処置内視鏡
【課題】処置用腕部を含めた体腔内挿入部側部分を操作部側部分から分離可能な構成とすることにより、処置用腕部を備えた体腔内挿入部を交換可能なものとして、体腔内挿入部の耐久性を考慮しながら操作部側部分を利用して処置内視鏡を有効に使用し続け得るようにすることにある。
【解決手段】体腔内挿入部12の先端部から突き出して湾曲可能な処置用腕部33,34を設け、体腔内挿入部12に対して操作部19,22を着脱するための操作部着脱部A,B,Cを設け、さらに体腔内挿入部12には観察ユニット200を着脱するための挿通路71を備えた処置内視鏡10。
【解決手段】体腔内挿入部12の先端部から突き出して湾曲可能な処置用腕部33,34を設け、体腔内挿入部12に対して操作部19,22を着脱するための操作部着脱部A,B,Cを設け、さらに体腔内挿入部12には観察ユニット200を着脱するための挿通路71を備えた処置内視鏡10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲部を有した腕部を挿入部の先端から突き出して設けた処置内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
湾曲部及び蛇管を有した挿入部の先端に湾曲部付き腕部を設けた処置内視鏡としては特開2005−95590号公報(特許文献1)に提案されている。この処置内視鏡では挿入部の先端から突き出した湾曲部付きの処置用腕部により体腔内において生体組織を切開・切除・縫合等の処置を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−95590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処置内視鏡では挿入部の先端から突き出して設けた湾曲部付きの処置用腕部により体腔内の生体組織を持ち上げたり動かしたりするため、切開・切除・縫合等の比較的複雑な処置を容易に行うことが可能である。
しかし、挿入部の先端から突き出した湾曲部付きの処置用腕部は一般に内視鏡の挿入部よりも細い径の管状の部材として形成することになる。このため、細い湾曲部付きの処置用腕部に加わる負担の割合はかなり大きくなる。しかも、湾曲部付きの処置用腕部を細い径の管状の部材として形成することからその腕部の強度を高めることは困難である。このようなことから、処置内視鏡では、強い湾曲作用力等が加わる処置用腕部のアングル耐性や繰り返しアングルライフ等の耐久性を確保する上で課題となっていた。
【0005】
本発明は、前記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、湾曲機構を有した腕部を含めた体腔内挿入部側の構成部を、操作部側の構成部から分離可能な構成とすることにより、湾曲機構を有した処置用腕部を備えた体腔内挿入部側の構成部を交換可能な形態とし、体腔内挿入部の耐久性を考慮しながら使用できるとともに前記操作部側の構成部を再利用可能として処置内視鏡の有効活用を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、先端側部位に本体湾曲部を設けた体腔内挿入部と、前記本体湾曲部より先端側に位置して前記体腔内挿入部の先端部に該先端部から突き出すように設けられた、湾曲機構を有した一つ以上の処置用腕部と、前記体腔内挿入部の基端側に設けられた操作部と、前記体腔内挿入部の先端部に設けられる体腔内の視野を撮像する撮像部と、前記体腔内挿入部に対し前記操作部を着脱するための操作部着脱手段と、前記体腔内挿入部に対し前記撮像部を着脱するための撮像部着脱手段と、を具備したことを特徴とする処置内視鏡である。
請求項2に係る発明は、少なくとも一つの前記処置用腕部は、基端側に位置して設けられた2方向に湾曲可能な第1湾曲機構と、前記第1湾曲機構よりも先端側に位置して前記腕部に設けられた4方向に湾曲可能な第2湾曲機構と、を具備したことを特徴とする請求項1に記載の処置内視鏡である。
請求項3に係る発明は、別々の動きで独立して湾曲する二つ以上の処置用腕部を有することを特徴とする請求項1に記載の処置内視鏡である。
請求項4に係る発明は、前記操作部は、前記本体湾曲部を湾曲操作するための本体操作部と、前記処置用腕部の湾曲機構を湾曲操作するための腕部操作部と、を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の処置内視鏡である。
請求項5に係る発明は、前記操作部着脱手段は、前記本体操作部を前記体腔内挿入部に着脱するための本体操作部着脱手段と、前記腕部操作部を前記体腔内挿入部に着脱するための腕部操作部着脱手段と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の処置内視鏡である。
請求項6に係る発明は、前記体腔内挿入部の基端側に本体操作部と前記腕部操作部とを分離する分岐部を設けたことを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の処置内視鏡である。
請求項7に係る発明は、前記分岐部は、前記操作部着脱手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の処置内視鏡である。
請求項8に係る発明は、前記分岐部は、送気/送水チューブの管状部材と、電源ケーブル及び信号ケーブルを束ねたユニバーサルコードとを、前記体腔内挿入部から分岐させることを特徴とする請求項6に記載の処置内視鏡である。
請求項9に係る発明は、前記撮像部は、撮像部ケーブルを備え、前記撮像部ケーブルは、前記ユニバーサルコードと一体化したことを特徴とする請求項8に記載の処置内視鏡である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、処置用腕部を含めた体腔内挿入部側の部材を操作部側の部材から分離して交換できるようになるので、処置用腕部を含めた体腔内挿入部側部分を更新可能である。したがって、体腔内挿入部の耐久性を考慮しながら必要な場合は体腔内挿入部を交換し、操作部側の構成部材は再利用して有効に活用し得る。処置用腕部を含めた体腔内挿入部側部分を分離して残る操作部側の構成部分について再使用(リユース)とすることが可能であるから、処置内視鏡全体を廃棄する場合に比べ、処置内視鏡を使用する一回当たりの手術コストを低減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る処置内視鏡全体を概略的に示す斜視図。
【図2】同じ実施の形態に係る処置内視鏡本体の全体を概略的に示す説明図。
【図3】前記実施の形態に係る処置内視鏡の先端付近を、腕部が待機位置にある状態で示す斜視図。
【図4】前記実施の形態に係る処置内視鏡の先端付近を、腕部が広がった動作状態で示す斜視図。
【図5】前記実施の形態に係る処置内視鏡の腕部の変形例を示し、腕部が広がった動作状態で処置内視鏡の先端付近を示す斜視図。
【図6】前記実施の形態に係る処置内視鏡全体の各要素の関係を概略的に示す説明図。
【図7】前記実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部の一例を切り離した状態で概略的に示した斜視図。
【図8】前記実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部の一例を切り離した状態で概略的に示した斜視図。
【図9】同実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部におけるワイヤー類の着脱部の構造を示す説明図。
【図10】前記実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部におけるワイヤー類の他の着脱構造を示す説明図。
【図11】前記実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部におけるワイヤー類ついての更に異なる他の着脱部を切り離した状態で示す説明図。
【図12】同実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部におけるワイヤー類についての着脱部を連結した状態で示す説明図。
【図13】同実施の形態に係る処置内視鏡の着脱部におけるワイヤー類の切り離し状態の説明図。
【図14】(A)(B)(C)(D)は同実施の形態に係る処置内視鏡の着脱部におけるワイヤー類の連結手順を順番に示す説明図。
【図15】(A)(B)は前記実施の形態に係る処置内視鏡の着脱部におけるワイヤー類の更に異なる他の着脱構造の切り離し状態での説明図。
【図16】同実施の形態に係る処置内視鏡の着脱部におけるワイヤー類の連結状態での説明図。
【図17】同実施の形態に係る処置内視鏡の着脱部におけるワイヤー類の切り離し状態を示す斜視図。
【図18】本発明の更に異なる他の実施の形態に係る処置内視鏡全体を概略的に示す斜視図。
【図19】本発明の他の実施の形態に係る処置内視鏡全体の各要素の関係を概略的に示す説明図。
【図20】本発明のさらに他の実施の形態に係る処置内視鏡全体の各要素の関係を概略的に示す説明図。
【図21】本発明の更に異なる他の実施の形態に係る処置内視鏡全体を概略的に示す斜視図。
【図22】本発明の更に異なる他の実施の形態に係る処置内視鏡全体を概略的に示す斜視図。
【図23】(A)(B)(C)は本発明の更に異なる他の実施の形態に係る処置内視鏡を異なる向きから見て示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、図1から図17を用いて一つの形態の処置内視鏡について詳細に説明する。
【0010】
処置内視鏡10は、図1及び図2に示すように、内視鏡本体100と、観察ユニット(撮像部)200とを備える。内視鏡本体100は、体腔内に挿入される体腔内挿入部12と、この体腔内挿入部12の基端部に接続された第1分岐部14と、この第1分岐部14から分岐して後方へ向けて別々に延出した2つの長尺な可撓性管状部材によってそれぞれ形成された第1延出部16及び第2延出部17と、前記第1延出部16の延出先端に配設された第1操作部(本体操作部)19と、前記第2延出部17の延出先端に設けられた第2分岐部20を介してさらに延びる2本の分岐ケーブル21の延出先端を接続した第2操作部(腕部操作部)22と、第1操作部19から延出されたユニバーサルコード23と、このユニバーサルコード23の延出先端に設けられた接続コネクタ24とを含み構成されている。接続コネクタ24には送気・送水用接続管25、吸引管26及び照明光ガイド管27が設けられている。接続コネクタ24は光源装置等の外部コンソールに対し着脱可能に接続される。そして接続コネクタ24を光源装置等の外部コンソールに接続したとき、送気・送水用接続管25、吸引管26及び照明光ガイド管27はそれらが対応する光源、送水源、吸引源等の機能部に接続される。
【0011】
接続コネクタ24には信号ケーブル44が接続され、信号ケーブル44の延出先端には撮像用コネクタ45が設けられている。撮像用コネクタ45は図示しない別の外部コンソールとしてのカメラコントロールユニットに対して着脱自在に接続可能である。
【0012】
第1操作部19は術者が手で握持しながら操作可能な部分を備え、この第1操作部19には体腔内挿入部12における後述する第3湾曲部を湾曲操作するための湾曲操作手段としての湾曲操作ノブ(ハンドル)28と、処置具挿通用チャンネルの挿入口29と、後述する送気送水用操作ボタン66と、吸引用操作ボタン67と、撮像部ユニット200の撮像動作制御用のスイッチ68とが設けられている。
【0013】
図1及び図2に示すように、体腔内挿入部12はその主体となる挿入部本体13と、この挿入部本体13の先端から前方へ突き出した少なくとも一本以上の処置用腕部33,34を含み構成されている。挿入部本体13は図1及び図2に示すように、最先端に位置した硬質部(先端部)41と、この硬質部41の基端に接続して配置された湾曲部(本体湾曲部)42と、この湾曲部42の基端に接続して配設された蛇管部(本体可撓管部)43とを備える。処置用腕部33,34は挿入部本体13の先端に基端を連結して挿入部本体13の先端に支持されている。一対の処置用腕部33,34は挿入部本体13の先端から前方へ突き出して左右に並べて配置され、図3に示す配置状態を待機位置としている。
【0014】
図2及び図3に示すように、一対の処置用腕部33,34はいずれも最先端に位置する第1硬質部(先端部)36と、この第1硬質部36の基端に接続して配置された第1湾曲部(第1腕部湾曲部)37と、この第1湾曲部37の基端に接続して配置されかつ挿入部本体13の先端に基端を連結した第2湾曲部(第2腕部湾曲部)38とを備える。第1湾曲部37および第2湾曲部38は一般的な内視鏡の湾曲部構造と同様のもので湾曲機構を構成することが可能であり、後述する操作ユニット31により押し引き操作される操作ワイヤーにより個別的に湾曲され得るようになっている。
【0015】
図1に示すように、操作ユニット31には各処置用腕部33,34にそれぞれ対応した2つの操作ハンドル46,47が設けられている。各操作ハンドル46,47はそれぞれが対応する腕部33,34における2つの湾曲部37,38をそれぞれ個別に操作するように構成されている。つまり、操作ハンドル46を操作することにより腕部33における湾曲部37,38を個別に操作できる。また、操作ハンドル47を操作することにより腕部34における2つの湾曲部37,38を個別に操作できる。図3は左右の処置用腕部33,34の湾曲部37,38を湾曲させない待機状態である。図4は左右の処置用腕部33,34の湾曲部37,38をそれぞれ湾曲させて処置用腕部33,34を左右に広げた処置作業時の一つの状態を示している。
【0016】
内視鏡本体100には上述した湾曲操作用ワイヤー(図示せず)が、第2操作部22から分岐ケーブル21,21および第2延出部17を経て、挿入部本体13から腕部33,34にわたり挿通されている。第2操作部22の操作ハンドル46,47を操作してそれぞれの湾曲操作用ワイヤーを牽引することによりそれらが対応した処置用腕部33,34の湾曲機構を駆動して処置用腕部33,34の湾曲部37,38を湾曲できる。
【0017】
体腔内挿入部12には腕部33,34の数に応じた数の処置具誘導用チャンネルが、腕部33,34から挿入部本体13、第2延出部17、第2分岐部20及び分岐ケーブル21にわたり形成されている。処置具誘導用チャンネルの一つはそれに対応した腕部33の先端に形成した第1チャンネル開口48に連なり、他の処置具誘導用チャンネルはそれに対応した腕部34の先端に形成した第2チャンネル開口49に連なっている(図3及び図4参照)。
【0018】
図1に示すように、操作ユニット31の本体には一方の処置用腕部33に対応した処置具誘導用チャンネルに通じる第1挿入口51と、他方の処置用腕部34に対応した処置具誘導用チャンネルに通じる第2挿入口52とが設けられている。これらのチャンネルは腕部用処置具を挿脱するために利用するだけでなく、腕部33,34の先端から体腔内への送水や薬液の注入または吸引等を行うなど、他の目的にも利用が可能である。
【0019】
上述した第1腕部33及び第2腕部34は処置具誘導用チャンネルに連通する開口を形成した形態の処置用腕部としたが、例えば、図5に示すように、第1腕部33の先端部を鉗子形式等の処置部53とし、第2腕部34の先端部に観察部56と照明口57を設けた観察機能部58を持たせるようにしたものとしてもよい。
【0020】
図3及び図4に示すように、体腔内挿入部12の先端面部には第1腕部33及び第2腕部34を避けて一対の照明窓61と、後述する観察ユニット200の撮像部ユニット202の先端部分を内側に位置決め配置するための観察窓用開口62と、この観察窓用開口62に配置する撮像部ユニット202の先端に向けた送気・送水ノズル63と、挿入部本体用チャンネル口64とが設けられている。照明窓61は透明なカバーを兼ねた先端レンズを備えて構成されている。また、観察窓用開口62は外部に貫き抜けた開孔としたままでもよいが、開口部分を透明なカバーで閉塞するようにした観察窓としてもよい。
【0021】
図1及び図2に示すように、観察ユニット200は最先端に撮像部ユニット202を備えた挿入部203と、この挿入部203に接続されるケーブルユニット204と、ケーブルユニット204の基端に接続された観察ユニット用コネクタ206とを備える。挿入部203とケーブルユニット204の間には係着部205が設けられている。挿入部203は内視鏡本体100に形成した挿通路71に挿入される部分であり、挿入部203を挿通路71に対し所定位置まで挿入したとき、係着部205が挿通路71の差込み孔72に係着して撮像部ユニット202を位置決め保持し、撮像部ユニット202は観察窓用開口62に位置して固定的に装着される。これにより、体腔内挿入部12に対し、ユニット(撮像部)202を着脱するための撮像部着脱手段を構成している。
【0022】
また、観察ユニット用コネクタ206は接続コネクタ24に形成した差込み口30に差し込み挿入して接続される。そして、内視鏡本体100に撮像部ユニット202を装着した使用状態において、撮像部ユニット202で撮像して得た撮像信号は接続コネクタ24から信号ケーブル44を通じて、カメラコントロールユニットに送られる。カメラコントロールユニットで撮像信号を映像信号に変換し、図示しないモニタに観察像を表示する。
【0023】
次に、内視鏡本体100に対し観察ユニット200を着脱するための撮像部着脱手段の構造について具体的に説明する。すなわち、図2に示すように、体腔内挿入部12内には観察ユニット200を挿入する挿通路(経路)71が形成され、この挿通路71に対し、観察ユニット200の挿入部203を挿入して体腔内挿入部12に観察ユニット200を着脱自在に装着する挿通ガイド手段及び観察ユニット着脱手段(撮像部着脱手段)を構成する。
【0024】
ここで、挿通路71の先端は観察窓用開口62に連なり、挿通路71の基端は第1分岐部14に形成した差込み孔72に連なる。また、挿通路71は体腔内挿入部12内において他の内蔵物から隔離して配置したチューブや区画部材等によって体腔内挿入部12内に区画されて形成されている。また、差込み孔72の横断面形状を、撮像部ユニット202の横断面形状に合わせた形状とすることで、挿通路71に差し込む撮像部ユニット202の向きを定めて挿通路71に観察ユニット200の挿入部203を誘導する姿勢規制手段を構成している。挿通路71の先端部は撮像部ユニット202を観察窓用開口62に合わせて位置決めする収納室を形成する。この収納室でも撮像部ユニット202の設置する向きを規制する姿勢規制手段を構成する。また、挿通路71の途中部分は例えば柔軟性と膨縮性のある可撓性チューブによって形成し、他の内蔵物から隔離して形成するとよい。
【0025】
内視鏡本体100には各種の内蔵物が内蔵されている。内蔵物としては観察ユニット200を案内するためのガイドチューブの他、各チャンネルをそれぞれ形成する複数のチャンネルチューブ、挿入部本体13の湾曲部42や処置用腕部33,34の湾曲部37,38の湾曲機構をそれぞれ操作するための湾曲操作部材としてのワイヤー、これらのワイヤーを各ガイドするためのガイド部材、送気・送水ノズル63に通じる送気・送水チューブ、チャンネル口64に通じる処置具挿通用チャンネルを形成するチューブ、処置具挿通用チャンネルに通じる吸引チューブ、照明窓61に照明光を導くライドガイドまたは信号線等の導電線が挙げられる。
【0026】
そして、チャンネル口64に通じる処置具挿通用チャンネルを形成するチューブは、挿入部本体13の第1硬質部41から湾曲部42、蛇管部43、第1分岐部14、第1延出部16を経て第1操作部19の挿入口29まで導かれている。処置用腕部33,34のチャンネル48,49をそれぞれ形成する各チューブはそれぞれの処置用腕部33,34から挿入部本体13の硬質部41、湾曲部42、蛇管部43を経て、第1分岐部14に至り、更に第1分岐部14から第2延出部17、第2分岐部20、各分岐ケーブル21を経て第2操作部22の操作ユニット31における第1挿入口51と第2挿入口52までそれぞれ導かれている。挿入部本体13の湾曲部42の湾曲機構を操作するためのワイヤーは湾曲部42から蛇管部43、第1分岐部14、第1延出部16を経て第1操作部19に導かれている。処置用腕部33,34の湾曲部37,38の湾曲機構を操作するためのワイヤーは処置用腕部33,34から挿入部本体13の硬質部41、湾曲部42、蛇管部43、第1分岐部14、第2延出部17、第2分岐部20及び分岐ケーブル21を経て、第2操作部22の操作ユニット31に導かれている。送気・送水ノズル63に通じる送気・送水チューブは送気・送水ノズル63から挿入部本体13の硬質部41、湾曲部42、蛇管部43を経て更に第1分岐部14、第1延出部16、第1操作部19及びユニバーサルコード23を経て、接続コネクタ24の送気・送水用接続管25に接続されている。
【0027】
送気・送水ノズル63に対する送気・送水の制御は第1操作部19に設けた送気送水用操作ボタン66によって操作される切換え弁によって行われる。処置具挿通用チャンネル64に通じる吸引チューブは第1操作部19において処置具挿通用チャンネル64の途中に後述する吸引用操作ボタン67によって操作される切換え弁を介して接続されている。この吸引チューブは第1操作部19及びユニバーサルコード23を経て接続コネクタ24の吸引管26に接続されている。チャンネル64に対する吸引チューブの接続及び遮断の制御は第1操作部19に設けた吸引用操作ボタン67によって操作される切換え弁によって行われる。照明窓61に照明光を導くライドガイドは、ファイバーバンドルによって構成されている。このライドガイドは、硬質部41、湾曲部42、蛇管部43、第1分岐部14、第1延出部16、第1操作部19及びユニバーサルコード23を経て接続コネクタ24の照明光ガイド管27に接続されている。湾曲操作部材としてのワイヤーをガイドするためのガイド部材はガイドリングやガイドチューブ等によって形成されている。内蔵物としては上述したものの他に一般的な内視鏡において知られるところの各種の内蔵部材を含む。
【0028】
次に、処置内視鏡の操作部を体腔内挿入部から着脱可能とする操作部着脱手段について説明する。操作部着脱手段を設ける個所としては図1に示すように第1分岐部14に体腔内挿入部12を接続する接続部分A、第1延出部16に第1操作部19を接続する接続部分Bまたは第2延出部17に第2分岐部20を接続する接続部分Cの部分がまず考えられるが、延出部16,17の途中に設ける等、その箇所や数を限定するものではない。また、接続部分A,B,Cのすべてを設ける必要はない。延出部16,17の途中でもよい。もっとも、接続部分Aで体腔内挿入部12を操作部側から切り離すようにすれば、操作部19,22を一緒に纏めて体腔内挿入部12側から取り外すことが可能である。接続部分Bに操作部着脱手段を設けた場合は第1操作部19やユニバーサルコード23及び接続コネクタ24等を体腔内挿入部12側から取り外し可能である。接続部分Cに操作部着脱手段を設けた場合は第2分岐部20、分岐ケーブル21及び第2操作部22を体腔内挿入部12側から取り外し可能である。
【0029】
図6は、第1分岐部14に体腔内挿入部12を接続する接続部分Aに操作部着脱部80を設けた場合の構成を概念的に示した説明図である。
【0030】
操作部着脱部80としては例えば図7に示すように挿入部本体13の外装部材81と、第1分岐部14における外装部材82とが着脱可能な接続構造で連結されている。この接続構造としては、両部材81,82を着脱可能に連結できる種々の方式が考えられる。両部材81,82を接続したときにはその両部材81,82が所定の位置で位置決め固定されるとともに気密的に連結される構造とすることが望ましい。図7に示す一例では挿入部本体13の外装部材81の方に切欠き凹部83を設け、第1分岐部14における外装部材82には切欠き凹部83に密に嵌る形状の突出し部84を設け、切欠き凹部83に突出し部84を嵌め込んで結合位置を決めるようにしている。両部材81,82の固定は例えば両部材81,82の一方の部材に設けた係止部を他方の部材に設けた受け部に係止して係着する連結手段やネジで両部材81,82を連結する手段またはクランプ方式等を採用可能である。
【0031】
また、操作部着脱部80の内部に位置する内蔵物それぞれにも、切り離し可能な接続部が設けられている。図7に示している例ではワイヤー類85についての接続部を示している。ワイヤー類85の途中を切り離し可能な接続部としてプッシュオン・ターンオフ方式のジョイント部86としている。ジョイント部86はワイヤー類85の挿入部本体側に位置するワイヤー部の基端に第1接続金具87を設け、ワイヤー類85の操作部側ワイヤー部の先端に第2接続金具88を設け、第1接続金具87と第2接続金具88とを着脱可能なジョイント部86としたものであり、第1接続金具87及び第2接続金具88の一方を他方に差し込む押し込み操作により自動的にロックされ、第1接続金具87と第2接続金具88とが接続するようになる。また、第1接続金具87と第2接続金具88を離脱する場合は例えばその一方に設けられた図示しない解除リング等を回転操作することにより、第1接続金具87と第2接続金具88とのロック状態を解除し、第1接続金具87と第2接続金具88とを切り離す。各ワイヤー類85はそれぞれの前後領域ごとにジョイント部86を除き、ワイヤーシース(ガイド部材)91,92に挿通する等によりガイドされるようになっている。
【0032】
処置内視鏡10を使用する場合は観察ユニット200を体腔内挿入部12に組み付けて処置内視鏡10を使用できる状態として使用する。挿入部本体13の湾曲部42は第1操作部19の湾曲操作ノブ28を操作することにより湾曲できる。また、第1腕部33及び第2腕部34は第2操作部22の操作ユニット31を操作することにより湾曲できる。その他、一般的な内視鏡と同様に操作できる。
【0033】
使用後は体腔内挿入部12側から観察ユニット200及び操作部側を切り離し、体腔内挿入部12を単独で洗浄消毒処理する。体腔内挿入部12の耐久性を考慮して必要な場合には体腔内挿入部12を交換し、操作部側の構成部材は再利用する。したがって、処置用腕部33,34を含めた体腔内挿入部12側部分を分離して残る操作部側の構成部分について再使用(リユース)とすることが可能である。このため、処置内視鏡100全体を廃棄する場合に比べ、処置内視鏡を使用する一回当たりの手術コストを低減できるようになる。
【0034】
また、本発明の処置内視鏡100は第1腕部33及び第2腕部34がいずれも挿入部本体13の先端に支持されている。このため、第1腕部33及び第2腕部34は挿入部本体13の先端の動きに追従することになる。したがって、挿入部本体13の湾曲部42が湾曲操作されると、第1腕部33及び第2腕部34はその湾曲部42の動きに追従して移動する。つまり、第1腕部33及び第2腕部34は挿入部本体13の先端を基準として移動するようになる。このように処置作業用アームとなる第1腕部33及び第2腕部34は挿入部本体13の先端に追従して移動するように支持したので、挿入部本体13の先端の第1硬質部(先端部)41に配設した観察ユニット200の視野内でその第1腕部33及び第2腕部34の動きを追従して捉えることが可能である。したがって、観察ユニット200により第1腕部33及び第2腕部34を追って見つづけることが可能である。また、仮に観察ユニット200の視野内から第1腕部33や第2腕部34が外れて見えなくなったとしても、第1腕部33や第2腕部34は挿入部本体13の先端に支持されているので、観察ユニット200の視野から無関係に外れることがない。したがって、観察ユニット200の視野内へ容易に戻すことが可能である。このように、処置作業用アームとなる第1腕部33及び第2腕部34による処置作業を基本的に観察し続けることができるようになるので、体腔内での処置作業を容易かつ確実に行い、しかも、第1腕部33及び第2腕部34による処置作業を迅速かつ的確に行うことが可能である。
【0035】
次に、各種の変形例について説明する。ワイヤー類85をその途中で切離する接続方式としては上述した方式以外にも種々のジョイント方式が考えられる。図8及び図9は一方の接続金具にナット(雌ねじ)形式の第1接続金具95を用い、他方の接続金具に雄ねじ形式の第2接続金具96を用い、その第1接続金具95と第2接続金具96との両者をねじ込み方式で着脱自在に連結する接続部97としたものである。
【0036】
図10はワイヤー類をその途中で切離する更に他の接続方式を示す。この接続方式では切り離し得るようにしたワイヤー類の挿入部本体側ワイヤー部85aの基端には凹状の受け部103を設けた第1接続具101を設け、操作部側ワイヤー部85bの先端には同じく凹状の受け部104を設けた第2接続具102を設ける。そして、第1接続具101と第2接続具102を後述する連結具105によって着脱可能に連結するようにした。連結具105は連結ワイヤー106の一端に前記第1接続具101の受け部103に対し脱着自在に嵌め込み得る球状の接続子107を設け、連結ワイヤー106の一端には前記第2接続具102の受け部104に対し脱着自在に嵌め込み得る球状の接続子108を設ける。第1接続具101と第2接続具102に連結具105を脱着することによりワイヤー類を切離可能に連結できるようになる。
【0037】
図11および図12はワイヤー類をその途中で切離するための別の接続方式を示す。この接続方式では途中で切り離し得るワイヤー類85の一方の切離し端に柱状の接続チップ111を設ける。他方の切離し端には前記接続チップ111を側面から嵌め込むための凹部112を形成した接続具113を設ける。接続チップ111の側面には係止ピン115を設け、この係止ピン115を凹部112の底面に形成した係止穴116に嵌め込み係止し得るように構成する。また、接続具113の先端部分には凹部112に接続チップ111を嵌め込んだときにその接続チップ111の基部が嵌り込む狭持部117を形成する。
【0038】
そして、接続チップ111を接続具113に接続する場合は図11(A)に示すように接続具113に対し、その凹部112に向き合う側方から接続チップ111を位置合わせて、図12に示すように凹部112に接続チップ111を嵌め込み、係止ピン115を係止穴116に嵌め込み係止するとともに接続チップ111を狭持部117に嵌め込み狭持させる。また、後述するところの図14に示す如く、接続チップ111の先端を接続具113の凹部112に直角に向けて接続チップ111を接続具113の凹部112に差し込み、この後に接続チップ111を接続具113の軸中心方向に一致するように傾けて凹部112に接続チップ111を所定の位置に嵌め込むようにして接続することも可能である。接続具113から接続チップ111を離脱する場合は前記手順と逆手順で離脱することが可能である。
【0039】
図13は図11及び図12に示したところの複数のワイヤー類の各々の接続手段をまとめて一緒に切離操作できるように工夫した方式を示している。すなわち、複数のワイヤー類85についての複数の接続具113を、例えば図13に示すように挿入部本体13の外装部材81またはその外装部材81に組み込まれる他の部材に並べて配置する。一方、複数の接続チップ111は例えば第1分岐部14における外装部材82またはその外装部材82に組み込まれる他の部材に複数の接続具113に対応位置するように並べて配置する。このようにすると、複数のワイヤー類85についての複数の接続チップ111を一緒にまとめて、複数の接続具113に対し簡単に着脱できるようになる。つまり、複数のワイヤー類85についての組み付け手順を図14(A)(B)(C)(D)に示す手順でまとめて組み付けることができる。
【0040】
挿入部本体13の外装部材81と、第1分岐部14における外装部材82との突合せ部は互いに噛み合う段部119が形成され、この段部119を形成する片部120a,120bが図14(D)に示すように嵌り合って両外装部材81,82を連結するようにする。
【0041】
図15及び図16に示す例のものは上述した図11及び図12に示したワイヤー類の接続手段の変形例であり、一方の接続具を球状の接続チップ111とし、これに合わせてこれを嵌め込む他方の接続具113には接続チップ111を嵌込み係合する凹部112を設けたものである。
【0042】
そして、図17に示すように、複数のワイヤー類についての接続チップ111を例えば第1分岐部14における外装部材82またはその外装部材82に組み込まれる他の部材に並べて配設する。また、これらに対応する複数の接続具113を挿入部本体13の外装部材81またはその外装部材81に組み込まれる他の部材に並べて配置するようにする。このようにすると、複数のワイヤー類についての接続チップ111を一緒にまとめて、複数の接続具113に対し着脱する操作が可能である。
【0043】
これまでワイヤー類についての切離可能な接続方式について説明してきたが、切り離す箇所に応じてそこに内蔵される他の内蔵物もその内蔵物の種類に応じた形式の切離可能な接続部を設けている。例えば、チャンネル等を形成するチューブ類は公知の流体カップリング(管継手)を利用した脱着可能な接続部を設けて対応可能である。このチューブ類の脱着可能な接続部の例としては一方のチューブ切離端に差込み口部を設け、他方のチューブ切離端には受け口を設け、その受け口に差込み口部を差し込み、両者を接続した状態で両者が外れないように両者を連結する差し込み式のもの(この場合、嵌合する部分をテーパー状に形成してテーパー部同士を嵌合するとよい。)、または、ねじ込み式で両チューブ切離端を連結することも考えられよう。接続する両者を締結リングのような締結手段で接続状態に保持するようにする。また、一方のチューブ切離端と、他方のチューブ切離端とを直接に連結する場合に限らず、他の中継接続具を介して間接的に接続するようにしてもよい。
【0044】
照明光を導くライドガイドのような内蔵物の場合でもその内蔵物の途中に切離可能な接続部を設けるようにしてもよい。例えば一方のライドガイド切離端面と他方のライドガイド切離端面を突き当て、または他の導光部材を介在させた状態でそのライドガイドの切離端同士が離れないように両端を連結固定するリング等の連結手段を設ける等の構成が考えられる。また、公知の光ガイドを着脱自在に接続するカップリングを利用した脱着可能な接続部とすることも可能である。この場合にも一方の切離端と、他方の切離端とを直接に連結する場合に限らず、他の中継接続具を介して間接的に接続するようにしてもよい。照明光を導くライドガイドの場合は途中で切り離すようにしないで観察ユニットと同様に体腔挿入部12側に差し込み可能な着脱自在な構成とすることも可能である。
【0045】
また、信号線のような電線の場合では、例えば公知のプラグとソケットのような切離端を導電状態で接続可能なカップリング手段を採用して対応が可能である。また、ソケットとプラグとの差込み式の接続手段が考えられる。さらには上述したワイヤー類の切離可能な接続方式と同様な形式のものも利用が可能である。この場合にも一方の切離端と他方の切離端とを直接に連結する場合に限らず、他の中継接続具を介して間接的に接続してもよい。
【0046】
以上の説明では、処置内視鏡の体腔内挿入部側から操作部側を切り離す箇所においてその箇所に対応位置する内蔵物の途中部分を切り離す着脱可能な接続部を設ける場合を想定したが、体腔内挿入部側から操作部側を切り離す箇所では内蔵物を切離可能な接続部を設けず、その箇所では体腔内挿入部12側から内蔵物をそのまま外へ引き出し、引き出した部分の内蔵物の途中に上述したような切離可能とした接続部(着脱部)を設けるようにしてもよい。また、体腔内挿入部側から内蔵物をそのまま引き出して、この引き出した内蔵物の基端を、この内蔵物を組み付ける部材や装置等に対して着脱可能に接続することで対応することも可能である。図18はその一例を示したものであり、体腔内挿入部側からコンソール装置119に導く例えば送気管や送水管、吸引管等の内蔵物をそのまま体腔内挿入部の外へ引き出し、引き出した内蔵物の部分を取り回してその内蔵物のための接続対象物に対し着脱自在に連結するようにしてもよい。つまり、体腔内挿入部12側からの内蔵物を切り離すことなく、内蔵物ケーブル118をそのまま第1分岐部14bを経て挿入部本体13の外に引き出し、内蔵物のためのコンソール装置119に対して着脱自在に接続するようにしている。送気管や送水管、吸引管等の内蔵物をそのまま体腔内挿入部の外へ引き出すようにする場合は、操作部19に設けていた送気送水用操作ボタン、吸引用操作ボタンまたはスイッチ類をコンソール装置119側に設置するようにしてもよい。
【0047】
図19は本発明の他の実施形態の概念的構成を示すものであり、この実施形態では、観察ユニット200の挿入部203を挿通する撮像部着脱手段(挿通路)71を第1分岐部14から第1延出部16を経て第1操作部19の個所まで導き、挿通路71に対する差込み孔72を第1操作部19に配設するようにしたものである。挿通路71の差込み孔72は第1操作部19の本体における前端や側面または後端に配設できるようになる。他の構成は上述した実施の形態のものと同様である。
【0048】
図20は本発明の更に他の実施形態の概念的構成を示すものであり、この実施の形態では、撮像部着脱手段(挿通路)の差込み孔72を体腔内挿入部12の基端付近の途中に配設するようにしたものである。このため、第1分岐部14はその差込み孔72よりも基端側に位置して設けられるようになる。この実施形態によれば、差込み孔72よりも基端側に位置して第1分岐部14が設けられるので、操作部側から体腔内挿入部12を離脱可能な接続部とは関係なく、観察ユニット着脱手段(撮像部着脱手段)を構成できるようになる。他の構成は上述した実施の形態のものと同様である。
【0049】
図21は本発明の更に他の実施形態の構成を概念的に示したものである。上述した実施の形態では図1に示すように第1操作部19からユニバーサルコード23を取り出すようにしたが、この実施の形態ではユニバーサルコード23を第1分岐部14から取り出すようにしたものである。ユニバーサルコード23の繰り出し延出端には第1接続コネクタ121が接続され、この第1接続コネクタ121は図1で示した実施の形態での接続コネクタ24と同様の第2接続コネクタ122に接続可能なものである。したがって第2接続コネクタ122に第1接続コネクタ121を接続することにより図1で示した実施の形態での接続コネクタ24と同様の機能を備える接続コネクタとなる。
【0050】
この実施の形態ではユニバーサルコード23を、第1操作部19からではなく、第1分岐部14の部分から取り出すようにしたので、そのユニバーサルコード23及びこれに接続される部材の重量分、第1操作部(本体操作部)19側の重量を低減することができるようになる。したがって、第1操作部19を操作する際のユニバーサルコード23の取り回しの負担や制約がなくなり、第1操作部19の操作性が向上するようになる。
【0051】
図22は本発明の更に他の実施形態の構成を概念的に示したものである。図1に示した実施の形態ではユニバーサルコード23と観察ユニット(撮像部)200とが別体となっていたが、ここでの実施の形態ではユニバーサルコード23の部分と、観察ユニット200のケーブルユニット203の部分とを一体のユニバーサルコード125として共用する部分としたものである。また、観察ユニット200の挿入部203とユニバーサルコード125の間に第1接続コネクタ128を設け、この第1接続コネクタ128を第1分岐部14に対し着脱自在に接続するようにした。そして第1接続コネクタ128にはユニバーサルコード125を通じて処置内視鏡本体に接続されるべき送気管、送水管または吸引管等のチューブ類やライドガイドのような内蔵物を、挿入部本体13側に接続する接続端子132を設け、この接続端子132を第1分岐部14に設けた受け口133に対して着脱自在に接続して挿入部本体13側に連結するようになっている。この場合、操作部19に設けていた送気送水用操作ボタン、吸引用操作ボタンまたはスイッチ類を、例えばコンソール装置119側に設置するようにしてもよい。
【0052】
この実施の形態ではユニバーサルコード23の部分と、観察ユニット200のケーブルユニット203の部分とを、一体のユニバーサルコード125として共用するようにしたので、操作部からコンソール装置135に繋ぐコード類等を纏めることができるようになり、操作部側の部材の取り回しが容易になる。
【0053】
図23(A)(B)(C)に示す形態は処置内視鏡の他の変形例を示したものである。この変形例における処置内視鏡は、体腔内挿入部12の基端から1本の可撓性延出部241を延出し、この延出部241の延出先端に操作部242を設けるようにした。操作部242は上述した第1操作部(本体操作部)19と、第2操作部(腕部操作部)22との機能を備えた操作手段を有する。第1操作部19と第2操作部22とが離れない一つの操作ポジションに位置するようになるので、一人の術者が両方の操作部19,22を操作し易くなる。また、この形式では操作部が一箇所にまとめるようにした一体形式では補助者の助けを借りずに単独で処置内視鏡10を使用する場合に好適である。その他の構成等は上述した構成等と同様でよい。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態および変形例について説明してきたが、本発明は上述のものに限るものではなく、それら実施形態および変形例のものを様々に組み合わせることも可能である。また、以上の実施の形態では、一対の処置用腕部を設けるようにしたが、3つ以上の処置用腕部を設ける体腔内挿入部でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、湾曲機能を備えた腕部を含めた体腔内挿入部側の構成部を、操作部側の構成部から、分離して交換できるようにした有用な処置内視鏡を提供できるようになる。
【符号の説明】
【0056】
10…処置内視鏡
12…体腔内挿入部
13…挿入部本体
19…第1操作部(本体操作部)
22…第2操作部(腕部操作部)
33…処置用腕部
34…処置用腕部
37…第1湾曲部
38…第2湾曲部
71…挿通路(撮像部着脱手段)
85…ワイヤー類
86…ジョイント部
100…内視鏡本体
200…観察ユニット(撮像部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲部を有した腕部を挿入部の先端から突き出して設けた処置内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
湾曲部及び蛇管を有した挿入部の先端に湾曲部付き腕部を設けた処置内視鏡としては特開2005−95590号公報(特許文献1)に提案されている。この処置内視鏡では挿入部の先端から突き出した湾曲部付きの処置用腕部により体腔内において生体組織を切開・切除・縫合等の処置を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−95590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処置内視鏡では挿入部の先端から突き出して設けた湾曲部付きの処置用腕部により体腔内の生体組織を持ち上げたり動かしたりするため、切開・切除・縫合等の比較的複雑な処置を容易に行うことが可能である。
しかし、挿入部の先端から突き出した湾曲部付きの処置用腕部は一般に内視鏡の挿入部よりも細い径の管状の部材として形成することになる。このため、細い湾曲部付きの処置用腕部に加わる負担の割合はかなり大きくなる。しかも、湾曲部付きの処置用腕部を細い径の管状の部材として形成することからその腕部の強度を高めることは困難である。このようなことから、処置内視鏡では、強い湾曲作用力等が加わる処置用腕部のアングル耐性や繰り返しアングルライフ等の耐久性を確保する上で課題となっていた。
【0005】
本発明は、前記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、湾曲機構を有した腕部を含めた体腔内挿入部側の構成部を、操作部側の構成部から分離可能な構成とすることにより、湾曲機構を有した処置用腕部を備えた体腔内挿入部側の構成部を交換可能な形態とし、体腔内挿入部の耐久性を考慮しながら使用できるとともに前記操作部側の構成部を再利用可能として処置内視鏡の有効活用を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、先端側部位に本体湾曲部を設けた体腔内挿入部と、前記本体湾曲部より先端側に位置して前記体腔内挿入部の先端部に該先端部から突き出すように設けられた、湾曲機構を有した一つ以上の処置用腕部と、前記体腔内挿入部の基端側に設けられた操作部と、前記体腔内挿入部の先端部に設けられる体腔内の視野を撮像する撮像部と、前記体腔内挿入部に対し前記操作部を着脱するための操作部着脱手段と、前記体腔内挿入部に対し前記撮像部を着脱するための撮像部着脱手段と、を具備したことを特徴とする処置内視鏡である。
請求項2に係る発明は、少なくとも一つの前記処置用腕部は、基端側に位置して設けられた2方向に湾曲可能な第1湾曲機構と、前記第1湾曲機構よりも先端側に位置して前記腕部に設けられた4方向に湾曲可能な第2湾曲機構と、を具備したことを特徴とする請求項1に記載の処置内視鏡である。
請求項3に係る発明は、別々の動きで独立して湾曲する二つ以上の処置用腕部を有することを特徴とする請求項1に記載の処置内視鏡である。
請求項4に係る発明は、前記操作部は、前記本体湾曲部を湾曲操作するための本体操作部と、前記処置用腕部の湾曲機構を湾曲操作するための腕部操作部と、を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の処置内視鏡である。
請求項5に係る発明は、前記操作部着脱手段は、前記本体操作部を前記体腔内挿入部に着脱するための本体操作部着脱手段と、前記腕部操作部を前記体腔内挿入部に着脱するための腕部操作部着脱手段と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の処置内視鏡である。
請求項6に係る発明は、前記体腔内挿入部の基端側に本体操作部と前記腕部操作部とを分離する分岐部を設けたことを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の処置内視鏡である。
請求項7に係る発明は、前記分岐部は、前記操作部着脱手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の処置内視鏡である。
請求項8に係る発明は、前記分岐部は、送気/送水チューブの管状部材と、電源ケーブル及び信号ケーブルを束ねたユニバーサルコードとを、前記体腔内挿入部から分岐させることを特徴とする請求項6に記載の処置内視鏡である。
請求項9に係る発明は、前記撮像部は、撮像部ケーブルを備え、前記撮像部ケーブルは、前記ユニバーサルコードと一体化したことを特徴とする請求項8に記載の処置内視鏡である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、処置用腕部を含めた体腔内挿入部側の部材を操作部側の部材から分離して交換できるようになるので、処置用腕部を含めた体腔内挿入部側部分を更新可能である。したがって、体腔内挿入部の耐久性を考慮しながら必要な場合は体腔内挿入部を交換し、操作部側の構成部材は再利用して有効に活用し得る。処置用腕部を含めた体腔内挿入部側部分を分離して残る操作部側の構成部分について再使用(リユース)とすることが可能であるから、処置内視鏡全体を廃棄する場合に比べ、処置内視鏡を使用する一回当たりの手術コストを低減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る処置内視鏡全体を概略的に示す斜視図。
【図2】同じ実施の形態に係る処置内視鏡本体の全体を概略的に示す説明図。
【図3】前記実施の形態に係る処置内視鏡の先端付近を、腕部が待機位置にある状態で示す斜視図。
【図4】前記実施の形態に係る処置内視鏡の先端付近を、腕部が広がった動作状態で示す斜視図。
【図5】前記実施の形態に係る処置内視鏡の腕部の変形例を示し、腕部が広がった動作状態で処置内視鏡の先端付近を示す斜視図。
【図6】前記実施の形態に係る処置内視鏡全体の各要素の関係を概略的に示す説明図。
【図7】前記実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部の一例を切り離した状態で概略的に示した斜視図。
【図8】前記実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部の一例を切り離した状態で概略的に示した斜視図。
【図9】同実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部におけるワイヤー類の着脱部の構造を示す説明図。
【図10】前記実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部におけるワイヤー類の他の着脱構造を示す説明図。
【図11】前記実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部におけるワイヤー類ついての更に異なる他の着脱部を切り離した状態で示す説明図。
【図12】同実施の形態に係る処置内視鏡における着脱部におけるワイヤー類についての着脱部を連結した状態で示す説明図。
【図13】同実施の形態に係る処置内視鏡の着脱部におけるワイヤー類の切り離し状態の説明図。
【図14】(A)(B)(C)(D)は同実施の形態に係る処置内視鏡の着脱部におけるワイヤー類の連結手順を順番に示す説明図。
【図15】(A)(B)は前記実施の形態に係る処置内視鏡の着脱部におけるワイヤー類の更に異なる他の着脱構造の切り離し状態での説明図。
【図16】同実施の形態に係る処置内視鏡の着脱部におけるワイヤー類の連結状態での説明図。
【図17】同実施の形態に係る処置内視鏡の着脱部におけるワイヤー類の切り離し状態を示す斜視図。
【図18】本発明の更に異なる他の実施の形態に係る処置内視鏡全体を概略的に示す斜視図。
【図19】本発明の他の実施の形態に係る処置内視鏡全体の各要素の関係を概略的に示す説明図。
【図20】本発明のさらに他の実施の形態に係る処置内視鏡全体の各要素の関係を概略的に示す説明図。
【図21】本発明の更に異なる他の実施の形態に係る処置内視鏡全体を概略的に示す斜視図。
【図22】本発明の更に異なる他の実施の形態に係る処置内視鏡全体を概略的に示す斜視図。
【図23】(A)(B)(C)は本発明の更に異なる他の実施の形態に係る処置内視鏡を異なる向きから見て示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、図1から図17を用いて一つの形態の処置内視鏡について詳細に説明する。
【0010】
処置内視鏡10は、図1及び図2に示すように、内視鏡本体100と、観察ユニット(撮像部)200とを備える。内視鏡本体100は、体腔内に挿入される体腔内挿入部12と、この体腔内挿入部12の基端部に接続された第1分岐部14と、この第1分岐部14から分岐して後方へ向けて別々に延出した2つの長尺な可撓性管状部材によってそれぞれ形成された第1延出部16及び第2延出部17と、前記第1延出部16の延出先端に配設された第1操作部(本体操作部)19と、前記第2延出部17の延出先端に設けられた第2分岐部20を介してさらに延びる2本の分岐ケーブル21の延出先端を接続した第2操作部(腕部操作部)22と、第1操作部19から延出されたユニバーサルコード23と、このユニバーサルコード23の延出先端に設けられた接続コネクタ24とを含み構成されている。接続コネクタ24には送気・送水用接続管25、吸引管26及び照明光ガイド管27が設けられている。接続コネクタ24は光源装置等の外部コンソールに対し着脱可能に接続される。そして接続コネクタ24を光源装置等の外部コンソールに接続したとき、送気・送水用接続管25、吸引管26及び照明光ガイド管27はそれらが対応する光源、送水源、吸引源等の機能部に接続される。
【0011】
接続コネクタ24には信号ケーブル44が接続され、信号ケーブル44の延出先端には撮像用コネクタ45が設けられている。撮像用コネクタ45は図示しない別の外部コンソールとしてのカメラコントロールユニットに対して着脱自在に接続可能である。
【0012】
第1操作部19は術者が手で握持しながら操作可能な部分を備え、この第1操作部19には体腔内挿入部12における後述する第3湾曲部を湾曲操作するための湾曲操作手段としての湾曲操作ノブ(ハンドル)28と、処置具挿通用チャンネルの挿入口29と、後述する送気送水用操作ボタン66と、吸引用操作ボタン67と、撮像部ユニット200の撮像動作制御用のスイッチ68とが設けられている。
【0013】
図1及び図2に示すように、体腔内挿入部12はその主体となる挿入部本体13と、この挿入部本体13の先端から前方へ突き出した少なくとも一本以上の処置用腕部33,34を含み構成されている。挿入部本体13は図1及び図2に示すように、最先端に位置した硬質部(先端部)41と、この硬質部41の基端に接続して配置された湾曲部(本体湾曲部)42と、この湾曲部42の基端に接続して配設された蛇管部(本体可撓管部)43とを備える。処置用腕部33,34は挿入部本体13の先端に基端を連結して挿入部本体13の先端に支持されている。一対の処置用腕部33,34は挿入部本体13の先端から前方へ突き出して左右に並べて配置され、図3に示す配置状態を待機位置としている。
【0014】
図2及び図3に示すように、一対の処置用腕部33,34はいずれも最先端に位置する第1硬質部(先端部)36と、この第1硬質部36の基端に接続して配置された第1湾曲部(第1腕部湾曲部)37と、この第1湾曲部37の基端に接続して配置されかつ挿入部本体13の先端に基端を連結した第2湾曲部(第2腕部湾曲部)38とを備える。第1湾曲部37および第2湾曲部38は一般的な内視鏡の湾曲部構造と同様のもので湾曲機構を構成することが可能であり、後述する操作ユニット31により押し引き操作される操作ワイヤーにより個別的に湾曲され得るようになっている。
【0015】
図1に示すように、操作ユニット31には各処置用腕部33,34にそれぞれ対応した2つの操作ハンドル46,47が設けられている。各操作ハンドル46,47はそれぞれが対応する腕部33,34における2つの湾曲部37,38をそれぞれ個別に操作するように構成されている。つまり、操作ハンドル46を操作することにより腕部33における湾曲部37,38を個別に操作できる。また、操作ハンドル47を操作することにより腕部34における2つの湾曲部37,38を個別に操作できる。図3は左右の処置用腕部33,34の湾曲部37,38を湾曲させない待機状態である。図4は左右の処置用腕部33,34の湾曲部37,38をそれぞれ湾曲させて処置用腕部33,34を左右に広げた処置作業時の一つの状態を示している。
【0016】
内視鏡本体100には上述した湾曲操作用ワイヤー(図示せず)が、第2操作部22から分岐ケーブル21,21および第2延出部17を経て、挿入部本体13から腕部33,34にわたり挿通されている。第2操作部22の操作ハンドル46,47を操作してそれぞれの湾曲操作用ワイヤーを牽引することによりそれらが対応した処置用腕部33,34の湾曲機構を駆動して処置用腕部33,34の湾曲部37,38を湾曲できる。
【0017】
体腔内挿入部12には腕部33,34の数に応じた数の処置具誘導用チャンネルが、腕部33,34から挿入部本体13、第2延出部17、第2分岐部20及び分岐ケーブル21にわたり形成されている。処置具誘導用チャンネルの一つはそれに対応した腕部33の先端に形成した第1チャンネル開口48に連なり、他の処置具誘導用チャンネルはそれに対応した腕部34の先端に形成した第2チャンネル開口49に連なっている(図3及び図4参照)。
【0018】
図1に示すように、操作ユニット31の本体には一方の処置用腕部33に対応した処置具誘導用チャンネルに通じる第1挿入口51と、他方の処置用腕部34に対応した処置具誘導用チャンネルに通じる第2挿入口52とが設けられている。これらのチャンネルは腕部用処置具を挿脱するために利用するだけでなく、腕部33,34の先端から体腔内への送水や薬液の注入または吸引等を行うなど、他の目的にも利用が可能である。
【0019】
上述した第1腕部33及び第2腕部34は処置具誘導用チャンネルに連通する開口を形成した形態の処置用腕部としたが、例えば、図5に示すように、第1腕部33の先端部を鉗子形式等の処置部53とし、第2腕部34の先端部に観察部56と照明口57を設けた観察機能部58を持たせるようにしたものとしてもよい。
【0020】
図3及び図4に示すように、体腔内挿入部12の先端面部には第1腕部33及び第2腕部34を避けて一対の照明窓61と、後述する観察ユニット200の撮像部ユニット202の先端部分を内側に位置決め配置するための観察窓用開口62と、この観察窓用開口62に配置する撮像部ユニット202の先端に向けた送気・送水ノズル63と、挿入部本体用チャンネル口64とが設けられている。照明窓61は透明なカバーを兼ねた先端レンズを備えて構成されている。また、観察窓用開口62は外部に貫き抜けた開孔としたままでもよいが、開口部分を透明なカバーで閉塞するようにした観察窓としてもよい。
【0021】
図1及び図2に示すように、観察ユニット200は最先端に撮像部ユニット202を備えた挿入部203と、この挿入部203に接続されるケーブルユニット204と、ケーブルユニット204の基端に接続された観察ユニット用コネクタ206とを備える。挿入部203とケーブルユニット204の間には係着部205が設けられている。挿入部203は内視鏡本体100に形成した挿通路71に挿入される部分であり、挿入部203を挿通路71に対し所定位置まで挿入したとき、係着部205が挿通路71の差込み孔72に係着して撮像部ユニット202を位置決め保持し、撮像部ユニット202は観察窓用開口62に位置して固定的に装着される。これにより、体腔内挿入部12に対し、ユニット(撮像部)202を着脱するための撮像部着脱手段を構成している。
【0022】
また、観察ユニット用コネクタ206は接続コネクタ24に形成した差込み口30に差し込み挿入して接続される。そして、内視鏡本体100に撮像部ユニット202を装着した使用状態において、撮像部ユニット202で撮像して得た撮像信号は接続コネクタ24から信号ケーブル44を通じて、カメラコントロールユニットに送られる。カメラコントロールユニットで撮像信号を映像信号に変換し、図示しないモニタに観察像を表示する。
【0023】
次に、内視鏡本体100に対し観察ユニット200を着脱するための撮像部着脱手段の構造について具体的に説明する。すなわち、図2に示すように、体腔内挿入部12内には観察ユニット200を挿入する挿通路(経路)71が形成され、この挿通路71に対し、観察ユニット200の挿入部203を挿入して体腔内挿入部12に観察ユニット200を着脱自在に装着する挿通ガイド手段及び観察ユニット着脱手段(撮像部着脱手段)を構成する。
【0024】
ここで、挿通路71の先端は観察窓用開口62に連なり、挿通路71の基端は第1分岐部14に形成した差込み孔72に連なる。また、挿通路71は体腔内挿入部12内において他の内蔵物から隔離して配置したチューブや区画部材等によって体腔内挿入部12内に区画されて形成されている。また、差込み孔72の横断面形状を、撮像部ユニット202の横断面形状に合わせた形状とすることで、挿通路71に差し込む撮像部ユニット202の向きを定めて挿通路71に観察ユニット200の挿入部203を誘導する姿勢規制手段を構成している。挿通路71の先端部は撮像部ユニット202を観察窓用開口62に合わせて位置決めする収納室を形成する。この収納室でも撮像部ユニット202の設置する向きを規制する姿勢規制手段を構成する。また、挿通路71の途中部分は例えば柔軟性と膨縮性のある可撓性チューブによって形成し、他の内蔵物から隔離して形成するとよい。
【0025】
内視鏡本体100には各種の内蔵物が内蔵されている。内蔵物としては観察ユニット200を案内するためのガイドチューブの他、各チャンネルをそれぞれ形成する複数のチャンネルチューブ、挿入部本体13の湾曲部42や処置用腕部33,34の湾曲部37,38の湾曲機構をそれぞれ操作するための湾曲操作部材としてのワイヤー、これらのワイヤーを各ガイドするためのガイド部材、送気・送水ノズル63に通じる送気・送水チューブ、チャンネル口64に通じる処置具挿通用チャンネルを形成するチューブ、処置具挿通用チャンネルに通じる吸引チューブ、照明窓61に照明光を導くライドガイドまたは信号線等の導電線が挙げられる。
【0026】
そして、チャンネル口64に通じる処置具挿通用チャンネルを形成するチューブは、挿入部本体13の第1硬質部41から湾曲部42、蛇管部43、第1分岐部14、第1延出部16を経て第1操作部19の挿入口29まで導かれている。処置用腕部33,34のチャンネル48,49をそれぞれ形成する各チューブはそれぞれの処置用腕部33,34から挿入部本体13の硬質部41、湾曲部42、蛇管部43を経て、第1分岐部14に至り、更に第1分岐部14から第2延出部17、第2分岐部20、各分岐ケーブル21を経て第2操作部22の操作ユニット31における第1挿入口51と第2挿入口52までそれぞれ導かれている。挿入部本体13の湾曲部42の湾曲機構を操作するためのワイヤーは湾曲部42から蛇管部43、第1分岐部14、第1延出部16を経て第1操作部19に導かれている。処置用腕部33,34の湾曲部37,38の湾曲機構を操作するためのワイヤーは処置用腕部33,34から挿入部本体13の硬質部41、湾曲部42、蛇管部43、第1分岐部14、第2延出部17、第2分岐部20及び分岐ケーブル21を経て、第2操作部22の操作ユニット31に導かれている。送気・送水ノズル63に通じる送気・送水チューブは送気・送水ノズル63から挿入部本体13の硬質部41、湾曲部42、蛇管部43を経て更に第1分岐部14、第1延出部16、第1操作部19及びユニバーサルコード23を経て、接続コネクタ24の送気・送水用接続管25に接続されている。
【0027】
送気・送水ノズル63に対する送気・送水の制御は第1操作部19に設けた送気送水用操作ボタン66によって操作される切換え弁によって行われる。処置具挿通用チャンネル64に通じる吸引チューブは第1操作部19において処置具挿通用チャンネル64の途中に後述する吸引用操作ボタン67によって操作される切換え弁を介して接続されている。この吸引チューブは第1操作部19及びユニバーサルコード23を経て接続コネクタ24の吸引管26に接続されている。チャンネル64に対する吸引チューブの接続及び遮断の制御は第1操作部19に設けた吸引用操作ボタン67によって操作される切換え弁によって行われる。照明窓61に照明光を導くライドガイドは、ファイバーバンドルによって構成されている。このライドガイドは、硬質部41、湾曲部42、蛇管部43、第1分岐部14、第1延出部16、第1操作部19及びユニバーサルコード23を経て接続コネクタ24の照明光ガイド管27に接続されている。湾曲操作部材としてのワイヤーをガイドするためのガイド部材はガイドリングやガイドチューブ等によって形成されている。内蔵物としては上述したものの他に一般的な内視鏡において知られるところの各種の内蔵部材を含む。
【0028】
次に、処置内視鏡の操作部を体腔内挿入部から着脱可能とする操作部着脱手段について説明する。操作部着脱手段を設ける個所としては図1に示すように第1分岐部14に体腔内挿入部12を接続する接続部分A、第1延出部16に第1操作部19を接続する接続部分Bまたは第2延出部17に第2分岐部20を接続する接続部分Cの部分がまず考えられるが、延出部16,17の途中に設ける等、その箇所や数を限定するものではない。また、接続部分A,B,Cのすべてを設ける必要はない。延出部16,17の途中でもよい。もっとも、接続部分Aで体腔内挿入部12を操作部側から切り離すようにすれば、操作部19,22を一緒に纏めて体腔内挿入部12側から取り外すことが可能である。接続部分Bに操作部着脱手段を設けた場合は第1操作部19やユニバーサルコード23及び接続コネクタ24等を体腔内挿入部12側から取り外し可能である。接続部分Cに操作部着脱手段を設けた場合は第2分岐部20、分岐ケーブル21及び第2操作部22を体腔内挿入部12側から取り外し可能である。
【0029】
図6は、第1分岐部14に体腔内挿入部12を接続する接続部分Aに操作部着脱部80を設けた場合の構成を概念的に示した説明図である。
【0030】
操作部着脱部80としては例えば図7に示すように挿入部本体13の外装部材81と、第1分岐部14における外装部材82とが着脱可能な接続構造で連結されている。この接続構造としては、両部材81,82を着脱可能に連結できる種々の方式が考えられる。両部材81,82を接続したときにはその両部材81,82が所定の位置で位置決め固定されるとともに気密的に連結される構造とすることが望ましい。図7に示す一例では挿入部本体13の外装部材81の方に切欠き凹部83を設け、第1分岐部14における外装部材82には切欠き凹部83に密に嵌る形状の突出し部84を設け、切欠き凹部83に突出し部84を嵌め込んで結合位置を決めるようにしている。両部材81,82の固定は例えば両部材81,82の一方の部材に設けた係止部を他方の部材に設けた受け部に係止して係着する連結手段やネジで両部材81,82を連結する手段またはクランプ方式等を採用可能である。
【0031】
また、操作部着脱部80の内部に位置する内蔵物それぞれにも、切り離し可能な接続部が設けられている。図7に示している例ではワイヤー類85についての接続部を示している。ワイヤー類85の途中を切り離し可能な接続部としてプッシュオン・ターンオフ方式のジョイント部86としている。ジョイント部86はワイヤー類85の挿入部本体側に位置するワイヤー部の基端に第1接続金具87を設け、ワイヤー類85の操作部側ワイヤー部の先端に第2接続金具88を設け、第1接続金具87と第2接続金具88とを着脱可能なジョイント部86としたものであり、第1接続金具87及び第2接続金具88の一方を他方に差し込む押し込み操作により自動的にロックされ、第1接続金具87と第2接続金具88とが接続するようになる。また、第1接続金具87と第2接続金具88を離脱する場合は例えばその一方に設けられた図示しない解除リング等を回転操作することにより、第1接続金具87と第2接続金具88とのロック状態を解除し、第1接続金具87と第2接続金具88とを切り離す。各ワイヤー類85はそれぞれの前後領域ごとにジョイント部86を除き、ワイヤーシース(ガイド部材)91,92に挿通する等によりガイドされるようになっている。
【0032】
処置内視鏡10を使用する場合は観察ユニット200を体腔内挿入部12に組み付けて処置内視鏡10を使用できる状態として使用する。挿入部本体13の湾曲部42は第1操作部19の湾曲操作ノブ28を操作することにより湾曲できる。また、第1腕部33及び第2腕部34は第2操作部22の操作ユニット31を操作することにより湾曲できる。その他、一般的な内視鏡と同様に操作できる。
【0033】
使用後は体腔内挿入部12側から観察ユニット200及び操作部側を切り離し、体腔内挿入部12を単独で洗浄消毒処理する。体腔内挿入部12の耐久性を考慮して必要な場合には体腔内挿入部12を交換し、操作部側の構成部材は再利用する。したがって、処置用腕部33,34を含めた体腔内挿入部12側部分を分離して残る操作部側の構成部分について再使用(リユース)とすることが可能である。このため、処置内視鏡100全体を廃棄する場合に比べ、処置内視鏡を使用する一回当たりの手術コストを低減できるようになる。
【0034】
また、本発明の処置内視鏡100は第1腕部33及び第2腕部34がいずれも挿入部本体13の先端に支持されている。このため、第1腕部33及び第2腕部34は挿入部本体13の先端の動きに追従することになる。したがって、挿入部本体13の湾曲部42が湾曲操作されると、第1腕部33及び第2腕部34はその湾曲部42の動きに追従して移動する。つまり、第1腕部33及び第2腕部34は挿入部本体13の先端を基準として移動するようになる。このように処置作業用アームとなる第1腕部33及び第2腕部34は挿入部本体13の先端に追従して移動するように支持したので、挿入部本体13の先端の第1硬質部(先端部)41に配設した観察ユニット200の視野内でその第1腕部33及び第2腕部34の動きを追従して捉えることが可能である。したがって、観察ユニット200により第1腕部33及び第2腕部34を追って見つづけることが可能である。また、仮に観察ユニット200の視野内から第1腕部33や第2腕部34が外れて見えなくなったとしても、第1腕部33や第2腕部34は挿入部本体13の先端に支持されているので、観察ユニット200の視野から無関係に外れることがない。したがって、観察ユニット200の視野内へ容易に戻すことが可能である。このように、処置作業用アームとなる第1腕部33及び第2腕部34による処置作業を基本的に観察し続けることができるようになるので、体腔内での処置作業を容易かつ確実に行い、しかも、第1腕部33及び第2腕部34による処置作業を迅速かつ的確に行うことが可能である。
【0035】
次に、各種の変形例について説明する。ワイヤー類85をその途中で切離する接続方式としては上述した方式以外にも種々のジョイント方式が考えられる。図8及び図9は一方の接続金具にナット(雌ねじ)形式の第1接続金具95を用い、他方の接続金具に雄ねじ形式の第2接続金具96を用い、その第1接続金具95と第2接続金具96との両者をねじ込み方式で着脱自在に連結する接続部97としたものである。
【0036】
図10はワイヤー類をその途中で切離する更に他の接続方式を示す。この接続方式では切り離し得るようにしたワイヤー類の挿入部本体側ワイヤー部85aの基端には凹状の受け部103を設けた第1接続具101を設け、操作部側ワイヤー部85bの先端には同じく凹状の受け部104を設けた第2接続具102を設ける。そして、第1接続具101と第2接続具102を後述する連結具105によって着脱可能に連結するようにした。連結具105は連結ワイヤー106の一端に前記第1接続具101の受け部103に対し脱着自在に嵌め込み得る球状の接続子107を設け、連結ワイヤー106の一端には前記第2接続具102の受け部104に対し脱着自在に嵌め込み得る球状の接続子108を設ける。第1接続具101と第2接続具102に連結具105を脱着することによりワイヤー類を切離可能に連結できるようになる。
【0037】
図11および図12はワイヤー類をその途中で切離するための別の接続方式を示す。この接続方式では途中で切り離し得るワイヤー類85の一方の切離し端に柱状の接続チップ111を設ける。他方の切離し端には前記接続チップ111を側面から嵌め込むための凹部112を形成した接続具113を設ける。接続チップ111の側面には係止ピン115を設け、この係止ピン115を凹部112の底面に形成した係止穴116に嵌め込み係止し得るように構成する。また、接続具113の先端部分には凹部112に接続チップ111を嵌め込んだときにその接続チップ111の基部が嵌り込む狭持部117を形成する。
【0038】
そして、接続チップ111を接続具113に接続する場合は図11(A)に示すように接続具113に対し、その凹部112に向き合う側方から接続チップ111を位置合わせて、図12に示すように凹部112に接続チップ111を嵌め込み、係止ピン115を係止穴116に嵌め込み係止するとともに接続チップ111を狭持部117に嵌め込み狭持させる。また、後述するところの図14に示す如く、接続チップ111の先端を接続具113の凹部112に直角に向けて接続チップ111を接続具113の凹部112に差し込み、この後に接続チップ111を接続具113の軸中心方向に一致するように傾けて凹部112に接続チップ111を所定の位置に嵌め込むようにして接続することも可能である。接続具113から接続チップ111を離脱する場合は前記手順と逆手順で離脱することが可能である。
【0039】
図13は図11及び図12に示したところの複数のワイヤー類の各々の接続手段をまとめて一緒に切離操作できるように工夫した方式を示している。すなわち、複数のワイヤー類85についての複数の接続具113を、例えば図13に示すように挿入部本体13の外装部材81またはその外装部材81に組み込まれる他の部材に並べて配置する。一方、複数の接続チップ111は例えば第1分岐部14における外装部材82またはその外装部材82に組み込まれる他の部材に複数の接続具113に対応位置するように並べて配置する。このようにすると、複数のワイヤー類85についての複数の接続チップ111を一緒にまとめて、複数の接続具113に対し簡単に着脱できるようになる。つまり、複数のワイヤー類85についての組み付け手順を図14(A)(B)(C)(D)に示す手順でまとめて組み付けることができる。
【0040】
挿入部本体13の外装部材81と、第1分岐部14における外装部材82との突合せ部は互いに噛み合う段部119が形成され、この段部119を形成する片部120a,120bが図14(D)に示すように嵌り合って両外装部材81,82を連結するようにする。
【0041】
図15及び図16に示す例のものは上述した図11及び図12に示したワイヤー類の接続手段の変形例であり、一方の接続具を球状の接続チップ111とし、これに合わせてこれを嵌め込む他方の接続具113には接続チップ111を嵌込み係合する凹部112を設けたものである。
【0042】
そして、図17に示すように、複数のワイヤー類についての接続チップ111を例えば第1分岐部14における外装部材82またはその外装部材82に組み込まれる他の部材に並べて配設する。また、これらに対応する複数の接続具113を挿入部本体13の外装部材81またはその外装部材81に組み込まれる他の部材に並べて配置するようにする。このようにすると、複数のワイヤー類についての接続チップ111を一緒にまとめて、複数の接続具113に対し着脱する操作が可能である。
【0043】
これまでワイヤー類についての切離可能な接続方式について説明してきたが、切り離す箇所に応じてそこに内蔵される他の内蔵物もその内蔵物の種類に応じた形式の切離可能な接続部を設けている。例えば、チャンネル等を形成するチューブ類は公知の流体カップリング(管継手)を利用した脱着可能な接続部を設けて対応可能である。このチューブ類の脱着可能な接続部の例としては一方のチューブ切離端に差込み口部を設け、他方のチューブ切離端には受け口を設け、その受け口に差込み口部を差し込み、両者を接続した状態で両者が外れないように両者を連結する差し込み式のもの(この場合、嵌合する部分をテーパー状に形成してテーパー部同士を嵌合するとよい。)、または、ねじ込み式で両チューブ切離端を連結することも考えられよう。接続する両者を締結リングのような締結手段で接続状態に保持するようにする。また、一方のチューブ切離端と、他方のチューブ切離端とを直接に連結する場合に限らず、他の中継接続具を介して間接的に接続するようにしてもよい。
【0044】
照明光を導くライドガイドのような内蔵物の場合でもその内蔵物の途中に切離可能な接続部を設けるようにしてもよい。例えば一方のライドガイド切離端面と他方のライドガイド切離端面を突き当て、または他の導光部材を介在させた状態でそのライドガイドの切離端同士が離れないように両端を連結固定するリング等の連結手段を設ける等の構成が考えられる。また、公知の光ガイドを着脱自在に接続するカップリングを利用した脱着可能な接続部とすることも可能である。この場合にも一方の切離端と、他方の切離端とを直接に連結する場合に限らず、他の中継接続具を介して間接的に接続するようにしてもよい。照明光を導くライドガイドの場合は途中で切り離すようにしないで観察ユニットと同様に体腔挿入部12側に差し込み可能な着脱自在な構成とすることも可能である。
【0045】
また、信号線のような電線の場合では、例えば公知のプラグとソケットのような切離端を導電状態で接続可能なカップリング手段を採用して対応が可能である。また、ソケットとプラグとの差込み式の接続手段が考えられる。さらには上述したワイヤー類の切離可能な接続方式と同様な形式のものも利用が可能である。この場合にも一方の切離端と他方の切離端とを直接に連結する場合に限らず、他の中継接続具を介して間接的に接続してもよい。
【0046】
以上の説明では、処置内視鏡の体腔内挿入部側から操作部側を切り離す箇所においてその箇所に対応位置する内蔵物の途中部分を切り離す着脱可能な接続部を設ける場合を想定したが、体腔内挿入部側から操作部側を切り離す箇所では内蔵物を切離可能な接続部を設けず、その箇所では体腔内挿入部12側から内蔵物をそのまま外へ引き出し、引き出した部分の内蔵物の途中に上述したような切離可能とした接続部(着脱部)を設けるようにしてもよい。また、体腔内挿入部側から内蔵物をそのまま引き出して、この引き出した内蔵物の基端を、この内蔵物を組み付ける部材や装置等に対して着脱可能に接続することで対応することも可能である。図18はその一例を示したものであり、体腔内挿入部側からコンソール装置119に導く例えば送気管や送水管、吸引管等の内蔵物をそのまま体腔内挿入部の外へ引き出し、引き出した内蔵物の部分を取り回してその内蔵物のための接続対象物に対し着脱自在に連結するようにしてもよい。つまり、体腔内挿入部12側からの内蔵物を切り離すことなく、内蔵物ケーブル118をそのまま第1分岐部14bを経て挿入部本体13の外に引き出し、内蔵物のためのコンソール装置119に対して着脱自在に接続するようにしている。送気管や送水管、吸引管等の内蔵物をそのまま体腔内挿入部の外へ引き出すようにする場合は、操作部19に設けていた送気送水用操作ボタン、吸引用操作ボタンまたはスイッチ類をコンソール装置119側に設置するようにしてもよい。
【0047】
図19は本発明の他の実施形態の概念的構成を示すものであり、この実施形態では、観察ユニット200の挿入部203を挿通する撮像部着脱手段(挿通路)71を第1分岐部14から第1延出部16を経て第1操作部19の個所まで導き、挿通路71に対する差込み孔72を第1操作部19に配設するようにしたものである。挿通路71の差込み孔72は第1操作部19の本体における前端や側面または後端に配設できるようになる。他の構成は上述した実施の形態のものと同様である。
【0048】
図20は本発明の更に他の実施形態の概念的構成を示すものであり、この実施の形態では、撮像部着脱手段(挿通路)の差込み孔72を体腔内挿入部12の基端付近の途中に配設するようにしたものである。このため、第1分岐部14はその差込み孔72よりも基端側に位置して設けられるようになる。この実施形態によれば、差込み孔72よりも基端側に位置して第1分岐部14が設けられるので、操作部側から体腔内挿入部12を離脱可能な接続部とは関係なく、観察ユニット着脱手段(撮像部着脱手段)を構成できるようになる。他の構成は上述した実施の形態のものと同様である。
【0049】
図21は本発明の更に他の実施形態の構成を概念的に示したものである。上述した実施の形態では図1に示すように第1操作部19からユニバーサルコード23を取り出すようにしたが、この実施の形態ではユニバーサルコード23を第1分岐部14から取り出すようにしたものである。ユニバーサルコード23の繰り出し延出端には第1接続コネクタ121が接続され、この第1接続コネクタ121は図1で示した実施の形態での接続コネクタ24と同様の第2接続コネクタ122に接続可能なものである。したがって第2接続コネクタ122に第1接続コネクタ121を接続することにより図1で示した実施の形態での接続コネクタ24と同様の機能を備える接続コネクタとなる。
【0050】
この実施の形態ではユニバーサルコード23を、第1操作部19からではなく、第1分岐部14の部分から取り出すようにしたので、そのユニバーサルコード23及びこれに接続される部材の重量分、第1操作部(本体操作部)19側の重量を低減することができるようになる。したがって、第1操作部19を操作する際のユニバーサルコード23の取り回しの負担や制約がなくなり、第1操作部19の操作性が向上するようになる。
【0051】
図22は本発明の更に他の実施形態の構成を概念的に示したものである。図1に示した実施の形態ではユニバーサルコード23と観察ユニット(撮像部)200とが別体となっていたが、ここでの実施の形態ではユニバーサルコード23の部分と、観察ユニット200のケーブルユニット203の部分とを一体のユニバーサルコード125として共用する部分としたものである。また、観察ユニット200の挿入部203とユニバーサルコード125の間に第1接続コネクタ128を設け、この第1接続コネクタ128を第1分岐部14に対し着脱自在に接続するようにした。そして第1接続コネクタ128にはユニバーサルコード125を通じて処置内視鏡本体に接続されるべき送気管、送水管または吸引管等のチューブ類やライドガイドのような内蔵物を、挿入部本体13側に接続する接続端子132を設け、この接続端子132を第1分岐部14に設けた受け口133に対して着脱自在に接続して挿入部本体13側に連結するようになっている。この場合、操作部19に設けていた送気送水用操作ボタン、吸引用操作ボタンまたはスイッチ類を、例えばコンソール装置119側に設置するようにしてもよい。
【0052】
この実施の形態ではユニバーサルコード23の部分と、観察ユニット200のケーブルユニット203の部分とを、一体のユニバーサルコード125として共用するようにしたので、操作部からコンソール装置135に繋ぐコード類等を纏めることができるようになり、操作部側の部材の取り回しが容易になる。
【0053】
図23(A)(B)(C)に示す形態は処置内視鏡の他の変形例を示したものである。この変形例における処置内視鏡は、体腔内挿入部12の基端から1本の可撓性延出部241を延出し、この延出部241の延出先端に操作部242を設けるようにした。操作部242は上述した第1操作部(本体操作部)19と、第2操作部(腕部操作部)22との機能を備えた操作手段を有する。第1操作部19と第2操作部22とが離れない一つの操作ポジションに位置するようになるので、一人の術者が両方の操作部19,22を操作し易くなる。また、この形式では操作部が一箇所にまとめるようにした一体形式では補助者の助けを借りずに単独で処置内視鏡10を使用する場合に好適である。その他の構成等は上述した構成等と同様でよい。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態および変形例について説明してきたが、本発明は上述のものに限るものではなく、それら実施形態および変形例のものを様々に組み合わせることも可能である。また、以上の実施の形態では、一対の処置用腕部を設けるようにしたが、3つ以上の処置用腕部を設ける体腔内挿入部でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、湾曲機能を備えた腕部を含めた体腔内挿入部側の構成部を、操作部側の構成部から、分離して交換できるようにした有用な処置内視鏡を提供できるようになる。
【符号の説明】
【0056】
10…処置内視鏡
12…体腔内挿入部
13…挿入部本体
19…第1操作部(本体操作部)
22…第2操作部(腕部操作部)
33…処置用腕部
34…処置用腕部
37…第1湾曲部
38…第2湾曲部
71…挿通路(撮像部着脱手段)
85…ワイヤー類
86…ジョイント部
100…内視鏡本体
200…観察ユニット(撮像部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側部位に本体湾曲部を設けた体腔内挿入部と、
前記本体湾曲部より先端側に位置して前記体腔内挿入部の先端部に該先端部から突き出すように設けられた、湾曲機構を有した一つ以上の処置用腕部と、
前記体腔内挿入部の基端側に設けられた操作部と、
前記体腔内挿入部の先端部に設けられる、体腔内の視野を撮像する撮像部と、
前記体腔内挿入部に対し前記操作部を着脱するための操作部着脱手段と、
前記体腔内挿入部に対し前記撮像部を着脱するための撮像部着脱手段と、
を具備したことを特徴とする処置内視鏡。
【請求項2】
少なくとも一つの前記処置用腕部は、
基端側に位置して設けられた2方向に湾曲可能な第1湾曲機構と、
前記第1湾曲機構よりも先端側に位置して前記腕部に設けられた4方向に湾曲可能な第2湾曲機構と、
を具備したことを特徴とする請求項1に記載の処置内視鏡。
【請求項3】
別々の動きで独立して湾曲する二つ以上の処置用腕部を有することを特徴とする請求項1に記載の処置内視鏡。
【請求項4】
前記操作部は、
前記本体湾曲部を湾曲操作するための本体操作部と、
前記処置用腕部の湾曲機構を湾曲操作するための腕部操作部と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の処置内視鏡。
【請求項5】
前記操作部着脱手段は、
前記本体操作部を前記体腔内挿入部に着脱するための本体操作部着脱手段と、
前記腕部操作部を前記体腔内挿入部に着脱するための腕部操作部着脱手段と、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の処置内視鏡。
【請求項6】
前記体腔内挿入部の基端側に本体操作部と前記腕部操作部とを分離する分岐部を設けたことを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の処置内視鏡。
【請求項7】
前記分岐部は、前記操作部着脱手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の処置内視鏡。
【請求項8】
前記分岐部は、送気/送水チューブの管状部材と、電源ケーブル及び信号ケーブルを束ねたユニバーサルコードとを、前記体腔内挿入部から分岐させることを特徴とする請求項6に記載の処置内視鏡。
【請求項9】
前記撮像部は撮像部ケーブルを備え、前記撮像部ケーブルは前記ユニバーサルコードと一体化したことを特徴とする請求項8に記載の処置内視鏡。
【請求項1】
先端側部位に本体湾曲部を設けた体腔内挿入部と、
前記本体湾曲部より先端側に位置して前記体腔内挿入部の先端部に該先端部から突き出すように設けられた、湾曲機構を有した一つ以上の処置用腕部と、
前記体腔内挿入部の基端側に設けられた操作部と、
前記体腔内挿入部の先端部に設けられる、体腔内の視野を撮像する撮像部と、
前記体腔内挿入部に対し前記操作部を着脱するための操作部着脱手段と、
前記体腔内挿入部に対し前記撮像部を着脱するための撮像部着脱手段と、
を具備したことを特徴とする処置内視鏡。
【請求項2】
少なくとも一つの前記処置用腕部は、
基端側に位置して設けられた2方向に湾曲可能な第1湾曲機構と、
前記第1湾曲機構よりも先端側に位置して前記腕部に設けられた4方向に湾曲可能な第2湾曲機構と、
を具備したことを特徴とする請求項1に記載の処置内視鏡。
【請求項3】
別々の動きで独立して湾曲する二つ以上の処置用腕部を有することを特徴とする請求項1に記載の処置内視鏡。
【請求項4】
前記操作部は、
前記本体湾曲部を湾曲操作するための本体操作部と、
前記処置用腕部の湾曲機構を湾曲操作するための腕部操作部と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の処置内視鏡。
【請求項5】
前記操作部着脱手段は、
前記本体操作部を前記体腔内挿入部に着脱するための本体操作部着脱手段と、
前記腕部操作部を前記体腔内挿入部に着脱するための腕部操作部着脱手段と、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の処置内視鏡。
【請求項6】
前記体腔内挿入部の基端側に本体操作部と前記腕部操作部とを分離する分岐部を設けたことを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の処置内視鏡。
【請求項7】
前記分岐部は、前記操作部着脱手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の処置内視鏡。
【請求項8】
前記分岐部は、送気/送水チューブの管状部材と、電源ケーブル及び信号ケーブルを束ねたユニバーサルコードとを、前記体腔内挿入部から分岐させることを特徴とする請求項6に記載の処置内視鏡。
【請求項9】
前記撮像部は撮像部ケーブルを備え、前記撮像部ケーブルは前記ユニバーサルコードと一体化したことを特徴とする請求項8に記載の処置内視鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−220665(P2010−220665A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68518(P2009−68518)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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