説明

光走査装置

【課題】光ビームの幅を規定するための複数の開口を有する光走査装置において筐体の構成を簡略化する。
【解決手段】光走査装置は、光源(半導体レーザ51A)と、光源からの光ビームを偏向走査する偏向器と、光ビームを検出するビーム検出器58と、偏向器により偏向された光ビームをビーム検出器58に向けて反射するミラーと、光源、偏向器、ビーム検出器およびミラーを収容する筐体(スキャナ筐体50)とを備えている。筐体は、当該筐体内に立設する一連の内部壁100を有し、光源およびビーム検出器58は、内部壁100を挟んで、偏向器およびミラーとは反対側に配置されている。内部壁100には、光源から偏向器に向かう光ビームが通過する第1開口110と、ミラーからビーム検出器に向かう光ビームが通過する第2開口120が形成され、第1開口110の周壁111および第2開口120の周壁121は、一の方向に向けて広がるように傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタなどの画像形成装置には、感光体の表面を露光する光走査装置が設けられている。このような光走査装置としては、例えば、特許文献1に示すように、光源(半導体レーザ)や、光源からのレーザ光を偏向走査する偏向器(回転多面鏡)、画像の書き出しタイミングを決定するためにレーザ光を受光するビーム検出器(光電素子)、偏向器で反射されるレーザ光をビーム検出器に向けて反射するミラーなどを備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−185689号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光走査装置では、偏向器やビーム検出器に照射されるレーザ光の幅を規定するため、光源と偏向器の間、および、ミラーとビーム検出器の間にアパーチャ(開口)が設けられることがある。このような開口は、光源やビーム検出器などを支持する筐体の壁に直接形成したり、筐体にアパーチャが形成された板などを取り付けたりすることで設けられている。しかしながら、従来の光走査装置の構成では、複数の開口を設けることで筐体の構成や成形が複雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、光ビームの幅を規定するための複数の開口を有する光走査装置において筐体の構成を簡略化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の光走査装置は、光源と、前記光源からの光ビームを偏向走査する偏向器と、光ビームを検出するビーム検出器と、前記偏向器により偏向された光ビームを前記ビーム検出器に向けて反射するミラーと、前記光源、前記偏向器、前記ビーム検出器および前記ミラーを収容する筐体とを備えた光走査装置であって、前記筐体は、当該筐体内に立設する一連の内部壁を有し、前記光源および前記ビーム検出器は、前記内部壁を挟んで、前記偏向器および前記ミラーとは反対側に配置されており、前記内部壁には、前記光源から前記偏向器に向かう光ビームが通過する第1開口と、前記ミラーから前記ビーム検出器に向かう光ビームが通過する第2開口が形成され、前記第1開口の周壁は、一の方向に平行、または、当該一の方向に向けて広がるように傾斜し、前記第2開口の周壁は、前記一の方向に平行、または、前記一の方向に向けて広がるように傾斜していることを特徴とする。
【0007】
このように構成された光走査装置によれば、筐体内の一連の内部壁に第1開口と第2開口が形成されているので、筐体に開口が形成された板などを取り付ける構成と比較して、筐体の構成や組立を簡略化することができる。さらに、第1開口の周壁および第2開口の周壁が一の方向に平行または一の方向に向けて広がるように傾斜しているので、筐体を金型に樹脂を注入して成形するときに、金型(入れ子)を一の方向に抜くことで2つの開口を同時に成形することができるため、筐体の成形を簡略化することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1開口および第2開口が、筐体内の一連の内部壁に形成され、かつ、各開口の周壁が一の方向に平行または一の方向に向けて広がるように傾斜しているので、筐体の構成や成形を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る光走査装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】光走査装置の平面図である。
【図3】ベースフレームの斜視図である。
【図4】図2のX−X断面図である。
【図5】内部壁の断面図である。
【図6】第2開口の作用を示す図である。
【図7】変形例に係る内部壁の構成を示す図である
【図8】他の変形例に係る内部壁の構成を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る光走査装置を備えた画像形成装置の概略構成について説明した後、光走査装置の詳細な構成について説明する。
【0011】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1(画像形成装置)は、本体筐体2内に、用紙Sを給紙するための給紙部3と、用紙Sに画像を形成する画像形成部4とを主に備えている。
【0012】
ここで、レーザプリンタ1の概略構成の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前(手前)」、左側を「後(奥)」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0013】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によって画像形成部4に供給される。
【0014】
画像形成部4は、光走査装置5と、プロセスカートリッジ6と、定着装置7とから主に構成されている。
【0015】
光走査装置5は、本体筐体2内の上部に配置され、画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)を出射し、感光体ドラム61の表面を露光して静電潜像を形成するように構成されている。光走査装置5の詳細な構成については後述する。
【0016】
プロセスカートリッジ6は、光走査装置5の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー(符号省略)を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63と、現像ローラ64と、層厚規制ブレード65と、供給ローラ66と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部67とを主に備えている。
【0017】
プロセスカートリッジ6では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、光走査装置5からのレーザ光によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部67内のトナーは、供給ローラ66を介して現像ローラ64に供給され、現像ローラ64と層厚規制ブレード65との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ64上に担持される。
【0018】
現像ローラ64上に担持されたトナーは、現像ローラ64から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63との間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0019】
定着装置7は、プロセスカートリッジ6の後方に設けられ、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向配置されて加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72とを主に備えている。この定着装置7では、用紙S上に転写されたトナー像を、用紙Sが加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過する間に熱定着させる。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ73によって搬送経路23を搬送され、搬送経路23から排出ローラ24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0020】
<光走査装置の詳細構成>
図2に示すように、光走査装置5は、スキャナ筐体50(筐体)内に、光源装置51と、第1レンズの一例としてのシリンドリカルレンズ52と、偏向器の一例としてのポリゴンミラー53と、走査レンズ54と、反射鏡55,56と、第2レンズの一例としての集光レンズ57と、ビーム検出器58と、基板の一例としての制御基板59とを主に備えている。
【0021】
本実施形態において、光源装置51(半導体レーザ51A)およびビーム検出器58は、スキャナ筐体50内に設けられた一連の内部壁100(ハッチングを付した部分)を挟んで、ポリゴンミラー53および反射鏡56とは反対側に配置されている。スキャナ筐体50の詳細な構成については後述する。
【0022】
光源装置51は、レーザ光(光ビーム)を出射する光源の一例としての半導体レーザ51Aや、半導体レーザ51Aから出射されたレーザ光を集光させて平行な光束に変換する図示しないカップリングレンズなどを備えて構成されている。
【0023】
シリンドリカルレンズ52は、光源装置51から出射されてポリゴンミラー53に向かうレーザ光が通過するレンズである。このシリンドリカルレンズ52は、光源装置51から出射されたレーザ光を屈折させて副走査方向(主走査方向に直交する方向)に収束し、ポリゴンミラー53(反射面)上に集光する。
【0024】
ポリゴンミラー53は、六角柱の6つの側面が反射面となっており、高速回転しながら光源装置51からのレーザ光を反射して主走査方向(図2の上下方向)に偏向および等角速度で走査する。
【0025】
走査レンズ54は、ポリゴンミラー53により偏向走査されたレーザ光が通過するレンズである。この走査レンズ54は、ポリゴンミラー53により等角速度で走査されたレーザ光を等速度で走査するように変換するとともに、ポリゴンミラー53で反射されたレーザ光を屈折させて副走査方向に収束し、感光体ドラム61の表面に集光することで、ポリゴンミラー53の面倒れを補正する。
【0026】
反射鏡55は、走査レンズ54を通過したレーザ光を感光体ドラム61に向けて反射する(図1も参照)。
【0027】
反射鏡56(ミラー)は、走査レンズ54の光軸方向(図2の左右方向)におけるポリゴンミラー53と走査レンズ54の間に配置されており、ポリゴンミラー53により反射(偏向)されたレーザ光をビーム検出器58に向けて反射する。
【0028】
集光レンズ57は、反射鏡56からビーム検出器58に向かうレーザ光が通過するレンズである。この集光レンズ57は、反射鏡56で反射されたレーザ光を屈折させて主走査方向および副走査方向に収束し、ビーム検出器58の検出面に集光する。
【0029】
ビーム検出器58は、レーザ光を検出するセンサである。光走査装置5では、ビーム検出器58でレーザ光が検出されてから所定時間経過した後に、光源装置51(半導体レーザ51A)を画像データに基づいて適宜明滅させる。これにより、感光体ドラム61の表面(被走査面)における画像の書き出し位置を一定に揃えることが可能となっている。なお、被走査面における書き出し位置を揃える構成や制御などは公知なので、本明細書では詳細な説明を省略する。
【0030】
制御基板59は、レーザプリンタ1に設けられた図示しない制御装置からの入力に基づいて、半導体レーザ51Aの明滅やポリゴンミラー53の駆動などを制御する。この制御基板59には、半導体レーザ51Aとビーム検出器58が半田付けなどによって固定されている。言い換えると、半導体レーザ51Aとビーム検出器58は、同一の制御基板59上に設けられている。
【0031】
光走査装置5では、光源装置51から出射された画像データに基づくレーザ光が、シリンドリカルレンズ52、ポリゴンミラー53、走査レンズ54および反射鏡55の順に反射または通過して、感光体ドラム61(図1参照)の表面で高速走査される。これにより、感光体ドラム61の表面が露光され、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0032】
[スキャナ筐体の詳細構成]
スキャナ筐体50は、光源装置51やポリゴンミラー53、反射鏡56、ビーム検出器58などを収容する筐体である。このスキャナ筐体50は、図1における上方が開放された箱状のベースフレーム50Aと、ベースフレーム50Aを覆うように取り付けられる蓋フレーム50Bとから主に構成されている。
【0033】
ベースフレーム50Aおよび蓋フレーム50B(スキャナ筐体50)は、それぞれ、射出成形など、金型に溶融した樹脂を注入し、この樹脂を硬化させた後に金型から取り出すことで成形される。このような成形方法(製造方法)は公知なので、本明細書では詳細な説明を省略する。
【0034】
図3に示すように、ベースフレーム50Aは、底壁部50Cと、底壁部50Cから立設して底壁部50Cと蓋フレーム50Bの上壁部50D(図4参照)をつなぐように延びる側壁部50Eと、内部壁100とを主に有している。また、図4に示すように、蓋フレーム50Bは、底壁部50Cに対向する上壁部50Dを主に有している。底壁部50C、上壁部50Dおよび側壁部50Eは、光走査装置5の外側の壁を構成している。
【0035】
なお、上壁部50Dの「上」および底壁部50Cの「底」は、説明の便宜のために、上または底と称したものであり、スキャナ筐体50(光走査装置5)の上下方向に必ずしも一致するわけではない。すなわち、光走査装置5がレーザプリンタ1(本体筐体2)に取り付けられたときに、底壁部50Cが上壁部50Dの上方に位置していてもよい。
【0036】
図3に示すように、内部壁100は、スキャナ筐体50内(底壁部50C、上壁部50Dおよび側壁部50Eによって囲まれた空間内)に立設する一連の壁であり、第1壁部101と、第2壁部102と、第1支持部103と、第2支持部104とを有している。
【0037】
この内部壁100は、底壁部50Cの内面から図4における上方に向けて延びるように設けられており、その端面が上壁部50Dの内面に当接している。すなわち、内部壁100は、上壁部50Dまで届いている。これにより、蓋フレーム50Bを下から支持することができるので、スキャナ筐体50の剛性を向上させることができるとともに、内部壁100とは別に補強用の壁を設ける構成と比較して、スキャナ筐体50の構成を簡略化することができる。
【0038】
また、図2に示すように、内部壁100は、スキャナ筐体50内の空間を、光源装置51(半導体レーザ51A)やビーム検出器58などが配置される空間S1と、ポリゴンミラー53や反射鏡56などが配置される空間S2とに仕切るように設けられている。これにより、レーザ光の発光領域とレーザ光の走査領域が区切られることになるので、不要な光が発光領域(空間S1)から走査領域(空間S2)に入り込むことを抑制できる。特に本実施形態では、内部壁100が上壁部50Dまで届いているので、不要な光が走査領域に入り込むことをより確実に抑制できる。
【0039】
なお、走査領域に不要な光が入り込んだ場合、この光はポリゴンミラー53で反射され、走査レンズ54を通過した後、反射鏡55で反射されて、感光体ドラム61の表面に到達することがある。そして、不要な光が感光体ドラム61に到達すると、いわゆるゴーストとなり、画像品質を低下させるおそれがある。しかし、本実施形態の構成では、発光領域(空間S1)と走査領域(空間S2)が内部壁100によって仕切られているので、不要な光が感光体ドラム61に到達しにくくなり、画像品質の低下を抑えることができる。
【0040】
図5に示すように、第1壁部101は、一連の内部壁100のうち、互いに対向する光源装置51とシリンドリカルレンズ52の間に位置する部分である。この第1壁部101には、光源装置51(半導体レーザ51A)からポリゴンミラー53(図2参照)に向かうレーザ光が通過する第1開口110が形成されている。
【0041】
第1開口110は、第1壁部101に直交する方向から見て、略矩形状をなしており(図4参照)、通過するレーザ光(カップリングレンズで光束に変換されたレーザ光)の幅を規定する。この第1開口110の周壁111は、図5において一点鎖線の矢印で示す一の方向に向けて広がるように傾斜している。
【0042】
第2壁部102は、一連の内部壁100のうち、互いに対向する集光レンズ57とビーム検出器58の間に位置する部分である。この第2壁部102には、反射鏡56(図2参照)からビーム検出器58に向かうレーザ光が通過する第2開口120が形成されている。
【0043】
第2開口120は、第2壁部102に直交する方向から見て、反射鏡56で反射されたレーザ光の主走査方向(図4の左右方向)に細長いスリット状をなしており、図6に示すように、通過するレーザ光の主に副走査方向の幅を規定する。
【0044】
ここで、本実施形態の光走査装置5は、半導体レーザ51Aからビーム検出器58までのレーザ光の光路長を、半導体レーザ51Aから感光体ドラム61までのレーザ光の光路長よりも短くすることで、小型化を図っている。そのため、集光レンズ57によってレーザ光を主走査方向および副走査方向に急激に収束させることで、レーザ光をビーム検出器58の検出面に集光させている。
【0045】
このような構成では、スキャナ筐体50の製造誤差などによって集光レンズ57の焦点位置が光軸方向にずれると、ビーム検出器58の検出面上において光の強度が強い部分(以下、ピークという。)が副走査方向に複数現れることがある。このとき、ポリゴンミラー53の面倒れなどによって検出されるピークが変わると、画像の書き出しの位置がずれる可能性がある。
【0046】
そこで、本実施形態では、第2開口120を主走査方向に細長いスリット状に形成してレーザ光の主に副走査方向の幅を規定することで、ビーム検出器58の検出面上においてピークが副走査方向に複数現れることを抑制している。これにより、画像の書き出しの位置の安定化を図ることが可能となっている。
【0047】
第2開口120の周壁121は、図5に示すように、第1開口110の周壁111が広がる方向と同じ方向である一の方向(一点鎖線の矢印参照)に向けて広がるように傾斜している。
【0048】
以上説明した、第1壁部101(内部壁100のうち第1開口110が形成された部分)と第2壁部102(内部壁100のうち第2開口120が形成された部分)は、互いに平行である。
【0049】
第1支持部103は、シリンドリカルレンズ52を支持する部分であり、第1壁部101の走査領域側(空間S2側(図2参照))に設けられている。また、第2支持部104は、集光レンズ57を支持する部分であり、第2壁部102の走査領域側に設けられている。このような第1支持部103および第2支持部104を内部壁100に設けることで、内部壁100とは別にレンズの支持部を設ける構成と比較して、スキャナ筐体50の構成を簡略化することができる。
【0050】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
スキャナ筐体50内の一連の内部壁100に、第1開口110と第2開口120が形成されているので、スキャナ筐体50に開口が形成された板などを取り付ける構成と比較して、スキャナ筐体50の構成や組立を簡略化することができる。
【0051】
さらに、第1開口110の周壁111および第2開口120の周壁121が同じ方向(一の方向)に向けて広がるように傾斜しているので、スキャナ筐体50(ベースフレーム50A)を金型に樹脂を注入して成形する過程において、1つの金型(入れ子)を抜くだけで第1開口110および第2開口120を同時に成形することが可能となる。これにより、スキャナ筐体50の成形を簡略化することができる。なお、本実施形態においては、金型(入れ子)の抜き方向が「一の方向」に対応する。
【0052】
また、第1開口110および第2開口120(複数の開口)を同時の成形することが可能となることで、複数の開口を個別に設ける構成と比較して、複数の開口同士の位置精度や、半導体レーザ51Aやビーム検出器58が設けられる制御基板59の複数の開口に対する取り付け位置精度を向上させることができる。
【0053】
また、第1壁部101と第2壁部102が平行であるので、内部壁100から金型(入れ子)を比較的に容易に離型させることが可能となり、スキャナ筐体50を容易に成形することができる。
【0054】
また、半導体レーザ51Aとビーム検出器58が同一の制御基板59上に設けられているので、半導体レーザ51Aおよびビーム検出器58を別の基板上にそれぞれ設ける構成と比較して、半導体レーザ51Aとビーム検出器58の位置精度を向上させることができる。さらに、第1開口110と半導体レーザ51Aの位置精度、および、第2開口120とビーム検出器58の位置精度をそれぞれ向上させることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0056】
前記実施形態では、第1開口110の周壁111および第2開口の120の周壁121が、一の方向に向けて広がるように傾斜している構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、第1開口110の周壁112および第2開口120の周壁122が、一点鎖線の矢印で示す一の方向に平行である構成としてもよい。このような構成であっても、スキャナ筐体50を成形する過程において、1つの金型(入れ子)を抜くだけで第1開口110および第2開口120を同時に成形することが可能となるので、スキャナ筐体50の成形を簡略化することができる。
【0057】
また、前記した実施形態では特に述べていないが、第1開口110の周壁111や第2開口120の周壁121は、全周が一の方向に向けて広がっていてもよいし、そうでなくてもよい。同様に、第1開口110の周壁112や第2開口120の周壁122(図7参照)は、全周が一の方向に平行であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0058】
すなわち、例えば、略矩形状の開口の対向する二対の壁のうち、一対の壁が一の方向に向けて傾斜し、他の一対の壁が一の方向に平行であってもよい。また、略矩形状の開口の4つの壁のうち、3つの壁が一の方向に向けて傾斜し、残りの1つの壁が一の方向に平行であってもよい。さらに、略矩形状の開口の4つの壁のうち、隣り合う2つの壁が一の方向に向けて傾斜し、別の隣り合う2つの壁が一の方向に平行であってもよい。
【0059】
前記実施形態では、第2開口120が主走査方向に長いスリット状をなしている構成を例示したが、これに限定されず、例えば、前記実施形態の第1開口110と同様に、略矩形状をなす構成としてもよい。すなわち、本発明において、第2開口および第1開口は、通過する光ビームの幅を規定するもの(いわゆるアパーチャとして機能するもの)であれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0060】
前記実施形態では、第1開口110が第1壁部101に形成され、第2開口120が第2壁部102に形成された構成を例示したが、これに限定されず、例えば、第1開口と第2開口の両方が同一の壁部に形成される構成としてもよい。
【0061】
前記実施形態では、第1壁部101(内部壁のうち第1開口が形成された部分)と第2壁部102(内部壁のうち第2開口が形成された部分)が平行である構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、内部壁のうち、第1開口が形成された部分(面)と第2開口が形成された部分(面)が異なる方向を向いている構成としてもよい。具体的には、図8に示すように、第1開口110が形成された第1壁部201と、第2開口120が形成された第2壁部202が、互いに異なる方向に向けて延びている構成、すなわち、互いに平行でない構成としてもよい。このような構成とすることで、スキャナ筐体50の剛性を向上させることができる。
【0062】
前記実施形態では、半導体レーザ51A(光源)とビーム検出器58が同一の制御基板59(基板)上に設けられている構成を例示したが、これに限定されず、光源とビーム検出器が異なる基板上に設けられる構成としてもよい。
【0063】
前記実施形態では、内部壁100がシリンドリカルレンズ52(第1レンズ)と集光レンズ57(第2レンズ)を支持する構成(第1支持部103および第2支持部104を有する構成)を例示したが、これに限定されるものではない。すなわち、内部壁とは別にレンズの支持部を設ける構成としてもよい。
【0064】
前記実施形態では、内部壁100が底壁部50Cに設けられ、上壁部50D(蓋フレーム50B)まで届いている構成を例示したが、これに限定されず、例えば、内部壁と上壁部の間に隙間がある構成としてもよい。
【0065】
前記実施形態では、内部壁100によってスキャナ筐体50内の空間が、発光領域(空間S1)と走査領域(空間S2)に仕切られている構成を例示したが、これに限定されるものではない。すなわち、内部壁が発光領域と走査領域を仕切らない構成としてもよい。なお、前記実施形態のように、内部壁100が発光領域と走査領域を仕切ることで、画像品質低下の抑制とともに、スキャナ筐体50の剛性を向上させることができる。
【0066】
前記実施形態では、光源装置51から平行な光束に変換されたレーザ光(光ビーム)が出射される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、収束光や発散光束が出射される構成としてもよい。
【0067】
前記実施形態では、偏向器として、反射面が回転することでレーザ光(光ビーム)を偏向走査するポリゴンミラー53を例示したが、これに限定されず、例えば、反射面が揺動することで光ビームを偏向走査する振動ミラーなどを採用してもよい。
【0068】
前記実施形態では、第1レンズとしてシリンドリカルレンズ52を例示し、第2レンズとして集光レンズ57を例示したが、これに限定されず、別の種類のレンズを適宜採用してもよい。なお、本発明は、第1レンズおよび/または第2レンズを備えない構成としてもよい。
【0069】
前記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、複写機や複合機などであってもよい。また、前記実施形態では、本発明の光走査装置を画像形成装置(レーザプリンタ1)に適用した例を示したが、これに限定されず、例えば、測定装置や検査装置などに適用してもよい。
【符号の説明】
【0070】
5 光走査装置
50 スキャナ筐体
50C 底壁部
50D 上壁部
50E 側壁部
51 光源装置
51A 半導体レーザ
52 シリンドリカルレンズ
53 ポリゴンミラー
56 反射鏡
57 集光レンズ
58 ビーム検出器
59 制御基板
100 内部壁
101 第1壁部
102 第2壁部
103 第1支持部
104 第2支持部
110 第1開口
111 周壁
120 第2開口
121 周壁
S1 空間
S2 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源からの光ビームを偏向走査する偏向器と、光ビームを検出するビーム検出器と、前記偏向器により偏向された光ビームを前記ビーム検出器に向けて反射するミラーと、前記光源、前記偏向器、前記ビーム検出器および前記ミラーを収容する筐体とを備えた光走査装置であって、
前記筐体は、当該筐体内に立設する一連の内部壁を有し、
前記光源および前記ビーム検出器は、前記内部壁を挟んで、前記偏向器および前記ミラーとは反対側に配置されており、
前記内部壁には、前記光源から前記偏向器に向かう光ビームが通過する第1開口と、前記ミラーから前記ビーム検出器に向かう光ビームが通過する第2開口が形成され、
前記第1開口の周壁は、一の方向に平行、または、当該一の方向に向けて広がるように傾斜し、
前記第2開口の周壁は、前記一の方向に平行、または、前記一の方向に向けて広がるように傾斜していることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記内部壁のうち、前記第1開口が形成された部分と前記第2開口が形成された部分は、平行であることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記内部壁のうち、前記第1開口が形成された部分と前記第2開口が形成された部分は、異なる方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記光源と前記ビーム検出器は、同一の基板上に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記第2開口は、主走査方向に長いスリット状をなしており、通過する光ビームの副走査方向の幅を規定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記光源から前記偏向器に向かう光ビームが通過する第1レンズと、前記ミラーから前記ビーム検出器に向かう光ビームが通過する第2レンズとを備え、
前記内部壁は、前記第1レンズと前記第2レンズを支持することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記筐体は、外側の壁を構成する、底壁部と、前記底壁部と対向する上壁部と、前記底壁部と前記上壁部をつなぐように延びる側壁部とを有し、
前記内部壁は、前記底壁部に設けられ、前記上壁部まで届いていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記筐体内の空間は、前記光源および前記ビーム検出器が配置される空間と、前記偏向器および前記ミラーが配置される空間が、前記内部壁によって仕切られていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光走査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−248228(P2011−248228A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123158(P2010−123158)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】