説明

入力デバイス

【課題】発光側の光導波路コアが複数の辺状部材の接合により構成されたものであっても、そのコアの光結合部位における光結合損失の変動が小さく、枠内の検知空間における高い検出精度を安定して維持することのできる入力デバイスを提供する。
【解決手段】複数の辺状部材(10A〜10D)を突き合わせて構成された枠状の光導波路10における発光側の二分岐状の光導波路コアC1は、枠の角部10zに位置する共通部1と、共通部1から二股状に分岐する連絡路(2a,3a)と、枠の2辺に配置される主路(2b,3b)とからなり、上記の1つの主路2bと連絡路2aの光結合が、上記辺状部材どうしの端面の突き合わせにより形成されている。これら主路2bと連絡路2aの光結合部位における光入射側の結合端面2dのコア幅(WA)は、対向する光出射側の結合端面2eのコア幅(WB)以上に広く(WA≧WB)形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の辺状部材からなる四角枠状の光導波路内側の検知空間に、物体検出用の光の格子を形成し、この格子状の光の部分的な遮蔽を検知することにより、指やペン等の入力体の位置を検出する入力デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや各種機器に、指示や座標情報等を入力する入力インターフェースとして、枠状の検知空間内に形成した格子状の光の遮蔽を検出することにより、この検出空間内における指やペン等の入力体の位置を検出する、光学式の入力デバイスが使用されている。
【0003】
この光学式入力デバイスに用いられる光学的検出手段としては、従来、四角枠状のフレームにおいて、互いに対向する一方の辺に複数の発光素子が並設され、他方の辺に複数の受光素子が並んで配置され、上記発光素子から受光素子に向かって出射された光が、上記フレーム内に、縦横に交差する光の格子を形成し、指等による光の遮蔽を検出して、この指等(入力体)の位置を検出するようになっているものが知られている(例えば、特許文献1等を参照。)。
【0004】
しかしながら、上記のような多数の光学素子を使用する従来の光学的検出手段は、発光素子と受光素子との間の位置合わせ(アライメント)等の調整や製造の手間が多く、また部品点数も多いため品質がばらつき、歩留りが向上しない、といった数多くの問題があった。
【0005】
これに対して、本出願人は、特願2010−139063において、一辺に光出射用の発光側コアを有し、対応する他辺に光入射用の受光側コアを有する枠状の光導波路を用い、上記枠において隣接する2つの辺に挟まれた1つの角部の外縁に光源を配設するとともに、この光源の光を、上記隣接する2辺(互いに直交する2つの辺)に分配して、格子状の光の縦方向光および横方向光の両方の形成に利用することにより、光源のアライメント調整等の手間が少なく、軽量、薄形で、かつ、デバイス全体で必要な光を1つの光源で賄うことのできる光学式入力デバイスを提案している。
【0006】
上記出願人の提案(特願2010−139063)にかかる入力デバイス(光導波路デバイス)は、図7(a)に示すように、フラットパネルディスプレイの周囲の額縁部等に配置されるものであり、この額縁部に、発光側の光導波路コア11および受光側の光導波路コア12を備える枠状光導波路と、光源20および受光素子(受光素子アレイ30)とが配設されている。なお、ここでは説明しないが、図中の符号14a,15aは後記の分岐コア部の「連絡路」に、符号14b,15bは後記の分岐コア部の「主路」に、符号14c,15cは後記の分岐コア部の「光出射絡路」に相当する部位である。
【0007】
上記発光側の光導波路コア11は、光源20に接して設けられた広幅状の共通部13と、この共通部13から分岐して枠の一辺方向(この例では長辺方向)に直線状に延びる第1の分岐コア部14と、共通部13の分岐点Jから90°湾曲して枠の他辺(短辺)方向に延びる第2の分岐コア部15とからなる、二分岐状のコアに形成されており、上記共通部13の光入射端面(光結合面)13aからコアに入射した光源20の発光が、分岐点Jにおける上記第1の分岐コア部14と第2の分岐コア部15のコア幅の比(Wx:Wy)に応じた所定の比率に分配されるようになっている〔図7(b)参照〕。
【0008】
また、これら第1の分岐コア部14および第2の分岐コア部15の各光出射側端部(出光部14xおよび15y)から、上記光源20の光が額縁内の検知空間(領域)Sに出射(投射)されることにより、この検知空間S内に、縦横(xy方向)に交差する光の格子が形成される。そして、指やペン等による上記光の格子の遮蔽を、上記受光側光導波路コア12に繋がる受光素子アレイ30で感知し、感知した受光素子に対応する検知領域上の位置を特定することにより、上記指等が触れた部分の位置情報(座標等)を出力することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3682109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、近年のフラットパネルディスプレイ等の大画面化に伴い、上記のような光導波路型の入力デバイスにおいても、その大型化が求められている。そこで、光導波路の形状をそのまま大形化することが考えられるが、光導波路全体を枠状のまま大形化すると、製造設備も大型化してしまううえ、光導波路の寸法精度が低下するおそれがある。そのため、本発明者は、枠状の光導波路を、枠の辺形状(略I字形状,略L字形状等)に分割された複数の辺状部材(ピース)を組み合わせて構成し、これら辺状部材の接合面で、それぞれに形成された光導波路コアの端面(光結合面)どうしを突き合わせて光伝搬可能に結合(一体化)することを考えた。
【0011】
しかしながら、前記のような二分岐状の発光側光導波路コアを備える光導波路を、上記複数の辺状部材を組み合わせて構成しようとする場合、以下のような新たな問題が生じることが分かった。
【0012】
すなわち、上記複数の辺状部材の組み付け(接合)は、各辺状部材の端部に設けられた接合部(接合用端面)を対面状に突き合わせて行われるため、製作公差やコア周りのクラッド層の影響等により、光導波路コアの端面(光結合面)どうしを密着させる(隙間を0にする)ことは、実際上困難である。そのため、光を受け取る側(光入射側)のコア幅が不適切であると、出射側のコアの端部から出射した光が広がって、突き合わせ部分の隙間から光が漏れだしてしまうおそれがある。
【0013】
また、上記コアの突き合わせ(調芯)の作業では、その突き合わせ面に沿ってコアが互いにずれるおそれがあり、このずれ(光軸どうしのずれ)が発生すると、コア間の光の伝搬効率が低下(光の結合損失が増大)してしまう。
【0014】
しかも、上記のような二分岐状の発光側光導波路コアにおいては、分岐後の光導波路コアの一方に光結合部位(辺状部材の接合部)がある場合、この光結合部位の結合損失が増大すると、上記コアの分岐点で設計通りの所定の比(光量比)に分配された光が、上記光結合部位を有する側のコアで低下し、これにより、入力体の検出精度が低下するおそれがある。ここに、改善の余地がある。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、発光側の光導波路コアが複数の辺状部材の接合により構成されたものであっても、そのコアの光結合部位における光結合損失の変動が小さく、枠内の検知空間における高い検出精度を安定して維持することのできる入力デバイスの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するため、本発明の入力デバイスは、複数の辺状部材を突き合わせて形成された枠状体と、この枠に囲われた空間からなる検知空間と、この枠状体の1つの角部の外縁に配設される光源と、複数の受光素子を備える受光手段と、上記光源から出射される光を互いに隣接する上記枠の2辺に分配する二分岐状の発光側光導波路コアと、上記枠の他の2辺に配置されて上記検知空間を通った光を受光手段に導く複数の受光側光導波路コアとを備え、上記二分岐状の発光側光導波路コアが、上記枠の角部に位置する光入射側の共通部と、この共通部に関連して上記枠の2辺に延びる主路と、上記共通部から二股状に分岐してそれぞれ上記主路に繋がる連絡路とを有し、上記共通部および二股状の連絡路の一方と連絡する一方の主路が、一方の辺状部材に形成され、他方の主路が他方の辺状部材に形成され、他方の主路と上記連絡路の他方との光結合が、一方および他方の辺状部材の端面の突き合わせにより形成され、上記他方の主路における連絡路側の光入射端面のコア幅(WA)と、これに対向する上記連絡路の他方の光出射端面のコア幅(WB)とが、下記の式(1)の関係に設定されている構成をとる。
A≧WB ・・・(1)
【0017】
すなわち、本発明の発明者は、前記課題を解決するために、枠状の光導波路の光路に関する研究の過程で、枠の角部に配置された光源の光を隣接する枠の2辺方向に分配する二分岐状の発光側光導波路コアを備えるとともに、この発光側光導波路コアの一方が、2つ以上の辺状部材に跨る分割状に形成されてなる入力デバイスにおいて、先に述べたように、この分割部位におけるコアどうしの光結合(光軸)にずれが生じると、入力体の検出精度が低下する場合があることに注目した。そして、上記光結合部位における光出射側と光入射側のコア幅のバランスについて着目して実験を重ね、上記分割状の分岐コア部の光結合部位において、光を受け取る側(光入射側の結合端面)のコア幅(WA)を、これに向けて光を出射する側(光出射側の結合端面)のコア幅(WB)以上に広く形成する(WA≧WB)ことにより、これら結合端面どうしの間の光伝搬が確実に行われ、結果として、入力体の検出精度が安定することを見出し、本発明に到達した。
【0018】
なお、本発明におけるコアの「幅」とは、枠状光導波路の辺に沿って延びるコアの長手方向と直交する方向の長さのことをいう。この長さは、枠の辺の面(水平面)上にあらわれる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の入力デバイスは、発光側の二分岐状の光導波路コアの共通部が、光源に接する角部に配置され、この共通部から二股状に分岐する連絡路が形成され、これら各連絡路に続いて、それぞれの主路が上記角部に隣接する2辺にそれぞれ配置されているとともに、上記の1つ(他方)の主路と連絡路の他方との光結合が、上記辺状部材どうしの端面の突き合わせにより形成されている。そして、発光側の光導波路コアにおける他方の主路の連絡路側端面(上記「光入射側の結合端面」に相当)のコア幅(WA)と、これに対向する上記連絡路の他方の端面(上記「光出射側の結合端面」に相当)のコア幅(WB)とが、式(1):WA≧WBを満たすように設定されている。
【0020】
すなわち、本発明の入力デバイスは、光結合部位における光入射側の主路の端面(コア幅WA)が、対向する光出射側の連絡路の端面(コア幅WB)以上に幅広に形成されているため、これらの間の光の結合(光伝搬)がスムーズに行われる。また、上記主路側の結合端面と連絡路側の結合端面との間にずれ(光軸のずれ)が生じた場合でも、これらの間の光結合損失が増大せず、結果的に、光源からの光が、設計通りの光量比を維持したまま、主路の末端まで到達する。これにより、本発明の入力デバイスは、検知空間内に形成される格子状の光の強度がばらつかず、この検知空間内における入力体の検出を、高い精度で安定して維持することができる。
【0021】
また、本発明の入力デバイスにおいて、上記他方の主路と連絡する二股状の連絡路の他方が、その主路側の部分が他の部分より幅広になっている幅狭形状に形成されているものも、上記と同様、これら主路の結合端面と連絡路の結合端面との間に光軸のずれが生じた場合でも、これらの間の光結合損失が増大せず、所定の光量比をもって、上記光源の光が主路まで到達する。
【0022】
さらに、本発明の入力デバイスのなかでも、上記他方の主路と連絡する二股状の連絡路の他方が、上記主路側の部分が共通部側からコア幅が徐々に拡幅する略三角形状に形成されているものは、上記主路と連絡路との光結合前に、このコア内の光が、コアの幅方向全体に充分に拡散される。これにより、本発明の入力デバイスは、辺の長手方向に光強度の揃った均一な光を、上記検知空間に向けて出射することができる。しかも、これにより、検知空間内における入力体の検出精度を向上させることができる。
【0023】
また、本発明の入力デバイスにおいて、上記枠状体を構成する辺状部材が、その辺の長手方向に複数個に分割され、それぞれの光導波路コアが、端面どうしを突き合わせて光結合されている場合も、上記主路と連絡路の間と同様、主路の終端側の結合端面(光入射側)のコア幅(WA)と、これに対向する主路の始端側の結合端面(光出射側)のコア幅(WB)とが、式(1):WA≧WBを満たすように設定する。これにより、上記枠状体が辺方向に長く、その辺上にコアの光結合部位を複数個所含む場合でも、主路の光結合損失を増大させることなく、発光側の光導波路コアを構成することができる。したがって、本発明の入力デバイスは、入力デバイスの大形化にも容易に適応できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態における入力デバイスの構成を示す平面図であり、(b)はそのP部拡大図である。
【図2】本発明の第2実施形態における入力デバイスの要部拡大図である。
【図3】本発明の第3実施形態における入力デバイスの要部拡大図である。
【図4】(a)は本発明の第4実施形態における入力デバイスの構成を示す平面図であり、(b)はそのQ部拡大図である。
【図5】(a)〜(e)は、本発明の入力デバイスに用いられる枠状光導波路を作製する方法を説明する図である。
【図6】本発明の実施例における「光結合損失」と、光結合部位における「光出射端面のコア幅」および「光入射端面のコア幅」との関連を示すグラフである。
【図7】(a)は従来の入力デバイスの構成を示す平面図であり、(b)はそのR部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。
【0026】
図1(a)に全体像を示す第1実施形態の入力デバイスは、例えば、フラットパネルディスプレイ等の表示装置(図示せず)の画面の周囲に配置され、その四角枠状の光導波路10の中央部の空間(検知空間S)から露呈する上記画面の領域に、指やペン等の入力体で触れることにより、この入力体の位置を、上記検知空間S内の座標(x−y座標)として取得し、その位置情報をコンピュータやATM等の情報機器に出力するものである。
【0027】
上記枠状の光導波路10は、別個に作製した4つの辺状部材(辺状光導波路部材)10A,10B,10C,10Dを突き合わせて一体に接合したものであり、上記ディスプレイの画面のサイズに合わせて、横長(長辺Xの長さ:短辺Yの長さ=16:9)の長方形状になっている。また、この枠状の光導波路10は、上記のような枠状のクラッド層4(4つに分割される)と、このクラッド層4に埋没するようにして形成された光路としてのコア(C1,C2)とからなり、その1つの角部10zの外縁に、光源20としての発光素子(20a)が、所定の向きに取り付けられている。
【0028】
さらに、上記枠状光導波路10には、上記クラッド層4の角部10zに隣接する枠の2辺(図においては長辺10Xと短辺10Y)に、上記光源20から出射される光を、互いに直交する上記2辺10X,10Y方向に所定の比で分配する発光側光導波路コアC1が設けられ、上記辺10X,10Yにそれぞれ対向する他の2辺(10X’,10Y’)に、上記発光側光導波路コアC1からの光を入射させて受光素子(受光素子アレイ30)に導くための複数の受光側光導波路コアC2が設けられている。
【0029】
また、上記発光側光導波路コアC1は、枠状光導波路10の角部10zに配置された光入射側の共通部1と、上記共通部1の分岐点Jで分配された光を枠の一辺10X方向および枠の他辺10Y方向に伝達する第1分岐コア部2および第2分岐コア部3とから形成されており、これら各分岐コア部2,3は、上記共通部1から各辺方向に光を伝達する幅狭状の連絡路(第1連絡路2a,第2連絡路3a)と、この連絡路2a,3aに続いて枠の辺の長手方向に沿って配置される幅広状の主路(第1主路2b,第2主路3b)と、上記辺の長手方向に沿った所定のピッチごとに上記主路から分岐する複数の光出射路(2cおよび3c)とから構成されている。
【0030】
そして、上記第1実施形態の入力デバイスにおいては、図1(b)のように、上記発光側光導波路コアC1は、一方の主路(第2主路3b)が、一方の辺状部材10Aに形成され、他方の主路(第1主路2b)が、他方の辺状部材10Dに形成され、この他方の主路(第1主路2b)と上記連絡路の他方(第1連絡路2a)のコアどうしが、上記一方の辺状部材10Aと他方の辺状部材10Dとの突き合わせにより形成され、上記第1主路2b(光入射側)の結合端面2dのコア幅WAが、対向する上記第1連絡路2a(光出射側)の結合端面2eのコア幅WB以上に広くなっている(WA≧WB)。これにより、枠状光導波路10を構成する辺状部材どうし(10A,10D)の突き合わせ時に、主路2bの光軸と第1連絡路2aの光軸との間に位置ずれを生じても、それを吸収することができるようになる。これが、本発明の第1実施形態の入力デバイスの特徴である。
【0031】
上記入力デバイスについて、さらに詳しく説明すると、この入力デバイスに用いられる枠状光導波路10は、例えば、ポリマー系光導波路の場合、樹脂材料を用いて形成された枠状のクラッド層4(オーバークラッド層4aおよびアンダークラッド層4bからなる)の間に、フォトリソグラフィ法等により上記形状にパターニングされた発光側光導波路コアC1および上記複数の受光側光導波路コアC2が形成されている。
【0032】
上記第1実施形態(図1)における光導波路10の発光側光導波路コアC1は、上記光源20から出射される光を、互いに直交する上記2辺10X,10Y方向に所定の比で分配できるように、光源20に接する光入射側の端部(共通部1)から、枠のx方向(長辺10X側)の第1連絡路2aと、y方向(短辺10Y側)の第2連絡路3aの2方向に分岐する、二股状に形成されており、これら第1連絡路2aおよび第2連絡路3aの終端側(光出射側)にそれぞれ、上記枠の長辺10Xおよび短辺10Yに沿った形状の第1主路2bおよび第2主路3bが形成されている。
【0033】
上記発光側光導波路コアC1の共通部1は、図1(b)のように、第1連絡路2a(コア幅Wx)と第2連絡路3a(コア幅Wy)とを合わせたコア幅に形成され、その一端側(図示右側)の端面1aは、光源20からの光(白抜き矢印)が入射する光結合面(水平方向のコア幅=Wx+Wy)となっている。上記光入射側の端面1aのコア幅は、上記光源20との光結合を容易にするために、通常、光源20(発光素子20a)の発光部幅よりも広くなっている。これにより、多少の光軸のずれが生じても、対応できるようになっている。例えば、発光素子20aの発光部幅が10μm程度である場合、上記光入射端面1aのコア幅は、40〜1000μmに設計される。また、上記光入射端面1aと発光素子20aの発光部との間の距離(間隙)は、通常300μm程度に設定される。
【0034】
なお、この実施形態においては、先に述べた分割状の第1分岐コア部2の光結合部位(連絡路2a側コアと主路2b側コアとの突き合わせ部位)において発生する光結合損失を見越して、上記分岐点Jにおける第1連絡路2a(コア幅Wx)と第2連絡路3a(コア幅Wy)との分配比(コア幅の比)が、Wx:Wy=2:1になるように設計されている。このように、コアの分岐以降に発生する光結合部位の損失を考慮して、上記光結合部位が存在する側の連絡路のコア幅比(光の分配比)を大きくすることは、後記の第2〜第4実施形態でも同様に行われる。
【0035】
上記共通部1から分岐した一方の第2連絡路3a(第2分岐コア部3の一部)は、その分岐後に湾曲する形状に形成されており、この例では、図1(b)のように、分岐点Jの直後から、1/4円形状(アーチ形状)に湾曲する形状に形成されている。そして、光出射側の終端が、一方の主路(第2主路3b)に接続されている。また、上記分岐点Jで第2連絡路3aと分かれた他方の第1連絡路2a(第1分岐コア部2の一部)は、分岐点Jの後に、緩やかに湾曲する形状に形成されており、この湾曲部位を通過する光がコアの断面全体に均一に拡散されるようになっている。なお、この第1連絡路2aのコア幅Wxは、好ましくは40〜1000μm、さらに好ましくは80〜600μmに設定される。また、上記第2連絡路3aのコア幅Wyは、上記第1連絡路2aのコア幅Wxより狭く、好ましくは20〜500μm、さらに好ましくは40〜300μmである。
【0036】
上記第1分岐コア部2(分割状)の第1主路2bは、先に述べたように、1つの辺状部材10D上に形成されており、この辺状部材10Dの接続用端面を上記辺状部材10Aの接続用端面に突き合わせることにより、上記主路2bの連絡路2a側の端面2d(光入射側の結合端面:コア幅WA)と、上記共通部1から分岐した第1連絡路2aの端面2e(光出射側の結合端面:コア幅WB)とが、光伝搬可能に結合(光結合)されている。なお、図1(b)のように、上記各端面(光結合端面)2d,2eとの間には、クラッド層4が介在しており、上記光の伝搬(白抜き矢印)は、このクラッド層4を介して行われる。また、このクラッド層4による隙間(間隙)は、通常、200μm程度に設定される。
【0037】
上記第1主路2bは、後記の光出射路2cの分岐により終端側に向かって次第に低下してゆく光量に対応するために、その始端側(光入射端面2d側)が幅広(コア幅WA)で、かつ、その終端側が徐々に幅の狭くなる、長手方向に延びる細長の三角形状に形成されている。なお、上記例では、上記第1主路2bの外縁側が、光入射側の始端部から終端側にかけて徐々に幅が狭くなる(所定角で傾斜する)形状に形成されているが、この第1主路2bは、全体のコア幅が長手方向に同じ(同幅)であってもよい。
【0038】
上記第1主路2bの内縁側には、この第1主路2bから分岐する多数の光出射路2c,2c,・・・が形成されている。これら光出射路2cは、辺10Xの長手方向に沿って所定のピッチごとに第1主路2bから次々と分岐する多分岐状に形成されており、その各先端(終端)側に設けられた光出射側端部(出光部2x)が、枠状光導波路10の検知空間S側内縁〔図1(a)においては上側縁〕の所定位置に、それぞれ位置決めされている。
【0039】
上記第2連絡路3aに繋がる第2主路3bも、上記第1分岐コア部2と同様、光を枠の一辺(短辺10Y)に沿って分散させる細長の三角形状に形成されており、その内縁側にも、この第2主路3bから分岐する多数の光出射路3c,3c,・・・が形成されている。これら各光出射路3cの先端(終端)側に設けられた光出射側端部(出光部3y)は、枠状光導波路10の検知空間S側内縁〔図1(a)においては右側縁〕の所定位置に、それぞれ位置決めされている。なお、上記第2主路3bの外縁側形状も、上記第1主路2bと同様、全体のコア幅が長手方向に同じ(同幅)であってもよい。
【0040】
そして、光源20からの光が上記各出光部2x,3yから出射(投射)されることにより、図1(a)のように、上記枠の内側の検知空間Sに、枠の縦横(xy方向)に交差する光の格子(点線、矢印は光の進行方向を示す)が形成される。なお、上記図1(a)は、図示が煩雑になるのを避けるため、各光出射路2c,3c(および出光部2x,3y)の本数を減らして図示している(出射される光−点線矢印も同様)。上記光出射路2c,3cの本数は、入力デバイスのサイズや解像度等に応じて適宜設計されるが、例えば、上記第1分岐コア部2(長辺10X)側の光出射路2cの本数は200〜800本程度、上記第2分岐コア部3(短辺10Y)側の光出射路3cの本数は100〜600本程度のものが多用される。
【0041】
一方、上記発光側の光導波路コアC1に対して、検知空間Sを挟んで対向する辺(長辺10X’,短辺10Y’)には、上記各光出射路2c,3cの先端(出光部2x,3y)のそれぞれに対応する、受光側光導波路コアC2が複数形成されている。これら各受光側光導波路コアC2の光入射側の端部(受光部)は、上記発光側光導波路コアC1の各光出射側先端対向する枠の内縁〔図1(a)においては下側縁と左側縁〕の所定位置にそれぞれ位置決めされており、上記検知空間Sを通過して各受光側光導波路コアC2の先端(受光部)に入射した光が、これら各受光側光導波路コアC2の1本1本を通じて、受光素子アレイ30中で対応する個々の受光素子に導かれるようになっている。
【0042】
なお、上記入力デバイスに用いられる受光素子(アレイ30)としては、CCD,CMOS等のイメージセンサや、多数の受光素子が一列に並ぶCMOSリニアセンサアレイ等を用いることができる。
【0043】
また、上記入力デバイスに用いられる光源20には、発光ダイオード(LED)または半導体レーザー等が用いられ、なかでも、光伝送性に優れるVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)が好適に用いられる。上記光源20から出射される光の波長は、近赤外線(波長:700〜2500nm)が好ましい。
【0044】
そして、この例では、図1(a)のように、上記光源20が枠状光導波路10の1つの角部10zの所定位置に配置され、その発光が、この角部10zに隣接する枠の2辺(10Xと10Y)に導かれるようになっている。そのため、このデバイス全体で必要な光を、1つの光源で賄うことができる。
【0045】
上記第1実施形態の入力デバイスにおいては、先に述べたように、上記2つの辺状部材10A,10Dの突き合わせ面を挟んで、第1分岐コア部2の第1連絡路2aと第1主路2bとが、光結合されており、この光結合部位における光入射側の主路2bの端面2d(コア幅WA)が、対向する光出射側の連絡路2aの端面2e(コア幅WB)以上に幅広に形成されている(WA≧WB)。そのため、この入力デバイスでは、上記光入射側の結合端面2dと光出射側の結合端面2eとの間に、製作誤差や調芯作業等に起因する光軸のずれが生じた場合でも、これらの間の光結合損失が増大せず、高効率な光伝搬が維持される。これにより、上記共通部1の分岐点Jで設計通りに分配された光が、光量(光強度)を保ったまま、各分岐コア部の末端(出光部2x)まで到達する。この結果、第1実施形態における入力デバイスは、検知空間S内に形成される格子状の光の強度が辺長手方向においてばらつかず、この検知空間S内における入力体の検出を、高い精度で安定して維持することができる。
【0046】
また、上記第1実施形態の入力デバイスは、各連絡路(2a,3a)がそれぞれ主路(2b,3b)より幅狭に形成されているため、それらの必要スペースを少なくすることができ、枠(光導波路)の小形化に貢献できる。
【0047】
つぎに、本発明の第2実施形態(図2)の入力デバイスについて説明する。
上記第2実施形態における光導波路10の発光側光導波路コアC1も、基本的な構成は、前記第1実施形態(図1)における入力デバイスと同様であり、その要部拡大図である図2に示すように、角部10zに配置された共通部1と、分岐点Jから枠の一辺10X方向および枠の他辺10Y方向に分岐する第1分岐コア部2(第1連絡路2a,その一部2fと第1主路2b)および第2分岐コア部3(第2連絡路3a,第2主路3b)とから形成されている。なお、この枠状光導波路10も、別個に作製した4つの辺状部材10E(第1実施形態の10Aに相当),10F(第1実施形態の10Dに相当),10B(図示せず),10C(図示せず)を突き合わせ、一体に接合されている。
【0048】
また、この第2実施形態では、図2のように、発光側光導波路コアC1は、一方の第2分岐コア部3の第2連絡路3aおよび第2主路3bと、他方の第1分岐コア部2の第1連絡路2a(およびその一部2f)とが、上記光導波路10を構成する1つの辺状部材10E上に形成され、上記第1分岐コア部2の第1主路2bが、他の辺状部材10F上に形成され、これら辺状部材10Eと辺状部材10Fとを突き合わせることにより、この他方の主路(第1主路2b)と連絡路の他方(第1連絡路2aの一部2f)とが、光結合されている。
【0049】
そして、上記第1主路2bにおける連絡路2a側(光入射側)の結合端面2dのコア幅WAが、対向する光出射側の結合端面2e(この例においては、幅広となった連絡路の一部2fの端面)のコア幅WB以上に広くなっている(WA≧WB)。これにより、枠状光導波路10を構成する辺状部材どうし(10E,10F)の突き合わせ時に、主路2bの光軸と第1連絡路2aの光軸との間に位置ずれを生じても、それを吸収することができるようになる。これが、本発明の第2実施形態の入力デバイスの特徴である。なお、その他の構成は、前記第1実施形態の入力デバイスと同様である。
【0050】
以上の構成によっても、上記分割状の第1分岐コア部2の光結合部位(光入射側の結合端面2dと光出射側の結合端面2eとの間)における、水平方向の位置ずれに対する許容度が向上する。そのため、製作誤差や調芯作業等に起因する光軸のずれが生じた場合でも、これらの間の光結合損失が増大せず、高効率な光伝搬が維持される。この結果、上記第2実施形態における入力デバイスも、共通部1の分岐点Jで設計通りに分配された光が、コアの分割の有無に関わらず、所定の光量(光強度)を保ったまま、分岐コア部の末端(出光部)まで到達する。これにより、上記入力デバイスは、検知空間S内に形成される格子状の光の強度が辺の長手方向にばらつかず、この検知空間S内における入力体の検出を、高い精度で安定して維持することが可能になる。また、上記第1実施形態と同様、角部10zの必要スペースが少なく、枠(光導波路)の小形化が可能になる。
【0051】
つぎに、本発明の第3実施形態(図3)の入力デバイスについて説明する。
上記第3実施形態における光導波路10の発光側光導波路コアC1も、基本的な構成は、前記第1実施形態(図1)における入力デバイスと同様であり、その要部拡大図である図3に示すように、角部10zに配置された共通部1と、分岐点Jから枠の一辺10X方向および枠の他辺10Y方向に分岐する第1分岐コア部2(第1連絡路2a,その端部2gと第1主路2b)および第2分岐コア部3(第2連絡路3a,第2主路3b)とから形成されている。なお、この枠状光導波路10も、別個に作製した4つの辺状部材10G(第1実施形態の10Aに相当),10F(第1実施形態の10Dに相当),10B(図示せず),10C(図示せず)を突き合わせ、一体に接合されている。
【0052】
また、この第3実施形態では、図3のように、発光側光導波路コアC1は、一方の第2分岐コア部3の第2連絡路3aおよび第2主路3bと、他方の第1分岐コア部2の第1連絡路2a(およびその端部2g)とが、上記光導波路10を構成する1つの辺状部材10G上に形成され、上記第1分岐コア部2の第1主路2bが、他の辺状部材10F上に形成され、これら辺状部材10Gと辺状部材10Fとを突き合わせることにより、この他方の主路(第1主路2b)と連絡路の他方(第1連絡路2aの端部2g)とが、光結合されている。
【0053】
そして、この入力デバイスは、上記第1連絡路2aの終端側の端部2gが、第1主路2bに向かってコア幅が徐々に拡幅する形状に形成されており、上記第1主路2bにおける連絡路2a側(光入射側)の結合端面2dのコア幅WAが、対向する光出射側の結合端面2e(この例においては、幅が徐々に拡幅する連絡路の端部2gの端面)のコア幅WB以上に広くなっている(WA≧WB)。これにより、枠状光導波路10を構成する辺状部材どうし(10G,10F)の突き合わせ時に、第1主路2bの光軸と第1連絡路2aの光軸との間に位置ずれを生じても、それを吸収することができるようになる。これが、本発明の第3実施形態の入力デバイスの特徴である。なお、その他の構成は、前記第1実施形態の入力デバイスと同様である。
【0054】
以上の構成によれば、上記分割状の第1分岐コア部2における光結合部位(光入射側の結合端面2dと光出射側の結合端面2eとの間)に、製作誤差や調芯作業等に起因する光軸のずれが生じた場合でも、これらの間の光結合損失の増大をより抑えることができる。したがって、上記第3実施形態における入力デバイスも、共通部1の分岐点Jで分配された光が、所定の光量(光強度)を保ったまま、各分岐コア部の末端(出光部)まで到達する。この結果、上記入力デバイスは、検知空間S内に形成される格子状の光の強度が辺の長手方向にばらつかず、この検知空間S内における入力体の検出を、高い精度で安定して維持することができる。また、上記第1実施形態と同様、角部10zの必要スペースが少なく、枠(光導波路)の小形化が可能になる。
【0055】
なお、上記第1〜第3実施形態においては、枠の他方の辺側の分岐コア部(2)のみが、2つの辺状部材を突き合わせて構成される分割状である例を示したが、分岐後の両方の分岐コア部(2,3)が分割状であってもよい。また、上記例では、枠の四辺に相当する略I字状の辺状部材を4つ組み合わせて光導波路を構成したものを示したが、略L字状の辺状部材を2つ組み合わせる等、他の形状の辺状部材を複数組み合わせる構成としてもよい。いずれの場合も、辺状部材を跨いで形成された分割状コアの各光結合部位は全て、対向面における光入射側の結合端面のコア幅が、光出射側の結合端面のコア幅以上に広くなるように形成される。
【0056】
つぎに、上記枠状の光導波路10を構成する辺状部材が、その辺の長手方向に複数個に分割された辺状部材をつなぎ合わせて(連結して)形成されている入力デバイスについて説明する。
【0057】
図4(a)は本発明の第4実施形態における入力デバイスの構成を示す平面図であり、(b)はそのQ部拡大図である。上記第4実施形態における光導波路10も、基本的な構成は、前記第1実施形態(図1)における入力デバイスと同様であり、光導波路10の角部10zに配置された光源20から出射される光を、互いに直交する上記2辺10X,10Y方向に所定の比で分配する発光側光導波路コアC1と、この発光側光導波路コアC1からの光を入射させて受光素子(受光素子アレイ30)に導くための複数の受光側光導波路コアC2が設けられている。
【0058】
また、上記発光側光導波路コアC1は、光入射側の共通部1と、この共通部1の分岐点Jから枠の一辺10X方向および枠の他辺10Y方向に分岐する第1分岐コア部2および第2分岐コア部3とから形成されており、これら各分岐コア部2,3は、上記共通部1から各辺方向に光を伝達する幅狭状の連絡路(第1連絡路2a,第2連絡路3a)と、この連絡路2a,3aに続いて枠の辺の長手方向に沿って配置される幅広状の主路(第1主路2b,第2主路3b)と、上記辺の長手方向に沿った所定のピッチごとに上記主路から分岐する複数の光出射路(2cおよび3c)とから構成されている。
【0059】
さらに、上記発光側光導波路コアC1では、一方の主路(第2主路3b)が、一方の辺状部材10Aに形成され、他方の主路(第1主路2b)が、他方の辺状部材10Dに形成され、この他方の主路(第1主路2b)と上記連絡路の他方(第1連絡路2a)のコアどうしが、上記一方の辺状部材10Aと他方の辺状部材10Dとの突き合わせにより形成され、上記第1主路2bの結合端面2dのコア幅が、対向する上記第1連絡路2aの結合端面2eのコア幅以上に広くなっている点も同様である。
【0060】
この第4実施形態における入力デバイスの特徴は、先に述べたように、上記辺状部材の1つ(辺状部材10D)が、辺の長手方向途中で分割された辺状部材10Dの端部10uと辺状部材10D’の端部10vとをつなぎ合わせて(連結して)形成されており、これらの上に形成された光導波路コア(第1主路2b)も、上記辺状部材10Dと辺状部材10D’との突き合わせにより形成されている点である。また、これら辺状部材どうしを突き合わせて形成された光導波路コアの光結合部位では、図4(b)のように、上記第1主路2bにおける終端側(光入射側:図示左側)の結合端面2jのコア幅WAが、対向する始端側(光出射側:図示右側)の結合端面2kのコア幅WB以上に広く(WA≧WB)形成されている。
【0061】
以上の構成によれば、前記第1〜第3実施形態における光導波路コアの光接続部位と同様、上記枠状体が辺方向に長く、その辺上にコアの光結合部位を複数個所含む場合でも、光結合損失を増大させることなく、共通部1の分岐点Jで分配された光が、各分岐コア部の末端(出光部)まで充分に到達する。これにより、上記入力デバイスは、上記検知空間S内における入力体の検出を、高い精度で安定して維持することができる。
【0062】
なお、上記各実施形態においては、発光側光導波路コアC1の光出射側端部(各光出射路2c,3c先端の出光部2x,3y)と、各受光側光導波路コアC2の光入射側端部(受光部)とは、枠の内側に向かって反るレンズ状(平面視円弧状)になっていることが望ましい。上記発光側光導波路コアC1の光出射側端部を上記レンズ状とすることにより、これら光出射側端部から、枠状光導波路10の内縁に垂直でかつ互いに平行な光線を出射することができる。また、上記各受光側光導波路コアC2の光入射側端部を上記レンズ状とすることにより、これら光入射側端部の集光効率を高めることができる。上記各コアC1,C2の出光部および受光部をレンズ状としない場合は、別体のレンズ体を準備し、これを上記枠状光導波路10の検知空間S内の周縁に沿って設置してもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、光導波路10のコアC1,C2が、樹脂材料(高分子材料)を用いて形成されたポリマー系光導波路を例に説明したが、このコアC1,C2を構成する材料は、例えばガラス等、周囲に配設されるクラッド層6より屈折率の高い材料であればよい。ただし、上記コアC1,C2と周囲のクラッド層6との屈折率の差は、0.01以上であることが好ましく、上記形状のパターンニング性等も考慮すると、紫外線硬化樹脂等の感光性樹脂が最も好ましい。使用する紫外線硬化樹脂としては、アクリル系,エポキシ系,シロキサン系,ノルボルネン系,ポリイミド系等があげられる。
【0064】
さらに、上記コアC1,C2の周囲のクラッド層4は、上記紫外線硬化樹脂等の感光性樹脂のうち、上記コアC1,C2より屈折率の低い材料を用いればよい。その他にも、クラッド層4には、ガラス,シリコン,金属,樹脂等、平坦性を有する基板を兼用する材料を用いることもできる。さらに、クラッド層4は、コアC1,C2の下側のアンダークラッド層(後記の4b)のみとしてもよく、上記コアC1,C2を覆うオーバークラッド層(後記の4a)は、形成しなくてもよい。そして、上記枠状光導波路10は、プラズマを用いたドライエッチング法,転写法,露光・現像を用いたフォトリソグラフィ法,フォトブリーチ法等により作製することができる。
【0065】
つぎに、上記入力デバイスの作製方法について、第1実施形態の入力デバイスを例に説明する。図5(a)〜(e)は、本発明の実施形態における入力デバイス用光導波路の製法を模式的に説明する断面図である。なお、図4においては、光導波路の発光側のコアを有する辺状部材(辺状光導波路部材)の1つのみを図示しており、これと並行して作製される他の発光側の辺状部材や受光側の辺状部材の図示を省略している。また、図中の符号C1はコア(発光側の光導波路コア)、4aはオーバークラッド層、4bはアンダークラッド層、21は基台、22は成形型であり、図5の(a)〜(e)は、光導波路が作製される工程順を表す。
【0066】
まず、枠状の光導波路を構成する各辺状部材形成するための基台21を準備し、平坦な場所に載置する。この基台21の材質は、作製されるポリマー系光導波路を、後に剥離可能な材質が選択される。
【0067】
ついで、図5(a)に示すように、上記基台21の表面に、アンダークラッド層4bを形成する。このアンダークラッド層4bは、感光性樹脂を形成材料として、フォトリソグラフィ法により形成することができる。アンダークラッド層4bの厚さは、例えば、5〜50μmの範囲内に設定される。
【0068】
つぎに、図5(b)に示すように、上記アンダークラッド層4bの表面に、フォトリソグラフィ法により、パターン形状の発光側光導波路コアC1および受光側光導波路コアC2(図示せず)を形成する。これらコアC1(およびC2)の形成材料としては、上記アンダークラッド層4bおよび後記のオーバークラッド層4aの形成材料よりも屈折率が高い感光性樹脂が用いられる。なお、先に述べたように、上記発光側光導波路コアC1および受光側光導波路コアC2の枠の内縁部〔各光出射路2c,3c先端の出光部2x,3yと各受光側光導波路コアC2の光入射側先端の受光部:図1(a)参照〕は、平面視レンズ状に形成される。
【0069】
ついで、オーバークラッド層4a形成用の、透光性を有する成形型22を準備する。この成形型22には、図5(c)に示すように、オーバークラッド層4aの表面形状に対応する型面を有する凹部(成形キャビティ)が形成されており、この実施形態では、上記各光出射路2c(3c)の先端側端部を覆う部位〔図5(c)の右端部分〕が、上下方向(光導波路の厚み方向)に1/4円の円弧状のレンズ曲面に形成されているものを使用している。
【0070】
ついで、この成形型22を、上記凹部を上にして(天地を逆にして)、成形型22を成形ステージ(図示せず)の上に設置し、まず、上記凹部内にオーバークラッド層4a形成用の感光性樹脂(ワニス状)を充填する。ついで、アンダークラッド層4b上に形成したコアC1を、上記成形型22の凹部に対して位置決めし、その状態で、上記アンダークラッド層4bを上記成形型22に押圧し、上記ワニス状のオーバークラッド層4a形成用の感光性樹脂の中にコアC1を浸す。そして、この状態で、紫外線等の照射線を、上記成形型22を透して上記感光性樹脂に照射し、その感光性樹脂を露光する。これにより、上記感光性樹脂が硬化して、図5(d)に示すような、コアC1(およびC2)の内縁側先端部に対応する部位がレンズ状に形成されたオーバークラッド層4aが形成される。
【0071】
つぎに、上記感光性樹脂の硬化が完了した後、上記成形型22からオーバークラッド層4aをコアC1,アンダークラッド層4bおよび基台21とともに脱型し、上記基台21を剥離させて取り除くことにより、図5(e)に示すような、略I字状の辺状部材(枠状の光導波路10の構成材の1つ)を得る。
【0072】
ついで、所定の形状に形成された上記辺状部材を4つ準備し、これらの接合端面を突き合わせて接合し、図1(a)に示すような、枠状の光導波路10を作製する。得られた枠状光導波路10の角部10zの所定位置に、コアC1の共通部1の端面(光結合面)1aに正対するように光源20を配置し、共通部1の光軸と光源20の光軸とを調芯して位置決めする。また、受光側にも受光素子アレイ30を取り付け、図示しない配線等を接続することにより、本実施形態における入力デバイスを作製することができる。
【実施例】
【0073】
つぎに、本発明の入力デバイスの効果を実証する試験として行った「実施例」について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0074】
本実施例においては、上記第1実施形態(図1)の入力デバイスにおいて、上記二分岐状の発光側光導波路コアの一方に形成された、分割状の分岐コア部の光結合部位(光結合面)における「主路の光入射側の結合端面」(コア幅WAで幅広状。以下「光入射端面」という)と「連絡路の光出射側の結合端面」(コア幅WBで幅狭状。以下「光出射端面」という)との比を種々変更した光導波路(辺状部材)を作製し、図1(b)のように、上記光結合部位で第1連絡路2aの光軸が第1主路2bの中心軸に対して水平方向(図中の矢印C方向または矢印D方向)にずれた場合の、このずれの光結合損失への影響を検証した。
【0075】
まず、光導波路(辺状部材)の形成材料を準備した。
〔アンダークラッド層の形成材料〕
成分A:脂環骨格を含むエポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製,EHPE3150)75重量部
成分B:エポキシ基含有アクリル系ポリマー(日油社製,マープルーフG−0150M)25重量部
成分C:光酸発生剤(サンアプロ社製,CPI−200K)4重量部
これら成分A〜Cを、紫外線吸収剤(チバジャパン社製,TINUVIN479)5重量部とともに、シクロヘキサノン(溶剤)に溶解することにより、アンダークラッド層の形成材料を調製した。
【0076】
〔コアの形成材料〕
成分D:ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,157S70)85重量部
成分E:ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,エピコート828)5重量部
成分F:エポキシ基含有スチレン系ポリマー(日油社製,マープルーフG−0250SP)10重量部
これら成分D〜Fと上記成分C 4重量部とを、乳酸エチルに溶解することにより、コアの形成材料を調製した。
【0077】
〔オーバークラッド層の形成材料〕
成分G:脂環骨格を有するエポキシ樹脂(ADEKA社製,EP4080E)100重量部
この成分Gと上記成分C 2重量部とを混合することにより、オーバークラッド層の形成材料を調製した。
【0078】
<光導波路(辺状部材)の作製>
〔アンダークラッド層の形成〕
まず、ステンレス製の基台(平板状)の表面に、上記アンダークラッド層の形成材料を塗布した後、160℃×2分間の乾燥処理を行い、感光性樹脂層を形成した。ついで、上記感光性樹脂層に対し、紫外線を照射して積算光量1000mJ/cm2の露光を行い、厚さ20μmのアンダークラッド層を形成した〔図5(a)参照〕。
【0079】
〔コアの形成〕
ついで、上記アンダークラッド層の表面に、上記コアの形成材料を塗布した後、170℃×3分間の加熱処理を行い、溶媒を揮散させてコア形成用の感光性樹脂層を形成した。つぎに、上記分割状になっている分岐コア部の一方(例えば主路側)に相当する所定形状の開口パターンを有するフォトマスクを介して(ギャップ100μm)紫外線を照射し、積算光量3000mJ/cm2の露光を行った後、120℃×10分間の加熱処理を行い、樹脂の硬化を完了させた。そして、現像液(γ−ブチロラクトン)を用いてディップ現像することにより、未露光部分を溶解除去した後、120℃×5分間の加熱乾燥処理を行うことにより、パターニングされた厚さ(高さ)50μmの分岐状コアを形成した。なお、他のコアパターン(例えば連絡路,共通部側)の辺状部材を作製する場合は、そのコアパターンに相当する開口パターンを有するフォトマスクが使用される。
【0080】
〔オーバークラッド層の形成〕
つぎに、オーバークラッド層形成用の、透光性を有する成形型を準備した。この成形型は、オーバークラッド層の表面形状に対応する成形キャビティを備えている。そして、その凹部を上にして、成形型を成形ステージの上に設置し、上記凹部に、前記のオーバークラッド層の形成材料を充填した。
【0081】
ついで、上記アンダークラッド層の表面にパターン形成したコアを、上記成形型の凹部に対して位置決めし、その状態で、上記アンダークラッド層を上記成形型に押圧し、上記オーバークラッド層の形成材料(ワニス状)に、上記コアを浸した。そして、この状態で、紫外線を、上記成形型を透して上記オーバークラッド層の形成材料に照射して積算光量8000mJ/cm2の露光を行い、コアの先端部に対応するオーバークラッド層の部分が、上下方向に略1/4円弧状のレンズ曲面(曲率半径1.5mm)に形成されたオーバークラッド層を形成した。
【0082】
つぎに、上記成形型から、上記オーバークラッド層を、アンダークラッド層およびコアとともに脱型させるとともに、上記基台をアンダークラッド層から剥離して、入力デバイス作製用の辺状部材(総厚1mm)を得た。
【0083】
<供試用入力デバイスの作製>
〔辺状部材の接合および光源の取り付け〕
まず、得られた各辺状部材を位置合わせしながら突き合わせ、連絡路の光軸と主路の結合端面の幅方向中心軸とが一致した状態〔上記「主路2bの光入射側の結合端面2d」と「連絡路2aの光出射側の結合端面2e」とが適正に光結合した理想的な状態:図1(b)参照〕で、これら辺状部材を固定した。ついで、枠状光導波路の角部に位置する、発光側の光導波路コアC1の共通部1の端部(光結合面)1aに対応する所定位置〔図1(b)参照〕に、発光強度(または出力)が3mWのVCSEL光源(波長850nm)を配設し、共通部1の中心軸上に上記光源の発光部(幅10μm)の中心がくるように、調芯・位置合わせしてこの光源を固定し、供試用の入力デバイスを作製した。なお、上記光結合部位における主路2bの「光入射端面」と連絡路2aの「光出射端面」との距離(間隙)を200μmとし、上記光源の発光部の発光面とコアC1の共通部1の光結合面1aとの距離(間隙)は300μmとした。また、光導波路のコア幅,コア高さの測定には、レーザー顕微鏡(キーエンス社製)を、コア中心および光源のずれ量の測定には、光学顕微鏡(オリンパス社製 MX51)を用いた。
【0084】
〔測定用受光素子ユニットの取り付け〕
ついで、光強度測定用の受光素子ユニット(Optowell社製 CMOSリニアセンサアレイ)を準備し、上記発光側光導波路コアC1の各光出射路2cの先端(出光部2x)から出射される光(信号)が、このセンサアレイの各受光素子に個々に入射するように(すなわち、光出射路1本に対して受光素子1個が対応するように)、上記受光素子ユニットを位置決めし、その状態で、上記枠状光導波路に接着剤等で固定して、枠の辺の一方(この場合は長辺10X)側における各出光部2xごとの光強度を個別に測定できるように準備した。
【0085】
<光強度の測定および評価>
上記供試用の入力デバイスを用いて、まず、上記連絡路の「光出射端面」(コア幅WB:幅狭状)の光軸と、上記主路の「光入射端面」(コア幅WA:幅広状)の幅方向中心軸とが一致した状態で、イニシャル(ブランク)となる光結合損失(dB)を、下記式(2)により計算した。
光結合損失(dB) = −10×log(I/I0) ・・・(2)
ただし、上記式(2)において、I0は連絡路側から出射(投射)される光の強度、Iは主路側に入射する光の強度である。
【0086】
ついで、上記連絡路の光軸が、主路の中心軸に対して部材の突き合わせ面に沿った水平方向〔図1(b)中の矢印C方向または矢印D方向〕に50μmずれた状態での光結合損失(dB)を測定し、先に測定したイニシャル(光軸ずれのない状態)における光結合損失との差(変化量)を計算により求めた。なお、光結合損失の変化量の「1dB」は、光強度が約79%になった(約21%低下した)状態を意味する。また、光強度の測定には、COHERENT社製のFieldMaxII−TOを、光源には、Optowell社製のVCSEL PH85−F1P0S2を使用した。
【0087】
用意した入力デバイスの供試品における連絡路の光出射端面のコア幅WBと、主路の光入射端面のコア幅WAとの組み合わせは、後記の「表1」「表2」および「表3」のとおりである。なお、表中の「光結合損失の変化量」(増加量:dB)は、上記連絡路の光軸を矢印C方向または矢印D方向に50μmずらした場合の、光結合損失の増加量の大きい方(すなわち最大値)を記載している。また、上記表1〜3中における適否の判定は、光軸をずらした場合の「光結合損失の変化量」(最大値)が、1dB以下のものを「○」、「光結合損失の変化量」が1dBを越えるものを「×」と判定した。
【0088】
上記実施例におけるサンプルの寸法(コア幅)の組み合わせと、実験の結果を以下の「表1」,「表2」,「表3」に示す。また、上記表1,表2の結果と、連絡路の「光出射端面のコア幅」および主路の「光入射端面のコア幅」との関連を示すグラフ(散布図)を図6に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
上記表1,表2および図6のグラフから、本発明の入力デバイスは、上記分割状の分岐コア部における光出射端面のコア幅が500μm(0.5mm)以下の場合、これに対向する光入射端面のコア幅が下記式(3)を満たすように、上記光出射端面のコア幅より幅広に形成することにより、上記分岐コア部の光結合部位における光結合損失が増大せず、この光結合部位における充分な光量の伝達を維持することが可能なことが分かった〔グラフ中の近似直線(実線)を参照〕。
【0093】
光入射端面のコア幅(μm) ≧ 光出射端面のコア幅(μm)×0.7+150μm
・・・(3)
【0094】
また、上記表3の結果から、本発明の入力デバイスは、上記分割状の分岐コア部における光出射端面のコア幅」が500μm(0.5mm)を越える場合、これに対向する光出射端面のコア幅を、上記光出射端面のコア幅以上に広く形成することにより、上記分岐コア部の光結合部位における光結合損失が増大せず、この光結合部位における充分な光量の伝達が維持されることが確認された。
【0095】
なお、別の実験により、上記分岐コア部の連絡路における主路側の終端部が、他の部分より幅広になっているもの(第2実施形態に相当)、主路の始端部に向かってコア幅が徐々に拡幅する形状になっているもの(第3実施形態に相当)や、枠状光導波路を構成する辺状部材がその辺の長手方向に複数個に分割され、それぞれの光導波路コアが端面どうしを突き合わせて光結合されているもの(第4実施形態に相当)も、上記と同様、上記分岐コア部の光結合部位における充分な光量の伝達が維持されることが確認されている。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の枠状光導波路を用いた入力デバイスは、発光側の光導波路コアが複数の辺状部材を接合して構成されたものであっても、そのコアの光結合部位における光結合損失の変動が小さく、均一な光の格子の形成に充分な光量が伝達される。これにより、上記入力デバイスは、検知空間内における高い検出精度を安定して維持することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 共通部
2a,3a 連絡路
2b,3b 主路
2d,2e 結合端面
10 光導波路
10A,10B,10C,10D 辺状部材
10z 角部
C1 光導波路コア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の辺状部材を突き合わせて形成された枠状体と、この枠に囲われた空間からなる検知空間と、この枠状体の1つの角部の外縁に配設される光源と、複数の受光素子を備える受光手段と、上記光源から出射される光を互いに隣接する上記枠の2辺に分配する二分岐状の発光側光導波路コアと、上記枠の他の2辺に配置されて上記検知空間を通った光を受光手段に導く複数の受光側光導波路コアとを備え、上記二分岐状の発光側光導波路コアが、上記枠の角部に位置する光入射側の共通部と、この共通部に関連して上記枠の2辺に延びる主路と、上記共通部から二股状に分岐してそれぞれ上記主路に繋がる連絡路とを有し、上記共通部および二股状の連絡路の一方と連絡する一方の主路が、一方の辺状部材に形成され、他方の主路が他方の辺状部材に形成され、他方の主路と上記連絡路の他方との光結合が、一方および他方の辺状部材の端面の突き合わせにより形成され、上記他方の主路における連絡路側の光入射端面のコア幅(WA)と、これに対向する上記連絡路の他方の光出射端面のコア幅(WB)とが、下記の式(1)の関係に設定されていることを特徴とする入力デバイス。
A≧WB ・・・(1)
【請求項2】
上記他方の主路と連絡する二股状の連絡路の他方が、その主路側の部分が他の部分より幅広になっている幅狭形状に形成されている請求項1記載の入力デバイス。
【請求項3】
上記他方の主路と連絡する二股状の連絡路の他方が、上記主路側の部分が共通部側からコア幅が徐々に拡幅する略三角形状に形成されている請求項2記載の入力デバイス。
【請求項4】
上記枠状体を構成する辺状部材が、その辺の長手方向に複数個に分割され、それぞれの光導波路コアが、端面どうしを突き合わせて光結合されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の入力デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−109092(P2013−109092A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252850(P2011−252850)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】