説明

内視鏡システム

【課題】病変の有無を短時間で確認できる蛍光色素/プローブを生体内に効率的に適用して光学的に検出し、鮮明な蛍光画像を得る。
【解決手段】撮影対象内部の特定の物質と結合または撮影対象内部に蓄積される蛍光薬剤を撮影対象に向けて吐出する薬剤吐出手段20と、薬剤吐出手段20を制御する吐出制御手段25と、蛍光薬剤を励起させるための励起光および該励起光とは異なる分光特性の照射光を発する光源部4と、励起光および照射光を撮影対象に向けて伝播する光学系7と、体腔内に入れられる部位2に設けられるとともに、励起光によって撮影対象から放射される蛍光および照射光によって撮影対象から放射される異なる波長帯域の光とを撮影可能な撮像手段14とを備え、吐出制御手段25が、蛍光薬剤の撮影対象に向けた吐出前に、撮影対象に対し照射光が照射されるよう薬剤吐出手段20を制御する内視鏡システム1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡観察において、蛍光画像を観察することは反射画像とは異なる生体の情報を得ることができるため、病変の診断・観察にとって有益なことである。
例えば、病変に由来する物質に反応して無蛍光性から蛍光性の物質に変化する蛍光プローブを投与すれば、蛍光画像の観察によって、その病変由来の物質の濃度分布を観察することができる。
また、自家蛍光すなわち生体由来の蛍光を観察することで、生体の変化を観察し病変の様子を観察することも可能である。
【0003】
同時に、反射画像にも蛍光画像とは異なる有益な情報が含まれている。
すなわち、反射画像によれば、血管の密度や集積の様子などを観察することができ、炎症等の病変に関する情報を得ることができる。
【0004】
病変に由来する物質に結合して蛍光を発する蛍光プローブとしては、腫瘍/癌組織等の病変部位を高感度でin vivoで可視化する蛍光色素が知られている。既に、一部で外因性物質である5−アミノレブリン酸を用いた方法が癌診断法として臨床応用されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【非特許文献1】Kennedy,J.C. et al. : J Photochem Photobiol B 6 :143,1990
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、5−アミノレブリン酸を用いた方法等に代表される経口投与や静脈注射等での投与は、大量の薬剤を必要とし、一般に高価な蛍光物質を大量に消費してしまうという不都合がある。
また、全身投与であるために、腫瘍部位への蓄積に時間を要する。また、例えば、消化器各部位に対しする蓄積時間に時間差が生ずるため、見たい瞬間に見ることができないという問題がある。
さらに、一般に、蛍光の強度は非常に弱いので、ノイズ等によって蛍光画像の画質が劣化しがちであるという問題もある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、病変の有無を短時間で確認できる蛍光色素/プローブを生体内に効率的に適用して光学的に検出し、鮮明な蛍光画像を得ることができる内視鏡システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、生体の体腔内に少なくとも一部が入れられ、該体腔内の撮影対象の画像を取得する内視鏡システムであって、前記撮影対象内部の特定の物質と結合または当該撮影対象内部に蓄積される蛍光薬剤を前記撮影対象に向けて吐出する薬剤吐出手段と、該薬剤吐出手段を制御する吐出制御手段と、前記蛍光薬剤を励起させるための励起光および該励起光とは異なる分光特性の照射光を発する光源部と、該光源部からの前記励起光および照射光を前記撮影対象に向けて伝播する光学系と、前記体腔内に入れられる部位に設けられるとともに、前記励起光によって前記撮影対象から放射される蛍光および前記照射光によって前記撮影対象から放射される当該蛍光とは異なる波長帯域の光とを撮影可能な撮像手段とを備え、前記吐出制御手段により前記蛍光薬剤の前記撮影対象に向けて吐出される前に、前記撮影対象に対し前記照射光が照射されるよう制御する内視鏡システムを提供する。
【0008】
上記発明においては、前記撮影対象から放射される前記蛍光とは波長帯域の異なる光は、前記照射光の可視帯域の反射光であることとしてもよい。
また、上記発明においては、前記撮影対象から放射される前記蛍光とは異なる波長帯域の光は、前記撮影対象内部に生来存在する物質が前記照射光により励起されて発せられる可視帯域の光であることとしてもよい。
【0009】
また、上記発明においては、前記蛍光薬剤が、フルオレセイン骨格を有するエステラーゼ感受性蛍光プローブまたはシアニン系化合物を有する蛍光プローブを含むこととしてもよい。
さらに、上記発明においては、前記撮影対象の表面の洗浄のために該撮影対象に向けて洗浄用水を吐出する洗浄用水吐出手段をさらに備え、該洗浄用水吐出手段による前記撮影対象の表面の洗浄後に、前記照射光の前記撮影対象に対する照射を終了することとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、癌/腫瘍の細胞、組織を正常細胞、組織と区別して選択的に染色し、病変の有無を短時間で確認できる蛍光色素/プローブを生体内に効率的に適用して光学的に検出し、鮮明な蛍光画像を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡システム1について、図1〜図6を参照して説明する。
本実施形態に係る内視鏡システム1は、図1に示されるように、生体の体腔内に挿入される挿入部2と、該挿入部2内に配置される撮像ユニット(撮像手段)3と、複数種の光を発する光源ユニット(光源部)4と、挿入部2の先端2aから吐出させる液体を供給する送液ユニット20と、前記撮像ユニット3、光源ユニット4および送液ユニット20を制御する制御ユニット(制御手段)5と、撮像ユニット3により取得された画像を表示する表示ユニット(出力手段)6とを備えている。
【0012】
前記挿入部2は、生体の体腔に挿入できる極めて細い外形寸法を有し、その内部に、前記撮像ユニット3および前記光源ユニット4からの光を先端2aまで伝播するライトガイド(導光光学系)7とを備えている。
前記光源ユニット4は、体腔内の観察対象を照明し、観察対象において反射して戻る反射光を取得するための照明光(照射光)を発する照明光用光源8と、体腔内の観察対象に照射され、観察対象内に存在する蛍光物質を励起して蛍光を発生させるための励起光を発する励起光用光源9と、これらの光源8,9を制御する光源制御回路10とを備えている。
【0013】
前記照明光用光源8は、例えば、図示しないキセノンランプおよびバンドパスフィルタを組み合わせたもので、バンドパスフィルタの50%透過域は、420〜450nmである。すなわち、照明光用光源8は、波長帯域420〜450nmの照明光を発生するようになっている。
【0014】
前記励起光用光源9は、例えば、ピーク波長490±5nmの励起光を出射する半導体レーザ(または488±5nmの励起光を出射するアルゴンレーザ)である。この波長の励起光は、フルオレセイン骨格を有するエステラーゼ感受性蛍光プローブを励起することができる。
フルオレセイン骨格を有するエステラーゼ感受性蛍光プローブの化学式は、化1に示す一般式(1)の通りである。
【0015】
【化1】

【0016】
式中、RおよびRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいC〜Cアルキル基、置換基を有していてもよいC〜Cアルケニル基、置換基を有していてもよいC〜Cアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す。これにより、一般式(1)で表される化合物を含む腫瘍細胞または腫瘍組織選択的な蛍光染色剤が提供される。
【0017】
上記発明の好ましい態様によれば、RおよびRがそれぞれ独立にC〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、アリール基、またはヘテロアリール基である上記の蛍光染色剤;RおよびRがそれぞれ独立にC〜Cアルキル基またはC〜Cアルケニル基である上記の蛍光染色剤;RおよびRがそれぞれ独立にC〜Cアルキル基またはC〜Cアルケニル基である上記の蛍光染色剤;並びにRおよびRが−CH=CHである上記の蛍光染色剤が提供される。
【0018】
一般式(1)において、アリール基としては単環性または縮合多環性の芳香族炭化水素基を用いることができ、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。ヘテロアリール基としては、環構成原子として1個または2個以上のヘテロ原子を含む単環性または縮合多環性の芳香族基を用いることができる。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子などが挙げられ、2個以上のヘテロ原子を含む場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。より具体的には、フリル基、チエニル基、ピロール基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピリミジル基などを挙げることができる。
【0019】
一般式(1)で表される代表的な化合物として、RおよびRがメチル基である化合物(フルオレセインジアセテート:FDA)、RおよびRがビニル基である化合物(フルオレセインジアクリレート:FDAcr)、RおよびRがエチル基である化合物(FDP)、RおよびRがn−プロピル基である化合物(FDB)、RおよびRがn−ブチル基である化合物(FDC)、RおよびRがフェニル基である化合物(FDBz)、およびRおよびRが2−フリル基である化合物(FDFu)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0020】
前記光源制御回路10は、後述するタイミングチャートに従う所定のタイミングで、照明光用光源8と励起光用光源9とを交互に点灯および消灯させるようになっている。
前記撮像ユニット3は、図2に示されるように、観察対象Aから入射される光を集光する撮像光学系11と、観察対象Aから入射されてくる励起光を遮断する励起光カットフィルタ12と、制御ユニット5の作動により分光特性を変化させられる可変分光素子(可変分光手段)13と、撮像光学系11により集光された光を撮影して電気信号に変換する撮像素子14とを備えている。
【0021】
前記可変分光素子13は、平行間隔を空けて配置され対向面に反射膜が設けられた2枚の平板状の光学部材13a,13bと、該光学部材13a,13bの間隔を変化させるアクチュエータ13cとを備えるエタロン型の光学フィルタである。アクチュエータ13cは、例えば、圧電素子である。この可変分光素子13は、アクチュエータ13cの作動により光学部材13a,13bの間隔寸法を変化させることで、その透過する光の波長帯域を変化させることができるようになっている。
【0022】
さらに具体的には、可変分光素子13は、図3に示されるように、1つの固定透過帯域および1つの可変透過帯域の2つの透過帯域を有する透過率波長特性を有している。固定透過帯域は、可変分光素子13の状態によらず、常に入射光を透過するようになっている。また、可変透過帯域は可変分光素子13の状態に応じて透過率特性が変化するようになっている。
【0023】
本実施形態において、可変分光素子13は、赤色の波長帯域(例えば、560〜600nm)に可変透過帯域を備えている。そして、可変分光素子13は、制御ユニット5からの制御信号に応じて2つの状態に変化するようになっている。
【0024】
第1の状態は、可変透過帯域での透過率を第2の状態と比較して十分に低下させ、薬剤蛍光を透過する状態である。第2の状態は、可変透過帯域の透過率を50%以上に増大させ、照明光の反射光を透過させる状態である。第1の状態は、図3に示されるように、可変透過帯域の透過率を第2の状態と比較して十分に低下させることで、薬剤蛍光取得時にノイズとなる可変透過帯域で発生する生体の自家蛍光を遮断し、主に固定透過帯域で発生する薬剤蛍光を透過させることができる。第2の状態は、例えば、図3に示すように、固定透過帯域を420〜560nm、可変透過帯域を560〜600nmと設定することで、白色観察に必要な青色、緑色および赤色を透過させることができる。
照明光は、例えば、図3に示されるように、血管の情報を反映する420〜450nmである。また、照明光としては、生体の光吸収特性が低く表面形状を青色より反映する赤色(580〜590nm)を使用してもよい。
【0025】
固定透過帯域は、例えば、420〜560nmの範囲に配置され、透過率60%以上に固定されている。
また、固定透過帯域は、照明光に対する反射光の波長を含む波長帯域に位置し、上記第1および第2の状態のいずれの場合においても反射光を撮像素子14に向けて透過させることができるようになっている。
【0026】
また、前記励起光カットフィルタ12は、420〜470nmの波長帯域で透過率80%以上、480〜500nmの波長帯域でOD値4以上(=透過率1×10−4以下)、520〜750nmの波長帯域で透過率80%以上である。
【0027】
前記制御ユニット5は、図1に示されるように、撮像素子14を駆動制御する撮像素子駆動回路15と、可変分光素子13を駆動制御する可変分光素子制御回路16と、後述するバルブ制御回路25と、撮像素子14により取得された画像情報を記憶するフレームメモリ17と、該フレームメモリ17に記憶された画像情報を処理して表示ユニット6の出力する画像処理回路18とを備えている。
【0028】
撮像素子駆動回路15および可変分光素子制御回路16は、前記光源制御回路10に接続され、光源制御回路10による照明光用光源8および励起光用光源9の切り替えに同期して可変分光素子13および撮像素子14を駆動制御するようになっている。
具体的には、図4のタイミングチャートに示されるように、光源制御回路10の作動により、励起光用光源9から励起光が発せられるときには、可変分光素子制御回路16が、可変分光素子13を第1の状態として、撮像素子駆動回路15が撮像素子14から出力される画像情報を第1のフレームメモリ17aに出力させるようになっている。また、照明光用光源8から照明光が発せられるときには、可変分光素子制御回路16が、可変分光素子13を第2の状態として、撮像素子駆動回路15が撮像素子14から出力される画像情報を第2のフレームメモリ17bに出力するようになっている。
【0029】
また、前記画像処理回路18は、例えば、励起光の照射により得られる蛍光画像情報を第1のフレームメモリ17aから受け取って表示ユニット6の赤チャネルに出力し、照明光の照射により得られる反射光画像情報を第2のフレームメモリ17bから受け取って表示ユニット6の緑チャネルに出力するようになっている。
【0030】
前記送液ユニット20は、患部洗浄用の洗浄用水を貯留する第1のタンク21と、蛍光色素/プローブ液を貯留する第2のタンク22と、これらのタンク21,22からの液体を選択的に供給/停止するバルブ23と、該バルブ23に接続され、前記挿入部2に沿って、先端2aまで供給する送液チューブ24と、前記制御ユニット5内に配置され、前記バルブ23を制御するバルブ制御回路25とを備えている。バルブ23は、例えば、3方弁により構成されている。送液チューブ24は、その先端24aを挿入部2の先端2aに配置され、送られてきた洗浄用水または蛍光色素/プローブ液を観察対象Aに向けて散布することができるようになっている。送液チューブ24としては、挿入部2に設けられた鉗子チャネルを利用することとしてもよい。
【0031】
バルブ制御回路25は、前記光源制御回路10に接続されている。バルブ制御回路25は、図5に示されるように、少なくとも第2のタンク22内に貯留されている蛍光色素/プローブ液を散布する作業を、励起光用光源9からの励起光の照射に同期して行わせるようになっている。
【0032】
このように構成された本実施形態に係る内視鏡システム1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る内視鏡システム1を用いて、生体の体腔内の撮影対象Aを撮像するには、蛍光薬剤を体内に注入するとともに、挿入部2を体腔内に挿入し、その先端2aを体腔内の撮影対象Aに対向させる。この状態で、光源ユニット4および制御ユニット5を作動させ、光源制御回路10の作動により、照明光用光源8および励起光用光源9を交互に作動させて照明光および励起光をそれぞれ発生させる。
【0033】
光源ユニット4において発生した励起光および照明光は、それぞれライトガイド7を介して挿入部2の先端2aまで伝播され、挿入部2の先端2aから撮影対象Aに向けて照射される。
励起光が撮影対象Aに照射された場合には、撮影対象Aに浸透している蛍光薬剤が励起されて蛍光が発せられる。撮影対象Aから発せられた蛍光は、撮像ユニット3の撮像光学系11により集光され励起光カットフィルタ12を透過し可変分光素子13に入射される。
【0034】
可変分光素子13は、可変分光素子制御回路16の作動により励起光用光源9の作動に同期して第1の状態に切り替えられているので、蛍光の波長帯域を含む帯域の透過率が十分に増大させられており、入射された蛍光を透過させることができる。この場合に、撮影対象Aに照射された励起光の一部が、撮影対象Aにおいて反射され、蛍光とともに撮像ユニット3に入射されるが、撮像ユニット3には励起光カットフィルタ12が設けられているので、励起光は遮断され、撮像素子14に入射されることが阻止される。
【0035】
そして、可変分光素子13を透過した蛍光は撮像素子14に入射され、蛍光画像情報が取得される。取得された蛍光画像情報は、第1のフレームメモリ17aに記憶され、画像処理回路18によって、表示ユニット6の赤チャネルに出力されて表示ユニット6により表示される。
【0036】
一方、照明光が撮影対象Aに照射された場合には、撮影対象Aの表面において照明光が反射され、撮像光学系11により集光されて励起光カットフィルタ12を透過し、可変分光素子13に入射される。照明光の反射光の波長帯域は、可変分光素子13の固定透過帯域に位置しているので、可変分光素子13に入射された反射光は全て可変分光素子13を透過させられる。
【0037】
そして、可変分光素子13を透過した反射光は撮像素子14に入射され、反射光画像情報が取得される。取得された反射光画像情報は、第2のフレームメモリ17bに記憶され、画像処理回路18によって、表示ユニット6の緑チャネルに出力されて表示ユニット6により表示される。
この場合に、可変分光素子13は、可変分光素子制御回路16の作動により照明光用光源8の作動に同期して第2の状態に切り替えられているので、蛍光の波長帯域における透過率が低下させられており、蛍光が入射されても、これを遮断する。これにより、反射光のみが撮像素子14により撮影される。
【0038】
また、本実施形態に係る内視鏡システム1においては、光源制御回路10およびバルブ制御回路25の作動により、蛍光観察に先立って、反射光観察が行われる。反射光観察においては、光源制御回路10は、照明光用光源8を作動させ、照明光を観察対象に向けて照射する。
【0039】
そして、反射光観察から蛍光観察に切り替える際には、励起光の照射に先立って、バルブ制御回路25は、照明光用光源8が照明光を照射している状態で、バルブ23を第1のタンク21側に切り替える。これにより、第1のタンク21に貯留されている洗浄用水が送液チューブ24の先端24aから観察対象Aに向けて吐出され、観察対象Aの表面が洗浄される。
この場合において、本実施形態によれば、照明光用光源8が照明光を照射している状態で観察対象Aを洗浄するので、患部を容易に確認でき、蛍光色素を散布したい部位を確認しながら洗浄することができる。
【0040】
その後、光源制御回路10により励起光用光源9が作動されて、励起光が観察対象Aに照射されると、バルブ制御回路25は光源制御回路10からの信号を受けて、バルブ23を第2のタンク22側に切り替える。これにより、第2のタンク22に貯留されている蛍光薬剤が送液チューブ24の先端24aから観察対象Aに向けて吐出される。
この場合において、本実施形態によれば、蛍光観察に先だって行われる反射光観察により、蛍光観察を行うべき部位を特定しているので、必要な部位に少量の蛍光色素を的確に散布することができる。また、蛍光色素を散布する際には、励起光用光源9が作動されて、励起光が照射されているので、蛍光色素が透明な場合においても、散布の状況を確認しながら確実に局所的に蛍光色素を散布し、投与することができる。
【0041】
このように、本実施形態に係る内視鏡システム1によれば、内視鏡観察下において、癌かどうか疑わしい部位に確実にエステラーゼ感受性蛍光プローブを散布することで、即時に、癌か否かを確認することができる。この場合に、エステラーゼ感受性蛍光プローブが血中経由で全身に回ることがなく、少量で即座に腫瘍部位を特定でき、見たい瞬間に検出して見ることが可能となる。すなわち、経口投与や静脈注射等での投与(大量の薬剤投与)に対して、高価な蛍光薬剤を必要最小限に抑えることができ、観察にかかるコストを低減することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る内視鏡システム1によれば、蛍光画像と反射光画像とを合成した画像を使用者に提供することができる。
この場合において、本実施形態に係る内視鏡システム1によれば、平板状の光学部材13a,13bの間隔を変更するだけで光の透過率特性を変化させる可変分光素子13を用いているので、極めて小型の可変分光素子13および撮像素子14を挿入部2先端2aに配置することができる。したがって、撮影対象Aからの蛍光や反射光をファイババンドルを用いて体外に取り出す必要がない。
本実施形態に記載された装置は、ノイズなどで画質が劣化しがちな微弱な蛍光画像のみならず、他の画像の取得もできるので、効率的に患部を確認することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、光源ユニット4における複数の光源8,9の切替と同期させて可変分光素子13の状態を切り替えるので、波長帯域の異なる複数種の光を同一の撮像素子14により撮影することができる。したがって、蛍光や反射光に対応した複数の撮影光学系を設ける必要がない。その結果、挿入部2を細径化することができる。
【0044】
また、生体の体腔内であっても生体組織を透過する外光が存在するため、特に蛍光観察のように微弱な光を観察する際にはノイズを低減することが重要であるが、本実施形態においては、撮像ユニット3に可変分光素子13を設けることによって、観察する波長帯域が変わっても常に観察対象の波長以外の光を遮光することができるため、ノイズを低減した良好な画像を得ることができる。
【0045】
さらに、本実施形態においては、照明光用光源8が、波長帯域420〜450nmの照明光を発生する。この波長帯域は、ヘモグロビンの吸収帯域を含んでいるので、その反射光を撮像すると生体の表面に比較的近い血管の構造等の情報を取得することができる。
【0046】
一般に、生体においては長波長ほど散乱の影響を受けにくく、生体の深部で発生した蛍光であっても観察し易い。しかし、波長1μm以上の光は水分の吸収によって減衰してしまい観測が困難になる。したがって、本実施形態に係る内視鏡システム1のように、近赤外域の蛍光を発する蛍光色素を利用することにより、生体内の情報、特に粘膜付近から発生するガン等の病変の情報を効率的に取得することが可能となる。
【0047】
なお、本実施形態に係る内視鏡システム1においては、撮像ユニット3において、挿入部2先端2a側から撮像光学系11、励起光カットフィルタ12および可変分光素子13の順に配列したが、これらの部品の配列順序はこれに限定されるものではなく、任意の配列順序を採用することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る内視鏡システム1においては、蛍光色素/プローブとして、フルオレセイン骨格を有するエステラーゼ感受性蛍光プローブを採用したが、これに代えて、上記一般式(1)で示される化合物とともに、または上記一般式(1)で示される化合物に代えて、トリカルボシアニン骨格を有する蛍光プローブ等、シアニン系化合物を用いてもよく、このような診断薬、造影剤も本発明により提供される。
【0049】
この場合において、可変分光素子13は、図6に示されるように、蛍光色素/プローブが励起光により励起されることによって発せられる蛍光(薬剤蛍光)の波長を含む波長帯域(例えば、760〜800nm)に可変透過帯域を備えている。そして、可変分光素子13の第1の状態は、可変透過帯域での透過率を50%以上に増大させ、薬剤蛍光を透過させる状態であり、第2の状態は、可変透過帯域の波長帯域を、例えば、560〜600nmに移動させ、薬剤蛍光を遮断する状態である。
【0050】
また、前記励起光カットフィルタ12は、420〜710nmの波長帯域で透過率80%以上、730〜750nmの波長帯域でOD値4以上(=透過率1×10−4以下)、770〜850nmの波長帯域で透過率80%以上である。
【0051】
前記励起光用光源9は、例えば、ピーク波長740±5nmの励起光を出射する半導体レーザである。この波長の励起光は、トリカルボシアニン骨格の蛍光プローブ等、シアニン系の蛍光色素/プローブを励起することができる。
このようにすることで、フルオレセイン骨格を有するエステラーゼ感受性蛍光プローブを用いた場合と同様の効果を達成することができる。
【0052】
一般的には、生体の体腔内画像を撮影する場合、反射光画像の輝度に比べて薬剤蛍光画像のそれは極めて小さくなる。その結果、撮像素子14に入射する光の量(露光量)を、反射光画像または薬剤蛍光画像を取得するときごとに適宜調整することが必要となることも考えられる。
【0053】
このため、上記の蛍光内視鏡システムは、撮像素子14で測定した画像の明るさに応じて動作し、画像の明るさをあらかじめ設定された所定の目標値に近づける画像輝度調整を行うために、制御ユニット5が光源ユニット4の照射光(励起光)および可変分光素子13の分光特性の切り替えに加えて、撮影時の撮像ユニット3(撮像素子14)の露光量の調整を行うことが望ましい。具体的には、この露光量の調整のために、光源部4からの照明光(励起光)の調光(発光強度または発光持続時間の調整)、撮像ユニット5の露出(シャッタ速度または絞りの調整)または撮像ユニット5の増幅率の調整のうち、いずれか一つまたは複数の調整が行われることが望ましい。
【0054】
特に、画像内全体が比較的明るい反射光画像と蛍光領域が薬剤の塗布(投与)されている領域に限定される薬剤蛍光画像との組み合わせなど、輝度および高輝度領域(明るい領域)が極端に異なる複数の画像から、一つの画像を構築する場合にはこのような調整は重要性を増す。
【0055】
また、この画像輝度調整時に測定する画像の明るさは、画像全体あるいはその一部の平均値を画像の明るさとするモード・平均測光モードで測定された値でもよいし、画像全体あるいはその一部の領域の中での最大値を画像の明るさとするモード・ピーク測光モードで測定された値でもよい。
さらに、反射光画像取得時には平均測光モード、薬剤蛍光画像取得時にはピーク測光モードとなるように、図7に示すタイミングチャートに従う所定のタイミングで、画像の明るさを測定するモードが光源制御回路および可変分光素子制御回路と関連づけて制御されることが、さらによい。
【0056】
なぜなら、反射光画像取得時には画像全体に被写体が写っており、画像全体にわたって比較的明るい領域が形成されている場合が多く、平均測光モードが有効であるからである。このような反射光画像に対してピーク測光を行うと、生体の粘液の反射など極端に明るい領域を目標値に近づけようと輝度調整を行ってしまうため、観察対象が暗くなってしまう。
【0057】
一方、薬剤蛍光画像取得時には蛍光薬剤が塗布(投与)された部分のみに蛍光の発生が限定され、画像の多くが蛍光発光の無い暗い領域となり、画像の一部に薬剤蛍光が見られる画像となることが多くなるため、ピーク測光モードが有効である。
平均測光を行うと、画像の多くを占める暗い領域を含めて目標の明るさに近づけようと調整するため、蛍光が発光していない領域のノイズが強調されてしまい観察し難い画像となってしまう。
【0058】
次に、本発明の第2の実施形態に係る内視鏡システム1′について、図8〜図10を参照して以下に説明する。
なお、本実施形態の説明において、上述した第1の実施形態に係る内視鏡システム1と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
本実施形態に係る内視鏡システム1′は、光源ユニット4′の構成、可変分光素子13および励起光カットフィルタ12の透過率特性において、第1の実施形態に係る内視鏡システム1と相違している。
本実施形態に係る内視鏡システム1′の光源ユニット4′は、図8に示されるように、2つの励起光用光源31,32を備えている。
【0060】
第1の励起光用光源31は、ピーク波長490±5nmの第1の励起光を発生する半導体レーザである。この半導体レーザが出射する第1の励起光により、フルオレセイン骨格を有するエステラーゼ感受性蛍光プローブを励起することができる。
第2の励起光用光源32は、ピーク波長405±5nmの第2の励起光を発生する半導体レーザである。この波長の第2の励起光により、コラーゲン、NADH、FAD等の生体自家蛍光を励起することができる。
【0061】
また、可変分光素子13は、図9に示されるように、薬剤蛍光と、自家蛍光の短波長帯域を含む固定透過帯域で透過率が高く、自家蛍光の長波長帯域で透過率が低い第1の状態と、自家蛍光の長波長帯域と固定透過帯域で透過率が高い第2の状態とが切り替えられる可変透過帯域とを備えている。
第1の状態は、薬剤蛍光を透過させる状態であり、可変透過帯域の透過率を第2の状態と比較して十分に低減させることによって、薬剤蛍光取得時にノイズとなる可変透過帯域で発生する自家蛍光を遮断する。
【0062】
固定透過帯域は、例えば、420〜560nmの波長帯域で、透過率60%以上である。可変透過帯域は、560〜600nmの波長帯域で、第2の状態においては透過率50%以上、第1の状態においては可変透過帯域の波長帯域が固定透過帯域内に移動するようになっている。また、可変透過帯域は、自家蛍光成分の1つであるポルフィリンのピーク波長を含む波長帯域(例えば、620〜660nm)でもよい。
【0063】
前記励起光カットフィルタ12は、395〜415nmの波長帯域でOD値4以上(1×10−4以下)、430〜460nmの波長帯域で透過率80%以上、480〜500nmの波長帯域でOD値4以上(1×10−4以下)、520〜750nmの波長帯域で透過率80%以上である。
【0064】
このように構成された本実施形態に係る内視鏡システム1′によれば、光源制御回路10の作動により第1の励起光用光源31から第1の励起光が発せられるときには、第2の励起光用光源32の作動は停止され、第1の励起光のみが撮影対象Aに照射される。また、このとき、第1の励起光用光源31の作動に同期して可変分光素子制御回路16により可変分光素子13が第1の状態に切り替えられるので、撮影対象Aにおいて発生した薬剤蛍光が可変分光素子13を透過して撮像素子14により撮像され、薬剤蛍光画像情報が第1のフレームメモリ17aに記憶される。
【0065】
一方、光源制御回路10の作動により第2の励起光用光源32から第2の励起光が発せられるときには、第1の励起光用光源31の作動は停止され、第2の励起光のみが撮影対象Aに照射される。また、このとき、第2の励起光用光源32の作動に同期して可変分光素子制御回路16により可変分光素子13が第2の状態に切り替えられるので、撮影対象Aにおいて発生した自家蛍光が可変分光素子13を透過して撮像素子14により撮像され、自家蛍光画像情報が第2のフレームメモリ17bに記憶される。
【0066】
第1のフレームメモリ17aに記憶された薬剤蛍光画像情報は、画像処理回路18によって、例えば、表示ユニット6の赤チャネルに出力され表示ユニット6により表示される。
一方、第2のフレームメモリ17bに記憶された自家蛍光画像情報は、画像処理回路18によって、例えば、表示ユニット6の緑チャネルに出力されて表示ユニット6により表示される。これにより、薬剤蛍光画像と自家蛍光画像とを合成した画像を使用者に提供し、異なる情報を持つ複数の画像を取得する蛍光内視鏡システム1′を提供することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る内視鏡システム1′においても、光源制御回路10およびバルブ制御回路25の作動により、薬剤蛍光観察に先立って、自家蛍光観察が行われる。自家蛍光観察においては、光源制御回路10は、第2の励起光用光源32を作動させ、第2の励起光を観察対象に向けて照射する。
【0068】
そして、自家蛍光観察から薬剤蛍光観察に切り替える際には、第1の励起光の照射に先立って、バルブ制御回路25は、第2の励起光用光源32が第2の励起光を照射している状態で、バルブ23を第1のタンク21側に切り替える。これにより、第1のタンク21に貯留されている洗浄用水が送液チューブ24の先端24aから観察対象Aに向けて吐出され、観察対象Aの表面が洗浄される。
この場合において、本実施形態によれば、第2の励起効用光源32が第2の励起光を照射している状態で観察対象Aを洗浄するので、自家蛍光により患部を容易に確認でき、蛍光色素を散布したい部位を確認しながら洗浄することができる。
【0069】
その後、光源制御回路10により第1の励起光用光源31が作動されて、第1の励起光が観察対象Aに照射されると、バルブ制御回路25は光源制御回路10からの信号を受けて、バルブ23を第2のタンク22側に切り替える。これにより、第2のタンク22に貯留されている蛍光薬剤が送液チューブ24の先端24aから観察対象Aに向けて吐出される。
この場合において、本実施形態によれば、蛍光観察に先だって行われる自家蛍光観察により、蛍光観察を行うべき部位を特定しているので、必要な部位に少量の蛍光色素を的確に散布することができる。また、蛍光色素を散布する際には、第1の励起光用光源31が作動されて、第1の励起光が照射されているので、蛍光色素が透明な場合においても、散布の状況を確認しながら確実に局所的に蛍光色素を散布し、投与することができる。
【0070】
このように、本実施形態に係る内視鏡システム1′によれば、内視鏡観察下において、癌かどうか疑わしい部位に確実にエステラーゼ感受性蛍光プローブを散布することで、即時に、癌か否かを確認することができる。この場合に、エステラーゼ感受性蛍光プローブが血中経由で全身に回ることがなく、少量で即座に腫瘍部位を特定でき、見たい瞬間に検出して見ることが可能となる。すなわち、経口投与や静脈注射等での投与(大量の薬剤投与)に対して、高価な蛍光薬剤を必要最小限に抑えることができ、観察にかかるコストを低減することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る内視鏡システム1′においては、蛍光色素/プローブとして、フルオレセイン骨格を有するエステラーゼ感受性蛍光プローブを採用したが、これに代えて、トリカルボシアニン骨格を有する蛍光プローブ等、シアニン系の蛍光色素/プローブを採用することとしてもよい。
【0072】
この場合において、可変分光素子13は、図11に示されるように、蛍光色素/プローブが励起光により励起されることによって発せられる蛍光(薬剤蛍光)の波長を含む波長帯域(例えば、760〜800nm)に可変透過帯域を備えている。そして、可変分光素子13の第1の状態は、可変透過帯域での透過率を50%以上に増大させ、薬剤蛍光を透過させる状態であり、第2の状態は、可変透過帯域の波長帯域を、例えば、560〜600nmに移動させ、薬剤蛍光を遮断し、自家蛍光を透過させる状態である。
【0073】
また、前記励起光カットフィルタ12は、395〜415nmの波長帯域でOD値4以上(1×10−4以下)、420〜710nmの波長帯域で透過率80%以上、730〜750nmの波長帯域でOD値4以上(=透過率1×10−4以下)、770〜850nmの波長帯域で透過率80%以上である。
【0074】
第1の励起光用光源31は、例えば、ピーク波長740±5nmの励起光を出射する半導体レーザである。この波長の励起光は、トリカルボシアニン骨格を有する蛍光プローブ等のシアニン系の蛍光色素/プローブを励起することができる。
このようにすることで、フルオレセイン骨格を有するエステラーゼ感受性蛍光プローブを用いた場合と同様の効果を達成することができる。
【0075】
なお、本発明の蛍光内視鏡システム1,1′は、生体の体腔内に挿入する挿入部2の先端に撮像手段14を有するスコープ型のものに限られるものではなく、光源部、撮像手段および可変分光手段が一つの筐体内に設けられ、該筐体ごと生体の体腔内に挿入可能なカプセル型のものに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る内視鏡システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の内視鏡システムの撮像ユニット内部の構成を示す概略構成図である。
【図3】図1の内視鏡システムを構成する各光学部品の透過率特性、照射光および蛍光の波長特性を示す図である。
【図4】図1の内視鏡システムの動作を説明するタイミングチャートである。
【図5】図1の内視鏡システムのバルブ制御回路の動作状態を説明するタイミングチャートである。
【図6】図1の内視鏡システムにおいて、シアニン系の蛍光色素/プローブを用いる場合の各光学部品の透過率特性、照射光および蛍光の波長特性を示す図である。
【図7】画像取得時の測光モードの切替えの一例を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る内視鏡システムを構成する各光学部品の透過率特性および照射光および蛍光の波長特性を示す図である。
【図9】図8の内視鏡システムを構成する各光学部品の透過率特性、照射光および蛍光の波長特性を示す図である。
【図10】図8の内視鏡システムのバルブ制御回路の動作状態を説明するタイミングチャートである。
【図11】図8の内視鏡システムにおいて、シアニン系の蛍光色素/プローブを用いる場合の各光学部品の透過率特性、照射光および蛍光の波長特性を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
A 撮影対象
1,1′ 内視鏡システム
2 挿入部
4,4′ 光源ユニット(光源部)
5,5′ 制御ユニット(制御手段)
7 ライトガイド(光学系)
14 撮像素子(撮像手段)
20 送液ユニット(薬剤吐出手段)
25 バルブ制御回路(吐出制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の体腔内に少なくとも一部が入れられ、該体腔内の撮影対象の画像を取得する内視鏡システムであって、
前記撮影対象内部の特定の物質と反応または当該撮影対象内部に蓄積される蛍光薬剤を前記撮影対象に向けて吐出する薬剤吐出手段と、
該薬剤吐出手段を制御する吐出制御手段と、
前記蛍光薬剤を励起させるための励起光および該励起光とは異なる分光特性の照射光を発する光源部と、
該光源部からの前記励起光および照射光を前記撮影対象に向けて伝播する光学系と、
前記体腔内に入れられる部位に設けられるとともに、前記励起光によって前記撮影対象から放射される蛍光および前記照射光によって前記撮影対象から放射される当該蛍光とは異なる波長帯域の光とを撮影可能な撮像手段とを備え、
前記吐出制御手段により前記蛍光薬剤の前記撮影対象に向けて吐出される前に、前記撮影対象に対し前記照射光が照射されるよう制御する内視鏡システム。
【請求項2】
前記撮影対象から放射される前記蛍光とは波長帯域の異なる光は、前記照射光の可視帯域の反射光である請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記撮影対象から放射される前記蛍光とは異なる波長帯域の光は、前記撮影対象内部に生来存在する物質が前記照射光により励起されて発せられる可視帯域の光である請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記蛍光薬剤が、フルオレセイン骨格を有するエステラーゼ感受性蛍光プローブまたはシアニン系化合物を有する蛍光プローブを含む請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記撮影対象の表面の洗浄のために該撮影対象に向けて洗浄用水を吐出する洗浄用水吐出手段をさらに備え、
該洗浄用水吐出手段による前記撮影対象の表面の洗浄後に、前記照射光の前記撮影対象に対する照射を終了する請求項1に記載の内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−229054(P2007−229054A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51915(P2006−51915)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】