説明

内視鏡装置及びプログラム

【課題】動画像における奥行き方向のブレを抑制可能な内視鏡装置及びプログラム等を提供すること。
【解決手段】内視鏡装置は、時系列に画像を取得する画像取得部と、撮像部の光軸に沿った方向である奥行き方向のブレを補正するための補正係数を算出する係数算出部703と、その補正係数に基づいて、時系列に取得された画像の奥行き方向のブレを補正する処理を行う奥行きブレ補正処理部704と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置及びプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡装置では、被写体を拡大観察した鑑別診断が行われている。拡大観察では一般的に、被写体像の劣化のない光学ズームが用いられる。一方、CCD等で取得された画像データ上での電子ズームは被写体像の劣化を伴うが、光学ズームされた被写体像を更に拡大して表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−49599号公報
【特許文献2】特開2009−71380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような拡大観察では、拡大率が大きいほどブレの影響が大きくなるという課題がある。例えば、体腔内を観察する内視鏡装置では、心臓の拍動により食道などの臓器に拍動が生じる。そのため、奥行き方向で被写体ブレが発生し、視認性などの観察性能が劣化してしまう。
【0005】
例えば特許文献1には、拡大観察を行う内視鏡装置においてスコープ先端の動きを検出してブレ補正を行う手法が開示されている。この手法では、内視鏡湾曲部に方向と角速度を検出する移動量検出手段を備え、移動方向や移動距離に基づいてブレ補正を行う。しかしながら、この手法では、スコープ先端の動きを検出するため被写体側のブレについてはブレ補正を行うことができない。
【0006】
また特許文献2には、被写体の動き量を検出し、さらにフリーズ指示信号を検出して動画を的確なタイミングで静止させて静止画を取得する手法が開示されている。この手法では、画像の周期性を検出することで、ブレの少ない最適なフリーズ画像を生成する。しかしながら、この手法では、動画像のブレ補正を行うことはできない。
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、動画像における奥行き方向のブレを抑制可能な内視鏡装置及びプログラム等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、時系列に画像を取得する画像取得部と、撮像部の光軸に沿った方向である奥行き方向のブレを補正するための補正係数を算出する係数算出部と、前記補正係数に基づいて、時系列に取得された前記画像の前記奥行き方向のブレを補正する処理を行う奥行きブレ補正処理部と、を含む内視鏡装置に関係する。
【0009】
本発明の一態様によれば、時系列に画像が取得され、奥行き方向のブレを補正するための補正係数が算出され、時系列に取得された画像の奥行き方向のブレを補正係数に基づいて補正する処理が行われる。これにより、動画像における奥行き方向のブレを抑制することが可能になる
【0010】
また、本発明の他の態様は、時系列に画像を取得する画像取得部と、撮像部の光軸に沿った方向である奥行き方向のブレを補正するための補正係数を算出する係数算出部と、前記補正係数に基づいて、時系列に取得された前記画像の前記奥行き方向のブレを補正する処理を行う奥行きブレ補正処理部として、コンピュータを機能させることを特徴とするプログラムに関係する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】内視鏡装置の構成例。
【図2】回転色フィルタの詳細な構成例。
【図3】色フィルタの分光特性例。
【図4】画像処理部の詳細な構成例。
【図5】ブレ補正処理部の詳細な構成例。
【図6】図6(A)〜図6(G)は、ブレ補正処理についての説明図である。
【図7】ブレ補正処理に用いられる特徴点データの例。
【図8】画像処理プログラムのフローチャート例。
【図9】ブレ補正処理の詳細なフローチャート例。
【図10】内視鏡装置の第2の構成例。
【図11】画像処理部の第2の詳細な構成例。
【図12】ブレ補正処理部の第2の詳細な構成例。
【図13】ブレ補正処理の第2の詳細なフローチャート例。
【図14】内視鏡装置の第3の構成例。
【図15】画像処理部の第3の詳細な構成例。
【図16】ブレ補正処理部の第3の詳細な構成例。
【図17】コンピュータシステムの構成を示すシステム構成図。
【図18】コンピュータシステムにおける本体部の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0013】
1.本実施形態の手法
まず、本実施形態が行う奥行き方向のブレ補正の概要について説明する。ドクターは、内視鏡先端を消化管に挿入すると、最初は拡大観察を行わず、先端部を動かして病変の探索を行う(スクリーニング)。次に、病変部を発見した時は、光学ズームや電子ズームを用いて被写体を拡大し、内視鏡先端部を静止させて病変部の観察を行う。
【0014】
このとき、被写体の動きや撮像部の動きによって被写体像にブレが生じる。図1に示すように、このブレには、撮像部200の光軸方向のブレが含まれており、この光軸方向のブレは画像の奥行き方向のブレとなって見える。この奥行き方向のブレは、例えば心臓の拍動による臓器の動きや、消化管の蠕動運動により生じる。被写体像のブレは、拡大観察時の拡大率に応じて大きくなるため、動画像で観察した場合、拡大率が大きくなるほど画像が大きくブレて見えることになる。
【0015】
そこで本実施形態では、図6(A)、図6(B)に示すように、時系列に取得した画像の倍率変化に応じて電子ズームや光学ズームの倍率調整を行い、図6(C)に示すように、時系列に取得した画像上での被写体の大きさを一定にする。これにより、臓器の拍動等による奥行き方向の動画像のブレを軽減し、動画像の視認性を向上できる。
【0016】
2.内視鏡装置の第1の構成例
図1に、奥行き方向のブレ補正を行う内視鏡装置の第1の構成例を示す。内視鏡装置(内視鏡システム)は、光源部100と、撮像部200と、制御装置300(狭義にはプロセッサ部)と、表示部400と、外部I/F部500を含む。
【0017】
光源部100は、被写体を照明するための照明光を出射する。光源部100は、白色光源101と、光源絞り102と、光源絞り102を駆動する光源絞り駆動部103を含む。また、光源部100は、複数の分光透過率を持った回転色フィルタ104と、回転色フィルタ104を駆動する回転駆動部105と、回転色フィルタ104による分光特性を持った光をライトガイドファイバ201の入射端面に集光させる集光レンズ106を含む。
【0018】
光源絞り駆動部103は、制御装置300の制御部320からの制御信号に基づいて光源絞り102の開閉を行うことで光量の調整を行う。
【0019】
回転色フィルタ104は、例えば図2に示すように、三原色の赤の色フィルタ601と、緑の色フィルタ602と、青の色フィルタ603と、回転モータ803から構成されている。これら3つの色フィルタ601〜603は、例えば図3に示す分光特性を有する。
【0020】
回転駆動部105は、制御装置300の制御部320からの制御信号に基づいて、撮像素子206の撮像期間と同期して回転色フィルタ104を所定回転数で回転させる。例えば回転色フィルタ104を1秒間に20回転させると、各色フィルタ601〜603は60分の1秒間隔で入射白色光を横切ることになる。そのため、撮像素子206は、60分の1秒間隔で3原色の各色光(RあるいはGあるいはB)での反射光の画像の撮像と転送を完了することになる。ここで、撮像素子206は、例えばモノクロ撮像を行う。この場合、R画像、G画像、B画像は、60分の1秒間隔で面順次で撮像される。
【0021】
撮像部200は、例えば体腔への挿入を可能にするため細長くかつ湾曲可能に形成されている。撮像部200は、光源部100で集光された光を導くためのライトガイドファイバ201と、そのライトガイドファイバ201により先端まで導かれてきた光を拡散させて観察対象に照射する照明レンズ202を含む。また、撮像部200は、観察対象から戻る反射光を集光する対物レンズ203と、可変絞り204と、制御部320の制御に基づいて可変絞り204を開閉する対物絞り駆動部205を含む。また、撮像部200は、集光した反射光を検出するための撮像素子206と、撮像素子206からの光電変換されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部207を含む。例えば、撮像素子206は、モノクロ単板撮像素子であり、CCDやCMOSセンサにより構成される。
【0022】
制御装置300は、内視鏡装置の各構成要素の制御や、画像処理を行う。制御装置300は、画像処理部310と、制御部320を含む。
【0023】
画像処理部310には、A/D変換部207でデジタルデータに変換された画像(画像信号)が転送される。画像処理部310で処理された画像は、表示部400に転送される。
【0024】
制御部320は、光源絞り駆動部103と、回転駆動部105と、対物絞り駆動部205と、撮像素子206と、画像処理部310と、外部I/F部500に接続され、これらの制御を行う。
【0025】
表示部400は、画像処理部310からの画像や動画像を表示する。例えば表示部400は、CRTや液晶モニタ等の動画表示可能な表示装置である。
【0026】
外部I/F部500は、この撮像装置に対するユーザーからの入力等を行うためのインターフェースである。例えば、外部I/F部500は、電源のオン/オフを行うための電源スイッチや、撮影操作を開始するためのシャッタボタン、撮影モードやその他各種のモードを切り換えるためのモード切換ボタンなどを含んで構成されている。そして、この外部I/F部500は、入力された情報を制御部320へ転送する。
【0027】
3.画像処理部
次に、上述の画像処理部310について説明する。図4に、画像処理部310の詳細な構成例を示す。画像処理部310は、前処理部311と、同時化処理部312と、ブレ補正処理部313と、後処理部314を含む。
【0028】
A/D変換部207は、前処理部311に接続されている。前処理部311は、同時化処理部312に接続されている。同時化処理部312は、ブレ補正処理部313に接続されている。ブレ補正処理部313は、後処理部314に接続されている。後処理部314は、表示部400に接続されている。制御部320は、前処理部311と、同時化処理部312と、ブレ補正処理部313と、後処理部314とに接続され、これらの制御を行う。
【0029】
前処理部311は、制御部320に予め保存されているOBクランプ値やゲイン補正値、WB係数値を用いて、A/D変換部207で変換されて入力されるデジタル画像に対して、OBクランプ処理やゲイン補正処理、WB補正処理を行う。前処理を施された画像は、同時化処理部312へ転送される。
【0030】
同時化処理部312は、前処理部311で処理を施された画像に対して、面順次のR画像、G画像、B画像を同時化する処理を、制御部320の制御信号に基づいて行う。同時化処理された画像は、ブレ補正処理部313へ転送される。
【0031】
ブレ補正処理部313は、同時化処理された時系列の画像に対してブレ補正を行う。ブレ補正処理部313は、ブレ補正として、奥行き方向のブレ補正や、平面方向のブレ補正を行う。ブレ補正処理を施された画像は、後処理部314へ転送される。
【0032】
後処理部314は、制御部320に予め保存されている階調変換係数や色変換係数、輪郭強調係数、拡大率を用いて、階調変換処理や色処理、輪郭強調処理、拡大処理を行う。後処理を施された画像は、表示部400へ転送される。
【0033】
4.ブレ補正処理部
次に、ブレ補正処理部313について説明する。図5に、ブレ補正処理部313の詳細な構成例を示す。ブレ補正処理部313は、第1記憶部701と、補正開始検出部702と、係数算出部703と、奥行きブレ補正処理部704と、トリミング部705と、第2記憶部706と、判定部707と、平面ブレ補正処理部708を含む。
【0034】
同時化処理部312は、第1記憶部701と、補正開始検出部702に接続されている。第1記憶部701は、補正開始検出部702と、係数算出部703に接続されている。補正開始検出部702は、係数算出部703と、後処理部314に接続されている。係数算出部703は、奥行きブレ補正処理部704に接続されている。奥行きブレ補正処理部704トリミング部705に接続されている。トリミング部705は、第2記憶部706と、判定部707に接続されている。第2記憶部706は、判定部707に接続されている。判定部707は、平面ブレ補正処理部708と、後処理部314に接続されている。平面ブレ補正処理部708は、後処理部314に接続されている。制御部320は、補正開始検出部702と、係数算出部703と、奥行きブレ補正処理部704と、トリミング部705と、判定部707と、平面ブレ補正処理部708に接続され、これらの制御を行う。
【0035】
第1記憶部701は、同時化処理部312から入力された画像(画像信号)を記憶する。
【0036】
補正開始検出部702は、ブレ補正を開始するか否かの判定を行う。具体的には、補正開始検出部702は、同時化処理部312から入力された画像と、第1記憶部701に記憶された1フレーム前に取得された画像の特徴点をマッチングし、マッチングした特徴点の動きベクトルから動き量Mv1を算出する。例えば、動き量Mv1は、画像全体の特徴点の動きベクトルの平均である。
【0037】
次に、補正開始検出部702は、算出された動き量Mv1と所定の閾値ThMv1とを比較し、画像上での被写体の動きが大きいか否かの判定を行う。閾値ThMv1は、予め設定された値を用いてもよいし、制御部320により自動的に設定されてもよい。補正開始検出部702は、動き量Mv1が閾値ThMv1より小さい場合、すなわち被写体の動きが少ない場合には、ドクターが被写体を詳細に観察している状態であると判断する。この場合、補正開始検出部702は、ブレ補正を開始するために、画像を係数算出部703に転送する。一方、補正開始検出部702は、動き量Mv1が閾値ThMv1以上である場合、すなわち被写体の動きが大きい場合には、ドクターが被写体をスクリーニングしている状態であると判断する。この場合、補正開始検出部702は画像を後処理部314に転送し、ブレ補正は行われない。
【0038】
なお、本実施形態では、ドクターが外部I/F部500を用いて補正開始を入力し、その入力に基づいてブレ補正を行ってもよい。この場合、補正開始が入力されると、外部I/F部500から制御部320を介して補正開始信号が入力され、画像が係数算出部703に転送される。
【0039】
係数算出部703は、補正開始検出部702から入力された画像と、第1記憶部701に記憶された1フレーム前に取得された画像とに基づいて、奥行き方向のブレを補正するための補正係数を算出する。具体的には、係数算出部703には、補正開始検出部702により求められた特徴点の情報が入力される。特徴点の情報は、現在フレームの画像の特徴点と、1フレーム前の画像の特徴点の情報である。係数算出部703は、これらの特徴点の相似形状から、倍率Magを算出する。
【0040】
例えば、図6(B)に示す時刻tで取得された画像から抽出した特徴点による多角形と、図6(A)に示す時刻t−1で取得された画像から抽出した特徴点による多角形を考える。時刻tの画像は現在フレームの画像であり、時刻t−1の画像は第1記憶部701に記憶された1フレーム前の画像である。係数算出部703は、時刻tの多角形と時刻t−1の多角形の面積が同程度となるような倍率Magを算出する。例えば、係数算出部703は、時刻t−1の面積に対する時刻tの面積の比を倍率Magとして算出する。算出された倍率Magは、奥行きブレ補正処理部704に転送される。
【0041】
奥行きブレ補正処理部704は、係数算出部703から入力された倍率Magに基づいて画像を拡大または縮小する。具体的には、奥行きブレ補正処理部704は、倍率Magの逆数を拡大率とした拡大処理を電子ズームにより行う。例えば、拡大処理または縮小処理には公知の補間処理を用いる。図6(C)に、時刻tで取得した画像を倍率Magで拡大した画像の例を示す。このように、奥行きブレ補正処理部704は、各時刻(各フレーム)の画像上での被写体の大きさを一定にする処理を行う。拡大処理を施された画像は、トリミング部705に転送される。
【0042】
トリミング部705は、奥行きブレ補正処理部704から入力された画像をトリミングする。トリミング範囲は、予め指定された所定の範囲を用いてもよいし、外部I/F部500から制御部320を介して指定されてもよい。図6(D)に、図6(C)に示す画像に対するトリミング範囲の例を示す。図6(E)に示すように、画像がトリミング範囲より小さい場合は、画像の外側の範囲にマスク処理を施す。なお、画像がトリミング範囲より小さい場合の処理は、上記に限らず、画像をトリミング範囲と同じ大きさまで拡大してもよい。このように、トリミング部705は、奥行きブレ補正により拡大縮小された画像から一定サイズの画像を取り出す処理を行う。トリミングされた画像は第2記憶部706と、判定部707と、平面ブレ補正処理部708に転送される。
【0043】
第2記憶部706は、トリミング部705から入力された画像を記憶する。
【0044】
判定部707は、奥行き補正処理が安定しているか否かの判定を行う。具体的には、判定部707は、トリミング部705から入力された画像と、第2記憶部706に記憶された1フレーム前の画像との相関値を検出する。そして、判定部707は、その相関値に基づいて、奥行きブレ補正が安定しているか否かの判定を行う。
【0045】
例えば、図6(F)に、図6(D)に示す画像をトリミングした画像の例を示す。また、図6(G)に、図6(F)の画像より1フレーム前に取得された画像をトリミングした画像の例を示す。判定部707は、これらの画像の特徴点をマッチングし、マッチングした特徴点の動きベクトルから動き量Mv2を算出する。具体的には、動き量Mv2は、画像全体の特徴点の動きベクトルの平均である。
【0046】
次に、判定部707は、算出された動き量Mv2と所定の閾値ThMv2とを比較し、画像上での被写体の動きが大きいか否かの判定を行う。閾値ThMv2は予め設定された値を用いてもよいし、制御部320により自動的に設定されてもよい。判定部707は、動き量Mv2が閾値ThMv2より小さい場合、すなわち被写体の動きが少ない場合には、奥行きブレ補正が安定していると判断する。この場合、判定部707は、上下左右方向の平面ブレ補正を開始するために、画像を平面ブレ補正処理部708に転送する。一方、判定部707は、動き量Mv2が閾値ThMv2以上である場合、すなわち被写体の動きが大きい場合には、奥行きブレ補正が安定していない状態であると判断する。この場合、判定部707は、画像を後処理部314に転送し、平面ブレ補正は行われない。
【0047】
平面ブレ補正処理部708は、判定部707から入力された画像に対して、上下左右方向のブレ補正である平面ブレ補正を行う。例えば、平面ブレ補正は、公知の電子式ブレ補正により行われる。電子式ブレ補正では、例えば、フレーム間の被写体の動きベクトルをマッチング処理により求め、その動きベクトルに応じてトリミング範囲を設定する。被写体の動きベクトルに応じてトリミングするため、被写体の平面ブレが抑制されたトリミング画像が取得される。平面ブレ補正処理を施された画像は、後処理部314に転送される。
【0048】
なお、上記では判定部707がマッチング処理により特徴点の動きベクトルを求める場合について説明したが、本実施形態ではこれに限定されない。例えば、判定部707は、補正開始検出部702が求めた特徴点の情報と係数算出部703が求めた補正係数に基づいて、奥行きブレ補正後の画像における特徴点の動きベクトルを算出してもよい。
【0049】
図7に、ブレ補正処理における特徴点データの例を示す。図7に示すように、現在フレームの画像f(t)での特徴点P1〜P3の座標と、1フレーム前の画像f(t−1)での特徴点P1’〜P3’の座標が求められる。例えば図6(A)に示すように、特徴点は、病変部や血管交差部等のマッチング処理に適した領域である。特徴点P1’〜P3’は、マッチング処理により特徴点P1〜P3に対応付けられている。
【0050】
補正開始検出部702は、これらの特徴点の座標を用いて動きベクトルP1−P1’〜P3−P3’を求め、この動きベクトルに基づいてブレ補正処理の開始判定を行う。開始条件を満たすと、係数算出部703は、特徴点P1〜P3による多角形の面積と特徴点P1’〜P3’による多角形の面積を求め、それらの面積から倍率Magを求める。奥行きブレ補正処理部704は、その倍率Magにより画像f(t)に対して電子ズーム処理を行う。
【0051】
判定部707は、特徴点P1〜P3の座標と倍率Magに基づいて、奥行きブレ補正後の特徴点の座標Mag・P1〜Mag・P3を算出する。判定部707は、この座標Mag・P1〜Mag・P3と特徴点P1’〜P3’の座標に基づいて、奥行きブレ補正後の動きベクトルMag・P1−P1’〜Mag・P3−P3’を算出する。そして、判定部707は、動きベクトルMag・P1−P1’〜Mag・P3−P3’に基づいて、平面ブレ補正の開始判定を行う。
【0052】
5.プログラム
なお本実施形態では、画像処理部310の各部が行う処理の一部または全部をソフトウェアで構成することとしてもよい。この場合、例えば図17等で後述するコンピュータシステムのCPUが画像処理プログラムを実行する。
【0053】
図8に、画像処理プログラムのフローチャート例を示す。図8に示すように、この処理が開始されると、時系列の画像に対して、光源との同期信号や撮影モードなどのヘッダ情報を入力する(S11)。
【0054】
次に、画像を予め確保しておいた画像バッファに入力する(S12)。次に、入力された画像に対して、例えば公知のOBクランプ処理やゲイン補正処理、WB補正処理等の処理を行う(S13)。次に、入力された時系列の画像を、光源との同期信号に従い同時化する処理を行う(S14)。次に、画像に対してブレ補正処理を行う(S15)。ブレ補正処理については、図9で詳細に後述する。次に、ブレ補正処理された画像に対して階調変換処理や色処理、輪郭強調処理等の処理を行う(S16)。次に、後処理された画像を出力する(S17)。
【0055】
次に、時系列画像のうち最終の画像の処理が終了したか否かを判定する(S18)。終了していないと判定した場合には、ステップS12へ戻り、次の画像に対してステップS12〜S17の処理を繰り返して行う(S18,No)。一方、全画像の処理が終了していると判定した場合には、この処理を終了する(S18,Yes)。
【0056】
図9に、図8のステップS15に示すブレ補正処理の詳細なフローチャート例を示す。図9に示すように、この処理が開始されると、入力された画像と、その画像より過去の画像との特徴点をマッチングし、マッチングした特徴点の動きベクトルから動き量Mv1を算出する(S21)。このとき、過去の画像として、ステップS22で使用する第1作業用画像バッファに記憶された画像を用いる。次に、入力された画像を予め確保しておいた第1作業用画像バッファにコピーする(S22)。
【0057】
次に、動き量Mv1が、予め設定された閾値ThMv1より大きいか否かの判定を行う(S23)。動き量Mv1が閾値ThMv1以上の場合は処理を終了する(S23,No)。一方、動き量Mv1が閾値ThMv1よりも小さい場合(S23,Yes)は、第1作業用バッファの画像の特徴点を含む多角形の面積と、入力された画像の特徴点を含む多角形の面積とが、同程度となるような倍率Magを算出する(S24)。次に、倍率Magを用いて拡大処理を行うことで、奥行きブレ補正処理を行う(S25)。次に、奥行きブレ補正処理を施された画像から所定の範囲をトリミングする(S26)。次に、トリミングされた画像と、その画像より過去のトリミングされた画像との特徴点をマッチングし、マッチングした特徴点の動きベクトルから動き量Mv2を算出する(S27)。このとき、過去のトリミングされた画像として、ステップS28で使用する第2作業用画像バッファに記憶された画像を用いる。次に、トリミングされた画像を予め確保しておいた第2作業用画像バッファにコピーする(S28)。
【0058】
次に、動き量Mv2が、予め設定された閾値ThMv2より大きいか否かの判定を行う(S29)。動き量Mv2が閾値ThMv2以上の場合は処理を終了する(S29,No)。一方、動き量Mv2が閾値ThMv2よりも小さい場合は、上下左右方向の平面ブレ補正処理を行う(S30)。
【0059】
このような処理を行うことで、臓器の拍動により被写体が動いている場合でも、被写体を一定の大きさで表示することが可能となるため、ドクターの負荷を軽減しながら病変部の観察性能を向上させる内視鏡装置を提供することが可能となる。
【0060】
さて上述のように、心臓の拍動による臓器の動き等によって、撮像部の奥行き方向の被写体ブレが生じ、そのブレによって観察部位の視認性が劣化するという課題がある。例えば、拡大観察時には撮像部を被写体に正対させて高倍率で観察するため、奥行き方向のブレが大きくなる。
【0061】
この点、本実施形態の内視鏡装置は、図5に示すように、画像取得部と、係数算出部703と、奥行きブレ補正処理部704を含む。画像取得部は、時系列に画像を取得する。係数算出部703は、撮像部200の光軸に沿った方向である奥行き方向のブレを補正するための補正係数Magを算出する。奥行きブレ補正処理部704は、時系列に取得された画像の奥行き方向のブレを補正係数Magに基づいて補正する処理を行う。
【0062】
これにより、動画像における奥行き方向のブレを抑制することが可能になる。すなわち、補正係数Magに基づいて画像の奥行き方向のブレを補正することで、臓器の拍動により被写体が奥行き方向に動いている場合であっても、動画像のブレを軽減して表示できる。これにより、視認性等の観察性能を向上できるため、ドクターの負荷を軽減できる。
【0063】
ここで、図4に示すように、本実施形態では同時化処理部312が画像取得部に対応する。すなわち、撮像素子206が動画像として時系列に画像を撮像し、A/D変換部207がデジタルデータに変換し、前処理部311が前処理を行う。そして、同時化処理部312が同時化処理を行うことで、動画像として時系列に画像を取得する。
【0064】
また本実施形態では、画像取得部は、第1画像と、第1画像の後の第2画像を時系列に取得する。係数算出部703は、第1画像に対する第2画像の倍率に対応する補正係数Magを算出する。奥行きブレ補正処理部704は、奥行き方向のブレにより生じる画像の倍率変化を、補正係数Magに基づいて補正することで、奥行き方向のブレ補正を行う。
【0065】
このようにすれば、補正係数Magに基づいて奥行き方向のブレを補正することが可能になる。具体的には、第1画像に対する第2画像の倍率に対応する補正係数Magを求めることで、時系列に取得された画像の倍率変化を補正係数Magに基づいて補正することができる。
【0066】
ここで、第1画像とは、例えば処理対象フレームの1フレーム前の画像であり、第2画像とは、例えば処理対象フレームの画像である。また、第1画像に対する第2画像の倍率に対応する補正係数とは、第1画像と第2画像から画像処理により求めた倍率であってもよく、後述するAFレンズ位置等の他の情報から求めた倍率であってもよい。また、倍率変化の補正とは、第2画像の倍率を補正する場合に限らない。例えば、後述するように、第2画像の後の第3画像の撮像倍率を光学ズームで補正してもよい。
【0067】
また本実施形態では、図5に示すように、奥行きブレ補正処理を開始するタイミングを検出する補正開始検出部702を含む。奥行きブレ補正処理部704は、補正開始検出部702によりタイミングが検出された場合に、奥行きブレ補正処理を開始する。
【0068】
このようにすれば、奥行きブレ補正が必要な状態となった場合に奥行き方向のブレを補正する処理を行うことができる。例えば、撮像部の光軸に沿った方向の被写体像のブレが所定の基準範囲を超えたと判定した場合に、奥行きブレ補正処理を開始させることが可能である。これにより、例えば消化管に沿って撮像部を移動させて病変部をサーチしている場合に、奥行きブレ補正処理がサーチの妨げとなることを抑制できる。
【0069】
また本実施形態では、図5に示すように、判定部707と、平面ブレ補正処理部708を含む。判定部707は、奥行きブレ補正処理後の奥行き方向のブレが、所定の基準範囲内となったか否かを判定する。平面ブレ補正処理部708は、奥行き方向のブレが所定の基準範囲内となったと判定部707により判定された場合に、撮像部200の光軸に直交する方向のブレである平面ブレを補正する処理を行う。
【0070】
このようにすれば、奥行き方向のブレが所定の基準範囲に収まっている(安定した)場合に、平面ブレを補正する処理を行うことができる。例えば、奥行きブレが十分補正されていない状態では画像の倍率変化が大きい。この場合、フレーム間のマッチング精度が悪く、平面ブレ補正の精度が劣化する。そのため、奥行きブレを判定して平面ブレを補正することで、平面ブレ補正の精度を向上できる。
【0071】
また本実施形態では、図6(A)等で上述のように、係数算出部703は、第1画像の特徴点P1’〜P3’に囲まれた領域の面積と、第1画像の特徴点P1’〜P3’に対応する第2画像の特徴点P1〜P3に囲まれた領域の面積との比に基づいて、第1画像に対する第2画像の倍率を算出し、算出した倍率を補正係数Magとする。
【0072】
このようにすれば、第1画像に対する第2画像の倍率を補正係数として求めることができる。また、その補正係数を、画像処理により算出できる。
【0073】
また本実施形態では、奥行きブレ補正処理部704は、画像のサイズを補正係数Magに基づいて拡大または縮小することで、奥行きブレ補正処理を行う。具体的には、係数算出部703は、第1画像に対する第2画像の倍率を補正係数Magとして算出する。そして、奥行きブレ補正処理部704は、第2画像のサイズを補正係数Magに基づいて拡大または縮小する。また図5に示すように、内視鏡装置は、奥行きブレ補正処理が施された画像から所定サイズの画像をトリミングするトリミング部を含む。
【0074】
このようにすれば、画像サイズの拡縮を行う電子ズームによる奥行きブレ補正を行うことができる。具体的には、補正係数として倍率を算出し、その倍率により第2画像を電子ズームすることで奥行きブレを補正できる。電子ズームを用いることで、奥行き方向のブレ補正にメカ機構が不要なため、撮像部の先端部を太くする必要がない。また、トリミングを行うことで、電子ズームにより変化した画像サイズを所定サイズで表示できる。
【0075】
また本実施形態では、補正開始検出部702は、画像における被写体の動き情報に基づいて、奥行きブレ補正処理を行うか否かを判定する。奥行きブレ補正処理部704は、補正開始検出部702により奥行きブレ補正処理を行うと判定された場合に、奥行きブレ補正処理を開始する。具体的には、補正開始検出部702は、第1画像と第2画像の被写体の動き情報に基づいて奥行き方向のブレの大きさを表す動き量Mv1を求め、その動き量Mv1が閾値ThMv1よりも大きい場合に、奥行きブレ補正処理を行うと判定する。
【0076】
例えば本実施形態では、補正開始検出部702は、マッチング処理により特徴点P1〜P3の座標を求め、その特徴点P1〜P3の動きベクトルを動き情報として求め、その動きベクトルの平均値を動き量Mv1とする。
【0077】
このようにすれば、画像処理により求めた動き情報に基づいて開始タイミングを検出できる。また、動き量Mv1と閾値ThMv1の大小判定を行うことで、奥行き方向のブレが所定の基準範囲内であるかを判定できる。
【0078】
また本実施形態では、判定部707は、奥行きブレ補正処理後の画像の動き情報に基づいて、奥行きブレ補正処理後の奥行き方向のブレが所定の基準範囲内となったか否かを判定する。具体的には、判定部707は、第1画像の特徴点P1’〜P3’と、第1画像の特徴点に対応する第2画像の特徴点P1〜P3との間の奥行きブレ補正処理後の動き情報に基づいて、奥行き方向のブレの大きさを表す動き量Mv2を求める。そして、判定部707は、動き量Mv2が閾値ThMv2よりも小さい場合に、平面ブレ補正処理を行うと判定する。
【0079】
このようにすれば、平面ブレ補正処理を開始するタイミングを、奥行きブレ補正処理後の画像の動き情報に基づいて検出できる。また、動き量Mv2と閾値ThMv2の大小判定を行うことで、奥行きブレ補正処理後の奥行き方向のブレが所定の基準範囲内であるかを判定できる。
【0080】
また本実施形態では、平面ブレ補正処理部708は、電子式ブレ補正により平面ブレを補正する処理を行う。なお電子式ブレ補正では、判定部707が算出した特徴点の動きベクトルを用いて補正を行ってもよいし、新たなマッチング処理により動きベクトルを求めて補正を行ってもよい。
【0081】
なお上記では、撮像された画像に基づいて被写体の動き情報を求める場合を例に説明したが、本実施形態ではこれに限定されない。例えば撮像部200の先端部にセンサを設け、そのセンサにより先端部の動き情報を取得し、その動き情報に基づいて奥行きブレ補正処理や平面ブレ補正処理を行ってもよい。
【0082】
6.内視鏡装置の第2の構成例
本実施形態では、撮像部がオートフォーカス処理を行い、そのオートフォーカス処理により設定されたピント位置に基づいて拡大率Magを算出してもよい。図10に、この場合の構成例として内視鏡装置の第2の構成例を示す。図10に示す内視鏡装置は、光源部100と、撮像部200と、制御装置300と、表示部400と、外部I/F部500を含む。なお、図1等で上述の第1の構成例と同一の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0083】
撮像部200には、AF用レンズ208と、AF用レンズ駆動部209が追加される。AF用レンズ208は、AF用レンズ駆動部209により光軸方向に移動する。AF用レンズ駆動部209は、制御部320の制御信号に基づいてAF用レンズ208を所定位置に移動させる。
【0084】
制御装置300では、第1の構成例に比べて、画像処理部310の詳細な構成が異なり、制御部320の制御内容がAF制御の追加に伴い変更されている。
【0085】
図11に、画像処理部310の第2の詳細な構成例を示す。画像処理部310には、AF制御部315が追加される。また、図4等で上述の構成例と比べて、ブレ補正処理部313の詳細が異なる。同時化処理部312は、ブレ補正処理部313と、AF制御部315に接続されている。AF制御部315は、ブレ補正処理部313に接続されている。また、AF制御部315は、制御部320と相互に接続されている。
【0086】
AF制御部315は、制御部320の制御によりAF制御を行う。例えば、AF制御部315は、制御部320の制御により可変絞り204が開放状態に設定された場合にAF制御を行う。具体的には、AF制御部315は、同時化処理部312から入力された画像に基づいて、コントラストAF処理を行い、制御部320を介して、AF制御信号をAF用レンズ駆動部209に転送する。コントラストAF処理は、例えば公知の処理が用いられる。以下にコントラストAF処理の概要を説明する。
【0087】
まず、レンズの初期位置p1でAF評価値A1を算出する。AF評価値とは、ここでは、例えば、ハイパスフィルタを通した画像の信号値の総和とする。次に、p1から無限遠方向または至近方向に一定量AF用レンズ208を移動した位置p2で、AF評価値A2を算出する。AF評価値A1とA2を比較し、合焦位置がどちらの方向かの判定を行う。次に、合焦位置に向かい一定量AF用レンズ208を移動し、位置p3、p4でAF評価値A3、A4を算出する。ここで、AF評価値がピークすなわち合焦位置を、通り過ぎた場合、合焦位置付近の3点と、AF評価値により合焦位置を補間演算して算出する。補間演算には、例えば直線補間等の公知の技術を用いる。補間方法は、上記に限らず、ラグランジュ補間や、スプライン補間などを用いてもよい。算出された合焦位置にAF用レンズを移動しAF処理の最初に戻る。
【0088】
次に、ブレ補正処理部313について説明する。図12に、ブレ補正処理部313の第2の詳細な構成例を示す。ブレ補正処理部313では、図5等で上述の構成例と比べて、第1記憶部701が削除される。また、補正開始検出部702と、係数算出部703の詳細が異なる。AF制御部315は、補正開始検出部702と、係数算出部703に接続されている。
【0089】
補正開始検出部702は、AF制御部315がAF制御を開始したタイミングでブレ補正を開始する。補正開始検出部702は、AF制御部315がAF制御を行っている場合は、画像を係数算出部703に転送する。補正開始検出部702は、AF制御部315がAF制御を行っていない場合は、画像を後処理部314に転送する。
【0090】
係数算出部703は、AF制御部315から入力されるAF制御信号に基づいて、奥行きブレ補正係数を算出する。具体的には、係数算出部703は、AF用レンズ208の合焦位置と、次のタイミングで合焦位置に移動したときのAF用レンズ208の位置と、に基づいて倍率Magを算出する。より具体的には係数算出部703は、AF用レンズ208の位置と焦点距離の対応を示したLUT(ルックアップテーブル)を用いて、AF用レンズ208の位置での焦点距離faと、次のタイミングで合焦位置に移動したときのAF用レンズ208の位置での焦点距離fbを求める。そして、係数算出部703は、焦点距離faと焦点距離fbの比から倍率Magを算出する。
【0091】
例えば以下に示すように、LUTではAF用レンズ208の位置と焦点距離が対応付けられている。ここで、nは自然数である。
レンズ位置:焦点距離f
x1:fx1
x2:fx2
x3:fx3
・ ・
・ ・
xn:fxn
【0092】
AF制御部315からのAFレンズ位置情報を取得し、上記のLUTを参照することで、AFレンズ位置から焦点距離fが求まる。処理対象画像を撮像したときの焦点距離をftとし、処理対象画像より1フレーム前の画像を撮像したときの焦点距離をft−1とすると、倍率Magは下式(1)により求まる。
Mag=ft−1/ft ・・・ (1)
【0093】
7.プログラムの第2の例
なお本実施形態では、図11に示す画像処理部310の各部が行う処理の一部または全部をソフトウェアで構成することとしてもよい。この場合、例えば図17等で後述するコンピュータシステムのCPUが画像処理プログラムを実行する。
【0094】
図13に、ブレ補正処理の第2のフローチャート例を示す。なお、図8で上述のフローチャートとはステップS11とS15の詳細が異なり、他のステップについては同様である。すなわち、ステップS11では、入力されるヘッダ情報にAF制御信号が追加される。ステップS15の詳細については、図13を用いて説明する。
【0095】
図13では、図9のフローチャート例に比べてステップS21〜S23が削除され、ステップS123が追加される。ステップS123では、画像のヘッダ情報から、AF制御されたタイミングで取得された画像であるか否かの判定を行い、AF制御されている時に取得された画像の場合S24へ行く。一方、AF制御されていない時に取得された画像の場合は、処理を終了する。
【0096】
上記の実施形態によれば、撮像部200は、オートフォーカス処理を行う光学系を有する。係数算出部703は、オートフォーカス処理により調整された光学系のフォーカス位置に基づいて補正係数Magを算出する。具体的には、上式(1)に示すように、係数算出部703は、第1画像を撮像したときのフォーカス位置ft−1と第2画像を撮像したときのフォーカス位置ftに基づいて第1画像に対する第2画像の倍率ft−1/ftを算出し、算出した倍率を補正係数Magとする。
【0097】
このようにすれば、オートフォーカスを用いることで、撮像系の被写界深度が浅い拡大観察の場合でも常にフォーカスが合った状態にできる。これにより、常にフォーカスの合った状態で奥行き方向のブレ補正を行うことが可能になり、ドクターの負荷を軽減し、観察性能を向上させることができる。また撮像部から被写体までの距離がフォーカス位置により分かるため、フォーカス位置の比で倍率を求めることができる。
【0098】
ここで、図10に示すように、オートフォーカス処理は、制御部320がAF用レンズ駆動部209を制御し、AF用レンズ駆動部209がAF用レンズ208を駆動することで実現される。光学系のフォーカス位置とは、被写体にピントが合った場合における撮像部から被写体までの距離であり、AF用レンズ208の位置によって決まる。AF用レンズの位置は、例えばAF用レンズ208から対物レンズ203までの距離である。上述のように、AF用レンズの位置からフォーカス位置(焦点距離f)が求められる。
【0099】
また本実施形態では、補正開始検出部702は、オートフォーカス処理の動作状態に基づいて奥行きブレ補正処理を行うか否かを判定する。例えば、撮像部200の光学系は、光学ズーム処理を行ってもよい。この場合、オートフォーカス処理は、通常観察モードでの光学ズーム倍率よりも高倍率の拡大観察モードにおいて、オン状態に設定される。補正開始検出部702は、オートフォーカス処理がオン状態に設定された場合に、奥行きブレ補正処理を行うと判定する。
【0100】
このようにすれば、オートフォーカス処理の動作状態に基づいて奥行きブレ補正の開始タイミングを検出できる。例えば、オートフォーカス処理のオン・オフや、フォーカス調整の頻度や、AF用レンズ位置の移動量などに応じて開始タイミングを検出できる。また、拡大観察モードにおいてオートフォーカス処理をオン状態に設定して開始タイミングを検出することで、ブレの大きい拡大観察時に奥行きブレ補正を行うことができる。
【0101】
8.内視鏡装置の第3の構成例
本実施形態では、撮像部が光学ズーム機能を有し、光学ズームにより奥行き方向のブレを補正してもよい。図14に、この場合の構成例として内視鏡装置の第3の構成例を示す。内視鏡装置は、光源部100と、撮像部200と、制御装置300と、表示部400と、外部I/F部500を含む。なお、図1等で上述の第1の構成例と同一の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0102】
撮像部200には、ズーム用レンズ210と、ズーム用レンズ駆動部211が追加される。ズーム用レンズ210は、ズーム用レンズ駆動部211により光軸方向に移動する。ズーム用レンズ駆動部211は、制御部320からの制御信号に基づいて、ズーム用レンズ210を所定位置に移動させる。
【0103】
制御装置300では、図1に示す第1の構成例に比べて、画像処理部310の詳細が異なり、制御部320の制御内容がズーム制御の追加に伴い変更されている。
【0104】
図15に、画像処理部310の第3の詳細な構成例示す。画像処理部310には、図4に示す構成例に比べて、ズーム制御部316が追加される。また、ブレ補正処理部313の詳細が異なる。ブレ補正処理部313は、ズーム制御部316に接続される。ズーム制御部316は、制御部320と相互に接続されている。
【0105】
ズーム制御部316は、奥行きブレ補正処理を行う際の補正係数に基づいて、光学的なズーム制御を行う。具体的には、ズーム制御部316は、ブレ補正処理部313から入力される倍率Magに基づいて、制御部320を介してズーム用レンズ駆動部211にズーム制御信号を転送する。ズーム制御部316は、倍率Magと現在の焦点距離faから、ズーム後の焦点距離fbを算出する。ズーム制御部316は、ズーム後の焦点距離fbからレンズ位置を算出する。例えばズーム制御部316は、焦点距離とレンズ位置が対応付けられたLUTを参照してレンズ位置を求め、そのレンズ位置に基づいてズーム用レンズ駆動部211を制御する。
【0106】
次に、ブレ補正処理部313について詳細に説明する。図16に、ブレ補正処理部313の第3の詳細な構成例を示す。図16に示すブレ補正処理部313では、図5に示す構成例に比べて、奥行きブレ補正処理部704、トリミング部705、第2記憶部706、判定部707が削除される。また、補正開始検出部702と、係数算出部703の詳細が異なっている。係数算出部703は、平面ブレ補正処理部708と、後処理部314、ズーム制御部316に接続されている。
【0107】
補正開始検出部702は、奥行きブレ補正(光学ズーム制御)や平面ブレ補正を行うか否かの判定を行う。補正開始検出部702は、図6(A)等で上述の手法と同様に、マッチング処理により動き量Mvを算出する。補正開始検出部702は、動き量Mvを閾値ThMv1及びThMv2と比較する(ThMv1>ThMv2)。
【0108】
補正開始検出部702は、動き量Mvが閾値ThMv2より小さい場合、制御部320を介して、平面ブレ補正を行う制御信号を係数算出部703に転送し、画像を係数算出部703に転送する。補正開始検出部702は、動き量Mvが閾値ThMv1より小さく、閾値ThMv2以上の場合、制御部320を介して、平面ブレ補正を行わない制御信号を係数算出部703に転送し、画像を係数算出部703に転送する。補正開始検出部702は、動き量Mvが閾値ThMv1以上の場合、画像を後処理部314に転送する。
【0109】
係数算出部703は、算出した倍率Magをズーム制御部316に転送する。また、制御部320から入力された制御信号が平面ブレ補正を行う場合は、画像を平面ブレ補正処理部708に転送する。一方、係数算出部703は、制御部320から入力された制御信号が平面ブレ補正を行わない場合は、画像を後処理部314に転送する。
【0110】
上記の実施形態によれば、撮像部200は、光学ズーム処理を行う光学系を有する。奥行きブレ補正処理部704は、光学系の光学ズーム倍率を補正係数Magに基づいて調整することで、奥行きブレ補正処理を行う。例えば本実施形態では、第1画像〜第3画像を時系列に取得し、第1画像に対する第2画像の倍率を補正係数とし、第2画像の後の第3画像を撮像する際に、その補正係数の逆数の倍率だけ光学ズーム倍率を変化させる制御を行う。
【0111】
このようにすれば、光学ズームを用いることで画質劣化のない奥行きブレ補正を行うことができ、ドクターの負荷を軽減し、観察性能を向上させることができる。また、心臓の拍動は1回/秒程度であり、一般的な撮像のフレームレート(例えば30フレーム/秒)よりも遅い。そのため、光学ズームでは1フレーム遅れて補正がされるが、奥行き方向のブレを十分抑制することが可能である。
【0112】
なお上記の実施形態では、撮像素子206がモノクロ単板撮像素子である場合を例に説明したが、本実施形態ではこれに限定されず、例えば撮像素子206が原色ベイヤ配列フィルタの撮像素子や補色フィルタの撮像素子であってもよい。この場合、光源部の回転色フィルタ104や、回転駆動部105は不要である。また、画像処理部310の同時化処理部312は、補間処理(デモザイキング処理)を行う。この補間処理は、例えば公知の線形補間等により実現可能である。
【0113】
また上記の実施形態では、AF機能または光学ズーム機能を有する場合を例に説明したが、本実施形態ではAF機能と光学ズーム機能の両方を有してもよい。
【0114】
9.コンピュータシステム
上記の本実施形態では、画像処理部310を構成する各部をハードウェアで構成することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、カプセル内視鏡などの撮像装置を用いて予め取得された画像に対して、CPUが各部の処理を行う構成とし、CPUがプログラムを実行することによってソフトウェアとして実現することとしてもよい。あるいは、各部が行う処理の一部をソフトウェアで構成することとしてもよい。予め取得された画像とは、例えば、A/D変換部207が出力するベイヤ配列の出力画像を、RAWファイルとして記録媒体に記録した画像である。
【0115】
撮像部を別体とし、画像処理部310の各部が行う処理をソフトウェアとして実現する場合には、ワークステーションやパソコン等の公知のコンピュータシステムを画像処理装置として用いることができる。そして、画像処理部310の各部が行う処理を実現するためのプログラム(画像処理プログラム)を予め用意し、この画像処理プログラムをコンピュータシステムのCPUが実行することによって実現できる。
【0116】
図17は、本変形例におけるコンピュータシステム600の構成を示すシステム構成図であり、図18は、このコンピュータシステム600における本体部610の構成を示すブロック図である。図17に示すように、コンピュータシステム600は、本体部610と、本体部610からの指示によって表示画面621に画像等の情報を表示するためのディスプレイ620と、このコンピュータシステム600に種々の情報を入力するためのキーボード630と、ディスプレイ620の表示画面621上の任意の位置を指定するためのマウス640とを備える。
【0117】
また、このコンピュータシステム600における本体部610は、図18に示すように、CPU611と、RAM612と、ROM613と、ハードディスクドライブ(HDD)614と、CD−ROM660を受け入れるCD−ROMドライブ615と、USBメモリ670を着脱可能に接続するUSBポート616と、ディスプレイ620、キーボード630およびマウス640を接続するI/Oインターフェース617と、ローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワーク(LAN/WAN)N1に接続するためのLANインターフェース618を備える。
【0118】
さらに、このコンピュータシステム600には、インターネット等の公衆回線N3に接続するためのモデム650が接続されるとともに、LANインターフェース618およびローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワークN1を介して、他のコンピュータシステムであるパソコン(PC)681、サーバ682、プリンタ683等が接続される。
【0119】
そして、このコンピュータシステム600は、所定の記録媒体に記録された画像処理プログラム(例えば図8、図9、図13)を参照して、後述する処理手順を実現するための画像処理プログラムを読み出して実行することで画像処理装置を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、CD−ROM660やUSBメモリ670の他、MOディスクやDVDディスク、フレキシブルディスク(FD)、光磁気ディスク、ICカード等を含む「可搬用の物理媒体」、コンピュータシステム600の内外に備えられるHDD614やRAM612、ROM613等の「固定用の物理媒体」、モデム650を介して接続される公衆回線N3や、他のコンピュータシステム(PC)681またはサーバ682が接続されるローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワークN1等のように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを記憶する「通信媒体」等、コンピュータシステム600によって読み取り可能な画像処理プログラムを記録するあらゆる記録媒体を含む。
【0120】
すなわち、画像処理プログラムは、「可搬用の物理媒体」「固定用の物理媒体」「通信媒体」等の記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録されるものであり、コンピュータシステム600は、このような記録媒体から画像処理プログラムを読み出して実行することで画像処理装置を実現する。なお、画像処理プログラムは、コンピュータシステム600によって実行されることに限定されるものではなく、他のコンピュータシステム(PC)681またはサーバ682が画像処理プログラムを実行する場合や、これらが協働して画像処理プログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0121】
これにより、例えばカプセル型内視鏡などのように、まず画像データを蓄積し、その後、蓄積された画像データに対してPC等のコンピュータシステムでソフトウェア的に処理を行うことが可能になる。
【0122】
また本実施形態は、本実施形態の各部(前処理部、同時化処理部、ブレ補正処理部、後処理部等)を実現するプログラムコードが記録されたコンピュータプログラムプロダクトにも適用できる。
【0123】
ここで、プログラムコードとは、時系列に取得された画像を取得する画像取得部と、撮像部の光軸に沿った方向である奥行き方向のブレを補正するための補正係数を算出する係数算出部と、前記補正係数に基づいて、前記画像の前記奥行き方向のブレを補正する処理を行う奥行きブレ補正処理部と、を実現する。
【0124】
またコンピュータプログラムプロダクトは、例えば、プログラムコードが記録された情報記憶媒体(DVD等の光ディスク媒体、ハードディスク媒体、メモリ媒体等)、プログラムコードが記録されたコンピュータ、プログラムコードが記録されたインターネットシステム(例えば、サーバとクライアント端末を含むシステム)など、プログラムコードが組み込まれた情報記憶媒体、装置、機器或いはシステム等である。この場合に、本実施形態の各構成要素や各処理プロセスは各モジュールにより実装され、これらの実装されたモジュールにより構成されるプログラムコードは、コンピュータプログラムプロダクトに記録される。
【0125】
以上、本発明を適用した実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は、各実施形態やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、各実施形態や変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態や変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
【0126】
また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(画像、内視鏡システム、奥行き方向等)と共に記載された用語(画像信号、内視鏡装置、光軸方向等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0127】
100 光源部、101 白色光源、103 光源絞り駆動部、
104 回転色フィルタ、105 回転駆動部、106 集光レンズ、200 撮像部、
201 ライトガイドファイバ、202 照明レンズ、203 対物レンズ、
204 可変絞り、205 対物絞り駆動部、206 撮像素子、
207 A/D変換部、208 AF用レンズ、209 AF用レンズ駆動部、
210 ズーム用レンズ、211 ズーム用レンズ駆動部、300 制御装置、
310 画像処理部、311 前処理部、312 同時化処理部、
313 ブレ補正処理部、314 後処理部、315 AF制御部、
316 ズーム制御部、320 制御部、400 表示部、500 外部I/F部、
600 コンピュータシステム、601〜603 色フィルタ、610 本体部、
611 CPU、612 RAM、613 ROM、614 HDD、
615 CD−ROMドライブ、616 USBポート、
617 I/Oインターフェース、618 LANインターフェース、
620 ディスプレイ、621 表示画面、630 キーボード、640 マウス、
650 モデム、660 CD−ROM、670 USBメモリ、681 PC、
682 サーバ、683 プリンタ、701 第1記憶部、702 補正開始検出部、
703 係数算出部、704 奥行きブレ補正処理部、705 トリミング部、
706 第2記憶部、707 判定部、708 平面ブレ補正処理部、
803 回転モータ、
ft フォーカス位置、Mag 補正係数、Mv1,Mv2 動き量、
N1 広域エリアネットワーク、N3 公衆回線、P1〜P3 特徴点、
ThMv1 閾値、ThMv2 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列に画像を取得する画像取得部と、
撮像部の光軸に沿った方向である奥行き方向のブレを補正するための補正係数を算出する係数算出部と、
前記補正係数に基づいて、時系列に取得された前記画像の前記奥行き方向のブレを補正する処理を行う奥行きブレ補正処理部と、
を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記画像取得部は、
第1画像と、前記第1画像の後の第2画像を時系列に取得し、
前記係数算出部は、
前記第1画像に対する前記第2画像の倍率に対応する前記補正係数を算出し、
前記奥行きブレ補正処理部は、
前記奥行き方向のブレにより生じる前記画像の倍率変化を、前記補正係数に基づいて補正することで、前記奥行き方向のブレ補正を行うことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記奥行きブレ補正処理を開始するタイミングを検出する補正開始検出部を含み、
前記奥行きブレ補正処理部は、
前記補正開始検出部により前記タイミングが検出された場合に、前記奥行きブレ補正処理を開始することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記奥行きブレ補正処理後の前記奥行き方向のブレが、所定の基準範囲内となったか否かを判定する判定部と、
前記奥行き方向のブレが前記所定の基準範囲内となったと前記判定部により判定された場合に、前記光軸に直交する方向のブレである平面ブレを補正する処理を行う平面ブレ補正処理部と、
を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記画像取得部は、
第1画像と、前記第1画像の後の第2画像を時系列に取得し、
前記係数算出部は、
前記第1画像の特徴点に囲まれた領域の面積と、前記第1画像の特徴点に対応する前記第2画像の特徴点に囲まれた領域の面積との比に基づいて、前記第1画像に対する前記第2画像の倍率を算出し、算出した前記倍率を前記補正係数とすることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記撮像部は、
オートフォーカス処理を行うための光学系を有し、
前記係数算出部は、
前記オートフォーカス処理により調整された前記光学系のフォーカス位置に基づいて、前記補正係数を算出することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記画像取得部は、
第1画像と、前記第1画像の後の第2画像を時系列に取得し、
前記係数算出部は、
前記第1画像を撮像したときの前記フォーカス位置と前記第2画像を撮像したときの前記フォーカス位置に基づいて、前記第1画像に対する前記第2画像の倍率を算出し、算出した前記倍率を前記補正係数とすることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記奥行きブレ補正処理部は、
前記画像のサイズを前記補正係数に基づいて拡大または縮小することで、前記奥行きブレ補正処理を行うことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記画像取得部は、
第1画像と、前記第1画像の後の第2画像を時系列に取得し、
前記係数算出部は、
前記第1画像に対する前記第2画像の倍率を前記補正係数として算出し、
前記奥行きブレ補正処理部は、
前記第2画像のサイズを前記補正係数に基づいて拡大または縮小することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項10】
請求項8において、
前記奥行きブレ補正処理が施された画像から所定サイズの画像をトリミングするトリミング部を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項11】
請求項1において、
前記撮像部は、
光学ズーム処理を行うための光学系を有し、
前記奥行きブレ補正処理部は、
前記光学系の光学ズーム倍率を前記補正係数に基づいて調整することで、前記奥行きブレ補正処理を行うことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項12】
請求項1において、
前記奥行きブレ補正処理を開始するタイミングを検出する補正開始検出部を含み、
前記補正開始検出部は、
前記画像における被写体の動き情報に基づいて、前記奥行きブレ補正処理を行うか否かを判定し、
前記奥行きブレ補正処理部は、
前記補正開始検出部により前記奥行きブレ補正処理を行うと判定された場合に、前記奥行きブレ補正処理を開始することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記画像取得部は、
第1画像と、前記第1画像の後の第2画像を時系列に取得し、
前記補正開始検出部は、
前記第1画像と前記第2画像の被写体の前記動き情報に基づいて、前記奥行き方向のブレの大きさを表す動き量を求め、
前記補正開始検出部は、
前記動き量が閾値よりも大きい場合に、前記奥行きブレ補正処理を行うと判定することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項14】
請求項1において、
前記奥行きブレ補正処理を開始するタイミングを検出する補正開始検出部を含み、
前記撮像部は、
オートフォーカス処理を行うための光学系を有し、
前記補正開始検出部は、
前記オートフォーカス処理の動作状態に基づいて、前記奥行きブレ補正処理を行うか否かを判定することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記光学系は、
光学ズーム処理を行い、
前記光学系が行う前記オートフォーカス処理は、
通常観察モードでの光学ズーム倍率よりも高倍率の拡大観察モードにおいて、オン状態に設定され、
前記補正開始検出部は、
前記オートフォーカス処理が前記オン状態に設定された場合に、前記奥行きブレ補正処理を行うと判定することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項16】
請求項1において、
前記奥行きブレ補正処理を開始するタイミングを検出する補正開始検出部を含み、
前記補正開始検出部は、
外部入力に基づいて、前記奥行きブレ補正処理を行うか否かを判定することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項17】
請求項1において、
前記奥行きブレ補正処理後の前記画像の動き情報に基づいて、前記奥行きブレ補正処理後の前記奥行き方向のブレが所定の基準範囲内となったか否かを判定する判定部と、
前記奥行き方向のブレが前記所定の基準範囲内となったと前記判定部により判定された場合に、前記光軸に直交する方向のブレである平面ブレを補正する処理を行う平面ブレ補正処理部と、
を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項18】
請求項17において、
前記画像取得部は、
第1画像と、前記第1画像の後の第2画像を時系列に取得し、
前記判定部は、
前記第1画像の特徴点と、前記第1画像の特徴点に対応する前記第2画像の特徴点との間の前記奥行きブレ補正処理後の動き情報に基づいて、前記奥行き方向のブレの大きさを表す動き量を求め、
前記判定部は、
前記動き量が閾値よりも小さい場合に、前記平面ブレ補正処理を行うと判定することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項19】
請求項17において、
前記平面ブレ補正処理部は
電子式ブレ補正により前記平面ブレを補正する処理を行うことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項20】
時系列に画像を取得する画像取得部と、
撮像部の光軸に沿った方向である奥行き方向のブレを補正するための補正係数を算出する係数算出部と、
前記補正係数に基づいて、時系列に取得された前記画像の前記奥行き方向のブレを補正する処理を行う奥行きブレ補正処理部として、
コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−100909(P2012−100909A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252555(P2010−252555)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】