説明

内視鏡装置

【課題】画面上に患部を表示させた状態で、その患部に対して処置具を用いて処置を行う際、患部が表示されている画面上から処置部の画像が画面外に外れることを防止した内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】内視鏡装置3は対物光学系を備え所定の観察範囲を有する内視鏡2と、湾曲部14を備え把持部31を有する把持鉗子30が挿通される処置具チャンネル11aを有する挿入部11、及び湾曲部14を湾曲動作させる湾曲操作部18を備える挿入具4と、湾曲操作部18によって把持部31を移動させるとき、先端部13の位置を検出する位置検出回路7hと、先端部13が観察範囲内に設定された表示画面7kを構成する第1の領域43、又は第2の領域45のいずれに位置するかを判別する判別回路7iと、先端部13の位置する領域を告知するランプ7mとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡と、処置具が挿入配置される湾曲機能付きの挿入部を備えた挿入具とを具備する内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、体腔内臓器などを観察したり、必要に応じて処置具挿通用チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種治療処置の行える医療用の内視鏡が広く利用されている。また、内視鏡による観察のもと、軟性の導入ガイドチューブを通じて体腔内に処置具を導入して、治療等を行う内視鏡治療装置が知られている。さらに近年においては、ロボット鉗子、あるいはマニピュレータを使用するものに発展している。
【0003】
例えば、特開2004−180781号公報には、消化管を進入路することが可能で、しかも開腹手術と同程度の自由度を持って手術作業のできることを目的とした内視鏡手術ロボットが示されている。この内視鏡手術ロボットは、内視鏡と、この内視鏡に平行して設けられた術者の両腕に対応するマニピュレータとを備えている。鉗子アームの鉗子部、及びアーム部は内視鏡に設けられている先端レンズの前方側に突出している。
【0004】
また、特開2000−33071号公報の内視鏡治療装置には導入ガイドチューブ(本発明の挿入具に対応)の先端付近に湾曲部を設け、手元側操作部によって湾曲部を湾曲動作可能にした湾曲機能付きの導入ガイドチューブが提案されている。この内視鏡治療装置では内視鏡観察下で、1つ以上の湾曲機能付きの導入ガイドチューブを通じて処置具を体腔内に導き、導入ガイドチューブの湾曲部を湾曲動作させて処置具を操作することによって各種治療が行える。
【0005】
さらに、特開平8−164148号公報にはコンパクトな構成で使い易く、容易にセットアップが可能であり、安価なシステム構成を目的とした内視鏡下手術装置が示されている。この内視鏡下手術装置では、内視鏡の視野で患部を見ながらアーム状の処置具の先端に設けられている例えば鉗子部で処置を行っているときに画像中の処置部の位置が変わらないように、内視鏡画像を制御する構成になっている。言い換えれば、表示画面に表示される内視鏡画像においては、移動する処置部が常に表示画面上の設定された位置に表示され、該処置部の周辺の画像は処置部の移動に追従して変化する。
【特許文献1】特開2004−180781号公報
【特許文献2】特開2000−33071号公報
【特許文献3】特開平8−164148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の内視鏡手術ロボットでは、両手を使用して鉗子アームを操作しているとき、先端レンズの前方側に突出している鉗子部、或いはアーム部によって視野が遮られるおそれがある。そして、視野が遮られることによって、処置部位が見え難くなり、処置をスムーズに行えなくなるという不具合が生じる。
【0007】
また、特許文献2の内視鏡治療装置では、表示装置の画面上に表示されている内視鏡画像を観察している状態において導入ガイドチューブの湾曲部を湾曲させて処置具を操作したとき、湾曲部の湾曲操作量が大きすぎると、画面上から処置具が消えてしまうという不都合が生じる。
【0008】
さらに、特許文献3の内視鏡下手術装置では、術者が鉗子部を移動させたとき、表示装置の画面に表示される内視鏡画像は鉗子部を追尾した画像になる。このため、術者が患部の観察を継続して行いたい場合であっても、鉗子部の移動に伴って表示されていた患部の画像が移動する。このため、患部の観察を継続して行うことが困難になる。そして、鉗子部の移動量が大きな場合には、患部の画像が移動されて画面上から消えてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、画面上に患部を表示させた状態で、その患部に対して処置具を用いて処置を行う際、患部が表示されている画面上から処置部の画像が画面の外に外れてしまうことを防止した内視鏡装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の内視鏡装置は、対物光学系を備え、所定の観察範囲を有する観察手段と、 体腔内の組織を処置する処置部を前記観察手段の観察範囲に対して移動させる移動手段を備える処置手段と、前記移動手段によって移動される前記処置部の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記観察手段の観察範囲内に設定された第1の領域、又は前記第1の領域の周囲に設定された第2の領域のいずれに前記処置部が位置することを判別する判別手段と、前記判別手段の判別結果に基づいて、前記処置部の位置する領域を告知する告知手段とを具備している。
【0011】
この構成によれば、表示装置の画面上に表示された対物光学系でとらえた患部の画像を観察中に、術者が処置具の移動手段を操作したとき、処置部が移動される。このとき、処置部の移動に追従して患部の画像が変化することなく、処置部移動位置が位置検出手段によって検出される。そして、位置検出手段の検出結果を基に、判別手段において処置部が第1の領域内に位置しているか、第2の領域内に位置しているかが判別される。その後、その判別結果に基づいて、告知手段を介して術者に処置部が第1の領域内に位置するか、第2の領域内に位置するかが告知される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画面上に患部を表示させた状態で、その患部に対して処置具を用いて処置を行う際、患部が表示されている画面上から処置部の画像が画面の外に外れてしまうことを防止した内視鏡装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図14は本発明の第1実施形態に係り、図1は挿入具を説明する図、図2は挿入具の挿入具挿入部の構成を説明する断面図、図3は挿入具挿入部の先端部の構成を説明する図、図4は挿入具と内視鏡とを備えた内視鏡装置の一構成例を説明する図、図5は撮像素子の撮像面と表示画面との関係を説明する図、図6は挿入具挿入部の先端部が表示画面上に表示された内視鏡画像を示す図、図7は指標を介して処置部を監視する位置検出回路、及び判別回路の作用を説明する図、図8は挿入具挿入部の先端部に設けられた指標を特定する作業例を説明する模式図、図9は内視鏡装置を構成する内視鏡、及び挿入具を介して把持鉗子を胃内に導入した状態を説明する図、図10は挿入具挿入部の先端部に設けられた指標が表示画面の第2領域に表示されている状態を説明する図、図11は挿入具挿入部の先端部に設けられた指標が表示画面の第1領域に表示されている状態と、表示画面から外れて撮像面の非表示範囲内に存在する状態を説明するための図、図12は挿入具挿入部の先端部に設けられた指標が表示画面の第1領域から枠部分を通過して表示画面から外れたとき、その通過地点を告知する通過点告知目印を説明する図、図13は指標の他の構成を説明する図、図14は指標の別の構成を説明する図である。
【0014】
図1に示すように処置手段である挿入具1は、体腔内に挿入される挿入部である細長な挿入具挿入部11と、把持部を兼ねる操作部12とを備えている。挿入具挿入部11は、後述する図4に示す内視鏡2の内視鏡挿入部4とともに体腔内に導入される。
【0015】
挿入具挿入部11は、先端側から順に、先端部13、湾曲部14、及び可撓管部15を連設して構成されている。可撓管部15は長尺で可撓性を有する。先端部13の先端面には処置具である例えば把持鉗子30等が導出される処置具開口13aが設けられている。
【0016】
本実施形態の湾曲部14は例えば複数の湾曲部、具体的には第1湾曲部16、及び第2湾曲部17、を有して構成されている。第1湾曲部16は挿入具挿入部11の先端側に設けられ、第2湾曲部17は第1湾曲部16の基端部に対してツナギ部材(不図示)を介して連設されている。
【0017】
第1湾曲部16は複数の湾曲駒(図2の符号24参照)を連接して例えば矢印aに示す上下方向、及び矢印bに示す左右方向に対して湾曲自在に構成されている。一方、第2湾曲部17は複数の湾曲駒を連接して例えば上下方向に対して湾曲自在に構成されている。なお、挿入具1の挿入具挿入部11に設けられる湾曲部14は複数に限定されるものではなく、1つであってもよい。
【0018】
操作部12には主湾曲操作部18と副湾曲操作部19とが設けられている。副湾曲操作部19は主湾曲操作部18より基端側に設けられている。
主湾曲操作部18には、移動手段である第1湾曲部上下操作用ノブ(以下、第1湾曲上下ノブと略記する)18a及び、第1湾曲部左右操作用ノブ(以下、第1湾曲左右ノブと略記する)18bと、第1湾曲部上下方向固定レバー(以下、固定レバーと略記する(不図示))及び、第1湾曲部左右方向固定ツマミ(以下、固定ツマミと略記する)18dとが設けられている。また、処置具の動作状態を遠隔操作するための例えば操作釦20a、20b等とが備えられている。例えば処置具が焼灼装置の場合、操作釦20aは切開/凝固動作スイッチとして使用され、操作釦20bは切開状態と凝固状態とを切り替えるモード切替スイッチとして使用される。
【0019】
第1湾曲上下ノブ18aは第1湾曲部16を上下方向に湾曲操作するためのノブである。第1湾曲左右ノブ18bは第1湾曲部16を左右方向に湾曲操作するためのノブである。固定レバーは回動自在である第1湾曲上下ノブ18aを所望の回動位置に固定して、第1湾曲部16の上下方向湾曲状態を保持するレバーである。第1固定ツマミ18dは、回動自在である第1湾曲左右ノブ18bを所望の回動位置に固定して、第1湾曲部16の左右方向湾曲状態を保持するツマミである。
【0020】
なお、符号21は処置具挿入口であり、処置具である例えば把持鉗子30等が挿入される。処置具挿入口21は、挿入具挿入部11を構成する先端部13に設けられている処置具開口13aに処置具挿通用チャンネルチューブ(後述する図2の符号22参照)を介して連通している。把持鉗子30は先端側に処置部である開閉自在な把持部31を備え、手元側に設けられた、術者の手指が配置されるスライダ32を進退操作することによって把持部31が開閉動作するようになっている。
【0021】
一方、副湾曲操作部19には移動手段である第2湾曲部上下操作用レバー(以下、第2湾曲上下レバーと略記する)19aと、第2湾曲部上下方向固定ツマミ(以下、第2固定ツマミと略記する(不図示))とが設けられている。第2湾曲上下レバー19aは第2湾曲部17を上下方向に湾曲操作するためのレバーである。第2固定ツマミは、回動自在である第2湾曲上下レバー19aを所望の回動位置に固定して、第2湾曲部17の上下方向湾曲状態を保持するレバーである。
図2に示すように挿入具1を構成する挿入具挿入部11の略中央部には長手軸方向に沿って処置具である把持鉗子30等が挿通される処置具チャンネル11aが備えられている。先端部13には処置具チャンネル11aを構成する貫通孔13bが形成されている。つまり、この挿入具1においては湾曲機構を操作するための部材の他に、処置具を挿通するための処置具チャンネル11aが内蔵物として設けられている。
【0022】
具体的に、処置具チャンネル11aは、先端部13に設けられた貫通孔13bと、この貫通孔13b、及び処置具挿入口21に連通配置される処置具挿通用チャンネルチューブ(以下、処置具チューブと略記する)22とによって主に構成されている。処置具チューブ22の先端部は金属製の先端側連結管23を介して貫通孔13bに連通され、基端部は金属製の基端側連結管(不図示)を介して処置具挿入口21に連通されている。このことによって、処置具挿入口21から挿入された処置具は、処置具チューブ22内を挿通して先端部13に設けられた処置具開口13aから導出される。
【0023】
挿入具挿入部11に設けられた第1湾曲部16、及び第2湾曲部17を備える湾曲部14には網管25、及び湾曲ゴム26が被覆配置されている。網管25は、例えば第1湾曲部16、及び第2湾曲部17を一体的に被覆し、湾曲ゴム26は該網管25をさらに被覆している。
【0024】
そして、本実施形態の挿入具1においては、図3に示すように挿入具挿入部11を構成する先端部13に指標27が設けられている。指標27は、例えば白色の円形形状であり、後述する位置検出手段によって検出される。指標27は、先端部13の周方向に対して等間隔で例えば2つ設けられている。なお、指標27は先端部13の外表面に、例えば生体適合性を有する蛍光塗料を含む塗料によって描かれている。
【0025】
図4に示すように前述のように構成された挿入具1は、内視鏡2と組み合わせて内視鏡装置3として構成される。
挿入具1の挿入具挿入部11は、例えば内視鏡2の内視鏡挿入部4に沿わせて並設されている外付けチューブ5を介して、内視鏡挿入部4に一体的に設けられるようになっている。
【0026】
内視鏡2の内視鏡挿入部4は、先端側から順に先端部4a、湾曲部4b、及び可撓管部4cとを連設して構成されている。先端部4aの先端面には観察窓4d、照明窓4e、及び処置具開口4f等が設けられている。湾曲部4bは内視鏡挿入部4の基端側に設けられた内視鏡操作部6の湾曲ノブ(不図示)を操作することによって、例えば上下左右方向に湾曲動作されるようになっている。符号6aは処置具挿通チャンネルの処置具挿入口である。処置具挿入口6aと処置具開口4fとは図示しない処置具挿通用チャンネルチューブを介して連通されている。したがって、処置具挿入口6aから処置具を挿入することによって、処置具開口4fから処置具を導出させることができるようになっている。
【0027】
外付けチューブ5は、連結固定部5aと、チャンネルチューブ(以下、チューブ体と略記する)5bとで構成されている。チューブ対5bは軟性チューブ体である。連結固定部5aには内視鏡挿入部4が挿通される第1挿入孔5cと、挿入具1の挿入具挿入部11や他の処置具等が挿通される第2挿入孔5dとが設けられている。チューブ体5bの一端部は第2挿入孔5dに連通するように固設されている。連結固定部5aは、可撓管部15の先端側部に配置される。チューブ体5bと内視鏡挿入部4の可撓管部4cとは例えば所定間隔に設けたテープ部材8によって内視鏡挿入部4に並設されるようになっている。
【0028】
挿入具挿入部11は、チューブ体5bの基端開口5eから挿通されるようになっている。チューブ体5bの所定位置まで挿入具挿入部11を挿通させることによって、内視鏡2の内視鏡挿入部4に対して挿入具1が組み付けられた状態の内視鏡装置3が構成される。本実施形態においては、挿入具挿入部11に設けられている第2湾曲部17が第2挿入孔5dの先端側から突出した状態にされる。
【0029】
このことによって、内視鏡操作部6の図示しない湾曲ノブを操作することによって、内視鏡挿入部4に設けられている湾曲部4bを湾曲動作させて先端部4aを所望の位置に移動させられる。一方、挿入具1の操作部12に設けられている第1湾曲上下ノブ18a、第1湾曲左右ノブ18bを操作することによって挿入具挿入部11に設けられている第1湾曲部16が湾曲される。また、第2湾曲上下レバー19aを操作することによって挿入具挿入部11に設けられている第2湾曲部17を湾曲される。つまり、第1湾曲上下ノブ18a、第1湾曲左右ノブ18b、及び第2湾曲上下レバー19aを適宜操作することによって挿入具挿入部11の先端部13を所望の位置に移動させられるようになっている。
【0030】
内視鏡2には光源装置7a、ビデオプロセッサ7b、表示手段であるモニタ7c、内視鏡画像の記録を行うVTRデッキ7dやビデオディスク7eと、観察画像のプリントアウトを行うビデオプリンタ7f等の各種外部装置が備えられている。
【0031】
内視鏡2の操作部6の側部からは、端部に内視鏡コネクタ6bを備えたユニバーサルコード6cが延出している。内視鏡コネクタ6bは光源装置7aと着脱自在に接続される。内視鏡コネクタ6bには第1コネクタ9aを介して電気ケーブル9が着脱自在に接続される。電気ケーブル9の他端部にはビデオプロセッサ7bに着脱自在に接続される第2コネクタ9bが設けられている。ビデオプロセッサ7bからは複数の信号ケーブル10a、10b、10c、10dが延出されており、それぞれモニタ7c、VTRデッキ7d、ビデオディスク7e、ビデオプリンタ7fに接続されている。
【0032】
光源装置7aは内視鏡2へ照明光を供給する。ビデオプロセッサ7bは内視鏡2の先端部4aに備えられた観察手段である撮像素子4gの制御、及びこの撮像素子から出力される電気信号の処理を行う。そして、照明光によって照射された観察部位の像は、先端部4aに内蔵されている撮像素子4gの撮像領域である撮像面に結像して電気信号に変換された後、ビデオプロセッサ7bに伝送される。ビデオプロセッサ7bに伝送された電気信号は、該ビデオプロセッサ7bでビデオ信号に変換され、内視鏡画像としてモニタ7cの画面7k上に表示される。符号7mは告知手段の一例としてのランプである。ランプ7mは表示画面7k近傍に設けられている。
【0033】
ビデオプロセッサ7bには撮像素子から伝送される電気信号から映像信号を生成する等の信号処理を行う信号処理部7gが設けられている。信号処理部7gには位置検出手段である位置検出回路7hと、判別手段である判別回路7iとが設けられている。位置検出回路7hは、撮像素子4gで撮像されたフレームデーター毎に、挿入具挿入部11を構成する先端部13に設けられている指標27が、撮像面のどの位置に位置しているか否かを例えばマッチング演算によって検出する。
【0034】
図5に示すように撮像素子4gの観察範囲である撮像面40は、中央に設けられた観察画像表示範囲41と、該観察画像表示範囲41の外側に設けられた非表示範囲42とに区分けされている。観察画像表示範囲41はモニタ7cの表示画面7kに対応している。したがって、観察画像表示範囲41に結像された光学像は、図において例えば四隅を除いて表示画面7k上に内視鏡画像として表示される。
【0035】
これに対して、非表示範囲42は観察画像表示範囲41の外側に設けられ斜線で示す範囲であり、モニタ7cの表示画面7kより外側に対応する。したがって、非表示範囲42に結像された光学像は、指標27の位置を検出するための非観察画像として処理され、表示画面7k上に内視鏡画像として表示されることはない。
【0036】
また、観察画像表示範囲41は例えば、破線に示す処置作業領域44と、告知領域46とに分割されている。処置作業領域44は表示画面7k上の破線に示す第1の領域43に対応し、告知領域46は表示画面7k上の第1の領域43の外側に設けられた第2の領域45に対応する。
【0037】
なお、図において第1の領域43は、表示画面7kの枠部分47からそれぞれ所定量ずつ、内側に位置する例えば四角形状で設定される。このため、撮像面40上において処置作業領域44は、観察画像表示範囲41の境界線41aよりそれぞれ所定画素分だけ内側に位置するように設定される。
【0038】
これに対して、第2領域45は第1の領域43の周囲に所定形状で適宜設定される。本図において第2の領域45は、表示画面7kの枠部分47内であって、かつ第1の領域43より外側部分の全体である。このため、撮像面40上において告知領域46は、観察画像表示範囲41の内側であって、処置作業領域44より外側の全範囲として設定される。しかし、第2の領域45Aを着色部で示すように第1の領域43の外側に適宜、設定するようにしてもよい。この場合、撮像面40上に着色部で示すように第2の領域45Aに対応する告知領域46Aを設定する。
【0039】
判別回路7iは位置検出回路7hによって特定された位置情報に基づいて、指標27が撮像素子4gの観察画像表示範囲41に設けられた第1の領域43内に位置しているか、或いは観察画像表示範囲41に設けられた第2の領域45内に位置しているか、或いは非表示範囲42に位置しているか、或いは撮像素子4gの撮像面40内に位置していない状態であるかを判定する。そして、その判定結果に基づいて、ランプ7mに向けて所定の指示信号を出力する。そして、告知手段であるランプ7mは判別回路7iから出力された指示信号に基づいて、所定の点灯状態、或いは点滅状態になる。
【0040】
例えば、判別回路7iは、該判別回路7iで指標27が撮像面40の処置作業領域44内に位置していると判別したとき、ランプ7mに所定の指示信号を出力して該ランプ7mを例えば緑色に点灯させる。このとき、指標27は表示画面7kの第1の領域43内に表示される。
【0041】
また、判別回路7iは、該判別回路7iで指標27が撮像面40の告知領域46に位置していると判別したとき、所定の指示信号を出力してランプ7mを例えば橙色で点滅させる。このとき、指標27は表示画面7kの第2の領域45内に表示される。そして、判別回路7iは、該判別回路7iで指標27が観察画像表示範囲41の境界線41aに対して近接した状態であると判別したとき、その点滅速度を例えば高速にする指示信号を出力する。
【0042】
また、判別回路7iは、該判別回路7iで指標27が撮像面40の非表示範囲42に位置していると判別したとき、所定の指示信号を出力してランプ7mを例えば赤色で点滅させる。そして、判別回路7iは、該判別回路7iで指標27が観察画像表示範囲41の境界線41aから所定画素分離れたと判別したとき、言い換えれば撮像面40の端に所定画素分近づいたと判別したとき、その点滅速度を例えば段階的に高速に変化させるし自信号を出力する。
【0043】
また、判別回路7iは、該判別回路7iで指標27が撮像面40の撮像面40内に位置していない状態であると判別したとき、所定の指示信号を出力してランプ7mを例えば赤色で点灯させる。
【0044】
なお、本実施形態においては告知手段をランプ7mとしているが、告知手段はモニタ7cの近傍に設けられたランプ7mに限定されるものではない。すなわち、外部装置としてのブザーや、内視鏡2の例えば操作部6に取り付け可能で所定の振動を発生させる振動発生装置等であってもよい。また、表示画面7k上に指標の位置を告知する文字、或いは絵等を表示させるようにしてもよい。さらに、表示画面とランプ、或いはブザー等とを組み合せて告知手段を構成するようにしてもよい。
【0045】
図6に示すように挿入具1の挿入具挿入部11を介して例えば胃内に把持鉗子30を導入して処置部である把持部31を操作するとき、ビデオプロセッサ7bに設けられている位置検出回路7h、及び判別回路7iを動作状態にする。
【0046】
すると、撮像素子4gの撮像面40における指標27の位置を特定する。そして、特定した指標27の位置が撮像面40のどの領域に対応するかを判別する。次いで、その判別結果に基づいて、ランプ7mを点灯状態、或いは点滅状態を切り替えて、術者に指標27の位置、言い換えれば処置部の位置を告知する。
【0047】
具体的には、図7のステップS1乃至ステップS8に示すような手順となる。
位置検出回路7h、及び判別回路7iが動作状態において、ステップS1に示すように指標27が撮像面40上の何処に位置しているか否かの特定を開始する。
【0048】
このとき、位置検出回路7hは、マッチング計算によって、指標27に対応するパターンを備えた注目ブロックに最も類似したパターンを有するブロックを探索領域内で探索する。即ち、図8に示すように観察像が結像している撮像面40の全範囲(1フレーム)を探索領域51とし、その探索領域51内を所定ドット数で設定した探索ブロック52でマッチング演算を行いながら例えば矢印に示すように所定方向に移動させながら探索を行う。そして、注目ブロック53のパターンに最も類似したパターンのブロックをフレーム中から探索する。
【0049】
つまり、探索領域51内で探索ブロック52を所定画素単位で移動させながら順次、注目ブロック53と探索領域のブロックとの間で対応する各画素同士の差分の絶対値を累積するマッチング計算を行う。そして、その探索領域51内で最も累積値の小さいブロックを位置特定ブロックとして抽出する。したがって、指標27が撮像面に結像している場合においては、該指標27の位置が撮像面40上で特定される。特定後、指標27の位置を示す位置情報は位置検出回路7hから判別回路7iに出力される。
【0050】
撮像面40の探索領域51の探索を終了したらステップS2に移行して、指標27の位置が特定されたか否かを確認する。言い換えれば、撮像面40の探索領域51の全探索を終了した後、判別回路7iは位置検出回路7hから該判別回路7iに対して位置情報が出力されたか否かを確認する。
【0051】
このステップS2において、位置情報の判別回路7iへの出力がされていないことが確認された場合、即ち指標27が探索領域51内に位置していない場合、ステップS3に移行する。ステップS3で判別回路7iは、ランプ7mへ所定の指示信号を出力する。このことによって、ランプ7mが赤色の点灯状態になるとともに、例えば表示画面7k上に処置部が探索領域51内に位置していない旨を告知する文字等を表示する。
【0052】
一方、ステップS2において、判別回路7iに位置情報が出力されたことを確認した場合にはステップS4に移行する。ステップS4で判別回路7iは、まず、指標27の位置が処置作業領域44内に位置しているか否かを判別する。ここで、判別回路7iが指標27は処置作業領域44内に位置していると判別した場合、ステップS5に移行する。ステップS5において判別回路7iはランプ7mへ所定の指示信号を出力する。このことによって、ランプ7mを青色の点灯状態になる。
【0053】
また、ステップS4において、判別回路7iが指標27は処置作業領域44内に存在していないと判別した場合、ステップS6に移行する。ステップS6で判別回路7iは、指標27の位置が告知領域46内に位置しているか否かを判別する。ここで、判別回路7iが指標27は告知領域46内に位置していると判別して場合、ステップS7に移行する。ステップS7において判別回路7iはランプ7mへ所定の指示信号を出力する。このことによって、ランプ7mを橙色の点滅状態になる。
【0054】
さらに、ステップS6において、判別回路7iが指標27は告知領域46内にも存在していないと判別した場合、ステップS8に移行する。ステップS8で判別回路7iはランプ7mへ所定の指示信号を出力して該ランプ7mを赤色の点滅状態にする。
【0055】
図4、図6、及び図9乃至図11を参照して、内視鏡2の内視鏡挿入部4に設けられた外付けチューブ5を介して挿入具1を組み付けた内視鏡装置3の作用を説明する。
図4に示すように外付けチューブ5が内視鏡挿入部4に並設された内視鏡2と、挿入具1とを備える内視鏡治療装置3において観察、処置を行う際、まず、外付けチューブ5が並設された内視鏡挿入部4を体腔内に導入する。このとき、モニタ7cの表示画面7k上に表示される内視鏡画像を観察しながら内視鏡挿入部4を目的観察部位に向けて導入していく。
【0056】
そして、内視鏡挿入部4が目的観察部位である例えば胃内に到達したなら、内視鏡操作部6に設けられている湾曲ノブを適宜操作して、モニタ7cの表示画面7k上に胃壁の内視鏡画像を表示させて観察を行う。この観察時において、例えば潰瘍を発見したなら処置を行うか否かを判断する。ここで、処置を行うと判断を下した際、術者はビデオプロセッサ7bに設けられている位置検出回路7h、及び判別回路7iを動作させる。その後、潰瘍閉塞を行うため外付けチューブ5を介して挿入具1の挿入具挿入部11を胃内に導入していく。
【0057】
挿入具挿入部11を外付けチューブ5を介して胃内に導入するとき、該挿入具挿入部11の先端部13に設けられている指標27が撮像素子4gに設けられた非表示範囲42に到達するまでの間、ランプ7mは赤色の点灯状態である。そして、術者が所望した量、挿入具挿入部11を導入すると、該挿入具挿入部11の先端部13に設けられている指標27が撮像素子4gに設けられた非表示範囲42内に到達する。すると、ランプ7mは赤色の点灯状態から赤色の点滅状態に切り替わる。
【0058】
ここで、術者はさらに挿入具挿入部11の導入を行う。このとき、先端部13が撮像素子4gに設けられた処置作業領域44に向かって非表示範囲42内を移動している場合、赤色の点滅状態が高速から徐々に低速の点滅状態に切り替わっていく。この後、さらに、先端部13が処置作業領域44に向かって非表示範囲42内を移動して、該先端部13の指標27が観察画像表示範囲41の境界線41aに近づいていく。すると、ランプ7mは赤色で低速の点滅状態から橙色で高速な点滅状態に切り替わり、その後、モニタ7cの表示画面7k上に挿入具挿入部11の先端部13が表示される。このことによって、挿入具1の挿入具挿入部11が胃内に導入されたことが視認される。ここで、表示画面7k上に表示される内視鏡画像を観察しながら、挿入具1に設けられている第1湾曲上下ノブ18a、第1湾曲左右ノブ18b、或いは第2湾曲上下レバー19aを適宜湾曲操作して、挿入具挿入部11の先端部13を処置作業領域44内の所望する位置に配置させる。
【0059】
次に、挿入具1に設けられている処置具チャンネル11aを介して例えば、把持鉗子30の把持部31を胃内に導出させる。また、内視鏡2に設けられている処置具挿通チャンネル内に縫合部材を配設した縫合器(不図示)を挿通配置しておく。
【0060】
ここで、術者は、内視鏡操作部6に設けられている湾曲ノブを適宜操作して湾曲部4bを湾曲動作させて、図9に示すように先端部4aを矢印d、eに示すように移動させる。このとき、術者が目的部位に集中して湾曲部4bを湾曲動作させていると、指標27が処置作業領域44内から告知領域46内に移動されることがある。すると、緑色で点灯していたランプ7mが橙色の点滅状態に切り替わる。
【0061】
このとき、表示画面7kに表示されている内視鏡画像を観察していた術者は、ランプ7mが橙色の点滅状態に切り替わったことを確認する。ここで、術者は、湾曲部4bの湾曲操作を行うとともに、挿入具1に設けられている第1湾曲上下ノブ18a、第1湾曲左右ノブ18b、或いは第2湾曲上下レバー19aを適宜湾曲操作して、第1湾曲部16、第2湾曲部17を矢印a、b、cに示すように湾曲動作させる操作を行う。
【0062】
このことによって、図6に示すようにモニタ7cの表示画面7k上に把持部31が潰瘍近傍の生体組織に術者の所望する状態で対峙した内視鏡画像が表示される。この後、術者は内視鏡画像を観察しながら、把持部31で生体組織を把持して、該生体組織を引っ張り上げる等の手元操作を行う。そのため、術者は、内視鏡2に設けられている湾曲部4bの湾曲状態を例えば保持状態にして、表示画面7kの略中央に目的部位が表示される状態を確保する。
【0063】
表示画面7kに表示された内視鏡画像を観察しながら、術者は第1湾曲上下ノブ18a、第1湾曲左右ノブ18b、或いは第2湾曲上下レバー19aを操作して把持部31を移動させる。このとき、図10に示すように先端部13に設けられている指標27が表示画面7k中に設定された第1の領域43から第2の領域45に移動してしまうこと、図11に示すように先端部13に設けられている指標27が表示画面7k中に設定された第1の領域43から破線に示すように表示画面7kの枠部分47より外側に移動してしまうことがある。
【0064】
図10に示す状態は、表示画面7kの第2の領域45内に先端部13に設けられた指標27が表示されている状態である。このとき、指標27は撮像面40に設定された告知領域46内で撮像されている。このため、表示画面7kの近傍に設けられているランプ7mは橙色の点滅状態である。術者は橙色で点滅しているランプ7mを目でとらえることによって、把持部31が表示画面7kの枠部分47近傍に位置していると判断する。このことによって、把持部31が表示画面7kから外側に外れることが防止される。
【0065】
一方、図11に示す状態は、例えばランプ7mが橙色で点滅していたにもかかわらず、そのランプ7mの点滅に気付かないうちに、把持部31が表示画面7k上から消えてしまった状態である。このとき、指標27は撮像面40に設定された非表示範囲42内で撮像される。このため、表示画面7kの近傍に設けられているランプ7mは赤色の点滅状態である。術者は赤色で点滅しているランプ7mを目でとらえることによって、把持部31が表示画面7k上からは消えてしまった状態であるが、それほど遠くまで移動していない状況であることを理解できる。
【0066】
このため、術者は、慌てることなく例えば第1湾曲上下ノブ18aを慎重に操作して把持部31を表示画面7k上に表示させるための操作を行う。すると、第1湾曲上下ノブ18aの操作に伴ってランプ7mの赤色の点滅状態が低速に、或いはさらに高速に変化する。ランプ7mの点滅状態が低速に変化していく場合、術者は操作方向が正しいと判断してその操作を継続して行う。すると、把持部31が再び表示画面7k中に表示される。
【0067】
これに対して、ランプ7mの点滅状態が高速に点滅するように変化した場合、術者はその操作方向が逆方向であると判断して、逆方向に湾曲させる操作を行う。ここで、点滅状態が低速に変化していく場合にはその操作方向が正しいと判断してその操作を継続して行う。このことによって、把持部31が再び表示画面7k中に表示される。
【0068】
一方、逆方向に湾曲させても点滅状態がさらに高速に変化する、或いは点滅状態が高速のままである場合には、第1湾曲上下ノブ18aに変えて第1湾曲左右ノブ18bを操作する。そして、ランプ7mの点滅速度が低速になる方向に湾曲操作を行う。このことによって、把持部31が再び表示画面7k中に表示される。
【0069】
このように、体腔内に挿入される挿入具の挿入具挿入部を構成する先端部に指標を設ける。また、体腔内に挿入される内視鏡挿入部に設けた対物光学系を通過した光学像を表示装置の画面上に表示させるための信号を生成する信号処理部に、指標の位置を特定する位置検出回路と、特定された指標の位置を判別する判別回路とを設ける。さらに、表示装置の表示画面近傍等に指標が画面上のどの領域に位置しているか等を術者に告知するランプを設ける。
【0070】
そして、挿入具の挿入具挿入部に処置具を挿通させて、内視鏡観察下で処置を行う際、位置検出回路と判別回路とを動作状態にして処置を行う。このとき、位置検出回路によって先端部に設けられた指標の位置が特定される。また、判別回路は、位置検出回路の検出結果に基づいて、特定された指標の位置が画面上のどの領域に対応するか等を判別し、その判別した領域に対応する指示信号をランプに向けて出力する。このことによって、ランプが所定の点灯状態、或いは点滅状態に変化する。このため、術者は観察画面に表示されている処置部位を観察して処置を行っているとき、ランプの点灯状態、或いは点滅状態を視認することで、処置具の処置部がどの領域に存在しているかを把握しながら処置を行うことができる。
【0071】
また、たとえ処置具の処置部が表示画面上に表示されていない、即ち画面上から消えてしまった状態になった場合でも、ランプが赤色の点滅状態であるときには、処置部が近くに位置していると判断できる。このため、術者は冷静に対処して表示画面上に再び処置部を表示させられる。
【0072】
さらに、先端部の指標が告知領域に結像しているとき、及び指標が撮像面の非表示範囲に結像しているとき、ランプが所定の発光色で点滅状態になる。また、先端部の指標が観察画像表示
範囲の境界線に近接しているか否か、及び非表示範囲の外側に近接しているか否かによって点滅速度を変化させている。このため、ランプの発光色と点滅状態とを視認することによって、処置部が処置作業領域から告知領域に移動したことや、非表示範囲に移動してしまったこと、或いは、境界線に向かって移動していることや非表示範囲の外側に向かって移動していること等の判断を瞬時に行うことができる。したがって、処置部が非表示領域に存在する状態においては、ランプの点滅速度の変化を確認することで、湾曲部を湾曲させる手元操作を的確に行って、処置部を観察画面上に復帰させることを容易に行える。
【0073】
なお、先端部13の指標27が撮像面40の非表示範囲42上に結像しているとき、ランプ7mが赤色で点滅状態になって、その旨は術者に告知される。しかし、術者は表示画面7k上に表示されている内視鏡画像に把持部31等が表示されていない状態であるため、把持部31が表示画面7kに対して上下左右のどの方向に移動してしまったかを判断することができない。言い換えれば、湾曲部を湾曲させる手元操作を行って、観察画面上に処置部を復帰させるとき、表示画面7kの枠部分47のどの位置から把持部31が現れるかの判断を行えない。
【0074】
この不具合を解消するため、図12に示すように指標27が表示画面7kの枠部分47を横切って外側に移動してしまったとき、判別回路7iは指標27が横切った枠部分47に対応する画素、及びその画素周辺の所定数の画素を通過点告知目印48として点滅させる指示信号を出力する。
【0075】
このように、判別回路によって、指標が枠部分を横切って非表示領域に移動してしまったとき、通過点告知目印を点滅表示させる。このことによって、術者は処置作業領域、或いは告知領域に位置していた処置部が、表示画面の枠部のどの位置から該表示画面より外に移動してしまったかを確認することができる。このことによって、処置部を観察画面上に復帰させる際の手元操作を容易に行えるので、処置部の表示画面上への再表示が素早く行われる。
【0076】
また、本実施形態において指標を白色の円形形状としている。しかし、指標の色、及び形状はこれに限定されるものではなく、以下に示すように指標の色や、形状を変化させるようにしてもよい。指標の色は、白色と同様に体腔内で識別が容易な色であればよく、例えば緑色や青色で指標を着色するようにしてもよい。指標を着色して構成するのではなくLEDなどの発光体で構成するようにしてもよい。図13に示す指標27Aは、円形であって、体腔内では存在しないと思われる規則的な模様27a、27bを設けたものである。図14に示す指標は先端部13の先端側外周面を指標部27Bとして所定の色、例えば白色で着色したものである。縞模様に着色して指標部27Bを構成するようにしてもよい。第1湾曲部16の外表面は例えば黒色に着色されている。先端部13に指標27A、指標27Bを設けるときには、探索ブロックを指標に対応させて変化させる。
【0077】
図15乃至図19は本発明の第2実施形態にかかり、図15は挿入具と内視鏡とを備えた内視鏡装置の他の構成例を説明する図、図16は処置部の移動制御を説明する図、図17はジョイスティックの概略構成を説明する図、図18は制御部による駆動モータの駆動制御を説明する図、図19は指標の画面上の位置、及び指標が表示画面の枠部分に停止された状態における移動可能範囲を説明する図である。」
図15に示すように本実施形態の内視鏡装置3Aは挿入具1Aと内視鏡2とで構成されている。内視鏡2の外部装置であるビデオプロセッサ7bに設けられている信号処理部7gには、位置検出回路7h、判別回路7iに加えて、移動方向検出回路7nが設けられている。移動方向検出回路7nは、位置検出回路7hで特定したフレーム中の指標27の位置情報を時系列的に取得して、位置の変化を示すベクトルを動きベクトルとして求め、移動方向を判定する。
【0078】
一方、挿入具1Aにおいて湾曲部14は電動湾曲部として構成されている。このため、操作部12には第1湾曲部16を上下左右方向に湾曲操作する湾曲操作部として第1のジョイスティック61が設けられるとともに、第2湾曲部17を上下方向に湾曲操作する湾曲操作部として第2のジョイスティック62が設けられている。また、挿入具1Aの操作部12からはユニバーサルコード63が延出している。ユニバーサルコード63内にはそれぞれの湾曲部16、17から延出された複数の湾曲ワイヤ(不図示)や、第1のジョイスティック61、及び第2のジョイスティック62からそれぞれ延出する信号線(不図示)が挿通している。
【0079】
ユニバーサルコード63の基端部は、湾曲部16、17を湾曲動作させる複数の駆動モータ71、及び該複数の駆動モータ71の駆動等を制御する制御部72を備えた挿入具制御装置70に着脱自在に連結される。複数の駆動モータ71、及び制御部72によって、第1湾曲部16の駆動を制御する第1湾曲部駆動機構と、第2湾曲部17の駆動を制御する第2湾曲部駆動機構(不図示)とがそれぞれ構成される。
【0080】
したがって、挿入具1Aにおいては、術者がジョイスティック61を適宜傾倒操作することによって、第1湾曲部16が上下左右方向に動作し、第2のジョイスティック62を適宜傾倒操作することによって第2湾曲部17が上下方向に湾曲動作するようになっている。
【0081】
なお、本実施形態においては、ビデオプロセッサ7bと挿入具制御装置70とが信号ケーブル10eによって電気的に接続されている。符号73はパーソナルコンピュータであり、各種パラメータを設定、或いは変更する際に使用される。その他の構成は前記第1実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0082】
ここで、本実施形態における信号処理部7gに設けられた位置検出回路7h、判別回路7i、及び移動方向検出回路7nの作用を説明する。
移動方向検出回路7nで求められた移動方向にかかわる情報である移動方向情報は判別回路7iに出力される。このため、本実施形態の判別回路7iにおいては、前記第1実施形態と同様に位置検出回路7hから出力される位置情報を基に指標27の位置する領域を判別して、その指標27の位置する領域に対応する各種指示信号を告知手段に出力するとともに、以下に示すように指示信号を挿入具制御装置70の制御部72に対して出力するようになっている。
【0083】
挿入具1Aを備えた内視鏡装置3において、前記図9に示すように挿入具1Aの挿入具挿入部11を介して例えば胃内に把持鉗子30を導入して処置部である把持部31を操作するとき、ビデオプロセッサ7bに設けられている位置検出回路7h、判別回路7i、及び移動方向検出回路7nは動作状態にされる。
【0084】
そのため、図16のステップS11乃至ステップS17に示すように処置部の移動制御を行う。まず、ステップS11、及びステップS12に示すように判別回路7iは位置検出回路7hで求められた位置情報、及び移動方向検出回路7nで求められた移動方向情報を取得する。そして、ステップS13に移行して特定した指標27の位置が撮像面40の処置作業領域44内に位置しているか、或いは、告知領域46内に位置しているかを判別する。
【0085】
このステップS13において判別回路7iで、指標27は処置作業領域44内に位置していると判別した場合には、ステップS11、ステップS12に示したように新たな移動方向情報、及び位置情報の取得を行う。一方、ステップS13において判別回路7iで、指標27が告知領域46内に位置していると判別した場合にはステップS14に移行する。ステップS14で判別回路7iは、移動方向情報を基に指標27の移動方向が非表示範囲42方向に向かっているか否かを判別する。
【0086】
ステップS14において判別回路7iで、指標27の移動方向が非表示範囲方向ではないと判別した場合には、ステップS11、ステップS12に示したように新たな移動方向情報、及び位置情報を取得する。一方、ステップS14において判別回路7iで、指標27の移動方向が非表示範囲方向であると判別した場合にはステップS15に移行する。ステップS15で判別回路7iは、指標27の位置が観察画像範囲41の境界線41aに近接しているか否かを判別する。
【0087】
ステップS15において判別回路7iで、指標27の位置が観察画像範囲41の境界線41aに近接していると判断した場合にはステップS16に移行する。ステップS16において判別回路7iは、挿入具制御装置70の制御部72に向けて、ジョイスティック61、62から制御部62に出力された湾曲操作信号を入力処理することをキャンセルする指示信号、及びランプ7mを赤色で点滅させる指示信号を出力する。また、この状態における位置情報、及び移動方向情報を制御部72に向けて出力する。
【0088】
一方、ステップS15において判別回路7iで、指標27の位置が観察画像範囲41の境界線41aに近接してはいないと判断した場合にはステップS17に移行する。ステップS16において判別回路7iは、挿入具制御装置70の制御部72に向けて例えば、動作中の駆動モータの出力を低下させる指示信号とともに、ランプ7mを橙色で点滅させる指示信号を出力する。
【0089】
図17に示すように第1のジョイスティック61には上下湾曲方向と左右湾曲方向とを指示するための2軸のレバー61aと、レバー61aの傾倒角度をそれぞれの上下方向、左右方向毎に検出するポテンショメータ61b、61cとが設けられている。一方、第2のジョイスティック62には上下湾曲方向を指示するための1軸のレバー62aと、レバーの傾倒角度を検出するポテンショメータ(不図示)とが設けられている。術者が所望のレバー61a、62aを傾倒操作することによって、ジョイスティック61、62から湾曲操作信号が制御部72に向けて出力される。そして、制御部72ではジョイスティック61、62の操作に対応する駆動モータ71を動作させる。このことによって、術者の所望する湾曲部16、17が傾倒操作方向に対して湾曲動作する。つまり、術者がジョイスティックを傾倒操作したとき制御部に出力される湾曲操作信号には傾倒方向、及び傾倒角度を含む湾曲操作情報が含まれている。
【0090】
ここで、図18を参照して駆動モータを駆動制御する制御部の作用を説明する。
挿入具1Aを備えた内視鏡装置3において前記図9に示すように挿入具1Aの挿入具挿入部11を介して例えば胃内に把持鉗子30を導入して処置部である把持部31を操作するため第1ジョイスティック61のレバー61a、又は第2ジョイスティック62のレバー62aを操作する。すると、制御部72は図18のステップ21乃至ステップS33に示すように駆動モータ71を駆動制御する。
【0091】
まず、ステップS21に示すように制御部72は、操作されたジョイスティック61、62から出力された湾曲操作情報を取得する。そして、ステップS22に移行して判別回路7iから出力されている指示信号の有無を確認する。ここで、指示信号が出力されていないことを確認した場合にはステップS23に移行する。
【0092】
ステップS23において制御部72は、ジョイスティック61、62から出力された湾曲操作情報を基に対応する駆動モータ71を駆動状態にする。そして、ステップS24に移行して判別回路7iから出力される指示信号の有無を確認する。ステップS24において、指示信号の出力が確認されなかった場合にはステップS25に移行して湾曲操作情報と、駆動モータ71の駆動量、及び湾曲方向とを比較する。ここで、湾曲操作情報と、駆動モータ71の駆動量、及び湾曲方向とが一致していない場合にはステップS23に移行して引き続き所定の駆動モータを駆動させて湾曲部を湾曲動作させる。
【0093】
一方、ステップS25において湾曲操作情報と、駆動モータ71の駆動量、及び湾曲方向とが一致した場合にはステップS26に移行して駆動モータの駆動を停止させるとともに、その停止位置を保持して、ジョイスティック61、62から湾曲操作情報が出力されることを待機する待機状態になる。このとき、例えば図19の実線に示すような停止状態になる。
【0094】
これに対して、ステップS22、又はステップS24において、判別回路7iからの指示信号の出力を確認したる場合にステップS27に移行する。ステップS27では、指示信号の種類を確認する。つまり、指示信号が「駆動モータの出力を低下させる指示」であるか「ジョイスティックから出力される湾曲操作信号の入力処理をキャンセルする指示」を指示する第2の指示信号であるかを確認する。
【0095】
ステップS27おいて、指示信号が「駆動モータの出力を低下させる指示」する指示信号であった場合にはステップS28に移行する。ステップS28において、制御部72は動作させる駆動モータ、或いは動作中の駆動モータの出力を低下させる制御を行う。このことによって、湾曲部16、17が通常よりゆっくりと湾曲動作されることによって、処置部の移動が低速に切り替わる。このとき、ランプ7mは橙色の点滅状態になる。このため、術者は図19の破線に示すように指標27が告知領域に移動している状態であると瞬時に判断して、ジョイスティック61、62の操作を注意を払って慎重に行う。
【0096】
一方、ステップS27おいて、指示信号が「ジョイスティックから出力される湾曲操作信号の入力処理をキャンセルする指示」する指示信号であった場合にはステップS29に移行する。ステップS29において制御部72は動作中の駆動モータ71の駆動を停止させるとともに、その停止位置を保持してステップS30に移行する。このとき、指標27は表示画面7kの枠部分47上、又はその近傍で停止し、ランプ7mは赤色の点滅状態である。このため、術者は図19の二点鎖線に示すように指標27が告知領域から非表示範囲に移動している状態であると瞬時に判断して、ジョイスティック61、62の操作方向を修正する。
【0097】
ステップS30において制御部72は、前記指示信号とともに入力された移動方向情報と湾曲操作情報とを比較するとともに、位置情報を参照して、停止位置と画面中央部64との位置関係を把握する。そして、制御部72は図19に示すように把持部31が移動可能範囲(図中の斜線範囲)65を設定した後、ステップS31に移行する。なお、制御部72は、移動可能範囲65を設定するまでの間、ジョイスティック61、62から出力される湾曲操作信号の入力処理をキャンセルする処理を継続する。
【0098】
ステップS31において制御部72は、操作方向が修正されてジョイスティック61、62から出力される湾曲操作信号の入力処理を再開する。そして、ジョイスティック61、62から出力される湾曲操作情報を取得したならステップS32に移行する。
【0099】
ステップS32において制御部72は、ジョイスティック61、62から出力された湾曲操作情報によって把持部31が移動可能範囲65に向けて移動させるか否かを判定する。ここで、把持部31が該移動可能範囲65内を移動すると判断した場合、ステップS33に移行する。ステップS33において制御部72はジョイスティック61、62から出力された湾曲操作情報を基に、対応する駆動モータ71を駆動状態にして、把持部31を所定量移動させ、その後ステップS21に移行する。このことによって、把持部31が図中の矢印に示すように移動可能範囲65内を中央方向に向かって徐々に移動して、指標27が第2の領域45内、或いは第1の領域43内に位置した状態になる。
【0100】
一方、ステップS32において制御部72がジョイスティックから出力された湾曲操作情報では処置部を移動可能範囲65に向けて移動させることができないと判断した場合、ステップS31に移行して、再び操作方向が修正されたジョイスティックから出力される新たな湾曲操作情報を取得する。
【0101】
このように、体腔内に挿入される挿入具の挿入具挿入部を構成する先端部に指標を設ける。挿入具挿入部を構成する湾曲部は電動湾曲部である。電動湾曲部は操作部に設けられたジョイスティックを操作することによって、挿入具制御装置に設けられている駆動モータが駆動され、湾曲ワイヤを牽引操作して湾曲部を湾曲動作させる。一方、体腔内に挿入される内視鏡挿入部に設けた対物光学系を通過した光学像を表示装置の画面上に表示させるための信号を生成する信号処理部に、指標の位置を特定する位置検出回路と、特定された指標の位置を判別する判別回路と、特定した位置情報を時系列的に取得して移動方向を検出する判移動方向検出回路とを設ける。さらに、表示装置の表示画面近傍等に指標が画面上のどの領域に位置しているか等を術者に告知するランプを設ける。
【0102】
そして、挿入具の挿入具挿入部に処置具を挿通させて、内視鏡観察下で処置を行う際、位置検出回路と判別回路と移動方向検出回路とを動作状態にして処置を行う。このとき、位置検出回路によって先端部に設けられた指標の位置が特定される。また、判別回路は、位置検出回路の検出結果、及び移動方向検出回路の検出結果に基づいて、特定された指標の位置が画面上のどの領域に対応するか、どの方向に向かって移動しているか等を判別し、指示信号をランプ、及び挿入具制御装置の制御部に伝送する。
【0103】
このことによって、ランプが所定の点灯状態、或いは点滅状態に変化するとともに、駆動モータの駆動状態が制御される。そして、本実施形態においては、指標が第1の領域内に位置しているとき、ジョイスティックからの湾曲操作情報に基づいて湾曲部が通常の動作状態になる。一方、指標が第2の領域内に位置しているとき、ジョイスティックからの湾曲操作情報に基づいて湾曲部は動作状態になるが、そのときの湾曲動作は低速になる。そして更に、指標が第2の領域内で枠部分に近接し、かつ移動方向検出回路の検出結果が非表示範囲方向であった場合には、ジョイスティックから出力される湾曲操作信号の入力処理をキャンセルして、湾曲動作を停止させる。このため、指標が表示画面より外側に移動することを確実に防止することができる。
【0104】
また、本実施形態においては、指標が表示画面の枠部分で停止されたとき、制御部に指示信号とともに入力された移動方向情報と湾曲操作情報とを比較するとともに、位置情報を参照して、把持部を移動させるのに最適な移動可能範囲を制御部によって設定する。そして、移動可能範囲を設定した後、制御部がジョイスティックから出力された湾曲操作情報によって処置部が移動可能範囲に向けて移動させることができないと判断した場合には、処置部は移動されることなく停止状態が保持される。したがって、術者が誤ってジョイスティックを操作してしまった場合でも、指標が表示画面の枠部分よりさらに外側に移動することを確実に防止することができる。その他の作用、及び効果は前記第1実施形態と同様である。
【0105】
図20乃至図34は本発明の第3実施形態にかかり、図20は挿入具と内視鏡とを備えた内視鏡装置の別の構成例を説明する図、図21乃至図25は特開2003−275164号公報に示されている図であって、図21は挿入部位置検出装置の構成を説明する図、図22はソースコイルとセンスコイルとを説明する図、図23は内視鏡形状検出装置の構成を説明するブロック図、図24は描写処理を説明するフローチャート、図25は表示画面上に一画面モードで表示された内視鏡挿入部の形状を表す出力画像の一例を説明する図、図26は挿入具挿入部に設けられた挿入具形状検出ユニットを説明する図、図27は内視鏡挿入部に設けられた内視鏡形状検出ユニットを説明する図、図28は内視鏡挿入部に設けられた内視鏡形状検出ユニットを構成する第1ソースコイルと、先端面形成用ソースコイルとの配置位置関係を説明する図、図29は平面Pc上に演算処理して求めた視野範囲の一例を説明する図、図30は内視鏡の観察領域を説明する図、図31は形状検出による処置部の監視を説明する図、図32は観察領域の中心と、挿入具挿入部に設けられた第1ソースコイルとの距離や、中心と第1ソースコイルと結ぶ線分と観察領域との交点を求める際の状態を説明する模式図、図33は交差告知目印を表示画面上に表示させた状態を説明する図、図34は形状画像表示部に表示された形状画像の一例を説明する図である。
【0106】
図20に示すように本実施形態の内視鏡装置3Bは挿入具1Bと、内視鏡2Aと、挿入形状検出装置80とを備えて構成されている。本実施形態の内視鏡装置3Bを構成する挿入形状検出装置80は位置検出手段をも兼ね、磁界を発生する磁界発生素子であるソースコイルを挿入具1B、及び内視鏡2Aの挿入部にそれぞれ所定の間隔で配設し、磁界を検知する磁界検知素子であるセンスコイル(不図示)を例えば装置本体81内に配設している。挿入形状検出装置80では、センスコイルで得られた信号から挿入部内の各ソースコイルの位置をそれぞれ検出し、このソースコイルの位置情報から挿入具1B、及び内視鏡2Aの挿入部の3次元形状を算出する。そして、挿入具1Bの挿入具挿入部11、及び内視鏡2Aの内視鏡挿入部4の3次元形状を所定の視点から見た2次元形状に変換し、形状画像表示部82の表示画面上に表示する構成である。このことによって、例えば特開2003−275164号公報に示されている挿入部位置検出装置と同様に、被検体内における挿入具1Bの挿入具挿入部11、及び内視鏡2Aの内視鏡挿入部4の形状を表示画面上で知ることができる。
【0107】
なお、挿入形状検出装置80の構成の詳細、及び作用は、特開2003−275164号公報に示されている挿入部位置検出装置と略同様であるので、該挿入部位置検出装置の構成をここで説明する。
【0108】
図21に示すように内視鏡システム201は内視鏡装置202と、内視鏡206の内視鏡挿入部207の位置を検出する機能を備え、さらに内視鏡挿入部207の形状を推定してその形状に対応する画像を表示する内視鏡形状検出装置203とを有して構成される。内視鏡検査用ベッド204には患者205が載置され、この患者205の体腔内に内視鏡206の内視鏡挿入部207が挿入される。
【0109】
内視鏡206の操作部208には湾曲操作ノブ208Aが設けてある。ノブ208Aを回動する操作を行うことにより内視鏡挿入部207の先端付近に形成した湾曲自在の湾曲部207Aを湾曲できるようにして屈曲した体腔内経路にもその屈曲に沿うように先端側を湾曲させることによりスムーズに挿入できるようにしている。内視鏡206には内視鏡挿入部207内には中空のチャンネル213が設けられている。このチャンネル213に(体腔内に挿入された内視鏡挿入部207の)位置、及び形状検出のためのプローブ215を挿入し、このプローブ215の先端側をチャンネル213内の所定の位置に設定することができる。プローブ215には磁界を発生する磁界発生素子としての複数のソースコイル216a,216b,…(符号216iで代表する)が、絶縁性で可撓性を有する円形断面のチューブ219内に例えば一定間隔dとなる状態で、チューブ219内壁に絶縁性の接着剤220で固定されている。
【0110】
各ソースコイル216iは例えば絶縁性で硬質の円柱状のコア210に絶縁被覆された導線が巻回されたソレノイド状コイルで構成され、さらにコイルの外周面に絶縁性の接着剤220で塗布されてコイルをコア210に絶縁被覆した状態で固定すると共に、チューブ219の内壁にも固定している。
【0111】
そして、チューブ219が屈曲されて変形した場合でも、各ソースコイル216iは、硬質のコア210に導線が巻回して、接着剤220で固定されているので、ソースコイル216i自身はその形状が変形しない構造にしてあり、磁界発生の機能はチューブ219が変形した場合でも不変となるようにしている。
【0112】
また、例えば末端(先端)のソースコイル216aの位置はチャンネル213の処置具挿入口214の面と(その先端面が)一致するように設置され、従って最も先端のソースコイル216aの位置を検出することにより、内視鏡206の内視鏡挿入部207の先端面の位置(より正確には先端面よりソースコイル216aの(内視鏡挿入部207の軸方向の)長さの1/2だけ後方位置)を検出できるようにしている。
【0113】
先端のソースコイル216aの位置は内視鏡206の既知の位置であると共に、一定間隔dでそれぞれソースコイル216iは設けてあるので、各ソースコイル216iの位置は内視鏡206の内視鏡挿入部207内の既知の位置に設定されていることになり、各ソースコイル216iの位置を検出することにより、内視鏡206の内視鏡挿入部207の離散的な位置(より厳密には各ソースコイル216iの位置)が検出できる。
【0114】
これらの離散的な位置を検出することにより、それらの間の位置もほぼ推定でき、従って離散的な位置の検出により、体腔内に挿入された内視鏡206の内視鏡挿入部207の形状を求めることが可能になる。
【0115】
各ソースコイル216iに接続されたリード線217はプローブ215の後端に設けた、或はプローブ215の後端から延出されたケーブルの後端に設けたコネクタ218に接続され、このコネクタ218は(内視鏡)形状検出装置本体221のコネクタ受けに接続される。そして、後述するように各ソースコイル216iには駆動信号が印加され、位置検出に利用される磁界を発生する。
【0116】
ソースコイル216iは例えば、図22に示すように3軸のセンスコイル222jと同様な構造の3軸のソースコイル216iで構成しても、1軸のコイルで構成してもよい。3軸のソースコイル216iで形成した場合には、非磁性体或は磁性体で形成した例えば立方体形状の硬質のコア210に3つのコイルを巻回して構成される。非磁性体のコア210を用いることにより、隣接等する他のソースコイルで発生する磁界分布に影響を及ぼさないようにしても良いし、隣接するソースコイルとあまり接近していない場合には磁性体のコア210にして導線を巻回したコイルで磁界発生素子としてのソースコイルを構成しても良い。
【0117】
また、コア210におけるコイルが巻回されていない部分に穴を設けて、各コイルの両端に接続されるリード線217を通すようにしている(各コイルの一端は共通にできる)。なお、コア210を有しないで例えば3つのコイルの中空部分も含めて3つのコイルを絶縁性の接着剤で接着固定した構造にしても良い。
また、図21に示すようにベッド204の既知の位置、例えば3つの隅にはそれぞれ磁界を検出する磁界検出素子としての3軸センスコイル222a,222b,222c(222jで代表する)が取り付けてあり、これらの3軸センスコイル222jはベッド204から延出されたケーブルを介して形状検出装置本体221に接続される。
【0118】
3軸センスコイル222jはそれぞれのコイル面が直交するように3方向にそれぞれ巻回され、各コイルはそのコイル面に直交する軸方向成分の磁界の強度に比例した信号を検出する。
【0119】
形状検出装置本体221は、3軸センスコイル222jの出力に基づいて各ソースコイル216iの位置を検出して、患者205内に挿入された内視鏡206の内視鏡挿入部207の形状を推定し、推定した形状に対応したコンピュータグラフィック画像をモニタ223に表示する。
【0120】
内視鏡形状検出装置203は磁気を利用しているので、磁気に対して透明でない金属が存在すると鉄損などにより、影響を受けてしまい、磁界発生用のソースコイル216iと検出用の3軸センスコイル222jの間の相互インダクタンスに影響を与える。一般に、相互インダクタンスをR+jXで表すと、(磁気に対して透明でない金属は)このR,X両者に影響を及ぼすことになる。
【0121】
この場合、微少磁界の検出で一般に用いられている直交検波で測定される信号の、振幅、位相が変化することになる。そのため、精度よく信号を検出するためには、発生する磁界が影響を受けない環境を設定することが望ましい。
【0122】
これを実現するためには、磁気的に透明な材料(換言すると磁界に影響を及ぼさない材料)でベッド204を作ればよい。
この磁気的に透明な材料としては例えば、デルリン等の樹脂、木材、非磁性材金属であればよい。
【0123】
実際にはソースコイル216iの位置検出には交流磁界を用いるため、駆動信号の周波数において磁気的に影響のない材料で形成しても良い。
そこで、本内視鏡形状検出装置203とともに使用する図21に示す内視鏡検査用ベッド204は、少なくとも、発生する磁界の周波数において磁気的に透明な非磁性材で構成されている。
【0124】
図23は内視鏡形状検出装置203の概略の構成をブロック図である。内視鏡206のチャンネル213内に設定されたプローブ215内のソースコイル216iにソースコイル駆動部224からの駆動信号が供給され、この駆動信号が印加されたソースコイル216i周辺に磁界が発生する。
【0125】
このソースコイル駆動部224は、(磁界発生用)発振部225から供給される交流信号を増幅して、必要な磁界を発生するための駆動信号を出力する。発振部225の交流信号は、ベッド204に設けられた3軸センスコイル222jで検出される微少な磁界を検出するための(相互インダクタンス)検出部26に参照信号として送出される。3軸センスコイル222jで検出される微少な磁界検出信号は(センスコイル)出力増幅器227で増幅された後、検出部226に入力される。検出部226では、参照信号を基準として、増幅、直交検波(同期検波)を行い、コイル間の相互インダクタンスに関連した信号を得る。
【0126】
複数のソースコイル216iが存在するので、各ソースコイル216iに接続されたリード線へ駆動信号を順次供給するように切り換える切り換え手段となる(ソースコイル駆動電流)分配器228がソースコイル駆動部224とソースコイル216iの間に存在する。
【0127】
上記検出部226で得られた信号は、形状算出部230を構成する(ソースコイル)位置検出部(又は位置推定部)231に入力され、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して位置検出の計算或は位置推定の演算を行い、各ソースコイル216iに対して推定された位置情報を得る。
この位置情報は形状画像生成部232に送られ、得られた離散的な各位置情報から間を補間する補間処理等のグラフィック処理を行って内視鏡206(内視鏡挿入部207)の形状を推定し、推定された形状に対応する画像を生成し、モニタ信号生成部233に送る。
【0128】
モニタ信号生成部233は形状に対応する画像を表すRGB或はNTSC或はPAL方式の映像信号を生成し、モニタ223に出力し、モニタ223の表示面に内視鏡206の挿入部形状に対応する画像を表示する。
【0129】
なお、位置検出部231は1つの位置検出の計算を終了した後に、分配器228に切り換えの信号を送り、次のソースコイル216iに駆動電流を供給してその位置検出の計算を行う(各位置検出の計算を終了する前に、分配器228に切り換えの信号を送り、センスコイル222jで検出した信号をメモリに順次記憶させるようにしても良い)。
【0130】
また、システム制御部234はCPU等で構成され、位置検出部231、形状画像生成部232、モニタ信号生成部233の動作等を制御する。また、このシステム制御部234には操作パネル235が接続され、この操作パネル235のキーボードとかスイッチ等を操作することにより、内視鏡形状の描画モデルの選択とか、モニタ223に表示される内視鏡形状を選択された視野方向に対する表示状態に変更させることなどができる。
【0131】
なお、破線で示す形状算出部230はソフトウェアを含む。
【0132】
図24は形状検出のためのソースコイルの駆動動作とセンスコイルによる信号検出のフローを示す。まずパラメータiを1に設定した後(ステップS1)、ソースコイル切換信号によりi番目のソースコイル216iを選択してそのソースコイル216iに駆動電流を流す(ステップS2)。
【0133】
次に、過渡応答の時間Δt待ち(ステップS3)、この時間Δt後にセンスコイル222jで検出した検出信号をサンプリングする(ステップS4)。そして、次に駆動されたi番目のソースコイルが最後のソースコイルか否かの判断を行い(ステップS5)、最後のものでないと、iをi+1にインクリメントして(ステップS6)再びi番目のソースコイル216iに駆動電流を流すステップに戻り、一方最後のソースコイルの場合には終了する。
【0134】
図22に示すようにソースコイル216iとして3軸のソースコイルを用い、あるソースコイル216iの位置を3軸センスコイル222jで検出する場合の様子を示す。3軸のソースコイル216iにおける互いに直交する3つのコイルそれぞれを216x,216y,216zで、3軸センスコイル222jの3つのコイルを222X,222Y,222Zとして考える。また、それぞれのコイルのばらつきはないものとする。そして3軸のソースコイル216iの各コイル216x,216y,216zをそれぞれ駆動した時の3軸センスコイル222j(の3つのコイル222X,222Y,222Z)で検出される信号出力を以下のように定義する。
【0135】
3軸のソースコイル216iのうち、
コイル216xを駆動したときのセンスコイル出力を、Xx,Yx,Zx
コイル216yを駆動したときのセンスコイル出力を、Xy,Yy,Zy
コイル216zを駆動したときのセンスコイル出力を、Xz,Yz,Zz
とする。
【0136】
3つのコイル216x,216y,216zでそれぞれ形成される磁界強度の2乗に対応する検出信号出力Xx^2+Yx^2+Zx^2、Xy^2+Yy^2+Zy^2、Xz^2+Yz^2+Zz^2の値で確定される8個の位置がソースコイル216iの検出位置の候補として得られる。
【0137】
また、検出部226の同期検波で得られるXx,Yx,Zx、Xy,Yy,Zy 、Xz,Yz,Zzの位相情報からセンサ(3軸センスコイル222j)を原点にした座標におけるソースコイル216iの存在する(8個の象現の内の)1つの象現が確定する。
【0138】
これにより、ソースコイル216iの存在位置が確定する(この実施形態では、後述するようにソースコイル216iの存在位置を検出された磁界強度に対応する信号を用いて直接計算で求めることを行わないで、予め測定により得た基準となるデータを参照して存在位置を算出(推定)する)。
【0139】
このように、3軸のソースコイル216iと、3軸センスコイル222jを用いれば、離散的なソースコイル216iの位置を検出できる。また、図21に示すようにベッド204の複数箇所に3軸センスコイル222jを配置すれば、より正確に各ソースコイル216iの位置を検出できることになる。
【0140】
このようにして検出された複数の位置情報により推定された内視鏡206の内視鏡挿入部207の形状をモデル化した画像200で、モニタ223の表示面に例えば図25のように左側のグラフィックス出力領域に表示される。なお、右側の領域はユーザが操作パネル235からのキー入力等により、視点(位置と原点との距離)、回転角、視点位置とz軸とのなす仰角等を設定するユーザインタフェース領域である。
図20に示した本実施形態の挿入形状検出装置80には挿入具1Bに設けられる第1の磁気発生手段である挿入具形状検出ユニット91と、内視鏡2Aに設けられる第2磁気発生手段である内視鏡形状検出ユニット92とが接続されるようになっている。図26に示すように挿入具1Bの挿入具挿入部11には挿入具形状検出ユニット91が設けられている。挿入具形状検出ユニット91は複数のソースコイル91a、91b、…と、複数の信号線99a等とで構成されている。複数のソースコイル91a、91b、…は所定の間隔で配設されている。
【0141】
一方、図27に示すように内視鏡2Aの内視鏡挿入部4を構成する例えば湾曲駒93a、93b、93c…には内視鏡形状検出ユニット92を構成する複数のソースコイル92s、92a、92b、…が所定の間隔で設けられている。それぞれのソースコイル92s、92a、92b、…からは複数の信号線99bが延出している。
【0142】
内視鏡形状検出ユニット92においては、内視鏡挿入部4を構成する先端硬性部94、及びこの先端硬性部94に一体な先端湾曲駒93aに対して第1ソースコイル92a、及び第2ソースコイル92bと、先端面形成用ソースコイル92sとが設けられている。第1ソースコイル92aと第2ソースコイル92bとは挿入部長手軸に平行に配置されている。これに対して、第1ソースコイル92aと先端面形成用ソースコイル92sとは内視鏡挿入部4の挿入部長手軸に対して直交する同一平面上に配置されている。
【0143】
なお、本実施形態においてソースコイル91aの設置位置は、挿入具挿入部11の先端面から所定距離離れた位置である。また、第1ソースコイル92a、及び第2ソースコイル92bの設置一致は、内視鏡2Aの先端面から所定距離離れた位置である。
【0144】
そして、図28に示すように内視鏡2Aを配置したとき、第1ソースコイル92aと先端面形成用ソースコイル92sとを結ぶ矢印Aと鉛直軸を示す矢印Bとが所定角度θだけ傾くように配置されている。言い換えれば、第1ソースコイル92aと先端面形成用ソースコイル92sとを結ぶ線上に対して角度θの方向の、該第1ソースコイル92aから延出する方向が内視鏡挿入部の上方向に一致している。符号98はチャンネルチューブである。
【0145】
図20に示すように装置本体81には、挿入具1Bの挿入具挿入部11に備えられた複数のソースコイル91a、91b、…から発生した磁界、及び内視鏡2Aの内視鏡挿入部4に備えられた複数のソースコイル92s、92a、92b、…から発生した磁界を、センスコイル(不図示)を介して検出する磁気検出手段である検出部83が設けられている。検出部83に検出された信号は、算出手段である挿入具形状算出部84、及び内視鏡形状算出部85に設けられている図示しないシステム制御部の制御の基、該信号に対して各種信号処理を行う。このことにより、形状画像表示部82の画面上に挿入具挿入部11の挿入形状、及び内視鏡挿入部の挿入形状が表示させる構成、及び作用を有している。この挿入形状検出装置80には演算回路を有して構成される判別回路86が設けられている。
【0146】
図29乃至図33を参照して本実施形態の挿入具形状算出部84、内視鏡形状算出部85、及び判別回路86の作用を説明する。
図29に示すように複数のソースコイル92a、92b、…が備えられた内視鏡挿入部4、及び複数のソースコイル91a、91b、…が備えられた挿入具挿入部11が体腔内に配置された状態において、挿入形状検出装置80がオン状態にされている。すると、図示しないシステム制御部の制御の基、図31のステップS41に示すように内視鏡形状検出ユニット92に設けられている第1ソースコイル92aの位置情報と先端面形成用ソースコイル92sの位置情報とを基に内視鏡2Aの鉛直方向Vを求める。その後、ステップS42に移行して第1ソースコイル92aと先端面形成用ソースコイル92sとを含む平面Psを求める。
【0147】
次いで、ステップS43に移行して平面Psから挿入具形状検出ユニット91の第1ソースコイル91aまでの距離Lを求める。そして、ステップS44に移行し、平面Psに対して距離Lだけ離れた位置の平面Pcを求める。そして、内視鏡2Aの対物光学系の光学仕様データを基にスコープ鉛直方向Vから平面Pc上の視野範囲90を演算処理によって求めステップS45に移行する。ステップS45において観察領域95を決定する。観察領域95は、図30に示すように視野範囲90より指定マージン分だけ狭めた略角錐形状の領域であり、二点鎖線に示す第1の領域43と、一点鎖線に示す第2の領域45とを形成される。
【0148】
本実施形態においては、ステップS46に示すように挿入具挿入部11に設けられている第1ソースコイル91aが観察領域95内に位置しているか否かを演算で求め判別回路86において判定して、例えば、告知手段であるランプ87を緑色の点灯状態、或いは橙色、赤色の点滅状態にする。
【0149】
具体的には、判別回路86において第1ソースコイル91aの位置情報が観察領域95内の第1の領域43に位置していると判定したとき、ステップS47に移行してランプ87を緑色で点灯状態にする。また、判別回路86において第1ソースコイル91aの位置情報が観察領域95内の第2の領域45に位置していると判定したとき、ステップS48に移行してランプ87を橙色で点滅状態にする。これに対して、判別回路86において、第1ソースコイル91aの位置情報が観察領域95外であると判定したとき、ステップS49に移行してランプ87を赤色で点灯状態にする。
【0150】
なお、本実施形態においては、判別回路86によって第1ソースコイル91aが観察領域95内に位置していないと判定された場合であっても、挿入具形状算出部84によって第1ソースコイル91aの位置情報が取得されている。このため、判別回路86で演算処理を行うことによって、例えば図32、及び図33に示すように観察領域95の中心95aと、第1ソースコイル91aとの距離を求めることや、中心95aと、第1ソースコイル91aと結ぶ線分88と観察領域95との交点89を求めることができる。
【0151】
本実施形態においては、ステップS50に示すように交点89を交差告知目印97として表示画面7k上に、前記通過点告知目印と同様に点滅表示させる。このことによって、第1ソースコイル91aを中心95a方向に移動させる手元操作を行うことによって、表示画面7k上に挿入具挿入部11の先端部13を表示させることができる。
【0152】
なお、上述と同様に点滅速度を変化させて、第1ソースコイル91aと交差告知目印97までの距離の遠近を術者に告知するようにしてもよい。
【0153】
このように、体腔内に挿入される挿入具の挿入具挿入部に複数のソースコイルを備えた挿入具形状検出ユニットを設ける。また、体腔内に挿入される内視鏡挿入部に内視鏡形状検出ユニットを設ける。この内視鏡形状検出ユニットにおいては、先端側部に第1ソースコイル、第2ソースコイル、及び先端面形成用ソースコイルとを設ける。さらに、挿入具形状検出ユニット、及び内視鏡形状検出ユニットに設けられた各ソースコイルの位置情報を得るための挿入形状検出装置を設ける。この挿入形状検出装置の形状画像表示部82の近傍等には挿入具形状検出ユニットを構成する第1のソースコイルが画面上のどの領域に位置しているか等を術者に告知するランプを設ける。
【0154】
そして、挿入具の挿入具挿入部に処置具を挿通させて、内視鏡観察下で処置を行う際、挿入具挿入部、及び内視鏡挿入部の挿入形状を形状画像表示部に表示させて行う。このとき、挿入具形状算出部によって、挿入具挿入部に設けられている各ソースコイルの位置情報が得られるとともに、内視鏡形状算出部によって内視鏡挿入部に設けられている各ソースコイルの位置情報が得られる。
【0155】
また、スコープ鉛直方向Vから平面Pc上の内視鏡の観察範囲は内視鏡の対物光学系の光学仕様データを基に得られる。したがって、挿入具形状検出ユニットの第1ソースコイルが観察範囲内に位置しているか否かを演算処理して判別回路で判別し、その判別結果に基づいて、挿入具形状検出ユニットの第1ソースコイルの位置が画面上のどの領域に対応するか等をランプを所定の点灯状態、或いは点滅状態にして術者に告知することができる。その他の作用、及び効果は上述した実施形態と同様である。
【0156】
なお、本実施形態においては、図34に示すように形状画像表示部82の画面82a上に独立して湾曲状態が変化する内視鏡挿入部4の挿入形状を表す内視鏡イメージ画像101と、独立して湾曲状態が変化する挿入具挿入部11の挿入形状を表す挿入具イメージ画像102とが表示される。
【0157】
このため、画面82a上のイメージ画像101、102を観察することによって湾曲形状を容易に把握することができる。言い換えれば、イメージ画像を観察することによって、それぞれのデバイスの湾曲状態が、最大であるか否か、或いは更に湾曲動作させることが可能であるか否か等の判断を行うことができる。
【0158】
このことによって、内視鏡挿入部の位置を変化させて再トライするべきであるとか、いったん、把持部の把持を解除してから再トライを行うべきである等の判断を操作する以前に画面上で判断可能になる。
【0159】
なお、上述した実施形態において、目的部位が観察画面上から外れない範囲であれば、内視鏡を処置具の移動に伴って動かす操作を行うようにしてもよい。
【0160】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】図1ないし図14は本発明の第1実施形態に係り、図1は挿入具を説明する図
【図2】挿入具の挿入具挿入部の構成を説明する断面図
【図3】挿入具挿入部の先端部の構成を説明する図
【図4】挿入具と内視鏡とを備えた内視鏡装置の一構成例を説明する図
【図5】撮像素子の撮像面と表示画面との関係を説明する図
【図6】挿入具挿入部の先端部が表示画面上に表示された内視鏡画像を示す図
【図7】指標を介して処置部を監視する位置検出回路、及び判別回路の作用を説明する図
【図8】挿入具挿入部の先端部に設けられた指標を特定する作業例を説明する模式図
【図9】内視鏡装置を構成する内視鏡、及び挿入具を介して把持鉗子を胃内に導入した状態を説明する図
【図10】挿入具挿入部の先端部に設けられた指標が表示画面の第2領域に表示されている状態を説明する図
【図11】挿入具挿入部の先端部に設けられた指標が表示画面の第1領域に表示されている状態と、表示画面から外れて撮像面の非表示範囲内に存在する状態を説明するための図
【図12】挿入具挿入部の先端部に設けられた指標が表示画面の第1領域から枠部分を通過して表示画面から外れたとき、その通過地点を告知する通過点告知目印を説明する図
【図13】指標の他の構成を説明する図
【図14】指標の別の構成を説明する図
【図15】図15乃至図19は本発明の第2実施形態にかかり、図15は挿入具と内視鏡とを備えた内視鏡装置の他の構成例を説明する図
【図16】処置部の移動制御を説明する図
【図17】ジョイスティックの概略構成を説明する図
【図18】制御部による駆動モータの駆動制御を説明する図
【図19】指標の画面上の位置、及び指標が表示画面の枠部分に停止された状態における移動可能範囲を説明する図
【図20】図20乃至図34は本発明の第3実施形態にかかり、図20は挿入具と内視鏡とを備えた内視鏡装置の別の構成例を説明する図
【図21】図21乃至図25は特開2003−275164号公報に示されている図であって、図21は挿入部位置検出装置の構成を説明する図
【図22】ソースコイルとセンスコイルとを説明する図
【図23】内視鏡形状検出装置の構成を説明するブロック図
【図24】描写処理を説明するフローチャート
【図25】表示画面上に一画面モードで表示された内視鏡挿入部の形状を表す出力画像の一例を説明する図
【図26】挿入具挿入部に設けられた挿入具形状検出ユニットを説明する図
【図27】内視鏡挿入部に設けられた内視鏡形状検出ユニットを説明する図
【図28】内視鏡挿入部に設けられた内視鏡形状検出ユニットを構成する第1ソースコイルと、先端面形成用ソースコイルとの配置位置関係を説明する図
【図29】平面Pc上に演算処理して求めた視野範囲の一例を説明する図
【図30】内視鏡の観察領域を説明する図
【図31】形状検出による処置部の監視を説明する図
【図32】観察領域の中心と、挿入具挿入部に設けられた第1ソースコイルとの距離や、中心と第1ソースコイルと結ぶ線分と観察領域との交点を求める際の状態を説明する模式図
【図33】交差告知目印を表示画面上に表示させた状態を説明する図
【図34】形状画像表示部に表示された形状画像の一例を説明する図
【符号の説明】
【0162】
1…挿入具1 2…内視鏡 3…内視鏡装置 4…内視鏡挿入部
4b…湾曲部 4g…撮像素子 7g…信号処理部 7h…位置検出回路
7i…判別回路 7k…表示画面 7m…ランプ
11a…処置具チャンネル 14…湾曲部 18a…第1湾曲上下ノブ
18b…第1湾曲左右ノブ 19a…第2湾曲上下レバー 27…指標
30…把持鉗子 31…把持部 40…撮像面 41…観察画像範囲
42…非表示範囲 43…第1の領域 44…処置作業領域
45…第2の領域 46…告知領域 47…枠部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物光学系を備え、所定の観察範囲を有する観察手段と、
体腔内の組織を処置する処置部を前記観察手段の観察範囲に対して移動させる移動手段を備える処置手段と、
前記移動手段によって移動される前記処置部の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記観察手段の観察範囲内に設定された第1の領域、又は前記第1の領域の周囲に設定された第2の領域のいずれに前記処置部が位置することを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記処置部の位置する領域を告知する告知手段と、
を具備することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
対物光学系を備え、所定の観察範囲を観察する観察手段と、
体腔内の組織を処置する処置部を前記観察手段の観察範囲に対して移動させる移動手段を備える処置手段と、
前記移動手段によって移動される前記処置部の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記観察手段の観察範囲内に設定された第1の領域、又は前記第1の領域の周囲に設定された第2の領域のいずれに前記処置部が位置することを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記処置部が前記第2の領域に位置する場合に前記移動手段を制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
前記観察範囲の光学像を電気信号に変換する撮像手段を備え、
前記位置検出手段は、前記撮像手段が撮像した1フレームに対応する電気信号から前記挿入部の先端部に設けられた指標の検出を行って、該指標の位置を特定することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記撮像手段の撮像領域は、第1の領域、及び第2の領域を有して構成され、表示画面に表示される観察画像を撮像する観察画像表示範囲と、該観察画像表示範囲の外側に設けられ、前記指標の位置を検出するための非観察画像を撮像する非表示範囲とを備え、
前記判別手段は、前記位置検出手段が検出した検出結果に基づき、前記指標が前記非表示範囲に位置すると判別したとき、前記告知手段を介して前記指標が非表示範囲に位置することを告知することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記位置検出手段は、
前記処置手段に設けられた第1の磁気発生手段と、
前記内視鏡に設けられた第2の磁気発生手段と、
前記第1の磁気発生手段と、第2の磁気発生手段の磁気をそれぞれ検出する磁気検出手段と、
前記磁気検出手段によって検出された磁気情報に基づき、少なくとも前記処置手段の位置、及び前記内視鏡の観察範囲を算出する算出手段と、
を具備することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記判別手段が前記第2の領域に前記処置部が位置すると判別した場合に、前記処置部を該第2の領域から前記第1の領域に移動するように前記移動手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate


【公開番号】特開2007−159738(P2007−159738A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358310(P2005−358310)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】