能フィルタとして機能することができる。そのうえ、フィルタは、さらに、フィルタの構成が、ビーム軸に直角な軸のまわりで180°回転しても変わらない場合、ファラデー回転子を用いて電気的に切り替え可能とすることができる。そのような構成を有したフィルタでは、それは、さらに、LC可変リターダーをスイッチとして動作させて使用することによって、電気的に切り替え可能になることができる。したがって、使用に選択した偏光回転子及びリターダーに依存して、以下の本発明の単一フィルタ構成は、異なる同調及び/又は切り替えメカニズムで動作する、いくつかのバージョンのフィルタを製作することができる。
【0086】
以下の実施例では、本発明の無損失フィルタの基本構成を説明し、それらは、従来のフィルタリング用途には望ましい広い遮断帯域と狭い伝達ピークとを有するように、設計される。本発明によれば、各フィルタは、そのスペクトル伝達が、出射偏光子を90°だけ回転させることによって反転し、それによってノッチ・フィルタとして働くことができ、そのノッチ・フィルタは、広い伝達帯域と不要な波長を遮断する狭いノッチとを有し、殊に通信及びカラー表示などの領域で有益である。ノッチ・フィルタのスペクトル伝達は、1からその最初のフィルタの伝達を引いたものに等しく、すなわち最初のフィルタの逆数であり、したがってノッチ・フィルタは、最初のフィルタが、光を遮断し伝達した波長において、それぞれ同調可能で光を伝達し遮断する。ノッチ・フィルタは、伝達が反転されていることを除き、その最初のフィルタが有する特徴をすべて有し、その構成要素は、最初のフィルタと同じ方法で選択することが好ましい。
【0087】
図18に、図6cの実施例による2つのリターダー同調器を使用する、中間偏光子がない本発明の同調可能スペクトル・フィルタの構成を概略的に示す。フィルタは、入射偏光子61(P=45°)と、第1の偏光回転子62(−ρ(λ))と、第1のリターダー63(Δ、−ψ)と、第2の偏光回転子64(2ρ(λ))と、第2のリターダー65(Δ、ψ)と、第3の偏光回転子66(−ρ(λ))と、出射偏光子67(P=45°)とを含む。それらは、光ビーム軸に沿って、その軸方向が図18で指定されたように配向されて縦列で配置される。偏光子61及び67は、平行に配向され、軸が、選択された基準軸、つまりy軸に対して45°の角度である。偏光回転子62、64及び66は、その回転角−ρ(λ)、2ρ(λ)及び−ρ(λ)が、1:−2:1の比であり、それらは、光回転子とすることができ、それぞれは、たとえば石英光回転子又はファラデー回転子又は他の同等物とすることができる。回転子62及び66は、同一であり、それらの回転角は、回転子64の向きとは反対の向きである。回転角が反対の向きである2つの光回転子は、それぞれ右偏光性回転石英及び左偏光性回転石英を使用することによって、製造することができる。ファラデー回転の向きは、磁場の方向によって、支配され、したがって磁場の方向を変えることによって変化させることができる。リターダー63及び65は、同一であり、位相遅れΔが、フィルタの波長範囲において80°と115°の範囲で選択されることが好ましい所定の値に、又はより一般的に条件80°≦Δ≦115°を満たすように取られた値に等しい又はほぼ等しい。回転子64は、2つの同一の縦続接続された偏光回転子と同等であり、それぞれが、回転角ρ(λ)を有する。したがって、回転子62、64及び66とリターダー63及び65との組み合わせは、図6cの実施例による、位相遅れΔが同一であり、その回転角がそれぞれ−(ρ(λ)+ψ)及び(ρ(λ)+ψ)に等しい2つのリターダー同調器68及び69の直列接続と、同等である。Mueller行列公式によって、図18のフィルタが伝達する相対光強度I=I(λ)は、次の式によって与えられ、表し計算することができる。
【0088】
【数19】


回転角ρ=ρ(λ)の分散性のため、式(24)で記述される伝達I=I(λ)は、波長に依存するプロフィールを示す。伝達I(λ)は、入射偏光子61に対して同時にリターダー63及び65を、それらの軸をy軸のまわりで対称に保ちながら回転させることによって、すなわち式(24)中の角度ψを変化させることによって同調可能であり、さらに、回転子62、64及び66の回転角を、その比1:−2:1を不変のままで変化させることによって、すなわち式(24)中のパラメータρ(λ)を変化させることによって同調可能である。出射偏光子67が、図18に示すその方向すなわちP=−45°から90°だけ回転したとき、フィルタは、スペクトル伝達I2notch(λ)が、1−I(λ)に等しいノッチ・フィルタになる。ただし、I(λ)は、式(24)によって記述される。式(24)中のI(λ)は、パラメータΔの関数でもある。Δ=90°の場合、式(24)から、図18のフィルタが伝達する光強度Iは、次の式になる。
【0089】
=sin2(ρ(λ)+ψ) (25)
式(25)は、基本プロフィールが、回転角ρ=ρ(λ)及び角度ψに等しい位相シフトによって決定される、標準ソルク2枚プレート・フィルタの伝達を正確に記述する。図19に、ψ=0°で、それぞれΔ=80°、Δ=90°、Δ=105.8°、Δ=110°及びΔ=115°の場合について、400〜550nmの波長範囲において、1組の計算した式(24)による伝達カーブI(λ)を提示する。この図に示すように、Δ=90°の場合の図18のフィルタの伝達I(λ)は、標準ソルク2枚プレート・フィルタの伝達と同等である。I(λ)の主な伝達ピークの帯域幅は、Δ値が90°から大きくなったとき、狭められ、振幅がΔ値の増加につれて増加するサイドローブが、2つの主なピーク間に現れる。Δの値がそんなに大きくない、たとえばせいぜい約115°の場合、サイドローブ振幅は、技術的に許容できる構成で制御することになる。たとえばΔ=105.8°の場合、サイドローブ振幅は、標準2段リヨ・タイプのフィルタのサイドローブと同じ大きさになる。様々な用途の要求をよりよく満たすための、標準ソルク・タイプ2枚プレート・フィルタと同等で修正されたフィルタを提供するように、Δの値を選べる融通性がある。図19で与えられた伝達スペクトルでは、回転子62、64及び66は、回転角が、λ=800nmでρ(λ)=90°である石英光回転子と仮定する。計算で確認したように、プロフィールI(λ)は、同時にリターダー63及び65を回転させて角度ψを変えることによって、又は回転角の比を不変のままにして回転子の回転角を変化させることによって同調可能である。
【0090】
図18の実施例では、偏光回転子62、64及び66は、光回転子及びファラデー回転子から選択するのが好ましく、リターダー63及び65の適切な候補は、複屈折リターダー、LC電気的回転リターダー及びLC可変リターダーを含む。図18のフィルタは、機械的に同調可能であり、さらに、使用に選択した偏光回転子及びリターダーに依存して、電気的に同調可能に、電気磁気的に同調可能に、かつ/又は一方向で同調可能に、又は電気的に切り替え可能にすることができる。機械的同調だけが所望の場合、回転子62、64及び66として石英光回転子を、及びリターダー63及び65として複屈折リターダーを使用することが好ましい。フィルタは、同時に複屈折リターダーを、基準軸のまわりでその光軸を対称に保ちながら回転させることによって、機械的に同調させることができる。使用する複屈折リターダーは、必要に応じて位相遅れを有した色収差がないものが好ましい。既存の技法によって製造される色収差のない波長板は、通常4倍波及び半波プレートである。位相遅れが90°又は180°でない複屈折の色収差がない波長板は、Beckersの報告による方法(Beckers,J.M.(1971)Appl.Opt.10:973)と同様に、複数の複屈折プレートによって製造することができる。従来技術による(機械的に)同調可能なソルク2枚プレート・フィルタの構築は、少なくとも4つの色収差のない波長板(4つの色収差のない4倍波プレートを含むCarl F.Buhrerの二重同調器の使用)及び2つの複屈折プレートが必要である。これとは違い、図18のフィルタは、2つの色収差のない波長板だけと3つの複屈折プレート(石英光回転子)とを使用する。フィルタの波長範囲がそんなに広くなく、かつ/又はスペクトル波形又はサイドローブ抑制への要求がそんなに高くない、いくつかの用途には、ゼロ次波長板を使用して色収差のないリターダーを置き換えることが望ましい。図20に、リターダー63及び65として2つの同一ゼロ次波長板を使用したときの、ψ=0°、ψ=30°及びψ=60°の場合について、図18のフィルタの1組の計算した同調伝達カーブI(λ)を提示する。図20の計算は、図19の条件と同じ条件で行い、ゼロ次波長板は、位相遅れが、λ=503nmで90°に等しいと仮定する。この図に示すように、程よい広さの波長範囲では、ゼロ次波長板使用することによって生じたI(λ)の波形の変形は、カラー表示、及びイメージング及び投射などの用途では、無視できる、又は実用的な使用に影響しない。
【0091】
図18のフィルタは、リターダー63及び65として適切なLC電気的回転リターダー、及びやはり回転子62、64及び66として石英光回転子を使用したとき、電気的に同調可能である。LCリターダーは、基準軸のまわりでその光軸が対称であるように、配向される。フィルタは、LCリターダーを、その軸を電気的に回転させ基準軸のまわりで対称であることを保ちながら、動作させることによって同調可能であり、さらに、機械的にLCリターダーを回転させることによって同調可能である。図18のフィルタは、さらに、適切な可変リターダーが、リターダー63及び65として使用され、2つの選択状態間で位相遅れを切り替え可能なように動作させたとき、電気的に切り替え可能とすることができる。一方の切り替え状態では、可変リターダーは、位相遅れが、フィルタのスペクトル範囲において0°に等しい、又はほぼ等しい。他方の状態では、それらは、位相遅れが、好ましくは80°と115°の範囲から選択された値に等しい、又はほぼ等しい。ゼロの位相遅れの状態では、可変リターダーは、等方性媒体として働き、したがって回転子62、64及び66が、互いに補償し合い、フィルタは、十分光を伝達する。非ゼロの位相遅れの状態では、フィルタは、式(24)によって記述されたスペクトル伝達を有する。フィルタは、同時に可変リターダーを切り替えることによって電気的に切り替え可能であり、さらに、機械的に可変リターダーを、基準軸のまわりでその光軸を対称に保ったままで回転させることによって同調可能である。図18のフィルタでは、可変リターダーを使用したとき、得られる追加の利点は、その伝達ピークの帯域幅が、可変リターダーの位相遅れを好ましくはおおよそ80°から115°の範囲で電気的に変化させることによって(図19参照)、調節可能になることである。
【0092】
偏光回転子62、64及び66として同等のファラデー回転子を使用した、図18のフィルタは、電気磁気的に同調可能である。フィルタは、ファラデー回転子に加える磁束密度を変えて、ファラデー回転角を、その比1:−2:1を不変のままで変化させることによって、電気的に同調可能である。この場合、リターダー63及び65は、色収差のない又はゼロ次の複屈折リターダーであることが好ましく、選択された基準軸に対しそれぞれψ及び−ψで配向される。角度ψは、機械的に調節することができる。フィルタは、さらに、一方向に光を伝達し同調してフィルタリングし、逆方向の光を遮断する一方向デバイスとして、機能することができる。そのような一方向デバイスでは、リターダー63及び65が、静止状態で、それぞれψ=22.5°及び−ψ=−22.5°に配向することが好ましい。この場合、フィルタの一巡伝達I2r=I2r(λ)は、次の式になる。
【0093】
【数20】


図21に、式(25)によって計算した、波長範囲500〜650nmで一方向デバイスとして働くときの、図18のフィルタの理論的一巡伝達カーブI2r(λ)を提示する。フィルタの2つのリターダーは、色収差がなく、位相遅れΔを有したものと仮定し、3つのファラデー回転子は、ファラデー回転角ρ(λ)が、λ=1453nmで45°に等しいと仮定するTGGガラスから作られたと仮定する。一巡伝達カーブI2r(λ)は、Δ=90°、Δ=99.8°、Δ=105.8°及びΔ=110°(図21a)について、式(24)によって計算した対応する前向き伝達カーブI(λ)(図21b)と比較する。Δ=99.8°では、分離I2r(λ)は、最大一巡伝達が、0.029(最小減衰率:−15.4dB)に等しい最適な結果に達する。
【0094】
図22に、無損失リヨ2段フィルタに同等な、本発明の他のスペクトル・フィルタの構成を概略的に示す。フィルタは、入射偏光子71(P=0°)と、第1の偏光回転子72(ρ(λ))と、第1の4倍波リターダー73(Δ=90°、ψ)と、第2の偏光回転子74(ρ(λ))と、第2の4倍波リターダー75(Δ=90°、ψ)と、第3の偏光回転子76(−ρ(λ))と、出射偏光子77(P)とを含む。それらは、光ビーム軸に沿って、それらの軸の方向が指定されたようにして縦列に配置される。回転子72、74及び76は、石英光回転子又はファラデー回転子とすることができ、その分散的回転角ρ(λ)、ρ(λ)及び−ρ(λ)が、フィルタの波長範囲において1:1:−1の比である。リターダー73及び75は、色収差のない又はゼロ次の複屈折リターダーが好ましい。回転子74は、−ρ(λ)の回転と2ρ(λ)の回転との直列の組み合わせと同等と考えることができ、一方回転子76は、−2ρ(λ)の回転とρ(λ)の回転との直列の組み合わせと同等と考えることができる。したがって、回転子72、74及び76とリターダー73及び75との組み合わせは、図6cの実施例による2つのリターダー同調器78及び79と、図6aによって記述された偏光子同調器80との直列の接続と同等である。上記で規定されたように、同調器78及び79は、位相遅れが、同一のΔ=90°であり、その方向角が、それぞれθ=ψ+ρ(λ)、θ=ψ+2ρ(λ)に等しく、一方同調器80は、その方位角が、P+ρ(λ)に等しい。したがって、図22のフィルタが伝達する光強度I=I(λ)は、次の式によって与えられ、表され計算される。
【0095】
【数21】


リターダー73及び75、及び出射偏光子77は、入射偏光子71(P=0°)に対して、その方向角及び方位角が、比、ψ:ψ:P=1:2:1、すなわちψ=2ψ及びP=ψ、又は比、ψ:(ψ−90°):(P−90°)=1:2:1、すなわちψ=90°+2ψ及びP=90°+ψになるように配向される。θ=ρ(λ)+ψ、θ=2ρ(λ)+2ψ、とし、ψ=2ψ、P=ψとすると、式(27)は、次の式のように簡単化される。
【0096】
【数22】


又は、ψ=90°+2ψ、P=90°+ψとすると、次の式になる。
【0097】
【数23】


式(28a)及び(28b)によって記述される伝達は、互いにπ/2だけシフトされていることを除き、互いに同一である。式(28a)又は(28b)は、その基本プロフィールが回転角ρ=ρ(λ)によって決定され、位相シフトが角度ψに等しいリヨ2段フィルタの伝達スペクトルを正確に記述する。
【0098】
リターダー73及び75として複屈折のゼロ次波長板を用いた、図22のフィルタの伝達スペクトルは、対象とする波長範囲及び使用するゼロ次波長板に依存して、式(28a)又は(28b)によって記述されたものとわずかに異なることになる。例として、図23に、2つのゼロ次波長板及び3つの石英回転子を含むと仮定する図22の構成によるフィルタのψ=2ψ、P=ψの場合の、波長範囲400〜650nmにおいて1組の計算した同調伝達カーブI(λ)を提示する。伝達カーブI(λ)は、ψ=0°(図23a)、ψ=45°(図23b)、ψ=90°(図23c)及びψ=135°(図23d)について、色収差のない4倍波プレートを使用したとき生成されるカーブと比較する。石英回転子の回転角は、λ=1064nmでρ(λ)=90°と仮定し、ゼロ次波長板が、λ=496.3nmで90°に等しい位相遅れを有すると仮定して、1:1:−1の比である。
【0099】
光回転子を使用したとき、図22のフィルタは、同時にリターダー73(ψ)及び75(ψ)、並びに偏光子77(P)を、比、ψ:ψ:P=1:2:1、又は比、ψ:(ψ−90°):(P−90°)=1:2:1を不変のままで、z軸のまわりで回転させることによって、機械的に同調可能である。偏光回転子72、74及び76がファラデー回転子であるとき、図22のフィルタは、ファラデー回転角ρ(λ)、ρ(λ)及び−ρ(λ)を、その比1:1:−1を不変のままで変化させることによって、電気的に同調可能である。ファラデー回転子を使用したとき、リターダー73及び75、並びに出射偏光子77は、静止状態であり、ψ、ψ=2ψ及びP=ψ、又はψ=90°+2ψ及びP=90°+ψで配向されることが好ましい。角度ψ、ψ及びPを、その比を不変のままで調節することによって、その結果、機械的同調を行うことができる。ψ=45°、ψ=90°及びP=45°、又はψ=0°及びP=−45°の場合、図22のフィルタは、さらに、一方向の電気的に同調可能なフィルタとして機能する。図22の一巡伝達は、ψ=45°、ψ=90°及びP=45°の場合、次のようになる。
【0100】
3r=cos(ρ(λ)+45°)cos2(ρ(λ)+45°)cos2(ρ(λ)−45°)cos(ρ(λ)−45°) (29a)
又は、ψ=45°、ψ=0°及びP=−45°の場合、次のようになる。
【0101】
3r=sin(ρ(λ)+45°)cos2(ρ(λ)+45°)cos2(ρ(λ)−45°)sin(ρ(λ)−45°) (29b)
図22のフィルタの伝達は、出射偏光子77を、その方向、P=ψ又はP=90°+ψから90°だけ回転させて、反転することができる。ψ=2ψ及びP=90°+ψ、又はψ=90°+2ψ及びP=ψの場合、図22のフィルタは、そのスペクトル伝達I3notch(λ)が、最初のスペクトルI(λ)に対して相補的、すなわちI3notch(λ)=1−I(λ)である、ノッチ・フィルタになり、ここでI(λ)は、式(28a)又は(28b)によって記述される。図22のフィルタ又はそのノッチ・フィルタは、同時にリターダー73及び75、並びに出射偏光子77を回転させ、角度ψを変化させることによって、同調可能である。
【0102】
図22の実施例では、出射偏光子77は、受動型回転子を使用したとき、同調するために回転させなければならない。図22の構成は、図24に示すように、回転可能半波リターダー81を偏光子77の直前に挿入して修正し、偏光子固定同調フィルタを形成することができる。この実施例では、出射偏光子77は、静止状態であり、好ましくはP=0°(図24に示すように)又はP=90°で配向する。追加のリターダー81は、その軸が、入射偏光子71に対して角度ψ=0.5ψになるように配向し、したがってリターダー73、75及び81の方向角ψ、ψ及びψが、P=0°の場合ψ:ψ:ψ=2:4:1の比に、又はP=90°の場合ψ:(ψ−90°):(ψ−90°)=2:4:1の比になる。この実施例では、偏光回転子72、74及び76は、光回転子であることが好ましく、リターダー73、75及び81は、色収差のない又はゼロ次の複屈折リターダー、或いは同等のLCリターダーとすることができる。図24のフィルタは、式(28)が記述するスペクトル伝達と同じスペクトル伝達を有し、偏光子71に対して同じ方向にz軸のまわりで同時にリターダー73、75及び81を回転させ、ψ:ψ:ψ=2:4:1の比、又はψ:(ψ−90°):(ψ−90°)=2:4:1の比を不変のままでその方向角ψ、ψ及びψを変化させることによって、同調可能である。同調は、複屈折リターダー又はLC電気的回転リターダーを使用したとき、機械的又は電気的に行う。LCリターダーは、場を加えていないときのその光軸の方向角が、入射偏光子に対して、ψ:ψ:ψ=2:4:1の比に、又はψ:(ψ−90°):(ψ−90°)=2:4:1の比になるように配向し、電気的及び/又は機械的に回転可能とすることができる。
【0103】
この発明者の知識によれば、今日まで、中間に偏光子を必要としないでリヨ2段フィルタとして働く、報告されたデバイス又は光学的構成は、存在していない。波長固定フィルタであり、3つの同一の複屈折プレートを含む波長固定フィルタであるいわゆる分割要素フィルタ(Evans,J.W.(1949)J.Opt.Soc.Am.39:229)は、リヨ2段フィルタとして正確に光強度を伝達しない。分割要素フィルタの伝達をリヨ2段フィルタの伝達になるように修正するために、色収差のない4倍波位相遅れのシフト部を各分割要素に追加し、色収差のない半波位相遅れシフト部を中心要素に追加する必要がある。したがって、分割要素フィルタを同調させるために、少なくともBuhrerの二重同調器(4つの色収差のない4倍波プレート)及び1つ又は2つの追加の色収差のない波長板が、必要である。Sharp他は、分割要素フィルタの1つを90°だけ回転させることによって、Evansの分割要素フィルタを修正した(Sharp G.H.及びJohnson K.M.米国特許第6,091,462号)。改善された分割要素フィルタは、2段リヨ・フィルタのスペクトルを生成するために、各分割要素中に4倍波位相シフト部及び最初の構造より小さい1つの色収差のない波長板を必要とする。たとえば図2の構成に基づく標準リヨ2段同調可能フィルタの構築さえ、2つの偏光子に加えて、中間偏光子、2つの単一複屈折プレート及び4つの色収差のない波長板を必要とする。しかし、図22及び図24の本発明の同調可能フィルタは、中間偏光子を使用せず、3つだけの複屈折プレート(光回転子)と、2つ(図22)又は3つ(図24)の色収差のない波長板とが必要である。さらに、本発明の実施例によって、ほどほどの広さのスペクトル範囲での無損失リヨ2段同調可能フィルタの構築に、ゼロ次波長板の使用が可能になる(たとえば、図23参照)。さらに、本発明の実施例によって、それぞれ、電気磁気的に同調可能であり、一方向デバイスとして働くことができ、ファラデー回転子を使用した新特徴を有した無損失リヨ2段フィルタ(図22)、又は電気的に同調可能であり、LCリターダーを使用した新特徴を有した無損失リヨ2段フィルタ(図24)が実現可能になる。
【0104】
図25に、入射偏光子82(P=0°)と、第1の偏光回転子83(−ρ)と、第1のリターダー84(Δ、ψ)と、第2の偏光回転子85(2ρ)と、第2のリターダー86(Δ、ψ)と、第3の偏光回転子87(−2ρ)と、第3のリターダー88(Δ、ψ)と、第4の偏光回転子89(ρ)と、出射偏光子90(P)とを含む、本発明の3同調器フィルタの構成を概略的に示す。それらは、光ビーム軸、すなわちz軸に沿って縦列に配置され、それらの軸が、図25で指定されたようにy軸に対して配向される。入射偏光子82及び出射偏光子90は、図25に示すように、P=0°及びP=90°で互いに直角に配向される。回転子83、85、87及び89の分散的回転角ρ(λ)、−2ρ(λ)、2ρ(λ)及び−ρ(λ)は、1:−2:2:−1の比である。第1及び第3のリターダー84及び88は、同一であり、位相遅れΔ=Δ=Δが、60°と100°の範囲から好ましくは選択された所定の値に等しい又はほぼ等しい。リターダー84及び88は、その軸が、平行であり、y軸に対して角度−ψで、すなわちψ=ψ=−ψで配向される。リターダー86は、半波リターダー(Δ=180°又はΔ=180°)であり、その軸が、y軸に対してψ=ψ+45°で配向される。回転子83、85、87及び89とリターダー84、86及び88との組み合わせは、図6cによる3つのリターダー同調器91、92及び93の直列接続と同等である。同調器91及び93は、同一であり、位相遅れΔを有し、互いに平行であり、その方向角が、θ=−(ρ(λ)+ψ)になるように配向され、一方中心同調器92は、その位相遅れΔ=180°及びその方向角θ=ρ(λ)+ψ+45°=−(θ−45°)であることを特徴とする。したがって、図25のフィルタのスペクトル伝達I=I(λ)は、次の式で与えられ、表され計算される。
【0105】
【数24】


図25に示した実施例、すなわちP=0°及びP=90°、並びにθ=−(ρ(λ)+ψ)の場合、式(30)から、次に式が得られる。
【0106】
【数25】


式(31a)によって記述される図25のフィルタのスペクトル伝達I=I(λ)は、回転角ρ=ρ(λ)のため、波長に依存するプロフィールを示す。本発明によれば、偏光子82及び90は、P=45°及びP=135°で配向することもできる。P=45°及びP=135°の場合、式(30)から、フィルタの伝達は、次の式になる。
【0107】
【数26】


式(31b)によって記述されるスペクトルは、互いにπ/4だけシフトされることを除いて、式(31a)のスペクトルと同一である。式(31a)又は式(31b)によって記述される伝達I=I(λ)は、パラメータΔの関数でもある。好ましくは条件60°≦Δ≦100°を満たすようにフィルタを設計する際、リターダー84及び88の位相遅れΔの値を選べる融通性がある。たとえば、Δ=90°の場合、式(31a)及び式(31b)は、簡単化され、光強度Iは次に式によって与えられる。
【0108】
【数27】


式(32a)又は式(32b)は、正確に標準リヨ・タイプ2段フィルタの伝達を記述する。位相遅れΔが90°でない値を有したとき、図25のフィルタの伝達スペクトルI(λ)は、式(31a)又は式(31b)によって記述されるように修正される。図26に、波長範囲400〜700nmにおいて、ψ=0°の場合について式(31a)によって計算した、図25のフィルタの1組の伝達カーブI(λ)を示す。この計算では、リターダー84、86及び88は、色収差がなく、回転子83、85、87及び89は、石英光回転子であり、その光回転角が、λ=726.85nmでρ(λ)=90°であると仮定し、したがってI(λ)が、420nm及び514nmで主な最大値を取る。この図に示すように、Δ=60°のとき、伝達I(λ)は、まったくサイドローブを有しないが、主な伝達ピークが、最も広い。主な伝達ピークの帯域幅は、Δの値が60°から大きくなったとき、狭くなり、2つのサイドローブが、主なピーク間に現れ、その大きさは、Δの値が大きくなるにつれて大きくなる。Δ=75.52°を用いると、伝達I(λ)は、ソルク・タイプ3枚プレート・フィルタの伝達と同一である。Δ=90°の場合、フィルタは、式(32a)によって記述されるカーブI(λ)を有したリヨ2段フィルタと同等である。Δの値が、さらに大きくなるにつれて、主な伝達ピークがさらに狭くなるが、サイドローブの大きさが、もっと急速に増加する。図25の実施例は、望むようにサイドローブの抑制可能な3同調器スペクトル・フィルタを設計し構築する可能性を提供する。Δの値がそれほど大きくない、たとえばせいぜい100°の場合、サイドローブの大きさは、技術的に許容できるアレンジで制御されるはずである。サイドローブの大きさは、Δ=100°の場合0.154までであり、Δ=60°のときゼロに等しくなるまで、連続的に減少する。様々な用途の要件をよりよく満たすために、望むようにサイドローブの抑制が可能である、標準ソルク3段フィルタ及び無損失リヨ2段フィルタを含む同調可能フィルタを設計し提供するように、パラメータΔが選択できる融通性がある。図25のフィルタは、z軸のまわりで偏光子97に対し同じ速度で同期してリターダー84及び88を一方向に回転させ、リターダー86をそれとは反対方向に回転させ、それによってその方向角ψ=ψ=−ψ及びψ=ψ+45°を、上記で述べた関係を変えずに保ったままで変化させることによって、同調可能である。フィルタは、同時に回転子83、85、87及び89の回転角を、その比1:−2:2:−1を不変のままで変化させることによって、同調させることもできる。
【0109】
図25の構成は、出射偏光子90が入射偏光子82に対して平行に配向されたとき、ノッチ・フィルタになる。図25のフィルタのスペクトル伝達I3notch(λ)は、ノッチ・フィルタとして動作するとき、I3notch(λ)=1−I(λ)で与えられ、ここでI(λ)は、P=P=0°の場合、式(31a)によって、又はP=P=45°の場合、式(31b)によって記述される。図25の構成は、ビーム軸に対して直角な軸のまわりで180°回転しても変化しない。この実施例では、偏光回転子83、85、87及び89は、光回転子、たとえば石英回転子、及びファラデー回転子から選択されることが好ましい。リターダー84、86及び88の適切な候補は、複屈折の色収差がない及びゼロ次のリターダー、LC可変リターダー及びLC電気的回転リターダーを含む。使用に選択した偏光回転子及びリターダーに依存して、図25のフィルタは、機械的に同調可能、電気的に同調可能、電気磁気的に同調可能及び/又は一方向で同調可能或いは電気的に切り替え可能なように構築することができる。
【0110】
回転子83、85、87及び89が石英光回転子であるとき、リターダー84、86及び88として、同等の複屈折リターダー、好ましくは色収差がない又はゼロ次のリターダー、或いはLC電気的回転リターダーを使用することが、望ましい。フィルタは、同時に複屈折リターダー又はLC電気的回転リターダーを、上記で述べた方法で回転させることによって、機械的及び/又は電気的に同調可能とすることができる。ゼロ次リターダーは、フィルタの波長範囲が、それほど広くない、かつ/又はスペクトル波形又はサイドローブ抑制への要求がそれほど厳しくないとき、使用することができる。図27に、リターダー84及び86を2つのゼロ次4倍波プレートで置き換えた、図26のフィルタの計算した1組の同調伝達カーブI(λ)をλ=457.7nmで提示する。伝達カーブI(λ)は、同調角ψ=0°(図27a)、ψ=30°(図27b)及びψ=60°(図27c)の場合について、色収差のない4倍波プレートを使用したとき生じるカーブと比較する。図27の計算は、図26の計算と同じ条件の下で行う。これらの図に示すように、ゼロ次波長板を使用したことから生ずる主な効果は、I(λ)の主な伝達ピークが広がり、サイドローブの大きさが、それぞれより長い波長及びより短い波長の領域で、大きくなることである。しかし、波形の変形は、いくつかの用途ではクリティカルなものでないはずである。
【0111】
さらに、図25のフィルタは、適切なLC可変リターダーが、リターダー84、86及び88として使用されたとき、電気的に切り替え可能で機械的に同調可能とすることができる。LCリターダーは、必要に応じて配向され、2つの選択状態間で位相遅れを切り替え可能にするように動作させる。一方の切り替え状態では、LCリターダーは、すべて位相遅れが、フィルタのスペクトル範囲にわたり0°に等しい又はほぼ等しい。他方の状態では、リターダー86に取って代わったLCリターダーが、180°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有し、一方リターダー84及び88に取って代わったLCリターダーは、60°≦Δ≦100°のように取られた同一の位相遅れΔを有する。ゼロの位相遅れの状態では、LCリターダーは、回転子83、85、87及び89の回転角が、補償され、フィルタが、P=0°及びP=90°又はP=45°及びP=−45°の場合、完全に光を遮断するように等方性媒体として働く。非ゼロの位相遅れの状態では、フィルタは、式(32a)で記述されるスペクトル伝達を有する。フィルタは、同時にLCリターダーを切り替えることによって、電気的に切り替え可能であり、さらに、機械的にそれらを、その方向角の関係を不変のままで回転させることによって、同調可能である。LC可変リターダーを使用した図25のフィルタでは、得られる追加の利点は、その伝達ピークの帯域幅が、第1及び第3のLCリターダー(図26参照)の位相遅れを、好ましくはほぼ60°と100°の範囲で電気的に変化させることによって、調節可能になることである。
【0112】
回転子83、85、87及び89がファラデー回転子であるとき、図25のフィルタは、電気磁気的に同調可能にすることができる。磁場をファラデー回転子に加え、それによってその回転角が、ρ(λ)、−2ρ(λ)、2ρ(λ)及び−ρ(λ)に等しくする。フィルタは、磁束密度を変えて同時にファラデー回転角を、その比1:−2:2:−1を不変のままで変化させることによって、電気的に同調可能である。この場合、リターダー84、86及び88は、複屈折の色収差のない又はゼロ次の波長板であることが好ましく、必要に応じてψ=ψ=−ψ及びψ=ψ+45°で配向する。角度ψは、所望なら機械的に調節可能とすることができる。一方向デバイスのバージョウンでは、リターダー84、86及び88は、それぞれψ=ψ=−22.5°及びψ=ψ+45°=67.5°で配向することが好ましい。P=0°及びP=90°の場合、図25のフィルタの一巡伝達は、ファラデー回転子を使用したとき、次の式になる。
【0113】
【数28】


図28に、波長範囲500〜650nmにおいて式(33)によって計算した、ファラデー回転子を使用したときの図25のフィルタの、計算した一巡伝達カーブI3r(λ)を提示する。フィルタの3つのリターダーは、色収差がなく、第1及び第3のリターダーが位相遅れΔを有すると仮定し、TGGガラスの4つのファラデー回転子は、ファラデー回転ρ(λ)が、λ=1453nmで45°に等しいと仮定する。一巡伝達カーブI3r(λ)は、Δ=60°、Δ=70.5°、Δ=80°、Δ=90°及びΔ=100°(図28a)の場合について、式(31a)によって計算した対応する前向き伝達カーブI(λ)(図28b)と比較する。Δ=70.5°の場合、分離I3r(λ)は、逆向き光の遮断において、I3r(λ)の最大漏れ強度が0.003(最小減衰率:−25.1dB)に等しい、最適結果に達している。
【0114】
図22の実施例と比較すると、図25のフィルタの出射偏光子は、依然静止状態に留まることができる。このためのコストは、前者よりさらに1つ同調器が必要になることである。図24の実施例と比較すると、図25のフィルタは、その伝達スペクトルが、サイドローブの抑制又は調節できるようにするかどうかを設計者が決定できる柔軟性がある。さらに、図25の構成は、適切な切り替え可能なリターダー、たとえばLC可変リターダーを使用することによって、ちょうど図18の実施例のような、電気的に切り替え可能で機械的に同調可能なフィルタとして、動作することが可能になる。この同調性は、図24の構成では実現可能でない。その特徴を獲得するためのコストとして、図25のフィルタは、図24のフィルタよりもう1つの偏光回転子が必要になる。図22及び図25の構成は、リヨ2段フィルタの伝達と厳密に同等の伝達を有した一方向フィルタを構築するために、ともに使用することができる。図22の構成は、必要な構成要素が、より少なく、したがってΔ=90°の場合、図25のフィルタの構成より簡単である。しかし、図25の構成は、柔軟であり、よりよい減衰結果に達することが可能になる。
【0115】
本発明によれば、本発明の同調器を使用して、特別の伝達波形を有したスペクトル・フィルタの構築が実現する可能性がある。例として、本発明は、さらに、上部が平らなバンドパス伝達関数を有する、3同調器フィルタを提供する。図29に、入射偏光子94(P=0°)と、第1の偏光回転子95(3ρ)と、第1のリターダー96(Δ、ψ)と、第2の偏光回転子97(−4ρ)と、第2のリターダー98(Δ、ψ)と、第3の偏光回転子99(4ρ)と、第3のリターダー100(Δ、ψ)と、第4の偏光回転子101(−3ρ)と、出射偏光子102(P)とを含む、このフィルタの構成を概略的に示す。それらは、それらの軸が、図29に指定されたようにy軸に対して位置合わせされて、z軸に沿って縦列に配置される。入射偏光子94及び出射偏光子102は、互いに直角に配向される、すなわちP=0°及びP=90°である。回転子95、97、99及び101は、その分散的回転角3ρ(λ)、−4ρ(λ)、4ρ(λ)及び−3ρ(λ)が、フィルタの波長範囲において、3:−4:4:−3の比である。リターダー98は、位相遅れΔを有し、好ましくは色収差がなく、それは、y軸に対してその軸が角度ψ=−ψであるように配向される。リターダー96及び100は、同一であり、位相遅れΔ=Δを有し、好ましくは同じ波長範囲において色収差がないことである。それらは、平行であり、y軸に対してリターダー98の互いに反対側にあり、角度が、光伝播方向に沿って見て角度ψの3倍回転した、すなわちψ=ψ=3ψで配向される。回転子95、97、99及び101とリターダー96、98及び100との組み合わせは、図6cの実施例による3つのリターダー同調器103、104及び105の直列接続と同等である。同調器103及び105は、同一であり、位相遅れΔを有し、平行であり、その方向角が、θ=3(ρ(λ)+ψ)になるように配向され、一方同調器104は、その位相遅れΔ及び方向角θ=−(ρ(λ)+ψ)であることを特徴とする。したがって、図29のフィルタの伝達スペクトルI=I(λ)は、次の式で与えられ、表され計算される。
【0116】
【数29】


ただし、
【0117】
【数30】


θ=3(ρ(λ)+ψ)及びθ=−(ρ(λ)+ψ)とすると、式(34)は、次のように書くことができる。
【0118】
【数31】


本発明によれば、偏光子94及び102は、P=45°及びP=135°でも位置合わせすることができる。図29のフィルタの伝達I=I(λ)は、P=45°及びP=135°の場合、次の式であることが分かる。
【0119】
【数32】


式(36b)によって記述されるスペクトルは、互いにπ/4だけシフトされることを除いて、式(36a)のスペクトルと同一である。方向角θ=3(ρ(λ)+ψ)及びθ=−(ρ(λ)+ψ)の分散性のため、図29のフィルタの伝達I=I(λ)は、波長λの関数として変化する。伝達プロフィールI(λ)は、所定とすべき設計パラメータΔ及びΔの関数でもある。本発明によれば、図29のフィルタのスペクトル伝達I(λ)は、位相遅れΔ及びΔが、条件30°≦Δ≦50°及び170°≦2Δ+Δ≦220°を好ましくは満たすような値を取るとき、近似的な方形波形を有する。図30に、波長範囲400〜550nmにおいて、ψ=0°、22.5°、45°及び67.5°の場合について、式(36a)によって計算した1組の同調伝達カーブI(λ)を提示する。好ましくは必要に応じて、計算では、リターダー96、98及び100は、色収差がなく、位相遅れΔ=44°及びΔ=97°(2Δ+Δ=185°)と仮定する。回転子95、97、99及び101には、回転角が、λ=726.85nmにおいてρ(λ)=90°である石英光回転子と仮定し、したがってカーブI(λ)が、ψ=0°の場合、約460nmに中心があり約29nmの半値幅(FWHM)を有した通過帯域を有する。I(λ)のもっとも大きい第2の最大値は、約0.036である。Δ及び/又はΔの値を変化させることによって、カーブは、それに対応して修正され、最大遷移勾配が減少する又は増加する、及び第2の最大値が増加する又は減少する。図30のカーブI(λ)は、リターダー96、98及び100が、ともに463nmにおいてΔ=44°及びΔ=97°の位相遅れを有したゼロ次波長板であるとき、生ずる伝達と比較する。色収差のないリターダーを使用したとき生ずるカーブと比較すると、ゼロ次リターダーを使用したときの伝達波形は、わずかに変形している。しかし、計算で確認されるように、フィルタは、なお、ほどほどの幅の波長範囲で良好に動作することができる。
【0120】
図29のフィルタは、偏光子110に対してz軸のまわりで同期して、一方向にリターダー96及び100を回転させ、それとは反対方向にリターダー98を回転させ、その方向角ψ=ψ=3ψ及びψ=−ψを、上記に述べた関係を変えないままで変化させることによって、同調可能である。フィルタは、回転子95、97、99及び101の回転角を、その比3:−4:4:−3を不変のままで同時に変化させることによって、同調可能とすることもできる。図29の実施例では、偏光回転子95、97、99及び101は、光回転子、たとえば石英回転子及びファラデー回転子から選択することが好ましい。リターダー96、98及び100の適切な候補は、複屈折の色収差がない及びゼロ次のリターダー、LC可変リターダー及びLC電気的回転リターダーを含む。使用に選択した偏光回転子及びリターダーに依存して、図29のフィルタは、機械的に同調可能、電気的に同調可能、電気磁気的に同調可能及び/又は一方向同調可能、或いは電気的に切り替え可能に構築することができる。
【0121】
図29のフィルタは、出射偏光子102が、入射偏光子94に対して平行に配向されたとき、スペクトル伝達I3notch(λ)=1−I(λ)を有したノッチ・フィルタになり、ここでI(λ)は、P=P=0°の場合、式(36a)によって記述され、又はP=P=45°の場合、式(36b)によって記述される。図29のフィルタの構成は、ビーム軸に対し直角な軸のまわりでの180°の回転に対して変化しない。異なる同調メカニズムを有したフィルタを構築するために、構成する偏光回転子及びリターダーを選択する好ましい方法は、図19及び図25の実施例について上記で述べた方法とまったく同じである。図29のフィルタでは、図29のフィルタが、機械的及び/又は電気的に同調可能になることができるように、石英光回転子及び複屈折リターダー、又はLC電気的回転リターダーを使用することが好ましい。図29のフィルタは、さらに、リターダー96、98及び100として、2つの選択状態間で位相遅れが切り替え可能なように動作させる、適切なLC可変リターダーを使用することによって、電気的に切り替え可能にすることができる。LCリターダーは、一方の切り替え状態ではその位相遅れが、0°に等しい又はほぼ等しく、他方の状態ではフィルタのスペクトル範囲にわたり条件30°≦Δ≦50°及び170°≦2Δ+Δ≦220°を好ましくは満たすように取られた値に等しい又はほぼ等しい。ゼロの位相遅れの状態では、LCリターダーは、回転子95、97、99及び101が、互いに補償し合い、フィルタが、P=0°、P=90°又はP=45°、P=135°の場合、完全に光を遮断するような等方性媒体として動作する。非ゼロの位相遅れの状態では、フィルタは、式(36a)によって記述されるスペクトル伝達を有する。図29のフィルタは、同時にLCリターダーを切り替えることによって電気的に切り替え可能であり、さらに、機械的にそれらを、その方向角の関係を不変のままで回転させることによって、同調可能である。そのうえ、I(λ)の主な伝達ピークの帯域幅は、LC可変リターダーを使用したとき、電気的にLCリターダーの位相遅れを、好ましくは条件30°≦Δ≦50°及び170°≦2Δ+Δ≦220°の下で変化させることによって、調節可能である。偏光回転子95、97、99及び101として同等のファラデー回転子を用いた図29のフィルタは、同時にファラデー回転角を、その比3:−4:4:−3を変えずに変化させることによって、電気磁気的に同調可能である。一方向デバイスとして動作させる場合、リターダー96、98及び100を静止状態にし、それぞれψ=ψ=3ψ=67.5°及びψ=−ψ=−22.5°に、すなわち角度ψ=22.5°を取るように配向することが好ましい。P=0°及びP=90°の場合、ファラデー回転子を使用した図29のフィルタの一巡伝達は、次の式になる。
【0122】
【数33】


図31に、ファラデー回転子を使用したときの図29のフィルタの、波長範囲500〜650nmにおいて式(37)によって計算した一巡伝達カーブI3r(λ)を提示する。計算するために、リターダーは、色収差がなく、位相遅れΔ及びΔが、条件30°≦Δ≦50°及び170°≦2Δ+Δ≦220°を満たし、並びにファラデー回転子は、TGGガラスのものであり、ファラデー回転ρ(λ)が、λ=1437nmで45°に等しいと仮定する。一巡伝達カーブI(λ)は、Δ=44°及びΔ=97°、及びΔ=38.4°及びΔ=108.2°(図31a)の場合について、その前向き伝達カーブ(図31b)と比較する。Δ=38.4°及びΔ=108.2°の場合、分離I(λ)は、漏れ強度I(λ)についての最大値が0.0013(最小減衰率:−28.9dB)に等しい、逆向き光を遮断する際の最適結果に達している。
【0123】
Buhrerは、1つの彼の特許(Buhrer Carl F.米国特許第4,678,287号)で、伝達が、近似的に方形波の形を有した、彼の二重同調器を使用した同調可能バンドパス・スペクトル・フィルタについて述べている。フィルタは、3つの複屈折波長板(2つの二重要素及び単一の要素)と、7つの波長板(1つの半波プレート及び6つの4倍波プレート)とを含む。この技術と比べると、図29の実施例は、4つの複屈折プレート(光回転子)及び3つの色収差のないリターダーだけが必要である。さらに、図29の実施例では、スペクトル範囲が非常に広くないとき、ゼロ次波長板の使用が可能になる。そのうえ、本発明によって、ファラデー回転子を使用してフィルタが、電気磁気的に同調可能であり、一方向デバイスとして動作できること、又はLCリターダーを使用してフィルタが、電気的に同調可能であり、切り替え可能であることを含め、新しい特徴を有したフィルタが実現可能になる。
【0124】
さらに、無損失フィルタ及び本発明の同調器を4以上含むフィルタが、可能になり、それらは、今後の特許出願で述べることにする。本発明は、他の具体的な形及び/又は他の実施例において、本発明の精神及び基本特性から逸脱せずに、実施する、又は適応させることができる。本記述で与えられた実施例は、すべての面で説明するものであり、限定すると見なすべきでない。変形形態は、当業者に明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】偏光子間に縦列で配置された複屈折プレートと、色収差のない4倍波プレートとを含む、従来技術による偏光子回転式1段複屈折同調可能フィルタの図である。
【図2】偏光子間に縦列で配置された複屈折プレートと、固定された色収差のない4倍波プレートと、回転可能な色収差のない半波プレートとを含む、従来技術による偏光子固定1段複屈折同調可能フィルタの図である。
【図3】2つの色収差のない4倍波プレートと、回転可能な色収差のない半波プレートとを含み、光学的ネットワーク中に位置した複屈折プレートを任意に同調させるために使用することができる、従来技術による同調させる構成の図である。
【図4】2つの色収差のない4倍波プレートを含み、John W.Evansが述べたような従来技術の2枚プレート同調器の図である。
【図5】1対の相補的な図4の2枚プレート同調器を含み、複屈折フィルタ中の2つの同一の複屈折結晶プレートを同時に同調させるために使用することができる、Carl F.Buhrerが述べたような従来技術の2重の2枚プレート同調器の図である。
【図6a】スペクトル・フィルタを構築するために使用され、分散的偏光回転を利用し、偏光子と組み合わせて、最初から同調可能な光の波長選択を成す本発明による同調器の図である。
【図6b】スペクトル・フィルタを構築するために使用され、分散的偏光回転を利用し、リターダーと組み合わせて、最初から同調可能な光の波長選択を成す本発明による同調器の図である。
【図6c】スペクトル・フィルタを構築するために使用され、分散的偏光回転を利用し、リターダー及び他の分散的偏光回転子と組み合わせて、最初から同調可能な光の波長選択を成す本発明による同調器の図である。
【図7】偏光子間に、光回転子又はファラデー回転子が好ましい分散的偏光回転子を含む、本発明の1段同調可能フィルタの図である。
【図8】偏光子間に、色収差のない又はゼロ次の複屈折リターダー、或いは同等なLC電気的回転リターダーが好ましい半波リターダーと組み合わせて、分散的光回転子を含む、本発明の他の1段同調可能フィルタの図である。
【図9】偏光子間に、ファラデー回転子又はツイスト・ネマチックLC偏光回転子が好ましい能動型偏光回転子と組み合わせて、分散的光回転子を含む、本発明の他の1段同調可能フィルタの図である。
【図10】偏光子間に、LC可変リターダー又は同等なリターダーが好ましい可変リターダーと組み合わせて、1対の等しいが互いに反対に回転する光回転子を含む、本発明の1段同調可能フィルタの図である。
【図11】各段が、図6の実施例による偏光子間に分散的偏光回転子を含む、本発明のn段(n=2、3、4、・・・)同調可能フィルタの図である。
【図12a】n=2で図11の実施例によって構築した本発明の2段スペクトル・フィルタの、同調角Ψ=0°、Ψ=15°対光波長λについて、測定した伝達プロフィールI(λ)を示すグラフの図である。
【図12b】n=2で図11の実施例によって構築した本発明の2段スペクトル・フィルタの、同調角Ψ=30°、Ψ=45°対光波長λについて、測定した伝達プロフィールI(λ)を示すグラフの図である。
【図12c】n=2で図11の実施例によって構築した本発明の2段スペクトル・フィルタの、同調角Ψ=90°、Ψ=135°対光波長λについて、測定した伝達プロフィールI(λ)を示すグラフの図である。
【図13a】図7及びn=2、3で図11の実施例によるファラデー回転子を使用した本発明の1段、2段及び3段の一方向フィルタの、計算した一巡伝達I1r(λ)、I2r(λ)及びI3r(λ)対光波長λを示す図である。
【図13b】比較のため、図7及びn=2、3で図11の実施例によるファラデー回転子を使用した本発明の1段、2段及び3段の前向き伝達カーブI(λ)、I(λ)及びI(λ)対光波長λを示す図である。
【図14】各段が、図8の実施例による偏光子間に半波リターダーと組み合わせて光回転子を含む、本発明のn段(n=2、3、4、・・・)同調可能フィルタの図である。
【図15】ゼロ次波長板を使用したときのn=2で図14の実施例による2段スペクトル・フィルタの、同調角Ψ=0°、Ψ=30°及びΨ=60°の場合について光波長λに対し、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示すグラフの図である。
【図16】各段が、図9の実施例による偏光子間に能動型偏光回転子と組み合わせて分散的光回転子を含む、本発明のn段(n=2、3、4、・・・)同調可能フィルタの図である。
【図17】各段が、図10の実施例による偏光子間に可変リターダーと組み合わせて1対の等しいが互いに反対に回転する光回転子を含む、本発明のn段(n=2、3、4、・・・)同調可能フィルタの図である。
【図18】偏光子間に配置された3つの分散的偏光回転子及び2つの同一リターダーを含む、本発明による2同調器スペクトル・フィルタの構成を示す図である。フィルタは、4倍波リターダーを使用したときソルク・タイプの2枚プレート・フィルタと同等であり、機械的に同調可能であり、さらに、電気的に同調可能、切り替え可能、又は一方向同調可能とすることができ、或いはさらに、使用に選択した構成要素に依存して、帯域幅を調節可能とすることができる。
【図19】図18の実施例によるスペクトル・フィルタの、それぞれ位相遅れΔ=80°、Δ=90°、Δ=105.8°、Δ=110°及びΔ=115°の場合について光波長λに対し、一組の計算した伝達プロフィールI(λ)を示すグラフの図である。
【図20】ゼロ次波長板を使用したときの図18の実施例によるスペクトル・フィルタの、同調角Ψ=0°、Ψ=30°及びΨ=60°の場合について光波長λに対し、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示すグラフの図である。
【図21a】図18の本発明の実施例によるファラデー回転子を使用した一方向フィルタの、位相遅れΔ=90°、Δ=99.8°、Δ=105.8°及びΔ=110°の関数として光波長λに対し、計算した一巡伝達カーブI2r(λ)を示す図である。
【図21b】比較のため、図18の本発明の実施例によるファラデー回転子を使用した一方向フィルタの、位相遅れΔ=90°、Δ=99.8°、Δ=105.8°及びΔ=110°の関数として光波長λに対し、前向き伝達カーブI(λ)を示す図である。
【図22】偏光子間に配置された3つの分散的偏光回転子及び2つの4倍波リターダーを含む、本発明による3同調器スペクトル・フィルタの構成を示す図である。フィルタは、無損失のリヨ2段フィルタとして働き、使用に選択した構成要素に依存して、機械的に、電気的に又は一方向で電気的に、同調可能である。
【図23a】図22の実施例によるフィルタの、ゼロ次波長板を使用したとき(実線)又は色収差のない4倍波プレートを使用したとき(点線)の同調角Ψ=0°の場合、光波長λに対し、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図23b】図22の実施例によるフィルタの、ゼロ次波長板を使用したとき(実線)又は色収差のない4倍波プレートを使用したとき(点線)の同調角Ψ=45°の場合、光波長λに対し、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図23c】図22の実施例によるフィルタの、ゼロ次波長板を使用したとき(実線)又は色収差のない4倍波プレートを使用したとき(点線)の同調角Ψ=90°の場合、光波長λに対し、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図23d】図22の実施例によるフィルタの、ゼロ次波長板を使用したとき(実線)又は色収差のない4倍波プレートを使用したとき(点線)の同調角Ψ=135°の場合、光波長λに対し、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図24】図22の実施例から、出射偏光子の直前に半波リターダーを挿入することによって形成される、本発明による他の3同調器スペクトル・フィルタの構成を示す図である。
【図25】偏光子間に配置された4つの分散的偏光回転子及び3つのリターダーを含む、本発明による他の3同調器スペクトル・フィルタの構成を示す図である。このフィルタは、ソルク・タイプの3枚プレート・フィルタ、又は適切なリターダーを有したリヨ2段フィルタと同等であって、機械的に同調可能であり、さらに電気的に同調可能、切り替え可能、又は一方向同調可能とすることができ、或いはさらに、使用に選択した構成要素に依存して、スペクトル伝達の帯域幅を調節可能とすることができる。
【図26】光波長λに対してそれぞれ位相遅れΔ=60°、Δ=70°、Δ=80°、Δ=90°及びΔ=100°を有した第1及び第3のリターダーを有した、図25の実施例によるスペクトル・フィルタの、一組の計算した伝達プロフィールI(λ)を示すグラフの図である。
【図27a】図25で計算したスペクトル・フィルタの、第1及び第3のリターダーがゼロ次波長板であるとき(実線)又は色収差のない4倍波プレートであるとき(点線)の同調角Ψ=0°の場合、光波長λに対し、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図27b】図25で計算したスペクトル・フィルタの、第1及び第3のリターダーがゼロ次波長板であるとき(実線)又は色収差のない4倍波プレートであるとき(点線)の同調角Ψ=30°の場合、光波長λに対し、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図27c】図25で計算したスペクトル・フィルタの、第1及び第3のリターダーがゼロ次波長板であるとき(実線)又は色収差のない4倍波プレートであるとき(点線)の同調角Ψ=60°場合、光波長λに対し、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図28a】図25の本発明の実施例によるファラデー回転子を使用した一方向フィルタの、光波長λに対し、第1及び第3のリターダーの位相遅れΔ=60°、Δ=70.5°、Δ=80°及びΔ=90°の関数として、計算した一巡伝達カーブI3r(λ)を示す図である。
【図28b】比較のため、図25の本発明の実施例によるファラデー回転子を使用した一方向フィルタの、光波長λに対し、第1及び第3のリターダーの位相遅れΔ=60°、Δ=70.5°、Δ=80°及びΔ=90°の関数として、前向き伝達I(λ)を示す図である。
【図29】偏光子間に配置された4つの分散的偏光回転子及び3つの光学的リターダーを含む、本発明による他の3同調器スペクトル・フィルタの構成を示す図である。このフィルタは、近似的に方形波のバンドパス伝達プロフィールを有し、機械的に同調可能であり、さらに、使用に選択した構成要素に依存して、電気的に同調可能で切り替え可能に、又は一方向で電気的に同調可能にすることができる。
【図30a】図29の実施例によるバンドパス・フィルタの、ともに波長463nmにおいて位相遅れΔ=44°及びΔ=97°を有した色収差のないリターダーを使用したとき(点線)、又は位相遅れΔ=44°及びΔ=97°を有したゼロ次リターダーを使用したとき(実線)、光波長λに対し同調角Ψ=0°について、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図30b】図29の実施例によるバンドパス・フィルタの、ともに波長463nmにおいて位相遅れΔ=44°及びΔ=97°を有した色収差のないリターダーを使用したとき(点線)、又は位相遅れΔ=44°及びΔ=97°を有したゼロ次リターダーを使用したとき(実線)、光波長λに対し同調角Ψ=22.5°について、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図30c】図29の実施例によるバンドパス・フィルタの、ともに波長463nmにおいて位相遅れΔ=44°及びΔ=97°を有した色収差のないリターダーを使用したとき(点線)、又は位相遅れΔ=44°及びΔ=97°を有したゼロ次リターダーを使用したとき(実線)、光波長λに対し同調角Ψ=45°について、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図30d】図29の実施例によるバンドパス・フィルタの、ともに波長463nmにおいて位相遅れΔ=44°及びΔ=97°を有した色収差のないリターダーを使用したとき(点線)、又は位相遅れΔ=44°及びΔ=97°を有したゼロ次リターダーを使用したとき(実線)、光波長λに対し同調角Ψ=67.5°について、一組の計算した同調伝達プロフィールI(λ)を示す図である。
【図31a】図29の本発明の実施例によるファラデー回転子を使用した一方向バンドパス・フィルタの、光波長λに対し計算した一巡伝達カーブI3r(λ)を示す図である。このフィルタは、第1及び第3のリターダーの位相遅れがΔ=44°及び第2のリターダーの位相遅れがΔ=97°(実線)、並びに位相遅れが、Δ=38.4°及びΔ=108.2°(点線)である。
【図31b】図29の本発明の実施例によるファラデー回転子を使用した一方向バンドパス・フィルタの、光波長λに対し計算した一巡伝達カーブI3r(λ)を示す図である。このフィルタは、第1及び第3のリターダーの位相遅れがΔ=44°及び第2のリターダーの位相遅れがΔ=97°(実線)、並びに位相遅れが、Δ=38.4°及びΔ=108.2°(点線)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1段フィルタ、複数段フィルタ及び中間偏光子なしのフィルタを含め、波長範囲において同調可能な又は切り替え可能なスペクトル・フィルタを構築するための構成要素としての同調器であって、
回転角ρ(λ)が、前記波長範囲において光波長λの関数として変化する分散的偏光回転子(31)と、
方向感受性偏光用要素と、
前記偏光用要素を回転するためのかつ/又は前記回転角ρ(λ)を変化させるための手段とを含む、光ビーム軸に沿って縦列に配置された要素を含むことを特徴とし、
前記偏光回転子及び前記偏光用要素が、前記光ビーム軸に沿って前記フィルタ中に直列に配置され、
前記偏光用要素が、前記スペクトル・フィルタの構造に対して所定の方向角で配向され、
前記同調器が、前記偏光用要素を前記フィルタ中で回転させてその方向を変化させることによって、かつ/又は前記回転角ρ(λ)を変化させることによって動作することを特徴とする、同調器。
【請求項2】
前記偏光回転子が、好ましくは分散的光回転子、通常石英光回転子又は分散的ファラデー回転子であり、その分散的ファラデー回転子が、磁場を加えられ、前記磁場の磁束密度を調節することによって可変性である回転角を有し、
前記偏光用要素が、好ましくは偏光子、通常2色性又は複屈折の偏光子、或いは、色収差のない又はゼロ次の複屈折リターダーから、FLCセル、SmAセル、DHF液晶セル、SSFLCセル、平面配向スメクチックCセル及び三状態反強誘電性効果LCセルを含め、同等の液晶の電気的に回転可能なリターダーから、ネマチック又はホメオトロピックな配向スメクチックLCセルなどの液晶可変リターダーを含め可変リターダーから、並びに電気光学的、光弾性的及び磁気的な変調器などの位相変調器から好ましくは選択される、光リターダーであることを特徴とする、請求項1に記載の同調器。
【請求項3】
前記偏光用要素が、偏光子(32)であって、前記フィルタの出射又は入射偏光子として使用され、その方位角が、前記フィルタの前記基準軸に対してPであり、
前記偏光回転子(31)及び前記偏光子(32)が、前記光ビーム軸に沿って前記スペクトル・フィルタ中に配置され、前記偏光回転子が、前記偏光子の前又は後に位置し、
前記同調器が、
偏光子同調器(33)であって、P+ρ(λ)又はP−ρ(λ)に等しい方位角が、前記波長範囲において光波長λの関数として変化する偏光子と同等であり、
前記方位角P及び/又は前記回転角ρ(λ)を変化させて前記偏光子同調器の前記方位角P+ρ(λ)又はP−ρ(λ)を変化させることによって動作することを特徴とする、請求項1に記載の同調器。
【請求項4】
前記偏光用要素が、リターダー(34)であって、その位相遅れΔが、前記波長範囲において前記スペクトル・フィルタの構造に関する所定の値に等しく又はほぼ等しく、
前記偏光回転子(31)及び前記リターダー(34)が、前記光ビーム軸に沿って前記スペクトル・フィルタ中に配置され、
前記リターダーが、その光軸を前記フィルタ中で前記スペクトル・フィルタの構造に対して所定の角度ψで配向され、
前記同調器が、回転角ρ(λ)の同等の光回転子(36)とリターダー同調器(35)との直列接続に同等であり、
そのリターダー同調器(35)が、前記波長範囲においてその位相遅れが、Δに等しく、その光軸の方向角が、ψ+ρ(λ)又はψ−ρ(λ)に等しいリターダーと同等であり、
前記同調器が、前記方向角ψ及び/又は前記回転角ρ(λ)を変えて前記リターダー同調器の前記方向角ψ+ρ(λ)又はψ−ρ(λ)を変化させることによって、かつ/又は前記位相遅れΔを変化させることによって動作することを特徴とする、請求項1に記載の同調器。
【請求項5】
前記同調器が、さらに第2の分散的偏光回転子(37)を含み、
その偏光回転子(37)は、その回転角−ρ(λ)が、前記波長範囲において光波長λの関数として変化し、回転角ρ(λ)の前記回転子(31)とは反対の前記リターダー(34)側に位置し、
前記同調器は、
前記波長範囲においてその位相遅れが、Δに等しく、その光軸の方向角が、前記波長範囲においてψ+ρ(λ)又はψ−ρ(λ)に等しいリターダーと同等なリターダー同調器(35)であり、
前記方向角ψを変化させることによって、かつ/又は同時に前記回転角ρ(λ)及び−ρ(λ)を変化させることによって前記リターダー同調器の前記方向角ψ+ρ(λ)又はψ−ρ(λ)を変化させることによって動作し、かつ/或いは前記位相遅れΔを変化させることによって動作することを特徴とする、請求項4に記載の同調器。
【請求項6】
波長範囲におけるスペクトル・フィルタであって、
前記フィルタが、請求項3、4及び5項に記載の光ビーム軸に沿って縦列に配置された要素を含み、
入射偏光子と、
回転角が、前記波長範囲において光波長の関数として変化する少なくとも1つの分散的偏光回転子と、
少なくとも1つの方向感受性偏光用要素と、
前記光ビーム軸のまわりで前記方向感受性偏光用要素を回転させる、かつ/又は前記回転角を変化させる手段とを含むことを特徴とし、
前記偏光用要素又は少なくとも1つの前記偏光用要素が、偏光子であり、
前記偏光回転子及び偏光用要素が、前記ビーム軸に沿って前記入射偏光子の後に配置されて請求項3、4及び5項による同調器を形成し、
それによって偏光子である前記偏光用要素が、前記フィルタの出射偏光子として働き、
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
前記回転角によって決定され、
前記ビーム軸のまわりで前記出射偏光子及び/又は前記偏光用要素の他を回転させることによって、同調可能であり、
さらに、前記回転角を変化させることによって、同調可能であることを特徴とする、スペクトル・フィルタ。
【請求項7】
前記偏光回転子が、好ましくは又は分散的光回転子、通常石英光回転子又はファラデー回転子であり、
そのファラデー回転子は、それ又はそれらに磁場を加え、その回転角が、1又は複数の前記磁場の磁束密度を調節することによって、可変であり、
前記偏光用要素が、好ましくは又は偏光子、通常2色性又は複屈折の偏光子、或いは、色収差のない又はゼロ次の複屈折リターダーから、FLCセル、SmAセル、DHF液晶セル、SSFLCセル、平面配向スメクチックCセル及び三状態反強誘電性効果LCセルを含め、同等の液晶の電気的に回転可能なリターダーから、ネマチック又はホメオトロピック配向スメクチックLCセルなどの液晶可変リターダーを含め、液晶可変リターダーから、並びに電気光学的、光弾性的及び磁気的な変調器などの位相変調器から好ましくも選択されるリターダーであることを特徴とする、請求項6に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項8】
前記波長範囲における、前記光ビーム軸に沿って縦列に配置された要素を含む1段スペクトル・フィルタであって、
入射偏光子(40)と、
回転角が、前記波長範囲において光波長の関数として変化し、好ましくは光回転子及びファラデー回転子から選択される分散的偏光回転子(41)と、
出射偏光子(42)と、
前記光ビーム軸のまわりで前記出射偏光子を回転させる手段とを含むことを特徴とし、
前記偏光回転子(41)が、前記入射偏光子(40)及び出射偏光子(42)の間に挟まれており、
前記偏光回転子(41)と前記偏光子(42)との組み合わせが、請求項3に記載の偏光子同調器と同等であり、
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
前記回転角によって決定され、
前記ビーム軸のまわりで前記入射偏光子に対し前記出射偏光子を回転させることによって、同調可能であり、
さらに、前記回転角変化させることによって同調可能であることを特徴とする、請求項6に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項9】
前記偏光回転子(41)が、好ましくは分散的光回転子、通常石英光回転子であり、
前記フィルタのスペクトル伝達が、前記ビーム軸のまわりで前記入射偏光子(40)に対し前記出射偏光子(42)を回転させることによって、同調可能であることを特徴とする、請求項8に記載の1段フィルタ。
【請求項10】
前記偏光回転子(41)が、好ましくは分散的ファラデー回転子であり、
それに磁場を加え、その回転角が、前記磁場の磁束密度を調節することによって、可変であり、
前記フィルタが、前記磁場の磁束密度を調節することによる、前記ファラデー回転子の回転角を変化させる手段をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の1段フィルタ。
【請求項11】
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
前記ファラデー回転角によって決定され、前記ファラデー回転角を変化させることによって同調可能であり、又は前記ファラデー回転角を少なくとも2つの選択状態間で切り替えることによって切り替え可能であり、
さらに、前記ビーム軸のまわりで前記入射偏光子(40)に対し前記出射偏光子(42)を回転させることによって同調可能であり、
前記フィルタが、一方向に光を伝達し同調可能でフィルタリングするが、逆向きの光を遮断する一方向デバイスとして機能し、
前記出射偏光子が、好ましくは固定され、前記入射偏光子に対し45°で配向されることを特徴とする、請求項10に記載の1段フィルタ。
【請求項12】
前記偏光回転子が、好ましくは分散的光回転子(43)、通常石英光回転子であり、
前記フィルタが、前記波長範囲において180°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有した、前記光回転子(43)の直後又はその直前に位置する回転可能な半波リターダー(44)を、好ましくは同等の色収差のない又はゼロ次の複屈折リターダー又は液晶電気的回転リターダーをさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の1段フィルタ。
【請求項13】
前記光回転子(43)とリターダー(44)との組み合わせが、請求項4に記載の同調器と同等であり、
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
前記光回転子の前記回転角によって決定され、
前記光ビーム軸のまわりで前記半波リターダーを機械的及び/又は電気的に回転させることによって同調可能であり、
さらに、前記入射偏光子(40)に対し前記出射偏光子(42)を回転させることによって同調可能であることを特徴とする、請求項12に記載の1段フィルタ。
【請求項14】
前記偏光回転子が、好ましくは分散的光回転子(43)、通常石英光回転子であり、
前記フィルタが、
回転角が、前記波長範囲において調節可能であり、前記受動型光回転子(43)の直前又は直後に位置する能動型偏光回転子(45)と、
前記能動型偏光回転子の回転角を変化させる手段とをさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の1段フィルタ。
【請求項15】
前記光回転子(43)と能動型偏光回転子(45)と偏光子(42)との組み合わせが、請求項2に記載の偏光子同調器と同等であり、
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
前記能動型偏光回転子の前記回転角を変化させることによって同調可能又は切り替え可能であり、
さらに、前記入射偏光子(42)に対し前記出射偏光子(42)を回転させることによって同調可能であることを特徴とする、請求項14に記載の1段フィルタ。
【請求項16】
前記能動型偏光回転子(45)が、
前記受動型偏光回転子(43)の直前に位置し、好ましくは、
磁場を加えられ、回転角が、前記磁場の磁束密度を調節することによって可変であるファラデー回転子、或いは、
回転角が、制御電圧を印加することによって連続的又は離散的に回転可能であり、通常ツイスト・ネマチック液晶偏光回転子である液晶偏光回転子であり、
その入射結晶軸が、前記入射偏光子(40)の伝達軸に対し平行になるように配向されることを特徴とする、請求項15に記載の1段フィルタ。
【請求項17】
前記出射偏光子(42)が、好ましくは静止し、前記入射偏光子(40)に対し平行又は直角に配向され、
前記偏光回転子が、分散的光回転子(43)、通常石英光回転子であり、
前記フィルタが、
第2の分散的光回転子(47)であって、前記第2の分散的光回転子と前記最初の光回転子が、前記波長範囲において等しいが互いに反対の回転角を有する1対の光回転子を構築する、第2の分散的光回転子(47)と、
切り替え可能なリターダーとして働き、その位相遅れが、前記波長範囲において2つの選択できる状態間で切り替え可能であり、したがってリターダーが、それぞれ、前記状態の一方であるときゼロに、他方であるとき180°に等しい又はほぼ等しいように動作させる、可変リターダー(46)と、
前記位相遅れが前記状態で切り替え可能である前記リターダーを動作させ、前記ビーム軸のまわりで前記リターダーを回転させる手段とをさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の1段フィルタ。
【請求項18】
前記第2の光回転子(47)及び可変リターダー(46)が、前記入射偏光子(40)と出射偏光子(42)の間に直列で配置され、前記可変リターダー(46)が前記最初の光回転子(43)と対面して位置し、
前記フィルタは、スペクトル伝達が、
前記回転角によって決定され、
前記光回転子(43)と可変リターダー(46)と第2の光回転子(47)との組み合わせが、請求項5に記載のリターダー同調器と同等であり、
前記切り替え状態間で前記リターダーを切り替えることによって切り替え可能であり、
さらに、前記ビーム軸のまわりで前記入射偏光子に対し前記リターダーを回転させることによって同調可能であることを特徴とする、請求項17に記載の1段フィルタ。
【請求項19】
前記フィルタが、前記光ビーム軸に沿って縦列に配置された要素を含む、前記波長範囲におけるn段(n=2、3、4、・・)スペクトル・フィルタであって、
入射偏光子(49)と、
n−1個の中間偏光子(49、49、・・、49)と、
回転角が、前記波長範囲において、波長に依存し、整数の比、好ましくは回転の向きを無視して1:2:4:8:・・;2n−1の比になり、好ましくは光回転子及びファラデー回転子から選択される、n個の分散的偏光回転子(50、50、・・、50)と、
出射偏光子(49n+1)と、
前記光ビーム軸のまわりで前記出射偏光子及びn−1個の中間偏光子を回転させる手段とを有することを特徴とし、
前記n−1個の中間偏光子(49、49、・・、49)及びn個の偏光回転子(50、50、・・、50)が、前記光ビーム軸に沿って前記入射偏光子(49)と前記出射偏光子(49n+1)の間に配置され、
それによって、直列にn段を形成し、それぞれが、請求項8に記載の偏光子間に偏光回転子を含み、したがって前記中間偏光子(49、49、・・、49)が、ある段の出射偏光子として、及びその後に続く隣接する段の入射偏光子として働き、
したがって、n段の出射偏光子(49、49、・・、49、49n+1)が、形成され配向されて、それぞれが、その直前の偏光子に対して、直前の前記n段の出射偏光子であるn個の偏光回転子(50、50、・・、50)の回転角の比と同じ比になったその方位角を有し、
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
前記回転角によって決定され、
前記光ビーム軸のまわりで同時に前記n段出射偏光子を、その方位角の前記比を不変のままで、又は前記n段出射偏光子が、前記入射偏光子に対して平行又は直角になるように回転させることによって、同調可能であり、
さらに、同時に前記n偏光回転子の前記回転角を、前記回転角の前記比を不変のままで変化させることによって、同調可能であることを特徴とする、請求項6に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項20】
前記n個の偏光回転子(50、50、・・、50)が、好ましくは分散的光回転子であり、その回転角が、前記波長範囲において、波長に依存し、前記整数の比であり、
前記フィルタのスペクトル伝達が、前記ビーム軸のまわりで同時に前記n段出射偏光子(49、49、・・、49、49n+1)を、その方位角の前記比を不変のままで、又は前記n段出射偏光子が、前記入射偏光子に対して平行又は直角になるように回転させることによって、同調可能であることを特徴とする、請求項19に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項21】
前記n個の偏光回転子(50、50、・・、50)が、好ましくは分散的ファラデー回転子であり、その回転角が、前記波長範囲において、波長に依存し、前記整数の比であり、それぞれに磁場が加えられ、
前記フィルタが、前記磁場の磁束密度調節することによって、前記ファラデー回転角を変化させる手段をさらに有することを特徴とする、請求項19に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項22】
前記フィルタは、そのスペクトラル伝達が、
前記ファラデー回転角によって決定され、
同時にファラデー回転角を変化させることによって同調可能であり、
又は前記波長範囲において少なくとも2つの選択状態において同時に前記ファラデー回転角を、前記ファラデー回転角が、その前記比を変えないように、又は前記ファラデー回転角がゼロに等しい又はほぼ等しいように、切り替えることによって切り替え可能であり、
さらに、前記光ビーム軸のまわりで同時に前記n段出射偏光子を、その方位角の前記比を不変のままで、又は前記n段出射偏光子が、前記入射フィルタに平行又は直角になるように回転させることによって同調可能であり、
前記フィルタが、一方向に光を伝達し同調可能でフィルタリングするが、逆向き光を遮断する一方向デバイスとして機能し、
前記n段出射偏光子は、好ましくは静止し、前記nファラデー回転角の中でもっとも小さい回転角のファラデー回転子の直後のその段の出射偏光子が、直前の偏光子に対し好ましくは45°で配向され、その残りのn−1段出射偏光子が、前記入射偏光子に対し平行又は直角になるように、配向されることを特徴とする、請求項21に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項23】
前記n個の偏光回転子が、好ましくは分散的光回転子(51、51、・・、51)、通常石英光回転子であり、その回転角が、前記波長範囲において、波長に依存し、前記整数の比であり、
前記n段出射偏光子(49、49、・・、49n+1)が、好ましくは前記入射偏光子に対し平行又は直角であり、
前記スペクトル・フィルタが、(52、52、・・、52)をさらに含み、
そのn個の回転可能な半波リターダーのそれぞれが、
前記波長範囲において、180°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有し、
それぞれ各前記段が請求項12に従うように配置された前記n光回転子(51、51、・・、51)の直後又は直前に位置し、
前記n個の半波リターダーが、それぞれ直前の偏光子に平行になるように、又はその方向角が、それぞれ直前の偏光子に対し、前記配置されたn個の光回転子の前記回転角の比と同じ比になるように配向されることを特徴とする、請求項19に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項24】
前記n個のリターダー(52、52、・・、52)が、好ましくは色収差のない又はゼロ次の複屈折リターダー又は同等の液晶電気的回転可能なリターダーであり、それぞれが、直前の偏光子に対し、その方向角が、前記配置されたn個の光回転子(51、51、・・、51)の回転角の比と同じ比であるように配向され、
前記フィルタのスペクトル伝達が、
前記光回転子の前記回転角によって決定され、
前記光ビーム軸のまわりで同時に前記n個の複屈折リターダー又は液晶リターダーを、前記方向角の前記比を不変のままで、又は前記方向角がゼロの等しいように、機械的及び/又は電気的に回転させることによって同調可能であり、
さらに、同時に前記n段出射偏光子を、その方位角が、それぞれ直前の偏光子に対し、直前の光回転角の前記比になるように、回転させることによって同調可能にすることができることを特徴とする、請求項23に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項25】
前記n個の偏光回転子が、好ましくは分散的光回転子(51、51、・・、51)、通常石英光回転子であり、その回転角が、前記波長範囲において、波長に依存し、前記整数の比であり、
前記n段出射偏光子(49、49、・・、49、49n+1)が、好ましくは静止し、前記入射偏光子に対し平行又は直角に配向され、
前記フィルタが、
n個の能動型偏光回転子(53、53、・・、53)であって、その能動型偏光回転子が、前記波長範囲において調節可能である回転角を有し、それぞれ前記n個の受動型光回転子(51、51、・・、51)の直前又は直後に位置し、したがって各前記段が、請求項14に記載によるものとし、前記配置されたn個の能動型偏光回転子(53、53、・・、53)の回転角が、前記波長範囲においてその直後又は直前のn光回転子の回転角の比と同じ比になる、n個の能動型偏光回転子(53、53、・・、53)と、
前記n能動型偏光回転子の回転角を変化させる手段とをさらに含み、
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
同時に前記能動型回転角を、前記波長範囲において前記能動型回転角の前記比を不変のままで、又は前記能動型回転角をゼロに等しく又はほぼ等しくするように、変化させることによって同調可能又は切り替え可能であり、
さらに、同時に前記n段出射偏光子(49、49、・・、49、49n+1)を、その方位角が、それぞれその直前の偏光子に対し、その直前の光回転角の前記比になるように、回転させることによって同調可能であることを特徴とする、請求項19に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項26】
前記n個の能動型偏光回転子(53、53、・・、53)が、好ましくは
磁場をそれぞれ加えられ、前記磁場の磁束密度を調節することによって可変な回転角を有したファラデー回転子、又は
その回転角が、連続的又は離散的に調節可能であり、それぞれ前記n個の光回転子(51、51、・・、51)の直前又は直後に位置する同等の液晶偏光回転子であり、
したがって前記配置されたn個のファラデー回転子又は液晶回転子が、前記波長範囲においてオン又はオフに切り替えられたとき、その直後又は直前のn個の光回転子の比と同じ比の回転角、又はゼロの等しい又はほぼ等しい回転角を有し、
前記フィルタのスペクトル伝達が、前記波長範囲において同時に前記ファラデー回転子又は液晶回転子の前記回転角を、前記回転角の前記比を不変のままで、又は前記回転角がゼロに等しく又はほぼ等しくなるように、調節することによって同調可能又は切り替え可能であることを特徴とする、請求項25に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項27】
前記n個の液晶偏光回転子(53、53、・・、53)が、好ましくはツイスト・ネマチック液晶偏光回転子であり、それぞれ前記n個の光回転子(51、51、・・、51)の直前に位置し、
各前記ツイスト・ネマチック回転子の入射結晶軸が、その直前の偏光子の伝達軸に対し平行であるように配向され、
前記波長範囲において前記ツイスト・ネマチック回転子が、オン又はオフに切り替えられたとき、前記ツイスト・ネマチック回転子が、それぞれゼロに等しい又はほぼ等しい回転角、又は直後のn個の光回転子の比と同じ比の回転角を有し、
前記フィルタのスペクトル伝達が、同時に前記ツイスト・ネマチック液晶偏光回転子をオン及びオフすることによって、切り替え可能であることを特徴とする、請求項26に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項28】
前記形成されたn段出射偏光子(49、49、・・、49n+1)が、好ましくは静止状態であり、前記入射偏光子(49)に対し平行又は直角に配向され、
前記n個の偏光回転子が、好ましくは分散的光回転子(51、51、・・、51)、通常石英光回転子であり、その回転角が、前記波長範囲において、波長に依存し、前記整数の比であり、
前記フィルタが、
他のn個の分散的光回転子(54、54、・・、54)であって、前記他のn個の分散的光回転子(54、54、・・、54)及び前記最初のn個の光回転子(51、51、・・、51)が、前記波長範囲において、それぞれ等しいが互いに反対の回転角を有したn対の光回転子を構築するように選択され、各前記n段が等しいが互いに反対の回転角を有する1対の光回転子を含むように配置される、他のn個の分散的光回転子(54、54、・・、54)と、
切り替え可能なリターダーとして働くように動作させ、それぞれが、2つの選択状態間で切り替え可能な位相遅れを有し、その位相遅れが、前記波長範囲において、それぞれ一方の前記状態ではゼロに、他方の前記状態では180°に等しい又はほぼ等しく、
各前記n段が、請求項17の記載のこの段の光回転子間に挟まれた前記リターダーの1つを含むように配置される、n個の可変リターダー(55、55、・・、55)と、
前記n個のリターダーを切り替え、前記ビーム軸のまわりで前記n個のリターダーを回転させる手段とを含むことを特徴とする、請求項19に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項29】
前記配置されたn個の可変リターダー(55、55、・・、55)が、前記入射偏光子に対し平行になるように、又はそれらの方向角が、それぞれ直前の偏光子に対し、その直前の光回転子の回転角の比と同じ比になるように配向され、
前記フィルタは、スペクトル伝達が、
前記回転角によって決定され、
同時に前記n個のリターダー(55、55、・・、55)を前記切り替え状態において切り替えることによって、切り替え可能であり、
さらに、前記ビーム軸のまわりで同時に前記n個のリターダーを、前記方向角に前記比を不変のままで、又は各前記n個のリターダーが、その直前の偏光子に対し平行又は直角になるように、回転させることによって同調可能であることを特徴とする、請求項28に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項30】
前記フィルタが、前記光ビーム軸に沿って縦列に配置された要素を含む、前記波長範囲において請求項5に記載の中間偏光子を有さない2同調器スペクトル・フィルタであって、
入射偏光子(61)と、
その回転角ρS1(λ)が、光波長λの関数として変化する第1の偏光回転子(62)と、
第1のリターダー(63)と、
その回転角ρS2(λ)が、光波長λの関数として変化する第2の偏光回転子(64)と、
第2のリターダー(65)と、
その回転角ρS3(λ)が、光波長λの関数として変化する第3の偏光回転子(66)と、
出射偏光子(67)と、
前記ビーム軸のまわりで前記第1及び第2のリターダーを回転させる手段とを含むことを特徴とし、
前記回転角ρS1(λ)、ρS2(λ)及びρS3(λ)が、前記波長範囲においてρS1(λ):ρS2(λ):ρS3(λ)=1:−2:−1の比であり、
前記第1及び第2のリターダー(63、65)が、同一であり、前記波長範囲において好ましくは80°と115°の範囲から選択される所定の値に等しい又はほぼ等しい位相遅れΔを有し、
前記入射及び出射偏光子が、互いに平行で配向され、選択された基準軸に対して45°である伝達軸を有し、
前記第1の偏光回転子(62)、第1のリターダー(63)、第2の偏光回転子(64)、第2のリターダー(65)及び第3の偏光回転子(66)が、前記入射偏光子(61)と出射偏光子(67)の間に引用の順番で配置され、
前記リターダー(63、65)が、前記基準軸のまわりでそれぞれその光回転子を対称に、前記ビーム軸に沿って見たとき回転角ψ及び−ψで回転するように、配向されることを特徴とする、請求項6に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項31】
前記リターダー(62、64、66)とリターダー(63、65)との組み合わせが、同一の位相遅れΔ、及びそれぞれ前記基準軸に対し−(ρS1(λ)+ψ)及び(ρS1(λ)+ψ)に等しい又はほぼ等しい方向角を有した、請求項5に記載の2つのリターダー同調器(68)、(69)の直列接続と同等であり、
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
前記回転角によって決定され、式(24)によって定義され、
前記ビーム軸のまわりで互いに反対の方向で同時に前記リターダー(63、65)を、その光軸を基準軸のまわりで対称に保ちながら、回転させることによって同調可能であり、
さらに、同時に前記回転角ρS1(λ)、ρS2(λ)及びρS3(λ)を、前記波長範囲において前記比、1:−2:1を不変のままで、変化させることによって同調可能であり、
そのスペクトル伝達が、前記リターダー(63、65)が前記波長範囲において90°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有したとき、ソルク・タイプの2枚プレート・フィルタのスペクトル伝達と同等であり、
その伝達ピークの帯域幅が、前記波長範囲において同時に前記リターダーの前記位相遅れを好ましくは80°と115°の範囲内で変化させることによって、調節可能であり、
前記出射偏光子(67)が、前記最初の方向から90°だけ回転されて前記入射偏光子(61)に対し直角になったとき、そのスペクトル伝達が、反転されて、前記最初のフィルタが、光を遮断し伝達した波長において、それぞれ同調可能で光を伝達し遮断するノッチ・フィルタとして働くことを特徴とする、請求項30に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項32】
前記第1、第2及び第3の偏光回転子(62、64、66)が、好ましくは前記波長範囲において前記比1:−2:1である回転角を有した分散的光回転子であり、
前記リターダー(63、65)が、好ましくは前記基準軸のまわりで対称に配向された光回転子を有した同等の複屈折リターダー又は液晶の電気的回転可能なリターダーであり、
前記フィルタが、前記ビーム軸のまわりで互いに反対方向に同時に前記複屈折リターダー又は液晶リターダーを、前記基準軸のまわりで光軸を対称に保って、又は前記複屈折リターダー又は液晶リターダーが、前記入射偏光子(61)に対し平行であるように、機械的及び/又は電気的に回転させることによって同調可能である、スペクトル伝達を有することを特徴とする、請求項30に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項33】
前記第1、第2及び第3の偏光回転子(62、64、66)が、好ましくは、磁場がそれぞれ加えられ、前記波長範囲において前記比1:−2:1である回転角を有した分散的ファラデー回転子であり、
前記リターダー(63、65)が、好ましくは、前記基準軸のまわりで対称に、それぞれ前記ビーム軸に沿って見たとき回転角ψ及び−ψで回転して配向された光回転子を有した同等の複屈折リターダーであり、
前記フィルタが、前記磁場の磁束密度を調節することによって前記ファラデー回転角を変化させる手段をさらに含むことを特徴とする、請求項30に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項34】
前記フィルタが、
前記波長範囲において前記ファラデー回転角の前記比1:−2:1を不変のままで、同時に前記ファラデー回転角を変化させることによって、又は少なくとも2つの選択状態において同時に前記ファラデー回転角を切り替えることによって、同調可能又は切り替え可能なスペクトル伝達を有し、
一方向に光を伝達し同調可能でフィルタリングするが、逆方向の光を遮断する一方向デバイスとして機能し、
前記複屈折リターダーが、前記波長範囲において好ましくは99.8°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有し、その光軸が、前記基準軸に対し、好ましくはそれぞれψ=22.5°及び−ψ=−22.5°で配向されることを特徴とする、請求項33に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項35】
前記第1、第2及び第3の偏光回転子(62、64、66)が、好ましくは同等の分散的光回転子であり、
前記リターダー(63、65)が、好ましくは可変リターダーであって、その光軸が、前記基準軸のまわりで対称であるように配向され、
それぞれが、好ましくは80°と115°の範囲で可変な位相遅れを有し、かつ/又は少なくとも2つの選択状態において切り替え可能であり、
したがって前記可変リターダーが、前記波長範囲において前記切り替え状態の一方では0°に等しい又はほぼ等しい、他方の状態では好ましくは80°と115°の範囲から選択された値に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有することを特徴とする、請求項30に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項36】
前記フィルタは、
そのスペクトル伝達ピークの帯域幅が、同時に前記可変リターダー(63、65)の前記位相遅れを変化させることによって調節可能であり、
そのスペクトル伝達が、
同時に前記可変リターダーを、その光軸を前記基準軸のまわりで対称に保って、互いに反対方向に回転させることによって同調可能であり、
前記位相遅れを前記状態で切り替えて、同時に前記可変リターダー(63、65)を切り替えることによって切り替え可能であることを特徴とする、請求項35に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項37】
前記フィルタが、前記光ビーム軸に沿って縦列に配置された要素を含む、前記波長範囲において請求項3及び5に記載の中間偏光子なしの3同調器フィルタであって、
前記フィルタが、
入射偏光子(71)と、
その回転角ρl1(λ)が、光波長λの関数として変化する第1の偏光回転子(72)と、
第1の4倍波リターダー(73)と、
その回転角ρl2(λ)が、光波長λの関数として変化する第2の偏光回転子(74)と、
第2の4倍波リターダー(75)と、
その回転角ρl3(λ)が、光波長λの関数として変化する第3の偏光回転子(76)と、
出射偏光子(77)と、
前記光ビーム軸のまわりで前記リターダー及び前記出射偏光子を回転させる手段とを含むことを特徴とし、
前記回転角ρl1(λ)、ρl2(λ)及びρl3(λ)が、前記波長範囲においてρl1(λ):ρl2(λ):ρl3(λ)=1:1:−1の比であり、
前記第1及び第2の4倍波リターダー(73、75)が、色収差のない又はゼロ次のリターダーであり、前記波長範囲において90°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有することが好ましく、
前記第1の偏光回転子(72)、第1の4倍波リターダー(73)、第2の偏光回転子(74)、第2の4倍波リターダー(75)及び第3の偏光回転子(76)が、前記入射偏光子(71)と出射偏光子(77)の間で引用された順番で配置され、
前記第1及び第2の4倍波リターダー(73、75)及び前記出射偏光子(77)が、前記第1及び第2のリターダー(73、75)の方向角ψ及びψ及び前記出射偏光子(77)の方位角Pを前記入射偏光子71に対し、ψ:ψ:P=1:2:1の比又はψ:(ψ−90°):(P−90°)=1:2:1の比にするように、配向されることを特徴とする、請求項6に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項38】
前記回転子(72、74、76)と前記リターダー(73、75)と前記出射偏光子(77)との組み合わせが、請求項5に記載の2つのリターダー同調器(78、79)と請求項3に記載の偏光子同調器(80)との直列接続と同等であり、
前記リターダー同調器が、90°に等しい又はほぼ等しい同一の位相遅れを有し、その方向角が、それぞれ−(ρl1(λ)+ψ)及び(2ρl1(λ)+ψ)に等しく、
前記偏光子同調器が、ρl1(λ)+Pに等しい方位角を有し、
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
前記回転角によって決定され、
リヨ2段フィルタのスペクトル伝達と同等であり、
前記光ビーム軸のまわりで同時に前記第1及び第2の4倍波リターダー(73、75)及び出射偏光子(77)を、前記比ψ:ψ:P=1:2:1又はψ:(ψ−90°):(P−90°)=1:2:1を不変のままで、又は前記第1及び第2の4倍波リターダー(73、75)及び出射偏光子(77)が、前記入射偏光子に対して平行又は直角になるように、回転させることによって同調可能であり、
前記出射偏光子(77)が、その最初の方向P=ψ又はP=90°+ψから90°だけ回転させて、前記第1及び第2のリターダー(73、75)の方向角及び出射偏光子(77)の方位角が、前記入射偏光子(71)に対し、比ψ:ψ:(P+90°)=1:2:1又はψ:(ψ−90°):P=1:2:1になったとき、そのスペクトル伝達が、反転されて、前記最初のフィルタが、光を遮断し伝達した波長において、それぞれ光を同調的に伝達し遮断するノッチ・フィルタとして働くことを特徴とする、請求項37に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項39】
前記第1、第2及び第3の偏光回転子(72、74、76)が、分散的光回転子であって、その回転角が、前記波長範囲において前記比1:1:−1であることが好ましく、
前記第1及び第2の4倍波リターダー(73、75)が、好ましくは同等の複屈折リターダーであって、その方向角及び前記出射偏光子(77)の方位角が、前記入射偏光子(71)に対し、前記比ψ:ψ:P=1:2:1又はψ:(ψ−90°):(P−90°)=1:2:1であり、
前記フィルタが、前記光ビーム軸のまわりで同時に前記複屈折リターダー(73、75)及び出射偏光子(77)を、前記方向角及び方位角の前記比ψ:ψ:P=1:2:1又はψ:(ψ−90°):(P−90°)=1:2:1を不変のままで、回転させることによって、同調可能であるスペクトル伝達を有することを特徴とする、請求項37に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項40】
前記第1、第2及び第3の偏光回転子(72、74、76)が、好ましくは分散的ファラデー回転子であって、それぞれ、磁場を加えられ、その回転角が、前記波長範囲において前記比1:1:−1であり、
前記第1及び第2の4倍波リターダー(73、75)が、好ましくは同等の複屈折リターダーであって、その方向角及び前記出射偏光子(77)の方位角が、前記入射偏光子(71)に対し、前記比ψ:ψ:P=1:2:1又はψ:(ψ−90°):(P−90°)=1:2:1になるように配向され、
前記フィルタが、前記磁場の磁束密度を調節することによって、電気的に前記ファラデー回転角を変化させる手段をさらに含むことを特徴とする、請求項37に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項41】
前記フィルタは、スペクトル伝達が、
前記比1:1:−1を不変のままで、同時に前記ファラデー回転角を変化させることによって、同調可能であり、
さらに、前記光ビーム軸のまわりで同時に前記第1及び第2の複屈折リターダー(73、75)及び出射偏光子(77)を、前記方向角及び方位角の前記比ψ:ψ:P=1:2:1又はψ:(ψ−90°):(P−90°)=1:2:1を不変のままで、又は前記複屈折リターダー(73、75)及び出射偏光子(77)が、前記入射偏光子(71)に対し平行又は直角になるように、回転させることによって同調可能であり、
前記フィルタが、一方向に光を伝達し同調可能でフィルタリングするが、逆方向の光を遮断する一方向デバイスとして働き、
前記複屈折リターダー(73、75)及び前記出射偏光子(77)が、静止し、前記入射偏光子(71)に対し、それぞれ好ましくはψ=45°、ψ=90°及びP=45°又はψ=45°、ψ=0°及びP=−45°で配向されることを特徴とする、請求項37に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項42】
前記第1、第2及び第3の偏光回転子(72、74、76)が、分散的光回転子であって、その回転角が、前記波長範囲において前記比1:1:−1であり、
前記出射偏光子(77)が、静止し、前記入射偏光子に対し、平行又は直角であることが好ましく、
前記フィルタが、回転可能な半波リターダー(81)をさらに含み、
その半波リターダー(81)が、前記波長範囲において180°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有し、前記第3の偏光回転子(76)と前記出射偏光子(77)の間に配置され、前記入射偏光子(71)に対し角度ψで配向され、
したがって前記第1及び第2の4倍波リターダー(73、75)及び前記半波リターダー(81)が、前記入射偏光子に対し平行又は直角になり、又はそれらの方向角ψ、ψ及びψが、比ψ:ψ:ψ=2:4:1又は比ψ:(ψ−90°):(ψ−90°)=2:4:1になることを特徴とする、請求項37に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項43】
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
リヨ2段フィルタのスペクトル伝達と同等であり、
前記光ビーム軸のまわりで同時に前記4倍波リターダー(73、75)及び前記半波リターダー(81)を、その前記方向角の前記比ψ:ψ:ψ=2:4:1又はψ:(ψ−90°):(ψ−90°)=2:4:1を不変のままで、又は前記4倍波リターダー(73、75)及び前記半波リターダー(81)が、前記入射偏光子(71)に対し平行又は直角になるように、回転させることによって同調可能であり、
前記4倍波リターダー(73、75)及び前記半波リターダー(81)が、好ましくは、同等の色収差のない及び前記ゼロ次の複屈折リターダー、又は液晶の電気的回転可能なリターダーであることを特徴とする、請求項42に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項44】
前記フィルタが、前記光ビーム軸に沿って縦列に配置された要素を含む、前記波長範囲において請求項5に記載の中間偏光子のない3同調器スペクトル・フィルタであって
入射偏光子(82)と、
その回転角ρP1(λ)が、光波長λの関数として変化する第1の偏光回転子(83)と、
第1のリターダー(84)と、
その回転角ρP2(λ)が、光波長λの関数として変化する第2の偏光回転子(85)と、
第2のリターダー(86)と、
その回転角ρP3(λ)が、光波長λの関数として変化する第3の偏光回転子(87)と、
第3のリターダー(88)と、
その回転角ρP4(λ)が、光波長λの関数として変化する第4の偏光回転子(89)と、
出射偏光子(90)と、
前記ビーム軸のまわりで前記第1、第2及び第3のリターダーを回転させる手段とを含むことを特徴とし、
前記回転角ρP1(λ)、ρP2(λ)、ρP3(λ)及びρP4(λ)が、前記波長範囲においてρP1(λ):ρP2(λ):ρP3(λ):ρP4(λ)=1:−2:2:−1の比であり、
前記第1及び第3のリターダー(84、88)が、同一であり、前記波長範囲において好ましくは60°と100°に範囲から選択された所定の値に等しい又はほぼ等しい位相遅れΔを有し、
前記第2のリターダー(86)が、半波リターダーであり、前記波長範囲において180°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有し、
前記第1の偏光回転子(83)、第1のリターダー(84)、第2の偏光回転子(85)、第2のリターダー(86)、第3の偏光回転子(87)、第3のリターダー(88)及び第4の偏光回転子(89)が、前記入射偏光子(82)と出射偏光子(90)の間で引用された順番で配置され、前記入射偏光子(82)が、選択された基準軸に対し平行又は45°であるように配向されており、
前記出射偏光子(90)が、前記入射偏光子(82)に対し直角であり、
前記第1及び第3のリターダー(84、88)が、互いに平行であり、
それらの光軸及び前記第2のリターダー(86)の光軸が、前記基準軸に対し互いに反対側であり、それぞれ前記ビーム軸に沿って見ると角度−ψ及びψ+45°回転していることを特徴とする、請求項6に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項45】
前記回転子(83、85、87、89)とリターダー(84、86、88)との組み合わせが、請求項5に記載の3つのリターダー同調器(91、92、93)の直列接続と同等であり、
第1及び第3のリターダー同調器(91、93)が、Δに等しい同一の位相遅れを有し、互いに平行であり、角度−(ρP1(λ)+ψ)で配向され、
中央のリターダー同調器(92)が、180°に等しい又はほぼ等しい位相遅れ及び方向角ρP1(λ)+ψ+45°を有し、
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
前記回転角によって決定され、
式(31a)又は(31b)によって定義され、
前記光ビーム軸のまわりで同時に前記第1、第2及び第3のリターダー(84、86、88)を、前記第1及び第3のリターダー(84、88)を同期して一方向に及び前記第2のリターダー(86)をそれとは反対方向に同じ速度で回転させ、前記角度ψを変化させることによって同調可能であり、
さらに、前記波長範囲において同時に前記回転角ρP1(λ)、ρP2(λ)、ρP3(λ)及びρP4(λ)を、前記比1:−2:2:−1を不変のままで、変化させることによって同調可能であり、
前記第1及び第3のリターダー(84、88)の位相遅れの前記所定の値が、75.52°又は90°であるとき、ソルク・タイプの3枚プレート・フィルタ又はリヨ2段フィルタのスペクトル伝達と同等であり、
そのスペクトル伝達ピークの帯域幅が、前記波長範囲において同時に前記第1及び第3のリターダー(84、88)の前記位相遅れを、好ましくは60°と100°の範囲内で変化させることによって調節可能であり、
前記出射偏光子(90)が、前記最初の方向から90°だけ回転し、前記入射偏光子(82)に対し平行になったとき、そのスペクトル伝達が、反転されて、前記最初のフィルタが、光を遮断し伝達した波長において、それぞれ光を同調可能で伝達し遮断するノッチ・フィルタとして働くことを特徴とする、請求項44に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項46】
前記第1、第2、第3及び第4の偏光回転子(83、85、87、89)が、分散的光回転子であって、その回転角が、前記波長範囲において前記比1:−2:2:−1であることが好ましく、
前記第1、第2及び第3のリターダー(84、86、88)が、好ましくは同等の複屈折リターダー又は液晶の電気的回転可能なリターダーであって、その光軸が、前記基準軸に対しそれぞれ−ψ、ψ+45°及び−ψで配向され、
前記フィルタが、前記光ビーム軸のまわりで同時に前記複屈折リターダー又は液晶リターダーを機械的及び/又は電気的に回転させ、それら方向角−ψ、ψ+45°及び−ψの関係を不変のままで、前記角度ψを変化させることによって、同調可能であるスペクトル伝達を有することを特徴とする、請求項44に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項47】
前記第1、第2、第3及び第4の偏光回転子(83、85、87、89)が、好ましくは分散的ファラデー回転子であって、それぞれ磁場を加え、その回転角が、前記波長範囲において前記比1:−2:2:−1であり、
前記第1、第2及び第3のリターダー(84、86、88)が、好ましくは同等の複屈折リターダーであって、その光軸が、前記基準軸に対しそれぞれ−ψ、ψ+45°及び−ψで配向され、
前記フィルタが、前記磁場の磁束密度を調節することによって、前記ファラデー回転角を変化させる手段をさらに含むことを特徴とする、請求項44に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項48】
前記フィルタが、
前記ファラデー回転角の前記比1:−2:2:−1を不変のままで、同時に前記ファラデー回転角を変化させることによって、又は少なくとも2つの選択状態において前記ファラデー回転角を切り替えることによって、同調可能又は切り替え可能なスペクトル伝達を有し、
一方向に光を伝達し同調可能でフィルタリングするが、逆方向の光を遮断する一方向デバイスとして機能し、
前記複屈折リターダーが、静止し、前記基準軸に対し、その光軸が、好ましくはそれぞれ−ψ=−22.5°、ψ+45°=67.5°及び−ψ=−22.5°になるように配向され、
前記−ψ=−22.5°の複屈折リターダーが、前記波長範囲において好ましくは70.5°に等しい又はほぼ等しい位相遅れΔを有することを特徴とする、請求項47に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項49】
前記第1、第2、第3及び第4の偏光回転子(83、85、87、89)が、好ましくは同等の分散的光回転子であり、
前記第1及び第3のリターダー(84、88)が、好ましくは可変リターダーであって、その光軸が、互いに平行であり、前記基準軸に対し−ψで配向され、それぞれが、好ましくは60°と100°の範囲で可変な位相遅れΔを有し、
前記第3のリターダー(86)が、好ましくは、前記基準軸に対しψ+45°で配向された複屈折半波リターダーであり、
前記フィルタは、
そのスペクトル伝達ピークの帯域幅が、同時に可変リターダーの前記位相遅れΔを変化させることによっての調節可能であり、
スペクトル伝達が、同時に前記可変リターダー及び前記半波リターダーを、前記可変リターダーを同期して一方向に、前記半波リターダーをそれとは反対の方向に同じ速度で回転させて、前記角度ψを変化させることによって同調可能であることを特徴とする、請求項44に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項50】
前記第1、第2、第3及び第4の偏光回転子(83、85、87、89)が、好ましくは同等の分散的光回転子であり、
前記第1、第2及び第3のリターダー(84、86、88)が、好ましくは可変リターダーであって、前記波長範囲において、その光軸が、前記基準軸に対しそれぞれ−ψ、ψ+45°、−ψで配向され、少なくとも2つの選択状態で切り替え可能な位相遅れを有するように動作させ、
したがって前記−ψの可変リターダーが、前記切り替え状態の一方では0°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有し、他方の状態では、好ましくは60°と100°の範囲の値を取る位相遅れを有することになり、
前記ψ+45°の前記可変リターダーが、180°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有することになることを特徴とする、請求項44に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項51】
前記フィルタは、
スペクトル伝達が、前記切り替え状態で前記位相遅れを切り替えて、同時に前記可変リターダーを切り替えることによって切り替え可能であり、
そのスペクトル伝達ピークの帯域幅が、前記波長範囲において、同時に前記−ψの可変リターダーの前記位相遅れを変化させ、180°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有するように前記ψ+45°の可変リターダーを動作させることによって、調節可能であり、
そのスペクトル伝達が、前記ビーム軸のまわりで同時に前記可変リターダーを、前記−ψの可変リターダーを同期して一方向に前記ψ+45°の可変リターダーをそれとは反対の方向に同じ速度で回転させて角度ψを変化させることによって同調可能であることを特徴とする、請求項50に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項52】
前記フィルタが、前記光ビーム軸に沿って縦列に配置された要素を含む、前記波長範囲において請求項5に記載の中間偏光子のない3同調器スペクトル・フィルタであって
入射偏光子(94)と、
その回転角ρb1(λ)が、光波長λの関数として変化する第1の偏光回転子(95)と、
第1のリターダー(96)と、
その回転角ρb2(λ)が、光波長λの関数として変化する第2の偏光回転子(97)と、
第2のリターダー(98)と、
その回転角ρb3(λ)が、光波長λの関数として変化する第3の偏光回転子(99)と、
第3のリターダー(100)と、
その回転角ρb4(λ)が、光波長λの関数として変化する第4の偏光回転子(101)と、
出射偏光子(102)と、
前記ビーム軸のまわりで前記リターダー(96、98、100)を回転させる手段とを含むことを特徴とし、
前記回転角ρb1(λ)、ρb2(λ)、ρb3(λ)及びρb4(λ)が、前記波長範囲においてρb1(λ):ρb2(λ):ρb3(λ):ρb4(λ)=3:−4:4:−3の比であり、
前記第1、第2及び第3のリターダー(96、98、100)が、前記波長範囲において好ましくは条件30°≦Δ=Δ≦50°及び170°≦2Δ+Δ≦220°が満たされるように値を取った位相遅れΔ、Δ及びΔを有し
前記第1の偏光回転子(95)、第1のリターダー(96)、第2の偏光回転子(97)、第2のリターダー(98)、第3の偏光回転子(99)、第3のリターダー(100)及び第4の偏光回転子(101)が、前記入射偏光子(94)と前記出射偏光子(102)の間で引用された順番で配置され、
前記入射偏光子(94)及び前記出射偏光子(102)が、互いに直角であり、前記第1、第2及び第3のリターダー(96、98、100)の方向角が、前記入射偏光子(94)に対しそれぞれ3ψ、−ψ及び3ψであり、その比が3ψ:−ψ:3ψ=3:−1:3になるように配向されることを特徴とする、請求項6に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項53】
前記偏光回転子(95、97、99、101)とリターダー(96、98、100)との組み合わせが、請求項5に記載の3つのリターダー同調器(103、104、105)の直列接続と同等であり、
第1及び第3のリターダー同調器(103、105)が、Δに等しい同一の位相遅れを有し、互いに平行であり、角度3(ρb1(λ)+ψ)で配向され、
中央リターダー同調器(104)が、Δに等しい位相遅れ及び方向角−(ρb1(λ)+ψ)を有し、
前記フィルタは、そのスペクトル伝達が、
前記回転角によって決定され、
式(36a)又は(36b)によって定義され、
前記光ビーム軸のまわりで同時に前記第1、第2及び第3のリターダー(96、98、100)を、前記第1及び第3のリターダー(96、100)を同期して一方向で、前記第2のリターダー(98)をそれとは反対方向で回転させ、前記比3:−1:3の関係を不変のままで、又は前記第1、第2、及び第3のリターダー(96、98、100)が、前記入射偏光子に対し平行であるように前記それらの前記方向角を変化させることによって、同調可能であり、
さらに、前記波長範囲において同時に前記回転角ρb1(λ)、ρb2(λ)、ρb3(λ)及びρb4(λ)を、それらの前記比3:−4:4:−3を不変のままで変化させることによって同調可能であり
方形波形又は近似的に方形波形のスペクトル伝達が、前記位相遅れΔ、Δ及びΔとして好ましくは30°≦Δ=Δ≦50°及び170°≦2Δ+Δ≦220°のように値を取ることによって、得られ、
最大伝達ピークの勾配及び第2の最大値が、同時に前記位相遅れΔ、Δ及びΔを、好ましくは条件30°≦Δ=Δ≦50°及び170°≦2Δ+Δ≦220°を維持しながら、変化させることによって調節可能であり、
前記出射偏光子(102)が、前記最初の方向から90°だけ回転させ、前記入射偏光子(94)に対し平行になったとき、そのスペクトル伝達が、反転されて、前記最初のフィルタが、光を遮断し伝達した波長において、それぞれ光を同調可能で伝達し遮断するノッチ・フィルタとして働くことを特徴とする、請求項52に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項54】
前記第1、第2、第3及び第4の偏光回転子(95、97、99、101)が、好ましくは分散的光回転子であって、その回転角が、前記波長範囲において前記比3:−4:4:−3であり、
前記第1、第2及び第3のリターダー(96、98、100)が、好ましくは同等の複屈折リターダー又は液晶の電気的回転可能なリターダーであって、その方向軸が、前記入射偏光子に対し前記比3:−1:3であり、
前記フィルタが、前記ビーム軸のまわりで同時に前記複屈折リターダー又は液晶リターダーを、前記方向角の前記比3:−1:3を不変のままで、又は前記複屈折リターダー又は液晶リターダーが、前記入射偏光子(94)に対し平行であるように機械的及び/又は電気的に回転させることによって、同調可能であることを特徴とする、請求項52に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項55】
前記第1、第2、第3及び第4の偏光回転子(95、97、99、101)が、好ましくは分散的ファラデー回転子であって、それぞれ磁場を加え、その回転角が、前記波長範囲において前記比3:−4:4:−3であり、
前記第1、第2及び第3のリターダー(96、98、100)が、好ましくは同等の複屈折リターダーであって、その方向角が、前記入射偏光子(94)に対し前記比3:−4:4:−3になるようにその光軸を配向され、
前記フィルタが、前記磁場の磁束密度を調節することによって、前記ファラデー回転角を変化させる手段をさらに含むことを特徴とする、請求項52に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項56】
前記フィルタが、
前記波長範囲において前記ファラデー回転角の前記比3:−4:4:−3を不変のままで、同時に前記ファラデー回転角を変化させることによって、又は少なくとも2つの選択状態において前記ファラデー回転角を切り替えることによって、同調可能又は切り替え可能なスペクトル伝達を有し、
一方向に光を伝達し同調可能でフィルタリングするが、逆方向の光を遮断する一方向デバイスとして機能し、
前記複屈折リターダーが、静止し、前記入射偏光子(94)に対し、その光軸が、好ましくはそれぞれ3ψ=67.5°、−ψ=−22.5°及び3ψ=67.5°になるように配向され、
前記波長範囲において前記位相遅れΔ及びΔが、好ましくは38.4°に等しく又はほぼ等しく、前記位相遅れΔが、108.2°に等しい又はほぼ等しいことを特徴とする、請求項55に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項57】
前記第1、第2、第3及び第4の偏光回転子(95、97、99、101)が、好ましくは同等の分散的光回転子であり、
前記第1、第2及び第3のリターダー(96、98、100)が、好ましくは可変リターダーであって、その光軸の方向角が、前記比3:−1:3になるように前記入射偏光子に対し配向され、少なくとも2つの選択状態で切り替え可能な位相遅れを有するように動作させ、
したがって前記波長範囲において前記切り替え状態の一方では前記可変リターダーが、0°に等しい又はほぼ等しい位相遅れを有し、他方の状態では前記可変リターダーが、位相遅れに対する前記条件を満たすように値を取った位相遅れを有することになることを特徴とする、請求項52に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項58】
前記フィルタが、前記切り替え状態で前記位相遅れを切り替えて、同時に前記可変リターダーを切り替えることによって切り替え可能なスペクトル伝達を有し、
その最大伝達ピークの勾配及び第2の最大値が、同時に前記可変リターダーの前記位相遅れを、前記条件を満たしたままで変化させることによって調節可能であり、
そのスペクトル伝達が、前記ビーム軸のまわりで同時に前記可変リターダーを、その方向角の前記比3:−1:3を不変のままで、回転させることによって同調可能であることを特徴とする、請求項57に記載のスペクトル・フィルタ。
【請求項59】
波長範囲において波長同調可能で光をフィルタリング方法であって、
入射偏光子、少なくとも1つの分散的偏光回転子及び少なくとも1つの方向感受性偏光用要素を含む、請求項6に記載のスペクトル・フィルタを設けるステップと、
前記偏光用要素を回転させることによって、かつ/又は前記偏光回転子の回転角を変化させることによって前記スペクトル・フィルタを同調させるステップとを含む、方法。
【請求項60】
前記フィルタが、入射偏光子、回転可能な出射偏光子及び分散的偏光回転子を含む、請求項8に記載の1段スペクトル・フィルタであり、
前記方法が、前記入射偏光子に対し前記出射偏光子を回転させることによって、かつ/又は前記分散的偏光回転子の回転角を変化させることによって前記1段フィルタを同調させるステップを含むことを特徴とする、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記1段フィルタが、請求項12又は請求項14によって修正され、回転可能な半波リターダー又は能動型偏光回転子をさらに含み、
前記方法が、前記リターダーを回転させることによって、又は前記能動型偏光回転子の回転角を変化させることによって前記フィルタを同調させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記1段フィルタが、請求項17によって修正され、第2の分散的偏光回転子及び2つの選択状態間で切り替え可能な位相遅れを有した可変リターダーをさらに含み、
前記方法が、前記切り替え状態において前記リターダーを切り替えることによって、前記フィルタを同調させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記フィルタが、請求項19に記載のn段(n=2、3、4、・・・)スペクトル・フィルタであって、
その前記n段スペクトル・フィルタが、入射偏光子、n個の回転可能な偏光子及びn個の偏光回転子を含み、
前記入射偏光子、n個の回転可能な偏光子及びn個の偏光回転子が、請求項19に記載に従って配向され、
前記方法が、
同時に前記n個の回転可能な偏光子を、その方位角の比を不変のままで、又は前記n個の回転可能な偏光子が、前記入射偏光子に対し平行又は直角になるように回転させることによって、
さらに、同時に前記n個の偏光回転子の前記回転角を、それらの前記回転角の比を不変のままで変化させることによって前記n段フィルタを同調させるステップを含むことを特徴とする、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記n段フィルタが、請求項23又は請求項25によって修正され、n個の回転可能な半波リターダー又はn個の能動型偏光回転子をさらに含み、
前記方法が、
同時に前記n個の半波リターダーを、それらの方向角の比を不変のままで、又は前記方向角が、ゼロに等しくなるように回転させることによって、又は
同時に前記n個の能動型偏光回転子の回転角を、前記波長範囲においてそれらの比を不変のままで、又はゼロに等しい又はほぼ等しいように、変化させることによって前記n段フィルタを同調させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記n段フィルタが、請求項22によって修正され、他のn個の分散的偏光回転子と、それぞれが2つの選択状態間で切り替え可能な位相遅れを有したn個の同一の可変リターダーとをさらに含み、
前記方法が、
前記切り替え状態において同時に前記n個の可変リターダーを切り替えることによって、かつ/又は
同時に前記n個のリターダーを、それらの前記方向角の比を不変のままで、又は各前記n個のリターダーがその直前の偏光子に対し平行になるように回転させることによって前記フィルタを同調させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記フィルタが、請求項30、37、44又は52に記載の中間偏光子のないスペクトル・フィルタであって、
その中間偏光子のないスペクトル・フィルタが、入射偏光子と、出射偏光子と、少なくとも3つの分散的偏光回転子と、少なくとも2つのリターダーとを含み、
前記リターダーが、請求項30、37、44又は52の記載に従って配向され、
前記方法が、
前記波長範囲において同時に前記リターダーを、又は同時に前記リターダー及び出射偏光子を、それらの方向角の比を不変のままで回転させることによって、かつ/又は
前記波長範囲において同時に前記偏光回転子の回転角を、前記回転角の比を不変のままで変化させることによって、前記フィルタを同調させるステップを含み、かつ/又は
前記リターダーの位相遅れを好ましくは所定の範囲で変化させることによって、前記フィルタの伝達プロフィールを調節するステップを含むことを特徴とする、請求項59に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図23a】
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【図23b】
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【図23c】
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【図23d】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27a】
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【図27b】
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【図27c】
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【図29】
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【図30a】
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【図30b】
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【図30c】
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【図30d】
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【公表番号】特表2006−510935(P2006−510935A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561547(P2004−561547)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000977
【国際公開番号】WO2004/057413
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505231372)
【Fターム(参考)】