説明

内視鏡装置

【課題】ユーザの操作負担を軽減させつつ、より高精度な高解像度画像を取得することができる。
【解決手段】CCD104は、被写体像を光電変換して信号を取得する。画像処理手段107はCCDが取得した信号の処理を行い、画像を生成する。高解像処理手段114は、画像処理手段107が生成した画像を複数枚取得し、複数枚の画像から1枚の高解像度画像を生成する。画像記録手段115は高解像処理手段114が生成した高解像度画像を記録する。湾曲制御手段122はUD湾曲モータ120とRL湾曲モータ121とを駆動制御する。システム制御手段110は、湾曲制御手段122がUD湾曲モータ120とRL湾曲モータ121とを駆動制御して先端部128を自動的に少量湾曲させつつ、高解像処理手段114が画像を複数枚取得して高解像度画像を生成するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体腔内に細長の挿入部を挿入することにより、体腔内臓器等を観察したり、必要に応じ処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種治療処置を行ったりすることができる内視鏡装置が広く利用されている。また、工業用分野において、ボイラ、タービン、エンジン、化学プラント等の内部の傷や腐食等の観察および検査を行うために、工業用内視鏡装置が広く用いられている。
【0003】
工業用内視鏡装置では、挿入部の先端部にイメージセンサを搭載するビデオスコープが主流となっている。また、工業用内視鏡装置の挿入部に要求される径は年々細くなってきており、挿入部の先端部に搭載されるイメージセンサは、先端部の径による制約事項から、搭載可能なイメージセンサの大きさ(チップサイズ)が限られてしまう。そのため、サイズが大きい高解像度のイメージセンサを内視鏡装置に採用することが難しく、高解像度画像を得ることができない。一方で、内視鏡装置は観察画像で傷や腐食等を画像としてユーザに提供するという製品の特性上から、市場の要求としては高解像度化の要求が絶えず、内視鏡装置には高解像処理が必要不可欠になってきている。
【0004】
また、複数枚の画像を使用して画像間の位置合わせを行い1枚の高解像度画像を得る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術を内視鏡装置に搭載することで、イメージセンサの解像度が低くても、高解像度の画像を得ることが出来るようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−293185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の高解像技術では、複数枚の画像間の位置合わせを行い1枚の高解像度画像を得るため、複数枚の画像が全く同じ画像では高解像度画像を得ることが出来ない。つまり、被写体の位置が微妙にずれた画像が複数枚無ければ高解像度画像を得ることができない。また、被写体の位置が微妙にずれた画像を取得するためには、内視鏡装置の挿入部の先端部に搭載されているイメージセンサが被写体に対して微妙に動くことが必要であり、そのためには、内視鏡装置の先端部を微妙に動かすといった繊細な操作が必要になる。
【0007】
工業用内視鏡は目的により必要な挿入部の長さが大幅に異なる。例えば、工業用内視鏡の挿入部の長さとしては、短いものでは2m程度のものから、長いものでは30m等の長尺なものがある。その中でも、水道管の観察をするといったパイプ検査に用いる内視鏡装置は、比較的長尺な挿入部が必要であり、さらには直角なエルボを複数箇所通したその先の部位を観察することもしばしばある。このような被検体に、内視鏡装置の挿入部を挿入して観察する場合には、挿入部と被検体との摩擦により、押し込み力量が高く、相当な労力を要する。
【0008】
被写体の位置が微妙にずれた画像を取得する方法として、例えば、内視鏡装置の挿入部の根元を手で動かして先端部を動かしつつ画像を取得する方法があるが、挿入部と被検体との摩擦があるため、繊細で正確な操作が困難である。また、その操作も手動で行うために、高解像処理に用いる、被写体の位置が微妙にずれた画像を常に安定して撮影することが難しい。そのため、高精度な高解像度画像を取得することも難しい。
【0009】
さらに、内視鏡装置を用いて被写体の位置が微妙にずれた画像を複数枚取得する際には、ユーザは、撮影操作を行い、撮影終了後、先端部の位置を微妙にずらすために挿入部の根本を手で動かし、その後に再度撮影操作を行うという操作を繰り返し行う必要がある。この方法ではユーザの操作が煩雑となり、明らかにユーザに負担がかかるという問題がある。
【0010】
また、内視鏡装置の挿入部の先端部を湾曲させる湾曲手段が設けられており、内視鏡装置が備えるジョイスティックをユーザが操作することで、先端部を上下左右に湾曲させることができる内視鏡装置が知られている。この内視鏡装置を用いて被写体の位置が微妙にずれた画像を取得する際においても、先端部の移動操作はユーザの手動操作に基づいて行われるため、高解像処理に用いる、被写体の位置が微妙にずれた画像を常に安定して撮影することが難しい。そのため、高精度な高解像度画像を取得することも難しい。
【0011】
さらに、被写体の位置が微妙にずれた画像を複数枚取得する際には、ユーザは、撮影操作を行い、撮影終了後、先端部の向きを微妙にずらすためにジョイスティックを操作し、その後に再度撮影操作を行うという操作を繰り返し行う必要がある。この場合においてもユーザの操作が煩雑となり、明らかにユーザに負担がかかるという問題がある。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ユーザの操作負担を軽減させつつ、より高精度な高解像度画像を取得することができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、内視鏡先端部に配置された対物レンズより取り込んだ被写体像を、イメージセンサにて光電変換して信号を取得する撮像手段と、前記撮像手段で得られた信号の処理を行い、画像を生成する映像信号処理手段と、前記映像信号処理手段が生成した画像を複数枚取得し、複数枚の当該画像から1枚の高解像度画像を生成する高解像処理手段と、前記高解像処理手段が生成した前記高解像度画像を記録する記録手段と、前記内視鏡先端部を湾曲させる湾曲手段と、前記湾曲手段を駆動制御する湾曲制御手段と、前記湾曲制御手段が前記内視鏡先端部の湾曲を一旦停止させるように前記湾曲手段を駆動制御した後に、前記湾曲制御手段が前記湾曲手段を駆動制御して前記内視鏡先端部を自動的に少量湾曲させつつ、前記高解像処理手段が前記画像を複数枚取得して複数枚の当該画像から1枚の前記高解像度画像を生成するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする内視鏡装置である。
【0014】
また、本発明の内視鏡装置において、前記制御手段は、前記内視鏡先端部を自動的に少量湾曲させるように前記湾曲制御手段を制御する際に、前記内視鏡装先端部が直交する2軸方向にそれぞれ湾曲するように前記湾曲制御手段を制御し、前記直交する2軸方向のそれぞれに前記内視鏡先端部が湾曲した際に、少なくとも1枚以上前記画像を取得するように前記高解像処理手段を制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の内視鏡装置において、前記制御手段は、前記直交する2軸のうち、第1の軸方向に前記内視鏡先端部が湾曲した際に取得する前記画像の枚数と、第2の軸方向に前記内視鏡先端部が湾曲した際に取得する前記画像の枚数とが同じ枚数となるように前記高解像処理手段を制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の内視鏡装置において、前記制御手段は、前記内視鏡先端部を自動的に少量ずつ複数回湾曲させるように前記湾曲制御手段を制御し、当該制御の際に、一回の湾曲における当該内視鏡先端部の移動量が常に同じ移動量となるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮像手段は、内視鏡先端部に配置された対物レンズより取り込んだ被写体像を、イメージセンサにて光電変換して信号を取得する。また、映像信号処理手段は、撮像手段で得られた信号の処理を行い、画像を生成する。また、高解像処理手段は、映像信号処理手段が生成した画像を複数枚取得し、複数枚の当該画像から1枚の高解像度画像を生成する。また、記録手段は、高解像処理手段が生成した高解像度画像を記録する。また、湾曲手段は、内視鏡先端部を湾曲させる。また、湾曲制御手段は、湾曲手段を駆動制御する。また、制御手段は、湾曲制御手段が内視鏡先端部の湾曲を一旦停止させるように湾曲手段を駆動制御した後に、湾曲制御手段が湾曲手段を駆動制御して内視鏡先端部を自動的に少量湾曲させつつ、高解像処理手段が画像を複数枚取得して複数枚の当該画像から1枚の高解像度画像を生成するように制御する。
【0018】
これにより、高解像処理手段は、被写体の位置が微妙にずれた複数枚の画像を常に安定して自動的に取得することができ、この複数枚の画像を用いて1枚の高解像度画像を生成することができる。従って、内視鏡装置は、ユーザの操作負担を軽減させつつ、より高精度な高解像度画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態における内視鏡装置の構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態における高解像処理手段の構成を示したブロック図である。
【図3】本実施形態における内視鏡装置が実行する高解像処理の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における内視鏡装置の構成を示したブロック図である。図示する例では、内視鏡装置101は、細長の挿入部102と、本体部103と、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)130とを有する。また、本体部103には記録媒体132が取り付け可能となっており、記録媒体132に、内視鏡装置101が撮影した静止画像や動画像などを記録することが可能となっている。
【0021】
挿入部102は、対物レンズ127と、CCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)104(撮像手段)と、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)106と、ワイヤー固定部119とを有する。対物レンズ127と、CCD104と、LED106と、ワイヤー固定部119とは、挿入部102の先端部128(内視鏡先端部)に配置されている。
【0022】
本体部103は、CCDドライブ回路105と、プリアンプ131と、画像処理手段107(映像信号処理手段)と、AFE(Analog Front End、アナログフロントエンド)109と、システム制御手段110(制御手段)と、ユーザインターフェース111と、LEDドライブ回路113と、UD(上下)湾曲モータ120と、RL(左右)湾曲モータ121と、湾曲制御手段122と、高解像処理手段114と、画像記録手段115(記録手段)と、LCDコントローラ117とを有する。また、内視鏡装置101は、挿入部102の先端部128を上下左右に湾曲させるための4本のワイヤー123〜126を有する。
【0023】
ユーザインターフェース111は、スイッチや内視鏡先端湾曲用ジョイスティックなどを備え、ユーザからの指示を受け付け、受け付けた入力に基づいた信号をシステム制御手段110に入力する。ユーザからの指示としては、例えば、ズーム倍率の指示や、撮像する画像の明るさの指示や、LED106の点灯および消灯の指示や、挿入部102の先端部128の湾曲の指示や、記録媒体132に画像を記録させる指示や、LCD130への画像の表示指示などがある。
【0024】
システム制御手段110は、ユーザインターフェース111から入力された信号に基づいた処理を実行するように、内視鏡装置101が有する各部の制御を行う。例えば、ユーザインターフェース111が、ズーム倍率を指示する入力や、撮像する画像の明るさを指示する入力を受け付けた場合、システム制御手段110は、ユーザインターフェース111が受け付けた入力に基づいた処理を実行するように、画像処理手段107を制御する。また、ユーザインターフェース111が、LED106の点灯および消灯を指示する入力を受け付けた場合、システム制御手段110は、ユーザインターフェース111が受け付けた入力に基づいた処理を実行するように、LEDドライブ回路113を制御する。また、ユーザインターフェース111が、挿入部102の先端部128の湾曲を指示する入力を受け付けた場合、システム制御部110は、ユーザインターフェース111が受け付けた入力に基づいた処理を実行するように、湾曲制御手段122を制御する。また、ユーザインターフェース111が、記録媒体132への画像の記録を指示する入力や、LCD130への画像の表示を指示する入力を受け付けた場合、システム制御手段110は、ユーザインターフェース111が受け付けた入力に基づいた処理を実行するように、画像記録手段115を制御する。
【0025】
ワイヤー固定部119は、挿入部102の先端部128を上下左右に湾曲させるための4本のワイヤー123〜126を固定する。4本のワイヤー123〜126のうち、挿入部102の先端部128を上下方向に湾曲させるための2本のワイヤー123,124は、UD湾曲モータ120に接続されている。また、挿入部102の先端部128を左右方向に湾曲させるための2本のワイヤー125,126は、RL湾曲モータ121に接続されている。
【0026】
UD湾曲モータ120及びRL湾曲モータ121は、湾曲制御手段122に接続されている。湾曲制御手段122はシステム制御手段110と接続されている。湾曲制御手段122は、システム制御手段110から入力される上下方向湾曲信号に基づいてUD湾曲モータ120の駆動を制御し、システム制御手段110から入力される左右方向湾曲信号に基づいてRL湾曲モータ121の駆動を制御する。UD湾曲モータ120は、湾曲制御手段122の制御に基づいて、2本のワイヤー123,124を牽引することで挿入部102の先端部128を上下方向に湾曲させる。また、RL湾曲モータ121は、湾曲制御手段122の制御に基づいて、2本のワイヤー125,126を牽引することで挿入部102の先端部128を左右方向に湾曲させる。
【0027】
この構成により、ユーザが、ユーザインターフェース111が備える内視鏡先端湾曲用ジョイスティックを上下方向に傾倒させると、システム制御手段110は湾曲制御手段122に上下方向湾曲指示信号を送信する。湾曲制御手段122は受信した上下方向湾曲指示信号に基づいてUD湾曲モータ120を駆動制御してUD湾曲モータ120に接続されているワイヤー123,124を牽引する。これにより、内視鏡装置101は、挿入部102の先端部128を上下方向に湾曲させることができる。左右方向の湾曲も同様に、ユーザが、内視鏡先端湾曲用ジョイスティックを左右方向に傾倒させると、システム制御手段110は湾曲制御手段122に左右方向湾曲指示信号を送信する。湾曲制御手段122は受信した左右方向湾曲指示信号に基づいてRL湾曲モータ121を駆動制御してRL湾曲モータ121に接続されているワイヤーを牽引する。これにより、内視鏡装置101は、挿入部102の先端部128を左右方向に湾曲させることができる。なお、UD湾曲モータ120とRL湾曲モータ121とは、本発明の湾曲手段に相当する。
【0028】
LED106は、ケーブルを通してLEDドライブ回路113と接続されている。LEDドライブ回路113は、システム制御手段110と接続されている。LEDドライブ回路113は、システム制御手段110から入力されるLED点灯信号に基づいて、LED106の点灯および消灯を制御する。LED106は、LEDドライブ回路113の制御に基づいて点灯および消灯する。
【0029】
対物レンズ103は、LED106に照明された被写体の像をCCD104の受光面に結像する。CCD104は、複合同軸ケーブルにより、CCDドライブ回路105及びプリアンプ131に接続されている。CCDドライブ回路105は、画像処理手段107内に設けられているタイミングジェネレータより、CCD104を駆動するためのタイミング信号を受信する。そして、CCDドライブ回路105は、受信したタイミング信号に対してCCD104までの伝送路長(複合同軸ケーブルの長さ)に応じたドライブ処理を施して、CCD駆動信号としてCCD104に伝送する。
【0030】
CCD104は、伝送されたCCD駆動信号のタイミングに基づいて受光面に結像された光を光電変換し、光電変換した信号をCCD出力信号として出力する。CCD104が出力したCCD出力信号は、複合同軸ケーブルにてプリアンプ131に入力される。プリアンプ131は、複合同軸ケーブルでの伝送により減衰した信号レベルを補うためにCCD出力信号を増幅する。プリアンプ131にて増幅されたCCD出力信号はAFE109に入力される。AFE109は、入力されたCCD出力信号に対して、CDS処理(相関2重サンプリング処理)や、AGC処理(オートゲイン処理)や、AD変換処理(アナログ/デジタル変換処理)を行う。AFE109で処理されたCCD出力信号は、画像処理手段107に入力される。画像処理手段107は、システム制御手段110の制御に基づいて、入力されたCCD出力信号に対して、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、輪郭補正、電子ズーム処理、色補正、コントラスト補正、AE制御、等の各種カメラ信号処理を行い、画像データを生成する。
【0031】
画像処理手段107が生成した画像データは高解像処理手段114に入力される。高解像処理手段114は、画像データに基づいた画像を複数枚用いて1枚の高解像度画像を生成する高解像処理を行う。また、画像処理手段107は、入力された画像データや生成した高解像度画像の高解像度画像データを画像記録手段115に出力する。
【0032】
画像記録手段115は、入力された画像データや高解像度画像データをLCDコントローラ117に出力する。また、画像記録手段115は、LCD130に表示する画像を静止画とするフリーズ処理を行う。また、画像記録手段115は、入力された画像データや高解像度画像データを、エンコーダにて圧縮し、静止画像データもしくは動画像データとして記録媒体106に記録する。この画像記録動作は、ユーザインターフェース111からの入力に基づいて、システム制御手段110が記録信号を画像記録手段115に送信し、画像記録手段115が記録信号を受信した場合に行われる。
【0033】
なお、内視鏡装置101は、画像記録手段115がフリーズ処理を行った後に画像の記録を行う場合には静止画の撮影を行い、フリーズ処理を行わずに画像の記録を行う場合には動画像の撮影を行う。また、画像記録手段115は、記録媒体132から静止画像データや動画像データを読み出し、デコーダにて伸張してLCDコントローラ117に出力する画像再生動作を行う。この画像再生動作は、システム制御手段110がユーザインターフェース111から画像表示信号を受信した場合に行われる。
【0034】
LCDコントローラ117は、画像記録手段115から入力された各種画像データに対して、接続されているLCD130に最適な画像処理(ガンマ補正、スケーリング、RGB変換など)を施し、LCD130に出力する。LCD130は、入力された画像データに基づいて画像を表示する。
【0035】
次に、高解像処理手段114の詳細な構成および動作について説明する。図2は、本実施形態における高解像処理手段114の構成を示したブロック図である。図示する例では、高解像処理手段114は、高解像処理回路201と、切り替え回路202と、メモリコントローラ203と、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)204とを有する。高解像処理回路201は、複数枚の画像データを用いて高解像度画像データを生成する。切り替え回路202は、画像処理手段107から入力された画像データと、高解像処理回路201が生成した高解像度画像データとのいずれかのデータを画像記録手段115に出力する。メモリコントローラ203は、データをRAM204へ格納する制御を行う。RAM204は、データを格納する。
【0036】
高解像処理手段114には、画像処理手段107より出力された画像データが入力される。高解像処理手段114に入力された画像データは分岐して、高解像処理回路201と切り替え回路202とに入力される。高解像処理回路201は、システム制御手段110より画像取得信号を受信すると、画像取得信号を受信した際に入力されている画像データを、メモリコントローラ203を介してRAM204に格納する。高解像処理回路201は、繰り返し画像取得信号を受信した場合、画像取得信号を受信した際に入力されている画像データを、メモリコントローラ203を介してRAM204の別アドレスに格納する。また、高解像処理回路201は、システム制御手段110より高解像処理開始信号を受信すると、RAM204に格納された複数枚の画像データを用いて高解像度画像データを生成し、切り替え回路202に対して、生成した高解像度画像データを出力する。切り替え回路202は、システム制御手段110からの指示に応じて、画像処理手段107から入力された画像データと、高解像処理回路201が生成した高解像度画像データとのいずれかを画像記録手段115に出力する。
【0037】
この構成により、高解像処理手段114は、複数枚の画像データを取得してRAM204に格納することができる。また、高解像処理手段114は、RAM204に格納した複数枚の画像データを用いて高解像度画像データを生成することができる。
【0038】
次に、内視鏡装置101が実行する高解像処理の処理手順について説明する。図3は、本実施形態における内視鏡装置101が実行する高解像処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0039】
システム制御手段110は、高解像処理手段114が備える切り替え回路202の入力チャンネルを画像処理手段107からの入力とし、通常観察画像をLCD130に表示させる(ステップS301)。通常観察画像の表示中に、ユーザインターフェース111が有するフリーズスイッチが押下されると、システム制御部110は、画像記録手段115に対して、フリーズ信号を送信する。画像記録手段115はフリーズ信号を受信すると、LCD130に表示している通常観察画像をフリーズさせる。(ステップS302)。
【0040】
次に、システム制御部110は、高解像モードがメニューにて選択されているか否かを判定する。システム制御手段110は、高解像モードが選択されていると判定した場合には、ステップS304の処理に進み、高解像モードが選択されていないと判定した場合にはステップS315の処理に進む(ステップS303)。なお、ユーザは、ユーザインターフェース111を操作することで、高解像モードの選択を任意に行うことができる。
【0041】
システム制御手段110は、高解像モードが選択されていると判定した場合には、湾曲制御手段122に対して、挿入部102の先端部128の湾曲状態を保持する湾曲ロック信号を送信する。湾曲制御手段122は、湾曲ロック信号を受信した場合、UD湾曲モータ120とRL湾曲モータ121との駆動状態を維持して、挿入部102の先端部128の湾曲が、ユーザインターフェース111が受け付ける操作によって変化しないように湾曲ロックをかける(ステップS304)。
【0042】
続いて、システム制御手段110は、湾曲制御手段122に対して湾曲動作を指示する(ステップS305)。湾曲制御手段122は、システム制御手段110の制御に基づいて、挿入部102の先端部128を上方向または下方向に湾曲させるように、UD湾曲モータ120を微小動作させる(ステップS306)。続いて、システム制御手段110は、高解像処理回路201に対して画像取得信号を送信する。高解像処理回路201は、メモリコントローラ203を介して、画像取得信号を受信した際に入力された画像データをRAM204に格納する(ステップS307)。
【0043】
ステップS306とステップS307の処理を複数回実施することで、挿入部102の先端部128を上下方向に少しずつ湾曲させた後に、高解像処理回路201が取得した複数枚の画像データがRAM204に格納される。なお、ステップS306およびステップS307の処理を実行して高解像処理回路201が取得する画像のずれとしては、先端部128が一番上向きに湾曲した際に取得した画像と、先端部128が一番下向きに湾曲した際に取得した画像とのずれが、半画素分から1画素分のずれとなることが望ましい。
【0044】
その後、先端部128を上下方向に湾曲させた回数によらず、ステップS302でフリーズ処理を行った際の被写体の位置を基準として先端部128を左右方向に湾曲させて画像を取得するために、システム制御手段110は、先端部128の湾曲状態を、ステップS302でフリーズ処理を行った直後の湾曲状態に戻すように湾曲制御手段122を制御する(ステップS308)。
【0045】
次に、湾曲制御手段122は、システム制御手段110の制御に基づいて、挿入部102の先端部128を右方向または左方向に湾曲させるように、RL湾曲モータ121を微小動作させる(ステップS309)。続いて、システム制御手段110は、高解像処理回路201に対して画像取得信号を送信する。高解像処理回路201は、メモリコントローラ203を介して、画像取得信号を受信した際に入力された画像データをRAM204に格納する(ステップS310)。
【0046】
ステップS309とステップS310の処理を複数回実施することで、挿入部102の先端部128を左右方向に少しずつ湾曲させた後に高解像処理回路201が取得した画像データがRAM204に格納される。なお、ステップS309およびステップS310の処理を実行して取得する画像データのずれとしては、先端部128が一番右向きに湾曲した際に取得した画像と、先端部128が一番左向きに湾曲した際に取得した画像とのずれが、半画素分から1画素分のずれとなることが望ましい。
【0047】
ステップS304〜ステップS310の処理により、内視鏡装置101は、高解像度画像を生成するための複数枚の画像を、自動的に、常に安定して取得することができる。なお、ステップS304〜ステップS310で取得する画像の枚数は、上下左右の各方向で同じ枚数を取得することが望ましい。また、高解像処理回路201が画像を取得する前に、湾曲制御手段122は先端部128を湾曲させるが、先端部128を湾曲させる量が一定となるように制御することが望ましい。すなわち、複数枚の画像を取得する前に先端部128を少量ずつ複数回湾曲させるが、一回の湾曲における先端部128の移動量が常に同じ移動量となるように制御することが望ましい。
【0048】
次に、RAM204に格納されている複数枚の画像データを元に、高解像処理回路201が1枚の高解像度画像を生成し、切り替え回路202に高解像度画像データとして出力する(ステップS311)。次に、システム制御手段110は、切り替え回路202の入力チャンネルを、画像処理手段107からの入力から高解像処理回路201からの入力に切り替える。さらに、システム制御手段110は、画像記録手段115にフリーズ解除信号を送信してフリーズを解除する。また、画像記録手段115は、LCDコントローラ117に高解像度画像を出力する。これにより、LCDコントローラ117はLCD130に高解像度画像を表示させることができる(ステップS312)。
【0049】
以下、ステップS313の処理について説明する。ステップS303の処理で、高解像モードが選択されていると判定された場合、LCD130にはステップS311で生成した高解像度画像が表示されている。また、ステップS303の処理で、高解像モードが選択されていないと判定された場合、LCD130にはステップS302でフリーズ制御を行った際の通常観察画像が表示されている。
【0050】
ユーザは、LCD130に表示されている高解像度画像または通常観察画像が所望の画像であるか否かを確認した上で、LCD130に表示されている高解像度画像または通常観察画像を記録媒体132に記録するか否かを指示することが出来る。ユーザは、LCD130に表示された高解像度画像または通常観察画像が所望の画像であれば、ユーザインターフェース111の記録ボタンを押下することで、高解像度画像または通常観察画像を記録媒体132に記録させることができる。具体的な処理としては、ユーザインターフェース111の記録ボタンが押下されると、システム制御手段110は、画像記録手段115を制御して、LCD130に表示している高解像度画像または通常観察画像をエンコーダにより圧縮して記録媒体132に記録させた後、ステップS315の処理に進む(ステップS313、ステップS314)。一方、ユーザは、LCD130に表示された高解像度画像または通常観察画像が所望の画像でなければ、ユーザインターフェース111の解除ボタンを押下することで、システム制御手段110は、ステップS315の処理に進む(ステップS313)。
【0051】
LCD130に高解像度画像が表示されている場合、システム制御手段110は、切り替え回路202の入力チャンネルを、高解像処理回路201からの入力から画像処理手段107からの入力に切り替え、ステップS301の処理に戻る。また、LCD130にフリーズした通常観察画像が表示されている場合、システム制御部110は、画像記録手段115に対して、フリーズ解除信号を送信する。画像記録手段115はフリーズ解除信号を受信すると、LCD130に表示している通常観察画像のフリーズを解除する。その後、ステップS301の処理に戻る(ステップS315)。
【0052】
上述したとおり、本実施形態によれば、システム制御手段110は、自動的に挿入部102の先端部128を少量湾曲させつつ画像データを複数枚取得するように、高解像処理手段114と湾曲制御手段122とを制御する。そして、高解像処理手段114は、取得した複数枚の画像データを用いて1枚の高解像度画像データを生成する。これにより、高解像処理手段114は、被写体の位置が微妙にずれた複数枚の画像を常に安定して自動的に取得することができ、この複数枚の画像を用いて1枚の高解像度画像を生成することができる。従って、内視鏡装置101は、ユーザの操作負担を軽減させつつ、より高精度な高解像度画像を取得することができる。
【0053】
なお、上述した実施形態では、高解像度画像データを生成するために用いる画像を取得する際に、ユーザインターフェース111に入力される操作によって先端部128の湾曲が変化しないように湾曲ロックをかけたが、湾曲ロックをかけずに、ユーザに対して挿入部102を動かさないように注意する表示をLCD130に表示するようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、ワイヤーを牽引して挿入部102の先端部128を湾曲させるワイヤー湾曲方式を用いる内視鏡装置101を例として説明したが、これに限らない。例えば、ワイヤーの代わりにチューブを備え、チューブに印加する空気圧を変化させることで挿入部102の先端部128を湾曲させる空気圧湾曲方式を用いた内視鏡装置であってもよい。また、被写体の位置が微妙にずれた複数枚の画像を取得する際に挿入部102の先端部128を湾曲させる方向を、上下左右方向として説明したがこれに限らず、挿入部102の先端部128を湾曲させる方向は直行する2軸方向であれば、上下左右方向でなくてもよい。
【0055】
以上、この発明の一実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
101・・・内視鏡装置、102・・・挿入部、103・・・本体部、104・・・CCD、105・・・CCDドライブ回路、106・・・LED、107・・・画像処理手段、109・・・AFE、110・・・システム制御手段、111・・・ユーザインターフェース、113・・・LEDドライブ回路、114・・・高解像処理手段、115・・・画像記録手段、117・・・LCDコントローラ、119・・・ワイヤー固定部、120・・・UD湾曲モータ、121・・・RL湾曲モータ、122・・・湾曲制御手段、123〜126・・・ワイヤー、127・・・対物レンズ、128・・・先端部、130・・・LCD、131・・・プリアンプ、132・・・記録媒体、201・・・高解像処理回路、202・・・切り替え回路、203・・・メモリコントローラ、204・・・RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡先端部に配置された対物レンズより取り込んだ被写体像を、イメージセンサにて光電変換して信号を取得する撮像手段と、
前記撮像手段で得られた信号の処理を行い、画像を生成する映像信号処理手段と、
前記映像信号処理手段が生成した画像を複数枚取得し、複数枚の当該画像から1枚の高解像度画像を生成する高解像処理手段と、
前記高解像処理手段が生成した前記高解像度画像を記録する記録手段と、
前記内視鏡先端部を湾曲させる湾曲手段と、
前記湾曲手段を駆動制御する湾曲制御手段と、
前記湾曲制御手段が前記内視鏡先端部の湾曲を一旦停止させるように前記湾曲手段を駆動制御した後に、前記湾曲制御手段が前記湾曲手段を駆動制御して前記内視鏡先端部を自動的に少量湾曲させつつ、前記高解像処理手段が前記画像を複数枚取得して複数枚の当該画像から1枚の前記高解像度画像を生成するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記内視鏡先端部を自動的に少量湾曲させるように前記湾曲制御手段を制御する際に、前記内視鏡装先端部が直交する2軸方向にそれぞれ湾曲するように前記湾曲制御手段を制御し、前記直交する2軸方向のそれぞれに前記内視鏡先端部が湾曲した際に、少なくとも1枚以上前記画像を取得するように前記高解像処理手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記直交する2軸のうち、第1の軸方向に前記内視鏡先端部が湾曲した際に取得する前記画像の枚数と、第2の軸方向に前記内視鏡先端部が湾曲した際に取得する前記画像の枚数とが同じ枚数となるように前記高解像処理手段を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記内視鏡先端部を自動的に少量ずつ複数回湾曲させるように前記湾曲制御手段を制御し、当該制御の際に、一回の湾曲における当該内視鏡先端部の移動量が常に同じ移動量となるように制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−120578(P2012−120578A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271597(P2010−271597)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】