説明

内視鏡装置

【課題】操作部での気密構造を不要とし、操作部の構成を簡易することができる。
【解決手段】操作部のスイッチ70に配置した電気部品や電気接点を用いて、スイッチ信号を発生させるのではなく、操作部のスイッチ70に導かれる光を用いてスイッチ信号を発生させるので、消毒・滅菌処理における消毒液等の液体や蒸気などに対する保護が不要となる。これにより、操作部のスイッチ70での気密構造が不要となり、操作部の構成を簡易とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療等に用いられる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用内視鏡は、挿入部を体腔内に挿入して臓器などを観察したり、内視鏡の処置具挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種治療や処置を行なったりする。このため、一度使用した内視鏡を他の患者に再使用する場合、内視鏡を介しての患者間の感染を防止するため、検査・処置終了後に内視鏡の消毒・滅菌を行う必要がある。消毒や滅菌には、消毒液、エチレンオキサイドガス、ホルマリンガス、過酸化水素ガスプラズマ、オゾン、高温高圧の水蒸気を使用する滅菌であるオートクレーブなどを使用する方法がある。
【0003】
高温高圧蒸気で内視鏡を滅菌するオートクレーブは、従来より、世界的に広く普及している消毒滅菌方法である。この方法は、滅菌効果の信頼性が高く、残留毒性がなく、ランニングコストが安い等の多くのメリットを有するが、滅菌前の減圧乾燥する工程と、滅菌時における高圧を負荷する工程と、を有する。このような環境下では、医療機器に与えるダメージが非常に大きいという問題がある。
【0004】
これに対して、特許文献1では、オートクレーブ滅菌を施しても、押釦装置全体の構成を大きくすることがなく、スイッチの操作感触が変わらない内視鏡が提案されている。
【0005】
特許文献1に開示される内視鏡は、固定接点49と一部又は全部が弾性変形をする変形接点48との接触と非接触の状態が切り替わるスイッチ41と、スイッチ41を水密的に覆いかつ変形接点48を弾性変形させて固定接点49に接触させる操作が加えられる押圧部材42とで構成される押釦装置24を有している。
【0006】
押釦装置24は、高温高圧滅菌処理の行程における圧力及び熱的負荷の少なくとも一方を起因とした押圧部材42の変形に応じた総変位量によって生じる変形接点48の移動量が、押圧部材42が変形接点48を弾性変形させていない状態における基準位置から固定接点に接触する位置までの距離以下とされている。
【特許文献1】特開2006−255107号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、電気接点が操作部内に存在しており、オートクレーブ処理の際に電気接点を保護する必要があるため、気密構造とされている。これにより、操作部の構造が複雑となる。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮し、操作部での気密構造を不要とし、操作部の構成を簡易とする内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る内視鏡装置は、外部から操作される操作部と、前記操作部の外部に配置された発光部と、前記発光部から発せられた光を前記操作部の内部に導く第1導光部材と、前記第1導光部材が導いた光が入射されるとその光を前記操作部の外部へ導く第2導光部材と、前記操作部の外部に配置され、前記第2導光部材が導いた光を受光する受光部と、前記操作部の操作に連動して変位し、前記第1導光部材から前記第2導光部材へ入射されている光を該変位により遮断する、又は該変位により前記第1導光部材から前記第2導光部材へ光を入射させる変位手段と、前記変位手段の変位による光の遮断又は光の入射によって変化する前記受光部の受光状態により、操作信号を発生させる信号発生部と、を備える。
【0010】
この構成によれば、発光部から発せられた光は、第1導光部材により操作部の内部へ導かれる。
【0011】
第1導光部材が導いた光は第2導光部材に入射され、変位手段が操作部の操作に連動して変位し、第1導光部材から第2導光部材へ入射されている光が変位手段の変位により遮断される。又は、第1導光部材が導いた光は、第2導光部材に入射されず、変位手段が操作部の操作に連動して変位し、その変位により第1導光部材から第2導光部材へ入射される。
【0012】
第2導光部材に入射された光は、第2導光部材により操作部の外部へ導かれ、受光部に受光される。
【0013】
信号発生部は、変位手段の変位による光の遮断又は光の入射によって変化する受光部の受光状態により、操作信号を発生させる。
【0014】
このように、本発明では、操作部に配置した電気部品や電気接点を用いて操作信号を発生させるのではなく、操作部に導かれる光を用いて操作信号を発生させるので、消毒・滅菌処理における消毒液等の液体や蒸気などに対する保護が不要となる。
【0015】
これにより、操作部での気密構造が不要となり、操作部の構成を簡易とすることができる。
【0016】
本発明の請求項2に係る内視鏡装置は、請求項1の構成において、前記操作部、前記第1導光部材、前記第2導光部材及び前記変位手段を備えた内視鏡と、前記内視鏡が着脱可能に取り付けられ、前記発光部及び前記受光部を有する外部装置と、を備える。
【0017】
この構成によれば、発光部及び受光部が、内視鏡と分離可能な外部装置に配置されるので、内視鏡の消毒・滅菌処理における消毒液等の液体や蒸気などに対する発光部及び受光部の保護が不要となる。
【0018】
本発明の請求項3に係る内視鏡装置は、請求項1又は請求項2の構成において、前記発光部は、前記内視鏡の観察部位を照明するための光源である。
【0019】
この構成によれば、発光部が、内視鏡の観察部位を照明するための光源と兼用となるので、部品点数が低減でき、装置の構成を簡易とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記構成としたので、操作部での気密構造を不要とし、操作部の構成を簡易することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
まず、本実施形態に係る内視鏡装置の全体構成を説明する。図1は、本実施形態に係る内視鏡装置11の全体構成を示す図である。
【0022】
本実施形態に係る内視鏡装置11は、図1に示すように、図示しない撮像手段を備えた内視鏡10と、内視鏡10が着脱自在に接続されて内視鏡10に設けられたライトガイドに照明光を供給する光源装置66と、内視鏡10と信号ケーブル68を介して接続されて内視鏡10の前記撮像手段を制御すると共にこの撮像手段から得られた信号を処理して標準的な映像信号を出力するビデオプロセッサ67と、このビデオプロセッサ67からの映像信号を入力し内視鏡画像を表示するモニタ69とを備えて構成されている。なお、内視鏡10は、観察や処置に使用された後には、洗浄後に高温高圧蒸気滅菌(以下、オートクレーブ滅菌)にて滅菌を行うことが可能なように構成されている。
【0023】
内視鏡10は、可撓性を有し患者の体腔内に挿入される長尺状の挿入部12と、この挿入部12の基端側に設けられ外部から操作される操作部14と、この操作部14の側部から延出した可撓性を有するユニバーサルコード16と、このユニバーサルコード16の端部に設けられ光源装置66と着脱自在に接続可能なコネクタ部18と、このコネクタ部18の側部に延出してビデオプロセッサ67に接続された信号ケーブル68が着脱自在に接続可能な電気コネクタ部20と、を備えて構成されている。
【0024】
挿入部12と操作部14との接続部には、この接続部の急激な曲がりを防止する弾性部材を有する挿入部側折れ止め部材13が設けられており、同様に操作部14とユニバーサルコード16との接続部には操作部側折れ止め部材22が設けられ、ユニバーサルコード16とコネクタ部18との接続部にはコネクタ部側折れ止め部材24が設けられている。
【0025】
挿入部12は、可撓性を有する柔軟な可撓管部26と、この可撓管部26の先端側に設けられ操作部14の操作により湾曲可能な湾曲部28と、先端に設けられた先端部30とから構成されている。
【0026】
操作部14には、送気操作及び送水操作を操作する送気送水操作ボタン32と、吸引操作を操作するための吸引操作ボタン34と、湾曲部28の湾曲操作を行うための湾曲操作ノブ36と、ビデオプロセッサ67を遠隔操作する複数のスイッチ70と、挿入部12に配設された処置具を挿通したり体腔内の液体を吸引したりするための処置具チャンネルに連通した開口である処置具挿入口38とが設けられている。なお、スイッチ70の構造は、後述する。
【0027】
先端部30には、観察部位を撮像するための図示しない観察光学系と、観察部位を照明するための図示しない照明光学系などが配設されている。
【0028】
また、先端部30には、送気操作、送水操作によって図示しない観察光学系の観察窓に向けて洗浄液体や気体を噴出するための図示しない送気送水ノズルと、挿入部12に配設された処置具チャンネルの先端側開口である図示しない吸引口とが設けられている。また、観察対象物に向けて開口した液体を噴出するための図示しない送液口が設けられている。
【0029】
コネクタ部18には、光源装置66に内蔵された図示しない気体供給源と着脱自在に接続される気体供給口金42と、液体供給源である送水タンク44と着脱自在に接続される送水タンク加圧口金46及び液体供給口金48と、先端部30の前記吸引口より吸引を行うための図示しない吸引源と接続される吸引口金50と、先端部30の前記送液口より送水を行うための図示しない送水手段と接続される注入口金52とが設けられている。
【0030】
また、コネクタ部18には、高周波処置等を行った際に内視鏡に高周波漏れ電流が発生した場合に漏れ電流を高周波処置装置に帰還させるためのアース端子口金54が設けられている。
【0031】
電気コネクタ部20には、内視鏡10の内部と外部とを連通する図示しない通気孔が設けられている。また、電気コネクタ部20には防水キャップ56が着脱自在に接続可能であり、この防水キャップ56には図示しない圧力調整弁、ここでは逆止弁が設けられている。
【0032】
前述したオートクレーブ滅菌の際には内視鏡10を収納する滅菌用収納ケース(以下、収納ケース)60が用いられる。
【0033】
収納ケース60は、内視鏡10を収納するトレイ62と、このトレイ62の蓋部材64とを備えて構成されている。これらトレイ62と蓋部材64には複数の図示しない通気孔が設けられており、オートクレーブ滅菌時にはこの孔を通じて水蒸気が通過できるようになっている。
【0034】
トレイ62には、内視鏡10に対応した図示しない規制部が形成されており、この規制部には、内視鏡10のそれぞれの部分が所定の位置に納まるようになっている。また、この規制部には、可撓性を有する挿入部12が収納される図示しない挿入部規制部が設けられている。
【0035】
オートクレーブ滅菌の代表的な条件としては米国規格協会承認、医療機器開発協会発行の米国規格ANSI/AAMIST37−1992ではプレバキュームタイプで滅菌行程132℃で4分、グラビティタイプで滅菌行程132℃で10分とされている。
【0036】
オートクレーブ滅菌(高温高圧蒸気滅菌)の滅菌行程時の温度条件についてはオートクレーブ滅菌装置(高温高圧蒸気滅菌装置)の形式や滅菌行程の時間によって異なるが、一般的には115℃から138℃程度の範囲で設定される。滅菌装置の中には142℃程度に設定可能なものもある。時間条件については滅菌行程の温度条件によって異なるが、一般的には3分〜60分程度に設定される。滅菌装置の種類によっては100分程度に設定可能なものもある。
【0037】
この行程での滅菌室内の圧力は一般的には大気圧に対して+0.2MPa程度に設定される。
【0038】
一般的なプレバキュームタイプの高温高圧蒸気滅菌行程には滅菌対象機器を収容した滅菌室内を滅菌行程の前に減圧状態にするプレバキューム行程と、この後に滅菌室内に高圧高温蒸気を送り込んで滅菌を行う滅菌行程が含まれている。プレバキューム行程は、後の滅菌行程時に滅菌対象機器の細部にまで蒸気を浸透させるための行程であり、滅菌室内を減圧させることによって滅菌対象機器全体に高圧高温蒸気が行き渡るようになる。
プレバキューム行程における滅菌室内の圧力は一般的には大気圧に対して−0.07MPa〜−0.09MPa程度に設定される。
【0039】
滅菌後の滅菌対象機器を乾燥させるために滅菌行程後に滅菌室内を再度減圧状態にする乾燥行程が含まれているものがある。この行程では滅菌室内を減圧して滅菌室内から蒸気を排除して滅菌室内の滅菌対象機器の乾燥を促進する。この行程における滅菌室内の圧力は一般的には大気圧に対して−0.07〜−0.09MPa程度に設定される。
【0040】
なお、内視鏡10を消毒や滅菌する方式には、消毒液、エチレンオキサイドガス、ホルマリンガス、過酸化水素ガスプラズマ、オゾンを用いた方式を用いても良い。
【0041】
(操作部のスイッチ及びそのスイッチのスイッチ信号を発生させるための構成)
次に、操作部のスイッチ及びそのスイッチのスイッチ信号を発生させるための構成について説明する。図2は、スイッチのスイッチ信号を発生させるための構成を説明するための概略図である。図3は、スイッチの構成を示す概略断面図である。
【0042】
本実施形態に係る内視鏡装置11では、図2に示すように、光を発する発光部72が、内視鏡10の操作部14の外部に配置されている。具体的には、発光部72は、内視鏡10と別体で構成された外部装置の一例としての光源装置66に収容されている。
【0043】
この発光部72は、挿入部12の先端部30に配置された照明光学系に光を供給するための光源として用いられる。また、発光部72は、スイッチ70においてスイッチが入れられたことを示すスイッチ信号を発生させるための光源として用いられる。発光部72としては、例えば、ハロゲンランプ、LED、LD、SLDが用いられる。
【0044】
この発光部72から発せられた光を操作部14の内部に導く第1導光部材の一例としての第1光ファイバ81が、コネクタ部18から操作部14にかけて内視鏡10内に設けられている。
【0045】
第1光ファイバ81の始端部(一端部)がコネクタ部18に配置され、第1光ファイバ81の終端部(他端部)が操作部14に配置されている。コネクタ部18が光源装置66に接続されることにより、発光部72からの光が第1光ファイバ81に入射可能となる。
【0046】
第1光ファイバ81が導いた光が入射されるとその光を操作部14の外部へ導く第2導光部材の一例としての第2光ファイバ82が、操作部14からコネクタ部18にかけて内視鏡10内に設けられている。
【0047】
第2光ファイバ82の始端部(一端部)が操作部14に配置され、第2光ファイバ82の終端部(他端部)がコネクタ部18に配置されている。コネクタ部18が光源装置66に接続されることにより、第2光ファイバ82から出射される光が光源装置66の受光部74へ入射可能となる。
【0048】
また、発光部72から発せられた光を挿入部12の先端部30に導く導光部材の一例としての第3光ファイバ83が、コネクタ部18から挿入部12の先端部30にかけて内視鏡10内に配置されている。
【0049】
第3光ファイバ83の始端部(一端部)がコネクタ部18に配置され、第3光ファイバ83の終端部(他端部)が挿入部12の先端部30に配置されている。コネクタ部18が光源装置66に接続されることにより、発光部72からの光が第3光ファイバ83に入射可能となる。
【0050】
光源装置66には、発光部72からの光を第1光ファイバ81及び第3光ファイバ83に分割して入射させる光学部材の一例としての集光レンズ84A、85Aが、発光部72と第1光ファイバ81及び第3光ファイバ83との間に配置されている。
【0051】
第3光ファイバ83の始端部に入射した光は、第3光ファイバ83の終端部から先端部30にある照明光学系に供給される。照明光学系に供給された光は、照明光学系から観察部位に照射され、観察部位を照明する照明光として用いられる。
【0052】
また、第1光ファイバ81の終端部と第2光ファイバ82の始端部とは、対向配置されており、第1光ファイバ81の始端部に入射した光は、第1光ファイバ81の終端部から第2光ファイバ82の始端部へ向けて出射され、第2光ファイバ82に入射されるようになっている。
【0053】
第2光ファイバ82に入射された光は、コネクタ部18において第2光ファイバ82の終端部から光源装置66に向けて出射される。
【0054】
光源装置66には、図2に示すように、光を受ける受光部74が収容されており、受光部74は内視鏡10の操作部14の外部に配置されている。受光部74としては、例えば、フォトダイオードが用いられる。
【0055】
また、光源装置66には、受光部74の受光状態により、操作信号としてのスイッチ信号を発生させる信号発生部76が配置されている。この信号発生部76は、受光部74から光を検知した検知信号を取得することによりスイッチ信号を発生させる。
【0056】
なお、スイッチ信号は、操作部14が操作されたことを示す操作信号の一例であり、スイッチ70がスイッチ操作されてスイッチが入れられたこと示す信号である。
【0057】
スイッチ70は、図3に示すように、スイッチ70を押圧操作する操作者に押圧されて変位する押圧部80を備えている。
【0058】
この押圧部80は、一端が開放され他端が閉鎖された筒部80Cと、筒部80Cの開放端部80Aから外側に張り出すフランジ部80Dとを備えている。筒部80Cは、一端側に開放された開放端部80Aを有し、他端側に閉鎖された閉鎖端部80Bを有している。この閉鎖端部80Bの表面が、操作者が押圧する押圧面80Eとなっている。
【0059】
また、スイッチ70は、押圧部80の押圧操作に連動して変位する変位手段の一例として、中央部が押圧部80側へ凸状にされたドーム状に形成されると共に外力により弾性変形する弾性部材で構成されたクリックドーム78を備えている。
【0060】
押圧部80の閉鎖端部80Bとクリックドーム78との間には、押圧面80Eが押圧された押圧力をクリックドーム78に伝達するためのコンタクト部88が配置されている。
【0061】
コンタクト部88は、側面視にてT字状に形成されている。T字の横線をなす部分は、板体に形成されており、閉鎖端部80Bの押圧面80Eとは反対側の反対面80Fに当接する当接部88Aをなしている。
【0062】
T字の縦線をなす部分は、棒状に形成されており、クリックドーム78に押圧力を伝達して、クリックドーム78を変形させる伝達部88Bとして機能する。
【0063】
コンタクト部88は、押圧部80の押圧面80Eが押圧されることにより、クリックドーム78側へ移動し、伝達部88Bがクリックドーム78の中央部(一部)を押圧するようになっている。
【0064】
クリックドーム78は、凸状にされた中央部が第1光ファイバ81及び第2光ファイバ82側へコンタクト部88により押圧されることで変形する変形状態(図4に示す状態)と、その押圧力が除去されて元の状態に復帰する復帰状態(図3に示す状態)とに状態変化するようになっている。クリックドーム78は、変形状態においては、第1光ファイバ81と第2光ファイバ82との間の遮蔽位置に位置して第1光ファイバ81から第2光ファイバ82への光を遮断し、復帰状態では、遮蔽位置からずれて第1光ファイバ81からへ第2光ファイバ82光を通過させるように構成されている。
【0065】
なお、クリックドーム78としては、例えば、ステンレスが用いられる。クリックドーム78の厚みは、例えば、0.2mmとされる。
【0066】
また、クリックドーム78は、操作者にクリック感を付与するクリック感付与部材として機能する。具体的には、クリックドーム78が第1光ファイバ81及び第2光ファイバ82側に凹んで凹形状になる押圧感覚と、その凹形状から元の凸形状へ戻る反動による押し戻しの感覚とが、いわゆるクリック感を操作者に与えており、クリック感は、押圧部80を介してスイッチ70がオンされたのかオフされたのかの認識を与える皮膚感覚である。
【0067】
(本実施形態に係る内視鏡10の作用)
本実施形態に係る内視鏡10では、発光部72から光が発せられ、その発せられた光は、集光レンズ84A、85Aによって、第3光ファイバ83の始端部及び第1光ファイバ81の始端部に入射する。
【0068】
第3光ファイバ83に入射した光は、第3光ファイバ83によって挿入部12の先端部30にある照明光学系に導かれる。照明光学系に導かれた光は、患者の体腔内の観察部位を照明するための照明光として用いられる。
【0069】
第1光ファイバ81に入射した光は、第1光ファイバ81によって操作部14の内部へ導かれる。操作部14の内部へ導かれた光は、押圧部80の開放端部80A側において、第1光ファイバ81の終端部から出射される。第1光ファイバ81の終端部から出射された光は、第2光ファイバ82に始端部から入射し、第2光ファイバ82に始端部から入射した光は、光源装置66に導かれる。光源装置66に導かれた光は、受光部74で受光される。信号発生部76は、受光部74が受光している状態では、スイッチ信号を発生させない。
【0070】
操作者が押圧部80を押圧すると、押圧部80に連動してコンタクト部88及びクリックドーム78が変位する。変位したクリックドーム78は、第1光ファイバ81の終端部と第2光ファイバ82の始端部との間で、第1光ファイバ81から出射された光を遮断する。
【0071】
第1光ファイバ81から出射された光が遮断されると、第2光ファイバ82に光が入射せず、受光部74は受光しなくなる。受光部74は、受光していた状態から受光しない状態に受光状態が変化する。信号発生部76は、受光部74が受光しない状態になると、スイッチ信号を発生させる。
【0072】
このように、本実施形態では、操作部14のスイッチ70に配置した電気部品や電気接点を用いてスイッチ信号を発生させるのではなく、操作部14のスイッチ70に導かれる光を用いてスイッチ信号を発生させるので、消毒・滅菌処理における消毒液等の液体や蒸気などに対する保護が不要となる。
【0073】
これにより、操作部14のスイッチ70での気密構造が不要となり、操作部14の構成を簡易とすることができる。
【0074】
また、操作部14の内部に気密空間が形成された構成においては、オートクレーブ処理において、気密空間外部で圧力変動が起きた場合に気密空間内での収縮・膨張が生じて、操作部14の劣化につながる。これに対して、本実施形態では、操作部14での気密構造が不要であるので、オートクレーブ処理において、気密空間内での収縮・膨張が生じるということがなく、オートクレーブ処理における圧力変動による操作部14の劣化が生じにくい。
【0075】
(変形例に係るスイッチ)
次に、変形例に係るスイッチの構成について説明する。図5及び図6は、変形例に係るスイッチの構成を示す図である。上記のスイッチ70と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
上記のスイッチ70では、押圧部80の押圧前に受光部74に受光させ、押圧部80の押圧後に受光部74に受光させないことによりスイッチ信号を発生させる構成であったが、変形例においては、押圧部80の押圧前に受光部74に受光させず、押圧部80の押圧後に受光部74に受光させてスイッチ信号を発生させる構成とされている。
【0077】
変形例に係るスイッチ90は、スイッチ70のように第1光ファイバ81の終端部と第2光ファイバ82の始端部が対向配置されるのではなく、第1光ファイバ81の終端部と第2光ファイバ82の始端部が同一側(図5における右側)に向けられている。
【0078】
第1光ファイバ81の終端部から出射される光の出射側には、光を吸収する吸収体86が配置されている。クリックドーム78が復帰状態(図5に示す状態)である場合では、第1光ファイバ81から出射された光は、吸収体86に吸収される。
【0079】
このため、第1光ファイバ81の終端部から出射された光は、第2光ファイバ82に始端部に入射されず、受光部74は受光しない状態となっている。信号発生部76は、受光部74が受光していない状態では、スイッチ信号を発生させない。
【0080】
操作者が押圧部80を押圧すると、押圧部80に連動してコンタクト部88及びクリックドーム78が変位する。クリックドーム78が変位して変形状態(図6に示す状態)になると、第1光ファイバ81の終端部から出射される光の出射側にクリックドーム78が位置するようになっており、第1光ファイバ81の終端部から出射された光が、変位したクリックドーム78に反射して、第2光ファイバ82の始端部に入射するようになっている。
【0081】
第1光ファイバ81から出射された光が第2光ファイバ82に入射すると、受光部74が受光するようになる。受光部74は、受光していない状態から受光する状態に受光状態が変化する。信号発生部76は、受光部74が受光する状態になると、スイッチ信号を発生させる。
【0082】
なお、押圧部80の押圧前に受光部74に受光させず、押圧部80の押圧後に受光部74に受光させてスイッチ信号を発生させる構成としては、押圧部80の押圧前に第1光ファイバ81からの光を遮蔽し、押圧部80の押圧後に第1光ファイバ81からの光を第2光ファイバ82へ通過させる構成とすることができる。具体的には、例えば、以下のように構成される。
【0083】
すなわち、スイッチ70のように第1光ファイバ81及び第2光ファイバ82が対向配置され、さらに、孔等の切欠部が形成された遮蔽板等の遮蔽部材がクリックドーム78に設けられる。そして、クリックドーム78が変位していない状態において、第1光ファイバ81からの光を遮蔽部材が遮蔽し、クリックドーム78が変位した状態において、第1光ファイバ81からの光が遮蔽部材の切欠部を通過して、第2光ファイバ82に入射させる構成とされる。
【0084】
なお、本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【0085】
本実施形態では、スイッチ70は、ビデオプロセッサ67を遠隔操作するためのものであったが、他の用途のスイッチ70であってもよい。また、スイッチとしては、押圧操作されるものに限られず、例えば、レバー操作等により、操作者が外力を付与してクリックドーム78を変形させる構成であればよい。
【0086】
また、本実施形態では、光を導く導光部材として、第1光ファイバ81及び第2光ファイバ82などの光ファイバを用いたが、これに限られず、光を伝送する他の伝送線や、ミラーなどの光学部材などを用いても良い。
【0087】
また、操作部14の操作に連動して変位する変位手段としては、クリックドーム78のように押圧により変形するものでなくても良く、操作部14の操作に連動して単に移動する移動部材であってもよい。
【0088】
また、クリックドーム78は、ドーム形状に限られず、種々の形状とすることができる。また、クリックドーム78の材料としても、ステンレスに限られず他の金属、その他の弾性材料を用いても良い。
【0089】
また、発光部72及び受光部74は、操作部14の外部であれば、光源装置66に配置される場合に限られず、他の外部装置に配置される構成であってもよく、また、内視鏡10に配置される構成であってもよい。内視鏡10内に配置される構成では、例えば、コネクタ部18に発光部72及び受光部74を配置することができる。
【0090】
また、発光部72は、観察部位を照明するための光源と兼用とされず、照明用の光源とは別に設けられたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施形態に係る内視鏡装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る操作部のスイッチにおいてスイッチ信号を発生させるための構成を説明するための概略図である。
【図3】本実施形態に係る操作部のスイッチの構成を示す概略断面図である。
【図4】本実施形態に係る操作部のスイッチにおいて、押圧部を押圧した状態を示す概略断面図である。
【図5】変形例に係る操作部のスイッチの構成を示す概略断面図である。
【図6】変形例に係る操作部のスイッチにおいて、押圧部を押圧した状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0092】
10 内視鏡
11 内視鏡装置
14 操作部
66 光源装置(外部装置)
72 発光部
74 受光部
76 信号発生部
78 クリックドーム(変位手段)
81 第1光ファイバ(第1導光部材)
82 第2光ファイバ(第2導光部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から操作される操作部と、
前記操作部の外部に配置された発光部と、
前記発光部から発せられた光を前記操作部の内部に導く第1導光部材と、
前記第1導光部材が導いた光が入射されるとその光を前記操作部の外部へ導く第2導光部材と、
前記操作部の外部に配置され、前記第2導光部材が導いた光を受光する受光部と、
前記操作部の操作に連動して変位し、前記第1導光部材から前記第2導光部材へ入射されている光を該変位により遮断する、又は該変位により前記第1導光部材から前記第2導光部材へ光を入射させる変位手段と、
前記変位手段の変位による光の遮断又は光の入射によって変化する前記受光部の受光状態により、操作信号を発生させる信号発生部と、
を備える内視鏡装置。
【請求項2】
前記操作部、前記第1導光部材、前記第2導光部材及び前記変位手段を備えた内視鏡と、
前記内視鏡が着脱可能に取り付けられ、前記発光部及び前記受光部を有する外部装置と、
を備える請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記発光部は、前記内視鏡の観察部位を照明するための光源である請求項1又は請求項2に記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−119422(P2010−119422A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293033(P2008−293033)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】